JP2011108999A - パワーモジュール用基板、ヒートシンク付パワーモジュール用基板、パワーモジュール及びパワーモジュール用基板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】セラミックス基板11の表面に、アルミニウムからなる金属板12,13が積層されて接合されたパワーモジュール用基板10であって、セラミックス基板11は、酸素又は窒素を含有しており、金属板12、13には、Cu,Si,Ag及びGeから選択される1種又は2種以上の添加元素が固溶しており、さらに、金属板11、12とセラミックス基板11との界面部分には、Ti,Zr,Hf,Ta,Nb及びMoから選択される1種又は2種以上の活性元素が介在していることを特徴とする。
【選択図】図1
Description
また、この金属板は回路層として形成され、その金属板の上には、はんだ材を介してパワー素子(半導体素子)が搭載される。
なお、セラミックス基板の下面にも放熱のためにAl等の金属板が接合されて金属層とされ、この金属層を介して放熱板上にパワーモジュール用基板全体が接合されたものが提案されている。
この場合、セラミックス基板が窒素を含有しており、この窒素と活性元素とが反応することによって接合界面に窒化物層が形成されているので、この窒化物層によってセラミックス基板と金属板との接合強度の向上を図ることができる。なお、この窒化物層は、活性元素とセラミックス基板の窒素との反応によって生成していることからセラミックス基板との接合強度は極めて高くなる。
この場合、セラミックス基板が酸素を含有しており、この酸素と活性元素とが反応することによって接合界面に酸化物層が形成されているので、この酸化物層によってセラミックス基板と金属板との接合強度の向上を図ることができる。なお、この酸化物層は、活性元素とセラミックス基板の酸素との反応によって生成していることからセラミックス基板との接合強度は極めて高くなる。
前記金属板のうち前記セラミックス基板との界面近傍における前記添加元素の濃度の合計が0.05質量%以上とされているので、金属板の接合界面側部分を確実に固溶強化することができる。また、前記金属板のうち前記セラミックス基板との界面近傍における前記添加元素の濃度の合計が10質量%以下とされているので、金属板の接合界面の強度が過剰に高くなることを防止でき、このパワーモジュール用基板に冷熱サイクルが負荷された際に、熱応力を金属板で吸収することができ、セラミックス基板の割れ等を防止できる。
この構成のヒートシンク付パワーモジュール用基板によれば、パワーモジュール用基板を冷却するヒートシンクを備えているので、パワーモジュール用基板に発生した熱をヒートシンクによって効率的に冷却することができる。
この構成のパワーモジュールによれば、セラミックス基板と金属板との接合強度が高く、使用環境が厳しい場合であっても、その信頼性を飛躍的に向上させることができる。
よって、比較的低温、短時間の接合条件で接合しても、セラミックス基板と金属板とを強固に接合することが可能となる。
このように、ろう材箔を使用せずに、前記セラミックス基板と前記金属板とを接合可能であることから、ろう材箔の位置合わせ作業等を行う必要がなく、例えば、予め回路パターン状に形成された金属片をセラミックス基板に接合する場合であっても、位置ズレ等によるトラブルを未然に防止することができる。
この場合、前記セラミックス基板と前記金属板との界面に介在される前記添加元素の固着量を0.1mg/cm2以上としているので、セラミックス基板と金属板との界面に、溶融金属領域を確実に形成することができ、セラミックス基板と金属板とを強固に接合することが可能となる。
さらに、前記セラミックス基板と前記金属板との界面に介在される前記添加元素の固着量を20mg/cm2以下としているので、固着層にクラックが発生することを防止することができ、セラミックス基板と金属板との界面に溶融金属領域を確実に形成することができる。さらに、前記添加元素が過剰に金属板側に拡散して界面近傍の金属板の強度が過剰に高くなることを防止できる。よって、パワーモジュール用基板に冷熱サイクルが負荷された際に、熱応力を金属板で吸収することができ、セラミックス基板の割れ等を防止できる。
この場合、前記添加元素及び前記活性元素とともにAlを固着させているので、形成される固着層がAlを含有することになり、加熱工程において、この固着層が優先的に溶融して溶融金属領域を確実に形成することが可能となり、セラミックス基板と金属板とを強固に接合することができる。なお、前記添加元素及び前記活性元素とともにAlを固着させるには、前記添加元素及び前記活性元素とAlとを同時に蒸着してもよいし、前記添加元素及び前記活性元素とAlの合金をターゲットとしてスパッタリングしてもよい。
この場合、蒸着、CVD又はスパッタリングによって、前記添加元素及び前記活性元素が前記セラミックス基板の接合面及び前記金属板の接合面のうち少なくとも一方に確実に固着されるので、セラミックス基板と金属板との接合界面に前記添加元素及び前記活性元素を確実に介在させることが可能となる。また、前記添加元素及び前記活性元素の固着量を精度良く調整することができ、溶融金属領域を確実に形成して、セラミックス基板と金属板とを強固に接合することが可能となる。
このパワーモジュール1は、回路層12が配設されたパワーモジュール用基板10と、回路層12の表面にはんだ層2を介して接合された半導体チップ3と、ヒートシンク40とを備えている。ここで、はんだ層2は、例えばSn−Ag系、Sn−In系、若しくはSn−Ag−Cu系のはんだ材とされている。なお、本実施形態では、回路層12とはんだ層2との間にNiメッキ層(図示なし)が設けられている。
セラミックス基板11は、回路層12と金属層13との間の電気的接続を防止するものである。本実施形態では、セラミックス基板11は絶縁性の高いAlN(窒化アルミ)で構成されている。また、セラミックス基板11の厚さは、0.2〜1.5mmの範囲内に設定されており、本実施形態では、0.635mmに設定されている。なお、本実施形態では、図1に示すように、セラミック基板11の幅は、回路層12及び金属層13の幅より広く設定されている。
また、本実施形態においては、ヒートシンク40の天板部41と金属層13との間には、アルミニウム又はアルミニウム合金若しくはアルミニウムを含む複合材(例えばAlSiC等)からなる緩衝層15が設けられている。
回路層12及び金属層13の接合界面30近傍には、接合界面30から積層方向に離間するにしたがい漸次添加元素の濃度が低下する濃度傾斜層33が形成されている。ここで、この濃度傾斜層33の接合界面30側(回路層12及び金属層13の接合界面30近傍)の前記添加元素濃度の合計が、0.05質量%以上5質量%以下の範囲内に設定されている。
なお、回路層12及び金属層13の接合界面30近傍の前記添加元素濃度は、EPMA分析(スポット径30μm)で、接合界面30から50μmまでの範囲内を5点測定した平均値である。
まず、図5及び図6に示すように、金属板22、23のそれぞれの接合面に、スパッタリングによって、添加元素であるSi及びCu、並びに、活性元素であるTiを固着し、固着層24、25を形成する。
本実施形態では、固着層24、25におけるSi量は0.002mg/cm2以上1.2mg/cm2以下、Cu量は0.08mg/cm2以上2.7mg/cm2以下、活性元素であるTi量は0.04mg/cm2以上2.3mg/cm2以下に設定されている。
次に、図5に示すように、金属板22をセラミックス基板11の一方の面側に積層し、かつ、金属板23をセラミックス基板11の他方の面側に積層する。このとき、図5及び図6に示すように、金属板22、23のうち固着層24、25が形成された面がセラミックス基板11を向くように積層する。すなわち、金属板22、23とセラミックス基板11との間にそれぞれ固着層24、25(Si、Cu及びTi)を介在させているのである。このようにして積層体20を形成する。
次に、積層工程S02において形成された積層体20を、その積層方向に加圧(圧力1〜5kgf/cm2)した状態で加熱炉内に装入して加熱し、図6に示すように、金属板22、23とセラミックス基板11との界面にそれぞれ溶融金属領域27、28を形成する。この溶融金属領域27、28は、図6に示すように、固着層24、25のSi及びCuが金属板22、23側に拡散することによって、金属板22、23の固着層24、25近傍のSi濃度、Cu濃度が上昇して融点が低くなることにより形成されるものである。
このとき、活性金属であるTiは、セラミックス基板11を構成するAlNと反応し、Tiと窒素とを含む窒素化合物(例えばTiN)が生成し、窒化物層32が形成されることになる。
なお、本実施形態では、加熱炉内の雰囲気をN2ガス雰囲気としており、加熱温度は、550℃以上650℃以下の範囲内に設定している。
次に、溶融金属領域27、28が形成された状態で温度を一定に保持しておく。すると、溶融金属領域27、28中のSi、Cuが、さらに金属板22、23側へと拡散していくことになる。これにより、溶融金属領域27、28であった部分のSi濃度、Cu濃度が徐々に低下していき融点が上昇することになり、温度を一定に保持した状態で凝固が進行していくことになる。つまり、セラミックス基板11と金属板22、23とは、いわゆる等温拡散接合(Transient Liquid Phase Diffusion Bonding)によって接合されているのである。このようにして凝固が進行した後に、常温にまで冷却を行う。
また、加熱工程S03においてSi、Cu及び前記添加元素が十分に金属板22、23側に拡散しており、金属板22、23とセラミックス板11とが強固に接合されていることになる。
しかも、金属板22、23の接合面に固着層24、25を形成しているので、金属板22、23とセラミックス基板11との界面に介在する酸化被膜は、金属板22、23の表面にのみ存在することになるため、接合をN2雰囲気下で行うことが可能となる。よって、このパワーモジュール用基板10を効率良く製出することが可能となり、製造コストを大幅に削減することが可能となる。
このパワーモジュール101は、回路層112が配設されたパワーモジュール用基板110と、回路層112の表面にはんだ層2を介して接合された半導体チップ3と、ヒートシンク40とを備えている。ここで、はんだ層2は、例えばSn−Ag系、Sn−In系、若しくはSn−Ag−Cu系のはんだ材とされている。なお、本実施形態では、回路層12とはんだ層2との間にNiメッキ層(図示なし)が設けられている。
セラミックス基板111は、回路層112と金属層113との間の電気的接続を防止するものである。本実施形態では、セラミックス基板111は絶縁性の高いAl2O3(アルミナ)で構成されている。また、セラミックス基板111の厚さは、0.2〜0.8mmの範囲内に設定されており、本実施形態では、0.32mmに設定されている。
なお、ヒートシンク140(天板部141)は、熱伝導性が良好な材質で構成されることが望ましく、本実施形態においては、A3003(アルミニウム合金)で構成されている。
回路層112及び金属層113の接合界面130近傍には、接合界面130から積層方向に離間するにしたがい漸次添加元素の濃度が低下する濃度傾斜層133が形成されている。ここで、この濃度傾斜層133の接合界面130側(回路層112及び金属層113の接合界面130近傍)の前記添加元素濃度の合計が、0.05質量%以上5質量%以下の範囲内に設定されている。
なお、回路層112及び金属層113の接合界面130近傍の前記添加元素濃度は、EPMA分析(スポット径30μm)で、接合界面130から50μmまでの範囲内を5点測定した平均値である。
ここで、接合界面130部分には、活性金属であるHfと酸素とを含む酸素化合物からなる酸化物層132が形成されている。この酸化物層132は、活性金属であるHfとセラミック基板111の酸素とが反応することによって生じたものである。なお、この酸化物層132の厚さHは、例えば0.1μm以上5μm以下とされている。
まず、図11に示すように、金属板122、123のそれぞれの接合面に、スパッタリングによって、添加元素であるCu及びGeを固着し、第1固着層124A、125Aを形成する。
本実施形態では、第1固着層124A、125AにおけるCu量は0.08mg/cm2以上2.7mg/cm2以下、Ge量は0.002mg/cm2以上2.5mg/cm2以下に設定されている。
次に、金属板122、123の第1固着層124A、125Aの上に、スパッタリングによって、活性元素であるHfを固着し、第2固着層124B、125Bを形成する。本実施形態では、第2固着層124B、125BにおけるHf量は0.1mg/cm2以上6.7mg/cm2以下に設定されている。
(積層工程S12)
次に、金属板122をセラミックス基板111の一方の面側に積層し、かつ、金属板123をセラミックス基板111の他方の面側に積層する。このとき、図11に示すように、金属板122、123のうち第1固着層124A、125A、第2固着層124B、125Bが形成された面がセラミックス基板111を向くように積層する。すなわち、金属板122、123とセラミックス基板111との間にそれぞれ第1固着層124A、125A(Cu、Ge)及び第2固着層124B、125B(Hf)を介在させているのである。このようにして積層体を形成する。
次に、積層工程S12において形成された積層体を、その積層方向に加圧(圧力1〜5kgf/cm2)した状態で加熱炉内に装入して加熱し、図11に示すように、金属板122、123とセラミックス基板111との界面にそれぞれ溶融金属領域127、128を形成する。この溶融金属領域127、128は、図11に示すように、第1固着層124A、125AのCu及びGeが金属板122、123側に拡散することによって、金属板122、123の第1固着層124A、125A近傍のCu濃度、Ge濃度が上昇して融点が低くなることにより形成されるものである。
このとき、活性金属であるHfは、セラミックス基板111を構成するAl2O3と反応し、Hfと酸素とを含む酸素化合物(例えばHfO2)が生成し、酸化物層132が形成されることになる。
なお、本実施形態では、加熱炉内の雰囲気をN2ガス雰囲気としており、加熱温度は、550℃以上650℃以下の範囲内に設定している。
次に、溶融金属領域127、128が形成された状態で温度を一定に保持しておく。すると、溶融金属領域127、128中のCu、Geが、さらに金属板122、123側へと拡散していくことになる。これにより、溶融金属領域127、128であった部分のCu濃度、Ge濃度が徐々に低下していき融点が上昇することになり、温度を一定に保持した状態で凝固が進行していくことになる。つまり、セラミックス基板111と金属板122、123とは、いわゆる等温拡散接合(Transient Liquid Phase Diffusion Bonding)によって接合されているのである。このようにして凝固が進行した後に、常温にまで冷却を行う。
例えば、回路層及び金属層を構成する金属板を純度99.99%の純アルミニウムの圧延板としたものとして説明したが、これに限定されることはなく、純度99%のアルミニウム(2Nアルミニウム)であってもよい。
また、固着工程において、前記添加元素及び前記活性元素とともにAlを固着させてもよい。
さらに、固着工程において、スパッタによって前記添加元素及び前記活性元素を固着するものとして説明したが、これに限定されることはなく、蒸着やCVD等で前記添加元素及び前記活性元素を固着させてもよい。
さらに、セラミックス基板をAlN、又は、Al2O3で構成されたものとして説明したが、これに限定されることはなく、Si3N4等の他のセラミックスで構成されていてもよい。
3 半導体チップ(電子部品)
10、110 パワーモジュール用基板
11、111 セラミックス基板
12、112 回路層
13、113 金属層
22、23、122、123 金属板
24、25 固着層
27、28、127、128 溶融金属領域
30、130 接合界面
32 窒化物層
124A,125A 第1固着層(固着層)
124B,125B 第2固着層(固着層)
132 酸化物層
Claims (10)
- セラミックス基板の表面に、アルミニウムからなる金属板が積層されて接合されたパワーモジュール用基板であって、
前記セラミックス基板は、酸素又は窒素を含有しており、
前記金属板には、Cu,Si,Ag及びGeから選択される1種又は2種以上の添加元素が固溶しており、
さらに、前記金属板と前記セラミックス基板との界面部分には、Ti,Zr,Hf,Ta,Nb及びMoから選択される1種又は2種以上の活性元素が介在していることを特徴とするパワーモジュール用基板。 - 前記セラミックス基板は窒素を含有しており、前記セラミックス基板と前記金属板との接合界面に、前記活性元素と窒素とを含む窒化物層が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のパワーモジュール用基板。
- 前記セラミックス基板は酸素を含有しており、前記セラミックス基板と前記金属板との接合界面に、前記活性元素と酸素とを含む酸化物層が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のパワーモジュール用基板。
- 前記金属板のうち前記セラミックス基板との界面近傍における前記添加元素の濃度の合計が0.05質量%以上5質量%以下の範囲内に設定されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のパワーモジュール用基板。
- 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のパワーモジュール用基板と、該パワーモジュール用基板を冷却するヒートシンクと、を備えたことを特徴とするヒートシンク付パワーモジュール用基板。
- 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のパワーモジュール用基板と、該パワーモジュール用基板上に搭載される電子部品と、を備えたことを特徴とするパワーモジュール。
- セラミックス基板の表面に、アルミニウムからなる金属板が積層されて接合されたパワーモジュール用基板の製造方法であって、
前記セラミックス基板は、酸素又は窒素を含有しており、
前記セラミックス基板の接合面及び前記金属板の接合面のうち少なくとも一方に、Cu,Si,Ag及びGeから選択される1種又は2種以上の添加元素と、Ti,Zr,Hf,Ta,Nb及びMoから選択される1種又は2種以上の活性元素と、を固着する固着工程と、
前記セラミックス基板と前記金属板と積層する積層工程と、
積層された前記セラミックス基板と前記金属板を積層方向に加圧するとともに加熱し、前記セラミックス基板と前記金属板との界面に溶融金属領域を形成する加熱工程と、
この溶融金属領域を凝固させることによって、前記セラミックス基板と前記金属板とを接合する凝固工程と、を有し、
前記加熱工程において、固着した前記添加元素を前記金属板側に拡散させることにより、前記セラミックス基板と前記金属板との界面に、前記溶融金属領域を形成することを特徴とするパワーモジュール用基板の製造方法。 - 前記固着工程において、前記セラミックス基板と前記金属板との界面に介在される前記添加元素の固着量を0.1mg/cm2以上20mg/cm2 以下としたことを特徴とする請求項7に記載のパワーモジュール用基板の製造方法。
- 前記固着工程では、前記添加元素及び前記活性元素とともにAlを固着させることを特徴とする請求項7及び請求項8に記載のパワーモジュール用基板の製造方法。
- 前記固着工程は、蒸着、CVD又はスパッタリングによって前記セラミックス基板の接合面及び前記金属板の接合面のうち少なくとも一方に、前記添加元素及び前記活性元素を固着させることを特徴とする請求項7から請求項9のいずれか一項に記載のパワーモジュール用基板の製造方法。
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