以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係る電子音楽システムの概略構成を示すブロック図であり、同図に示すように本実施の形態の電子音楽システムは、音楽制御装置1と電子音楽装置2によって構成されている。そして、音楽制御装置1としてはMIDIキーボードを採用し、電子音楽装置2としてはDAWソフトウェアがインストールされ起動されているPCを採用している。
音楽制御装置1は、音高情報を含む演奏情報を入力するための鍵盤を含む演奏操作子101と、各種制御情報や各種設定情報を入力するためのノブ、スライダおよびスイッチ等からなる制御操作子102と、演奏操作子101の操作状態を検出する検出回路103と、制御操作子102の操作状態を検出する検出回路104と、装置1全体の制御を司るCPU105と、該CPU105が実行する制御プログラムや各種テーブルデータ等を記憶するROM106と、演奏情報、各種入力情報および演算結果等を一時的に記憶するRAM107と、各種情報等を表示する、たとえば小型の液晶ディスプレイ(LCD)および発光ダイオード(LED)等を備えた表示器108と、前記制御プログラムを含む各種アプリケーションプログラムや各種楽曲データ、各種データ等を記憶する記憶装置109と、通信線300を介して、電子音楽装置2とデータの送受信を行う通信インターフェース(I/F)110とにより構成されている。
上記構成要素103〜110は、バス111を介して相互に接続され、通信I/F110には通信線300が接続されている。
記憶装置109は、たとえば、フレキシブルディスク(FD)、ハードディスク(HD)、CD−ROM、DVD(digital versatile disc)、光磁気ディスク(MO)および半導体メモリなどの記憶媒体とその駆動装置である。記憶媒体は、駆動装置から着脱可能であってもよいし、記憶装置109自体が、音楽制御装置1から着脱可能であってもよい。あるいは、記憶媒体も記憶装置109も着脱不可能であってもよい。なお、記憶装置109(の記憶媒体)には、前述のように、CPU105が実行する制御プログラムも記憶でき、ROM106に制御プログラムが記憶されていない場合には、この記憶装置109に制御プログラムを記憶させておき、それをRAM107に読み込むことにより、ROM106に制御プログラムを記憶している場合と同様の動作をCPU105にさせることができる。このようにすると、制御プログラムの追加やバージョンアップ等が容易に行える。
通信I/F110としては、たとえば、MIDI信号などの音楽信号を専用に送受信する音楽専用有線I/F、USB(universal serial bus)やIEEE1394などの汎用近距離有線I/F、Ethernet(登録商標)などの汎用ネットワークI/F、無線LAN(local area network)やBluetooth(登録商標)などの汎用近距離無線I/Fを挙げることができる。本実施の形態では、通信I/F110として、USBを採用しているが、これに代えて他の種類のI/Fを採用してもよいし、これに他の種類のI/Fを加えるようにしてもよい。
なお本実施の形態では、音楽制御装置1としてMIDIキーボードを採用しているが、これに限られる訳ではなく、MIDI信号とは種類の異なる音楽信号を出力する音楽キーボードを採用してもよいし、鍵盤楽器の形態に代えて、弦楽器タイプ、管楽器タイプ、打楽器タイプ等の他の楽器の形態を採用してもよい。さらに、楽器の形態に限らず、制御操作子のみ(あるいは、それに表示器を加えたもの)を備えた制御卓の形態であってもよい。
電子音楽装置2は、文字数字入力用キーボードおよびマウス等を含む設定操作子201と、該設定操作子201の各操作子の操作状態を検出する検出回路202と、オーディオ信号を入力するためのオーディオ信号入力回路203と、装置2全体の制御を司るCPU204と、該CPU204が実行する制御プログラムや各種テーブルデータ等を記憶するROM205と、楽曲データ、各種入力情報および演算結果等を一時的に記憶するRAM206と、各種情報等を表示する、たとえば液晶ディスプレイ(LCD)および発光ダイオード(LED)等を備えた表示装置207と、前記制御プログラムを含む各種アプリケーションプログラムや各種楽曲データ、各種データ等を記憶する記憶装置208と、通信線300を介して、音楽制御装置1とデータの送受信を行う通信I/F209と、圧縮されたデジタルオーディオ信号を伸長した後アナログオーディオ信号に変換するCODEC(coder-decoder)210と、該CODEC210からのオーディオ信号を音響に変換する、たとえばアンプやスピーカ等のサウンドシステム211とにより構成されている。
上記構成要素202〜210は、バス212を介して相互に接続され、通信I/F209には通信線300が接続され、CODEC210にはサウンドシステム211が接続されている。
記憶装置208は、たとえば、フレキシブルディスク(FD)、ハードディスク(HD)、CD−ROM、DVD(digital versatile disc)、光磁気ディスク(MO)および半導体メモリなどの記憶媒体とその駆動装置である。記憶媒体は、駆動装置から着脱可能であってもよいし、記憶装置208自体が、電子音楽装置2から着脱可能であってもよい。あるいは、記憶媒体も記憶装置208も着脱不可能であってもよい。なお、記憶装置208(の記憶媒体)には、前述のように、CPU204が実行する制御プログラムも記憶でき、ROM205に制御プログラムが記憶されていない場合には、この記憶装置208に制御プログラムを記憶させておき、それをRAM206に読み込むことにより、ROM205に制御プログラムを記憶している場合と同様の動作をCPU204にさせることができる。このようにすると、制御プログラムの追加やバージョンアップ等が容易に行える。
通信I/F209は、通信線300を介して前記通信I/F110と接続されるので、通信I/F209は、通信I/F110と同種のI/Fである。
なお本実施の形態では、電子音楽装置2として、DAWソフトウェアがインストールされ起動されているPCを採用しているが、これに限らず、DAWを実現する専用の装置を採用してもよい。また、DAWソフトウェアという範疇に含まれない音楽ソフトウェアをインストールし起動したPCを電子音楽装置2としてもよい。DAWソフトウェアは、図2を用いて後述するように、音源部2d、シーケンサ2e、レコーダ2gおよびミキサ2hの各機能をすべて含んでいるが、これらの機能をすべて含む必要はなく、DAWソフトウェアとしては、それらの一部のみ含んだものを採用し、それ以外は必要なときに、DAWソフトウェアにアドオンする形式でインストールし起動するようにしてもよいし、あるいは、各機能がそれぞれ単体で存在し、DAWソフトウェアとしては、それらを統括する機能のみ備えたものを採用してもよい。つまり、最終的に、少なくともシーケンサと音源を有する構成になればよい。
図2は、音楽制御装置1および電子音楽装置2の各機能構成を示すブロック図である。
同図に示すように音楽制御装置1と電子音楽装置2との間は、複数の信号がやり取りされており、信号の供給元のブロック(MIDI信号出力部1b、制御操作子1c、テンプレート記憶部1d、表示部1e、機能拡張部2bおよび編集部2j)も、信号の供給先のブロック(MIDI信号入力部2a、機能拡張部2b、編集部2j、テンプレート記憶部1dおよび表示部1e)も、複数存在している。一方、音楽制御装置1と電子音楽装置2は、前記図1に示したように、通信I/F110、通信線300および通信I/F209を介してのみ接続されているので、前記複数の信号はいずれも、通信I/F110、通信線300および通信I/F209という共通のルートを通って、音楽制御装置1から電子音楽装置2へ、あるいは電子音楽装置2から音楽制御装置1へ送信される。より具体的には、音楽制御装置1から電子音楽装置2へ信号を送信する場合には、音楽制御装置1側のCPU105は、送信したいデータを通信I/F110の送信バッファ(図示せず)に格納する。これに応じて、通信I/F110は、送信バッファに格納されたデータをUSBのプロトコルに従って通信I/F209に送信する。通信I/F209は、受信したデータを自身の受信バッファ(図示せず)に一時的に記憶する。電子音楽装置2側のCPU204は、通信I/F209の受信バッファに記憶されたデータを、そのデータの種類に応じたブロックに供給する。このように本実施の形態では、通信I/F209の受信バッファに記憶されたデータを対応するブロックに振り分ける処理は、CPU204によってなされるとしたが、これに限らず、各ブロックが受信バッファを常時監視し、処理すべきデータが受信バッファに格納されたときに、そのブロックの方から受信バッファにアクセスし、受信バッファ内のデータを取得するようにしてもよい。一方、電子音楽装置2から音楽制御装置1へ信号を送信する場合には、音楽制御装置1から電子音楽装置2へ信号を送信する場合の処理と逆の処理を行えばよいので、その説明は省略する。
以上のように音楽制御装置1と電子音楽装置2との間の信号の流れは、実際には図2に図示されている流れと異なっているが、図2は、信号の実際の流れを説明するためのものではなく、各ブロックがどのブロックから出力されたどの信号をどう使って制御処理を行うかを説明するためのものであるので、以下、各ブロックの制御内容を説明する際には、各ブロック間には、図2に示す経路で信号が流れるものとする。
演奏操作子1aは、前記図1の演奏操作子101および検出回路103に相当し、ユーザが演奏操作子101を操作すると、演奏操作子1aは、その操作された演奏操作子101を特定する演奏操作子特定情報(たとえば、操作された演奏操作子101が複数の鍵を備えた鍵盤であり、各鍵にはそれぞれ鍵番号が割り当てられているときに、いずれかの鍵が操作された場合には、その鍵に割り当てられた番号)とその操作状態に応じた操作情報(演奏操作子101が上記鍵盤の場合には、たとえばキーオン/オフ情報とベロシティ情報)をMIDI信号出力部1bに出力する。
MIDI信号出力部1bは、主として、CPU105およびRAM107によって構成され、演奏操作子1aから出力された演奏操作子特定情報および操作情報を一時記憶し、この演奏操作子特定情報および操作情報に基づいてMIDI信号(ノートオン/オフイベント)を生成し、生成したMIDI信号を電子音楽装置2側のMIDI信号入力部2aに出力する。
制御操作子1cは、前記図1の制御操作子102および検出回路104に相当し、ユーザが制御操作子102を操作すると、制御操作子1cは、その操作された制御操作子102の種類と操作値を含む制御信号を生成し、この制御信号を電子音楽装置2側の機能拡張部2bに出力する。
テンプレート記憶部1dは、主として、CPU105、RAM107および記憶装置109によって構成され、複数のテンプレートを記憶し、後述する編集部2jの送信要求に応じて、要求されたテンプレートを編集部2jに送信し、編集部2jがそのテンプレートの登録内容を編集すると、編集後のテンプレートを編集部2jから受信して記憶する。なお、テンプレートの編集は、本実施の形態では基本的に、電子音楽装置2側(の編集部2j)で行われるものとするが、実際には、音楽制御装置1側でも行うことができる。テンプレートの登録内容は、音楽制御装置1が実行する制御処理だけではなく、電子音楽装置2(特に、後述する機能拡張部2b)が実行する制御処理でも使用されるので、音楽制御装置1側で編集したテンプレートが、電子音楽装置2で現在使用されているものであるときには、音楽制御装置1は編集後のテンプレートを電子音楽装置2に送信し、音楽制御装置1側でのテンプレートの登録内容と電子音楽装置2側でのテンプレートの登録内容とを一致させている。
図3(a)は、後述するユーザインターフェース部2cに表示されたテンプレート設定画面207aの一例を示す図である。テンプレートは、ユーザが、たとえばマウスカーソルCと前記文字数字入力用キーボードを用いて詳細設定画面207a31に設定内容を入力することで設定される。そして、入力された設定内容は適宜、テンプレート設定画面207a上に反映される。以下、図3(a)を参照して、テンプレートに設定される内容を説明する。
テンプレートは、上述のように複数記憶されるため、各テンプレートには名称を付けることができる。テンプレートに名称が付けられると、その名称はテンプレート名称表示領域207bに表示される。
テンプレートは、本実施の形態では、制御操作子102の各操作子と該各操作子によってそれぞれ制御されるパラメータの種類とを対応付けるためのものである。図示例では、制御操作子102に含まれる複数(たとえば、4つ)のノブ102a1〜102a4(後述する図4参照)のそれぞれとパラメータ種類とが対応付けられている。この対応付けが一目で分かるようにテンプレート設定画面207aには、ノブ102a1〜102a4と同じ形状のノブ(の絵)207a11〜207a14も表示されている。なおパラメータ種類に対応付ける制御操作子102は、もちろんノブに限られる訳ではなく、どのような種類の操作子であってもよい。なお、本発明は音源制御に関するものであるので、テンプレートに登録されるパラメータは音源制御に用いられる種類のものである。
1つのテンプレートには、ある1つの音源を制御するためのパラメータが登録されるので、テンプレートと音源を関連付けることができるようになっている。ソフトウェア音源名称表示領域207cに名称が表示されているソフトウェア音源は、当該テンプレートと関連付けられている音源である。ユーザが、たとえばマウスカーソルCをソフトウェア音源名称表示領域207cの右横のプルダウンボタン“▽”207c1に合わせてクリック操作を行うと、図3(b)に示すように、電子音楽装置2内にインストールされているソフトウェア音源の名称のリストがプルダウンメニュー形式で表示される。ユーザがマウスカーソルCを用いて、リスト中のいずれかのソフトウェア音源名称を選択すると、選択された名称がソフトウェア音源名称表示領域207cに表示されるとともに、その名称のソフトウェア音源が当該テンプレートと関連付けられる。
本発明の特徴の1つは、音楽制御装置1側で電子音楽装置2内のソフトウェア音源のパラメータを設定するに際してユーザが、どのソフトウェア音源のパラメータを設定しようとしているのかを音楽制御装置1側で直感的に分かるようにすることにある。このため本実施の形態では、パラメータを設定するときに音楽制御装置1の前記表示器108に表示する画面(以下、「音源パラメータ表示画面」という)の画面スキン(画面デザイン)を音源毎に変更するようにしている。そして、音楽制御装置1側で電子音楽装置2内のソフトウェア音源のパラメータを設定するときには、いずれか1つのテンプレートが常に選択されるので、テンプレートと画面スキンを関連付けることで、テンプレートが決まると一意的に画面スキンが決まり、音源パラメータ表示画面は当該画面スキン、つまり当該テンプレートに関連付けられたソフトウェア音源に応じた画面デザインで表示される。画面スキン名称表示領域207dに名称が表示されている画面スキンは、当該テンプレートと関連付けられているスキンである。ユーザがマウスカーソルCを用いて、画面スキン名称表示領域207dの右横のプルダウンボタン“▽”207d1に合わせてクリック操作を行うと、図3(c)に示すように、音楽制御装置1内に予め記憶されている画面スキンの名称のリストがプルダウンメニュー形式で表示される。ユーザがマウスカーソルCを用いて、リスト中のいずれかの画面スキン名称を選択すると、選択された名称が画面スキン名称表示領域207dに表示されるとともに、その名称の画面スキンが当該テンプレートと関連付けられる。
上記複数のテンプレートのうち、選択された少なくとも一部がテンプレート記憶部1dから機能拡張部2bに送信され、機能拡張部2bは、このテンプレートの登録内容に基づいて、制御操作子1cから出力された制御信号に含まれる操作子の種類をパラメータの種類に変換する。この変換後の制御信号のフォーマットとして、本実施の形態ではMIDIフォーマットと専用フォーマットのいずれかを選択できるようになっている。MIDIフォーマットが選択された場合には、制御信号はMIDIのコントロールチェンジ(cc)メッセージに変換されるので、この場合を「ccモード」と言う。一方、専用フォーマットが選択された場合には、制御信号はリモート(Remote)コントロールコードに変換されるので、この場合を「Remoteモード」と言う。
ccボタン207a41をマウスカーソルCでクリックすることによってccモードを選択した場合、ユーザは、制御操作子(図示例では、ノブ102a1〜102a4のいずれか)に自由に名称を付けることができるので、詳細設定画面207a31から目的の操作子に対する名称を入力すると、その名称が目的の操作子の表示領域(表示領域207a21〜207a24のうちのいずれか)内に表示される。さらにユーザがパラメータ種類に対応するコントロールチェンジ(cc)番号を入力すると、そのcc番号が同じ表示領域内に表示される。なおccモードが選択されたときには、ccボタン207a41の上の小円が点灯(図示例では、点灯は黒色で示されている)する。
一方、Remoteボタン207a42をマウスカーソルCでクリックすることによってRemoteモードを選択した場合、ユーザは予め用意されている複数のリモートコントロールコードのうちのいずれかを選択して設定することができる。各リモートコントロールコードには、当該リモートコントロールコードで制御可能なパラメータ種類が対応付けられているので、ユーザは、目的の制御操作子(図示例では、ノブ)によって制御したいパラメータ種類を制御可能なリモートコントロールコードを、その目的の制御操作子に対応付ける。このようにして制御操作子とリモートコントロールコードとが対応付けられると、リモートコントロールコードの名称が、その制御操作子の表示領域(表示領域207a21〜207a24のうちのいずれか)内に表示される。本実施の形態では、リモートコントロールコードの名称は固定的であり、ユーザが自由に変更することができないようになっているが、これに限らず、コントロールチェンジメッセージと同様に、リモートコントロールコードについても、その名称を自由に設定(あるいは変更)できるようにしてもよい。
なお「ccモード」と「Remoteモード」のうち、選択された方のモードは、テンプレートに設定される。
このようにして入力された内容は、たとえば図3(d)に示すフォーマットでRAM206に一時的に記憶される。なおこのフォーマットが、一時記憶時に限らず、テンプレートのフォーマットであるとする。図示例のフォーマットでは、関連付けるソフトウェア音源および画面スキンとして「名称」を採用しているが、これらを特定できる情報であれば、ID(identification)や番号などの識別情報を採用してもよい。この場合、識別情報に基づいて各名称を表示したり、ソフトウェア音源に対応したテンプレートを選択したり、画面スキンを選択したりすればよい。画面スキンの実体的なデータ(画面スキンデータ)は、本実施の形態では音楽制御装置1のROM106あるいは記憶装置109に予め記憶されているものとするが、電子音楽装置2側から適宜取得して音楽制御装置1のRAM107に記憶させてもよい。画面スキンデータには、たとえば、音源パラメータ表示画面の表示に必要な表示パーツの画像データとその配置を示すデータ、背景の画像データ、制御操作子102と表示パーツを対応付けるデータ、制御操作子102の操作に応じて形状や位置が変更された後の表示パーツ(制御操作子102がノブ102a1〜102a4の場合には、目盛りを示す位置がデフォルト位置(たとえば“0”)から変更されたもの(図4参照))の画像データ、文字の色、フォント、大きさおよび配置をそれぞれ示すデータなどが含まれる。
図4は、音楽制御装置1のパネルの一部を示す図であり、同図(a)は、サンプリングタイプのソフトウェア音源についての音源パラメータ表示画面の一例を示し、同図(b)は、アナログモデリングタイプのソフトウェア音源についての音源パラメータ表示画面の一例を示している。このように音楽制御装置1側の表示器108上には、音源パラメータ表示画面108aとして、パラメータ名称の付けられた各ノブ(の絵)がそれぞれ対応するパラメータの現在値を指し示す画面が、選択されたソフトウェア音源の種類に応じた画面スキン(画面デザイン)で表示される。
図2に戻り、表示部1eは、主として、CPU105、RAM107および表示器108によって構成され、表示器108上に各種表示を行う。この各種表示の中に、上記表示画面108aの表示も含まれる。
機能拡張部2bは、主として、CPU204、RAM206および記憶装置208によって構成され、テンプレート記憶部1dから送信されてきたテンプレートを受信し、受信したテンプレートを記憶する。機能拡張部2bは、制御操作子1cからの制御信号も受信し、受信した制御信号に含まれる制御操作子の種類を、上記記憶したテンプレートの登録内容に基づいてパラメータの種類に変換し、これをユーザインターフェース部2cに供給する。このとき制御信号は、ccモードが選択されていればMIDIのコントロールチェンジメッセージに変換され、Remoteモードが選択されていればリモートコントロールコードに変換される。なお制御信号には、前述のように制御操作子の種類の他に操作値も含まれているが、機能拡張部2bは、操作値については何ら変換を行わずに、そのままユーザインターフェース部2cに供給するようにしている。これは、操作値についての処理をユーザインターフェース部2cに任せているからである。また機能拡張部2bは、CPU204が機能拡張ソフトウェアを実行することによって実現されている。この機能拡張ソフトウェアは、DAWソフトウェアが通常備えているものではなく、本発明を実現するために新たに作成したものである。したがって、DAWソフトウェアを起動したとしても、それに応じて自動的に機能拡張部2bは生成されない。このため本実施の形態では、DAWソフトウェアを起動するときに同時に、機能拡張ソフトウェアも記憶装置208からRAM206内に読み込んで起動するようにしている。
ユーザインターフェース部2cは、主として、設定操作子201、検出回路202、CPU204、RAM206、記憶装置208および表示装置207によって構成され、電子音楽装置2のGUI環境を提供する。つまりユーザインターフェース部2cは、ユーザがユーザインターフェース部2cに対して行った操作入力を受け付け、その操作入力の対象となる機能に対してその操作入力に応じた指示を行うという通常の制御処理に加えて、ユーザが音楽制御装置1の制御操作子102を用いて行った操作入力を機能拡張部2bを介して受け付け、その操作入力の対象となる機能に対してその操作入力に応じた指示を行うという制御処理も実行する。これにより、音楽制御装置1はDAWソフトウェアの各種機能をリモート制御することができる。
音源部2dは、主として、CPU204、ROM205、RAM206および記憶装置208によって構成され、ソフトウェアによってデジタルオーディオ信号を生成する、いわゆるソフトウェア音源である。音源部2dは、複数種類のソフトウェア音源(複数の楽音生成アルゴリズムによって生成されたもの、複数のメーカによって製造されたものなど)を備え、その中から1または複数の音源を選択して用いるようにしている。なお音源部2dは、本実施の形態ではすべてソフトウェア音源によって構成したが、これに限らず、すべてハードウェア音源によって構成してもよいし、ソフトウェア音源とハードウェア音源の双方を使用できるようにしてもよい。後者の場合、ソフトウェア音源とハードウェア音源とを区別してユーザに提示してもよいし、混在させて(ユーザにその区別を認識させずに)提示してもよい。
MIDI信号入力部2aは、主として、CPU204およびRAM206によって構成され、MIDI信号出力部1bから出力されたMIDI信号を入力して一時記憶した後、シーケンサ2eに供給する。
シーケンサ2eは、主として、CPU204、ROM205、RAM206および記憶装置208によって構成され、MIDI信号記録モードが選択されているときには、入力されたMIDI信号をRAM206の所定位置に確保されたMIDI信号記録領域(図示せず)に記録する一方、MIDI信号スルーモードが選択されているときには、入力されたMIDI信号をMIDI信号記録領域に記録せずにそのまま、あるいは記録してから音源部2dに出力する。MIDI信号記録領域は、本実施の形態では複数のトラックによって形成されているので、入力されたMIDI信号はいずれかのトラックに記録される。MIDI信号をどのトラックに記録するかは、通常、MIDI信号に含まれるMIDIチャンネルに基づいて決定される。各トラックにおいて、固定的または可変的に当該トラックに記録すべきMIDIチャンネルが設定されており、各トラックには、入力されてきたMIDI信号のMIDIチャンネルと当該トラックに設定されているMIDIチャンネルが一致したときに、そのMIDI信号が取り込まれて記録される。MIDI信号記録領域に記録されたMIDI信号は、ユーザによる再生指示に応じてシーケンサ2eによりトラック毎に再生される。シーケンサ2eは、トラック毎に当該トラックの再生時に使用する音源の種類を設定できるように構成されている。そして各音源は、前述のように前記テンプレート記憶部1dに記憶されている複数のテンプレートのいずれかと関連付けることができるようになっている。これによりユーザは、シーケンサ2eに対してトラック毎に異なった種類の音源を使用してMIDI信号を再生させることができ、さらにテンプレートを適宜設定することにより、同じ操作子で、ある音源についてはあるパラメータを制御し、別の音源については別のパラメータを制御することができる。このようにして再生されたMIDI信号は、シーケンサ2eから音源部2dに出力され、音源部2dは、そのMIDI信号に基づいてデジタルオーディオ信号を生成し、生成したデジタルオーディオ信号をミキサ2hに出力する。
ミキサ2hは、主として、CPU204、ROM205、RAM206および記憶装置208によって構成され、音源部2dから出力されたデジタルオーディオ信号と、レコーダ2gから出力されたデジタルオーディオ信号とをミックスし、そのミックス信号をサウンドシステム2iに出力する。
レコーダ2gは、主として、CPU204、ROM205、RAM206および記憶装置208によって構成され、オーディオ信号入力部2fから入力されたデジタルオーディオ信号を記録し、ユーザによる再生指示に応じて、記録されたデジタルオーディオ信号を再生し、再生したデジタルオーディオ信号をミキサ2hに出力する。またレコーダ2gには、音源部2dによって生成されたデジタルオーディオ信号も供給されるので、レコーダ2gは音源部2dからのデジタルオーディオ信号も記録することができる。シーケンサ2eによってMIDI信号を再生し、音源部2dによって生成されたデジタルオーディオ信号と、レコーダ2gによって再生されたデジタルオーディオ信号とをミキサ2hでミックスするときには、シーケンサ2eとレコーダ2gは同期して再生を行う。
サウンドシステム2iは、前記図1のCODEC210およびサウンドシステム211に相当し、ミキサ2hから出力されたデジタルオーディオ信号(このデジタルオーディオ信号が圧縮されたものである場合には、伸長した後)をアナログオーディオ信号に変換し、そのアナログオーディオ信号を音響に変換する。
編集部2jは、主として、CPU204、RAM206および記憶装置208によって構成され、テンプレートの設定と、各音源および各画面スキンと各テンプレートとの関連付けを行う。なお本発明の特徴の1つは、編集部2jが実行する制御処理にあり、その詳細については後述するので、ここではこれ以上の説明は行わない。
以上のように構成された電子音楽システムが実行する制御処理を、まず図3〜図6を参照してその概要を説明し、次に図7〜図10を参照して詳細に説明する。
本実施の形態の電子音楽システムは、複数の操作子からなる制御操作子102を含む音楽制御装置1と、複数のトラックを備えたシーケンサ2eおよび複数のソフトウェア音源を含む音源部2dを含む電子音楽装置2とによって構成され、ユーザが音楽制御装置1の制御操作子102を操作することにより、電子音楽装置2の各種機能をリモート制御できるようになっている。
電子音楽装置2側では、ユーザの設定操作に応じてシーケンサ2eの各トラックと音源部2dの複数のソフトウェア音源のいずれかとを任意に対応付けることができ、その対応付けを適宜行うことで、トラック毎に種類の異なるソフトウェア音源を使用して、MIDI信号(MIDIイベント)を再生することができる。図5(a)は、シーケンサ2eを使用できる状態にするシーケンサモードが選択されたときに、前記表示装置207上に表示されたシーケンサ画面の一例を示す図である。ユーザは、たとえばマウスカーソル(図示せず)を用いて、シーケンサ画面中のトラックn(図示例では、“n”は、1〜3のいずれかの整数値)の主要パラメータ表示欄をクリックすることで、目的のトラックを指示することができる。指示中のトラックは、その主要パラメータ表示欄が反転表示される(図示例では、反転表示は斜線で示されている)。なお指示中のトラックの主要パラメータ表示欄の表示態様は、指示中でないトラックと区別できる態様であれば、反転表示に限らないことは言うまでもない。そして目的のトラックを指示した状態で、ユーザがマウスの右ボタン(図示せず)を押すと、プルダウンメニュー(図示せず)が表示される。このプルダウンメニュー内には、詳細画面を表示させるための「詳細画面表示」項目が含まれており、ユーザが上記マウスカーソルによって「詳細画面表示」を選択すると、図6(a)に示すように指示中のトラックの詳細画面がアクティブ状態になる。この詳細画面内には音源を設定できる音源設定欄が含まれているので、ユーザは、マウスや文字数字入力用キーボードを用いて、電子音楽装置2が備えている複数の音源からいずれかを選択し、音源設定欄に入力することで、指示中のトラックに好みの音源を割り当てることができる。
このようにして各トラックに割り当てられた各音源に対しては、ユーザは、シーケンサ2eの画面上に、図5(b)または図6(b)に示すような音源制御画面ウィンドウW1を表示させ、この音源制御画面ウィンドウW1を介して、トラック毎に当該トラックに割り当てられた音源の各種音源パラメータを設定することができる。図示例の音源制御画面ウィンドウW1には、各種音源パラメータを設定可能な各種操作子が表示されているので、ユーザは、前記マウスカーソルを用いて好みの操作子を直接操作することで、その操作子に割り当てられた音源パラメータを設定することができる。
本発明の特徴の1つは、各トラックにそれぞれ割り当てられた各音源の各種音源パラメータを設定するときに、その設定内容を音源制御画面ウィンドウW1から入力するのではなく、音楽制御装置1に設けられた制御操作子102を用いて入力することにある。このため、制御操作子102の各操作子と、該各操作子によってそれぞれ制御される各音源パラメータとを対応付けるためのテンプレートを複数、予め用意し、前記図3(b)を用いて説明したように、各テンプレートと前記複数の音源のいずれかとを1対1に関連付けておく。そして、ユーザが現在指示中のトラックに割り当てられた音源に関連付けられたテンプレート(このようなテンプレートが複数ある場合には、選択された1つ)を仲介させることで、ユーザは、当該音源の各音源パラメータの設定を音楽制御装置1の制御操作子102に対する操作によって行うようにしている。
さらに本発明の特徴の1つは、前述のように、音楽制御装置1側から目的の音源の各音源パラメータを設定するときに、ユーザが現在どの音源の音源パラメータを設定しているかを音楽制御装置1側で一目で分かるようにすることにある。このため本実施の形態では、音楽制御装置1の表示器108上に表示されるパラメータ設定画面108aの画面デザインを音源に応じて変更している。これを実現するために本実施の形態では、各テンプレートに音源に加えて画面スキンも関連付けておき、音楽制御装置1側で目的の音源の各音源パラメータを設定するときには、その設定のために選択されたテンプレートに関連付けられた画面スキンの画面スキンデータを読み出し、この画面スキンデータに基づいてパラメータ設定画面の画面デザインを決定している。
このようにユーザは、音源制御画面ウィンドウW1に直接入力操作を行わなくても、現在指示中のトラックに割り当てられた音源の各音源パラメータを設定することができる。さらに、このときユーザは、表示器108上のパラメータ設定画面108aの画面デザインから、どの音源に関する音源パラメータの設定を行っているかを直ちに把握することができる。
ただし音源パラメータの設定時には、音源制御画面ウィンドウW1がアクティブ状態、つまり、表示装置207上に複数のウィンドウが重なって表示されている場合に、音源制御画面ウィンドウW1が最上層に表示され、かつ音源制御画面ウィンドウW1に直接入力できる状態になっている方が、ユーザにとっては便利である。これは、制御操作子102を操作して目的の音源パラメータを設定すると、その設定結果が直ぐに音源制御画面ウィンドウW1に反映されるので、音源制御画面ウィンドウW1がアクティブ状態になっていれば、ユーザは音源制御画面ウィンドウW1の表示状態を見ることで、自身の制御操作子102の操作とこれに応じた音源パラメータの設定結果とを逐次確認できるからである。
音源制御画面ウィンドウW1をアクティブ状態にする従来の方法としては、図5(a)に示すようにトラックの指示のみなされ(図示例では、トラック1が指示されている)、音源制御画面ウィンドウW1自体が表示されていないときには、たとえば、トラック1の詳細パラメータ表示欄内に表示されている音源制御画面表示ボタン(図示せず)をユーザがマウスカーソルでクリックすると、図5(b)に示すように音源制御画面ウィンドウW1が表示されてアクティブ状態になるという方法が考えられる。しかし図6(a)に示すように、トラック1の詳細パラメータ表示欄が他のウィンドウ、つまりトラック1の詳細画面ウィンドウW2によって隠れ、ユーザが音源制御画面表示ボタンを見ることができない場合には、ユーザは、まずトラック1の詳細画面ウィンドウW2を消して(あるいは一時的に隠して)トラック1の詳細パラメータ表示欄を見えるようにし、次にその表示欄内の音源制御画面表示ボタンをクリックしなければならない。これでは、音源パラメータを音楽制御装置1から設定できるようになったとしても、ユーザは、音源制御画面ウィンドウW1をアクティブ状態にするために音楽制御装置1上にあった手を電子音楽装置2上に移さなければならず、結局ユーザの音楽制作は中断する。そこで図4に示すように、音楽制御装置1の制御操作子102内に音源制御画面表示ボタン102bを設け、ユーザがこの音源制御画面表示ボタン102bを押下すると、それに応じて、現在指示中のトラックに割り当てられた音源の音源制御画面ウィンドウW1がアクティブ状態になるようにした。これにより、ユーザは指示中のトラックに割り当てられた音源の各種音源パラメータの設定も、当該音源の音源制御画面ウィンドウW1の表示制御も、音楽制御装置1上で行うことができるので、ユーザの音楽制作は中断されない。
一方、音源制御画面ウィンドウW1がアクティブ状態のときに、ユーザが音源制御画面表示ボタン102bを押下すると、音源制御画面ウィンドウW1は閉じられる。
なお本実施の形態では、シーケンサ2eのトラックの指示は、上述のようにマウスや文字数字入力用キーボードを用いてシーケンサ画面に対して行うようにした、つまり音楽制御装置1上ではなく、電子音楽装置2上で行うようにしたが、これに限らず、音楽制御装置1上にシーケンサ2eのトラックを指示するためのボタン(前記音源制御画面表示ボタン102bのようなボタン)を設け、ユーザがこのボタンを押下することで、目的のトラックを指示するようにしてもよい。
次に、この制御処理を詳細に説明する。
図7は、電子音楽装置2の編集部2j、特にCPU204が実行する制御処理の手順を示すフローチャートである。本制御処理は、主として、
(1)テンプレート取得処理(ステップS101,S102)
(2)テンプレート設定処理(ステップS103)
(3)終了処理(ステップS104〜S106)
によって構成されている。そしてテンプレートは、前述のように音楽制御装置1のテンプレート記憶部1dに記憶されているので、図7のフローチャートには、編集部2jがテンプレート記憶部1dとテンプレートのやり取りをする処理も記載されている。
ユーザが、たとえば設定操作子201(のマウスや文字数字入力用キーボード)を用いて編集部2jの制御処理の開始を指示すると、CPU204は、処理を前記(1)のテンプレート取得処理に進める。この(1)テンプレート取得処理では、まずCPU204は、音楽制御装置1(のテンプレート記憶部1d)に対してテンプレートを要求する。これに応じてテンプレート記憶部1dは、テンプレートを送信する(ステップS1)。テンプレート記憶部1dは、前述のように複数のテンプレートを記憶している。電子音楽装置2には特定の1種類のDAWソフトウェアが常にインストールされ起動される訳ではなく、多くの種類のDAWソフトウェアから選択されたいずれか1つがインストールされ起動されるか、あるいは、複数種類のDAWソフトウェアがインストールされ、その中からいずれか1つが起動されるので、テンプレート記憶部1dは通常、DAWソフトウェア毎に複数のテンプレートを記憶している。したがってテンプレート記憶部1dは、編集部2jからテンプレートの要求を受けると、電子音楽装置2上で現在起動中のDAWソフトウェア用に作成された複数のテンプレートを編集部2jに向けて送信する。このときテンプレート記憶部1dは、電子音楽装置2上で現在起動中のDAWソフトウェアが何であるかを知っている必要がある。現在起動中のDAWソフトウェアが何であるかをテンプレート記憶部1dに知らせる方法としては、たとえば、編集部2jがテンプレートを要求するときに併せて、現在起動中のDAWソフトウェアを特定する情報を音楽制御装置1側に送信する方法が考えられる。
編集部2jは、テンプレート記憶部1dからテンプレートを受信すると、受信したテンプレートを、たとえば前記RAM206の所定位置に確保されたテンプレート格納領域(図示せず)に記憶する(ステップS102)。なおテンプレート記憶部1dは、編集部2jからの要求に応じたテンプレートを記憶していない場合もあるが、その場合には当然、テンプレート記憶部1dはテンプレートを送信しない。その場合には、編集部2jはテンプレートを編集することができないので、ユーザはテンプレートを一から作成することになる。
次にユーザが、編集部2jに対して表示装置207上にテンプレート設定画面を表示させる指示を行うと、CPU204は、処理を前記(2)のテンプレート設定処理に進める(ステップS103)。
図8は、この(2)テンプレート設定処理の詳細な手順を示すフローチャートである。
この(2)テンプレート設定処理では、まずCPU204は、前記図3(a)に示すようにテンプレート設定画面を表示する。前記テンプレート格納領域に複数のテンプレートが記憶されているときには、CPU204は、所定のルールに従っていずれか1つのテンプレートを選択し、選択されたテンプレートの登録内容に基づいてテンプレート設定画面を表示する(ステップS103a)。ここで所定のルールとしては、たとえば、テンプレートの名称あるいは作成日時を昇順または降順に並べたときの先頭を挙げることができる。他のテンプレートに基づいたテンプレート設定画面を表示したいときには、ユーザは、アップ/ダウンボタン207b1または207b2を操作して他のテンプレートを指定する。現在指定されているテンプレートの名称は、前述のようにテンプレート名称表示領域207bに表示される。
次にユーザが、前述のようにして当該テンプレートに関連付けるソフトウェア音源および画面スキンの各名称を選択すると、CPU204は、その各名称を前記ソフトウェア音源名称表示領域207cおよび画面スキン名称表示領域207dに表示するとともに前記RAM206に一時的に記憶する(ステップS103bおよびS103c)。次にユーザが、前述のようにして当該テンプレートに登録する各種パラメータの詳細、特に制御操作子102に割り当てられるパラメータの詳細を設定すると、CPU204は、そのパラメータの詳細をテンプレート設定画面に反映させるとともにRAM206に一時的に記憶する(ステップS103d)。さらにユーザがその他の処理を指示すると、CPU204は、指示された処理を行う(ステップS103e)。
なお、テンプレート設定画面からテンプレートの登録内容を入力(あるいは編集)する方法については前述したので、ここでは繰り返さない。また図8のフローチャートでは、ステップS103a〜S103eの各処理はいずれも、常に実行されるように記載されているが、必要に応じて実行されることは言うまでもない。つまり、設定対象のテンプレートが既に設定されたものであり、これを編集しているときに、たとえば画面スキンは既に設定されているものをそのまま使い、変更する必要はない場合には、CPU204は、ステップS103cの処理をスキップして次のステップS103dの処理を行う。
図7に戻り、この(2)テンプレート設定処理は、ユーザによる終了指示があるまで継続して実行され(ステップS104→S103)、ユーザによる終了指示があるとCPU204は、処理を前記(3)の終了処理に進める(ステップS104→S105)。この(3)終了処理では、CPU204は、ユーザに対して編集したテンプレートを保存するかどうか問い合わせ、ユーザが「保存する」を選択したときには、編集後のテンプレートを音楽制御装置1に送信する(ステップS105→S106)一方、ユーザが「保存する」を選択しなかったときには、何もせずに本制御処理を終了する(ステップS105→終了)。なお、この(2)テンプレート設定処理を実行しなかったときには、CPU204は、前記ステップS105でユーザに保存するかどうかを問い合わせることなく、ユーザが終了を指示した時点で直ちに本制御処理を終了すればよい。音楽制御装置1のテンプレート記憶部1dは、編集部2jから編集後のテンプレートを受信すると、受信したテンプレートを記憶する(ステップS2)。
図9および図10は、音楽制御装置1および電子音楽装置2、特にCPU105およびCPU204がそれぞれ実行する各制御処理の手順を示すフローチャートである。ただし電子音楽装置2が実行する制御処理は、前記図2の機能構成では機能拡張部2bとユーザインターフェース部2cによって実行されるので、図9および図10には、機能拡張部2bが実行する制御処理とユーザインターフェース部2cが実行する制御処理が記載されている。
ユーザインターフェース部2cは、主として、
(21)シーケンサ2eのトラックに音源種類を設定する(割り当てる)トラック・音源種類設定処理(ステップS301〜S304)
(22)表示装置207上に音源制御画面(図5および図6では、音源制御画面ウィンドウW1)を表示/非表示する音源制御画面の表示制御処理(ステップS305)
(23)音源パラメータを実際に制御する音源パラメータ制御処理(ステップS306,S307)
(24)その他の処理(ステップS308)
の各処理を行う。
機能拡張部2bは、主として、音楽制御装置1とユーザインターフェース部2cとの間でやり取りされるデータを仲介する機能を営んでいる。
音楽制御装置1は、主として、
(31)前記(21)のトラック・音源種類設定処理で設定された音源種類の音源が備えている全音源パラメータの現在値を取得する音源パラメータ値取得処理(ステップS11〜S13)
(32)前記(21)のトラック・音源種類設定処理で設定された音源種類の音源にテンプレートを選択するテンプレート選択処理(ステップS14)
(33)表示器108上に音源パラメータ表示画面を表示する音源パラメータ表示画面表示処理(ステップS15,S16)
(34)ユーザが前記音源制御画面表示ボタン102bを操作したときに実行される音源制御画面表示ボタン操作処理(ステップS17)
(35)ユーザが前記図4のノブ102a1〜102a4を操作したときに実行されるノブ操作処理(ステップS18)
(36)前記(33)の音源パラメータ表示画面を更新する音源パラメータ表示画面更新処理(ステップS19)
(37)その他の処理(ステップS20)
の各処理を行う。
ユーザが、ユーザインターフェース部2cに対して前記シーケンサモードに移行させる指示を行うと、CPU204は、電子音楽装置2の動作モードをシーケンサモードに移行させ、処理を前記(21)のトラック・音源種類設定処理に進める。この(21)トラック・音源種類設定処理では、まずCPU204は、表示装置207上に前記図5(a)のシーケンサ画面を表示し、ユーザによるトラックの選択指示を待つ。ユーザが前記マウスカーソルを用いて、シーケンサ2eが備えている複数のトラックからいずれかのトラックを選択指示すると、CPU204は、その選択指示されたトラックのトラック番号を取得し、前記RAM206のワークエリア(図示せず)に一時的に記憶する(ステップS301)。次にCPU204は、選択指示されたトラックに割り当てられた音源の種類(たとえば、名称)を取得し、当該トラックのトラック番号と割り当てられた音源の音源種類とを機能拡張部2bに通知する(ステップS302)。ここで、選択指示されたトラックに音源が未だ割り当てられていないことがある。この場合にはCPU204は、ユーザに対して表示や音声などで、音源が未だ割り当てられていないことを知らせる。これに応じてユーザが、制御処理の概要の説明で前述したようにして、選択指示されたトラックに対して電子音楽装置2中の音源のいずれかを割り当てると、CPU204は、選択指示されたトラックのトラック番号と割り当てられた音源の音源種類とを機能拡張部2bに通知する。このようにして、ユーザインターフェース部2cからトラック番号と音源種類が通知されると、機能拡張部2bは、そのトラック番号と音源種類をRAM206の所定位置に確保されたトラック番号・音源種類格納領域(図示せず)に記憶した(ステップS201)後、音源種類を音楽制御装置1に通知する(ステップS202)。
機能拡張部2bから音源種類が通知されると、音楽制御装置1のCPU105は、処理を前記(31)の音源パラメータ値取得処理に進める。この(31)音源パラメータ値取得処理では、まずCPU105は、通知された音源種類を前記RAM107の所定位置に確保された音源種類格納領域(図示せず)に記憶する(ステップS11)。次にCPU105は、機能拡張部2bに対してこの音源種類の音源が備えている全音源パラメータの値を要求する(ステップS12)。これに応じて機能拡張部2bは、ユーザインターフェース部2cにその全音源パラメータの値を要求し、ユーザインターフェース部2cからの応答を待つ(ステップS203)。ユーザインターフェース部2cが、目的の音源が備えている全音源パラメータの値を当該音源から取得して、機能拡張部2bに通知すると、機能拡張部2bは、その通知された全音源パラメータの値を取得して、音楽制御装置1に通知する(ステップS203)。音楽制御装置1のCPU105は、通知された全音源パラメータの値をRAM107の所定位置に確保された音源パラメータ格納領域(図示せず)に記憶する(ステップS13)。
一方、ユーザがユーザインターフェース部2cに対して、選択指示されたトラックに設定されている音源種類を変更する指示を行うと、CPU204は、当該トラックに設定されている音源種類を変更指示された音源種類に変更し、トラック番号・音源種類格納領域に記憶されている音源種類を更新した(ステップS303)後、前記ステップS302と同様にして、当該トラックのトラック番号と変更後の音源の音源種類とを機能拡張部2bに通知する(ステップS304)。これに応じて機能拡張部2bおよび音楽制御装置1がそれぞれ実行する処理は、ステップS302でトラック番号と音源種類を通知したことに応じて機能拡張部2bおよび音楽制御装置1がそれぞれ実行した処理と同様であるので、その説明は省略する。
このように、トラックに新たな音源を割り当てたり、トラックに割り当てられた音源を他の音源に変更したりするときでなくても、ユーザが単にトラックを選択指示するだけで、ユーザインターフェース部2cが当該トラック番号と音源種類を通知するようにしたのは、音楽制御装置1に対して、電子音楽装置2側でトラックが選択指示される度に当該トラックに選択された音源の全音源パラメータの最新値を取得させ、その最新値を前記音源パラメータ表示画面108a(前記図4参照)に反映させたいからである。
次に、音楽制御装置1のCPU105は、処理を前記(32)のテンプレート選択処理に進める。この(32)テンプレート選択処理では、CPU105は、前記通知された音源種類に対応したテンプレートを選択する(ステップS14)。このとき、通知された音源種類に対応したテンプレートがないことがあるが、この場合には、CPU105は前記デフォルトテンプレートを選択する(ステップS14のカッコ書き)。
次に、音楽制御装置1のCPU105は、処理を前記(33)の音源パラメータ表示画面表示処理に進める。この(33)音源パラメータ表示画面表示処理では、まずCPU105は、選択されたテンプレートに基づいて画面スキンを選択する(ステップS15)。テンプレートには、前記図3(d)に示したように当該テンプレートに関連付けられた画面スキンの名称が登録されている。つまり、テンプレートが決まれば、関連付けられた画面スキンの名称も決まり、これに応じて画面スキンデータの格納場所も決まるので、上記ステップS15の「画面スキンの選択」とは、各種画面スキンデータが格納されている場所から、画面スキンの名称によって特定される画面スキンデータを選択して読み出すことに相当する。次にCPU105は、前記選択されたテンプレートおよび画面スキンデータと前記記憶された全楽音パラメータに基づいて、ノブ名称(Name)/値(Value)またはコントロール名称/値を表示する(ステップS16)。ただし前記図4の音源パラメータ表示画面108aでは、前者、つまり、ノブ名称/値が表示されている。
本実施の形態では、音源毎に当該音源に固有の1つの画面スキンを関連付けるのではなく、音源タイプ毎に当該音源タイプに固有の1つの画面スキンを関連付けることにしている。したがって、前記図4(a)と前記図4(b)の音源パラメータ表示画面の画面デザインは、前者がサンプリングタイプのソフトウェア音源についてのものであるのに対して、後者がアナログモデリングタイプのソフトウェア音源についてものであり、各音源の音源タイプが異なっているために、異なっている。逆に言えば、音源タイプが同じであれば、音源が異なっていても、同じ画面スキンを関連付けている。したがって、図4(b)のソフトウェア音源と音源タイプは同じアナログモデリングタイプであって、別のソフトウェア音源があった場合、その別のソフトウェア音源に固有の画面デザインがあったとしても、表示器108上の音源パラメータ表示画面は図4(b)の画面となる。このようにしたのは、ユーザの設定操作を簡単化するとともに記憶容量を低減化するために画面スキンデータの個数を抑えつつ、所定の範疇(本実施の形態では「音源タイプ」)毎に画面デザインを異ならせて、現在設定中の音源がどの範疇に属するものであるかをユーザに直感的に分からせるためである。もちろん、音源毎に異なる画面スキンデータを用意し、音源が異なれば、その画面デザインも異なるようにしてもよい。この場合、画面スキンの数が多くなって、画面スキンに対するユーザの選択設定が面倒になるので、テンプレートに関連付ける音源が決まれば、この音源に対応する画面スキンを当該テンプレートに自動的に関連付けて設定するようにしてもよい。そのためには、既知の音源種類毎に、予めどの画面スキンを対応付けるかを設定しておき、ユーザによって音源種類が選択されたのを受けて、この設定された対応画面スキンを選択すればよい。また、音源パラメータ表示画面の画面デザインはどの音源についても同じであることを望むユーザを考慮して、すべてのテンプレートに対して1つの画面スキンのみ設定できるようにしてもよいし、テンプレートにおける画面スキンの設定を無効化(たとえば、グレースケールで表示して)できるようにしてもよい。なお、画面スキンデータを実際にどのように使って、図4に示すような音源パラメータ表示画面を生成するかについては、本発明の特徴ではなく、公知の方法を用いればよいので、その説明は省略する。
図9に戻り、ユーザが、音楽制御装置1のパネル上に設けられた前記音源制御画面表示ボタン102bを押下すると、音楽制御装置1のCPU105は、処理を前記(34)の音源制御画面表示ボタン操作処理に進める。この(34)音源制御画面表示ボタン操作処理では、CPU105は、電子音楽装置2に向けて音源制御画面表示コマンドを送信する(ステップS17)。電子音楽装置2の機能拡張部2bは、音楽制御装置1からの音源制御画面表示コマンドを受信し、ユーザが現在指示中のトラックのトラック番号に設定されている音源種類の音源制御画面がアクティブ状態か否かを調査する(ステップS204)。その調査の結果、当該音源制御画面がアクティブ状態のときには、その音源制御画面を閉じるコマンドをユーザインターフェース部2cに送信する一方、当該音源制御画面が非アクティブ状態のときには、その音源制御画面を開くコマンドをユーザインターフェース部2cに送信する(ステップS205)。ユーザインターフェース部2cは、開く/閉じるコマンドを受信すると、処理を前記(22)の表示制御処理に進め、受信したコマンドに応じて当該音源制御画面を開く/閉じる(ステップS305)。
ユーザが、前記ノブ102a1〜102a4のいずれかを操作すると、音楽制御装置1のCPU105は、処理を前記(35)のノブ操作処理に進める。この(35)ノブ操作処理では、CPU105は、前記ステップS14で選択されたテンプレート、つまり、現在指示中のトラックに割り当てられた音源に対応付けられたテンプレートに基づいて、操作されたノブの種類と操作量から音源パラメータ制御コマンドを生成し、これを電子音楽装置2に送信する(ステップS18)。ここで音源パラメータ制御コマンドは、前記「ccモード」が選択されているときにはMIDIのコントロールチェンジメッセージの形式で生成され、前記「Remoteモード」が選択されているときには専用リモートコントロールコマンドの形式で生成される。電子音楽装置2の機能拡張部2bは、音楽制御装置1からの音源パラメータ制御コマンドを受信し、受信した音源パラメータ制御コマンドを、ユーザインターフェース部2cを介して、現在選択されているトラックに設定されている(割り当てられている)種類の音源へ送信する(ステップS206)。ユーザインターフェース部2cは、音源パラメータ制御コマンドを受信し、その音源パラメータ制御コマンドに基づいて、対応する音源の対応する音源パラメータを制御する(ステップS306)。そして、音源制御画面が開いていれば(アクティブ状態になっていれば)、ユーザインターフェース部2cは、制御された音源パラメータの値を表示に反映させる(ステップS307)。
このようにして音源制御画面の表示が、制御後の音源パラメータの値によって更新されるが、音源制御画面と同様の音楽制御装置1側の表示画面、つまり前記図4の音源パラメータ表示画面108aの表示も更新しておく必要がある。そこで電子音楽装置2のCPU204は、前記ステップS206の処理の後、前記ステップS203の処理と同様の処理を実行する(ステップS207)。つまり、機能拡張部2bはユーザインターフェース部2cにその全音源パラメータの値を要求し、これに応じてユーザインターフェース部2cが、目的の音源が備えている全音源パラメータの値を当該音源から取得して、機能拡張部2bに通知すると、機能拡張部2bは、その通知された全音源パラメータの値を取得して、音楽制御装置1に通知する。これに応じて音楽制御装置1のCPU105は、処理を前記(36)の表示更新処理に進める。この(36)表示更新処理では、CPU105は、通知されたパラメータの値を音源パラメータ表示画面108aに反映させる(ステップS19)。
なお、図9および図10の各制御処理のフローチャートは、あくまでも音楽制御装置1、機能拡張部2bおよびユーザインターフェース部2c間のデータの流れとそれに応じた制御処理が分かることを目的として記載してあり、各フローチャートにそれぞれ記載されている各ステップの処理を上から順に辿って行けば、処理が完結するようには記載されていない。たとえばステップS11の処理は、ステップS20から戻って何度も実行されるように記載されているが、実際には、ステップS301およびS302(あるいは、ステップS303およびS304)の処理が実行されない限り、実行されない。このステップS11の処理についての上記事情は、音楽制御装置1の制御処理内の他のステップの処理に限らず、電子音楽装置2(の機能拡張部2bおよびユーザインターフェース部2c)の制御処理内のステップの処理についても同様である。
なお本実施の形態では、機能拡張部2bを実現するための機能拡張ソフトウェアは、DAWソフトウェアには含まれないとしたが、これに限らず、機能拡張ソフトウェアを含むようにDAWソフトウェアを作成してもよいし、機能拡張部2bと同等の機能を備えたDAWソフトウェアを作成してもよい。
また本実施の形態では、機能拡張部2bは、電子音楽装置2側に備えるようにしたが、これに限らず、音楽制御装置1側に備えるようにしてもよい。
さらに本実施の形態では、音源パラメータ表示画面108a(図4参照)には、制御対象となっている音源の名称は表示されていないが、その名称を表示するようにしてもよい。
なお、上述した実施の形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、システムまたは装置に供給し、そのシステムまたは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読出し実行することによっても、本発明の目的が達成されることは言うまでもない。
この場合、記憶媒体から読出されたプログラムコード自体が本発明の新規な機能を実現することになり、そのプログラムコードおよび該プログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、たとえば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、CD−RW、DVD−ROM、DVD−RAM、DVD−RW、DVD+RW、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROMなどを用いることができる。また、通信ネットワークを介してサーバコンピュータからプログラムコードが供給されるようにしてもよい。
また、コンピュータが読出したプログラムコードを実行することにより、上述した実施の形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているOSなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって上述した実施の形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
さらに、記憶媒体から読出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって上述した実施の形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。