しかしながら、特許文献1に記載の遊技機は、シールが剥がされてアンテナが破壊された場合には、ICチップに格納された情報が読み取り不可能となるが、シールが剥がされてもアンテナが破壊されない場合には、ICチップに格納された情報が読み取り可能となり、確実に不正アクセスがあった場合の痕跡を残すことができないおそれがあった。また、不正に剥がされたシールが再利用されると、更なる被害が拡大するおそれがあった。
また、特許文献2に記載の遊技機は、複数の薬品によってテープ型インレットのアンテナを切断することなく剥がした場合は、ICチップの情報を読み取ることができ、確実に不正アクセスがあった場合の痕跡を残すことができないおそれがあった。
本発明は、上記の事情に鑑みて為されたもので、電子基板に対する不正行為を効果的に予防しつつ、そのような不正行為が行われた際により確実にその痕跡を確認することができて、不正行為の予防及び早期発見に寄与することのできる電子基板ユニット及び遊技機を提供することを例示的課題とする。
上記の課題を解決するために、本発明の例示的側面としての電子基板ユニットは、電子基板を封入し電子基板へのアクセスを阻止する閉状態と電子基板へのアクセスを可能とする開状態とを実現し、協働して電子基板を内包する第1基板ケース及び第2基板ケースと、閉状態の第1基板ケースと第2基板ケースとを結合する結合部材と、第1基板ケースに固定され、リーダによって読み取り可能な情報部を含む情報部材と、閉状態から開状態となる際に情報部材と接触することによりリーダによる情報部の情報を実質的に読み取り不可能とする破壊部と、を備える。
協働して電子基板を内包する第1基板ケース及び第2基板ケースは、内包した電子基板へのアクセスを可能とする開状態と、電子基板へのアクセスを阻止する閉状態と、を実現する。閉状態においては、結合部材によって第1基板ケースと第2基板ケースとが結合されており、内包される電子基板への不正アクセスを防止することができる。一方、結合部材による結合が解除されることにより、開状態となって外部から電子基板へのアクセスが可能となる。
また、第1基板ケースには情報部材が固定されており、情報部材には、リーダによって読み取り可能な情報部が含まれている。この情報部材は、閉状態から開状態となる際に破壊部と接触するように構成されており、この接触によってリーダによる情報の読み取りが実質的に不可能になるように構成されている。したがって、基板ケースに内包された電子基板にアクセスするために、第1基板ケースと第2基板ケースとを閉状態から開状態としようすると、接触部が情報部材と接触してリーダによる情報の読み取りが実質的に不可能となる。よって、電子基板への不正アクセスの際に、情報部材にその不正アクセスの痕跡が残存することとなる。
ここにおいて、情報部は、リーダによって読み取り可能な情報を有するものであればよく、例えば、RFID(Radio Frequency Identification)に用いるRFタグ(ICチップを含む)を例示できる。また、電波によって情報を送信するタグにあっては、タグそのものだけでなく、情報を送信するためのアンテナも含む概念である。また、情報部は、電波によって情報を送信するタグだけでなく、リーダによって読み取り可能な情報を含むものであればよく、例えばバーコードが印刷されたシートを例示できる。
なお、情報部が実質的に読み取り不可能な状態とは、情報部が技術的に読み取り不可能な状態のみならず、通常の使用状態では読み取れないが、通常とは異なる使用状態においては読み取れる状態も含む概念である。ここでいう通常とは異なる使用状態とは、例えば、リーダの感度を飛躍的に向上させることによってのみ読み取り可能な状態や、リーダと情報部との距離を通常の使用状態より近接させることによってのみ読み取り可能な状態である。
また、情報部材は、第1基板ケースに固定可能に構成されていればよく、情報部材の「固定」は、接着剤や粘着剤による貼付のみならず、カシメ、フック等による不可逆的な係合や係止、ネジ等による不可逆的な螺合を含む概念である。また、情報部材としては、典型的には所謂シールであるが、もちろんシールに限られず、例えば金属部材、樹脂部材等を概念することができる。また、シールにおいてもその素材は、紙であっても樹脂フィルムであってもよい。
また、破壊部が情報部材と接触した結果、リーダによる情報部の情報が実質的に読み取り不可能な状態とは、情報部材の情報部が壊されたり、裂けたり、傷ついたり、押し潰されたりした状態であり、必ずしも分裂した状態を意味するものではなく、接触したことにより情報の読み取りが実質的に不可能となるあらゆる状態を含むものである。
更に、閉状態から開状態となる際には、第1基板ケース及び第2基板ケースのうち少なくともいずれか一方を移動することによって閉状態から開状態となればよく、第1基板ケースを第2基板ケースに対して移動することにより開状態と閉状態とが実現するように構成してもよいし、第2基板ケースを第1基板ケースに対して移動することにより開状態と閉状態とが実現するように構成してもよい。
なお、第1基板ケースと第2基板ケースとの閉状態とは、第1基板ケースと第2基板ケースとによって内部空間が封止された状態であり、第1基板ケースと第2基板ケースに内包された電子基板に外部からアクセスできない状態である。
また、破壊部は、情報部材が固定された状態の第1基板ケースに対して取り付けられる第1係止部材に形成されており、第1係止部材は、開状態において第1基板ケースに対して取り付けられ、第1基板ケースと第2基板ケースが閉状態を実現することにより第2基板ケースに対して係止され、かつ閉状態から開状態となる際に第2基板ケースに係止した係止状態を維持して情報部材と接触するように構成されていてもよい。
このような構成によれば、開状態において第1係止部材を第1基板ケースに装着して閉状態とすることにより、その後に開状態となる際に情報部材の情報部を破壊部によって破壊して、第1基板ケースと第2基板ケースが開状態となり電子基板にアクセスされた痕跡を残存させることができる。
なお、第1係止部材の具体的な構成としては、情報部材と接触可能な突起部と、第2基板ケースと係合可能な係合部と、を備え、係合部は、押圧されることにより弾性変形可能であって、弾性変形することにより第2基板ケースに設けられた凹部に挿入可能な爪部を有する構成を例示できる。
開状態において情報部材と突起部とが近接するように第1係止部材を第1基板ケースに載置する。そして、開状態から閉状態とする際に、第2基板ケースによって係合部を押圧し、弾性変形させつつ第2基板ケースの凹部に爪部を挿入させる。爪部が凹部内に収容されることによって弾性変形が解除されるようにして、第2基板ケースに爪部を係止させる。爪部を凹部に係止させることにより、閉状態から開状態となる際に第2基板ケースと共に第1係止部材を第1基板ケースに対して相対移動させて、突起部によって情報部材を破壊することができる。
また、破壊部は、結合部材によって第1基板ケースと結合された状態の第2基板ケースに対して係止される第2係止部材に形成されており、第2係止部材は、閉状態から開状態となる際に第2基板ケースに係止した係止状態を維持して情報部材と接触するように構成されていてもよい。
このような構成によれば、閉状態において第2係止部材を第2基板ケースに装着することにより、その後に開状態となる際に情報部材の情報部を破壊部によって破壊して、第1基板ケースと第2基板ケースが開状態となり電子基板にアクセスされた痕跡を残存させることができる。
具体的な構成としては、情報部材と接触可能な突起部を第2係止部材に設け、第2基板ケースに第2係止部材が挿入される穴部を形成する構成を例示できる。結合部材によって結合された閉状態において第2基板ケースに第2係止部材を装着することにより、突起部と情報部材とが対向した状態となるように構成する。この閉状態から開状態となる際には、第2係止部材が第2基板ケースに係止された状態が維持され、第1基板ケースと第2基板ケースとの相対移動に伴って突起部が情報部材を破壊する。
また、第2係止部材は、閉状態における第2基板ケースに装着されるように構成されており、装着された後に第2基板ケースから取り外されてしまうと、不正に基板ケースが開放された際に不正アクセスの痕跡を残存させることができないおそれがある。そのような不具合を防止するために、第2係止部材が第2基板ケースから取り外されないように第2係止部材の係止状態を維持する固定部材を更に設けることが望ましい。
固定部材は、第2基板ケースに装着された第2係止部材が取り外されることを防ぐように構成されていればよく、例えば第2係止部材がビスであって、第2基板ケースに形成された穴部にビスを挿入する構成においては、挿入したビスの頭部及び穴部を固定部材によって覆う構成を例示できる。
また、破壊部は、第2基板ケースに形成された突起部であってもよい。破壊部を第2基板ケースに設けることにより、第1基板ケースと第2基板ケースとが相対移動して閉状態から開状態となる際に、第2基板ケースと共に破壊部を第1基板ケースに対して相対移動させて、破壊部と情報部材とを接触させるように構成することができる。また、破壊部と第2基板ケースとを一体化して設けることにより、破壊部と第2基板ケースとを別個に設ける構成と比較して、部品点数を減らすことができ、製造工程の短縮化及びコストの縮減を図ることができる。
突起部は、情報部材側に突出して形成されており、開状態から閉状態になる際には、情報部から離間する方向に弾性変形して情報部材と接触せず、閉状態から開状態になる際には、弾性変形が解除されて情報部材と接触するように構成されていてもよい。
このような構成によれば、開状態から閉状態となる際に破壊部と情報部材とが接触するのを防ぐ一方、閉状態から開状態となる際に破壊部と情報部材とを接触させて、第1基板ケースと第2基板ケースが開状態となり電子基板にアクセスされた痕跡を残存させることができる。
なお、接触部が情報部から離間するような弾性変形とは、第1基板ケースと第2基板ケースとを相対移動して閉状態とする作業者が外力を加えることによる変形であってもよいし、開状態から閉状態となる際の破壊部の移動軌跡と閉状態から開状態となる際の破壊部の移動軌跡とを異ならせ、開状態から閉状態となる際の移動軌跡に破壊部を弾性変形する突起等を設け、この突起等によって弾性変形するように構成してもよい。更に、弾性変形は、破壊部全体が弾性変形するように構成してもよいし、破壊部の一部のみが弾性変形するように構成してもよい。
情報部は、リーダによって読み取り可能な情報が埋め込まれたRFタグと、RFタグのアンテナ部と、を有しており、破壊部は、RFタグとアンテナ部のうち少なくともアンテナ部と接触することによってRFタグの情報が実質的に読み取り不可能となるように構成されていてもよい。
閉状態から開状態となる際に破壊部が情報部材と接触しアンテナ部を破損又は破壊するように構成されているため、外部から電子基板にアクセスするために基板ケースを分離しようとすると、RFタグの情報が実質的に読み取り不可能となる。通常、RFタグは、情報を格納しており、比較的強度が高い。一方、アンテナ部は、電波を送信できればよく、RFタグと比較して脆弱であることが多い。接触部によってアンテナ部を破損又は破壊するように構成することにより、基板ケースが開状態となり電子基板にアクセスされた際に、より確実にアンテナ部を破壊又は破損することができ、不正アクセスの痕跡を残すことが可能となる。
また、本発明の他の例示的な側面としての遊技機は、遊技を実現する遊技装置体と、遊技装置体を内包する遊技機枠と、上記に記載の電子基板ユニットと、を有する遊技機であって、電子基板ユニットは、遊技装置体又は遊技機枠に対して着脱自在に設けられている。
この遊技機によれば、上記の電子基板ユニットを有しているので、この遊技機の電子基板に不正行為者が不正アクセスするのを有効に予防することができる。更に、万一不正アクセスがされた場合であっても、その痕跡が発見容易とされている。したがって、この遊技機は、不正行為者による不正行為を排除し、一般遊技者による安全かつ安心な遊技に資することができる。
なお、遊技装置体とは、遊技機における遊技を実現するものであり、例えば、パチンコ遊技機であれば、遊技媒体の流下による遊技を実現する遊技盤、スロットマシンであれば、絵柄の組合せによる遊技を実現するリールを例示できる。また、制御基板ケースは、遊技装置体又は遊技機枠に対して装着できる構成であればよく、遊技装置体又は遊技機枠に対して直接装着できる構成であってもよいし、遊技装置体又は遊技機枠との間に部材が配置され、遊技装置体又は遊技機枠に対して間接的に装着できる構成であってもよい。
また、遊技機枠とは、遊技装置体を内包する枠部材又は枠部材の集合体であって、遊技装置体の側方や前方を囲むためのものである。例えば、遊技機がパチンコ遊技機である場合には、遊技装置体としての遊技盤を内包する外枠、機枠又は前面枠若しくはこれらの組合せ等が遊技機枠に該当し、遊技機がスロットマシンである場合には、遊技装置体としてのリール(回胴装置)を内包するキャビネット(外枠及び/又は前面枠)が遊技機枠に該当する。もちろん、パチンコ遊技機やスロットマシン以外の遊技機においても、それら遊技機における遊技を実現する遊技装置体(例えば、コインゲーム機における遊技盤やアーケードマシンにおけるゲーム画像表示装置等)を内包する枠部材等がこの遊技機枠に該当する。
なお、本発明において基板ケースは、電子基板を内包する全体としてのケースをいう場合と、全体のケースを構成する複数のケース部材1つ1つをいう場合とがある。例えば、協働して電子基板を内包する複数の基板ケースという場合の基板ケースは、全体としての基板ケースを構成するケース部材をいう。そのケース部材が複数協働して全体としてひとまとまりとなったケースを基板ケースという場合もあり、その基板ケースが電子基板を内包する。
本発明の更なる目的又はその他の特徴は、以下添付図面を参照して説明される好ましい実施の形態によって明らかにされるであろう。
本発明によれば、電子基板を内包する第1基板ケースと第2基板ケースとを閉状態から開状態とすることにより、第1基板ケースに固定された情報部材が破壊部と接触して情報部が実質的に読み取り不可能となるため、不正アクセスの痕跡を確実に残すことができる。したがって、電子基板に対する不正行為を効果的に予防しつつ、そのような不正行為が行われた際に簡便かつ確実にその痕跡を確認することができて、不正行為の予防及び早期発見に寄与することができる。
<実施の形態1>
以下、本発明の実施の形態1について図面を用いて説明する。図1は、本発明の実施の形態1に係る遊技機としてのパチンコ機2の正面図である。図2は、図1に示すパチンコ機2の背面図である。このパチンコ機2は、遊技機枠3、遊技盤(遊技装置体)6、ガラス10、発射ユニット(不図示)、球皿14を有し、遊技盤6には、遊技球23の流下による遊技を実現するための遊技領域16が形成されている。また、遊技盤6の裏面側には、主制御基板ユニット(電子基板ユニット)U1(図2参照)が取り付けられているが、詳細は後述する。
パチンコ機2は、遊技者が後述する発射装置ハンドル15を操作することによって、遊技領域16に向けて遊技球が発射ユニットによって発射され、遊技球23の流下による遊技が実現される。なお、遊技機は、パチンコ機2の他にパチンコ式スロットマシン機、コインゲーム機等のアーケードマシン、各種ゲーム機を概念することができ、要するに、遊技媒体の流下による遊技を実現する遊技領域を有するあらゆる遊技機が含まれる。なお、パチンコ機においても、アレンジボール機、雀球機等の組合せ式パチンコ機、いわゆるデジパチタイプ(1種タイプ)やハネモノタイプ(2種タイプ)のパチンコ機等のあらゆるパチンコ機が概念できるが、本実施の形態1においては、デジパチ遊技(1種遊技、図柄変動遊技ともいう。)を実現するいわゆる1種タイプのパチンコ機について例示説明する。なお、図柄変動遊技については後述する。
パチンコ機2の遊技機枠3は、後述する遊技盤ユニット5を保持するためのもので、このパチンコ機2の周囲側面及び前方又はそれに加えて後方を囲むように構成される。遊技機枠3の内部側には、遊技盤ユニット5の他にも後述する各種制御基板や遊技媒体用の経路等各種機構部品が配置され、遊技機枠3によって周囲側面及び前方又はそれに加えて後方からのパチンコ機2内部側への不正アクセスが防止されるようになっている。
パチンコ機2の周囲を囲む外枠4、その内側にヒンジ22によって前方開閉可能に揺動支持されて遊技盤ユニット5を保持する前枠9、前枠9の前方にヒンジ22によって前方開閉可能に揺動支持されガラス10及びその周囲を装飾する装飾部材32を保持するガラス枠12、を有して遊技機枠3が構成される。なお、ガラス10は、遊技機枠3内部側に保持された遊技盤6を前方から遊技者が視認することができるようにするための透明部材である。
ガラス10は、遊技盤6に対して一定距離以上離間して配置された透明板である。ガラス10は、2枚の透明平板ガラスで形成されてガラス枠12の裏面側に保持され、遊技盤6との間に遊技球23が流下する流下空間を形成する機能、遊技者がガラス10を通して遊技盤6を視認できるように視認性を確保する機能、遊技者が遊技盤6に不正にアクセス(接触)できないようにする不正アクセス防止機能、を発揮する。
球皿14は、遊技者の持ち球を貯留するためにパチンコ機2の前面に配置された皿部材であって、本実施の形態においては上球皿14aと下球皿14bとを有している。上球皿14aは、球抜き部材14cを有して遊技盤6の下方、すなわちガラス枠12の下方部分に配置され、下球皿14bは、その上球皿14aの更に下方に配置されている。
発射ユニットは、球送り装置(不図示)によって球皿14の一部としての上球皿14aから発射位置に送り出された遊技球23を遊技領域16の上部に向けて発射(弾球)するためのものである。発射ユニットは、例えば発射位置の遊技球23を弾球する発射杆、その発射杆を駆動する発射モータ、発射杆を付勢して弾球力を発生させる発射バネ等を有してユニット構成され、前枠9に取り付けられている。その発射ユニットによる球発射のため、遊技者の操作に基づいて球発射のオンオフ及びその発射強度調整を実現する発射装置ハンドル15がパチンコ機2の前面下方に設けられている。
遊技盤ユニット5は、遊技盤面6a側の略中央に遊技役物としてのセンター役物7が配置された遊技盤6を有しており、その遊技盤面6aには多数の遊技釘27も配置されている。センター役物7の中央部には、画像表示手段としての演出表示装置7aが配置されると共に、この演出表示装置7aの表示部7bを露出させるための表示開口部7dが形成されている。
遊技盤6は、その表面側に遊技球23の流下による遊技を実現するための遊技領域16を構成するための盤状部材であり、遊技盤6を前方から遊技者にとって視認可能となるように遊技機枠3(本実施の形態においては、遊技機枠3の一部としての前枠9。)に保持されている。その遊技盤6の表面には略円形状に周囲を囲むようにレール飾り26が取り付けられており、レール飾り26の外レール26aが遊技盤に対して立設するように配置されている。そして、レール飾り26の外レール26aによって画定され、外レール26aに面した略円形状の領域が遊技領域16となっている。
遊技釘27は、遊技領域16を流下する遊技球23と衝突してその流下方向を変更させる流下変更部材であり、多数が遊技領域16内に配置されている。また、遊技領域16には、普通入賞口28、始動入賞口29、大入賞口31等の入球部材及びアウト口30が配置されている。更に、遊技領域16には、ゲート33、風車25等が配置されており、流下する遊技球23が各入球部材に流入したり、ゲート33を通過したり、風車25を回転させたりすることによって、遊技球23による流下遊技を楽しむことができるようになっている。
センター役物7は、演出表示装置7aの周囲を覆うように構成されており、図柄変動遊技(1種遊技)を実現するものである。センター役物7の上部には、図柄表示手段としての第1図柄(特別図柄)表示装置17が配置されると共に、センター役物7の中央部には、演出表示装置7aが配置されている。
第1図柄(特別図柄)表示装置17には、抽選手段の抽選結果である第1図柄の変動が表示される。第1図柄は、始動入賞口29への遊技球23の入球を契機として実行される第1抽選の結果に対応した図柄である。第1図柄の変動表示が所定の当選態様で停止することにより第1特別遊技としての大当りが発生する。
演出表示装置7aは、例えば、液晶表示装置・有機ELディスプレイ・LED等により構成されて遊技者が遊技盤面6a側から視認可能となるように配置され、その表示部7b上に映像表示を行うものである。この演出表示装置7aの表示部7bには、第1図柄に連動する第1装飾図柄7cの表示がなされる。第1装飾図柄7cは、第1抽選手段の抽選結果を視覚的に演出するための図柄であり、第1の遊技に対応する。また、例えば、キャラクター等によるストーリー仕立ての映像としての演出映像も表示部7b上に表示されるようになっている。演出表示装置7aには、遊技制御手段としての演出制御基板が中継基板を介して電気的に接続されており、演出制御基板によって画像表示が制御される。
遊技盤6の裏面側には、パチンコ機2の全体の制御を行う主制御基板34を収容した主制御基板ケース35と、演出表示装置7aの画像表示等演出の制御等を行う演出制御基板(図示せず)を収容した演出制御基板ケース36と、賞球の払出しを制御する払出制御基板(図示せず)を収容した払出制御基板ケース37と、電源基板(図示せず)を収容した電源基板ケース38と、が配置されている。この各制御基板ケースに収容された各制御基板によって遊技が実現される。更に、遊技盤6の裏面側には、パチンコ機2の遊技状態等の遊技情報を外部に出力するための外部出力端子板39が設けられている。
図示しない球発射装置により遊技球23が発射されると、遊技球23はレール飾り26の外レール26aに沿いつつ進行して遊技領域16内の上部に至る。その後、遊技球23は、複数の通過軌跡に沿って移動し、あるものはレール飾り26の外レール26aに沿って右側に移動し、あるものは遊技釘27に衝突しつつ遊技領域16内を下方に流下し、あるものは普通入賞口28に流入して一定数の賞球の払出契機となり、あるものはいずれの入球装置にも流入せずに遊技領域16内最下部に位置するアウト口30に流入してアウト球としてパチンコ機2の外部側へと排出される。
図柄変動遊技中に遊技球23が始動入賞口29に流入すると、その流入に起因して演出表示装置7aの第1装飾図柄7cが回転表示(第1の特別遊技の抽選)を開始し、その第1装飾図柄7cが所定の図柄(例えば、「7・7・7」。)で停止表示すれば、図柄変動遊技における大当り(第1の特別遊技。以下、図柄変動大当りという。)が発生する。そして、大入賞口31が開放して多量の入賞球を受け入れ、多量の賞球が球皿14へと払い出されるようになっている。
次いで、実施の形態1に係る主制御基板ユニットU1について、図3から図13に基づいて詳細に説明する。以下の説明における上下及び前後左右の方向は、遊技者からパチンコ機2を見た際の方向に基づいて定義しており、図中に適宜図示する。なお、本実施の形態1では、主制御基板ケース35を有する主制御基板ユニットU1について例示して説明するが、本発明に係る電子基板ユニットは、他の制御基板ケースを有して構成されていてもよい。
図3は、主制御基板ユニットU1の背面図であり、図4及び図5は、主制御基板ユニットU1の分解斜視図である。図4は、左後方から視認した状態の分解斜視図であり、図5は、右前方から視認した状態の分解斜視図である。主制御基板ユニットU1は、主制御基板34と、主制御基板34を内包する主制御基板ケース35と、情報部材としてのシール部材41と、第1係止部材としての保護カバー42と、を有して構成されている。
主制御基板ケース35は、遊技盤6の裏面側に着脱自在に固定される本体ケース(第1基板ケース)35aと、本体ケース35aに対して着脱自在に固定される蓋ケース(第2基板ケース)35bとの2つの基板ケースを有し、これら両者が協働して主制御基板34を内包するようになっている。主制御基板34は、蓋ケース35bの内面側に形成された開口部に固定されて、蓋ケース35bと本体ケース35aとが係合することにより、主制御基板ケース35の内部に収容されるようになっている。この収容された状態では、主制御基板34に対して外部から接触することはできない。
主制御基板34の表面(ここでいう表面は、前面側である場合と後面側である場合とを含む。)には、ROM、RAM、CPU等の電子デバイス、接続コネクタ等を含む電子部品34bが実装されている。主制御基板34の周囲には、固定部としての固定穴34aが形成されている。主制御基板34の後側から固定穴34aに固定ネジを挿入して、この固定ネジと蓋ケース35bのネジ穴とをネジ止めすることにより、主制御基板34が蓋ケース35b内に固定されるようになっている。
主制御基板ケース35の下側部には、本体ケース35aと蓋ケース35bとを互いに係合させるためのスライド係合部が設けられている。スライド係合部は、本体ケース35aの下側壁面に沿ったスライド軸部35dと、このスライド軸部35dに係止されるスライド軸受部35eとを有して構成される。スライド軸部35dは本体ケース35aに形成され、スライド軸受部35eは蓋ケース35bに形成されている。蓋ケース35bは本体ケース35aに対して左右方向にスライド移動可能に構成されており、蓋ケース35bを本体ケース35aに対してスライド移動することより、主制御基板ケース35の開口部を開放した開状態と閉鎖した閉状態とを実現する。
主制御基板ケース35の上側部には、痕跡残留部及び結合部材としての封止部が形成されている。封止部は、主制御基板ケース35の上側部において、本体ケース35aの左側壁面に対して突出して形成された本体カシメ部35fと、蓋ケース35bに連結部材35hを介して接続された蓋カシメ部35kと、本体カシメ部35fと蓋カシメ部35kとの間に収容可能な封止片35mと、からなる。
封止片35mは、「ロック」の文字が印字された表面が前方に位置する第一状態又は表面が後方に位置する第二状態で各カシメ部に収容される。本体カシメ部35f内に封止片35mを第一状態で配置して主制御基板ケース35を閉状態とすると、封止片35mは本体カシメ部35f及び蓋カシメ部35kと嵌合して、主制御基板ケース35の閉状態が保持される封止状態となる。一方、本体カシメ部35fに封止片35mを第二状態で配置して基板ケースを閉状態とすると、封止片35mは本体カシメ部35f及び蓋カシメ部35kと嵌合せず、主制御基板ケース35の閉状態は保持されない。
したがって、主制御基板ケース35を閉状態で封止する際には、いずれかの封止片35mを第一状態として各カシメ部に配置し、他の封止片35mを第二状態として各カシメ部に配置して、主制御基板ケース35を閉状態とする。これにより、主制御基板ケース35は、封止状態となる。
このような封止部によって主制御基板ケース35を封止することにより、封止状態を解除することは困難であり、主制御基板ケース35を開封するためには、第一状態の封止片35mを収容した蓋カシメ部35kと連結された連結部材35hを切断して、この蓋カシメ部35kを蓋ケース35bから切り離すことが必要である。したがって、主制御基板ケース35を開封した後は、連結部材35hを切断した痕跡が残り、主制御基板ケース35が不正に開放されたことを検出することができる。
しかし、連結部材35hを切断した痕跡は、主制御基板ケース35を視認しなければ検出できず、主制御基板ケース35が不正に開放されたことを早期に発見できないおそれがある。この対策として、本実施の形態1に係る主制御基板ユニットU1は、封止部と合わせて不正開放検出構造を備えている。
不正開放検出構造は、不正行為者による主制御基板ケース35の不正開放を予防し、また、万一不正に開放された際に、その不正開放の痕跡を残存させるためのものである。不正開放検出構造は、主制御基板ユニットU1の右側部に設けられており、本体ケース35aに貼付される情報部材としてのシール部材41と、シール部材41を覆う保護カバー42と、シール部材41が貼付される本体ケース35aと、保護カバー42と係止する蓋ケース35bと、から構成される。
シール部材41は、リーダによって読み取り可能な情報を有する情報部を含んでいる。図6は、シール部材41の表面及び裏面を模式的に示した図である。シール部材41は、長方形のシールであり、表面には識別情報としてのシリアル番号41aが印刷されている。シール部材41の裏面には、シリアル番号41a等個々の遊技機を特定するための情報を格納したRFタグとしてのICチップ(情報部)41bと、ICチップ41bの情報を電波によって送信するためのアンテナ部(情報部)41cと、が貼付されている。ICチップ41bは、シール部材41の略中央に配置されており、アンテナ部41cは対角線に沿って配置されている。
ICチップ41bに格納された情報は、アンテナ部41cが電波によって送信可能に構成されており、図示しないリーダを用いて情報を読み取ることが可能である。アンテナ部には、電波によって情報を送信するためのループを構成するためのスリットが設けられており、このスリットの近傍に切り欠き部41dが形成されている。切り欠き部41dが形成されていることにより、シール部材41が剥がされたりシール部材41に外部から力が加えられたりした際にアンテナ部41cが破損し、電波による情報送信が不可能な状態となる。
本体ケース35aには、シール部材41が貼付される貼付面35pが設けられている。貼付面35pは、本体ケース35aの右端部における後面と右側面とに跨っている。貼付面35pの左側方には、破壊部としての破壊爪部42bを収納するための破壊爪収納部35rが形成されており、貼付面35pには、破壊爪部42bの移動空間となるスリット部35nが左右方向に延びて形成されている。破壊爪収納部35r及びスリット部35nは、いずれも貼付面35pよりも凹んで形成されている。また、本体ケース35aの右側壁には、保護カバー42の上端と下端に設けられたガイド凸部42tが挿入され、保護カバー42の左右方向の移動に際してガイドとなるガイド凹部35sが形成されている。
保護カバー42は、シール部材41が貼付された状態の本体ケース35aに載置されるように構成されている。保護カバー42には、蓋ケース35bに形成された係止凹部35qに挿入する係止爪部42aと、破壊部としての破壊爪部42bと、ガイド凸部42tと、が設けられている。係止爪部42aは、後方に向かって突出形成されており、破壊爪部42bは、前方に向かって突出形成されている。ガイド凸部42tは、保護カバー42の上端と下端において前方に向かって突出形成されている。
なお、本体ケース35aの貼付面35pにシール部材41が貼り付けられていない状態では、本体ケース35aのガイド凹部35sと保護カバー42のガイド凸部42tとが整合した状態で保護カバー42と本体ケース35aとが左右方向に相対移動可能に構成されている。
保護カバー41が本体ケース35aに載置された状態において、本体ケース35aに対して蓋ケース35bを閉じる状態となることにより(主制御基板ケース35が開状態から閉状態となることにより)、係止爪部42aが係止凹部35qに係止して、保護カバー42が蓋ケース35bと共に移動するように構成されている。
開状態においてシール部材41が貼り付けられた状態の本体ケース35aに保護カバー42が載置されると、保護カバー42の破壊爪部42bは、貼付面35p及びシール部材41の左側方に形成された破壊爪収納部35r内に収納され、破壊爪部42bとシール部材41とは接しない。一方、蓋ケース35bが本体ケース35aに対して閉じた状態から開放した状態となる際(主制御基板ケース35が閉状態から開状態となる際)には、破壊爪部42bは蓋ケース35bと共に右方向に移動し、スリット部35n内を右方向に移動してシール部材41を破く。破壊爪部42bがシール部材41を破ることにより、リーダによるICチップ41bの情報の読み取りが実質的に不可能となる。
次いで、このように構成された主制御基板ユニットU1における不正開放検出態様について詳細に説明する。図7から図11は、主制御基板ユニットU1の不正開放検出構造を部分的に拡大して示しており、各図面における(a)は背面図であって、(b)は斜視図である。また、図12及び図13は、図10及び図11に図示する方向における断面図である。図12(a)は図10に示すA−A断面図であり、図12(b)は図10に示すB−B断面図である。図13(a)は図11に示すC−C断面図であり、図13(b)は図11に示すD−D断面図である。なお、図7から図11は、いずれも図示する方向は同様であり、図7のみ方向を示して他の図については方向を省略する。また、図10から図13においては、説明の便宜上、蓋ケース35bに関しては、保護カバーを覆う部分等、不正開放検出構造を構成する部分のみ示し、他の部分については省略して示す。
図7は、開状態の主制御基板ユニットU1を示しており、シール部材41を本体ケース35aに貼付する前の状態を示している。図7に示す状態において本体ケース35aの貼付面35pにシール部材41を貼り付けると、図8に示す状態となる。シール部材41を本体ケース35aに貼付した状態では、シール部材41によってスリット部35nが覆われている。しかし、スリット部35nは、貼付面35pより凹んでいるため、シール部材41とは接触しておらず、スリット部35nと対向する位置においてシール部材41は、本体ケース35aに対して浮いている。
図8に示す状態において保護カバー42を本体ケース35aに載置すると、図9に示す状態となる。保護カバー42は、シール部材41の後面を覆うように配置されており、破壊爪部42bは、破壊爪収納部35rに収納されている。そして、図9に示す状態において蓋ケース35bを左方向に移動すると、本体ケース35aと蓋ケース35bとによって主制御基板34を内包した閉状態となる。この閉状態では、内部に収容されたシール部材41、保護カバー42及び主制御基板34への外部からのアクセスは不可能である。
図10及び図12は、閉状態の主制御基板ユニットU1を示しており、閉状態では保護カバー42の係止爪部42aが蓋ケース35bの係止凹部35qに挿入しており、保護カバー42の破壊爪部42bは、破壊爪収納部35rに収容されている。この閉状態においては、破壊爪部42bとシール部材41とは接触していない。
閉状態となった後に、主制御基板ケース35を開放しようとして蓋ケース35bを右方向に移動すると、蓋ケース35bと保護カバー42とが共に右方向に移動して、図11及び図13に示す状態となる。保護カバー42が右方向に移動することにより、破壊爪部42bがシール部材41と接触しつつスリット部35n内を右方向に移動し、シール部材41が破壊爪部42bによって破かれる。したがって、リーダによるシール部材41のICチップ41bの情報の読み取りが実質的に不可能となる。
以上のように、実施の形態1に係る主制御基板ユニットU1によれば、主制御基板34への不正アクセスのために主制御基板ケース35を閉状態から開状態にしようとすると、シール部材41が破損又は破壊して、ICチップ41bの情報が読み取り不可能な状態となる。したがって、もし本体ケース35aと蓋ケース35bとが分離された場合は、シール部材41が破損又は破壊され、必ずその痕跡が残存するようになっている。更に、リーダを用いてICチップ41bの情報を読み取ることにより不正開放を検出することができるため、目視のみの検出と比較して、何人も不正に開放されたことを容易に検出することができる。
なお、本実施の形態1に係る主制御基板ユニットU1は、本体ケース35aと蓋ケース35bとがスライド移動することによって開状態と閉状態とを実現するように構成されているが、本体ケース35aと蓋ケース35bとがヒンジ部を介して揺動開閉するように構成されてもよい。次いで、変形例に係る主制御基板ユニットU2の不正開放検出構造について詳細に説明する。変形例に係る主制御基板ユニットU2は、ヒンジ部を介して蓋ケースと本体ケースとが揺動開閉するように構成されている。なお、実施の形態1と同様の構成については説明を省略する。
図14は、変形例に係る主制御基板ユニットU2の断面を模式的に示した図であり、図15は、図14に示す部分拡大図である。変形例に係る主制御基板ユニットU2は、本体ケース(第1基板ケース)135aの左側部に回転軸部135dが設けられ、蓋ケース135b(第2基板ケース)に回転軸部135dと係合する回転軸受部135eが設けられており、蓋ケース135bが本体ケース135aの回転軸部135dを中心に回転することにより、開状態及び閉状態とを実現するように構成されている。
主制御基板ユニットU2は、主制御基板134と、主制御基板134を内包する主制御基板ケース135と、情報部材としてのシール部材41と、第1係止部材としての保護カバー142と、主制御基板ケース135の係合状態を保持すると共に係合状態が解除された際の痕跡を残留させるカシメ部材(結合部材及び痕跡残留部材)143と、を有して構成されている。
不正開放検出構造は、主制御基板ユニットU2の左側部に設けられている。本体ケース135aには、シール部材41が貼付される貼付面135pが設けられている。貼付面135pは、本体ケース135aの左端部における後面と左側面とに跨っている。貼付面135pの左側方には、開状態において本体ケース135aに保護カバー142を装着するための空間が設けられている。
保護カバー142は、シール部材41が貼付された状態の本体ケース135aに載置されるように構成されている。保護カバー142には、蓋ケース135bに形成された係止凹部135qに挿入する係止爪部142aと、破壊部としての破壊爪部142bと、が設けられている。保護カバー142が本体ケース135aに載置された状態において、主制御基板ケース135が開状態から閉状態となることにより、係止爪部142aが係止凹部135qに係止して、保護カバー42と蓋ケース35bとが共に移動するように構成されている。
次いで、このように構成された主制御基板ユニットU2による不正開放検出態様について詳細に説明する。図14(a)は、開状態の主制御基板ユニットU2を示しており、シール部材41を本体ケース135aに貼付する前の状態を示している。(a)に示す状態において本体ケース135aの貼付面135pにシール部材41を貼り付けて、保護カバー142を装着すると(b)に示す状態となる。保護カバー142を本体ケース135aに装着する際は、シール部材41と破壊爪部142bとが接触しないように、シール部材41と破壊爪部142bとを離間させた状態で本体ケース135aに保護カバー142を装着する。
保護カバー142を装着した状態では、シール部材41は保護カバー142によって覆われており、破壊爪部142bは、シール部材41が配置された右側に向かって突出している。この状態において蓋ケース135bを時計回り方向(図示するX方向)に回転移動すると、(c)に示すように閉状態となる。この閉状態では、主制御基板ケース135内部に収容されたシール部材41、保護カバー142及び主制御基板134への外部からのアクセスは不可能である。
閉状態では保護カバー142の係止爪部142aが蓋ケース135bの係止凹部135qに挿入しており、保護カバー142の移動方向(閉状態から開状態となる際の移動方向)においてシール部材41と破壊爪部142bとが対向して配置されている。この閉状態においては、破壊爪部142bとシール部材41とは接触していない。
閉状態となった後に、主制御基板ケース135を開放しようとして蓋ケース135bを反時計回り方向(図示する−X方向)に移動すると、蓋ケース135bと保護カバー142とが共に回転移動して、(d)に示す状態となる。保護カバー42が反時計回り方向に移動することにより、破壊爪部142bがシール部材41と接触しつつ移動し、シール部材41が破壊爪部142bによって破損又は破壊される。したがって、リーダによるICチップ41bの情報の読み取りが実質的に不可能となる。
このように変形例に係る主制御基板ユニットU2によっても、主制御基板134への不正アクセスのために主制御基板ケース135を閉状態から開状態にしようとすると、シール部材41が破損又は破壊して、ICチップ41bの情報が読み取り不可能な状態となる。したがって、もし本体ケース135aと蓋ケース135bとが分離された場合は、シール部材41が破損又は破壊され、必ずその痕跡が残存するようになっている。更に、リーダを用いてICチップ41bの情報を読み取ることにより不正開放を検出することができるため、目視のみの検出と比較して、何人も不正に開放されたことを容易に検出することができる。
<実施の形態2>
本実施の形態1に係る主制御基板ユニットU1,U2は、第1係止部材としての保護カバーを開状態の本体ケースに装着することによって、閉状態から開状態となった際の痕跡を残すことができるように構成されているが、実施の形態2に係る主制御基板ユニットU3は、閉状態となった際に蓋ケースに第2係止部材を装着することによって、閉状態から開状態となった際の痕跡を残すことができるように構成されている。以下、図面に基づいて実施の形態2に係る主制御基板ユニットU3について説明する。なお、不正開放検出構造以外の構成については、実施の形態1と同様であり、同構成については同符号を用いて説明を省略する。
図16は、実施の形態2に係る主制御基板ユニットU3の不正開放検出構造を模式的に示した分解斜視図である。図17及び図18は、主制御基板ユニットU3の開閉態様を模式的に示した図である。図17は、背面図であり、図18は斜視図である。主制御基板ユニットU3は、主制御基板(図示せず)を内包する主制御基板ケース235と、情報部材としてのシール部材41と、第2係止部材としての破壊ネジ部材243と、を有して構成されている。
主制御基板ケース235は、協働して制御基板を内包する本体ケース235a及び蓋ケース235bを有して構成され、本体ケース235aには、シール部材41が貼付される貼付面235pが設けられている。貼付面235pは、本体ケース235aの右端部における後面と右側面とに跨って設けられている。貼付面235pの左側方は、段差部235sが形成されており、段差部235sより左方は貼付面235pより凹んでおり、破壊部としての破壊ネジ部材243が収納される。
また、貼付面235pには、破壊ネジ部材243の移動空間となるスリット部235nが左右方向に延びて形成されている。スリット部235nは、貼付面235pよりも凹んでいる。破壊ネジ部材243は、蓋ケース235bの後面に開口形成されたネジ穴部235gと螺合するように構成されている。破壊ネジ部材243とネジ穴部235gとが螺合することにより、破壊ネジ部材243は、蓋ケース235bに係止し、蓋ケース235bと共に移動される。
次いで、このように構成された主制御基板ユニットU3における不正開放検出態様について図17及び図18に基づいて説明する。(a)は、本体ケース235aにシール部材41を貼付する前の状態を示している。(a)に示す状態においてシール部材41を本体ケース235aの貼付面235pに貼り付けると、(b)に示す状態となる。シール部材41を本体ケース235aに貼り付けた状態では、シール部材41によってスリット部235nが覆われている。しかし、スリット部235nは、貼付面235pより凹んでいるため、シール部材41とは接触しておらず、スリット部235nと対向する位置においてシール部材41は、本体ケース235aと接触せずに本体ケ―ス35aに対して浮いている。
(b)に示す状態において蓋ケース235bをスライド移動すると(c)に示す状態となり、蓋ケース235bによって本体ケース235aが覆われる。次いで、破壊ネジ部材243を蓋ケース235bのネジ穴部235gに挿入して螺合すると、破壊ネジ部材243が蓋ケース235bに係止して閉状態となる。破壊ネジ部材243は、ワンウェイネジであり、蓋ケース235bと一旦螺合すると外れないように構成されている。
閉状態では、本体ケース235aと蓋ケース235bの内部に収容されたシール部材41、保護カバー42及び主制御基板へのアクセスが不可能である。図20(a)は、図18(d)に示すE−E断面図である。閉状態では、破壊ネジ部材243が貼付面235pの左方において蓋ケース235bに係止しており、破壊ネジ部材243とシール部材41とは接触していない。
閉状態となった後に、主制御基板ケース235を開放しようとして蓋ケース235bを右方向に移動すると、蓋ケース235bと破壊ネジ部材243とが共に右方向に移動して、(e)に示す状態となる。また、図20(b)は、図18(e)に示すF−F断面図である。蓋ケース235bが右方向に移動することにより、破壊ネジ部材243がシール部材41と接触しつつスリット部235n内を右方向に移動し、シール部材41が破壊ネジ部材243によって破損又は破壊される。したがって、リーダによるシール部材41の情報の読み取りが実質的に不可能となる。
以上のように、実施の形態2に係る主制御基板ユニットU3によっても、主制御基板34への不正アクセスのために主制御基板ケース235を閉状態から開状態にしようとすると、シール部材41のアンテナ部41cが破損又は破壊して、ICチップ41bの情報を読み取り不可能な状態となる。したがって、もし本体ケース235aと蓋ケース235bとが分離された場合は、シール部材41のアンテナ部41cが破損又は破壊され、必ずその痕跡が残存するようになっている。更に、リーダを用いてICチップ41bの情報を読み取ることにより不正開放を検出することができるため、目視のみの検出と比較して、何人も不正に開放されたことを容易に検出することができる。
<実施の形態3>
実施の形態3に係る主制御基板ユニットU4は、第1係止部材及び第2係止部材を備えず、蓋ケースに破壊部が設けられている。以下、図面に基づいて実施の形態3に係る主制御基板ユニットU4について説明する。なお、主制御基板ユニットU4は、不正開放検出構造以外は、実施の形態1と同様であり、同構成については同符号を用いて説明を省略する。
図20は、実施の形態3に係る主制御基板ユニットU4の不正開放検出構造を模式的に示した分解斜視図である。図21は、主制御基板ユニットU4の開閉態様を模式的に示しており、後述するスリット部の中心を通って前後左右に延びる面において切断した断面図である。主制御基板ユニットU3は、主制御基板(図示せず)を内包する主制御基板ケース335と、情報部材としてのシール部材41と、を有している。
主制御基板ケース335は、協働して主制御基板を内包する本体ケース335a及び蓋ケース335bを有して構成され、本体ケース335aには、シール部材41が貼付される貼付面335pが設けられ、蓋ケース335bには破壊部としての破壊爪部335cが形成されている。貼付面335pは、本体ケース335aの右端部における後面と右側面とに跨って設けられており、後面の貼付面335pの上端と下端には、後方に突出した傾斜リブ335dが形成されている。傾斜リブ335dは、左方に向かって高くなる傾斜面を有している。また、後面の貼付面335pには、破壊爪部335cの移動空間となるスリット部335nが形成されている。スリット部335nは、貼付面335pよりも凹んで形成されている。
蓋ケース335bの内側には、蓋ケース335bの後面と略平行に配置されたプレート部335eが設けられている。プレート部335eは、蓋ケース335bの右側面の内壁面に固定されており、右端部を中心に前後方向に湾曲可能(弾性変形可能)である。プレート部335eの左端部には、後方に突出した破壊爪部335cが3箇所設けられている。上端と下端に位置する破壊爪部335cは、傾斜リブ335dと当接するように設けられており、中央に位置する破壊爪部335cは、シール部材41と接触して、シール部材41を破壊するように構成されている。
次いで、このように構成された主制御基板ユニットU4における不正開放検出態様について説明する。図21(a)は、本体ケース335aにシール部材41を貼付した状態を示している。シール部材41を本体ケース335aに貼付した状態では、スリット部335nはシール部材41によって覆われている。しかし、スリット部335nは、貼付面335pよりも凹んでいるため、シール部材41とは接触しておらず、スリット部335nと対向する位置においてシール部材41は、本体ケース335aと接触せずに本体ケ―ス335aに対して浮いている。
(a)に示す状態において蓋ケース335bを左方向に移動すると、破壊爪部335cと傾斜リブ335dとが当接して(b)に示す状態となる。更に左方に蓋ケース335bを移動すると、(c)に示すように破壊爪部335cが傾斜リブ335dに沿って左方に移動する。傾斜リブ335dによって破壊爪部335cが押圧されるため、プレート部335e及び破壊爪部335cがシール部材41から離間するP方向にプレート部335eが弾性変形する。プレート部335eが弾性変形した状態で破壊爪部335cが傾斜リブ335dに沿って移動することにより、破壊爪部335cとシール部材41を接触させずに閉状態とすることができる。
蓋ケース335bの右側壁の内面と本体ケース335aの右側壁の外面とが当接するまで蓋ケース335bを左方向に移動した後((d)参照)、蓋ケース335bを下方向に移動することにより、上端と下端の破壊爪部335cが傾斜リブ335dの上方から側方に移動して、プレート部335eの弾性変形が解除される。プレート部335eの弾性変形が解除されることにより、破壊爪部335cがシール部材41に近づくようにQ方向に移動する。(e)は、プレート部335eの弾性変形が解除された状態であり、本体ケース335aと蓋ケース335bとによって主制御基板を内包した閉状態である。
閉状態となった後に、主制御基板ケース335を開放しようとして蓋ケース335bを右方向に移動すると破壊爪部335cは、シール部材41と接触しつつスリット部335n内を右方向に移動して、シール部材41が破壊爪部335cによって破損又は破壊される。したがって、リーダによるシール部材41の情報の読み取りが実質的に不可能となる。
以上のように実施の形態3に係る主制御基板ユニットU4によっても、主制御基板への不正アクセスのために主制御基板ケース335を閉状態から開状態にしようとすると、シール部材41が破損又は破壊して、ICチップ41bの情報が読み取り不可能な状態となる。したがって、もし本体ケース335aと蓋ケース335bとが分離された場合は、シール部材41が破損又は破壊され、必ずその痕跡が残存するようになっている。更に、リーダを用いてICチップ41bの情報を読み取ることにより不正開放を検出することができるため、目視のみの検出と比較して、何人も不正に開放されたことを容易に検出することができる。