JP5369427B2 - 異方性色素膜用色素 - Google Patents
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Description
しかし、拡張された色空間情報を従来のLCDで表示しようとした場合、LCDに使用される各種部材の特性が充分でないため、xyYCC色空間に対応したディスプレイを構築するために幾つかの改良が進められている。
(1)RGB3原色の色純度が良好なバックライトの採用、
(2)RGB3原色に補色を加えたマイクロカラーフィルターの採用
などが挙げられる。
(1)の代表的な手段としてはLEDの採用や冷陰極管に用いられる蛍光体の発光波長の
最適化であり、(2)ではイエロー、シアンを追加したマイクロカラーフィルターの採用が
挙げられる(特許文献1,2参照)。
xyYCC拡張色空間への対応には、バックライトやマイクロカラーフィルターの改良内容から推定されるように、可視光線の両端部に当たる短波長領域と長波長領域の特性を改善することが必要である。
また、拡張色空間対応ディスプレイ以外においても、液晶プロジェクタや車載用液晶パネルの場合には、高温時の耐久性の問題からヨウ素ではなく、二色性を有する有機系色素
が用いられているが、短波長に吸収を有する色素は、π共役の広がりが長波長に吸収を有する色素よりも小さいため、二色性色素に必要とされる十分なアスペクト比が得られず、こちらにおいても短波長領域で高い二色性を有する色素の開発が望まれていた。これらの用途においては、高温時の耐久性が必要とされために額縁故障あるいは額縁むらと呼ばれる、温湿度変化に伴うフィルムの収縮などが原因となる欠陥が生じる問題があること、また、この問題を解決する変性ポリビニルアルコール(ポリビニルアルコール誘導体)などの高分子材料と二色性物質の組み合わせが重要となってきていることからも新規の二色性色素の開発が望まれている。
また、本発明は耐久性に優れた異方性色素膜用有機系色素を提供することを課題とする。
すなわち、本発明は、遊離酸の形が、下記式(1)で表される色素であって、分子内にスルホ基を2以上有し、スルホ基とカルボキシ基を合計で4以上有することを特徴とする、異方性色素膜用色素に存する。
Ar 1 およびAr 2 のフェニレン基、ナフチレン基または芳香族複素環基が有していても良い置換基としては、それぞれ独立に、アルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子、スルホ基またはカルボキシ基を有していても良いアルキル基;アルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子、スルホ基またはカルボキシ基を有していても良いアルコキシ基;-NH 2 基;-NHR α 基;-NR β R γ 基;カルボキシ基;ハロゲン原子;スルホ基;または水酸基を表す。
X1およびX2は、それぞれ独立に、-NH 2 基、-NHR 85 基;-NR 86 R 87 基を
表す。
R 85 〜R 87 は、それぞれ独立に、置換基を有していても良いアルキル基、置換基を有していても良いフェニル基、または-COR 88 基を表し、
R 85 〜R 87 のアルキル基及びフェニル基が有していても良い置換基は、それぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、スルホ基、カルボキシ基または水酸基を有していても良いフェニル基;アルコキシ基;水酸基;スルホ基;カルボキシ基;またはハロゲン原子を表し、
R 88 は、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、置換基を有していてもよいフェニル基または置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表し、
R 88の アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アルキニル基、フェニル基および芳香族複素環基が有していても良い置換基は、水酸基、スルホ基、カルボキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、またはフェニル基を表す。
Ra、Rb、RcおよびRdは、それぞれ独立に、水素原子;水酸基;カルボキシ基;アルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子、スルホ基またはカルボキシ基を有していてもよいアルキル基;アルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子、スルホ基またはカルボキシ基を有していてもよいアルコキシ基;-NH 2 基;-NHR α 基;-NR β R γ 基を表す。
R α 〜R γ は、それぞれ独立に、置換基を有していても良いアルキル基、置換基を有していても良いフェニル基、または、置換基を有していても良いアシル基を表し、R α 〜R γ のアルキル基、フェニル基及びアシル基が有していても良い置換基は、それぞれ独立に、アルコキシ基、水酸基、スルホ基、カルボキシ基またはハロゲン原子を表す。
hは0または1を表す。)
<式(1)>
遊離酸の形が下記式(1)で表される色素であって、分子内にスルホ基を2以上有し、スルホ基とカルボキシ基を合計で4以上有することを特徴とする、異方性色素膜用色素に関する。
Ar 1 およびAr 2 のフェニレン基、ナフチレン基または芳香族複素環基が有していても良い置換基としては、それぞれ独立に、アルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子、スルホ基またはカルボキシ基を有していても良いアルキル基;アルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子、スルホ基またはカルボキシ基を有していても良いアルコキシ基;-NH 2 基;-NHR α 基;-NR β R γ 基;カルボキシ基;ハロゲン原子;スルホ基;または水酸基を表す。
X1およびX2は、それぞれ独立に、-NH 2 基、-NHR 85 基;-NR 86 R 87 基を
表す。
R 85 〜R 87 は、それぞれ独立に、置換基を有していても良いアルキル基、置換基を有していても良いフェニル基、または-COR 88 基を表し、
R 85 〜R 87 のアルキル基及びフェニル基が有していても良い置換基は、それぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、スルホ基、カルボキシ基または水酸基を有していても良いフェニル基;アルコキシ基;水酸基;スルホ基;カルボキシ基;またはハロゲン原子を表し、
R 88 は、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、置換基を有していてもよいフェニル基または置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表し、
R 88の アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アルキニル基、フェニル基および芳香族複素環基が有していても良い置換基は、水酸基、スルホ基、カルボキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、またはフェニル基を表す。
Ra、Rb、RcおよびRdは、それぞれ独立に、水素原子;水酸基;カルボキシ基;アルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子、スルホ基またはカルボキシ基を有していてもよいアルキル基;アルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子、スルホ基またはカルボキシ基を有していてもよいアルコキシ基;-NH 2 基;-NHR α 基;-NR β R γ 基を表す。
R α 〜R γ は、それぞれ独立に、置換基を有していても良いアルキル基、置換基を有していても良いフェニル基、または、置換基を有していても良いアシル基を表し、R α 〜R γ のアルキル基、フェニル基及びアシル基が有していても良い置換基は、それぞれ独立に、アルコキシ基、水酸基、スルホ基、カルボキシ基またはハロゲン原子を表す。
hは0または1を表す。)
(Ar1およびAr2)
Ar1およびAr2は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいフェニレン基、置換基を有していてもよいナフチレン基または置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。
該ナフチレン基としては、1,4−ナフチレン基、1,5−ナフチレン基、2,6−ナフチレン基、2,7−ナフチレン基などが挙げられる。
該芳香族複素環基としては、ピリジンジイル基、下記式(1−a1)で表される基が挙げられる。
環αは式(1−a1)中のベンゼン環と結合して、縮合環を形成する。 該縮合環基と
しては、キノリンジイル基、イソキノリンジイル基、ベンゾチアジアゾールジイル基、フタルイミドジイル基等で、かつ式(1−a1)に示されるように連結位置がベンゼン環部位の互いにp−位にある基が挙げられる。
該置換基としては、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアミノ基、カルボキシ基、ハロゲン原子、スルホ基、水酸基が挙げられる。
Ar1およびAr2はこれらの置換基を1つ有していてもよいし、2つ以上有していてもよいが、置換基は3つ以下が好ましく、2つ以下が特に好ましい。これらの置換基を2つ以上有する場合には、置換基は環の隣り合う原子に置換しない方が好ましい。
以下にAr1およびAr2が有していてもよい置換基の具体例を挙げる。
アルキル基は、炭素数が通常1以上、通常6以下、好ましくは4以下、さらに好ましくは3以下である。該アルキル基に置換していてもよい基としては、アルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子、スルホ基およびカルボキシ基などが挙げられる。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基が挙げられ、特に置換基を有していてもよい低級アルキル基が好ましい。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられる。
Ar1およびAr2として好ましくは、分子直線性や色調の観点から、置換基を有していてもよい、1,4−フェニレン基、1,4−ナフチレン基または5,8−キノリンジイル基である。さらに好ましくは、1,4−フェニレン基、1,4−ナフチレン基である。
分子直線性や水への溶解性の点から、Ar1およびAr2は、置換基を有さないか、或いは置換基としてはメチル基、メトキシ基、2−ヒドロキシエトキシ基、2,3−ジヒド
ロキシプロポキシ基、カルボキシ基、スルホ基、アミノ基、塩素原子、フッ素原子またはアセチルアミノ基が好ましい。
Ar1およびAr2は同一であっても、異なっていてもよいが、合成上の容易さから同一であることが好ましい。
X1およびX2は、それぞれ独立に、水酸基、置換基を有していてもよいアルコキシ基または置換基を有していてもよいアミノ基を表す。好ましくは、水酸基または置換基を有していてもよいアミノ基である。
該アルキル基は、炭素数が通常1以上、通常4以下、好ましくは2以下である。R85〜R87のアルキル基、フェニル基に置換していてもよい基としては、置換基を有していてもよいフェニル基、アルコキシ基、水酸基、スルホ基、カルボキシ基およびハロゲン原子などが挙げられる。該フェニル基に置換していてもよい基としては、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、スルホ基、カルボキシ基、水酸基などが挙げられる。
、ベンゾイルアミノ基、3−スルホベンゾイルアミノ基、アクリロイルアミノ基、クロトノイルアミノ基、3−カルボキシ−アクリロイルアミノ基、シンナモイルアミノ基などが挙げられる。
Ra、Rb、RcおよびRdは、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、カルボキシ基、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアミノ基を表す。
(h)
hは0または1を表し、好ましくは1である。
遊離酸の形が下記式(1)で表される異方性色素膜用色素は、スルホ基を2以上有し、スルホ基とカルボキシ基を合計して4以上有する。異方性色素膜に用いられる色素としては、水に対して、0.3重量部以上溶解することが染色浴の作製や均一な染色、染色時間の短縮などの観点から好ましく、1重量%以上溶解することがより好ましい。スルホ基またはスルホ基とカルボキシ基の数が、前記下限を下回ると、色素の水への溶解度が不足し、十分な染色性が得られない。
式(1)の色素構造中のスルホ基とカルボキシ基の合計は、染着性の観点から、好ましくは6以下である。
式(1)の色素構造中のスルホ基とカルボキシ基は、上記で説明した結合可能な箇所に
置換基として結合する。
<式(2)>
上記式(1)で表される色素の中でも、遊離酸の形が下記式(2)で表される色素が、水への十分な溶解度を有し、高い二色性を示す点で好ましい。
R1およびR2は、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基または置換基を有していてもよいアミノ基を表す。該アルキル基、該アルコキシ基、該アミノ基の具体例としては、上記式(1)における、Ar1およびAr2がアルキル基、アルコキシ基またはアミノ基である場合の具体例と同様であり、有していてもよい置換基、好ましい例なども同様である。
(R3、R4、R5、R6)
R3、R4、R5およびR6は、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、カルボキシ基、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアミノ基を表す。該アルキル基、該アルコキシ基、該アミノ基の具体例としては、上記式(1)における、Ra、Rb、Rc、Rdがアルキル基、アルコキシ基またはアミノ基である場合の具体例と同様であり、有していてもよい置換基、好ましい例なども同様である。
<式(3)>
上記式(2)で表される色素の中でも、遊離酸の形が下記式(3)で表される色素が、二色性の点で好ましい。
<式(4)>
上記式(1)で表される色素の中でも、遊離酸の形が下記式(4)で表される色素が、水への十分な溶解度を有し、高い二色性を示す点で好ましい。
L1およびL2は、それぞれ独立に、水溶性基を置換基として有するアルキル基または水溶性基を置換基として有するアシル基を表す。
該アルキル基及び該アシル基に置換する水溶性基としては、スルホ基、カルボキシ基が挙げられる。
該アルキル基は、炭素数が通常1以上、通常6以下、好ましくは4以下、さらに好ましくは3以下である。
該アシル基は、−COR78で表され、R78は、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいフェニル基を表す。該アルキル基および該アルコキシ基は、それぞれ、炭素数が通常1以上、通常8以下、好ましくは4以下である。該アルケニル基は、炭素数が通常3以上、通常8以下、好ましくは6以下である。該フェニル基は、炭素数が通常6以上、通常10以下、好ましくは8以下である。
(R7、R8、R9、R10)
R7、R8、R9およびR10は、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、カルボキシ基、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアミノ基を表す。該アルキル基、該アルコキシ基、該アミノ基の具体例としては、上記式(1)における、Ra、Rb、Rc、Rdがアルキル基、アルコキシ基またはアミノ基である場合の具体例と同様であり、有していてもよい置換基、好ましい例なども同様である。
<式(5)>
上記式(4)で表される色素の中でも、遊離酸の形が下記式(5)で表される色素が、水に対する溶解度が高い点で好ましい。
(Ar11およびAr12)
Ar11およびAr12は、それぞれ独立に、疎水性基を置換基として有していてもよい1,4−フェニレン基、疎水性基を置換基として有していてもよい1,4−ナフチレン基、疎水性基を置換基として有していてもよい2,6−ナフチレン基、または上記式(1−a1)で表される基を表す。
ては、メチル基、エチル基等の炭素数1から4の低級アルキル基、メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1から4の低級アルコキシ基、アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基等の炭素数が1から7の置換アミノ基、塩素原子、フッ素原子などが挙げられる。
Ar11およびAr12は、無置換または、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基を置換基として有することが好ましい。
<分子量>
式(1)〜(5)で表される色素の分子量としては、遊離酸の形で、1800以下が好ましく、1500以下がさらに好ましく、1300以下がより好ましく、1200以下が特に好ましく、1100以下が最も好ましい。
本発明の色素は、通常、短波長領域で高い二色性を有するが、青色光の色純度のみを向上させるために使用するには、限られた範囲の波長で高い二色性を示すことが好ましい。そのため、目的とする波長範囲で高い二色性を得るには、1つの色素を用いてもよいし、2つ以上の色素を組み合わせて用いてもよい。また、従来の二色性物質と組み合わせて使用する目的においても、従来の材料で不十分であった波長範囲で高い二色性を示すことが好ましく、吸収波長の異なる2つ以上の色素を組み合わせて用いてもよい。
例えば、下記例示する色素は、1種類でも用いることができる色素であるが、本発明の色素と組み合わせて用いることもできる。
本発明の異方性色素膜用色素は、通常、水溶性の色素である。
本発明の異方性色素膜用色素は、遊離酸の形(遊離酸型)のまま使用してもよく、酸基の一部が塩型を取っているものであってもよい。また、塩型の色素と遊離酸型の色素が混在していてもよい。また、製造時に塩型で得られた場合はそのまま使用してもよいし、所望の塩型に変換してもよい。塩型の交換方法としては、公知の方法を任意に用いることができ、例えば以下の方法が挙げられる。
2)塩型で得られた色素の水溶液に、所望の対イオンを有する大過剰の中性塩(例えば塩化ナトリウム、塩化リチウム)を添加し、塩析ケーキの形で塩交換を行う方法。
4)予め所望の対イオンを有するアルカリ溶液(例えば水酸化ナトリウム水溶液、水酸化リチウム水溶液)で処理した強酸性陽イオン交換樹脂に、塩型で得られた色素の水溶液を作用させ、塩交換を行う方法。
有機アミンの例として、炭素数1〜6の低級アルキルアミン、ヒドロキシ置換された炭素数1〜6の低級アルキルアミン、カルボキシ置換された炭素数1〜6の低級アルキルアミン等が挙げられる。
これらの塩型の場合、その種類は1種類に限られず複数種混在していてもよい。また、化合物の一分子内に複数種混在していてもよいし、組成物中に複数種混在していてもよい。
以下に、本発明の異方性色素膜用色素の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、以下の具体例は、遊離酸の形で記載する。
本発明の異方性色素膜用色素は、それ自体周知の方法に従って製造することができる。
例えば、下記式(1−x)で示される色素は、下記(A)、(B)の工程で製造できる。
豊著「新染料化学」(昭和48年12月21日、技報堂発行)第396頁第409頁参照]に従ってテトラゾ化し8−アミノナフタレン−2−スルホン酸(1,7−クレーブ酸)と酸性条件下でカップリングを行った後、水酸化ナトリウム水溶液で中和することにより下記式(1−y)で表される化合物が得られる。
例えば、下記式(1−z)で示される色素は、下記(C)、(D)の工程で製造できる。
著「新染料化学」(昭和48年12月21日、技報堂発行)第396頁第409頁参照]に従ってテトラゾ化しm−トルイジンと酸性条件下でカップリングを行った後、水酸化ナトリウム水溶液で中和することにより下記式(1−v)で表される化合物が得られる。
異方性色素膜を製造するにあたって、異方性色素膜用組成物を用いることができる。
異方性色素膜用組成物は、本発明の異方性色素膜用色素を含有し、通常さらに溶剤を含有する。
この組成物中または下記詳述する異方性色素膜において、本発明の異方性色素膜用色素は1種を単独で使用できるが、本発明の異方性色素膜用色素同士やヨウ素等の他の二色性物質を組み合わせて使用することもできる。更には配向を低下させない程度に紫外線吸収色素や近赤外線吸収色素などの他の色素と混合して用いることができる。これにより、異方性色素膜の耐久性の向上、色相の補正、偏光性能の向上を図ると共に、各種の色相を有する異方性色素膜を製造ができる。
また、異方性色素膜用組成物は、色素の溶解性向上等のため、必要に応じて界面活性剤等の添加剤を加えることができる。界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系のいずれも使用可能である。その添加濃度は通常0.01重量%以上、10重量%以下が好ましい。
本発明の異方性色素膜用色素を用いて異方性色素膜を製造することができる。
この異方性色素膜は、本発明の異方性色素膜用色素の他に、必要に応じてその他の色素、例えば、公知の青色二色性染料、ヨウ素等や上記のような界面活性剤等の添加剤を含有していてもよい。もちろん、本発明の異方性色素膜用色素で表される色素同士を
組み合わせて含有していてもよい。
異方性色素膜の作製方法としては、次の(a)〜(c)の方法などが挙げられる。
(b)ポリビニルアルコールなどの高分子基材を、色素を含有する溶液(異方性色素膜用組成物)等で染色した後、延伸する方法
(c)ポリビニルアルコールなどの高分子基材を、色素を含有する溶液(異方性色素膜
用組成物)等の溶液に溶解し、フィルム状に成膜した後に延伸する方法
本発明の異方性色素膜用色素を用いて、異方性色素膜を形成する場合、例えば前記(a)〜(c)のいずれの方法においても、色素を適当な溶剤に溶解して使用する。溶剤としては、前記異方性色素膜用組成物に含有する溶剤が挙げられる。
上記の異方性色素膜用組成物および必要に応じて塩化ナトリウム、ボウ硝等の無機塩、界面活性剤等の染色助剤を加えた染浴中に、通常35℃以上、通常80℃以下で、通常10分以下、高分子フィルムを浸漬して染色し、次いで必要に応じてホウ酸処理し、乾燥する。あるいは、高分子重合体を水および/またはアルコール、グリセリン、ジメチルホルムアミド等の親水性有機溶媒に溶解し、本発明に係る異方性色素膜用組成物を添加して原液染色を行い、この染色原液を流延法、溶液塗布法、押出法等により成膜して染色フィルムを作成する。溶媒に溶解させる高分子重合体の濃度としては、高分子重合体の種類によっても異なるが、通常5重量%以上、好ましくは10重量%以上程度で、通常30重量%以下、好ましくは20重量%以下程度である。また、溶媒に溶解する色素の濃度としては、高分子重合体に対して通常0.1重量%以上、好ましくは0.8重量%以上程度で、通常5重量%以下、好ましくは2.5重量%以下程度である。
一軸に延伸する方法としては、湿式法にて引っ張り延伸を行う方法、乾式法にて引っ張り延伸を行う方法、乾式法にてロール間圧縮延伸を行う方法等があり、いずれの方法を用いて行ってもよい。延伸倍率は2倍以上、9倍以下にて行われるが、高分子重合体としてポリビニルアルコールおよびその誘導体を用いた場合は3倍以上、6倍以下の範囲が好ましい。
常15重量%以下、好ましくは10重量%以下程度である。また、処理温度としては通常30℃以上、好ましくは50℃以上で、通常80℃以下の範囲にあることが望ましい。ホウ酸濃度が1重量%未満であるか、処理温度が30℃未満の場合は、処理効果が小さく、また、ホウ酸濃度が15重量%を超えるか、処理温度が80℃以上を超える場合は異方性色素膜がもろくなり好ましくない。
(a)〜(c)の方法により得られる異方性色素膜の膜厚は通常50μm以上、特に80μm以上で、200μm以下が好ましく、特に100μm以下であることが好ましい。
本発明の異方性色素膜を基板上に形成して偏光素子として使用する場合、形成された異方性色素膜そのものを使用してもよく、また上記の様な保護層のほか、粘着層或いは反射防止層、配向膜、位相差フィルムとしての機能、輝度向上フィルムとしての機能、反射フィルムとしての機能、半透過反射フィルムとしての機能、拡散フィルムとしての機能などの光学機能をもつ層など、様々な機能をもつ層を湿式成膜法などにより積層形成し、積層体として使用してもよい。
位相差フィルムとしての機能を有する層は、例えば特許第2841377号公報、特許第3094113号公報などに記載の延伸処理を施したり、特許第3168850号公報などに記載された処理を施したりすることにより形成することができる。
また、輝度向上フィルムとしての機能を有する層は、例えば特開2002−169025号公報や特開2003−29030号公報に記載されるような方法で微細孔を形成すること、或いは、選択反射の中心波長が異なる2層以上のコレステリック液晶層を重畳することにより形成することができる。
拡散フィルムとしての機能を有する層は、上記の保護層に微粒子を含む樹脂溶液をコーティングすることにより、形成することができる。
また、位相差フィルムや光学補償フィルムとしての機能を有する層は、ディスコティック液晶性化合物、ネマティック液晶性化合物などの液晶性化合物を塗布して配向させることにより形成することができる。
なお、以下の実施例中、二色比は、プリズム偏光子を入射光学系に配した分光光度計で異方性色素膜の透過率を測定した後、次式により計算した。
二色比(D)=Az/Ay
Az=−log(Tz)
Ay=−log(Ty)
Tz:色素膜の吸収軸方向の偏光に対する透過率
Ty:色素膜の偏光軸方向の偏光に対する透過率
(参考例1)
4,4’−ジアミノスチルベン−2,2’−ジスルホン酸23重量部を水500重量部
に溶解し、塩酸酸性条件下に亜硝酸ナトリウム10重量部を加えてジアゾ化し、8−アミノナフタレン−2−スルホン酸(1,7−クレーブ酸)27重量部と酸性条件下、カップリングした。反応後、水酸化ナトリウム水溶液で中和することにより下記式(i−1)で表される化合物をナトリウム塩として得た。
上記化合物(i−1)9重量部をN−メチルピロリドン150重量部と水250重量部の混合液に溶解し、塩酸酸性条件下に亜硝酸ナトリウム1.5重量部を加えてジアゾ化し、フェノール2重量部とアルカリ性条件下、カップリングを行うことにより目的の色素No.(I−2)をナトリウム塩として得た。この色素の10ppm水溶液中での極大吸収波長(λmax)は486nmであった。この色素は水に1重量%以上溶解した。
4,4’−ジアミノスチルベン−2,2’−ジスルホン酸19.5重量部を水350重
量部に溶解し、塩酸酸性条件下に亜硝酸ナトリウム7.6重量部を加えてジアゾ化し、m−トルイジン10.7重量部と酸性条件下、カップリングした。反応後、水酸化ナトリウム水溶液で中和することにより下記式(i−3)で表される化合物をナトリウム塩として得た。
蒸留水100重量部に上記化合物No.(I−1)のナトリウム塩0.05重量部と無水硫酸ナトリウム0.02重量部を加えて攪拌溶解し、染色液とした。日本合成化学工業社製のポリビニルアルコールフィルム(OPLフィルム)を、50℃のこの染色液に表1に記載した時間浸漬して染色し、50℃の水浴で余剰の染料を洗浄した後、50℃の4重量%ホウ酸水溶液中で6倍に延伸した。延伸後、室温の水浴中で余剰のホウ酸を洗浄し、送風乾燥することで異方性色素膜を得た。
この異方性色素膜の380〜780nmにおける最大吸収波長とその波長での単体透過率および二色比を表1に記載するが、高い二色性を有していることが分かった。
上記化合物No.(I−1)のナトリウム塩を上記化合物No.(I−2)のナトリウム塩に変更し、表1に記載した染色時間とする以外は、参考例4と同様の方法を用いて異方性色素膜を得た。
この異方性色素膜の380〜780nmにおける最大吸収波長とその波長での単体透過率および二色比を表1に記載するが、高い二色性を有していることが分かった。
上記化合物No.(I−1)のナトリウム塩を上記化合物No.(I−3)のナトリウム塩に変更し、表1に記載した染色時間とする以外は、参考例4と同様の方法を用いて異方性色素膜を得た。
この異方性色素膜の380〜780nmにおける最大吸収波長とその波長での単体透過率および二色比を表1に記載するが、高い二色性を有していることが分かった。
上記化合物(i−3)14.8重量部をN−メチルピロリドン100重量部、水50重量部に溶解し、塩酸酸性条件下に亜硝酸ナトリウム3重量部を加えてジアゾ化し、m−クレゾール4.3重量部とアルカリ条件下、カップリングを行うことにより目的の色素No.(II−1)をナトリウム塩として得た。この色素の10ppm水溶液中での極大吸収波長(λmax)は434nmであった。この色素は水に0.3重量%溶解しなかった。
No.(I−1)のナトリウム塩をNo.(II−1)のナトリウム塩に変更した以外は、参考例4と同様の方法を用いて異方性色素膜を作製したが、十分な染色性が得られなかった。
上記化合物(i−3)9重量部をN−メチルピロリドン300重量部に懸濁し、炭酸ナトリウム4.5重量部、桂皮酸クロリド7重量部を加え、60℃で30分間反応し、目的の色素No.(II−2)をナトリウム塩として得た。この色素の10ppm水溶液中での極大吸収波長(λmax)は427nmであった。この色素は水に0.1重量%溶解しな
かった。
No.(I−1)のナトリウム塩をNo.(II−2)のナトリウム塩に変更した以外は、参考例4と同様の方法を用いて異方性色素膜を作製したが、十分な染色性が得られなかった。
Claims (5)
- 遊離酸の形が、下記式(1)で表される色素であって、分子内にスルホ基を2以上有し、スルホ基とカルボキシ基を合計で4以上有することを特徴とする、異方性色素膜用色素。
Ar 1 およびAr 2 のフェニレン基、ナフチレン基または芳香族複素環基が有していても良い置換基としては、それぞれ独立に、アルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子、スルホ基またはカルボキシ基を有していても良いアルキル基;アルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子、スルホ基またはカルボキシ基を有していても良いアルコキシ基;-NH 2 基;-NHR α 基;-NR β R γ 基;カルボキシ基;ハロゲン原子;スルホ基;または水酸基を表す。
X1およびX2は、それぞれ独立に、-NH 2 基、-NHR 85 基;-NR 86 R 87 基を
表す。
R 85 〜R 87 は、それぞれ独立に、置換基を有していても良いアルキル基、置換基を有していても良いフェニル基、または-COR 88 基を表し、
R 85 〜R 87 のアルキル基及びフェニル基が有していても良い置換基は、それぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、スルホ基、カルボキシ基または水酸基を有していても良いフェニル基;アルコキシ基;水酸基;スルホ基;カルボキシ基;またはハロゲン原子を表し、
R 88 は、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、置換基を有していてもよいフェニル基または置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表し、
R 88の アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アルキニル基、フェニル基および芳
香族複素環基が有していても良い置換基は、水酸基、スルホ基、カルボキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、またはフェニル基を表す。
Ra、Rb、RcおよびRdは、それぞれ独立に、水素原子;水酸基;カルボキシ基;アルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子、スルホ基またはカルボキシ基を有していてもよいアルキル基;アルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子、スルホ基またはカルボキシ基を有していてもよいアルコキシ基;-NH 2 基;-NHR α 基;-NR β R γ 基を表す。
R α 〜R γ は、それぞれ独立に、置換基を有していても良いアルキル基、置換基を有していても良いフェニル基、または、置換基を有していても良いアシル基を表し、R α 〜R γ のアルキル基、フェニル基及びアシル基が有していても良い置換基は、それぞれ独立に、アルコキシ基、水酸基、スルホ基、カルボキシ基またはハロゲン原子を表す。
hは0または1を表す。) - 上記式(1)が下記式(2)で表されることを特徴とする、請求項1に記載の異方性色素膜用色素。
R3、R4、R5およびR6は、それぞれ独立に、水素原子;水酸基;カルボキシ基;アルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子、スルホ基またはカルボキシ基を有していてもよいアルキル基;アルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子、スルホ基またはカルボキシ基を有していてもよいアルコキシ基;-NH 2 基;-NHR α 基;-NR β R γ 基を表す。
R α 〜R γ は、それぞれ独立に、置換基を有していても良いアルキル基、置換基を有していても良いフェニル基、または、置換基を有していても良いアシル基を表し、R α 〜R γ のアルキル基、フェニル基及びアシル基が有していても良い置換基は、それぞれ独立に、アルコキシ基、水酸基、スルホ基、カルボキシ基またはハロゲン原子を表す。 - 上記式(1)が下記式(4)で表されることを特徴とする、請求項1に記載の異方性色素
膜用色素。
R α 〜R γ は、それぞれ独立に、置換基を有していても良いアルキル基、置換基を有していても良いフェニル基、または、置換基を有していても良いアシル基を表し、R α 〜R γ のアルキル基、フェニル基及びアシル基が有していても良い置換基は、それぞれ独立に、アルコキシ基、水酸基、スルホ基、カルボキシ基またはハロゲン原子を表す。
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