JP5368876B2 - 磁気ダンパーを有するエアスライド装置 - Google Patents
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Description
この静圧気体軸受を有したエアスライド装置が、たとえば特許文献1に開示されている。
このような静圧気体軸受を有したエアスライド装置によれば、静圧気体軸受では、気体の圧縮性と低い減衰性能に起因して、案内固定台に対して非接触形態で支持される可動体に、上下方向の自励振動、走行方向に比較的長い振動が生じやすい特性を有するところ、可動体が案内固定台に対して走行することにより渦電流の発生に基づく制動力が非接触の形態で可動体に作用し、走行中の可動体が停止するまでこのような上下方向の自励振動および走行方向の比較的長い振動を抑制することが可能であり、これにより静圧気体軸受特有の技術的欠点を補うことができる。
第1に、従来の静圧気体軸受を有したエアスライド装置では、可動体の目標停止位置の設定が困難である。
より詳細には、従来の静圧気体軸受を有したエアスライド装置では、案内固定台側に可動体の走行方向に延びる帯状の導電体が設けられていることから、可動体の走行中、渦電流の発生に基づく制動力が常時非接触の形態で可動体に作用し、以て上述のような上下方向および走行方向の振動が抑制されるが、たとえば、オペレータが案内台に対して非接触形態で支持された可動体を走行方向に押し出す際、走行中可動体に常時作用する制動力を考慮して、可動体の目標停止位置を設定するのは困難である。
ましてや、案内固定台上に可動体の目標停止位置を任意に複数設定したり、あるいは設定された目標停止位置を変更したりすることは余計に困難である。
より詳細には、第1の技術的問題点で述べたように、従来の静圧気体軸受を有したエアスライド装置は、可動体は静圧気体軸受により非接触形態で走行するが、目標停止位置を設定するのが困難であるため、可動体は、案内軌道の両端において、接触形態で停止させるようにしていた。そのために、可動体を接触形態で停止させることにより、静圧気体軸受の摩耗が生じ、エアスライド装置としての耐久性に問題があった。
より詳細には、第1の技術的問題点で述べたように、従来の静圧気体軸受を有したエアスライド装置は、可動体は静圧気体軸受により非接触形態で走行するが、目標停止位置を設定するのが困難であるため、可動体は、案内軌道の両端において、接触形態で停止させるようにしていた。そのために、可動体を停止する際、可動体に載置した搬送品が損傷する危険性があった。
以上の技術的問題に鑑み、本発明の目的は、被案内可動体に搬送物を載置して案内軌道に沿って搬送させる際、載置する搬送物の重量、あるいは被案内可動体の移動速度に係わらず、被案内可動体を任意の目標停止位置に停止させる際の衝撃を緩和することにより搬送物を十全に保護しつつ、目標停止位置に停止可能な磁気ダンパーを備えたエアスライド装置を提供することにある。
前記磁気ダンパーは、前記被案内可動体から突出し前記案内軌道に沿って延びる導電性ダンパープレートと、前記案内固定台側において、前記被案内可動体の前記案内軌道上での目標停止位置に一対の磁石ユニットとを有し、該一対の磁石ユニットの各々は、該導電性ダンパープレートの対応する側面に対して間隔を隔てて配置され、
それにより、前記被案内可動体が前記案内軌道に沿って走行中に、該導電性ダンパープレートが前記磁石ユニットを横切ることにより、前記導電性ダンパープレートに生じる渦電流に基づいて、前記被案内可動体に対して制動力を負荷する構成としている。
その際、案内軌道上、被案内可動体を停止すべき目標停止位置に一対の磁石ユニットを配置することにより、被案内可動体が目標停止位置に到達すると、導電性ダンパープレートがその両側に設けられた磁石ユニットを横切ることにより、磁界が変化し、電磁誘導により導電性ダンパープレートに渦電流が発生し、この渦電流と磁界とによりフレミングの法則により導電性ダンパープレートの走行を制動する向きに被案内可動体に対して制動力が作用し、磁石ユニットの配置位置を任意に変更することにより所望の目標停止位置に被案内可動体を停止させることが可能である。
さらに、被案内可動体を目標停止位置で停止する際、従来のように接触形式で停止させず、被案内可動体の移動中だけでなく、停止するまで非接触形式とすることが可能であるので、停止の際の接触に伴う静圧気体軸受の摩耗を防止でき、以てエアスライド装置の耐久性を向上させることが可能である。
さらにまた、この磁気ダンパーによる制動力は、通常、被案内可動体の移動速度に対して線形であることから、被案内可動体が目標停止位置に近づくと大きな制動力が作用するが、それにより被案内可動体の移動速度が低下すると徐々に制動力が低減し、たとえば被案内可動体に載置する搬送物に対する衝撃を緩和し、以て搬送物に対する損傷を防止することが可能である。
さらに、前記被案内可動体は、前記導電性ダンパープレートの厚みおよび/または前記案内軌道に沿う長さが異なる複数の種類が設けられ、前記被案内可動体に載置する搬送物に応じて、搬送に用いるべき前記被案内可動体の種類が選択されるのがよい。
前記被案内可動体は、前記レールの両側面および上面に対して覆いかぶさるように位置決めされる、断面コの字状のシフトテーブルを有し、
このシフトテーブルは、前記レールの両側面および上面それぞれに対向する面に、静圧気体軸受を有し、
前記導電性ダンパープレートは、前記被案内可動体の長手方向に関して線対称に配置された一対の導電性ダンパープレートからなるのがよい。
この場合、前記シフトテーブルは、前記被案内可動体の下面の前記所定間隔に相当するスペースに設けられるのがよい。
加えて、前記導電性ダンパープレートは、前記被案内可動体の端面から前記被案内可動体の長手方向に突出し、前記案内軌道に沿って延びるのでもよい。
加えて、前記静圧気体軸受は、前記シフトテーブルの本体部の内部に設けられた給気孔と連通する多孔質体を有し、該多孔質体は、多孔質金属焼結層により構成され、多孔質金属焼結層の一方の面が該給気孔からの高圧空気を前記案内軌道面に向かって噴出する多孔面を形成するのでもよい。
この場合、前記給気孔は、複数設けられ、前記多孔質体は、前記シフトテーブルの長手方向にほぼ直交する断面上で連続的であり、単一の静圧気体軸受として前記複数の給気孔と連通するのでもよく、あるいは前記給気孔は、複数設けられ、前記静圧気体軸受は、それぞれが前記複数の給気孔の各々と連通する複数の軸受本体と、該複数の軸受本体の各々の内部に収容され、かつ対応する給気孔からの高圧空気を前記案内軌道面に向かって噴出する多孔面を備えた多孔質体とを有するのでもよい。
また、前記磁石ユニットは、永久磁石でもよい。
図1に示すように、案内固定台16は、たとえばSS材からなる矩形プレート状であり、その上面に長手方向の中心軸線に沿って案内軌道レール14が設けられている。案内軌道レール14は、案内固定台16の長手方向に直線状に延び、案内固定台16の上面から上方に突出し、被案内可動体12を案内軌道レール14に沿って案内するようにしている。
案内固定台16の上面には、案内軌道レール14の目標停止位置に(図1において、A位置およびB位置)、磁石ユニット26が配置され、後に説明するように、この磁石ユニット26と導電性ダンパープレート24とにより磁気ダンパー20を構成するようにしている。
導電性ダンパープレート24は、被案内可動体12の長手方向中心軸線に関して線対称に配置された一対の導電性ダンパープレート24からなる。
被案内可動体12と案内軌道レール14との間のクリアランスは、後に説明する静圧気体軸受18の性能と、被案内可動体12および搬送物の重量に応じて、適宜定めればよいが、たとえば10μm程度である。
この場合、磁気ダンパーによる制動力Fは、被案内可動体12の移動速度vを用いて、次のように表わされる。
F=Cv
ここに、Cは、減衰係数であり、次のように表わされる。
C=C0(B2tαβ)/ρ
ここに、C0は、磁場の形状係数、Bは磁束密度、tは導電性ダンパープレート24の厚み、ρは、導電性ダンパープレート24の比抵抗、αβは、磁束の矩形面積である。
よって、導電性ダンパープレート24の厚みtを選択することにより、制動力Fそのものを調整し、一方案内軌道に沿う長さLを選択することにより、制動力Fが作用する時間を調整し、以て被案内可動体12の種類、かくして搬送すべき搬送物に応じて、磁気ダンパーの性能を調整することが可能である。
静圧気体軸受18において、シフトテーブル25の上水平部の下面40と案内軌道レール14の上面42との間に配された部分18Aは、上水平部の下面40に固着されており、シフトテーブル25の垂下部の内側面44と案内軌道レール14の側面45との間に配された部分18Bは、垂下部の内側面44に固着されており、シフトテーブル25の垂下部の内側面46と案内軌道レール14の側面48との間に配された部分18Cは、垂下部の内側面46に固着され、シフトテーブル25の下水平部の上面49と案内軌道レール14の下面43との間に配された部分18DおよびEは、下水平部の上面49に固着されている。
なお、テーブル22の大きさとの関係において、このような静圧気体軸受18は、シフトテーブル25の長手方向に適宜の間隔を隔てて、分割形式で複数設けてもよい。
さらなる変形例として、上述のように、単一の静圧気体軸受18ではなく、シフトテーブル25の本体部の内面を構成する面(40、44、46、および49)ごとに、静圧気体軸受18を複数設けてもよい。より詳細には、静圧気体軸受は、それぞれが複数の給気孔給気孔28AないしEの各々と連通する複数の軸受本体(図示せず)と、複数の軸受本体の各々の内部に収容され、かつ対応する給気孔からの高圧空気を案内軌道面に向かって噴出する多孔面を備えた多孔質体とを有するのでもよい。
磁石ユニット26は、たとえばネオジウム製永久磁石ユニットであり、L字材50の直立部の対抗面に密着固定させる観点から、薄型のプレート状であるのが好ましい。磁石ユニット26の選定、特に案内軌道レール方向の長さについては、磁石の磁力、磁束密度等に応じて適宜決定すればよく、被案内可動体12に対して所望の磁気ダンパー20を構成するために、決定した磁石ユニット26の特性に応じて、被案内可動体12の導電性ダンパープレート24の厚みtおよび/または案内軌道レール14方向の長さLを選択すればよい。
永久磁石ユニット26の代わりに、電磁石ユニット26として、被案内可動体12により搬送される搬送物の重量に応じて、電流の大きさにより磁力を調整するのでもよい。
以下では、図7に示すように、案内軌道上において、位置Aにおいて多数存在する搬送物aを搭載し、位置Bに搬送する際、被案内可動体12を位置Aと位置Bとの間で往復移動する場合を例として説明する。
次いで、静圧気体軸受18をオン、すなわち高圧空気発生源39から高圧空気を供給することにより、被案内可動体12を案内軌道レール14の案内軌道面に対して非接触状態で支持する。
次いで、オペレータが位置Aに位置決めされた被案内可動体12の上面に搬送物を搭載する。
次いで、位置Bにおいて、搬送物を荷おろしする。
なお、被案内可動体12を位置Bから位置Aに向かって移動させる場合も、上記と同様に行えばよい。この場合、被案内可動体12を位置Aと位置Bとの間で繰り返し往復移動させる場合には、静圧気体軸受18を継続してオン状態にしておけばよい。
以上のサイクルを繰り返すことにより、位置Aにある複数の搬送物を位置Bに搬送することが可能である。
変形例として、図9に示すように、A位置で搬送物aを被案内可動体12に搭載し、矢印のように、B位置まで移動し、B位置において、搬送物bを被案内可動体12にさらに搭載し、矢印のように、C位置まで移動し、C位置において、搬送物aおよびbを荷おろしし、さらにC位置からA位置まで移動し、このサイクルを繰り返す場合には、AないしC位置それぞれに、磁石ユニット26を配置すればよい。
その際、案内軌道上、被案内可動体12を停止すべき目標停止位置に一対の磁石ユニット26を配置することにより、被案内可動体12が目標停止位置に到達すると、導電性ダンパープレート24がその両側に設けられた一対の磁石ユニット26を横切ることにより、磁界が変化し、電磁誘導により導電性ダンパープレート24に渦電流が発生し、この渦電流と磁界とによりフレミングの法則により導電性ダンパープレート24の走行を制動する向きに被案内可動体12に対して制動力が作用し、磁石ユニット26の配置位置を任意に変更することにより所望の目標停止位置に被案内可動体12を停止させることが可能である。
図11および図12に示すように、本実施形態の特徴は、案内固定台16については、案内軌道レール14および案内軌道レール14との関係における磁石ユニット26の設置位置、一方被案内可動体12については、テーブル22とシフトテーブル25との関係、および導電性ダンパープレート24の設置位置にある。
これにより、被案内可動体12は、磁石ユニット26が配置される位置Aと位置Bとの間で往復直線移動を行うように構成している。
テーブル22とシフトテーブル25との関係について、テーブル22の四隅それぞれにシフトテーブル25が設けられ、各シフトテーブル25は、第1実施形態と同様に、それぞれの静圧気体軸受18を介して案内軌道レール14の案内軌道面に対して非接触状態で支持されるようにしてある。これにより、第1実施形態とは異なり、被案内可動体12のテーブル22の大きさを確保することが可能であり、大型の搬送物を非接触状態で搬送するのに適している。一対の案内軌道レール14の間隔および/または案内軌道レール14の方向に隣り合うシフトテーブル25の間隔を適宜に設定することにより、被案内可動体12のテーブル22の大きさを設定することが可能である。
さらに、本実施形態においては、案内軌道が直線である場合を説明したが、それに限定されることなく、円軌道でもよい。この場合、たとえば円軌道上の2点間で被案内可動体12を移動させる場合に、被案内可動体12を2基設けて、例えば、円軌道の12時位置と6時位置の2点間において、右側のルートと左側のルートにおいてそれぞれ別個の被案内可動体を用いてもよい。
d 間隔
D 間隔
10 エアスライド装置
12 被案内可動体
14 案内軌道レール
16 案内固定台
18 静圧気体軸受
20 磁気ダンパー
22 テーブル
24 導電性ダンパープレート
25 シフトテーブル
26 磁石ユニット
28 給気孔
29 多孔面
39 高圧発生源
40 下面
42 上面
44 内側面
45 側面
46 内側面
48 側面
50 L字材
54 直立部
56 直立部
Claims (14)
- 被案内可動体と、案内軌道が形成された案内固定台とを有し、該案内軌道は、該被案内可動体との間に空気層を形成する案内軌道面を有し、さらに被案内可動体を案内軌道面に対して非接触形態で支持する静圧気体軸受と、該案内軌道に沿って走行中の被案内可動体に対して制動力を負荷する磁気ダンパーとを有するエアスライド装置であって、
前記磁気ダンパーは、前記被案内可動体から突出し前記案内軌道に沿って延びる導電性ダンパープレートと、前記案内固定台側において、前記被案内可動体の前記案内軌道上での目標停止位置に一対の磁石ユニットとを有し、該一対の磁石ユニットの各々は、該導電性ダンパープレートの対応する側面に対して間隔を隔てて配置され、
それにより、前記被案内可動体が前記案内軌道に沿って走行中に、該導電性ダンパープレートが前記磁石ユニットを横切ることにより、前記導電性ダンパープレートに生じる渦電流に基づいて、前記被案内可動体に対して制動力を負荷することを特徴とするエアスライド装置。 - 前記磁石ユニットは、前記案内固定台に対して取り外し可能に設けられる、請求項1に記載のエアスライド装置。
- 前記被案内可動体は、前記導電性ダンパープレートの厚みおよび/または前記案内軌道に沿う長さが異なる複数の種類が設けられ、前記被案内可動体に載置する搬送物に応じて、搬送に用いるべき前記被案内可動体の種類が選択される、請求項1または請求項2に記載のエアスライド装置。
- 前記案内軌道は、前記案内固定台の上面から上方に突出したレールからなり、
前記被案内可動体は、前記レールの両側面および上面に対して覆いかぶさるように位置決めされる、断面コの字状のシフトテーブルを有し、
このシフトテーブルは、前記レールの両側面および上面それぞれに対向する面に、静圧気体軸受を有し、
前記導電性ダンパープレートは、前記被案内可動体の長手方向に関して線対称に配置された一対の導電性ダンパープレートからなる、
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のエアスライド装置。 - 前記導電性ダンパープレートは、前記被案内可動体の長手方向に、前記磁石ユニットの前記案内軌道に沿う方向の長さに応じて定められる所定間隔を隔てて設けられる、請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のエアスライド装置。
- 前記シフトテーブルは、前記被案内可動体の下面の前記所定間隔に相当するスペースに設けられる、請求項5に記載のエアスライド装置。
- 前記導電性ダンパープレートは、非磁性体材料からなる請求項1に記載のエアスライド装置。
- 前記導電性ダンパープレートは、前記被案内可動体の下面から下方に突出し前記案内軌道に沿って延びる、請求項1に記載のエアスライド装置。
- 前記導電性ダンパープレートは、前記被案内可動体の端面から前記被案内可動体の長手方向に突出し、前記案内軌道に沿って延びる、請求項1に記載のエアスライド装置。
- 前記磁石ユニットは、電磁石ユニットからなり、前記被案内可動体により搬送される搬送物の重量に応じて、電流の大きさにより磁力を調整する、請求項1に記載のエアスライド装置。
- 前記静圧気体軸受は、前記シフトテーブルの本体部の内部に設けられた給気孔と連通する多孔質体を有し、該多孔質体は、多孔質金属焼結層により構成され、多孔質金属焼結層の一方の面が該給気孔からの高圧空気を前記案内軌道面に向かって噴出する多孔面を形成する、請求項4に記載のエアスライド装置。
- 前記給気孔は、複数設けられ、前記多孔質体は、前記シフトテーブルの長手方向にほぼ直交する断面上で連続的であり、単一の静圧気体軸受として前記複数の給気孔と連通する、請求項11に記載のエアスライド装置。
- 前記給気孔は、複数設けられ、前記静圧気体軸受は、それぞれが前記複数の給気孔の各々と連通する複数の軸受本体と、該複数の軸受本体の各々の内部に収容され、かつ対応する給気孔からの高圧空気を前記案内軌道面に向かって噴出する多孔面を備えた多孔質体とを有する、請求項11に記載のエアスライド装置。
- 前記磁石ユニットは、永久磁石からなる、請求項1に記載のエアスライド装置。
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