以下、本発明の一実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
本実施形態の電子筆記装置である手書き入力装置1は、図1(a)に示すように、電子記録端末である座標検出装置3を有する。使用時には、操作者が、電子筆記具である電子ペン2を持つ。電子ペン2は、筆記具としての機能に加え、入力される位置座標、すなわち座標データの入力手段として機能する。
図1(a)、図1(b)、及び図1(c)に示すように、座標検出装置3は、ノート30を略覆うように所定の第1方向(図1(b)中左右方向)に見開き可能な形状に構成された、可塑性部材からなるシート体10を有している。なお、以下の説明においては、上記の見開き形状にシート体10が設置された状態(図1(b)の状態)を基準として、第1方向(図1(b)中左右方向)を第1方向4と定義し、第1方向4と直行する第2方向(図1(b)中上下方向)を第2方向5と定義する。
シート体10は、左側シート部10Lと、右側シート部10Rと、上記第1方向4の中央部に位置する折り曲げ部10Tとを備えている。左側シート部10Lは、上記第1方向4に沿って折り曲げ部10Tの一方側(図1(b)中左側)に設けられ、左側コイルシート100Lを備えている。右側シート部10Rは、上記第1方向4に沿って折り曲げ部10Tの他方側(図1(b)中右側)に設けられ、右側コイルシート100Rを備えている。折り曲げ部10Tは、操作者により折り曲げ可能な部分である。
図1(b)及び図1(c)に示すように、左側シート部10Lの上記第1方向4における折り曲げ部10Tと反対側の端部、すなわち左端部に、制御回路部ケース25が設けられている。なお、制御回路部ケース25は、右側シート部10Rの上記第1方向4における折り曲げ部10Tと反対側の端部、すなわち右端部に設けられていてもよい。制御回路部ケース25には、制御回路部20及び電池21が収納されている。そして、略ノート形状の被筆記体である、上記第1方向4に見開き可能な形状のノート30が、上記シート体10に重なるように配置されている。なお、上記左側シート部10L及び右側シート部10Rに、図1(a)に示すようなノート保持部11がそれぞれ設けられていてもよい。これにより、座標検出装置3を容易かつ確実にノート30と一体化することができ、操作者による取り扱い性を向上することができる。
操作者は、電子ペン2を用いて、ノート30の左筆記面31Lや右筆記面31Rに手書きの所望の文字列等を筆記する。この筆記動作に対応した電子ペン2の移動により、筆記された文字列等に対応した後述のストロークデータが生成され、その生成されたストロークデータが電子ファイルに保存される。その際、操作者は、実際にインクを用いてノート30の左筆記面31Lや右筆記面31R等にページを切り替えながら筆記が行われるのと同様、電子ファイルのページ切り替え、すなわちページ進み又はページ戻しを行いながら保存することができる(後述)。この電子ファイルのページ切り替えは、ページ切替キー77,78(後述の図2参照)の操作によって行われる。なお、左筆記面31L及び右筆記面31Rが、それぞれ各請求項に記載の第1筆記部、第2筆記部に相当し、またそれらを合わせて各請求項に記載の筆記部に相当する。
また、座標検出装置3には、ページめくり検出手段としてのめくり検出部76が備えられている。このめくり検出部76は、略直方体形状のアーム76aを有している。めくり検出部76の左側端部は上記制御回路部ケース25に固定され、めくり検出部76の右側端部はノート30の左筆記面31Lの左側縁部に重複するように設けられている。これにより、見開いた状態のノート30の左筆記面31Lに位置する複数枚の用紙、この例では紙媒体は、当該めくり検出部76のアーム76aと左側シート部10Lとの間に挟持される。
この例では、当該ノート30は概略的に左閉じで製本されている。つまり、操作者は、右筆記面31Rに位置する用紙を左側へめくることでページを進め、左筆記面31Lに位置する用紙を右側へめくることでページを戻す。操作者は、ノート30に対してページを進めるめくり操作を行う場合には、用紙をめくり検出部76のアーム76aと左側シート部10Lとの間に挿入する操作を行う。操作者は、ページを戻すめくり操作を行う場合には、めくり検出部76のアーム76aと左側シート部10Lとの間から用紙を抜き出す操作を行う。めくり検出部76は、このような用紙の挿入と抜き出しを検出することで、ページのめくり方向を判別することができる。なお、このめくり検出部76の詳細な構成については、後述の図4で説明する。
操作者が手書き入力装置1を使用する際には、電子ペン2に備えられた図示しない電源スイッチがオンされる。電子ペン2は、図2に示すように、先端に設けられたペン先2aと、ペン先2aの筆記面31への接触状態に応じて動作する先端スイッチ42と、信号生成手段であるLC発振回路41及び磁界印加用コイル44と、電池43とを有する。
磁界印加用コイル44は、LC発振回路41と電気的に接続されており、位置検出用の筆記信号として、交番磁界(以下適宜、単に「磁界」と称する)を送信する。
先端スイッチ42は、ペン先2aの筆記面31L,31Rへの接触状態に応じて動作する。先端スイッチ42は、磁界印加用コイル44からの磁界の送信と停止を切り替えるための指令信号S0を、LC発振回路41に対して出力する。この先端スイッチ42は、操作者が文字等を筆記するために、ペン先2aを筆記面31L,31Rに押しつけた、すなわちペンダウンしたときに、オンとなる。この場合、LC発振回路41に対して指令信号S0が出力される。一方、操作者が文字等の筆記を止め、ペン先2aを筆記面31L,31Rから離した、すなわちペンアップしたときに、先端スイッチ42はオフとなる。この場合、LC発振回路41に対して指令信号S0は出力されない。
LC発振回路41は、先端スイッチ42から上記指令信号S0が入力されることによって、交番磁界(以下適宜、単に「磁界」と称する)を発生し、上記磁界印加用コイル44を介して送信する。交番磁界は、筆記面31L,31Rへの筆記内容に対応したデータ入力を行うための筆記信号として機能する。
電池43は、電子ペン2の電源スイッチがオンにされることで、LC発振回路41に電力を供給する。
座標検出装置3は、図2に示すように、コイルシート100L,100Rと、制御回路部20と、電池21とを有する。
コイルシート100L,100Rは、図3に示すように、センスコイル部110を含む。すなわち、図3に示すように配置されたセンスコイル部110が、例えば外形が長方形の薄板状に樹脂成形されることにより、コイルシート100L,100Rが構成されている。なお、コイルシート100Lに備えられるセンスコイル部110が、各請求項記載の第1コイルに相当し、コイルシート100Rに備えられるセンスコイル部110が、各請求項記載の第2コイルに相当し、それらを合わせて各請求項記載のコイルに相当する。
センスコイル部110は、図3に示すように、上記第1方向4に対応したx軸方向に配列されたm個のループ状のセンスコイルX1〜Xmと、上記第2方向5に対応したy軸方向に配列されたn個のループ状のセンスコイルY1〜Ynとによって構成されている。センスコイルX1〜Xmと、センスコイルY1〜Ynとは、直交した位置関係で配置されている。また、センスコイルX1〜Xm,Y1〜Ynは、例えば表面に絶縁被膜層が形成された銅線によって形成されている。また、センスコイルX1〜Xm,Y1〜Ynは、電子ペン2のLC発振回路41から発生し磁界印加用コイル44から送信された磁界に対応して、電子ペン2から座標検出装置3に情報を入力するための信号S1(図2参照)を発生する。すなわち、電子ペン2は、座標検出装置3に対し、情報送信可能に接続されている。また、センスコイルX1〜Xm,Y1〜Ynは、図示及び説明を省略する引き出し線により後述のマルチプレクサ62に接続されている。
センスコイルX1〜Xmは、それぞれ、x軸方向の幅P1の辺とP1より長いy軸方向の長さP2の辺とを備えた、略長方形状に形成されている。センスコイルX1〜Xmのそれぞれは、所定の一定ピッチでx軸方向に連続して配列されている。例えば、隣接するセンスコイルX1〜Xmは、P1の2分の1のピッチでそれぞれ重ねられている。
センスコイルY1〜Ynは、それぞれ、x軸方向の幅P3の辺とP3より短いy軸方向の長さP1の辺とを備えた、略長方形状に形成されている。センスコイルY1〜Ynのそれぞれは、所定の一定ピッチでy軸方向に連続して配列されている。例えば、隣接するセンスコイルY1〜Ynは、P1の2分の1のピッチでそれぞれ重ねられている。
なお、図3では、視覚的にわかりやすくするため、便宜上、センスコイルX1〜XmとセンスコイルY1〜Ynとの各辺がそれぞれ重ならないようにしており、上記ピッチで配列された状態では図示されていない。また、マルチプレクサ62に入る引出線を省略してセンスコイルX1〜Xm,Y1〜Ynの形状を図示している。
図2に戻り、制御回路部20は、マイコン80と、マルチプレクサ62(以下適宜、「MUX62」と称する)と、増幅回路64と、整流回路66と、フラッシュメモリ72と、通信インターフェース73と、表示部74と、めくり検出部76と、操作手段であるページ「進み」キー77及びページ「戻り」キー78とを有する。
マイコン80は、座標検出装置3で実行される各種の処理を制御する。マイコン80では、CPU80aと、ROM80bと、RAM80cと、その他のA/D変換機能部や割り込み機能部等とが、一つの集積回路として構成されている。
MUX62は、マイコン80からのコイル選択信号S3に基づき、センスコイル部110のセンスコイルX1〜Xm,Y1〜Ynのうち、1つのセンスコイルを順番に選択する。そして、MUX62は、選択されたセンスコイルX1〜Xm,Y1〜Ynにおいて、電子ペン2のLC発振回路41から発生される磁界との磁気誘導によって発生した上記信号S1を入力し、対応する信号S11を増幅回路64へ出力する。なお、センスコイルX1〜Xm,Y1〜Ynが、電子ペン2のLC発振回路41から発生された磁界と磁気誘導することが、実質的には、磁界を受信することに相当する。
増幅回路64は、MUX62から入力される信号S11を増幅する。増幅回路64で増幅された信号S13は、整流回路66に入力される。整流回路66は、増幅回路64から入力された信号S13を振幅検波した後、平滑化して直流信号に変換する。整流回路66で振幅検波された信号S14は、マイコン80に入力される。マイコン80は、前述したようにA/D変換機能を備えており、上記入力された振幅検波後の信号S14をデジタル信号に変換する。このとき、マイコン80の上記ROM80bには、特に図示しない位置座標テーブルが記憶されている。マイコン80は、上記デジタル信号に対し、位置座標テーブルを適用することにより、電子ペン2とノート30との接触点の座標データ(以下適宜、単に「電子ペン2の座標データ」という)、すなわち、x軸方向のx座標及びy軸方向のy座標を算出する。なお、算出された座標データはフラッシュメモリ72に記憶される。
フラッシュメモリ72には、電子ファイルが予め用意されており、マイコン80で算出された複数の座標データを含むペン位置データ列に基づくストロークデータ等が、上記電子ファイルに書き込まれ、後述のページ番号に対応して保存される。
通信インターフェース73は、フラッシュメモリ72に保存された複数の座標データを含む後述のペン位置データ列に基づくストロークデータを、例えば図示するようなパーソナルコンピュータPCなどの外部装置に提供するためのインターフェースである。具体的には、通信インターフェース73は、例えばUniversal Serial Bus(USB)接続のためのUSBインターフェースや、SDカードなどのメモリカードスロットや、無線又は有線のネットワークインターフェースである。
表示部74は、例えば液晶(Liquid Crystal Display、LCD)によって構成されている。表示部74は、電池21の残量など、座標検出装置3の動作状態に係わる所定の情報を、表示する。
ページ「進み」キー77及びページ「戻り」キー78は、電子ファイルのページ切り替え、すなわちページ進み又はページ戻しを、操作者が指示するためのキーである。
電池21は、座標検出装置3に備えられた図示しない電源スイッチがオンにされることで、マイコン80等に電力を供給する。
上記めくり検出部76は、図4に示すように、ベース部91と、台座部92と、付勢バネ93と、アーム76aと、ローラ94と、ロータリエンコーダ95とを有している。ベース部91の一端に台座部が直立して固定され、この台座部92の上端に上記アーム76aの一端が揺動可能に軸支されている。アーム76aは付勢バネ93によりベース部91に向けて回動する方向に付勢されている。アーム76aの自由端の内部にはローラ94が回転可能に設けられている。ローラ94の下方側面が、アーム76aの下面から露出してベース部91の上面に対向している。また、ローラ94の回転軸にはロータリエンコーダ95が設けられている。ロータリエンコーダ95は、例えば同軸で周期を1/4ずらした二重のスリットを備えており(特に図示せず)、これによってローラ94の回転方向を検出できる。
このような構成のめくり検出部76が、上記図1に示すようにして座標検出装置3に設けられている。このとき、ベース部91が、制御回路部ケース25と左側シート部10Lに渡るよう固定されている。これにより、ノート30の左筆記面31Lに位置する複数枚の用紙が、ローラ94の下方側面とベース部91の上面との間に挟持される。そして、上述したように、ページを進めるめくり操作を行う場合には、操作者は、用紙をローラ94とベース部91との間に挿入し、これによってローラ94が図中における時計回転方向に回転する。また、ページを戻すめくり操作を行う場合には、操作者はローラ94とベース部91の間から用紙を抜き出し、これによってローラ94が図中における反時計回転方向に回転する。このようにして、めくり検出部76は、ノート30におけるページのめくり方向を検出できる。また、このめくり検出部76は、めくられた枚数が1枚であるか複数枚であるかを区別して検出可能である。
(A)本実施形態の手法原理
(A−1)ページめくり動作と追記に伴う最新ページの判定
上記構成の本実施形態の特徴は、操作者により追記が行われる際の処理内容にある。すなわち、操作者が、自らの意志で、ノート30の最新ページからページを戻して電子ペン2により追記を行い、当該追記に対応したストロークデータ(以下適宜、「第1ストロークデータ」と称する。詳細は後述)を入力する。その後、操作者がページを進めて再度電子ペン2により筆記を行い、当該筆記に対応したストロークデータ(以下適宜、「第2ストロークデータ」又は「第3ストロークデータ」と称する。詳細は後述)を入力する。このとき、本実施形態では、当該第2ストロークデータ又は第3ストロークデータが、元の最新ページのページ位置で行われたか否かが判定される。なお、本実施形態では、進み方向へのめくり動作を行う度に、上記第1ストロークデータから、第2ストロークデータ、第3ストロークデータ、の順で、ストロークデータの名称を切り替えて称する。
まず、操作者がノート30に対し順次記載を行っていくときの実際の記載ページと同等のページ番号が、当該記載に対応したストロークデータに対しても順次付与される。このように、操作者がノート30に対して最新ページへ順次記載を行っていくとき(以下、このような記載を行うことを「最新書き込み」という)、操作者が、自らの意志で、ノート30のページを最新ページから戻し方向にめくって過去のページにさかのぼって追記を行う場合がある(以下、このような追記を行うことを「追記書き込み」という)。追記書き込みが終わった場合には、操作者は、ノート30のページを進み方向に戻して、ノート30を元ページすなわち最新のページに戻す。但し、追記書き込みを複数ページにわたって行う場合には、操作者は、ページを進み方向に戻しつつ、追記書き込みの対象となるそれら複数のページのすべてに対して順次追記書き込みを終わらせた後、ノート30を上記最新のページに戻す。なお、上記の最新書き込みのストロークデータが、各請求項記載の元ストロークデータに相当する。
ここで、上記の各最新書き込みや追記書き込みのストロークデータにそれぞれ対応するページ番号を付与して管理するためには、当該最新書き込みや追記書き込みがそれぞれ実際に行われたページ番号が、座標検出装置3のマイコン80により認識される必要がある。座標検出装置3のマイコン80がページ番号を正確に認識できるように、通常、操作者は、ノート30の用紙を1枚めくる度に、そのめくり方向に対応した「戻り」キー77又は「進み」キー78を押下してページの切り替えを入力する。
例えば、図5に示すように、4ページ目が最新のページである状態(図中の右側に示す状態)で、1ページ目に追記書き込みをする場合には、操作者は、左筆記面31Lに位置する1枚の用紙を右方向へめくる、戻し方向へのめくり動作を行うたびに「戻り」キー78を1回押下してこれを2回繰り返す。なお、図5では、戻し方向へのめくり動作を単に「戻しめくり」と略して示している(以下の各図において同様)。そして操作者が右筆記面31Rに位置する1ページ目に追記書き込みすることで(図中の網掛け部分)、対応する第1ストロークデータが座標検出装置3のマイコン80に入力される。このとき、最新ページである4ページ目から「戻り」キー78が2回押下されて右筆記面31Rに追記書き込みが行われた結果、座標検出装置3のマイコン80は、当該追記書き込みに対応する第1ストロークデータがノート30の1ページ目に対応して入力されたことを明確に認識することができる。その後に、右筆記面31Rに位置する1枚の用紙を右方向へめくる、進み方向へのめくり動作を行うたびに操作者が「進み」キー77を1回押下し、これを2回繰り返すことで、座標検出装置3のマイコン80は、最新ページである4ページ目を見開いた状態であることを認識することができる。なお、図5では、進み方向へのめくり動作を単に「進みめくり」と略して示している(以下の各図において同様)。
しかし、上記のような「戻り」キー78と「進み」キー77の押下操作はとても煩雑であり、急いで過去のページにさかのぼって追記書き込みを行う場合などには、操作者は、各キー77,78の押下操作を忘れる場合が多い。
そこで、本実施形態においては、上述したように、めくり動作を自動的に検出できるめくり検出部76が設けられている。しかし、上記めくり検出部76でも、操作者が、例えば、ノート30の用紙を複数枚同時にめくったり、急いでめくったりした等、めくり動作の態様によっては、めくり検出部76が上記ページめくり動作を正確に検出できない場合があり得る。
例えば、図6に示すように、10ページ目が最新ページである状態(図中の右上の状態)から、操作者が戻し方向へのめくり動作を繰り返して5ページ目に第1ストロークデータを追記書き込みし、その後に進み方向へのめくり動作を繰り返してから左筆記面31Lに第2ストロークデータを記載する場合がある。このような場合に、当該第2ストロークデータが記載されたページが6ページ目や8ページ目の途中ページであるか、最新ページの10ページ目であるかを、座標検出装置3のマイコン80は正確に認識できない。なお、途中ページとは、上記したように、追記書き込みが行われたページと最新ページとの間のページのことである(以下、同様)。これは、上記めくり検出部76の構成上、めくり方向を正確に検出できても、用紙のめくり枚数を検出する精度が低いことが一因である。つまり、現在、ノート30に対する操作者の追記書き込みが終了して元の最新ページに復帰した状態であるのか、ノート30に対する操作者の追記書き込みがまだ途中ページで行われている状態であるのか、を座標検出装置3のマイコン80が正確に認識できない可能性がある。
しかし、ページ単位でのストロークデータの管理を行う上では、少なくとも、進み方向のめくり動作後に入力されたストロークデータが、最新ページと途中ページのいずれに入力されたか、言い換えると最新書き込みであるか追記書き込みであるかの判別が必要である。以下、本実施形態の座標検出装置3のマイコン80が上記ページめくり動作及び追記書き込みに伴って実行する、最新ページを判定する手法について順を追って説明する。
まず、本実施形態の手法を実行する前提として、操作者によるノート30に対する最新書き込みは、必ず下記の2つの原則に従って行われる。すなわち、第1原則として、各ページにおいて必ず先詰めで筆記が行われる。つまり、ある1ページの筆記領域内において、各ページ上部の筆記開始領域や、各ページ上部及び下部以外の筆記途中領域に、空白を残したまま、その後の領域に筆記されることはない。また、1つのページの同じ筆記領域に重複しつつ複数回数筆記されることもない。次に、第2原則として、ページ単位でみた場合も、必ず先詰めで筆記が行われる。つまり、完全に空白のページを残したまま、その後のページに筆記されることはない。
(A−2)最新ページの不適合条件
まず、電子ペン2によりストロークデータが入力された際における、最新ページの不適合条件について説明する。ストロークデータの入力されたページが当該最新ページの不適合条件を満たした場合には、そのページは確実に最新ページでないと判定される。なお、これは同時に、上記途中ページであるための適合条件でもある。
(A−2−1)第1原則に反する場合
前述の第1原則に従った筆記態様では、左筆記面31Lに筆記が行われた後に右筆記面31Rに移り、右筆記面31Rの筆記が終わったらページがめくられて再び左筆記面31Lに筆記が行われる、という順序となる。したがって、最新書き込みのストロークデータが左筆記面31Lの途中で終了した状態で追記書き込みが行われた場合には、追記書き込みが完全に終了したら、第2ストロークデータは上記左筆記面31Lの途中領域から始まるか、当該左筆記面31Lの次のページに対応した右筆記面31Rの筆記開始領域から始まるはずである。あるいは、最新書き込みのストロークデータが右筆記面31Rの途中で終了した状態で追記書き込みが行われた場合には、追記書き込みが完全に終了したら、第2ストロークデータは上記右筆記面31Rの途中領域から始まるか、当該右筆記面31Rの次のページに対応した左筆記面31Lの筆記開始領域から始まるはずである。したがって、最新書き込みのストロークデータの終了点の位置と、第2ストロークデータの開始点の位置とは、密接な関係があるはずである。
そこで本実施形態においては、少なくとも上記に当てはまらない場合、例えば図7及び図8に示すように、第2ストロークデータが最新書き込みのストロークデータの続きの内容になっていない場合には、第2ストロークデータに対応付けるべきページ番号は最新ページ番号ではない、すなわち、追記書き込みが完全に終了した状態ではない、とみなされる。つまり、これらのような場合は、上記第1原則に反し、最新ページの不適合条件となる。この不適合条件を満たすよう第2ストロークデータが入力されたと判定されたページは、途中ページとして確定する。
(A−2−2)第2原則に反する場合(その1)
上述したように、最新書き込みのストロークデータが右筆記面31Rの途中で終了した状態で追記書き込みが行われた場合には、追記書き込みが完全に終了したら、第2ストロークデータは、上記右筆記面31Rの途中領域から始まるか、当該右筆記面31Rの次のページに対応した左筆記面31Lの筆記開始領域から始まるはずである。前者である右筆記面31Rの途中領域に復帰したとき、その右筆記面31Rへの筆記がすぐに終わった場合には、その次のページの左筆記面31Lから始まる前に、進み方向へのページめくりが行われる。このときめくられるページめくり数は1ページであるから、ページめくり数が複数ページである場合には、上記のような追記書き込み完了時の復帰の態様ではない。
そこで本実施形態においては、この点に着目し、上記進み方向へのページめくり数が複数ページであるか否かによって、第2ストロークデータに対応するページ番号が最新ページ番号であるか否かが判定される。例えば図9に示すように、少なくとも第2ストロークデータの生成が行われた後に実行されたページめくり数が、複数ページである場合には、第2ストロークデータに対応付けるべきページ番号は、最新ページ番号ではないとみなされる。つまり、このような場合は、上記第2原則に反し、最新ページの不適合条件となる。この不適合条件を満たすよう第2ストロークデータが入力されたと判定されたページは、途中ページとして確定する。
(A−2−3)第2原則に反する場合(その2)
上述したように、ページ進み方向へのページめくり動作の後に生成される第2ストロークデータが、左筆記面31Lより開始された場合、筆記が進んでその次のページに対応した右筆記面31Rに移り、さらに筆記が進むと操作者によりページめくり動作が行われ、さらにその次のページに対応した左筆記面31Lに移る。この場合、少なくとも、第2ストロークデータの終了点は右筆記面31Rに位置し、第3ストロークデータの開始点は左筆記面31Lに位置するはずである。あるいは、ページ進み方向へのページめくり動作の後に生成される第2ストロークデータが右筆記面31Rより開始された場合、筆記が進むと操作者によりページめくり動作が行われ、その次のページに対応した左筆記面31Lに移る。さらに筆記が進むとさらにその次のページに対応した右筆記面31Rに移る。この場合、少なくとも、第2ストロークデータの終了点は右筆記面31Rに位置し、めくり動作後に生成される第3ストロークデータの開始点は左筆記面31Lに位置するはずである。
そこで本実施形態においては、この点に着目し、上記第2ストロークデータの開始点及び終了点と第3ストロークデータの開始点とが比較され、その比較結果を用いて、第2ストロークデータのページ番号を最新ページ番号とするか否かが判定される。例えば、図10に示すように、第2ストロークデータの開始点及び終了点が左筆記面31Lにあって第3ストロークデータの開始点も左筆記面31Lにあった場合には、第2ストロークデータに対応付けるべきページ番号は最新ページ番号ではないとみなされる。また、図11に示すように、第2ストロークデータの開始点及び終了点が右筆記面31Rにあって第3ストロークデータの開始点も右筆記面31Rにあった場合も、第2ストロークデータに対応付けるべきページ番号は最新ページ番号ではないとみなされる。すなわち、追記書き込みが完全に終了した状態ではない、とみなされるのである。つまり、これらのような場合は、上記第2原則に反し、最新ページの不適合条件となる。この不適合条件を満たすよう第2ストロークデータが入力されたと判定されたページは、途中ページとして確定する。
(A−3)最新ページ適合条件
次に、ストロークデータが入力された際に、最新ページの適合条件について説明する。ストロークデータの入力されたページが当該最新ページの適合条件を満たした場合には、そのページは確実に最新ページであると判定される。
(A−3−1)2回実行された進み方向へのめくり動作の間に入力された第2ストロークデータが、左筆記面と右筆記面のそれぞれの筆記開始領域から始まる場合
上述したように、最新書き込みのストロークデータが右筆記面31Rの途中で終了した状態で追記書き込みが行われた場合に、追記書き込み終了時に送り方向へのページめくり後に生成される第2ストロークデータは、上記右筆記面31Rの次のページに対応した左筆記面31Lの筆記開始領域から始まる場合がある。そのようにして左筆記面31Lの筆記開始領域から始まった第2ストロークデータが、さらに続くとその次のページに対応した右筆記面31Rへと移る。この右筆記面31Rへの筆記が終了すると、操作者によって送り方向へのページめくりが行われる。
そこで本実施形態においては、この点に着目し、上記2つの進み方向へのページめくりの間に生成される第2ストロークデータの筆記領域に基づいて、第2ストロークデータのページ番号を最新ページ番号とするか否かが判定される。例えば、図12中のAルートに示すように、2回実行されたページめくり動作の間に生成された第2ストロークデータの開始点が左筆記面31Lの筆記開始領域で、右筆記面31Rでの開始点も筆記開始領域であった場合には、第2ストロークデータに対応付けるべきページ番号は最新ページ番号であるとみなされる。すなわち、最新書き込みが完全に終了した状態である、とみなされる。つまり、このような場合は、最新ページの適合条件となる。この適合条件を満たすよう第2ストロークデータが入力されたと判定された際には、当該第2ストロークデータが入力された右筆記面31Rのページは、現行の最新ページとして確定する。
(A−3−2)第3ストロークデータの開始点が左筆記面の筆記開始領域であった場合
上述したように、最新書き込みのストロークデータが左筆記面31Lの途中で終了した状態で追記書き込みが行われた場合に、追記書き込み終了時に送り方向へのページめくり後に第2ストロークデータが上記左筆記面31Lの途中から開始される場合がある。その際、さらに筆記が進んで次のページに対応した右筆記面31Rへと移った後、操作者によるページめくり操作があり、その後さらに次のページに対応した左筆記面31Lから第3ストロークデータが開始される場合がある。なお、第2ストロークデータは、上記右筆記面31Rの筆記開始領域から開始されてもよい。あるいは、上述したように、最新書き込みのストロークデータが右筆記面31Rの途中で終了した状態で追記書き込みが行われた場合に、追記書き込み終了時に送り方向へのページめくり後に第2ストロークデータが上記右筆記面31Rの途中から開始される場合がある。その際、さらに筆記が進んで、操作者によるページめくり操作があり、さらに次のページに対応した左筆記面31Lから第3ストロークデータが開始される場合がある。上記2つの場合は、いずれも、第3ストロークデータは、左筆記面31Lの筆記開始領域から開始される。
そこで本実施形態においては、この点に着目し、上記進み方向へのページめくりの後に生成される第3ストロークデータの筆記領域に基づいて、第2ストロークデータのページ番号を最新ページ番号とするか否かが判定される。例えば、前述の図12のBルートや図13に示すように、ページめくり動作の後に生成された第3ストロークデータの開始点が左筆記面31Lの筆記開始領域であった場合には、第3ストロークデータの終了点に対応付けるべきページ番号は最新ページ番号であるとみなされる。すなわち、追記書き込みが完全に終了した状態である、とみなされる。つまり、これらのような場合は、最新ページの適合条件となる。この適合条件を満たすよう第3ストロークデータが入力されたと判定された際、当該第3ストロークデータの終了点のページは、現行の最新ページとして確定する。
(B)本実施形態の手法原理を実現するフローチャート
以上説明したような手法原理を実現するために、座標検出装置3のマイコン80のCPU80aによって実行される処理の制御内容を、図14〜図18を用いて説明する。なお、最新ページを開いた状態で、座標検出装置3の電源がオンにされることにより、このフローが開始される。
図14において、まずステップSS5で、CPU80aは、めくり検出部76が戻し方向のめくり動作を検出したか否かを判定する。戻し方向へのめくり動作が検出された場合、判定が満たされ、図15のステップSS30へ移る。一方、戻し方向へのめくり動作が検出されていない場合、ステップSS5の判定が満たされず、ステップSS10へ移る。
ステップSS10では、CPU80aは、コイルシート100L,100Rに備えられたセンスコイル部110のスキャン処理を開始する。センスコイル部110のスキャン処理が実行されている間は、センスコイルX1〜XmとセンスコイルY1〜Ynとを順番に選択するコイル選択信号S3が、MUX62へ出力される。これにより、電子ペン2の先端スイッチ42がオンの状態でLC発振回路41から発生された磁界と、いずれかのセンスコイルX1〜Xm,Y1〜Ynとの磁気誘導によって信号S1(図2参照)が発生される。そして、前述したように、信号S1が発生している状態においてMUX62により選択されたセンスコイルX1〜Xm,Y1〜Ynからの信号S1は、MUX62へ入力される。MUX62は、その入力した信号S1に対応した信号S11(図2参照)を増幅回路64へ出力する。信号S11は、増幅回路64によって増幅され、増幅後の信号S12(図2参照)が整流回路66で整流され、当該整流信号14がマイコン80に入力される。マイコン80のCPU80aは、このコイルスキャン結果、すなわち、センスコイルX1〜Xm,Y1〜Ynでの磁界の受信結果に基づき、公知の適宜の手法により、電子ペン2の座標データ(x,y)の取得すなわち算出を行う。本実施形態では、この座標データの算出は、マイコン80のROM80bに記憶された位置座標テーブルを用いて行われる。そしてCPU80aは、上記座標データを複数算出し、それらに基づいて電子ペン2によるノート30の筆記面31L,31Rへの記載に対応したストロークデータを生成する。
その後、ステップSS15に移り、CPU80aは、上記ステップSS10で生成したストロークデータが、予め定められた一定量以上に達しているか否かを判定する。まだ一定量以上のストロークデータが生成されていない場合、判定は満たされず、上記ステップSS5に戻り、同様の手順を繰り返す。一方、操作者がノート30に対して意図的に筆記を行ったと認められるほどのストロークデータが生成された場合、ステップSS15の判定が満たされ、ステップSS20へ移る。
ステップSS20では、CPU80aは、上記ステップSS10で生成したストロークデータが入力された筆記面における筆記領域を算出する。言い換えるとCPU80aは、当該ストロークデータの開始点と終了点を算出し、それらの間の領域を演算する。そして、CPU80aは、当該ストロークデータとその筆記領域のデータとに対し、前述の手法により確定した確定ページに対応するページ番号を付与し、フラッシュメモリ72に保存する。なお、このステップSS20を実行する時点では、当該ストロークデータが入力されたページが上記最新ページであるか、若しくは上記途中ページであるか、が既に確定している。例えば、電源投入直後や、後述のステップSS165又はステップSS235から上記ステップSS5へ移っていた場合は、ストロークデータが入力されたページは最新ページであると確定している。また、後述のステップSS85から上記ステップSS5へ移っていた場合には、ストロークデータが入力されたページは、それまでに「進み」キー77又は「戻り」キー78で指定された途中ページであると確定している。
その後、ステップSS25に移り、CPU80aは、適宜の操作手段を介してこのフローを終了するよう指示する操作が入力されたか否かを判定する。終了操作が入力されていない場合、判定は満たされず、ステップSS5へ戻って同様の手順を繰り返す。終了操作が入力されている場合、ステップSS25の判定が満たされ、このフローを終了する。
一方、図15において、ステップSS30では、CPU80aは、上記ステップSS5で戻し方向へのめくり動作が検出される直前の、最新書き込みのストロークデータの終了点の位置座標(A)をRAM80cに保存する。
その後、ステップSS35では、CPU80aは、「戻り」キー78が押下されているか否かを判定する。「戻り」キー78が押下されている場合、判定が満たされ、ステップSS40へ移る。
ステップSS40では、CPU80aは、電子ファイル上のデータを、上記ステップSS35で判定された「戻り」キー78の押下回数により指定されたページの見開き状態に設定し、後述のステップSS60へ移る。
一方、上記ステップSS35の判定において、「戻り」キー78が押下されていない場合、判定が満たされず、ステップSS45へ移る。
ステップSS45では、CPU80aは、上記ステップSS10と同様の制御により、コイルスキャンを行う。なお、このステップSS45のコイルスキャンにより生成されるストロークデータが、第1ストロークデータに相当する。
その後、ステップSS50に移り、CPU80aは、上記ステップSS45で生成した第1ストロークデータが前述と同様の一定量以上に達しているか否かを判定する。一定量以上のストロークデータが生成されていない場合、判定は満たされず、上記ステップSS35に戻り同様の手順を繰り返す。一方、生成したストロークデータが一定量以上に達している場合、ステップSS50の判定が満たされ、ステップSS55へ移る。
ステップSS55では、CPU80aは、上記ステップSS45で生成したストロークデータが入力された筆記面における筆記領域を算出する。言い換えるとCPU80aは、当該ストロークデータの開始点と終了点を算出し、それらの間の領域を演算する。そして、CPU80aは、当該第1ストロークデータとその筆記領域のデータに対し、追記書き込み用の仮ページのページ番号を付与し、フラッシュメモリ72に追記データとして保存する。なお、上記仮ページのページ番号は、予め適宜のナンバリングにて設定され適宜の箇所に記憶されている。
その後、ステップSS60に移り、CPU80aは、めくり検出部76が進み方向のめくり動作を検出したか否かを判定する。進み方向へのめくり動作が検出された場合、判定が満たされ、図16に示すステップSS80へ移る。一方、進み方向へのめくり動作が検出されていない場合、ステップSS60の判定は満たされず、ステップSS65へ移る。
ステップSS65では、CPU80aは、上記ステップSS10と同様の制御により、コイルスキャンを行う。
その後、ステップSS70に移り、CPU80aは、上記ステップSS65で生成したストロークデータが上記同様の一定量以上に達しているか否かを判定する。一定量以上のストロークデータが生成されていない場合、判定は満たされず、上記ステップSS60に戻り同様の手順を繰り返す。一方、生成したストロークデータが一定量以上に達している場合、ステップSS70の判定が満たされ、ステップSS75へ移る。
ステップSS75では、CPU80aは、上記ステップSS65で生成したストロークデータが入力された筆記面における筆記領域を算出する。言い換えるとCPU80aは、当該ストロークデータの開始点と終了点を算出してその間の領域を演算する。そして、CPU80aは、当該ストロークデータとその筆記領域のデータに対し、上記同様、追記書き込み用の仮ページのページ番号を付与してフラッシュメモリ72に保存する。その後、ステップSS60に戻り同様の手順を繰り返す。
一方、図16において、ステップSS80では、CPU80aは、「進み」キー77が押下されているか否かを判定する。「進み」キー78が押下されている場合、判定が満たされ、ステップSS85へ移る。
ステップSS85では、CPU80aは、電子ファイル上のデータを、上記ステップSS80で判定された「進み」キー77の押下回数により指定されたページの見開き状態に設定し、前述のステップSS5へ移る。
一方、上記ステップSS80の判定において、「進み」キー77が押下されていない場合、判定が満たされず、ステップSS90へ移る。
ステップSS90では、CPU80aは、上記ステップSS10と同様の制御により、コイルスキャンを行う。なお、このステップSS90のコイルスキャンにより生成されるストロークデータは、第2ストロークデータに相当する。
その後、ステップSS95に移り、CPU80aは、上記ステップSS90で生成した第2ストロークデータが上記同様の一定量以上に達しているか否かを判定する。一定量以上のストロークデータが生成されていない場合、判定は満たされず、上記ステップSS80に戻り同様の手順を繰り返す。一方、生成したストロークデータが一定量以上に達している場合、判定が満たされ、ステップSS100へ移る。
ステップSS100では、CPU80aは、上記ステップSS90で生成した第2ストロークデータが入力された筆記面における筆記領域を算出する。言い換えるとCPU80aは、当該第2ストロークデータの開始点と終了点を算出してその間の領域を演算する。そして、当該ストロークデータとその筆記領域のデータに対し、上記同様、追記書き込み用の仮ページのページ番号を付与してフラッシュメモリ72に保存する。
その後、ステップSS105に移り、CPU80aは、上記ステップSS60で進み方向へのめくり動作が検出された直後の追記書き込み、つまり上記第2ストロークデータの開始点の位置座標(B)をRAM80cに保存する。
その後、ステップSS110に移り、CPU80aは、上記ステップSS30で保存した位置座標(A)と、上記ステップSS105で保存した位置座標(B)との比較を行う。
その後、ステップSS115に移り、CPU80aは、上記ステップSS110での比較に基づいて、最新ページの不適合条件を満たすか否かを判定する。具体的には、CPU80aは、位置座標(B)が位置座標(A)の左右反対側の筆記面の途中領域に位置していることで、上記(A−2−1)で説明した条件を満たしているか否か、言い換えれば前述の第1原則に反しているか否か、を判定する。(A−2−1)の条件を満たしている場合、判定が満たされ、ステップSS120へ移る。
ステップSS120では、CPU80aは、上記ステップSS90で生成された第2ストロークデータが入力されたページを、上記途中ページであると確定し、前述のステップSS60へ移る。
一方、上記ステップSS115の判定において、(A−2−1)の条件を満たしていない場合、判定は満たされず、ステップSS125へ移る。
ステップSS125では、CPU80aは、めくり検出部76が進み方向のめくり動作を検出したか否かを判定する。進み方向へのめくり動作が検出された場合、判定が満たされ、図17に示すステップSS145へ移る。一方、進み方向へのめくり動作が検出されていない場合、ステップSS125の判定が満たされず、ステップSS130へ移る。
ステップSS130では、CPU80aは、上記ステップSS10と同様の制御により、コイルスキャンを行う。なお、このステップSS130のコイルスキャンにより生成されるストロークデータは、第2ストロークデータに相当する。
その後、ステップSS135に移り、CPU80aは、上記ステップSS130で生成した第2ストロークデータが前述と同様の一定量以上に達しているか否かを判定する。一定量以上のストロークデータが生成されていない場合、判定は満たされず、上記ステップSS125に戻り同様の手順を繰り返す。一方、生成したストロークデータが一定量以上に達している場合、ステップSS135の判定が満たされ、ステップSS140へ移る。
ステップSS140では、CPU80aは、上記ステップSS130で生成した第2ストロークデータが入力された筆記面における筆記領域を算出する。言い換えるとCPU80aは、当該第2ストロークデータの開始点と終了点を算出して、それらの間の領域を演算する。そして、CPU80aは、当該ストロークデータとその筆記領域のデータに対し、追記書き込み用の仮ページのページ番号を付与してフラッシュメモリ72に保存する。その後、ステップSS125に戻り同様の手順を繰り返す。
一方、図17において、ステップSS145では、CPU80aは、上記ステップSS125で検出した進み方向へのめくり動作が、複数枚のめくり動作であったか否かを判定する。すなわち、上記ステップSS125のタイミングで複数枚の進み方向へのめくり動作が検出されているか否かにより、CPU80aは、このステップSS145で、上記(A−2−2)で説明した上記第2原則に反しているか否かを判定する。進み方向へのめくり動作が複数枚で行われ(A−2−2)の条件が満たされている場合、ステップSS145の判定が満たされ、ステップSS150へ移る。
ステップSS150では、CPU80aは、上記ステップSS130で生成されたストロークデータが入力されたページを、上記途中ページであると確定し、前述のステップSS60へ移る。
一方、上記ステップSS145の判定において、進み方向へのめくり動作が1枚のめくり動作であった場合、判定は満たされず、ステップSS155へ移る。
ステップSS155では、CPU80aは、一つ前の進み方向へのめくり動作が検出されてから、直前の上記ステップSS125での進み方向へのめくり動作が検出されるまでの間に入力された、第2ストロークデータを検証する。
その後、ステップSS160に移り、CPU80aは、上記ステップSS155での検証に基づいて、最新ページの適合条件を満たすか否かを判定する。具体的には、CPU80aは、2回実行されたページめくり動作の間に生成された第2ストロークデータの開始点が左筆記面31Lの筆記開始領域で、右筆記面31Rでの開始点も筆記開始領域であって、上記(A−3−1)の条件を満たしているか否かを判定する。(A−3−1)の条件を満たしている場合、判定が満たされ、ステップSS165へ移る。
ステップSS165では、CPU80aは、上記ステップSS90及びステップSS130で生成された第2ストロークデータが入力された右筆記面31Rを、現行の最新ページであると確定し、前述のステップSS5へ移る。
一方、上記ステップSS160の判定において、(A−3−1)の条件を満たしていない場合、判定は満たされず、ステップSS170へ移る。
ステップSS170では、CPU80aは、上記ステップSS10と同様の制御により、コイルスキャンを行う。なお、このステップSS170のコイルスキャンにより生成されるストロークデータは、第3ストロークデータに相当する。
その後、ステップSS175に移り、CPU80aは、上記ステップSS170で生成した第3ストロークデータが前述と同様の一定量以上に達しているか否かを判定する。一定量以上のストロークデータが生成されていない場合、判定は満たされず、上記ステップSS170に戻り同様の手順を繰り返す。一方、生成したストロークデータが一定量以上に達している場合、ステップSS175の判定が満たされ、ステップSS180へ移る。
ステップSS180では、CPU80aは、上記ステップSS170で生成した第3ストロークデータが入力された筆記面における筆記領域を算出する。言い換えるとCPU80aは、当該第3ストロークデータの開始点と終了点を算出して、その間の領域を演算する。そして、CPU80aは、当該ストロークデータとその筆記領域のデータに対し、追記書き込み用の仮ページのページ番号を付与してフラッシュメモリ72に保存する。
その後、ステップSS185に移り、CPU80aは、上記ステップSS125で進み方向へのめくり動作が検出された直後の追記書き込み、つまり上記第3ストロークデータの開始点の位置座標(C)をRAM80cに保存する。
その後、ステップSS190に移り、CPU80aは、上記ステップSS105で保存した位置座標(B)と、上記ステップSS185で保存した位置座標(C)との比較を行う。
その後、ステップSS195に移り、CPU80aは、上記ステップSS190での比較に基づいて、最新ページの不適合条件を満たすか否かを判定する。具体的には、CPU80aは、第2ストロークデータの開始点及び終了点が左筆記面31Lにあり第3ストロークデータの開始点も左筆記面31Lにあるか、又は、第2ストロークデータの開始点及び終了点が右筆記面31Rにあり第3ストロークデータの開始点も右筆記面31Rにあることで、上記(A−2−3)で説明した条件を満たしているか否かを判定する。言い換えれば、CPU80aは、前述の第2原則に反しているか否か、を判定する。(A−2−3)の条件を満たしている場合、判定が満たされ、ステップSS200へ移る。
ステップSS200では、CPU80aは、上記ステップSS170で生成された第2及び第3ストロークデータが入力されたページを、上記途中ページであると確定し、前述のステップSS60へ移る。
一方、上記ステップSS195の判定において、(A−3−1)の条件を満たしていない場合、判定は満たされず、図18に示すステップSS205へ移る。
ステップSS205では、CPU80aは、めくり検出部76が進み方向のめくり動作を検出したか否かを判定する。進み方向へのめくり動作が検出された場合、判定が満たされ、ステップSS225へ移る。一方、進み方向へのめくり動作が検出されていない場合、ステップSS205の判定は満たされず、ステップSS210へ移る。
ステップSS210では、CPU80aは、上記ステップSS10と同様の制御により、コイルスキャンを行う。なお、このステップSS130のコイルスキャンにより生成されるストロークデータは、第3ストロークデータに相当する。
その後、ステップSS215に移り、CPU80aは、上記ステップSS210で生成した第3ストロークデータが前述と同様の一定量以上に達しているか否かを判定する。一定量以上のストロークデータが生成されていない場合、判定は満たされず、上記ステップSS205に戻り同様の手順を繰り返す。一方、生成したストロークデータが一定量以上に達している場合、ステップSS215の判定が満たされ、ステップSS220へ移る。
ステップSS220では、CPU80aは、上記ステップSS210で生成した第3ストロークデータが入力された筆記面における筆記領域を算出する。言い換えるとCPU80aは、当該第3ストロークデータの開始点と終了点を算出して、それらの間の領域を演算する。そして、CPU80aは、当該ストロークデータとその筆記領域のデータに対し、追記書き込み用の仮ページのページ番号を付与してフラッシュメモリ72に保存する。その後、ステップSS205に戻り同様の手順を繰り返す。
一方、ステップSS225では、CPU80aは、一つ前の進み方向へのめくり動作が検出されてから、直前の上記ステップSS205での進み方向へのめくり動作が検出されるまでの間に入力された、第3ストロークデータを検証する。なお、進み方向へのめくり動作が繰り返された結果このストロークデータが第4以降のストロークデータに相当する場合には、CPU80aは対応した置き換えを実行する。
その後、ステップSS230に移り、CPU80aは、上記ステップSS225での検証に基づいて、最新ページの適合条件を満たすか否かを判定する。具体的には、CPU80aは、ページめくり動作の後に生成された第3以降のストロークデータの開始点が左筆記面31Lの筆記開始領域であって、上記(A−3−2)の条件を満たしているか否かを判定する。(A−3−2)の条件を満たしている場合、判定が満たされ、ステップSS235へ移る。
ステップSS235では、CPU80aは、上記ステップSS170及びステップSS210で生成された第3以降のストロークデータの終了点が入力された筆記面を、現行の最新ページであると確定する。その後、前述のステップSS5へ移る。
一方、上記ステップSS230の判定において、(A−3−2)の条件を満たしていない場合、判定は満たされず、上記ステップSS170へ移る。
以上において、上記図14〜図18のフローにおけるステップSS10、ステップSS45、ステップSS65、ステップSS90、ステップSS130、ステップSS170、及びステップSS210が、各請求項記載の位置取得手段及びストロークデータ生成手段として機能する。
また、ステップSS20、ステップSS55、ステップSS75、ステップSS100、ステップSS140、ステップSS180、及びステップSS220でそれぞれ実行する筆記領域を算出する処理が、各請求項記載の筆記領域検出手段として機能する。また、それらステップSS20、ステップSS55、ステップSS75、ステップSS100、ステップSS140、ステップSS180、及びステップSS220でそれぞれ実行するページ番号を付与する処理がページ付与手段として機能するとともに、フラッシュメモリ72に保存する処理が記憶制御手段として機能する。
さらに、ステップSS115が各請求項記載の第1判定手段として機能し、ステップSS145が各請求項記載の第2判定手段として機能し、ステップSS160が各請求項記載の第3判定手段として機能し、ステップSS195の手順が各請求項記載の第4判定手段として機能し、ステップSS230の手順が各請求項記載の第5判定手段として機能する。そして、これらステップSS115、ステップSS145、ステップSS160、ステップSS195、及びステップSS230と、前述の上記ステップSS20、ステップSS55、ステップSS75、ステップSS100、ステップSS140、ステップSS180、及びステップSS220とが、各請求項記載の復帰判定手段として機能する。
以上説明したように、本実施形態の手書き入力装置1においては、戻し方向へのめくり動作が検出された後、第1ストロークデータが生成され、進み方向へのめくり動作が検出された場合に、最新ページの適合条件及び不適合条件の判定が繰り返される(ステップSS115、ステップSS145、ステップSS160、ステップSS195、ステップSS230参照)。これらにより、最新ページに復帰したかどうかが判定される。そして、ステップSS55、ステップSS75、ステップSS100、ステップSS140、ステップSS180、及びステップSS220において、第1ストロークデータ等が、別途付与した追記用仮ページ番号に対応付けられて追記データとしてフラッシュメモリ72に記憶される。これにより、第1ストロークデータ等に対し正確なページ番号が付与されない状態であっても、適宜の追記用仮ページ番号に対応付けて保存することができる。
また、本実施形態では特に、ステップSS115で、最新書き込みのストロークデータの終了点の位置座標(A)と、第2ストロークデータの開始点の位置座標(B)とが比較される。言い換えれば、上記第2ストロークデータが最新書き込みのストロークデータの続きの内容になっているか、が比較される。そして、上記の結果、第2ストロークデータのページ番号を、最新書き込みのストロークデータの最新ページ番号とするか否かが決定される。したがって、最新ページ番号とすると判定された場合には、当該第2ストロークデータが最新ページ番号に対応付けて記憶される。これにより、その時点で操作者による追記書き込みがすべて完了し、通常の筆記順序に沿った最新書き込みに復帰した場合に、それ以降のストロークデータに対し、上記復帰に対応した最新ページ番号が付与される。以上の結果、本実施形態の手書き入力装置1は、めくり検出部76がページめくり動作を正確に検出できなかった場合であっても、操作者の追記書き込みが終了しもとの最新ページに戻った状態であることを、正確に認識することができる。
また、本実施形態では特に、第2ストロークデータが最新書き込みのストロークデータの続きの内容になっていない場合には、ステップSS115で、第2ストロークデータに対応付けるべきページ番号は最新ページ番号ではない、すなわち、追記書き込みが完全に終了した状態ではない、とみなされる。これにより、操作者の追記書き込みがまだ終了しておらず、もとの最新ページに戻っていない状態であることを、手書き入力装置1は正確に認識することができる。
また、本実施形態では特に、ステップSS145で、少なくとも第2ストロークデータの生成が行われた後に実行されたページめくり数が複数ページである場合には、第2ストロークデータに対応付けるべきページ番号は最新ページ番号ではないとみなされる。すなわち、追記書き込みが完全に終了した状態ではない、とみなされる。これにより、操作者の追記がまだ終了しておらず、もとの最新ページに戻っていない状態であることを、手書き入力装置1は正確に認識することができる。
また、本実施形態では特に、2回実行されたページめくり動作の間に生成された第2ストロークデータの開始点が左筆記面31Lの筆記開始領域で、右筆記面31Rでの開始点も筆記開始領域であった場合には、ステップSS160で、第2ストロークデータに対応付けるべきページ番号が最新ページ番号であるとみなされる。すなわち、追記書き込みが完全に終了した状態である、とみなされる。これにより、操作者の追記が終了し、もとの最新ページに戻った状態であることを、手書き入力装置1は正確に認識することができる。
また、本実施形態では特に、第2ストロークデータの開始点及び終了点が左筆記面31Lにあって第3ストロークデータの開始点も左筆記面31Lにあった場合、及び、第2ストロークデータの開始点及び終了点が右筆記面31Rにあって第3ストロークデータの開始点も右筆記面31Rにあった場合には、ステップSS195で、第2ストロークデータに対応付けるべきページ番号は最新ページ番号ではないとみなされる。すなわち、追記書き込みが完全に終了した状態ではない、とみなされる。これにより、操作者の追記が終了せず、もとの最新ページに戻った状態ではないことを、手書き入力装置1は正確に認識することができる。
また、本実施形態では特に、ページめくり動作の後に生成された第3ストロークデータの開始点が左筆記面31Lの筆記開始領域であった場合には、ステップSS230で、第3ストロークデータの終了点に対応付けるべきページ番号は最新ページ番号であるとみなされる。すなわち、追記書き込みが完全に終了した状態である、とみなされる。これにより、操作者の追記書き込みが終了し、もとの最新ページに戻った状態であることを、手書き入力装置1は正確に認識することができる。
なお、上記実施形態においては、めくり検出部76は、用紙を挟持するローラの回転によりめくり方向の検出を行っていたが、これに限られない。例えば、上記図1(c)に対応する図19に示すめくり検出部76Aのように、アーム76aの下面に画像センサ96が設けられて、用紙の動きからめくり動作の有無とその方向が検出されるようにしてもよい。
また、最新ページの適合条件としては、上記(A−3−1)と(A−3−2)の2つに限られず、別の手法としてもよい。すなわち、例えば、上記ステップSS115において、ページ送り方向にページめくりが行われたときのめくり検出部76によるページめくり数と、「戻り」キー78により指示されたページ番号の減少数とが比較される。そして、これらページめくり数とページ番号の減少数とが一致しているときには、単に操作者が「進み」キー77の押下によるページ番号の増加指示を失念したに過ぎないとみなし、第2ストロークデータに、最新ページ番号が対応付けられる。これにより、操作者の追記書き込みが終了し、もとの最新ページに確実に戻っている状態であることを、手書き入力装置1は正確に認識することができる。
また、上記図14〜図18に示したフローチャートでは、最新ページから戻って追記書き込みを行ってからまた最新ページに復帰するまでの間に戻し方向へのめくり動作は1度しか行わないことが前提であったが、本発明はこれに限られない。例えば、特に図示しないが、進み方向へのめくり検出を行うステップSS60、ステップSS125、及びステップSS205の各手順で、それぞれ戻し方向へのめくり検出も行い、戻し方向へのめくり動作が検出された場合には、必ず最新ページから離れることになる結果、いずれもステップSS30に移るようにしてもよい。
また、上記実施形態では、ノート30が左閉じの製本構成で左筆記面31Lと右筆記面31Rとを左右方向に見開く構成であったが、本発明はこれに限られない。例えば、特に図示しないが、右閉じの製本構成であってもよいし、上下方向に見開く構成であってもよい。また、筆記態様においても、例えば縦書きとしてもよい。これらの場合には、ページ構成や筆記態様に合わせて最新ページの適合条件や不適合条件を適宜変更すればよい。
また、めくり操作によりページの進みと戻りを行う略ノート形状の被筆記体として、必ずしも筆記面を2つ備える構成に限られない。例えば、特に図示しないが、いわゆるレポート用紙を製本したもののように、見開いた状態での同じ一方の側のページだけを筆記面とする構成の被筆記体に本発明を適用してもよい。この場合、進みめくり操作をしたページの裏面のページは筆記面としないため、この点を考慮して最新ページの適合条件や不適合条件を適宜変更すればよい。
なお、以上において、図2等の各図中に示す矢印は信号の流れの一例を示すものであり、信号の流れ方向を限定するものではない。
また、図14〜図18等に示すフローチャートは本発明を上記フローに示す手順に限定するものではなく、発明の趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で手順の追加・削除又は順番の変更等をしてもよい。
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。