JP2008033275A - 異方性膜用材料 - Google Patents

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富雄 米山
Masaaki Nishimura
政昭 西村
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Abstract

【課題】偏光膜などの異方性膜に有用な、短波長領域(380nm〜500nm)で二色性が高く、耐久性に優れた異方性膜用材料を提供する。
【解決手段】遊離酸の形が下記式(1)で表されることを特徴とする異方性膜用材料。
Figure 2008033275

(Gは、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよい芳香族複素環基、置換基を有していてもよいアルキル基または置換基を有していてもよいアルケニル基を表す。Xは、−CH−基または−CO−基を表す。Rは、水素原子、メチル基またはエチル基を表す。Bは、ニトロ基または置換基を有していてもよいアミノ基を表す。pおよびqはそれぞれ独立に0または1を表す。ただし、pとqはともに0になることはない。)
【選択図】なし

Description

本発明は、調光素子や液晶素子(LCD)、有機エレクトロルミネッセンス素子(OLED)などの発光型の表示素子、タッチパネルなどの入出力素子に具備される偏光板等に有用な異方性膜用材料に関するものである。
近年、LCDなどの平面型ディスプレイはテレビ受像機に広く用いられるようになり、従来のCRTを用いたテレビに置き換わろうとしている。また、現在のテレビシステムであるNTSCの色再現性は、CRTの蛍光体の特性を基準に決められたものであり、実在する物体の色の約半分しか表現できないという問題があった。一方、デジタルカメラやカムコーダーなどの撮像装置は、NTSCで定義された範囲よりも広範囲な色表現(色再現)が近年可能となり、その情報をより正確に再現する拡張色空間に対応したディスプレイが望まれている。
このような背景において、LCDなどのCRTに代わる平面型ディスプレイは、原理上CRTよりも高彩度色の表現が可能なデバイスであり、平面型ディスプレイが有する高機能性を生かした新動画用拡張色空間の規格化が進められてきた。その結果、国際規格IEC61966−2−4として「動画用拡張色域YCC色空間(Extended-gamut YCC color space for video application-xyYCC)」が発行された。
xyYCC色空間は、実在する物体色のほぼ全てが表現できる規格であり、これにより色鮮やかな物体の素材感や立体感までも表現できるようになった。
しかし、拡張された色空間情報を従来のLCDで表示しようとした場合、LCDに使用される各種部材の特性が充分でないため、xyYCC色空間に対応したディスプレイを構築するために幾つかの改良が進められている。
その例として、
(1)RGB3原色の色純度が良好なバックライトの採用、
(2)RGB3原色に補色を加えたマイクロカラーフィルターの採用
などが挙げられる。
(1)の代表的な手段としてはLEDの採用や冷陰極管に用いられる蛍光体の発光波長の最適化であり、(2)ではイエロー、シアンを追加したマイクロカラーフィルターの採用が挙げられる(特許文献1,2参照)。
このように、LCDの色再現性を支配する因子は、発光に関係する部材や可視光波長域に吸収を有する部材であるが、マイクロカラーフィルターと同様に可視光波長域に吸収を有する偏光フィルムについては、まだ充分な検討が進められていない状況にある。
xyYCC拡張色空間への対応には、バックライトやマイクロカラーフィルターの改良内容から推定されるように、可視光線の両端部に当たる短波長領域と長波長領域の特性を改善することが必要である。
しかしながら、従来の偏光フィルムは、可視光波長領域における吸光度や二色性などの光学特性が一定でないため、特定の波長や色におけるコントラスト比が低下する問題があった。特に、青色光の補色である短波長領域(380nm〜500nm)の二色性が低いために、青色光の色純度が低下し、色再現性が十分に得られないことがあった。
また、拡張色空間対応ディスプレイ以外においても、液晶プロジェクタや車載用液晶パネルの場合には、高温時の耐久性の問題からヨウ素ではなく、二色性を有する有機系色素が用いられているが、短波長に吸収を有する色素は、π共役の広がりが長波長に吸収を有する色素よりも小さいため、二色性色素に必要とされる十分なアスペクト比が得られず、こちらにおいても短波長領域で高い二色性を有する色素の開発が望まれていた。これらの用途においては、高温時の耐久性が必要とされために額縁故障あるいは額縁むらと呼ばれる、温湿度変化に伴うフィルムの収縮などが原因となる欠陥が生じる問題があること、また、この問題を解決する変性ポリビニルアルコール(ポリビニルアルコール誘導体)などの高分子材料と二色性物質の組み合わせが重要となってきていることからも新規の二色性色素の開発が望まれている。
特開2007−73290号公報 特開2007−25285号公報
本発明は、広範囲な色表現が可能な偏光膜に有用である短波長領域(380nm〜500nm)に吸収を有する異方性膜用有機系材料を提供することを課題とする。
また、本発明は耐久性に優れた異方性膜用有機系材料を提供することを課題とする。
本発明者らが鋭意検討した結果、分子直線性が高く、高温・高湿条件下での耐久性と耐光性に優れた下記式(1)で表されるスチルベン系化合物が、異方性膜に使用する有機系化合物、特に、偏光膜に使用する有機系化合物として有用であることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、遊離酸の形が下記式(1)で表されることを特徴とする異方性膜用材料に存する。
Figure 2008033275
(式(1)中、
は、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよい芳香族複素環基、置換基を有していてもよいアルキル基または置換基を有していてもよいアルケニル基を表す。
は、−CH−基または−CO−基を表す。
は、水素原子、メチル基またはエチル基を表す。
は、ニトロ基または置換基を有していてもよいアミノ基を表す。
pおよびqはそれぞれ独立に0または1を表す。ただし、pとqはともに0になることはない。)
本発明によれば、偏光膜などの異方性膜に有用な、短波長領域(380nm〜500nm)で二色性が高く、耐久性に優れた異方性膜用有機系材料を提供できる。
また、本発明の異方性膜用材料を用いれば、近紫外領域でも偏光性能を有する偏光板を提供できる。
以下に本発明の異方性膜用材料の実施の形態を詳細に説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はこれらの内容に特定はされない。
なお、本発明でいう異方性膜とは、膜の厚み方向および任意の直交する面内2方向の立体座標系における合計3方向から選ばれる任意の2方向における電磁気学的性質に異方性を有する膜である。電磁気学的性質としては、吸収、屈折などの光学的性質、抵抗、容量などの電気的性質などが挙げられる。吸収、屈折などの光学的異方性を有する膜としては、例えば、直線偏光膜、円偏光膜、位相差膜、導電異方性膜などがある。
本発明でいう膜とは、異方性膜用材料を含有する層を指し、通常、さらに低分子材料および/または高分子材料を含有する層をいい、例えば異方性膜用材料のみから構成される層であってもよい。
本発明の異方性膜用材料を用いて製造された異方性膜は、主たる効果として吸収異方性を有する機能性膜に用いられることが好ましく、偏光膜に用いられることがより好ましい。
なお、本発明において置換基を有していてもよいとは、置換基を1または2以上有していてもよいことを意味する。
[異方性膜用材料]
本発明の異方性膜用材料は、遊離酸の形が下記式(1)で表されることを特徴とする。
Figure 2008033275
(式(1)中、
は、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよい芳香族複素環基、置換基を有していてもよいアルキル基または置換基を有していてもよいアルケニル基を表す。
は、−CH−基または−CO−基を表す。
は、水素原子、メチル基またはエチル基を表す。
は、ニトロ基または置換基を有していてもよいアミノ基を表す。
pおよびqはそれぞれ独立に0または1を表す。ただし、pとqはともに0になることはない。)
本発明の異方性膜用材料は、直線性に優れており、吸収異方性の観点から異方性膜、特に偏光機能を必要とする偏光膜に有用である。さらに、化合物の主軸(遷移モーメント軸)の末端基や側方置換基の種類や組み合わせを選択することで、当該化合物と高分子材料や色素同士の分子間相互作用を任意に制御することが可能である。また、本発明の異方性膜用材料は、耐熱性にも優れていることから、耐熱性が必要とされる種々の用途の異方性膜に用いることができる。
<G
は、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよい芳香族複素環基、置換基を有していてもよいアルキル基または置換基を有していてもよいアルケニル基を表す。
該芳香族炭化水素基としては、ベンゼン環、ナフタレン環由来の基が挙げられる。
該芳香族複素環基としては、ピリジン環、チオフェン環、フラン環、キノリン環由来の基が挙げられる。
該アルキル基としては、炭素数が通常1以上、6以下、好ましくは4以下のアルキル基が挙げられる。
該アルケニル基としては、炭素数が通常2以上、12以下、好ましくは10以下、さらに好ましくは6以下、特に好ましくは4以下のアルケニル基が挙げられる。このアルケニル基の具体的な例としては、ビニル基、トランス−2−カルボキシエテニル基、トランス−2−フェニルエテニル基等が挙げられ、特に置換基を有していてもよい低級アルケニル基が好ましい。
としては、特に、ベンゼン環由来の基、即ち、フェニル基が好ましい。
また、Gがフェニル基であって、置換基を有する場合、Gの置換基は、XのGに対する置換位置を1位としたときに、4位に置換していることが好ましい。
は置換基を有していてもよく、該置換基としては、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいアミノ基、カルボキシ基、ニトロ基、水酸基、ハロゲン原子、スルホ基または下記式(1−a)で表される基が挙げられる。
Figure 2008033275
(式(1−a)中、Xは式(1)におけるXと同義である。Rは式(1)におけるRと同義である。Bは式(1)におけるBと同義である。)
の置換基としてのアルキル基は、炭素数が通常1以上、6以下、好ましくは4以下のアルキル基である。該アルキル基に置換していてもよい基としては、アルコキシ基、水酸基、アミノ基、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ハロゲン原子、スルホ基およびカルボキシ基などが挙げられる。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基が挙げられ、特に置換基を有していてもよい低級アルキル基が好ましい。
の置換基としてのアルコキシ基は、炭素数が通常1以上、6以下、好ましくは4以下のアルコキシ基である。該アルコキシ基に置換していてもよい基としては、アルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子、スルホ基およびカルボキシ基などが挙げられる。アルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基、ヒドロキシエトキシ基、2,3−ジヒドロキシプロポキシ基等の置換基を有していてもよいアルコキシ基が挙げられ、特に置換基を有していてもよい低級アルコキシ基が好ましい。
の置換基としてのアルケニル基は、炭素数が通常1以上、通常12以下、好ましくは10以下である。該アルケニル基に置換していてもよい基としては、アルキル基、フェニル基及びカルボキシ基などが挙げられる。アルケニル基の具体例としては、トランス−2−カルボキシエテニル基、トランス−(2−スルホフェニル)エテニル基等が挙げられる。
の置換基としてのフェニル基に置換していてもよい基としては、アルキル基、アルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子、スルホ基、カルボキシ基が挙げられる。フェニル基の具体例としては、フェニル基、p−メトキシフェニル基、p−クロロフェニル基などが挙げられ、特にフェニル基が好ましい。
の置換基としてのアミノ基は、通常、−NH、−NHR32、−NR3334で表され、R32〜R34はそれぞれ独立に、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基または置換基を有していてもよいアシル基を表す。
該アルキル基は、炭素数が通常1以上、通常6以下、好ましくは2以下である。
該アシル基は、−COR31で表され、R31は、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基(例えば、フェニル基、ナフチル基)または置換基を有していてもよい芳香族複素環基(例えば、ピリジン環、チオフェン環、フラン環、キノリン環由来の基)を表す。該アルキル基は、炭素数が通常1以上、通常6以下、好ましくは4以下である。該アルケニル基は、炭素数が通常2以上、通常12以下、好ましくは10以下である。
該アルキル基、該アルケニル基、該フェニル基および該アシル基のR31に置換していてもよい基としては、アルキル基、アルコキシ基、水酸基、スルホ基、カルボキシ基、ニトロ基、フェニル基、アミノ基およびハロゲン原子などが挙げられる。
アミノ基の具体例としては、アミノ基、メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、ジメチルアミノ基、フェニルアミノ基、アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、シンナミルアミノ基、p−ニトロベンゾイルアミノ基、p−アミノベンゾイルアミノ基等が挙げられる。
の置換基としてのハロゲン原子としては、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基が挙げられ、中でも、クロロ基が好ましい。
また、Gの置換基としての前記式(1−a)で表される基において、Xは式(1)におけるXとして定義したものと同義である。一分子中において、XとXは同一であっても異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。
は式(1)におけるRとして定義したものと同義である。一分子中において、RとRは同一であっても異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。
は式(1)におけるBとして定義したものと同義である。一分子中において、BとBは同一であっても異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。
<X
は、−CH−基または−CO−基を表す。
<R
は、水素原子、メチル基またはエチル基を表す。
<B
は、ニトロ基または置換基を有していてもよいアミノ基を表す。
の置換基を有していてもよいアミノ基は、通常、−NH、−NHR42、−NR4344で表され、R42〜R44はそれぞれ独立に、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基または置換基を有していてもよいアシル基を表す。
前記アルキル基は、炭素数が通常1以上、通常6以下、好ましくは2以下である。
前記アシル基は、−COR41で表され、R41は、前記R31と同義である。
のアミノ基の具体例としては、アミノ基、メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、ジメチルアミノ基、フェニルアミノ基、アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、シンナミルアミノ基等が挙げられる。
の置換基を有していてもよいアミノ基の中でも特に下記式(1−c)で表される基が好ましい。
Figure 2008033275
(式(1−c)中、Dは、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基または置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。)
の該アルキル基は、炭素数が1以上、6以下、好ましくは4以下のアルキル基である。該アルキル基に置換していてもよい基としては、アルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子、スルホ基およびカルボキシ基などが挙げられる。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基が挙げられ、特に置換基を有していてもよい低級アルキル基が好ましい。
の該アルケニル基は、炭素数が通常1以上、通常12以下、好ましくは10以下である。該アルケニル基に置換していてもよい基としては、アルキル基、フェニル基及びカルボキシ基などが挙げられる。アルケニル基の具体例としては、トランス−2−カルボキシエテニル基、トランス−2−フェニルエテニル基等が挙げられる。
の該芳香族炭化水素基としては、ベンゼン環またはナフタレン環由来の基が挙げられる。
また、芳香族複素環基としては、ピリジン環、チオフェン環、フラン環またはキノリン環由来の基が挙げられる。
の芳香族炭化水素基および芳香族複素環基は置換基を有していてもよく、該置換基としては、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいアミノ基、カルボキシ基、ニトロ基、水酸基、ハロゲン原子またはスルホ基が挙げられる。これら具体例は、上記Gが有していてもよい置換基として例示したものと同様である。
<pおよびq>
pおよびqはそれぞれ独立に0または1を表す。ただし、pとqはともに0になることはない。
<好適構造>
遊離酸の形が上記式(1)で表される化合物の中でも、特に、遊離酸の形が下記式(2)、(3)、(4)または(5)で表される化合物が好ましい。
Figure 2008033275
(式(2)中、G、R、pおよびqは、上記式(1)におけるものと同義である。
は、上記式(1)のGと同義である。
11は、上記式(1)のRと同義である。
11は、上記式(1)のXと同義である。)
Figure 2008033275
(式(3)中、B、R、Xは、それぞれ、上記式(1)におけるものと同義である。
は、上記式(1)のBと同義である。
は、上記式(1)のRと同義である。
は、上記式(1)のXと同義である。)
Figure 2008033275
(式(4)中、B、R、Xは、それぞれ、上記式(1)におけるものと同義である。
は水酸基または−NHRを表す。
は、上記式(1)のRと同義である。)
Figure 2008033275
(式(5)中、Bは、上記式(1)におけるものと同義である。
は、上記式(1−c)におけるものと同義である。)
遊離酸の形が上記式(2)で表される化合物の中でも、特に遊離酸の形が下記式(2−1)で表される化合物が好ましい。
Figure 2008033275
(式(2−1)中、GおよびGは、それぞれ独立に、上記式(2)におけるものと同義である。)
遊離酸の形が上記式(2−1)で表される化合物の中でも、特に遊離酸の形が下記式(2−1−1)または下記式(2−1−2)で表される化合物が好ましい。
Figure 2008033275
(式(2−1−1)中、Gは上記式(2−1)におけるものと同義である。
21は、Gと同義である。
21およびR22は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアミノ基またはハロゲン原子を表す。これらR21およびR22の具体例は、上記Gの置換基として例示したアルキル基、アルコキシ基、アミノ基、ハロゲン原子とそれぞれ同様である。)
Figure 2008033275
(式(2−1−2)中、Gは、上記式(2−1)におけるものと同義である。)
<分子量>
遊離酸の形が式(1)で表される本発明の異方性膜用材料の分子量は、遊離酸の形で、1500以下が好ましく、1200以下がさらに好ましい。
<水溶性>
遊離酸の形が式(1)で表される本発明の異方性膜用材料は、通常、水溶性の化合物である。
<可視部の吸収>
遊離酸の形が式(1)で表される本発明の異方性膜用材料が380nm〜780nmの可視部に吸収を有する場合には、通常「色素」としての用途に利用できる。色素としての用途例としては、分子直線性が高い構造を有するため、偏光膜などの異方性色素膜として用いることが好ましい。
尚、異方性膜のうち、色素を用いたものを異方性色素膜という。本発明の異方性材料は、可視部に吸収を有する色素であっても透明材料であってもよいが、通常は可視部に吸収を有する色素である。
<塩型>
本発明の異方性膜用材料は、遊離酸の形(遊離酸型)のまま使用してもよく、酸基の一部が塩型を取っているものであってもよい。また、塩型の異方性膜用材料と遊離酸型の異方性膜用材料が混在していてもよい。また、製造時に塩型で得られた場合はそのまま使用してもよいし、所望の塩型に変換してもよい。塩型の交換方法としては、公知の方法を任意に用いることができ、例えば以下の方法が挙げられる。
1)塩型で得られた異方性膜用材料の水溶液に塩酸等の強酸を添加し、異方性膜用材料を遊離酸の形で酸析せしめたのち、所望の対イオンを有するアルカリ溶液(例えば水酸化ナトリウム水溶液、水酸化リチウム水溶液)で異方性膜用材料の酸性基を中和し塩交換する方法。
2)塩型で得られた異方性膜用材料の水溶液に、所望の対イオンを有する大過剰の中性塩(例えば塩化ナトリウム、塩化リチウム)を添加し、塩析ケーキの形で塩交換を行う方法。
3)塩型で得られた異方性膜用材料の水溶液を、強酸性陽イオン交換樹脂で処理し、異方性膜用材料を遊離酸の形で酸析せしめたのち、所望の対イオンを有するアルカリ溶液(例えば水酸化ナトリウム水溶液、水酸化リチウム水溶液)で異方性膜用材料の酸性基を中和し塩交換する方法。
4)予め所望の対イオンを有するアルカリ溶液(例えば水酸化ナトリウム水溶液、水酸化リチウム水溶液)で処理した強酸性陽イオン交換樹脂に、塩型で得られた異方性膜用材料の水溶液を作用させ、塩交換を行う方法。
また、本発明の異方性膜用材料の酸性基が遊離酸型をとるか、塩型を取るかは、異方性膜用材料のpKaと異方性膜用材料溶液のpHに依存する。そのため、本発明の異方性膜用材料の酸性基は、遊離酸型、いずれの塩型、酸性基が2つ以上ある場合には遊離酸型と塩型の混合または2種類以上の塩型の混合など、さまざまな型を取りうる。特に、異方性膜中での異方性膜用材料の酸性基は、後述する異方性膜用組成物の好ましいpHや異方性膜用色素を含んだ基材の解離性の塩を含む溶液での処理の影響を受けて、異方性膜を作成する工程で用いたものとは異なる塩型をしていることもありうる。
上記の塩型の例としては、Na、Li、K等のアルカリ金属の塩、アルキル基もしくはヒドロキシアルキル基で置換されていてもよいアンモニウムの塩、または有機アミンの塩が挙げられる。
有機アミンの例として、炭素数1〜6の低級アルキルアミン、ヒドロキシ置換された炭素数1〜6の低級アルキルアミン、カルボキシ置換された炭素数1〜6の低級アルキルアミン等が挙げられる。
これらの塩型の場合、その種類は1種類に限られず複数種混在していてもよい。また、化合物の一分子内に複数種混在してもよいし、組成物中に複数種混在していてもよい。
本発明の異方性膜用材料の酸性基の好ましい型としては、異方性膜用材料の製造工程、後述する異方性膜用組成物の内容や好ましいpHなどによって異なるが、水に対して高溶解度が必要な場合(例えば、基材への異方性膜用材料の移行能を高めるため、異方性膜用組成物中において高い異方性膜用材料の濃度が必要な場合など)には、リチウム塩、トリエチルアミン塩、水溶性基が置換した有機アミン塩またはこれらの塩を1以上有することが好ましい。一方、水に対して低溶解度が必要な場合(例えば、異方性膜用材料の製造工程において異方性膜用材料溶液から該異方性膜用材料を析出させたい場合など)には、遊離酸の型、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩またはこれらの塩を1以上有することが好ましい。
<具体例>
遊離酸の形が式(1)で表される本発明の異方性膜用材料の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下の具体例は、遊離酸の形で記載する。
Figure 2008033275
Figure 2008033275
Figure 2008033275
Figure 2008033275
Figure 2008033275
Figure 2008033275
Figure 2008033275
<製造方法>
遊離酸の形が式(1)で表される本発明の異方性膜用材料は、それ自体周知の方法に従って製造することができる。
例えば、上記No.(I−3)で示される異方性膜用材料は、下記(A)、(B)、(C)の工程で製造できる。
(A) 4,4’−ジアミノスチルベン−2,2’−ジスルホン酸をNMP(N−メチルピロリドン)等の非プロトン性溶剤に溶解し、炭酸ナトリウム存在下、塩化p−ニトロベンゾイルと反応させ、アミド化合物を得る。
(B) (A)で得た化合物を水媒中、20〜80℃で水硫化ナトリウムによりニトロ基をアミノ基に還元する。
(C) (B)で得た化合物をNMP(N−メチルピロリドン)等の非プロトン性溶剤に溶解し、炭酸ナトリウム存在下、塩化ベンゾイルと反応させ、目的の異方性膜用材料(I−3)を得る。
[異方性膜用組成物]
異方性膜を製造するにあたって、異方性膜用組成物を用いることができる。
異方性膜用組成物は、本発明の異方性膜用材料を含有し、通常さらに溶剤を含有する。
この組成物中または下記詳述する異方性膜において、本発明の異方性膜用材料は1種を単独で使用できるが、本発明の異方性膜用材料同士やヨウ素等の他の二色性物質を組み合わせて使用することもできる。更には配向を低下させない程度に紫外線吸収色素や近赤外線吸収色素などの他の色素と混合して用いることができる。これにより、異方性膜の耐久性の向上、色相の補正、偏光性能の向上を図ると共に、各種の色相を有する異方性膜を製造ができる。
異方性膜用組成物に用いる溶剤としては、水、水混和性のある有機溶剤、或いはこれらの混合物が適している。有機溶剤の具体例としては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、エチレングリコール、ジエチレングリコール等のグリコール類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のセロソルブ類、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド等の非プロトン性溶剤等の単独または2種以上の混合溶剤が挙げられる。
これらの溶剤に異方性膜用材料を溶解する場合の濃度としては、異方性膜用材料の溶解性や会合状態の形成濃度にも依存するが、好ましくは0.001重量%以上、より好ましくは0.01重量%以上、好ましくは10重量%以下、より好ましくは5重量%以下、特に好ましくは1重量%以下である。
また、異方性膜用組成物は、異方性膜用材料の溶解性向上等のため、必要に応じて界面活性剤等の添加剤を加えることができる。界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系のいずれも使用可能である。その添加濃度は通常0.01重量%以上、10重量%以下が好ましい。
さらに、本発明に係る異方性膜用組成物は、基材への染着性などの向上ため、必要に応じて添加剤を用いることができる。具体的には、浅原照三編「新染料加工講座 第7巻 染色II」共立出版株式会社、1972年6月15日発行、233頁から251頁や山下雄也、根本嘉郎共著「高分子活性剤と染色助剤の界面化学」株式会社誠文堂新光社、1963年9月5日発行、94頁から173頁などに記載の繊維用染色に用いられる染色助剤、およびその手法や前述の界面活性剤、アルコール類、グリコール類、尿素、塩化ナトリウム、ボウ硝等の無機塩などである。その添加濃度は通常0.01重量%以上、10重量%以下が好ましい。
[異方性膜]
本発明の異方性膜用材料を用いて異方性膜を製造することができる。
この異方性膜は、本発明の異方性膜用材料の他に、必要に応じてその他の色素、例えば、公知の青色二色性染料、ヨウ素等や上記のような界面活性剤等の添加剤を含有していてもよい。もちろん、本発明の異方性膜用材料同士を組み合わせて含有していてもよい。
異方性膜の作製方法としては、次の(a)〜(c)の方法などが挙げられる。
(a)延伸したポリビニルアルコールなどの高分子基材を、異方性膜用材料を含有する溶液(異方性膜用組成物)等で染色する方法
(b)ポリビニルアルコールなどの高分子基材を、異方性膜用材料を含有する溶液(異方性膜用組成物)等で染色した後、延伸する方法
(c)ポリビニルアルコールなどの高分子基材を、異方性膜用材料を含有する溶液(異方性膜用組成物)等の溶液に溶解し、フィルム状に成膜した後に延伸する方法
本発明の異方性膜用材料を用いて、異方性膜を形成する場合、例えば前記(a)〜(c)のいずれの方法においても、異方性膜用材料を適当な溶剤に溶解して使用する。溶剤としては、前記異方性膜用組成物に含有する溶剤が挙げられる。
なお、前記(a)、(b)の方法における異方性膜用材料溶液で染色する基材や、前記(c)の方法において異方性膜用材料とともに延伸されてなる基材としては、ポリビニルアルコール系の樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、エチレン/酢酸ビニル(EVA)樹脂、ナイロン樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられる。中でも、ポリビニルアルコールなど、異方性膜用材料との親和性の高い高分子材料が好ましい。
ポリビニルアルコールの種類としては、一般的に高分子量かつ高ケン化度のものが、偏光度や二色性などの光学特性の観点から好ましいが、温湿度による収縮による欠陥を抑止することや光学特性と耐環境性能の両立を図るなどの目的から、二色性物質の種類とポリビニルアルコールのケン化度や変性度(疎水性共重合成分比)を適宜調整したポリビニルアルコール誘導体を選択することができる。
高分子材料と異方性膜用材料の相互作用を制御する具体的手法としては、高分子材料と異方性膜用材料の各々にプロトン供与性の−OH,−NH,−NHR,−NHCO−,−NHCONH−などに対し、プロトン受容性の−N=N−,−OH,−NH,−NRR′,−OR,−CN,−C≡C−およびフェニル基やナフチル基などの芳香環を官能基として組み合わせることにより、有効なものにすることができる(RおよびR′は任意の置換基である)。さらに官能基の密度を調整することで、二色性や染着性の向上に効果が得られる。
前記(a)〜(c)の方法における、染色および成膜並びに延伸は、一般的な下記の方法で行うことができる。
上記の異方性膜用組成物および必要に応じて塩化ナトリウム、ボウ硝等の無機塩、界面活性剤等の染色助剤を加えた染浴中に、通常35℃以上、通常80℃以下で、通常10分以下、高分子フィルムを浸漬して染色し、次いで必要に応じてホウ酸処理し、乾燥する。あるいは、高分子重合体を水および/またはアルコール、グリセリン、ジメチルホルムアミド等の親水性有機溶媒に溶解し、本発明に係る異方性膜用組成物を添加して原液染色を行い、この染色原液を流延法、溶液塗布法、押出法等により成膜して染色フィルムを作成する。溶媒に溶解させる高分子重合体の濃度としては、高分子重合体の種類によっても異なるが、通常5重量%以上、好ましくは10重量%以上程度で、通常30重量%以下、好ましくは20重量%以下程度である。また、溶媒に溶解する異方性膜用材料の濃度としては、高分子重合体に対して通常0.1重量%以上、好ましくは0.8重量%以上程度で、通常5重量%以下、好ましくは2.5重量%以下程度である。
上記のようにして染色および成膜して得られた未延伸フィルムは、適当な方法によって一軸方向に延伸する。延伸処理することによって異方性膜用材料分子が配向し、二色性が発現する。一軸に延伸する方法としては、湿式法にて引っ張り延伸を行う方法、乾式法にて引っ張り延伸を行う方法、乾式法にてロール間圧縮延伸を行う方法等があり、いずれの方法を用いて行ってもよい。延伸倍率は2倍以上、9倍以下にて行われるが、高分子重合体としてポリビニルアルコールおよびその誘導体を用いた場合は3倍以上、6倍以下の範囲が好ましい。
延伸配向処理したあとで、該延伸フィルムの耐久性向上と偏光度向上の目的でホウ酸処理を実施する。ホウ酸処理により、異方性膜の光線透過率と偏光度が向上する。ホウ酸処理の条件としては、用いる親水性高分子重合体および異方性膜用材料の種類によって異なるが、一般的にはホウ酸濃度としては、通常1重量%以上、好ましくは5重量%以上程度で、通常15重量%以下、好ましくは10重量%以下程度である。また、処理温度としては通常30℃以上、好ましくは50℃以上で、通常80℃以下の範囲にあることが望ましい。ホウ酸濃度が1重量%未満であるか、処理温度が30℃未満の場合は、処理効果が小さく、また、ホウ酸濃度が15重量%を超えるか、処理温度が80℃以上を超える場合は異方性膜がもろくなり好ましくない。
(a)〜(c)の方法により得られる異方性膜の膜厚は通常50μm以上、特に80μm以上で、200μm以下が好ましく、特に100μm以下であることが好ましい。
本発明の異方性膜用材料を含有する異方性膜は、光吸収の異方性を利用し、直線偏光、円偏光、楕円偏光等を得る偏光膜として機能するほか、膜形成プロセスと基材や異方性膜用材料を含有する組成物の選択により、屈折率異方性や伝導異方性などの各種異方性膜として機能化が可能となり、様々な種類の、多様な用途に適用可能な偏光素子とすることができる。
該異方性膜を偏光素子として使用する場合、前記(a)〜(c)に代表される方法で作成された異方性膜そのものを使用してもよく、また該膜上に保護層、粘着層、反射防止層、位相差層など、様々な機能をもつ層を積層形成し、積層体として使用してもよい。
本発明の異方性膜を基板上に形成して偏光素子として使用する場合、形成された異方性膜そのものを使用してもよく、また上記の様な保護層のほか、粘着層或いは反射防止層、配向膜、位相差フィルムとしての機能、輝度向上フィルムとしての機能、反射フィルムとしての機能、半透過反射フィルムとしての機能、拡散フィルムとしての機能などの光学機能をもつ層など、様々な機能をもつ層を湿式成膜法などにより積層形成し、積層体として使用してもよい。
これら光学機能を有する層は、例えば以下の様な方法により形成することが出来る。
位相差フィルムとしての機能を有する層は、例えば特許第2841377号公報、特許第3094113号公報などに記載の延伸処理を施したり、特許第3168850号公報などに記載された処理を施したりすることにより形成することができる。
また、輝度向上フィルムとしての機能を有する層は、例えば特開2002−169025号公報や特開2003−29030号公報に記載されるような方法で微細孔を形成すること、或いは、選択反射の中心波長が異なる2層以上のコレステリック液晶層を重畳することにより形成することができる。
反射フィルムまたは半透過反射フィルムとしての機能を有する層は、蒸着やスパッタリングなどで得られた金属薄膜を用いて形成することができる。
拡散フィルムとしての機能を有する層は、上記の保護層に微粒子を含む樹脂溶液をコーティングすることにより、形成することができる。
また、位相差フィルムや光学補償フィルムとしての機能を有する層は、ディスコティック液晶性化合物、ネマティック液晶性化合物などの液晶性化合物を塗布して配向させることにより形成することができる。
本発明の異方性膜用材料を用いた異方性膜は、広範囲な色表現が可能で、高耐熱性の偏光素子を得ることができるという点から、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイだけでなく液晶プロジェクタや車載用表示パネル等、高耐熱性が求められる用途に好適にも使用することができる。
次に、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
なお、以下の実施例中、二色比は、プリズム偏光子を入射光学系に配した分光光度計で異方性膜の透過率を測定した後、次式により計算した。
二色比(D)=Az/Ay
Az=−log(Tz)
Ay=−log(Ty)
Tz:色素膜の吸収軸方向の偏光に対する透過率
Ty:色素膜の偏光軸方向の偏光に対する透過率
(実施例1)
4,4’−ジアミノスチルベン−2,2’−ジスルホン酸2ナトリウム塩110重量部、炭酸ナトリウム59重量部、塩化p−ニトロベンゾイル102重量部、およびN−メチルピロリドン1000重量部を混合し、80℃で3時間攪拌した。続いて反応混合物に水4000重量部を加え、懸濁液を水酸化ナトリウム水溶液にてアルカリ性にした。生じた結晶を濾取し、以下に示す目的の化合物No.(I−1)をナトリウム塩として得た。
この化合物の10ppm水溶液中での極大吸収波長(λmax)は362nmであった。
Figure 2008033275
(実施例2)
実施例1で得た化合物No.(I−1)のナトリウム塩119重量部を水4000重量部に懸濁させて55〜60℃に昇温し、水硫化ナトリウム(純度70%)を83重量部加え、55〜60℃を保持して1時間攪拌し、以下に示す目的の化合物No.(I−4)をナトリウム塩として得た。
この化合物の10ppm水溶液中での極大吸収波長(λmax)は342nmであった。
Figure 2008033275
(実施例3)
実施例2で得た化合物No.(I−4)のナトリウム塩65重量部、炭酸ナトリウム23重量部、塩化ベンゾイル31重量部、およびN−メチルピロリドン500重量部を混合し、20℃で1時間攪拌した。続いて反応混合物に水4000重量部を加え、生じた結晶を濾取し、以下に示す目的の化合物No.(I−3)をナトリウム塩として得た。
この化合物の10ppm水溶液中での極大吸収波長(λmax)は343nmであった。
Figure 2008033275
(実施例4)
実施例2で得た化合物No.(I−4)のナトリウム塩65重量部と無水酢酸31重量部を水媒中で混合し、20℃で3時間攪拌し、中和、塩析により、以下に示す目的の化合物No.(I−5)をナトリウム塩として得た。
この化合物の10ppm水溶液中での極大吸収波長(λmax)は341nmであった。
Figure 2008033275
(実施例5)
実施例2で得た化合物No.(I−4)のナトリウム塩65重量部、炭酸ナトリウム46重量部、塩化イソニコチノイル塩酸塩39重量部、およびN−メチルピロリドン500重量部を混合し、80℃で5時間攪拌した。続いて反応混合物に水4000重量部を加え、生じた結晶を濾取し、以下に示す目的の化合物No.(I−28)をナトリウム塩として得た。
この化合物の10ppm水溶液中での極大吸収波長(λmax)は343nmであった。
Figure 2008033275
(実施例6)
4−アミノ−4’−ニトロスチルベン−2,2’−ジスルホン酸2ナトリウム塩222重量部と塩化p−ニトロベンゾイル111重量部をN−メチルピロリドン700重量部中、炭酸ナトリウム64重量部の存在下に55℃で反応させた。冷却後、水希釈、塩析して、以下に示す目的の化合物No.(I−6)をナトリウム塩として得た。
この化合物の10ppm水溶液中での極大吸収波長(λmax)は362nmであった。
Figure 2008033275
(実施例7)
実施例6で得た化合物No.(I−6)のナトリウム塩59重量部に、水媒中、水硫化ナトリウム(純度70%)33重量部を添加して、55℃で反応させた。冷却後、塩析して、以下に示す目的の化合物No.(I−7)をナトリウム塩として得た。
この化合物の10ppm水溶液中での極大吸収波長(λmax)は341nmであった。
Figure 2008033275
(実施例8)
実施例7で得た化合物No.(I−7)のナトリウム塩53重量部に、水媒中、室温下に無水酢酸31重量部を添加して反応させた。続いて、中和、塩析して、以下に示す目的の化合物No.(I−8)をナトリウム塩として得た。
この化合物の10ppm水溶液中での極大吸収波長(λmax)は332nmであった。
Figure 2008033275
(実施例9)
4−アミノ−4’−ニトロスチルベン−2,2’−ジスルホン酸2ナトリウム塩89重量部と二塩化テレフタロイル20重量部を脱水したN−メチルピロリドン400重量部中、炭酸ナトリウム28重量部の存在下に55℃で反応させた。冷却後、水希釈、塩析して、以下に示す目的の化合物No.(I−10)をナトリウム塩として得た。
この化合物の10ppm水溶液中での極大吸収波長(λmax)は365nmであった。
Figure 2008033275
(実施例10)
実施例9で得た化合物No.(I−10)のナトリウム塩102重量部に、水媒中、水硫化ナトリウム(純度70%)33重量部を添加して、55℃で反応させた。冷却後、塩析して目的の化合物No.(I−11)をナトリウム塩として得た。
この化合物の10ppm水溶液中での極大吸収波長(λmax)は351nmであった。
Figure 2008033275
(実施例11)
実施例10で得た化合物No.(I−11)のナトリウム塩91重量部に、水媒中、室温下に無水酢酸31重量部を添加して反応させた。続いて、中和、塩析して、以下に示す目的の化合物No.(I−12)をナトリウム塩として得た。
この化合物の10ppm水溶液中での極大吸収波長(λmax)は340nmであった。
Figure 2008033275
(実施例12)
水90重量部に、実施例1で製造した化合物No.(I−1)のナトリウム塩0.05重量部と、ポリビニルアルコール(日本合成化学工業社製:GL−05)10重量部を加えて、水浴中で撹拌溶解後、厚さ約1mmに展開、乾燥することにより上記化合物含有のポリビニルアルコール(PVA)フィルムを得た。
このPVAフィルムを5重量%のホウ酸水溶液に浸漬後、3倍に引き伸ばして異方性膜を得た。
この異方性膜は極大吸収波長(λmax)は371nmであり、高い二色比を示した。
(実施例13〜22)
化合物No.(I−1)の化合物のナトリウム塩を、実施例2〜11で得た各化合物のナトリウム塩に変更した以外は実施例12に記載の方法と同様な方法により、それぞれ該各化合物含有のポリビニルアルコール(PVA)フィルムを得た。
これらのPVAフィルムを5重量%のホウ酸水溶液に浸漬後、3倍に引き伸ばして異方性膜を得た。
これらの異方性膜の極大吸収波長(λmax)を表1に示す。いずれも高い二色比を示した。
Figure 2008033275
(実施例23)
蒸留水100重量部に下記化合物No.(I−3)のナトリウム塩0.05重量部と無水硫酸ナトリウム0.02重量部を加えて攪拌溶解し、染色液とした。日本合成化学工業社製のポリビニルアルコールフィルム(OPLフィルム)を、50℃のこの染色液に表2に記載した時間浸漬して染色し、50℃の水浴で余剰の染料を洗浄した後、50℃の4重量%ホウ酸水溶液中で6倍に延伸した。延伸後、室温の水浴中で余剰のホウ酸を洗浄し、送風乾燥することで異方性色素膜を得た。
この異方性色素膜の380〜780nmにおける最大吸収波長とその波長での単体透過率および二色比を表2に記載するが、高い二色性を有していることが分かった。
Figure 2008033275
(実施例24)
上記化合物No.(I−3)のナトリウム塩を下記化合物No.(I−10)のナトリウム塩に変更し、表2に記載した染色時間とする以外は、実施例23と同様の方法を用いて異方性色素膜を得た。
この異方性色素膜の380〜780nmにおける最大吸収波長とその波長での単体透過率および二色比を表2に記載するが、高い二色性を有していることが分かった。
Figure 2008033275
Figure 2008033275

Claims (4)

  1. 遊離酸の形が下記式(1)で表されることを特徴とする異方性膜用材料。
    Figure 2008033275
    (式(1)中、
    は、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよい芳香族複素環基、置換基を有していてもよいアルキル基または置換基を有していてもよいアルケニル基を表す。
    は、−CH−基または−CO−基を表す。
    は、水素原子、メチル基またはエチル基を表す。
    は、ニトロ基または置換基を有していてもよいアミノ基を表す。
    pおよびqはそれぞれ独立に0または1を表す。ただし、pとqはともに0になることはない。)
  2. 上記式(1)が下記式(2)で表されることを特徴とする、請求項1に記載の異方性膜用材料。
    Figure 2008033275
    (式(2)中、G、R、pおよびqは、上記式(1)におけるものと同義である。
    は、上記式(1)のGと同義である。
    11は、上記式(1)のRと同義である。
    11は、上記式(1)のXと同義である。)
  3. 上記式(2)が下記式(2−1)で表されることを特徴とする、請求項2に記載の異方性膜用材料。
    Figure 2008033275
    (式(2−1)中、GおよびGは、それぞれ独立に、上記式(2)におけるものと同義である。)
  4. 上記式(1)が下記式(3)で表されることを特徴とする、請求項1に記載の異方性膜用材料。
    Figure 2008033275
    (式(3)中、B、R、Xは、それぞれ、上記式(1)におけるものと同義である。
    は、上記式(1)のBと同義である。
    は、上記式(1)のRと同義である。
    は、上記式(1)のXと同義である。)
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