<実施の形態1>
以下、本発明の実施の形態1について図面を用いて説明する。図1は、本発明の実施の形態1に係る電子基板ユニットU1を有する遊技機としてのパチンコ機2の正面図である。このパチンコ機2は、遊技機枠3、遊技盤ユニット5、ガラス10、発射ユニット(不図示)、球皿14を有している。発射ユニットは、1個ずつ遊技球23を遊技盤ユニット5に構成される遊技領域16に向けて発射可能である。
パチンコ機2は、遊技者が後述する発射装置ハンドル15を操作することによって、遊技領域16に向けて遊技球が発射ユニットによって発射され、遊技球の流下による遊技が実現される。なお、遊技機は、パチンコ機2の他にパチンコ式スロットマシン機、コインゲーム機等のアーケードマシン、各種ゲーム機を概念することができ、要するに、遊技媒体の流下による遊技を実現する遊技領域を有するあらゆる遊技機が含まれる。なお、パチンコ機においても、アレンジボール機、雀球機等の組合せ式パチンコ機、いわゆるデジパチタイプ(1種タイプ)やハネモノタイプ(2種タイプ)のパチンコ機等のあらゆるパチンコ機が概念できるが、本実施の形態1においては、デジパチ遊技(1種遊技、図柄変動遊技ともいう。)を実現するいわゆる1種タイプのパチンコ機について例示説明する。なお、図柄変動遊技については後述する。
パチンコ機2の遊技機枠3は、後述する遊技盤ユニット5を保持するためのもので、このパチンコ機2の周囲側面及び前方又はそれに加えて後方を囲むように構成される。遊技機枠3の内部側には、遊技盤ユニット5の他にも後述する各種制御基板や遊技媒体用の経路等各種機構部品が配置され、遊技機枠3によって周囲側面及び前方又はそれに加えて後方からのパチンコ機2内部側への不正アクセスが防止されるようになっている。
パチンコ機2の周囲を囲む外枠4、その内側にヒンジ22によって前方開閉可能に揺動支持されて遊技盤ユニット5を保持する前枠9、前枠9の前方にヒンジ22によって前方開閉可能に揺動支持されガラス10及びその周囲を装飾する装飾部材32を保持するガラス枠12、を有して遊技機枠3が構成される。なお、ガラス10は、遊技機枠3内部側に保持された遊技盤6を前方から遊技者が視認することができるようにするための透明部材である。
ガラス10は、遊技盤6に対して一定距離以上離間して配置された透明板である。ガラス10は、2枚の透明平板ガラスで形成されてガラス枠12の裏面側に保持され、遊技盤6との間に遊技球23が流下する流下空間を形成する機能、遊技者がガラス10を通して遊技盤6を視認できるように視認性を確保する機能、遊技者が遊技盤6に不正にアクセス(接触)できないようにする不正アクセス防止機能、を発揮する。
球皿14は、遊技者の持ち球を貯留するためにパチンコ機2の前面に配置された皿部材であって、本実施の形態においては上球皿14aと下球皿14bとを有している。上球皿14aは、球抜き部材14cを有して遊技盤6の下方、すなわちガラス枠12の下方部分に配置され、下球皿14bは、その上球皿14aの更に下方に配置されている。
発射ユニットは、球送り装置(不図示)によって球皿14の一部としての上球皿14aから発射位置に送り出された遊技球23を遊技領域16の上部に向けて発射(弾球)するためのものである。発射ユニットは、例えば発射位置の遊技球23を弾球する発射杆、その発射杆を駆動する発射モータ、発射杆を付勢して弾球力を発生させる発射バネ等を有してユニット構成され、前枠9に取り付けられている。その発射ユニットによる球発射のため、遊技者の操作に基づいて球発射のオンオフ及びその発射強度調整を実現する発射装置ハンドル15がパチンコ機2の前面下方に設けられている。
遊技盤ユニット5は、遊技盤面6a側の略中央に遊技役物としてのセンター役物7が配置された遊技盤6を有しており、その遊技盤面6aには多数の遊技釘27も配置されている。センター役物7の中央部には、画像表示手段としての演出表示装置7aが配置されるとともに、この演出表示装置7aの表示部7bを露出させるための表示開口部7dが形成されている。
遊技盤6は、その表面側に遊技球23の流下による遊技を実現するための遊技領域16を構成するための盤状部材であり、遊技盤6を前方から遊技者にとって視認可能となるように遊技機枠3(本実施の形態においては、遊技機枠3の一部としての前枠9。)に保持されている。その遊技盤6の表面には略円形状に周囲を囲むようにレール飾り26が取り付けられており、レール飾り26の外レール26aが遊技盤に対して立設するように配置されている。そして、レール飾り26の外レール26aによって画定され、外レール26aに面した略円形状の領域が遊技領域16となっている。
遊技釘27は、遊技領域16を流下する遊技球23と衝突してその流下方向を変更させる流下変更部材であり、多数が遊技領域16内に配置されている。また、遊技領域16には、普通入賞口28、始動入賞口29、大入賞口31等の入球部材及びアウト口30が配置されている。更に、遊技領域16には、ゲート33、風車25等が配置されており、流下する遊技球23が各入球部材に流入したり、ゲート33を通過したり、風車25を回転させたりすることによって、遊技球23による流下遊技を楽しむことができるようになっている。
センター役物7は、演出表示装置7aの周囲を覆うように構成されており、図柄変動遊技(1種遊技)を実現するものである。センター役物7の上部には、図柄表示手段としての第1図柄(特別図柄)表示装置17が配置されるとともに、センター役物7の中央部には、演出表示装置7aが配置されている。
第1図柄(特別図柄)表示装置17には、抽選手段の抽選結果である第1図柄の変動が表示される。第1図柄は、始動入賞口29への遊技球23の入球を契機として実行される第1抽選の結果に対応した図柄である。第1図柄の変動表示が所定の当選態様で停止することにより第1特別遊技としての大当りが発生する。
演出表示装置7aは、例えば、液晶表示装置・有機ELディスプレイ・LED等により構成されて遊技者が遊技盤面6a側から視認可能となるように配置され、その表示部7b上に映像表示を行うものである。この演出表示装置7aの表示部7bには、第1図柄に連動する第1装飾図柄の表示がなされる。第1装飾図柄は、第1抽選手段の抽選結果を視覚的に演出するための図柄であり、第1の遊技に対応する。また、例えば、キャラクター等によるストーリー仕立ての映像としての演出映像も表示部7b上に表示されるようになっている。演出表示装置7aには、遊技制御手段としての演出制御基板が中継基板を介して電気的に接続されており、演出制御基板によって画像表示が制御される。
遊技盤6の裏面側には、パチンコ機2の全体の制御を行う遊技制御手段としての主制御基板34及び主制御基板ケース35を有する主制御基板ユニットU1が設けられている。主制御基板ユニットU1は、主制御基板34と、これを内包する主制御基板ケース35と、主制御基板ケース同士のつなぎ目に跨って貼付された封印シール(封印部材)41と、を有する。この主制御基板ユニットU1については、後述にて詳細に説明する。
また、遊技盤6の裏面側には、演出表示装置7aの画像表示等演出の制御等を行う演出制御基板(図示せず)を収容した演出制御基板ケース36と、賞球の払出しを制御する払出制御基板(図示せず)を収容した払出制御基板ケース37と、電源基板(図示せず)を収容した電源基板ケース38と、が配置されている。この各制御基板ケースに収容された各制御基板によって遊技が実現される。更に、遊技盤6の裏面側には、パチンコ機2の遊技状態等の遊技情報を外部に出力するための外部出力端子板39が設けられている。
図示しない球発射装置により遊技球23が発射されると、遊技球23はレール飾り26の外レール26aに沿いつつ進行して遊技領域16内の上部に至る。その後、遊技球23は、複数の通過軌跡に沿って移動し、あるものはレール飾り26の外レール26aに沿って右側に移動し、あるものは遊技釘27に衝突しつつ遊技領域16内を下方に流下し、あるものは普通入賞口28に流入して一定数の賞球の払出し契機となり、あるものはいずれの入球装置にも流入せずに遊技領域16内最下部に位置するアウト口30に流入してアウト球としてパチンコ機2の外部側へと排出される。
図柄変動遊技中に遊技球23が始動入賞口29に流入すると、その流入に起因して演出表示装置7aの表示図柄7cが回転表示(第1の特別遊技の抽選)を開始し、その表示図柄7cが所定の図柄(例えば、「7・7・7」。)で停止表示すれば、図柄変動遊技における大当り(第1の特別遊技。以下、図柄変動大当りという。)が発生する。そして、大入賞口31が開放して多量の入賞球を受け入れ、多量の賞球が球皿14へと払い出されるようになっている。
なお、本実施の形態1では、主制御基板ケース35を有する主制御基板ユニットU1について例示して説明するが、他の制御基板ケースについても同様の構造を採用することが可能である。以下、本発明の実施の形態1に係る主制御基板ユニット(電子基板ユニット)U1について、図3から図8を用いて説明する。以下の説明においては、上下及び前後左右の方向は、遊技者からパチンコ機2を見た際の方向に基づいて定義し、図中に適宜図示する。
図3は、主制御基板ユニットU1の平面図であり、図4は、主制御基板ユニットU1の分解斜視図である。主制御基板ケース35は、遊技盤6の裏面側に着脱自在に固定される本体ケース(基板ケース)35aと、本体ケース35aに対して着脱自在に固定される蓋ケース(基板ケース)35bとの2つの基板ケースを有し、これら両者が協働して主制御基板34を内部に内包する。主制御基板34は、蓋ケース35bの内面側に形成された開口部に固定されて、蓋ケース35bと本体ケース35aとが係合することにより、主制御基板ケース35の内部に収容されるようになっている。この収容された状態では、主制御基板34に対して外部から接触することはできない。
主制御基板34の表面(ここでいう表面は、前面側である場合と後面側である場合とを含む。)には、ROM、RAM、CPU等の電子デバイス、接続コネクタ等を含む電子部品34bが実装されている。主制御基板34の周囲には、固定面としての固定穴34aが形成されている。主制御基板34の後側から固定穴34aに固定ネジを挿入して、この固定ネジと蓋ケース35bのネジ穴(図示せず)とをネジ止めすることにより、主制御基板34が蓋ケース35b内に固定されるようになっている。
主制御基板ケース35の下側部には、ヒンジ部が設けられている。ヒンジ部は、本体ケース35aの下側壁面に沿った軸部(図示せず)と、この軸部に係止される円弧状の弧状爪部35eと、を有して構成され、軸部は蓋ケース35bに形成され、弧状爪部35eは本体ケース35aに形成されている。蓋ケース35bは本体ケース35aに対して軸部を中心として揺動可能に支持されており、蓋ケース35bが本体ケース35aに対して回転移動することより、主制御基板ケース35の開口部を開放した開状態と閉鎖した閉状態とを実現する。
主制御基板ケース35の上側部には、痕跡残留部としての封止部が形成されている。封止部は、主制御基板ケース35の上側部において、後述する不正開放検出構造を挟んだ左右側方に配置されている。封止部は、本体ケース35aの上側壁面に対して突出して形成された本体カシメ部35gと、蓋ケース35bに連結部材35hを介して接続された蓋カシメ部35kと、本体カシメ部35gと蓋カシメ部35kとの間に収容可能な封止片35mと、からなる。
封止片35mは、「ロック」の文字が印字された表面が前方に位置する第1状態又は表面が後側に位置する第2状態で各カシメ部に収容される。本体カシメ部35g内に封止片35mを第1状態で配置して基板ケースを閉状態とすると、封止片35mは本体カシメ部35g及び蓋カシメ部35kと嵌合して、主制御基板ケース35の閉状態が保持される封止状態となる。一方、本体カシメ部35gに封止片35mを第2状態で配置して基板ケースを閉状態とすると、封止片35mは本体カシメ部35g及び蓋カシメ部35kと嵌合せず、基板ケースの閉状態は保持されない。
したがって、主制御基板ケース35を閉状態で封止する際には、いずれかの封止片35mを第1状態として各カシメ部に配置し、他の封止片35mを第2状態として各カシメ部に配置して、基板ケースを閉状態とする。これにより、主制御基板ケース35は、封止状態となる。
このような封止部によって主制御基板ケース35を封止することにより、封止状態を解除することは困難であり、主制御基板ケース35を開封するためには、第1状態の封止片35mを収容した蓋カシメ部35kと連結された連結部材35hを切断して、この蓋カシメ部35kを蓋ケース35bから切り離すことが必要である。したがって、主制御基板ケース35を開封した後は、連結部材35hを切断した痕跡が残り、主制御基板ケース35が不正に開放されたことを検出することができる。
しかし、連結部材35hを切断した痕跡は、主制御基板ケース35を視認しなければ検出できず、主制御基板ケース35が不正に開放されたことを早期に発見できないおそれがある。この対策として、本実施の形態1に係る主制御基板ユニットU1は、封止部と合わせて不正開放検出構造を備えている。
また、主制御基板ケース35の右側部には、痕跡残留部としての本体封止部が形成されている。本体封止部は、蓋ケース35bに形成された蓋カシメ部35kと、本体カシメ部と同様の構造であって遊技盤ユニット5の裏面側に固定された盤カシメ部(図示せず)と、各カシメ部に収容される封止片(図示せず)と、を有する。本体封止部によって、主制御基板ユニットU1と遊技盤ユニット5とを固定した状態で保持することができるとともに、主制御基板ユニットU1が外された場合の痕跡を残し、主制御基板ユニットU1が不正に取り外されたことを検出することができる。
主制御基板ケース35の上側部には、不正開放検出構造が設けられている。不正開放検出構造は、不正行為者による主制御基板ケース35の不正開放を予防し、また、万一不正に開放された際に、その不正開放の痕跡を残存させるためのものである。図5は、主制御基板ユニットU1を右後方から視認した斜視図である。図6は、主制御基板ユニットU1を右前方から視認した斜視図である。
不正開放検出構造は、本体ケース35aと蓋ケース35bの境界線35fにおいて、その分離を阻止すべく両ケースに跨るように固定された封印部材としての封印シール41と、封印シール41の全外周に沿って封印シール41に対して立設した立設部42と、を有する。封印シール41は、リーダによって読み取り可能な情報を有する情報部を含んでいる。境界線35fは、非直線状であり、本体ケース35aと蓋ケース35bとが交互に噛み合うような凹凸形状である。
本体ケース35aと蓋ケース35bにおける封印シール41が固定される固定面35pは、主制御基板ケース35の上部であって、左上端部と右上端部に配置された封止部の間に配置されている。固定面35pは、主制御基板ケース35の前面、上面、及び後面に跨って配置されており、主制御基板ケース35の表面に対して窪んだ窪み部の底面である。窪み部の底面が封印シールの固定面35pとなり、窪み部を隔成する壁面が立設部42として機能している。立設部42は、封印シール41が貼付された状態で、封印シール41の全外周を覆い、かつ封印シール41の表面に対して立設している。立設部42を備えることにより、破損することなく封印シール41が剥離されることを防止することができる。
仮に、封印シール41を不正に剥がすために封印シール41と固定面35pとの間にカッター等の鋭利な刃物を鋭角に挿入しようとしても、立設部42によって封印シール41の全外周が覆われているため、封印シール41に対して鋭角に刃物を挿入できず、封印シール41に対して略垂直に刃物を挿入することになる。封印シールと固定面との間に刃物を鋭角に挿入された場合には、封印シールが破損することなく剥離されるおそれがあるが、封印シール41に対して略垂直に刃物を挿入された場合には、剥離される過程において封印シールが破損する可能性が高くなる。
すなわち、立設部42を設けることにより、封印シール41と固定面35pとの間に鋭角に刃物を挿入されて、破損することなく封印シール41が剥がされることを防止することができる。また、剥がされた場合であっても、封印シール41の情報部が破損するため、封印シール41が剥がされたことによる痕跡を残存させることが可能となる。
また、主制御基板ユニットU1は、遊技盤ユニット5の後面に装着されており、主制御基板ユニットU1の前面は遊技盤ユニット5の後面と対向して配置されている。封印シール41は、主制御基板ユニットU1の前面、上面、及び後面に跨って貼付されており、特に前面においては遊技盤ユニット5と対向して配置されているため、後方から主制御基板ユニットU1の前面に貼付された封印シール41を剥離することは難しい。すなわち、アクセス方向に対する背面側に封印シール41を貼付することにより、封印シール41が不正に剥離されることを効果的に防止することができる。
図7は、封印シール41の表面及び裏面を模式的に示した図である。封印シール41は、長方形のシールであり、表面には識別情報としてのシリアル番号41aが印刷されている。封印シール41の裏面には、シリアル番号41a等個々の遊技機を特定するための情報を格納したICチップ41bと、ICチップ41bの情報を電波によって送信するためのアンテナ部41cと、が貼付されている。ICチップ41bは、封印シール41の略中央に配置されており、アンテナ部41cは対角線に沿って配置されている。
ICチップ41bに格納された情報は、アンテナ部41cが電波によって送信可能に構成されており、図示しないリーダを用いて情報を読み取ることが可能である。アンテナ部には、電波によって情報を送信するためのループを構成するためのスリットが設けられており、このスリットの近傍に切り欠き部41dが形成されている。切り欠き部41dが形成されていることにより、封印シール41が剥がされたり封印シールに外部から力が加えられたりした際にアンテナ部41cが破損し、電波による情報送信が不可能な状態となる。
このように構成された封印シール41によれば、剥離される際にアンテナ部41cが破損して電波による情報送信が不可能になり、封印シール41に対して不正行為がなされたことを確実に検出することができる。
更に、封印シール41の全外周を覆うように立設部42を設けていることにより、封印シール41の側方からのアクセスを防止できるため、封印シール41の外周を覆うことなく主制御基板ケース35の表面に貼付する構成や主制御基板ケース35の表面から突出して封印シール41を配置する構成と比べて、封印シール41の不測の破損等を防ぐことができる。
また、実施の形態1に係る主制御基板ユニットU1は、封印シール41と主制御基板ケース35との接着力を高める構成を採用している。図8は、封印シール41と主制御基板ケース35の固定面35pとを模式的に示した断面図である。(a)は、封印シール41と主制御基板ケース35とが分離した状態であり、(b)は、封印シール41と主制御基板ケース35とが接着した状態である。
封印シール41は、断面に示すように、シリアル番号等が印刷された印刷面を有する紙製の第1層41eと、第1層41eの下方に配置され、アンテナ部41c及びICチップ41bを有する第2層41fと、第2層41fの下方に配置され、主制御基板ケース35に接着するための接着成分を有する第3層(粘着層)41gと、を備える。
主制御基板ケース35における封印シール41が貼付される固定面35pの表面には、微細な突起部35rが複数形成されている。突起部35rの高さは、第3層41gの厚さの範囲内である。突起部35rは、封印シール41を主制御基板ケース35に貼付した状態において第3層41g内に配置される。
固定面35pの表面に突起部35rを設けることにより、固定面35pが平滑面の構成と比べて、粘着層である第3層と接する固定面35pの面積を広くすることができ、封印シール41と固定面35pとの接着力を高めることができる。封印シール41の接着力を高めることにより、更に封印シール41を剥離し難くして、主制御基板ケース35の不正開放に手間及び時間を要させて、不正行為を抑制することが可能となる。
このように実施の形態1に係る主制御基板ユニットU1によれば、封印シール41の全外周に沿って配置された立設部42によって封印シール41に対する不正アクセスを困難にし、封印シール41が不正に剥離されることを防止することができる。更に、固定面に微細な突起部を複数形成し、固定面35pと封印シール41との接着力を高めることにより、主制御基板ケース35の不正開放に手間及び時間を要させて、不正行為を抑制することが可能となる。
また、本実施の形態1においては、封印シール41は紙製であるが、もちろん封印部材がプラスチックフィルムや布、金属板等であってもよい。また、本実施の形態1においては、パチンコ機に設けられた主制御基板ユニットについて説明したが、パチンコ機に限られず、スロットマシンに設けられた電子基板ユニットについて適用してもよい。
<実施の形態2>
次いで、実施の形態2に係る電子基板ユニットを有するスロットマシンについて説明する。実施の形態2に係る電子基板ユニットは、スロットマシンの遊技全体を制御する主制御基板(図示せず)を内包する主制御基板ケース135を有する主制御基板ユニットU2である。実施の形態2に係る主制御基板ユニットU2は、実施の形態1の主制御基板ユニットU1と立設部の形状が異なっている。なお、実施の形態1と同様の構成については説明を省略する。図9は、スロットマシンの正面図であり、図10は、スロットマシンの前面を覆う前扉を外した状態のスロットマシン(筐体)の正面図である。
スロットマシン102、略矩形状の箱型の筐体103と、筐体103の開口に対してヒンジ(図示せず)により開閉可能に取り付けられた前扉104と、を備える。前扉104は、上パネル部105、中パネル部106、及び下パネル部107を有しており、これらは一体に形成されている。また、下パネル部107の下方には、メダルを貯留するための受け皿108が設けられている。
上パネル部105には、液晶表示装置109が設けられており、この液晶表示装置109によって遊技者の視覚に訴える画像演出を行う。上パネル部105の左右位置には、スピーカ(図示せず)からの音声を出力する放音部110が設けられており、この放音部110からの音声によって遊技者の聴覚に訴える演出を行う。
上パネル部105の下方に配置された中パネル部106には、長方形の透明な窓部111が形成されている。そして、この窓部111を通して、筐体103内に設けられている円筒状の3個のリール112を遊技者が目視できるように構成されている。中パネル部106の下方には、メダル投入部113と、ベットボタン114と、スタートレバー115と、3個のストップボタン116等が配置されている。
メダル投入部113は、遊技者からがメダルを投入する入口となり、投入されたメダルは、スロットマシン102内部にて貯留することができる。ベットボタン114は、1ゲームに賭けるメダルの枚数を決定するための押圧式のボタンである。スタートレバー115は、リール112を一斉に回転させる指示をするためのスイッチである。ストップボタン116は、各リール112の回転停止を指示するための押圧式のボタンであり、各リールの配列に対応してそれぞれ並設されている。
前扉104の下パネル部107には、スロットマシン102の機種等を遊技者へ認識させるため絵柄等が表示されている。前扉104の下方には、入賞等の契機によりメダルを遊技者に払い出すメダル払出口117と、スピーカからの音声を出力する放音部110と、が配設されている。
筐体103は、前扉104の後方に配置され、前面に形成された開口部を前扉104によって覆われている。筐体103は、後面の上部位置に、スロットマシン102の全体の遊技を制御する主制御基板を内包した主制御基板ユニットU2が装着されている。主制御基板ユニットU2の後面は、筐体103の後面と対向しており、主制御基板ユニットU2は筐体103内に離脱不能に固定されている。
主制御基板ユニットU2の下方には、3個のリール112が軸方向に並んで配置されている。各リール112の表面には、複数の絵柄が印刷されており、前扉104側に形成された窓部111からリール112の絵柄を遊技者が視認できるように配置されている。
リール112の下方には、遊技者に対してメダルを払い出すメダル払出装置118が設置されている。メダル払出装置118から払い出されたメダルは、メダル払出口を介して受け皿108に供給される。主制御基板ユニットU2の右方には、スロットマシン102の遊技状態等の遊技情報を外部に出力するための外部出力端子板119が設けられている。
遊技者によってベットボタン114が押圧操作されると、内部に貯留したメダル(クレジット)からメダルが賭けられゲームが開始する。ゲーム開始した後、スタートレバー115が操作されると、リール112が回転する。同時に入賞役を内部抽選し、その結果をRAMに記憶する。
遊技者によってストップボタン116が押圧操作されると、それに従い順次、対応するリール112が停止する。そして、全てのリール112が停止した後、各リールに表示された図柄の組合せが入賞役となる図柄の組合せと一致しているか否か判定する。これらが一致したときには入賞役が確定し、その入賞役の種類に応じた獲得枚数のメダルをクレジットに加算する。クレジットがその上限を超える場合には、メダル払出装置118からメダルが払い出され、受け皿108へ供給される。
このように遊技者は、リール112を回転する操作及び停止する操作を行って、予め定められた組合せで図柄が揃い入賞が成立すると、再度のゲーム(リプレイ)や賭けた枚数以上のメダルを獲得することができる。
次いで、図11から図15に基づいて、実施の形態2に係る主制御基板ユニットU2について説明する。図11は、主制御基板ユニットU2の平面図であり、図12は、主制御基板ユニットU2の分解斜視図である。図13は、左前方から視認した主制御基板ユニットU2の斜視図であり、図14は、左後方から視認した主制御制御ユニットU2の斜視図である。
主制御基板ユニットU2は、主制御基板(図示せず)を内包する主制御基板ケース135と、主制御基板ケース135同士のつなぎ目に跨って貼付された封印シール(封印部材)141と、を有する。主制御基板ケース135は、筐体103の背面に対して着脱自在に固定される本体ケース(基板ケース)135aと、本体ケース135aに対して着脱自在に固定される蓋ケース(基板ケース)135bとの2つの基板ケースを有し、これら両者が協働して主制御基板を内部に内包するようになっている。主制御基板は、蓋ケース135bの内面側に形成された開口部に固定されて、蓋ケース135bと本体ケース135aとが係合することにより、主制御基板ケース135の内部に収容されるようになっている。この収容された状態では、主制御基板に対して外部から接触することはできない。
主制御基板ケース135の下側部には、ヒンジ部が設けられている。ヒンジ部は、本体ケース135aの下側壁面に沿った軸部(図示せず)と、この軸部に係止される円弧状の弧状爪部135eと、を有して構成され、軸部は本体ケース135aに形成され、弧状爪部35eは蓋ケース135bに形成されている。蓋ケース135bは本体ケース135aに対して軸部を中心として揺動可能に支持されており、蓋ケース135bが本体ケース135aに対して回転移動することより、主制御基板ケース135の開口部を開放した開状態と閉鎖した閉状態とを実現する。
主制御基板ケース135の上側部には、痕跡残留部としての封止部135gが形成されている。封止部135gは、主制御基板ケース135の上側部において、後述する不正開放検出構造を挟んだ左右側方に配置されている。また、主制御基板ケース135の右側部には、痕跡残留部としての本体封止部135kが形成されている。封止部135g及び本体封止部135kについては、実施の形態1と同様の構成のため説明を省略する。
主制御基板ケース135の上側部には、不正開放検出構造が設けられている。不正開放検出構造は、本体ケース135aと蓋ケース135bの境界線135fにおいて、その分離を阻止すべく両ケースに跨るように固定された封印シール141と、封印シール141の角部141h近傍において立設した立設部142と、を有する。封印シール141は、リーダによって読み取り可能な情報を有する情報部を含んでいる。
図15は、封印シール141の表面及び裏面を模式的に示した図である。封印シール141は、長方形のシールであり、裏面には、個々の遊技機を特定するための情報を格納したICチップ141bと、ICチップ141bの情報を電波によって送信するためのアンテナ部141cと、が貼付されている。ICチップ141bは、封印シール141の略中央下部に配置されており、アンテナ部141cは封印シール141の外周に沿って配置されている。
本体ケース135aと蓋ケース135bにおける封印シール141が固定される固定面135pは、主制御基板ケース135の上側部であって、左上端部と右上端部に配置された封止部135g間に設けられている。固定面135pは、主制御基板ケース135の表面(前面)に配置されており、立設部142は、封印シール141が貼付された状態で封印シールの角部141hを覆うが、封印シール141の側辺を覆わないように立設している。立設部142が設けられていることにより、封印シール141の側方から封印シール141へのアクセスを困難にしている。
仮に、封印シール141を不正に剥がすために封印シール141の角部141hと固定面135pとの間に鋭利な刃物を鋭角に挿入しようとしても、立設部142によって封印シール141の角部141hが覆われているため、封印シール141の角部141hと固定面135pとの間に鋭角に刃物を挿入できない。一方、封印シール141の側辺の側方には立設部142が設けられていないため、封印シール141の側辺と固定面135pとの間に鋭角に刃物を挿入することが可能である。
しかし、封印シールの側辺から刃物を挿入した場合は、角部から刃物を挿入した場合と比較して、封印シールが破損し易く不正アクセスの痕跡が残存しやすい。よって、封印シールが不正に剥離された場合であっても、その痕跡を容易に残すことができる。
一方、封印シールの貼付作業においては、固定面135pの側方が開放されているため、封印シール141の側辺を持って貼付作業を行ったり、封印シール141の側方から封印シール141の上面を押圧して、封印シール141を主制御基板ケース135に固定したりすることができ、全外周に立設部142を設ける構成と比較して、貼付作業が容易になり作業効率を向上させることができる。
このように本実施の形態2に係る主制御基板ユニットU2によっても、封印シールの角部近傍に沿って配置された立設部によって封印シール141に対する不正アクセスを困難にし、封印シール141の剥離を防止することが可能である。更に、立設部142は、封印シール141の側辺を覆わないように配置されているため、封印シール141の貼付作業の効率を向上させることができる。
以上、本発明の好ましい実施の形態1及び実施の形態2を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、その要旨の範囲内で様々な変形や変更が可能である。次いで、変形例1及び変形例2に係る主制御基板ユニットU3及びU4について説明する。図16は、変形例1に係る主制御基板ユニットU3を右後方から視認した斜視図であり、図17は、変形例2に係る主制御基板ユニットU3を右後方から視認した斜視図である。
変形例1に係る主制御基板ユニットU3は、実施の形態1に係る主制御基板ユニットU1と同様に封印シールの全外周に沿って立設部が配置されているが、制御基板ユニットU1と固定面の位置が異なっている。主制御基板ユニットU3の後面には、本体ケース235aと蓋ケース235bの境界線235fと、その境界線235fを跨るように貼付される封印シール241の固定面(図示せず)と、が設けられている。
固定面は、主制御基板ユニットU3の後面よりも窪んだ窪み部における底面であり、図16に示す封印シール241の貼付面である。窪み部を隔成する壁面は、立設部242として機能している。立設部242は、封印シール241が貼付された状態で、封印シール241の全外周を覆うよう立設されている。立設部242が設けられていることにより、封印シール241の側方からの不正アクセスを困難にすることができる。
また、実施の形態1に係る主制御基板ユニットU1の固定面は、後面、上面、及び後面に跨って形成されているが、変形例1に係る主制御基板ユニットU3の固定面は、前面のみに形成されている。したがって、複数の面に跨って固定面が形成されている構成と比較して、封印シールの貼付作業を簡易に行うことができ、作業効率を高めることができる。また、前扉104を開放することにより封印シール241全体を視認することができるため、封印シール241の破損等を早期に発見することが可能となる。
変形例2に係る主制御基板ユニットU4は、実施の形態2に係る主制御基板ユニットU2と同様に封印シール341の角部近傍に立設部342が配置されているが、主制御基板ユニットU2と異なり立設部342にカバー部材343が接続されている。カバー部材343は、封印シール341の角部近傍に配置された立設部342の前端部に接続されており、貼付された封印シール341の前方を覆うように、封印シール341の表面と対向して配置されている。このカバー部材343を設けることにより、封印シール341の前方から角部への不正アクセスを防止することができ、電子基板への不正行為を更に効果的に防止することができる。