JP5359954B2 - ヒートシンク付きパワーモジュール用基板及びパワーモジュール、並びに、ヒートシンク付きパワーモジュール用基板の製造方法 - Google Patents

ヒートシンク付きパワーモジュール用基板及びパワーモジュール、並びに、ヒートシンク付きパワーモジュール用基板の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、大電流、高電圧を制御する半導体装置に用いられるヒートシンク付きのヒートシンク付きパワーモジュール用基板及びパワーモジュール、並びに、ヒートシンク付きパワーモジュール用基板の製造方法に関する。
半導体素子の中でも電力供給のためのパワーモジュールは発熱量が比較的高いため、これを搭載する基板としては、例えば、AlN(窒化アルミ)やSi(窒化ケイ素)などからなるセラミックス基板上にAl(アルミニウム)の第一の金属板が接合されるとともに、基板の反対側にAl(アルミニウム)の第二の金属板を介してヒートシンクが接続されたヒートシンク付きパワーモジュール用基板が用いられる。
従来、このようなヒートシンク付きパワーモジュール用基板は、以下のように製造される。すなわち、まず基板の表面に、基板と金属板との接合に適するろう材を介して第一の金属板及び第二の金属板を重ねて、所定の圧力で加圧しながら、該ろう材が溶融する温度まで加熱し、これにより基板と第一の金属板及び第二の金属板とを接合させる。次に、第二の金属板に、金属板とヒートシンクとの接合に適するろう材を介してヒートシンクを重ねて、所定の圧力で加圧しながら、該ろう材が溶融する温度まで加熱し、これにより第二の金属板とヒートシンクとを接合させることで製造される(例えば、特許文献1参照)。
また、このようなヒートシンク付きパワーモジュール基板では、第一の金属板は回路層として形成され、第一の金属板の上には、はんだ材を介してパワー素子の半導体チップが搭載される。
特開2000−9212号公報
しかしながら、特許文献1のようなヒートシンク付きパワーモジュール用基板では、基板と、アルミニウムからなる第一の金属板及び第二の金属板とを上記所定のろう材により接合する際には、第二の金属板にヒートシンクを接合する際の温度と比較しても高温となる。このため、近年、低エネルギー化が求められる中で、より低温環境化で接合して製造可能な構造が求められていた。また、第一の金属板及び第二の金属板を基板に接合する温度が高温であるが故に、接合して冷却した際に熱収縮による反りが発生しやすく、また、加熱時において接合に寄与せずに漏れ出すろう材が顕著に認められ、ろう材が漏れ出すことで生じるろうしみ、ろう瘤による製品不良が発生しやすい問題があった。
この発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、低エネルギーで製造可能であるとともに、反り、ろう付け不良の発生を最小限に抑えることが可能なヒートシンク付きパワーモジュール用基板及びこれを備えたパワーモジュール、並びに、ヒートシンク付きパワーモジュール用基板の製造方法を提供するものである。
このような課題を解決して、前記目的を達成するために、本発明のヒートシンク付きパワーモジュール用基板は、セラミックス基板と、該セラミックス基板の表面に一面が接合されたアルミニウムからなる第一の金属板と、前記セラミックス基板の裏面に一面が接合されたアルミニウムからなる第二の金属板と、該第二の金属板の前記セラミックス基板と接合された前記一面と反対側の他面に接合されたアルミニウムまたはアルミニウム合金からなるヒートシンクとを備え、前記第一の金属板及び前記第二の金属板のそれぞれと前記セラミックス基板とがSiを含有するろう材を用いて接合されるとともに、前記セラミックス基板とのそれぞれの接合界面にCuが添加されており、前記第一の金属板及び前記第二の金属板には、Si及びCuが固溶しており、それぞれの前記接合界面から50μmの範囲におけるSi濃度が0.05〜1wt%,Cu濃度が0.05〜4wt%の範囲内に設定されていることを特徴としている。
この構成のヒートシンク付きパワーモジュール用基板においては、セラミックス基板とアルミニウムからなる第一の金属板及び第二の金属板のそれぞれとがSiを含有するろう材を用いて接合されるとともに、第一の金属板及び第二の金属板のそれぞれとセラミックス基板の接合界面にCuが添加されている。ここで、Cuは、Alに対して反応性の高い元素であるため、接合界面にCuが存在することによってアルミニウムからなる第一の金属板及び第二の金属板のそれぞれの表面が活性化することになる。よって、一般的なAl−Si系のろう材を用いて、比較的低温、短時間の接合条件でセラミックス基板と金属板とを強固に接合することができ、低エネルギー化を図ることができる。また、比較的低温で接合することができることで、第二の金属板とヒートシンクとの接合と同時に実施することが可能であり、同時実施とすることでさらに低エネルギー化を図ることができる。また、比較的低温の条件で接合することで、冷却後の熱収縮を最小限とすることができ、反りの発生を抑えることができるとともに、加熱時におけるろう材の漏れ出しを抑えて、ろうしみやろう瘤による製品不良の発生を抑えることができる。
なお、Cuを接合界面に添加する方法としては、セラミックス基板及びろう材の表面にCuを蒸着、スパッタリング及びメッキ等によって固着してもよいし、Al−Si系のろう材中にCuを含有させてもよい。
また、第一の金属板及び第二の金属板のそれぞれにCuが固溶しており、前記接合界面から50μmの範囲におけるCu濃度が、0.05〜4wt%の範囲内に設定されているので、第一の金属板及び第二の金属板のそれぞれの接合界面側部分が固溶強化することになる。これにより、金属板部分での破断を防止することができ、接合信頼性を向上させることができる。
さらに、セラミックス基板とアルミニウムからなる第一の金属板及び第二の金属板のそれぞれとがSiを含有するろう材を用いて接合されており、第一の金属板及び第二の金属板のそれぞれにSiが固溶し、前記接合界面から50μmの範囲におけるSi濃度が、0.05〜1wt%の範囲内に設定されているので、ろう材が確実に溶融してSiが十分に金属板に拡散しており、セラミックス基板と第一の金属板及び第二の金属板のそれぞれとが強固に接合される。
また、前記第二の金属板の厚さが、前記第一の金属板の厚さ以上となるように設定されている構成を採用することが好ましい。
この場合に、ヒートシンクが設けられている側の剛性を、反対側の剛性と比較して高くすることができ、これにより冷却後の反りをさらに抑えることができる。
また、前記セラミックス基板の幅が前記第一の金属板及び前記第二の金属板の幅よりも広く設定されており、前記第一の金属板及び前記第二の金属板のそれぞれの幅方向端部には、Cuを含む化合物がアルミニウム中に析出したCu析出部が形成された構成を採用することが好ましい。
この場合、第一の金属板及び第二の金属板のそれぞれの幅方向端部にCu析出部が形成されているので、各幅方向端部を析出強化することが可能となる。これにより、第一の金属板及び第二の金属板のそれぞれの幅方向端部からの破断の発生を防止することができ、接合信頼性を向上させることができる。
ここで、前記セラミックス基板がAlN又はAlで構成されており、前記第一の金属板及び前記第二の金属板のそれぞれと前記セラミックス基板との接合界面に、Si濃度が前記第一の金属板及び前記第二の金属板のそれぞれに含まれるSi濃度の5倍以上とされたSi高濃度部が形成されていてもよい。
この場合、第一の金属板及び第二の金属板のそれぞれとセラミックス基板との接合界面に、Si濃度が各金属板に含まれるSi濃度の5倍以上とされたSi高濃度部が形成されているので、接合界面に存在するSi原子によってAlN又はAlからなるセラミックス基板とアルミニウムからなる第一の金属板及び第二の金属板のそれぞれとの接合強度が向上することになる。
なお、ここで、各金属板中のSi濃度とは、当該金属板のうち接合界面から一定距離(例えば、5nm)離れた部分におけるSi濃度である。
接合界面に高濃度で存在するSiは、主にろう材中に含有されたSiであると考えられる。接合時に、Siはアルミニウム(第一の金属板または第二の金属板)中に拡散し、接合界面から減少することになるが、セラミックスとアルミニウム(第一の金属板または第二の金属板)との界面部分が不均一核生成のサイトとなってSi原子が界面部分に残存し、Si濃度が各金属板に含まれるSi濃度の5倍以上とされたSi高濃度部が形成されることになる。
また、前記セラミックス基板がSiで構成されており、前記第一の金属板及び前記第二の金属板のそれぞれと前記セラミックス基板との接合界面に、酸素濃度が前記第一の金属板、前記第二の金属板及び前記セラミックス基板のそれぞれに含まれる酸素濃度よりも高くされた酸素高濃度部が形成されており、該酸素高濃度部の厚さが4nm以下とされていてもよい。
この場合、Siからなるセラミックス基板と、アルミニウムからなる第一の金属板及び第二の金属板のそれぞれとの接合界面に、酸素濃度が各金属板及びセラミックス基板に含まれる酸素濃度よりも高くされた酸素高濃度部が形成されているので、接合界面に存在する酸素によってSiからなるセラミックス基板とアルミニウムからなる第一の金属板及び第二の金属板のそれぞれとの接合強度が向上する。さらに、この酸素高濃度部の厚さが4nm以下とされているので、熱サイクルを負荷した際の応力によって酸素高濃度部にクラックが発生することが抑制される。
なお、ここで、各金属板中及びセラミックス基板中の酸素濃度とは、当該金属板及びセラミックス基板のうち接合界面から一定距離(例えば、5nm)離れた部分における酸素濃度である。
また、接合界面に高濃度で存在する酸素は、セラミックス基板の表面に存在する酸素及びろう材の表面に形成された酸化膜から取り込まれたものであると考えられる。ここで、酸素濃度が接合界面において高濃度に存在するということは、これらの酸化膜等が確実に除去されるように十分に加熱されていることになり、セラミックス基板と第一の金属板及び第二の金属板のそれぞれとを強固に接合することが可能となる。
本発明のパワーモジュールは、上記のヒートシンク付きパワーモジュール用基板と、該ヒートシンク付きパワーモジュール用基板上に搭載される電子部品と、を備えたことを特徴としている。
この構成のパワーモジュールによれば、低エネルギーで製造可能であるとともに、反りや、ろうしみやろう瘤による製品不良を抑えることができ、信頼性の向上を図ることができる。
また、本発明のパワーモジュール用基板の製造方法は、セラミックス基板と、該セラミックス基板の表面に一面が接合されたアルミニウムからなる第一の金属板と、前記セラミックス基板の裏面に一面が接合されたアルミニウムからなる第二の金属板と、該第二の金属板の前記セラミックス基板と接合された前記一面と反対側の他面に接合されたアルミニウムまたはアルミニウム合金からなるヒートシンクとを備えるヒートシンク付きパワーモジュール用基板の製造方法であって、前記セラミックス基板と前記第一の金属板及び前記第二の金属板のそれぞれとの間にSiを含有する第一のろう材を介装させて積層させる第一の積層工程と、積層された前記セラミックス基板と前記第一の金属板及び前記第二の金属板とを加圧した状態で加熱し、前記第一のろう材を溶融させてセラミックス基板と前記第一の金属板及び前記第二の金属板のそれぞれとの界面に第一の溶融アルミニウム層を形成する第一の溶融工程と、前記第一の溶融アルミニウム層を凝固させる第一の凝固工程と、前記第二の金属板と前記ヒートシンクとの間にSiを含有する第二のろう材を介装させて積層させる第二の積層工程と、積層された前記第二の金属板と前記ヒートシンクとを加圧した状態で加熱し、前記第二のろう材を溶融させて前記第二の金属板とヒートシンクとの界面に第二の溶融アルミニウム層を形成する第二の溶融工程と、前記第二の溶融アルミニウム層を凝固させる第二の凝固工程と、を有し、前記第一の積層工程の前に、前記セラミックス基板の接合面及び前記第一のろう材のセラミックス基板側となる一面のうち少なくとも一方にCuを固着させるCu固着工程を有していることを特徴としている。
この構成のパワーモジュール用基板の製造方法によれば、セラミックス基板と第一の金属板及び第二の金属板のそれぞれとの間にSiを含有する第一のろう材を介装させて積層させる第一の積層工程の前に、セラミックス基板の接合面及び第一のろう材のセラミックス基板側の一面のうち少なくとも一方にCuを固着させるCu固着工程を有している。このため、セラミックス基板と第一の金属板及び第二の金属板のそれぞれとの接合界面にCuが確実に添加され、このCuによって第一の金属板及び第二の金属板のそれぞれの表面が活性化され、一般的なAl−Si系のろう材を用いて比較的低温、短時間の接合条件でセラミックス基板と金属板とを強固に接合することができ、低エネルギー化を図ることができる。また、比較的低温で接合することができることで、第二の金属板とヒートシンクとの接合と同時に実施することが可能であり、同時実施とすることでさらに低エネルギー化を図ることができる。また、比較的低温の条件で接合することで、冷却後の熱収縮を最小限とすることができ、反りの発生を抑えることができるとともに、加熱時におけるろうの漏れ出しを抑えて、ろうしみやろう瘤による製品不良の発生を抑えることができる。
ここで、前記第一の積層工程と前記第二の積層工程、前記第一の溶融工程と前記第二の溶融工程、及び、前記第一の凝固工程と前記第二の凝固工程のそれぞれを同時に行うことが好ましい。
この場合、積層、溶融、凝固の各工程を1回実施すれば良くなるので、2回実施するのに比較して、エネルギーの消費を低く抑えることができる。また、繰り返し加熱、冷却を行わずに済むので、反りの低減も図ることができる。
また、前記Cu固着工程は、蒸着又はスパッタリングによって前記セラミックス基板の接合面及び前記第一のろう材の前記一面のうち少なくとも一方にCuを固着させるものとすることが好ましい。
この場合、蒸着又はスパッタリングによって、Cuが前記セラミックス基板の接合面及び前記ろう材の表面の少なくとも一方に確実に固着され、セラミックス基板と金属板との接合界面にCuを確実に存在させることが可能となる。これにより、Cuによって金属板の表面が活性化され、セラミックス基板と金属板とを強固に接合することが可能となる。
本発明によれば、ヒートシンク付きパワーモジュール用基板及びこれを備えたパワーモジュールを、低エネルギーで製造可能であるとともに、反り、ろう付け不良の発生を最小限に抑えることが可能である。
本発明の第1の実施形態であるヒートシンク付きパワーモジュール用基板を用いたパワーモジュールの概略説明図である。 本発明の第1の実施形態であるヒートシンク付きパワーモジュール用基板の回路層及び金属層のSi濃度分布及びCu濃度分布を示す説明図である。 本発明の第1の実施形態であるヒートシンク付きパワーモジュール用基板の回路層及び金属層(金属板)とセラミックス基板との接合界面の模式図である。 本発明の第1の実施形態であるヒートシンク付きパワーモジュール用基板の製造方法を示す説明図である。 図4における金属板とセラミックス基板との接合界面近傍を示す説明図である。 本発明の第2の実施形態であるヒートシンク付きパワーモジュール用基板を用いたパワーモジュールの概略説明図である。 本発明の第2の実施形態であるヒートシンク付きパワーモジュール用基板の回路層及び金属層(金属板)とセラミックス基板との接合界面の模式図である。 比較実験に用いたヒートシンク付きパワーモジュール用基板を示す説明図である。 比較実験における反り計測の詳細を示す説明図である。
以下に、本発明の実施形態について添付した図面を参照して説明する。図1に本発明の第1の実施形態であるパワーモジュール用基板及びパワーモジュールを示す。
このパワーモジュール1は、回路層12、金属層13及びヒートシンク4を有するヒートシンク付きパワーモジュール用基板(以下、単にパワーモジュール用基板と称す)10と、回路層12の表面にはんだ層2を介して接合された半導体チップ3とを備えている。ここで、はんだ層2は、例えばSn−Ag系、Sn−In系、若しくはSn−Ag−Cu系のはんだ材とされている。なお、本実施形態では、回路層12とはんだ層2との間にNiメッキ層(図示なし)が設けられている。
パワーモジュール用基板10は、セラミックス基板11と、このセラミックス基板11の表面(図1において上面)に積層された回路層12と、セラミックス基板11の裏面(図1において下面)に積層された金属層13と、金属層13に積層されたヒートシンク4とを備えている。
セラミックス基板11は、回路層12と金属層13との間の電気的接続を防止するものであって、絶縁性の高いAlN(窒化アルミ)で構成されている。また、セラミックス基板11の厚さは、0.2〜1.5mmの範囲内に設定されており、本実施形態では、0.635mmに設定されている。なお、本実施形態では、図1に示すように、セラミック基板11の幅(図1の左右方向長さ)は、回路層12及び金属層13の幅より広く設定されている。
回路層12は、セラミックス基板11の表面に導電性を有する第一の金属板22が接合されることにより形成されている。本実施形態においては、回路層12は、純度が99.99%以上のアルミニウム(いわゆる4Nアルミニウム)の圧延板からなる第一の金属板22がセラミックス基板11に接合されることにより形成されている。ここで、セラミックス基板11と第一の金属板22との接合には、融点降下元素であるSiを含有したAl−Si系のろう材を用いている。
金属層13は、セラミックス基板11の裏面に第二の金属板23が接合されることにより形成されている。本実施形態においては、金属層13は、回路層12と同様に、純度が99.99%以上のアルミニウム(いわゆる4Nアルミニウム)の圧延板からなる第二の金属板23がセラミックス基板11に接合されることで形成されている。ここで、セラミックス基板11と第二の金属板23の接合には、第一の金属板22との接合同様に融点降下元素であるSiを含有したAl−Si系のろう材を用いている。ここで、金属層13の厚さとしては、回路層12の厚さ以上に設定されていることが好ましい。
ヒートシンク4は、上記セラミックス基板11、回路層12及び金属層13を冷却するためのものであり、金属層13のセラミックス基板11と接合される一面と反対側の他面と接合される天板部5と冷却媒体(例えば冷却水)を流通するための流路6とを備えている。ヒートシンク4(天板部5)は、熱伝導性が良好な材質で構成されることが望ましく、本実施形態においては、A6063(アルミニウム合金)で構成されている。ここで、ヒートシンク4と第二の金属板23との接合には、Al−Si系やAl−Si−Mg系など、Al系のろう材を用いている。
そして、図2に示すように、セラミックス基板11と回路層12(第一の金属板22)及び金属層13(第二の金属板23)との接合界面30の幅方向中央部(図1のA部)においては、回路層12(第一の金属板22)及び金属層13(第二の金属板23)にSi,Cuが固溶しており、接合界面30から積層方向に離間するにしたがい漸次Si,Cuの濃度が低下する濃度傾斜層33が形成されている。ここで、回路層12及び金属層13における濃度傾斜層33の接合界面30近傍(接合界面30から50μmの範囲内)のSi濃度が0.05〜1wt%,Cu濃度が0.05〜4wt%の範囲内に設定されている。
なお、濃度傾斜層33の接合界面30近傍のSi濃度及びCu濃度は、EPMA分析(スポット径30μm)によって、接合界面30から50μmの位置で5点測定した平均値である。また、図2のグラフは、回路層12(金属板22)及び金属層13(金属板23)の中央部分において積層方向にライン分析を行い、前述の50μm位置での濃度を基準として求めたものである。
また、セラミックス基板11と回路層12(第一の金属板22)及び金属層13(第二の金属板23)との接合界面30の幅方向端部(図1のB部)においては、アルミニウムの母相中にCuを含む化合物が析出したCu析出部35が形成されている。ここで、このCu析出部35におけるCu濃度は、0.5〜5.0wt%の範囲内に設定されており、アルミニウム中の固溶量を大幅に超えるCuが含有されている。
なお、Cu析出部35のCu濃度は、EPMA分析(スポット径30μm)で5点測定した平均値である。
また、セラミックス基板11と回路層12(第一の金属板22)及び金属層13(第二の金属板23)との接合界面30を透過電子顕微鏡において観察した場合には、図3に示すように、接合界面30にSiが濃縮したSi高濃度部32が形成されている。このSi高濃度部32においては、Si濃度が、回路層12(第一の金属板22)及び金属層13(第二の金属板23)中のSi濃度よりも5倍以上高くなっている。なお、このSi高濃度部32の厚さHは4nm以下とされている。
ここで、観察する接合界面30は、図3に示すように、回路層12(第一の金属板22)及び金属層13(第二の金属板23)の格子像の界面側端部とセラミックス基板11の格子像の界面側端部との間の中央を基準面Sとする。
このようなパワーモジュール用基板10は、以下のようにして製造される。
図4に示すように、AlNからなるセラミックス基板11の両面に、スパッタリングによってCuが固着される(Cu固着工程)。
そして、セラミックス基板11の表面に、回路層12となる第一の金属板22(4Nアルミニウムの圧延板)が、厚さ15〜30μm(本実施形態では20μm)の第一のろう材箔24を介して積層され、セラミックス基板11の裏面に金属層13となる第二の金属板23(4Nアルミニウムの圧延板)が同様に厚さ15〜30μm(本実施形態では20μm)の第一のろう材箔24を介して積層される(第一の積層工程)。さらに、金属層13となる第二の金属板23のセラミック基板11が積層された一面と反対側の他面に、ヒートシンク4が、厚さ15〜30μm(本実施形態では20μm)の第二のろう材箔25を介して積層される(第二の積層工程)。以上のようにして、第一の金属板22、第一のろう材箔24、セラミックス基板11、第一のろう材箔24、第二の金属板23、第二のろう材箔25、及びヒートシンク4によって構成される積層体20が形成される。ここで、第一のろう材箔24としては、上記のとおりAl−Si系が選択される。また、第二のろう材箔25としては、上記のとおりAl系が選択される。
そして、この積層体20をその積層方向に加圧(圧力1〜3kgf/cm2)した状態で真空炉内に装入して、例えばハロゲンヒータを利用して加熱し、第一のろう材箔24を溶融し(第一の溶融工程)、また、第二のろう材箔25を溶融する(第二の溶融工程)。ここで真空炉内の真空度は、10−3Pa〜10−5Paとされている。また、上記のとおり、セラミックス基板11と第一の金属板22及び第二の金属板23のそれぞれとの接合界面にCuが確実に添加され、このCuによって第一の金属板22及び第二の金属板23のそれぞれの表面が活性化され、一般的なAl−Si系のろう材を用いて、第二の金属板23とヒートシンク4とを接合可能な比較的低温の接合温度でセラミックス基板11と、第一の金属板22及び第二の金属板23とを接合することが可能である。このため、積層体20全体を、第二の金属板23とヒートシンク4とを接合可能な温度まで加熱することによって、第一、第二の溶融工程が同時に実施され、図5に示すように、回路層12及び金属層13となる第一の金属板22及び第二の金属板23の一部と、第一のろう材箔24とが溶融し、セラミックス基板11の両面に第一の溶融アルミニウム層26が形成され、また、第二の金属板23及びヒートシンク4の一部と、第二のろう材箔25とが溶融し、第二の金属板23とヒートシンク4との間に第二の溶融アルミニウム層27が形成される。
次に、積層体20を冷却することによって第一の溶融アルミニウム層26を凝固させ(第一の凝固工程)、また、第二の溶融アルミニウム層27を凝固させる(第二の凝固工程)。このようにして、回路層12及び金属層13となる第一の金属板22及び第二の金属板23のそれぞれとセラミックス基板11とが接合され、また、金属層13となる第二の金属板23とヒートシンク4とが接合され、本実施形態であるヒートシンク付きパワーモジュール用基板10が製造される。
以上のような構成とされた本実施形態であるヒートシンク付きパワーモジュール用基板10及びパワーモジュール1においては、セラミックス基板11と回路層12(第一の金属板22)及び金属層13(第二の金属板23)とが、Al−Si系のろう材を用いて接合されるとともに、回路層12(第一の金属板22)及び金属層13(第二の金属板23)とセラミックス基板11の接合界面30にCuが添加されている。このため、接合界面30に存在するCuとAlとが溶融反応し、比較的低温、短時間の接合条件で接合しても、セラミックス基板11と回路層12(第一の金属板22)及び金属層13(第二の金属板23)とを強固に接合でき、低エネルギーでの接合を可能とするとともに、接合信頼性を大幅に向上させることができる。また、比較的低温で接合することができることで、上記のとおり第一の積層工程と第二の積層工程、第一の溶融工程と第二の溶融工程、及び、第一の凝固工程と第二の凝固工程を、それぞれ同時に実施することが可能であり、同時実施とすることでさらなる低エネルギー化を図ることができる。また、比較的低温の条件で接合することで、第一の凝固工程及び第二の凝固工程による冷却後のパワーモジュール用基板10の各層の熱収縮を最小限とすることができ、反りの発生を抑えることができるとともに、第一の溶融工程及び第二の溶融工程での加熱時におけるろう材の漏れ出しを抑えて、ろうしみやろう瘤による製品不良の発生を抑えることができる。なお、第一の溶融工程と第二の溶融工程とを同時に実施する場合には、ヒートシンクの接合も真空雰囲気中で実施する必要があるが、ハロゲンヒータによる輻射熱を利用した加熱とすることで、効率良く加熱して生産性の向上を図ることができる。また、金属層13(第二の金属板23)の厚さが、回路層12(第一の金属板22)の厚さ以上に設定されていることで、ヒートシンク4が設けられている側の剛性を、反対側となる回路層12が設けられている側の剛性と比較して高くすることができ、これにより冷却後の反りをさらに抑えることができる。
また、セラミックス基板11と回路層12(第一の金属板22)及び金属層13(第二の金属板23)との接合界面30の幅方向中央部(図1のA部)においては、回路層12(第一の金属板22)及び金属層13(第二の金属板23)にSi,Cuが固溶しており、接合界面30から積層方向に離間するにしたがい漸次Si,Cuの濃度が低下する濃度傾斜層33が形成されており、この濃度傾斜層33の接合界面30近傍(接合界面30から50μmの範囲内)のCu濃度が0.05〜4wt%の範囲内に設定されているので、回路層12(第一の金属板22)及び金属層13(第二の金属板23)の接合界面30側の部分が固溶強化し、回路層12(第一の金属板22)及び金属層13(第二の金属板23)における破断の発生を防止することができる。
また、この濃度傾斜層33の接合界面30近傍(接合界面30から50μmの範囲内)のSi濃度が0.05〜1wt%の範囲内に設定されているので、Siが十分に回路層12(第一の金属板22)及び金属層13(第二の金属板23)中に拡散しており、第一のろう材箔24が確実に溶融して凝固されることでセラミックス基板11と回路層12(第一の金属板22)及び金属層13(第二の金属板23)とを強固に接合することができる。
さらに、セラミックス基板11の幅(図1の左右方向長さ)が回路層12(第一の金属板22)及び金属層13(第二の金属板23)の幅よりも広く設定され、回路層12(第一の金属板22)及び金属層13(第二の金属板23)の幅方向端部に、Cuを含む化合物がアルミニウム中に析出したCu析出部35が形成されているので、回路層12(第一の金属板22)及び金属層13(第二の金属板23)の幅方向端部が析出強化することになる。これにより、回路層12(第一の金属板22)及び金属層13(第二の金属板23)の幅方向端部からの破断の発生を防止することができる。
また、本実施形態では、セラミックス基板11がAlNで構成されており、第一の金属板22、23とセラミックス基板11との接合界面30に、Si濃度が、回路層12(第一の金属板22)及び金属層13(第二の金属板23)中のSi濃度の5倍以上とされたSi高濃度部32が形成されているので、接合界面30に存在するSiによってセラミックス基板11と第一の金属板22、23との接合強度の向上を図ることができる。
次に、本発明の第2の実施形態について図6及び図7を参照して説明する。なお、第1の実施形態と同一の部材には同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
この第2の実施形態であるパワーモジュール用基板110においては、セラミックス基板111がSiで構成されている点が第1の実施形態と異なっている。
ここで、セラミックス基板111と回路層12(第一の金属板22)及び金属層13(第二の金属板23)との接合界面30を透過電子顕微鏡において観察した場合には、図7に示すように、接合界面30に酸素が濃縮した酸素高濃度部132が形成されている。この酸素高濃度部132においては、酸素濃度が、回路層12(第一の金属板22)及び金属層13(第二の金属板23)中の酸素濃度よりも高くなっている。なお、この酸素高濃度部132の厚さHは4nm以下とされている。
なお、ここで観察する接合界面30は、図7に示すように、回路層12(第一の金属板22)及び金属層13(第二の金属板23)の格子像の界面側端部とセラミックス基板111の格子像の接合界面側端部との間の中央を基準面Sとする。
以上のような構成とされた第2の本実施形態であるパワーモジュール用基板110においては、回路層12及び金属層13となる第一の金属板22及び第二の金属板23とセラミックス基板111との接合界面30に、酸素濃度が回路層12及び金属層13を構成する第一の金属板22及び第二の金属板23中の酸素濃度よりも高くされた酸素高濃度部132が生成されているので、この酸素によってセラミックス基板111と第一の金属板22、23との接合強度の向上を図ることができる。
また、この酸素高濃度部132の厚さが4nm以下とされているので、熱サイクルを負荷した際の応力によって酸素高濃度部132にクラックが発生することが抑制される。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、回路層及び金属層を構成する金属板を純度99.99%の純アルミニウムの圧延板としたものとして説明したが、これに限定されることはなく、純度99%のアルミニウム(2Nアルミニウム)であってもよい。
また、ヒートシンクをアルミニウムで構成したものとして説明したが、アルミニウム合金、又はアルミニウムを含む複合材等で構成されていてもよい。さらに、ヒートシンクとして冷却媒体の流路を有するもので説明したが、ヒートシンクの構造に特に限定はない。
また、第1の実施形態において、セラミックス基板をAlNで構成されたものとして説明したが、これに限定されることはなく、Al等の他のセラミックスで構成されていてもよい。
また、セラミックス基板の表面にCuを固着させるCu固着工程を有したものとして説明したが、これに限定されることはなく、第一のろう材箔の表面にCuを固着させてもよい。また、スパッタでなく蒸着やメッキ等でCuを固着させてもよい。さらには、Al−Si系のろう材中にCuを添加してもよい。
本発明の有効性を確認するために行った比較実験について説明する。
図8に示すように、実施例及び比較例においては、厚さ0.635mmのAlNからなるセラミックス基板11と、厚さ0.6mmの4Nアルミニウムからなる回路層12と、4Nアルミニウムからなる金属層13と、厚さ5mmのアルミニウム合金(A6063)からなる天板部5とを共通に有している。なお、セラミックス基板11の外形は、正方形で、縦、横32mmである。また、ヒートシンク4に相当する天板部5の外形は、長方形で縦50mm、横70mmである。また、回路層12の厚さが0.6mmであるのに対して、金属層13の厚さとしては、実施例、比較例とも、厚さを1.0mm、1.5mm、2.0mmとした。
実施例では、セラミックス基板11の表面にCuをスパッタリングによって固着させた後に、回路層12及び金属層13となる第一の金属板22及び第二の金属板23を第一のろう材24となるAl−Si系ろう材(Al−7.5%Si)を用いて接合するとともに、ヒートシンク4を第二のろう材25となるAl−Si系ろう材(Al−10.5%Si)を用いて接合した。第一のろう材24及び第二のろう材25はともに厚さが20μm〜30μmの範囲のものを使用した。また、溶融時における接合温度は600〜615度、接合圧力は2〜4kg/cmであった。そして、凝固後における接合界面部分におけるSi濃度は0.05〜1wt%、Cu濃度が0.05〜4wt%であった。
比較例では、Cuを接合界面に添加せず、それ故にセラミックス基板11と回路層12及び金属層13との接合温度が天板部5を形成するアルミニウム合金(A6063)の融点より高くなることから、セラミックス基板11と回路層12及び金属層13との接合(接合温度650度)と、金属層13と天板部5との接合(接合温度600〜615度)とを別々に実施した。使用するろう材、各接合時の接合圧力は、実施例と同じである。
そして、製造後の実施例及び比較例のパワーモジュール用基板10の反りを計測した。図9に示すように、反りの計測は、接触式形状測定器を使用し、セラミックス基板11上、及び、天板部5上の双方で、図示する測定線X、Yに沿って行った。また、計測は、パワーモジュール用基板11を製造完了した直後、回路層12の半導体素子を搭載する表面にはんだ付けを行った後、さらに、冷熱サイクルを1000サイクル実施した後と、3回行った。計測結果を表1に示す。
Figure 0005359954
表1に示すように、全体として、接合界面にCuを添加し、セラミックス基板11と第一の金属板22及び第二の金属板23の接合、並びに、第二の金属板23と天板部5との接合を同時に実施した実施例A、B、Cの方が、比較例A、B、Cと比較して反りが小さくなることが確認された。また、第二の金属板23の厚さが厚いほど、反りが小さくなることが確認された。
次に、上記実施例Aと、比較例Aのそれぞれについて、ろうしみ面積率を測定した。ここで、実施例Aでは、接合温度を610、615、620℃と3種類として、それぞれでパワーモジュール用基板10を製造し、ろうしみ面積率を測定した。また、比較例Aでは、セラミックス基板11と第一の金属板22及び第二の金属板23とを接合する際の接合温度を645、648、650℃と3種類として、それぞれでパワーモジュール用基板10を製造し、ろうしみ面積率を測定した。なお、ろうしみ面積率の測定は、製造したパワーモジュール用基板10を回路層12側から平面視して撮影して画像を取得し、該画像を2値化処理してろうしみに相当する範囲の面積を画像上にて測定することによって行われ、ろうしみ面積にはろう瘤も含まれている。計測結果を表2に示す。
Figure 0005359954
表2に示すように、全体として、接合温度を低くできる実施例Aでは、比較して高い比較例Aに比してろうしみ面積率を抑えることができることが確認された。また、同様の実施例Aにおいても、接合温度を低くすることで、ろうしみ面積率をさらに抑えることができることが確認された。
次に、金属層13の厚さを回路層12の厚さと同じ0.6mmmとした以外、上記実施例A及び比較例Aと同じ条件で製造した実施例D及び比較例Dを用いて接合信頼性の評価を行った。接合信頼性の評価としては、熱サイクル(−45℃−125℃)を繰り返した後の接合率を比較した。評価結果を表3に示す。
Figure 0005359954
接合界面にCuが添加されておらず、Al−Si系のろう材を用いて接合された比較例Dにおいては、熱サイクルを1000回負荷した時点では接合率が100%近くであったが2000回負荷した時点では接合率の低下が認められ、3000回負荷した時点では91.5%まで低下している。
一方、接合界面に、Cuが添加された実施例Dにおいては、2000回負荷しても接合率は低下せず、3000回負荷後でも接合率は99.2%であった。
この確認実験により、本発明によれば、接合界面にCuを添加することによって、熱サイクル信頼性が向上することが確認された。
実施例E−G及び比較例E、Fにおいては、厚さ0.635mmのAlNからなるセラミックス基板11と、厚さ0.6mmの4Nアルミニウムからなる回路層12と、厚さ0.6mmの4Nアルミニウムからなる金属層13と、厚さ5mmのアルミニウム合金(A6063)からなる天板部5とを共通に有している。なお、セラミックス基板11の外形は、正方形で、縦、横32mmである。また、ヒートシンク4に相当する天板部5の外形は、長方形で縦50mm、横70mmである。
実施例E−G及び比較例E、Fでは、セラミックス基板11の表面にCuをスパッタリングによって固着させた後に、回路層12及び金属層13となる第一の金属板22及び第二の金属板23を第一のろう材24となるAl−Si系ろう材(Al−7.5%Si)を用いて接合するとともに、ヒートシンク4を第二のろう材25となるAl−Si系ろう材(Al−10.5%Si)を用いて接合した。なお、溶融時における接合温度は600〜615度、接合圧力は2〜4kg/cmであった。
ここで、Cuの固着量、及び、第一のろう材24及び第二のろう材25の厚さを変更することで、接合界面近傍(接合界面から50μm)におけるCu濃度及びSi濃度を調整した。
これらの試験片を用いて、接合信頼性の評価を行った。接合信頼性の評価としては、熱サイクル(−45℃−125℃)を繰り返した後の接合率を比較した。評価結果を表4に示す。なお、接合率は、以下の式で算出した。ここで、初期接合面積とは、接合前における接合すべき面積のこととした。
接合率 = (初期接合面積−剥離面積)/初期接合面積
Figure 0005359954
表4に示すように、接合界面近傍(接合界面から50μm)におけるCu濃度が0.05wt%未満及びSi濃度が0.05wt%未満の比較例E、あるいは、接合界面近傍(接合界面から50μm)におけるCu濃度が4wt%超及びSi濃度が1wt%超の比較例Fにおいては、接合率が69%未満であり、接合信頼性に劣ることが確認された。
これに対して、接合界面近傍(接合界面から50μm)におけるCu濃度が0.05wt%以上4wt%以下、及び、Si濃度が0.05wt%以上1wt%以下、とされた本発明例E,F,Gにおいては、接合率が70%以上であり、接合信頼性が向上することが確認された。
1,101 パワーモジュール
2 半導体チップ(電子部品)
10,110 パワーモジュール用基板
11、111 セラミックス基板
12 回路層
13 金属層
22 第一の金属板
23 第二の金属板
24 第一のろう材箔(第一のろう材)
25 第二のろう材箔(第二のろう材)
26 第一の溶融アルミニウム層
27 第二の溶融アルミニウム層
30 接合界面
32 Si高濃度部
132 酸素高濃度部

Claims (9)

  1. セラミックス基板と、
    該セラミックス基板の表面に一面が接合されたアルミニウムからなる第一の金属板と、
    前記セラミックス基板の裏面に一面が接合されたアルミニウムからなる第二の金属板と、
    該第二の金属板の前記セラミックス基板と接合された前記一面と反対側の他面に接合されたアルミニウムまたはアルミニウム合金からなるヒートシンクとを備え、
    前記第一の金属板及び前記第二の金属板のそれぞれと前記セラミックス基板とがSiを含有するろう材を用いて接合されるとともに、前記セラミックス基板とのそれぞれの接合界面にCuが添加されており、
    前記第一の金属板及び前記第二の金属板には、Si及びCuが固溶しており、それぞれの前記接合界面から50μmの範囲におけるSi濃度が0.05〜1.0wt%,Cu濃度が0.05〜4.0wt%の範囲内に設定されていることを特徴とするヒートシンク付きパワーモジュール用基板。
  2. 前記第二の金属板の厚さが、前記第一の金属板の厚さ以上となるように設定されていることを特徴とする請求項1に記載のヒートシンク付きパワーモジュール用基板。
  3. 前記セラミックス基板の幅が前記第一の金属板及び前記第二の金属板の幅よりも広く設定されており、
    前記第一の金属板及び前記第二の金属板のそれぞれの幅方向端部には、Cuを含む化合物がアルミニウム中に析出したCu析出部が形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のヒートシンク付きパワーモジュール用基板。
  4. 前記セラミックス基板がAlN又はAlで構成されており、
    前記第一の金属板及び前記第二の金属板のそれぞれと前記セラミックス基板との接合界面に、Si濃度が前記第一の金属板及び前記第二の金属板のそれぞれに含まれるSi濃度の5倍以上とされたSi高濃度部が形成されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のヒートシンク付きパワーモジュール用基板。
  5. 前記セラミックス基板がSiで構成されており、
    前記第一の金属板及び前記第二の金属板のそれぞれと前記セラミックス基板との接合界面に、酸素濃度が前記第一の金属板、前記第二の金属板及び前記セラミックス基板のそれぞれに含まれる酸素濃度よりも高くされた酸素高濃度部が形成されており、
    該酸素高濃度部の厚さが4nm以下とされていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のヒートシンク付きパワーモジュール用基板。
  6. 請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のヒートシンク付きパワーモジュール用基板と、
    該ヒートシンク付きパワーモジュール用基板上に搭載される電子部品と、を備えたことを特徴とするパワーモジュール。
  7. セラミックス基板と、該セラミックス基板の表面に一面が接合されたアルミニウムからなる第一の金属板と、前記セラミックス基板の裏面に一面が接合されたアルミニウムからなる第二の金属板と、該第二の金属板の前記セラミックス基板と接合された前記一面と反対側の他面に接合されたアルミニウムまたはアルミニウム合金からなるヒートシンクとを備えるヒートシンク付きパワーモジュール用基板の製造方法であって、
    前記セラミックス基板と前記第一の金属板及び前記第二の金属板のそれぞれとの間にSiを含有する第一のろう材を介装させて積層させる第一の積層工程と、
    積層された前記セラミックス基板と前記第一の金属板及び前記第二の金属板とを加圧した状態で加熱し、前記第一のろう材を溶融させてセラミックス基板と前記第一の金属板及び前記第二の金属板のそれぞれとの界面に第一の溶融アルミニウム層を形成する第一の溶融工程と、
    前記第一の溶融アルミニウム層を凝固させる第一の凝固工程と、
    前記第二の金属板と前記ヒートシンクとの間にSiを含有する第二のろう材を介装させて積層させる第二の積層工程と、
    積層された前記第二の金属板と前記ヒートシンクとを加圧した状態で加熱し、前記第二のろう材を溶融させて前記第二の金属板とヒートシンクとの界面に第二の溶融アルミニウム層を形成する第二の溶融工程と、
    前記第二の溶融アルミニウム層を凝固させる第二の凝固工程と、を有し、
    前記第一の積層工程の前に、前記セラミックス基板の接合面及び前記第一のろう材のセラミックス基板側となる一面のうち少なくとも一方にCuを固着させるCu固着工程を有していることを特徴とするヒートシンク付きパワーモジュール用基板の製造方法。
  8. 前記第一の積層工程と前記第二の積層工程、前記第一の溶融工程と前記第二の溶融工程、及び、前記第一の凝固工程と前記第二の凝固工程のそれぞれを同時に行うことを特徴とする請求項7に記載のヒートシンク付きパワーモジュール用基板の製造方法。
  9. 前記Cu固着工程は、蒸着又はスパッタリングによって前記セラミックス基板の接合面及び前記第一のろう材の前記一面のうち少なくとも一方にCuを固着させることを特徴とする請求項7または請求項8に記載のヒートシンク付きパワーモジュール用基板の製造方法。
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