JP5360152B2 - 化粧シート - Google Patents

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Description

本発明は、発泡樹脂層製造用組成物を樹脂架橋及び発泡させてなる発泡樹脂層を含む化粧シートに関する。なお、本明細書において、前記エチレン共重合体は、エチレンをモノマー成分として含む共重合体を意味する。
従来より、化粧シートとしては、紙質基材(裏打紙)上に塩化ビニル樹脂の樹脂層を形成したものが知られている。近年では、環境に配慮し、発泡樹脂層には、ハロゲンを含有しないエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂(EVA)が用いられている(特許文献1)。EVAは、可塑剤を用いなくても柔軟であり、しかも低温特性や耐光性に優れており、更に加工安定性も良好であるため、発泡樹脂層の樹脂成分として好ましい。また、人体に対して無害である点でも好ましい。さらに、EVAは他の樹脂との接着性が高いため、2層以上の樹脂層を含む化粧シートを作製し易い。
しかしながら、樹脂成分としてEVAを含む発泡樹脂層を備えた化粧シートは、ある程度の耐磨耗性や耐スクラッチ性を有するとは言え、その性能はまだ不十分である。また、前記化粧シートは、柔軟性が不十分である(コシが強い)。そのため、特に角部や曲部等の施工部位に対しては、追従させにくく施工が容易ではない。
特開2006−307412
従って、本発明は、耐磨耗性及び耐スクラッチ性に優れ、且つ、施工が容易である化粧シートを提供することを主な目的とする。
本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、特定のエチレン共重合体を樹脂架橋させてなる発泡樹脂層を含む場合には、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、下記の化粧シートの製造方法に関する。
1. エチレン共重合体及び発泡剤を含む発泡樹脂層製造用組成物を押出し成形して発泡剤含有樹脂層を形成した後、前記発泡剤含有樹脂層を樹脂架橋及び発泡させてなる発泡樹脂層を含む化粧シートの製造方法であって、
(1)前記エチレン共重合体は、エチレン−(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体を含み
(2)前記エチレン共重合体は、(メタ)アクリル酸単位含量が4〜20質量%、(メタ)アクリル酸エステル単位含量が25質量%以下であり、且つ、メルトフローレート(190℃)が10〜100g/10分である、
ことを特徴とする化粧シートの製造方法
2. 前記エチレン共重合体が、更に、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体を含む、上記項1に記載の化粧シートの製造方法。
. 前記組成物がさらに架橋剤を含む、上記項1又は2に記載の化粧シートの製造方法
. 前記架橋剤を、前記エチレン共重合体100質量部に対して0.1〜2質量部含む、上記項に記載の化粧シートの製造方法
. 前記発泡剤を、前記エチレン共重合体100質量部に対して0.5〜10質量部含む、上記項1〜のいずれかに記載の化粧シートの製造方法
. 発泡樹脂層製造用組成物が、更に多価アルコール及びその多量体から選ばれた少なくとも1種を前記エチレン共重合体100質量部に対して0.1〜5質量部含む、上記項1〜のいずれかに記載の化粧シートの製造方法
. 発泡樹脂層製造用組成物が、更に無機化合物を前記エチレン共重合体100質量部に対して5〜200質量部含む、上記項1〜のいずれかに記載の化粧シートの製造方法
. 前記無機化合物は、炭酸カルシウム及び酸化チタンの少なくとも1種である、上記項に記載の化粧シートの製造方法
. 前記樹脂架橋は、電子線架橋及び/又は前記架橋剤による架橋であり、該架橋により得られた架橋物のゲル分率が20〜90%である、上記項1〜のいずれかに記載の化粧シートの製造方法
10. エチレン共重合体を含む組成物を樹脂架橋してなる架橋物の層を表面保護層とする化粧シートの製造方法であって、
(1)前記エチレン共重合体は、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体及びエチレン−(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体から選ばれた少なくとも1種であり、
(2)前記エチレン共重合体は、(メタ)アクリル酸単位含量が4〜20質量%、(メタ)アクリル酸エステル単位含量が0〜25質量%であり、且つ、メルトフローレート(190℃)が10〜100g/10分である、
ことを特徴とする上記項1〜のいずれかに記載の化粧シートの製造方法
11. 前記組成物がさらに架橋剤を含む、上記項10に記載の化粧シートの製造方法
12. 前記架橋剤を、前記エチレン共重合体100質量部に対して0.1〜2質量部含む、上記項11に記載の化粧シートの製造方法
13. 前記樹脂架橋は、電子線架橋及び/又は前記架橋剤による架橋であり、前記架橋物のゲル分率が20〜90%である、上記項1012のいずれかに記載の化粧シートの製造方法
本発明の化粧シートは、従来のEVAを樹脂成分とする発泡樹脂層を含む化粧シートに比べ、表面が傷つき難く耐磨耗性及び耐スクラッチ性に優れる。また、本発明の化粧シートは、貼り付ける面の形状に追従させ易い。例えば角部や曲部等の施工部位に対しても容易に施工できる。更に、押出成形等により容易に製造できる等数々の利点を有する。
本発明の化粧シートは、特に発泡壁紙として好適に使用できる。
本発明の化粧シートは、エチレン共重合体及び発泡剤を含む発泡樹脂層製造用組成物を樹脂架橋及び発泡させてなる発泡樹脂層を含む化粧シートであって、
(1)前記エチレン共重合体は、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体及びエチレン−(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体から選ばれた少なくとも1種であり、
(2)前記エチレン共重合体は、(メタ)アクリル酸単位含量が4〜20質量%、(メタ)アクリル酸エステル単位含量が0〜25質量%であり、且つ、メルトフローレート(190℃)が10〜100g/10分である、
ことを特徴とする。
本発明の化粧シートは、樹脂成分としてEVAを含む発泡樹脂層を備えた従来の化粧シートに比べ、耐磨耗性及び耐スクラッチ性に優れている。また、本発明の化粧シートは、追従性に優れ、例えば角部や曲部等の施工部位に対しても容易に施工できる。
発泡樹脂層製造用組成物
発泡樹脂層製造用組成物としては、エチレン共重合体及び発泡剤を含む組成物であって、
(1)前記エチレン共重合体は、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体及びエチレン−
(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体から選ばれた少なくとも1種であり、
(2)前記エチレン共重合体は、(メタ)アクリル酸単位含量が4〜20質量%、(メタ)アクリル酸エステル単位含量が0〜25質量%であり、且つ、メルトフローレート(190℃)が10〜100g/10分である
ものを用いる。
(エチレン共重合体)
上記エチレン共重合体としては、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体及びエチレン−(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体からなる群から選択される少なくとも1種の共重合体を用いる。
上記(メタ)アクリル酸は、アクリル酸又はメタクリル酸を意味する。つまり、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体には、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸−メタクリル酸共重合のいずれかが含まれる。
また、上記(メタ)アクリル酸エステルは、アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルを意味する。つまり、(メタ)アクリル酸エステルをモノマー成分とする場合には、アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルの一方又は両方をモノマー成分として含む場合が含まれる。
上記(メタ)アクリル酸エステルとしては、アクリル酸又はメタクリル酸と炭素数1〜8の脂肪族アルコールとのエステルが挙げられる。具体的には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸i−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸i−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸i−ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル等が挙げられる。
本発明では、エチレン共重合体は、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体(二元共重合体と称する)及びエチレン−(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体(三元共重合体と称する)の少なくとも1種を含有すれば良い。本発明においては二種以上のエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体(二元共重合体)同士、又はエチレン−(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体(三元共重合体)同士、あるいは二元共重合体の一種以上と三元共重合体の一種以上を混合して上記エチレン共重合体としてもよい。この中でも、三元共重合体を必須成分とすることが好ましく、特に二元共重合体と三元共重合体の両方を含有することが好ましい。三元共重合体を必須成分とする発泡樹脂層を含む化粧シートは、貼り付ける面の形状に追従させ易い。また、二元共重合体と三元共重合体とを併用する場合には、化粧シートの粘弾性等を用途に応じて微調整し易くなるという利点もある。
上記エチレン共重合体は、(メタ)アクリル酸単位含量が4〜20質量%(好ましくは9〜18質量%)、(メタ)アクリル酸エステル単位含量が0〜25質量%(好ましくは4〜20質量%)であり、且つ、メルトフローレート(MFR)(190℃)が10〜100g/10分(好ましくは20〜80g/10分)であるものを用いる。
なお、本明細書におけるMFRは、「JISK7210−1999 190℃ 2160g荷重」に準拠して測定した値である。
エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体としては、(メタ)アクリル酸単位含量が4〜
20質量%、好ましくは9〜18質量%、MFR(190℃)が10〜100g/10分
、好ましくは20〜80g/10分であるものを用いる。
エチレン−(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸単位含量が4〜20質量%、好ましくは9〜18質量%、(メタ)アクリル酸エステル単位含量が25質量%以下、好ましくは4〜20質量%、MFR(190℃)が10〜100g/10分、好ましくは20〜80g/10分であるものを用いる。
また本発明において二元共重合体同士、又は三元共重合体同士、あるいは三元共重合体の一種以上と二元共重合体の一種以上とを併用する場合、配合物として上記(メタ)アクリル酸単位含量、(メタ)アクリル酸エステル単位含量及びMFRが得られる限りにおいて配合前の各共重合体の(メタ)アクリル酸単位含量、(メタ)アクリル酸エステル単位含量及びMFRは限定されないが、配合後のエチレン共重合体のMFRは上記の通り10〜
100g/10分であり、配合前の各成分のMFRは1〜600g/10分が好ましい。三元共重合体と二元共重合体とを併用する場合の配合比は、エチレン共重合体として、三元共重合体:二元共重合体(質量比)=3:7〜10:0が好ましく、5:5〜10:0がより好ましく、7:3〜9:1が特に好ましい。
(架橋剤及び架橋助剤)
上記発泡樹脂層製造用組成物は、架橋剤を含有する組成物であってもよい。更に架橋助剤を含有してもよい。例えば、熱処理により架橋させる場合には、架橋剤及び架橋助剤を配合することが好ましい。電子線照射により架橋させる場合には、架橋剤はなくてもよいが、併用することもできる。
架橋剤としては、加熱により分解され、遊離ラジカルを発生して分子間又は分子内に架橋結合を形成させる公知のラジカル発生剤が使用できる。例えば、ジクミルパーオキサイド、1,1−ジターシャリブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジターシャリブチルパーオキシヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジターシャリブチルパーオキシヘキシン、1,3−ビス(タ−シャリ−ブチルパ−オキシイソプロピル)ベンゼン、ターシャリブチルパーオキシケトン、ターシャリブチルパーオキシベンゾエート等の有機過酸化物が挙げられる。これらの架橋剤は、単独又は2種以上を混合して使用できる。
架橋剤の含有量は限定されないが、エチレン共重合体100質量部に対して0.1〜2質量部が好ましく、0.1〜1.5質量部がより好ましい。
架橋助剤としては、ポリアリル化合物やポリ(メタ)アクリロキシ化合物のような多不飽和化合物が例示できる。例えば、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、ジアリルフタレート、ジアリルフマレート、ジアリルマレエートのようなポリアリル化合物、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレートのようなポリ(メタ)アクリロキシ化合物、ジビニルベンゼン等が挙げられる。これらの架橋助剤は、単独又は2種以上を混合して使用できる。
架橋助剤の含有量は限定されないが、エチレン共重合体100質量部に対して10質量部以下が好ましく、0.1〜3質量部がより好ましい。
(発泡剤及び発泡助剤)
上記発泡樹脂層製造用組成物は発泡剤を含む。
発泡剤としては、例えば、無機系発泡剤や有機系発泡剤が用いられる。公知の中から、
前記エチレン共重合体の軟化温度以上で熱分解するものを選択して使用する。
無機系発泡剤としては、例えば、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、亜硝酸アンモニウム、水素化ホウ素ナトリウム、アジド類等が挙げられる。
有機系発泡剤としては、例えば、アゾジカルボンアミド、バリウムアゾジカルボキシレート、アゾビスイソブチロニトリル、アゾジカルボン酸アミドなどのアゾ系化合物、例えば、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジニトロソテレフタルアミド、トリニトロトリメチルトリアミンなどのニトロソ系化合物、例えば、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、パラトルエンスルホニルヒドラジド、ジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホニルヒドラジド、アリルビス(スルホニルヒドラジド)などのヒドラジド系化合物、例えば、p−トルイレンスルホニルセミカルバジド、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルセミカルバジド)などのセミカルバジド系化合物、例えば、トリクロロモノフルオロメタン、ジクロロモノフルオロメタンなどのフッ化アルカン、例えば、5−モルホリル−1,2,3,4−チアトリアゾールなどのトリアゾール系化合物等が挙げられる。
これらの発泡剤は、単独又は2種以上を混合して使用できる。
発泡剤の含有量は限定されないが、好ましくは発泡倍率が2〜20倍(好ましくは3〜10倍程度)となり、実質的に独立気泡が得られるように設定する。例えば、エチレン共重合体100質量部に対して0.5〜10質量部(特に1〜5質量部)から選択する。
上記発泡樹脂層製造用組成物は、発泡助剤を更に含有してもよい。
発泡助剤としては、例えば、尿素を主成分とする尿素系化合物、酸化亜鉛、酸化鉛等の金属酸化物、サリチル酸、ステアリン酸等の高級脂肪酸又はその金属塩が挙げられる。上記の中でも、特に高級脂肪酸金属塩が好ましい。これらの発泡助剤は、単独又は2種以上を混合して使用できる。
発泡助剤の配合割合は、特に限定されないが、エチレン共重合体100質量部に対して、0.1〜10質量部が好ましく、0.5〜5質量部がより好ましい。
(無機化合物)
上記発泡樹脂層製造用組成物は、無機化合物を更に含有してもよい。
無機化合物は、例えば、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、シリカ等の充填材や酸化チタン(TiO)等の顔料等を例示できるが、炭酸カルシウムやシリカは安価で汎用性の点より、酸化チタンは白色性・隠蔽性の点より好ましく、特に、炭酸カルシウム及び/又は酸化チタンが好ましい。
無機化合物の含有量は限定的ではないが、エチレン共重合体100質量部に対して5〜200質量部が好ましく、10〜100質量部がより好ましい。
(多価アルコール及び/又はその多量体)
上記発泡樹脂層製造用組成物は、多価アルコール及び/又はその多量体を更に含有しても良い。これらを含有することにより、発泡を促進することができる。また、発泡時の変色(黄変)を抑制することができる。
多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリ
セリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。また、多量体としては、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジグリセリン、ジトリメチロールプロパン等が挙げられる。これらの多価アルコールは、単独又は2種以上を混合して使用できる。これらの中でも、グリセリンなどの3価以上の多価アルコールやその多量体が好ましい。
多価アルコール及び/又はその多量体の含有量は限定されないが、エチレン共重合体100質量部に対して0.1〜5質量部が好ましく、0.5〜3質量部がより好ましい。
(その他)
上記発泡樹脂層製造用組成物は、本発明の効果に影響を与えない範囲で上記以外の成分を含んでも良い。例えば、樹脂成分(水添石油樹脂など)、着色剤、抗酸化剤、安定化剤、UV吸収剤、難燃剤、加工助剤等が挙げられる。
発泡樹脂層
本発明の化粧シートは、上記発泡樹脂層製造用組成物を樹脂架橋及び発泡させてなる発泡樹脂層を含む。
樹脂架橋及び発泡させるのに先だって、上記発泡樹脂層製造用組成物をシート状又はフィルム状に成形しておくことが好ましい。成形手段としては、特に限定されないが、後述する押し出し成形が好ましい。
以下、上記発泡樹脂層製造用組成物をシート状又はフィルム状に成形した場合を例示して説明する。なお、本明細書において、上記発泡樹脂層製造用組成物をシート状又はフィルム状に成形したものであって、且つ、樹脂架橋及び発泡前のものを「発泡剤含有樹脂層」と称する。また、上記発泡樹脂層製造用組成物をシート状又はフィルム状に成形し、さらに樹脂架橋したものであって、且つ、発泡前のものを「架橋物」と称する。
発泡剤含有樹脂層を樹脂架橋させる手段としては、例えば、電子線照射による架橋がある。この場合には、発泡剤含有樹脂層に対して、電線照射装置から電子線を照射することにより、エチレン共重合体を架橋させる。
電子線照射条件は、発泡剤含有樹脂層の厚さに応じて、加速電圧や照射量を調節する。
加速電圧は、100〜1000kV程度が一般的であり、架橋物の柔軟性、強度及び加工性を総合的に考慮すると、100〜600kV程度が好ましい。
照射量は、10〜500キログレイ(KGy)程度が一般的であり、発泡樹脂層の柔軟性、強度及び加工性を総合的に考慮すると、10〜100キログレイ程度が好ましい。かかる照射量であれば、発泡樹脂層の柔軟性を損なわずにエチレン共重合体を十分に架橋でき、耐磨耗性や耐スクラッチ性を発揮する。また、かかる照射量があれば、例えば、発泡樹脂層を沸騰水に浸漬した場合でも、実質的に収縮しない程度となる。
発泡剤含有樹脂層を樹脂架橋させる手段としては、その他、熱処理による熱架橋がある。その場合には、架橋剤を含有する発泡剤含有樹脂層に対して、熱処理することにより架橋させることができる。熱処理条件は限定的ではないが、通常は120〜200℃程度が好ましく、140〜180℃程度がより好ましい。
架橋の程度は、例えば、ゲル分率によって表される。本発明では、該架橋により得られ
た架橋物のゲル分率は、20〜90%程度が好ましく、50〜90%程度がより好ましい。ゲル分率が20%未満では架橋の程度が不十分となり易い。また、90%を超えるとフィルム、シートとしての柔軟性が失われ、脆く、加工性に欠け易くなる。なお、本明細書におけるゲル分率は、前記架橋物(試料)1gをキシレン80ml中で110℃×24時間浸漬後、未溶解試料を取り出して120℃×24時間乾燥後の質量を測定し、下記式から算出した値である。
ゲル分率(%)=未溶解試料質量(g)/試料質量(1g)×100
上記架橋物を発泡させる場合には、架橋物を熱処理する。熱処理条件は限定的ではなく、発泡剤の種類に応じて適宜設定できるが、通常は200〜240℃程度が好ましく、210〜230℃程度がより好ましい。熱処理時間は限定されず、熱処理温度に応じて適宜設定できるが、通常は20〜60秒間程度が好ましく、25〜40秒間程度がより好ましい。熱処理には、例えば、公知の発泡炉が利用できる。
上記以外に、熱処理によって架橋と発泡とを同時に行わせる方法もある。この場合の熱処理条件は、通常は200〜240℃程度が好ましく、220〜240℃程度がより好ましい。熱処理時間は限定されず、熱処理温度に応じて適宜設定できるが、通常は30〜120秒間程度が好ましく、40〜100秒間程度がより好ましい。
発泡樹脂層の厚みは限定的ではないが、400〜1000μm程度が好ましく、500〜800μm程度がより好ましい。
化粧シート
本発明の化粧シートは、上記発泡樹脂層を含むものであればよい。本発明の化粧シートは、例えば、発泡壁紙、クッションフロアー床材、発泡レザー等として使用できる。特に、発泡壁紙又はクッションフロアー床材として使用することが好ましく、発泡壁紙として使用することがより好ましい。
以下、本発明の化粧シートについて、発泡壁紙及びクッションフロアー床材を代表例として具体的に説明する。
発泡壁紙
発泡壁紙としては、例えば、紙質基材上に、接着層、上記発泡樹脂層、装飾層及び表面保護層を順に有する発泡壁紙が挙げられる。
(紙質基材)
紙質基材は、壁紙基材として適した機械強度、耐熱性等を有する限り特に限定されず、繊維質シートが一般に使用できる。
具体的には、繊維質シートの中でも、難燃紙(パルプ主体のシートをスルファミン酸グアニジン、リン酸グアジニン等の難燃剤で処理したもの);水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の無機添加剤を含む無機質紙;上質紙;薄用紙;裏打紙などが挙げられる。
紙質基材の坪量は限定的ではないが、50〜300g/m程度が好ましく、50〜80g/m程度がより好ましい。
(接着層)
紙質基材と発泡樹脂層との間に、さらに接着層を形成した場合、発泡樹脂層と紙質基材とをより強固に密着させることができる。
前記接着層を構成する樹脂成分としては、例えばEVA、エチレン−メチルメタクリレ
ート共重合体樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体樹脂、エチレン−メチルアクリレート共重合体樹脂等の少なくとも1種を例示できる。この中でも特に、EVAが好ましい。
紙質基材との貼り合わせ易さの観点から、接着層のMFRは、上記エチレン共重合体のMFRより大きいほうが好ましい。
接着層の厚みは限定的ではないが、5〜20μm程度が好ましく、10〜15μm程度がより好ましい。
(装飾層)
装飾層は、絵柄模様を有し、発泡壁紙に意匠性を付与する。絵柄模様としては、例えば、木目模様、石目模様、砂目模様、タイル貼模様、煉瓦積模様、布目模様、皮絞模様、幾何学図形、文字、記号、抽象模様等が挙げられる。絵柄模様は、発泡壁紙の種類に応じて選択できる。
装飾層は、例えば、発泡剤含有樹脂層のおもて面に絵柄模様を印刷することにより形成する。印刷手法としては、例えば、グラビア印刷、フレキソ印刷、シルクスクリーン印刷、オフセット印刷等が挙げられる。印刷インキとしては、着色剤、結着剤樹脂、溶剤を含む公知の印刷インキが使用できる。
着色剤としては、前記顔料が使用できる。
結着剤樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、塩素化ポリオレフィン系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、アルキド系樹脂、石油系樹脂、ケトン樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、繊維素誘導体、ゴム系樹脂等が挙げられる。これらは一種又は二種以上で用いることができる。
印刷インキに含まれる溶剤(又は分散媒)としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の石油系有機溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸−2−メトキシエチル、酢酸−2−エトキシエチル等のエステル系有機溶剤;メチルアルコール、エチルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール系有機溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系有機溶剤;ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル系有機溶剤、;ジクロロメタン、四塩化炭素、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン等の塩素系有機溶剤;水などが挙げられる。これらは一種又は二種以上で用いることができる。
装飾層の厚みは絵柄模様の種類より異なるが、0.1〜10μm程度が好ましい。
(表面保護層)
表面保護層としては、上記エチレン共重合体又はそれに架橋剤を配合した組成物を樹脂架橋してなる架橋物の層が好ましい。特に、前記表面保護層は、上記二元共重合体を必須成分とすることが好ましく、上記三元共重合体を含有せず、上記二元共重合体のみを含有することがより好ましい。上記三元共重合体の配合量が多すぎる場合、発泡壁紙の耐スクラッチ性及び耐磨耗性が低下する原因となりやすい。二元共重合体と三元共重合体とを併用する場合の配合比は5:5〜9.5:0.5程度が好ましく、7:3〜9:1程度がより好ましい。
表面保護層は、本発明の効果を妨げない範囲であれば、上記エチレン共重合体以外にも、水添石油樹脂、EVA等の樹脂を含んでいてもよい。また、表面保護層は、アクリレートモノマー、オリゴマー等の添加剤をさらに含有していてもよい。
表面保護層の厚みは限定的ではないが、5〜30μm程度が好ましく、10〜20μm程度がより好ましい。
(エンボス)
発泡壁紙のおもて面には、エンボス加工による凹凸模様を付してもよい。
エンボス模様は、例えば、公知のエンボス版により付与できる。例えば、発泡樹脂層のおもて面を加熱軟化後、エンボス版を押圧することにより所望のエンボス模様を賦型できる。エンボス模様としては、木目板導管溝、石板表面凹凸、布表面テクスチャア、梨地、砂目、ヘアライン、万線条溝等がある。
(発泡壁紙の製造方法)
発泡壁紙の製造方法は特に限定されない。例えば、前記発泡樹脂層製造用組成物及び接着層を形成するための組成物を各々別個のシリンダーに入れて、紙質基材上に同時に押出し積層した後、前記発泡樹脂層製造用組成物により形成された樹脂層(発泡剤含有樹脂層)上に装飾層を形成し、該発泡剤含有樹脂層を樹脂架橋させ、得られた架橋物を発泡させた後、表面保護層を装飾層上に押し出し成形することにより製造できる。
また、表面保護層を積層した後、必要に応じて、エンボス模様を賦型してもよい。
クッションフロアー床材
クッションフロアー床材としては、例えば、繊維質基材、非発泡樹脂層、上記発泡樹脂層、装飾層及び表面保護層を順に有する床材が挙げられる。
(繊維質基材)
繊維質基材としては、上記繊維質シートと同様のものを用いることができる。
繊維質基材の坪量は限定的ではないが、10〜200g/m程度が好ましく、20〜100g/m程度がより好ましい。
(非発泡樹脂層)
発泡樹脂層を支えるために非発泡樹脂層を設ける。
非発泡樹脂層を構成する樹脂は限定的ではなく、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル等が挙げられる。
ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン、エチレン−プロピレン共重合体、EVA、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン共重合体、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー等の少なくとも1種が挙げられる。
非発泡樹脂層は、公知の添加剤をさらに含有してもよい。公知の添加剤としては、例えば無機化合物が挙げられる。無機化合物としては、上記例示の無機化合物と同様のものを用いることができる。非発泡樹脂層中の無機化合物の含有量は、特に限定されないが、樹脂成分100質量部に対して通常、20〜150質量部、好ましくは50〜100質量部
である。
非発泡樹脂層の厚みは50〜2000μm程度が好ましい。
(装飾層)
装飾層は、絵柄模様を有し、クッションフロアー床材に意匠性を付与する。絵柄模様としては、上記と同様である。
装飾層は、上記と同様の方法により形成できる。また、転写紙等に設けられた絵柄を樹脂層に転写することによっても形成できる。
装飾層の厚みは絵柄模様の種類より異なるが、1〜10μm程度が好ましい。
(表面保護層)
表面保護層としては、上記エチレン共重合体又はそれに架橋剤を配合した組成物を樹脂架橋してなる架橋物の層が好ましい。特に、前記表面保護層は、上記二元共重合体を必須成分とすることが好ましく、上記三元共重合体を含有せず、上記二元共重合体のみを含有することがより好ましい。上記三元共重合体の配合量が多すぎる場合、クッションフロアー床材の耐スクラッチ性及び耐磨耗性が低下する原因となりやすい。二元共重合体と三元共重合体とを併用する場合の配合比は5:5〜9.5:0.5程度が好ましく、7:3〜9:1程度がより好ましい。
表面保護層は、本発明の効果を妨げない範囲であれば、上記エチレン共重合体以外にも、水添石油樹脂、EVA等の樹脂を含んでいてもよい。また、表面保護層は、アクリレートモノマー、オリゴマー等の添加剤をさらに含有していてもよい。
表面保護層の厚みは限定的ではないが、10〜500μm程度が好ましく、50〜200μm程度がより好ましい。
(エンボス)
クッションフロアー床材のおもて面には、エンボス加工による凹凸模様を付してもよい。
エンボス模様の種類及び付与方法については、上記と同様である。
(クッションフロアー床材の製造方法)
クッションフロアー床材の製造方法は特に限定されない。例えば、前記発泡樹脂層製造用組成物、非発泡樹脂層を製造するための組成物をそれぞれ、押し出し成型機のシリンダーに入れて、非発泡樹脂層と繊維質基材とが接するよう繊維質基材上に押出し積層した後、前記発泡樹脂層製造用組成物により形成された樹脂層(発泡剤含有樹脂層)上に装飾層を形成し、該発泡剤含有樹脂層を樹脂架橋させ、得られた架橋物を発泡させた後、表面保護層を装飾層上に押し出し成形することにより製造できる。
また、表面保護層を積層した後、必要に応じて、エンボス模様を賦型してもよい。
以下に実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明する。但し、本発明は実施例に限定されない。
なお、シートの引張強度、伸び、ゲル分率の測定方法は、下記の通りとした。
1)引張強度伸び試験:JIS3号(K6301)に準拠した。但し、引張試験速度を200mm/分とした。
2)ゲル分率測定:試料1gをキシレン80ml中で110℃×24時間浸漬後、未溶解試料を取り出し、120℃×24時間乾燥後の質量を測定し、下記式よりゲル分率を算出した。
ゲル分率=未溶解試料質量(g)/試料質量(1g)×100
実施例1(二元共重合体)
エチレン−メタクリル酸共重合体(メタクリル酸含量:10質量%、MFR:100g/10分、密度:940g/m)80質量部と水添石油樹脂(「アルコンP100」、荒川化学工業製)20質量部との混合物に、該混合物100質量部に対して炭酸カルシウム粉(「ホワイトンH」、白石カルシウム(株)製)35質量部、酸化チタン粉(「タイピュアR108」、デュポン製)25質量部及びアゾジカルボンアミド(発泡剤)4質量部を配合した樹脂組成物を押出し成形することにより、裏打紙(65g/m)上に発泡剤含有樹脂層を形成した。次に、発泡剤含有樹脂層に175kvの電子線を3Mrad照射して架橋させた後、220℃で熱処理を行って発泡樹脂層(100μm)を形成した。
実施例2(三元共重合体)
エチレン−メタクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体(メタクリル酸含量:10質量%、MFR:35g/10分、密度:940kg/m)100質量部に対して炭酸カルシウム粉(「ホワイトンH」、白石カルシウム(株)製)35質量部、酸化チタン粉(「タイピュアR108」、デュポン製)25質量部及びアゾジカルボンアミド(発泡剤)4質量部を配合した樹脂組成物を押出し成形することにより、裏打紙(65g/m)上に発泡剤含有樹脂層を形成した。次に、発泡剤含有樹脂層に175kvの電子線を3Mrad照射して架橋させた後、220℃で熱処理を行って発泡樹脂層(500μm)を形成した。
実施例3(三元:二元=8:2)
エチレン−メタクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体(メタクリル酸含量:10質量%、MFR:35g/10分、密度:940kg/m)80質量部とエチレン−メタクリル酸共重合体(メタクリル酸含量:10質量%、MFR:500g/10分、密度:930kg/m)20質量部との混合物に、該混合物100質量部に対して炭酸カルシウム粉(「ホワイトンH」、白石カルシウム(株)製)35質量部、酸化チタン粉(「タイピュアR108」、デュポン製)25質量部、アゾジカルボンアミド(発泡剤)4質量部を配合した樹脂組成物を押出し成形することにより、裏打紙(65g/m)上に発泡剤含有樹脂層を形成した。次に、発泡剤含有樹脂層に175kvの電子線を3Mrad照射して架橋させた後、220℃で熱処理を行って発泡樹脂層(500μm)を形成した。
実施例4(三元:二元=7:3)
エチレン−メタクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体(メタクリル酸含量:10質量%、MFR:35g/10分、密度:940kg/m)70質量部とエチレン−メタクリル酸共重合体(メタクリル酸含量:10質量%、MFR:500g/10分、密度:930kg/m)30質量部との混合物に、該混合物100質量部に対して炭酸カルシウム粉(「ホワイトンH」、白石カルシウム(株)製)35質量部、酸化チタン粉(「タイピュアR108」、デュポン製)25質量部、アゾジカルボンアミド(発泡剤)4質量部を配合した樹脂組成物を押出し成形することにより、裏打紙(65g/m)上に発泡剤含有樹脂層を形成した。次に、発泡剤含有樹脂層に175kvの電子線を3Mrad照射して架橋させた後、220℃で熱処理を行って発泡樹脂層(500μm)を形成
した。
(施工性評価)
実施例1〜4で作製した発泡壁紙の裏面にでん粉系接着剤(「ルーアマイルド」ヤヨイ化学工業(株)製)を固形分60g/mとなるように塗工後、5℃の環境下でi)石膏
ボード面、ii)石膏ボードで作製された90°角の出隅部、iii)石膏ボードで作製され
た90°角の入隅部に貼り付け、24時間放置後の外観を観察した。なお、i)では、石
膏ボード面に発泡壁紙を2枚(同一の発泡壁紙)突き付けて貼り付けた。
観察結果を下記表1に示す。
Figure 0005360152
○:角部及び突き付け部に浮きが認められない
△:角部及び突き付け部に浮きが認められる
表1から明らかなように、二元共重合体のみを用いる場合よりも、三元共重合体単独や二元共重合体と三元共重合体との混合物を用いる場合の方が、シート(発泡壁紙)の柔軟性が高く、施工面の形状への追従性が良いことが分かる。
(表面強化性能)
実施例1〜4で作製した発泡壁紙の表面強化性能(耐磨耗性及び耐スクラッチ性)を壁紙製品規格協議会(SV協議会)制定の表面強化壁紙性能規定に記載の表面強度評価方法に基づき評価した。結果を下記表2に示す。
Figure 0005360152
なお、評価方法は下記の通りである。
5級…表面に変化なし、4級…表面に少し変化あり、3級…表面が破けて見える、2級…表面が破けて紙等の裏打材が見える(長さ1cm未満)、1級…表面が破けて紙等の裏打
材が見える(長さ1cm以上)
表2から明らかなように、作製した壁紙は表面強度が優れている。
参考例1(二元共重合体)
エチレン−メタクリル酸共重合体(メタクリル酸含量:15質量%、MFR:25g/10分、密度:940kg/m)を0.5mm×150mm×150mmのプレスシートに加工した。
次に、電子線照射装置「EPS−800、(株)NHVコーポレーション製」を用いて
プレスシートに電子線を照射することにより、樹脂架橋させた。電子線照射条件は、加速電圧:600kV、電子流:4.2mA、速度:2m/分、照射幅:540mm、照射雰囲気:空気中、照射線量:10Mrad(50KGy×2パス)とした。
得られた架橋物シートのゲル分率、引張破断強度及び伸びを測定した。
測定結果を下記表3に示す。
比較参考例1(EVA)
エチレン−酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニル含量:10質量%、MFR:9g/10分、密度:930kg/m)を0.5mm×150mm×150mmのプレスシートに加工した。
次に、電子線照射装置を用いて、プレスシートに電子線を照射することにより、樹脂架橋させた。電子線照射条件は、実施例1と同じとした。
得られた架橋物シートのゲル分率、引張破断強度及び伸びを測定した。
測定結果を下記表3に示す。
比較参考例2(EVA)
エチレン−酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニル含量:19質量%、MFR:2.5g/10分、密度:930kg/m)を0.5mm×150mm×150mmのプレスシートに加工した。
次に、電子線照射装置を用いて、プレスシートに電子線を照射することにより、樹脂架橋させた。電子線照射条件は、実施例1と同じとした。
得られた架橋物シートのゲル分率、引張破断強度及び伸びを測定した。
測定結果を下記表3に示す。
Figure 0005360152
表3から明らかなように、参考例1の架橋物シートは、比較参考例1〜2のシートと比べて強度特性が優れていることが分かる。
参考例2(二元共重合体)
エチレン−メタクリル酸共重合体(メタクリル酸含量:10質量%、MFR:100g/10分、密度:940kg/m)80質量部、水添石油樹脂(「アルコンP100」、荒川化学工業製)20質量部、架橋剤(「パークミルD」、日本油脂(株)製、ジクミルパーオキサイド)0.5質量部、炭酸カルシウム粉(「ホワイトンH」、白石カルシウム(株)製)30質量部、酸化チタン粉(「タイピュアR108」、デュポン製)25質量部、発泡剤(「AC#3K−2」、永和化成工業製、アゾジカルボンアミド)5質量部
を配合した。
上記配合物をラボプラストミルにより4分間混合した。混合時の設定温度は110℃、回転数は100回転/分とした。
混合後の樹脂組成物を150℃で6分間プレス成形することにより、厚さ200μmのシートを作製した。
次に、このシートを、240℃で2分間加熱し、架橋及び発泡させた。
得られた架橋発泡シートの耐スクラッチ性とYI(黄色度指数)とを測定した。
測定結果を下記表4に示す。
参考例3(二元共重合体)
更にジエチレングリコール1質量部を加えた以外は、参考例2と同様にして架橋発泡シートを作製した。
得られた架橋発泡シートの耐スクラッチ性とYI(黄色度指数)とを測定した。
測定結果を下記表4に示す。
参考例4(二元共重合体)
ジエチレングリコールをグリセリン1質量部に替えた以外は、参考例3と同様にして架橋発泡シートを作製した。
得られた架橋発泡シートの耐スクラッチ性とYI(黄色度指数)とを測定した。
測定結果を下記表4に示す。
比較参考例3(EVA)
エチレン−酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニル含量:20質量%、MFR:20g/10分、密度:930kg/m)90質量部、水添石油樹脂(「アルコンP100」、荒川化学工業製)10質量部、架橋剤(「パークミルD」、日本油脂(株)製、ジクミルパーオキサイド)0.5質量部、炭酸カルシウム粉(「ホワイトンH」、白石カルシウム(株)製)30質量部、酸化チタン粉(「タイピュアR108」、デュポン製)25質量部、発泡剤(「AC#3K−2」、永和化成工業製、アゾジカルボンアミド)4質量部及びステアリン酸亜鉛(発泡助剤)4質量部を配合した。
上記配合物をラボプラストミルにより4分間混合した。混合時の設定温度は110℃、回転数は100回転/分とした。
混合後の樹脂組成物を150℃で6分間プレス成形することにより、厚さ200μmのシートを作製した。
次に、このシートを、240℃で2分間加熱し、架橋及び発泡させた。
得られた架橋発泡シートのYI(黄色度指数)をJIS K 7105に従って測定した。
また、得られた架橋発泡シートの耐スクラッチ性をJIS A6921 6.3.2 の学振式磨耗試験方法(摩擦子を表層上で400往復させること)により測定し、表面状態を観察した。表面状態が最良(5級)のものを◎、良(4級以上5級未満)のものを○、やや悪い(3級以上4級未満)ものを△、悪い(3級未満)ものを×と評価した。
測定結果を下記表4に示す。
Figure 0005360152
表4から明らかなように、参考例2〜4の架橋発泡シートは比較参考例3の発泡シートに比べ表面摩耗耐性や耐スクラッチ性に優れることが分かる。また、多価アルコールを配合した場合に色相が改良され(黄色度が低下し)、特に3価アルコールであるグリセリンを配合した場合に効果が高いことが分かる。
参考例5(表層に二元共重合体)
裏打紙(110μm)上に、内層(100μm)及び表層(10μm)を積層した。
表層は、エチレン−メタクリル酸共重合体(メタクリル酸含量:15質量%、MFR:25g/10分、密度:940kg/m)により形成した。
内層は、エチレン−酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニル含量:20質量%、MFR:20g/10分、密度:930g/m)90質量部と水添石油樹脂(「アルコンP100」、荒川化学工業製)10質量部との混合物に、該混合物100質量部に対して炭酸カルシウム粉(「ホワイトンH」、白石カルシウム(株)製)35質量部、酸化チタン粉(「タイピュアR108」、デュポン製)25質量部、アゾジカルボンアミド(発泡剤)4質量部を配合した樹脂組成物により形成した。なお、表層及び内層はともに同時押出し成形により形成した。
次に、上記積層体に175kvの電子線を3Mrad照射して表層を架橋させた後、220℃で35秒間熱処理を行って内層を発泡させた。
得られた架橋発泡積層体の耐スクラッチ性をJIS A6921 6.3.2 の学振式磨耗試験方法(摩擦子を表層上で400往復させること)により測定し、表面状態を観察した。
測定結果を下記表5に示す。
参考例6(表層及び内層に二元共重合体)
裏打紙(110μm)上に、内層(100μm)及び表層(10μm)を積層した。
表層は、エチレン−メタクリル酸共重合体(メタクリル酸含量:15質量%、MFR:25g/10分、密度:940kg/m)により形成した。
内層は、エチレン−メタクリル酸共重合体(メタクリル酸含量:10質量%、MFR:100g/10分、密度:940g/m)80質量部と水添石油樹脂(「アルコンP1
00」、荒川化学工業製)20質量部との混合物に、該混合物100質量部に対して炭酸カルシウム粉(「ホワイトンH」、白石カルシウム(株)製)35質量部、酸化チタン粉(「タイピュアR108」、デュポン製)25質量部、アゾジカルボンアミド(発泡剤)4質量部を配合した樹脂組成物により形成した。なお、表層及び内層はともに同時押出し成形により形成した。
次に、上記積層体に175kvの電子線を3Mrad照射して表層を架橋させた後、220℃で35秒間熱処理を行って内層を発泡させた。
得られた架橋発泡積層体の耐スクラッチ性をJIS A6921 6.3.2 の学振式磨耗試験方法(摩擦子を表層上で400往復させること)により測定し、表面状態を観察した。
測定結果を下記表5に示す。
参考例7(表層に二元、内層に三元共重合体)
裏打紙(110μm)上に、内層(100μm)及び表層(10μm)を積層した。
表層は、エチレン−メタクリル酸共重合体(メタクリル酸含量:15質量%、MFR:60g/10分、密度:940kg/m)により形成した。
内層は、エチレン−メタクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体(メタクリル酸含量:10質量%、MFR:35g/10分、密度:940kg/m)70質量部とエチレン−メタクリル酸共重合体(メタクリル酸含量:10質量%、MFR:500g/10分、密度:930kg/m)30質量部との混合物に、該混合物100質量部に対して炭酸カルシウム粉(「ホワイトンH」、白石カルシウム(株)製)35質量部、酸化チタン粉(「タイピュアR108」、デュポン製)25質量部、アゾジカルボンアミド(発泡剤)4質量部を配合した樹脂組成物により形成した。なお、表層及び内層はともに同時押出し成形により形成した。
次に、上記積層体に175kvの電子線を3Mrad照射して表層を架橋させた後、220℃で35秒間熱処理を行って内層を発泡させた。
得られた架橋発泡積層体の耐スクラッチ性をJIS A6921 6.3.2 の学振式磨耗試験方法(摩擦子を表層上で400往復させること)により測定し、表面状態を観察した。
測定結果を下記表5に示す。
比較参考例4(EVA)
裏打紙(110μm)上に、内層(100μm)及び表層(10μm)を積層した。
表層は、エチレン−酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニル含量:20質量%、MFR:70g/10分、密度:0.94kg/m)により形成した。
内層は、上記と同じエチレン−酢酸ビニル共重合体100質量部に対して炭酸カルシウム粉(「ホワイトンH」、白石カルシウム(株)製)35質量部、酸化チタン粉(「タイピュアR108」、デュポン製)25質量部、アゾジカルボンアミド(発泡剤)4質量部を配合した樹脂組成物により形成した。なお、表層及び内層はともに同時押出し成形により形成した。
次に、上記積層体に175kvの電子線を3Mrad照射して表層を架橋させた後、220℃で35秒間熱処理を行って内層を発泡させた。
得られた架橋発泡積層体の耐スクラッチ性をJIS A6921 6.3.2 の学振式磨耗試験方法(摩擦子を表層上で400往復させること)により測定し、表面状態を観察した。表面状態が最良(5級)のものを◎、良(4級以上5級未満)のものを○、やや悪い(3級以上4級未満)ものを△、悪い(3級未満)ものを×と評価した。
測定結果を下記表5に示す。
Figure 0005360152
表5から明らかなように、参考例5〜7の架橋発泡シートは比較参考例4の発泡シートに比べ表面摩耗耐性やスクラッチ耐性に優れることが分かる。

Claims (13)

  1. エチレン共重合体及び発泡剤を含む発泡樹脂層製造用組成物を押出し成形して発泡剤含有樹脂層を形成した後、前記発泡剤含有樹脂層を樹脂架橋及び発泡させてなる発泡樹脂層を含む化粧シートの製造方法であって、
    (1)前記エチレン共重合体は、エチレン−(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体を含み、
    (2)前記エチレン共重合体は、(メタ)アクリル酸単位含量が4〜20質量%、(メタ)アクリル酸エステル単位含量が25質量%以下であり、且つ、メルトフローレート(190℃)が10〜100g/10分である、
    ことを特徴とする化粧シートの製造方法
  2. 前記エチレン共重合体が、更に、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体を含む、請求項1に記載の化粧シートの製造方法
  3. 前記組成物がさらに架橋剤を含む、請求項1又は2に記載の化粧シートの製造方法
  4. 前記架橋剤を、前記エチレン共重合体100質量部に対して0.1〜2質量部含む、請求項3に記載の化粧シートの製造方法
  5. 前記発泡剤を、前記エチレン共重合体100質量部に対して0.5〜10質量部含む、請求項1〜4のいずれかに記載の化粧シートの製造方法
  6. 発泡樹脂層製造用組成物が、更に多価アルコール及びその多量体から選ばれた少なくとも1種を前記エチレン共重合体100質量部に対して0.1〜5質量部含む、請求項1〜5のいずれかに記載の化粧シートの製造方法
  7. 発泡樹脂層製造用組成物が、更に無機化合物を前記エチレン共重合体100質量部に対して5〜200質量部含む、請求項1〜6のいずれかに記載の化粧シートの製造方法
  8. 前記無機化合物は、炭酸カルシウム及び酸化チタンの少なくとも1種である、請求項7に記載の化粧シートの製造方法
  9. 前記樹脂架橋は、電子線架橋及び/又は前記架橋剤による架橋であり、該架橋により得られた架橋物のゲル分率が20〜90%である、請求項1〜8のいずれかに記載の化粧シートの製造方法
  10. エチレン共重合体を含む組成物を樹脂架橋してなる架橋物の層を表面保護層とする化粧シートの製造方法であって、
    (1)前記エチレン共重合体は、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体及びエチレン−(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体から選ばれた少なくとも1種であり、
    (2)前記エチレン共重合体は、(メタ)アクリル酸単位含量が4〜20質量%、(メタ)アクリル酸エステル単位含量が0〜25質量%であり、且つ、メルトフローレート(190℃)が10〜100g/10分である、
    ことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の化粧シートの製造方法
  11. 前記組成物がさらに架橋剤を含む、請求項10に記載の化粧シートの製造方法
  12. 前記架橋剤を、前記エチレン共重合体100質量部に対して0.1〜2質量部含む、請求項11に記載の化粧シートの製造方法
  13. 前記樹脂架橋は、電子線架橋及び/又は前記架橋剤による架橋であり、前記架橋物のゲル分率が20〜90%である、請求項10〜12のいずれかに記載の化粧シートの製造方法
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