JP5369088B2 - 成熟アミラーゼ蛋白へのn末端導入によるアミラーゼ産出の増加 - Google Patents

成熟アミラーゼ蛋白へのn末端導入によるアミラーゼ産出の増加 Download PDF

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Description

<関連出願とのクロスリファレンス>
この出願は、2007年3月23日に出願された「成熟アミラーゼ蛋白へのN末端導入によるアミラーゼ産出の増加」と題する米国仮出願第60/907, 174号の優先権を主張する。
<配列表>
配列番号1−18から成る配列表を、参照として本願に組み込む。
この発明はアミラーゼ活性を有するポリペプチドをエンコードする核酸であって、ポリペプチドが、修飾されたバチラス由来α−アミラーゼ、例えばバチラス・リケニフォミス由来α−アミラーゼ、である核酸に関する。
澱粉は、アミロース(15-30% w/w)とアミロペクチン(70-85% w/w)との混合物から成る。アミロースは、分子量(MW)が約60,000から約800,000であり、直鎖状にα-1, 4-結合したグルコース単位から成る。アミロペクチンは、24-30グルコース単位毎にα-1, 6分岐点を有する分岐ポリマーであり、MWは1億に達することがある。
濃縮されたブドウ糖シロップの形態の、澱粉に由来する糖類は、(1)固体澱粉をα−アミラーゼによって、平均重合度が約7〜10のデキストリンに液化(または低粘度化)する工程と、(2)得られた液化澱粉をアミログリコシターゼ(グルコアミラーゼまたはGAとも呼ばれる)で糖化(すなわち澱粉加水分解)する工程とを含む酵素触媒プロセスによって製造されている。
得られるシロップは、高ブドウ糖含有量を有する。商業生産されたブドウ糖シロップの大部分は、酵素で異性化されて、イソシロップと呼ばれるブドウ糖/果糖混合物となる。
α−アミラーゼ(EC 3.2.1.1)は、α-l,4-グルコシド結合をランダムに切断することにより、澱粉、グリコーゲン、その他の多糖類を加水分解する。この酵素は、例えば製糖、醸造、アルコール、及び衣料品産業等の多くの産業分野で応用されている。α−アミラーゼは、多くの種類のバクテリア、菌類、及び動植物から分離されている。工業的に重要なα−アミラーゼの大部分は、バチルス菌から分離されている。
従来、α−アミラーゼ酵素は、糖類の液化、織物のディサイジング、製紙パルプ業での澱粉変性、及び醸造等、種々の目的で用いられている。また、これらの酵素を、食器洗浄や衣類の洗濯において澱粉質汚れを除去するために用いることもできる。
バチラス・リケニホルミスや、他のバチラス種は、成長培地に(異種)蛋白(例えばアミラーゼ、プロテアーゼ等)を分泌する高い能力を有する。これらの蛋白を細胞外へ輸送するために、これらの蛋白は、アミノ末端シグナルペプチドを有する蛋白質前駆体として合成される。
一般に、18から35アミノ酸から成るシグナルペプチドは、厳密なコンセンサス配列を備えていない。しかし、シグナルペプチドは、(1)正荷電のアミノ末端(N−ドメイン)及び、より極性の強い領域と、(2)これに続く疎水性コア(H−ドメイン)と、(3)シグナルペプチド切断部位(C−ドメイン)を有するより極性の強い領域とから構成されるトリパタイト(tripartite)構造を有する。3番目と1番目のアミノ酸(成熟蛋白のスタート点を基準にして)は通常、中性で相対的に小さい側鎖(例えばアラニン、グリシン、セリン)を有する残基である。バチラス・スブチルス(Bacillus subtilis)の場合、成熟蛋白鎖の1番目の残基は、通常アラニンである(Tjalsma, 1999年, "Signal Peptidases of Bacillus subtilis: A Functional Analysis," 博士論文, University of Groningen, ISBN 90-367-1086-3)。
この発明の一側面は、成熟α−アミラーゼまたは変異体等の、配列番号1を有するか、またはシグナルペプチドが無い配列番号1で表わされるモチーフ配列を有する単離されたポリペプチドに関する。すなわち、この発明のポリペプチド配列は、蛋白質前駆体または成熟蛋白質の形態のシグナルペプチドを備える。蛋白質前駆体には、α−アミラーゼを産出する種由来のシグナルペプチドが含まれるか、または成熟蛋白と非相同であってもよい(すなわち、シグナルペプチドは、成熟蛋白ではなく別の微生物に由来する)。
従って、有機体中でより多くのα−アミラーゼを産出することについて根強い要望がある。生産性が向上することにより、特に、コストが低減され、収益性が改善され、プラントの能力が向上し、高活性の製品が得られる。
この発明の一側面は、より高い生産性と低コストで産出されたα−アミラーゼ変異体に関する。このようなα−アミラーゼ変異体は、α−アミラーゼを使用する種々のプロセスや組成物に応用することができる。
この発明の一側面は、成熟α−アミラーゼまたは変異体等の、配列番号1を有するか、またはシグナルペプチドが無い配列番号1で表わされるモチーフ配列を有する単離されたポリペプチドに関する。すなわち、この発明の一側面では、配列番号1には配列番号20, 21または25が含まれる。別の側面では、配列番号1に配列番号2 と21の両者が含まれる。別の側面では、配列番号1に配列番号2(シグナルペプチド)が含まれる。別の側面は、シグナルペプチドを備えない配列番号1に関し、シグナルペプチドを備えない配列番号1は、配列番号9, 10, 1 1, 12, 20, 21 , 22, 24, 25, 27を含む。別の側面では、配列番号1には配列番号13, 14, 15, 16, 17, 18, 19, 23, 26, 28が含まれる。すなわち、この発明のポリペプチド配列は、蛋白質前駆体または成熟蛋白質の形態のシグナルペプチドを備えることができる。。蛋白質前駆体には、α−アミラーゼを産出する種由来のシグナルペプチドが含まれるか、または成熟蛋白と非相同であってもよい(すなわち、シグナルペプチドは、成熟蛋白ではなく別の微生物に由来する)。
別の実施形態は、単離された上記のポリペプチド配列をエンコードする核酸配列に関する。
また別の側面では、ポリペプチド配列をエンコードする核酸配列を含むベクターが提供される。
さらに別の側面では、核酸配列と、上記の核酸配列のいずれかを有するベクターとのいずれかを有する、単離された細胞に関する。単離された細胞は微生物であってもよい。微生物はバクテリアでも、菌類でもよい。
バクテリアの非限定的例示として、バチラス・スブチリス、バチラス・リケニホルミス、バチラス・レンタス(Bacillus lentus)、バチラス・ブレビス(Bacillus brevis)、バチラス・ステアロテルモフィラス(Bacillus stearothermophilus)、バチラス・アルカロフィラス(Bacillus alkalophilus)、バチラス・アミロリケファシンス(Bacillus amyloliquefaciens)、バチラス・コーグランス(Bacillus coagulans)、バチラス・サーキュランス(Bacillus circulans)、バチラス・ロータス(Bacillusautus)、バチラス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)、ストレプトマイセス・リビダンス(Streptomyces lividans)、ストレプトマイセス・ムリナス(Streptomyces murinus)等のグラム陽性菌、あるいは、大腸菌のようなグラム陰性バクテリアが挙げられる。
また別の側面では、上記のポリペプチドの、洗剤組成物(手洗いまたは自動用)、食器洗浄剤組成物(手洗いまたは自動用)、織物ディサイジング、バイオフィルムの加水分解、澱粉の糖化、澱粉の液化、甘藷糖の澱粉加工への使用に関する。
また別の側面では、上記のポリペプチドを含有する洗剤用添加剤であって、非粉飛散性の顆粒、安定化された液剤、または保護された酵素のいずれかの形態の洗剤用添加剤に関する。この洗剤用添加剤は、さらにセルラーゼ、プロテアーゼ、またはアミラーゼ、あるいはこれらの組合せを含有していてもよい。アミラーゼには、α−アミラーゼ、β−アミラーゼ、またはこれらを組合せて用いることができる。
別の側面は、上記のポリペプチドを含有する洗剤組成物に関する。あるいは、洗剤組成物は上記の洗剤添加剤を含んでいてもよい。この洗剤組成物はさらに、プロテアーゼ、リパーゼ、ペルオキシダーゼ、アミラーゼ、セルラーゼ、マンナナーゼ、ペクチン酸リアーゼ、またはこれらの組合せの酵素を含んでいてもよい。
別の側面は、上記のポリペプチドを含有する手洗い用または自動用食器洗浄剤組成物に関する。この手洗い用または自動用食器洗浄剤は、さらにプロテアーゼ、リパーゼ、ペルオキシダーゼ、アミラーゼ、セルラーゼ、マンナナーゼ、ペクチン酸リアーゼ、またはこれらの組合せの酵素を含んでいてもよい。
さらに別の実施形態は、上記のポリペプチドを含有する手洗い用または自動用衣料洗剤組成物に関する。この手洗い用または自動用衣料洗剤は、さらにプロテアーゼ、リパーゼ、ペルオキシダーゼ、アミラーゼ、セルラーゼ、マンナナーゼ、ペクチン酸リアーゼ、またはこれらの組合せの酵素を含んでいてもよい。
別の実施形態は、上記のポリペプチドを含有し、任意に酵素が含まれる、ディサイジング用組成物の水溶液に関する。
別の側面は、上記のポリペプチドを含有する澱粉加工用組成物の水溶液に関する。この澱粉加工用組成物は、グルコアミラーゼ、イソアミラーゼ、プルラナーゼ、またはこれらの組合せを含んでいてもよい。このような澱粉加工用組成物は、澱粉の液化、澱粉の糖化、または澱粉の液化及び糖化の両方等が生じるために十分な時間使用して澱粉を加工する方法において使用することができる。
さらに別の側面は、上記のポリペプチドを含有するバイオフィルム加水分解用組成物であって、溶液状、ゲル状で、任意にセルラーゼ、ヘミセルラーゼ、キシラーゼ、リパーゼ、プロテアーゼ、ペクチナーゼ、抗菌剤、またはこれらの組合せを含むバイオフィルム加水分解用組成物に関する。
また別の側面では、このバイオフィルム加水分解用組成物を、バイオフィルムの一部または全部を加水分解するために十分な時間使用して、バイオフィルムを加水分解する方法に関する。
添付の図面は本願の一部であり、実施形態を説明するためのものである。
図1は、2バッチの、バチラス・リケニホルミスによるAlT及びSpezyymeTMFREDの産出能力を比較した図である。 図2AはpICatH-FREDori 1の模式図である。 図2Bは、pICatH- FRED(A lT)ori 1の模式図である。 図3は、AlTα−アミラーゼ変異体を発現するバチラス・スブチリス株(下)、及びFRED (SpezymeTM FRED)α−アミラーゼを発現する株によるアミロースの消化についての、HI寒天試験結果を表す図である。アミロースの消化は、AlT変異体において増加している。 pH 5.8で試験したときのSpezymeTM FREDとAlT変異体のDE進行を比較して表わす図である。 pH 5.8においてカルシウムを添加せずに、SpezymeTM FRED とAlT変異体のDE進行を比較して表わす図である。 pH 5.8においてカルシウムを添加せずに、SpezymeTM FRED(野生型)をAlT変異体と比較して表わす図である。
本願は、成熟α-アミラーゼのポリペプチド配列を修飾することによりバチラス種α-アミラーゼの産出量を増加させる方法に関する。また、この方法を野生型または遺伝子組換えバチラス種α-アミラーゼに使用することもできる。以下、この方法の詳細と、この方法で得られるα-アミラーゼ変異体に関する組成物及びその使用について説明する。
<1.定義と略号>
発明の詳細な説明では、以下の略号と定義を用いる。本明細書及び請求の範囲で用いる単数形の冠詞「a」、「an」及び定冠詞「the」は、文意より明らかに異なる場合を除き、複数形をも含む。したがって、例えば単数形の「酵素」と言うときは、複数の同様の酵素も含まれ、定冠詞を付して「処方」と言うときは、1以上の当業者にとって公知の処方、またはそれらの均等物が含まれる。
特に断りのない限り、本明細書の全ての技術用語及び科学用語は、本出願の属する技術分野において当業者に通常理解されている意義で用いる。
<1.1定義>
「アミラーゼ」には、グルコアミラーゼ、α-アミラーゼ、β-アミラーゼ等のアミラーゼ、及びバチラス・リケニホルミス、バチラス・スブチリス等のバチラス種由来の野生型アミラーゼが含まれる。産出する株の例は、KLM3'蛋白に用いられるもの、穀物加工用アミラーゼ(SGA)、衣料及び食器洗浄用アミラーゼ等に用いられるものである。「アミラーゼ」という語は、特に澱粉分解の触媒となる酵素を意味する。アミラーゼは、澱粉中のα-D-(l→4) O-グリコサイド結合を切断するヒドロラーゼである。一般に、α-アミラーゼ(EC 3.2.1.1; (X-D-(1→4)-グルカングルカノヒドロラーゼ)は、澱粉中のα-D-(l→4) O-グリコサイド結合をランダムに切断するエンド型酵素と定義される。これに対し、β-アミラーゼ(EC3.2.1.2; α-D-(l→4)-グルカンマルトヒドロラーゼ)や、マルトゲン性α-アミラーゼ(EC 3.2.1.133)のようないくつかの個別のアミラーゼ等のエクソ型澱粉分解酵素は、基質の非還元末端から澱粉分子を切断する。β-アミラーゼ、α-アミラーゼ(EC 3.2.1.1; (X-D-(1→4)-グルカングルカノヒドロラーゼ)、及び個別のアミラーゼは、澱粉から特定の鎖長のマルトオリゴ糖を産出することができる。
「α-アミラーゼ変異体」、「α-アミラーゼ変異体ポリペプチド」及び「変異体酵素」とは、成熟α-アミラーゼ蛋白のアミノ末端のアミノ酸を置換して修飾されたα-アミラーゼ蛋白を意味する。本願で「親酵素」、「親配列」、「親ポリペプチド」、「野生型α-アミラーゼ蛋白」、及び「親ポリペプチド」と言うときは、それらからα-アミラーゼ変異体ポリペプチドが派生する酵素及びポリペプチドを意味する。親酵素は、野生型酵素であるか、または予め遺伝子組換え技術によって作られたα-アミラーゼである。α-アミラーゼ変異体にはさらに、α-アミラーゼ親ペプチドのシグナル配列の突然変異、またはα-アミラーゼ親ペプチドのその他の部分の突然変異が含まれる。従って、α-アミラーゼポリペプチドは、遺伝子組換え技術によって作られた酵素でもよい。
α-アミラーゼ変異体は、バチラス・リケニホルミス、または配列番号1の配列に内生しないポリペプチド配列からなる融合蛋白質または「ハイブリッド」または「キメラ蛋白質」でもよい。
ひとつの実施形態では、ポリペプチド配列は、発現蛋白の産出を促進する。別の側面では、非相同の配列は、バチラス・リケニホルミスとは別の属または種から派生したα-アミラーゼポリペプチドである。例えばα-アミラーゼ変異体は、バチラス・リケニホルミスα-アミラーゼに他のバチラスα-アミラーゼのシグナルペプチドに結合して成り、ここで他のバチラスは例えばバチラス・ステアロサーモフィラスであるが、これに限定されない。あるいは、α-アミラーゼ蛋白は、バチラス・リケニホルミスのシグナルペプチド(LAT)が他のバチラスα-アミラーゼの成熟蛋白に結合してなり、ここで、この融合蛋白も成熟蛋白のX2残基に酵素産出が強化される突然変異を有する。これらには、X2のアラニン残基またはバリン残基以外のアミノ酸が置換されたものも含まれる。X2は、アラニンを置換する残基のほかに、追加のアミノ酸を備えていてもよい。
「変異体」という用語を、「突然変異」と同義で用いることがある。変異体には、ポリペプチドと核酸とが含まれる。変異体には挿入が含まれる。このような変異体には、さらに1以上の位置に追加の置換、挿入、トランスバージョン、切断、および/または、逆位が含まれる。
変異体は、本願に開示するヌクレオチド配列にハイブリッド形成することができる相補的な配列を含んでいてもよい。例えば、変異体配列はストリンジェントな条件下(例えば 50℃で0.2X SSC { IX SSC = 0.15 M NaCl, 0.015 M Na3クエン酸塩、pH 7.0})で本願に開示するヌクレオチド配列とハイブリッド形成可能な配列と相補的である。変異体という用語には、高度にストリンジェントな条件下(例えば 65℃で0.1X SSC { IX SSC = 0.15 M NaCl, 0.015 M Na3クエン酸塩、pH 7.0})で、本願に開示するヌクレオチド配列とハイブリッド形成可能な配列に相補的な配列が含まれる。変異体は、変異体がα-アミラーゼ活性を保持している限り、1, 2, 3, 4, 5, 10, 15, 20, 30, 40, 50, 60または70、あるいはこれらの中間の整数のアミノ酸置換基、欠失、または挿入を含んでいてもよい。
変異体の表面電荷も、任意の数値に変化しうる。例えば、酵素表面の正電荷アミノ酸残基数は、1, 2, 3, 4, 5, 6, 7 または8だけ還元され得る。特にこのようなアミノ酸置換は、変異体の等電点(pI)を変化させると期待される。本願に開示するように、変異体の他の性質は、野生型酵素とは異なり得る。
「単離された」とは、その配列が、自然界でその配列に結合している他の成分の少なくとも1の成分を、少なくとも実質的に含まないことを意味する。
「精製された」とは、その物質が相対的に純粋な状態、例えば純度が少なくとも約90%、または純度が少なくとも約95%、または純度が少なくとも約98%であることを意味する。
「熱的に安定」とは、その酵素が高温に曝された後に、活性を保持できる能力を意味する。α-アミラーゼ酵素等の酵素の熱安定性は、半減期で評価する。半減期(t1/2)とは、特定の条件下で酵素活性の半分が失われる時間(分、時間、日)である。半減期は、残存するアミラーゼ活性を測定することにより求められる。
「pH範囲」とは、5またはそれ以上のpH単位範囲にわたる酸性から塩基性の条件下で、酵素が触媒活性を示す能力を意味する。
本願で言う「pH安定」とは、その酵素が広いpH範囲で活性を保持する能力である。
本願で言う「食品」とは、調理された食品と、小麦粉等の食品原料の両者を意味する。
本願で言う「食品原料」には、機能性食品または食材に添加される配合処方品も含まれ、また例えば酸性化やエマルジョン化が必要な種々の製品に少量用いられる配合処方品も含まれる。食品原料は、その使用態様、および/または用途態様、および/または投与態様に応じて、液状または固形状とすることができる。
本願で言う「機能性食品」とは、栄養供給や味覚を満足させることだけでなく、消費者にさらに有益な効果をもたらす食品を意味する。
本願で言う「アミノ酸配列」は、「ポリペプチド」という用語、および/または「蛋白」と同義語である。ある場合には、「アミノ酸配列」という用語は「ペプチド」と同義語である。またある場合には、「アミノ酸配列」という用語は「酵素」と同義語である。
本願で言う「ヌクレオチド配列」または「核酸配列」は、オリゴヌクレオチド配列またはポリヌクレオチド配列、及び変異体、相同体、断片、及びこれらの誘導体(例えばこれらの一部)を意味する。ヌクレオチド配列はゲノムまたは合成または遺伝子組替由来であり、センス鎖またはアンチセンス鎖であるかにより二本鎖または単鎖である。本願では、ヌクレオチド配列という用語には、ゲノムDNA、cDNA、合成DNA、及びRNAが含まれる。DNAには、α-アミラーゼ変異体ポリペプチドをコードするcDNA配列が含まれる。
「相同体」および「相同」と言うときは、対象とするアミノ酸配列または対象とする核酸配列とある程度の同一性を有することを意味する。相同配列には、対象とする配列に対し、少なくとも75%, 80%, 85%,90%,95%, 96%, 97%, 98%,99%が同一であるアミノ酸配列が含まれる。典型的には、相同体は対象とするアミノ酸配列と同じ活性サイトを備える。
X2はA'-B'で表わされ、X2がアラニンのとき(配列番号14,15と呼ぶ)、A'はアラニンまたはバリン以外の任意のアミノ酸であり、B'は任意のアミノ酸残基、またはアミノ酸残基ではなく;X2がバリン、ヒスチジン、またはアスパラギン酸のとき(配列番号16,17と呼ぶ)、A'は任意のアミノ酸であり、B'は任意のアミノ酸残基、またはアミノ酸残基ではない。
本願で「コポリマー」と言うときは、リボヌクレオチドとデオキシリボヌクレオチドの両者を備える単鎖核酸を意味する。α-アミラーゼ変異体核酸は、更なる発現増加に最適化されたコドンであってもよい。
本願で「合成された」と言うときは、インビトロ(in vitro)化学合成または酵素合成で作られることを言う。また、ピチア属メチロトローフ酵母、ハンゼヌラ、ストレプトミセス、トリコデルマ・レセイ(trichoderma reesei) 等の宿主生物、またはその他、バチラス菌等の選択された発現宿主に対して最適なコドンを用いて作られたα-アミラーゼ変異体核酸も含むが、これらに限定されない。
本願の「形質転換細胞」には、組換えDNA技術を用いて形質転換された細胞が含まれる。一般に形質転換は1以上の核酸を細胞に挿入して行なわれる。挿入された核酸配列は、非相同な核酸配列である。(すなわち、例えば融合蛋白をエンコードする配列のように、形質転換される細胞に自然にある配列ではない。)
本願で「操作可能に結合する」と言うときは、記載された成分が、その目的とする態様で機能することができる関係にあることを意味する。コード配列に操作可能に結合した調節配列は、制御配列と適合する条件下でコード配列の発現が達成されるように連結している。
このシグナルペプチドの切断サイトの1つは、上記の一般的モチーフ配列:Ala-Ser-Ala/Alaに一致する。
SpezymeTM FRED (バチラス・リケニホルミスα-アミラーゼ突然変異体)の産出/分泌は、+1 (X2)の位置にあるアラニンをトレオニンで置換することにより20%以上増加することが確認された。すなわち、LATシグナルペプチドで転座された蛋白の分泌ボトルネックの一部は、切断サイトをAla-Ser-Ala/AlaからAla-Ser-Ala/Thrへ変更することにより、克服される。
すなわち一側面は、X2がアラニンまたはバリン以外の任意のアミノ酸である、組換え蛋白に関する。例えば、X2をトレオニンとすることができる。別の側面は、X2の位置に2つの置換アミノ酸を有し、X2はA-Bで表され(配列番号13と呼ぶ)、Aはアラニンまたはバリン以外の任意のアミノ酸で、Bはアラニンを含む任意のアミノ酸である。また、「B」には残基が無く、「A」がアラニンまたはバリン以外の任意のアミノ酸であってもよい。例えば、シグナルペプチドと成熟鎖の接合部が、Ala-Ser- Ala/Thr-Ala(配列番号18と呼ぶ)であってもよく、ここで、Thr-AlaがX2に導入されたA-Bに相当する。この場合の切断サイトは、+1の位置にあるアラニンをThrで置換して得られるサイト:Ala-Ser-Ala/Thrである。
SpezymeTM FREDや、その他のLATシグナルペプチドで転座された非相同蛋白等のバチラスα-アミラーゼ成熟鎖のN-末端への、トレオニン残基(または他のアラニン以外の残基)の付加により、産出/分泌が増加する。
<1.2 略号>
特に断りの無い限り、以下の略号を用いる。
AlT:バチラスα-アミラーゼの1(X)位でのアラニンからトレオニンへの置換
(またはAl→T)
AE:アルコールエトキシレート
AEO:アルコールエトキシレート
AEOS:アルコールエトキシスルフェート
AES:アルコールエトキシスルフェート
AFAU:酸菌性α-アミラーゼユニット
AGU:グルコアミラーゼ活性ユニット
AOS:α-オレフィンスルホネート
AS:アルコールスルフェート
BSA:牛血清アルブミンcDNA 相補DNA
CMC:カルボキシメチルセルロース
DNA:デオキキシリボ核酸
DP3:サブユニットが3個の重合度
DPn:サブユニットがn個の重合度
DSまたはds:乾燥固体
DTMPA:ジエチルトリアミンペンタ酢酸
EC:酵素分類EC番号
EDTA:エチレンジアミンテトラ酢酸
EO:エチレンオキサイド
F&HC:衣料及び食器用
FAU: 菌性アミラーゼユニット
GA:グルコアミラーゼ
HFCS:高フルクトースコーンシロップ
HFSS:高フルクトースベースシロップ
IPTG:イソプロピルβ-D-チオガラクトサイド
LAS:直鎖アルキルベンゼンスルホネート
LAT:バチラス・リケニフォルミスアミラーゼに関連する
LU:リキホンユニット(Liquiphon unit)
MW:分子量
NOBS:ノナノイルオキシベンゼンスルホネート(nonanoyloxybenzenesulfonate)
NTA:ニトリロ三酢酸
OxAm:PurastarTM HPAM 5000L
PCR:ポリメラーゼ連鎖反応
PEG:ポリエチレングリコール
PVA:ポリビニルアルコール
PVP:ポリビニルピロリドン
RNA:リボ核酸
SAS:2級アルカンスルホネート
TAED:テトラアセチルエチレンジアミン
TCA:トリクロロ酢酸
w/v:重量/容積
w/w:重量/重量
wt:野生型
<2.α-アミラーゼ変異体>
アミラーゼ変異体はバチラス・アミラーゼから作られ、このバチラス・アミラーゼには野生型、及び改良された比活性、pHプロファイル、熱安定性、及び温度範囲プロファイルカルシウムイオン要求量、その他の性質が改良されるように改変された遺伝子工学型が含まれる。本願の変異体は、強化された産出能力を有し、製造された親株よりも多くの蛋白を細胞培地に分泌することができる。
このような変異体のモチーフ配列を下式に示す
Figure 0005369088
ここで、X1は、アミノ酸が18から35個の範囲のサイズのシグナルペプチド中の最後のアミノ酸であり;シグナルペプチドは、本来トリパタイト(tripartite)であり、アミノ末端に荷電部を有する部分の疎水性のH-ドメイン、及び荷電したカルボキシドメインを有し;X2ドメインは同じ親α-アミラーゼ、あるいは非相同またはキメラ蛋白から派生したものであり;
X1は、シグナル配列中の最後のアミノ酸である。
X2はA'-B'で表わされ、X2がアラニンのとき、A'はアラニンまたはバリン以外の任意のアミノ酸であり、B'は任意のアミノ酸残基、またはアミノ酸残基ではなく;X2がバリン、ヒスチジン、またはアスパラギン酸のとき、A'は任意のアミノ酸であり、B'は任意のアミノ酸残基、またはアミノ酸残基ではない。
X3はアスパラギン、アラニン、ヒスチジン、またはグリシンであり;
X4はロイシン、グリシン、プロリン、またはアスパラギンであり;
Yは成熟バクテリアα-アミラーゼまたはα-アミラーゼ変異体の残余部である。
一側面では、X2はA'にトレオニンを有し、B'にアミノ酸が存在せず、またはB'は最大5残基のアミノ酸の1種類以上である。
成熟蛋白の最初の形態は、別のバチラス種、または親配列と同じ種に由来するシグナルペプチドとの融合蛋白であってもよい。
これらは、野生型バチラスα-アミラーゼまたは遺伝子組替α-アミラーゼであってよく、例えばテラミル(Teramyl)状α-アミラーゼ、あるいは以下に開示されたα-アミラーゼでもよい。
米国特許番号6,979,731 ; 6,338,959; 6,638,748; 6,440,716; 5,989,169; 6,022,724; 6,197,565; 6,887,986; 6,162,628; 6,482,622; 6,876,932; 6,093,562; 6,297,038; 6,867,031 ; 5,824531; 5,856,164; 6,939,703; 6,218,164; 6,432,689; 5,316,691 ; 5,429,766; 6,197,565; 6,617,143; 6,916,645, 6,403,355; 6,982,159; 7,005,289; 7,041,488; 7,045,332; 6,001639; 6,387,690; 6,855,531 ; 5,912,157; 6,1 17,664;及び米国特許公開第2005176000; 2005181493; 2005250663; 2005261 156; 2005261 158; 2006014265; 2006019856; 2006051849; 2005214920;及び国際公開番号WO 06/002643; WO 94/02597; WO 94/18314; WO 96/23873; WO 97/43424; WO 97/41213; WO 99/19467; WO 95/26397; WO 99/19467;及び欧州特許番号EP 1050579; EP 1 131418; EP 1226236; EP 1307547; EP 815209; EP 753057; EP 772684; EP 850307; EP 749473。
また、種々のα-アミラーゼ変異体をエンコードする、以下の核酸であってもよいが、これらに限定されない。
バチラスsp. A7-7 (DSM 12368)α-アミラーゼ、StainzymeTM α-アミラーゼ、バチラスsp. AA560α-アミラーゼ(米国特許番号6,528,298の配列番号24), バチラス・ハルマパルス(halmapalus)α-アミラーゼ(米国特許番号6,093,562の配列番号2 、NatalaseTM), バチラスsp. 707α-アミラーゼ、バチラスsp. KSM-AP 1378α-アミラーゼ(ジェンバンク登録番号AX428291、欧州特許番号EP 1199356の配列番号3)、バチラスsp. KSM-K38α-アミラーゼ(米国特許番号6,403,355の配列番号4)、バチラスsp. KSM-K36α-アミラーゼ(米国特許番号6,403,355の配列番号2;ジェンバンク登録番号AAN18957)、バチラス・クラウシー(clausii)KSM-K16α-アミラーゼ、バチラス・ハロジュランス(halodurans)α-アミラーゼ、バチラス・クラウシー(clausii) BT-21α-アミラーゼ(ジェンバンク登録番号AX037557)、バチラス・アミロリケファシエンス(amyloliquefaciens)α-アミラーゼ、米国特許番号5,856,164の配列番号2、OxAmTMα-アミラーゼ、 DuramylTM、及びバチラス・ステアロサーモフィルス(stearothermophilus)α-アミラーゼ。
バチラス・リケニホルミス中の蛋白を分泌させるために、しばしばバチラス・リケニホルミスα-アミラーゼのシグナルペプチド(LAT)が用いられる。しかし、他のバチラスα-アミラーゼ由来のシグナルペプチドで代替することもできる。LATシグナルペプチドのアミノ酸配列は下式で表される。
Figure 0005369088
このシグナルペプチドの切断サイトの1つは、上記の一般的モチーフ配列:Ala-Ser-Ala/Alaに一致する。
SpezymeTM FRED (バチラス・リケニホルミスα-アミラーゼ突然変異体)の産出/分泌は、+1 (X2)の位置にあるアラニンをトレオニンで置換することにより20%以上増加することが確認された。すなわち、LATシグナルペプチドで転座された蛋白の分泌ボトルネックの一部は、切断サイトをAla-Ser-Ala/AlaからAla-Ser-Ala/Thrへ変更することにより、克服される。
すなわち一側面は、X2がアラニンまたはバリン以外の任意のアミノ酸である、組換え蛋白に関する。例えば、X2をトレオニンとすることができる。別の側面は、X2の位置に2つの置換アミノ酸を有し、X2はA-Bで表され、Aはアラニンまたはバリン以外の任意のアミノ酸で、Bはアラニンを含む任意のアミノ酸である。また、「B」には残基が無く、「A」がアラニンまたはバリン以外の任意のアミノ酸であってもよい。例えば、シグナルペプチドと成熟鎖の接合部が、Ala-Ser- Ala/Thr-Alaであってもよく、ここで、Thr-AlaがX2に導入されたA-Bに相当する。この場合の切断サイトは、+1の位置にあるアラニンをThrで置換して得られるサイト:Ala-Ser-Ala/Thrである。
SpezymeTM FREDや、その他のLATシグナルペプチドで転座された非相同蛋白等のバチラスα-アミラーゼ成熟鎖のN-末端への、トレオニン残基(または他のアラニン以外の残基)の付加により、産出/分泌が増加する。
<2.1 α-アミラーゼ変異体の特徴>
酵素の変異体は、核酸及びポリペプチドの配列、その酵素変異体の二次、三次、および/または四次構造、および/または、またはその酵素変異体の比活性によって特徴付けられる。α-アミラーゼ変異体の更なる特徴には、安定性、カルシウムイオン(Ca2+)依存性、pH範囲、耐酸素安定性、及び耐熱性が含まれる。生産性が強化されたα-アミラーゼ変異体は、本質的に親蛋白と同じ特徴、例えば同じ比活性を有する。
一側面では、突然変異(蛋白産出を増やすために置換または付加されたアミノ酸のほか、アミノ酸置換および欠損を含む)は、改変された安定性、特に改良された安定性(すなわち増加または減少)を得る上で重要である。特に、高温度(すなわち70〜120℃)、および/または厳しいpH(すなわち低pHまたは高pH領域、すなわちそれぞれpH4.0から6.0、pH 8.0から11.0)、および60 ppm未満のカルシウム濃度(すなわち非結合、従って溶液中)において、改良された安定性を得る上で重要である。
改変されたCa2+安定性とは、Ca2+が欠乏した条件下における酵素の安定性が改善されることを意味し、すなわち、安定性が増加または減少することである。突然変異(成熟蛋白のアミノ末端のX2の位置へのThr-Alaまたは前記A-Bの導入に加え)の重要性は、特に高pH領域(すなわちpH8.0から10.5)において、改変されたCa2+安定性、特に改善されたCa2+安定性、すなわち増加または減少した安定性が得られることである。従って、産出能力が強化された突然変異体に、さらにカルシウムイオン安定性が強化された変異株が含まれていてもよい。
また別の側面では、X2の変異により得られる産出能力の増加に加え、特に洗浄剤用の10-60℃、20-50℃、及び30-40℃において、改変された比活性、特に増加または減少した比活性を示す重要な変異体(アミノ酸置換及び欠損を含む)が得られる。ベーキング用製品の比活性温度範囲は、これより高くてもよい。
また、α-アミラーゼ変異体は、親α-アミラーゼと比較して、改変された酸化安定性、特により高い酸化安定性を有する。増大した酸化安定性は、例えば洗剤組成物の場合に有益であり、減少した酸化安定性は、澱粉の液化の場合に有益である。
α-アミラーゼ変異体には、熱安定性のための変異体が含まれる。このようなα-アミラーゼ変異体は、ベーキングや、その他の高温下での用途に用いることができる。例えば、このα-アミラーゼ変異体は、約55℃から80℃またはそれ以上の温度において澱粉を分解することができる。このα-アミラーゼ変異体は、温度約95℃までその活性を維持することができる。
本願のα-アミラーゼ変異体ポリペプチドには、約55℃から95℃の高温度、例えば約80℃以上の温度において、親酵素と比較して半減期が例えば10%, 20%, 30%, 40%, 50%, 60%, 70%, 80%, 90%, 100%, 200%あるいはそれ以上向上した変異体が含まれる。例えば80℃以上の温度において、このα-アミラーゼ変異体を約1〜10分間加熱することができる。
α-アミラーゼ変異体ポリペプチドは、それが派生した親配列と同じポリペプチド安定性を有する。しかし、安定性を強化するとともに、酵素の産出を増加させることを意図した変異体を、X2位置に関し本願に開示する変異体と組み合わせることができる。
すなわち、α-アミラーゼ変異体ポリペプチドをエンコードする核酸は、上記の変異体に加え、さらに1以上の変異体を含む。必要に応じて、X2以外の1以上の場所に欠失、挿入、置換、塩基転換、反転(inversion)等の他の変異体が、上記の1以上の特徴にさらに含まれる。同様に、この核酸でエンコードされたポリペプチドから、上記の置換の少なくとも1が失われている。
核酸でエンコードされたα-アミラーゼ変異体は、親配列と同じpH安定性、または異なるpH安定性を有する。例えば、変異体はその酵素の最終用途に応じて、より広いpH安定性範囲、あるいはシフトしたpH安定性範囲を有することができる。変異体は、pHが約5.0から約10.5の範囲で澱粉を分解することができる。特異的なpH条件は、pH 5.0からpH 10.5の範囲のpH値である。核酸でエンコードされたα-アミラーゼ変異体ポリペプチドは、同一条件で比較したとき、親ポリペプチドより長い半減期、またはより高い活性(検定方法に依存する)を有し、あるいは親ポリペプチドと同等の活性を有する。
α-アミラーゼ変異体ポリペプチドは、同等のpH条件において比較したとき、親ペプチドより約10%, 20%, 30%, 40%, 50%, 60%, 70%, 80%, 90%, 100%, 200%、またはこれらより長い半減期を有する。あるいは、酵素変異体は、同等のpH条件において比較したとき、親ペプチドより高い活性を有する。
別の実施形態では、本願に開示するα-アミラーゼ変異体をエンコードする核酸と相補的な核酸が提供される。さらに、相補体とハイブリッド形成可能な核酸が提供される。別の側面では、上記の配列と特異的にハイブリッド形成可能な機能的等価物をエンコードする核酸と、その相補体が提供される。
また別の実施形態では、本願に開示する方法と組成物に用いられる配列は、合成された配列である。この配列には、ピチア属やハンセヌラ属のメチロトローフ酵母等の宿主生物中での発現に、最適なコドンを使用して作られた配列が含まれるが、これに限定されない。
<3. α-アミラーゼ変異体の生産>
本願に開示する方法、または別の公知の方法で作られる酵素変異体をエンコードするDNA配列は、適切なプロモータ、オペレータ、リボソーム結合部位、翻訳開始シグナル、及び、任意にリプレッサー遺伝子、または種々のアクティベータ遺伝子をエンコードする制御配列を有する発現ベクターを用いて、酵素の形態で発現させることができる。
α-アミラーゼ変異体をエンコードするDNA配列を輸送する組換え発現ベクターは、DNA組換えに適したベクターであり、ベクターの選択はベクターが導入される宿主細胞に依存する。従って、ベクターは独立して複製するベクター、すなわち、染色体外の構成要素として存在するベクターであり、ベクターの複製は染色体の複製から独立しており、例えばプラスミド、バクテリオファージ、または染色体外の要素、ミニ染色体、または人工染色体である。あるいは、ベクターは、宿主細胞に導入されたとき、宿主細胞のゲノムに組み込まれ、そのベクターが組み込まれた染色体とともに複製される。また組み込まれた遺伝子も、抗生物質選択や、必須の制御遺伝子等の他の選択圧、または必須代謝経路遺伝子の線量効果の相補性によって機能する増幅機構により増幅されて、染色体中の遺伝子の多数のコピーが作られる。
ベクター中では、DNA配列は、適切なプロモータ配列に操作可能に結合している。プロモータは、選択された宿主細胞中で転写活性を示すDNA配列であり、宿主細胞と相同または非相同の蛋白をエンコードする遺伝子に由来する。α-アミラーゼ変異体をエンコードするDNA配列の転写を、特に細菌性宿主中で行なうために適するプロモータの例として、大腸菌の乳糖オペロンのプロモータ、スプレプトミセス・セリカラー・アガラーゼ(Streptomyces coelicolor agarase)遺伝子のdagAまたはcel Aのプロモータ、バチラス・リケニホルミスα-アミラーゼ遺伝子(amyM) のプロモータ、バチラス・ステアロサーモフィルス・マルトース生成性アミラーゼ遺伝子(amyM)のプロモータ、バチラス・アミロリキファシエンス・α-アミラーゼ(amyQ) のプロモータ、バチラス・スブチリスxylA及びxylB遺伝子のプロモータ等が挙げられる。
菌性の宿主中での転写の場合、有用なプロモータの例は、アスペルギリス・オリザエ・TAKA・アミラーゼ、リゾムコール・ミエヒエ・アスパラギン酸プロテイナーゼ、アスペルギリス・ニガー・中性α-アミラーゼ、アスペルギラス・ニガー・酸安定α-アミラーゼ、アスペルギラス・ニガー・グルコアミラーゼ、 リゾムコール・ミエヒエ・リパーゼ、アスペルギリス・オリザエ・アルカリ性プロテアーゼ、アスペルギリス・オリザエ・トリオースリン酸イソメラーゼ、またはアスペルギリス・ニドランスアセトアミダーゼをエンコードする遺伝子等に由来するプロモータである。大腸菌等のバクテリア中でα-アミラーゼ変異体をエンコードする遺伝子を発現させる場合に適するプロモータは、例えばT7プロモータ及びファージラムダプロモータを含むバクテリオファージプロモータから選択することができる。酵母中で発現させる場合に適したプロモータの非限定的例示として、サッカロミセス・セレビシエのGal 1 及び Gal 10プロモータ、ピチア・パストリスのAOX1またはAOX2プロモータが挙げられる。トリコデルマ・レセイで発現させる場合、CBHIIプロモータを用いることができる。また発現ベクターには、適切な転写ターミネーターが含まれ、真核生物では、α-アミラーゼ変異体をエンコードするDNA配列に、ポリアデニル化配列が操作可能に結合している。ターミネーション配列及びポリアデニル化配列の由来と、プロモータの由来は同じである。
ベクターはさらに、宿主細胞中でのベクターの複製を可能にするDNA 配列を備える。このような配列の例は、プラスミドpUC19, pACYC177, pUBl 10, pE194, pAMBl, pICatH, pHPLT (Genencor International, Inc社) 及びpIJ702の複製起点である。
また、ベクターは選択可能なマーカーを備える。マーカーは、例えばバチラス・スブチリス由来、またはバチラス・リケニホルミス由来のdal遺伝子のように宿主細胞の欠陥の相補体となる遺伝子、または、例えばアンピシリン耐性、カナマイシン耐性、クロラムフェニコール耐性、またはテトラサイクリン耐性等の、抗生物質耐性を賦与する遺伝子である。ベクターはさらに、amdS, argB, niaD 及びxxsC等のアスペルギルス選択マーカー、ハイグロマイシン耐性を高めるマーカー、あるいは公知の同時形質転換によって選択が行なわれるマーカーを備えることができる。例えば、国際公開WO 91/17243を参照することができる。
細胞内発現、または固相での発酵には、例えば宿主にある種のバクテリアまたは細菌を用いる場合等に有利であるが、一般に変異体の発現は細胞外の培地へ行なわれる。一般に、本願のバチラスα-アミラーゼは、発現されたプロテアーゼの培地への分泌を可能にする前蛋白フォーマットを備える。所望であれば、各前蛋白をエンコードするDNA配列を置換することにより、この前蛋白ペプチドを別のペプチド、またはシグナル配列で置き換えることができる。前蛋白は一般に、それぞれ長さが18から35残基の、N-末端ドメイン、H-ドメイン、C-末端ドメインの3つのドメインを有することで特徴付けられる。
一般に発現ベクターは、例えば選択した宿主組織中で独立してベクターを複製することを可能にする構成要素、あるいは、選択を行なうための、表現型の上で検出可能なマーカー等の、クローニングベクターの成分を含む。発現ベクターは通常、プロモータ、オペレータ、リボソーム結合部位、翻訳開始シグナル、及び、任意にリプレッサー遺伝子、または1以上のアクティベータ遺伝子をエンコードする制御ヌクレオチド配列を有する。シグナル配列は一般に、酵素の回収を容易にし、あるいは精製するために、細胞培地の物質のターゲットを絞るために用いられる。
α-アミラーゼ変異体、プロモータ、ターミネーター、その他の要素をそれぞれエンコードするDNA構築体をリゲートし、複製に必要な情報を有するベクターにこれらを挿入するために用いられる方法は公知である(例えばSambrookら, MOLECULAR CLONING: A LABORATORY MANUAL,第2版, Cold Spring Harbor, 1989年、及び第3版, 2001年参照)。
DNA構築体または発現ベクターのいずれかを含む単離細胞は、α-アミラーゼ変異体の組換え産出の宿主細胞として有効に用いることができる。この細胞は、宿主の染色体にDNA構築体(1以上のコピー)を組み込むことによって、変異体をエンコードするDNA構築体で形質転換される。DNA配列は細胞中でより安定して存在するので、このような組み込みは有利であると考えられる。DNA構築体の宿主の染色体への組み込みは、例えば相同または非相同組換え等の公知の方法で行なうことができる。あるいは、宿主細胞は、上記の異なる種類の宿主細胞に関して説明したように、発現ベクターで形質転換される。
好ましいバクテリア性宿主有機体はグラム陽性バクテリアであり、例えばバチラス・スブチリス、バチラス・リケニホルミス、バチラス・レンタス(Bacillus lentus)、バチラス・ブレビス(Bacillus brevis)、バチラス・ステアロテルモフィラス(Bacillus stearothermophilus)、バチラス・アルカロフィラス(Bacillus alkalophilus)、バチラス・アミロリケファシンス(Bacillus amyloliquefaciens)、バチラス・ロータス(lautus)、バチラス・メガテリウム(megaterium)、バチラス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)を含むバチラス属;スプレプトマイセス・ムリヌス(Streptomyces murinus)等のスプレプトマイセス属、ラクトコーカス・ラクティス(Lactococcus lactis)等のラクトコーカス属を含む乳酸バクテリア;ラクトバシルス・リューテリ(Lactobacillus reuteri)を含むラクトバシルス属;リューコノストック(Leuconostoc)属;ペジオコックス(Pediococcus)属;及びスプレプトコックス(Streptococcus)属等である。あるいは、大腸菌を含むエンター・オバクテリアシー(Enter obacteriaceae)、またはシュードモナス(seudomonadaceae)に属するグラム陰性バクテリアの株を、宿主有機体として用いることができる。好ましい酵母宿主有機体は、バイオテクノロジー的に関連する酵母から選択され、非限定的例示として、ピチア(Pichia)属、ハンセルナ(Hansenula)属、またはクリベロミセス(Kluyveromyces)属、ヤロウィニア(Yarrowinia)属、サッカロミセス・セレヴィシエ( cerevisiae)を含むサッカロミセス(Saccharomyces)属、例えばシゾサッカロミセス・ポンベ(Pombe)を含むシゾサッカロミセス(Schizosaccharomyces)属が挙げられる。
メチオトローフ酵母のピチア・パストリス株を宿主有機体として用いることができる。あるいは、宿主有機体はハンセヌラ属であってもよい。好ましい繊維状菌類の宿主有機体には、例えばアスペルギルス・ニガー、アスペルギルス・オリザエ、アスペルギルス・チュビゲンシス(tubigensis)、アスペルギルス・アワモリ(awamori)、アスペルギルス・ニドランス(nidulans)等のアスペルギルス属が含まれる。または、フザリウム・オキシスポルム(oxysporum)等のフザリウム属の株や、リゾムコール・ミエヘイ(Rhizomucor miehei)を含むリゾムコール属の株を宿主有機体に用いることができる。このほか、サーモミセス(Thermomyces)属、ムコール(Mucor) 属の株を宿主有機体に用いることもできる。
発現で用いられる酵母の非限定的例示として、例えばサッカロミセス・セレビシエ等の、サッカロミセスまたはシゾサッカロミセスが挙げられる。好ましい繊維状菌類はアスペルギルス属に含まれるものであり、例えばアスペルギルス・オリザエ、またはアスペルギルス・ニガーである。菌細胞は、原形質体を形成し、原形質体を形質転換し、次に公知の方法で細胞壁を再生して形質転換される。アスペルギルス宿主細胞の形質転換に適した方法は、例えば欧州特許番号EP 238023に開示された方法である。
また別の側面では、α-アミラーゼ変異体を産出する方法が提供される。この方法では、変異体を産出できる条件下で上記の方法によって宿主細胞を培養し、細胞および/または培地から変異体を回収する。
宿主細胞を培養する培地は、宿主細胞の培養に適し、α-アミラーゼ変異体を発現させることができる公知の培地である。好ましい培地と培地用材料は市販されており、公開された処方(例えばAmerican Type Culture Collectionに記載されている)に従って調製することができる。培地の非限定的例示には、給餌-バッチ法(fed-batch process)による3000リットルの撹拌発酵槽が含まれ、以下に実施例を示す。用いられる培地は使用する宿主細胞に最も適した物であり、例えば以下に示すバチラス・リケニホルミスを培養するための物である。この場合、成長培地には、トウモロコシ浸漬固体と大豆粉が有機化合物源として含まれ、さらに、ナトリウム、カリウム、リン、マグネシウム、イオウ、その他の微量成分源の無機塩が含まれる。一般に、当初の培地にはグルコース等の炭水化物源が含まれている。培養液が調製され、培養が始まると、公知のように、培養を継続するため炭水化物を培養槽に添加する。サンプルを培養槽から定期的に採取し、例えば比色分析によって酵素力価を測定する。分析により酵素産出速度の増加が停止したと認められたとき、発酵プロセスを終了する。
宿主細胞から分泌されたα-アミラーゼ変異体は、培地から公知の方法により回収することができる。この方法には、細胞を濾過または遠心分離によって培地から分離し、硫酸アンモニウム等の塩で培地中の蛋白性物質を沈殿させ、次にイオン交換や、アフィニティクロマトグラフィー等のクロマトグラフ工程を行なうことが含まれる。
一般にベクター中のポリヌクレオチドは制御配列に操作可能に結合しており、制御配列は宿主細胞によるコード配列の発現に関与することができる。すなわち、ベクターは発現ベクターである。制御配列は修飾されており、例えばさらに転写調節要素を添加して制御配列による転写のレベルの転写調節物質に対する感度を上げるように修飾されている。制御配列は特にプロモータから成る。
宿主細胞は、α-アミラーゼ変異体蛋白の発現に適した条件で培養される。蛋白の発現は、蛋白が連続して産出され、または誘導され、発現を開始させるために刺激が与えられるように構成される。誘導性発現の場合、蛋白の産出を行なうとき、例えばデキサメタゾン、IPTG、またはセファロース等の誘導物質を培地に添加することにより、開始することができる。ポリペプチドは、例えばTnTTM (Promega社)ウサギ網状赤血球系のようなインビトロ(in vitro)無細胞系で、組換えにより産出することもできる。
また、α-アミラーゼ変異体を発現する宿主は、宿主に適した培地中で好気的条件下において培養することができる。宿主と所望のα-アミラーゼ変異体の培養に要求される条件にもよるが、例えば約30℃から約75℃の温度の宿主に適した温度で、振蕩、または撹拌及び通気を行いながら培養する。培養は約12時間から約100時間またはそれ以上(あるいはこの中間の時間)、または例えば24時間から72時間行なわれる。宿主と所望のα-アミラーゼ変異体の培養に要求される条件にもよるが、培養液のpHは一般に約5.5から約8.0である。
<4. α-アミラーゼ変異体の精製>
発酵、分離、濃縮方法は公知であり、従来の方法で濃縮されたα-アミラーゼ変異体含有液を産出することができる。
発酵後、発酵培養液が得られ、アミラーゼ含有液を得るために、公知の分離方法でこの培養液から微生物細胞、種々の懸濁固形分、発酵用原料の残渣を除去する。一般に、濾過、遠心分離、精密濾過、回転ドラム式真空濾過の後、限外濾過、抽出またはクロマトグラフィー等が用いられる。
回収を容易にするため、アミラーゼ含有液を濃縮することが好ましい。濃縮されていない液を用いると、精製されたα-アミラーゼ変異体を含有する沈殿物を回収するためのインキュベーション時間が長くなる。
α-アミラーゼ変異体を含有する液を、公知の濃縮方法によって所望の酵素濃度の濃縮液にする。α-アミラーゼ変異体を含有する液の濃縮は、上記の方法によって行なうことができる。例えば、限外濾過により濃縮することができる。
一般に酵素変異体溶液は、濃縮α-アミラーゼ変異体含有溶液の酵素変異体活性が約4 g/L以上(例えば25 g/L、または4から25 g/L)になるまで濃縮される。酵素の濃度は、その液に対する酵素の溶解量のみによって制限される。
精製に用いる「沈降剤」とは、その性状が結晶性、無定形、または両者のブレンドであるかを問わず、α-アミラーゼ変異体を、酵素変異体濃縮液から固形状に沈殿させることができる物質を意味する。
沈殿操作は、例えば金属ハロゲン化物沈降剤を用いて行なうことができる。金属ハロゲン化物沈降剤には、アルカリ金属塩化物、アルカリ金属臭化物、またはこれらの金属ハロゲン化物の2種類以上の混合物が含まれる。金属ハロゲン化物は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、 またはこれらの金属ハロゲン化物の2種類以上の混合物が含まれる。例えば、金属ハロゲン化物は、塩化ナトリウム、及び塩化カリウムから選択される。塩化ナトリウムを用いる場合、塩化ナトリウムは保存料の作用もする。
金属ハロゲン化物沈降剤は、α-アミラーゼ変異体を沈殿させることができる量で使用される。当業者であれば、酵素変異体を沈降させるために必要な金属ハロゲン化物の量と最適値、及び最大回収量を得るためのインキュベーション時間、pH、温度、α-アミラーゼ変異体濃度の条件設定を、通常の予備試験により容易に求めることができる。
一般に、少なくとも約5% w/v (重量/容積)から約25% w/v、通常は少なくとも8% w/vの金属ハロゲン化物を酵素変異体濃縮液に添加する。一般に、約25% w/vを超えない量、通常は約20% w/vを超えない量の金属ハロゲン化物を酵素変異体濃縮液に添加する。金属ハロゲン化物の最適濃度は、特定のα-アミラーゼ変異体の性質と、α-アミラーゼ変異体溶液中の濃度に特に依存する。
酵素を沈殿させる別の方法は、酵素変異体濃縮液に添加可能な有機化合物を使用することである。有機化合物沈降剤には、4-ヒドロキシ安息香酸、4-ヒドロキシ安息香酸のアルカリ金属塩、4-ヒドロキシ安息香酸のアルキルエステル、及びこれらの有機化合物の2種類以上の混合物が含まれる。有機化合物沈降剤の添加は、金属ハロゲン化物沈降剤の添加前、添加と同時または添加後に行なうことができ、有機化合物沈降剤と金属ハロゲン化物沈降剤の両者を添加する場合、同時または順次添加する。
より詳しくは、米国特許5,281,526を参照されたい。一般に有機化合物沈降剤は、4-ヒドロキシ安息香酸のナトリウム塩、またはカリウム塩等の4-ヒドロキシ安息香酸アルカリ金属塩、炭素数が1から12の直鎖または分岐アルキル基を有する4-ヒドロキシ安息香酸アルキルエステル、及びこれらの有機化合物の2種類以上の混合物、から成る群から選択される。有機化合物沈降剤は、炭素数が1から10の直鎖または分岐アルキル基を有する4-ヒドロキシ安息香酸アルキルエステル、及びこれらの有機化合物の2種類以上の混合物であってもよい。例えば、有機化合物沈降剤は、炭素数が1から4の直鎖または分岐アルキル基を有する4-ヒドロキシ安息香酸アルキルエステル、及びこれらの有機化合物の2種類以上の混合物であってもよい。4-ヒドロキシ安息香酸のメチルエステル、4-ヒドロキシ安息香酸のプロピルエステル、4-ヒドロキシ安息香酸のブチルエステル、4-ヒドロキシ安息香酸のエチルエステル、及びこれらの有機化合物の2種類以上の混合物を用いることもできる。別の有機化合物の比限定的例は、4-ヒドロキシ安息香酸メチルエステル(メチルPARABENと呼ぶ)、及び4-ヒドロキシ安息香酸プロピルエステル(プロピルPARABENと呼ぶ)であり、これらはアミラーゼの保存剤でもある。
有機化合物沈降剤の添加により、沈殿条件におけるpH、温度、α-アミラーゼ変異体濃度、沈降剤濃度、 及びインキュベーション時間のフレキシビリティが高くなる。
有機化合物沈降剤は、金属ハロゲン化物沈降剤による沈殿を改善することができる量で用いる。当業者であれば有機化合物沈降剤の有効量と最適値、及び最大回収量を得るためのインキュベーション時間、pH、温度、α-アミラーゼ変異体濃度の条件設定を、本願の開示内容に照らし、通常の予備試験により容易に求めることができる。
一般に、少なくとも0.01% w/vの有機化合物沈降剤が酵素変異体濃縮液に添加され、通常は少なくとも0.02% w/v添加される。一般に、0.3% w/vを超えない量の有機化合物沈降剤が酵素変異体濃縮液に添加され、通常は0.2% w/vを超えない量が添加される。
精製される酵素変異体の性質に応じて、必要であれば、例えば有機化合物沈降剤と、金属ハロゲン化物沈降剤とを含有する酵素変異体濃縮液のpHを調整する。一般に、pHをアミラーゼの等電点近くに調整する。一般に、pHを等電点(PI)から約2.5 pH単位低い値から、等電点(PI)より約2.5 pH単位高い値の範囲に調整する。例えば、酵素変異体がバチラス・リケニホルミスに由来するα-アミラーゼの場合、酵素変異体濃縮液のpHを約5.5から9. 7、または約6.5から9.0に調整する。別のバチラスα-アミラーゼについても同様にして調整することができる。
精製された酵素変異体を得るために必要なインキュベーション時間は、精製しようとする酵素変異体の性質、酵素の濃度、使用する沈降剤の種類と濃度に依存する。酵素を沈殿させるために必要な時間は、一般に約1から約30時間で、通常25時間を超えない。有機化合物沈降剤の存在下では、インキュベーション時間は約10時間未満まで低減され、多くの場合約6時間まで低減される。
インキュベーション中の温度は、一般に約4℃から約50℃である。通常、この方法は約10℃から約45℃、または約20℃から約40℃の温度範囲において行なわれる。沈殿を生じさせるための最適温度は、溶液濃度、及び酵素変異体、または使用する沈降剤により異なる。
精製された酵素変異体の総回収量、及び回収プロセスの効率は、酵素変異体、添加された金属ハロゲン化物及び有機化合から成る溶液を撹拌することにより改善される。撹拌工程は、金属ハロゲン化物及び有機化合を添加している間、及びその後のインキュベーションの間の両者において行なうことができる。好ましい撹拌方法には、機械的撹拌または振蕩、強力な通気、その他同様の方法が含まれる。
インキュベーションの後、精製された酵素変異体は解離色素やその他の不純物から分離され、濾過、遠心分離、精密濾過、回転ドラム式真空濾過、限外濾過、加圧濾過、クロスメンブラン精密濾過、クロスフロー膜精密濾過等の公知の分離方法で回収される。クロスメンブラン精密濾過を用いることができる。精製された酵素変異体沈殿物を水洗することにより、さらに精製することができる。例えば、精製された酵素変異体沈殿物を、金属ハロゲン化物沈降剤を含む水、または金属ハロゲン化物沈降剤と有機化合物沈降剤を含む水で洗浄することができる。
培養中、培養液中で熱安定性アミラーゼが細胞外に蓄積される。目的とするα-アミラーゼ変異体を分離精製するために、遠心分離または濾過により培養液から細胞を除き、得られた細胞を含まない液を用いて、酵素精製を行なう。ひとつの実施形態では、飽和度約70%の硫酸アンモニウムを用いて細胞を含まない培養液の塩析を行なう。この70%飽和-沈殿物を緩衝液に溶解させ、Sephadex G-100カラム等のカラムに通し、流出させて酵素変異体活性分画を回収する。さらに精製するために、イオン交換クロマトグラフィー等の公知の方法を用いることができる。
精製された酵素変異体は、その酵素変異体が利用されているあらゆる用途に用いることができる。例えば、酵素変異体を洗濯用洗剤や汚れ落としに用いることができ、食品分野では澱粉加工や澱粉分解に用いることができ、また消化剤として医薬品組成物用いることができる。酵素変異体は、液状(溶液、スラリー)または固形状(顆粒、粉末)の最終製品にされる。
また、産出された酵素を回収し、培養液にフロッキング剤を添加し、細胞と細胞の残骸を濾過または遠心分離で除去し、それ以上は精製しないこともできる。
<5.α-アミラーゼ変異体を含む組成物>
α-アミラーゼ変異体は優れた特徴を備えることから、種々の用途に用いられる。
酵素変異体は、洗剤、食器洗浄剤、硬質表面洗浄剤用の組成物の成分として用いることができる。多くの変異体は、甘味料や、澱粉からのアルコール生産、および/または、衣料ディサイジングに用いることができる。従来の澱粉液化、および/または澱粉糖化プロセス等の澱粉転換プロセスの条件は、例えば米国特許番号3,912,590及び欧州特許出願番号252,730, 63,909に開示されている。
医薬用途では、α-アミラーゼ変異体は例えば凍結乾燥等により乾燥される。
<5.1 洗浄剤及び食器洗浄用組成物とその使用>
本願に開示するα-アミラーゼ変異体は、食器洗浄やその他の洗浄用組成物に用いられる洗剤組成物に処方することができる。これらの洗浄剤は粉末状または液状である。洗浄剤組成物は、α-アミラーゼ変異体単独からなるものでもよく、他の澱粉分解酵素、他の洗浄酵素、及びその他洗浄用組成物に一般に用いられる成分が含まれていてもよい。
すなわち、食器洗浄用組成物に、界面活性剤が含まれていてもよい。界面活性剤は、アニオン性、非イオン性、カチオン性、両性イオン性、またはこれらのタイプの界面活性の混合物でもよい。洗剤には、低発泡性または非発泡性の直鎖アルコールエトキシレート、プロポキシレート等の非イオン性界面活性剤が0wt%から約90wt%含まれる。
洗剤用途では、α-アミラーゼ変異体は、プロピレングリコールを含む液状組成物として用いられる。α-アミラーゼ変異体は、例えばプロピレングリコールへの溶解は、10%の塩化カルシウムを含有する25%容積/容積プロピレングリコール中を循環させて行なわれる。
洗剤組成物には、有機または無機の洗剤ビルダー塩が含まれている。洗剤ビルダーは、リン含有タイプと非リン含有タイプに分類される。洗剤組成物は通常約1%から約90%の洗剤ビルダーを含有する。リン含有無機アルカリ性洗剤ビルダーを用いる場合、有無機アルカリ性洗剤ビルダーの例には、水溶性塩、特にアルカリ金属ピロ燐酸塩、オルトリン酸塩、及び、ポリリン酸塩が含まれる。リン含有有機アルカリ性洗剤ビルダーを用いる場合、有無機アルカリ性洗剤ビルダーの例には、水溶性ホスホン酸塩が含まれる。非リン含有無機アルカリ性洗剤ビルダーを用いる場合、非有無機アルカリ性洗剤ビルダーの例には、水溶性アルカリ金属カーボネート、ボレート、及びシリケートや、ゼオライトに代表される種々の水不溶性の結晶性または無定形のアルミノシリケートが含まれる。
好ましい有機ビルダーの例には、アルカリ金属、アンモニア及び置換されたアンモニア、クエン酸エステル、コハク酸塩、マロン酸塩、脂肪酸スルホネート、カルボキシメチルコハク酸塩、アンモニウムポリアセテート、カルボキシレート、ポリカルボキシレート、アミノポリカルボキシレート、ポリアセチルカルボキシレート、及びポリヒドロキシスルホネートが含まれる。
他の好ましい有機ビルダーには、ビルダーとしての性質を有することが知られている高分子量ポリマー及びコポリマーが含まれ、その例として、適切なポリアクリル酸、ポリマレイン酸、ポリアクリル酸/ポリマレイン酸コポリマー、及びこれらの塩が挙げられる。
洗浄用組成物には、塩素/臭素タイプ、または酸素タイプの漂白剤が含まれていてもよい。無機塩素/臭素タイプ漂白剤の例として、リチウム、ナトリウム、またはカルシウム次亜塩素酸塩や、塩化燐酸三ナトリウムが挙げられる。有機塩素/臭素タイプ漂白剤の例として、トリクロロイソシアヌル酸、トリブロモイソシアヌル酸、ジブロモイソシアヌル酸、ジクロロイソシアヌル酸等の複素環式N-ブロモイミド及びN-クロロイミド、あるいは、これらと、カリウムやナトリウム等の水溶化カチオンとの塩が挙げられる。ヒダントイン化合物を用いることもできる。
洗浄用組成物は、例えば無機過酸塩基で、例えば漂白前駆体またはペルオキシ酸化合物の形態の酸素漂白剤を含んでいてもよい。好ましいペルオキシ漂白化合物の例として、四水和または一水和アルカリ金属ペルボレート、アルカリ金属ペルカーボネート、アルカリ金属ペルシリケート、及びアルカリ金属ペルホスフェートが挙げられる。活性化物質の例は、TAED及びグリセロールトリアセテートである。例えばPCT出願WO 2005/056783に開示されたペルボレートまたはペルカーボネート、グリセロールトリアセテート及びペルヒドラーゼのような、酵素漂白活性化システムを用いることもできる。
洗浄用組成物は、例えばプロピレングリコール等のポリオール、糖または糖アルコール、乳酸、ホウ酸、ホウ酸誘導体(例えば芳香族ボレートエステル)等の、公知の酵素安定剤を用いて安定化されている。
洗浄用組成物は、例えば解膠剤、フィラー、泡抑制剤、防食剤、懸濁剤、封鎖剤、再汚染防止剤、脱水剤、顔料、殺菌剤、蛍光剤、増粘剤、香料等の公知の洗剤用原料を含んでいてもよい。
本願のα-アミラーゼ変異体は、公知の食器洗浄用洗剤に適用することができる。例えば、以下の特許文献に記載された食器洗浄用洗剤に、修飾α-アミラーゼが、生産性を強化するために配列番号1のX2が修飾されたバチラスα-アミラーゼであること、またはα-アミラーゼが本願に開示したα-アミラーゼ変異体に加えて以下の特許または特許出願に記載されたα-アミラーゼを用いることを考慮して、適用することができる。
CA 2006687, GB 2200132, GB 2234980, GB 2228945, DE 3741617, DE 372791 1, DE 4212166, DE 4137470, DE 3833047, DE 4205071, WO 93/25651, WO 93/18129, WO 93/04153, WO 92/06157, WO 92/08777, WO 93/21299, WO 93/17089, WO 93/03129, EP 481547, EP 530870, EP 533239, EP 554943, EP 429124, EP 346137, EP 561452, EP 318204, EP 318279, EP 271 155, EP 271 156, EP 346136, EP 518719, EP 518720, EP 518721, EP 516553, EP 561446, EP 516554, EP 516555, EP 530635, EP 414197, 米国特許番号5,1 12,518, 米国特許番号5,141 ,664, 及び米国特許番号5,240,632。
<5.2 衣類洗剤用組成物とその使用>
本願の実施形態では、1以上のα-アミラーゼ変異体は洗剤用組成物の成分として用いられる。α-アミラーゼ変異体は、非粉飛散性の顆粒、安定化された液剤、または保護された酵素のいずれかの形態で洗剤用組成物に含まれている。非粉飛散性の顆粒は、米国特許番号4,106,991, 4,661,452(いずれもNovo Industri A/S)に開示された方法で製造され、公知の方法でコーティングされる。
ワックスコーティング用材料の例には、平均分子量が1,000から20,000のポリ(エチレンオキサイド)製品(ポリエチレングリコール,PEG);エチレンオキサイドユニットが16から50のエトキシ化ノニルフェノール;アルコールが炭素数12から20でエチレンオキサイドユニットを15から80含む、エトキシ化脂肪アルコール;脂肪アルコール;脂肪酸;脂肪酸のモノ−、ジ−、またはトリ−グリセライドが含まれる。流動床での使用に適したフィルムコーティング用材料の例は、例えば英国特許番号GB 1483591に開示されている。
酵素調合液は、例えばプロピレングリコール等のポリオール、糖、糖アルコール、乳酸、ホウ酸を公知の方法で添加して安定化されている。その他の酵素安定剤も公知である。保護された酵素は、例えば欧州特許番号EP 238,216に開示された方法で調製することができる。
ポリオールは、蛋白の安定剤であり、蛋白の溶解性を向上させることが知られている。例えば、J. K. Kaushikらの"Why is trehalose an exceptional protein stabilizer? An analysis of the thermal stability of proteins in the presence of the compatible osmolyte trehalose" J. Biol. Chem. 278: 26458-65 (2003年)、及び、この文献に記載された引用文献; 及びM. Contiらの"Capillary isoelectric focusing: the problem of protein solubility," J. Chromatography 757: 237-245 (1997年)が参照される。
洗剤用組成物は、例えば粉末状、顆粒状、ペースト状、液状の形態である。液状洗剤は水性であり、一般に最大約70%の水と、0%から約30%の有機溶剤とを含有している。洗剤は、水を約30%しか含まないゲルタイプであってもよい。
洗剤用組成物は、1以上のアニオン性、非イオン性、カチオン性、または両性イオン性の界面活性剤を含む。洗剤用組成物は通常、0%から約50%の直鎖アルキルベンゼンスルホネート(LAS); α−オレフィンスルホネート(AOS);アルキルスルフェート (脂肪アルコールスルフェート) (AS); アルコールエトキシスルフェート (AEOSまたはAES); 二級アルカンスルホネート(SAS); α−スルホ脂肪酸メチルエステル; アルキルまたはアルケニルコハク酸; 石鹸等のアニオン性界面活性剤を含む。
また、洗剤用組成物は、0%から約40%の、アルコールエトキシレート(AEO or AE), カルボキシル化アルコールエトキシレート, ノニルフェノールキシレート, アルキルポリグリコシド, アルキルジメチルアミンエトキシド, エトキシ化脂肪酸モノエタノールアミド, 脂肪酸モノエタノールアミド, またはポリヒドロキシアルキル脂肪酸アミド(例えば国際公開番号WO 92/06154に開示されている) 等の非イオン性界面活性剤を含む。
洗剤用組成物は、さらに1以上のリパーゼ、クチナーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼ、ペルオキシダーゼ、および/または、ラッカーゼ及びこれらの組合せ等の酵素を含む.
洗剤用組成物は、約1%から約65%のゼオライト、ジホスフェート、トリフェート、ホスホネート、クエン酸塩、ニトリロ三酢酸(NTA)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTMPA)、アルキルまたはアルケニルコハク酸、水溶性シリケートまたは層状シリケート(例えばSKS-6, Hoechst社)等の洗剤ビルダーまたは複合化剤を含む。あるいは、洗剤用組成物はビルダーを含まない。すなわち、洗剤用組成物は実質的にビルダーを含まない。
酵素は、その酵素の安定性と適合する組成物において使用することができる。酵素は、例えばカプセル化、顆粒化、ヒドロゲル中への隔離などの公知の方法で、有害な成分から保護される。酵素、特にα-アミラーゼは、澱粉結合領域の有無によらず、洗剤及び食器洗浄用途に限らず、表面洗浄及び澱粉またはバイオマスからのエタノール生産に用いることができる。
洗剤には、1以上のポリマーが含まれる。ポリマーの例として、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリアクリレート、マレイン酸/アクリル酸コポリマー、ラウリルメタクリレート/アクリル酸コポリマー等の、ポリカルボキシレートが挙げられる。
洗剤には、ペルボレートまたはペルカーボネート等のH2O2源と、これらと組み合わされるテトラアセチルエチレンジアミン(TAED)またはノナノニルオキシベンゼンスルホネート(NOBS) 等の過酸形成活性剤から成る漂白剤系が含まれている。あるいは、漂白剤系には、例えばアミドタイプ、イミドタイプ、またはスルホンタイプのペルオキシ酸が含まれる。漂白剤系は、ペルヒドララーゼが、例えば国際公開番号WO 2005/056783に開示されたペルオキシドを活性化するような、酵素型漂白剤系であってもよい。
洗剤用組成物の酵素は、例えばプロピレングリコール等のポリオール、糖または糖アルコール、乳酸、ホウ酸、ホウ酸誘導体、例えば芳香族ボレートエステル、等の、公知の酵素安定剤を用いて安定化され、この洗剤用組成物は、例えば国際公開番号WO 92/19709及びWO 92/19708の開示内容に従い処方されている。
洗剤は、例えばクレイを含む衣料用コンディショナー、泡ブースター、泡抑制剤、防食剤、汚染物質懸濁財、再汚染防止剤、顔料、殺菌剤、香料等の公知の洗剤用原料を含んでいてもよい。(使用時の水溶液濃度における)pHは通常中性からアルカリであり、例えばpH約7.0から約11.0である。
α-アミラーゼ変異体は、従来の洗剤で用いられていた濃度で添加される。洗剤用組成物では、α-アミラーゼ変異体は、洗浄液1リットル中のα-アミラーゼ変異体の量が0.00001-1.0 mg(純粋な酵素蛋白の量で計算)に相当する量となるように添加される。α-アミラーゼ変異体を含む洗剤用組成物は、好ましくは以下のように処方することができる。
1) 洗剤用組成物は、嵩比重が少なくとも600 g/Lの顆粒として形成され、直鎖アルキルベンゼンスルホネート(酸として計算)を約7%から約12%;アルコールエトキシスルフェート(例えばC12-18アルコール, 1-2 エチレノキサイド (EO))またはアルキルスルフェート(例えばC16-18) を約1%から約4%;アルコールエトキシレート (例えばC14-15アルコール, 7 EO)を約5%から約9%;炭酸ナトリウム(例えばNa2CO3) を約14%から約20%;水溶性シリケート(例えばNa2O, 2SiO2)を約2から約6%;ゼオライト(例えばNaAlSiO4) を約15%から約22%;硫酸ナトリウム(例えばNa2SO4) を0%から約6%;クエン酸ナトリウム/クエン酸(例えばC6H5Na3O7/C6H8O7)を約0%から約15%;過ホウ酸ナトリウム(例えばNaBO3H2O)を約11%から約18%;TAEDを約2%から約6%;カルボキシメチルセルロース(CMC)を約0%から約2%;ポリマー(例えばマレイン酸/アクリル酸,コポリマー, PVP, PEG)を0-3%;酵素(純粋な酵素として計算)を0.0001-0.1% 蛋白;およびその他の原材料(例えば泡抑制剤、香料、増白剤、蛍光剤)を0-5%処方される。
2) 洗剤用組成物は、嵩比重が少なくとも600 g/Lの顆粒として形成され、直鎖アルキルベンゼンスルホネート(酸として計算)を約6%から約11%;アルコールエトキシスルフェート(例えばC12-18アルコール, 1-2 EO)またはアルキルスルフェート(例えばC16-18) を約1%から約3%;アルコールエトキシレート (例えばC14-15アルコール, 7 EO)を約5%から約9%;炭酸ナトリウム(例えばNa2CO3) を約15%から約21%;水溶性シリケート(例えばNa2O, 2SiO2)を約1から約4%;ゼオライト(例えばNaAlSiO4) を約24%から約34%;硫酸ナトリウム(例えばNa2SO4) を約4%から約10%;クエン酸ナトリウム/クエン酸(例えばC6H5Na3O7/C6H8O7)を0%から約15%;カルボキシメチルセルロース(CMC)を0%から約2%;ポリマー(例えばマレイン酸/アクリル酸コポリマー, PVP, PEG)を1-6%;酵素(純粋な酵素蛋白として計算)を0.0001-0.1%;およびその他の原材料(例えば泡抑制剤、香料)を0-5%処方される。
3) 洗剤用組成物は、嵩比重が少なくとも600 g/Lの顆粒として形成され、直鎖アルキルベンゼンスルホネート(酸として計算)を約6%から約11%;アルコールエトキシレート (例えばC12-15アルコール, 7 EO)を約7%から約14%;脂肪酸としての石鹸(例えばC16-22脂肪酸)を約1から約3%;炭酸ナトリウム(例えばNa2CO3) を約10%から約17%;水溶性シリケート(例えばNa2O, 2SiO2)を約3%から約9%;ゼオライト(NaAlSiO4として) を約23%から約33%;硫酸ナトリウム(例えばNa2SO4) を0%から約4%;過ホウ酸ナトリウム(例えばNaBO3H2O)を約8%から約16%;TAEDを約2%から約8%;ホスホネート(例えばEDTMPA)を0%から約1%;カルボキシメチルセルロース(CMC)を0%から約2%;ポリマー(例えばマレイン酸/アクリル酸コポリマー, PVP, PEG)を0-3%;酵素(純粋な酵素蛋白として計算)を0.0001-0.1%;およびその他の原材料(例えば泡抑制剤、香料、増白剤)を0-5%処方される。
4) 洗剤用組成物は、嵩比重が少なくとも600 g/Lの顆粒として形成され、直鎖アルキルベンゼンスルホネート(酸として計算)を約8%から約12%;アルコールエトキシレート (例えばC12-15アルコール, 7 EO)を約10%から約25%;炭酸ナトリウム(Na2CO3として) を約14%から約22%;水溶性シリケート(例えばNa2O, 2SiO2)を約1から約5%;ゼオライト(例えばNaAlSiO4) を約25%から約35%;硫酸ナトリウム(例えばNa2SO4) を0%から約10%;カルボキシメチルセルロース(CMC)を0%から約2%;ポリマー(例えばマレイン酸/アクリル酸コポリマー, PVP, PEG)を1-3%;酵素(純粋な酵素蛋白として計算)を0.0001-0.1%;およびその他の原材料(例えば泡抑制剤、香料)を0-5%処方される。
5) 洗剤用組成物は、直鎖アルキルベンゼンスルホネート(酸として計算)を約15%から約21%;アルコールエトキシレート (例えばC12-15アルコール, 7 EO、またはC12-15アルコール, 5 EO)を約12%から約18%;脂肪酸(例えばオレイン酸)として約3%から約13%の石鹸;アルキルコハク酸(C12-14)を0%から約13%;アミノエタノールを約8%から約18%;クエン酸を約2%から約8%;ホスホネートを0%から約3%;ポリマー(例えばPVP, PEG)を0%から約3%;ボレート(例えばB4O7) を0%から約2%;エタノールを0%から約3%;プロピレングリコールを約8%から約14%;酵素(純粋な酵素蛋白として計算)を0.0001-0.1%;およびその他の原材料(例えば分散剤、泡抑制剤、香料、増白剤)を0-5%含む。
6) 洗剤用組成物は、直鎖アルキルベンゼンスルホネート(酸として計算)を約15%から約21%;アルコールエトキシレート (例えばC12-15アルコール, 7 EO、またはC12-15アルコール, 5 EO)を3%から9%;脂肪酸(例えばオレイン酸)として約3%から約10%の石鹸;ゼオライト(例えばNaAlSiO4) を約14%から約22%;クエン酸カリウムを約9%から約18%;ボレート(例えばB4O7) を0%から約2%;カルボキシメチルセルロース(CMC)を0%から約2%;ポリマー(例えばPVP, PEG)を0%から約3%;アンカーリングポリマー(例えばラウリルメタクリレート/アクリル酸コポリマー;モル比25:1, MW 3800) を0%から約3%;グリセロールを0%から約5%;酵素(純粋な酵素蛋白として計算)を0.0001-0.1%;およびその他の原材料(例えば分散剤、泡抑制剤、香料、増白剤)を0-5%含む。
7) 洗剤用組成物は、嵩比重が少なくとも600 g/Lの顆粒として形成され、脂肪アルコールスルフェートを約5%から約10%;エトキシ化脂肪酸モノエタノールアミドを約3%から約9%;脂肪酸としての石鹸を0%から約3%;炭酸ナトリウム(例えばNa2CO3) を約5%から約10%;水溶性シリケート(例えばNa2O, 2SiO2)を約1から約4%;ゼオライト(例えばNaAlSiO4) を約20%から約40%;硫酸ナトリウム(例えばNa2SO4) を約2%から約8%;過ホウ酸ナトリウム(例えばNaBO3H2O)を約12%から約18%;TAEDを約2%から約7%;ポリマー(例えばマレイン酸/アクリル酸コポリマー, PEG)を約1%から約5%;酵素(純粋な酵素蛋白として計算)を0.0001-0.1%;およびその他の原材料(例えば増白剤、泡抑制剤、香料)を0-5%含む。
8) 洗剤用組成物は顆粒として形成され、直鎖アルキルベンゼンスルホネート(酸として計算)を約8%から約14%;エトキシ化脂肪酸モノエタノールアミドを約5%から約11%;脂肪酸としての石鹸を0%から約3%;炭酸ナトリウム(例えばNa2CO3) を約4%から約10%;水溶性シリケート(例えばNa2O, 2SiO2)を約1から約4%;ゼオライト(例えばNaAlSiO4) を約30%から約50%;硫酸ナトリウム(例えばNa2SO4) を約3%から約11%;クエン酸ナトリウム (例えばC6H5Na3O7)を約5%から約12%;ポリマー(例えばPVP,マレイン酸/アクリル酸コポリマー, PEG)を約1%から約5%;酵素(純粋な酵素蛋白として計算)を0.0001-0.1%;およびその他の原材料(例えば泡抑制剤、香料)を0-5%含む。
9) 洗剤用組成物は顆粒として形成され、直鎖アルキルベンゼンスルホネート(酸として計算)を約8%から約12%;非イオン性界面活性剤を約1%から約4%;脂肪酸としての石鹸を約2%から約6%;炭酸ナトリウム(例えばNa2CO3) を約14%から約22%;ゼオライト(例えばNaAlSiO4) を約18%から約32%;硫酸ナトリウム(例えばNa2SO4) を約5%から約20%;クエン酸ナトリウム (例えばC6H5Na3O7)を約3%から約8%;過ホウ酸ナトリウム(例えばNaBO3H2O)を約4%から約9%;漂白剤活性剤(例えばNOBSまたはTAED)を約1%から約5%;カルボキシメチルセルロース(CMC)を0%から約2%;ポリマー(例えばポリカルボキシレートまたはPEG)を約1%から約5%;酵素(純粋な酵素蛋白として計算)を0.0001-0.1%;およびその他の原材料(例えば増白剤、香料)を0-5%含む。
10) 水溶液洗剤用組成物は、直鎖アルキルベンゼンスルホネート(酸として計算)を約15%から約23%;アルコールエトキシスルフェート(例えばC12-15アルコール, 2-3 EO) を約8%から約15%;アルコールエトキシレート (例えばC12-15アルコール, 7 EO、またはC12-15アルコール, 5 EO)を約3%から約9%;脂肪酸としての石鹸を0%から約3%;アミノエタノールを約1%から約5%;クエン酸ナトリウムを約5%から約10%;ハイドロトロープ(hydrotrope) (例えばトルエンスルホン酸ナトリウム) を約2%から約6%;ボレート(例えばB4O7) を0%から約2%;カルボキシメチルセルロースを0%から約1%;エタノールを約1%から約3%;プロピレングリコールを約2%から約5%;酵素(純粋な酵素蛋白として計算)を0.0001-0.1%;およびその他の原材料(例えばポリマー、分散剤、香料、増白剤)を0-5%含む。
11) 水溶液洗剤用組成物は、直鎖アルキルベンゼンスルホネート(酸として計算)を約20%から約32%;アルコールエトキシレート (例えばC12-15アルコール, 7 EO、またはC12-15アルコール, 5 EO)を6-12%;アミノエタノールを約2%から約6%;クエン酸を約8%から約14%;ボレート(例えばB4O7) を約1%から約3%;ポリマー(例えばマレイン酸/アクリル酸コポリマー、例えばラウリルメタクリレート/アクリル酸コポリマーのようなアンカーリングポリマー) を0%から約3%;酵素(純粋な酵素蛋白として計算)を0.0001-0.1%;およびその他の原材料(例えばハイドロトロープ、分散剤、香料、増白剤)を0-5%含む。
12) 洗剤用組成物は、嵩比重が少なくとも600 g/Lの顆粒として形成され、アニオン性界面活性剤(直鎖アルキルベンゼンスルホネート、アルキルサルフェート、α−オレフィンスルホネート、α−スルホ脂肪酸メチルエステル、アルカンスルホネート、石鹸)を約25%から約40%;非イオン性界面活性剤(例えばアルコールエトキシレート)を約1%から約10%;炭酸ナトリウム(例えばNa2CO3) を約8%から約25%;水溶性シリケート(例えばNa2O, 2SiO2)を約5%から約15%;硫酸ナトリウム(例えばNa2SO4) を0%から約5%;ゼオライト(NaAlSiO4) を約15%から約28%;過ホウ酸ナトリウム(例えばNaBO3 4H2O)を0%から約20%;漂白剤活性剤(TAEDまたはNOBS)を約0%から約5%;酵素(純粋な酵素蛋白として計算)を0.0001-0.1%;およびその他の原材料(例えば香料、増白剤)を0-3%含む。
13) 1)-12)の洗剤用組成物は、直鎖アルキルベンゼンスルホネートの一部または全部を、C12-18のアルキルスルフェートで置き換えることができる。
14) 洗剤用組成物は、嵩比重が少なくとも600 g/Lの顆粒として形成され、(C12-C18)アルキルスルフェートを約9%から約15%;アルコールエトキシレートを約3%から約6%;ポリヒドロキシアルキル脂肪酸アミドを約1%から約5%;ゼオライト(例えばNaAlSiO4) を約10%から約20%;層状ジシリケート(例えばHoechst社のSK56) を約10%から約20%;炭酸ナトリウム(例えばNa2CO3) を約3%から約12%;水溶性シリケート(例えばNa2O, 2SiO2)を0%から約6%;クエン酸ナトリウムを約4%から約8%;過炭酸ナトリウムを約13%から約22%;TAEDを約3%から約8%;ポリマー(例えばポリカルボキシレート、及びPVP)を0%から約5%;酵素(純粋な酵素蛋白として計算)を0.0001-0.1%;およびその他の原材料(例えば増白剤、香料、泡抑制剤)を0-5%含む。
15) 洗剤用組成物は、嵩比重が少なくとも600 g/Lの顆粒として形成され、(C12-C18)アルキルスルフェートを約4%から約8%;アルコールエトキシレートを約11%から約15%;石鹸を約1%から約4%;ゼオライトMAPまたはゼオライトAを約35%から約45%;炭酸ナトリウム(Na2CO3として) 約2%から約8%;水溶性シリケート(例えばNa2O, 2SiO2)を0%から約4%;過炭酸ナトリウムを約13%から約22%;TAEDを1-8%;カルボキシメチルセルロース(CMC)を0%から約3%;ポリマー(例えばポリカルボキシレート、及びPVP)を0%から約3%;酵素(純粋な酵素蛋白として計算)を0.0001-0.1%;およびその他の原材料(例えば増白剤、ホスホネート、香料)を0-3%含む。
16) 1)-15)に記載した洗剤処方品は、追加の成分として、または上記の漂白剤系の置換物として、安定化、またはカプセル化された過酸を含むことができる。
17) 1), 3), 7), 9),及び12)に記載した洗剤処方品の過ホウ素酸塩を、過炭酸塩で置き換えることができる。
18) 1), 3), 7), 9), 12), 14),及び15) に記載した洗剤組成物は、さらにマンガン触媒を含むことができる。
19) 非水性の液状洗剤として処方された洗剤組成物は、例えば直鎖一級アルコールアルコキシレート等の非イオン性界面活性剤とビルダー系(例えばホスフェート)と、酵素と、アルカリとを含む。洗剤に、さらにアニオン性界面活性剤、および/または、漂白剤系が含まれていてもよい。
α-アミラーゼ変異体は、従来の洗剤で用いられていた濃度で添加される。洗剤用組成物では、α-アミラーゼ変異体は、洗浄液1リットル中のα-アミラーゼ変異体の量が0.00001-1.0 mg(純粋な酵素蛋白として計算)に相当する量となるように添加される。
別の側面では、2,6-β-D-フルクタンヒドロラーゼを洗剤組成物に添加し、家庭内および/または工業用布/洗濯物に存在するバイオフィルムの除去/清掃に用いることができる。
洗剤用組成物は、例えば手洗い用または洗濯機用洗剤組成物として処方し、または汚れた織物の前処理に適した洗濯用添加剤組成物を含み、または織物の柔軟仕上げ剤を含み、あるいは、家庭内の硬質表面清掃用洗剤組成物として処方し、あるいは手洗い用または食器洗浄機用の洗剤として処方することができる。
ある側面では、洗剤用組成物は、2,6-β-D-フルクタンヒドロラーゼ、1以上のα-アミラーゼ変異体、1以上の、プロテアーゼ、リパーゼ、クチナーゼ、カルボヒドラーゼ、セルラーゼ、ペクチナーゼ、マンナーゼ、アラビナーゼ、ガラクタナーゼ、キシラナーゼ、オキシダーゼ、ラッカーゼ、および/またはペルオキシダーゼ、および/またはこれらの組合せを含むことができる。
一般に、選択された酵素の性質は、選択された洗剤と適合しなければならず(例えば、最適pH、他の酵素性または非酵素性原材料との適合性)、有効量の酵素が存在しなければならない。
<プロテアーゼ>
好ましいプロテアーゼには、動物、植物または微生物由来のプロテアーゼが含まれる。プロテアーゼの例には、微生物由来のプロテアーゼが含まれる。化学的に修飾された変異体、遺伝子工学による変異体も含まれる。プロテアーゼは、セリンプロテアーゼ、メタロプロテアーゼ、アルカリ性微生物プロテアーゼ、またはトリプシン様プロテアーゼであってもよい。
アルカリ性プロテアーゼの例は、スブチリシン、特に、例えばバチラス・スブチリシンノボ(Bacillus subtilisin Novo)、バチラス・スブチリシンカールスバーグ(subtilisin Carlsberg)、バチラス・スブチリシン309、バチラス・スブチリシン147、バチラス・スブチリシン168(例えば国際公開番号WO 89/06279参照)等である。
トリプシン様プロテアーゼの例は、トリプシン(例えば豚または牛由来)、及びフサリウムプロテアーゼ(例えば国際公開番号WO 89/06270,WO 94/25583参照)である。有用なプロテアーゼの非限定的例には、国際公開番号WO 92/19729, WO 98/201 15, WO 98/201 16, 及びWO 98/34946に開示された変異体が含まれる。
市販のプロテアーゼ酵素の例にはAlcalaseTM, SavinaseTM, PrimaseTM, DuralaseTM, EsperaseTM,及びKannaseTM (Novo Nordisk A/S社); MaxataseTM, MaxacalTM, MaxapemTM, ProperaseTM, PurafectTM, Purafect OxPTM, FN2TM,及びFN3TM (Genencor International, Inc社)が含まれる。
<リパーゼ>
好ましいリパーゼには、バクテリアまたは細菌由来のリパーゼが含まれる。化学的に修飾された変異体、遺伝子工学による変異体も含まれる。
有用なリパーゼの非限定的例には、例えばフミコーラ・ラヌギノサ(lanuginosa)(サ−モマイセス・ラヌギノサ)由来(例えば、欧州特許番号EP 258068及びEP 305216参照)、フミコーラ・インソレンス(insolens)由来(例えば、国際公開番号WO 96/13580参照)、フミコーラ・由来、フミコーラ・由来、フミコーラ・由来等のフミコーラ(Humicola)(サ−モマイセス(Thermomyces)の異名)由来のリパーゼ;シュードモナス(Pseudomonas)リパーゼ(例えばシュードモナス・アルカリゲネス(alcaligenes)またはシュードモナス・シュードアルカリゲネス(pseudoalcaligenes)由来(例えば欧州特許番号EP 218 272参照)、シュードモナス・セパシア(cepacia)(例えば欧州特許番号EP 331 376参照)、シュードモナス・スタッツェリ(stutzeri)(例えば英国特許番号GB 1,372,034参照)、シュードモナス・フルオレセンス(fluorescens)、シュードモナス株SD 705(例えば国際公開番号WO 95/06720及びWO 96/27002参照)、シュードモナス・ウィスコンシネス(wisconsinensis)(例えば国際公開番号WO 96/12012参照);バチラスリパーゼ(例えばバチラス・スブチリス由来;例えばDartoisらのBiochemica et Biophysica Acta, 1 131 : 253-360頁 (1993年)参照)、バチラス・ステアロサーモフィルス(stearothermophilus)(例えば日本国特許番号JP 64/744992参照)、またはバチラス・プミルス(pumilus)(例えば国際公開番号WO 91/16422参照)が含まれる。
洗剤処方に用いることができるリパーゼ変異体の更なる例として、例えば国際公開番号WO 92/05249, WO 94/01541, WO 95/35381, WO 96/00292, WO 95/30744, WO 94/25578, WO 95/14783, WO 95/22615, WO 97/04079, WO 97/07202, 欧州特許番号EP 407225及びEP 260105に開示されたものが挙げられる。
市販のリパーゼ酵素の例にはLipolaseTM及びLipolaseTM Ultra (Novo Nordisk A/S社)が含まれる。
<ポリエステラーゼ>
好ましいポリエステラーゼには国際PCT出願番号WO 01/34899及び国際公開番号WO 01/14629に開示されたものが含まれるが、これらに限定されず、また本願に開示した他の酵素と組み合わせて用いることができる。
<アミラーゼ>
洗浄剤用組成物は、非産出性強化α-アミラーゼ等の、他のα-アミラーゼと組み合わせて用いることができる。このようなα-アミラーゼには、例えばDuramylTM, TermamylTM, FungamylTM 及びBANTM (Novo Nordisk A/S社), RapidaseTM,及びPurastarTM (Genencor International, Inc社) 等の市販のα-アミラーゼが含まれるが、これらに限定されない。
<セルラーゼ>
洗浄剤用組成物にセルラーゼを添加することができる。好ましいセルラーゼには、バクテリアまたは細菌由来のセルラーゼが含まれる。化学的に修飾された変異体、遺伝子工学による変異体も含まれる。好ましいセルラーゼには、バチラス属、シュードモナス属、フミコーラ属、フザリウム属、シエラビア族、アクレモニウム属由来のセルラーゼが含まれ、例えば米国特許番号4,435,307; 5,648,263; 5,691,178; 5,776,757、及び国際公開番号WO 89/09259に開示されたフミコーラ・インソレンス(Humicola insolens)、ミセリオフトラ・サーモフィリア(Myceliophthora thermophila)、フザリウム・オキシスポルムが含まれる。
本願で用いられるセルラーゼは、衣料に対しカラーケア(color care)特性を有するものが好ましい。このようなセルラーゼの例は、例えば欧州特許EP 0495257, EP 0531372、国際公開番号WO 96/11262, WO 96/29397, 及びWO 98/08940に開示されたセルラーゼである。他の例はセルラーゼ変異体であり、例えば国際公開番号WO 94/07998; WO 98/12307; WO 95/24471 ; PCT/DK98/00299; 欧州特許番号EP 531315;米国特許番号5,457,046; 5,686,593; 及び5,763,254に開示されたセルラーゼ変異体である。市販のセルラーゼには、CelluzymeTM及びCarezymeTM (Novo Nordisk A/S社); ClazinaseTM及びPuradaxTM HA (Genencor International, Inc社);及びKAC-500(B) TM (花王)がある。
<ペルオキシダーゼ/オキシダーゼ>
洗浄剤用組成物に用いることができるペルオキシダーゼ/オキシダーゼには、バクテリアまたは細菌由来のセルラーゼが含まれる。化学的に修飾された変異体、遺伝子工学による変異体も含まれる。好ましいペルオキシダーゼの例には、コプリヌス(Coprinus)属由来のペルオキシダーゼが含まれ、例えば国際公開番号WO 93/24618, WO 95/10602,及びWO 98/15257に開示されたコプリヌス・シネレウス(cinereus)及びその変異体由来のペルオキシダーゼが含まれる。市販のペルオキシダーゼには、例えばGuardzymeTM (Novo Nordisk A/S社)がある。
洗剤用酵素は、1以上の酵素を含む別々の添加剤を添加するか、または全ての酵素を含む添加剤を添加することによって、洗剤に含有させることができる。洗剤用添加剤、すなわち別々または一括の添加剤は、例えば顆粒状、液状、スラリー状等とすることができる。例えば、洗剤用添加剤を顆粒状、特に非粉塵飛散性顆粒、液状、特に安定化液状、またはスラリー状とすることができる。
非粉塵飛散性顆粒は、例えば米国特許番号4,106,991及び4,661,452の開示に従い調製することができ、所望により公知の方法でコーティングすることができる。ワックス状のコーティング材料の例として、平均分子量が1,000から20,000のポリエチレンオキサイド製品(例えばポリエチレングリコール, PEG);16から50のエチレンオキサイドユニットを有するエトキシ化ノニルフェノール;アルコールが炭素数12から20で、15から80のエチレンオキサイドユニットを有する、エトキシ化脂肪アルコール;脂肪アルコール;脂肪酸;脂肪酸のモノ−、ジ−及びトリグリセライドが挙げられる。流動床での使用に適したフィルムコーティング用材料の例は、例えば英国特許番号GB 1483591に開示されている。酵素調合液は、例えばプロピレングリコール等のポリオール、糖、糖アルコール、乳酸、ホウ酸を公知の方法で添加して安定化されている。その他の酵素安定剤も公知である。保護された酵素は、例えば欧州特許番号EP 238,216に開示された方法で調製することができる。
洗剤用組成物は、例えば棒状、錠剤状、粉末状、顆粒状、ペースト状または液状等の形態にすることができる。液状洗剤は水性であり、一般に最大約70%の水と、0%から約30%の有機溶媒が含まれる。ゲル状洗剤の場合、水の含有量が30%未満でもよい。洗剤用組成物は、非イオン性若しくは半極性、および/またはアニオン性、および/またはカチオン性、および/または両性イオン性の界面活性剤を、1以上含有する。界面活性剤は一般に、重量%で0.1%から60%含有される。
界面活性剤が用いられる場合、洗剤には約1%から約40%の、直鎖アルキルベンゼンスルホネート(LAS);α−オレフィンスルホネート;アルキルスルフェート (脂肪アルコールスルフェート);アルコールエトキシスルフェート;二級アルカンスルホネート(SAS);α−スルホ脂肪酸メチルエステル;アルキルまたはアルケニルコハク酸;石鹸等のアニオン性界面活性剤が含まれる。
界面活性剤が用いられる場合、洗剤には約0.2%から約40%の、アルコールエトキシレート、ノニルフェノールキシレート、アルキルポリグリコシド、アルキルジメチルアミンオキシド、エトキシ化脂肪酸モノエタノールアミド、脂肪酸モノエタノールアミド、またはポリヒドロキシアルキル脂肪酸アミド、またはグルコースアミンのN-アシル-N-アルキル誘導体(グルコアミド)等の非イオン性界面活性剤が含まれる。
洗剤には0%から約65%の、ゼオライト、ジホスフェート、トリホスフェート、ホスホネート、炭酸塩、クエン酸塩、ニトリロ三酢酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン四酢酸、アルキルまたはアルケニルコハク酸、水溶性シリケートまたは層状シリケート(例えばHoechst社のSKS-6)等の、ビルダーまたは複合化剤が含まれる。
洗剤には1以上のポリマーが含まれる。このようなポリマーの例として、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ(ビニルピリジン-N-オキサイド)、ポリ(ビニルイミダゾール)、ポリアクリレート、マレイン酸/アクリル酸コポリマー、ラウリルメタクリレート/アクリル酸コポリマー等の、ポリカルボキシレートが挙げられる。
洗剤には、ペルボレートまたはペルカーボネート等のH2O2源と、これらと組み合わされる過酸形成漂白活性剤(例えばテトラアセチルエチレンジアミン、またはノナノニルオキシベンゼンスルホネート)から成る、漂白剤系が含まれている。あるいは、漂白剤系には、ペルオキシ酸(例えばアミドタイプ、イミドタイプ、またはスルホンタイプ)が含まれる。漂白剤系は、酵素型漂白剤系であってもよい。
洗剤用組成物の酵素は、ポリオール(例えばプロピレングリコールまたはグリセロール)、糖または糖アルコール、乳酸、ホウ酸、ホウ酸誘導体(例えば芳香族ボレートエステル)、またはフェニルホウ酸誘導体(例えば4-フォルミルフェニルホウ酸)等の、公知の酵素安定剤を用いて安定化される。この洗剤用組成物は、例えば国際公開番号WO 92/19709及びWO 92/19708の開示内容に従い処方されている。
洗剤は、例えばクレイを含む衣料用コンディショナー、泡ブースター、泡抑制剤、防食剤、汚染物質懸濁財、再汚染防止剤、顔料、殺菌剤、増白剤、ハイドロトロープ、変色防止剤、香料等の公知の洗剤用原料を含んでいてもよい。
洗剤用組成物は、特に酵素変異体は、洗浄液1リットルにつき約0.01から約100 mgに相当する量の酵素蛋白が添加され、例えば洗浄液1リットルにつき約0.05から約5.0 mgに相当する量の酵素蛋白が添加され、特に洗浄液1リットルにつき約0.1から約1.0 mgに相当する量の酵素蛋白が添加される。
<5.3 洗剤用組成物の評価方法>
種々のα-アミラーゼ洗浄評価方法が存在する。洗浄評価方法の例には、以下のようなものが含まれる。
「見本片」とは、汚染物質を付着させた布等の材料の一片である。このような材料は、例えば木綿、ポリエステル、または天然繊維と合成繊維の混合物からなる布である。また、見本片は、ろ紙やニトロセルロース等の紙、またはセラミック、金属、ガラス等の硬質材料であってもよい。アミラーゼの場合、汚染物質は澱粉ベースであり、血液、ミルク、インク、青草汁、茶、ワイン、ほうれん草、ソース、チョコレートエッグ、チーズ、クレイ、絵の具、オイルまたはこれらの混合物をさらに含んでいてもよい。
「小見本片」は見本片の小片であり、一穴のパンチ、または標準的な96ウェルのマイクロタイタープレートに適合する穴のパターンを有する96穴の特製パンチで切り取られた小片、または他の方法で見本片から切り取られた小片である。見本片は、織物、紙、金属またはその他の適切な材料で作られる。小見本片を24-, 48- または96-ウェルのマイクロタイタープレートに入れる前、または後に、汚染物質を付着させる。
「小見本片」材料の小片に汚染物質を付着させて調整することもできる。小見本片は、直径5/8"以下、例えば小見本片は直径0.25"の汚染された織物の一片である。特製パンチは、96個の小見本片を同時に96-ウェルのプレートのウェルに入れられるよう設計されている。特製パンチにより、同じ96-ウェルのプレートに繰り返し小見本片を入れることにより、1つのウェルに1を超える小見本片を入れることができる。
多穴パンチは、24ウェル、48ウェル、96ウェルのプレート等の、所定の形状のプレートに、多数の小見本片を同時に供給することができる。
別の方法では、固形試験片は金属、プラスチック、ガラス、セラミック、その他の物質でできたビーズを、汚染物質でコーティングしたものである。酵素と適切な緩衝液が入れられた、24,48,96またはそれ以上のウェルを有するプレートに、1以上のコーティングされたビーズを入れる。この場合、直接吸着測定、または二次的発色反応により、放出された汚染物質について上清を分析する。放出された汚染物質の分析は、マススペクトル分析で行うこともできる。また小見本片をさらに別のマイクロスクリーニング分析することもできる。例えばインジゴで染色されたデニムをマルチウェルプレートに入れ、砂や、例えば6から8または9ゲージの粒子を含むガーネット等の大粒径の粒子を添加し、添加した粒子で見本片が擦られるように、プレートを振動させる。この評価方法は、例えばセルラーゼのストーンウォッシング用途において用いられている。酵素の効果は、反応緩衝液への色抜け(すなわち、放出インジゴをジメチルスルホキシドに溶解させ、A600 nmを測定)、または磨耗した見本片の反射率で評価する。
例えば、未処理のBMI(血液/ミルク/インク)見本片を、漂白剤を含まない洗剤で洗ったとき、プロテアーゼが無くても大部分のインクは洗い落とされる。プロテアーゼを添加すると、洗い落とされるインクの量はわずかに増えるが、元の量に対する量を定量することは困難である。この発明によれば、汚染物質の固定化の程度を制御することができる処理方法が提供される。この結果、例えば評価しようとする酵素が存在しない状態で洗浄したとき、異なる量の汚染物質が洗い落とされる見本片を調製することが可能になる。
固定化見本片を用いれば、洗浄性評価におけるシグナルに対するノイズ比を劇的に改良することができる。さらに、固定化の程度を変化させることにより、様々な洗浄条件下において、最適な結果を与える汚染物質を調整することができる。
様々な物質上に既知の「強度」の汚染物質を付した見本片が市販されており(EMPA社, St. Gallen,スイス; wfk--Testgewebe GmbH社, Krefeldドイツ; またはCenter for Test Materials社, Vlaardingen,オランダ)、および/または、実験者が調製することができる(Morris and Pratoら, Textile Research Journal 52(4): 280 286 (1982年))。
見本片の例として、木綿を含む織物上の血液/ミルク/インク (BMI)汚染物質、木綿を含む織物上のホウレン草汚染物質、木綿を含む織物上の青草汁汚染物質、木綿を含む織物上のチョコレート/ミルク/煤汚染物質が挙げられる。
一側面では、BMI汚染物質は木綿上に0.0003%から0.3%の過酸化水素により固定される。別の組合せには、青草汁またはホウレン草汚染物質と0.001%から1%のグルタールアルデヒド、ゼラチンとクマシー(Coomassie) 汚染物質と0.001%から1%のグルタールアルデヒド、またはチョコレート、ミルクと煤汚染物質と0.001%から1%のグルタールアルデヒドが含まれる。
試験中に、見本片を酵素および/または洗剤組成物とともに撹拌することもできる。洗浄性能データは、ウェル中、特に96ウェルプレート中での、見本片の方向に依存する(水平対垂直)。これは、試験中に混合が不十分であったことを示している。試験中に十分な撹拌を行う方法は多々あるが、ミクロタイタープレートを2枚のアルミニウム製プレートの間に挟むプレートホルダーを作ることができる。これは、例えば、接着性プレートシーラーを取り付け、次に2枚のアルミニウム製プレートの間に96ウェルプレートを市販のクランプで容易に挟むことができる。次に、市販の培養用シェーカーに取り付ける。シェーカーを約400 rpmに設定することにより十分撹拌され、漏れやクロスコンタミネーションはホルダーによって確実に防止される。
トリニトロベンゼンスルホン酸(TNBS)を用いて、洗浄液中のアミノ基を定量することができる。これにより、見本片から除去された蛋白の量を測定することができる(例えばCayot, Tainturierらの Anal. Biochem. 249: 184 0200 (1997年)参照)。しかし、洗剤または酵素のサンプルが異常に小さい蛋白フラグメントを形成する場合には(例えば、サンプル中にぺプチダーゼが存在する場合)、より大きなTNBSシグナルが得られ、すなわち、「ノイズ」が高くなる。
血液/ミルク/インク汚染物質について洗浄能力を測定する別の方法は、インク放出量を基準とする方法である。見本片上の蛋白の蛋白分解により、インク粒子が放出され、このインク粒子の量を、洗浄液の吸光度を測定して定量することができる。吸光度は、350から800 nmの間の任意の波長で測定することができる。別の側面では、測定波長は410 nmまたは620 nmである。
また、洗浄液を分析して、青草汁、ホウレン草、ゼラチン、クマシー(Coomassie)を含む汚染物質についての洗浄性能を評価することもできる。これらの汚染物質の測定波長の例は、青草汁とホウレン草の場合は670 nm、ゼラチンとクマシーの場合は620 nmである。例えば洗浄液の一部(一般に96-マイクロプレートから例えば100-150 μL)を採取し、キュベットまたはマルチウェルマイクロプレートに入れる。これを光学分析計に入れ、所定の波長の吸光度を読み取る。
この方法は、例えば布、プラスチック、セラミック上の血液/ミルク/インク汚染物質を用いて、食器洗い用の酵素および/または洗剤組成物の評価にも使用することもできる。
一側面では、BMI汚染物質の木綿上への固定は、BMI/木綿見本片を0.3%の過酸化水素に25℃において30分間浸漬するか、BMI/木綿見本片を0.03%の過酸化水素に60℃において30分間浸漬することにより行うことができる。約0.25"の見本片小片を、BMI/木綿見本片から切り取り、96-ウェルマイクロタイタープレートの各ウェルに入れる。各ウェルに、既知の洗剤組成物と変異体蛋白等の酵素の混合物を入れる。マイクロタイタープレートの上に接着性プレートシーラーを取り付けた後、マイクロタイタープレートをアルミ製プレートに挟み込み、約250 rpmのシェーカーを用いて約10から60分間撹拌する。その後、上清を別のマイクロタイタープレートのウェルに移し、620 nmにおけるインクの吸光度を測定する。
この方法により、木綿に固定されたホウレン草汚染物質または青草汁汚染物質の試験を行うことができる。ここで、ホウレン草/木綿または青草汁/木綿見本片は、0.01%グルタールアルデヒドを用い、25℃、30分間の条件で汚染物質を木綿に固定して調製される。チョコレート、ミルク、および/または煤汚染物質についても同様である。血液/ミルク/インクを評価した別の応用例及び条件は、米国特許番号7,122,334 (Genencor International, Inc社)に記載されている。
<5.4 布ディサイジング用組成物とその使用>
本願はまた、1以上の酵素変異体を用いた織物の処理方法(例えば布のディサイジング)に関する。酵素変異体をいかなる織物処理方法においても用いることができることは公知であり、例えば米国特許番号6,077,316が参照される。例えば、一側面では、溶液中で酵素変異体を織物と接触させることにより、織物の手触りと外観を改良することができる。例えば、一側面では、織物は加圧下の溶液中で処理される。
一側面では、酵素は布を織っているとき、または織った後に用いられ、またはディサイジング中に用いられ、または、1以上の別の織物加工工程において用いられる。布を織っているとき、糸には大きな機械的応力が加えられる。自動織機で織る前に、縦糸の引張強度を増加させて切断を防ぐため、縦糸にはサイジング用澱粉または澱粉誘導体が塗布される。酵素は、サイジング用澱粉または澱粉誘導体を除去するために用いられる。布が織られた後、織物はディサイジング工程に送られる。この後、1以上の別の織物加工工程を行うこともできる。ディサイジングとは、布からサイズ剤を除去する工程である。織り工程の後、織物を均一で洗濯に耐えるようにするため、織物をさらに加工する前にサイズ剤を除去しておく必要がある。
また本願では、酵素変異体の作用によりサイズ剤を加水分解することから成るディサイジング方法が提供される。
酵素変異体は単独、または他のディサイジング剤、および/または織物をディサイジングするための酵素と組み合わせて、洗剤の添加剤として、すなわち水性組成物として、木綿を含む織物等の、織物のディサイジングに用いられる。酵素変異体は、ストーンウォッシュ状外観のインジゴで染色されたデニム織物及び衣料を製造するための組成物及び方法にも用いられる。衣服を製造する場合、織物は切断され縫製されて衣服または衣料にされ、その後仕上げが行われる。特に、デニムジーンズの製造の場合、異なる酵素による仕上げ方法が開発された。通常、デニム衣料の仕上げは酵素によるディサイジング工程から始まり、この間、衣料は、織物の柔軟性を増し、木綿を次の酵素仕上げ工程に適応し易くするために、澱粉分解酵素により処理される。酵素変異体は、デニム衣料の仕上げ方法(例えば「バイオストーンプロセス」)、酵素ディサイジング、織物への柔軟性付与、および/または、仕上げ工程において用いることができる。
<5.5 澱粉加工用組成物及びその使用>
別の側面では、本願のα-アミラーゼ変異体を澱粉液化または糖化に用いることができる。
一側面は、澱粉から甘味料を生産するための組成物と、この組成物の使用に関する。澱粉をフルクトースシロップに転換する「伝統的」プロセスは、3つの連続したプロセスから成る。すなわち、液化プロセスと、これに次ぐ糖化プロセスと、異性化プロセスである。液化プロセスの間、澱粉はα-アミラーゼ変異体によってデキストリンに分解され、このときの条件は、pH約5.5から約6.2、温度約95℃から約160℃、反応時間約2時間である。この条件下での酵素の安定性を確保するため、1ミリモルのカルシウムが添加される(遊離カルシウムイオン40ppm)。澱粉加工はアルコールの生産 (例えば、燃料、飲用、アルコール醸造のための穀物液化)、甘味料の生産、サトウキビの加工、その他の食品に関連した澱粉加工に有用である。異なるα-アミラーゼ変異体には、別のの条件が用いられる。
液化プロセスの後、デキストリンは、グルコアミラーゼ(例えばAMGTM)、及びイソアミラーゼまたはプルラナーゼ(e.g., PromozymeTM)等の脱分岐酵素の添加により、デキストローズに転換される。プルラナーゼの例は、バチラス・リケニホルミスで培養され、BML 780(Δamy遺伝子;バチラス・デラミフィカンス(deramificans)由来のcatRマーカーによりcatローカスにおいて増幅可能なPU遺伝子;Δ spo II AC; Δ apr L;及びΔ endo-glu C、プルラナーゼの加水分解を防ぐために削除された2つの遺伝子)に由来するプルラナーゼ株139である。
この工程の前に、温度を高温(約95℃)に保ちながら、pHを約4.5未満に下げ、液化α-アミラーゼ変異体の活性を変性させる。温度を60℃に下げ、グルコアミラーゼと脱分岐酵素を添加する。糖化プロセスは一般に約24から約72時間行われる。
糖化プロセスの後、pHを約6.0から約8.0の範囲(例えばpH7.5)に上げ、カルシウムをイオン交換により除去する。次に、デキストローズシロップを、例えば固定化したグルコースイソメラーゼ(例えばSweetzymeTM)により高濃度フルクトースシロップに転換する。
このプロセスの酵素の改良が実現される。液化α-アミラーゼ変異体のカルシウム濃度依存性の低減である。α-アミラーゼ変異体の安定性を確保するために遊離カルシウムを添加する必要がある。しかし、遊離カルシウムは、グルコースイソメラーゼの活性を著しく阻害するため、高価な単位操作によって遊離カルシウムを、濃度が3-5 ppm未満になるまで除去しなければならない。このような操作が不要になればコストが低減され、遊離カルシウムを添加せずに液化プロセスを行なうことができる。
例えば、低遊離カルシウム濃度(<40 ppm)において安定で高活性を示す、カルシウム依存性の低いα-アミラーゼ変異体は、組成物及び様々な方法に用いることができる。このようなα-アミラーゼ変異体の最適pHは、pH約4.5から約6.5の範囲(例えば約4.5から約5.5の範囲)である。このようなα-アミラーゼ変異体は、種々の目的のために、実験室及び工業的に澱粉またはマルトデキストリン含有化物の加水分解に用いることができる。このようなα-アミラーゼ変異体は、単独で所定の加水分解を行なうために用いられ、あるいは、他のアミラーゼと組合せ、広い範囲で活性を示す「カクテル」として用いられる。使用例として、澱粉の除去、あるいは、澱粉、生物由来マルトデキストリン含有化物、食品、飼料、医薬品、または工業用サンプルの一部または全部の加水分解が挙げられる。
使用例の1つは、酵素変異体の存在下で澱粉基質を液化、および/または、糖化により、酵母等の発酵有機体による発酵製品への転換に適したグルコースおよび/またはマルトースを生産する発酵プロセスである。
このような発酵プロセスには、飲料(飲用アルコール)または燃料用エタノールの生産プロセス、飲料の生産プロセス、所望の有機化合物(クエン酸、イタコン酸、乳酸、 グルコン酸、グルコン酸ナトリウム、グルコン酸カルシウム、グルコン酸カリウム、グルコノデルタラクトン、エリソルビン酸ナトリウム等)、ケトン、アミノ酸(グルタミン酸、グルタミン酸ナトリウム等)、さらにより複雑な化合物(例えばペニシリン、テトラサイクリン等の抗生物質)、酵素、ビタミン(例えばリボフラビン、ビタミンB 12、β-カロチン)、及び合成が困難なホルモンを生産するプロセスが含まれる。
加工される澱粉は高度に精製された澱粉であり、例えば純度が少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、または少なくとも99.5%である。あるいは、澱粉は、胚芽や食物繊維等の非澱粉成分を含む、製粉された全粒穀物からなる未精製澱粉である。全粒穀物等の原料は、粉砕してさらに加工し易くするために、製粉される。製粉は、湿式または乾式製粉の2種の方法により行なわれる。引き割りトウモロコシ、または製粉された引き割りトウモロコシを用いることもできる。
乾式製粉された穀物は、澱粉のほかに、大量の非澱粉炭水化物を含有する。このような不均一な原料をジェットクッキングすると、一部だけがゼラチン化した澱粉が得られる。本願の酵素変異体は、ゼラチン化していない澱粉に対して高い活性を示すので、この酵素変異体を乾式製粉された穀物の液化、および/または、糖化プロセスに用いることができる。
さらに、本願の酵素変異体の有する優れた加水分解活性により、糖化工程でグルコアミラーゼはほとんど必要なくなる。これにより、糖化を低グルコアミラーゼ活性で行なうことが可能になり、ここで、グルコアミラーゼ活性は存在しないか、存在する場合は、澱粉基質に対し0.5 AGU/g DS (乾燥固体(DS)1グラム当たりのGUの活性)以下、0.4 AGU/g DS以下、約0.3 AGU/g DS以下、0.1 AGU以下、約0.05 AGU/g DS以下で存在する。
mg酵素蛋白で表わしたとき、グルコアミラーゼ活性を有する酵素は、存在しないか、存在する場合は、澱粉基質に対し約0.5 mg EP/g DS (乾燥固体1グラム当りの酵素蛋白)以下、約0.4 mg EP/g DS以下、約0.3 mg EP/g DS以下、約0.1 mg EP/g DS以下、約0.05 mg EP/g DS以下、または0.02 mg EP/g DS以下存在する。
グルコアミラーゼは、アスペルギルス(Aspergillus)属、タラロマイセス(Talaromyces) 属、パチキトスポラ(Pachykytospora) 属、トラメテス(Trametes)属中の菌株に由来し、具体例として、アスペルギルス・ニガー(niger)、タラロマイセス・エメロソニ(emersonii)、トラメテス・シングラタ(cingulata)、またはパチキトスポラ・パピラセア(papyracea)が挙げられる。
mg酵素蛋白で表わしたとき、酵素変異体は澱粉基質に対し0.5 mg EP/g DS以下、0.4 mg EP/g DS以下、0.3 mg EP/g DS以下、0.1 mg EP/g DS以下、0.05 mg EP/g DS以下、0.02 mg EP/g DS以下添加される。一側面では、酵素変異体は、澱粉に対し0.05から10.0 AFAU/g DS、0.1から5.0 AFAU/g DS、0.25から2.5 AFAU/g DS添加される。
加工プロセスは、
a)澱粉基質と、α-アミラーゼ活性を有する触媒成分、及び例えば第一の側面のポリペプチド等の炭水化物バインディング成分から成る酵素変異体とを接触させる工程;
b) 前記澱粉基質と前記酵素変異体を、前記澱粉基質から発酵性糖に転換される率が少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5% w/wとなる時間と温度でインキュベートする工程と;
c)発酵させて発酵性製品を生産する工程と;
d)任意に発酵性製品を回収する工程と;を含む。
工程b)および/またはc)では、 グルコアミラーゼ活性を有する酵素は、存在しないか、前記澱粉基質に対し0.001から2.0 AGU/g DS、0.01から1.5 AGU/g DS、0.05から1.0 AGU/g DS、0.01から0.5 AGU/g DS存在する。
グルコアミラーゼ活性を有する酵素は、存在しないか、澱粉基質に対し0.5 AGU/g DS以下、0.4 AGU/g DS以下、0.3 AGU/g DS以下、0.1 AGU/g DS以下、0.05 AGU/g DS以下存在する。
mg酵素蛋白で表わしたとき、グルコアミラーゼ活性を有する酵素は、存在しないか、澱粉基質に対し0.5 mg EP/g DS以下、0.4 mg EP/g DS以下、0.3 mg EP/g DS以下、0.1 mg EP/g DS以下、0.05 mg EP/g DS以下、0.02 mg EP/g DS以下存在する。
工程a), b), c),および/またはd)は、別々に、または同時に行なわれる。
別の側面では、加工工程は、
a)澱粉基質と、α-アミラーゼ活性を有する触媒成分、及び例えば第一および/または第二の側面のポリペプチド等の炭水化物バインディング成分から成り、酵素変異体を発現するように転換された酵母細胞とを接触させる工程と;
b)前記澱粉基質と前記酵母を、前記澱粉基質から発酵性糖へ少なくとも90% w/w転換することができる時間と温度でインキュベートする工程と;
c)発酵させてエタノールを生産する工程と;
d)任意にエタノールを回収する工程と;を含む。
工程a), b), 及び c)は別々に、または同時に行なわれる。
また別の側面では、ゼラチン化された澱粉または粒状澱粉から成るスラリーを加水分解する工程を含み、特に、前記粒状澱粉の当初ゼラチン化温度より低い温度で粒状澱粉を溶解性澱粉加水分解物に加水分解する工程を含む。
澱粉基質と、α-アミラーゼ活性を有する触媒成分、及び例えば第一の側面のポリペプチド等の炭水化物バインディング成分から成るポリペプチドとを接触させる工程に加え、さらに澱粉基質を、菌α-アミラーゼ(EC 3.2.1.1)、及びβ-アミラーゼ(EC 3.2.1.2)、グルコアミラーゼ(EC 3.2.1.3)の1以上から成る群から選択される酵素と接触させる。
ひとつの実施形態では、例えばイソアミラーゼ(EC 3.2.1.68)、またはプルルナラナーゼ(EC 3.2.1.41)等の、さらに別の澱粉分解酵素、または脱分岐酵素が、α-アミラーゼ変異体に添加される。
ひとつの実施形態では、加工プロセスは、当初のゼラチン化温度より低い温度で行なわれる。この加工プロセスは、少なくとも30℃、少なくとも31℃、少なくとも32℃、少なくとも33℃、少なくとも34℃、少なくとも35℃、少なくとも36℃、少なくとも37℃、少なくとも38℃、少なくとも39℃、少なくとも40℃、少なくとも41℃、少なくとも42℃、少なくとも43℃、少なくとも44℃、少なくとも45℃、少なくとも46℃、少なくとも47℃、少なくとも48℃、少なくとも49℃、少なくとも50℃、少なくとも51℃、少なくとも52℃、少なくとも53℃、少なくとも54℃、少なくとも55℃、少なくとも56℃、少なくとも57℃、少なくとも58℃、少なくとも59℃、少なくとも60℃で行なわれる。
この加工プロセスは、pHが約3.0から約7.0の範囲、または約3.5から約6.0の範囲、または約4.0から約5.0の範囲で行なわれる。
一側面では、この加工プロセスには、例えばエタノールを生産する酵母で、例えば温度約32℃、例えば30から35℃で発酵を行なう工程が含まれる。
別の側面では、この加工プロセスには、例えばエタノールを生産する酵母、または他の所望の有機化合物を生産する有機体によって、温度30から35℃、例えば32℃で、糖化と発酵を同時に行なう工程が含まれる。
上記の発酵工程では、エタノール含有量は、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、少なくとも約10%、少なくとも約11%、少なくとも約12%、少なくとも約13%、少なくとも約14%、少なくとも約15%、少なくとも約16%に達する。
上記の各側面で用いられる澱粉スラリーは、固形粒状澱粉を約20%から約55%、または約25%から約40%、または約30%から約35%有する。酵素変異体と接触後、酵素変異体は、澱粉溶液を粒状澱粉の可溶性加水分解物に、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%転換する。
別の実施形態では、α-アミラーゼ活性を有する触媒成分、及び例えば第一の側面のポリペプチド等の炭水化物バインディング成分から成るポリペプチドから成る酵素変異体は、例えばジェットクッキンギによるゼラチン化等によりゼラチン化された澱粉を、液化、糖化するプロセスに用いられる。このようなプロセスは、例えばエタノール等の発酵製品を生産する発酵工程を有する。
このような、発酵によって澱粉を含む材料からエタノールを生産するプロセスは、
(i)前記澱粉を含む材料を、α-アミラーゼ活性を有する触媒成分と、例えば第一の側面のポリペプチド等の炭水化物バインディング成分とから成るポリペプチドで液化する工程と;
(ii)得られた液状マッシュ(mash)を糖化する工程と;
(iii) 工程(ii)で得られた物質を、発酵用有機体で発酵させる工程と;を備える。
任意に、加工プロセスにはエタノールを回収する工程が含まれる。糖化及び発酵プロセスは、同時糖化・発酵プロセス(SSFプロセス)で行なうことができる。発酵工程では、エタノール濃度は少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、少なくとも約10%、少なくとも約11%、少なくとも約12%、少なくとも約13%、少なくとも約14%、少なくとも約15%、少なくとも約16%に達する。
上記の側面のプロセスで加工される澱粉は、塊茎、根茎、葉柄、マメ科植物、穀物、または全粒粉から得られたものである。特に、粒状澱粉は、トウモロコシ、トウモロコシの穂軸、小麦、大麦、ライ麦、マイロ、サゴ、キャッサバ、タピオカ、ソルガム、米、エンドウ豆、豆、バナナ、または芋から得られたものである。特に、ワックスタイプまたは非ワックスタイプのトウモロコシ及び大麦から得られたものが好ましい。
上記の組成物は、ゼラチン化された澱粉、粒状澱粉、及び、一部ゼラチン化された澱粉の液化および/または糖化に用いることができる。一部ゼラチン化された澱粉は、ある程度ゼラチン化されている。すなわち、澱粉の一部が不可逆的に膨潤してゼラチン化し、一部が粒状のままで存在している澱粉である。
上記の組成物は、酸性α-アミラーゼ変異体を含み、その含有量は0.01から10.0 AFAU/g DS、または0.1から5.0 AFAU/g DS、または0.5から3.0 AFAU/AGU、または0.3から2.0 AFAU/g DSである。この組成物は、上記のいずれの澱粉加工プロセスにも持ちいることができる。
本願で言う「液化」または「液化する」とは、澱粉を短鎖で粘度の低いデキストリンに転換する工程をさす。一般的にはこの工程には、α-アミラーゼ変異体の添加と同時またはそれに先行する澱粉のゼラチン化を含む。任意に、酵素によって更に液化を行なうこともできる。
本願で言う「一次液化」とは、スラリーの温度が、そのゼラチン化温度またはそれに近い温度まで昇温された場合の液化工程を意味する。この昇温に続き、スラリーは華氏200-300度(93.3℃-148.9℃)、例えば華氏220-235度(104.4℃-112.8℃)の熱交換器またはジェットに送られる。熱交換器またはジェットの温度に曝された後、スラリーはその温度に3-10分間保持される。このスラリーを華氏200-300度(93.3℃-148.9℃)に保持する工程が一次液化である。
本願で言う「二次液化」とは、一次液化(華氏200-300度(93.3℃-148.9℃)に加熱)に次いで、スラリーが外気温度まで冷却される液化工程である。この冷却工程は、30分間から180分間(3時間)、例えば90分間から120分間(2時間)である。
本願で言う「二次液化時間」とは、二次液化を開始してからの経過時間であり、DEが測定される時間である。
別の側面では、α-アミラーゼ変異体を含む組成物においてさらにβ-アミラーゼを用いることに関し、β-アミラーゼ(EC 3.2.1.2)はエクソ活性型マルトジェニックアミラーゼであり、アミロース、アミロペクチン、及び関連するグルコースポリマーの1,4-α-グルコシド結合の加水分解の触媒となり、マルトースを放出する。
β-アミラーゼは、種々の植物及び微生物から分離されてきた(W. M. Fogarty とC. T. Kelly, PROGRESS IN INDUSTRIAL MICROBIOLOGY, 15巻, 112-115頁, 1979年)。これらのβ-アミラーゼは、最適温度範囲が40℃から65℃で、最適pH範囲が約4.5から約7.0であることで特徴付けられる。本願で用いられるβ-アミラーゼの非限定的例示として、大麦由来のβ-アミラーゼのSpezymeTM BBA 1500, SpezymeTM DBA, OptimaltTM ME, OptimaltTM BBA (Genencor International, Inc社);及びNovozymTM WBA (Novozymes AJS社)が挙げられる。
本願の組成物に使用される他の酵素は、グルコアミラーゼ(EC 3.2.1.3)である。グルコアミラーゼは、微生物または植物由来である。グルコアミラーゼの例は、菌類またはバクテリア由来のものである。バクテリア由来のグルコアミラーゼの例は、アスペルギルスグルコアミラーゼ、特にアスペルギルス・ニガー(niger) GlまたはG2グルコアミラーゼ(Boelら、(1984年), EMBO J. 3(5): 1097-1102頁)、またはその変異体であり、例えば国際公開番号WO 92/00381及びWO 00/04136に開示されたもの;アスペルギルス・アワモリ(awamori) グルコアミラーゼ(国際公開番号WO 84/02921)、アスペルギルス・オリザエ(oryzae) (Agric. Biol. Chem. (1991年), 55(4): 941-949頁)、またはその変異体、またはその断片である。
他のアスペルギルスグルコアミラーゼ変異体には、熱安定性を強化した変異体が含まれる:G137A及びG139A (Chenら、(1996年), Prot. Eng. 9: 499-505頁); D257E及びD293E/Q (Chenら、(1995年), Prot. Eng. 8: 575-582頁); N182 (Chenら、(1994年), Biochem. J. 301 : 275-281頁); ジスルフィド結合, A246C (Fierobeら、(1996年), Biochemistry, 35: 8698-8704頁); 及びA435及びS436位置へのPro残基の導入 (Li ら(1997年) Protein Eng. 10: 1 199-1204頁)。
他のグルコアミラーゼには、タラロミセス(Talaromyces)グルコアミラーゼ、特にタラロミセス・エマーソニー(emersonii)(国際公開番号WO 99/28448)に由来するもの、タラロミセス・レイセタヌス(leycettanus) (米国特許番号RE 32,153)、タラロミセス・デュポンティ(duponti)、タラロミセス・サーモフィリクス(thermophilics)(米国特許番号4,587,215)が含まれる。
バクテリア性グルコアミラーゼには、クロストリジウム(Clostridium)属由来のグルコアミラーゼ、特にクロストリジウム・サーモアミロリティカム(thermoamylolyticum) (欧州特許番号EP 135138)、及びクロストリジウム・サーモヒドロスルフリカム(thermohydrosulfuricum)(国際公開番号WO 86/01831)が含まれる。
グルコアミラーゼの例には、アスペルギルス・オリザエ由来のグルコアミラーゼが含まれ、例えば、国際公開番号WO 00/04136の配列番号 2に示されたアミノ酸配列と、50%, 55%, 60%, 65%, 70%, 75%, 80%, 85%,または90%の相同性を有するグルコアミラーゼである。また、市販のAMG 200L; AMG 300 L; SANTM SUPER and AMGTM E (Novozymes社); OPTIDEXTM 300 (Genencor International, Inc社); AMIGASETM 及び AMIGASETM PLUS (DSM社); G-ZYMETM G900 (Enzyme Bio-Systems社); G-ZYMETM G990 ZR (低プロテアーゼ含有量のアスペルギルス・ニガー・グルコアミラーゼ)等のグルコアミラーゼでもよい。
グルコアミラーゼの添加量は0.02-2.0 AGU/g DS、例えば0.1-1.0 AGU/g DS、または0.2 AGU/g DSである。
組成物には、また別の酵素変異体が含まれていてもよい。2以上のα-アミラーゼ変異体を単独、または本願に開示した他の酵素と組み合わせて用いることができる。例えば、第3の酵素が他のα-アミラーゼ(例えば酵母α-アミラーゼ)、または他のα-アミラーゼ変異体であってもよい。これらはバチラスα-アミラーゼでも、非バチラスα-アミラーゼでもよい。
他の任意に添加可能な酵素は、イソアミラーゼ(EC 3.2.1.68)またはプルルラナーゼ(EC 3.2.1.41)等の脱分岐酵素である。イソアミラーゼは、アミロペクチン中のα-l,6-D-グルコシド分岐結合とβ-リミットデキストリンを加水分解する。イソアミラーゼは、プルランを攻撃できない点、及びα-リミットデキストリンに対する作用に限界がある点で、プルルラナーゼと異なる。脱分岐酵素は、当業者に公知の有効量を添加して用いられる。
本願のプロセスによる製品の組成は、用いられる酵素及び加工しようとする粒状澱粉のタイプの組合せ方に依存する。水溶性の加水分解物は、純度が少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95.0%、少なくとも約95.5%、少なくとも約96.0%、少なくとも約96.5%、少なくとも約97.0%、少なくとも約97.5%、少なくとも約98.0%、少なくとも約98.5、少なくとも約99.0%、少なくとも約99.5%のマルトースであってもよい。
また水溶性の加水分解物は、グルコース、またはDX (溶解された全乾燥固体成分のグルコースパーセント)が少なくとも94.5%、少なくとも95.0%、少なくとも95.5%、少なくとも96.0%、少なくとも96.5%、少なくとも97.0%、少なくとも97.5%、少なくとも98.0%、少なくとも98.5、少なくとも99.0%、または少なくとも99.5%の澱粉加水分解物であってもよい。
しかし、得られる製品が、アイスクリーム、ケーキ、キャンディー、果物の缶詰の製造に使用するための、グルコース、マルトース、DP3、及びDPn等の混合物を含むスペシャリティシロップであるプロセスにおいても、同様に実施することができる。
湿式製粉と乾式製粉の、2種類の製粉プロセスを用いることができる。乾式製粉では、全穀粒が製粉され、使用される。湿式製粉は、胚芽と粗びき粉(澱粉粒と蛋白)の分離が良好であり、少数の例外はあるが、澱粉加水分解物をシロップの生産に用いる現場で行なうことができる。湿式製粉と乾式製粉のいずれも澱粉加工の分野において周知であり、本願の組成物と方法に用いることができる。
このプロセスは、限外濾過系で実施することができ、酵素、原料澱粉、及び水が存在する循環流の下で、膜非透過物は保持され、膜透過物は水溶性の澱粉加水分解物である。また、このプロセスは、限外濾過膜を有する連続膜型反応器で実施することができ、酵素、原料澱粉、及び水が存在する循環流の下で、膜非透過物は保持され、膜透過物は水溶性の澱粉加水分解物である。また、このプロセスは、精密濾過膜を有する連続膜型反応器で実施することができ、酵素、原料澱粉、及び水が存在する循環流の下で、膜非透過物は保持され、膜透過物は水溶性の澱粉加水分解物である。
一面では、このプロセスで得られる水溶性の澱粉加水分解物は、高フルクトースコーンシロップ(HFCS)等の、高フルクトース澱粉ベースシロップ(HFSS)に転換される。この転換は、グルコースイソメラーゼにより行なうことができ、またこの酵素を固体担体に不動化して行なうことができる。イソメラーゼには、SweetzymeTM, IT (Novozymes AJS社); G-zymeTM IMGI, 及び G-zymeTM G993, KetomaxTM, G-zymeTM G993, G- zymeTM G993 liquid, 及び GenSweetTM IGI等の市販品を用いることができる。
別の側面では、得られた水溶性の澱粉加水分解物を用いて、燃料用または飲用アルコールを生産することができる。第3の側面のプロセスでは、発酵は粒状澱粉スラリーの加水分解と同時、または別/連続に行なわれる。発酵を粒状澱粉スラリーの加水分解と同時に行なう場合、その温度は30℃から35℃、または31℃から34℃である。このプロセスは、限外濾過系で実施することができ、酵素、原料澱粉、酵母、酵母の栄養源及び水が存在する循環流の下で、膜非透過物は保持され、膜透過物はエタノールを含む液体である。またこのプロセスは、限外濾過膜を有する連続膜型反応器で実施することができ、酵素、原料澱粉、酵母、酵母の栄養源及び水が存在する循環流の下で、膜非透過物は保持され、膜透過物はエタノールを含む液対である。
このプロセスで得られる水溶性の澱粉加水分解物は、処理された澱粉を発酵させてクエン酸、グルタミン酸ナトリウム、グルコン酸、グルコン酸ナトリウム、グルコン酸カルシウム、グルコン酸カリウム、グルコノデルタラクトン、またはエリソルビンナトリウム等にする、発酵製品の製造に用いることができる。
α-アミラーゼ変異体の澱粉分解活性は、基質にジャガイモ澱粉を用いて評価することができる。この方法は、、修飾されたジャガイモ澱粉を酵素で分解させ、この澱粉/酵素のサンプル溶液をヨウ素溶液と混合することを基本とする。溶液は、最初は暗青色を呈するが、澱粉が分解されるに従い青色が弱まり、次第に赤褐色に変化する。この色を標準着色ガラス板と比較する。
<5.7 バイオフィルム除去組成物とその使用>
バイオフィルム除去組成物は、α-アミラーゼ変異体を主要な酵素成分として含む、例えばバイオフィルム除去に用いられる単成分の組成物である。あるいは、バイオフィルム除去組成物は多数の酵素活性を有し、例えば多数のアミラーゼ、または、バイオフィルムを除去するためのアミノペプチダーゼ、アミラーゼ(β-またはα-またはグルコアミラーゼ)、カルボヒドラーゼ、カルボキシプチダーゼ、カタラーゼ、セルラーゼ、キチナーゼ、クチナーゼ、シクロデキストリングリコシルロタンスファラーゼ、デオキシリボヌクレアーゼ、エステラーゼ、アルファ-ガラクトシダーゼ、β-ガラクトシダーゼ、グルコアミラーゼ、α-グルコシダーゼ、β-グルコシダーゼ、ハロペルオキシダーゼ、インバーターゼ、ラッカーゼ、リパーゼ、マンノシダーゼ、オキシダーゼ、ペクチン分解酵素、ペプチドグルタミナーゼ、ペルオキシダーゼ、フィターゼ、ポリフェノールオキシダーゼ、蛋白質分解酵素、リボヌクレアーゼ、トランスグルタミナーゼ、および/または、キシラナーゼ、またはこれらの混合物を含む.
別の酵素は、アスペルギルス・アクレアタス(αculeαtus)、アスペルギルス・アワモリ(αwαmori)、アスペルギルス・ニガー(niger)、またはアスペルギルス・オリザエ(oryzαe) 等のアスペルギルス属に属する微生物;またはトリコマーダ(Trichodermα)属;フミコーラ・インソレンス(insolens) 等のフミコーラ属;またはフザリウム・バクトリデオイデス(bαctridioides)、フザリウム・セレアリス(cereαlis)、フザリウム・クルックウェレセン(crookwellense)、フザリウム・クルモルム(culmorum)、フザリウム・グラミネアルム(grαmineαrum)、フザリウム・グラミヌム(grαminum)、フザリウム・ヘテロスポルム(heterosporum), フザリウム・ネグンジ(negundi), フザリウム・オキシスポルム(oxysporum), フザリウム・レチクラタム(reticulαtum)、フザリウム・ロゼウム(roseum), フザリウム・サムブシヌム(sαmbucinum), フザリウム・サーコクロウム(sαrcochroum), フザリウム・スルフレウム(sulphureum), フザリウム・トルロセウム(toruloseum), フザリウム・トリコセシオイド(trichothecioides), またはフザリウム・ベネナタム(venenαtum) 等のフザリウム属から産出される。
α-アミラーゼ変異体組成物は、液状または乾燥組成物の形態で、公知の方法に従って生産することができる。例えば、α-アミラーゼ変異体を含む組成物を、顆粒または微細顆粒の形態にすることができる。組成物に含まれるポリペプチドは、公知の方法に従って安定化することができる。
以下、ポリペプチド組成物の使用について説明する。α-アミラーゼ変異体を含む組成物の投与量と、この組成物を使用する条件は公知の方法に従って決めることができる。α-アミラーゼ変異体を、2,6-β-D-フルクタンヒドラーゼ、またはその変異体と組み合わせた組成物として使用することもできる。
一の方法は、バイオフィルムの分解および/または除去である。「分解」とは、バイオフィルム中の個々の微生物細胞を結合し一体化しているバイオフィルムマトリックス中のポリサッカライドを加水分解することにより、微生物細胞を解放し、バイオフィルムから除去することである。バイオフィルムは表面に存在しており、バイオフィルムの分解は、α-アミラーゼ変異体を含む水性媒体を、例えば浸漬、塗布、散布して表面に接触させることにより達成できる。α-アミラーゼ変異体を含む水性媒体には、バイオフィルムを分解することが可能な、例えば2,6-β-D-フルクタン等の、1以上の別の酵素が含まれていてもよい。この組成物は、例えばパルプ及び製紙産業における白濁した水の中のスライムの加水分解に用いることができる。
α-アミラーゼ変異体は、0.0001から10,000 mg/L、または0.001- 1000 mg/L、または0.01-100 mg/Lまたは0.1-10 mg/Lの量で存在する。他の酵素や酵素変異体も、使用目的と最終溶液中への酵素の溶解性に応じて、これと同じか、少ない量で存在する。
この方法は、室温から約70℃の温度範囲で実施することができる。温度範囲の例は、約30℃から約60℃、例えば約40℃から約50℃である。
バイオフィルムを加水分解するための好適なpHは、約3.5から約8.5の範囲である。pH範囲の例は、約5.5から約8pH、例えば約6.5から約7.5である。酵素変異体でバイオフィルムを除去するために必要な接触時間または反応時間は、バイオフィルムの性質と、酵素変異体単独、または2,6-β-D-フルクタンヒドロラーゼ等の他の酵素と組み合わせて表面を処理する頻度に大きく依存する。好ましい反応時間は、例えば約0.25から約25時間、例えば約1から約10時間、例えば約2時間である。
α-アミラーゼ変異体及び2,6-β-D-フルクタンヒドロラーゼと組み合わせて用いることができる別の酵素の非限定的例示には、セルラーゼ、へミセルラーゼ、キシラナーゼ、その他のα-アミラーゼを含む別のアミラーゼ、リパーゼ、プロテアーゼ、および/またはペクチナーゼが含まれる。
酵素を、酵素性または非酵素性の殺菌剤等の抗菌剤と組み合わせることもできる。酵素性殺菌剤は、例えばラッカーセまたはペルオキシダーゼ、特にハロペルオキシダーゼ等のオキシドリダクターゼを含む組成物であり、任意に例えば公開番号WO 97/42825及びDK 97/1273に記載されたアルキルシリンゲート(syringate)等の強化剤が含まれていてもよい。
バイオフィルムが除去され、および/または汚れが落とされる表面は硬質表面であり、硬質表面とは、微生物が実質的に浸透できない表面と定義される。このような表面の例は、例えばステンレス合金等の金属、プラスチック/合成樹脂、ゴム、板、ガラス、木材、紙、布、コンクリート、岩、大理石、石膏、セラミック材であり、任意に、セラミック材が例えば塗料、エナメル、樹脂などでコートされていてもよい。従って、表面は装置、移動手段、加工手段の一部であり、または例えば水供給システム、食品加工システム、冷却システム、化学品製造システム、医薬品製造システム等の、水性溶液と接触する表面である。
バイオフィルムを除去するための組成物とその使用方法は、パルプおよび/または製紙産業等の木材加工産業でも使用できる。すなわち、酵素変異体及びこの酵素変異体を含む組成物は、従来のクリーン・イン・プレイス(CIP)においても有用である。表面はシステム構成装置の一部であってもよく、例えばパイプ、タンク、ポンプ、膜、フィルター、熱交換器、蒸発器、混合機、スプレータワー、バルブ、及び反応器等である。また、表面は医療科学及び産業で用いられる器具の表面であってもよく、例えば汚染された内視鏡、人工器官、または医療用インプラントである。
バイオフィルムを除去するための組成物は、いわゆる生物腐食を防止するために使用することもできる。生物腐食は、例えばパイプライン等の金属表面が微生物バイオフィルムで攻撃されたとき生じる。バイオフィルムを分解することにより、バイオフィルムの微生物細胞が金属表面に付着して腐食を生じるバイオフィルム環境を形成することを防止できる。
バイオフィルム除去用組成物の他の用途は、オーラルケアである。しかし、この場合の表面は生物由来の粘膜、皮膚、歯、毛髪、爪等である。
例えば歯垢の付着した歯、及び汚れたコンタクトレンズは、表面に含まれる。従って、酵素変異体を組成物に使用することができる。また、酵素変異体を含み、ヒトまたは動物の歯に付着した歯垢を分解するための薬剤を製造するプロセスにおいて使用することができる。別の用途は、例えば嚢胞性線維症の患者の肺の中のバイオフィルム等、粘膜からのバイオフィルムの除去である。
また別の側面は、精製され実質的に活性な不純物を含まない組換え酵素変異体を含有するオーラルケア組成物である。オーラルケア組成物は適切な量の組換え酵素変異体を含有する。
オーラルケア組成物に使用可能な他の酵素には、オーラルケア組成物中で活性な2,6-β-D-フルクタンヒドラーゼであるが、これに限定されない。酵素には、デキストラナーゼ; ムタナーゼ(mutanases);例えばグルコースオキシダーゼ、L-アミノ酸オキシダーゼ、例えば国際公開番号WO 95/10602に開示されたコプリヌス属ペルオキシダーゼ(Novo Nordisk A/S社)、ラクトペルオキシダーゼ、ハロペルオキシダーゼ、特にクルバラリア属(Curvularia) 属由来のハロペルオキシダーゼ、特にクルバラリア・ベルクロサ(verruculosa)及びクルバラリア・インアエクリス(inaequalis)由来のハロペルオキシダーゼ等のペルオキシダーゼ等のオキシダーゼ;ラッカーセ;パパイン、酸性プロテアーゼ(例えば国際公開番号95/02044に開示された酸性プロテアーゼ(Novo Nordisk A/S社)) 等のプロテアーゼ、エンドグルコシダーゼ、リパーゼ、例えばAMG (Novo Nordisk A/S社)等のアミログルコシダーゼを含むアミラーゼ、抗菌酵素、及びこれらの混合物から成る群から選択される酵素が含まれる。
オーラルケア組成物は適切な形状を有する(すなわち、粉末、ペースト、ジェル、液体、軟膏、錠剤等)。オーラルケア組成物には、ヒトまたは動物の虫歯、歯垢、歯石を防止し、歯垢、歯石を除去し、歯の疾病を予防および/または治療して、口腔内の衛生状態を維持または改善するために用いられる組成物が含まれる。オーラルケア組成物には、義歯、入れ歯等をクリーニングするための製品も含まれる。このようなオーラルケア組成物の例には、練り歯磨き、デンタルクリーム、ジェル、歯磨き粉、口腔洗浄剤、歯磨き前または後のリンス剤、チューインガム、トローチ剤、キャンディーが含まれる。
通常の練り歯磨き及び歯磨きジェルには、磨き粉、発泡剤、香料、保湿剤、バインダー、増粘剤、甘味料、増白剤、漂白剤、汚染除去剤、水、及び任意に酵素が含まれている。
歯垢除去剤を含め、口腔洗浄剤は一般に、水/アルコール溶液、香料、保湿剤、甘味料、発泡剤、着色剤、及び、任意に酵素を含む.
オーラルケア組成物に、歯磨剤等の研磨剤を添加することもできる。
研磨剤には、例えばアルファアルミナ三水和物等のアルミナ及びその水和物;マグネシウムトリシリケート;マグネシウムカーボネート;カオリン;焼成アルミナシリケートやアルミナシリケート等のアルミノシリケート; 炭酸カルシウム;ジルコニウムシリケート; 塩化ビニル、ポリアミド、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂の粉末;粉末ポリエチレン; シリカキセロゲル;ヒドロゲル及びアエロゲル等が含まれる。また、カルシウムピロホスフェート;非水溶性アルカリメタホスフェート; ジカルシウムホスフェートおよび/またはその無水物; ジカルシウムオルトホスフェート;トリカルシウムホスフェート;粒子状ヒドロキシアパタイト等も研磨剤として好ましい。また、これらを混合して用いることもできる。
オーラルケア組成物の目的に応じて、研磨剤は重量で約0%から約70%、例えば約1%から約70%含まれる。練り歯磨きの場合、練り歯磨きの重量に対し10%から70%の研磨剤が含まれる。
保湿剤は、例えば練り歯磨きから水分が失われるのを防ぐために用いられる。オーラルケア組成物に好ましい保湿剤には、グリセロール;ポリオール;ソルビトール;ポリエチレングリコール(PEG);プロピレングリコール;1,3- プロパンジオール;1,4-ブタンジオール; 一部加水分解された水素化ポリサッカライド等、及びこれらの混合物が含まれる。一般に保湿剤は練り歯磨き中に、重量で0%から約80%、例えば約5%から約70%含まれる。
歯磨き用製品を安定化させるための増粘剤及びバインダーの例として、シリカ、澱粉、トラガカントゴム、キサンタンゴム、アイリッシュモスの抽出物、アルギネート(alginates)、ペクチン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩等のセルロース誘導体、ポリアクリル酸およびその塩、ポリビニルピロリドンが挙げられる。練り歯磨きまたは歯磨きジェル中の増粘剤の量は重量で約0.1% から約20%であり、バインダーの量は重量で約0.01% から約10%である。
発泡剤には、石鹸、アニオン性、カチオン性、両性、および/または両性イオン性界面活性剤を用いることができる。これらは最終製品中に、重量で0%から約15%、または約0.1から約13%、または約0.25%から約10%含まれる。
界面活性剤は、酵素の効果を阻害しない範囲の量で用いられる。界面活性剤には、脂肪アルコールスルフェート、スルホン化モノグリセリドまたは炭素数10から20の脂肪酸の塩、濃縮脂肪酸−卵白、脂肪酸アミド及びタウリンの塩、および/または、イセチオン酸の脂肪酸エステルの塩等が含まれる。
組成物に用いる甘味料にはサッカリンが好ましい。
スペアミント等の香料は、通常少量用いられ、例えば重量で約0.01%から約5%、特に約0.1%から約5%である。
増白剤/漂白剤にはH2O2が含まれ、最終製品の重量に対し約5%未満、または約0.25%から約4%となるように添加される。
増白剤/漂白剤は、オキシドリダクターゼ等の酵素であってもよい。歯の漂白に適した酵素の例として、例えば国際公開番号WO 97/06775 (Novo Nordisk AJS社)に開示されたものが挙げられる。
通常、例えば練り歯磨きに流動性を賦与できる量の水が添加される。
さらに、水溶性の抗菌剤、例えばクロロヘキシジン・ジグルコネート、ヘキセチジン、アレキシジン、 TriclosanTM、4級アンモニウム抗菌化合物と亜鉛、銅、銀、第一錫等の水溶化源用金属イオン(例えば亜鉛、銅、第一錫の塩化物、硝酸銀)が添加される。
また、フッ素源、色素/着色剤、保存料、ビタミン、pH-調整剤、虫歯予防剤、減感剤等を添加することもできる。
オーラルケア組成物に有用な他の成分は、上記の酵素である。酵素は生体内における化学反応の、生物学的触媒である。酵素は基質に結合して、中間体である酵素−基質コンプレックスを形成する。このコンプレックスから反応生成物が生じ、遊離した酵素は特異的酵素反応を引き続き行なう。
酵素を口腔の洗浄に使用する場合、次のような利点がある。プロテアーゼは唾液蛋白を分解する。唾液蛋白は、歯の表面に吸着され、歯垢の最初の層である薄膜を形成するものである。プロテアーゼはリパーゼとともに、バクテリアの細胞壁及び膜を構成する蛋白と脂質を溶解することにより、バクテリアを破壊する。
デキストラナーゼ、及び2,6-β-D-フルクタンヒドロラーゼ等の他のカルボヒドラーゼは、バクテリアによって産出され、バクテリア付着のマトリックスを形成する有機骨格構造を破壊する。プロテアーゼとアミラーゼは、歯垢の形成を防止するだけでなく、カルシウムを結合する炭水化物−蛋白コンプレックスを破壊して石化を防ぐことにより、歯石の成長を防止する。
練り歯磨きの典型的な原料成分は次の通りである(最終的練り歯磨き組成物に対する重量%)。
研磨剤最大約70%;保湿剤:0%から約80%;増粘剤:約 0.1%から約20%;バインダー:約0.01%から約10%;甘味料:約0.1%から約5%;発泡剤:0%から約15%;増白剤:0%から約5%;酵素:約0.0001% から約20%。
特定の実施形態では、練り歯磨きのpHは約6.0から約8.0の範囲にあり、a)研磨剤が約10%から約70%;b)保湿剤が0%から約80%;c)増粘剤が0.1%から約20%;d)バインダーが約0.01%から約10%;e)甘味料が約0.1%から約5%;f)発泡剤が0%から約15%;g)増白剤が0%から約5%;i)酵素が約0.0001%から約20%から成る。
上記i)の酵素には、α-アミラーゼ変異体単独、または例えば2,6-β-D-フルクタンヒドロラーゼなどの他の酵素との組合せ、及び任意に、練り歯磨き等の使用することが知られている前記の別のタイプの酵素が含まれる。
口腔洗浄液の典型的な原料成分は次の通りである(最終的口腔洗浄液に対する重量%)。
保湿剤が0%から約20%;界面活性剤が0%から約2%;酵素が0%から約5%;エタノールが0%から約20%;単原料成分が0%から約2% (例えば香料、甘味料、フッ素化合物等の活性成分)。
組成物に約0%から約70%の水が含まれていてもよい。
口腔洗浄液組成物は、例えばpH-範囲が約6.0から約7.5の、クエン酸またはリン酸ナトリウム等の適切な緩衝液で緩衝することができる。
口腔洗浄液組成物を、希釈されていない形態にすることができる。(すなわち、使用するとき希釈する。)
口腔洗浄液組成物は、口腔洗浄液の分野で公知の技術により製造することができる。
当業者であれば、本願の組成物とその使用方法に係る発明の要旨と範囲から外れない範囲で、種々の改良や変形が可能なことは明らかであろう。従って、特許請求の範囲とその均等な範囲は、本願発明の範囲である。
<SpezymeTM FREDのバチラス・リケニホルミスα-アミラーゼAlT変異体>
バチラス・リケニホルミス株BML 612由来のFREDはΔamy遺伝子であり、catRマーカーによりcatローカスにおいて増幅可能なFRED遺伝子で、Δ spo II ACである。
発現プラスミドpHPLT (例えば米国特許出願番号2006/0014265、及び国際公開WO 2005/111203参照)からSpezymeTM FREDα-アミラーゼを発現させるために、SpezymeTM FREDα-アミラーゼ遺伝子を、プライマーLAT(PstI)_FW & LAT(HpaI)_RVを用いてPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)により増幅させた。

LAT(PSTI)_FW
Figure 0005369088
LAT(HPAI)_RV
Figure 0005369088
PCRは、High Fidelity Platinum Taqポリメラーゼ(Invitrogen社、Carlsbad, Calif. USA)を、製造者の指示に従って用い(アニール温度55℃)、サーモサイクラーで行なった。得られたPCRフラグメントを制限酵素PstlとHpalで消化し、供給者(Invitrogen社, Carlsbad, Calif. USA)の指示に従ってT4 DNAリガーゼでPstlとHpal消化pHPLTへとライゲーションさせた。ライゲーション混合物を、米国特許公開US2002/0182734(国際公開WO 02/14490参照)に開示されたバチラス・スブチリス株SC6.1に導入して形質転換した。3種のクローンが全て相対的に大きなハローを形成し、高アミラーゼ発現が示された。DNA塩基配列決定法によって、3種のクローンの挿入の配列を決定した。クローンの1種はFRED遺伝子中に、LAT(PSTI)_FWプライマーのエラーに起因すると思われる単一突然変異を含んでおり、FRED(AlT)アミラーゼを発現した。このクローンでは、SpezymeTM FREDα-アミラーゼ(シグナル配列の無い成熟鎖)の、アラニン(GCA)をエンコードする最初のコドンが、トレオニンをエンコードする別のコドン(ACA)に変異していた。
FRED(AlT)遺伝子を、pICatHベクター(例えば米国特許出願2006/0014265、国際公開WO 2005/1 1 1203参照)でクローン化した。FRED(AlT)遺伝子を、プライマーにEBS2XhoI_FWとEBS2XhoI_RVを用いた点を除き、前記と同様にしてPCRで増幅した。
Figure 0005369088

Figure 0005369088
得られたPCRフラグメントを制限酵素Xholで消化し、供給者(Invitrogen社, Carlsbad, Calif. USA)の指示に従い、T4 DNAリガーゼでXhol消化 pICatHへとライゲーションさせた。ライゲーション混合物を、上記と同様にして、バチラス・スブチリス株SC6.1に導入して形質転換した。FRED(AlT)遺伝子の配列が、隣接するcatH遺伝子(図2B)と同じクローンを選んだ。この結果、SC6.1株(pICatH- FRED(A lT)oril)が得られ、その配列をDNA塩基配列決定法によって確認した。
「野生型」SpezymeTM FREDα-アミラーゼ遺伝子(FREDアミラーゼをエンコードし、AlT変異が無い)をpICatHベクターにより、単独でクローン化した。、SpezymeTM FREDα-アミラーゼを用いPCR (ポリメラーゼ連鎖反応)により、プライマーにPlatFREDXhoI_FW及びFRED-Tlat_RVを用いて、FRED遺伝子を増幅した。
Figure 0005369088

Figure 0005369088
PCRには、Phusion High Fidelity DNAポリメラーゼ(Finnzymes OY社、Espoo, Finland)を製造者の指示に従って用い(アニール温度55℃)、サーモサークラーで行なった。
得られたPCRフラグメントを制限酵素Xholで消化し、上記のようにしてT4 DNAリガーゼでXhol消化 pICatHへとライゲーションさせた。ライゲーション混合物を上記と同様にして、バチラス・スブチリス株SC6.1に導入して形質転換した。FRED遺伝子の配列が、隣接するcatH遺伝子(図2A)と同じクローンを選んだ。このクローンの配列を、DNA塩基配列決定法によって確認した。このクローンは、SC6.1(pICatH-FREDoril)と名付けられた。
バチラス・スブチリスSC6.1(pICatH-FREDoril)及びSC6.1(pICatH-FRED(A1T)oril)を、0.2%の溶解性澱粉を含有する新品のハートインフュージョン(HI)寒天培地に、トリプロケート(triplicate)態様で植えつけた。37℃で16時間培養した後、培地をヨウ素溶液で染色し、培地中の澱粉の消滅を可視化した(図3)。FRED(1AT)分子の比活性は、野生型FRED分子に対し変化していなかったため、コロニーの周囲のハローのサイズ(すなわち、消滅した澱粉)を測定した。FRED(A1T)を発現するバチラス・スブチリスにより形成されたハロー(図の下側、A1Tと表示)は、野生型FREDアミラーゼを発現する同じ宿主株(図の上側、wtと表示)のハローより大きかった。すなわち、バチラス・スブチリスによるFREDアミラーゼの産出は、FRED分子中へのA1T変異の導入により増加することが分かる。
<実施例2>
<バチラス・リケニホルミス中でのFRED(A1T)変異体の発現>
plCatH-FREDori 1及びpICatH-FRED(AlT)orilプラスミドを、許容温度37℃でバチラス・リケニホルミス株BML612 (国際公開 WO 2005/1 11203参照) に導入して形質転換した。各構造について、1のネオマイシン耐性(neoR)、及び1のクロラムフェニコール耐性(CmR)を有する形質転換細胞を選択し、それぞれBML612(plCatH- FREDoril)及びBML612(plCatH-FRED(A1T)oril)と名付けた。
BML612(plCatH-FREDoril)及びBML612(plCatH-FRED(A1T)oril)中のプラスミドを、5μg/mlのクロラムフェニコールを含む媒体中で、非許容温度(50℃)で株を成長させることによりバチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)ゲノムのcat領域に組み込んだ。
各構造について、1のCmR耐性を有するクローンを選択し、それぞれBML612-plCatH-FREDoril及びBML612-plCatH- FRED(A1T)orilと名付けた。
両株を、許容温度においてベクター配列を排除(loop out)するためのネオマイシン用いずに数世代にわたり培養し、両株についてネオマイシン感受性(neoS)だがCmRである1のクローンを選択した。これらのクローンについて、染色体のplCatHのベクター配列を切り取り(ネオマイシン耐性遺伝子を含む)、catH-アミラーゼカセットのみを残した。
次に、染色体のcatH-アミラーゼカセットを、クロラムフェニコールの濃度を次第に増加させた培地において株を培養することにより増幅した。増幅を何度か行った後に、各構造について、澱粉培地に最大のハローを形成する1のクローン(75μg/mlクロラムフェニコールに対し耐性を示す)を選択した。これらの株を、BML612-FRED及びBML612-FRED(A 1T)と名付けた。
両株を、14L と3000Lスケールの、一般的バチラス・リケニホルミス発酵プロセスに置いた。いずれのスケールにおいても、FRED(A1T)発酵の方が、より高い初期酵素産出速度と、より高い最終力価を示した。図3のグラフに、BML612-FRED株の典型的産出カーブと比較した3つの3000Lパイロット発酵試験の結果と、2本のBML612-FRED(A 1T)株の産出カーブを示す。この図から、SpezymeTM FREDα-アミラーゼを発現する株に対し、最終酵素の力価が顕著に増加することが分かる。
使用した成長培地には、トウモロコシ浸漬固体と大豆粉が有機化合物源として含まれ、さらに、ナトリウム、カリウム、リン、マグネシウム、イオウ、その他の微量成分源として無機塩が含まれていた。
当初の培地にはグルコース等の炭水化物源が含まれていた。培養液が調製され、培養が始まると、培養を継続するため炭水化物を培養槽に添加した。サンプルを培養槽から定期的に採取し、例えば比色分析によって酵素力価を測定した。分析により酵素産出速度の増加が停止したと認められたとき、発酵プロセスを終了した。
蛋白変異体は、以下の比活性を有することが認められた。FRED A1Tの比活性を求めるために、FRED A1T精製物2件と、これらとは別のFRED A1Tのサンプル4件を分析した。また、FRED A1Tも分析し、蛋白の標準として用いた。SDS-PAGEゲル、TCA及び全蛋白対窒素分析、及びデンシオメトリによる分析を行なった。次のサンプルを分析した。
FRED A1T
1) #1 - 精製物
2) #2 - 精製物
3) 20060100 - 14L PAラン(run)、「ノーマル」ラン(run)、浄化(clarified)プロセス
4)
5) 20068013, 浄化(clarified) - 最初の 3K PAラン、浄化(clarified)プロセス
6) 20068013, 全細胞 -最初の3K PA ラン、全培養液
7) 20068024, 浄化(clarified) - 二番目の3K PA ラン、浄化(clarified)プロセス
8) 20068024, 全細胞 -二番目の3K PA ラン、全培養液

FRED
1 ) 105-01086-002 - FRED ゲルリファレンス
2) 107-04326-001 - FRED-L ラン1
3) 101-05330-001 - FRED-L ラン2

FRED A1Tの比活性は、1317 LU/mg活性蛋白と測定された。この結果は、活性/調整TCA蛋白、及び、蛋白の標準として用いた、唯一のFRED A1Tサンプルのゲルに基づいている。最近の研究によれば、FRED A1Tサンプルはゲル上に過剰に塗布されていたため、FRED A1Tの結果が誤って高く出ている。
少なくとも3件のFRED A1Tサンプルを用いた、いくつかの異なるゲルを、標準及びコントロールに用いた。また、ウシ血清アルブミン(BSA)とLATも、いくつかのゲル上で蛋白の標準に用いた。比活性は、活性/調整TCA蛋白を用いる方法と、及びSpezymeTM FRED、LAT、および/またはBSAを蛋白の標準に用いる方法の、 2つの異なる方法で計算した。
活性/調整TCA蛋白を用いた結果は、蛋白の標準を用いたときの結果とは異なっている。蛋白の標準を用いたときの結果は、SpezymeTM FRED (FRED)及びFRED A1Tサンプルの両者について予想された値に近いため、活性/調整トり酢酸(TCA)沈殿蛋白の結果は、最終的比活性評価には含めていない。
これらの結果から、FRED A1Tの比活性は1323 LU/mg活性蛋白、または0.00076 mg/LUであり、従来の1317 LU/mg活性蛋白、または0.00076 mg/LUより、約2%高いことが分かる。
<実施例3>
<FRED A1Tの発酵を向上させる方法と精製方法>
実施例1で得られたサンプルを、SDSポリアクリルアミドゲルで評価した。SDSポリアクリルアミドゲル評価では、SpezymeTM FRED (FRED)及びFRED A1Tサンプルは、活性蛋白値を基準にして用いた。活性蛋白値は、SpezymeTM FREDの変換値に0.00076 m活性蛋白/LUを用いて計算した。サンプルは、トリクロロ酢酸(TCA)不活性化により調製した。ゲルを公知のクマシーで染色した。SpezymeTM FREDの比活性値を用いてサンプルを評価する際、SpezymeTM FRED及びFRED A1Tの両者とも、同様のメインバンド強度を呈し、変異体と親株の活性蛋白/比活性は、ほぼ同じであることが示された。
比活性は、異なる2つの方法で計算した。先ず活性蛋白は、TCA沈殿蛋白に、蛋白の純度(活性バンド対全クマシー応答エリア)を掛け算することにより、ゲルから求めた。
第2の方法では、3件のFRED A1TロットとLAT及びウシ血清アルブミン(BSA)を、その活性蛋白値を用いて割り当て、これらを他のサンプルの標準に用いて非活性を求めた。この方法は各サンプルのメイン蛋白バンドのローエリア(raw area)を用いて行なった。
Figure 0005369088
活性/調整TCA蛋白質を用いた計算から、3件の試験の平均比活性は1315 LU/mgと求められた。FRED A1Tのサンプルの比活性は1216から2039 LU/mgの範囲であり、平均1655 LU/mgである。A1Tの発酵及び回収工程に様々な相違点があり、これが結果のばらつきに反映されたのであろう。
Figure 0005369088
表2の「*」は、比活性が、3種の異なる分析と、5種の異なる蛋白の標準を用いた(3つのSpezymeTM FRED標準、及び BSA標準、LAT標準)4つのゲルの結果から求めた平均値であることを意味する。異なる蛋白の標準に対するFREDの活性比は1323 LU/mgであり、この値は割り当てられた値の1299 LU/mgに近い。FRED A1Tの比活性は1317 LU/mgであった。
<実施例4>
<バチラス・スブチリスによるFRED(A1T)産出>
バチラス・スブチリスを中間宿主に用いて、A1T及び野生型SpezymeTM FREDの組み込みプラスミドを構築した。この結果、バチラス・スブチリスFRED(A1T)ポリペプチドの蛋白産出量は、野生型SpezymeTM FREDよりも多かった。
SpezymeTM FREDアミラーゼ遺伝子(SpezymeTM FREDα-アミラーゼをエンコードし、ポジション1,X2にアラニンを有する)、及びFRED(A1T)変異体遺伝子(FRED変異体をエンコードし、 X2にアラニンの代わりにトレオニンを有する)を、pICatHベクター(米国特許公開番号 20060014265)でクローン化し、バチラス・スブチリスSC6.1株(オーストラリア特許出願番号20041293826)に導入して形質転換した。
SpezymeTM FRED及びA1T両構築体について、SpezymeTM FRED遺伝子の起点が、隣接するcatH遺伝子(図2A及び2B)と同じクローンを選んだ。この結果、SC6.1(pICatH-FREDoril)株及びSC6.1(pICatH- FRED(A1T)oril)株が得られた。両株を0.2%の溶解性澱粉を含有する新品のハートインフュージョン(HI)寒天培地に、トリプロケート(triplicate)態様で植えつけた。
37℃で16時間培養した後、培地をヨウ素溶液で染色し、培地中の澱粉の消滅を可視化した。コロニーの周囲のハローのサイズ(すなわち、消滅した澱粉)はα-アミラーゼ産出の指標である(FRED(1AT)分子の比活性は、野生型SpezymeTM FREDに対し変化していない)。図3は、FRED(A1T)を発現するバチラス・スブチリス株により形成されたハロー(図の下側、A1Tと表示)は、野生型SpezymeTMFREDを発現する同じ宿主株(図の上側、wtと表示)のハローより大きいことを表わしている。
このデータから、バチラス・スブチリス株によるSpezymeTMFREDα-アミラーゼの産出は、SpezymeTMFRED分子にA1T変異体を導入することにより増加することが分かる。
<実施例5>
<LATα-アミラーゼの修飾>
本願に係る別のα-アミラーゼは、成熟LATα-アミラーゼである。成熟形態は、シグナルペプチドと融合した非相同な蛋白であり、LATまたは同じ親に由来する蛋白とは異なる蛋白として産出することができる。修飾には、最初の残基のアラニンまたはバリン以外の任意のアミノ酸を置換することが含まれる。
別の修飾は、最初の残基(下線を付したアラニン)を2,3,4、または5残基で置換することであり、これらの残基の最初の残基は、アラニンまたはバリン以外のアミノ酸である。また別の例は、下線を付したアラニンのトレオニンによる置換である。このようなポリペプチドは、本願に開示したようにして、または公知の方法で合成することができる。
Figure 0005369088
<実施例6>
<SpezymeTMFREDの修飾>
本願のα-アミラーゼのひとつは、SpezymeTMFREDである。成熟形態は、LATまたはバチラス種に由来する蛋白とは異なる、シグナルペプチドと融合した非相同な蛋白として産出することができる。
修飾には、最初の残基(すなわちアラニン)を、アラニンまたはバリン以外の任意のアミノ酸を置換することが含まれる。
別の修飾は、最初のアラニンを2,3,4、または5残基で置換することであり、置換に用いるこれらの残基の最初の残基は、アラニンまたはバリン以外のアミノ酸である。また別の例は、下線を付したアラニンのトレオニンによる置換、すなわち、FRED A1Tとして知られるA1Tである。このようなポリペプチドは、本願に開示したようにして、または公知の方法で合成することができる。
SpezymeTMFREDは、LAT成熟ポリペプチド配列に対し、以下の変異体を有する。すなわち、M15T, H133Y, N188S, 及びA209Vであり、これらの残基を以下の配列に下線を付して示す。残基23のリジンは、アルギニンであってもよい。
Figure 0005369088
<実施例7>
<バチラス・リケニホルミス野生型テラミル(Teramyl)の修飾>
本願に係る別のα-アミラーゼは、バチラス・リケニホルミス野生型テラミルアミラーゼ(国際公開WO 02/10355参照)の修飾に関する。このα-アミラーゼはK23R置換を有する。以下に示す配列は、成熟テラミルアミラーゼを表わしている。
別の変異体は、X2に置換を有するR23K型、または、成熟形態においてRが残基23で生じる配列である。
修飾には、成熟α-アミラーゼの最初の残基(下線を付したアラニン)を、アラニンまたはバリン以外のアミノ酸で置換することが含まれる。成熟ポリペプチドの最初の残基は、前蛋白では残基30である。
別の修飾は、最初の残基(下線を付したアラニン)を、2,3,4、または5残基で置換することであり、置換に用いるこれらの残基の最初の残基は、アラニンまたはバリン以外のアミノ酸である。また別の例は、下線を付したアラニンのトレオニンによる置換である。このようなポリペプチドは、本願に開示したようにして、または公知の方法で合成することができる。
Figure 0005369088
<実施例8>
<テラミル(Teramyl) SC/LiquozymeTM Scの修飾>
本願に係る別のα-アミラーゼは、澱粉加工に用いられるTermamyl SC/LiquozymeTM Sc配列のX2(成熟配列中の下線を付したアラニン)の変異体に関する。修飾には、最初の残基(下線を付したアラニン)を、アラニンまたはバリン以外のアミノ酸で置換することが含まれる。
別の修飾は、最初のアラニンを、2,3,4、または5残基で置換することであり、置換に用いるこれらの残基の最初の残基は、アラニンまたはバリン以外のアミノ酸である。このようなポリペプチドは、本願に開示したようにして、または公知の方法で合成することができる。
Figure 0005369088
<実施例9>
<FRED A1TとSpezymeTM FREDを対比した液化試験>
標準的な液化試験と、低pH及び低カルシウム濃度下での液化試験により、野性型α-アミラーゼ、SpezymeTM FREDとA1T変異体との比較を行なった。
<供試材料と試験方法>
4件のA1Tサンプルについて、野生型と比較して液化試験を行なった。アミラーゼの発酵はシュードモナス菌を用いて行なった。以下の供試材料を用いた。
Cargill社製澱粉、ロット番号RM 228B D
Clintonブランド106B Pearl コーンスターチ、ロット番号CS4 C20 076 106
TSL 06.275 blip A1T 20060100 (浄化)、活性:18,392, LU/g
TSL 06.276 blip A1T 20060101 (浄化)、 活性: 20,832, LU/g
TSL 06.277 blip A1T 20068013 (全細胞)、 活性:16,969, LU/g
TSL 06.278 blip A1T 20068013 (浄化)、 活性: 22,154, LU/g
SpezymeTM (実験室標準)、ロット番号107-05190-001、活性: 19,678 LU/g
亜硫酸、JT Baker社製、 ロット番号L14635
塩化カルシウム、Fisher社製、 ロット番号006902
液化試験毎に、4666.67gのCargill社製澱粉に7333.33 gの逆浸透(RO)処理した水を添加して、乾燥固形分(ds)が35%のコーンスターチのスラリーを調製した。このスラリーに、15.385gの6.5%亜硫酸を用いて100ppmのSO2を添加した。必要に応じて、無水塩化カルシウムによりカルシウムを添加した。20%炭酸ナトリウムにより、スラリーのpHを所定の値に調整した(5.8または5.4)。次に、スラリーを100-メッシュの金網で濾過し、2000 gづつ小分けした。各スラリーをベンチクッカー(bench cooker)にポンプで送る約10分前に、10 LU/gのSpezymeTM (標準,ロット番号107-05190-001)、または適切なA1Tサンプルを添加した。スラリーをベンチクッカーに43.33 mL/分の流速で送り、温度109℃における保持時間が9分となるようにした。液化物を500 mLの三角フラスコに回収し、95℃の浴に120分間浸し、2回目の液化を行なった。サンプルを、30, 60, 90, 及び120分経過後に採取した。ショール(Schoorl)の還元糖法により、DEを求めた。
ショールの還元糖法は、還元糖と、既知量の過剰銅(II)イオンの存在下で、銅(II)イオンを銅(I)イオンに還元することを測定原理とする評価方法である。残留する銅(II)イオンにより、酢酸媒体中の沃素イオンを還元させて、三沃素化物を生成させる。次いで、三沃素化物を、規定濃度のチオ硫酸溶液で滴定する。使用した試薬類と方法は、次の通りである。
10 mLのピペット、250 mLの三角フラスコ、リザーバー(10 mLと2 mL)付自動分注ピペット、レオスタットヒーター、クランプ、フラスコ、ピンセット、フェーリング試薬AとB、沃化カリウム溶液(30% w/v)、硫酸溶液(26% w/v)、チオ硫酸ナトリウム(0.1 N)溶液、澱粉指示液、グルコース(1.00% w/v)。
沃化カリウム溶液(30% w/v)は、150 gのKIを40 mLの蒸留水に溶解させ、1.5 mLの1規定NaOHを添加し、この全量を500 mLの定量フラスコに入れ、標線まで蒸留水を入れて調製した。
硫酸溶液(26% w/v)は次のようにして調製した。600mLのビーカー中の蒸留水400mLに、72. f mLの濃硫酸(比重1.84) を、撹拌しながら 徐々に添加した。室温まで冷却した。この全量を500 mLの定量フラスコに入れ、標線まで蒸留水を入れた。
澱粉指示液は次のようにして調製した。150gのNaClを300mLの蒸留水に溶かし、沸騰させた。次に、5g(乾燥重量)の溶解性澱粉を含む、澱粉冷蒸留水スラリーを準備した。NaCl熱湯溶液を撹拌しながら、澱粉スラリーを徐々に添加した。この混合液を約5分間沸騰させ、室温まで冷却した。この全量を500 mLの定量フラスコに入れ、標線まで蒸留水を入れた。塩は完全には溶解しない。
標準グルコース溶液、標準チオ硫酸ナトリウム溶液、及びフェーリング試薬は市販品を購入した。
ショール法は次のようにして行なう。ヒーターを加熱して、50mLの水を3分間沸騰させる。マッシュのサンプルを入手して、1mL当たりブドウ糖が47から67 mg相当となる希釈液を調製する。例えば、約15gの液状マッシュ(DE = 10-12)、または4gの糖化マッシュ(DE = 50-60)を100 mLに希釈する。希釈サンプルの固形分%(%S)を求める。三角フラスコを秤量する。10mLの希釈サンプルをピペットで採取し、三角フラスコに入れ、秤量する(F + S)。撹拌し、15mLの蒸留水を添加し、次に10mLのフェーリング試薬A、及び10mLのフェーリング試薬Bを添加する。ヒーターで混合液を3分間(±15秒)沸騰させる。沸騰をさらに約2分間続ける。撹拌しながら10mLの30%沃化カリウムを添加し、次に10mLの26%硫酸を添加する。2mLの澱粉指示薬を添加し撹拌する。直ちに、青色の澱粉−沃素コンプレックスの色が消えるまで0.1Nチオ硫酸ナトリウムで滴定する。青色は、少なくとも1分間は消えたままでなければならない。滴定量を記録する(TVs)。スタンダードに関しては、5.00mLの1.00%グルコース、及び20mLの蒸留水をピペットで採取し、250mLの三角フラスコに入れる。使用した水のブランクは、25mLの蒸留水を別のフラスコに入れたものであった。
15mLの蒸留水を、10mLのフェーリング試薬A,Bとともに添加するステップから始まる測定手順を、繰り返し行なった。計算は次のようにして行なう。
式1
Figure 0005369088
<結果>
4件のサンプルはいずれも、109℃のベンチクッカーを用いて保持時間9分で液化させたとき、SpezymeTM FREDよりも改善されたDE進行(DE progression)を示した。SpezymeTM FREDとA1T FRED変異体のいずれも、pH5.4のDE(dextrose equivalents)進行は、pH5.8より顕著に異なっていた。[Both the Spezyme(登録商標) FRED and AlT FRED variant at pH 5.4 had significantly however DE (dextrose equivalents) development than 5.8.]
澱粉スラリーにカルシウムを10ppm添加した場合、SpezymeTM FREDとA1T FRED変異体のいずれにも、液化に顕著な変化は認められなかった。これは、pH5.8において両酵素を安定化するために十分な量のカルシウムが、元々澱粉に含まれていたと結論付けられた。
Figure 0005369088
これらのデータは、全てのA1Tサンプルは、これらの条件下でSpezymeTMスタンダードよりも優れた性能を有することを示している。A1T全細胞サンプルは、浄化されたサンプルより優れた性能を有する。SpezymeTMスタンダードが、通常の挙動とは異なり、2回目の120分の測定中に酵素の変性が生じたことを示唆する回帰線の屈曲を生じた理由は不明である。
図4は、カルシウムを添加しないときのA1TサンプルのDE進行を表わす。図5は、カルシウムを10ppm添加してもDE進行の顕著な変化は無いが、この場合にもA1TはSpezymeTMスタンダードより優れた性能を有することが示されている。
pHをpH 5.4 (カルシウム無添加)に変化させたとき、両酵素の安定性が僅かに減少した(図6)。しかし、A1Tサンプルは押しなべて、SpezymeTMスタンダードよりもpH低下の影響を受けにくいことが分かる。
本願に引用した文献は参照として本願に組み込まれる。
<配列表>
配列番号1: 合成配列 (5アミノ酸)

NH2-X1-X2-X3-X4-Y-COOH、ここで、X1 は18-35アミノ酸から成るサイズのシグナル配列の最後のアミノ酸であり;
X2は、A'-B'で表わされ、ここで、X2がアラニンのとき、A'はアラニンまたはバリン以外のアミノ酸、B'はは任意のアミノ酸残基、またはアミノ酸残基ではなく;X2がバリン、ヒスチジン、またはアスパラギン酸のとき、A'は任意のアミノ酸であり、B'は任意のアミノ酸残基、またはアミノ酸残基ではなく;
X3はアスパラギン、アラニン、ヒスチジン、またはグリシンであり;
X4はロイシン、グリシン、プロリン、またはアスパラギンであり;
Yは成熟バクテリアα-アミラーゼまたはα-アミラーゼ変異体の残余部である。

配列番号2:バチラス・リケニホルミスα-アミラーゼ(LAT) シグナルペプチド(29アミノ酸)
Figure 0005369088
配列番号3:プライマーLAT(PSTI)_FW (47 ヌクレオチド)
Figure 0005369088
配列番号4:プライマーLAT(HP AI)_RV (46ヌクレオチド)
Figure 0005369088
配列番号5:プライマーEBS2XHOI_FW (39ヌクレオチド)
Figure 0005369088
配列番号6:プライマーEBS2XHOI_RV (35ヌクレオチド)
Figure 0005369088
配列番号7:プライマーPlatFREDXhoI_FW (131ヌクレオチド)
Figure 0005369088
配列番号8:プライマーFRED-Tlat_RV (109ヌクレオチド)
Figure 0005369088
配列番号9:LATα-アミラーゼ(483アミノ酸)
Figure 0005369088
配列番号10:合成配列(483アミノ酸)
Figure 0005369088
配列番号11:合成配列(483アミノ酸)
Figure 0005369088
配列番号12:Termamyl SC/LiquozymeTM Sc 配列(486アミノ酸)
Figure 0005369088

Claims (30)

  1. 単離されたポリペプチドであって、配列番号9、10、11、または12からなる群から選択されるアミノ酸配列において、最初のアミノ酸残基をトレオニン残基で置換したアミノ酸配列を含むことを特徴とする前記ポリペプチド。
  2. さらに、前記ポリペプチドが、配列番号2に示すシグナルペプチドのアミノ酸配列を含むことを特徴とする、請求項1に記載の単離されたポリペプチド。
  3. 請求項1または2に記載の単離されたポリペプチドをエンコードする、単離された核酸。
  4. 請求項に記載の単離された核酸を含むベクター。
  5. 請求項に記載のベクターを含む、単離された細胞。
  6. 請求項に記載の核酸を含む、単離された細胞。
  7. 細胞が微生物である、請求項に記載の単離された細胞。
  8. 微生物が、バクテリアまたは菌類である、請求項に記載の単離された細胞。
  9. バクテリアが、バチラス・スブチリス(Bacillus subtilis)、バチラス・リケニホルミス(B. licheniformis)、バチラス・レンタス(B. lentus)、バチラス・ブレビス(B. brevis)、バチラス・ステアロテルモフィラス(B. stearothermophilus)、バチラス・アルカロフィラス(B. alkalophilus)、バチラス・アミロリケファシンス(B. amyloliquefaciens)、バチラス・コーグランス(B. coagulans)、バチラス・サーキュランス(B. circulans)、バチラス・ロータス(B. lautus)、バチラス・チューリンゲンシス(B. thuringiensis)、ストレプトマイセス・リビダンス(Streptomyces lividans)、ストレプトマイセス・ムリナス(S. murinus)から成る群から選択されるグラム陽性バクテリア、またはグラム陰性バクテリアであり、グラム陰性バクテリアが大腸菌(Escherichia coli)である、請求項に記載の単離された細胞。
  10. 請求項1または2に記載のポリペプチドの、洗剤用組成物または食器洗浄用組成物への使用。
  11. 請求項1または2に記載のポリペプチドの、洗剤用または食器洗浄剤用の洗剤用添加剤組成物への使用。
  12. 請求項1または2に記載のポリペプチドを含む洗剤用添加剤であって、非粉飛散性の顆粒、安定化された液剤、または保護された酵素のいずれかの形態である、洗剤用添加剤。
  13. さらに、セルラーゼ、プロテアーゼ、及びアミラーゼからなる群から選択される酵素を含む、請求項12に記載の洗剤用添加剤。
  14. アミラーゼが、α-アミラーゼ、β-アミラーゼ、またはグルコアミラーゼのいずれかである、請求項13に記載の洗剤用添加剤。
  15. 請求項1または2に記載のポリペプチドを含む、洗剤用組成物。
  16. 請求項12または13に記載の洗剤用添加剤を含む、洗剤用組成物。
  17. さらに、プロテアーゼ、リパーゼ、ペルオキシダーゼ、アミラーゼ、セルラーゼ、マンナナーゼ、ペクチン酸リアーゼ、またはこれらの組合せから成る群から選択される酵素を含む、請求項15に記載の洗剤用組成物。
  18. 請求項1または2に記載のポリペプチドを含む、手洗いまたは自動食器洗浄用の洗剤組成物。
  19. さらに、プロテアーゼ、リパーゼ、ペルオキシダーゼ、アミラーゼ、セルラーゼ、マンナナーゼ、ペクチン酸リアーゼ、またはこれらの組合せから成る群から選択される酵素を含む、請求項18に記載の手洗いまたは自動食器洗浄用の洗剤組成物。
  20. 請求項1または2に記載のポリペプチドを含む、手洗いまたは自動衣類洗濯用の洗剤組成物。
  21. さらに、プロテアーゼ、リパーゼ、ペルオキシダーゼ、アミラーゼ、セルラーゼ、マンナナーゼ、ペクチン酸リアーゼ、またはこれらの組合せから成る群から選択される酵素を含む、請求項20に記載の手洗いまたは自動衣類洗濯用の洗剤組成物。
  22. 請求項1または2に記載のポリペプチドの、織物ディサイジング用組成物への使用。
  23. 請求項1または2に記載のポリペプチドを含み、水溶液にされ、任意成分として酵素を含む、織物ディサイジング用組成物。
  24. 請求項1または2に記載のポリペプチドを含み、水溶液にされた澱粉加工用組成物。
  25. グルコアミラーゼ、イソアミラーゼ、プルラナーゼ、またはこれらの組み合わせを含む、請求項24に記載の澱粉加工用組成物。
  26. 澱粉を液化するために十分な時間、請求項24に記載の澱粉加工用組成物を用いて澱粉を加工する方法。
  27. 請求項1または2に記載のポリペプチドを含むバイオフィルム加水分解用組成物であって、溶液状またはゲル状であり、任意成分としてセルラーゼ、ヘミセルラーゼ、キシラナーゼ、リパーゼ、プロテアーゼ、ペクチナーゼ、抗菌剤、またはこれらの組合せを含む、バイオフィルム加水分解用組成物。
  28. 請求項27に記載のバイオフィルム加水分解用組成物を、バイオフィルムの一部または全部を加水分解するために必要な時間用いて、バイオフィルムを加水分解する方法。
  29. 請求項1または2に記載のポリペプチドの水溶液を含む、澱粉糖化用組成物。
  30. 請求項29に記載の澱粉糖化用組成物を、澱粉を糖化するために必要な時間用いて、澱粉を糖化する方法。
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