JP5354399B2 - オゾン分解除去用触媒、その製造方法、およびオゾン分解除去方法 - Google Patents

オゾン分解除去用触媒、その製造方法、およびオゾン分解除去方法 Download PDF

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Description

本発明は、オゾン分解除去用触媒、その製造方法、およびオゾン分解除去方法に関する。
近年、光化学オキシダント濃度の1時間値の最大値が年々高くなる傾向にあり、特に東京や名古屋などの都市部においては、光化学オキシダント濃度が環境基準値(1時間値が0.06ppm以下)を満たしていない。
前記光化学オキシダントは、工場や自動車から排出される窒素酸化物と炭化水素類とが太陽の紫外線照射の下で反応して生成するオゾンを主成分とする酸化力の強い汚染物質である。オゾンは物質の酸化劣化を引き起こすだけでなく、人体に対しても悪影響を及ぼすものであり、熱分解法や活性炭法、触媒法など、従来から様々なオゾン分解方法が提案されている。
前記触媒法に用いられるオゾン分解用触媒としては、MnO、Co、NiO、Fe、AgO、Cr、CeO、V、CuO、MoOなどが知られており、これらのうち、MnOが最も高い活性を示すことが知られている(Applied Catalysis B,Environmental,11(1997),129−166(非特許文献1))。また、オゾンから酸素を生成させる反応における触媒としてクリプトメレン(cryptomelane)形態のα−MnOが好ましいことが知られている(特表2003−527951号公報(特許文献1))。
また、特表2000−515063号公報(特許文献2)には、自動車のラジエーターなどの熱交換器の外面(好ましくはその一部)を、卑金属、貴金属、それらの化合物、またはそれらの組み合わせからなる触媒組成物で被覆し、炭化水素、オゾン、一酸化炭素などの汚染物を無害な化合物に転化させる方法が開示されており、前記触媒組成物の被覆方法として蒸着メッキによる方法が例示されている。
特表2003−527951号公報 特表2000−515063号公報
Applied Catalysis B,Environmental,11(1997),129−166
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、MnO、Co、CuO、NiOなどの従来の金属酸化物触媒や表面に卑金属などが蒸着メッキされた触媒能を有する熱交換器に代えて、効率よくオゾンを分解除去することが可能な新たなオゾン分解除去用触媒を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、支持体とこの支持体の表面に無電解メッキによりコーティングされたCu、Co、Niなどの金属とを含む触媒がオゾン分解除去性能を示し、且つMnO、Co、CuO、NiOなどの従来の金属酸化物触媒や表面に卑金属などが蒸着メッキされた触媒に比べてそのオゾン分解除去性能が優れていることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のオゾン分解除去用触媒は、アルミニウム製熱交換器である支持体と、前記支持体の表面に無電解メッキによりコーティングされたCo、CuおよびNiからなる群から選択される1種の触媒成分を含有することを特徴とするものである。
前記支持体は貴金属コロイド粒子により活性化されていることが好ましい。
このようなオゾン分解除去用触媒に、オゾンを含む気体を接触せしめることにより前記オゾンを効率的に分解除去することが可能となる。
また、本発明のオゾン分解除去用触媒の製造方法は、アルミニウム製熱交換器である支持体の表面に、Co、CuおよびNiからなる群から選択される1種の触媒成分を無電解メッキによりコーティングすることを特徴とするものである。
本発明のオゾン分解除去用触媒の製造方法においては、前記無電解メッキ処理を施す前に、前記支持体の表面を貴金属コロイド粒子により活性化させることが好ましい。
本発明によれば、オゾンを分解除去する際に人体や環境により安全なオゾン分解除去用触媒を提供することができ、また、このオゾン分解除去用触媒によりさらに効率よくオゾンを分解除去することが可能となる。
本発明にかかる金属の析出曲線および水素の発生電位曲線を示すグラフである。 実施例および比較例で使用したオゾン分解除去性能評価装置を示す模式図である。 参考例1〜4で得られたオゾン分解用触媒のオゾン分解除去性能の評価結果を示すグラフである。 参考例5〜8で得られたオゾン分解用触媒のオゾン分解除去性能の評価結果を示すグラフである。 参考例9〜12で得られたオゾン分解用触媒のオゾン分解除去性能の評価結果を示すグラフである。 実施例1〜2および比較例8で得られたオゾン分解用触媒のオゾン分解除去性能の評価結果を示すグラフである。 比較例1、2、4および6で得られたオゾン分解用触媒のオゾン分解除去性能の評価結果を示すグラフである。 比較例3、5および7で得られたオゾン分解用触媒のオゾン分解除去性能の評価結果を示すグラフである。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
先ず、本発明のオゾン分解除去用触媒ついて説明する。本発明のオゾン分解除去用触媒は、支持体と、この支持体の表面に無電解メッキによりコーティングされたCo、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Fe、Ru、OsおよびSnからなる群から選択される少なくとも1種の金属、該金属の合金ならびに該金属と他の金属との合金からなる群から選択される少なくとも1種の触媒成分とを含有することを特徴とするものである。
このような触媒はオゾン分解に対する触媒作用に優れているため、オゾンを含む気体を効率的に分解することができ、高いオゾン除去性能を示すとともに、その性能も長期間にわたって安定して持続することが可能である。
前記触媒成分を構成する金属は、図1に示すように、電位−pH線図におけるその金属固有の析出曲線が水素の発生電位曲線の近傍またはそれ以上の電位に位置するメタル状のものであり、これらの金属は、無電解メッキ処理において還元剤により金属イオンを還元する際に水素の発生反応が少なくとも前記金属の析出より優位に起こることがなく、還元剤の酸化還元電位と金属の還元電位との差により効率的に析出するものである。したがって、これらの金属の中でもPt、Ag、Au、Cu、Co、Niが好ましい。なお、ZnやCr(図示なし)は、析出曲線が水素の発生電位より低いため、無電解メッキ処理においてこれら金属イオンを還元剤により還元する際に金属の析出より水素の発生反応が優位に起こり、これらの金属を析出させることは困難であると考えられる。
本発明において、前記触媒成分を構成する金属は1種単独で用いてもよいが、2種以上を組み合わせて使用してもよい。2種以上の前記金属を組み合わせる場合、前記金属2種以上の合金を形成してもよいし、金属間の電位差を利用して前記金属からなる膜を積層した多層膜を形成してもよい。また、前記金属は他の金属と組み合わせて使用することもできる。この場合、前記金属と他の金属との合金を形成してもよいし、金属間の電位差を利用して前記金属からなる膜と他の金属からなる膜とを積層した多層膜を形成してもよい。他の金属としてはPb、Cd、W、Moなどが挙げられる。さらに、触媒活性をより高めるために、これらの金属に熱処理を施してもよい。
本発明に用いられる支持体は有機材料および/または無機材料からなる担体であり、その形状は特に制限されないが、フォーム状、モノリス状、ハニカム状またはコルゲート状などの通気性を有する形状であることが好ましい。前記有機材料および無機材料からなる担体は特に限定されず、従来公知のオゾン分解触媒に用いられる担体が挙げられ、より具体的には、ウレタンフォーム、セラミックフォーム、セラミックハニカム担体などが挙げられる。また、本発明においては、支持体として自動車のラジエータ、エバポレータ、ヒータコアなどのアルミニウム製熱交換器を用いることも可能である。
また、本発明においては、支持体として前記担体や熱交換器の表面に貴金属コロイド粒子を付着させて活性化したものを用いることが好ましい。これにより、付着した貴金属コロイド粒子を核にして無電解メッキが速やかに開始し、均一且つ密着性に優れたコーティング膜を形成することが可能となる。前記貴金属コロイド粒子としては、Pt、Ru、Rh、Pd、Ag、Au、Osなどの貴金属のコロイド粒子が挙げられる。また、支持体としてアルミニウム製熱交換器を用いる場合には、熱交換器の表面に熱水または熱水蒸気中でベーマイト処理を施して熱交換器の表面積を増大させることが好ましい。
次に、本発明のオゾン分解除去用触媒の製造方法について説明する。本発明のオゾン分解除去用触媒の製造方法においては、先ず、必要に応じて、前記支持体の表面に貴金属コロイド粒子を付着させて活性化させる。この貴金属コロイド粒子は、後述する無電解メッキ処理において前記金属を析出させる触媒(トリガー)として作用するものである。このような観点から、前記貴金属コロイド粒子のうち、Pt、Ru、Rh、Pd、Auが好ましい。また、このような貴金属コロイド粒子の平均粒子径は50nm以下であることが好ましい。このような平均粒子径の貴金属コロイド粒子は比表面積が大きく、トリガーとして十分に作用する傾向にある。
貴金属コロイド粒子を支持体の表面に付着させる方法としては、例えば、界面活性剤で被覆されて安定化した貴金属コロイド粒子を含むコロイド溶液に支持体を浸漬し、必要に応じて洗浄および乾燥してこの貴金属コロイド粒子を吸着させる方法や、前記貴金属コロイド粒子を含むコロイド溶液を支持体に噴霧し、必要に応じて洗浄および乾燥してこの貴金属コロイド粒子を吸着させる方法などが挙げられる。
前記界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩などの公知のカチオン系界面活性剤、アルキルアンモニウム塩などの公知のアニオン系界面活性剤、およびポリオキシエチレンアルキルエーテルなどの公知のノニオン系界面活性剤が挙げられる。
前記コロイド溶液の調製方法は特に限定されないが、例えば、前記貴金属の塩を溶媒に溶解して貴金属溶液を調製し、これに前記界面活性剤と還元剤とを添加して、界面活性剤で被覆された貴金属コロイド粒子を析出させることによりコロイド溶液を調製することができる。前記溶媒としては、前記貴金属の塩を溶解するものであれば特に限定されないが、貴金属塩の溶解度が大きく、安全性が高く、安価であるという観点から水が好ましい。また、水以外の溶媒としては、メタノール、エタノール、アセトンなどの有機溶媒も使用可能であり、水と有機溶媒とを任意の割合で混合した混合溶媒も使用することができる。
また、前記貴金属の塩の種類は特に限定されないが、前記溶媒への溶解性が高く、安価であるという観点から硫酸塩、硝酸塩、塩化物などが好ましい。また、還元剤も特に限定されないが、水素化ホウ素ナトリウム等の水素化合物、次亜リン酸化合物等のリン化合物、硫化ナトリウム等のイオウ化合物、水和ヒドラジン等のヒドラジン誘導体、ホルムアルデヒド等のアルデヒド類といった従来公知の還元剤を使用することができる。前記貴金属溶液中の貴金属塩の濃度は0.01〜2g/Lであることが好ましく、界面活性剤の濃度は0.05〜1g/Lであることが好ましく、還元剤の濃度は0.01〜1g/Lであることが好ましい。
また、本発明においては、支持体を、例えば塩化すず水溶液に浸漬し、水洗した後、塩化パラジウム水溶液に浸漬することにより、前記支持体にPdコロイド粒子を付着させることも可能である。
貴金属コロイド粒子の付着量は、コロイド溶液中の貴金属塩の濃度などを調整することにより適宜調整することができるが、過剰量の貴金属コロイド粒子が付着すると無電解メッキ処理において過剰なメッキ反応が起こり、先に支持体の外面が無電解メッキされるため、支持体の凹凸部の内部まで無電解メッキされず、金属コーティング膜の密着力が低下する傾向にある。なお、貴金属コロイドの付着量は、重量変化を測定できない程度の極微量である。
次に、前記支持体(好ましくは貴金属コロイド粒子により活性化されたもの)の表面に前記触媒成分を無電解メッキによりコーティングする。コーティング方法としては、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Fe、Ru、OsおよびSnからなる群から選択される少なくとも1種の金属の塩と還元剤とを含有するメッキ溶液に前記支持体を浸漬し、必要に応じて洗浄および乾燥する方法が挙げられる。これにより、前記金属、前記金属2種以上からなる合金、前記金属と他の金属との合金、またはこれらの組み合わせなどからなるコーティング膜(混合膜や多層膜を含む)が支持体表面に形成され、このコーティング膜がオゾン分解除去性能を示す触媒成分として作用する。
前記メッキ溶液に用いられる溶媒としては、前記金属の塩を溶解するものであれば特に限定されないが、金属塩の溶解度が大きく、安全性が高く、安価であるという観点から水が好ましい。また、水以外の溶媒としては、メタノール、エタノール、アセトンなどの有機溶媒も使用可能であり、水と有機溶媒とを任意の割合で混合した混合溶媒を使用することもできる。
前記金属の塩の種類は特に限定されないが、前記溶媒への溶解性が高く、安価であるという観点から硫酸塩、硝酸塩、塩化物などが好ましい。また、還元剤も特に限定されないが、水素化ホウ素ナトリウム等の水素化合物、次亜リン酸化合物等のリン化合物、硫化ナトリウム等のイオウ化合物、水和ヒドラジン等のヒドラジン誘導体、ホルムアルデヒド等のアルデヒド類といった従来公知の還元剤を使用することができる。
本発明に用いられるメッキ溶液中の金属塩の濃度は5〜150g/Lであることが好ましく、還元剤の濃度は1〜100g/Lであることが好ましい。また、このメッキ溶液には、必要に応じてpH調整剤、緩衝剤、錯化剤、促進剤、安定剤、改良剤などの各種添加剤をさらに配合することも可能である。これらの添加剤の配合量は特に制限されないが、一般的に50g/L以下であることが好ましい。
本発明において無電解メッキ処理の条件としては、浸漬温度が20〜90℃であることが好ましい。浸漬温度が上記下限未満になるとメッキ反応の制御が困難となり、膜厚の制御が困難となる傾向にあり、他方、上記上限を超えるとメッキ反応が速くなり過ぎる傾向にある。ただし、メッキ反応が速くなり過ぎた場合には浸漬温度を低下させることによりメッキ反応を停止させることにより対応することは可能である。また、浸漬時間は5分間〜6時間が好ましく、10分間〜3時間がより好ましく、15分間〜60分間が特に好ましいが、コーティングする金属の種類に応じて適宜調整することができる。この浸漬時間を調整することにより触媒成分の担持量を調整することが可能となる。
このようにしてコーティングされた触媒成分の担持量は支持体1L当たり0.1〜50gであることが好ましい。触媒成分の担持量が上記下限未満になると触媒成分の担持効果が十分に発揮されない、すなわちオゾン分解除去性能が低くなる傾向にある。他方、上記上限を超えると触媒成分が粒成長してオゾン分解除去性能が低下する傾向にある。
また、本発明においては、上記方法により製造されたオゾン分解除去用触媒に洗浄処理を施して触媒表面に残留した金属塩や還元剤などの不純物を除去することが好ましい。この洗浄処理の方法は特に限定されないが、例えば、本発明のオゾン分解除去用触媒を前記不純物を溶解可能な溶媒中に分散させた後、20℃から溶媒の常圧沸点の間の温度で0.5〜3時間程度撹拌することが好ましい。このような洗浄用の溶媒としては、前記金属塩や還元剤などを溶解するものであれば特に制限されないが、金属塩の溶解度が大きく、安全性が高く、安価であるという観点から水が好ましい。また、水以外の溶媒としては、メタノール、エタノール、アセトンなどの有機溶媒も使用可能であり、水と有機溶媒とを任意の割合で混合した混合溶媒を使用することもできる。さらに、溶媒の温度が高いほど金属塩や還元剤などの化学物質の溶媒に対する溶解度が大きくなるため、洗浄する際の溶媒の温度は上記範囲内で高い方が好ましい。用いる攪拌機は特に制限されないが、マグネットスターラー、プロペラ攪拌機、ヘンシェルミキサー、超音波洗浄機などが挙げられる。
本発明のオゾン分解除去用触媒中の前記触媒成分は、無電解メッキにより形成された層であるため、支持体にナノオーダーのアンカー効果により担持され、支持体に対する密着性に優れている。また、本発明においては、無機系または有機系バインダーを用いずに支持体表面に触媒成分をコーティングしているため、耐水性に優れたオゾン分解除去用触媒を得ることができる。さらに、前記触媒成分からなる層は、熱伝導率の高い金属により形成され、且つ無電解メッキにより形成されたものであるためその厚みが数μmと非常に薄いことから、放熱性能に優れている。
次に、本発明のオゾン分解除去方法について説明する。本発明のオゾン分解除去方法は、前記本発明のオゾン分解除去用触媒にオゾンを含む気体を接触せしめてオゾンを分解除去することを特徴とするものである。前記気体としては、オゾンを含む空気などが挙げられる。前記オゾン分解除去用触媒とオゾンを含む気体との接触方法としてはバッチ式や、オゾン分解除去用触媒の固定床にオゾンを含む気体を流通させて接触させる方法などが挙げられる。また、操作条件は適宜設定することができるが、接触温度はオゾンを効率よく分解除去できる観点から室温〜200℃が好ましく、50〜200℃が好ましい。
以下、実施例および比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(参考例1)
<無電解メッキによるCoコーティング>
塩化パラジウム(II)162mgを1Lのイオン交換水に溶解した。この水溶液に攪拌しながら1質量%のステアリルトリメチルアンモニウムクロライド水溶液10mlを加え、さらに0.15質量%の水素化ホウ素ナトリウム水溶液50mlを加えてパラジウムコロイド溶液を調製した。このパラジウムコロイド溶液1Lに支持体としてコージェライト製ハニカム担体(日本碍子(株)製、六角セル、400セル/inch、寸法:直径30mm×厚み20mm)を1時間浸漬した後、引き上げ、水洗および乾燥を施して、パラジウムコロイド粒子を表面に吸着させて活性化したハニカム担体を得た。
次に、水1Lに硫酸コバルト(II)七水和物22.5gと次亜リン酸ナトリウム一水和物21.2gと酒石酸ナトリウム二水和物115gとホウ酸30.9gとを添加して溶解し、次いで3.3モル/Lの水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを9に調整してコバルト化学メッキ液を調製した。このコバルト化学メッキ液に前記活性化ハニカム担体を90℃で5分間浸漬した後、引き上げ、イオン交換水で十分に水洗した。その後、105℃で1時間乾燥して無電解Coメッキされたハニカム触媒を得た。この無電解Coメッキハニカム触媒におけるCoコーティング量はハニカム担体1L当たり1.5gであった。
<オゾン分解除去性能評価>
オゾン分解除去用触媒として前記無電解Coメッキハニカム触媒を用いてオゾン分解除去性能評価試験を実施した。図2に示すオゾン分解除去性能評価装置の触媒床1(内径30mm)に前記無電解Coメッキハニカム触媒(直径30mm×厚み20mm)を設置した。この触媒床1に500体積ppmのオゾンと20体積%の酸素とを含む混合気体(残りは窒素)を入ガス温度が約40℃、約50℃または約100℃、流量が10L/分の条件で供給し、触媒床通過前後の混合気体中のオゾン濃度を測定してオゾン分解除去率を算出した。その結果を図3に示す。
(参考例2)
コバルト化学メッキ液に浸漬する時間を15分間に変更した以外は参考例1と同様にして、前記活性化したコージェライト製ハニカム担体に無電解メッキを施し、無電解Coメッキハニカム触媒を得た。この無電解Coメッキハニカム触媒におけるCoコーティング量はハニカム担体1L当たり11.9gであった。
オゾン分解除去用触媒としてこの無電解Coメッキハニカム触媒を用いた以外は参考例1と同様にしてオゾン分解除去率を算出した。その結果を図3に示す。
(参考例3)
コバルト化学メッキ液に浸漬する時間を30分間に変更した以外は参考例1と同様にして、前記活性化したコージェライト製ハニカム担体に無電解メッキを施し、無電解Coメッキハニカム触媒を得た。この無電解Coメッキハニカム触媒におけるCoコーティング量はハニカム担体1L当たり25.4gであった。
オゾン分解除去用触媒としてこの無電解Coメッキハニカム触媒を用いた以外は参考例1と同様にしてオゾン分解除去率を算出した。その結果を図3に示す。
(参考例4)
コバルト化学メッキ液に浸漬する時間を60分間に変更した以外は参考例1と同様にして、前記活性化したコージェライト製ハニカム担体に無電解メッキを施し、無電解Coメッキハニカム触媒を得た。この無電解Coメッキハニカム触媒におけるCoコーティング量はハニカム担体1L当たり35.1gであった。
オゾン分解除去用触媒としてこの無電解Coメッキハニカム触媒を用いた以外は参考例1と同様にしてオゾン分解除去率を算出した。その結果を図3に示す。
(比較例1)
<ウォッシュコート法によるAlの担持>
水1Lにアルミナ粉末(粒子径106μm)400gとバインダーとしてのアルミナゾル(50質量%Al)90gとを懸濁してスラリーを調製した。このスラリーを用いてウォッシュコート法によりコージェライト製ハニカム担体(日本碍子(株)製、六角セル、400セル/inch、寸法:直径30mm×厚み20mm)にアルミナ粉末を担持させ、Al担持ハニカム触媒を得た。このAl担持ハニカム触媒におけるAlの担持量はハニカム担体1L当たり100gであった。
<オゾン分解除去性能評価>
オゾン分解除去用触媒として無電解Coメッキハニカム触媒の代わりにこのAl担持ハニカム触媒を用いた以外は参考例1と同様にしてオゾン分解除去率を算出した。その結果を図7に示す。
(比較例2)
<ウォッシュコート法によるCoの担持>
水1Lに四酸化三コバルト粉末(粒子径45μm)400gとバインダーとしてのアルミナゾル(50質量%Al)90gとを懸濁してスラリーを調製した。このスラリーを用いた以外は比較例1と同様にしてコージェライト製ハニカム担体に四酸化三コバルト粉末を担持させ、Co担持ハニカム触媒を得た。このCo担持ハニカム触媒におけるCoの担持量はハニカム担体1L当たり94.5gであった。
<オゾン分解除去性能評価>
オゾン分解除去用触媒として無電解Coメッキハニカム触媒の代わりにこのCo担持ハニカム触媒を用いた以外は参考例1と同様にしてオゾン分解除去率を算出した。その結果を図7に示す。
(比較例3)
<真空蒸着法によるCoコーティング>
Coをターゲットとして真空蒸着法によりコージェライト製ハニカム担体(日本碍子(株)製、六角セル、400セル/inch、寸法:直径30mm×厚み20mm)にメタル状のCo成分を担持させ、蒸着Coメッキハニカム触媒を得た。この蒸着Coメッキハニカム触媒におけるCo担持量はハニカム担体1L当たり1.6gであった。
<オゾン分解除去性能評価>
オゾン分解除去用触媒として無電解Coメッキハニカム触媒の代わりにこの蒸着Coメッキハニカム触媒を用いた以外は参考例1と同様にしてオゾン分解除去率を算出した。その結果を図8に示す。
図3、図7および図8に示した結果から明らかなように、Coを無電解メッキによりコーティングした本発明のオゾン分解除去用触媒を用いた場合(参考例1〜4)には、従来の金属酸化物触媒を用いた場合(比較例1〜2)およびCoを蒸着メッキによりコーティングした場合(比較例3)に比べて非常に高いオゾン分解除去率を達成できることが確認された。
(参考例5)
<無電解メッキによるCuコーティング>
水1Lに硫酸銅(II)五水和物30.0gとホルマリン69.0gと酒石酸ナトリウムカリウム四水和物141.1gと水酸化ナトリウム40gと炭酸ナトリウム25.4gとエチレンジアミン四酢酸(EDTA)16.7gとを添加して溶解し、銅化学メッキ液を調製した。
コバルト化学メッキ液の代わりにこの銅化学メッキ液を用い、室温(27℃)で5分間浸漬した以外は参考例1と同様にして、前記活性化したコージェライト製ハニカム担体に無電解メッキを施し、無電解Cuメッキハニカム触媒を得た。この無電解Cuメッキハニカム触媒におけるCuコーティング量はハニカム担体1L当たり21.4gであった。
<オゾン分解除去性能評価>
オゾン分解除去用触媒として無電解Coメッキハニカム触媒の代わりにこの無電解Cuメッキハニカム触媒を用いた以外は参考例1と同様にしてオゾン分解除去率を算出した。その結果を図4に示す。
(参考例6)
銅化学メッキ液に浸漬する時間を10分間に変更した以外は参考例5と同様にして、前記活性化したコージェライト製ハニカム担体に無電解メッキを施し、無電解Cuメッキハニカム触媒を得た。この無電解Cuメッキハニカム触媒におけるCuコーティング量はハニカム担体1L当たり31.8gであった。
オゾン分解除去用触媒としてこの無電解Cuメッキハニカム触媒を用いた以外は参考例1と同様にしてオゾン分解除去率を算出した。その結果を図4に示す。
(参考例7)
銅化学メッキ液に浸漬する時間を15分間に変更した以外は参考例5と同様にして、前記活性化したコージェライト製ハニカム担体に無電解メッキを施し、無電解Cuメッキハニカム触媒を得た。この無電解Cuメッキハニカム触媒におけるCuコーティング量はハニカム担体1L当たり41.3gであった。
オゾン分解除去用触媒としてこの無電解Cuメッキハニカム触媒を用いた以外は参考例1と同様にしてオゾン分解除去率を算出した。その結果を図4に示す。
(参考例8)
銅化学メッキ液に浸漬する時間を30分間に変更した以外は参考例5と同様にして、前記活性化したコージェライト製ハニカム担体に無電解メッキを施し、無電解Cuメッキハニカム触媒を得た。この無電解Cuメッキハニカム触媒におけるCuコーティング量はハニカム担体1L当たり36.1gであった。
オゾン分解除去用触媒としてこの無電解Cuメッキハニカム触媒を用いた以外は参考例1と同様にしてオゾン分解除去率を算出した。その結果を図4に示す。
(比較例4)
<ウォッシュコート法によるCuOの担持>
水1Lに酸化銅(II)粉末(粒子径45μm)400gとバインダーとしてのアルミナゾル(50質量%Al)90gとを懸濁してスラリーを調製した。このスラリーを用いた以外は比較例1と同様にしてコージェライト製ハニカム担体に酸化銅(II)粉末を担持させ、CuO担持ハニカム触媒を得た。このCuO担持ハニカム触媒におけるCuOの担持量はハニカム担体1L当たり103gであった。
<オゾン分解除去性能評価>
オゾン分解除去用触媒として無電解Coメッキハニカム触媒の代わりにこのCuO担持ハニカム触媒を用いた以外は参考例1と同様にしてオゾン分解除去率を算出した。その結果を図7に示す。
(比較例5)
<真空蒸着法によるCuコーティング>
Coターゲットの代わりにCuターゲットを用いた以外は比較例3と同様にしてコージェライト製ハニカム担体にメタル状のCu成分を担持させ、蒸着Cuメッキハニカム触媒を得た。この蒸着Cuメッキハニカム触媒におけるCu担持量はハニカム担体1L当たり1.3gであった。
<オゾン分解除去性能評価>
オゾン分解除去用触媒として無電解Coメッキハニカム触媒の代わりにこの蒸着Cuメッキハニカム触媒を用いた以外は参考例1と同様にしてオゾン分解除去率を算出した。その結果を図8に示す。
図4、図7および図8に示した結果から明らかなように、Cuを無電解メッキによりコーティングした本発明のオゾン分解除去用触媒を用いた場合(参考例5〜8)には、従来の金属酸化物触媒を用いた場合(比較例1、4)およびCuを蒸着メッキによりコーティングした場合(比較例5)に比べて非常に高いオゾン分解除去率を達成できることが確認された。
(参考例9)
<無電解メッキによるNiコーティング>
水1Lに硫酸ニッケル六水和物59.4gと次亜リン酸ナトリウム一水和物12.1gと酢酸ナトリウム7.0gとクエン酸ナトリウム二水和物11.4gとを添加して溶解し、ニッケル化学メッキ液を調製した。
コバルト化学メッキ液の代わりにこのニッケル化学メッキ液を用い、85℃で15分間浸漬した以外は参考例1と同様にして、前記活性化したコージェライト製ハニカム担体に無電解メッキを施し、無電解Niメッキハニカム触媒を得た。この無電解Niメッキハニカム触媒におけるNiコーティング量はハニカム担体1L当たり14.2gであった。
<オゾン分解除去性能評価>
オゾン分解除去用触媒として無電解Coメッキハニカム触媒の代わりにこの無電解Niメッキハニカム触媒を用いた以外は参考例1と同様にしてオゾン分解除去率を算出した。その結果を図5に示す。
(参考例10)
ニッケル化学メッキ液に浸漬する時間を30分間に変更した以外は参考例9と同様にして、前記活性化したコージェライト製ハニカム担体に無電解メッキを施し、無電解Niメッキハニカム触媒を得た。この無電解Niメッキハニカム触媒におけるNiコーティング量はハニカム担体1L当たり22.7gであった。
オゾン分解除去用触媒としてこの無電解Niメッキハニカム触媒を用いた以外は参考例1と同様にしてオゾン分解除去率を算出した。その結果を図5に示す。
(参考例11)
ニッケル化学メッキ液に浸漬する時間を45分間に変更した以外は参考例9と同様にして、前記活性化したコージェライト製ハニカム担体に無電解メッキを施し、無電解Niメッキハニカム触媒を得た。この無電解Niメッキハニカム触媒におけるNiコーティング量はハニカム担体1L当たり19.1gであった。
オゾン分解除去用触媒としてこの無電解Niメッキハニカム触媒を用いた以外は参考例1と同様にしてオゾン分解除去率を算出した。その結果を図5に示す。
(参考例12)
ニッケル化学メッキ液に浸漬する時間を60分間に変更した以外は参考例9と同様にして、前記活性化したコージェライト製ハニカム担体に無電解メッキを施し、無電解Niメッキハニカム触媒を得た。この無電解Niメッキハニカム触媒におけるNiコーティング量はハニカム担体1L当たり17.0gであった。
オゾン分解除去用触媒としてこの無電解Niメッキハニカム触媒を用いた以外は参考例1と同様にしてオゾン分解除去率を算出した。その結果を図5に示す。
(比較例6)
<ウォッシュコート法によるNiOの担持>
水1Lに酸化ニッケル粉末(粒子径45μm)400gとバインダーとしてのアルミナゾル(50質量%Al)90gとを懸濁してスラリーを調製した。このスラリーを用いた以外は比較例1と同様にしてコージェライト製ハニカム担体に酸化ニッケル粉末を担持させ、NiO担持ハニカム触媒を得た。このNiO担持ハニカム触媒におけるNiOの担持量はハニカム担体1L当たり100gであった。
<オゾン分解除去性能評価>
オゾン分解除去用触媒として無電解Coメッキハニカム触媒の代わりにこのNiO担持ハニカム触媒を用いた以外は参考例1と同様にしてオゾン分解除去率を算出した。その結果を図7に示す。
(比較例7)
<真空蒸着法によるNiコーティング>
Coターゲットの代わりにNiターゲットを用いた以外は比較例3と同様にしてコージェライト製ハニカム担体にメタル状のNi成分を担持させ、蒸着Niメッキハニカム触媒を得た。この蒸着Niメッキハニカム触媒におけるNi担持量はハニカム担体1L当たり1.7gであった。
<オゾン分解除去性能評価>
オゾン分解除去用触媒として無電解Coメッキハニカム触媒の代わりにこの蒸着Niメッキハニカム触媒を用いた以外は参考例1と同様にしてオゾン分解除去率を算出した。その結果を図8に示す。
図5、図7および図8に示した結果から明らかなように、Niを無電解メッキによりコーティングした本発明のオゾン分解除去用触媒を用いた場合(参考例9〜12)には、従来の金属酸化物触媒を用いた場合(比較例1、6)およびNiを蒸着メッキによりコーティングした場合(比較例7)に比べて非常に高いオゾン分解除去率を達成できることが確認された。
(実施例1)
<無電解メッキによるCoコーティング>
支持体としてコージェライト製ハニカム担体の代わりに沸騰水中でベーマイト処理を施したアルミニウム製ラジエータフィン(熱交換器、直径30mm×厚み20mmに切り出したもの)を用いた以外は参考例1と同様にして、パラジウムコロイド粒子を表面に吸着させて活性化したアルミニウム製ラジエータフィンを得た。
支持体として活性化したハニカム担体の代わりにこの活性化したラジエータフィンを用いた以外は参考例3と同様にして、前記活性化ラジエータフィンに無電解メッキを施し、無電解Coメッキラジエータフィン触媒を得た。この無電解Coメッキラジエータフィン触媒におけるCoコーティング量はラジエータフィン1L当たり15.6gであった。
<オゾン分解除去性能評価>
オゾン分解除去用触媒として無電解Coメッキハニカム触媒の代わりにこの無電解Coメッキラジエータフィン触媒を用いた以外は参考例1と同様にしてオゾン分解除去率を算出した。その結果を図6に示す。
(実施例2)
<無電解メッキによるCuコーティング>
支持体として活性化したハニカム担体の代わりに実施例1と同様にして活性化したアルミニウム製ラジエータフィンを用いた以外は参考例7と同様にして、前記活性化ラジエータフィンに無電解メッキを施し、無電解Cuメッキラジエータフィン触媒を得た。この無電解Cuメッキラジエータフィン触媒におけるCuコーティング量はラジエータフィン1L当たり37.6gであった。
<オゾン分解除去性能評価>
オゾン分解除去用触媒として無電解Coメッキハニカム触媒の代わりにこの無電解Cuメッキラジエータフィン触媒を用いた以外は参考例1と同様にしてオゾン分解除去率を算出した。その結果を図6に示す。
(比較例8)
<ウォッシュコート法によるMnOの担持>
水1Lに二酸化マンガン粉末(粒子径45μm)400gとバインダーとしてのアルミナゾル(50質量%Al)90gとを懸濁してスラリーを調製した。このスラリーを用いてウォッシュコート法によりアルミニウム製ラジエータフィン(熱交換器、直径30mm×厚み20mmに切り出したもの)に二酸化マンガン粉末を担持させ、MnO担持ラジエータフィンを得た。このMnO担持ラジエータフィンにおけるMnOの担持量はラジエータフィン1L当たり100gであった。
<オゾン分解除去性能評価>
オゾン分解除去用触媒として無電解Coメッキハニカム触媒の代わりにこのMnO担持ラジエータフィンを用いた以外は参考例1と同様にしてオゾン分解除去率を算出した。その結果を図6に示す。
図6に示した結果から明らかなように、支持体としてラジエータフィンを用いた場合においても、無電解メッキによりコーティングした本発明のオゾン分解除去用触媒を用いた場合(実施例1〜2)には、従来の金属酸化物触媒を用いた場合(比較例8)に比べて非常に高いオゾン分解除去率を達成できることが確認された。
以上説明したように、本発明によれば、オゾンを分解除去する際に人体や環境により安全なオゾン分解除去用触媒を提供することができ、また、このオゾン分解除去用触媒によりさらに効率よくオゾンを分解除去することが可能となる。
したがって、支持体として自動車のラジエータやエバポレータ、ヒータコアなどの熱交換器を用いた本発明のオゾン分解除去用触媒は、優れた触媒活性(オゾン分解除去性能)を有する熱交換器などとして有用である。
1…触媒床、2…石英管。

Claims (5)

  1. アルミニウム製熱交換器である支持体と、前記支持体の表面に無電解メッキによりコーティングされたCo、CuおよびNiからなる群から選択される1種の触媒成分とを含有することを特徴とするオゾン分解除去用触媒。
  2. 前記支持体が貴金属コロイド粒子により活性化されたものであることを特徴とする請求項1に記載のオゾン分解除去用触媒。
  3. アルミニウム製熱交換器である支持体の表面に、Co、CuおよびNiからなる群から選択される1種の触媒成分を無電解メッキによりコーティングすることを特徴とするオゾン分解除去用触媒の製造方法。
  4. 前記無電解メッキ処理を施す前に、前記支持体の表面を貴金属コロイド粒子により活性化させることを特徴とする請求項3に記載のオゾン分解除去用触媒の製造方法。
  5. オゾンを含む気体を請求項1または2に記載のオゾン分解除去用触媒に接触せしめて前記オゾンを分解除去することを特徴とするオゾン分解除去方法。
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