以下、本発明の一実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
本実施形態の電子筆記装置である手書き入力装置1は、図1(a)に示すように、電子筆記具である電子ペン2と、電子記録端末である座標検出装置3とを有する。手書き入力装置1では、使用者が電子ペン2を持つ。電子ペン2は、筆記具としての機能に加え、入力される位置座標すなわち座標データの入力手段として機能する。
図1(a)、図1(b)、及び図1(c)に示すように、座標検出装置3は、ノート30を略覆うように所定の第1方向(図1(b)中左右方向)に見開き可能な形状に構成された可塑性部材からなるシート体10を有している。なお、以下の説明においては、上記の見開き形状にシート体10が設置された状態(図1(b)の状態)を基準として、第1方向(図1(b)中左右方向)を第1方向4と定義し、第1方向4と直行する第2方向(図1(b)中上下方向)を第2方向5と定義する。
シート体10は、左側シート部10Lと、右側シート部10Rと、上記第1方向4の中央部に位置する折り曲げ部10Tとを備えている。左側シート部10Lは、上記第1方向4に沿って折り曲げ部10Tの一方側(図1(b)中左側)に設けられ、左側コイルシート100Lを備えている。右側シート部10Rは、上記第1方向4に沿って折り曲げ部10Tの他方側(図1(b)中右側)に設けられ、右側コイルシート100Rを備えている。折り曲げ部10Tは、使用者により折り曲げ可能な部分である。
図1(b)及び図1(c)に示すように、右側シート部10Rの上記第1方向4における折り曲げ部10Tと反対側の端部すなわち右端部に、制御回路部ケース25が設けられている。なお、制御回路部ケース25を左側シート部10Lの上記第1方向4における折り曲げ部10Tと反対側の端部すなわち左端部に設けてもよい。制御回路部ケース25には、制御回路部20及び電池21が収納されている。そして、略ノート形状の被筆記体である上記第1方向4に見開き可能な形状のノート30が、上記シート体10に重なるように配置されている。なお、上記左側シート部10L及び右側シート部10Rに、図1(a)に示すようなノート保持部11をそれぞれ設けてもよい。これにより、座標検出装置3を容易かつ確実にノート30と一体化することができ、使用者による取り扱い性を向上することができる。
使用者は、電子ペン2を用いてノート30の左筆記面31Lや右筆記面31Rに手書きの所望の文字列等を筆記する。この筆記動作に対応した電子ペン2の移動により、筆記された文字列等に対応した後述のペン位置データ列が電子ファイルに保存される。その際、実際にインクを用いてノート30の左筆記面31Lや右筆記面31R等にページを切り替えながら筆記が行われるのと同様、使用者がページ切替ボタン77(後述の図2参照)を操作することにより、電子ファイルのページ切り替え(ページ送り又はページ戻し)を行いながら保存することができる(後述)。
使用者が手書き入力装置1を使用する際には、電子ペン2に備えられた図示しない電源スイッチがオンされる。電子ペン2は、筆記面31L,31Rへの通常の筆記に対応した第1モードである文字入力モードと、筆記面31L,31Rへの追記に対応した第2モードであるページ検索モードとを備えている。この電子ペン2は、図2に示すように、先端には後述するペン先2aとペン先2aの筆記面31への接触状態に応じて動作する先端スイッチ42と、選択手段であるモード選択スイッチ44と、送信手段であるLC発振回路41と、電池43とを有する。
先端スイッチ42は、使用者が文字等を筆記するために、電子ペン2のペン先2aを筆記面31L,31Rに押しつけたときにオンとなり、LC発振回路41に対して指令信号S0を出力する。一方、使用者が文字等の筆記を止め、電子ペン2のペン先2aを筆記面31L,31Rから離したときにオフとなる。この場合には、上記指令信号S0は出力されない。
モード選択スイッチ44は、文字入力モードとページ検索モードとを選択可能な、言い換えれば、文字入力モードとページ検索モードとを切替可能なスイッチである。
LC発振回路41は、先端スイッチ42から上記指令信号S0が入力されることによって、筆記面31L,31Rへの筆記内容に対応したデータ入力を行うための筆記信号として、交番磁界(以下適宜、単に「磁界」と称する)を送信すなわち発生する回路である。このLC発振回路41は、図示しないコンデンサ及びコイルを含む。LC発振回路41で発生される磁界の態様この例では周波数は、モード選択スイッチ44によるモードの選択状態に基づき、上記コンデンサの容量を変化させることで変更される。なお、モード選択スイッチ44によるモードの選択状態に基づき、LC発振回路41で発生される磁界の周波数以外の態様、例えば変調周波数、変調信号波形、周波数偏移等が変更されるようにしてもよい。すなわち、LC発振回路41によって発生される磁界の態様この例では周波数は、各請求項記載のモード識別子に相当する。本実施形態においては、文字入力モードの選択状態である場合、LC発振回路41によって発生される磁界は、モード選択スイッチ44による当該文字入力モードの選択に対応した特定の周波数f1となる。一方、ページ検索モードの選択状態である場合、LC発振回路41によって発生される磁界は、モード選択スイッチ44による当該ページ検索モードの選択に対応した特定の周波数f2となる。
電池43は、電子ペン2の電源スイッチがオンにされることで、LC発振回路41等に電力を供給する。
なお、電子ペン2を、上記文字入力モードに対応したペン先2a(例えばボールペン仕様の先端)と、上記ページ検索モードに対応したペン先2a(例えばスタイラス仕様の先端)とを切り替え可能に備える仕様とし、文字入力モードに対応したペン先2aに切り替わることで、モード選択スイッチ44が当該文字入力モードの選択状態となり、ページ検索モードに対応したペン先2aに切り替わることで、モード選択スイッチ44が当該ページ検索モードの選択状態となるようにしてもよい。
座標検出装置3は、図2に示すように、コイルシート100L,100Rと、制御回路部20と、電池21とを有する。
コイルシート100L,100Rは、図3に示すように、センスコイル部110を含む。すなわち、図3に示すように配置されたセンスコイル部110が、例えば外形が長方形の薄板状に樹脂成形されて、コイルシート100L,100Rが構成されている。
センスコイル部110は、図3に示すように、上記第1方向4に対応したx軸方向に配列されたm個のループ状のセンスコイルX1〜Xmと、上記第2方向5に対応したy軸方向に配列されたn個のループ状のセンスコイルY1〜Ynとによって構成されている。センスコイルX1〜Xmと、センスコイルY1〜Ynとは、直交した位置関係で配置されている。また、センスコイルX1〜Xm,Y1〜Ynは、例えば表面に絶縁被膜層が形成された銅線によって形成されている。また、センスコイルX1〜Xm,Y1〜Ynは、電子ペン2のLC発振回路41から発生された磁界に対応して、電子ペン2から座標検出装置3に情報を入力するための信号S1(図2参照)を発生する。すなわち、電子ペン2は、座標検出装置3に対し、情報送信可能に接続されている。また、センスコイルX1〜Xm,Y1〜Ynは、図示及び説明を省略する引き出し線により後述のマルチプレクサ62に接続されている。
センスコイルX1〜Xmは、それぞれ、x軸方向の幅P1の辺とP1より長いy軸方向の長さP2の辺とを備えた、略長方形状に形成されている。センスコイルX1〜Xmのそれぞれは、所定の一定ピッチでx軸方向に連続して配列されている。例えば、隣接するセンスコイルX1〜Xmは、P1の2分の1のピッチでそれぞれ重ねられている。
センスコイルY1〜Ynは、それぞれ、x軸方向の幅P3の辺とP3より短いy軸方向の長さP1の辺とを備えた、略長方形状に形成されている。センスコイルY1〜Ynのそれぞれは、所定の一定ピッチでy軸方向に連続して配列されている。例えば、隣接するセンスコイルY1〜Ynは、P1の2分の1のピッチでそれぞれ重ねられている。
なお、図3では、視覚的にわかりやすくするため、便宜上、センスコイルX1〜XmとセンスコイルY1〜Ynとの各辺がそれぞれ重ならないようにしており、上記ピッチで配列された状態では図示されていない。また、マルチプレクサ62に入る引出線を省略してセンスコイルX1〜Xm,Y1〜Ynの形状を図示している。
図2に戻り、制御回路部20は、マイコン80と、マルチプレクサ62(以下適宜、「MUX62」と称する)と、増幅回路64と、整流回路66と、リミッタ68と、フラッシュメモリ72と、通信インターフェース74と、表示部76と、ページ切替ボタン77と、操作手段である「戻る」ボタン78とを有する。
マイコン80は、座標検出装置3で実行される各種の処理を制御するものであり、CPU80aと、ROM80bと、RAM80cと、その他のA/D変換機能部や割り込み機能部等とを、一つの集積回路として構成したものである。
MUX62は、マイコン80からのコイル選択信号S3に基づき、センスコイル部110のセンスコイルX1〜Xm,Y1〜Ynのうち、1つのセンスコイルを順番に選択する。そして、MUX62は、選択されたセンスコイルX1〜Xm,Y1〜Ynにおいて、電子ペン2のLC発振回路41から発生される磁界との磁気誘導によって発生した上記信号S1を入力し、対応する信号S11を増幅回路64へ出力する。なお、電子ペン2のLC発振回路41から発生された磁界と磁気誘導することが、実質的には、磁界を受信することに相当する。
増幅回路64は、MUX62から入力される信号S11を増幅する。増幅回路64で増幅された信号S12は、リミッタ68に入力される。リミッタ68は、増幅回路64から入力された信号S12を周波数及び位相情報だけのデジタル信号S15に処理してマイコン80の図示しない割り込み入力に入力する。マイコン80は、リミッタ68から入力された信号S15の周期をタイマー等により計測することにより、上記センスコイルX1〜Xm,Y1〜Ynからの信号S1の周波数を判定して、現在スキャンしているセンスコイルX1〜Xm,Y1〜Ynのコイル番号と共にRAM80cに記憶する。また、増幅回路64で増幅された別の信号S13は、整流回路66に入力される。整流回路66は、増幅回路64から入力された信号S13を振幅検波した後、平滑化して直流信号に変換する。整流回路66で振幅検波された信号S14は、マイコン80に入力される。マイコン80は、前述したようにA/D変換機能を備えており、上記入力された振幅検波後の信号S14をデジタル信号に変換する。このとき、マイコン80の上記ROM80bには、後述の位置座標テーブルが記憶されている。マイコン80は、上記デジタル信号に対し、位置座標テーブルを適用することにより、電子ペン2とノート30との接触点の座標データ(以下適宜、単に「電子ペン2の座標データ」という)、すなわち、x軸方向のx座標及びy軸方向のy座標を算出する。なお、算出された座標データはフラッシュメモリ72に記憶される。この座標データの算出手法の詳細は、後述する。
また、マイコン80は、上記センスコイル部110のスキャン処理時にRAM80cに記憶した、最大出力のセンスコイルX1〜Xm,Y1〜Ynからの信号S1の周波数に基づき、当該コイル番号で表される最大出力のセンスコイルX1〜Xm,Y1〜Ynから得られる上記信号S1の周波数、すなわち、電子ペン2のLC発振回路41から発生された磁界の周波数を検出する。そして、その検出した周波数に基づき、電子ペン2のモードが上記文字入力モード及びページ検索モードのいずれであるかを判定する。具体的には、最大出力のセンスコイルX1〜Xm,Y1〜Ynからの信号S1の周波数がf1であった場合、すなわち、電子ペン2のLC発振回路41から発生された磁界の周波数がf1であった場合には、電子ペン2のモードが上記文字入力モードであると判定する。一方、最大出力のセンスコイルX1〜Xm,Y1〜Ynからの信号S1の周波数がf2であった場合、すなわち、電子ペン2のLC発振回路41から発生された磁界の周波数がf2であった場合には、電子ペン2のモードが上記ページ検索モードであると判定する。このモード判定手法の詳細は、後述する。
フラッシュメモリ72には、電子ファイルが予め用意されており、マイコン80で算出された複数の座標データを含む後述のペン位置データ列に基づくストロークデータ等が、上記電子ファイルに書き込まれ、保存される。
通信インターフェース74は、フラッシュメモリ72に保存された複数の座標データを含む後述のペン位置データ列に基づくストロークデータを、パーソナルコンピュータなどの外部装置に提供するためのインターフェースである。具体的には、通信インターフェース74は、例えばUniversal Serial Bus(USB)接続のためのUSBインターフェースや、SDカードなどのメモリカードスロットや、無線又は有線のネットワークインターフェースである。
表示部76は、例えば液晶(Liquid Crystal Display、LCD)によって構成され、電池21の残量など、座標検出装置3の動作状態に係わる所定の情報を表示する。
ページ切替ボタン77は、電子ファイルのページ切り替えすなわちページ送り又はページ戻しを行うためのボタンである。
「戻る」ボタン78は、ノート30の筆記面31L,31Rへの追記を終了する際に操作されるボタンである。
電池21は、座標検出装置3に備えられた図示しない電源スイッチがオンにされることで、マイコン80等に電力を供給する。
(A)本実施形態の手法原理
(A−1)複数回のページ戻し操作による労力負担の増大
上記構成の本実施形態の特徴は、使用者がノート30の前のページにさかのぼって追記を行う場合に、当該追記に対応したストロークデータ(各請求項記載の追記ストロークデータに相当。以下適宜、「追記ストロークデータ」と称する)を割り当てて記憶させるべき、現在のページからさかのぼった電子データ上のページ番号を取得することにある。すなわち、上述したように、本実施形態の手書き入力装置1では、通常は電子ペン2のモードとして文字入力モードが選択される。そして、使用者が電子ペン2を用いて筆記面31L,31Rに対し筆記を行うと、そのときの筆記動作に対応したストロークデータ(各請求項記載の筆記ストロークデータに相当。以下適宜、「筆記ストロークデータ」と称する)が生成される。
まずストロークデータについて説明する。ストロークデータは、電子ペン2のLC発振回路41から連続的に発生された磁界とセンスコイル部110との電磁誘導に基づき連続的に取得された複数の座標データからなるペン位置データ列に対応したデータである。図4(a)及び図4(b)には、2つのストロークデータ「a」「b」の例を示している。図4(a)及び図4(b)において、第1ストロークデータ「a」は、T1(X1,Y1)〜T11(X11,Y11)の時系列に沿った11個の座標データを含む、電子ペン2による文字「a」の書き始めから書き終わりまでの一筆書き部分の軌跡を表すデータである。また、第2ストロークデータ「b」は、T12(X12,Y12)〜T21(X21,Y21)の時系列に沿った10個の座標データを含む、電子ペン2による文字「b」の書き始めから書き終わりまでの一筆書き部分の軌跡を表すデータである。
上記のようにして生成された筆記ストロークデータは、使用者が座標検出装置3に設けられた上記ページ切替ボタン77を操作し、電子ファイルのページ切り替え(ページ送り又はページ戻し)を行うことで、ページ番号が付与されてフラッシュメモリ72に順次保存される。
例えば、図5(a)に示す例では、使用者が、文字入力モードが選択された電子ペン2を用いて、ノート30の第11ページに、「ABCD」「AB」「ABCD」の3行の文字列を記載したことに対応して、図5(d)に示すように、電子ファイルの第11ページに、対応する筆記ストロークデータ「ABCD」「AB」「ABCD」が記録される。その後、使用者は、図5(a)に示すように、ノート30の第11ページの次のページである第12ページに、「EFGH」「EFG」「EFEF」と記載する。その際、使用者がページ切替ボタン77を操作することで、電子ファイルのページ切り替え(第11ページから第12ページへの切り替え)も行われ、図5(d)の右側に示すように、電子ファイルにおける上記第11ページの次の第12ページにおいて、対応する筆記ストロークデータ「EFGH」「EFG」「EFEF」が記録される。
その後、さらに使用者は、図5(b)に示すように、ノート30のさらに次の第13ページに、「IJKLMN」「IJKLMN」「IJKL」と記載する。この際も、上記同様、使用者がページ切替ボタン77を操作することで、電子ファイルも第12ページから第13ページへ切り替わり、図5(e)に示すように、電子ファイルにおける上記第13ページにおいて、対応する筆記ストロークデータ「IJKLMN」「IJKLMN」「IJKL」が記録される。
上記のように、電子ペン2を用いてノート30に対し使用者が記載を行う場合には、筆記面31L,31Rの未記載領域が、時系列に沿った一定の順序で規則性をもって埋められていくのが一般的である。しかしながら、例外的に、使用者の意図により、新たな記載を、上記の順序に沿って最新のページの未記載領域に記載するのではなく、既に過去に記載済みのページにさかのぼって追記する場合がある。例えば、使用者が上記のようにノート30の第13ページへの記載を行っている状態において、さかのぼって第1ページに書き足したい内容を思いついた場合がある。このような場合には、従来では、使用者は、戻るページ数をカウントして、ページ切替ボタン77を用いページ戻し操作を順次行い、当該さかのぼるべきページを探し出す必要がある。
この例では、図5(b)の破線矢印及び図5(c)に示すように、使用者はノート30を第1ページへと戻し、既にノート30の第1ページにおいて記載した「OPQR」「QQ」「OPPP」の3行のうち、真ん中の「QQ」の文字列の横に新たに「RR」を追記している。その際、図5(f)に示すように、使用者は、戻るページ数をカウントして、ページ切替ボタン77を用いページ戻し操作を順次行って電子ファイルを第1ページに戻しておくことで、電子ファイルの第1ページの未記載領域(「QQ」の隣接箇所)に、対応する追記ストロークデータ「RR」が記録される。
しかしながら、上記のような追記の実行の際、使用者は、さかのぼるべきページ番号がどのページであるのかを思い出すのは困難であるため、当該さかのぼるべきページを探し出すためには、従来では、戻るページ数をカウントして、上記のようなページ戻し操作を順次行う必要があったため、労力負担が大きかった。
(A−2)電子データ上のページ番号の取得
本実施形態では、このような電子ファイルのページ番号を容易に見つけ出すために、上記のような追記の実行の際、使用者は、まず、実際に追記を行いたいノート30のページを手でめくって探し、当該ページを開く。そして、上記モード選択スイッチ44を操作して、電子ペン2のモードを文字入力モードからページ検索モードへ切り替える。その後、使用者が、ページ検索モードが選択された電子ペン2を用いて、追記を行いたいノート30のページに既に記載されている文字列等をもう一度上からなぞると、当該なぞり動作により、記録されたデータから追記したい電子ファイルのページ番号を検索するための手がかりとなる検索用位置座標すなわち検索用座標データを含むストロークデータ(各請求項記載の検索用ストロークデータに相当。以下適宜、「検索用ストロークデータ」と称する)が作成される。その後、この作成された検索用ストロークデータを用いて、上記のようにして電子ファイルに順次記録された筆記ストロークデータの中から、上記作成された検索用ストロークデータに対応する筆記ストロークデータが見つけ出される。そして、当該見つけ出された筆記ストロークデータに対応付けられた電子ファイル上のページ番号が取得される。以上のようにして、上記なぞり動作が行われたノート30のページに対応した、電子データ上のページ番号が取得されるのである。
例えば、図6(a)に示す例では、使用者が、ページ検索モードが選択された電子ペン2を用いて、追記を行いたいノート30の第1ページに既に記載されている「OPPP」を上からなぞることにより、図6(b)に示すように、対応する検索用ストロークデータ「OPPP」が生成される。その後、図6(c)に示すように、電子ファイルの各ページに記録された筆記ストロークデータの中から、上記生成された検索用ストロークデータ「OPPP」に対応する筆記ストロークデータが見つけ出され、当該筆記ストロークデータが記録された電子ファイル上のページ番号、すなわち、当該筆記ストロークデータに対応付けられた電子ファイル上のページ番号として、第1ページを表すページ番号[1]が取得される。
(A−3)追記ストロークデータの記憶
上記のようにして、追記を行いたいノート30のページに対応した、電子データ上のページ番号が取得されたら、使用者は、上記モード選択スイッチ44を操作して、電子ペン2のモードをページ検索モードから文字入力モードへ切り替える。その後、使用者が、文字入力モードが選択された電子ペン2を用いて文字列等の追記を行うと、その追記内容に対応した追記ストロークデータが生成される。そして、使用者は、追記する内容の筆記が終了したら、その終了の旨、すなわち追記内容に対応するデータ範囲が終了したことを装置側にも認識させるための所定の操作として、この例では座標検出装置3に設けられた上記「戻る」ボタン78を操作する。これにより、生成開始後から「戻る」ボタン78が操作されるまでに生成された追記ストロークデータが、上記追記すべきページとして取得されているページ番号に対応した電子ファイルのページに追記録される。
例えば、図7(a)に示す例では、使用者は、文字入力モードが選択された電子ペン2を用いて、ノート30の第1ページにおいて既に記載されている真ん中の「QQ」の文字列の横に新たに「RR」を追記し、その後、「戻る」ボタン78を操作している。すると、これに対応して、図7(b)に示すように、追記すべきページとして取得されているページ番号に対応した電子ファイルの第1ページの未記載領域(「QQ」の隣接箇所)に、対応する追記ストロークデータ「RR」が追記録される。
(B)本実施形態の制御処理
以上のような機能を実現するために、座標検出装置3のCPU80aで行われる制御処理の内容を、図8及び図9により順を追って説明する。
図8において、この処理は、使用者が座標検出装置3の電源をオンした場合に開始される。まず、CPU80aは、ステップSS10で、電源オフ操作が行われたことを表すフラグFe及び各種変数を初期化する。すなわち、上記フラグFeを0に初期化する。またこれと共に、ストローク番号の変数Stを0に初期化し、電子ペン2が押下状態にあるかどうかを判定する変数Pdをペン押下待ち状態を表す0に初期化する。
その後、ステップSS20で、CPU80aは、電子ファイルのページ番号を表す変数Pnをフラッシュメモリ72から読み込んで、最後に保存されたページ番号のデータがあるかどうかを判定する。データがあれば、ステップSS20の判定が満たされて、ステップSS30に移り、CPU80aは、変数Pnを読み込んだ値で初期化する。一方、データがなければ、ステップSS20の判定が満たされず、ステップSS40に移り、CPU80aは、変数Pnを0で初期化する。ステップSS30又はステップSS40の後は、ステップSS50へ移る。なお、電子ファイルのページ番号を表す変数Pnを、以下適宜、単に「ページ番号Pn」と称する。
ステップSS50では、CPU80aは、使用者により上記ページ切替ボタン77を用いたページ送り操作がなされたかどうかを判定する。なお、このような使用者の手動操作による電子ファイルのページ切り替えではなく、適宜の自動制御により電子ファイルのページ切り替えがなされる場合には、このステップSS50では、CPU80aが、上記自動制御によるページ切り替えがなされたかどうかを判定すればよい。使用者によりページ送り操作がなされない間は、ステップSS50の判定が満たされず、ステップSS60へ移る。
ステップSS60では、CPU80aは、使用者が座標検出装置3の電源をオフしたかどうかを判定する。電源オンのままであった場合には、ステップSS60の判定が満たされず、ステップSS70に移る。なお、電源がオフ操作されていた場合には、ステップSS60の判定が満たされて、ステップSS80に移り、CPU80aは、上記フラグFeを1とする。その後、後述のステップSS220に移る。
ステップSS70では、CPU80aは、コイルシート100L,100Rに備えられたセンスコイル部110のスキャン処理を開始する。センスコイル部110のスキャン処理が実行されている間は、センスコイルX1〜XmとセンスコイルY1〜Ynとを順番に選択するコイル選択信号S3が、MUX62へ出力される。これにより、電子ペン2の先端スイッチ42がオンの状態でLC発振回路41から発生された周波数f1又はf2の磁界と、いずれかのセンスコイルX1〜Xm,Y1〜Ynとの磁気誘導によって信号S1(図2参照)が発生される。そして、前述したように、信号S1が発生している状態においてMUX62により選択されたセンスコイルX1〜Xm,Y1〜Ynからの信号S1は、MUX62へ入力される。MUX62は、その入力した信号S1に対応した信号S11(図2参照)を増幅回路64へ出力する。信号S11は、増幅回路64によって増幅され、増幅後の信号S12(図2参照)がリミッタ68に入力される。リミッタ68に入力された信号S12は、周波数及び位相情報だけのデジタル信号S15(図2参照)に処理されてマイコン80の上記割り込み入力に入力される。マイコン80は、その入力された信号S15の周期をタイマー等により計測することにより、上記センスコイルX1〜Xm,Y1〜Ynからの信号S1の周波数を判定して、現在スキャンしているセンスコイルX1〜Xm,Y1〜Ynのコイル番号と共にRAM80cに記憶する。
そして、ステップSS90に移り、CPU80aは、マイコン80に対し所定のしきい値以上の信号S15が入力されたかどうかを判定する。電子ペン2により入力がなく、マイコン80により上記しきい値以上の信号S15が検出されない間は、ステップSS90の判定が満たされず、ステップSS100に移る。
ステップSS100では、CPU80aは、変数Pdがペン押下状態であることを表す1であるかどうかを判定する。変数Pdがペン押下待ち状態であることを表す0である場合には、ステップSS100の判定が満たされず、上記ステップSS50に戻り同様の手順を繰り返す。
一方、ステップSS90において、マイコン80により上記しきい値以上の信号S15が検出された場合には、ステップSS90の判定が満たされて、ステップSS120に移る。
ステップSS120では、CPU80aは、電子ペン2が押下された状態になったことに対応して変数Pdを1にし、ステップSS160に移る。
ステップSS160では、CPU80aは、上記ステップSS70で開始されたセンスコイル部110のスキャン結果、すなわち、センスコイルX1〜Xm,Y1〜Ynでの磁界の受信結果に基づき、公知の適宜の手法により、電子ペン2の座標データ(x,y)の取得すなわち算出を行う。本実施形態では、この座標データの算出は、マイコン80のROM80bに記憶された位置座標テーブルを用いて行う。またこのとき、最大出力のセンスコイルX1〜Xm,Y1〜Ynのコイル番号を、RAM80aに記憶しておく。なお、後述のように、電子ペン2のモードがページ検索モードであった場合(電子ペン2からの磁界の周波数がf2であった場合)に、このステップSS160で算出される座標データ(x,y)は、前述の検出用座標データに相当する。ステップSS160が終了した後、ステップSS170に移る。
ステップSS170では、CPU80aは、上記ステップSS160で算出された電子ペン2の座標データ(x,y)を用いて、ペン位置データ列Dを生成(更新)する。詳細には、複数の座標データにより構成されるペン位置データ列Dの最後に、上記ステップSS160で算出された座標データ(x,y)をストローク番号Stと関連付けて追加し、新たなペン位置データ列Dとする。なお、上記ステップSS160で算出された座標データ(x,y)が最初の座標データであった場合には、当該1つの座標データにより新規にペン位置データ列Dを生成する。このようにして生成したペン位置データ列Dは、RAM80cに一時的に保存される。なお、後述のように、電子ペン2の座標データ(x,y)に対応したペン位置データ列Dによって、電子ペン2によるノート30の筆記面31L,31Rへの記載に対応したストロークデータが生成される。すなわち、このペン位置データ列Dの生成は、言い換えれば、ストロークデータの生成と同等である。したがって、本願明細書においては、理解の容易のために、適宜、ペン位置データ列Dの生成等を「ストロークデータの生成」として表現している。なお、後述のように、電子ペン2のモードが文字入力モードであった場合(電子ペン2からの磁界の周波数がf1であった場合)に、このステップSS170で生成されるストロークデータは、前述の筆記ストロークデータに相当する。また、電子ペン2のモードがページ検索モードであった場合(電子ペン2からの磁界の周波数がf2であった場合)に、このステップSS170で生成されるストロークデータは、前述の検索用ストロークデータに相当する。ステップSS170が終了したら、上記ステップSS90に戻り同様の手順を繰り返す。
一方、ステップSS100において、Pd=1であった場合には、ステップSS100の判定が満たされて、ステップSS140に移る。
ステップSS140では、CPU80aは、直前に実行されたステップSS160で記憶された最大出力のセンスコイルX1〜Xm,Y1〜Ynのコイル番号に基づき、当該コイル番号で表される最大出力のセンスコイルX1〜Xm,Y1〜Ynから得られる上記信号S1の周波数、すなわち、電子ペン2のLC発振回路41から発生された磁界の周波数を検出する。そして、その検出された周波数に基づき、電子ペン2の上記モード選択スイッチ44において選択されているモードが、上記文字入力モード及びページ検索モードのいずれであるかを判定する。最大出力のセンスコイルX1〜Xm,Y1〜Ynから得られる上記信号S1の周波数がf1であった場合、すなわち、電子ペン2のLC発振回路41から発生された磁界の周波数がf1であった場合には、モード選択スイッチ44において選択されているモードが文字入力モードであると判定されて、ステップSS180に移る。なお、電子ペン2のモードが文字入力モードであると判定された場合に、直前に実行されたステップSS170で生成されていたストロークデータは、上記筆記ストロークデータに相当する。
ステップSS180では、CPU80aは、上記ステップSS170で生成されるペン位置データ列Dに基づく筆記ストロークデータに対し、電子ファイルの各ページに対応したページ番号Pnを付与する。
なお、このステップSS180の手順が、各請求項記載のページ付与手段として機能する。
その後、ステップSS110で、CPU80aは、変数Pdを0にしてペン押下待ち状態に戻し、次の入力が新しいストロークに関連付けできるように、ストローク番号を表す変数Stを1つ増やす。その後、上記ステップSS50に戻り同様の手順を繰り返す。
一方、ステップSS140において、最大出力のセンスコイルX1〜Xm,Y1〜Ynから得られる上記信号S1の周波数がf2であった場合、すなわち、電子ペン2のLC発振回路41から発生された磁界の周波数がf2であった場合には、モード選択スイッチ44において選択されているモードがページ検索モードであると判定されて、言い換えれば、文字入力モードからページ検索モードへ切り替えられたと判定されて、ステップSS300に移る。なお、電子ペン2のモードがページ検索モードであると判定された場合に、直前に実行されたステップSS160で算出されていた座標データ(x,y)は、上記検索用座標データに相当し、直前に実行されたステップSS170で生成されていたストロークデータは、上記検索用ストロークデータに相当する。
ステップSS300では、CPU80aは、追記対象となる電子データ上のページ(以下適宜、「追記ページ」と称する)のページ番号の取得、追記内容に対応した追記ストロークデータの生成及び保存を行う、ページ検索・追記処理を実行する。なお、このステップSS300の詳細内容については、後述の図9で説明する。ステップSS300が終了したら、前述のステップSS50に戻り同様の手順を繰り返す。
一方、ステップSS50において、使用者によりページ送り操作がなされた場合には、ステップSS50の判定が満たされて、ステップSS220に移る。
ステップSS220では、CPU80aは、この時点で生成済みでかつ上記RAM80cに保存された、上記ステップSS180でページ番号Pnが付与された筆記ストロークデータ(ペン位置データ列D)を、この時点で付与されているページ番号Pnと対応付けてフラッシュメモリ72に保存する。なお、このステップSS220の手順が、各請求項記載の第1データ記憶手段として機能する。ステップSS220が終了したら、ステップSS230に移る。ステップSS230では、CPU80aは、上記RAM80cに保存されているペン位置データ列Dの内容をクリアする。このように、ページ送り操作がなされていない場合でも、使用者が電源をオフ操作した場合には、ステップSS220及びステップSS230が実行されて、フラッシュメモリ72への筆記ストロークデータの保存及びペン位置データ列Dのクリアが行われる。その後、ステップSS240に移る。
ステップSS240では、CPU80aは、上記フラグFeが1であるかどうかを判定する。電源がオフされておらずFe=0のままである場合には、ステップSS240の判定が満たされず、ステップSS250に移る。
ステップSS250では、上記ページ番号Pnに1を加え、前述のステップSS90に戻り同様の手順を繰り返す。これにより、この後ステップSS90以降で検出される電子ペン2の動きに基づき生成される筆記ストロークデータ(ペン位置データ列D)は、電子ファイルにおける次のページへ記録される。
一方、ステップSS240において、電源がオフ操作されており、ステップSS80でFe=1となっていた場合には、ステップSS240の判定が満たされて、ステップSS260に移る。
ステップSS260では、CPU80aは、フラッシュメモリ72にページ番号Pnを保存する。その後、このフローを終了する。
なお、ステップSS60において、電源オフ操作の有無の判定に代えて、適宜の手法によりノート30やシート体10が閉じられたかどうかをCPU80aが判定するようにしてもよい。あるいは、予め定められた所定の時間が経過したかどうかをCPU80aが判定するようにしてもよい。
上記ステップSS300の詳細内容を、図9により説明する。
図9において、まず、CPU80aは、ステップSS370で、前述のステップSS160で算出された検索用座標データを用いて前述のステップSS170で生成された検索用ストロークデータを用いて、公知の適宜のパターンマッチング手法、例えば特開平8−77295に記載のような、座標点列を4点近似してマッチングする手法等により、フラッシュメモリ72の電子ファイルの各ページに記憶された筆記ストロークデータの中から、当該検索用ストロークデータに対応する筆記ストロークデータを検索する。
その後、ステップSS380で、CPU80aは、上記ステップSS370での検索結果に基づき、前述のステップSS170で生成された検索用ストロークデータに対応する筆記ストロークデータが1つに絞り込まれたかどうかを判定する。検索用ストロークデータに対応する筆記ストロークデータが1つに絞り込まれるまでは、ステップSS380の判定が満たされず、ステップSS390に移る。
ステップSS390では、CPU80aは、前述のステップSS110と同様、変数Pdを0にし、変数Stを1つ増やす。その後、上記図8のステップSS90に戻り同様の手順を繰り返す。
一方、ステップSS380において、前述のステップSS170で生成された検索用ストロークデータに対応する筆記ストロークデータが1つに絞り込まれた場合、すなわち、検索用ストロークデータに対応する筆記ストロークデータが特定された場合には、ステップSS380の判定が満たされて、ステップSS400に移る。
ステップSS400では、CPU80aは、追記ページのページ番号として、上記ステップSS370での検索によって1つに絞り込まれた筆記ストロークデータに対応付けられてフラッシュメモリ72に保存されたページ番号Pnを取得する。なお、このステップSS400の手順が、各請求項記載のデータ取得手段として機能する。
そして、ステップSS410に移り、CPU80aは、図示しないブザー等の音声出力部に制御信号を出力し、適宜の音を発生させることにより、追記ページのページ番号が取得された旨、すなわち、追記ページのページ番号が特定された旨の報知を行う。あるいは、表示部76に適宜の表示を表示させたり、電子ペン2の図示しない振動部により振動を発生させたりすることにより、上記報知を行うようにしてもよい。なお、このステップSS410の手順が、各請求項記載の第1報知手段として機能する。
その後、ステップSS420で、CPU80aは、前述のステップSS110等と同様、変数Pdを0にし、変数Stを1つ増やす。そして、ステップSS425に移る。
SS425では前述のSS70と同様にセンスコイルのスキャン処理を行い、各コイルから得られた信号の大きさと周波数が記憶される。その後、ステップSS430では、CPU80aは、前述のステップSS90と同様、マイコン80に対し所定のしきい値以上の信号S15が入力されたかどうかを判定する。マイコン80により上記しきい値以上の信号S15が検出されない間は、ステップSS430の判定が満たされず、ステップSS440に移る。
ステップSS440では、CPU80aは、前述のステップSS100と同様、変数Pdが1であるかどうかを判定する。Pd=0である場合には、ステップSS440の判定が満たされず、上記ステップSS430に戻り同様の手順を繰り返す。
一方、ステップSS430において、マイコン80により上記しきい値以上の信号S15が検出された場合には、ステップSS430の判定が満たされて、ステップSS450に移る。
ステップSS450では、CPU80aは、前述のステップSS120と同様、変数Pdを1にし、ステップSS460に移る。
ステップSS460では、CPU80aは、前述のステップSS160と同様、電子ペン2の座標データ(x,y)を算出する。
そして、ステップSS470に移り、CPU80aは、上記ステップSS460で算出された電子ペン2の座標データ(x,y)を用いて、ペン位置データ列Dを生成(更新)する。詳細には、複数の座標データにより構成されるペン位置データ列Dの最後に、上記ステップSS460で算出された座標データ(x,y)をストローク番号Stと関連付けて追加し、新たなペン位置データ列Dとする。なお、上記ステップSS460で算出された座標データ(x,y)が最初の座標データであった場合には、当該1つの座標データにより新規にペン位置データ列Dを生成する。このようにして生成したペン位置データ列Dは、RAM80cに一時的に保存される。前述したように、電子ペン2の座標データ(x,y)に対応したペン位置データ列Dによって、ストロークデータが生成される。なお、後述のように、電子ペン2のモードがページ検索モードから文字入力モードへ切り替えられていた場合(電子ペン2からの磁界の周波数がf1であった場合)に、このステップSS470で生成されるストロークデータは、前述の追記ストロークデータに相当する。ステップSS470が終了したら、上記ステップSS430に戻り同様の手順を繰り返す。
一方、ステップSS440において、Pd=1であった場合には、ステップSS440の判定が満たされて、ステップSS480に移る。
ステップSS480では、CPU80aは、前述のステップSS140と同様、直前に実行されたステップSS425で記憶された最大出力のセンスコイルX1〜Xm,Y1〜Ynのコイル番号に基づき、電子ペン2のLC発振回路41から発生された磁界の周波数を検出する。そして、その検出された周波数に基づき、電子ペン2の上記モード選択スイッチ44において選択されているモードが、上記文字入力モード及びページ検索モードのいずれであるかを判定する。電子ペン2のLC発振回路41から発生された磁界の周波数がf2であった場合には、モード選択スイッチ44において選択されているモードがページ検索モードであると判定されて、上記ステップSS420に戻り同様の手順を繰り返す。一方、電子ペン2のLC発振回路41から発生された磁界の周波数がf1であった場合には、モード選択スイッチ44において選択されているモードが文字入力モードであると判定されて、言い換えれば、ページ検索モードから文字入力モードへ切り替えられたと判定されて、ステップSS500に移る。なお、電子ペン2のモードが文字入力モードであると判定された場合に、直前に実行されたステップSS470で生成されていたストロークデータは、上記追記ストロークデータに相当する。
ステップSS500では、CPU80aは、追記内容の筆記が終了したかどうかを判定する。本実施形態では、使用者により前述の「戻る」ボタン78の操作が行われたかどうか、すなわち、データ終了情報として、「戻る」ボタン78の操作信号を取得したかどうかを判定することにより、追記内容の筆記が終了したかどうかを判定する。データ終了情報とは、上記ステップSS470で追記ストロークデータの生成が開始された後に、上記ステップSS400で取得されたページ番号Pnに対し、フラッシュメモリ72に対応付けられて記憶されるべきデータ範囲が終了したことを表す情報、すなわち、追記内容の筆記が終了したことを表す情報である。使用者により「戻る」ボタン78の操作が行われるまで、すなわち、データ範囲の終了を表す「戻る」ボタン78の操作信号を取得するまでは、追記内容の筆記が終了していないとみなされ、ステップSS500の判定が満たされず、上記ステップSS420に戻り同様の手順を繰り返す。そして、使用者により「戻る」ボタン78の操作が行われた場合、すなわち、データ範囲の終了を表す「戻る」ボタン78の操作信号を取得した場合には、追記内容の筆記が終了したとみなされ、ステップSS500の判定が満たされて、ステップSS510に移る。なお、このステップSS500の手順が、各請求項記載の情報取得手段として機能する。
ステップSS510では、CPU80aは、この時点で生成済みでかつ上記RAM80cに保存された追記ストロークデータ(ペン位置データ列D)を、上記ステップSS400で取得されたページ番号Pnと対応付けてフラッシュメモリ72に保存する。ステップSS510が終了したら、ステップSS520に移る。なお、この時点で生成済みでかつ上記RAM80cに保存された追記ストロークデータ(ペン位置データ列D)は、上記ステップSS470で座標データに対応して生成が開始された、上記ステップSS500で「戻る」ボタン78の操作信号が取得されるまでの追記ストロークデータ(ペン位置データ列D)に相当する。すなわち、このステップSS510の手順が、各請求項記載の第2データ記憶手段として機能する。
ステップSS520では、CPU80aは、前述のステップSS230と同様、上記RAM80cに保存されているペン位置データ列Dの内容をクリアする。その後、このルーチンを終了する。
なお、上記において、図8のステップSS70及びステップSS160と、図9のステップSS460との手順が、各請求項記載の位置取得手段として機能する。また、図8のステップSS140と、図9のステップSS480との手順が、モード判定手段として機能する。またさらに、図8のステップSS170と、図9のステップSS470との手順が、ストロークデータ生成手段として機能する。
以上説明したように、本実施形態においては、電子ペン2は文字入力モード及びページ検索モードを備えており、上記モード選択スイッチ44での選択によって、これら2つのモードのいずれかが選択される。通常は文字入力モードが選択され、使用者が筆記面31L,31Rに対し電子ペン2を用いて文字列等を筆記すると、筆記内容と同等の筆記ストロークデータが順次生成され、各ページに順次割り振られてフラッシュメモリ72に保存される。
一方、追記を行いたい場合には、使用者は、まず、実際に追記を行いたいノート30のページを手でめくって探し、当該ページを開き、電子ペン2のモードをページ検索モードに切り替える。この電子ペン2の文字入力モードからページ検索モードへの切り替えは、電子ペン2のLC発振回路41から発生された磁界の周波数がf1からf2となることによってページ検索モードであると判定され、認識される(図8のステップSS140を参照)。その後、使用者は、当該ノート30のページに既に記載されている文字列等をもう一度上からなぞる。ページ検索モードへの切り替えの後の上記なぞり動作により、上記検索用座標データが算出される。そして、フラッシュメモリ72に上記のようにして順次保存された筆記ストロークデータのうち、上記算出された検索用座標データに対応するもの(上記の例では複数の検索用座標データを用いて生成された検索用ストロークデータに対応するもの)が見つけ出され、当該見つけ出された筆記ストロークデータに対応付けられたページ番号が取得される(図9のステップSS400を参照)。
以上のようにして、使用者がノート30の前のページにさかのぼって追記を行う場合に、当該追記に対応した追記ストロークデータを割り当てるべき、現在のページからさかのぼったページ番号を容易に取得することができる。これにより、使用者が戻るページ数をカウントして、ページ戻し操作を順次行う場合に比べ、労力負担を著しく低減することができるので、利便性を向上することができる。
また、本実施形態では特に、ページ検索モードへ切り替えられた後の前述のなぞり動作に基づき算出された検索用座標データを用いて、検索用ストロークデータが作成される。そして、フラッシュメモリ72に上記のようにして順次保存された筆記ストロークデータのうち、上記作成された検索用ストロークデータに対応するものが見つけ出され、当該見つけ出された筆記ストロークデータに対応付けられたページ番号を取得される。これにより、使用者がノート30の前のページにさかのぼって追記を行う場合に、当該追記に対応した追記ストロークデータを割り当てるべき、現在のページからさかのぼったページ番号を確実に取得することができる。
また、本実施形態では特に、追記ストロークデータが生成された場合、当該生成された追記ストロークデータを、図9のステップSS400で取得されたページ番号Pnと対応付けてフラッシュメモリ72に記憶する(図9のステップSS510を参照)。これにより、実際のノート30への追記内容に対応した追記ストロークデータに対し、ノート30における当該追記したページに対応した電子データ上のページ番号を割り当てる形で、フラッシュメモリ72に記憶させることができる。この結果、使用者がページをさかのぼってノート30に対し追記を行った場合に、当該追記と同等の内容の追記ストロークデータを、該当する電子データ上のページに確実に割り当てることができる。
また、本実施形態では特に、ノート30において追記する内容の筆記が終了したら、その終了の旨、すなわち追記内容に対応するデータ範囲が終了したことを装置側にも認識させるための、所定の操作、上記の例では「戻る」ボタン78の操作が行われる。これにより、当該データ範囲の終了を表すデータ終了情報、上記の例では「戻る」ボタン78の操作信号が取得され(図9のステップSS500を参照)、生成開始後から上記データ終了情報が取得されるまでに生成された追記ストロークデータが、追記すべきページとして取得されているページ番号Pnと対応付けられてフラッシュメモリ72に記憶される。これにより、使用者がページをさかのぼってノート30に対し追記を行った場合に、当該追記と同等の内容の追記ストロークデータを、始まりから終わりまでの範囲を明確にしつつ、該当する電子データ上のページに確実に割り当てることができる。
また、本実施形態では特に、上記データ終了情報として、データ範囲の終了を表す「戻る」ボタン78の操作信号を取得する。使用者が「戻る」ボタン78を操作することにより、ノート30への追記内容に対応した追記ストロークデータのデータ終了位置を明確に装置側に認識させることができる。
また、本実施形態では特に、追記ページのページ番号が特定されたらその旨の報知を行う(図9のステップSS410を参照)。これにより、追記ページのページ番号の電子ページ上での検索の進行具合を使用者に確実に認識させることができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で、種々の変形が可能である。以下、そのような変形例を説明する。
(1)特定のストロークデータの生成を検出したら追記終了とみなす場合
上記実施形態においては、使用者により「戻る」ボタン78が操作され、その「戻る」ボタン78の操作信号を取得した場合に、追記内容の筆記が終了したとみなしていたが、これに限られない。すなわち、使用者により予め定められた特定の文字等が筆記され、対応する特定のストロークデータの生成を検出した場合に、追記内容の筆記が終了したとみなすようにしてもよい。
本変形例において、座標検出装置3のCPU80aで行われる制御処理の手順は、前述の図8及び図9と同様で足りる。但し、本変形例におけるステップSS500においては、CPU80aは、使用者により電子ペン2を用いて「×」が筆記されたかどうか、すなわち、データ終了情報として、前述のステップSS460で算出された座標データ(x,y)に対応して前述のステップSS470で生成された、上記「×」を構成するストロークデータを取得すなわち検出したかどうかを判定することにより、追記内容の筆記が終了したかどうかを判定する。なお、上記「×」を構成するストロークデータは、予め定められた特定のストロークデータに相当する。また、特定のストロークデータとしては、上記「×」を構成するストロークデータに限られない。使用者により「×」が筆記されるまで、すなわち、「×」を構成するストロークデータの生成を検出するまで、追記内容の筆記が終了していないとみなされ、本変形例におけるステップSS500の判定が満たされず、前述のステップSS420に戻り同様の手順を繰り返す。使用者により「×」が筆記された場合、すなわち、「×」を構成するストロークデータの生成を検出した場合には、追記内容の筆記が終了したとみなされ、本変形例におけるステップSS500の判定が満たされて、前述のステップSS510に移る。なお、本変形例におけるステップSS500の手順も、各請求項記載の情報取得手段として機能する。
上記以外の手順は、上記実施形態と同様である。
本変形例によれば、上記実施形態と同様の効果を得る。すなわち、使用者が電子ペン2を所定の態様で動かして予め定められた特定のストロークデータ、上記の例では「×」を構成するストロークデータを生成することにより、ノート30への追記内容に対応したストロークデータのデータ終了位置を明確に装置側に認識させることができる。
(2)ページ検索モードに切り替えられたら追記終了とみなす場合
以上においては、「戻る」ボタン78の操作信号を取得した場合や、予め定められた特定のストロークデータの生成を検出した場合に、追記内容の筆記が終了したとみなしていたが、これに限られない。すなわち、使用者により電子ペン2のモード選択スイッチ44が操作され、電子ペン2のモードが文字入力モードからページ検索モードに切り替えられた場合に、追記内容の筆記が終了したとみなすようにしてもよい。
本変形例におけるステップSS300の詳細内容を、図10により説明する。なお、図10は、前述の図9に対応する図である。図9と同等の手順には同符号を付し説明を省略する。
図10において、前述の図9と異なる点は、ステップSS500に代えてステップSS500′を設け、さらに、ステップSS302及びステップSS505を新たに設けた点である。すなわち、まず、CPU80aは、新たに設けたステップSS302で、ページ検索モードから文字入力モードへ切り替えられたことを表すフラグFrを0に初期化する。
その後のステップSS370〜ステップSS480は、前述の図9と同様である。ステップSS480において、電子ペン2のLC発振回路41から発生された磁界の周波数がf1であった場合には、ページ検索モードから文字入力モードへ切り替えられたと判定されて、前述のステップSS420に戻り同様の手順を繰り返す。一方、電子ペン2のLC発振回路41から発生された磁界の周波数がf2であった場合には、モード選択スイッチ44において選択されているモードがページ検索モードであると判定されて、ステップSS500に代えて設けたステップSS500′に移る。
ステップSS500′では、CPU80aは、上記フラグFrが1であるかどうか、言い換えれば、上記ステップSS480でモードがページ検索モードから文字入力モードへ切り替えられたと判定された後に、再びステップSS480でモードがページ検索モードへ切り替えられたと判定されたかどうかを判定する。さらに言い換えれば、上記ステップSS480でモードがページ検索モードから文字入力モードへ切り替えられたと判定された後に、電子ペン2のLC発振回路41から発生された、ページ検索モードに対応した周波数f2の磁界を取得すなわち検出したかどうかを判定する。これにより、追記内容の筆記が終了したかどうかを判定する。なお、上記ページ検索モードに対応した周波数f2が、予め定められた特定のモード識別子に相当すると共に、データ終了情報にも相当する。上記フラグFrが0である場合、言い換えれば、上記ステップSS480でモードがページ検索モードから文字入力モードへ切り替えられたと判定された後に、まだ周波数f2の磁界を検出していない場合には、追記内容の筆記が終了していないとみなされ、ステップSS500′の判定が満たされず、前述のステップSS420に戻り同様の手順を繰り返す。上記フラグFrが1である場合、言い換えれば、上記ステップSS480でモードがページ検索モードから文字入力モードへ切り替えられたと判定された後に、周波数f2の磁界を検出した場合には、追記内容の筆記が終了したとみなされ、ステップSS500′の判定が満たされて、ステップSS510に移る。なお、このステップSS500′の手順が、各請求項記載の情報取得手段として機能する。
その後のステップSS510及びステップSS520の手順は、前述の図9と同様である。
本変形例によれば、前述の実施形態や上記(1)の変形例と同様の効果を得る。すなわち、電子ペン2のモードを、予め定められた特定のモード、上記の例ではページ検索モードとすることにより、ノート30への追記内容に対応したストロークデータのデータ終了位置を明確に装置側に認識させることができる。
なお、ノート30の筆記面31L,31Rへの追記を終了する際に操作されるボタンを電子ペン2側に設け、前述の図9に示すステップSS500において、CPU80aが、使用者により当該ボタンが操作されたかどうか、すなわち、データ終了情報として、電子ペン2から当該ボタンの操作情報を取得したかどうかを判定することにより、追記内容の筆記が終了したかどうかを判定するようにしてもよい。なお、このような場合におけるステップSS500の手順も、各請求項記載の情報取得手段として機能する。
(3)検索する箇所を各ページの所定の領域だけに限定する場合
すなわち、検索用ストロークデータを用いて、追記ページのページ番号を電子データ上で検索する際に、当該検索用ストロークデータに対応する筆記用ストロークデータを検索する箇所を、電子データ上の各ページの特定の領域だけに限定するようにしてもよい。
本変形例におけるノート30は、ページ検索用領域として、この例では見出し領域を各ページごとに備えている。すなわち、本変形例においては、使用者が、ページ検索モードが選択された電子ペン2を用いて、追記を行いたいノート30のページに備えられた見出し領域に既に記載されている文字列等をもう一度上からなぞることにより、当該なぞり動作に対応する検索用ストロークデータが作成される。その後、この作成された検索用ストロークデータを用いて、ノート30の各ページの上記見出し領域に対応する、電子ファイルの各ページの所定の領域(以下適宜、「電子見出し領域」と称する)に存在する、筆記ストロークデータの中から、上記作成された検索用ストロークデータに対応する筆記ストロークデータが見つけ出される。そして、当該見つけ出された筆記ストロークデータに対応付けられた電子ファイル上のページ番号が取得される。
例えば、図11(a)に示す例では、使用者が、ページ検索モードが選択された電子ペン2を用いて、追記を行いたいノート30の第1ページの見出し領域に既に記載されている「O〜R」をもう一度上からなぞることにより、図11(b)に示すように、対応する検索用ストロークデータ「O〜R」が生成される。その後、図11(c)に示すように、電子ファイルの各ページの電子見出し領域に存在する筆記ストロークデータの中から、上記生成された検索用ストロークデータ「O〜R」に対応する筆記ストロークデータが見つけ出され、当該筆記ストロークデータが記録された電子ファイル上のページ番号、すなわち、当該筆記ストロークデータに対応付けられた電子ファイル上のページ番号として、第1ページを表すページ番号[1]が取得される。
本変形例におけるステップSS300の詳細内容を、図12により説明する。なお、図12は、前述の図9及び図10に対応する図である。図9と同等の手順には同符号を付し説明を省略する。
図12において、前述の図9と異なる点は、ステップSS370、ステップSS380、及びステップSS400に代えて、ステップSS370′、ステップSS380′、及びステップSS400′を設けた点である。すなわち、まず、CPU80aは、ステップS370に代えて設けたステップSS370′で、前述のステップSS160で算出された検索用座標データを用いて前述のステップSS170で生成された検索用ストロークデータを用いて、公知の適宜のパターンマッチング手法、例えば特開平8−77295に記載のような、座標点列を4点近似してマッチングする手法等により、フラッシュメモリ72の電子ファイルの各ページの上記電子見出し領域に存在する筆記ストロークデータの中から、当該検索用ストロークデータに対応する筆記ストロークデータを検索する。
その後、ステップSS380に代えて設けたステップSS380′で、CPU80aは、上記ステップSS370′での検索結果に基づき、前述のステップSS170で生成された検索用ストロークデータに対応する筆記ストロークデータが1つに絞り込まれたかどうかを判定する。検索用ストロークデータに対応する筆記ストロークデータが1つに絞り込まれるまでは、ステップSS380′の判定が満たされず、ステップSS390に移る。ステップSS390は、前述の図9と同様であるので説明を省略する。そして、検索用ストロークデータに対応する筆記ストロークデータが1つに絞り込まれた場合、すなわち、検索用ストロークデータに対応する筆記ストロークデータが特定された場合には、ステップSS380′の判定が満たされて、ステップSS400に代えて設けたステップSS400′に移る。
ステップSS400′では、CPU80aは、追記ページのページ番号として、前述のステップSS170で生成された検索用ストロークデータに対応する筆記ストロークデータが上記電子見出し領域に存在するページ番号、すなわち、上記ステップSS370′での検索によって1つに絞り込まれた筆記ストロークデータに対応付けられてフラッシュメモリ72に保存されたページ番号Pnを取得する。なお、このステップSS400′の手順が、各請求項記載のデータ取得手段として機能する。その後。ステップSS410に移る。
その後のステップSS410以降の手順は、前述の図9とほぼ同様であるので、説明を省略する。
本変形例においては、ノート30がページ検索用領域(上記の例では見出し領域)を各ページごとに備えている。そして、なぞり動作に基づき生成された検索用ストロークデータを手がかりにして、追記ページのページ番号を電子データ上で検索するとき、検索する箇所を、上記ノート30の各ページ上の上記見出し領域に対応する、電子データ上の各ページの特定の領域(上記の例では電子見出し領域)に絞り込む。これにより、ページ番号の検索をさらに迅速に行うことができる。
(4)追記ページの候補の数が所定値以下となったら報知を行う場合
以上においては、追記ページのページ番号が1つに絞り込まれた場合に報知を行っていたが、これに限られない。すなわち、追記ページの候補となるページ(以下適宜、「追記候補ページ」と称する)のページ番号の数が所定値以下に絞り込まれた場合に報知を行うようにしてもよい。
ここで、前述したように、電子ペン2のモードがページ検索モードに切り替えられた後の使用者によるなぞり動作に基づき、追記候補ページのページ番号が電子データ上で検索されると、なぞり動作の初期においては、対応する検索用ストロークデータに基づく電子データ上の検索でヒットする追記候補ページのページ番号の数が比較的多数となる場合がある。しかしながらこのような場合であっても、使用者によってなぞり動作が継続されて、検索用ストロークデータがさらに順次生成されるに従い、電子データ上でヒットする追記候補ページのページ番号は徐々に絞り込まれ、追記候補ページのページ番号の数が減ってくる。本変形例ではこのような挙動に対応し、追記候補ページのページ番号が複数個取得された場合には、上記のような検索用ストロークデータの生成により、当該ページ番号の数が予め定めた所定値以下になったかどうかを判定する。そして、追記候補ページのページ番号の数が所定値以下になった場合に、その旨の報知を行うようにする。
上記のようにして報知が行われた後は、使用者は、前述の実施形態と同様、電子ペン2のモードをページ検索モードから文字入力モードへ切り替え、ノート30に対して文字列等の追記を行う。ところで、前述したように、使用者がノート30において追記を行う場合には、例えば文字列等の新たな内容が既に過去に記載済みのページにさかのぼって記載される。このため、当該追記された内容は、上記ノート30の記載済みのページのうちまだ未記入である空白領域に記入される場合が多い。すなわち、記載済みのページの未記入部分の占める領域と、追記された記載の占める領域とは、広さが概ね一致する場合が多い。これを電子データ上における対応関係でみると、実際のノート30のページにおける未記入部分の占める領域に対応する、電子データ上のページにおいて筆記ストロークデータの存在しない空白領域(以下適宜、「第1領域」と称する)と、追記された記載の占める領域に相当する追記ストロークデータの外縁を囲む領域(以下適宜、「第2領域」と称する)とが、大きさが概ね一致することとなる。したがって、第2領域が、第1領域内に納まるように配置されることとなる。また、この場合には、それら第1領域と第2領域との距離は非常に短くなる。
本変形例ではこのような挙動に対応して、上記のようにして取得された複数個の追記候補ページのページ番号の中から、所定の位置関係として、当該ページ番号の追記候補ページにおける第1領域と第2領域との前述の第2方向5(図1(b)参照)に沿った距離d(後述の図13(a)及び図13(b)参照)が、最短となるような(言い換えれば第1領域と第2領域との第2方向5における隙間が最小となるような)ページ番号を見つけ出す。そして、上記第1領域と第2領域との第2方向5に沿った距離dが最短となったページ番号を、追記ページのページ番号として選定する。そして、その選定されたページ番号を、生成された追記ストロークデータ、すなわち実際にノート30に追記された内容に対応したストロークデータに対応付けて電子ファイルに記録するようにする。
なお、後述の図13(a)及び図13(b)に示すように、第1領域とは、電子ファイルのある1ページに含まれるすべての筆記ストロークデータを包含するような外枠を規定した場合の、当該外枠の外側の領域をいう。また、第2領域とは、生成された追記ストロークデータを包含するような外枠を規定した場合の、当該外枠の内側の領域をいう。
図13(a)及び図13(b)は、複数個の追記候補ページのページ番号の中から追記ページのページ番号を見つけ出すための手法の一例を説明する説明図である。この例では、説明の便宜上、電子データ上の各ページが、縦32ドット×横27ドットの合計864ドットのデータ(図中、格子で示す)で表される場合を例にとって説明する。また、この例では、図示左右方向が前述の第1方向4(図1(b)参照)に対応しており、図示上下方向が上記第2方向5に対応している場合を例にとっている。またさらに、この例では、追記ストロークデータは、「678」の3文字が縦5ドット×横11ドットの合計55ドットの第2領域に1行で記録された場合を例にとっている。
図13(a)に示す追記候補ページ(追記候補ページA)には、「012345」「012」「012」「012345」の18文字からなる筆記ストロークデータが記録されている。図13(b)に示す追記候補ページ(追記候補ページB)には、「012345」「012」「012678」「012345」の21文字からなる筆記ストロークデータが記録されている。これら図13(a)及び図13(b)のいずれの場合についても、上記した追記ストロークデータ「678」に対応する領域には、筆記ストロークデータが記録されていない。
図13(a)の追記候補ページAでは、第1領域と第2領域との第2方向5(図13(a)中の上下方向)に沿った距離dは、9ドットとなっている。これに対して、図13(b)の追記候補ページBでは、第1領域と第2領域との第2方向5(図13(b)中の上下方向)に沿った距離dは、2ドットとなっている。したがって、このような場合には、上記距離dが最短となる、図13(b)の追記候補ページBのページ番号が、上記追記ページのページ番号として選定される。
本変形例におけるステップSS300の詳細内容を、図14により説明する。なお、図14は、前述の図9、図10、及び図12に対応する図である。図9と同等の手順には同符号を付し説明を省略する。
図14において、まず、CPU80aは、新たに設けたステップSS305で、追記ページのページ番号が特定されたことを表すフラグFgを0に初期化する。
ステップSS370は、前述の図9と同様であり、前述のステップSS170で生成された検索用ストロークデータを用いて、フラッシュメモリ72の電子ファイルの各ページに記憶された筆記ストロークデータの中から、当該検索用ストロークデータに対応する筆記ストロークデータを検索する。その後、ステップSS400に代えて設けたステップSS400′に移る。
ステップSS400′では、CPU80aは、追記候補ページのページ番号として、上記ステップSS370の検索でヒットした筆記ストロークデータに対応付けられてフラッシュメモリ72に保存されたページ番号Pnを取得する。なお、このステップSS400′の手順が、各請求項記載のデータ取得手段として機能する。
そして、新たに設けたステップSS402に移り、CPU80aは、上記ステップSS400′においてページ番号Pnが複数個取得されたかどうかを判定する。なお、このステップSS402の手順が、各請求項記載の第1データ数判定手段として機能する。上記ステップSS400′においてページ番号Pnが1個だけしか取得されていなかった場合、すなわち、追記ページのページ番号が特定された場合には、ステップSS402の判定が満たされず、新たに設けたステップSS406に移り、CPU80aは、上記フラグFgを1とする。その後、後述のステップSS410′に移る。一方、上記ステップSS400′においてページ番号Pnが複数個取得されていた場合、すなわち、追記ページのページ番号が特定されず、追記候補ページのページ番号が複数個取得されていた場合には、ステップSS402の判定が満たされて、新たに設けたステップSS404に移る。
ステップSS404では、CPU80aは、上記ステップSS400′で取得されたページ番号Pnの数が、所定値以下となったかどうかを判定する。なお、上記ステップSS400′で取得されたページ番号Pnの数は、ノート30への筆記の進行により、前述のステップSS170で順次生成される検索用ストロークデータに対応して、当該検索用ストロークデータに対応する、フラッシュメモリ72に保存されたページ番号Pnの数に相当する。すなわち、このステップSS404の手順が、各請求項記載の第2データ数判定手段として機能する。上記ステップSS400′で取得されたページ番号Pnの数が所定値よりも大きい間は、言い換えれば、追記候補ページのページ番号の数が所定値以下まで絞り込まれていない間は、ステップSS404の判定が満たされず、ステップSS390に移る。ステップSS390は、前述の図9と同様であるので説明を省略する。そして、上記ステップSS400′で取得されたページ番号Pnの数が所定値以下となった場合、言い換えれば、追記候補ページのページ番号の数が所定値以下まで絞り込まれた場合には、ステップSS404の判定が満たされて、ステップSS410に代えて設けたステップSS410′に移る。
ステップSS410′では、CPU80aは、前述の音声出力部に制御信号を出力し、適宜の音を発生させることにより、追記候補ページのページ番号の数が所定値以下となった旨の報知を行う。あるいは、表示部76に適宜の表示を表示させたり、電子ペン2の図示しない振動部により振動を発生させたりすることにより、上記報知を行うようにしてもよい。なお、このステップSS410′の手順が、各請求項記載の第2報知手段として機能する。
その後のステップSS420〜ステップSS500は、前述の図9と同様である。ステップSS500において、追記内容の筆記が終了したかどうかを判定し、追記内容の筆記が終了したとみなされ、ステップSS500の判定が満たされたら、新たに設けたステップSS505に移る。
ステップSS505では、CPU80aは、上記フラグFgが1であるかどうかを判定する。上記ステップSS400′でページ番号Pnが1個だけしか取得されずステップSS406でFg=1となっていた場合には、ステップSS505の判定が満たされて、ステップSS510に移る。
ステップSS510は、前述の図9とほぼ同様であり、この時点で生成済みでかつ上記RAM80cに保存された追記ストロークデータ(ペン位置データ列D)を、上記ステップSS400′で取得されたページ番号Pnと対応付けてフラッシュメモリ72に保存する。ステップSS510が終了したら、ステップSS520に移る。
一方、ステップSS505において、上記ステップSS400′でページ番号Pnが複数個取得され、Fg=0のままである場合には、ステップSS505の判定が満たされず、新たに設けたステップSS512に移る。
ステップSS512では、CPU80aは、上記ステップSS400′で取得された複数個の各ページ番号Pnごとに、当該ページ番号で表されるページすなわち追記候補ページにおいて筆記ストロークデータの存在しない空白領域である上記第1領域と、前述のステップSS470で生成された追記ストロークデータの外縁を囲む領域である上記第2領域との、上記第2方向5に沿った距離dを求める。
そして、新たに設けたステップSS514に移り、CPU80aは、上記ステップSS400′で取得された複数個のページ番号Pnのうち、上記ステップSS512で求められた第1領域と第2領域との第2方向5に沿った距離dが、最短である追記候補ページのページ番号Pnを、上記追記ページとして選定する。これは言い換えれば、上記ステップSS400′で取得された複数個のページ番号Pnごとに、第1領域と第2領域とが所定の位置関係となっているかどうか、この例では第1領域と第2領域との第2方向5に沿った距離dが最短であるかどうかを判定し、所定の位置関係(この例では距離dが最短)となっていると判定した追記候補ページのページ番号Pnを、追記ページとして選定することに相当する。すなわち、このステップSS514の手順が、各請求項記載の位置関係判定手段として機能する。
その後、新たに設けたステップSS516で、CPU80aは、上記ステップSS514で選定されたページ番号Pn、言い換えれば、第1領域と第2領域との第2方向5に沿った距離dが最短であると判定されたページのページ番号Pnを、この時点で生成済みでかつ上記RAM80cに保存された追記ストロークデータ(ペン位置データ列D)と対応付けてフラッシュメモリ72に保存する。なお、この時点で生成済みでかつ上記RAM80cに保存された追記ストロークデータ(ペン位置データ列D)は、前述のステップSS470で座標データに対応して生成が開始された、前述のステップSS500で「戻る」ボタン78の操作信号が取得されるまでの追記ストロークデータ(ペン位置データ列D)に相当する。すなわち、本変形例においては、上記ステップSS510及びステップSS516の手順が、各請求項記載の第2データ記憶手段として機能する。ステップSS516が終了したら、ステップSS520に移る。
ステップSS520は、前述の図9と同様であるので、説明を省略する。その後、このルーチンを終了する。
以上説明したように、本変形例においては、生成された検索用ストロークデータに対応するページ番号Pnが複数個取得されたかどうかを判定する(ステップSS402を参照)。そして、複数個取得されたと判定された場合には、当該ページ番号Pnの数が所定値以下になったかどうかを判定し(ステップSS404を参照)、当該判定が満たされたら、その旨の報知を行う(ステップSS410′を参照)。これにより、追記ページのページ番号の電子データ上での検索の進行具合を使用者に確実に認識させるとともに、検索進行具合が思わしくない場合にはさらなる検索用ストロークデータの生成のために電子ペン2のさらなる筆記動作を使用者に要求することもできる。
また、上記のようにして取得された複数個の各ページ番号Pnに関し、各ページごとに、第1領域と第2領域とが所定の位置関係となっているかどうか、上記の例では第1領域と第2領域との第2方向5に沿った距離dが最短であるかどうか、を判定する。そして、所定の位置関係が成立しているページのページ番号、上記の例では上記距離dが最短であるページのページ番号を、前述のステップSS470で生成された追記ストロークデータ、すなわち実際にノート30に追記された内容に対応したストロークデータに対応付けてフラッシュメモリ72に保存する。これにより、追記内容に対応した追記ストロークデータを、正しいページ番号に高精度に対応付けることができる。また特に、上記第1領域と第2領域との第2方向5に沿った距離dが最短であるかどうかを判定ことにより、追記内容に対応した追記ストロークデータを、さらに確実に正しいページ番号に精度よく対応付けることができる。
(5)その他
上記(4)の変形例においては、所定の位置関係として、第1領域と第2領域とが、第2方向5に沿った距離が最短であるかを判定していたが、これに限られない。すなわち、第1領域と第2領域とが、前述の第1方向4(図1(b)参照)に沿った距離が最短であるかどうかを判定するようにしてもよい。この場合も上記(4)の変形例と同様の効果を得る。
なお、以上においては、使用者の前述のなぞり動作に基づき生成された検索用ストロークデータをキーとして用いて、フラッシュメモリ72に保存された筆記ストロークデータの中から、当該検索用ストロークデータに対応する筆記ストロークデータに対応付けられて保存されたページ番号を取得していたが、これに限られない。すなわち、筆記済みの記載をなぞるのではなく、例えば、記載の最初の点や最後の点などのいくつかのポイントを触れる等の動作に基づき算出された検索用座標データをキーとして用いて、フラッシュメモリ72に保存された筆記ストロークデータの中から、当該検索用座標データに対応する筆記ストロークデータに対応付けられて保存されたページ番号を取得するようにしてもよい。
また、検索用ストロークデータとフラッシュメモリ72に保存された筆記ストロークデータとの照合の際に、全体的に一定範囲内でずらして一致度をみるようにし、一定範囲内でずらしたときの相関を各ページ番号ごとにとり、相関値が最も大きいページ番号を取得するようにしてもよい。
なお、以上においては、算出された電子ペン2とノート30との接触点の座標データに基づき生成された筆記ストロークデータ(ペン位置データ列D)を、座標検出装置3が、電子ファイルにおける各ページに記録したが、これに限られない。すなわち、電子ファイルの生成は行わず、単に筆記ストロークデータ(ペン位置データ列D)に対し、ページ番号のみを割り当てて付与し、フラッシュメモリ72に記憶するようにしてもよい。この場合は、電子ファイルの生成は、座標検出装置3に接続される適宜の外部装置によって行えば足りる。
また、以上においては、電子ペン2が自己電源としての電池43を備え、この電池43の起電力によりLC発振回路41が発生した磁界をセンスコイルX1〜Xm,Y1〜Ynで受信し、電子ペン2とノート30との接触点の座標データの算出を行ったが、これに限られない。すなわち、電子ペン側に自己電源を設けず、装置側のコイルからの磁気誘導により電子ペンの共振回路に起電力を誘起して電子ペンのコンデンサに電荷を蓄積し、その蓄積した電荷を用いて電子ペンが発生した磁界を装置側のコイルで受信し、電子ペンとノート30との接触点の位置座標を取得してもよい。この場合も同様の効果を得る。
また、以上においては、シート体10に設けたセンスコイル部110が電磁波を電子ペン2と送受する非接触方式によって、電子ペン2とノート30との接触点の位置座標を取得したが、これに限られない。すなわち、上記以外の方式、例えば、ペンを用いてタブレットシート上にて文字列等の筆記動作を行ったときのペンの動きがタブレットシートにより検出される、接触方式によってペンとノート30との接触点の位置座標を取得してもよい。この場合も同様の効果を得る。
また、以上は、電子ペン2によって文字が記載される場合を例にとって説明したが、これに限られない。すなわち、図や絵など文字以外のものが記載される場合も同様に適用でき、同様の効果を得る。
なお、以上において、図2中に示す矢印は信号の流れの一例を示すものであり、信号の流れ方向を限定するものではない。
また、図8、図9等に示すフローチャートは本発明を上記フローに示す手順に限定するものではなく、発明の趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で手順の追加・削除又は順番の変更等をしてもよい。
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。