JP5359329B2 - 樹脂組成物及び成形体 - Google Patents
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Description
従来より、脂肪族エステル構造を有する重合体に生分解性があることが知られており、微生物によって生産されるポリ−3−ヒドロキシ酪酸エステル(PHB)、合成高分子であるポリカプロラクトン(PCL)、コハク酸およびブタンジオールを主成分とするポリブチレンサクシネート(PBS)またはポリブチレンサクシネート・アジペート(PBSA)、および発酵により生産されるL−乳酸および/またはD−乳酸を主たる原料としたポリ乳酸(PLA)などが代表的なものである。
これら脂肪族エステル構造を有する重合体はPLAを除くと、一般にポリエチレン類似の物性を有する成形性・生分解性の良好なポリマーである。しかし、剛性が要求される分野や引張強度が要求される分野では充分な強度を持たない。剛性を改善するためには、タルクなどの充填材やナノコンポジット化技術による改善が可能であるが、流動性の低下なども問題があり、この改良が望まれていた。また、PLAについては耐熱性や靭性の向上が強く求められていた。
一方、オキシメチレン構造を有する重合体は、脂肪族エーテル型、もしくは脂肪族エーテルを主成分としたポリマーであり、主として石油に依存しない原料であるメタノールから誘導され、環境負荷の低い材料と考えられる。剛性などの機械的特性も高く、エンジニアリングプラスチックスとして使用される優れた材料である。しかし、市場のニーズとして更に高いレベルの剛性、靭性に対する要求がある上、結晶性が高いためにフィルムや繊維などへの成形性が悪く、その改良が望まれていた。
弊社では、脂肪族エステル構造を有する重合体と特定のオキシメチレン構造を有する重合体とを混合することで、実用上充分な耐熱性を有し、剛性、靭性、耐熱性、成形性、生分解性に優れた、脂肪族エステル構造を有する重合物と特定のオキシメチレン構造を有する重合体とからなる樹脂組成物を見出している(特許文献1参照)が、さらなる耐熱性の向上と同時に、最終製品からのホルムアルデヒド発生量の低い樹脂組成物が求められている。また、フィルムや繊維などへの成形性の改良、製品外観製を改善するために、フィッシュアイなどの成形時の異物の低減が求められているが、例えば特許文献2、3では、ポリ乳酸樹脂とポリアセタール樹脂にカルボキシル基反応性末端封鎖剤を溶融混練することで耐熱性や耐加水分解性を向上させる試みがなされているが、靭性の向上や成形品に発生するフィッシュアイについて具体的な示唆はされていない。
本発明におけるPLAとは、L−乳酸のみ、D−乳酸のみ、L−乳酸とD−乳酸の混合物の何れかを主たる構成成分とするポリマー、もしくはその混合物であるが、乳酸以外の他の共重合成分を含んでいてもよい。他のモノマー単位としては、ε―カプロラクトンなどの環状ラクトン類、α−ヒドロキシイソ酪酸、α−ヒドロキシ吉草酸などのα−オキシ酸類、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオールなどのグリコール化合物、コハク酸、シュウ酸、アジピン酸、セバシン酸などのジカルボン酸を挙げることができる。この中でも、グリコール類および環状ラクトン類が好ましい。
PLAの分子量や分子量分布は特に制限されるものではないが、数平均分子量としては1万以上が好ましく、より好ましくは5万以上である。
PLAの融点は、特に制限されるものではないが、120℃以上であることが好ましく、更に150℃以上であることが好ましい。
(式中、R0,R0‘は同一または異なっても良く、水素原子、アルキル基またはフェニル基を示す。mは2〜6の整数を示す。)
上記(A)成分と(B)成分の配合割合は、重量比(A/B)で1/99〜99/1であり、好ましくは5/95〜95/5でありより好ましくは5/95〜40/60である。
カルボキシル基と反応性を有する化合物(C)としては、オキサゾリン化合物、カルボジイミド化合物、エポキシ化合物、アミド化合物から選ばれる少なくとも1種以上の化合物を使用でき、好ましくはオキサゾリン化合物、エポキシ化合物を使用できる。
脂肪族ヒドラジド化合物としては、プロピオン酸ヒドラジド、チオカルボヒドラジド、ジヒドラジド化合物として、シュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、ドデカン二酸ジヒドラジド、1,18−オクタデカンジカルボヒドラジド、マレイン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、7,11−オクタデカンジエン−1,18−ジカルボヒドラジド等が挙げられる。
これらのヒドラジド化合物の中でもジヒドラジド化合物が好ましい。ジヒドラジド化合物としては、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、ドデカン二酸ジヒドラジド、1,18−オクタデカンジカルボヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジド、1,8−ナフタレンジカルボヒドラジド、2,6−ナフタレンジカルボヒドラジド等が特に好ましい。
本発明の樹脂組成物を製造するに際しては、少なくとも一方の樹脂が溶融する温度以上で機械的に混合することにより得ることができ、また、両樹脂を機械的に粉砕したものを混合し、加圧することにより製造する方法や、両樹脂を溶剤に溶解した後に貧溶媒と混合し沈殿化することにより得るか、または両樹脂を溶剤に溶解したものをキャスト、もしくは紡糸して溶媒を除去することにより製造することも可能であるが、それらに限定されるものではない。混合装置については特に限定されるものではないが、押出機を用いて混合する方法が短時間で連続的に処理できる点で工業的には推奨される。
また、上記(A)〜(D)成分の配合順序は適宜選択できるが、(A)成分の脂肪族エステル構造を有する重合体と(C)成分の反応性化合物を予め溶融混練した後、(B)成分と(D)成分を配合することが特に好ましい。
本発明の樹脂組成物は、脂肪族エステル構造を有する重合体とオキシメチレン構造を有する重合体との単純ブレンドのみに限定されるものではなく、触媒の存在下に溶融状態でのエステル交換反応などにより生成する共重合体なども含まれる。また、オキシメチレン構造を有する重合体の安定化工程で脂肪族エステル構造を有する重合物を添加する製造方法は均一な樹脂組成物を与える。
また、本発明の樹脂組成物を厚さ30ミクロンのフィルムとして測定した場合、フィッシュアイの個数が5000個/m2以下と少ないことも特徴である。
また、釣り糸や漁網等として使用する際に、もしも加水分解速度が速すぎて、機械的強度の低下が急激で寿命が短い場合は、より加水分解速度が遅い生分解性重合体で、表面をコーティングすることも出来る。この処理により、加水分解速度を調節することが出来る。
なお、実施例で使用した材料、およびメルトインデックス(MI)、HCHO発生量、フィッシュアイの測定法を以下に示す。
メルトインデックス(MI)の測定
ASTM−D1238に準じて、温度190℃、荷重2.16kgにて測定
HCHO発生量の測定
アセチルアセトン法により定量し測定した。
フィッシュアイの測定
Tダイで厚み30μmのフィルムに成形し、5cm角中に含まれる長軸の長さが30μm以上のフィッシュアイを目視で確認し、1m角中の個数を推算した。
材料(1):脂肪族エステル構造を有する重合体
PLA:ユニチカ株式会社製ポリ乳酸TE−2000、メルトインデックス(8.0g/10分)
PEC:三菱ガス化学株式会社製ユーペックPEC−350、メルトインデックス(2.1g/10分)
PBS:昭和高分子株式会社製ビオノーレ♯1001、メルトインデックス(1.6g/10分)
PBSA:昭和高分子株式会社製ビオノーレ♯3001、メルトインデックス(0.9g/10分)をそのまま用いた。
材料(2):オキシメチレン構造を有する重合体
POM1:コモノマーとして1,3−ジオキソランを用いたアセタールコポリマー[コモノマー量は樹脂に対して13重量%、メルトインデックス(9.0g/10分)]
POM2:コモノマーとして1,3−ジオキソランを用いたアセタールコポリマー[コモノマー量は、樹脂に対して8重量%、メルトインデックス(9.0g/10分)]
POM:コモノマーとして1,3−ジオキソランを用いたアセタールコポリマー[コモノマー量は、樹脂に対して4重量%、メルトインデックス(9.0g/10分)]
材料(3):「エポクロス RPS−1005」(商品名:株式会社日本触媒製、オキサゾリン基含有ポリマー)、「デナコール EX-214L」(商品名、ナガセケムテックス社製、1 ,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル)、「カルボジライト LA-1」(商品名、日清紡株式会社、カルボジイミド基含有ポリマー)、「トーマイド PA-100」(商品名、富士化成工業株式会社、ダイマー酸ポリアミド)
材料(4):「N-12」(商品名、日本ヒドラジン工業株式会社製、ドデカン二酸ジヒドラジド)
株式会社池貝製の2軸押出機PCM−30を用い、上記の各材料を表1に示す組成に従い、シリンダー温度200℃でコンパウンドし、均一混合したペレットを得た。得られたペレットを用いて、HCHO発生量の測定、フィッシュアイの測定を行い、また、射出成形機で成形し、引張試験および曲げ試験を行った。
結果を表1に示した。
Claims (6)
- (A)脂肪族エステル構造を有する重合体、(B)オキシメチレン構造を有し、コモノマー量が8〜50重量%である共重合体、(C)カルボキシル基と反応性を有する少なくとも1種の化合物、及び(D)ホルムアルデヒドと反応性を有する少なくとも1種の化合物を含有する樹脂組成物であって、(A)成分と(B)成分の配合割合が重量比(A/B)で5/95〜40/60であり、(A)成分と(B)成分の合計100重量部に対して、(C)成分の反応性化合物の配合量が0.01〜5重量部、(D)成分の反応性化合物の配合量が0.01〜0.5重量部である樹脂組成物。
- (C)成分の反応性化合物がカルボジイミド基、グリシジル基、オキサゾリン基、アミノ基から選択される少なくとも1種の官能基を有し、(D)成分の反応性化合物がヒドラジド基を有する請求項1記載の樹脂組成物。
- (A)成分の脂肪族エステル構造を有する重合体が、ポリ乳酸、ポリエステルカーボネート、ポリブチレンサクシネート又はポリブチレンサクシネートアジペートである請求項1記載の樹脂組成物。
- (A)成分の脂肪族エステル構造を有する重合体と(C)成分の反応性化合物を予め溶融混練した後、(B)成分と(D)成分を配合することを特徴とする請求項1記載の樹脂組成物の製造方法。
- 厚さ30ミクロンのフィルムに成形したときのフィッシュアイの個数が5000個/m2以下である請求項1記載の樹脂組成物。
- 請求項1記載の樹脂組成物を成形してなる成形体。
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