JP5366483B2 - レンズ鏡筒、撮像装置 - Google Patents

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Description

本発明は、撮影光学系を保護するために撮影光学系の前面に設けられた開閉可能なバリア部材を備えるレンズ鏡筒、撮像装置に関するものである。
従来のバリア装置として、例えば、特許文献1に開示されているバリア装置がある。この従来のバリア装置は、レンズを保持する鏡筒部材に回転可能に支持される複数枚のバリア部材、光軸を中心に回転しバリア部材を開閉駆動するバリア駆動リングを有している。また、従来のバリア装置は、バリア部材とバリア駆動リングとの間に取り付けてバリア部材を常にバリア駆動リングに当接させてバリア部材を閉じ方向に付勢し、バリア部材に対するバリア駆動リングの逃げ移動を吸収するバリア閉じバネを有している。さらに、従来のバリア装置は、バリア駆動リングと鏡筒カバーとの間に取り付けてバリア駆動リングを付勢しバリア部材を開き方向に駆動するバリア開きバネを有し、回転筒の回転力をバリア駆動リングに伝達する連結軸を有している。
このように構成された従来のバリア装置の動作を説明する。回転筒が時計方向に回転することで回転筒の回転力が連結軸を介してバリア駆動リングに伝達される。回転力が伝達されたバリア駆動リングは、バリア開きバネをチャージしながら時計方向に回転し、バリア部材はバリア閉じバネによってバリア駆動リングの回転に追従して反時計方向に回転する。この回転により、バリア部材は撮影光学系の前面を覆う。また、回転筒が反時計方向に回転することで回転筒と連結軸との当接部分がフリー状態となる。バリア駆動リングはチャージされていたバリア開きバネのバネ付勢力により、反時計方向に回転し、バリア部材はバリア駆動リングの回転に追従して時計方向に回転する。この回転により、バリア部材は撮影光学系の前面を開放させる。バリアが全開状態になると、バリア部材がストッパーに当接して時計方向への回転が規制され、それに伴いバリア駆動リングの回転が止まる。
ところで、カメラを小型化するためには、バリアが開いているときのバリア部材の収納空間を有効に利用して、バリア装置を備えるレンズ鏡筒の全長を短くすることが有効である。例えば特許文献2に記載のバリア装置は、バリアが開いているときにバリア部材を収納する空間を備えている。そして、鏡筒沈胴時にバリア部材が前記収納空間から退避してバリア閉じ状態になるときに、レンズ鏡筒を構成する他の部材が前記収納空間に侵入する。これにより、鏡筒沈胴時にバリア部材の収納空間を有効に利用することができ、レンズ鏡筒の薄型化を図っている。
しかし、このような構成のバリア装置は、例えば、鏡筒沈胴時にバリア部材に異物が喰い付いてしまう等により、バリア閉じバネの付勢力のみではバリア部材が閉じなくなった場合に、バリア部材収納空間に侵入する他の部材とバリア部材とが干渉するおそれがある。そこで、特許文献2では、バリアが開くときにバリア部材を開き方向に押圧するバリア駆動リングに、バリア部材閉じ用の当接部を設け、バリア部材が異物等によって喰い付いてバネ力のみでは閉じなくなったときに、この当接部がバリア部材を閉じ方向に押圧して強制的に閉じ方向に駆動する。これにより、バリア部材と他の部材との干渉を防止する。
特開平7―159856号公報 特開2008−033153号公報
しかし、特許文献2に記載のバリア装置は、バリア部材とバリア駆動部材との相対移動によって、バリア部材を閉じ方向に強制的に駆動する構成である。この構成は、バリア部材がバリア駆動部材に回転可能に支持され、バリア駆動部材がバリア部材が開くときのバリア駆動部材の位置からバリア部材が閉じるときのバリア駆動部材の位置に回転するときにバリア部材がバリア駆動部材と一体的に移動するバリア装置に適用できなかった。その理由は、このようなバリア装置では、バリア駆動リングとバリア部材とが相対的に移動しないため、バリア駆動リングによってバリア部材を強制的に閉じることができなかったからである。
本発明の課題は、バリア部材がバリア駆動部材に支持される構成であっても、バリア部材を強制的に閉じる方向へ移動させることができるレンズ鏡筒、撮像装置を提供することである。
本発明の第1の側面としてのレンズ鏡筒は、撮影光学系と、前記撮影光学系の光軸上に配置された撮影用開口部を覆うバリア閉じ位置と前記撮影用開口部から退避したバリア開き位置との間で移動するバリア部材と、前記バリア部材を回転可能に支持すると共に、前記バリア部材を前記バリア閉じ位置とするときに位置する駆動部材閉じ位置と、前記バリア部材を前記バリア開き位置とするときに位置する駆動部材開き位置との間を移動するように前記光軸まわりで回転可能に設けられたバリア駆動部材と、前記バリア駆動部材を前記駆動部材開き位置と前記駆動部材閉じ位置との間で回転可能に保持する鏡筒部材と、前記鏡筒部材の内周部において光軸に近づく側へ突出して設けられた当接部と、を備え、前記バリア部材は、当該バリア部材が開くときに前記鏡筒部材に引っ掛かる引っ掛け部と、前記鏡筒部材に面した側面に凸形状の部分を有し、該凸形状の部分と前記バリア部材の回転軸との距離は、前記引っ掛け部と前記バリア部材の回転軸との距離よりも大きくされており、前記当接部は、前記バリア部材が前記バリア閉じ位置にあるときには当接せず、前記バリア部材が前記バリア開き位置にあって前記バリア駆動部材が前記駆動部材閉じ位置にあるときに前記バリア部材の前記凸形状の部分に当接して、前記バリア部材を前記バリア閉じ位置の方向へ移動させる
本発明の第2の側面としての撮像装置は、本発明の第1の側面としてのレンズ鏡筒と、前記レンズ鏡筒により結像する被写体像を撮像する撮像部とを備える。
本発明によれば、バリア部材がバリア駆動部材に支持されている構成のバリア装置において、バリア部材に異物等が喰い付いてしまった場合でも、沈胴時にバリア部材を強制的に閉じる方向へ移動させることができる。
また、バリア部材が開いたときにバリア部材を収納する空間に、バリア部材の閉じ状態で他の移動部材が侵入する場合に、バリア部材と移動部材との干渉を防ぎ、機械的な故障を防止できる。
さらに、バリア部材の回転軸から遠い箇所で当接するように設定させることが可能なため、閉じ方向への高いトルクが得られ、さらに寸法のバラツキによる閉じ方向への移動量の誤差が小さくなり、より確実にバリア部材を閉じ方向に駆動することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面等を参照して説明する。
なお、以下の説明では、具体的な形状、構成等を示して説明を行うが、これらは、適宜変更することができる。
また、各図中には、各図の対応を明確にして理解を容易とするために、原点は特に規定せず、単に方向を示すための座標系として、カメラを正位置としたときの上方をYプラス方向としてXYZ直交座標を設けている。ここで、正位置とは、レンズ鏡筒10の撮影光学系の光軸(以下、単に光軸とする)が水平であり、かつ、撮影画面の長手方向が水平方向となるカメラの姿勢を示すものとする。以下、Yプラス方向を上、Zプラス方向(すなわち、光軸被写体方向)を前とする。
図1は、本発明によるバリア装置を有したレンズ鏡筒を含むカメラの実施形態を示す図である。
本実施形態のカメラ1は、内部に被写体像を撮像する撮像部(不図示)を備え、この撮像部に被写体像を結像する撮影光学系を有したレンズ鏡筒10が、その略中心に配置されているデジタルカメラである。
レンズ鏡筒10は、いわゆる沈胴式のレンズ鏡筒であり、カメラ1の電源がオフ状態のときには、図1に示すようにカメラ1の内部に収納された沈胴状態となる。この沈胴状態では、バリア部材14が撮影光学系を覆う閉位置となり、撮影光学系の前面を保護する。
図2は、レンズ鏡筒10のバリア装置に関連する部分を示す分解斜視図である。
レンズ鏡筒10は、鏡筒部材11、撮影レンズ12、直進筒13、バリア部材14、バリア駆動部材15、バリアカバー16、バリア駆動バネ17、化粧板18を備えている。なお、レンズ鏡筒10は、上述の部材の他にも光学レンズ及びそれらを保持し駆動する各種部材を備えているが、これらについての説明は省略する。
鏡筒部材11は、撮影レンズ12を保持しており、撮影者の操作に応じて不図示の他の駆動機構部材の作用によって、光軸方向に沿って沈胴動作、及び、繰出し動作を行う。
鏡筒部材11には、光軸方向に沿った方向に貫通した穴形状11cが形成されており、沈胴時に直進筒13の直進ガイド部13b(後述)が穴形状11cを貫通する。
また、鏡筒部材11のZプラス側には、バネ引っ掛け部11eが設けられている。
撮影レンズ12は、撮影光学系の一部を形成する光学レンズであり、不図示の他の光学レンズとともに撮影光学系を形成する。
直進筒13は、鏡筒部材11の内側に配置された移動部材であり、鏡筒部材11の回転を規制する。
鏡筒部材11と直進筒13とは、鏡筒部材11の沈胴動作及び繰出し動作に伴い光軸方向に沿って相対移動し、撮影状態では両者の間隔が開き、沈胴状態では両者の間隔が狭まる。鏡筒部材11の前側は、後述の収納空間を確保できる形状となっている。
直進筒13の一部には、不図示のレンズ保持部材を直進ガイドする直進ガイド部13bが、筒の一部を前側(Zプラス側)に延伸した形状で形成されている。この直進ガイド部13bは、鏡筒部材11の穴形状11cを貫通して後述の収納空間に侵入する。
直進筒13の前側先端部には、カム面13aが形成されている。
バリア部材14は、撮影光学系の光軸に沿った方向の一端部側である前方において、バリア駆動部材15とバリアカバー16との間に挟まれて配置され、後述の撮影用開口部16aを覆うバリア閉じ位置と前記撮影用開口部から退避したバリア開き位置との間で開閉可能に移動する部材であり、バリア羽根とも呼ばれる。
バリア部材14は、同一形状のものが光軸を中心として点対称となる位置に1つずつ、合計2枚配置されている。
バリア部材14は、回転軸14a、バネ引っ掛け部14b、レンズ鏡筒引っ掛け部14cを有している(図3A等参照)。これらは、光軸から順に回転軸14a、バネ引っ掛け部14b、レンズ鏡筒引っ掛け部14cとなるように配置されている。
バリア部材14は、回転軸14aにおいてバリア駆動部材15に対して回転可能に支持されている。
バネ引っ掛け部14bには、バリア駆動バネ17が掛けられており、バリア駆動バネ17からは、回転軸14aを中心に反時計回り(前側、すなわちZプラス側から見た方向とする、以下同様)となる方向に付勢力を受けている。
レンズ鏡筒引っ掛け部14cは、バリア部材14が開くときに鏡筒部材11に引っ掛かるように鏡筒部材11側(Zマイナス側)へ突出している。
バリア駆動部材15は、鏡筒部材11の前方に配置され、鏡筒部材11に対し回転可能に支持されている。
バリア駆動部材15は、バリア部材14を保持するとともに、バリア部材14を駆動する。
バリア駆動部材15は、直進筒13側(Zマイナス側)に突出した突出形状の端部にカム面15aを有している。このカム面15aは、沈胴動作時に直進筒13のカム面13aと接触し、沈胴動作時の直進移動を回転駆動力に変換してバリア駆動部材15を回転駆動させる。
ここで、バリア部材14が開くときのバリア駆動部材15の位置を「駆動部材開き位置」、鏡筒部材11が沈胴してバリア部材14が閉じるときのバリア駆動部材15の位置を「駆動部材閉じ位置」と称する。
バリアカバー16は、光軸上の中央部に撮影用開口部16aが形成され、バリア部材14よりも前側に配置されている。撮影用開口部16aは、沈胴時にはバリア部材14によって覆われ、カメラ使用時には、バリア部材14が撮影用開口部16aから退避して開き、撮影光束が通過可能である。
バリアカバー16の後側には、バリア部材14が開いたときにバリア部材14を収納する収納空間が形成されており、レンズ鏡筒10の沈胴時には、バリア部材14が収納空間からバリア閉じ位置に移動する。
バリア駆動バネ17は、鏡筒部材11のバネ引っ掛け部11eとバリア部材14のバネ引っ掛け部14bとの間に掛け渡されている引張りコイルバネである。
バリア駆動バネ17は、回転軸14aを中心に反時計回りとなる方向(バリア閉じ位置の方向)にバリア部材14を付勢している。
化粧板18は、バリアカバー16の前側に配置され、バリアカバー16の保持部や位置決め部を隠している。
上述した構成により、レンズ鏡筒10が沈胴すると直進筒13のカム面13aとバリア駆動部材15のカム面15aとが当接する。これにより、バリア駆動部材15、バリア駆動バネ17をチャージしながら時計回りに強制的に回転させられ、「駆動部材閉じ位置」に位置してバリア部材14を閉じる。
一方、鏡筒部材11が繰出すと、当接している直進筒13のカム面13aとバリア駆動部材15のカム面15aとが離れて行く。そうすると、バリア駆動バネ17の付勢力によって(詳細は後述)バリア駆動部材15が反時計回りに回転し、「駆動部材開き位置」に位置してバリア部材14を開く。また、バリア駆動部材15が反時計回りに回転することにより、バリア駆動バネ17のチャージが開放されてゆく。
次に、図3Aから図7を用いて、バリア装置の動作を主として詳細に説明する。
なお図3Aから図7は、レンズ12、直進筒13、カバー部材16、化粧板18、及び本発明と直接関係の無い形状を省略している。特に、図3Bから図7では、図を見やすくして理解を容易にするために、鏡筒部材11について、本発明と直接関係の無い形状をさらに簡略化して示している。
図3Aは、鏡筒部材11が繰出して、バリア部材14が全開となった状態(以下、開き状態と称する)を示す正面図である。
図3Bは、図3Aをより簡略化して示した図である。
開き状態では、バリア駆動部材15のカム面15aと直進筒13のカム面13aとが完全に離れているため、バリア駆動部材15は回転方向で動作を規制されること無く、自由に回転可能である。バリア部材14は、バネ引っ掛け部14bにおいてバリア駆動バネ17から付勢力を受ける。バネ引っ掛け部14bよりも光軸に近い位置に設けられた回転軸14aは、前述の通りバリア駆動部材15の回転に伴って、光軸を中心とした円周方向へ自由に移動ができる。バネ引っ掛け部14bより外側に位置する鏡筒引っ掛け部14cは、バリア駆動バネ17の付勢力に抗するように鏡筒部材11に引っ掛かっている。そのためバリア部材14には、鏡筒引っ掛け部14cを略中心とした時計回り方向の回転トルク、すなわち開き力が発生している。バリア部材14の端面14dが鏡筒部材11に設けられた開きストッパー11aに当接し、バリア部材14がバリア開き位置に保たれる。バリア部材14が開いた状態では、撮影用開口部16a(図3A、図3B等では、2点鎖線で図示)の外側にバリア部材14が退避する。
なお、バリア部材14の端面14dには、バリア部材14を樹脂成型するときに生じるゲート跡14eが設置されているが、開きストッパー11aは、ゲート跡14eを避けた位置で端面14dに当接する。
また、鏡筒部材11と不図示のカバー部材16との位置決め部11bが、鏡筒部材11に設置されている。
バリア部材14の端面14dと鏡筒部材11の外径とによって囲まれた領域に、上述した開きストッパー11a、ゲート跡14e、バリアカバーの位置決め部11bが設けられている。
バリア駆動バネ17の長さは、開き状態で最も短くなるため、バリア駆動バネ17のチャージ量は、この状態で最も小さくなる。
図4は、鏡筒部材11が沈胴し、バリア部材14が開き状態から閉じ状態に遷移する途中の状態(以下、中間状態と称する)を示す正面図である。
中間状態では、鏡筒部材11が繰出しているときに比べてバリア駆動部材15と直進筒13とが近づく方向に相対移動しているため、直進筒13のカム面13aとバリア駆動部材15のカム面15aとが接触している。そのため、これらカム面の作用によりバリア駆動部材15は、強制的に時計方向に回転している。
バリア部材14は、バリア駆動部材15が時計方向に回転することによって光軸を中心として時計方向に移動する。その一方で、バリア駆動バネ17の付勢力を受けるため、鏡筒引っ掛け部14cが鏡筒部材11に引っ掛かる位置まで反時計方向に回転運動する。すなわち、バリア部材14は、光軸を中心に時計方向に公転しながら、回転軸14aを中心に反時計方向に自転している。バリア部材14が回転軸14aを中心に反時計方向に自転していることから、バリア駆動バネ17は、開き状態よりも長く伸ばされており、チャージ量は増えている。
図5は、さらに鏡筒部材11が沈胴し、2枚のバリア部材14の合わせ端部同士が当接して合わさった状態(以下、合わせ状態と称する)を示す正面図である。
合わせ状態では、バリア駆動部材15がさらに時計方向に回転しているため、バリア部材14は、それぞれ他方の羽根に当接し、撮影用開口部16aの中心付近を遮蔽する。このとき、バリア部材14の先端付近の外側端面が撮影用開口部16aの内側(光軸側)に入り込み、開口部の隅部に隙間16bが2箇所に生じている。ここで撮影用開口部16aの内側に入り込むバリア部材14の外側端面は、開き状態において鏡筒部材11の最も外径に近い部分に位置し、実質的にバリア装置の直径を決定する部分である。
なお、鏡筒部材にバリア部材の回転軸を有する従来のバリア装置では、この状態がバリア閉じ状態に相当する。
図6は、鏡筒部材11が沈胴端に到達し、バリア部材14が全閉した状態(以下、閉じ状態と称する)を示す正面図である。
閉じ状態では、バリア駆動部材15が最も時計方向に回転した「駆動部材閉じ位置」に位置している。バリア部材14は、バリア駆動バネ17の付勢力によって回転軸14aを中心とした反時計方向(バリア閉じ位置の方向)に回転付勢されているが、他方のバリア部材14に当接しているため、反時計方向への回転が規制されている。さらにバリア部材14は、合わせ状態から閉じ状態に至る過程で、バリア駆動部材15と一体的に光軸を中心にして時計方向へ回転している。その結果、バリア開口部の隅部に生じていた隙間16bが、バリア部材14によって完全に遮蔽される。また、バリア部材14が光軸を中心にして時計方向へ回転しているため、バリア駆動バネ17はさらに長く伸ばされており、チャージ量も増えている。
なお、鏡筒部材11の外周部に、直進筒13に形成されている直進ガイド部13bが出入りする穴形状11cが3箇所形成されている。沈胴時に、バリア部材14がバリア開き位置からバリア閉じ位置に移動する動作と入れ替わりに、穴形状11cからバリア部材14が作動する収納空間に、直進ガイド部13bが侵入する。これによって、開き状態での収納空間を沈胴時にも有効に活用でき、沈胴時の鏡筒の全長を短縮している。
次に、バリア部材14に異物が喰い付いて、鏡筒部材11が沈胴してもバリア駆動バネ17による力のみでは、バリア部材14が閉じない場合の動作について説明する。
図7は、バリア部材14のうちの上側のバリア部材に砂等の異物が喰い付く等して、バリア駆動バネ17による力のみでは閉じ方向に回転しない状態で鏡筒部材11が沈胴した状態を示す図である。
図7では、鏡筒部材11が沈胴し、バリア駆動部材15が直進筒13によって強制的に駆動部材閉じ位置に回転した状態を示している。
鏡筒部材11の、バリア部材14が開閉作動する空間に面した内周部には、特定の条件において後述の凸形状14fに当接してバリア部材14を強制的に閉じ方向に駆動する当接部としての壁部11dが設けられている。この壁部11dは、内周側(光軸に近づく側)へ突出して設けられている。また、壁部11dは、1対のバリア部材14のそれぞれに対応するように2箇所設けられている。
一方、バリア部材14の、開き状態において鏡筒部材11の内周部に近接する端面には、特定の条件において壁部11dに当接する凸形状14fが外周方向に突出して設けられている。
鏡筒部材11が繰り出し状態から沈胴し、バリア駆動部材15が時計方向に回転すると、バリア部材14は、回転軸14aの移動軌跡に沿ってバリア駆動部材15と一体的に移動する。このとき、バリア部材14は、鏡筒部材11の内周に接触したまま光軸を中心に回転する。そして直進筒13の直進ガイド部13bが鏡筒部材11に設けられた穴形状11cからバリア部材14が作動する空間に侵入するよりも先に、壁部11dと凸形状14fとが当接し、図7に示すようにバリア部材14は閉じ方向に強制的に回転する。
ここで、当接部たる壁部11dがバリア部材14の凸形状14fに当接してバリア部材14をバリア閉じ位置方向へ移動させる移動量は、少なくとも直進ガイド部13bが侵入する収納空間からバリア部材14が退避することができる移動量とする必要がある。本実施形態では、この移動量は、直進ガイド部13bが侵入する収納空間からバリア部材14が退避することができる移動量となっている。これにより、直進ガイド部13bが収納空間へ侵入したときにバリア部材14に干渉してしまうことを防止できる。
このように、本実施形態の壁部11dは、バリア部材14がバリア閉じ位置にあるときには凸形状14fに当接しない。また、バリア部材14がバリア開き位置にあってバリア駆動部材15が駆動部材閉じ位置にあるときには凸形状14fに当接する。そして、壁部11dは、バリア部材14がバリア駆動バネ17の付勢力によりバリア閉じ位置へ移動することを妨げられているときに、バリア部材14の凸形状14fに当接する。一方、バリア部材14がバリア駆動バネ17の付勢力によりバリア閉じ位置へ移動できるときには、壁部11dがバリア部材14の凸形状14fに当接せずにバリア部材14がバリア閉じ位置へ移動する。
なお、凸形状14fは、回転軸14aから離れた位置に設けられることが望ましい。これは、壁部11dが凸形状14fに当接することによりバリア部材14を閉じ方向に回転させるトルクを大きくして動作をより確実にするため、及び、寸法のバラツキによる閉じ方向への移動量の誤差を少なくするためである。そのため、本実施形態の凸形状14fは、回転軸14aから離れた位置に設けている。
以上説明した通り、本実施形態によれば、バリア部材14がバリア駆動部材15に支持されている構成のバリア装置において、バリア部材14に異物等が喰い付いてしまった場合等でも、鏡筒部材11の沈胴時にバリア部材14を強制的に閉じることができる。
よって、バリア部材14が開いたときにバリア部材14を収納する収納空間に、バリア閉じ状態で他の移動部材の一部である直進ガイド部13bが侵入するレンズ鏡筒10において、バリア部材14と直進ガイド部13bとの干渉を防ぎ、機械的な故障を防止できる。
さらに、壁部11dがバリア部材14の回転軸から遠い箇所で当接するので、閉じ方向への高いトルクが得られ、さらに寸法のバラツキによる閉じ方向への移動量の誤差が小さくなり、より確実にバリア部材を閉じ方向に駆動することができる。
(変形形態)
以上説明した実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の範囲内である。
(1)本実施形態において、バリア部材14は、直進筒13の直進ガイド部13bとの干渉を避けるための必要最小限の移動量を強制的に閉じ駆動されるように設定されている例を示した。しかし、鏡筒部材11に設けた壁部11dによって強制的にバリア部材14を回転するタイミングと閉じ方向の移動量は、壁部11dの位置と形状によって任意に設定が可能である。例えば、バリア部材14が完全に閉じる直前まで強制的に駆動するようにしてもよい。
(2)本実施形態において、当接部としての壁部11cは、鏡筒部材11に設けられている例を示したが、これに限らず、例えば、レンズ鏡筒を構成する鏡筒部材11以外の他の部材にバリア部材14と当接する当接部を設けてもよい。
(3)本実施形態において、デジタルカメラを例に挙げて説明したが、これに限らず、例えば、フィルムカメラであってもよいし、ビデオカメラであってもよいし、監視カメラなど、他の種類の撮像装置であってもよい。
(4)本実施形態において、バリア部材14は、2枚用いる例を示したが、これに限らず、例えば、形状の異なるもう一対のバリア部材を設けて、合計4枚のバリア部材を有する形態としてもよい。
なお、本実施形態及び変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。また、本発明は以上説明した各実施形態によって限定されることはない。
本発明によるバリア装置を有したレンズ鏡筒を含むカメラの実施形態を示す図である。 レンズ鏡筒10のバリア装置に関連する部分を示す分解斜視図である。 開き状態を示す正面図である。 図3Aをより簡略化して示した図である。 中間状態を示す正面図である。 合わせ状態を示す正面図である。 閉じ状態を示す正面図である。 バリア部材14のうちの上側のバリア部材に砂等の異物が喰い付く等して、バリア駆動バネ17による力のみでは閉じ方向に回転しない状態で鏡筒部材11が沈胴した状態を示す図である。
符号の説明
11 鏡筒部材
11c 穴形状
11d 壁部
13 直進筒
13b 直進ガイド部
14 バリア部材
14a 回転軸
14b バネ引っ掛け部
14c レンズ鏡筒引っ掛け部
14e ゲート跡
14f 凸形状
15 バリア駆動部材
16 カバー部材
16a 撮影用開口部
17 バリア駆動バネ

Claims (5)

  1. 撮影光学系と、
    前記撮影光学系の光軸上に配置された撮影用開口部を覆うバリア閉じ位置と前記撮影用開口部から退避したバリア開き位置との間で移動するバリア部材と、
    前記バリア部材を回転可能に支持すると共に、前記バリア部材を前記バリア閉じ位置とするときに位置する駆動部材閉じ位置と、前記バリア部材を前記バリア開き位置とするときに位置する駆動部材開き位置との間を移動するように前記光軸まわりで回転可能に設けられたバリア駆動部材と、
    前記バリア駆動部材を前記駆動部材開き位置と前記駆動部材閉じ位置との間で回転可能に保持する鏡筒部材と、
    前記鏡筒部材の内周部において光軸に近づく側へ突出して設けられた当接部と、を備え、
    前記バリア部材は、当該バリア部材が開くときに前記鏡筒部材に引っ掛かる引っ掛け部と、前記鏡筒部材に面した側面に凸形状の部分を有し、該凸形状の部分と前記バリア部材の回転軸との距離は、前記引っ掛け部と前記バリア部材の回転軸との距離よりも大きくされており、
    前記当接部は、前記バリア部材が前記バリア閉じ位置にあるときには当接せず、前記バリア部材が前記バリア開き位置にあって前記バリア駆動部材が前記駆動部材閉じ位置にあるときに前記バリア部材の前記凸形状の部分に当接して、前記バリア部材を前記バリア閉じ位置の方向へ移動させること、
    を特徴とするレンズ鏡筒。
  2. 前記鏡筒部材は、前記バリア部材が前記バリア開き位置にあるときに前記バリア部材が収納される収納空間を確保する形状に形成されており、
    前記鏡筒部材に対して光軸方向に相対移動が可能であり、前記バリア駆動部材が前記駆動部材閉じ位置にあるときに前記収納空間の少なくとも一部に侵入する移動部材を備え、
    前記当接部が前記バリア部材に当接して前記バリア部材を前記バリア閉じ位置方向へ移動させる移動量は、少なくとも前記移動部材が侵入する前記収納空間から前記バリア部材が退避する移動量であること、
    を特徴とする請求項に記載のレンズ鏡筒。
  3. 前記バリア駆動部材が前記駆動部材開き位置から前記駆動部材閉じ位置へと移動するときに、
    前記当接部が前記バリア部材に当接することにより前記収納空間から前記バリア部材が退避する移動は、前記移動部材が前記収納空間に侵入するよりも先に行われること、
    を特徴とする請求項に記載のレンズ鏡筒。
  4. 前記バリア部材と前記鏡筒部材との間には、前記バリア部材を前記バリア閉じ位置の方向に付勢するバリア駆動バネが設けられており、
    前記バリア部材は、前記バリア駆動部材の閉じ方向への移動にしたがい前記バリア駆動バネの付勢力により前記バリア閉じ位置へ移動するように構成されており、
    前記当接部は、前記バリア部材が前記バリア駆動バネの付勢力により前記バリア閉じ位置へ移動することを妨げられているときに、前記バリア部材に当接すること、
    を特徴とする請求項1から請求項までのいずれか1項に記載のレンズ鏡筒。
  5. 請求項1から請求項までのいずれか1項に記載のレンズ鏡筒と、
    前記レンズ鏡筒により結像する被写体像を撮像する撮像部と、
    を備える撮像装置。
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