JP5355463B2 - 乾燥果実菓子の製造方法 - Google Patents

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本発明は乾燥果実を加圧成形して製造する乾燥果実菓子の製造方法に関する。
レーズンやアンズ等を原料とする干し果物は、そのまま喫食するか麦、玄米、トウモロコシ等を原料とするシリアルに干し果物を混合してグラノーラとして喫食される。近年ではグラノーラを棒状に成形したグラノーラ・バーなども開発されている。
例えば、特許文献1にはコーンフレークにドライクランベリーやレーズン等の混合し、バインダーシロップを加えて加熱成形して成形食品(グラノーラ・バー)を製造する方法が開示されている。
特許文献1の方法は、段落[0017]に記載の通り、加熱したバインダーシロップにドライフルーツやシリアル食品等を添加してバー生地とし、それを成形機で押し出し圧延する。特許文献1の方法は、加熱を伴うのでフルーツの香味が失われてしまうという問題があった。
また、表1等に記載されているようにバインダーシロップを少なくとも25〜30%添加しなければ成形できないため、乾燥果実が過度に甘くなるため乾燥果実そのものの香味を活かすことが難しかった。
一方で、本発明者は干し柿の香味を活かした菓子を過去に開発している(特許文献2)。特許文献2の製造方法は段ボール片で柿を包み込み加圧して干柿菓子を製造する製造方法である。干柿の香味が十分に活かされた干柿菓子を製造できる点で特許文献2の製造方法は優れたものであったが、喫食時に干柿菓子が解れやすく、食べ易さの点で問題があり、また、大量生産にも向いていなかった。
特開2009−17785号 特開昭56−29951号
乾燥果実を主原料として使用し、喫食時に果実片がほぐれてしまうことがない乾燥果実を使用した菓子を効率的に製造する方法を提供することを目的とする。
乾燥果実を成形型に入れて棒形状に形決めする仮成形工程と、棒形状に成形された乾燥果実を成形型に入れて乾燥果実同士を加圧により結着させる本成形工程とからなり、仮成形工程と本成形工程のニ段成形で乾燥果実を成形する乾燥果実菓子の製造方法であって、本成形工程は、板の上面に複数の凸条を形成した下型と、複数の仕切板で枠内を仕切った中型枠と、板の下面に複数の凸条を形成した上型とからなる本成形型に仮成形工程で棒形状に成形された乾燥果実を入れて、上型側又は下型側から圧力をかけて乾燥果実を結着させる工程であって、前記下型及び上型の凸条は、中型枠の対向する仕切板によって規定される間隙に嵌合する位置決め用の突起として機能し、成形される乾燥果実菓子の大きさは対向する仕切り板の間隔及び対向する凸条の表面の間隔によって決定されることを特徴とする乾燥果実菓子の製造方法によって、上記の課題を解決する。
本発明の製造方法は、仮成形工程と本成形工程のニ段成形で乾燥果実を成形するものである。本発明の仮成形工程とは、仮成形型に乾燥果実を詰めて仮成形型の上から手やヘラで押して、乾燥果実同士を結着させて棒形状とする工程である。一方、本成形工程とは、仮成形工程で棒形状に結着させた乾燥果実を本成形型に入れて、油圧による加圧機や重りによって、本成形型に入れた乾燥果実を強固に結着させる工程である。ここでいう強固に結着とは、喫食時に菓子を齧ってもほぐれない程度の結着力を有する状態をいう。
型に乾燥果実を詰め込む際に偏りがあると最終製品に鬆が入ってしまうため、成形工程では成形型に乾燥果実を隙間なく配列する必要がある。成形型に手際よく、しかも隙間なく乾燥果実を配列するには熟練を要するので、従来は作業にどうしても手間がかかっていた。本発明は成形工程をニ段階に分けることで、熟練者でなくとも確実に乾燥果実を成形型に配列することを可能としたものである。また、本発明によれば仮成形工程後に乾燥果実に鬆が入っていないか目視で確認することも容易であるので、品質管理も極めて容易となる。
ニ段成形で成形された乾燥果実は、そのまま包装紙に包んで製品としてもよいし、食べ易い大きさにスライスしてから包装紙に包んで製品としてもよい。後者の場合、スライスした箇所(切断面)が包装紙に張り付いたり、スライス部分が乾燥、酸化して風味が劣化する原因となる。したがって、成形後の乾燥果実には、トレハロースとオブラートを混合した粉をまぶす後処理工程を行うことが好ましい。
種の無い乾燥果実であれば、必ずしも果実を切開する必要はない。しかし、果実を切開し果肉を露出させた方が、果実片相互の結着力が高まるので好ましい。また、果実を切開しない場合、本成形工程の際に意図せず果実が破裂し、製品の外観を損なうことがあるので、乾燥果実は仮成形工程に先んじて予め切開しておくことが好ましい。仮成形工程に際しては、果皮が仮成形型と当接するように(果皮が外側となるように)配置して棒形状に形決めすれば、果肉が仮成形型及び本成形型にこびりつくことがなく衛生的であるし、また、製品の外観も美しくなる。
仮成形工程で用いる仮成形型は、長手方向に凹溝を設けた平面視短冊形状の成形型を用いることが好ましい。このような形状の仮成形型に乾燥果実を山盛りに盛って、体重を掛けるようにして手で乾燥果実を押せば、簡便に乾燥果実を棒形状に結着させることができる。仮成形型の凹溝は断面円形とする方が、乾燥果実を隙間なく配列することが容易であるので好ましい。例えば、製品の形状が断面四角形である場合、必然的に本成形型も断面四角形状とする必要がある。この場合、本成形型の角部に乾燥果実を適切に配置することが難しく、成形工程に手間がかかってしまうので、断面円形の仮成形型を用いることが特に好ましい。
本成形工程で用いる本成形型は、乾燥果実を喫食時にほぐれない程度の荷重を掛けられる成形型を用いる。本成形型としては、板の上面に複数の凸条を形成した下型と、複数の仕切板で枠内を仕切った中型枠と、板の下面複数の凸条を形成した上型とからなる本成形型を用いればよい。本成形型の下型及び上型の表面に排した複数の凸条が、中型枠の対向する仕切板によって規定される間隙(成形室)に嵌るようにするとよい。このように構成することで前記凸条によって、上型及び下型を中型枠に対して容易に位置決めすることができる。上型及び下型を中型枠にセットした際に、上型と下型の相互の凸条が接触するようでは、成形室に乾燥果実を詰めることが不可能となるので両凸条の表面が接触しない程度の高さとする。換言すると、成形される乾燥果実菓子の大きさは対向する仕切り板の間隔及び対向する凸条の表面の間隔によって決定される。本成形型に対して荷重を掛ける際の方向は特に限定されず、上型側から加圧してもよいし、下型側から加圧してもよい。
加圧により相互に結着する乾燥果実で有ればよいので、本発明で使用できる乾燥果実は特に限定されない。例えば、乾燥果実としては、柿、モモ、ブドウ、リンゴ、ナシ、アンズ、プルーン、ミカン等が挙げられる。
本発明の仮成形工程により、乾燥果実を予め棒形状に形決めしておき、この棒形状の乾燥果実を本成形工程に供することで、流れ作業で効率的に乾燥果実を製造することができる。
本成形工程で結着させた乾燥果実を食べ易い大きさにスライスした後、トレハロースとオブラート粉末を混合した粉を乾燥果実菓子の切断面にまぶすことで、乾燥果実菓子の乾燥を防ぎ長期間にわたって風味を維持することができる。また、包装紙へのこびりつきも効果的に防ぐことができる。
本発明の仮成形工程に先立って、乾燥果実を切開して、仮成形型に乾燥果実の果皮が外側となるように詰めて仮成形することで、乾燥果実切片が相互に結着しやすくなる。また、果皮を外側に向けることで、成形型に乾燥果実がこびりつくことがなくなるし、また、菓子の外観も美しく好ましい。
本発明の仮成形工程で用いる仮成形型には、断面凹形状の溝を設ける。その凹溝に乾燥果実が山盛りとなるように乾燥果実を配列して、手で押すことによって簡便に乾燥果実を棒形状に成形することができる。これにより、乾燥果実を本成形型に詰めることが極めて容易となる。
本発明の本成形型を用いることで、意図した圧力で乾燥果実に加圧して断面四角形状や断面丸形状などの乾燥果実菓子を製造することができる。また、本成形型は複数の中型枠で仕切って複数の成形室を有する構成であるから、一回のプレスで形のそろった多くの菓子を一度に製造することができる。
本発明の関雄果実菓子の製造方法の流れを示したフローチャートである。 本発明で用いる仮成形型の斜視図である。 本発明で用いる本成形型の分解斜視図である。 本発明で用いる本成形型の拡大断面図である。 下型と中型枠を組み合わせた本成形型と、押棒を示した斜視図である。
以下、図を参照しながら本発明の乾燥果実菓子の製造方法の実施例について説明する。本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
図1に示すように、本発明は乾燥果実1を仮成形型21に入れて手押しで棒形状に形決めする仮成形工程2と、棒形状に成形された乾燥果実(棒形状乾燥果実3)を本成形型41に入れて乾燥果実同士を加圧により結着させる本成形工程4とからなる。本発明の製造方法は仮成形工程2と本成形工程4のニ段成形で乾燥果実1を成形することを特徴とするものである。
本成形工程4で成形された乾燥果実菓子5はそのまま包装紙に包んで製品7としてもよいし、図1に示したようにカッターや包丁でスライスして、オブラート粉末とトレハロース(オブラート・トレハロース6)を混合した粉を切断面にまぶしてから、包装して製品7としてもよい。オブラート粉末とトレハロース粉末をまぶすことで乾燥を防ぎ、製品が包装紙にこびりつくことを防ぐことができる。
仮成形工程2では、図2に示したような仮成形型21を用いるとよい。この仮成形型21は断面凹形状の短冊形の型であって、溝211の形状は断面半円形とした。溝211の形状は四角形状としてもよいが、成形型に乾燥果実1を盛って手押しで成形する際に圧力を均等に掛けることが難しい。また、断面形状が四角であると乾燥果実1を偏りなく配置することが難しい。したがって、溝211の形状は断面円形であることが好ましい。
本成形工程4では、図3に示したような本成形型41を用いるとよい。本成形型41は下型411と、上型412と、中型枠413とからなる。下型411、上型412は板の上に複数の凸条414を設けた部材である。この凸条414の数は、中型枠413の対向する仕切板415によって形成される間隙の数と同じ数とし、前記間隙に凸条414が嵌まるように構成する。これにより、中型枠413に対して下型411及び上型412を位置決めすることが容易となる。
本成形型41の断面図を図4に示す。図4に示したように、中型枠413の複数の仕切板415の間隙と、上型412及び下型411の対向する凸条414とから成形室416となる空間が規定される。上型412の上方から加圧した場合、上型412から加えられる圧力は中型枠413に当接することにより規制される。
本成形型41に仮成形工程2で形決めされた棒形状乾燥果実3を入れた後、図5に示した押棒416を使って、棒形状乾燥果実3を平坦に均すとよい。これにより、上型412を中型枠413に被せる際に、乾燥果実が偏ったり、型枠からはみ出したりすることがなくなるので好ましい。
上記の仮成形型21と本成形型41を使用して、以下の実施例に係る乾燥果実菓子を製造した。
[実施例1]
色の良い干し柿を選別し、ヘタを外して、ハケを掛けて表面に付着しているごみを取り除く。干し柿を切開して種を取り除き、470gの干し柿を得た。次に、図2に示した仮成形型21(縦38.9cm×横9.8cm×高さ4.9cm、溝の深さ2.5cm)に木綿布を敷いて、その上に切開した干し柿の果皮が外側となるように山盛りとなるように配置した。仮成形型21に盛った干し柿を体重を掛けるようにして手で押して棒形状とした(仮成形工程)。
仮成形工程2で棒形状とした乾燥果実を5本用意し、それを図3に示した下型411と中型枠413(縦31.8cm×横42.9cm×高さ3.9cm)を組み合わせて作った成形室416にそれぞれ納めて、図5に示した押棒416(縦38cm×横3.5cm×高さ6.0cm)で上から抑えた後、上から上型412を被せた。それぞれの成形室416の容積は縦38.5cm×横3.9cm×高さ2.3cmである。乾燥果実1を納めた本成形型41の上型412に重り17.5tを載せて、成形室1つあたりに約1.9tの荷重が掛かるようにして本成形工程4を行い、乾燥果実が結着した乾燥果実菓子5を得た。これを包装紙に包み製品7とした。
[実施例2]
実施例1と同様の方法で、干し柿を用いて乾燥果実菓子5を得た。これを厚さ8mmでスライスし、トレハロースとオブラート粉末を等量混合して得た粉末をまぶして乾燥果実菓子5とした。これを包装紙に包んで製品7とした。
[実施例3]
原料として干しモモを使用して、実施例1と同様の方法により乾燥果実菓子5(製品7)を製造した。重りの重さは10tとした。
[実施例4]
原料として干しブドウ(レーズン)を使用して、実施例2と同様の方法により乾燥果実菓子5(製品7)を製造した。重りの重さは10tとした。
[実施例5]
原料として干しリンゴを使用して、実施例2と同様の方法により乾燥果実菓子5(製品7)を製造した。重りの重さは10tとした。
[実施例6]
原料として干しナシを使用して、実施例2と同様の方法により乾燥果実菓子5(製品7)を製造した。重りの重さは10tとした。
[実施例7]
仮成形工程2において、干し柿をランダムに配置して、乾燥果実菓子5を製造した。その他の条件は実施例1と同様にした。干し柿切片の中には、果肉部分が仮成形型21に当接するようになったものが見られた。
[実施例8]
実施例3と同様に干しモモ(種が抜かれているもの)を原料として乾燥果実菓子5を製造した。実施例8では干しモモを切開せずにそのまま、仮成形型21に投入した。
[比較例1]
仮成形工程2を省いて、本成形工程4のみにより乾燥果実菓子5を製造した。原料は実施例1と同様に干し柿を用いた。その他の条件も実施例1と同様にした。
実施例1〜6は、成形工程を仮成形工程2と本成形工程4のニ段成形としたことで、効率よく乾燥果実の成形を行うことができた。また、乾燥果実の結着も良好であり、喫食時や包丁で菓子をスライスするに際して菓子が崩れることもなく、菓子が固すぎることもなかった。また、加熱やバインダーシロップの添加を伴わないため、果実が有する風味を活かした菓子とすることができた。また、果肉の偏りや、鬆もなく美しい外観に仕上げることができた。
実施例2、実施例4、実施例5及び実施例6については、予め食べ易い大きさにスライスしたものであるが、トレハロースとオブラート粉末を切断面にまぶしたことにより、長期間にわたって乾燥を防ぎ、かつ、包装紙に菓子がこびりつくこともなかった。
実施例7については、果皮が内側に向いた箇所で、仮成形型21及び本成形型41に乾燥果実がこびり付いてしまった。また、菓子の外観が若干損なわれてしまった。
実施例8は、乾燥果実を切開しなかったために、仮成形工程2において、手押しで乾燥果実を棒形状とするのに時間を要した。また、本成形型41に棒形状乾燥果実3を移す際に、形決めした乾燥果実が崩れてしまう場合があった。
比較例1は仮成形工程2を省略した例である。本成形型41に乾燥果実を均等に配列することが難しく、作業に時間を要した。プレス後に型から乾燥果実菓子5を取り出し、菓子をスライスして断面を確かめたところ、部分的に鬆が入った状態になってしまった。
1 乾燥果実
2 仮成形工程
21 仮成形型
211 溝
3 棒形状乾燥果実
4 本成形工程
41 本成形型
411 下型
412 上型
413 中型枠
414 凸条
415 仕切板
416 押棒
5 乾燥果実菓子
6 オブラート・トレハロース
7 製品

Claims (4)

  1. 乾燥果実を成形型に入れて棒形状に形決めする仮成形工程と、棒形状に成形された乾燥果実を成形型に入れて乾燥果実同士を加圧により結着させる本成形工程とからなり、仮成形工程と本成形工程のニ段成形で乾燥果実を成形する乾燥果実菓子の製造方法であって、
    本成形工程は、板の上面に複数の凸条を形成した下型と、複数の仕切板で枠内を仕切った中型枠と、板の下面に複数の凸条を形成した上型とからなる本成形型に仮成形工程で棒形状に成形された乾燥果実を入れて、上型側又は下型側から圧力をかけて乾燥果実を結着させる工程であって、
    前記下型及び上型の凸条は、中型枠の対向する仕切板によって規定される間隙に嵌合する位置決め用の突起として機能し、成形される乾燥果実菓子の大きさは対向する仕切り板の間隔及び対向する凸条の表面の間隔によって決定されることを特徴とする乾燥果実菓子の製造方法。
  2. 請求項1に記載の乾燥果実菓子の製造方法に加えて、本成形工程で結着させた乾燥果実菓子を食べ易い大きさにスライスした後、トレハロースとオブラート粉末を混合した粉を乾燥果実菓子の切断面にまぶす後処理工程を行うことを特徴とする乾燥果実菓子の製造方法。
  3. 乾燥果実は仮成形工程に先んじて切開され、仮成形工程にて切開された乾燥果実は果皮が外側となるように仮成形型に入れられて成形される請求項1又は2のいずれかに記載の乾燥果実菓子の製造方法。
  4. 仮成形工程は、断面凹形状の溝を有する仮成形型に乾燥果実が山盛りとなるように乾燥果実を配列して、手押しで棒形状に形決めする工程である請求項1又は2のいずれかに記載の乾燥果実菓子の製造方法。
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