JP5364467B2 - 超電導線材 - Google Patents

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Description

本発明は、超電導体を安定化させるための金属安定化層の剥離が抑制された超電導線材に関する。
イットリウム(Y)系酸化物等の超電導体は、臨界温度、臨界電流、臨界磁界で規定される条件範囲内において、超電導状態が維持される。一方、超電導体は、その状態によっては、通電中に一部の領域が常伝導状態となって発熱し、さらに超電導体全体が常伝導体状態に転移する、所謂クエンチ現象を引き起こすことが知られている。クエンチ現象が発生すると、超電導体が焼損してしまう。そこで、これを防止するために、導電性が良好な金属からなる安定化層(金属安定化層)を超電導層に接触配置して複合化する。安定化層を設けることで、通電中に超電導層の一部領域が常伝導状態になっても、安定化層に電流を通す(通電する)ことで、超電導層が安定化される。
安定化層を設ける手法としては、スパッタリングや蒸着等の物理的法により、銀(Ag)からなる安定化層(銀安定化層)を形成する方法(特許文献1参照)や、はんだを介して銀安定化層上に安価な銅(Cu)からなる安定化層(銅安定化層)を形成する方法(特許文献2参照)が開示されている。
一方、超電導体をケーブルや変圧器等の実用に供するには、交流損失を低減することが必要である。これに対して、超電導線材を利用したコイルにおいては、金属基材にまで達する溝を超電導層に形成し、超電導層を複数に分割して細線化することにより、分割数に反比例するように交流損失を低減できることが知られている(特許文献3、非特許文献1参照)。細線化の手法としては、レーザ照射、フォトリソグラフィー、エッチング等が通常適用される。
このように、超電導層を安定化させて焼損を防止するために金属安定化層を設けた超電導線材においては、交流損失を低減するために、超電導層を細線化することが重要となる。
特開2006−236652号公報 特開2008−60074号公報 特開2007−141688号公報
Supercond.Soc.Technol.,20,822−826(2007)
しかし、上記のように、スパッタリングや蒸着等の物理的蒸着により銀安定化層を設けた超電導線材では、超電導層を安定化させるために、銀安定化層の厚さを概ね100μm以上とする必要性があり、コストが上昇してしまうという問題点があった。
また、銀安定化層上にはんだを介して銅安定化層を設けた超電導線材では、細線化が難しいという問題点があった。具体的には、レーザ照射で細線化する場合には、レーザ照射部位が高温になるので、はんだが溶けて銅安定化層が剥離してしまうことがある。また、フォトリソグラフィーで細線化する場合には、安定化層全体が厚いために細線化自体が難しく、そのための装置も構成が複雑になってしまう。また、エッチングで細線化する場合には、はんだがエッチングされて、銅安定化層が剥離してしまうことがある。
このように、従来は、簡便に製造でき、且つ実用に供し得る超電導線材が無いのが実情であった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、超電導層の安定化と交流損失の低減が可能で、且つ簡便に製造できる超電導線材を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、
本発明は、金属基材の表面側に金属酸化物からなる中間層、超電導層及び第一の金属安定化層がこの順に積層され、前記中間層に達して前記第一の金属安定化層及び超電導層を幅方向に分割する溝が、前記第一の金属安定化層及び超電導層に、長手方向に沿って一体に形成され、金属基材の裏面側に第二の金属安定化層が積層され、該第二の金属安定化層が、前記超電導層と電気的に接続されていることを特徴とする超電導線材を提供する。
本発明の超電導線材は、前記第二の金属安定化層が、導電性の接合層を介して前記金属基材の裏面に積層されていることが好ましい。
本発明の超電導線材は、前記第二の金属安定化層が、長手方向両端に余長部を有し、該余長部が前記金属基材の表面側に折り返され、前記第一の金属安定化層と電気的に接続されていることが好ましい。
本発明によれば、超電導層の安定化と交流損失の低減が可能で、且つ簡便に製造できる超電導線材が得られる。
本発明の超電導線材を例示する概略図であり、(a)は長手方向に対して略垂直な方向の断面図、(b)は長手方向の縦断面図、(c)は平面図である。 本発明の超電導線材の製造方法を説明するための概略図であり、超電導線材の長手方向の縦断面図である。
本発明の超電導線材は、金属基材の表面側に金属酸化物からなる中間層(以下、中間層と略記する)、超電導層及び第一の金属安定化層がこの順に積層され、前記中間層に達して前記第一の金属安定化層及び超電導層を幅方向に分割する溝が、前記第一の金属安定化層及び超電導層に、長手方向に沿って一体に形成され、金属基材の裏面側に第二の金属安定化層が積層され、該第二の金属安定化層が、前記超電導層と電気的に接続されていることを特徴とする。
以下、図面を参照しながら、本発明について詳細に説明する。
図1は、本発明の超電導線材を例示する概略図であり、(a)は長手方向に対して略垂直な方向の断面図、(b)は長手方向の縦断面図、(c)は平面図である。
超電導線材1においては、金属基材11の表面11c上に、中間層12、超電導層13及び第一の金属安定化層14がこの順に積層されている。また、金属基材11の裏面11d上には、接合層15及び第二の金属安定化層16がこの順に積層されている。
金属基材11は、通常の超電導線材の基材として使用し得るものであれば良く、プレート状又はシート状であることが好ましく、耐熱性の金属からなるものが好ましい。耐熱性の金属の中でも、合金が好ましく、ニッケル(Ni)合金又は銅(Cu)合金がより好ましい。なかでも、市販品であればハステロイ(商品名、ヘインズ社製)が好適であり、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、コバルト(Co)等の成分量が異なる、ハステロイB、C、G、N、W等のいずれの種類も使用できる。
金属基材11の厚さは、目的に応じて適宜調整すれば良く、通常は、10〜500μmであることが好ましく、20〜200μmであることがより好ましい。下限値以上とすることで強度が一層向上し、上限値以下とすることで臨界電流密度を一層向上させることができる。
金属基材11の表面11c(中間層12の積層面)は、表面粗さ(Ra)が0〜30nmであることが好ましく、0〜5nmであることがより好ましい。上限値以下とすることで、超電導層13の結晶配向性を一層良好に制御できる。表面粗さは、金属基材11の表面を公知の方法で研磨して調節すれば良い。
中間層12は、超電導層13の結晶配向性を制御し、金属基材11中の金属元素の超電導層13への拡散を防止するものである。そして、金属基材11と超電導層13との物理的特性(熱膨張率や格子定数等)の差を緩和するバッファー層として機能し、その材質は、物理的特性が金属基材11と超電導導体膜13との中間的な値を示す金属酸化物が好ましい。中間層12の好ましい材質として具体的には、GdZr、MgO、ZrO−Y(YSZ)、SrTiO、CeO、Y、Al、Gd、Zr、Ho、Nd等の金属酸化物が例示できる。
中間層12は、単層でも良いし、複数層でも良い。例えば、前記金属酸化物からなる層(金属酸化物層)は、結晶配向性を有していることが好ましく、複数層である場合には、最外層(最も超電導層13に近い層)が少なくとも結晶配向性を有していることが好ましい。
また中間層12は、前記金属酸化物層の上に、さらにキャップ層が積層された複数層構造でも良い。キャップ層は、超電導層13の配向性を制御する機能を有するとともに、超電導層13を構成する元素の中間層12への拡散や、超電導層13積層時に使用するガスと中間層12との反応を抑制する機能等を有するものである。そして、前記金属酸化物層により配向性が制御される。
キャップ層は、前記金属酸化物層の表面に対してエピタキシャル成長し、その後、横方向(面方向)に粒成長(オーバーグロース)して、結晶粒が面内方向に選択成長するという過程を経て形成されたものが好ましい。このようなキャップ層は、前記金属酸化物層よりも高い面内配向度が得られる。
キャップ層の材質は、上記機能を発現し得るものであれば特に限定されないが、好ましいものとして具体的には、CeO、Y、Al、Gd、Zr、Ho、Nd等が例示できる。キャップ層の材質がCeOである場合、キャップ層は、Ceの一部が他の金属原子又は金属イオンで置換されたCe−M−O系酸化物を含んでいても良い。
中間層12の厚さは、目的に応じて適宜調整すれば良いが、通常は、0.1〜5μmであることが好ましく、0.3〜3μmであることがより好ましい。下限値以上とすることで、超電導層13の配向を制御する一層高い効果が得られ、上限値以下とすることで、短時間で形成でき、さらに表面粗さを低減することで、超電導層13の臨界電流密度を一層大きくできる。
中間層12が、前記金属酸化物層の上にキャップ層が積層された複数層構造である場合には、キャップ層の厚さは、通常は、0.1〜1.5μmであることが好ましく、0.3〜1μmであることがより好ましい。このような範囲とすることで、一層高い効果が得られる。
中間層12は、スパッタ法、真空蒸着法、レーザ蒸着法、電子ビーム蒸着法、イオンビームアシスト蒸着法(以下、IBAD法と略記する)、化学気相成長法(CVD法)等の物理的蒸着法;熱塗布分解法(MOD法);溶射等、酸化物薄膜を形成する公知の方法で積層できる。特に、IBAD法で形成された前記金属酸化物層は、結晶配向性が高く、超電導層13やキャップ層の結晶配向性を制御する効果が高い点で好ましい。IBAD法とは、蒸着時に、結晶の蒸着面に対して所定の角度でイオンビームを照射することにより、結晶軸を配向させる方法である。通常は、イオンビームとして、アルゴン(Ar)イオンビームを使用する。例えば、GdZr、MgO又はZrO−Y(YSZ)からなる中間層12は、IBAD法における配向度を表す指標であるΔΦ(FWHM:半値全幅)の値を小さくできるため、特に好適である。
超電導層13には、長手方向に沿って第一の溝18及び第二の溝19が形成されており、超電導層13は、幅方向(金属基材の表面11cに対して略平行な方向)に、三つの分割層131、132及び133に分割されている。すなわち、第一の溝18及び第二の溝19は、中間層12に達している。
超電導層13のこれら分割層における、金属基材の表面11c(中間層12の積層面)に対して略平行な方向の幅W131、W132及びW133は、それぞれ互いに同一でも異なっていても良いが、通常はほぼ同一とされる。
また、金属基材の表面11c(中間層12の積層面)に対して略平行な方向における第一の溝18の幅S131及び第二の溝19の幅S132は、それぞれ互いに同一でも異なっていても良いが、通常はほぼ同一とされる。
超電導層13の厚さは、0.5〜9μmであることが好ましく、1〜5μmであることがより好ましい。
超電導層13は公知のもので良く、酸化物超電導体からなるものが好ましく、具体的には、REBaCu(REはY、La、Nd、Sm、Er、Gd等の希土類元素を表す)なる材質のものが例示できる。
超電導層13は、スパッタ法、真空蒸着法、レーザ蒸着法、電子ビーム蒸着法、化学気相成長法(CVD法)等の物理的蒸着法;熱塗布分解法(MOD法)等で積層でき、なかでもレーザ蒸着法が好ましい。
第一の金属安定化層14は、超電導層13の一部領域が常伝導状態になった場合に通電することで、超電導層13を安定化させて焼損を防止する、主たる構成要素である。そして、長手方向に沿って第一の溝18及び第二の溝19が形成されており、第一の金属安定化層14は、三つの分割層141、142及び143に分割されている。すなわち、第一の金属安定化層14及び超電導層13には、長手方向に沿って第一の溝18及び第二の溝19がそれぞれ一体に形成されている。
第一の金属安定化層14のこれら分割層において、金属基材の表面11c(中間層12の積層面)に対して略平行な方向の幅W141、W142及びW143は、それぞれ互いに同一でも異なっていても良いが、通常はほぼ同一とされる。
また、金属基材の表面11c(中間層12の積層面)に対して略平行な方向における、第一の溝18の幅S141及び第二の溝19の幅S142は、それぞれ互いに同一でも異なっていても良いが、通常はほぼ同一とされる。
このように、第一の溝18及び第二の溝19の前記幅は、超電導層13と第一の金属安定化層14との間で、通常は略同等とされる。
第一の金属安定化層14の厚さは、3〜10μmであることが好ましい。下限値以上とすることで、超電導層13を安定化する一層高い効果が得られ、上限値以下とすることで、超電導線材1を薄型化できる。
第一の金属安定化層14は、導電性が良好な金属からなるものが好ましく、具体的には、銀又は銀合金からなるものが例示できる。
第一の金属安定化層14は、公知の方法で積層できるが、なかでもスパッタ法が好ましい。また、第一の金属安定化層14を形成する最終工程で、酸素熱処理を行うことが好ましい。
このように、第一の金属安定化層14及び超電導層13に、長手方向に沿って溝が一体に形成され、超電導層13が分割されて細線化されることで、超電導線材1の交流損失が低減される。
接合層15は、第二の金属安定化層16を金属基材11に接着固定するものである。
接合層15は、導電性であることが好ましく、銀のペーストやはんだであることがより好ましい。
接合層15の厚さは、1〜5μmであることが好ましい。下限値以上とすることで、一層高い接着固定効果が得られ、上限値以下とすることで、超電導線材1を薄型化できる。
第二の金属安定化層16は、第一の金属安定化層14と同様に、超電導層13を安定化するものであるが、必ずしも第一の金属安定化層14と同様の導電性でなくても良い。第二の金属安定化層16の好ましいものとしては、銅(Cu);銅−ニッケル(Cu−Ni)合金;ニッケル−クロム(Ni−Cr)合金等のニッケル(Ni)合金;ステンレス;銀合金等のいずれかからなるものが例示できる。第二の金属安定化層16を、第一の金属安定化層14よりも安価な材質で形成することで、低コストで高い安定化効果が得られる。
第二の金属安定化層16は、長手方向の長さが、これよりも上方に積層されている接合層15、金属基材11、中間層12、超電導層13及び第一の金属安定化層14よりも長く、端部16a,16aの近傍にそれぞれ余長部160,160を有する。そして、余長部160にはそれぞれ、長手方向に略垂直な方向において、前記第一の溝18及び第二の溝19と一致する位置に、第一の切欠部161及び第二の切欠部162が形成されている。
また、余長部160はそれぞれ、折り返し開始部160aを基点として、これよりも長手方向において端部16a側の部位が、基材表面11c側へ折り返されている。このように、第二の金属安定化層16の余長部160は、基材表面11c側へ合計で約180°の角度だけ折り返されており、端部16a側に位置し、第一の金属安定化層14と対向する面160cが、端部接合層17に接触するようにして、端部接合層17を介して第一の金属安定化層14上に積層されている。この状態で、第一の切欠部161及び第二の切欠部162は、前記第一の溝18及び第二の溝19と配置位置が一致している。
なお、ここでは、余長部160において、その長手方向における折り返し開始部160aの位置が、接合層15の端部15aとほぼ一致している例を示しているが、本発明においてはこれに限定されず、さらに端部16a側に位置していても良い(図示略)。
また、ここでは、余長部160が、これよりも上方に位置する接合層15の端部15a、金属基材11の端部11a、中間層12の端部12a、超電導層13の端部13a、及び第一の金属安定化層14の端部14aのいずれにも接触することなく、二つ折りで又は湾曲して折り返された例を示しているが、本発明においてはこれに限定されず、前記端部11a〜15aのいずれか一つ以上と接触するように折り返されても良い(図示略)。
前記端部接合層17は、第二の金属安定化層16の前記対向面160cを、第一の金属安定化層14に接着固定する。
端部接合層17は、導電性であり、はんだであることが好ましい。
このように第二の金属安定化層16は、第一の金属安定化層14及び超電導層13と電気的に接続され、第一の金属安定化層14と共に、超電導層13を安定化する
二つある端部接合層17の厚さは、互いに同一でも異なっていても良く、接合層15の場合と同様の理由で、1〜5μmであることが好ましい。
また、超電導線材1の長手方向における、端部接合層17の長さ(長手方向における前記余長部160の接着固定部の長さ)Lは、互いに同一でも異なっていても良く、第二の金属安定化層16を安定的に接着固定できれば特に限定されないが、30〜200mmであることが好ましい。下限値以上とすることで、第二の金属安定化層16を一層安定して第一の金属安定化層14に接着固定でき、上限値以下とすることで、超電導線材1を一層低コストで製造できる。
第二の金属安定化層16は、第一の金属安定化層14と同様の方法で積層できる。また、金属シートや合金シートが入手できる場合には、これを使用して積層しても良い。
第二の金属安定化層16の厚さは、材質に応じて適宜調整すれば良い。例えば、銀より導電性が低い銅等で形成する場合には、40〜300μmであることが好ましい。下限値以上とすることで、超電導層13の焼損を防止する一層高い効果が得られ、上限値以下とすることで、超電導線材1を薄型化できる。
超電導線材1は、さらに、全体が絶縁性の被覆層で被覆されていても良い(図示略)。被覆層で被覆することにより、特に溝加工部分が保護され、安定した性能の超電導線材が得られる。
被覆層は、例えば、超電導線材等の絶縁被覆に通常使用される、各種樹脂や酸化物等の公知の材質からなるもので良い。
前記樹脂として具体的には、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、ケイ素樹脂、シリコン樹脂、アルキッド樹脂、ビニル樹脂等が例示できる。また、紫外線硬化性樹脂が好ましい。
前記酸化物としては、CeO、Y、GdZr、Gd、ZrO−Y(YSZ)、Zr、Ho等が例示できる。
被覆層による被覆の厚さは特に限定されず、被覆対象部位等に応じて、適宜調節すれば良い。
被覆層は、その材質に応じて公知の方法で形成すれば良く、例えば、原料を塗布して、これを硬化させれば良い。また、シート状のものが入手できる場合には、これを使用して積層しても良い。
本発明の超電導線材は、これまでに説明したものに限定されず、本発明の効果を損なわない範囲内において、一部構成を変更、追加又は削除したものでも良い、
例えば、第一の金属安定化層14及び超電導層13に形成する溝の数は、二つに限定されず、一つでも良いし、三つ以上でも良く、目的に応じて適宜調整すれば良い。
また、例えば、第二の金属安定化層16は、第一の切欠部161及び第二の切欠部162が形成されていなくても良い。
さらに、第二の金属安定化層16は、超電導層13と電気的に接続されていれば、必ずしも、図1に示す接続形態でなくても良い。
超電導線材1は、例えば、以下の方法で製造できる。図2は、本発明の超電導線材の製造方法を説明するための概略図であり、超電導線材の長手方向の縦断面図である。
まず、図2(a)に示すように、金属基材の表面11c上に、中間層12、超電導層13及び第一の金属安定化層14をこの順に積層する。
次いで、第一の金属安定化層14及び超電導層13に、これらの長手方向に沿って一端から他端まで、第一の溝18及び第二の溝19を形成して、中間層12を露出させると共に、第一の金属安定化層14を三つの分割層141、142及び143に、超電導層13を三つの分割層131、132及び133に、それぞれ分割して細線化する。この時、第一の溝18及び第二の溝19は、第一の金属安定化層14及び超電導層13において、同一の手段で形成しても良いし、異なる手段で形成しても良い。前記S141及びS131、並びに前記S142及びS132をそれぞれ略同等とする場合には、同一の手段で形成することが好ましい。
次いで、図2(b)に示すように、金属基材の裏面11d上に、接合層15及び第二の金属安定化層16をこの順に積層する。この時、第二の金属安定化層16の端部16a,16aの近傍にそれぞれ余長部160,160を設ける。この時、必要に応じて前記余長部160に、第一の切欠部161及び第二の切欠部162を形成する。
次いで、図2(c)に示すように、第二の金属安定化層16の余長部160をそれぞれ、折り返し開始部160aを基点として、基材表面11c側へ約180°の角度だけ折り返し、端部接合層17を介して、前記対向面160cを第一の金属安定化層14に接着固定する。なお、端部接合層17は、余長部160の折り返し前後のいずれで設けても良い。以上により、超電導線材1が得られる。
このような製造方法によれば、第一の金属安定化層14及び超電導層13に、第一の溝18及び第二の溝19を形成して細線化してから、端部接合層17を積層し、第二の金属安定化層16を第一の金属安定化層14に接着固定するので、細線化時には端部接合層17が存在せず、端部接合層17が細線化時に劣化することが無い。したがって、第二の金属安定化層16を第一の金属安定化層14に安定して接着固定でき、クエンチ現象等を防止する安定化効果を安定して得られる。また、第一の金属安定化層14の厚さを厚くしなくても良いので、特殊な装置を使用しなくても容易に細線化できる。さらに、第一の金属安定化層14を銀安定化層としても、第二の金属安定化層16を設けることで、厚さが薄くてすむので、低コストで超電導線材1を製造でき、しかも線材を薄型化できる。
したがって、超電導層の安定化と交流損失の低減が可能な超電導線材を、簡便に且つ低コストで製造できる。
以下、具体的実施例により、本発明についてより詳細に説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施例に、何ら限定されるものではない。
[実施例1〜5]
図2に示す製造方法で、図1に示す超電導線材1を製造した。具体的には、以下の通りである。
ハステロイC276からなる幅5mm、長さ10m、厚さ0.1mmの金属基材表面上に、中間層としてIBAD法で厚さ1μmのGdZr層を積層し、その上にさらに、パルスレーザ蒸着法(Pulsed Laser Deposition法、以下、PLD法と略記する)で厚さ0.5μmのCeO層を積層した。そして、CeO層上に、PLD法で厚さ1μmのなる組成の超電導層を積層し、超電導層上にスパッタ法で厚さ7μmの銀からなる第一の金属安定化層を積層した。
次いで、回転させた超硬刃により、幅100μmの第一の溝及び第二の溝を、第一の金属安定化層及び超電導層に形成して、第一の金属安定化層及び超電導層を分割した。
次いで、前記基材の裏面上に接合層となる銀ペーストを塗布し、厚さ0.1mmの銅テープを、表1に示す条件で5m/時間の速度で銀ペースト上に載せ、銀ペーストを加熱硬化させながら張り合わせることで、銅からなる第二の金属安定化層を積層した。この時、第二の金属安定化層の両端部に、長さ100mmの余長部を残した。加熱硬化は、基材裏面上の銀ペーストに銅テープを載せ、これを加熱炉に通してから加熱したロールで挟むことで行った。
次いで、前記余長部に、前記第一の溝及び第二の溝と重なるように位置合わせした第一の切欠部及び第二の切欠部を形成し、余長部を基材表面側へ折り返して、端部接合層となるはんだを介して第一の金属安定化層上に積層し、超電導線材を得た。
得られた超電導線材について、接合層及び端部接合層の劣化が無いか、外観を確認した。また、基材裏面上への接合層及び第二の金属安定化層形成前後における超電導特性の劣化の有無を確認した。さらに、超電導層の安定化効果の程度を確認した。結果を表1に示す。
Figure 0005364467
[実施例6]
銅テープを銀ペーストに接触させ、150〜200℃に加熱したプレス機で一分間プレスし、銀ペーストを加熱硬化させて銅テープを張り合わせることで、銅からなる第二の金属安定化層を積層したこと以外は、実施例1〜5と同様に超電導線材を得た。
その結果、得られた超電導線材は、実施例1〜5と同様に、接合層及び端部接合層の劣化が無く、外観が良好で、基材裏面上への接合層及び第二の金属安定化層形成前後における超電導特性の劣化も無かった。超電導層の安定化効果については、100Kまで良好であった。
[比較例1〜5]
第二の金属安定化層の両端部に余長部を残さず、第二の金属安定化層を第一の金属安定化層上に積層しなかったこと以外は、実施例1〜5と同様に超電導線材を得た。結果を表2に示す。
Figure 0005364467
[比較例6]
銅テープを銀ペーストに接触させ、150〜200℃に加熱したプレス機で一分間プレスし、銀ペーストを加熱硬化させて銅テープを張り合わせることで、銅からなる第二の金属安定化層を積層し、さらに、第二の金属安定化層の両端部に余長部を残さず、第二の金属安定化層を第一の金属安定化層上に積層しなかったこと以外は、実施例1〜5と同様に超電導線材を得た。
その結果、得られた超電導線材は、実施例1〜5と同様に、接合層及び端部接合層の劣化が無く、外観が良好で、基材裏面上への接合層及び第二の金属安定化層形成前後における超電導特性の劣化も無かった。超電導層の安定化効果については、95Kまで良好であった。
本発明は、エネルギーの貯蔵器、変圧器、モーター、発電機等の分野で利用可能である。
1・・・超電導線材、11・・・金属基材、11c・・・金属基材の表面、11d・・・金属基材の裏面、12・・・中間層、13・・・超電導層、14・・・第一の金属安定化層、15・・・接合層、16・・・第二の金属安定化層、16a・・・第二の金属安定化層の端部、18・・・第一の溝、19・・・第二の溝、160・・・第二の金属安定化層の余長部

Claims (2)

  1. 金属基材の表面側に金属酸化物からなる中間層、超電導層及び第一の金属安定化層がこの順に積層され、前記中間層に達して前記第一の金属安定化層及び超電導層を幅方向に分割する溝が、前記第一の金属安定化層及び超電導層に、長手方向に沿って一体に形成され、金属基材の裏面側に第二の金属安定化層が積層され、前記第二の金属安定化層が、前記超電導層と電気的に接続され、長手方向両端に余長部を有し、該余長部が前記金属基材の表面側に折り返され、前記第一の金属安定化層と電気的に接続されていることを特徴とする超電導線材。
  2. 前記第二の金属安定化層が、導電性の接合層を介して前記金属基材の裏面に積層されていることを特徴とする請求項1に記載の超電導線材。
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