JP5365734B2 - 表示装置 - Google Patents

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Description

この明細書で説明する発明は、アクティブマトリクス駆動方式で駆動制御されるEL表示パネルの製造コストと画像品質とを最適化する技術に関する。なお、この明細書で提案する発明は、EL表示パネルモジュール、EL表示パネル、集積回路装置、電子機器及び駆動制御方法としての側面を有する。
図1に、アクティブマトリクス駆動型の有機ELパネルモジュールに一般的な回路ブロック構成を示す。図1に示すように、有機ELパネルモジュール1は、画素アレイ部3と、その駆動回路であるライトスキャンドライバ5、電源スキャンドライバ7、水平セレクタ9で構成する。
ところで、有機EL素子は電流発光素子である。このため、有機ELパネルモジュールでは、各画素の発色階調の制御に、有機EL素子に流れる電流量を制御する駆動方式を採用する。図2に、この種の画素回路のうち最も単純な回路構成の一つを示す。この画素回路は、スキャントランジスタT1、駆動トランジスタT2及び保持容量Csで構成される。
なお、スキャントランジスタT1は、対応画素の階調に対応する信号電圧を保持容量Csに書き込むのに使用される。また、駆動トランジスタT2は、保持容量Csの保持電圧により定まるゲート・ソース間電圧Vgsに基づいた電流Idsを有機EL素子OLEDに供給するのに使用される。
ところで、駆動トランジスタT2がpチャネル型薄膜トランジスタで構成される場合、そのソース電極は電源線に接続されている。すなわち、駆動トランジスタT2は、常に飽和領域で動作するように設計される。従って、駆動トランジスタT2は、定電流源として動作する。この際、電流Idsは次式で与えられる。
Ids=k・μ・(Vgs−Vth)2/2
因みに、μは、駆動トランジスタT2の多数キャリアの移動度である。また、Vthは、駆動トランジスタT2の閾値電圧である。また、kは、(W/L)・Coxで与えられる係数である。ここで、Wはチャネル幅、Lはチャネル長、Coxは単位面積当たりのゲート容量である。
なお、この画素回路の構成の場合、図3に示す有機EL素子のI−V特性の経時変化に伴って、駆動トランジスタT2のドレイン電圧が変化する。しかし、ゲート・ソース間電圧Vgsは一定に保たれるので、有機EL素子に供給される電流量には変化が無く、発光輝度が一定に保たれる。
以下に、アクティブマトリクス駆動方式を採用する有機ELパネルディスプレイに関する文献を例示する。
特開2003−255856号公報 特開2003−271095号公報 特開2004−133240号公報 特開2004−029791号公報 特開2004−093682号公報
ところで、駆動トランジスタT2をnチャネル型薄膜トランジスタに置き換えると、図4に示すように、今度はソース電位が有機EL素子に接続される。この画素回路の場合、有機EL素子のI−V特性の経時変化に伴って電流量が変化し、発光輝度が変化してしまう。
また、画素毎に駆動トランジスタT2の閾値及び移動度が異なるため、前式に応じて電流値にバラツキが生じ、発光輝度も画素毎に変化してしまう。
このため、駆動トランジスタT2をnチャネル型薄膜トランジスタで構成する場合にも、経時変化によらず安定した発光特性を得られる画素回路と駆動方法の確立が求められている。また同時に、有機ELパネルモジュールの普及には、製造コストの更なる低減が要求される。
そこで、発明者らは、(a)基体とするパネル上に、画素回路と発光領域とで構成される画素をマトリクス状に形成した画素アレイ部と、(b)1本の信号線に接続された複数個の画素回路についての閾値補正動作を共通化する一方で、各階調値に対応する信号電位の書き込みは画素回路別に時間順次に実行する場合において、閾値補正動作完了後の最初の信号電位の書き込み開始直前に、閾値補正用の基準電位よりも低いリセット電位を対象とする複数個の画素回路に印加する駆動回路とを有するEL表示パネルモジュール又はEL表示パネルを提案する。
発明者らの提案する発明の場合、低コスト化と画質品質とが両立するEL表示パネルモジュール又はEL表示パネルを実現することができる。
有機ELパネルモジュールの回路ブロック構成を説明する図である。 画素回路例を示す図である。 有機EL素子のI−V特性の経時変化を説明する図である。 他の画素回路例を示す図である。 有機ELパネルモジュールの外観構成例を示す図である。 有機ELパネルモジュールのシステム構成例を示す図である。 画素回路と各駆動回路との接続関係を示す図である。 形態例に係る画素回路例を示す図である。 形態例に係る駆動動作例を示す図である。 画素回路の動作状態を説明する図である。 画素回路の動作状態を説明する図である。 画素回路の動作状態を説明する図である。 画素回路の動作状態を説明する図である。 ソース電位の経時変化を示す図である。 画素回路の動作状態を説明する図である。 画素回路の動作状態を説明する図である。 移動度の違いによる経時変化の違いを示す図である。 画素回路の動作状態を説明する図である。 形態例に係る有機ELパネルモジュールの他のシステム構成例を示す図である。 形態例に係る他の駆動動作例を示す図である。 N段目の水平ラインに対応する画素回路の駆動波形例を示す図である。 N+1段目の水平ラインに対応する画素回路の駆動波形例を示す図である。 画像ムラの発生例を示す図である。 薄膜トランジスタのVg−Id特性を示す図である。 形態例に係る他の駆動動作例を示す図である。 N段目の水平ラインに対応する画素回路の駆動波形例を示す図である。 N+1段目の水平ラインに対応する画素回路の駆動波形例を示す図である。 形態例に係る有機ELパネルモジュールの他のシステム構成例を示す図である。 形態例に係る他の駆動動作例を示す図である。 形態例に係る有機ELパネルモジュールの他のシステム構成例を示す図である。 形態例に係る他の駆動動作例を示す図である。 他の画素回路例を示す図である。 他の駆動動作例を示す図である。 電子機器の概念構成例を示す図である。 電子機器の商品例を示す図である。 電子機器の商品例を示す図である。 電子機器の商品例を示す図である。 電子機器の商品例を示す図である。 電子機器の商品例を示す図である。
以下、発明を、アクティブマトリクス駆動型の有機ELパネルモジュール又は有機ELパネルに適用する場合について説明する。
なお、本明細書で特に図示又は記載されない部分には、当該技術分野の周知又は公知技術を適用する。また以下に説明する形態例は、発明の一つの形態例であって、これらに限定されるものではない。
(A)外観構成
この明細書では、例えば特定用途向けICとして製造された駆動回路を画素アレイ部の形成された基板上に実装したものを有機ELパネルモジュールと呼び、画素アレイ部と駆動回路とを同じプロセスを用いて同じ基板上に形成したものを有機ELパネルと呼ぶ。
以下では、有機ELパネルモジュールについて説明する。図5に、有機ELパネルモジュールの外観構成例を示す。有機ELパネルモジュール11は、支持基板13のうち画素アレイ部の形成領域に対向部15を貼り合わせた構造を有している。
対向部15は、ガラスその他の透明部材を基材とし、その表面にはカラーフィルタ、保護膜等が配置される。なお、有機ELパネルモジュール11には、外部から支持基板13に信号等を入出力するためのFPC(フレキシブルプリントサーキット)17が配置される。
(B)形態例1
(B−1)システム構成
図6に、形態例1に係る有機ELパネルモジュール11のシステム構成の概略を示す。図6に示すように、有機ELパネルモジュール11は、画素アレイ部21と、その駆動回路であるライトスキャンドライバ23、電源スキャンドライバ25、水平セレクタ27、タイミングジェネレータ29で構成される。
画素アレイ部21は、有機EL素子と画素回路とで構成されるサブ画素がマトリクス状に配置される。因みに、サブ画素は1画素を構成する画素構造の最小単位であり、1画素は有機EL材料の異なる3つのサブ画素(R、G、B)で構成される。
図7に、サブ画素に対応する画素回路と各駆動回路との接続関係を示す。図8に、形態例で提案する画素回路の内部構成を示す。図8に示す画素回路も、2つの薄膜トランジスタと1つの保持容量Csとで構成される。
ただし、駆動トランジスタT2がnチャネル型の薄膜トランジスタである。また、保持容量Csは、駆動トランジスタT2のゲート電極と有機EL素子OLEDのアノード電極との間にそれぞれ接続される。
この回路構成の場合も、ライトスキャンドライバ23は、ライトスキャン線WSLを通じてスキャントランジスタT1をオン・オフ制御し、保持容量Csへの電位の書き込みを制御する。因みに、ライトスキャンドライバ23は、シフトレジスタで構成される。
また、電源スキャンドライバ25は、給電線DSLを通じて駆動トランジスタT2の一方の主電極に印加される電源電位を2値的に制御し、他の駆動回路と共に画素回路内の特性バラツキの補正動作を制御する。具体的には、駆動トランジスタT2の閾値バラツキや移動度バラツキに基づくユニフォーミティの劣化を補正する。
また、水平セレクタ27は、信号線DTLに各画素データの階調値に対応する信号電位Vsig 又は閾値補正用のオフセット電圧Vofs を印加する回路デバイスである。
タイミングジェネレータ29は、ライトスキャン線WSL、給電線DSL、信号線DTLの駆動パルスを生成する回路デバイスである。
(B−2)駆動動作例
図9に、図8に示す画素回路の駆動動作例を示す。なお、図9は、2水平走査期間を利用して閾値補正を実行する場合の駆動動作例であるが、閾値補正動作から信号電位Vsig の書き込みまでの動作を1水平走査期間内に実行しても良い。
因みに図9では、給電線DSLに印加する2種類の電位のうち高電位の方をVccで表し、低電位の方をVssで表す。
まず、発光状態における画素回路内の動作状態を図10に示す。このとき、スイッチングトランジスタT1はオフ状態である。一方、駆動トランジスタT2は飽和領域で動作し、ゲート・ソース間電圧Vgsに応じて定まる電流Idsが流れる。
次に、非発光状態の動作状態を説明する。まず、給電線DSLの電位が高電位Vccから低電位Vssに切り換わる(図9(T1))。この際、低電位Vssが有機EL素子の閾値Vthelとカソード電位Vcathとの和より小さいとき、つまりVss<Vthel+Vcathであれば有機EL素子は消灯する。
なお、駆動トランジスタT2のソース電位Vsは給電線DSLの電位と同じになる。すなわち、有機EL素子のアノード電極は低電位Vssに充電される。図11に、この場合の画素回路内の動作状態を示す。
この後、信号線DTLの電位が閾値補正用のオフセット電位Vofs に遷移した状態で、ライトスキャン線WSLが高電位に変化すると、オン動作したスイッチングトランジスタT1を通じて駆動トランジスタT2のゲート電位がオフセット電位Vofs に変化する(図9(T2))。
図12に、この場合における画素回路内の動作状態を示す。この際、駆動トランジスタT2のゲート・ソース間電圧VgsはVofs-Vssで与えられる。この電圧は、駆動トランジスタT2の閾値電圧Vthよりも大きくなるように設定される。Vofs-Vss>Vthを満たさなければ閾値補正動作を実行できないためである。
次に、給電線DSLの電位が再び高電位Vccに切り換えられる(図9(T3))。給電線DSLの電圧が高電位Vccに変化することで、有機EL素子OLEDのアノード電位が駆動トランジスタT2のソース電位Vsとなる。
図13では、有機EL素子OLEDを等価回路で示す。すなわち、ダイオードと寄生容量Celで示す。このとき、Vel≦Vcat+Vthelの関係を満たす限り(ただし、有機EL素子のリーク電流は駆動トランジスタT2に流れる電流Idsよりかなり小さいと考える。)、駆動トランジスタT2に流れる電流Idsは、保持容量Csと寄生容量Celを充電するのに使用される。
結果的に、有機EL素子のアノード電圧Velは、図14に示すように、時間の経過と共に上昇する。この期間が閾値補正期間である。
閾値補正期間の開始から一定時間が経過すると、スキャントランジスタT1はオフ制御される(図9(T4))。すなわち、閾値補正動作は一時的に休止状態になる。このとき、駆動トランジスタT2のゲート・ソース間電圧Vgsは閾値電圧Vthより大きい。
従って、図15に示すように電流Idsが流れ、駆動トランジスタT2のゲート電位Vgとソース電位Vsは共に上昇する。なお、この期間の場合も、有機EL素子OLEDには逆バイアスがかかっているので有機EL素子が発光することはない。
やがて、閾値補正期間が再開される。すなわち、信号線DTLの電位がVofs となり、同時にスキャントランジスタT1がオン状態に制御される(図9(T5))。
最終的に、駆動トランジスタT2のゲート・ソース間電圧Vgsは閾値電圧Vthに収束する。このとき、Vel=Vofs −Vth≦Vcat +Vthelを満たしている。
閾値補正期間が終了すると、スキャントランジスタT1がオフ制御される(図9(T6))。
この後、信号線DTLの電位がVsig となった時点で、スキャントランジスタT1は再びオン状態に制御される(図9(T7))。図16に、この場合における画素回路内の動作状態を示す。なお、Vsig は階調に応じて定まる。この際、駆動トランジスタT2のゲート電位VgはVsig となるが、給電線DSLからの電流が保持容量Csに流れ込むため、ソース電位Vsは時間と共に上昇する。
この時、駆動トランジスタT2のソース電位Vsが有機EL素子の閾値電圧Vthel と
カソード電圧Vcat
の和を越えなければ(有機EL素子のリーク電流が駆動トランジスタT2に流れる電流よりもかなり小さければ)、駆動トランジスタT2の電流Idsは保持容量Csと寄生容量Celを充電するのに使用される。
なお、駆動トランジスタT2の閾値補正動作は既に完了しているので、駆動トランジスタT2が流す電流Idsは移動度μを反映した値になる。具体的には、移動度μが大きい駆動トランジスタほど電流量は大きくなり、ソース電位Vsの上昇も早くなる。逆に移動度μが小さい駆動トランジスタは電流量も小さいので、ソース電位Vsの上昇は遅くなる(図17)。
これにより、駆動トランジスタT2のゲート・ソース間電圧Vgsは移動度μを反映して小さくなる。結果的に、一定時間が経過した時点で、駆動トランジスタT2のゲート・ソース間電圧Vgsは、移動度μを補正した電圧に収束する。
最後に、スキャントランジスタT1がオフ制御されて信号電位の書き込みが終了すると
、有機EL素子の発光期間が開始される(図9(T8))。図18に、この場合における画素回路内の動作状態を示す。なお、駆動トランジスタT2のゲート・ソース間電圧Vgsは一定である。従って、駆動トランジスタT2は一定の電流Ids’を有機EL素子に供給する。
これに伴い、有機EL素子のアノード電圧Velは、有機EL素子に電流Ids’を流す電位Vx まで上昇する。これにより、有機EL素子による発光が開始される。
なお、この形態例で提案する駆動回路の場合も、発光時間が長くなると、I−V特性が変化する。
このため、駆動トランジスタT2のソース電位Vsも変化する。しかし、駆動トランジスタT2のゲート・ソース間電圧Vgsは、保持容量Csにより一定に保たれるので有機EL素子に流れる電流量は変化しない。このように、有機EL素子のI−V特性が劣化したとしても、一定の電流Idsが常に流れ続け、有機EL素子の輝度が変化することはない。
(B−3)まとめ
この形態例で説明した構成の画素回路の採用により、駆動トランジスタT2をnチャネル型の薄膜トランジスタで構成する場合にも、画素毎に輝度バラツキのない有機ELパネルモジュールを実現することができる。
(C)形態例2
ここでは、更なる高精細化と高速駆動化に適して好適な有機ELパネルモジュールの形態例を示す。このため、この形態例では、複数の水平ライン単位で閾値補正動作を共通化する。なお、閾値補正動作が共通化された水平ラインの各画素に対応する信号電位の書き込みは、閾値補正期間の終了後に時間順次に実行する。
(C−1)システム構成
図19に、形態例2に係る有機ELパネルモジュール31のシステム構成の概略を示す。なお、図19には図7との対応部分に同一符号を付して示す。
図19に示すように、有機ELパネルモジュール31は、画素アレイ部21と、その駆動回路であるライトスキャンドライバ33、電源スキャンドライバ35、水平セレクタ27で構成される。
(C−2)基本とする駆動動作
図20に、この形態例で使用する駆動回路の一例を示す。なお、図20は、垂直方向に隣接する2つの画素についての閾値補正動作(すなわち、2水平ラインについての閾値補正動作)を共通化する場合について表している。因みに、図20では、閾値補正期間が2水平走査期間内に1回だけ実行するものとして表している。
図20(A)〜(D)に示すように、閾値補正準備期間の開始から閾値補正期間の終了までの電位関係は、N段目とN+1段目で全く同じであり、2つの水平ライン間で全く同じ駆動動作が実行されることが分かる。ただし、図20(B)及び図20(D)に示すように、階調値に応じた信号電位Vsig の書き込みは、N段目の書き込みがまず実行され、その後、N+1段目の書き込みが実行される。
ところで、このような駆動方法を採用する利点は、信号線DTL(図20(E))に印加する電位の遷移(トランジェント)回数が少なくなり、電位の書き込みに使用できる実時間を増加させることができることにある。例えば形態例1の場合、2水平走査期間内における信号電位の遷移は、オフセット電位Vofs →信号電位Vsig →オフセット電位Vofs →信号電位Vsig の計4回である。
一方、この形態例2の場合、2水平走査期間内における信号電位の遷移は、オフセット電位Vofs →信号電位Vsig(N段目) →信号電位Vsig(N+1段目) の計3回で済む。すなわち、信号線DTLの電位の遷移が1回分少なく済む。この期間長だけ閾値補正に十分な期間を割り当てることができる。
ところが、この駆動方式の場合、水平ライン間における信号電位Vsig の書き込みタイミングの違いが画質を低下させる原因になることがある。
図21及び図22を用いて説明する。ここで、図21は、N段目(Nは奇数)の水平ラインに対応する画素回路の駆動に使用される駆動波形例を示す。一方、図22は、N+1段目の水平ラインに対応する画素回路の駆動に使用される駆動波形例を示す。
図22に示すように、N+1段目のゲート電位Vgとソース電位Vsは、信号電位Vsig の書き込みが開始するまでの待ち時間の間に、駆動トランジスタT2のリーク電流、有機EL素子のリーク電流、サンプリングトランジスタT1のリーク電流等を原因として変化してしまう。図22は、変化の様子を太い破線で示している。
具体的には、駆動トランジスタT2のソース電位Vsは、駆動トランジスタT2のリーク電流の影響で給電線DSLの電位(高電位Vcc)の方向へシフトするに影響を受ける一方で、有機EL素子によるリーク電流の影響でカソード電位Vcathの方向へシフトするように影響を受ける。
ここで、閾値電圧補正の終了時における駆動トランジスタT2のソース電位Vsがカソード電位Vcath以下とすると、駆動トランジスタT2のソース電位Vsは信号電位Vsig の書き込みが開始するまでの間に上昇する。このソース電位Vsの上昇に伴うブートストラップ動作により、ゲート電位Vgも上昇する。
この電位の上昇は、書き込みまでの時間長に比例して発生する。特に、駆動トランジスタT2のリーク電流が他のリーク電流と比較して大きい場合には、駆動トランジスタT2のゲート電位Vgとソース電位Vsの上昇差が、閾値補正動作を共通する2つの画素間で無視できない大きさとなる。結果的に、N+1段目に当たる水平ラインのダイナミックレンジが所望のダイナミックレンジより小さくなってしまう。
このことは、垂直方向に隣り合う2つの水平ラインで同じ階調値を書き込む場合でも、輝度差が発生することを意味する。従って、全面が均一な画面を表示する場合でも、図23に示すように、定期的なムラやシェーディングが発生してしまう。
(C−3)駆動動作の改善例
図24に、駆動トランジスタT2の一般的なVg−Id特性を示す。図24に示すように、駆動トランジスタT2のゲート・ソース間電圧Vgsが閾値電圧Vthでも、実際には寄生容量等を原因として一定量のリーク電流Idsが流れている。図24では、駆動トランジスタT2のゲート・ソース間容量をCt2で示す。
このため、閾値補正動作の終了後から書き込みまでの時間が異なると、リーク電流の影響により駆動トランジスタT2のソース電位Vsの上昇量の違いが顕著になる。特に有機EL素子の容量Cel等が小さいと、リーク電流の影響が顕著になる。
そこで、発明者らは、閾値補正動作完了後の最初の信号電位Vsig の書き込み開始直前に、垂直方向に隣り合う2つの画素回路にオフセット電位Vofs よりも低いリセット電位Vini を印加する駆動方法を提案する。
閾値補正動作完了後の最初の信号電位Vsig の書き込み開始前に信号線DTLの電位を、図25に太線で示すようにオフセット電位Vofs からVofs よりも低いリセット電位Vini に変更すると、閾値補正動作を共通する各画素に対応する画素回路の駆動トランジスタT2のゲート電位Vgはリセット電位Vini へと変化する。
この場合、駆動トランジスタT2のソース電位Vsは、(1−g)Vofs −Vth+g×Vini となる。これにより、リセット電位Vini の入力後の駆動トランジスタT2のゲート・ソース間電圧Vgsは、(1−g)・(Vini ―Vofs )+Vthとなる。ここで、Vini <Vofs であるので、この時のゲート・ソース間電圧Vgsは閾値電圧Vthより小さくなる。
このことは、リセット電位Vini の値によって駆動トランジスタT2のゲート・ソース間電圧Vgsを調節できることを意味する。従って、図24に示すように、駆動トランジスタT2に流れるリーク電流が最も少ない状態に調整することもできる。
駆動トランジスタT2のリーク電流が小さくなれば、閾値補正動作終了後から書き込み開始までの時間で駆動トランジスタT2のソース電位Vsの上昇量を小さくすることができる。
結果として、閾値補正動作の完了から信号電位Vsig の書き込み開始までの時間が水平ライン毎に変化したとしても、駆動トランジスタT2のゲート・ソース電圧Vgsの上昇差をほとんど無視できる範囲にとどめることも可能となる。このことは、水平ライン間でリーク電流に起因するムラやシェーディング等の画質不良が現れないことを意味する。
参考までに、図26及び図27に、N段目とN+1段目の駆動波形を示す。ここで、図26は、N段目(Nは奇数)に位置する水平ラインに対応する画素回路の駆動に使用される駆動波形例を示す。一方、図27は、N+1段目に位置する水平ラインに対応する画素回路の駆動に使用される駆動波形例を示す。
図26及び図27に太線で示すように、閾値補正動作の完了から信号電位Vsig の書き込み開始までのゲート電位Vgとソース電位Vsの変化は非常に小さくなっている。
(C−4)まとめ
この形態例で説明した駆動方式の採用により、画素アレイ部21の画素解像度が一段と高精細化する場合にも、また画素アレイ部21の駆動速度が一段と高速化する場合にも、リーク電流を原因とする画質の低下のおそれのない有機ELパネルモジュールを実現することができる。
勿論、この形態例の場合には、垂直方向に隣り合う2つの水平ライン間で閾値補正動作を共通化する場合だけでなく、3つ以上の水平ライン間で閾値補正動作を共通化する場合にも、前述した駆動方法は適用することができる。
(D)形態例3
ここでは、同じ水平ライン内に位置する複数の画素回路間で閾値補正動作を共通化し、各信号電位の書き込みを1つの信号線DTLを用いて時間順次に実行する場合について説明する。
(a)システム例1
図28に、形態例3に係る1つ目の有機ELパネルモジュール41のシステム構成例を示す。なお、図28に示す有機ELパネルモジュール41では、1本の信号線DTLに同じ水平ライン上のR画素、G画素、B画素が接続されている場合について表している。すなわち、1つの画素を構成する3つのサブ画素の閾値補正動作を共通化し、各サブ画素に対応する信号電位Vsig を時間順次に書き込む場合を想定する。
これらサブ画素の駆動回路には、他の形態例と同様、ライトスキャンドライバ43、電源スキャンドライバ45、水平セレクタ47を使用する。
ただし、図28の場合、サブ画素の駆動タイミング切り換え用に、各画素回路内に第2のスキャントランジスタT3を配置する。
このスキャントランジスタT3は、第1のスキャントランジスタT1の主電極と駆動トランジスタT2のゲート電極との間に直列に挿入され、それぞれ専用のクロック源49R、49G、49Bにより駆動制御される。
図29に、このシステム例に対応する画素回路の駆動動作例を示す。図29(A)は、給電線DSLの電位波形である。図29(B)は、信号線DTLの電位波形である。やはりこの場合も、閾値補正動作の終了後から最初の信号電位Vsig の書き込み前に信号線DTLの電位は、オフセット電位Vofs より低いリセット電位Vini に制御される。
図29(C)は、第1のライトスキャン線WSLの電位波形である。ライトスキャン線WSLの電位波形も給電線DSLの電位波形と同様、1ライン上に並ぶ全てのサブ画素に供給される。
図29(D)〜(F)は、サブ画素毎に信号電位Vsig の切り分けを行うための第2のライトスキャン線WS_R、WS_G、WS_Bの電位波形である。
図29(G)〜(I)は、第1のライトスキャン線WSLの電位波形と第2のライトスキャン線WS_R、WS_G、WS_Bの電位波形の論理積に対応する電位波形であって、各サブ画素に対応する駆動波形である。すなわち、第1及び第2のスキャントランジスタT1及びT3が同時にオン動作するタイミングを示す。
換言すると、保持容量Csに信号線DTLの電位が書き込まれるタイミングを示す。
なお、図29(G)はR画素に対応するタイミング波形である。また、図29(H)はG画素に対応するタイミング波形である。また、図29(I)はB画素に対応するタイミング波形である。
ところで、このシステム例の場合、新たに3つのクロック源49R、49G、49Bが必要となり、1水平ラインについて新たに3本のライトスキャン線WS_R、WS_G、WS_Bが必要となる。しかし、クロック源のコストアップは、シフトレジスタに比してわずかであり、十分実用化可能である。
(b)システム例2
図30に、形態例3に係る2つ目の有機ELパネルモジュール51のシステム構成例を示す。図30に示す有機ELパネルモジュール51の場合も、1本の信号線DTLに同じ水平ライン上のR画素、G画素、B画素が接続される。ただし、システム例1とは異なり、クロック源を使用せずに色別のライトスキャン線WSLR、WSLG、WSLBを用意する。
図30では、これらサブ画素の駆動回路を、ライトスキャンドライバ53、電源スキャンドライバ55、水平セレクタ57で示す。
このシステム例の場合、各サブ画素に対応する画素回路の構成も形態例1や形態例2と同じで良い。
図31に、このシステム例に対応する画素回路の駆動動作例を示す。図31(A)は、給電線DSLの電位波形である。図31(B)は、信号線DTLの電位波形である。やはりこの場合も、閾値補正動作の終了後から最初の信号電位Vsig の書き込み前に信号線DTLの電位は、オフセット電位Vofs より低いリセット電位Vini に制御される。
図31(C)〜(E)は、各色の制御用に配線されるライトスキャン線WSLR、WSLG、WSLBの各電位波形である。この波形は、システム例1の図29(G)〜(I)に対応する。従って、このシステム例の場合にも、システム例1と同じ駆動動作が期待される。ただし、このシステム例の場合には、各色専用のライトスキャンドライバが必要となり、システム例1よりもライトスキャンドライバが2つ余分に必要となる。
(c)その他
この形態例では、R画素、G画素、B画素毎にそれぞれ専用のクロック源やライトスキャンドライバを用意したが、必ずしも色毎に対応付ける必要はない。要は、1つの信号線を共用するサブ画素の数に応じて駆動タイミングを切り分けられるようにクロック源やライトスキャンドライバが用意されれば良い。
(E)他の形態例
(E−1)他の画素回路例
前述の形態例の説明では、画素回路が2つの薄膜トランジスタで構成される場合について説明した。
しかし、画素回路の構成は他の回路構成を採用しても良い。図32に、画素回路が5つの薄膜トランジスタで構成される場合について示す。
図32に示す画素回路は、リセット電位Vini の書き込み専用のスキャントランジスタT3と、電源電位Vccの印加専用の給電トランジスタT4と、閾値補正準備期間のリセット電位印加専用のリセットトランジスタT5をそれぞれ用意する。
なお、図32の場合、電源電位Vccは固定電源とする。
図33に、この画素回路の駆動動作例を示す。図33(A)は、N段目(Nは奇数)に位置する水平ラインに対応する給電制御スキャン線DSCLの電位波形である。図33(B)は、N段目(Nは奇数)に位置する水平ラインに対応するライトスキャン線WSLの電位波形である。
図33(D)は、N+1段目に位置する水平ラインに対応するライトスキャン線WSLの電位波形である。図33(C)は、N+1段目に位置する水平ラインに対応する給電制御スキャン線DSCLの電位波形である。
図33(E)は、オフセット信号線OFSLの電位波形である。図33(F)は、リセット信号線OFSLの電位波形である。図33(G)は、2つの画素に共通する信号線DTLの電位波形である。やはりこの場合も、閾値補正動作の終了後から最初の信号電位Vsig の書き込み前に信号線DTLの電位は、オフセット電位Vofs より低いリセット電位Vini に制御される。
(E−2)製品例
(a)電子機器
前述の形態例では、有機ELパネルモジュールについての形態例を説明した。しかし、前述した有機ELパネルモジュールは、各種の電子機器に実装した商品形態でも流通される。以下、他の電子機器への実装例を示す。
図34に、電子機器71の概念構成例を示す。電子機器71は、前述した有機ELパネルモジュール73及びシステム制御部75で構成される。システム制御部75で実行される処理内容は、電子機器71の商品形態により異なる。
なお、電子機器71は、機器内で生成される又は外部から入力される画像や映像を表示する機能を搭載していれば、特定の分野の機器には限定されない。
図35に、その他の電子機器がテレビジョン受像機の場合の外観例を示す。テレビジョン受像機81の筐体正面には、フロントパネル83及びフィルターガラス85等で構成される表示画面87が配置される。表示画面87の部分が、形態例で説明した有機ELパネルモジュールに対応する。
また、この種の電子機器71には、例えばデジタルカメラが想定される。図36に、デジタルカメラ91の外観例を示す。図36(A)が正面側(被写体側)の外観例であり、図36(B)が背面側(撮影者側)の外観例である。
デジタルカメラ91は、保護カバー93、撮像レンズ部95、表示画面97、コントロールスイッチ99及びシャッターボタン101で構成される。このうち、表示画面97の部分が、形態例で説明した有機ELパネルモジュールに対応する
また、この種の電子機器71には、例えばビデオカメラが想定される。図37に、ビデオカメラ111の外観例を示す。
ビデオカメラ111は、本体113の前方に被写体を撮像する撮像レンズ115、撮影のスタート/ストップスイッチ117及び表示画面119で構成される。このうち、表示画面119の部分が、形態例で説明した有機ELパネルモジュールに対応する。
また、この種の電子機器71には、例えば携帯端末装置が想定される。図38に、携帯端末装置としての携帯電話機121の外観例を示す。図38に示す携帯電話機121は折りたたみ式であり、図38(A)が筐体を開いた状態の外観例であり、図38(B)が筐体を折りたたんだ状態の外観例である。
携帯電話機121は、上側筐体123、下側筐体125、連結部(この例ではヒンジ部)127、表示画面129、補助表示画面131、ピクチャーライト133及び撮像レンズ135で構成される。このうち、表示画面129及び補助表示画面131の部分が、形態例で説明した有機ELパネルモジュールに対応する。
また、この種の電子機器71には、例えばコンピュータが想定される。図39に、ノート型コンピュータ141の外観例を示す。
ノート型コンピュータ141は、下型筐体143、上側筐体145、キーボード147及び表示画面149で構成される。このうち、表示画面149の部分が、形態例で説明した有機ELパネルモジュールに対応する。
これらの他、電子機器71には、オーディオ再生装置、ゲーム機、電子ブック、電子辞書等が想定される。
(E−3)他の表示デバイス例
前述の形態例においては、発明を有機ELパネルモジュールに適用する場合について説明した。
しかし、前述した駆動技術は、その他のEL表示装置に対しても適用することができる。例えばLEDを配列する表示装置その他のダイオード構造を有する発光素子を画面上に配列した表示装置に対しても適用できる。
(E−4)その他
前述した形態例には、発明の趣旨の範囲内で様々な変形例が考えられる。また、本明細書の記載に基づいて創作される又は組み合わせられる各種の変形例及び応用例も考えられる。
11 有機ELパネルモジュール
21 画素アレイ部
23 ライトスキャンドライバ
25 電源スキャンドライバ
27 水平セレクタ
29 タイミングジェネレータ
31 有機ELパネルモジュール
33 ライトスキャンドライバ
35 電源スキャンドライバ
41 有機ELパネルモジュール
43 ライトスキャンドライバ
45 電源スキャンドライバ
47 水平セレクタ
51 有機ELパネルモジュール
53 ライトスキャンドライバ
55 電源スキャンドライバ
57 水平セレクタ

Claims (7)

  1. 画素回路と発光素子とで構成される画素をマトリクス状に形成した画素アレイ部と、画素回路を駆動する駆動回路とを有し、
    前記画素回路は、少なくとも、サンプリングトランジスタ、駆動トランジスタ、及び、保持容量を含み、
    前記サンプリングトランジスタは、走査線からゲートに印加される電位に応じて、信号線から前記保持容量への書き込みを制御するように構成されており、
    前記保持容量は、保持電圧に応じて、前記駆動トランジスタのゲート電位を設定するように接続されており、
    前記駆動トランジスタは、給電線から前記発光素子への電流路に配され、そのゲート電位に応じて前記発光素子への駆動電流を制御するように構成されており、
    前記駆動回路は、
    1本の信号線に接続された複数個の画素回路の閾値補正動作を同じタイミングで完了させ、
    前記閾値補正動作が完了した後に、前記複数個の画素回路のそれぞれに対応した信号電位を前記信号線に印加し、
    前記信号電位の前記複数個の画素回路への書込みを、画素回路毎に、前記閾値補正動作の完了から異なる時間間隔を空けて順次行ない、
    前記閾値補正動作が完了した後であって前記信号電位のうち最初の信号電位を前記信号線に印加するより前に、前記複数個の画素回路の駆動トランジスタのゲート電極に閾値補正用の基準電位よりも低いリセット電位を印加するように、前記複数個の画素回路を駆動する、
    表示装置。
  2. 前記複数個の画素回路のそれぞれにおける前記閾値補正動作の完了は、前記閾値補正動作において、サンプリングトランジスタの導通が、前記走査線からゲートに印加される電位に応じて遮断されるタイミングで定義される請求項1に記載の表示装置。
  3. 前記複数個の画素回路のそれぞれににおける前記閾値補正動作は、前記信号線から前記閾値補正用の基準電位が前記保持容量の一端に印加された状態で、前記駆動トランジスタを介した電流を、前記保持容量の他端に流し込む動作である請求項1または請求項2に記載の表示装置。
  4. 前記駆動回路は、前記給電線の電位を変化させることで、前記画素回路における前記発光素子の発光と消光を制御する請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の表示装置。
  5. 前記複数個の画素回路は、異なる水平ライン上に位置する請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の表示装置。
  6. 前記複数個の画素回路は、同じ水平ライン上に位置する請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の表示装置。
  7. 前記発光素子は、有機EL素子である請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の表示装置。
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