JP2011108999A - パワーモジュール用基板、ヒートシンク付パワーモジュール用基板、パワーモジュール及びパワーモジュール用基板の製造方法 - Google Patents

パワーモジュール用基板、ヒートシンク付パワーモジュール用基板、パワーモジュール及びパワーモジュール用基板の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】金属板とセラミックス基板とが確実に接合され、熱サイクル信頼性の高いパワーモジュール用基板、このパワーモジュール基板を備えたヒートシンク付パワーモジュール用基板、パワーモジュール及びこのパワーモジュール用基板の製造方法を提供する。
【解決手段】セラミックス基板11の表面に、アルミニウムからなる金属板12,13が積層されて接合されたパワーモジュール用基板10であって、セラミックス基板11は、酸素又は窒素を含有しており、金属板12、13には、Cu,Si,Ag及びGeから選択される1種又は2種以上の添加元素が固溶しており、さらに、金属板11、12とセラミックス基板11との界面部分には、Ti,Zr,Hf,Ta,Nb及びMoから選択される1種又は2種以上の活性元素が介在していることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

この発明は、大電流、高電圧を制御する半導体装置に用いられるパワーモジュール用基板、このパワーモジュール用基板を備えたヒートシンク付パワーモジュール用基板、パワーモジュール及びこのパワーモジュール用基板の製造方法に関するものである。
半導体素子の中でも電力供給のためのパワー素子は、発熱量が比較的高いため、これを搭載する基板としては、例えば特許文献1に示すように、AlN(窒化アルミ)からなるセラミックス基板上にAl(アルミニウム)の金属板がろう材を介して接合されたパワーモジュール用基板が用いられる。
また、この金属板は回路層として形成され、その金属板の上には、はんだ材を介してパワー素子(半導体素子)が搭載される。
なお、セラミックス基板の下面にも放熱のためにAl等の金属板が接合されて金属層とされ、この金属層を介して放熱板上にパワーモジュール用基板全体が接合されたものが提案されている。
また、回路層を形成する手段としては、セラミックス基板に金属板を接合した後に、この金属板に回路パターンを形成する方法の他に、例えば特許文献2に開示されているように、予め回路パターン状に形成された金属片をセラミックス基板に接合する方法が提案されている。
ここで、前記回路層及び前記金属層としての金属板とセラミックス基板との良好な接合強度を得るため、例えば下記特許文献3に、セラミックス基板の表面粗さを0.5μm未満とした技術が開示されている。
特開2003−086744号公報 特開2008−311294号公報 特開平3−234045号公報
しかしながら、金属板をセラミックス基板に接合する場合、単にセラミックス基板の表面粗さを低減しても十分に高い接合強度が得られず、信頼性の向上が図れないという不都合があった。例えば、セラミックス基板の表面に対して、乾式でAl粒子によるホーニング処理を行い、表面粗さをRa=0.2μmにしても、剥離試験で界面剥離が生じてしまう場合があることが分かった。また、研磨法により表面粗さをRa=0.1μm以下にしても、やはり同様に界面剥離が生じてしまう場合があった。
特に、最近では、パワーモジュールの小型化・薄肉化が進められるとともに、その使用環境も厳しくなってきており、電子部品からの発熱量が大きくなる傾向にあり、前述のように放熱板上にパワーモジュール用基板を配設する必要がある。この場合、パワーモジュール用基板が放熱板によって拘束されるために、熱サイクル負荷時に、金属板とセラミックス基板との接合界面に大きなせん断力が作用することになり、従来にも増して、セラミックス基板と金属板との間の接合強度の向上及び信頼性の向上が求められている。
この発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、金属板とセラミックス基板とが確実に接合され、熱サイクル信頼性の高いパワーモジュール用基板、このパワーモジュール基板を備えたヒートシンク付パワーモジュール用基板、パワーモジュール及びこのパワーモジュール用基板の製造方法を提供することを目的とする。
このような課題を解決して、前記目的を達成するために、本発明のパワーモジュール用基板は、セラミックス基板の表面に、アルミニウムからなる金属板が積層されて接合されたパワーモジュール用基板であって、前記セラミックス基板は、酸素又は窒素を含有しており、前記金属板には、Cu,Si,Ag及びGeから選択される1種又は2種以上の添加元素が固溶しており、さらに、前記金属板と前記セラミックス基板との界面部分には、Ti,Zr,Hf,Ta,Nb及びMoから選択される1種又は2種以上の活性元素が介在していることを特徴としている。
この構成のパワーモジュール用基板においては、前記金属板にCu,Si,Ag及びGeから選択される1種又は2種以上の添加元素が固溶しているので、金属板の接合界面側部分が固溶強化することになる。これにより、金属板部分での破断を防止することができ、セラミックス基板と金属板との接合信頼性を向上させることができる。
そして、前記セラミックス基板が酸素又は窒素を含有しており、前記金属板と前記セラミックス基板との界面部分に、Ti,Zr,Hf,Ta,Nb及びMoから選択される1種又は2種以上の活性元素が介在していることから、セラミックス基板と活性元素とが、酸素又は窒素を介して反応することになり、セラミックス基板と金属板との接合強度の向上を図ることができる。すなわち、これらの活性元素は、酸化物生成自由エネルギー又は窒化物生成自由エネルギーが低く、活性元素単体よりも酸化物又は窒化物を生成した方が安定することになる。よって、セラミックス基板と金属板との接合界面において、これらの活性元素が確実に反応し、セラミックス基板と金属板との接合強度の向上を図ることができる。
また、前記セラミックス基板は窒素を含有しており、前記セラミックス基板と前記金属板との接合界面に、前記活性元素と窒素とを含む窒素化合物からなる窒化物層が形成されていることが好ましい。
この場合、セラミックス基板が窒素を含有しており、この窒素と活性元素とが反応することによって接合界面に窒化物層が形成されているので、この窒化物層によってセラミックス基板と金属板との接合強度の向上を図ることができる。なお、この窒化物層は、活性元素とセラミックス基板の窒素との反応によって生成していることからセラミックス基板との接合強度は極めて高くなる。
また、前記セラミックス基板は酸素を含有しており、前記セラミックス基板と前記金属板との接合界面に、前記活性元素と酸素とを含む酸素化合物からなる酸化物層が形成されていることが好ましい。
この場合、セラミックス基板が酸素を含有しており、この酸素と活性元素とが反応することによって接合界面に酸化物層が形成されているので、この酸化物層によってセラミックス基板と金属板との接合強度の向上を図ることができる。なお、この酸化物層は、活性元素とセラミックス基板の酸素との反応によって生成していることからセラミックス基板との接合強度は極めて高くなる。
また、前記金属板のうち前記セラミックス基板との界面近傍における前記添加元素の濃度の合計が0.05質量%以上10質量%以下の範囲内に設定されていることが好ましい。
前記金属板のうち前記セラミックス基板との界面近傍における前記添加元素の濃度の合計が0.05質量%以上とされているので、金属板の接合界面側部分を確実に固溶強化することができる。また、前記金属板のうち前記セラミックス基板との界面近傍における前記添加元素の濃度の合計が10質量%以下とされているので、金属板の接合界面の強度が過剰に高くなることを防止でき、このパワーモジュール用基板に冷熱サイクルが負荷された際に、熱応力を金属板で吸収することができ、セラミックス基板の割れ等を防止できる。
本発明のヒートシンク付パワーモジュール用基板は、前述のパワーモジュール用基板と、このパワーモジュール用基板を冷却するヒートシンクと、を備えたことを特徴としている。
この構成のヒートシンク付パワーモジュール用基板によれば、パワーモジュール用基板を冷却するヒートシンクを備えているので、パワーモジュール用基板に発生した熱をヒートシンクによって効率的に冷却することができる。
本発明のパワーモジュールは、前述のパワーモジュール用基板と、該パワーモジュール用基板上に搭載された電子部品と、を備えることを特徴としている。
この構成のパワーモジュールによれば、セラミックス基板と金属板との接合強度が高く、使用環境が厳しい場合であっても、その信頼性を飛躍的に向上させることができる。
本発明のパワーモジュール用基板の製造方法は、セラミックス基板の表面に、アルミニウムからなる金属板が積層されて接合されたパワーモジュール用基板の製造方法であって、前記セラミックス基板は、酸素又は窒素を含有しており、前記セラミックス基板の接合面及び前記金属板の接合面のうち少なくとも一方に、Cu,Si,Ag及びGeから選択される1種又は2種以上の添加元素と、Ti,Zr,Hf,Ta,Nb及びMoから選択される1種又は2種以上の活性元素と、を固着する固着工程と、前記セラミックス基板と前記金属板と積層する積層工程と、積層された前記セラミックス基板と前記金属板を積層方向に加圧するとともに加熱し、前記セラミックス基板と前記金属板との界面に溶融金属領域を形成する加熱工程と、この溶融金属領域を凝固させることによって、前記セラミックス基板と前記金属板とを接合する凝固工程と、を有し、前記加熱工程において、固着した前記添加元素を前記金属板側に拡散させることにより、前記セラミックス基板と前記金属板との界面に、前記溶融金属領域を形成することを特徴としている。
この構成のパワーモジュール用基板の製造方法によれば、前記セラミックス基板の接合面及び前記金属板の接合面のうち少なくとも一方に、Cu,Si,Ag及びGeから選択される1種又は2種以上の添加元素を固着する固着工程を備えているので、前記金属板と前記セラミックス基板の接合界面には、Cu,Si,Ag及びGeから選択される1種又は2種以上の添加元素が介在することになる。ここで、前記添加元素は、アルミニウムの融点を降下させる元素であるため、比較的低温条件において、金属板とセラミックス基板との界面に溶融金属領域を形成することができる。特に、Cuは、Alに対して反応性の高い元素であるため、接合界面近傍にCuが存在することによってアルミニウムからなる金属板の表面が活性化することになる。
よって、比較的低温、短時間の接合条件で接合しても、セラミックス基板と金属板とを強固に接合することが可能となる。
また、加熱工程において、Cu,Si,Ag及びGeから選択される1種又は2種以上の添加元素を前記金属板側に拡散させることにより、前記セラミックス基板と前記金属板との界面に前記溶融金属領域を形成し、この溶融金属領域を凝固させることで、前記金属板と前記セラミックス基板を接合する構成としているので、Al−Si系のろう材箔等を用いる必要がなく、低コストで、金属板とセラミックス基板とが確実に接合されたパワーモジュール用基板を製造することができる。
このように、ろう材箔を使用せずに、前記セラミックス基板と前記金属板とを接合可能であることから、ろう材箔の位置合わせ作業等を行う必要がなく、例えば、予め回路パターン状に形成された金属片をセラミックス基板に接合する場合であっても、位置ズレ等によるトラブルを未然に防止することができる。
そして、セラミックス基板が酸素又は窒素を含有しており、固着工程において、Ti,Zr,Hf,Ta,Nb及びMoから選択される1種又は2種以上の活性元素を固着しているので、接合界面部分に活性元素が介在することになる。この活性元素は、セラミックス基板と反応することになり、セラミックス基板と金属板との接合強度をさらに向上させることが可能となる。すなわち、Ti,Zr,Hf,Ta,Nb及びMoといった活性元素は、酸化物生成自由エネルギー又は窒化物生成自由エネルギーが低く、活性元素単体よりも酸化物又は窒化物を生成した方が安定することになる。よって、セラミックス基板と金属板との接合界面において、これらの活性元素が確実に反応し、セラミックス基板と金属板との接合強度の向上を図ることができる。
また、前記固着工程において、前記セラミックス基板と前記金属板との界面に介在される前記添加元素の固着量を0.1mg/cm以上20mg/cm 以下とすることが好ましい。
この場合、前記セラミックス基板と前記金属板との界面に介在される前記添加元素の固着量を0.1mg/cm以上としているので、セラミックス基板と金属板との界面に、溶融金属領域を確実に形成することができ、セラミックス基板と金属板とを強固に接合することが可能となる。
さらに、前記セラミックス基板と前記金属板との界面に介在される前記添加元素の固着量を20mg/cm以下としているので、固着層にクラックが発生することを防止することができ、セラミックス基板と金属板との界面に溶融金属領域を確実に形成することができる。さらに、前記添加元素が過剰に金属板側に拡散して界面近傍の金属板の強度が過剰に高くなることを防止できる。よって、パワーモジュール用基板に冷熱サイクルが負荷された際に、熱応力を金属板で吸収することができ、セラミックス基板の割れ等を防止できる。
なお、前記セラミックス基板の接合面及び前記金属板の接合面のうち少なくとも一方に直接前記添加元素及び前記活性元素を固着させる構成としているが、生産性の観点から、金属板の接合面に前記添加元素及び前記活性元素を固着させることが好ましい。セラミックス基板の接合面に前記添加元素及び前記活性元素を固着する場合、一枚毎のセラミックス基板にそれぞれ前記添加元素及び前記活性元素を固着しなければならない。これに対して、金属板の接合面へ前記添加元素及び前記活性元素を固着する場合には、ロール状に巻かれた長尺の金属条に対し、その一端から他端にまで連続的に前記添加元素及び前記活性元素を固着することが可能となり、生産性に優れている。
また、前記固着工程では、前記添加元素及び前記活性元素とともにAlを固着させる構成とすることが好ましい。
この場合、前記添加元素及び前記活性元素とともにAlを固着させているので、形成される固着層がAlを含有することになり、加熱工程において、この固着層が優先的に溶融して溶融金属領域を確実に形成することが可能となり、セラミックス基板と金属板とを強固に接合することができる。なお、前記添加元素及び前記活性元素とともにAlを固着させるには、前記添加元素及び前記活性元素とAlとを同時に蒸着してもよいし、前記添加元素及び前記活性元素とAlの合金をターゲットとしてスパッタリングしてもよい。
また、前記固着工程は、蒸着、CVD又はスパッタリングによって前記セラミックス基板の接合面及び前記金属板の接合面のうち少なくとも一方に前記添加元素及び前記活性元素を固着させるものとすることが好ましい。
この場合、蒸着、CVD又はスパッタリングによって、前記添加元素及び前記活性元素が前記セラミックス基板の接合面及び前記金属板の接合面のうち少なくとも一方に確実に固着されるので、セラミックス基板と金属板との接合界面に前記添加元素及び前記活性元素を確実に介在させることが可能となる。また、前記添加元素及び前記活性元素の固着量を精度良く調整することができ、溶融金属領域を確実に形成して、セラミックス基板と金属板とを強固に接合することが可能となる。
本発明によれば、金属板とセラミックス基板とが確実に接合され、熱サイクル信頼性の高いパワーモジュール用基板、このパワーモジュール基板を備えたヒートシンク付パワーモジュール用基板、パワーモジュール及びこのパワーモジュール用基板の製造方法を提供することが可能となる。
本発明の第1の実施形態であるパワーモジュール用基板を用いたパワーモジュールの概略説明図である。 本発明の第1の実施形態であるパワーモジュール用基板の回路層及び金属層のSi濃度及びCu濃度を示す説明図である。 本発明の第1の実施形態であるパワーモジュール用基板の回路層及び金属層(金属板)とセラミックス基板との接合界面の模式図である。 本発明の第1の実施形態であるパワーモジュール用基板の製造方法を示すフロー図である。 本発明の第1の実施形態であるパワーモジュール用基板の製造方法を示す説明図である。 図5における金属板とセラミックス基板との接合界面近傍を示す説明図である。 本発明の第2の実施形態であるパワーモジュール用基板を用いたパワーモジュールの概略説明図である。 本発明の第2の実施形態であるパワーモジュール用基板の回路層及び金属層のCu濃度及びGe濃度を示す説明図である。 本発明の第2の実施形態であるパワーモジュール用基板の回路層及び金属層(金属板)とセラミックス基板との接合界面の模式図である。 本発明の第2の実施形態であるパワーモジュール用基板の製造方法を示すフロー図である。 本発明の第2の実施形態であるパワーモジュール用基板の製造方法を示す説明図である。
以下に、本発明の実施形態について添付した図面を参照して説明する。図1に本発明の第1の実施形態であるパワーモジュール用基板及びパワーモジュールを示す。
このパワーモジュール1は、回路層12が配設されたパワーモジュール用基板10と、回路層12の表面にはんだ層2を介して接合された半導体チップ3と、ヒートシンク40とを備えている。ここで、はんだ層2は、例えばSn−Ag系、Sn−In系、若しくはSn−Ag−Cu系のはんだ材とされている。なお、本実施形態では、回路層12とはんだ層2との間にNiメッキ層(図示なし)が設けられている。
パワーモジュール用基板10は、セラミックス基板11と、このセラミックス基板11の一方の面(図1において上面)に配設された回路層12と、セラミックス基板11の他方の面(図1において下面)に配設された金属層13とを備えている。
セラミックス基板11は、回路層12と金属層13との間の電気的接続を防止するものである。本実施形態では、セラミックス基板11は絶縁性の高いAlN(窒化アルミ)で構成されている。また、セラミックス基板11の厚さは、0.2〜1.5mmの範囲内に設定されており、本実施形態では、0.635mmに設定されている。なお、本実施形態では、図1に示すように、セラミック基板11の幅は、回路層12及び金属層13の幅より広く設定されている。
回路層12は、図5に示すように、セラミックス基板11の一方の面に導電性を有する金属板22が接合されることにより形成されている。本実施形態においては、回路層12は、純度が99.99%以上のアルミニウム(いわゆる4Nアルミニウム)の圧延板からなる金属板22がセラミックス基板11に接合されることにより形成されている。
金属層13は、図5に示すように、セラミックス基板11の他方の面に金属板23が接合されることにより形成されている。本実施形態においては、金属層13は、回路層12と同様に、純度が99.99%以上のアルミニウム(いわゆる4Nアルミニウム)の圧延板からなる金属板23がセラミックス基板11に接合されることで形成されている。
ヒートシンク40は、前述のパワーモジュール用基板10を冷却するためのものであり、パワーモジュール用基板10と接合される天板部41と、冷却媒体(例えば冷却水)を流通するための流路42と、を備えている。ヒートシンク40(天板部41)は、熱伝導性が良好な材質で構成されることが望ましく、本実施形態においては、A6063(アルミニウム合金)で構成されている。
また、本実施形態においては、ヒートシンク40の天板部41と金属層13との間には、アルミニウム又はアルミニウム合金若しくはアルミニウムを含む複合材(例えばAlSiC等)からなる緩衝層15が設けられている。
そして、図2に示すように、セラミックス基板11と回路層12(金属板22)及び金属層13(金属板23)との接合界面30においては、回路層12(金属板22)及び金属層13(金属板23)にSi、Cu、Ag及びGeから選択される1種又は2種以上の添加元素が固溶している。
回路層12及び金属層13の接合界面30近傍には、接合界面30から積層方向に離間するにしたがい漸次添加元素の濃度が低下する濃度傾斜層33が形成されている。ここで、この濃度傾斜層33の接合界面30側(回路層12及び金属層13の接合界面30近傍)の前記添加元素濃度の合計が、0.05質量%以上5質量%以下の範囲内に設定されている。
ここで、本実施形態では、CuとSiを添加元素として用いており、回路層12及び金属層13の接合界面30近傍のSi濃度が0.05質量%以上0.5質量%以下、Cu濃度が0.05質量%以上1質量%以下の範囲内に設定されている。
なお、回路層12及び金属層13の接合界面30近傍の前記添加元素濃度は、EPMA分析(スポット径30μm)で、接合界面30から50μmまでの範囲内を5点測定した平均値である。
また、セラミックス基板11と回路層12(金属板22)及び金属層13(金属板23)との接合界面30には、図3に示すように、Ti,Zr,Hf,Ta,Nb及びMoから選択される1種又は2種以上の活性元素が介在している。なお、本実施形態では、活性元素としてTiが介在している。
ここで、接合界面30部分には、活性金属であるTiと窒素とを含む窒素化合物からなる窒化物層32が形成されている。この窒化物層32は、活性金属であるTiとセラミック基板11の窒素とが反応することによって生じたものである。なお、この窒化物層32の厚さHは、例えば0.1μm以上5μm以下とされている。
以下に、前述の構成のパワーモジュール用基板10の製造方法について、図4から図6を参照して説明する。
(固着工程S01)
まず、図5及び図6に示すように、金属板22、23のそれぞれの接合面に、スパッタリングによって、添加元素であるSi及びCu、並びに、活性元素であるTiを固着し、固着層24、25を形成する。
本実施形態では、固着層24、25におけるSi量は0.002mg/cm以上1.2mg/cm以下、Cu量は0.08mg/cm以上2.7mg/cm以下、活性元素であるTi量は0.04mg/cm以上2.3mg/cm以下に設定されている。
(積層工程S02)
次に、図5に示すように、金属板22をセラミックス基板11の一方の面側に積層し、かつ、金属板23をセラミックス基板11の他方の面側に積層する。このとき、図5及び図6に示すように、金属板22、23のうち固着層24、25が形成された面がセラミックス基板11を向くように積層する。すなわち、金属板22、23とセラミックス基板11との間にそれぞれ固着層24、25(Si、Cu及びTi)を介在させているのである。このようにして積層体20を形成する。
(加熱工程S03)
次に、積層工程S02において形成された積層体20を、その積層方向に加圧(圧力1〜5kgf/cm)した状態で加熱炉内に装入して加熱し、図6に示すように、金属板22、23とセラミックス基板11との界面にそれぞれ溶融金属領域27、28を形成する。この溶融金属領域27、28は、図6に示すように、固着層24、25のSi及びCuが金属板22、23側に拡散することによって、金属板22、23の固着層24、25近傍のSi濃度、Cu濃度が上昇して融点が低くなることにより形成されるものである。
このとき、活性金属であるTiは、セラミックス基板11を構成するAlNと反応し、Tiと窒素とを含む窒素化合物(例えばTiN)が生成し、窒化物層32が形成されることになる。
なお、本実施形態では、加熱炉内の雰囲気をNガス雰囲気としており、加熱温度は、550℃以上650℃以下の範囲内に設定している。
(凝固工程S04)
次に、溶融金属領域27、28が形成された状態で温度を一定に保持しておく。すると、溶融金属領域27、28中のSi、Cuが、さらに金属板22、23側へと拡散していくことになる。これにより、溶融金属領域27、28であった部分のSi濃度、Cu濃度が徐々に低下していき融点が上昇することになり、温度を一定に保持した状態で凝固が進行していくことになる。つまり、セラミックス基板11と金属板22、23とは、いわゆる等温拡散接合(Transient Liquid Phase Diffusion Bonding)によって接合されているのである。このようにして凝固が進行した後に、常温にまで冷却を行う。
このようにして、回路層12及び金属層13となる金属板22、23とセラミックス基板11とが接合され、本実施形態であるパワーモジュール用基板10が製造される。
以上のような構成とされた本実施形態であるパワーモジュール用基板10及びパワーモジュール1においては、金属板22、23の接合面に添加元素としてSi、Cuを固着させる固着工程S01を備えているので、金属板22、23とセラミックス基板11の接合界面30には、Si及びCuが介在することになる。ここで、Cuは、Alに対して反応性の高い元素であるため、接合界面30にCuが存在することによってアルミニウムからなる金属板22、23の表面が活性化することになる。よって、セラミックス基板11と金属板22、23とを強固に接合することが可能となる。
さらに、セラミックス基板11と回路層12(金属板22)及び金属層13(金属板23)とが、金属板22、23の接合面に形成された固着層24、25のSi及びCuを金属板22、23側に拡散させることによって溶融金属領域27、28を形成し、この溶融金属領域27、28中のSi及びCuをさらに金属板22、23へ拡散させることによって凝固させて接合しているので、比較的低温、短時間の接合条件で接合しても、セラミックス基板11と金属板22、23とを強固に接合することが可能となる。
また、セラミックス基板11と回路層12(金属板22)及び金属層13(金属板23)との接合界面30においては、回路層12(金属板22)及び金属層13(金属板23)にSi及びCuが固溶しており、回路層12及び金属層13のそれぞれの接合界面30側のSi濃度が0.05質量%以上0.5質量%以下、Cu濃度が0.05質量%以上1質量%以下の範囲内に設定されているので、回路層12(金属板22)及び金属層13(金属板23)の接合界面30側の部分が固溶強化し、回路層12(金属板22)及び金属層13(金属板23)における亀裂の発生を防止することができる。
また、加熱工程S03においてSi、Cu及び前記添加元素が十分に金属板22、23側に拡散しており、金属板22、23とセラミックス板11とが強固に接合されていることになる。
そして、セラミックス基板11がAlNで構成されており、金属板22,23とセラミックス基板11との接合界面30に、活性元素としてTiが介在しており、より具体的には、接合界面30にTiと窒素とを含む窒素化合物からなる窒化物層32が形成されているので、この窒化物層32によってセラミックス基板11と金属板22,23との接合強度の向上を図ることができる。なお、この窒化物層32は、活性元素であるTiとセラミックス基板11の窒素との反応によって生成していることからセラミックス基板11との接合強度は極めて高い。
また、金属板22,23の接合面に、添加元素であるSi及びCuと活性元素であるTiを固着させて固着層24、25を形成する固着工程S01を備えており、加熱工程S03において、固着層24、25のSi及びCuを金属板22、23側に拡散させることにより、セラミックス基板11と金属板22、23との界面に溶融金属領域27、28を形成する構成としているので、製造が困難なAl−Si系のろう材箔を用いる必要がなく、低コストで、金属板22、23とセラミックス基板11とが確実に接合されたパワーモジュール用基板10を製造することが可能となる。
また、本実施形態では、固着工程S01において、セラミックス基板11と金属板22、23との界面に介在されるSi量及びCu量及を、Si;0.002mg/cm以上、Cu;0.08mg/cm以上としているので、セラミックス基板11と金属板22、23との界面に、溶融金属領域27、28を確実に形成することができ、セラミックス基板11と金属板22、23とを強固に接合することが可能となる。
さらに、セラミックス基板11と金属板22、23との界面に介在されるSi量及びCu量を、Si;1.2mg/cm以下、Cu;2.7mg/cm以下としているので、固着層24、25にクラックが発生することを防止することができ、セラミックス基板11と金属板22,23との界面に溶融金属領域27,28を確実に形成することができる。さらに、Si、Cu及び前記添加元素が過剰に金属板22,23側に拡散して界面近傍の金属板22,23の強度が過剰に高くなることを防止できる。よって、パワーモジュール用基板10に冷熱サイクルが負荷された際に、熱応力を回路層12、金属層13(金属板22,23)で吸収することができ、セラミックス基板11の割れ等を防止できる。
また、ろう材箔を使用せずに、金属板22、23の接合面に直接固着層24、25を形成しているので、ろう材箔の位置合わせ作業等を行う必要がなく、確実にセラミックス基板11と金属板22,23とを接合することができる。
しかも、金属板22、23の接合面に固着層24、25を形成しているので、金属板22、23とセラミックス基板11との界面に介在する酸化被膜は、金属板22、23の表面にのみ存在することになるため、接合をN雰囲気下で行うことが可能となる。よって、このパワーモジュール用基板10を効率良く製出することが可能となり、製造コストを大幅に削減することが可能となる。
次に、本発明の第2の実施形態について図7から図11を参照して説明する。
このパワーモジュール101は、回路層112が配設されたパワーモジュール用基板110と、回路層112の表面にはんだ層2を介して接合された半導体チップ3と、ヒートシンク40とを備えている。ここで、はんだ層2は、例えばSn−Ag系、Sn−In系、若しくはSn−Ag−Cu系のはんだ材とされている。なお、本実施形態では、回路層12とはんだ層2との間にNiメッキ層(図示なし)が設けられている。
パワーモジュール用基板110は、セラミックス基板111と、このセラミックス基板111の一方の面(図7において上面)に配設された回路層112と、セラミックス基板111の他方の面(図7において下面)に配設された金属層113とを備えている。
セラミックス基板111は、回路層112と金属層113との間の電気的接続を防止するものである。本実施形態では、セラミックス基板111は絶縁性の高いAl(アルミナ)で構成されている。また、セラミックス基板111の厚さは、0.2〜0.8mmの範囲内に設定されており、本実施形態では、0.32mmに設定されている。
回路層112は、セラミックス基板111の一方の面に導電性を有する金属板122が接合されることにより形成されている。本実施形態においては、回路層112は、純度が99.99%以上のアルミニウム(いわゆる4Nアルミニウム)の圧延板からなる金属板122がセラミックス基板111に接合されることにより形成されている。
金属層113は、セラミックス基板111の他方の面に金属板123が接合されることにより形成されている。本実施形態においては、金属層113は、回路層112と同様に、純度が99.99%以上のアルミニウム(いわゆる4Nアルミニウム)の圧延板からなる金属板123がセラミックス基板111に接合されることで形成されている。
ヒートシンク140は、前述のパワーモジュール用基板110を冷却するためのものであり、パワーモジュール用基板110と接合される天板部141を備えている。本実施形態では、この天板部141の下方側に、コルゲートフィン146と底板部145とが配設されており、これら天板部141、コルゲートフィン146及び底板部145によって、冷却媒体(例えば冷却水)を流通するための流路142が画成されている。
なお、ヒートシンク140(天板部141)は、熱伝導性が良好な材質で構成されることが望ましく、本実施形態においては、A3003(アルミニウム合金)で構成されている。
そして、図8に示すように、セラミックス基板111と回路層112(金属板122)及び金属層113(金属板123)との接合界面130においては、回路層112(金属板122)及び金属層113(金属板123)にSi、Cu、Ag及びGeから選択される1種又は2種以上の添加元素が固溶している。
回路層112及び金属層113の接合界面130近傍には、接合界面130から積層方向に離間するにしたがい漸次添加元素の濃度が低下する濃度傾斜層133が形成されている。ここで、この濃度傾斜層133の接合界面130側(回路層112及び金属層113の接合界面130近傍)の前記添加元素濃度の合計が、0.05質量%以上5質量%以下の範囲内に設定されている。
ここで、本実施形態では、CuとGeを添加元素として用いており、回路層112及び金属層113の接合界面130近傍のCu濃度が0.05質量%以上1質量%以下、Ge濃度が0.05質量%以上1質量%以下の範囲内に設定されている。
なお、回路層112及び金属層113の接合界面130近傍の前記添加元素濃度は、EPMA分析(スポット径30μm)で、接合界面130から50μmまでの範囲内を5点測定した平均値である。
また、セラミックス基板111と回路層112(金属板122)及び金属層113(金属板123)との接合界面130には、Ti,Zr,Hf,Ta,Nb及びMoから選択される1種又は2種以上の元素が介在している。なお、本実施形態では、活性元素としてHfが介在している。
ここで、接合界面130部分には、活性金属であるHfと酸素とを含む酸素化合物からなる酸化物層132が形成されている。この酸化物層132は、活性金属であるHfとセラミック基板111の酸素とが反応することによって生じたものである。なお、この酸化物層132の厚さHは、例えば0.1μm以上5μm以下とされている。
以下に、前述の構成のパワーモジュール用基板110の製造方法について、図10及び図11を参照して説明する。
(第1固着工程S10)
まず、図11に示すように、金属板122、123のそれぞれの接合面に、スパッタリングによって、添加元素であるCu及びGeを固着し、第1固着層124A、125Aを形成する。
本実施形態では、第1固着層124A、125AにおけるCu量は0.08mg/cm以上2.7mg/cm以下、Ge量は0.002mg/cm以上2.5mg/cm以下に設定されている。
(第2固着工程S11)
次に、金属板122、123の第1固着層124A、125Aの上に、スパッタリングによって、活性元素であるHfを固着し、第2固着層124B、125Bを形成する。本実施形態では、第2固着層124B、125BにおけるHf量は0.1mg/cm以上6.7mg/cm以下に設定されている。
(積層工程S12)
次に、金属板122をセラミックス基板111の一方の面側に積層し、かつ、金属板123をセラミックス基板111の他方の面側に積層する。このとき、図11に示すように、金属板122、123のうち第1固着層124A、125A、第2固着層124B、125Bが形成された面がセラミックス基板111を向くように積層する。すなわち、金属板122、123とセラミックス基板111との間にそれぞれ第1固着層124A、125A(Cu、Ge)及び第2固着層124B、125B(Hf)を介在させているのである。このようにして積層体を形成する。
(加熱工程S13)
次に、積層工程S12において形成された積層体を、その積層方向に加圧(圧力1〜5kgf/cm)した状態で加熱炉内に装入して加熱し、図11に示すように、金属板122、123とセラミックス基板111との界面にそれぞれ溶融金属領域127、128を形成する。この溶融金属領域127、128は、図11に示すように、第1固着層124A、125AのCu及びGeが金属板122、123側に拡散することによって、金属板122、123の第1固着層124A、125A近傍のCu濃度、Ge濃度が上昇して融点が低くなることにより形成されるものである。
このとき、活性金属であるHfは、セラミックス基板111を構成するAlと反応し、Hfと酸素とを含む酸素化合物(例えばHfO)が生成し、酸化物層132が形成されることになる。
なお、本実施形態では、加熱炉内の雰囲気をNガス雰囲気としており、加熱温度は、550℃以上650℃以下の範囲内に設定している。
(凝固工程S14)
次に、溶融金属領域127、128が形成された状態で温度を一定に保持しておく。すると、溶融金属領域127、128中のCu、Geが、さらに金属板122、123側へと拡散していくことになる。これにより、溶融金属領域127、128であった部分のCu濃度、Ge濃度が徐々に低下していき融点が上昇することになり、温度を一定に保持した状態で凝固が進行していくことになる。つまり、セラミックス基板111と金属板122、123とは、いわゆる等温拡散接合(Transient Liquid Phase Diffusion Bonding)によって接合されているのである。このようにして凝固が進行した後に、常温にまで冷却を行う。
このようにして、回路層112及び金属層113となる金属板122、123とセラミックス基板111とが接合され、本実施形態であるパワーモジュール用基板110が製造される。
以上のような構成とされた本実施形態であるパワーモジュール用基板110及びパワーモジュール101においては、金属板122、123の接合面に添加元素としてCu、Geを固着させる第1固着工程S10を備えているので、金属板122、123とセラミックス基板111の接合界面130には、Cu及びGeが介在することになる。ここで、Cuは、Alに対して反応性の高い元素であるため、接合界面130にCuが存在することによってアルミニウムからなる金属板122、123の表面が活性化することになる。よって、セラミックス基板111と金属板122、123とを強固に接合することが可能となる。
そして、セラミックス基板111がAlで構成されており、金属板122,123とセラミックス基板111との接合界面130に、活性元素としてHfが介在しており、より具体的には、接合界面130にHfと酸素とを含む酸素化合物からなる酸化物層132が形成されているので、この酸化物層132によってセラミックス基板111と金属板122,123との接合強度の向上を図ることができる。なお、この酸化物層132は、活性元素であるHfとセラミックス基板111の酸素との反応によって生成していることからセラミックス基板111との接合強度は極めて高い。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、回路層及び金属層を構成する金属板を純度99.99%の純アルミニウムの圧延板としたものとして説明したが、これに限定されることはなく、純度99%のアルミニウム(2Nアルミニウム)であってもよい。
また、固着工程において、金属板の接合面にCu,Si,Ag及びGeから選択される1種又は2種以上の添加元素及びTi,Zr,Hf,Ta,Nb及びMo等の活性元素を固着させる構成としたものとして説明したが、これに限定されることはなく、セラミックス基板の接合面に前記添加元素及び前記活性元素を固着させてもよいし、セラミックス基板の接合面及び金属板の接合面に、それぞれ前記添加元素及び前記活性元素を固着させてもよい。
また、固着工程において、前記添加元素及び前記活性元素とともにAlを固着させてもよい。
さらに、固着工程において、スパッタによって前記添加元素及び前記活性元素を固着するものとして説明したが、これに限定されることはなく、蒸着やCVD等で前記添加元素及び前記活性元素を固着させてもよい。
また、セラミックス基板と金属板との接合を、N雰囲気の加熱炉を用いて行うものとして説明したが、これに限定されることはなく、真空炉を用いてセラミックス基板と金属板との接合を行ってもよい。この場合の真空度は、10−6〜10−3Paの範囲内とすることが好ましい。
さらに、セラミックス基板をAlN、又は、Alで構成されたものとして説明したが、これに限定されることはなく、Si等の他のセラミックスで構成されていてもよい。
また、ヒートシンクをアルミニウムで構成したものとして説明したが、アルミニウム合金、又はアルミニウムを含む複合材等で構成されていてもよい。さらに、ヒートシンクとして冷却媒体の流路を有するもので説明したが、ヒートシンクの構造に特に限定はなく、種々の構成のヒートシンクを用いることができる。例えば、第2の実施形態における天板部のみを放熱板としてパワーモジュール用基板に接合したものであってもよい。
さらに、本実施形態では、ヒートシンクの上に一つのパワーモジュール用基板が接合された構成として説明したが、これに限定されることはなく、一つのヒートシンクの上に複数のパワーモジュール用基板が接合されていてもよい。
1 パワーモジュール
3 半導体チップ(電子部品)
10、110 パワーモジュール用基板
11、111 セラミックス基板
12、112 回路層
13、113 金属層
22、23、122、123 金属板
24、25 固着層
27、28、127、128 溶融金属領域
30、130 接合界面
32 窒化物層
124A,125A 第1固着層(固着層)
124B,125B 第2固着層(固着層)
132 酸化物層

Claims (10)

  1. セラミックス基板の表面に、アルミニウムからなる金属板が積層されて接合されたパワーモジュール用基板であって、
    前記セラミックス基板は、酸素又は窒素を含有しており、
    前記金属板には、Cu,Si,Ag及びGeから選択される1種又は2種以上の添加元素が固溶しており、
    さらに、前記金属板と前記セラミックス基板との界面部分には、Ti,Zr,Hf,Ta,Nb及びMoから選択される1種又は2種以上の活性元素が介在していることを特徴とするパワーモジュール用基板。
  2. 前記セラミックス基板は窒素を含有しており、前記セラミックス基板と前記金属板との接合界面に、前記活性元素と窒素とを含む窒化物層が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のパワーモジュール用基板。
  3. 前記セラミックス基板は酸素を含有しており、前記セラミックス基板と前記金属板との接合界面に、前記活性元素と酸素とを含む酸化物層が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のパワーモジュール用基板。
  4. 前記金属板のうち前記セラミックス基板との界面近傍における前記添加元素の濃度の合計が0.05質量%以上5質量%以下の範囲内に設定されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のパワーモジュール用基板。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のパワーモジュール用基板と、該パワーモジュール用基板を冷却するヒートシンクと、を備えたことを特徴とするヒートシンク付パワーモジュール用基板。
  6. 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のパワーモジュール用基板と、該パワーモジュール用基板上に搭載される電子部品と、を備えたことを特徴とするパワーモジュール。
  7. セラミックス基板の表面に、アルミニウムからなる金属板が積層されて接合されたパワーモジュール用基板の製造方法であって、
    前記セラミックス基板は、酸素又は窒素を含有しており、
    前記セラミックス基板の接合面及び前記金属板の接合面のうち少なくとも一方に、Cu,Si,Ag及びGeから選択される1種又は2種以上の添加元素と、Ti,Zr,Hf,Ta,Nb及びMoから選択される1種又は2種以上の活性元素と、を固着する固着工程と、
    前記セラミックス基板と前記金属板と積層する積層工程と、
    積層された前記セラミックス基板と前記金属板を積層方向に加圧するとともに加熱し、前記セラミックス基板と前記金属板との界面に溶融金属領域を形成する加熱工程と、
    この溶融金属領域を凝固させることによって、前記セラミックス基板と前記金属板とを接合する凝固工程と、を有し、
    前記加熱工程において、固着した前記添加元素を前記金属板側に拡散させることにより、前記セラミックス基板と前記金属板との界面に、前記溶融金属領域を形成することを特徴とするパワーモジュール用基板の製造方法。
  8. 前記固着工程において、前記セラミックス基板と前記金属板との界面に介在される前記添加元素の固着量を0.1mg/cm以上20mg/cm 以下としたことを特徴とする請求項7に記載のパワーモジュール用基板の製造方法。
  9. 前記固着工程では、前記添加元素及び前記活性元素とともにAlを固着させることを特徴とする請求項7及び請求項8に記載のパワーモジュール用基板の製造方法。
  10. 前記固着工程は、蒸着、CVD又はスパッタリングによって前記セラミックス基板の接合面及び前記金属板の接合面のうち少なくとも一方に、前記添加元素及び前記活性元素を固着させることを特徴とする請求項7から請求項9のいずれか一項に記載のパワーモジュール用基板の製造方法。
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