JP5083390B2 - 冷媒分流器、冷媒分流器一体型の膨張装置及び冷凍装置 - Google Patents
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Description
また、第二室が第三室に向かって徐々に縮径された形状に形成されているため、第二室を流通する冷媒の旋回流は、第三室に向かうにつれて徐々に旋回径が小さくなり、徐々に旋回流速が増加する。これにより、第二室内の円形流路断面における冷媒密度が、本体部の中心軸と同一の円形の等高線状に分布するようになる。その結果、冷媒の旋回流の中心軸が本体部の中心軸に近づくように作用されて、冷媒の旋回流の安定化が図られる。また、入口配管から脈動する冷媒流が流入してきた場合においても、その脈動の原因となる密度分布の不連続性が緩和される。
また、第二室で増速された冷媒の旋回流は、旋回流を維持しながら第三室に流入するように頚部を通過する。また、頚部は冷媒を噴出するノズルとして作用するので、旋回流の中心がより一層本体部の中心軸に近づくように修正される。
また、頚部を介して第三室に流入した冷媒は、旋回流が維持されることにより、中心部がガス冷媒リッチとなり外周壁の内周面付近が液冷媒リッチの密度分布となるとともに、旋回流の中心軸を本体部の中心軸に近づけた状態が維持されて安定化される。これにより、円周方向における冷媒の密度分布が均質化される。そして、中心付近のガス冷媒は、蓋部に衝突した後、外周壁付近の冷媒分流口に対し均等に吸い込まれる。また、外周壁の内周面に沿って旋回する液冷媒は、旋回しながら蓋部側へ進み複数の冷媒分流口に分流される。
この場合において冷媒分流口が配置されている円周の直径が前記第一室における最大直径部の内径より小さく形成されているので、冷媒分流口が配置されている円周上の旋回流が維持され不安定になることがない。このため、本発明に係る冷媒分流器は、各分流管に流入する冷媒の気液の比率及び分流量の均一化が図られる。また、上記のように配管接続口から流入した冷媒は、冷媒分流口に分流されるまで中心部でガス冷媒がリッチとなり、外周壁の内周面付近では液冷媒がリッチとなる旋回流が形成れている。
したがって、本発明に係る冷媒分流器は、重力の影響を受けにくくなり、取付姿勢が一定の方向に縛られないものとすることができる。
また、前記第一室は、外周壁が断面円形の筒状を成すとともに、第二室に向かって拡径するように形成されていることが好ましい。このように構成されていると、第一室における冷媒の旋回流に対し第二室へ向かう流れ成分が付与されるので、第一室の外周壁が冷媒を第二室へ案内する案内部の役割を果たすことができる。
前記第二室と第三室とは前記頚部を含めて一体的に形成され、前記第一室はこれら第二室及び第三室とは別体に形成されて第二室に接合されているようにしてもよい。このように構成すると、最も冷媒の流速が速くなる頚部で接合する必要がなく、この頚部での流体の乱れを回避することができる。したがって、冷媒の旋回流を安定した状態で第二室から第三室へ持ち込むことができる。
以下本発明の実施の形態1に係る冷媒分流器について、図1〜図5に基づいて説明する。本実施の形態に係る冷媒分流器は、ヒートポンプ方式の冷凍装置などにおいて膨張弁と蒸発器との間に使用されるものである。
入口配管3から配管接続口13を通じて流入する冷媒は、膨張弁で減圧された気液二相流であって外周壁11の内周面に対し接線方向に導入される。これにより、冷媒分流器1の取付姿勢に関係なく第一室10内において旋回流Sを成す冷媒流が形成される。このように旋回流Sが形成されると、密度差により外周壁11側には液リッチな冷媒が旋回し、中心部にはガスリッチな冷媒が旋回するようになる。ただし、この旋回流Sは、一つの配管接続口13から第一室10に流入するように形成されているため、旋回流Sの中心が必ずしも本体部2の中心軸Jに一致しない。
外周壁31が拡径している部分では、流速も変化し続けるため冷媒分流口33へ冷媒が流入する直前に旋回流Sの流速を安定化させる役割を持つ。また、システムの循環量と分流管数との関係などにより、第三室30の半径を変更することなく、直線部31bの軸方向長さを調整することにより中央部を流れるガス冷媒が蓋部32に衝突する速度の調整を行うことができる。したがって、底壁32bの中央部に衝突する冷媒流速を小さくしたい場合には、この直線部31bを長くすればよい。
(1)配管接続口13から流入した冷媒は、第一室10に流入したときから冷媒分流口33に分流されるまで旋回流Sを維持するとともに、途中の第二室20では第三室30に向かうにつれ旋回流Sの旋回径を小さくして旋回流速を速めるように構成されているので、冷媒の旋回流Sの中心を中心軸Jに近付けて安定させることができる。
次に、実施の形態2について、図6に基づき説明する。
実施の形態2は、実施の形態1において第一室10の蓋部12の形状を変更したものであって、他の構成は実施の形態1と同一のものである。
(14)旋回流Sが形成される第一室10において、蓋部12の中心軸J部分が部分球状の形状を成して内側に膨らむように形成されているため、蓋部12の内面における圧力が最も低くなる中央部分の占有面積が小さくなる。その結果、内側への膨らみの周りの窪みに沿う流れが形成され、旋回流Sが安定化される。
次に、実施の形態3について、図7に基づき説明する。
実施の形態3は、実施の形態1において第三室30の蓋部32の形状を変更したものであって、他の構成は実施の形態1と同一のものである。
(15)旋回流Sが維持されている第三室30において、蓋部32の内面における圧力が最も低くなる中心軸J部分の占有面積が小さくなるため、内側への膨らみの周りの窪みに沿う流れが形成されて旋回流Sが安定化される。
次に、実施の形態4について、図8に基づき説明する。
実施の形態4は、実施の形態1において頚部40を直管形状に形成するとともに、本体部2の構成部材の繋ぎ個所を変更したものである。
(16)頚部40は、実施の形態1の場合より長い一定直径の通路として構成されているので、入口配管3から脈動する冷媒流が流入してきた場合においても、その脈動の原因となる密度分布の不連続性がより効果的に緩和される。
次に、実施の形態5について図9に基づき説明する。
実施の形態5は、実施の形態4における第一室10の蓋部12の形状を変更したものである。以下実施の形態4との相違点について説明する。
次に、実施の形態6について、図10及び図11に基づき説明する。
この実施の形態に係る冷媒分流器1は、実施の形態1に係る冷媒分流器1において、第三室30の開口端31aの形状を変更するとともに、第三室30の蓋部32の構成を変更したものである。以下実施の形態1との相違点について説明する。
(18)このように構成すると、開口端31a及び蓋部32の立上り壁32aの加工が容易となる。また、冷媒分流口33の加工も容易になる。
次に、実施の形態7について、図12及び図13に基づき説明する。
この実施の形態に係る冷媒分流器1は、実施の形態1に係る冷媒分流器1において、第三室30の開口端31aの形状を変更するとともに、第三室30の蓋部32の構成を変更したものである。
(19)この実施の形態における蓋部32を構成する部材は、厚肉の部材により構成されているが、開口端31a及び蓋部32の冷媒分流口33の加工が単純化される。
次に、実施の形態8について、図14に基づき説明する。
本実施形態の冷媒分流器1は、実施形態1に係る冷媒分流器1において、入口配管3の配置位置を変更したものである。以下実施の形態1との相違点について説明する。なお、図14は、図5(b)と同じ向きの断面図である。
H=本実施の形態における偏心量、すなわち、本体部2の中心軸Jから最も近い、入口配管3の内壁面と中心軸Jとの間隔(図14参照)
H1=入口配管3の外壁面が外周壁11の内周面に対し接線方向に配置されている場合、すなわち実施の形態1における偏心量(図5(b)参照)
r=配管接続口13が配置されている位置における外周壁11の内周面の半径
d=入口配管3の内径(図14参照)
とした場合に、H<r<H+dを満たすように入口配管3を配置する。また、このようにするとH>H1となる。
(20)第一室10内に安定した旋回流を形成するには、入口配管3から流入する冷媒の流速が高すぎると、配管接続口13周辺において局所的な渦が発生し、旋回流Sの中心が中心軸Jからずれ易くなる。この場合に入口配管3の内径dを大きくすることによって、入口配管3から流入する冷媒の流速を下げることができる。しかしながら、入口配管3の内径dを大きくすることによって偏心量Hが小さくなってしまうので、旋回力が小さくなるという問題がある。また、この場合に、第一室10の外周壁11の内径を大きくすることによって、旋回力の低下を防止することができる。しかしながら、このような構成とした場合には、冷媒分流器1が大型化してしまうという問題が生ずる。そこで、本実施形態では、入口配管3を第一室10の外方に張り出して配置することにより入口配管3の内径dを大きくして第一室10に流入する冷媒の流速を下げることを可能とするとともに、外周壁11の内径を大きくすることなく入口配管3の中心軸Jに対する偏心量Hを大きくしている。したがって、本実施の形態に係る冷媒分流器1によれば、第一室10内において本体部2の中心軸Jに近い中心を有する冷媒の旋回流Sが形成され易くなる。
次に、実施の形態9について、図15に基づき説明する。
本実施形態の冷媒分流器1は、実施形態1に係る冷媒分流器1において、入口配管3と第一室10との間に気液を予め分離する構成を付加したものである。以下実施の形態1との相違点について説明する。なお、図15は、図5(b)と同じ向きの断面図である。
(21)本実施形態に係る冷媒分流器1によれば、第一室10の外周壁11よりも外方に配設された入口配管3と配管接続口13との間に設けられた湾曲配管部15により予め気液分離され、液冷媒が外周壁11よりに、また、ガス冷媒が中心軸Jよりに導入される。したがって、第一室10内に流入する冷媒の不安定性が低減され、第一室10内に形成される冷媒の旋回流がより安定化される。
次に、実施の形態10について、図16に基づき説明する。
本実施形態の冷媒分流器1は、実施形態1に係る冷媒分流器1において、入口配管3と第一室10との間に気液を予め分離する構成を付加したものである。以下実施の形態1との相違点について説明する。なお、図16は、図5(b)と同じ向きの断面図である。
(22)本実施形態に係る冷媒分流器1によれば、第一室10の外周壁11よりも外方に配設された入口配管3と配管接続口13との間に設けられた湾曲配管部15により予め気液分離される。また、予め分離された液冷媒が外周壁11に沿って流入されるとともに、分離されたガス冷媒が内側配管部17により中心軸J付近に導入されるため、第一室10内に導入される冷媒の密度分布の不安定性が低減されるとともに、中心軸J付近を中心とし旋回流Sが形成され易くなるので、第一室10内に形成される冷媒の旋回流がより安定化される。
次に、実施の形態11について、図17に基づき説明する。
本実施形態の冷媒分流器1は、実施形態1に係る冷媒分流器1において、入口配管3の第一室10に対する接続構造を変更したものである。以下実施の形態1との相違点について説明する。なお、図17は、図5(b)と同じ向きの断面図である。
(23)本実施の形態に係る冷媒分流器1によれば、入口配管3の延設部3aにより効果的に旋回力が付与された状態で第一室10内に導入されるので、冷媒分流器1を大型化することなく第一室10内に形成される冷媒の旋回流が強力化されるともにより一層安定化される。
次に、実施の形態12に係る膨張装置について、図18及び図19に基づき説明する。
本実施形態に係る膨張装置は、実施形態1に係る冷媒分流器1が膨張弁5の出口側に接続された、膨張弁5と冷媒分流器1とが一体化された一体化構造品である。以下この実施の形態に係る膨張装置ついて説明する。なお、冷媒分流器1については実施の形態1と同様のものであるので、その個別的な説明は省略する。なお、この実施の形態の説明において上下左右方向をいうときは、各図における上下左右方向をいうものとする。また、各図における実線矢印は、冷媒分流器1を冷媒分流器として作用させるときの冷媒の流れ方向を示すものとする。
(24)膨張弁5と冷媒分流器1とが各別に設けられる場合には、膨張弁5と冷媒分流器1とを接続するための膨張弁5の出口側冷媒配管53に連絡配管を接続する必要があるが、本実施の形態に係る膨張装置では、膨張弁5と冷媒分流器1とが一体化構造として形成されているため、上記連絡配管を省略することができる。また、膨張弁5の出口側冷媒配管53と冷媒分流器1の入口配管3とを兼用することができる。このように、本実施の形態に係る膨張装置によれば、膨張弁5及び冷媒分流器1を含む配管装置をコンパクト化することができる。
次に、実施の形態13に係る冷凍装置について、図20に基づき説明する。
本実施形態に係る冷凍装置は、実施形態12に係る膨張装置を利用したものである。以下この実施の形態に係る冷凍装置について説明する。
(27)この冷凍装置には実施の形態12に係る膨張装置が用いられているので、気液の比率及び分流量を均一化した冷媒を、蒸発器として作用する室外側熱交換器63または室内側熱交換器66の複数の冷媒通路に供給することができるので、冷凍装置を効率よく運転することができるとともに、冷媒流動音を低減することができる。
本発明は、上記各実施の形態に限定されることなく以下のように変更することも可能である。なお、以下の変形例は、上記各実施の形態についてのみ適用されるものでなく、異なる変形例同士を互いに組み合わせて実施する場合にも適用することもできる。
・本発明に係る冷凍装置は、実施の形態13に示したヒートポンプ式の分離型空気調和機に限定されるものではない。例えば、一体型空気調和機、分離型冷房専用機などの他形式の空気調和機や、冷蔵庫、冷凍庫などの冷凍装置であってもよい。
Claims (16)
- 断面円形の筒状容器の両端が蓋部で閉じられた本体部に対し、一端側に膨張弁からの冷媒を導入する入口配管が接続され、他端側に複数の分流管が接続されるように構成された冷媒分流器であって、
前記本体部は、入口配管が接続される一端側から軸方向に第一室、第二室、及び第三室の三つの室に区分され、
前記第一室は、入口配管を接続する配管接続口を有し、配管接続口から流入される冷媒を外周壁における内周面の接線方向に導入して、冷媒の旋回流を形成するように構成されるとともに、第二室に向かって拡径するように形成され、
前記第二室は、第一室から流入される冷媒の旋回流を増速するように第三室に向かって徐々に縮径され、
前記第二室と第三室との間には、第二室からの冷媒を旋回させながら前記第三室に導入するように頚部が形成され、
前記第三室は、前記頚部から導入された冷媒の旋回流を液冷媒とガス冷媒との密度差により、中心部をガス冷媒リッチとし、中心部から外周壁に向かうにつれ液冷媒リッチとなる冷媒の旋回流が形成される大きさの直径に形成されるとともに、分流管を接続する複数の冷媒分流口がこの第三室の蓋部の外周付近または外周壁の蓋部付近の一定直径の円周上において周方向に等間隔に形成され、さらに、この冷媒分流口が配置されている円周の直径が前記第一室における最大直径部の内径より小さく形成されている
ことを特徴とする冷媒分流器。 - 前記第三室は、外周壁が前記頚部から蓋部に向かって拡径する円錐状に形成されていることを特徴とする請求項1記載の冷媒分流器。
- 前記頚部は、第二室と第三室とが滑らかな曲面により接続されるように形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の冷媒分流器。
- 前記第二室と第三室とは前記頚部を含めて一体的に形成され、前記第一室はこれら第二室及び第三室とは別体に形成されて第二室に接合されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の冷媒分流器。
- 前記第二室と第三室とは、別部材により形成されるとともに、前記頚部において両者が接続されるように構成されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の冷媒分流器。
- 前記第一室は、前記蓋部の中心部が部分球状の形状を成して外側に膨らむように形成されていることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の冷媒分流器。
- 前記第一室は、前記蓋部の中心部が部分球状の形状を成して内側に膨らむように形成されていることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の冷媒分流器。
- 前記第三室は、前記蓋部の中心部が部分球状の形状を成して外側に膨らむように形成されていることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の冷媒分流器。
- 前記第三室は、前記蓋部の中心部が部分球状の形状を成して内側に膨らむように形成されていることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の冷媒分流器。
- 前記配管接続口には、入口配管から第一室に向けて湾曲する湾曲配管部が設けられていることを特徴とする請求項1〜9の何れか1項に記載の冷媒分流器。
- 前記本体部内に、多孔質材料からなる冷媒フィルタが内蔵されていることを特徴とする請求項1〜10の何れか1項に記載の冷媒分流器。
- 前記配管接続口に対し膨張弁からの冷媒を導入する入口配管が接続されるとともに、前記複数の冷媒分流口に対しそれぞれ分流管が接続された組み付け品として構成されていることを特徴とする請求項1〜11の何れか1項に記載の冷媒分流器。
- 前記配管接続口に接続される入口配管は、前記本体部の中心軸からの偏心量が大きくなるように前記第一室の外方に張り出すように接続されていることを特徴とする請求項1〜12の何れか1項に記載の冷媒分流器。
- 請求項1〜13の何れか1項に記載の冷媒分流器が膨張弁の出口側に一体化されて接続されていることを特徴とする冷媒分流器一体型の膨張装置。
- 請求項1〜13の何れか1項に記載の冷媒分流器が用いられていることを特徴とする冷凍装置。
- 請求項14記載の冷媒分流器一体型の膨張装置が用いられていることを特徴とする冷凍装置。
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