JP5364959B2 - 研磨方法及び研磨装置 - Google Patents

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Description

本発明は、研磨方法及び研磨装置に係わり、特にGa(ガリウム)元素を含有する化合物半導体の単体基板や、Ga元素を含有する化合物半導体を載せた接合基板(エピタキシャル基板)等の基板の表面(被加工面)を平坦に除去加工する研磨方法及び研磨装置に関する。
機械的な加工に代わり、格子欠陥を発生させることなく基板表面を加工できる化学的な加工法として、液性が酸性または塩基性を示す加工溶液中で、基板表面に紫外線を照射するか、または基板に電位バイアスを印加することで、基板表面をエッチングする、いわゆる光電気化学エッチング法が知られている。この光電気化学エッチング法によれば、光および電気的なエネルギーをアシストすることで、化学的作用のみによる基板表面のダメージの小さな加工が可能となる。しかしながら、この光電気化学エッチング法は、平坦化基準が存在しないばかりでなく、欠陥選択性を有する等の理由から、基板表面を平坦に加工する用途には一般に適していない。
また、SiOやCr等を砥粒として用いた研磨液を使用し、基板表面を化学的に変質させながら、変質した層を機械的に除去するようにした、化学機械的研磨(CMP)も広く知られている。しかしながら、CMPは、機械的作用が含まれるため、加工変質層を完全に除去できないばかりでなく、Ga元素を含む化合物半導体の基板表面を十分な加工速度で平坦に加工することは一般に困難である。
出願人は、酸化性処理液中に基板を配し、酸性または塩基性を有する固体触媒を基板の表面(被加工面)に接触または極接近させて配して、固体触媒と接触または極接近している被加工面の表面原子を酸化性処理液中に溶出させて該被加工面を加工するようにした触媒支援型化学加工法を提案している(特許文献1参照)。この触媒支援型化学加工法では、処理液中に配した基板の表面(被加工物)に光、好ましくは紫外線を照射したり、基板と固体触媒との間に電圧を印加したりすることで、被加工面の酸化を促進して、加工速度を高めることができる。この触媒支援型化学加工法によれば、化学的作用のみによる基板表面のダメージの小さな平坦化加工が可能となる。しかし、Ga元素を含む化合物半導体の基板表面を十分な加工速度で平坦に加工することは一般に困難である。
特開2008−121099号公報
Ga(ガリウム)元素を含有する化合物半導体基板、例えばGaN基板の表面に光、好ましくは紫外線を照射したり、基板にバイアス電位を印加したりすると、下記の化学式(1)に示すように、GaNは酸化され、GaN基板の表面にGa酸化物(Ga)が生成される。
4GaN+7O→2Ga+4NO↑ (1)
GaN基板の表面に形成されたGa酸化物(Ga)は、酸性溶液中では下記の化学式(2)で酸(H)と反応して溶液中に高速で溶出し、また塩基性溶液中では下記の化学式(3)で塩基(OH)と反応して溶液中に高速で溶出する。
Ga+6H→2Ga3++3HO (2)
Ga+3HO+2OH→2[Ga(OH) (3)
また、中性処理溶液を用いた場合においても、溶液中にHイオンとOHイオンが僅かに存在する為、上記(2),(3)の反応によりGaN基板表面に形成されたGa酸化物が処理溶液中に溶出する。
このため、GaN基板等のGa元素を含む化合物半導体の基板表面を、一般的な研磨方法によって平坦に加工しようとすると、基板表面の凹部からもGa酸化物の溶解が起こり、凹凸を有する基板表面の該凹部内の除去を抑制しつつ凸部先端のみを選択的に除去することができず、基板表面を平坦化するのにかなりの時間を要してしまう。
本発明は、前述の状況に鑑み、近年、発光デバイスや電子デバイスの材料として重要性が高まっているGaN,GaAs,GaP等のGa(ガリウム)元素を含有する化合物半導体の基板表面を、実用的な加工時間で、かつ表面精度高く平坦に加工できるようにした研磨方法及び研磨装置を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、Gaイオンを含有する液性が中性域のpH緩衝溶液からなる処理溶液の存在下でGa元素を含有する化合物半導体の基板を研磨具に接触させ、基板表面に光を照射するか、若しくは基板にバイアス電位を印加して基板表面にGa酸化物を形成し、または基板表面に光を照射しながら基板にバイアス電位を印加して基板表面にGa酸化物を形成し、同時に前記基板と前記研磨具を相対運動させて該基板表面に形成されたGa酸化物を研磨除去することを特徴とする研磨方法である。
このように、Gaイオンを含有する液性が中性域のpH緩衝溶液からなる処理溶液の存在下でGa元素を含有する化合物半導体の基板を研磨具に接触させつつ相対運動させて基板表面に形成されたGa酸化物(Ga)を研磨除去することで、凹凸を有する基板表面の該凹部内に形成されたGa酸化物が処理溶液中に溶出することを抑制しつつ、凸部先端に形成されたGa酸化物のみを選択的に除去して、基板表面の平坦化に要する時間を短縮することができる。液性が中性域のpH緩衝溶液のpHは、例えば6.0〜8.0であり、またGaイオン濃度は、10ppm以上であることが好ましい。
請求項2に記載の発明は、Gaイオンを含有する液性が中性域のpH緩衝溶液からなる処理溶液中にGa元素を含有する化合物半導体の基板を浸漬させ、基板表面に光を照射し、同時に基板にバイアス電位を印加して基板表面にGa酸化物を形成しながら、該Ga酸化物と研磨具とを互いに接触させつつ相対運動させてGa酸化物を研磨除去する第1段階の研磨を行い、しかる後、基板表面に光を照射したまま、前記バイアス電圧の印加のみを停止して、第2段階の研磨を行うことを特徴とする研磨方法である。
このように、基板表面への光照射及び基板へのバイアス電圧の印加の双方を伴って、基板表面にGa酸化膜を形成ながら、基板表面のGa酸化膜を研磨することで、十分な研磨速度を確保し、しかも基板表面に大きなダメージがあっても該ダメージを確実に除去し、しかる後、基板表面への光照射のみを伴って、基板表面の研磨を継続することで、基板表面に過剰なGa酸化膜の成長させることを防止して、研磨後における基板表面の平坦度を高めることができる。
請求項3に記載の発明は、前記第1段階の研磨時に印加するバイアス電圧を徐々に低減するか、またはバイアス電圧としてパルス電圧を使用し、このパルス電圧の印加停止時間を徐々に長くして、該第1段階の研磨から前記第2段階の研磨に移行することを特徴とする請求項2記載の研磨方法である。
基板表面への光照射または基板へのバイアス電圧の印加の少なくとも一方を伴って、基板表面にGa酸化膜を形成ながら、基板表面を研磨する場合、基板表面の酸化速度は、表面ダメージが大きく存在する領域で低下するため、表面ダメージの不均一性が研磨速度の面内不均一性の原因となる。この対策として、基板へ印加するバイアス電圧を十分に高くすることで、表面ダメージに依存することなく、基板全面を一様に酸化できる。しかし、基板に印加するバイアス電圧を十分に大きくして酸化速度を増加させると、酸化膜の除去が酸化膜の成長に追い付かないため、酸化膜の過剰な成長を引き起こし基板表面の荒れの原因となる。そこで高電圧を印加して基板全面にわたり薄い酸化膜を形成した後に、印加するバイアス電圧を徐々に低減するか、またはバイアス電圧としてパルス電圧を使用し、このパルス電圧の印加停止時間を徐々に長くすることで、酸化膜の過剰な成長を抑制しつつ、加工を進行することができる。
請求項4に記載の発明は、前記第2段階の研磨時に、基板表面に照射する光の強度を徐々に減少させることを特徴とする請求項2または3記載の研磨方法である。
これにより、第2段階の研磨終了後の基板表面にGa酸化物が残ることを防止することができる。
請求項5に記載の発明は、前記研磨具は、該研磨具表面の少なくとも基板と接触または接近する領域に酸性または塩基性の固体触媒を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の研磨方法である。
前述の化学式(2)、(3)に示すように、Ga酸化物(Ga)は、酸(H)や塩基(OH)と反応して溶液中に高速に溶解する性質を有する。このため、Ga酸化物と接触しながら相対移動して該Ga酸化物を除去する研磨具表面の少なくとも基板と接触または接近する領域に酸性または塩基性を有する固体触媒を設け、固体触媒の表面に多数の水素イオン(H)または塩基イオン(OH)を生成させることで、基板表面の凸部先端でのGa酸化物の除去反応を促進して、平坦化加工に要する時間を更に短縮することができる。
請求項6に記載の発明は、前記処理溶液は、金属酸化物微粒子、ダイヤモンド微粒子、及び表面に酸性または塩基性の官能基が修飾された触媒微粒子の少なくとも一つの微粒子、またはそれらの微粒子の混合物を更に含有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の研磨方法である。
このように、処理溶液中に微粒子を加えることで、Ga酸化物をより効率的に除去して、平坦化加工に要する時間を更に短縮することができる。
請求項7に記載の発明は、前記処理溶液は、酸化剤を更に含有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の研磨方法である。
このように、処理溶液中に酸化剤を加えて、Ga酸化物の生成反応を促進することで、平坦化加工に要する時間を更に短縮することができる。
請求項8に記載の発明は、前記研磨具表面の少なくとも基板と接触または接近する領域を、良好な平坦度と適度なラフネスを有するようにコンディショニングすることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の研磨方法である。
例えば、PV(Peak-Valley)0.1〜1μm程度の平坦度を有するように研磨具表面をコンディショニングする(荒らす)ことで、研磨具表面と基板表面との間に存在する処理溶液の潤滑作用で基板表面が研磨されなかったり、基板表面が平坦に研磨されても研磨後の基板表面に筋が入ってしまうことを防止することができる。
請求項9に記載の発明は、Gaイオンを含有する液性が中性域のpH緩衝溶液からなる処理溶液を保持する容器と、前記容器内に前記処理溶液に浸漬させて配置される研磨具と、Ga元素を含有する化合物半導体の基板を保持して前記容器内の前記処理溶液中に浸漬させ前記研磨具に接触させる基板ホルダと、前記基板ホルダで保持して前記容器内の前記処理溶液内に浸漬させた基板表面に光を照射する光源及び基板にバイアス電位を印加する電源の少なくとも一方と、前記研磨具と前記基板ホルダで保持した基板とを相対移動させる移動機構とを有することを特徴とする研磨装置である。
請求項10に記載の発明は、研磨具と、Ga元素を含有する化合物半導体の基板を保持して前記研磨具に接触させる基板ホルダと、前記研磨具と基板との接触部にGaイオンを含有する液性が中性域のpH緩衝溶液からなる処理溶液を処理溶液供給部と、前記基板ホルダで保持して前記研磨具に接触させた基板表面に光を照射する光源及び基板にバイアス電位を印加する電源の少なくとも一方と、前記研磨具と前記基板ホルダで保持した基板とを相対移動させる移動機構とを有することを特徴とする研磨装置である。
請求項11に記載の発明は、前記研磨具は、該研磨具表面の少なくとも基板と接触または接近する領域に酸性または塩基性の固体触媒を有することを特徴とする請求項9または10記載の研磨装置である。
請求項12に記載の発明は、前記処理溶液は、金属酸化物微粒子、ダイヤモンド微粒子、及び表面に酸性または塩基性の官能基が修飾された触媒微粒子の少なくとも一つの微粒子、またはそれらの微粒子の混合物を更に含有することを特徴とする請求項9乃至11のいずれかに記載の研磨装置である。
請求項13に記載の発明は、前記処理溶液は、酸化剤を更に含有することを特徴とする請求項9乃至12のいずれかに記載の研磨装置である。
請求項14に記載の発明は、該研磨具表面の少なくとも基板と接触または接近する領域を良好な平坦度と適度なラフネスを有するようにコンディショニングするコンディショニング機構を更に有することを特徴とする請求項9乃至13のいずれかに記載の研磨装置である。
請求項15に記載の発明は、前記基板ホルダは、基板の裏面側から基板に給電しながら基板を保持するように構成されていることを特徴とする請求項9乃至14のいずれかに記載の研磨装置である。
本発明によれば、GaN,GaAs,GaP等のGa元素を含む化合物半導体の基板表面を、十分な表面精度を確保しながら、加工時間を大幅に短縮して平坦に研磨することができる。
本発明の基板表面に光を照射しながら該表面を平坦に研磨する方法の概要を工程順に示す図である。 実証実験1の手順を示す図である。 酸化物溶解抑制効果の実証実験の結果を示すグラフである。 実証実験2における光照射前のGaN基板表面の光学顕微鏡像を示す図である。 実証実験2における光照射後のGaN基板表面の光学顕微鏡像を示す図である。 比較実験における光照射後のGaN基板表面の光学顕微鏡像を示す図である。 本発明の実施形態の研磨装置を備えた平坦化システムの全体構成を示す平面図である。 図7に示す本発明の実施形態の研磨装置の概要を示す図である。 図8に示す研磨装置の基板ホルダの拡大断面図である。 図8に示す研磨装置の研磨具の拡大断面図である。 研磨具の他の例を示す拡大断面図である。 研磨具の更に他の例を示す平面図である。 (a)はPV1μm以上の表面平坦度を有する研磨具を使用して基板表面を研磨した時の基板表面の断面形状を示す図で、(b)は基板表面の光学顕微鏡像を示す図である。 (a)はPV0.1μm以下の表面平坦度を有する研磨具を使用して基板表面を研磨した時の基板表面の断面形状を示す図で、(b)は基板表面の光学顕微鏡像を示す図である。 (a)はPV0.1〜1.0μmの表面平坦度を有する研磨具を使用して基板表面を研磨した時の基板表面の断面形状を示す図で、(b)は基板表面の光学顕微鏡像を示す図である。 基板の印加するパルス電圧のそれぞれ異なる例を示すグラフである。 実施例1における加工後のGaN基板表面の光学顕微鏡像を示す図である。 実施例1における加工後のGaN基板表面の光学顕微鏡像を示す図である。 比較例1における加工後のGaN基板表面の光学顕微鏡像を示す図である。 比較例2における加工後のGaN基板表面の光学顕微鏡像を示す図である。 比較例3における加工後のGaN基板表面の光学顕微鏡像を示す図である。 比較例4における加工後のGaN基板表面の光学顕微鏡像を示す図である。 比較例5における加工後のGaN基板表面の光学顕微鏡像を示す図である。 比較例6における加工後のGaN基板表面の光学顕微鏡像を示す図である。 Gaイオン濃度(Ga3+ ion concentration)と研磨速度(Removal rate)の関係を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1は、例えばGaN基板表面に光を照射しながら該表面を平坦に研磨するようにした、本発明の研磨方法の概要を工程順に示す。先ず、図1(a)に示すように、底部に研磨具10を配置した容器12の内部に、Gaイオンを含有する液性が中性域のpH緩衝溶液からなる処理溶液14を満たす。この研磨具10は、例えば光透過性に優れた固体酸性触媒である石英ガラスによって構成されている。処理溶液14として、例えばpH6.86の燐酸緩衝溶液に、処理溶液14中のGaイオンを飽和状態に近づけるために、例えば硝酸ガリウムを添加してGaイオン濃度を10ppm以上にした後に、更にKOH溶液を添加してpHを6.0〜8.0に調整した溶液が使用される。ここで、硝酸ガリウムを添加する代わりに、塩酸ガリウム、リン酸ガリウム、硫酸ガリウムまたは水酸化ガリウム等のガリウムを含有する塩を添加してもよい。そして、表面(被加工面)を下向きにしてGaN基板16を保持した基板ホルダ18を下降させて、GaN基板16を容器12内の処理溶液14中に浸漬させる。
この状態で、図1(b)に示すように、容器12の下方に配置された光源20から、容器12の底板に形成した開口部12a及び研磨具10の内部を透過させて、GaN基板16の表面(下面)に向けて、光、好ましくは紫外線を照射する。この時に照射する光の波長は、被加工物のバンドギャップに相当する波長以下、GaNのバンドギャップは3.42eVであるので、365nm以下であることが好ましい。これにより、図1(b)に示すように、GaNが酸化されて、GaN基板16の表面(下面)にGa酸化物(Ga)16aが生成される。
このように、GaN基板16の表面へ光の照射させて、GaN基板16の表面(下面)にGa酸化物(Ga)16aを生成させながら、図1(c)に示すように、基板ホルダ18で保持したGaN基板16を回転させながら下降させて、Ga酸化物16aの表面に研磨具10の表面を、例えば0.01〜1.0kgf/cm程度の比較的低面圧で接触させる。これによって、Ga酸化物16aの研磨具10と接触する部位、つまり凹凸を有するGaN基板16の表面の該凸部先端に形成されたGa酸化物16aを選択的に削り取って除去する。この時、処理溶液14として、Gaイオンを含有し、かつGa酸化物16aが僅かにしか溶解しない液性が中性域のpH緩衝溶液を使用しているため、凹凸を有するGaN基板16の表面の該凹部内に形成されたGa酸化物16aが処理溶液14中に溶解することが抑制される。
これにより、図1(d)に示すように、GaN基板16の表面の凹部内に形成されたGa酸化物16aが処理溶液14中に溶解することを抑制しつつ、GaN基板16の表面の凸部先端に形成されたGa酸化物16aのみを選択的に除去することができ、これによって、GaN基板16の表面の平坦化に要する時間を短縮することができる。
特に、研磨具10として、この例のように、固体酸性触媒(酸性の固体触媒)である石英ガラスを使用すると、研磨具(石英ガラス)10の表面に多数の水素イオン(H)が生成され、研磨具(石英ガラス)10と接触する部位、つまり凹凸を有するGaN基板16の表面の該凸部先端に形成されたGa酸化物16aが、前述の化学式(2)に従って水素イオン(H)と反応して処理溶液14中に高速で溶解する。これによって、GaN基板16の表面の凸部先端でのGa酸化物16aの除去反応を促進して、平坦化加工に要する時間を更に短縮することができる。
また、GaN基板16の研磨具10の表面への吸付きを防止し、処理溶液14をGaN基板16の表面に効率的に供給するために、研磨具10として、表面に複数の同心円状、放射状、スパイラル状または格子状の溝を有するものを使用することが好ましい。
更には、研磨具10の表面のGaN基板16と接触またはごく接近する領域を、サンドブラスト処理などにより荒らしたり、該領域にダイシングなどにより細かいパターンを作製したりすることが好ましく、これにより、研磨具10とGaN基板16の表面との間隙に処理溶液14の層(流体潤滑膜)が生じて研磨が妨げられることを抑制することができる。
この例では、研磨具10として、固体酸性触媒(酸性の固体触媒)である石英ガラスを使用しているが、固体塩基性触媒(塩基性の固体触媒)を使用しても良い。また、研磨具10の表面の少なくとも基板と接触または接近する領域のみに酸性または塩基性の固体触媒層を有するものを使用しても良い。
固体触媒は、イオン交換機能を付与した不織布、イオン交換機能を付与した樹脂、イオン交換機能を付与した金属、または酸性または塩基性を有する金属酸化物の何れであってもよい。酸性または塩基性を有する金属酸化物としては、酸化鉄、酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化タングステン、セラミックス系のアルミナ、ジルコニア、シリカ(シリコン酸化物)、ガラス系のサファイア、石英及びジルコニア等が挙げられる。
また、処理溶液14中に、金属酸化物微粒子、ダイヤモンド微粒子、及び表面に酸性または塩基性の官能基が修飾された触媒微粒子の少なくとも一つの微粒子、またはそれらの微粒子の混合物を加えることが好ましい。このように、処理溶液14中に微粒子を加えることで、Ga酸化物16aをより効率的に除去して、平坦化加工に要する時間を更に短縮することができる。金属酸化物微粒子としては、シリカ(SiO)、セリア(CeO)、アルミナ(Al)、ジルコニア(ZrO)、酸化タングステン(WO)、酸化クロム(Cr)及び二酸化マンガン(MnO)等が挙げられる。
表面に酸性または塩基性の官能基が修飾された触媒微粒子としては、スチレン樹脂やフッ素樹脂等の微粒子支持体に、官能基としてスルホ基、カルボキシル基、もしくはアミノ基等が修飾されているものなどが挙げられる。
更に、処理溶液14中に、酸化剤を加えることが好ましく、これにより、Ga酸化物16aの生成反応を促進して、平坦化加工に要する時間を更に短縮することができる。酸化剤としては、過酸化水素水、オゾン水、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、過マンガン酸カリウム等の過マンガン酸塩、ニクロム酸カリウム等の過クロム酸塩、バナジン酸アンモニウム、バナジン酸ナトリウム、バナジン酸カリウム等のバナジン酸塩及びオルト過ヨウ素酸ナトリウムやメタ過ヨウ素酸ナトリウム等のヨウ素酸塩等が挙げられる。
この研磨方法によれば、Ga酸化物16aの研磨具10との接触部のみが選択的に加工される。このため、研磨具10の表面を加工基準面としたGa基板16の表面の平坦化加工が可能となる。
上記の例では、GaN基板16の表面に向けて、光源20から、光、好ましくは紫外線を照射して、GaN基板16の表面のGaNを酸化するようにしているが、研磨具10とGaN基板16との間に電圧を印加して、GaN基板16の表面のGaNを酸化させるようにしてもよく、また両者を併用する方がより好ましい。
次に、処理溶液14として、Gaイオンを含有し、かつ液性が中性域のpH緩衝溶液を使用することで、Ga酸化物(GaO)の処理溶液14中へ溶出が抑えられることを実証する実験(実証実験)を行った結果を以下に説明する。
(実証実験1)
図2は、実験手順を示す。図2に示すように、GaN基板をHCl:3.5%の水溶液で5分間洗浄した後、GaN基板の質量(質量1)を測定した。そして、GaN基板を燐酸緩衝溶液中に設置し、GaN基板の表面に光を60分間照射して該表面にGa酸化膜を生成させた後、GaN基板の質量(質量2)を測定した。この時の質量差(質量2−質量1)から、光照射中のエッチング成分を求めた。次に、GaN基板をHCl:3.5%の水溶液で5分間洗浄した後、GaN基板の質量(質量3)を測定し、この時の質量差(質量3−質量2)から光照射後の酸化物成分を求めた。
この光照射中のエッチング成分は、光照射中に燐酸緩衝溶液中に溶出したGa酸化物の質量を示し、光照射後の酸化物成分は、光照射後、HCl:3.5%の水溶液で洗浄した時に該水溶液中に溶出したGa酸化物の質量を示す。
前記燐酸緩衝溶液として、中性(pH7)の燐酸緩衝溶液を使用したときの結果を図3にPBS(pH−7)として、酸性(pH1)の燐酸緩衝溶液を使用したときの結果を図3にPBS(pH−1)として、Gaイオンを10ppm添加した中性(pH7)の燐酸緩衝溶液を使用したときの結果を図3にPBS/Ga(pH−7)として、Gaイオンを10ppm添加した酸性(pH1)の燐酸緩衝溶液を使用したときの結果を図3にPBS/Ga(pH−1)としてそれぞれ示す。
この図3から、Gaイオンを10ppm添加した中性(pH7)の燐酸緩衝溶液中にGaN基板を設置して該基板表面に光を照射した時、この光の照射によって生成されたGa酸化物は燐酸緩衝溶液中に溶出せず、光照射後、HCl:3.5%の水溶液で洗浄した時に該水溶液中に溶出しているのが確認できる。その他の3例では、光の照射によって生成されたGa酸化物の一部若しくは全部が燐酸緩衝溶液中に溶出していることが確認できる。このことから、中性(pH7)の燐酸緩衝溶液にGaイオンを10ppm添加した溶液を処理溶液として用いることで、光の照射によってGaN基板の表面に生成されたGa酸化物の処理溶液への溶出を抑制できることが確認された。
(実証実験2)
pH6.86の燐酸緩衝溶液にGaイオンを10ppm添加した処理溶液中にGaN基板を設置し、GaN基板の表面に、光を3時間照射した。光を照射する前に光学顕微鏡を用いてGaN基板表面を観察した結果を図4に、光を照射した後に光学顕微鏡を用いてGaN基板表面を観察した結果を図5にそれぞれ示す。この図4及び図5から、光を照射する前後でGaN基板の表面形状の変化が少なく、表面粗さも悪化しないことが確認できる。比較実験として、Gaイオンを添加しないpH6.86の燐酸緩衝溶液中にGaN基板を設置し、GaN基板の表面に、光を3時間照射した。光を照射した後に光学顕微鏡を用いてGaN基板表面を観察した結果を図6に示す。図6の結果から、Gaイオンを添加しないpH6.86の燐酸緩衝溶液中で光を照射した場合には、基板表面の酸化物が溶液中に溶解し、ファセットと呼ばれる結晶型に起因する六角形状の表面構造が形成されることが判る。図4と図6から、比較実験においては、光を照射することでGaN基板の表面がエッチングされ表面粗さが悪化されることが確認できる。以上の結果から、燐酸緩衝溶液にGaイオンを添加することにより、Ga酸化物の溶出が抑制されることが確認された。
図7は、本発明の実施形態の研磨装置を備えた平坦化システムの全体構成を示す平面図である。図7に示すように、この実施形態における平坦化システムは、略矩形状のハウジング1を備えており、ハウジング1の内部は、隔壁1a,1b,1cによって、ロード/アンロード部2と表面除去加工部3と洗浄部4とに区画されている。これらのロード/アンロード部2、表面除去加工部3及び洗浄部4は、それぞれ独立に組立てられて独立に排気される。
ロード/アンロード部2は、多数の基板(被加工物)をストックする基板カセットを載置する2つ以上(この実施形態では3つ)のフロントロード部200を備えている。これらのフロントロード部200は、平坦化システムの幅方向(長手方向と垂直な方向)に隣接して配列されている。フロントロード部200には、オープンカセット、SMIF(Standard Manufacturing Interface)ポッド、又はFOUP(Front Opening Unified Pod)を搭載することができる。ここで、SMIF、FOUPは、内部に基板カセットを収納し、隔壁で覆うことにより、外部空間とは独立した環境を保つことができる密閉容器である。
また、ロード/アンロード部2には、フロントロード部200の並びに沿って走行機構21が敷設されており、この走行機構21上に基板カセットの配列方向に沿って移動可能な第1搬送機構としての第1搬送ロボット22が設置されている。第1搬送ロボット22は、走行機構21上を移動することによって、フロントロード部200に搭載された基板カセットにアクセスできるようになっている。この第1搬送ロボット22は、上下に2つのハンドを備えており、例えば、上側のハンドを基板カセットに基板を戻すときに使用し、下側のハンドを加工前の基板を搬送するときに使用することで、上下のハンドを使い分けることができるようになっている。
ロード/アンロード部2は、最もクリーンな状態を保つ必要がある領域であるため、ロード/アンロード部2の内部は、装置外部、表面除去加工部3、及び洗浄部4のいずれよりも高い圧力に常時維持されている。また、第1搬送ロボット22の走行機構21の上部には、HEPAフィルタやULPAフィルタ等のクリーンエアフィルタを有するフィルタファンユニット(図示せず)が設けられており、このフィルタファンユニットによりパーティクルや蒸気、ガスが除去されたクリーンエアが常時下方に向かって吹出ている。
表面除去加工部3は、基板表面(被加工面)の除去加工が行われる領域であり、この例では、第1表面除去加工装置としてのラッピング装置30A、第2表面除去加工装置としてCMP装置30B、及び第3表面除去加工装置(最終表面除去加工装置)としての、本発明の実施形態に係る2台の研磨装置30C,30Dを内部に有している。これらのラッピング装置30A、CMP装置30B及び研磨装置30C,30Dは、平坦化システムの長手方向に沿って配列されている。
ラッピング装置30Aは、表面にラッピング面を有する定盤300Aと、基板を着脱自在に保持して定盤300Aに対して押圧するためのトップリング301Aと、定盤300Aにダイヤモンドスラリやコロイダルシリカスラリ等のラップ液を供給するためのラップ液供給ノズル302Aと、定盤300Aの表面に純水を供給する純水供給ノズル303Aを備えている。ラッピング装置30Aのラッピング時には、ラップ液供給ノズル302Aから定盤300A上にラップ液(スラリ)が供給され、被加工物である基板がトップリング301Aで保持されて定盤300Aに向けて押圧されて基板表面のラッピングが行われる。
ラッピング装置30Aは、例えば比較的大きな初期凹凸を有する基板表面を所望の平坦度に平坦化する際に、主として加工量を稼ぎながら、基板表面の平坦度を向上させるためのもので、例えば基板表面に比較的大きな初期凹凸を有さない場合には省略することができる。
CMP装置30Bは、研磨面を有する研磨テーブル300Bと、基板を着脱自在に保持し研磨テーブル300Bに対して押圧しながら研磨するためのトップリング301Bと、研磨テーブル300Bに研磨液やドレッシング液(例えば、水)を供給するための研磨液供給ノズル302Bと、研磨テーブル300Bの研磨面のドレッシングを行うためのドレッサ303Bと、液体(例えば純水)と気体(例えば窒素)の混合流体を霧状にして、1又は複数のノズルから研磨テーブル300Bの研磨面に噴射するアトマイザ304Bとを備えている。
CMP装置30Bの研磨テーブル300Bの上面には研磨布または砥石(固定砥粒)等が貼付されており、この研磨布または砥石(固定砥粒)等によって基板表面を研磨する研磨面が構成されている。CMP装置30Bでの研磨時には、研磨液供給ノズル302Bから研磨テーブル300B上の研磨面に研磨液が供給され、被加工物である基板がトップリング301Bで保持され研磨面に向けて押圧されて基板表面の研磨が行われる。
このCMP装置30Bは、加工速度を速くして、加工量を稼ぎながら、基板表面の平坦度を向上させるためのもので、前述のラッピング装置30Aと組合せることで、比較的大きな初期凹凸を有する基板表面を所望の平坦度に平坦化するのに効率的であるが、省略してもよい。
本発明の実施形態に係る研磨装置30C,30Dは、図8に示すように、Gaイオンを含有する液性が中性域のpH緩衝溶液からなる処理溶液130を内部に保持する容器132を有している。容器132の上方には、処理溶液130を容器132内に供給する処理溶液供給ノズル(処理溶液供給部)133が配置されている。この処理溶液130として、例えばpH6.86の燐酸緩衝溶液に、処理溶液130のGaイオンを飽和状態に近づけるために、例えば濃度10ppm以上のGaイオンを添加した溶液が使用される。液性が中性域のpH緩衝溶液のpH(室温25℃での測定換算)は、例えば6.0〜8.0である。
容器132の底部には、研磨具134が取り付けられていており、容器132の内部に処理溶液130を注入した時に、研磨具134の上方が処理溶液130で満たされるようになっている。研磨具134は、例えば光透過性に優れた固体酸性触媒である石英ガラスによって構成されている。研磨具134として、固体塩基性触媒(塩基性の固体触媒)を使用しても良く、また、研磨具134の表面のみに酸性または塩基性の固体触媒層を有するものを使用しても良いことは前述と同様である。
容器132は、回転自在な回転軸136の上端に連結されており、容器132の底板には、回転軸136の周囲に沿ってリング状に延びて研磨具134によって閉塞された開口部132aが形成されている。この開口部134aの直下方に位置して、反射板138が45°傾斜して配置され、この反射板138の側方に、光、好ましくは紫外線を放射する光源140が配置されている。これによって、光源140から放射された光、好ましくは紫外線は、反射板138で反射され、容器132の開口部132a内を通過した後、研磨具134の内部を透過して、該研磨具134の上方に達するようになっている。
容器132の上方の反射板138の直上方に位置して、表面を下向きにして、例えばGaN基板等の基板142を着脱自在に保持する基板ホルダ144が配置されている。基板ホルダ144は、上下動及び回転自在な主軸146の下端に連結されている。
この例では、容器132を回転させる回転軸136及び基板ホルダ144を回転させる主軸146によって、研磨具134と基板ホルダ144で保持した基板(GaN基板)142とを相対移動させる移動機構が構成されているが、どちらか一方を設けるようにしてもよい。
さらに、この例では、基板ホルダ144で保持した基板142と研磨具134との間に電圧を印加する電源148が備えられている。この電源148の陽極から延びる導電152aには、スイッチ150が介装されている。
また、この例では、容器132の中に処理溶液130を満たして研磨具134と基板ホルダ144で保持された基板142を浸漬しつつ加工する、いわゆる浸漬型が開示されているが、研磨具134の表面に処理溶液供給ノズル133から処理溶液130を滴下することにより基板142と研磨具134の表面に処理溶液130を供給して、処理溶液存在下で加工する滴下型の加工装置でも良い。
図9に示すように、基板ホルダ144は、処理溶液130が内部に浸入することを防止するカバー160を有しており、このカバー160の内部で、主軸146の下端に連結した駆動フランジ162に、自在継手164及びばね166を有する回転伝達部168を介して、金属製のホルダ本体170が連結されている。
ホルダ本体170の下部周囲には、リテーナリング172が昇降自在に配置され、ホルダ本体170の下面(基板保持面)には、導電性ゴム174が該下面と導電性ゴム174との間に圧力空間176が形成できるように取り付けられている。圧力空間176には、ホルダ本体170内を延びるエア導入路を通じて、エア導入管178が接続されている。更に、金属製のホルダ本体170のフランジ部には引出し電極180が設けられ、この引出し電極180に電源148の陽極から延びる導電152aが接続されている。
リテーナリング172と研磨具134が接触する部分において、リテーナリング172の表面の磨耗によりリテーナリング172の表面材質が研磨具134の表面に付着するのを抑制するために、リテーナリング172表面のうち少なくとも研磨具134と接触する部分は、石英、サファイア若しくはジルコニア等のガラス、又はアルミナ、ジルコニア若しくは炭化珪素等のセラミックスのいずれかで構成されることが好ましい。導電性ゴム174としては、例えば導電性クロロプレンゴム、導電性シリコーンゴムまたは導電性フッ素ゴムが挙げられる。
これによって、基板ホルダ144のホルダ本体170の下面(基板保持面)に基板142の裏面を吸着等によって保持した時に、基板142の裏面と導電性ゴム174とが接触して基板142の裏面に通電され、更に、この基板142の裏面への通電を維持したまま、圧力空間176内に空気を導入して、基板142を研磨具134に向けて押圧できるように構成されている。
このような構成によって、基板142に簡易かつ低抵抗で通電しつつ、基板142を基板ホルダ144で保持することができる。なお、導電性ゴム174に接触させて基板142を基板ホルダ144で保持する時、導電性ゴム174と基板142との間に極導電性グリースを充填できるようにすることが好ましい。
図10に示すように、研磨具134の上面の前記容器132の開口部132aに対応する位置には、多数の溝134aが設けられ、この多数の溝134aの底部に金属膜154が蒸着されており、この金属膜154に電源148の陰極から延びる導線152bが接続されている。金属膜154の材質は、耐腐食性のある白金または金であることが好ましい。また、研磨具134の上面に設けられる溝134aは、同心円状であること好ましいが、スパイラル状、放射状または格子状であってもよい。
なお、図11に示すように、研磨具134の上面に設けた多数の溝134aの底部に、金や白金等からなる金属線156を埋め込むようにしてもよい。
また、図12に示すように、研磨具134の上面に設けられる溝134aを基板ホルダ144で保持して研磨具134に接触させる基板142の半径方向に沿った複数のゾーンA〜Eに分割し、各ゾーンA〜E毎に印加する電圧をコントロールすることが好ましく、これにより、研磨速度を各ゾーンA〜E毎にコントロールすることができる。
基板ホルダ144の内部には、該ホルダ144で保持した基板142の温度を制御する温度制御機構としてのヒータ158(図8参照)が回転軸146内に延びて埋設されている。容器132の上方には、温度制御機構としての熱交換器によって所定の温度に制御した処理溶液130を容器132の内部に供給する処理溶液供給ノズル133が配置されている。更に、研磨具134の内部には、研磨具134の温度を制御する温度制御機構としての流体流路(図示せず)が設けられている。
アレニウスの式で知られるように、化学反応は反応温度が高ければ、それだけ反応速度は大きくなる。このため、基板142、処理溶液130、研磨具134の温度の少なくとも1つを制御して、反応温度を制御することで、加工速度を変化させながら、加工速度の安定性を向上させることができる。
更に、研磨装置30C,30Dには、図7に示すように、研磨具134の表面(上面)を良好な平坦度と適度なラフネスを有するようにコンディショニングする、例えば研磨パッドからなるコンディショニング機構(コンディショナー)190が備えられている。つまり、研磨具134の表面(上面)は、このコンディショニング機構(コンディショナー)190によって、PV(Peak-Valley)0.1〜1μm程度の平坦度を有するようにコンディショニングされる。この時、必要に応じて、研磨具134の表面に砥粒を含むスラリが供給される。
つまり、例えばPV(Peak-Valley)1μm以上の表面平坦度を有する研磨具を使用して基板表面を研磨すると、図13(a)に示すように、研磨後の基板表面の平坦化(表面荒さRMS:0.804μm)を達成することができるが、図13(b)に示すように、基板表面に筋形状が導入される。一方、例えばPV(Peak-Valley)0.1μm以下の表面平坦度を有する研磨具を使用して基板表面を研磨すると、図14(a),(b)に示すように、研磨具表面と基板表面との間に存在する処理溶液の潤滑作用で基板表面が研磨されない。
これに対して、例えばPV(Peak-Valley)0.1〜1μm程度の表面平坦度を有する研磨具を使用して基板表面を研磨すると、図15(a)に示すように、研磨後の基板表面の平坦化(表面荒さRMS:0.337μm)を達成し、しかも、図15(b)に示すように、基板表面に筋形状が導入されることを防止することができる。
この研磨装置30C,30Dによれば、容器132の上方に位置する基板ホルダ144でGaN基板等の基板142を表面(被処理面)を下向きに保持し、基板ホルダ144を下降させて、基板142を容器132の内部に保持した処理溶液130中に浸漬させる。このように基板142と研磨具134との間に処理溶液130が存在する状態で、光源140から光、好ましくは紫外線を放射して、基板142の表面(下面)に光、好ましくは紫外線を照射する。この時に照射する光の波長は、被加工物のバンドギャップに相当する波長以下、GaNのバンドギャップは3.42eVであるので、GaN基板を加工する場合には、365nm以下であることが好ましい。これにより、GaN基板を加工する場合には、GaNを酸化させて、GaN基板の表面にGa酸化物(Ga)を生成させる。
この時、電源148のスイッチ150をONにして、研磨具134と基板ホルダ144で保持した基板142との間に、研磨具134が陰極となる電圧を印加することで、GaN基板を加工する場合に、GaN基板の表面のGa酸化物(Ga)の生成が促進される。
次に、光源140から光、好ましくは紫外線を放射したまま、更には、研磨具134と基板142との間に電圧を印加したまま、回転軸136を回転させて研磨具134を回転させ、同時に基板ホルダ144を回転させて基板142を回転させながら下降させ、基板142の表面に研磨具134の表面を、好ましくは0.01〜1.0kgf/cm程度の面圧で接触させる。これは、面圧0.01kgf/cm未満であれば、基板142の反りを矯正して基板142全体を均等に研磨できなくなる可能性があり、面圧が1.0kgf/cm以上であれば、基板142の表面に機械的な欠陥が生じてしまう可能性があるためである。これによって、GaN基板等の基板142の表面に形成されたGa酸化物の研磨具134と接触する部位、つまり凹凸を有する基板142の表面の該凸部先端に形成されたGa酸化物を選択的に削り取って除去し、これによって、基板142の表面を平坦化する。
基板142の表面の平坦化が終了した後、光源140からの光、好ましくは紫外線の放射、及び研磨具134と基板142との間への電圧の印加を停止し、基板ホルダ144を上昇させた後、基板142の回転を停止して、平坦化後の基板142を次工程に搬送する。
上記のように、基板142の表面への光照射及び基板142へのバイアス電圧の印加の双方を伴って、基板142の表面にGa酸化膜を形成ながら、基板142の表面のGa酸化膜を研磨することで、十分な研磨速度を確保し、しかも基板142の表面に大きなダメージがあっても該ダメージを確実に除去することができる。
しかし、基板142の表面に印加するバイアス電圧を十分に大きくして酸化速度を増加させると、酸化膜の除去が酸化膜の成長に追い付かないため、酸化膜の過剰な成長を引き起こし基板142の表面が荒れる原因となる。
そこで、前述のように、基板142の表面への光照射及び基板142へのバイアス電圧の印加の双方を伴って、基板142の表面にGa酸化膜を形成ながら、基板142の表面のGa酸化膜を研磨する第1段階の研磨を行い、しかる後、基板142の表面に光を照射したまま、前記バイアス電圧の印加のみを停止して、第2段階の研磨を行うようにしてもよい。
これにより、第1段階の研磨で、十分な研磨速度を確保し、しかも基板142の表面に大きなダメージがあっても該ダメージを確実に除去し、しかも、第2段階の研磨で、基板142の表面に過剰なGa酸化膜の成長させることを防止して、研磨後における基板142の表面の平坦度を高めることができる。
ここで、前記第1段階の研磨時に印加するバイアス電圧を徐々に低減するか、またはバイアス電圧として、図16(a)に示すように、例えば0.1〜10secの間隔でON−OFFを繰返すパルス電圧を使用し、このパルス電圧の印加停止時間を徐々に長くして、第1段階の研磨から第2段階の研磨に移行するようにしてもよい。
これにより、基板142へ印加するバイアス電圧を十分に高くして、表面142のダメージに依存することなく、基板142の全面を一様に酸化して基板142の全面にわたる薄い酸化膜を形成しながら研磨を行い、しかる後、印加するバイアス電圧を徐々に低減するか、またはバイアス電圧としてパルス電圧を使用し、このパルス電圧の印加停止時間を徐々に長くことで、酸化膜の過剰な成長を抑制しつつ、加工を進行することができる。
なお、図16(b)に示すように、基板142に正電圧の印加と逆電圧の印加を所定間隔で繰返すバイアス電圧を使用し、これによって、基板142への正のバイアス電圧の印加に伴って、基板142の表面に過剰な酸化膜が形成されても、基板142の逆電圧の印加によって酸化膜をエッチング除去するようにしてもよい。
また、上記の例では、第1段階の研磨と第2段階の研磨を同一の装置で連続して行うことで、スループットを向上させるようにしているが、第1段階の研磨と第2段階の研磨を異なる装置で行うようにしてもよい。
図7に戻って、ラッピング装置30A及びCMP装置30Bと洗浄部4との間には、長手方向に沿った4つの搬送位置(ロード/アンロード部2側から順番に第1搬送位置TP1、第2搬送位置TP2、第3搬送位置TP3、第4搬送位置TP4とする)の間で基板を搬送する第2(直動)搬送機構としての第1リニアトランスポータ5が配置されている。この第1リニアトランスポータ5の第1搬送位置TP1の上方には、ロード/アンロード部2の第1搬送ロボット22から受け取った基板を反転する反転機31が配置されており、その下方には上下に昇降可能なリフタ32が配置されている。また、第2搬送位置TP2の下方には上下に昇降可能なプッシャ33が、第3搬送位置TP3の下方には上下に昇降可能なプッシャ34が、第4搬送位置TP4の下方には上下に昇降可能なリフタ35がそれぞれ配置されている。
研磨装置30C,30Dの側方には、第1リニアトランスポータ5に隣接して、長手方向に沿った3つの搬送位置(ロード/アンロード部2側から順番に第5搬送位置TP5、第6搬送位置TP6、第7搬送位置TP7とする)の間で基板を搬送する第2(直動)搬送機構としての第2リニアトランスポータ6が配置されている。この第2リニアトランスポータ6の第5搬送位置TP5の下方には上下に昇降可能なリフタ36が、第6搬送位置TP6の下方にはプッシャ37が、第7搬送位置TP7の下方にはプッシャ38がそれぞれ配置されている。更に、研磨装置30Cとプッシャ37との間には、桶と純水ノズルとを有する純水置換部160が、研磨装置30Dとプッシャ38との間にも、桶と純水ノズルとを有する純水置換部162が配置されている。
表面除去加工時にスラリ等を使用することを考えるとわかるように、表面除去加工部3は最もダーティな(汚れた)領域である。したがって、この例では、表面除去加工部3内のパーティクルが外部に飛散しないように、定盤等の除去加工部の周囲から排気が行われており、表面除去加工部3の内部の圧力を、装置外部、周囲の洗浄部4、ロード/アンロード部2よりも負圧にすることでパーティクルの飛散を防止している。また、通常、定盤等の除去加工部の下方には排気ダクト(図示せず)が、上方にはフィルタ(図示せず)がそれぞれ設けられ、これらの排気ダクト及びフィルタを介して清浄化された空気が噴出され、ダウンフローが形成される。
洗浄部4は、基板を洗浄する領域であり、第2搬送ロボット40と、第2搬送ロボット40から受け取った基板を反転する反転機41と、基板を洗浄する3つの洗浄ユニット42,43,44と、洗浄後の基板を純水でリンスしてスピンドライする乾燥ユニット45と、反転機41、洗浄ユニット42,43,44及び乾燥ユニット45の間で基板を搬送する、走行自在な第3搬送ロボット46を備えている。これらの第2搬送ロボット40、反転機41、洗浄ユニット42〜44及び乾燥ユニット45は、長手方向に沿って直列に配置され、これらの第2搬送ロボット40、反転機41、洗浄ユニット42〜44及び乾燥ユニット45と、第1リニアトランスポータ5との間に、第3搬送ロボット46が走行自在に配置されている。これらの洗浄ユニット42〜44及び乾燥ユニット45の上部には、クリーンエアフィルタを有するフィルタファンユニット(図示せず)が設けられており、このフィルタファンユニットによりパーティクルが除去されたクリーンエアが常時下方に向かって吹出ている。また、洗浄部4の内部は、表面除去加工部3からのパーティクルの流入を防止するために表面除去加工部3よりも高い圧力に常時維持されている。
表面除去加工部3を包囲する隔壁1aには、反転機31と第1搬送ロボット22との間に位置して、シャッタ50が設置されており、基板の搬送時にはシャッタ50を開いて、第1搬送ロボット22と反転機31との間で基板の受け渡しが行われる。また、表面除去加工部3を包囲する隔壁1bには、CMP装置30Bと対面する位置に位置してシャッタ53が、研磨装置30Cと対面する位置に位置してシャッタ54がそれぞれ設置されている。
次に、このような構成の平坦化システムを用いて基板の表面を平坦化する処理について説明する。
フロントロード部200に搭載した基板カセットから、1枚の基板を第1搬送ロボット22で取出して、反転機31に搬送する。反転機31は、基板を180°反転させた後、第1搬送位置TP1のリフタ32に乗せる。ラッピング装置30Aは、そのトップリング301Aでリフタ32から基板を受取って、基板表面のラッピングを行う。つまり、ラッピング装置30Aでは、例えば、ダイヤモンドスラリやコロイダルシリカスラリ等のラップ液を定盤301Aに供給しながら、例えば数10μm/h以下の加工速度で、基板表面を10μm程度除去して基板表面の平坦度を向上させるラッピング加工を行う。この場合、基板表面における加工後のダメージ深さは、1μm程度である。そして、基板表面を、必要に応じて純水でリンスする。
ラッピング後の基板を第2搬送位置TP2でプッシャ33に受渡し、第1リニアトランスポータ5の横移動に伴って、第3搬送位置TP3に搬送する。そして、この第3搬送位置TP3で、CMP装置30Bは、そのトップリング301Bでプッシャ34から基板を受け取って、基板表面のCMPを行う。つまり、CMP装置30Bでは、例えば、コロイダルシリカを有する研磨液を研磨テーブル300Bに供給しながら、例えば数μm/h以下の加工速度で、基板表面を数μm程度除去して基板表面の平坦度を更に向上させるCMPを行う。この場合、基板表面における加工後のダメージ深さは、10nm程度である。そして、基板表面を、必要に応じて純水でリンスする。
CMP後の基板を第4搬送位置TP4でリフタ35に受渡す。第2搬送ロボット40は、リフタ35から基板を受取り、第5搬送位置TP5でリフタ36に乗せる。第2トランスポータ6は、横移動を行って、リフタ36上の基板を第6搬送位置TP6または第7搬送位置TP7の一方に搬送する。そして、研磨装置30Cは、その基板ホルダ144でプッシャ37から、研磨装置30Dは、その基板ホルダ144でプッシャ38から基板をそれぞれ受取って研磨加工を行う。
そして、研磨装置30Cで研磨加工を行った基板にあっては、研磨加工後の基板表面に残った処理溶液を純水置換部160で純水に置換して第6搬送位置TP6に戻し、研磨装置30Dで研磨加工を行った基板にあっては、研磨加工後の基板表面に残った処理溶液を純水置換部162で純水に置換して第7搬送位置TP7に戻す。しかる後、純水置換後の基板を、第2トランスポータ6を横移動させて、第5搬送位置TP5に移動させる。
第2搬送ロボット40は、第5搬送位置TP5から基板を取出し、反転機41に搬送する。反転機41は、基板を180°反転させた後、第1洗浄ユニット42に搬送する。第3搬送ユニット46は、基板を第1洗浄ユニット42から第2洗浄ユニット43に搬送し、ここで、基板を洗浄する。
そして、第3搬送ロボット46は、洗浄後の基板を第3洗浄ユニット44に搬送して、ここで基板の純水洗浄を行った後、乾燥ユニット45に搬送し、ここで基板を純水リンスした後、高速回転させてスピン乾燥させる。第1搬送ロボット22は、スピン乾燥後の基板を乾燥ユニット45から受取り、フロントロード部200に搭載した基板カセットに戻す。
(実施例1)
図8に示す研磨装置を使用し、pH6.86の燐酸緩衝溶液にGaイオンを10ppm添加した処理溶液を用いて、光源から紫外光を照射しながらGaN基板表面の平坦化加工を行った。研磨具には固体酸触媒である石英ガラスを用い、光源には主発光波長365nmの紫外線を用いた。加工時間は3時間である。加工後のGaN基板表面の光学顕微鏡像を図17及び図18に示す。
(比較例1〜4)
処理溶液として、実施例1で使用した処理溶液に塩酸を添加してpHを1とした処理溶液を用い、その他は実施例1と同じ条件でGaN基板表面の平坦化加工を行った(比較例1)。また、処理溶液として、実施例1で使用した処理溶液に水酸化カリウムを添加してpHを13とした処理溶液を用い、その他は実施例1と同じ条件でGaN基板表面の平坦化加工を行った(比較例2)。比較例1,2における加工後のGaN基板表面の光学顕微鏡像を図19及び図20に示す。
処理溶液として、実施例1で使用した処理溶液に燐酸(HPO)を添加してpHを5とした処理溶液を用い、その他は実施例1と同じ条件でGaN基板表面の平坦化加工を行った(比較例3)。更に、処理溶液として、実施例1で使用した処理溶液に水酸化カリウムを添加してpHを9とした処理溶液を用い、その他は実施例1と同じ条件でGaN基板表面の平坦化加工を行った(比較例4)。比較例3,4における加工後のGaN基板表面の光学顕微鏡像を図21及び図22に示す。
図17並びに図19〜図22から、液性がpH6〜8、特にpH6.86の中性域の処理溶液を用いることで、液性が酸性または塩基性を示す処理溶液を用いた場合と比較して、小さな粗さを有する加工表面が得られることが判る。
(比較例5)
Gaイオン添加の効果を確認する為に、処理溶液として、実施例1で使用した処理溶液からGaイオンを除いた処理溶液を用い、その他は実施例1と同じ条件でGaN基板表面の平坦化加工を行った(比較例5)。加工後のGaN基板表面の光学顕微鏡像を図23に示す。
図18及び図23から、実施例1における表面粗さはRMS:0.404nmであり、比較例5における表面粗さRMS:11.662nmと比較して、表面粗さが大幅に改善されていることが判る。
(比較例6)
Gaイオン添加による研磨に要する時間の短縮効果を確認する為に、加工時間を40時間として、その他は比較例5と同じ条件でGaN基板表面の平坦化加工を行った(比較例6)。加工後のGaN基板表面の光学顕微鏡像を図24に示す。図24から、Gaイオンを添加しない場合では、加工時間40時間において表面粗さはRMS:0.636nmであり、Gaイオンを添加する場合の加工時間3時間における表面粗さと同等であることが判る。このことから、処理溶液にGaイオンを添加することで、研磨に要する時間が大幅に短縮されることが確認できた。
図8に示す研磨装置を使用し、処理溶液として、添加するGaイオン濃度が異なるpH6.86の燐酸緩衝溶液を用い、その他は実施例1と同じ条件でGaN基板表面の平坦化加工を行った時のGaイオン濃度(Ga3+ ion concentration)と研磨速度(Removal rate)の関係の測定を行った結果を図25に示す。図25から、Gaイオン濃度が増加するに伴って加工速度は低下した。またGaイオン濃度が5ppm以下では加工後の表面荒さはRMS:5nm以上の大きな粗さを持っていたが、10ppm以上のGaイオンを添加することにより、表面荒さはRMS:1nm以下の粗さを持つ加工後表面が得られることが判る。これは、Gaイオンを処理溶液中に添加することにより、基板表面の凹部からの表面酸化物の等方的エッチングが抑制され、基板表面の凸部のみが触媒作用により除去された為と考えられる。
このことから、処理溶液中のGaイオン濃度は10ppm以上であることが好ましい。10ppm以下であれば図17のように表面粗さが悪化することになる。また、処理溶液中のGaイオン濃度は、好ましくは100ppm以下とする。100ppmより濃度が高くなると、溶液がゲル化する可能性があるためである。
これまで本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてよいことは言うまでもない。
10,134 研磨具
12,132 容器
14,130 処理溶液
16 GaN基板
16a Ga酸化物
18,144 基板ホルダ
20,140 光源
30A ラッピング装置
30B CMP装置
30C,30D 研磨装置
136 回転軸
138 反射板
142 基板(GaN基板)
146 主軸
190 コンディショニング機構(コンディショナー)

Claims (15)

  1. Gaイオンを含有する液性が中性域のpH緩衝溶液からなる処理溶液の存在下でGa元素を含有する化合物半導体の基板を研磨具に接触させ、
    基板表面に光を照射するか、若しくは基板にバイアス電位を印加して基板表面にGa酸化物を形成し、または基板表面に光を照射しながら基板にバイアス電位を印加して基板表面にGa酸化物を形成し、
    同時に前記基板と前記研磨具を相対運動させて該基板表面に形成されたGa酸化物を研磨除去することを特徴とする研磨方法。
  2. Gaイオンを含有する液性が中性域のpH緩衝溶液からなる処理溶液中にGa元素を含有する化合物半導体の基板を浸漬させ、
    基板表面に光を照射し、同時に基板にバイアス電位を印加して基板表面にGa酸化物を形成しながら、該Ga酸化物と研磨具とを互いに接触させつつ相対運動させてGa酸化物を研磨除去する第1段階の研磨を行い、しかる後、
    基板表面に光を照射したまま、前記バイアス電圧の印加のみを停止して、第2段階の研磨を行うことを特徴とする研磨方法。
  3. 前記第1段階の研磨時に印加するバイアス電圧を徐々に低減するか、またはバイアス電圧としてパルス電圧を使用し、このパルス電圧の印加停止時間を徐々に長くして、該第1段階の研磨から前記第2段階の研磨に移行することを特徴とする請求項2記載の研磨方法。
  4. 前記第2段階の研磨時に、基板表面に照射する光の強度を徐々に減少させることを特徴とする請求項2または3記載の研磨方法。
  5. 前記研磨具は、該研磨具表面の少なくとも基板と接触または接近する領域に酸性または塩基性の固体触媒を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の研磨方法。
  6. 前記処理溶液は、金属酸化物微粒子、ダイヤモンド微粒子、及び表面に酸性または塩基性の官能基が修飾された触媒微粒子の少なくとも一つの微粒子、またはそれらの微粒子の混合物を更に含有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の研磨方法。
  7. 前記処理溶液は、酸化剤を更に含有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の研磨方法。
  8. 前記研磨具表面の少なくとも基板と接触または接近する領域を、良好な平坦度と適度なラフネスを有するようにコンディショニングすることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の研磨方法。
  9. Gaイオンを含有する液性が中性域のpH緩衝溶液からなる処理溶液を保持する容器と、
    前記容器内に前記処理溶液に浸漬させて配置される研磨具と、
    Ga元素を含有する化合物半導体の基板を保持して前記容器内の前記処理溶液中に浸漬させ前記研磨具に接触させる基板ホルダと、
    前記基板ホルダで保持して前記容器内の前記処理溶液内に浸漬させた基板表面に光を照射する光源及び基板にバイアス電位を印加する電源の少なくとも一方と、
    前記研磨具と前記基板ホルダで保持した基板とを相対移動させる移動機構とを有することを特徴とする研磨装置。
  10. 研磨具と、
    Ga元素を含有する化合物半導体の基板を保持して前記研磨具に接触させる基板ホルダと、
    前記研磨具と基板との接触部にGaイオンを含有する液性が中性域のpH緩衝溶液からなる処理溶液を処理溶液供給部と、
    前記基板ホルダで保持して前記研磨具に接触させた基板表面に光を照射する光源及び基板にバイアス電位を印加する電源の少なくとも一方と、
    前記研磨具と前記基板ホルダで保持した基板とを相対移動させる移動機構とを有することを特徴とする研磨装置。
  11. 前記研磨具は、該研磨具表面の少なくとも基板と接触または接近する領域に酸性または塩基性の固体触媒を有することを特徴とする請求項9または10記載の研磨装置。
  12. 前記処理溶液は、金属酸化物微粒子、ダイヤモンド微粒子、及び表面に酸性または塩基性の官能基が修飾された触媒微粒子の少なくとも一つの微粒子、またはそれらの微粒子の混合物を更に含有することを特徴とする請求項9乃至11のいずれかに記載の研磨装置。
  13. 前記処理溶液は、酸化剤を更に含有することを特徴とする請求項9乃至12のいずれかに記載の研磨装置。
  14. 該研磨具表面の少なくとも基板と接触または接近する領域を良好な平坦度と適度なラフネスを有するようにコンディショニングするコンディショニング機構を更に有することを特徴とする請求項9乃至13のいずれかに記載の研磨装置。
  15. 前記基板ホルダは、基板の裏面側から基板に給電しながら基板を保持するように構成されていることを特徴とする請求項9乃至14のいずれかに記載の研磨装置。
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