(実施形態1)
本発明の実施の形態1に係るガス冷媒分離器について図1〜図4を参照して説明する。
同ガス冷媒分離器SGは、膨張弁の出口側に接続されるものであって、図1(a)に示すように、導入室10、増速室20及び導出室30が、同心に直列的に連結するように結合されるとともに、冷媒導入管11とガス冷媒抽出管Pgとが導入室10に接続されている。また、冷媒導出管31が導出室30に接続されている。また、このガス冷媒分離器SGは、導入室10から分離されたガス冷媒を抽出する基本的な構造を示している。
導入室10は、円筒状であって、増速室20の反対側の側面に側壁12が形成されている。そして、周壁13の内壁面に膨張弁からの気液二相流をこの内壁面に沿うように導入する冷媒導入口14が形成され、導入された冷媒がこの内壁面に沿って旋回するように構成されている(図2の矢印参照)。なお、この冷媒導入口14に冷媒導入管11が接続されている。また、側壁12の中心部にはガス冷媒抽出管Pgが接続されている。このように構成されることにより、冷媒が周壁13の内壁面に沿って旋回し、中心部に集められたガス冷媒がガス冷媒抽出管Pgから抽出される。
増速室20は、導入室10から導出室30に向かって直径が小さくなる円錐状に形成されている。この増速室20の入口側の直径は導入室10の直径と同一であり、先端側にはそれほど小さくない直径の連絡口21が形成されている。そして、増速室20は、この連絡口21により導出室30に連結されている。
導出室30は、円筒状を成し、その径は連絡口21より大きく、比較的大きいものとされている。また、導出室30は、導入室10の反対側の側面が側壁32として形成され、その中心部にガス冷媒が抽出された後の液冷媒リッチな冷媒を導出するための冷媒導出管31が接続されている(図1参照)。
以上のように構成されたガス冷媒分離器SGによれば、次のようにして気液二相流状態の冷媒からガス冷媒の分離が行われる。まず、円筒形の導入室10に対し、図2に示すように重力の影響を受けずに導入室10内を旋回するのに十分な流速を持って気液二相流を周壁13の内壁面に沿って導入させる。こうすると、遠心力により液冷媒がほぼ周壁13の内壁面に沿って集まり、ガス冷媒が旋回流の中央部に集められる。また、導入室10で生成された旋回流は、導入室10、増速室20及び導出室30を貫通するガス冷媒分離器SGの中心線上に旋回流の中心が形成されるようになると、旋回流が安定し好ましい状態となる。しかし、導入室10で生成される冷媒旋回流は、当初その中心が必ずしもガス冷媒分離器SGの中心に一致しない。ところが、増速室20で増速されることにより、周壁の内壁面部と中心部とでより明確に気液が分離されるとともに、冷媒旋回流の中心が導出室30の中心に近づき、液膜が均一化される。
なお、図2に示す矢印は、冷媒の流れ状態を示す。ただし、破線矢印は、ガス冷媒抽出管Pgから流出されるガス冷媒の流れ方向を示している。また、以降に説明する実施の形態において、ガス冷媒分離器、ガス分離兼冷媒分流器及び膨張弁に関する図面に記載されている矢印も同様とする。
また、増速室20は、先細の円錐状に形成されているので、この増速室20を通過する冷媒旋回流の旋回径が出口に向かうにつれて小さくなり、冷媒の旋回速度を向上させることができるようになる。また、このように冷媒の旋回径が小さくなるとともに増速されることにより増速室20内における冷媒旋回流が安定し、特に、冷媒導入口14から間欠的に流れが変化する気液二相流が導入される場合にあっても、その密度分布の不連続性が解消されるようになる。また、出口の連絡口21に向かうにつれ冷媒の旋回径を小さくすることにより、冷媒旋回流の中心を中心軸に近付けることができる。また、冷媒旋回流が安定すると、増速室20内における冷媒密度が、この増速室20と中心を同一とする円形の等高線状に分布するようになる。したがって、この増速室20の形状によって冷媒の旋回速度の増加及び冷媒の密度分布の安定化の両方を実現することができるとともに、冷媒の旋回速度増加及び冷媒の密度分布の安定化のための特別な器具等を省略することができ、これによりガス冷媒分離器SGの構成を簡略化することができる。
また、導入室10から増速室20への冷媒は、導入室10においてガス冷媒が抽出されるため、冷媒中のガス冷媒の割合が減少する。このため、液膜が均一化され易くなり、増速室20における気液分布が安定し、導入室10及び増速室20における冷媒旋回流が安定する。そして、増速室20からの冷媒は、増速室20の先端に形成された連絡口21から比較的小さい直径の導出室30に導入される。
増速室20から導出室30への冷媒噴流は、連絡口21の直径がそれほど小さくないので、液冷媒が旋回流の遠心力で周壁33の内壁面に吹き飛ばされ、ガス冷媒が中心部から噴出される。このため、導出室30においては、周壁33の内壁面に沿って液混じりの冷媒旋回流が形成され、これにより前述の導入室10及び増速室20における旋回流を安定化させることができる。さらに、導入室でも、一旦ガス冷媒がガス冷媒抽出管Pgに流入され始めると、吸込まれる流速が早いため密度の小さいガス冷媒はさらに中心に集まり易くなり、冷媒旋回流が安定化されるので、導入室10の中央部からガス冷媒を安定的に抽出することができる。一方、導出室30の側壁32の中心部に設けられた冷媒導出管31からは液冷媒リッチな冷媒が導出される。
図4には、導出室30について考えられる基本形状を全て示しているが、この導出室30は、図4における基本形態IIIに相当する。なお、他の基本形状の説明については、以降に説明する実施の形態に関連して説明を加えるものとする。
次に、上記のように構成されるガス冷媒分離器を用いた冷凍装置の一例について、図3の冷媒回路に基づき説明する。
この冷媒回路はヒートポンプ式空気調和機の冷媒回路である。この冷媒回路は、暖房用ガス冷媒分離器と冷房用ガス冷媒分離器とを接続した例を示している。なお、図3の冷媒回路図において、実線矢印は冷房運転時の冷媒の流れ方向を示し、破線矢印は暖房運転時の暖房流れ方向を示す。なお、以降に説明する冷媒回路図においても同様とする。
すなわち、圧縮機1の吐出口と吸入口に対し四路切換弁2が接続されている。また、この四路切換弁2の切換ポート2a,2b間には、室外側熱交換器3、暖房用の冷媒分流器4A、暖房用のガス冷媒分離器SG、電動式の暖房用の膨張弁5A、電動式の冷房用の膨張弁5B、冷房用のガス冷媒分離器SG、冷房用の冷媒分流器4B、室内側熱交換器6が順次接続されている。また、暖房用のガス冷媒分離器SGのガス冷媒抽出管Pgは、暖房時蒸発器として作用する室外側熱交換器3をバイパスするバイパス回路7Aを介して、暖房時蒸発器の出口側となる室外側熱交換器3と四路切換弁2との間に接続されている。なお、バイパス回路7Aには、冷房時に室外側熱交換器3と四路切換弁2との間からガス冷媒抽出管Pgへバイパスすることを阻止するための逆止弁8Aが挿入されている。また、これと同様に、冷房用のガス冷媒分離器SGのガス冷媒抽出管Pgは、冷房時蒸発器として作用する室内側熱交換器6をバイパスするバイパス回路7Bを介して、冷房時蒸発器の出口側となる室外側熱交換器3と四路切換弁2との間に接続されている。なお、バイパス回路7Bには、暖房時に室内側熱交換器6と四路切換弁2との間からガス冷媒抽出管Pgへバイパスすることを阻止するための逆止弁8Bが挿入されている。
このように構成されている空気調和機において、圧縮機1から吐出された吐出ガスは、冷房運転時には、室外側熱交換器3で凝縮され、暖房用の冷媒分流器4A、暖房用のガス冷媒分離器SG、及び暖房用の膨張弁5Aを介して冷房用の膨張弁5Bへ流される。そして、冷房用の膨張弁5Bにて減圧膨張され、気液二相流となって冷房用のガス冷媒分離器SGに導入される。ガス冷媒分離器SGに導入された冷媒は、前述のような作用によりガス冷媒が抽出され、ガス冷媒がバイパス回路7Bにより蒸発器として作用する室内側熱交換器6の出口側にバイパスされる。また、冷房用のガス冷媒分離器においてガス冷媒が抽出された後の液冷媒リッチとなった冷媒は、冷房用の冷媒分流器4Bにおいて分流され、室内側熱交換器6を構成する複数の冷媒通路へ流される。そして、複数の冷媒通路へ流された液冷媒リッチの冷媒は、室内空気を冷却して冷媒自身は蒸発し、ガス冷媒となる。このガス冷媒は、ガス冷媒分離器SGからバイパスされてくるガス冷媒と合流して圧縮機1へ戻るように構成されている。なお、暖房用の冷媒分流器4A及び暖房用のガス冷媒分離器SGにおいては冷媒が本来の機能を発揮する方向とは逆の方向に流通するため、これら機器は単に冷媒通路として機能するのみである。
また、圧縮機1から吐出された吐出ガスは、暖房運転時には、室内側熱交換器6で室内空気を加熱して凝縮され、冷房用の冷媒分流器4B、冷房用のガス冷媒分離器SG及び冷房用の膨張弁5Bを介して暖房用の膨張弁5Aへ流され、この暖房用の膨張弁5Aにて減圧膨張され、気液二相流となって暖房用のガス冷媒分離器SGに導入される。ガス冷媒分離器SGに導入された冷媒は、前述のような作用によりガス冷媒が抽出され、ガス冷媒がバイパス回路7Aにより蒸発器として作用する室外側熱交換器3の出口側にバイパスされる。また、暖房用のガス冷媒分離器SGにおいてガス冷媒が抽出された後の液冷媒リッチとなった冷媒は、暖房用の冷媒分流器4Aにおいて分流され、室外側熱交換器3を構成する複数の冷媒通路へ流される。そして、複数の冷媒通路へ流された液冷媒リッチの冷媒は、室外空気と熱交換して外気から熱を汲み上げて冷媒自身は蒸発し、ガス冷媒となる。このガス冷媒は、ガス冷媒分離器SGからバイパスされてくるガス冷媒と合流して圧縮機1へ戻るように構成されている。なお、冷房用の冷媒分流器4B及び冷房用のガス冷媒分離器SGにおいては冷媒が本来の機能を発揮する方向とは逆の方向に流通するため、これら機器は単に冷媒通路として機能するのみである。
この冷凍装置においては、ガス冷媒分離器SGが用いられていることにより、次のように動作する。
冷媒分流器4A,4Bにおいて分流される冷媒は、ガス冷媒が大幅に減少しているため、各分流管Pdへの偏流が著しく改善される。また、蒸発器として作用する熱交換器(室外側熱交換器3又は室内側熱交換器6)においては、ガス冷媒が抽出された後の液冷媒リッチな冷媒が流入してくるので、熱交換器内の表面熱伝達係数が向上する。また、ガス冷媒が減少するために冷媒の流通抵抗が減少する。また、蒸発器の冷媒通路で蒸発した冷媒は、ガス冷媒分離器SGからバイパスする冷媒と合流して圧縮機1に戻るので、このバイパス量の調整により混合後の冷媒を適切な過熱度にすればよく、蒸発器から流出する冷媒の過熱度を小さくすることが可能になる。したがって、蒸発器として作用する室外側熱交換器3及び室内側熱交換器6ではこのような作用により、熱交換効率を大きく向上させることができる。
以上のように構成された実施の形態1に係るガス冷媒分離器及び冷凍装置によれば、次のような効果を奏することができる。
(1)ガス冷媒分離器SGは、導入室10、増速室20及び導出室30から構成されることにより、導入室10内における冷媒旋回流を重力の影響を受けないように安定化させることができる。したがって、ガス冷媒分離器SGを冷凍装置内への組み込みする際の取付方向に関する制約が緩和され、取扱いが容易になる。
(2)増速室は、円錐状に形成するという簡略な構成により冷媒の旋回速度を増加するとともに安定化することができる。これにより、取付方向の制約を緩和しつつ、より安定的にガス冷媒の抽出を行うことができる。また、冷媒導入口14から間欠的に流れが変化する気液二相流が導入される場合にあっても、その密度分布の不連続性が解消されるので、この場合における膨張弁等における冷媒流動音が低減される。
(3)ガス冷媒分離器SGを冷媒回路に組み込むことにより、蒸発器に送られる冷媒中の冷媒ガス量が減少するので、冷媒分流器4A,4Bにおける分流が均等に行われ易くなる、蒸発器内の表面熱伝達係数が向上する、などの理由により蒸発器での熱交換効率が向上する。
(4)導入室10においてガス冷媒が抽出されるため、増速室20への冷媒中のガス冷媒の割合が減少し、増速室20における気液分布が安定する。その結果、導入室10及び増速室20における冷媒旋回流が安定化する。
(実施の形態2)
次に、実施の形態2に係るガス冷媒分離器について図5〜図7を参照して説明する。
同ガス冷媒分離器SGは、実施の形態1の場合と異なり、導出室30からガス冷媒を抽出して分離する基本的な構造を示したものである。
同ガス冷媒分離器SGは、実施の形態1の場合と同様に、膨張弁の出口側に接続されるものである。また、図2(a)に示すように、導入室10、増速室20及び導出室30が、同心に直列的に連結するように結合されている。また、導入室10に冷媒導入管11が接続されるとともに、導出室30に冷媒導出管31及びガス冷媒抽出管Pgが接続されている。
導入室10は、実施の形態1の場合と同様、円筒状であって、増速室20の反対側の側面に側壁12が形成されている。また、周壁13の内壁面に膨張弁からの気液二相流をこの内壁面に沿うように導入する冷媒導入口14が形成され、導入された冷媒が内壁面に沿って旋回するように構成されている(図6の矢印参照)。また、冷媒導入口14に冷媒導入管11が接続されている。
増速室20は、実施の形態1の場合と同様に、導入室10から導出室30に向かって直径が小さくなる円錐状に形成されている。この増速室20の入口側の直径は導入室10の直径と同一であり、先端側にはそれほど小さくない直径の連絡口21が形成されている。そして、増速室20は、この連絡口21により導出室30に連結されている。なお、連絡口21の大きさは実施の形態1と略同程度である。
導出室30は、円筒状であって、連絡口21より大きい直径、すなわち比較的大きい直径を成している。ただし、この導出室30内において冷媒を旋回させるようにするために、導出室30の内径は導入室10の内径より小さくなるように形成されている。また、導入室10の反対側の側面は、冷媒導出管31に連続的に連結される形状に形成されている。したがって、冷媒導出管31は、導出室30との接続が滑らかになるように大径に形成され、ガス冷媒抽出管Pgがこの冷媒導出管31を外管とする二重管の内管を成すような形態で配置されている。そして、ガス冷媒抽出管Pgは、冷媒導出管31を貫通する部分において支持されている。このようにして、ガス冷媒抽出管Pgは、前記導出室30における旋回冷媒流の中心部に集められたガス冷媒を抽出するように構成されている。また、冷媒導出管31はこのガス冷媒抽出管Pgの周囲を旋回する液冷媒リッチな冷媒を導出するように構成されている。
以上のように構成されたガス冷媒分離器SGによれば、実施の形態1の場合と同様に、冷媒導入口14から気液二相流の冷媒が周壁13の内壁面に沿うように導入され、導入室10内で重力の影響を受けない強さで旋回される。そして、遠心力により液冷媒をほぼ周壁13の内壁面に沿って集めるとともに、ガス冷媒のみを旋回流の中央部に集める。また、導入室10で生成された旋回流は、実施の形態一の場合と同様の作用を受けて増速室20で増速されることにより、旋回流の中心が安定化される。
また、増速室20の冷媒は、増速室20の先端に形成されたそれほど小さくない連絡口21から比較的大きい直径の導出室30に導入される。連絡口21は、それほど小さくない直径に形成されているので、増速室20からから導出室30への冷媒噴流は、液冷媒が旋回流の遠心力で周壁33の内壁面に吹き飛ばされ、ガス冷媒が中心部から噴出される。このため、導出室30においては、周壁33の内壁面に沿って液混じりの冷媒が旋回することにより、導出室30の中心を旋回流の中心とした冷媒旋回流が形成される。また、導出室30の中心部に向けて開口するガス冷媒抽出管Pgにより導出室30の中央部からガス冷媒が抽出されるので、連絡口21の中央からガス冷媒抽出管Pgまでの中心軸上に安定したガス冷媒の流れが形成される。このようにして、導出室30内の冷媒旋回流が安定するため、ガス冷媒を安定して抽出することができる。なお、この導出室30は、図4における基本形態IIIに相当する。
次に、上記のように構成されるガス冷媒分離器SGを用いた冷凍装置の一例について、図7の冷媒回路に基づき説明する。
この冷媒回路は、図3のヒートポンプ式空気調和機の冷媒回路と同様のものであって、ガス冷媒分離器SGを本実施の形態のガス冷媒分離器SGに置き換えただけのものであり、その他構成及び動作は実施の形態1と同様である。
実施の形態2に係るガス冷媒分離器及びこれを用いた冷凍装置は、以上のように構成されているので、実施の形態1に係る(1)〜(3)の効果と同様の効果を奏することができ、加えて、次の効果を奏することができる。
(5)導出室30において、導出室30の中心部に向けて開口するガス冷媒抽出管Pgにより導出室30の中央部からガス冷媒が抽出されるので、連絡口21の中央からガス冷媒抽出管Pgまでの中心軸上に安定したガス冷媒の流れが形成される。これにより、ガス冷媒の抽出が安定化される。
(6)導出室30に接続される冷媒導出管31及びガス冷媒抽出管Pgの構成を二重管のようにすることにより、簡略化することができる。
(実施の形態3)
次に、実施の形態3に係るガス冷媒分離兼冷媒分流器について図8及び図9を参照して説明する。
実施の形態3は、前述のガス冷媒分離器の気液分離機構を応用したガス冷媒分離兼冷媒分流器及びこのガス冷媒分離兼冷媒分流器を用いた冷凍装置に関する。
実施の形態3に係るガス冷媒分離兼冷媒分流器DRは、実施の形態1において、導出室30の径が少し小さく形成されるとともに、冷媒導出管31を、蒸発器の複数の冷媒通路にそれぞれが接続される複数の分流管Pdに変更したものである。したがって、実施の形態1と比較すると、導入室10及び増速室20は同一であり、導出室30が異なる。
導出室30は、円筒状をなし、その径は比較的小さく(実施の形態1の導出室30と比較すると直径が小さく)形成されている。
また、この実施の形態に係るガス冷媒分離兼冷媒分流器DRは、実施の形態1に係るガス冷媒分離器SGにおける冷媒導出管31として、蒸発器の冷媒通路に接続される複数(この場合は3個)の分流管Pdを用いている。これら分流管Pdは、一定円周上において等間隔に配置されている。また、連絡口21から導入される冷媒が直接的に分流管Pdに吸入されないように、かつ液冷媒の集められている周壁33近傍の冷媒を吸入することができるようにするために、3個の分流管Pdの内面を結んだ円弧の半径r1が連絡口21の半径r2より大きく形成されている。
したがって、このガス冷媒分離兼冷媒分流器DR内における動作については、導入室10及び増速室20における冷媒旋回流は実施の形態1の場合と同様である。また、導入室10からガス冷媒が抽出されるため増速室20に流れる冷媒中のガス冷媒の割合が減少する。このため、液膜が均一化されやすくなり、増速室20における気液分布が安定し、導入室10及び増速室20における冷媒旋回流が安定し、導入室10からのガス冷媒の抽出が安定化する。
また、増速室20から導出室30への冷媒流れは、連絡口21の直径がそれほど小さくないので、液冷媒が旋回流の遠心力で周壁33の内壁面に吹き飛ばされ、ガス冷媒が中心部から噴出される。したがって、導出室30においては、周壁33の内壁面へ吹き飛ばされた冷媒が周壁33の内壁面に衝突し、この衝突により撹拌される。また、周壁33の内壁面から中心側へ流れる軸対称的な冷媒流れとなるため、前述の導入室10及び増速室20における旋回流を安定化させることができる。さらに、導入室10でも、一旦ガス冷媒がガス冷媒抽出管Pgに流入され始めると、吸い込まれる流速が早いため密度の小さいガス冷媒はさらに中心に集まり易くなり、冷媒旋回流が安定化されるので、導入室10の中央部からガス冷媒を安定的に抽出することができる。
また、導出室30は、冷媒の気液分布及び冷媒の流れ状態が基本的に前述の基本形態II(図4参照)と同様となるが、分流器としての機能を持つことになる。
この導出室30における分流管Pdに吸入される冷媒は、ガス冷媒抽出管Pgによりガス冷媒が抽出されているのでガス冷媒の割合が小さくなっている。また、周壁33の内壁面から中心側へ流れる軸対称的な冷媒流れとなっている冷媒流部分に分流管Pdが開口されているため、冷媒分流が均等に行われる。また、このように冷媒旋回流を形成しているため、冷凍装置への組み込み時の取付方向による影響が解消される。
図9は、上記のように構成されたガス冷媒分離兼冷媒分流器を組み込んだ冷凍装置の冷媒回路を示す。図3に図示された実施の形態1の冷媒回路と比較すると、実施の形態1においては冷房用の膨張弁5Bと室内側熱交換器6との間にガス冷媒分離器SGと冷房用の冷媒分流器4Bとが接続され、さらに、暖房用の膨張弁5Aと室外側熱交換器3の間にガス冷媒分離器SGと暖房用の冷媒分流器4Aとが接続されていた。しかし、この実施の形態における冷媒回路では、図9に示すように、冷房用の膨張弁5Bと室内側熱交換器6の間及び暖房用の膨張弁5Aと室外側熱交換器3の間にそれぞれガス冷媒分離兼冷媒分流器DRが接続されるだけで、実施の形態1の場合と同様の効果を奏することができる。
本実施の形態に係るガス冷媒分離兼冷媒分流器は、以上のように構成されているので、実施の形態1に係る(1)〜(4)の効果に準じた次の(7)〜(10)の効果を奏することができる。また、これら効果に加えて次の(11)の効果も奏することができる。
(7)この実施の形態に係るガス冷媒分離兼冷媒分流器DRは、導入室10、増速室20及び導出室30から構成されることにより、導入室10内における冷媒旋回流を重力の影響を受けないように安定化させることができる。したがって、ガス冷媒分離兼冷媒分流器DRを冷凍装置内への組み込みする際の取付方向に関する制約が緩和され、取扱いが容易になる。
(8)増速室20は、円錐状に形成するという簡略な構成により冷媒の旋回速度を増加するとともに安定化することができる。これにより、取付方向の制約を緩和しつつ、より安定的にガス冷媒の抽出を行うことができる。また、冷媒導入口14から間欠的に流れが変化する気液二相流が導入される場合にあっても、その密度分布の不連続性が解消されるので、この場合における膨張弁等における冷媒流動音が低減される。
(9)ガス冷媒分離兼冷媒分流器DRを冷媒回路に組み込むことにより、蒸発器に送られる冷媒中の冷媒ガス量が減少するので、分流管Pdに対する分流が均等に行われ易くなる、蒸発器内の表面熱伝達係数が向上する、などの理由により蒸発器での熱交換効率が向上する。
(10)導入室10においてガス冷媒が抽出されるため、増速室20への冷媒中のガス冷媒の割合が減少し、増速室20における気液分布が安定する。その結果、導入室10及び増速室20における冷媒旋回流が安定化する。
(11)ガス冷媒分離兼冷媒分流器DRは、ガス冷媒分離器と冷媒分流器とを一体化した機能を備えているので、個別に製造されたガス冷媒分離器や冷媒分流器を組み込む必要がなく、部品管理工数及び部品取付工数が簡略化される。
(実施の形態4)
次に、実施の形態4に係るガス冷媒分離兼冷媒分流器及びこれを用いた冷凍装置について、図10及び図11に基づいて説明する。
実施の形態4に係るガス冷媒分離兼冷媒分流器DRは、図10に示すように、導出室30の径を大きくするとともに、ガス冷媒の抽出を導出室30から行うようにした点において実施の形態3と相違する。また、見方を変えると、本実施の形態は、実施の形態1において冷媒導出管31を実施の形態3のように複数の分流管Pdに変更し、この分流管Pdを導出室30における連絡口21と対向する側壁32に設けたものである。
すなわち、本実施の形態に係るガス冷媒分離兼冷媒分流器DRにおいて、導入室10及び増速室20は、実施の形態3と比較して、ガス冷媒抽出管Pgが導入室10に接続されていない点において相違するがその他の点は実施の形態3と同一である。
また、導出室30は、実施の形態3の導出室30と比較すると、直径が大きくなっており、それほど小さくない程度に形成されている。また、実施の形態3の場合と同様、分流管Pdが、周壁33近傍の冷媒を吸入することができるように一定円周上において等間隔に3個配置されている。そして、導出室30の側壁32の中心部にガス冷媒抽出管Pgが接続されている。なお、導出室30においては、冷媒を旋回させる必要があるため、角運動保存の法則に従ってその半径が導入室10の半径より小さく形成されている。
以上のように構成されたガス冷媒分離兼冷媒分流器DRによれば、実施の形態1〜3の場合と同様に、冷媒導入口14から気液二相流の冷媒が周壁13の内壁面に沿うように導入され、導入室10内で重力の影響を受けない強さで旋回される。そして、遠心力により液冷媒をほぼ周壁13の内壁面に沿って集めるとともに、ガス冷媒のみを旋回流の中央部に集める。また、導入室10で生成された旋回流は、実施の形態1〜3の場合と同様の作用を受けて増速室20で増速されることにより、旋回流の中心が安定化される。
また、増速室20の冷媒は、増速室20の先端に形成されたそれほど小さくない連絡口21から比較的大きい直径の導出室30に導入される。連絡口21は、それほど小さくない直径に形成されているので、増速室20からから導出室30への冷媒噴流は、液冷媒が旋回流の遠心力で周壁33の内壁面に吹き飛ばされ、ガス冷媒が中心部から噴出される。このため、導出室30においては、周壁33の内壁面に沿って液混じりの冷媒が旋回することにより、導出室30の中心を旋回流の中心とした冷媒旋回流が形成される。また、導出室30の中心部に向けて開口するガス冷媒抽出管Pgにより導出室30の中央部からガス冷媒が抽出されるので、連絡口21の中央からガス冷媒抽出管Pgまでの中心軸上に安定したガス冷媒の流れが形成される。このようにして、導出室30内の冷媒旋回流が安定するため、ガス冷媒を安定して抽出することができる。なお、この導出室30は、図4における基本形態IIIに相当する。
また、導出室30の分流管Pdは、周壁33の内壁面を旋回する液冷媒リッチな旋回冷媒流に対し開口されているため、冷媒分流が均等に行われる。また、このような旋回流を形成している状態で分流されるため、冷凍装置への組み込み時の取付方向による影響が解消される。
次に、このガス冷媒分離兼冷媒分流器DRを組み込んだ冷凍装置は、図11の冷媒回路に示すごとく、ガス冷媒分離兼冷媒分流器DRに対するガス冷媒抽出管Pgの取り出し位置が相違するのみで基本的には実施の形態3と同様である。
実施の形態4は以上のように構成されているので、実施の形態3に係る(7)〜(9)及び(11)の効果と同様の効果を奏することができる。また、これに加えて次の効果を奏することができる。
(12)連絡口21の中央からガス冷媒抽出管Pgまでの中心軸上に安定したガス冷媒の流れが形成されているので、導出室30内の冷媒旋回流が安定し、ガス冷媒抽出の安定化と分流特性の改善とが図られる。
(実施の形態5)
次に、実施の形態5に係るガス冷媒分離兼冷媒分流器及びこれを用いた冷凍装置について、図12に基づいて説明する。
実施の形態5に係るガス冷媒分離兼冷媒分流器DRは、図12に示すように、導出室30の形状を変更したものであって、他の構成は実施の形態4と同一である。すなわち、この実施の形態5における導出室30は、増速室20の連絡口21から末広がりに広がる円錐型に形成されている。この場合における連絡口21は、実施の形態4の場合と同様の大きさでよく、導出室30の最大直径は、実施の形態4の場合と同程度又はそれより大きいぐらいの直径とする。
このように構成すると、導入室10及び増速室20における冷媒の流れは実施の形態4の場合とほぼ同様となるが、導出室30における冷媒流れが次のようになる。増速室20から導出室30への冷媒の噴流は、液冷媒が遠心力により円錐状に広がる周壁33に沿って流れ、ガス冷媒が中央部から噴出する。また、導出室30においては、周壁33の内壁面に沿って液膜が形成され、中央部にはガス冷媒のみが集められる。したがって、この場合には、導出室30における気液分離がより確実に行われるので、導出室30からのガス冷媒の抽出が安定する。さらに、この実施の形態においても、実施の形態4の場合と同様に、導出室30の側壁32の中心部にガス冷媒抽出管Pgが接続されているので、連絡口21の中央からガス冷媒抽出管Pgまでの中心軸上に安定したガス冷媒の流れが形成される。したがって、これら作用が相乗されて、導出室30内における冷媒旋回流がより一層安定化する。これにより、ガス冷媒抽出作用がより一層安定化するとともに、冷媒分流特性が向上より一層向上する。なお、この導出室30は、図4における基本形態IVに相当する。
実施の形態5に係るガス冷媒分離兼冷媒分流器DRは、以上のように構成されているので、実施の形態4の場合と同様、実施の形態3に係る(7)〜(9)及び(11)の効果と同様の効果、並びに実施の形態4に係る(12)の効果と同様の効果を奏することができる。また、これに加え次の効果を奏することもできる。
(13)実施の形態5に係るガス冷媒分離兼冷媒分流器DRによれば、増速室20から導出室30への冷媒の噴流は、液冷媒が遠心力により周壁33に沿って流れ、ガス冷媒が中央部から噴出するので、導出室30における旋回が安定し、ガス冷媒分離特性及び冷媒分流特性がより一層向上する。
(実施の形態6)
次に、実施の形態6に係るガス冷媒分離兼冷媒分流器について、図13に基づいて説明する。
実施の形態6に係るガス冷媒分離兼冷媒分流器DRは、図13に示すように、実施の形態3において、連絡口21の直径を小さくするとともに、円筒状の導出室30の直径を小さくしたものである。それ故、これを組み込んだ冷媒回路は図9と同一になる。
この実施の形態のものでは、導入室10及び増速室20における冷媒の旋回は実施の形態3の場合と略同様に行われている。しかし、この実施の形態における連絡口21の直径が小さいため、増速室20から導出室30に流入する冷媒噴流は、旋回しながら連絡口21において絞り作用を受けるため、液冷媒を取り込んだ中実の噴霧となり、連絡口21に対向する側壁32に衝突し、その後周壁33の内壁面へ回り込む流れを形成する。したがって、導出室30における冷媒流は、均一な気液分布状態の冷媒流となるとともに、軸心を中心として軸対称的な冷媒流れとなる。このため、導入室10及び増速室20における旋回流を安定化するように作用する。
また、導出室30における冷媒流は、導入室10においてガス冷媒が抽出された後の液リッチな冷媒であることと、前述の均一な気液分布状態の冷媒流が軸心に対する軸対称的な流れを成すように形成されていることから、分流管Pdに対する分流は均等に行われる。なお、この導出室30は、図4における基本形態Iに相当するものである。したがって、このガス冷媒分離兼冷媒分流器DRについても、取付方向の制約を緩和した取付を行うことができる。
本実施の形態に係るガス冷媒分離兼冷媒分流器DRは、以上のように構成されているので、前述の実施の形態3に係る(7)〜(11)の効果と同様の効果を奏することができる。
(実施の形態7)
次に、実施の形態7に係るガス冷媒分離兼冷媒分流器について、図14に基づき説明する。
実施の形態7に係るガス冷媒分離兼冷媒分流器DRは、実施の形態4において、導入室10の形状を変更したものである。この実施の形態における導入室10は、増速室20に向かって直径が大きくなる円錐状に形成されている。ただし、導入室10の増速室20側の開口面積と、増速室20の導入室10側の開口面積とは同一と成るように形成されている。
このような構成により、冷媒導入口14から導入室10に導入された冷媒は、周壁13が円錐状に広がっていることにより、周壁13は、冷媒を増速室20へ案内する役割を果たしている。
本実施形態のガス冷媒分離兼冷媒分流器DRは、以上のように構成されているので、実施の形態4の場合と同様に実施の形態3に係る(7)〜(9)及び(11)の効果と同様の効果、並びに実施の形態4に係る(12)の効果と同様の効果を奏することができる。また、これに加え次の効果を奏することができる。
(14)冷媒導入口14から導入室10に導入された冷媒が導入室10の周壁13により増速室20へ案内される作用が働くため、増速室20の連絡口21から導出室30への噴流が安定する。これにより、ガス冷媒の抽出作用が安定化されるとともに、冷媒の分流特性が向上する。
(実施の形態8)
次に、実施の形態8に係るガス冷媒分離兼冷媒分流器について、図15に基づき説明する。
実施の形態8に係るガス冷媒分離兼冷媒分流器DRは、実施の形態4において、上記実施の形態7の場合と同様に導入室10の形状を変更したものである。ただし、この実施の形態における導入室10は、傾斜する円筒状であって、導入される冷媒流が増速室20へ案内される方向に傾斜されている。なお、導入室10の増速室20側の開口面積と、増速室20の導入室10側の開口面積とは同一と成るように形成されている。
このような構成により、冷媒導入口14から導入室10に導入された冷媒は、周壁13により増速室20に向かう流れ成分が付与される。このように導入室10の周壁13が冷媒を増速室20へ案内する役割を果たしている。以上により、本実施形態に係るガス冷媒分離兼冷媒分流器DRは、実施形態7と同様の効果を奏する。すなわち、実施の形態8は、実施の形態3に係る(7)〜(9)及び(11)の効果と同様の効果、実施の形態4に係る(12)の効果と同様の効果、並びに実施の形態7に係る(14)の効果と同様の効果を奏することができる。
(実施の形態9)
次に、実施の形態9に係るガス冷媒分離兼冷媒分流器について、図16に基づき説明する。
実施の形態9に係るガス冷媒分離兼冷媒分流器DRは、実施の形態4において、導入室10の冷媒導入口14に導入される冷媒流に対し旋回成分を付与する整流部14aを付加したものである。
整流部14aは、冷媒導入管11の軸に対し直交する面において、冷媒導入管11の内周面と導入室10の中心との距離、すなわち偏心距離Sを実施の形態4の場合より大きくするように、冷媒導入管11と冷媒導入口14とを接続するものである。そして、この実施の形態における整流部14aは、冷媒導入管11の延長上に位置する直管部14aaと、この直管部14aaと冷媒導入口14とを斜めに接続する繋部14abとから構成されている。
このように構成すると、偏心距離Sが大きくなるため導入室10に流入する冷媒流に対し予め旋回力を付与することができるので、導入室10における冷媒の旋回力を高めることができる。
本実施の形態に係るガス冷媒分離兼冷媒分流器DRは、以上のように構成されているので、前述の実施の形態4の場合と同様に実施の形態3に係る(7)〜(9)及び(11)の効果と同様の効果、並びに実施の形態4に係る(12)の効果と同様の効果を奏することができる。また、これに加え、次の効果を奏することができる。
(15)導入室10に導入される冷媒流に対し予め旋回力が付与されるので、導入室10における旋回流が安定化される。この結果、導入室10における旋回の中心を導出室30の中心に近付けることができ、ガス冷媒抽出の安定化と冷媒分流特性の向上とを図ることができる。
(実施の形態10)
次に、実施の形態10に係るガス冷媒分離兼冷媒分流器について、図17に基づき説明する。
実施の形態10に係るガス冷媒分離兼冷媒分流器DRは、実施の形態9の場合と同様に、実施の形態4において導入室10の冷媒導入口14に導入される冷媒流に対し旋回成分を付与する整流部14aを形成したものである。
この実施の形態における整流部14aは、実施の形態9の場合と同様に偏心距離Sを大きくするものであるが、さらにこれを改良したものである。すなわち、この実施の形態10では、繋部14abを実施の形態9の場合のような斜めに接続される直管ではなく流路を直角に曲げる曲管により形成している。また、この繋部14abの先端は、曲管の内周面と導入室10の周壁13の内壁面とが滑らかに連結されている。
このように構成すると、冷媒導入管11から流れてくる冷媒は、実施の形態9の場合と同様に予め旋回力が付与される。また、この実施の形態に係るガス冷媒分離兼冷媒分流器DRにおいては、曲管により形成される繋部14abを通過する際に冷媒に遠心力が作用するため、繋部14abの曲管部における外周側には液冷媒リッチの冷媒が流通し、曲管部における内周側にはガス冷媒リッチの冷媒が流通する。したがって、導入室10内に導入される冷媒は、予め気液分離した状態で導入されるため、導入室10内に導入される冷媒の密度分布が安定化される。この結果、ガス冷媒抽出の安定化と冷媒分流特性の向上とが図られる。
本実施の形態に係るガス冷媒分離兼冷媒分流器DRは、以上のように構成されているので、前述の実施の形態4の場合と同様に実施の形態3に係る(7)〜(9)及び(11)の効果と同様の効果、並びに実施の形態4に係る(12)の効果と同様の効果を奏することができる。また、これに加え、次の効果を奏することができる。
(16)繋部14abにより導入室10内に流入する冷媒の不安定性を低減することができ、導入室10内における冷媒旋回流が安定化する。したがって、ガス冷媒抽出の安定化と冷媒分流特性の向上とを図ることができる。
(実施の形態11)
次に、実施の形態11に係るガス冷媒分離兼冷媒分流器について、図18に基づき説明する。
実施の形態11に係るガス冷媒分離兼冷媒分流器DRは、実施の形態9及び実施の形態10と同様に、実施の形態4において導入室10の冷媒導入口14に導入される冷媒流に対し旋回成分を付与する整流部14aを形成したものである。
しかし、この実施の形態における整流部14aは、実施の形態10の場合とやや異なり、冷媒導入管11の延長上に位置する直管部14aaと、流路を直角に曲げる曲管からなる繋部14abと、この繋部14abから内方に延設される拡径部14acとから構成されている。この拡径部14acはその先端が導入室10の中心付近に位置するように形成されている。
このように構成されていることにより、冷媒導入管11から流れてくる冷媒は、実施の形態10の場合と同様に予め旋回力が付与される。また、導入される冷媒は、曲管状の繋部14abを通過する際に遠心力を受けるので、繋部14abの外周側を通過する冷媒は液冷媒リッチとなり、繋部14abの内周側を通過する冷媒はガス冷媒リッチとなる。さらに、この実施の形態においては拡径部14acが導入室10の中心に設けられているため、前記ガスリッチの冷媒が導入室10の中心付近に流れ、導入室10の中心を中心軸として旋回流が形成され易くなる。これにより、旋回流の中心を導入室10の中心とすることが容易になる。
本実施の形態に係るガス冷媒分離兼冷媒分流器DRは、以上のように構成されているので、前述の実施の形態4の場合と同様に実施の形態3に係る(7)〜(9)及び(11)の効果と同様の効果、並びに実施の形態4に係る(12)の効果と同様の効果を奏することができる。また、これに加え、次の効果を奏することができる。
(17)ガス冷媒リッチの冷媒が導入室10の中心付近に流入し易くなり、このガス冷媒が導入室10の中心付近を中心として旋回流を形成する。したがって、導入室10内の冷媒旋回流が安定化し、ガス冷媒抽出の安定化と冷媒分流特性の向上とを図ることができる。
(実施の形態12)
次に、実施の形態12に係るガス冷媒分離兼冷媒分流器について、図19に基づき説明する。
実施の形態12に係るガス冷媒分離兼冷媒分流器DRは、実施の形態9〜11と同様に、実施の形態4において導入室10の冷媒導入口14に導入される冷媒流に対し旋回成分を付与する整流部14aを形成したものである。
しかし、この実施の形態における整流部14aは、偏心距離を大きくするものではなく、曲管により滑らかに導入室の内壁面に沿った冷媒流れを形成するようにしたものである。すなわち、この実施の形態における整流部14aは、実施の形態10と同様に、直管部14aaと曲管状の繋部14abとから構成されているが、これらは円筒状の導入室10の内部に設けられている。また、繋部14abの内周面と導入室10の周壁13の内壁面とが滑らかに連結されるように構成されている。
このように構成すると、実施の形態10の場合と同様に、曲管により形成される繋部14abを通過する冷媒に遠心力が作用し、繋部14abの外方には液冷媒リッチの冷媒が流通し、繋部14abの内方にはガス冷媒リッチの冷媒が流通する。したがって、導入室10内に流入する冷媒の密度分布が安定化され、導入室10内における旋回流が安定する。
本実施の形態に係るガス冷媒分離兼冷媒分流器DRは、以上のように構成されているので、前述の実施の形態4の場合と同様に実施の形態3に係る(7)〜(9)及び(11)の効果と同様の効果、並びに実施の形態4に係る(12)の効果と同様の効果を奏することができる。また、実施の形態9に係る(15)の効果と同様の効果を奏することができる。
(実施の形態13)
次に、実施の形態13に係るガス冷媒分離兼冷媒分流器について、図20に基づいて説明する。
実施の形態13に係るガス冷媒分離兼冷媒分流器DRは、実施の形態6において、導入室10と増速室20との連結部の形状を変更したものである。すなわち、この実施の形態においては、図20に示すように、導入室10と増速室20との連結部における導入室10の直径d1を増速室20の直径d2より大きくし、この連結部に段部16を形成したものである。
このように構成すると、導入室10内の冷媒は、増速室20へ流通する前に段部16により一旦滞留するため、冷媒の旋回成分が増大するようになる。詳細には、段部16により導入室10から増速室20に向かう流れ成分が制限されることにより、導入室10内において冷媒の旋回する速度が増加するようになり、増速室20に流入する前に旋回性分が強められる。
本実施の形態に係るガス冷媒分離兼冷媒分流器DRは、以上のように構成されているので、前述の実施の形態6の場合と同様に実施の形態3に係る(7)〜(11)の効果と同様の効果を奏することができるとともに、次の効果を奏することができる。
(18)段部16が形成されていることにより、導入室10において付与された冷媒の旋回成分を増大させることができるので、増速室20に流入する冷媒旋回流を安定化させることができる。よって、ガス冷媒抽出の安定化と冷媒分流特性の向上とを図ることができる。
(実施の形態14)
次に、実施の形態14に係るガス冷媒分離兼冷媒分流器について、図21に基づいて説明する。
実施の形態14に係るガス冷媒分離兼冷媒分流器DRは、実施の形態6において、上記の実施の形態13の場合と同様に導入室10と増速室20との連結部の形状を変更したものであって、その構造を異にするものである。この実施の形態では、図21に示すように、導入室10と増速室20と連結部に導入室10の直径d1及び増速室20の直径d2より大きい直径d3の環状溝部17を形成している。
このように構成すると、実施の形態13の場合と同様、導入室10内の冷媒は、増速室20へ流通する前に環状溝部17により一旦滞留するため、冷媒の旋回成分が増大される。したがって、実施の形態14に係るガス冷媒分離兼冷媒分流器DRは、実施の形態13に係るガス冷媒分離兼冷媒分流器DRと同様の効果を奏する。
すなわち、本実施の形態に係るガス冷媒分離兼冷媒分流器DRは、以上のように構成されているので、前述の実施の形態13の場合と同様に、実施の形態3に係る(7)〜(11)の効果並びに実施の形態13に係る(18)の効果と同様の効果を奏することができる。
(実施の形態15)
次に、実施の形態15に係るガス冷媒分離兼冷媒分流器について、図22に基づいて説明する。
実施の形態15に係るガス冷媒分離兼冷媒分流器DRは、実施の形態6における増速室20と導出室30との連結部に、連絡口21の直径と略同径の直管状の連通路25を形成したものである。
このように構成すると、増速室20から連通路25に流通した冷媒は、連通路25内が一定の円筒形状の空間であるため、冷媒の旋回速度が安定するようになる。そして、連通路25から導出室30に流通する冷媒は、導出室30において、連絡口21よりも冷媒流路が拡大されるため冷媒の噴出エネルギが拡散される。その結果、連絡口21は均一な冷媒を噴出するためのノズルとして作用するようになる。また、導出室30内の冷媒は旋回成分を有している。したがって、連絡口21から噴出された冷媒流は、導出室30の周壁33に衝突し、周壁33に沿って流れる冷媒流が安定化する。これにより、導出室30内の冷媒は、各分流管Pdに均等に分流されるようになる。
本実施の形態に係るガス冷媒分離兼冷媒分流器DRは、以上のように構成されているので、前述の実施の形態6の場合と同様に実施の形態3に係る(7)〜(11)の効果と同様の効果を奏することができるとともに、次の効果を奏することができる。
(19)連通路25において冷媒の旋回速度が安定化されることにより、導出室30内における冷媒流れが安定化される。したがって、ガス冷媒抽出の安定化と冷媒分流特性の向上とを図ることができる。
(実施の形態16)
次に、実施の形態16に係るガス冷媒分離兼冷媒分流器について、図23に基づいて説明する。
実施の形態16に係るガス冷媒分離兼冷媒分流器DRは、実施の形態6における増速室20と導出室30との連結部に、連絡口21の直径と略同径の直管状の短い連通路25が連絡口21に連続して形成されている。さらに、この連通路25に連続して、導出室30に向かって拡径する円錐形状部26が形成され、この円錐形状部26が導出室30に直接接続されるように構成したものである。
このように構成されていることにより、増速室20から導出室30に向かって流出した旋回冷媒流は、直径が一定の連通路25においてその旋回流が安定化される。また、連通路25から円錐形状部26に流出した冷媒は、円錐形状部26内において徐々に冷媒の旋回径を大きくすることにより導出室30内への流入が安定化される。
本実施の形態に係るガス冷媒分離兼冷媒分流器DRは、以上のように構成されているので、前述の実施の形態6の場合と同様に実施の形態3に係る(7)〜(11)の効果と同様の効果を奏することができるとともに、次の効果を奏することができる。
(20)直径が一定の連通路25により冷媒旋回流が安定されるとともに、円錐形状部26により導出室30への冷媒の流れが円滑に行われるようになる。これにより、ガス冷媒抽出の安定化と冷媒分流特性の向上とを図ることができる。
(実施の形態17)
次に、実施の形態17に係るガス冷媒分離兼冷媒分流器について、図24に基づいて説明する。
実施の形態17に係るガス冷媒分離兼冷媒分流器DRは、図24に示すように、例えば、実施の形態6に係るガス冷媒分離兼冷媒分流器の内部に、この場合は増速室20の内部に冷媒中の塵埃等を除去するフィルタ27を設けたものである。このフィルタ27は、多孔質透過材を円錐状に成型したものであって、円錐状を成す増速室20における導入室10側の端部において全周に亘り固定されるとともに、導出室30に向かい円錐状に凹む形状にて形成されている。なお、フィルタ27を構成する多孔質透過材の素材としては、発泡金属、セラミック、発泡性樹脂、メッシュ状のもの、多孔板などが用いられている。
本実施の形態に係るガス冷媒分離兼冷媒分流器DRは、以上のように構成されているので、前述の実施の形態6の場合と同様に実施の形態3に係る(7)〜(11)の効果と同様の効果を奏することができるとともに、次の効果を奏することができる。
(21)一般に、膨張弁の絞り部はコンタミやゴミ詰まりによりその絞り性能が低下する可能性が高い。そのため、膨張弁前後にはコンタミ等を捕捉するフィルタ(多孔質透過材)が設けられている。しかし、本実施形態によれば、ガス冷媒分離兼冷媒分流器DRの内部にフィルタ27が設けられるため、冷媒導入管11に接続される膨張弁を保護するために別途フィルタを設ける必要がない。したがって、フィルタを別途設けるためのスペースを省略することができ、小型化、低コスト化に繋がる。因みに、このフィルタ27は、分流管Pdから冷媒導入管11に向かって冷媒が流れる場合のコンタミ等を捕捉すること
により膨張弁の保護を図るものである。
(実施の形態18)
次に、実施の形態18に係るガス冷媒分離兼冷媒分流器DRについて、図25に基づいて説明する。
実施の形態18に係るガス冷媒分離兼冷媒分流器DRは、実施の形態5に係るガス冷媒分離兼冷媒分流器DRにおいて分流管Pd本数を多数にすると共に、導入室10、増速室20及び導出室30を形成する容器の構造をより具体化したものである。
すなわち、この実施の形態に係るガス冷媒分離兼冷媒分流器DRを構成する容器は、図25(a)に示すように、導入室10を構成する部材と、増速室20の周壁と導出室30の周壁33とが一体に形成された部材と、導出室30における、連絡口21に対向する側壁32を構成する部材とから形成されている。
導入室10を構成する部材は、導入室10の周壁13と、増速室20の反対側に位置する側壁12とが一体に形成され、両者は滑らかに結合されている。そして、周壁13は、増速室20側に拡径するように形成されて増速室20に連結されている。なお、このように周壁13が拡径されるのは、実施の形態7の場合と同様である。また、側壁12は、その内壁面12aがこの室の中心軸を中心として外側に湾曲する部分球状となるように成形されている。なお、冷媒導入管11は、実施の形態5の場合と同様に、周壁13の内壁面に沿って冷媒が導入されるように冷媒導入口14に接続されている。
増速室20の周壁は、実施の形態5の場合と同様に、導入室10から導出室30に向かって直径が小さくなる円錐状に形成されている。
また、導出室30の周壁33は、増速室20の連絡口21から末広がりに広がる円錐型に形成されている。そして、この実施の形態においては、増速室20の周壁と導出室30の周壁33とが一体成型されるとともに、連絡口21を挟んで滑らかな曲面を成す壁面に形成されている。
次に、導出室30の側壁32は、厚肉の板状部材により形成されている。そして、側壁32の内壁面32aの中心部分が部分球状の形状を成して外側に湾曲するように、すなわち、側壁32の内壁面32aが部分球状の曲面を成して窪んだ形状となるように切削加工されている。また、この側壁32は、導出室側の側面図を図25(b)に示すように、外周付近に多数(具体的には18個)の分流管接続孔32bが形成されている。なお、この各分流管接続孔32bに対し分流管Pdが接続されている。
この実施の形態の導入室10及び導出室30における冷媒の流れは次のようになる。冷媒導入口14から周壁13の内周面に沿って導入された冷媒は、このガス冷媒分離兼冷媒分流器DRの取付姿勢に関係なく導入室10内において冷媒旋回流が形成される。このように冷媒旋回流が形成されると、密度差により周壁13側には液リッチな冷媒が旋回し、中心部にはガスリッチな冷媒が旋回するようになる。ただし、この冷媒旋回流は、冷媒が一つの冷媒導入口14から導入室10内へ流入するように形成されているため、冷媒旋回流の中心が必ずしもこのガス冷媒分離兼冷媒分流器DRの中心軸に一致しない。
しかしながら、本実施の形態においては、側壁12の内壁面12aの中心部分が部分球状の形状を成して外側に湾曲するように成形され、冷媒旋回流の中心が外側に湾曲する部分球状により、その中心部からの流出が行われず旋回速度成分のみを持ったよどみ部ができる。これにより冷媒旋回流がガス冷媒分離兼冷媒分流器DRの中心に近づく方向に修正されて安定する。さらに、導入室10の周壁13は、増速室20に向かって拡径するように形成されているため、冷媒旋回流に対し増速室20へ向かう流れ成分が付与される。このように、周壁13が冷媒流を増速室20へ案内する案内壁を成すので、ガス冷媒分離兼冷媒分流器DRの取付姿勢に関わりなく冷媒を円滑に増速室20の方へ旋回させながら移動させることができる。
また、増速室20から導出室30にかけての冷媒流れは次のようになる。
増速室20で増速された冷媒旋回流は、それほど径の小さくない連絡口21から旋回を維持しながら導出室30に流入する。このとき連絡口21を挟み、増速室20の周壁と導出室30の周壁とが一体成型されるとともに連絡口21を挟んで滑らかな曲面を成す壁面に形成されているので、この滑らかな曲面を成す連絡口21を通過するときに無駄なエネルギーロスがなく、冷媒の旋回流を強く維持して増速室20へ流出させることができる。
また、このような連絡口21を介して導出室30に流入する冷媒は、旋回流が強く維持されることにより、中心部がガス冷媒リッチとなり周壁33の内壁面付近が液冷媒リッチの密度分布となる。そして、導出室30においては、周壁33の内壁面に沿って液膜が形成され、中央部にはガス冷媒のみが集められ、旋回流の中心をこのガス冷媒分離兼冷媒分流器DRの中心に近付けた状態が維持されて安定化される。特に、側壁32の内壁面32aの中心部分が部分球状の形状を成して外側に湾曲するように形成されているので、連絡口21の中央付近から噴出するガス冷媒に多少の偏流があっても側壁32の中心部分に導かれ、旋回流の中心がガス冷媒分離兼冷媒分流器DRの中心に近づく方向に修正されて安定化される。
実施の形態18に係るガス冷媒分離兼冷媒分流器DRは、以上のように構成されているので、実施の形態5の場合と同様、実施の形態3に係る(7)〜(9)及び(11)の効果と同様の効果、実施の形態4に係る(12)の効果と同様の効果、並びに、実施の形態5に係る(13)の効果と同様の効果を奏することができる。また、これに加え次の効果を奏することもできる。
(22)増速室20の周壁と導出室30の周壁33とが連絡口21を挟んで曲面を成す壁面に形成されているので、増速室20から導出室30への冷媒流れにおいて無駄なエネルギーロスが低減され、冷媒の旋回流を強い状態で導出室30へ持ち込むことができる。
(23)また、増速室20の周壁と導出室30の周壁33とが一体的に形成されるとともに、導入室10は増速室20及び導出室30とは別体に形成されて増速室20に接合されている。このため、連絡口21を挟む滑らかな曲面部を繋ぎ目のない、流体の乱れの少ない曲面とすることができ、冷媒の旋回流を安定した状態で増速室20から導出室30へ持ち込むことができる。
(24)導入室10における、増速室20の反対側に位置する側壁12の内壁面12aの中心部分が部分球状の形状を成して外側に湾曲するように形成されているので、導入室10における冷媒の旋回流の中心が外側に湾曲する部分球状の中央方向に修正される。この結果、冷媒旋回流の中心がこのガス冷媒分離兼冷媒分流器DRを構成する容器の中心軸付近で安定化される。
(25)また、導出室30における側壁32の内壁面32aの中心部分が部分球状の形状を成して外側に湾曲するように形成されているので、導出室30で形成される冷媒の旋回流の中心が外側に湾曲する部分球状の中央方向に修正され、ガス冷媒分離兼冷媒分流器DRの中心付近で安定化される。このため、分流管Pdに対しては冷媒が安定的に均等に分流される。
(実施の形態19)
次に、実施の形態19に係るガス冷媒分離兼冷媒分流器DRについて、図26に基づいて説明する。
実施の形態19は、実施の形態18において導入室10の側壁12の形状を変更したものであって、他の構成は実施の形態18と同一のものである。
すなわち、前述の実施の形態18のガス冷媒分離兼冷媒分流器DRにおいては、導入室10の側壁12の中心部分が部分球状の形状を成して外側に湾曲するように形成されていたが、この実施の形態においては、図26に示すように、側壁12の中心部分が部分球状の形状を成して内側に湾曲するように形成されている。
このような実施の形態19においては、第18実施の形態の場合と同様に、冷媒導入管11から冷媒導入口14を通じ流入する冷媒が周壁13の内壁面に対し接線方向に導入されて旋回流が形成される。また、このように旋回流が形成される状態の下では、側壁12の内壁面12aにおける圧力が最も低くなる中心部分の空間が小さくなるとともに案内壁を形成するため、内側に湾曲する部分球状の表面に沿う冷媒流れが形成され、これにより冷媒旋回流が安定化される。
本実施の形態に係るガス冷媒分離兼冷媒分流器DRは、以上のように構成されているので、実施の形態18の場合と同様、前述の(7)〜(9)、(11)〜(13)、(22)〜(23)及び(25)の効果と同様の効果を奏することができる。また、これに加え次の効果を奏することもできる。
(26)冷媒旋回流が形成される導入室10において、側壁12の内壁面12aの中心部分が部分球状の形状を成して内側に湾曲するように形成されているため、側壁12の内壁面12aにおける圧力が最も低くなる中央部分の空間が小さくなるとともに案内壁を形成する。その結果、内側への膨らみの周りの窪みに沿う冷媒流れが形成され、冷媒旋回流が安定化される。
(実施の形態20)
次に、実施の形態20に係るガス冷媒分離兼冷媒分流器DRについて、図27に基づいて説明する。
実施の形態20は、実施の形態18において、導出室30の側壁32の形状を変更したものであって、他の構成は実施の形態18と同一のものである。
すなわち、前述の実施の形態18のガス冷媒分離兼冷媒分流器DRにおいては、導出室30の側壁32の内壁面32aの中心部分が部分球状の形状を成して外側に湾曲するように形成されていた。これに対し、この実施の形態においては、導出室30の側壁32の内壁面32aの中心部分が部分球状の形状を成して内側に湾曲するように形成されている。すなわち、側壁32の内壁面32aの中心部分が部分球状の形状を成して内側に湾曲するように切削されている。
このような実施の形態においては、実施の形態18の場合と同様に、連絡口21を介して導出室30に流入した冷媒は、旋回流が強く維持されることにより、中心部がガス冷媒リッチとなり周壁33の内壁面付近が液冷媒リッチの密度分布となるとともに、旋回流の中心をこのガス冷媒分離兼冷媒分流器DRの中心に近付けた状態が維持されている。この場合において、導出室30の側壁32の内壁面32aにおける圧力が最も低くなる中心部分の空間が小さくなるとともに案内壁を形成するため、内側へ湾曲する部分球状の表面に沿う流れが形成され、これにより冷媒旋回流が安定化される。
実施の形態20に係るガス冷媒分離兼冷媒分流器DRは、以上のように構成されているので、実施の形態18の場合と同様、前述の(7)〜(9)、(11)〜(13)及び(22)〜(24)の効果と同様の効果を奏することができる。また、これに加え次の効果を奏することもできる。
(27)旋回流が維持されている導出室30において、側壁32の内壁面32aにおける圧力が最も低くなる中心部分の空間が小さくなるとともに案内壁を形成するため、内側へ湾曲する部分球状の表面に沿う流れが形成され、これにより冷媒旋回流が安定化される。
(実施の形態21)
次に、実施の形態21に係るガス冷媒分離兼冷媒分流器DRについて、図28に基づいて説明する。
実施の形態21は、実施の形態18において、導入室10の側壁12の形状を変更したものであって、他の構成は実施の形態18と同一である。
すなわち、前述の実施の形態18のガス冷媒分離兼冷媒分流器DRにおいては、導出室30の側壁12の内壁面がガス冷媒分離兼冷媒分流器DRの中心軸を中心として略全体的に部分球状の形状を成して外側に湾曲するように形成されていた。これに対し、この実施の形態においては、導出室30の側壁12の内壁面におけるガス冷媒分離兼冷媒分流器DRの中心付近のみが限定的に外側に湾曲するように形成されている。
このようにしたものにおいても、淀みができることで導入室10における冷媒の旋回流の中心が外側に湾曲する部分球状の中央方向に修正され、この旋回流の中心がガス冷媒分離兼冷媒分流器DRの中心付近で安定化される。このように、この外側に湾曲する部分球状の内壁面12a上における直径は、機能的には大きな影響がない。
本実施の形態に係るガス冷媒分離兼冷媒分流器DRによれば、実施の形態18に係るガス冷媒分離兼冷媒分流器DRと同様、前述の効果(7)〜(9)、(11)、(13)及び(22)〜(25)と同様の効果を奏することができる。
(実施の形態22)
次に、実施の形態22に係るガス冷媒分離兼冷媒分流器DRについて、図29に基づいて説明する。
実施の形態22は、実施の形態18において、ガス冷媒分離兼冷媒分流器DRを構成する部材の分割方法を変更すると共に、増速室20と導出室30との連結部の構造を変更したものである。
すなわち、この実施の形態に係るガス冷媒分離兼冷媒分流器DRを構成する容器は、図29に示すように、実施の形態18における増速室20と導出室30との連結部に、連絡口21の直径と略同径の直管状の連通路25を形成している。なお、このような連結部は実施の形態15と同様である。また、このガス冷媒分離兼冷媒分流器DRを構成する部材は、導入室10と増速室20とを一体に構成する部材と、導出室30の周壁33を構成する部材と、導出室30における、連絡口21に対向する側壁32を構成する部材とから形成されている。
このように構成された本実施の形態においては、冷媒導入口14から流入された冷媒は、導入室10において旋回流として形成され、増速室20において旋回流速が増速され、連通路25でノズル作用を受けつつ旋回流を維持しながら導出室30に流入される。また、導出室30においては、気液分離した状態で旋回流が継続される。このように、旋回流は、導入室10及び増速室20及び導出室30において実施の形態18の場合と同様に旋回流の中心がこのガス冷媒分離兼冷媒分流器DRの中心に近づくように修正されるとともに、旋回流の安定化が図られている。また、連通路25は、一定直径の通路として、実施の形態18における連絡口21とは異なり長い直管状の通路として形成されているので、旋回速度が安定化される。また、ノズル作用が強くなるので、仮に冷媒導入管11から脈動する冷媒流が流入してきた場合においても、その脈動の原因となる密度分布の不連続性が緩和される。
本実施の形態に係るガス冷媒分離兼冷媒分流器DRによれば、実施の形態18に係るガス冷媒分離兼冷媒分流器DRと同様、前述の効果(7)〜(9)、(11)、(13)、(24)及び(25)と同様の効果を奏することができるとともに、実施の形態15に係る(19)の効果と同様の効果を奏することができる。また、これに加え次の効果を奏することができる。
(28)ガス冷媒分離兼冷媒分流器DRは、導入室10と増速室20とを一体に構成する部材と、導出室30の周壁33を構成する部材と、導出室30における、連絡口21に対向する側壁32を構成する部材とから形成されている。また、導入室10と増速室20とを一体に構成する部材と、導出室30の周壁33を構成する部材とが連結部において接続されている。こうすると、導入室10、増速室20及び導出室30の構成部材の接続を細い径部分で行うことができるので、接続が容易となり、冷媒漏れ等の構造上の欠陥の出現を回避することが容易になる。
(実施の形態23)
次に、実施の形態23に係る膨張弁について、図30及び図31に基づいて説明する。
実施の形態23に係る膨張弁は、従来一般の電動膨張弁に対し本発明に係るガス冷媒分離兼冷媒分流器DRを組み合わせたものである。組み合わせるガス冷媒分離兼冷媒分流器DRは、既に説明した何れのものでもよいが、ここではその具体例として実施の形態6に記載したガス冷媒分離兼冷媒分流器DRを用いるものとする。なお、この膨張弁に関する以下の説明において上下左右方向をいうときは、図30(a)における上下左右方向をいうものとする。また、ガス冷媒分離兼冷媒分流器DRの説明をするときは図13にしたがって説明するものとする。
本実施の形態に係る膨張弁は、図30(a)に示すように、本体50が縦長の略円筒形状に形成されており、二つの配管接続ポート50a,50bが設けられている。ここでは、本体50の側面に形成されている配管接続ポート50aに入口配管51が接続され、本体50の下方に出口配管52が形成されているものとする。また、この出口配管52には前述の実施の形態6に係るガス冷媒分離兼冷媒分流器DRが接続されている。この場合において出口配管52は短い直管により形成されており、この出口配管52が前述の冷媒導入管11を兼用している。したがって、この場合ガス冷媒分離兼冷媒分流器DRは、図30(a)及び(b)に示すように、ガス冷媒分離兼冷媒分流器DRの軸心が水平方向となっている。
また、膨張弁の本体50の内部には、図31に示すように弁室53が形成されている。そして、この弁室53の下壁には弁孔54が形成され、さらに、この弁孔54に対し離接可能に上下動して弁孔54の開度を調整するように制御されるニードル弁55が収納されている。膨張弁は、この弁孔54とニードル弁55とにより絞り部56を構成している。また、この実施の形態においては、ガス冷媒分離兼冷媒分流器DRの冷媒導入口14(図13参照)に対し、出口配管52が直接接続されている。したがって、この出口配管52は、実施の形態6における冷媒導入管11を兼用するものである。また、出口配管52の長さは、絞り部56からの噴流を冷媒導入口14から導入室10内へ導入するのに適切な長さとされている。
このように構成されていることにより、膨張弁で絞られた冷媒二相流は、絞り部56からの噴流の勢いを利用して導入室10へ導入される。したがって、導入室10内において冷媒旋回流が一気に形成されるとともに、液冷媒が周壁13の内壁面近傍に集められ、ガス冷媒がこの旋回の中心部に集められる。また、その後のガス冷媒の抽出動作、冷媒の分流作用は実施の形態6に記載のものと基本的に同様である。なお、このような膨張弁を用いた冷凍装置の冷媒回路は、例えば図9において、膨張弁5A,5Bとガス冷媒分離兼冷媒分流器DRとを本実施の形態に示すように組み合わせて一体化したものとすればよい。
本実施の形態に係るガス冷媒分離兼冷媒分流器DRと組み合わされた膨張弁は、以上のように構成されているので、実施の形態6の場合と同様に実施の形態3に係る(7)〜(11)の効果と同様の効果を奏することができるとともに、次の効果を奏することができる。
(29)膨張弁とガス冷媒分離兼冷媒分流器DRとが出口配管52により連結されて一体化されているので、部品としての取扱が簡略化される。
(30)本実施の形態によれば、膨張弁からの霧状噴流となった冷媒が導入室10内に流入して旋回流を形成するため、旋回冷媒流に対する重力の影響が大幅に低減される。したがって、この膨張弁冷凍装置に組み込む際の取付上の制約が大幅に緩和される。
(31)本実施の形態によれば、膨張弁とガス冷媒分離兼冷媒分流器DRとが互いに近接して配置されるので、膨張弁に気液二相流の冷媒が流入する場合でも、ガス冷媒分離兼冷媒分流器DRにおける旋回流による整流作用が間欠的な噴流の変動を緩和する。このため、通常発生する間欠冷媒流動音を低減することができる。
(実施の形態24)
次に、実施の形態24に係る冷凍装置について、図32に基づいて説明する。
実施の形態24に係る冷凍装置は、実施の形態2に係る図7に図示の冷媒回路を変更したものであって、ガス冷媒抽出管Pgを接続するバイパス回路7A,7Bの途中に、室外側熱交換器3又は室内側熱交換器6に新たに設けられたガス冷媒用冷媒通路3A,6Bを接続したものである。
このように構成すると、ガス冷媒抽出管Pgから抽出したガス冷媒の顕熱変化を利用して空気と熱交換することができ、その分熱交換器の効率化に繋がる。
本実施の形態に係る冷凍装置によれば、実施の形態2と同様の効果、すなわち、前述の(1)〜(6)の効果と同様の効果を奏することができるほか、次の効果を奏することができる。
(32)ガス冷媒抽出管Pgにより抽出したガス冷媒の顕熱変化を利用することにより熱交換効率を向上させることができる。
(実施の形態25)
次に、実施の形態25に係る冷凍装置について、図33に基づいて説明する。
実施の形態25に係る冷凍装置は、実施の形態4に係る図11に図示した冷媒回路を変更したものであって、ガス冷媒抽出管Pgを接続するバイパス回路7A,7Bの途中に、膨張弁入口側の過冷却用熱交換器7C,8Cを挿入したものである。
このように構成すると、ガス冷媒抽出管Pgから抽出されたガス冷媒は、この過冷却用熱交換器7C,8Cにおいて膨張弁入口側の液冷媒と熱交換するように形成されているので、ガス冷媒抽出管Pgから抽出されたガス冷媒の顕熱を利用して膨張弁5A,5Bに流入する冷媒を冷却することができる。また、膨張弁5A,5Bに流入する冷媒が冷却されて流入冷媒の乾き度が小さくなり、冷凍能力が向上する。
本実施の形態に係る冷凍装置によれば、実施の形態4と同様の効果、すなわち、前述の(7)〜(9)、(11)及び(12)の効果と同様の効果を奏することができるほか、次の効果を奏することができる。
(33)抽出したガス冷媒の顕熱を利用して膨張弁5A,5Bに流入する冷媒が冷却されるので、膨張弁5A,5Bに流入する冷媒の乾き度が小さくなり、膨張弁5A,5Bにおける間欠冷媒音を低減することができる。
(変形例)
本発明に係るガス冷媒分離器、ガス冷媒分離兼冷媒分流器及び冷凍装置は、上記各実施の形態に限定されることなく、異なる実施の形態に適用されている異なる要素を適宜互いに変更または組み合わせて実施することができる。また、ガス冷媒分離器、ガス冷媒分離兼冷媒分流器及び冷凍装置は、上記各実施形態に限定されることなく、以下の変更も可能である。この場合、以下の変形例は、対象となった実施形態についてのみ適用されるものでなく、他の実施の形態又は他の変形例と適宜組み合わせて実施することもできる。
・実施の形態1における導出室30は、基本形態IIIであるが、実施の形態1のようにガス冷媒抽出管Pgを導入室10に設けたものの場合は、この導出室30を基本形態I,II又はIVとしてもよい。
・実施の形態2における導出室30は、基本形態IIIであるが、この実施の形態2のように冷媒導出管31を外管とするとともにガス冷媒抽出管Pgを内管とする二重管構造を採るものにおいて、導出室30を基本形態IVとしてもよい。
・実施の形態3における導出室30は、基本形態IIであるが、この実施の形態におけるように、冷媒導出管31を分流管Pdに変更するとともに、ガス冷媒抽出管Pgを導入室10の中心に設けるものにおいて、導出室30を基本形態I,III又はIVとしてもよい。
・実施の形態4,5、7〜12、及び18〜22に係るガス冷媒分離兼冷媒分流器DRにおいては、導出室30にガス冷媒抽出管Pgが設けられていたが、このガス冷媒抽出管Pgを導入室10に設けるようにしてもよい。すなわち、これら実施の形態のように、導出室が基本形態III又はIVの場合には、導入室10及び導出室30において、中心部にガス冷媒が集められているので、ガス冷媒抽出管Pgをこれら室の何れに設けてもよい。
・実施の形態3〜22に係るガス冷媒分離兼冷媒分流器DRにおいて、分流管Pdを冷媒導出管31に変更すれば、これらガス冷媒分離兼冷媒分流器DRに倣った構造のガス冷媒分離機を構成することができる。
・上記各実施形態では、増速室20が導出室30に向かうにつれて一定の割合にて縮径する略円錐形状に形成されていたが、増速室20の形状はこれに限定されることはない。例えば図34(a)及び(b)に示すように傾斜角度が段階的に変化するものや、例えば図34(c)に示すように曲線的に滑らかに変化する形状にすることもできる。これらは何れにしても、テーパ面または曲面に形成されているため、増速室における出口に向かうにつれ旋回流の径が小さくなるように形成されているので、前述の各実施の形態と同様に、導入室10から流入した冷媒の旋回流を増速することができる。
・ガス冷媒分離兼冷媒分流器DRであって、ガス冷媒抽出管Pgが導入室10に接続されている実施の形態3、6、13〜18において、増速室20の連絡口21の開口面を傾斜させることもできる。すなわち、これら実施の形態においては、増速室20の連絡口21の開口面が、導出室30の中心軸に垂直な平面となるように形成されていたが、これに限定されることはない。例えば、図35に示すように、導出室30の中心軸に対し傾斜する構成とすることもできる。この構成によれば、増速室20から導出室30に向かい流通する冷媒の導出室30内への流れ方向を調整することができるようになる。したがって、各分流管Pdの冷媒の流量を敢えて異なるように調整する場合において、上記構造は好適である。
・実施の形態1〜3,5,6,9〜17に係るガス冷媒分離器SG又はガス冷媒分離兼冷媒分流器DRにおいて、導入室10の形状を、実施の形態7の場合と同様に円錐状にしてもよい。このようにすれば、実施の形態7についての(13)の効果をすることができる。
・同じく、実施の形態1〜3,5,6,9〜17に係るガス冷媒分離器SG又はガス冷媒分離兼冷媒分流器DRにおいて、導入室10の形状を、実施の形態8の場合と同様に傾斜する円筒状にしてもよい。このようにすれば、実施の形態7についての(13)の効果をすることができる。
・実施の形態9〜13のガス冷媒分離兼冷媒分流器DRは、実施の形態4に係るガス冷媒分離兼冷媒分流器DRにおいて整流部14aを追加したものであるが、他の実施の形態に係るガス冷媒分離器又はガス冷媒分離兼冷媒分流器においてもこのような整流部14aを形成してもよい。
・実施の形態13に係るガス冷媒分離兼冷媒分流器DRは、実施の形態6に係るガス冷媒分離兼冷媒分流器において段部16を形成したものであるが、他の実施の形態に係るガス冷媒分離器又はガス冷媒分離兼冷媒分流器においてもこのような段部16を設けてもよい。
・実施の形態14に係るガス冷媒分離兼冷媒分流器DRは、実施の形態6に係るガス冷媒分離兼冷媒分流器において環状溝部17を形成したものであるが、他の実施の形態に係るガス冷媒分離器又はガス冷媒分離兼冷媒分流器においてもこのような環状溝部17を設けてもよい。
・実施の形態15に係るガス冷媒分離兼冷媒分流器DRは、実施の形態6に係るガス冷媒分離兼冷媒分流器において、増速室20と導出室30との連結部に、連絡口21の直径と略同径の直管状の連通路25を形成したものであるがこれに限定されるものではない。他の実施の形態に係るガス冷媒分離器又はガス冷媒分離兼冷媒分流器においてもこのような直管状の連通路25を設けてもよい。
・実施の形態16に係るガス冷媒分離兼冷媒分流器DRは、実施の形態6に係るガス冷媒分離兼冷媒分流器において、増速室20と導出室30との連結部に、連絡口21の直径と略同径の直管状の短い連通路25と導出室30に向かって拡径する円錐形状部26とを設けたものであるがあるがこれに限定されるものではない。他の実施の形態に係るガス冷媒分離器又はガス冷媒分離兼冷媒分流器においてもこのような直管状の連通路25と円錐形状部26とを設けてもよい。
・実施の形態17に係るガス冷媒分離兼冷媒分流器DRは、内部に冷媒中の塵埃等を除去するフィルタを設けたものであるであるが、他の実施の形態に係るガス冷媒分離器又はガス冷媒分離兼冷媒分流器においてもこのようなフィルタを設けてもよい。
・実施の形態23に係る膨張弁は、一般的な膨張弁に実施の形態6のガス冷媒分離兼冷媒分流器DRを一体的に接続するようにしていたが、他の実施の形態に係るガス冷媒分離兼冷媒分流器DRを接続するようにいてもよい。
・実施の形態23に係る膨張弁は、膨張弁に対しガス冷媒分離兼冷媒分流器DRを一体的に接続しているが、これに代えてガス冷媒分離器SGを一体的に構成し、冷媒分流器を従来どおり別体として接続するようにしてもよい。
・また、実施の形態23に係る膨張弁においては、膨張弁本体の下部に設けられた配管接続ポート50bに対し出口配管52が接続されるとともに、この出口配管52に対してガス冷媒分離兼冷媒分流器DRの接続例を示したが、これに限定されるものではない。すなわち、図36に示すように、膨張弁の側面に設けられた配管接続ポート50aに対し出口配管52が接続されるとともに、この出口配管52に対しガス冷媒分離兼冷媒分流器DRを接続することもできる。また、これらにおいてガス冷媒分離兼冷媒分流器DRの軸方向を逆方向にすることもできる。
・本発明に係るガス冷媒分離器SG又はガス冷媒分離兼冷媒分流器DRが接続される機器としては、前記のように膨張弁に限定されるものではない。例えば、オリフィス、ノズル、エジェクタ等の気液二相流を発生させるものに対し、本発明のようなガス冷媒分離器SGに接続し、これら機器から排出される冷媒中のガス冷媒を分離するためにガス冷媒分離器SG又はガス冷媒分離兼冷媒分流器DRとして組み合わせることもできる。
・図37に示されたガス冷媒分離兼冷媒分流器DRは、前述の異なる実施の形態に適用されている異なる要素の組み合わせの例である。すなわち、実施の形態15のガス冷媒分離兼冷媒分流器DRにおいて、導入室10の形状を実施の形態7のように円錐状にするとともに、導入室10と増速室20との連結部に実施の形態13のように段部16を形成したものである。このようにしても、それぞれの要素の特徴が発揮される。
・また、図38に示されたガス冷媒分離兼冷媒分流器DRも異なる実施形態に適用されている異なる要素の組み合わせの例である。すなわち、実施の形態16のガス冷媒分離兼冷媒分流器DRにおいて、導入室10の形状を実施の形態7のように円錐状にするとともに、導入室10と増速室20との連結部に実施の形態13のように段部16を形成したものである。このようにしても、それぞれの要素の特徴が発揮される。
・実施の形態3〜17の各実施形態では、分流管Pdが周方向に等ピッチにて3個設けられていたが、分流管Pdの個数や配列態様はこれに限定されることはない。例えば、分流管Pdを周方向に等ピッチにて4個以上設けるようにしてもよいし、2個としてもよい。実施の形態18〜22は、分流管Pdを18個の多数であり、大型機器用として利用することができる。
・図3,7,9,11,27.28に図示された冷凍装置には、実施の形態1〜4の何れかのガス冷媒分離器SG又はガス冷媒分離兼冷媒分流器DRが用いられているが、他の実施の形態又は変形例に係るガス冷媒分離器SG又はガス冷媒分離兼冷媒分流器DRを用いてもよい。また、実施の形態23のように膨張弁と一体的に接続製作したものとしてもよい。
・また、図3,7,9,11,27.28に図示された冷凍装置において、バイパス回路7A,7Bには逆止弁8A,8Bが用いられているが、これらを開閉弁又は全閉可能な流量制御弁に置換してもよい。この場合、逆止弁8A,8Bに代わって開閉弁又は流量制御弁により、圧縮機1からの吐出ガスがバイパス回路7A,7Bを流れるのを阻止するときは、開閉弁又は流量制御弁を閉鎖するようにすればよい。また、バイパス回路7A,7Bにガス冷媒を流通させる運転態様において、開閉弁又は流量制御弁によりバイパス量を制御することにより圧縮機へ戻るガス冷媒の過熱度を適正となるように制御すれば、ガス冷媒分離器SG又はガス冷媒分離兼冷媒分流器DRからのガス冷媒抽出量を最大限とすることができる。また、このような目的でバイパス回路7A,7B中に流量制御のための開閉弁又は流量制御弁が用いられる場合、バイパス回路7A,7B中において前記逆止弁8A,8Bと直列にこれら開閉弁又は流量制御弁を接続するようにしてもよい。このようにすれば、前述のように、開閉弁又は流量制御弁を操作することなくバイパス回路を通じての不要な冷媒流れを阻止することができる。
・実施の形態1〜17において、導入室、像側室、導出室などの角部や接続部は角張った形状にしているが、実施の形態18〜22のように、実際の製作に当たって適宜の丸みを帯びた滑らかな形状としてもよい。
・実施の形態18.19.21.22に係るガス冷媒分離兼冷媒分流器DRにおいては、導出室30の側壁32の内壁面の中心部分を外側に湾曲した部分球状に形成しているが、実施の形態4のように導出室30が基本形態IIIの場合、或いは実施の形態5のように導出室30が基本形態IVの他の実施の形態においても同様に構成してもよい。
・また、実施の形態20に係るガス冷媒分離兼冷媒分流器DRにおいては、導出室30の側壁32の内壁面の中心部分を内側に湾曲した部分球状に形成しているが、実施の形態4のように導出室30が基本形態IIIの場合、或いは実施の形態5のように導出室30が基本形態IVの他の実施の形態においても同様に構成してもよい。
・また、実施の形態18、20〜22に係るガス冷媒分離兼冷媒分流器DRにおいては、導入室10の側壁12の内壁面の中心部分を外側に湾曲した部分球状に形成しているが、他の実施の形態においても同様に構成してもよい。
・また、実施の形態19に係るガス冷媒分離兼冷媒分流器DRにおいては、導入室10の側壁12の内壁面の中心部分を内側に湾曲した部分球状に形成しているが、他の実施の形態においても同様に構成してもよい。