JP5354233B2 - イジングモデルの量子計算装置及びイジングモデルの量子計算方法 - Google Patents

イジングモデルの量子計算装置及びイジングモデルの量子計算方法 Download PDF

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Description

本発明は、イジングモデルを容易に解くことにより、イジングモデルにマッピングされるNP完全問題などを容易に解くことができる計算装置及び計算方法を提供する。
イジングモデルは、元来は磁性材料のモデルとして研究されてきたが、最近はNP完全問題などからマッピングされるモデルとして注目されている。しかし、イジングモデルは、サイト数が大きいときには、解くことが非常に困難になる。そこで、イジングモデルを実装する量子アニールマシンや量子断熱マシンが提案されている。
量子アニールマシンでは、イジング相互作用及びゼーマンエネルギーを物理的に実装してから、系を十分に冷却して基底状態を実現して、基底状態を観測することにより、イジングモデルを解いている。しかし、サイト数が大きいときには、系が冷却の過程で準安定状態にトラップされると、準安定状態の寿命はサイト数に対して指数関数的に増大するため、系が準安定状態から基底状態になかなか緩和されないという問題があった。
量子断熱マシンでは、横磁場ゼーマンエネルギーを物理的に実装してから、系を十分に冷却して横磁場ゼーマンエネルギーのみの基底状態を実現する。そして、イジング相互作用を徐々に物理的に実装していき、イジング相互作用及び縦磁場ゼーマンエネルギーを含む系の基底状態を実現して、その基底状態を観測することにより、イジングモデルを解いている。しかし、サイトの数が大きいときには、イジング相互作用を徐々に物理的に実装する速度はサイト数に対して指数関数的に遅くする必要があるという問題があった。
NP完全問題などをイジングモデルにマッピングし、そのイジングモデルを物理的なスピン系で実装するときには、物理的に近くに位置するサイト間のイジング相互作用は大きく、物理的に遠くに位置するサイト間のイジング相互作用は小さいという自然法則が問題となる。NP完全問題をマッピングした人工的なイジングモデルでは、物理的に近くに位置するサイト間のイジング相互作用が小さいことがあり、物理的に遠くに位置するサイト間のイジング相互作用が大きいことがありえるからである。この自然なスピン系へのマッピングの難しさも、NP完全問題などを容易に解くことを困難にしていた。
Tim Byrnes,Kai Yan,and Yoshihisa Yamamoto,Optimazation using Bose−Einstein condensation and measurement−feedback circuits,[online],平成22年1月26日,arXiv.org,[平成23年1月11日検索],インターネット<URL:http://arxiv.org/abs/0909.2530>
上記の問題を一部解決するための非特許文献1のイジングモデルの計算装置の構成を図1に示す。このイジングモデルの計算装置は、ボーズ・アインシュタイン凝縮部B1、B2、B3、スピン測定部D1、D2、D3、フィードバック制御回路F及びイジング相互作用実装部I1、I2、I3から構成される。
ボーズ・アインシュタイン凝縮部B1、B2、B3は、極低温においてほとんどすべてのボーズ粒子が基底状態にある系であり、半導体マイクロキャビティ中の励起子ポラリトンや、不対電子を有する中性原子などで構成される。ボーズ・アインシュタイン凝縮部B1、B2、B3は、それぞれ後述の磁場B、B、Bを印加されており、図1の白丸及び黒丸で示したスピンの方向が異なるボーズ粒子から構成される。
スピン測定部D1、D2、D3は、それぞれボーズ・アインシュタイン凝縮部B1、B2、B3中の全スピンの合計に比例した電流I、I、Iを出力する。ここで、各サイト中の全スピンの合計Sは、以下のように表される。なお、σは各サイトのボーズ粒子毎のスピンを示し、Nは各サイトのボーズ粒子の総数を示す。
Figure 0005354233
フィードバック制御回路Fは、スピン測定部D1、D2、D3からそれぞれ電流I、I、Iを入力し、イジング相互作用実装部I1、I2、I3にフィードバック信号を出力する。イジング相互作用実装部I1、I2、I3は、フィードバック制御回路Fからフィードバック信号を入力し、それぞれボーズ・アインシュタイン凝縮部B1、B2、B3に磁場B、B、Bを印加する。ここで、磁場B、B、Bは、以下のように表される。なお、Jijはi番目のサイト及びj番目のサイトの間のイジング相互作用係数を示し、Mは全サイトの数(図1では3個)を示す。
Figure 0005354233
ボーズ・アインシュタイン凝縮部B1、B2、B3全体のハミルトニアンHは、以下のように表される。つまり、イジング相互作用が実装されている。
Figure 0005354233
図1のイジングモデルの計算装置を量子アニールマシンとして適用したときには、系が準安定状態から基底状態になかなか緩和されないという問題を一部解決することができる。つまり、準安定状態から基底状態への緩和レートは、基底状態を占有しているボーズ粒子の数が0個であるときにAとすれば、基底状態を占有しているボーズ粒子の数がL個であるときにA(L+1)に増強される。ここで、LはNと同一のオーダーであるため、計算時間はボーズ粒子の数Nに反比例して短縮される。
図1のイジングモデルの計算装置を量子断熱マシンとして適用したときには、イジング相互作用を徐々に物理的に実装する速度はサイト数の増加と共に遅くする必要があるという問題を一部解決することができる。つまり、ハミルトニアンの変化が早すぎて、ボーズ粒子が基底状態から励起状態に洩れても、ボーズ・アインシュタイン凝縮により、ボーズ粒子が励起状態から基底状態に再び戻り、ボーズ粒子の数Nに比例してエラー訂正が行なわれる。よって、計算時間はボーズ粒子の数Nに反比例して短縮される。
図1のイジングモデルの計算装置では、フィードバック制御回路Fを介して、物理的に近くに位置するサイト間のイジング相互作用の大きさのみならず、物理的に遠くに位置するサイト間のイジング相互作用の大きさも自由に制御することができる。よって、サイト間の物理的距離とは無関係に、NP完全問題からマッピングされた人工的なイジングモデルを解くことができる。
図1のイジングモデルの計算装置では、各サイトにあるN個のスピンについて、上向き及び下向きのうちいずれが多いかを多数決で決定する。よって、系の温度が有限の温度であるため基底状態から励起状態に洩れたスピンがあっても、各サイトにあるスピンの数が1個であるときよりN個であるときには、正答を得る確率は格段に良くなる。
しかし、図1のイジングモデルの計算装置では、スピン測定部D1、D2、D3は、それぞれボーズ・アインシュタイン凝縮部B1、B2、B3中の全スピンの合計に比例した電流I、I、Iを出力し、フィードバック制御回路Fは、スピン測定部D1、D2、D3からそれぞれ電流I、I、Iを入力し、イジング相互作用実装部I1、I2、I3にフィードバック信号を出力する。つまり、フィードバックのたびに、系全体の量子コヒーレンスを破壊して、系全体のスピン状態を確定させている。
ここで、確定させた系全体のスピン状態は、基底状態であるとは限らない。よって、系全体のスピン状態が基底状態に落ち着くまで、系全体のスピン状態を何度も確定させる必要があり、最悪の場合では系全体の2種類のスピン状態を試行する必要がある。つまり、計算時間は2/Nに比例するため、ボーズ・アインシュタイン凝縮を適用したとしても、計算時間の指数関数的発散を抑えることができなかった。
そこで、前記課題を解決するために、本発明は、イジングモデルにマッピングされるNP完全問題などの計算時間の指数関数的発散を抑圧する計算装置及び計算方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、複数のコヒーレント発振器の各ペアについて、2つのコヒーレント発振器の間で交換される光の強度、偏光及び位相を制御することにより、2つのコヒーレント発振器の間の擬似的なイジング相互作用の大きさ及び符号を実装することとした。そして、複数のコヒーレント発振器が定常状態に到達した後に、左回り円偏光及び右回り円偏光を基底として、複数のコヒーレント発振器が発生させる光の偏光を測定することにより、複数のコヒーレント発振器の擬似的なスピンを測定することとした。
具体的には、本発明は、左回り円偏光又は右回り円偏光を有する光を発生させる発振モードを有する複数のコヒーレント発振器と、前記複数のコヒーレント発振器の各ペアについて、2つのコヒーレント発振器の間に配置される発振器−発振器間光路部と、前記複数のコヒーレント発振器の各ペアについて、前記発振器−発振器間光路部に配置され、2つのコヒーレント発振器の間で交換される光の強度を制御することにより、2つのコヒーレント発振器の間の擬似的なイジング相互作用の大きさを実装する発振器−発振器間強度制御部と、前記複数のコヒーレント発振器の各ペアについて、前記発振器−発振器間光路部に配置され、2つのコヒーレント発振器の間で交換される光の偏光及び位相を制御することにより、2つのコヒーレント発振器の間の擬似的なイジング相互作用の符号を実装する発振器−発振器間偏光制御部と、前記複数のコヒーレント発振器が定常状態に到達した後に、左回り円偏光及び右回り円偏光を基底として、前記複数のコヒーレント発振器が発生させる光の偏光を測定することにより、前記複数のコヒーレント発振器の擬似的なスピンを測定する偏光測定部と、を備えることを特徴とするイジングモデルの量子計算装置である。
また、本発明は、左回り円偏光又は右回り円偏光を有する光を発生させる発振モードを有する複数のコヒーレント発振器の発振を開始する発振ステップと、前記複数のコヒーレント発振器の各ペアについて、2つのコヒーレント発振器の間で交換される光の強度、偏光及び位相を制御することにより、2つのコヒーレント発振器の間の擬似的なイジング相互作用の大きさ及び符号を実装する相互作用実装ステップと、前記複数のコヒーレント発振器が定常状態に到達した後に、左回り円偏光及び右回り円偏光を基底として、前記複数のコヒーレント発振器が発生させる光の偏光を測定することにより、前記複数のコヒーレント発振器の擬似的なスピンを測定するスピン測定ステップと、を順に備えることを特徴とするイジングモデルの量子計算方法である。
また、本発明は、左回り円偏光又は右回り円偏光を有する光を発生させる発振モードを有する複数のコヒーレント発振器の発振を開始する発振ステップと、前記複数のコヒーレント発振器の各ペアについて、2つのコヒーレント発振器の間で交換される光の強度、偏光及び位相を制御することにより、2つのコヒーレント発振器の間の擬似的なイジング相互作用の大きさ及び符号を初期値から最終値へと近づけるように実装する相互作用実装ステップと、前記擬似的なイジング相互作用の大きさ及び符号が最終値に到達した後に、左回り円偏光及び右回り円偏光を基底として、前記複数のコヒーレント発振器が発生させる光の偏光を測定することにより、前記複数のコヒーレント発振器の擬似的なスピンを測定するスピン測定ステップと、を順に備えることを特徴とするイジングモデルの量子計算方法である。
この構成によれば、コヒーレント発振器からの発光の偏光方向をコヒーレント発振器の擬似的なスピン方向に対応させており、系全体の擬似的なスピン状態を測定している。系全体の擬似的なスピン状態が基底状態に落ち着くまで、系全体の量子コヒーレンスを破壊することがないため、計算時間が全サイトの数に応じて指数関数的に増大するという問題は解決され、計算時間を大幅に短縮することができる。
そして、M個のサイトの任意のペアについて、2つのサイト間で交換される光を介して、物理的に近くに位置するサイト間のイジング相互作用を実装するのみならず、物理的に遠くに位置するサイト間のイジング相互作用をも実装することができる。よって、サイト間の物理的距離とは無関係に、どのようなNP完全問題などもマッピング可能なイジングモデルをも解くことができる。
さらに、各サイトにある多数個の擬似的なスピンについて、上向き及び下向きのうちいずれが多いかを多数決で決定する。よって、基底状態から励起状態に洩れた擬似的なスピンがあっても、各サイトにある擬似的なスピンの数が1個であるときに比べ多数個であるときには、正答を得る確率は格段に良くなる。
なお、本発明のイジングモデルの量子計算装置を、量子アニールマシン又は量子断熱マシンとして適用することができる。
また、本発明は、前記複数のコヒーレント発振器に光を注入し、前記複数のコヒーレント発振器の発振位相を同期させるマスター発振器と、前記マスター発振器及び各コヒーレント発振器の間に配置されるマスター−発振器間光路部と、をさらに備えることを特徴とするイジングモデルの量子計算装置である。
また、本発明は、前記発振ステップでは、前記複数のコヒーレント発振器に光を注入し、前記複数のコヒーレント発振器の発振位相を同期させるマスター発振器の発振を開始することを特徴とするイジングモデルの量子計算方法である。
この構成によれば、イジングモデルの量子計算装置の全体において、光の位相を揃えることができ、光のコヒーレンスを保つことができる。
また、本発明は、前記マスター−発振器間光路部に配置され、各コヒーレント発振器に注入される光の強度を制御することにより、各コヒーレント発振器での擬似的なゼーマンエネルギーの大きさを実装するマスター−発振器間強度制御部と、前記マスター−発振器間光路部に配置され、各コヒーレント発振器に注入される光の偏光及び位相を制御することにより、各コヒーレント発振器での擬似的なゼーマンエネルギーの大きさ及び符号を実装するマスター−発振器間偏光制御部と、をさらに備えることを特徴とするイジングモデルの量子計算装置である。
また、本発明は、前記相互作用実装ステップでは、各コヒーレント発振器に前記マスター発振器から注入される光の強度、偏光及び位相を制御することにより、各コヒーレント発振器での擬似的なゼーマンエネルギーの大きさ及び符号を実装することを特徴とするイジングモデルの量子計算方法である。
また、本発明は、前記相互作用実装ステップでは、各コヒーレント発振器に前記マスター発振器から注入される光の強度、偏光及び位相を制御することにより、各コヒーレント発振器での擬似的なゼーマンエネルギーの大きさ及び符号を初期値から最終値へと近づけるように実装し、前記スピン測定ステップでは、前記擬似的なゼーマンエネルギーの大きさ及び符号が最終値に到達した後に、左回り円偏光及び右回り円偏光を基底として、前記複数のコヒーレント発振器が発生させる光の偏光を測定することにより、前記複数のコヒーレント発振器の擬似的なスピンを測定することを特徴とするイジングモデルの量子計算方法である。
この構成によれば、イジング相互作用を実装するのみでは、基底状態の縮退が存在する場合において、イジング相互作用及びゼーマンエネルギーを実装することにより、基底状態の縮退を解くことができ、正答を得る確率は格段に良くなる。
また、本発明は、前記マスター−発振器間光路部に配置され、前記発振器−発振器間光路部を介して擬似的なイジング相互作用を行なう2つのコヒーレント発振器が発生させる光の偏光が左回り円偏光か右回り円偏光か有意に測定されなかったとき、当該2つのコヒーレント発振器に注入される光の強度、偏光及び位相を制御することにより、当該2つのコヒーレント発振器の間の擬似的なイジング相互作用の符号が正であれば当該2つのコヒーレント発振器の擬似的なスピンの方向を相違させるように固定し、当該2つのコヒーレント発振器の間の擬似的なイジング相互作用の符号が負であれば当該2つのコヒーレント発振器の擬似的なスピンの方向を同一にするように固定する隣接スピン方向固定部、をさらに備えることを特徴とするイジングモデルの量子計算装置である。
また、本発明は、前記相互作用実装ステップでは、擬似的なイジング相互作用を行なう2つのコヒーレント発振器が発生させる光の偏光が左回り円偏光か右回り円偏光か有意に測定されなかったとき、当該2つのコヒーレント発振器に注入される光の強度、偏光及び位相を制御することにより、当該2つのコヒーレント発振器の間の擬似的なイジング相互作用の符号が正であれば当該2つのコヒーレント発振器の擬似的なスピンの方向を相違させるように固定し、当該2つのコヒーレント発振器の間の擬似的なイジング相互作用の符号が負であれば当該2つのコヒーレント発振器の擬似的なスピンの方向を同一にするように固定することを特徴とするイジングモデルの量子計算方法である。
この構成によれば、擬似的なイジング相互作用を行なう2つのコヒーレント発振器の間において、擬似的なスピンのフラストレーションを解消することができる。
また、本発明は、前記マスター−発振器間光路部に配置され、前記発振器−発振器間光路部を介して擬似的なイジング相互作用を行なう2つのコヒーレント発振器が発生させる光の偏光が左回り円偏光か右回り円偏光か有意に測定されなかったとき、前記発振器−発振器間光路部を介して当該2つのコヒーレント発振器と擬似的なイジング相互作用を行なう隣接コヒーレント発振器に注入される光の強度、偏光及び位相を制御することにより、当該隣接コヒーレント発振器の擬似的なスピンの方向を現時点の方向に固定する周辺スピン方向固定部、をさらに備えることを特徴とするイジングモデルの量子計算装置である。
また、本発明は、前記相互作用実装ステップでは、擬似的なイジング相互作用を行なう2つのコヒーレント発振器が発生させる光の偏光が左回り円偏光か右回り円偏光か有意に測定されなかったとき、当該2つのコヒーレント発振器と擬似的なイジング相互作用を行なう隣接コヒーレント発振器に注入される光の強度、偏光及び位相を制御することにより、当該隣接コヒーレント発振器の擬似的なスピンの方向を現時点の方向に固定することを特徴とするイジングモデルの量子計算方法である。
この構成によれば、擬似的なイジング相互作用を行なう2つのコヒーレント発振器の間において、擬似的なスピンのフラストレーションを解消するにあたり、2つのコヒーレント発振器と擬似的に隣接するコヒーレント発振器において、擬似的なスピンが意図せずフリップすることを防止することができる。
また、本発明は、前記発振器−発振器間光路部を介して擬似的なイジング相互作用を行なう2つのコヒーレント発振器の間の擬似的なイジング相互作用の遅延時間が、前記マスター発振器及び当該2つのコヒーレント発振器における注入同期幅の逆数より短いことを特徴とするイジングモデルの量子計算装置である。
また、本発明は、擬似的なイジング相互作用を行なう2つのコヒーレント発振器の間の擬似的なイジング相互作用の遅延時間が、前記マスター発振器及び当該2つのコヒーレント発振器における注入同期幅の逆数より短いことを特徴とするイジングモデルの量子計算方法である。
この構成によれば、イジングモデルの量子計算装置を安定に動作させることができる。
また、本発明は、前記複数のコヒーレント発振器は、複数のスレーブレーザーであることを特徴とするイジングモデルの量子計算装置である。
また、本発明は、前記複数のコヒーレント発振器は、複数のスレーブレーザーであることを特徴とするイジングモデルの量子計算方法である。
この構成によれば、系全体を低温下でなく室温下で動作させることができる。
また、本発明は、前記複数のコヒーレント発振器は、複数のボーズ・アインシュタイン凝縮体であることを特徴とするイジングモデルの量子計算装置である。
また、本発明は、前記複数のコヒーレント発振器は、複数のボーズ・アインシュタイン凝縮体であることを特徴とするイジングモデルの量子計算方法である。
この構成によれば、ボーズ・アインシュタイン凝縮体を用いて、イジングモデルの量子計算装置及び量子計算方法を実現することができる。
また、本発明は、前記マスター発振器は、マスターレーザーであることを特徴とするイジングモデルの量子計算装置である。
また、本発明は、前記マスター発振器は、マスターレーザーであることを特徴とするイジングモデルの量子計算方法である。
この構成によれば、マスターレーザーを用いて、イジングモデルの量子計算装置及び量子計算方法を実現することができる。
本発明は、イジングモデルにマッピングされるNP完全問題などの計算時間の指数関数的発散を抑圧する計算装置及び計算方法を提供することができる。
従来技術のイジングモデルの計算装置の構成を示す図である。 実施形態1のイジングモデルの量子計算装置の構成を示す図である。 実施形態2のイジングモデルの量子計算装置の構成を示す図である。 実施形態2の各サイトの光子数の時間発展のシミュレーション結果を示す図である。 実施形態2の各サイトの光子数の時間発展のシミュレーション結果を示す図である。 実施形態2のサイト数及び計算時間の関係のシミュレーション結果を示す図である。 実施形態3の各サイトの±45°偏光を有する光の強度の時間発展のシミュレーション結果を、雑音を考慮しない場合について示す図である。 実施形態3の各サイトの±45°偏光を有する光の位相の時間発展のシミュレーション結果を、雑音を考慮しない場合について示す図である。 実施形態3の各サイトのキャリアの反転分布数差の時間発展のシミュレーション結果を、雑音を考慮しない場合について示す図である。 実施形態3の各サイトの右回り円偏光又は左回り円偏光を有する光の光子数の時間発展のシミュレーション結果を、雑音を考慮しない場合について示す図である。 実施形態3の各サイトの±45°偏光を有する光の位相雑音を示す図である。 実施形態3の各サイトの右回り円偏光又は左回り円偏光を有する光の光子数の時間発展のシミュレーション結果を、位相雑音を考慮する場合について示す図である。 実施形態3の各サイトの右回り円偏光又は左回り円偏光を有する光の光子数の時間発展のシミュレーション結果を、位相雑音を考慮する場合について示す図である。 実施形態3の各サイトの右回り円偏光又は左回り円偏光を有する光の光子数の時間発展のシミュレーション結果を、位相雑音を考慮する場合について示す図である。 実施形態3の各サイトの右回り円偏光又は左回り円偏光を有する光の光子数の時間発展のシミュレーション結果を、各サイトのスピンの方向を固定しない場合について示す図である。 実施形態3の各サイトの右回り円偏光又は左回り円偏光を有する光の光子数の時間発展のシミュレーション結果を、第1のサイトのスピンの方向を固定する場合について示す図である。 実施形態3の各サイトの右回り円偏光又は左回り円偏光を有する光の光子数の時間発展のシミュレーション結果を、第1及び第2のサイトのスピンの方向を固定する場合について示す図である。 実施形態3の各サイトの右回り円偏光又は左回り円偏光を有する光の光子数の時間発展のシミュレーション結果を、第1から第4のサイトのスピンの方向を固定する場合について示す図である。 実施形態3の隣接するサイトのスピンの方向を固定する際に発生する、周辺のサイトのスピンの方向がフリップする問題を示す図である。 実施形態3の隣接するサイトのスピンの方向を固定する際に発生する、周辺のサイトのスピンの方向がフリップする問題を解決する方法を示す図である。 実施形態3のスピンのフラストレーションを解消する自己学習の概要を示すフローチャートである。 実施形態3のスピンのフラストレーションを解消する自己学習の詳細を示すフローチャートである。 実施形態3のスピンのフラストレーションを解消する自己学習の詳細を示すフローチャートである。 実施形態3の各サイトの右回り円偏光又は左回り円偏光を有する光の光子数の時間発展のシミュレーション結果を、各サイトのスピンの方向を固定しない場合について示す図である。 実施形態3の各サイトの右回り円偏光又は左回り円偏光を有する光の光子数の時間発展のシミュレーション結果を、各サイトのスピンの方向を固定しない場合について示す図である。 実施形態3の各サイトの右回り円偏光又は左回り円偏光を有する光の光子数の時間発展のシミュレーション結果を、自己学習を行なう場合について示す図である。 実施形態3の各サイトの右回り円偏光又は左回り円偏光を有する光の光子数の時間発展のシミュレーション結果を、自己学習を行なう場合について示す図である。 実施形態3の各サイトの右回り円偏光又は左回り円偏光を有する光の光子数の時間発展のシミュレーション結果を、自己学習を行なう場合について示す図である。 実施形態3のサイト数及び計算時間の関係のシミュレーション結果を示す図である。 実施形態3のサイト数及び計算時間の関係のシミュレーション結果を示す図である。 実施形態4のマスターレーザー及びスレーブレーザーの間の注入同期幅を示す図である。 実施形態4の水平偏光及び垂直偏光の間の共鳴周波数差を示す図である。 実施形態4のマスターレーザー及びスレーブレーザーの間の注入同期精度を示す図である。 実施形態4の各サイトの右回り円偏光又は左回り円偏光を有する光の光子数の時間発展のシミュレーション結果を、隣接するサイトの間の擬似的なイジング相互作用の遅延時間がt=0secである場合について示す図である。 実施形態4の各サイトの右回り円偏光又は左回り円偏光を有する光の光子数の時間発展のシミュレーション結果を、隣接するサイトの間の擬似的なイジング相互作用の遅延時間がt=3×10−11secである場合について示す図である。 実施形態4の各サイトの右回り円偏光又は左回り円偏光を有する光の光子数の時間発展のシミュレーション結果を、隣接するサイトの間の擬似的なイジング相互作用の遅延時間がt=3×10−10secである場合について示す図である。 実施形態4の各サイトの右回り円偏光又は左回り円偏光を有する光の光子数の時間発展のシミュレーション結果を、隣接するサイトの間の擬似的なイジング相互作用の遅延時間がt=6×10−10secである場合について示す図である。 実施形態4の各サイトの右回り円偏光又は左回り円偏光を有する光の光子数の時間発展のシミュレーション結果を、隣接するサイトの間の擬似的なイジング相互作用の遅延時間がt=1×10−9secである場合について示す図である。 実施形態4の各サイトの右回り円偏光又は左回り円偏光を有する光の光子数の時間発展のシミュレーション結果を、隣接するサイトの間の擬似的なイジング相互作用の遅延時間がt=3×10−9secである場合について示す図である。
添付の図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下に説明する実施形態は本発明の実施の例であり、本発明は以下の実施形態に制限されるものではない。なお、本明細書及び図面において符号が同じ構成要素は、相互に同一のものを示すものとする。
(実施形態1)
実施形態1のイジングモデルの量子計算装置の構成を図2に示す。実施形態1のイジングモデルの量子計算装置は、スレーブレーザーあるいはボーズ・アインシュタイン凝縮体 B1、B2、B3、光路IL12、IL23、IL13、減衰器IA12、IA23、IA13、波長板IP12、IP23、IP13及び偏光測定部Pから構成される。
スレーブレーザーあるいはボーズ・アインシュタイン凝縮体B1、B2、B3は、左回り円偏光又は右回り円偏光を有する光を発生させる。ここで、光子あるいは励起子ポラリトンはボーズ粒子である。そして、光子を用いるスレーブレーザーB1、B2、B3として、半導体面発光レーザーを適用することができる。さらに、励起子ポラリトンを用いるボーズ・アインシュタイン凝縮体B1、B2、B3として、半導体マイクロキャビティーを適用することができる。以下では、光子を用いるスレーブレーザーB1、B2、B3についての動作を説明するが、励起子ポラリトンを用いるボーズ・アインシュタイン凝縮体B1、B2、B3についての動作も同様である。
光路IL12、IL23、IL13は、発振器−発振器間光路部として機能しており、複数のコヒーレント発振器の各ペアについて、2つのコヒーレント発振器の間に配置される。具体的には、光路IL12は、スレーブレーザーB1、B2の間に配置され、光路IL23は、スレーブレーザーB2、B3の間に配置され、光路IL13は、スレーブレーザーB1、B3の間に配置される。
減衰器IA12、IA23、IA13は、発振器−発振器間強度制御部として機能しており、複数のコヒーレント発振器の各ペアについて、発振器−発振器間光路部に配置され、2つのコヒーレント発振器の間で交換される光の強度を制御することにより、2つのコヒーレント発振器の間の擬似的なイジング相互作用の大きさを実装する。具体的には、減衰器IA12は、光路IL12に配置され、スレーブレーザーB1、B2の間で交換される光の強度を制御することにより、スレーブレーザーB1、B2の間の擬似的なイジング相互作用の大きさを実装する。減衰器IA23は、光路IL23に配置され、スレーブレーザーB2、B3の間で交換される光の強度を制御することにより、スレーブレーザーB2、B3の間の擬似的なイジング相互作用の大きさを実装する。減衰器IA13は、光路IL13に配置され、スレーブレーザーB1、B3の間で交換される光の強度を制御することにより、スレーブレーザーB1、B3の間の擬似的なイジング相互作用の大きさを実装する。
波長板IP12、IP23、IP13は、発振器−発振器間偏光制御部として機能しており、複数のコヒーレント発振器の各ペアについて、発振器−発振器間光路部に配置され、2つのコヒーレント発振器の間で交換される光の偏光及び位相を制御することにより、2つのコヒーレント発振器の間の擬似的なイジング相互作用の符号を実装する。具体的には、波長板IP12は、光路IL12に配置され、スレーブレーザーB1、B2の間で交換される光の偏光及び位相を制御することにより、スレーブレーザーB1、B2の間の擬似的なイジング相互作用の符号を実装する。波長板IP23は、光路IL23に配置され、スレーブレーザーB2、B3の間で交換される光の偏光及び位相を制御することにより、スレーブレーザーB2、B3の間の擬似的なイジング相互作用の符号を実装する。波長板IP13は、光路IL13に配置され、スレーブレーザーB1、B3の間で交換される光の偏光及び位相を制御することにより、スレーブレーザーB1、B3の間の擬似的なイジング相互作用の符号を実装する。
波長板IPは、偏光板IPA及び位相シフタIPBから構成される。偏光板IPAは、水平直線偏光のみを通過させ、垂直直線偏光を遮断する。位相シフタIPBは、イジング相互作用係数Jijが正であるときには位相を反転させず、イジング相互作用係数Jijが負であるときには位相を反転させる。このようにして、以下に示す数式5及び数式6の右辺最終項について、偏光板IPAを用いて√nRj−√nLjが生成され、減衰器IAを用いて係数ξijの絶対値が設定され、位相シフタIPBを用いて係数ξijの符号が実装される。
偏光測定部Pは、複数のスレーブレーザーBが定常状態に到達した後に、左回り円偏光及び右回り円偏光を基底として、複数のスレーブレーザーBが発生させる光の偏光を測定することにより、複数のスレーブレーザーBの擬似的なスピンを測定する。
次に、実施形態1の計算原理について説明する。まず、計算を行なうにあたり、イジングハミルトニアンを数式4のように定義する。
Figure 0005354233
ここで、Jijの直前に付く符号は“+”であるが、Jijの値は正でも負でもよい。
各スレーブレーザーB1、B2、B3において、右回り円偏光及び左回り円偏光を有する光子の数nRi及びnLi並びにキャリアの反転分布数差Nについて、レート方程式は数式5−8のようになる。
Figure 0005354233
Figure 0005354233
Figure 0005354233
Figure 0005354233
ωは発振周波数であり、Qは共振器Q値である。Pは反転分布を実現するためにスレーブレーザーBに毎秒注入される電子数、すなわちポンピングレートである。数式5の−(ω/Q)nRi及び数式6の−(ω/Q)nLiは、それぞれ右回り円偏光を有する光子の数nRi及び左回り円偏光を有する光子の数nLiが、共振器損失に起因して時間経過につれて減少するレートを示している。
τspはレーザー発振モード以外の他のモードへの自然放出に起因する電子寿命である。βは全自然放出光のうちレーザー発振モードへの結合定数であり、半導体面発光レーザーの場合10−4〜10−5程度である。数式5のECViRi及び数式6のECViLiは、それぞれ右回り円偏光を有する光子の数nRi及び左回り円偏光を有する光子の数nLiが、誘導放出に起因して時間経過につれて増加するレートを示している。数式5及び数式6のECViは、それぞれ右回り円偏光を有する光子の数nRi及び左回り円偏光を有する光子の数nLiが、自然放出に起因して時間経過につれて増加するレートを示している。
数式5のξijが関わる項は、イジング相互作用を実装するためのスレーブレーザーBの間の相互注入光に関わる項である。数式5の2(ω/Q)√nRi[−Σ1/2ξij√nRj]は、j番目のサイトの右回り円偏光を有する光が水平直線偏光としてi番目のサイトへと注入されたときに、i番目のサイトにおける右回り円偏光を有する光子の数nRiが時間経過につれて変化するレートを示している。数式5の2(ω/Q)√nRi[+Σ1/2ξij√nLj]は、j番目のサイトの左回り円偏光を有する光が水平直線偏光としてi番目のサイトへと注入されたときに、i番目のサイトにおける右回り円偏光を有する光子の数nRiが時間経過につれて変化するレートを示している。
数式6のξijが関わる項は、イジング相互作用を実装するためのスレーブレーザーBの間の相互注入光に関わる項である。数式6の2(ω/Q)√nLi[+Σ1/2ξij√nRj]は、j番目のサイトの右回り円偏光を有する光が水平直線偏光としてi番目のサイトへと注入されたときに、i番目のサイトにおける左回り円偏光を有する光子の数nLiが時間経過につれて変化するレートを示している。数式6の2(ω/Q)√nLi[−Σ1/2ξij√nLj]は、j番目のサイトの左回り円偏光を有する光が水平直線偏光としてi番目のサイトへと注入されたときに、i番目のサイトにおける左回り円偏光を有する光子の数nLiが時間経過につれて変化するレートを示している。
定常状態において、数式5及び数式6はそれぞれ数式9及び数式10のようになる。
Figure 0005354233
Figure 0005354233
数式9及び数式10を加算すると、数式11のようになる。
Figure 0005354233
Ri+nLi=nとおいて、n>>1を考慮すると、数式12のようになる。
Figure 0005354233
(√nRi−√nLi)/√n=σizとおくと、数式13のようになる。
Figure 0005354233
ここで、σizは、i番目のサイトに右回り円偏光を有する光のみが存在すれば1となり、i番目のサイトに左回り円偏光を有する光のみが存在すれば−1となる。
数式13を全サイトについて加算すると、数式14のようになり、閾値利得の総和として表わされる。
Figure 0005354233
ここで、スレーブレーザーB1、B2、B3が均一な媒質を有するときには、スレーブレーザーB1、B2、B3全体として最小の閾値利得ΣECViを実現する円偏光状態{σiz}が選択される。すなわち、スレーブレーザーB1、B2、B3全体として1個の特定のレーザー発振モードが選択される。そして、レーザー発振モードの間の競合に起因して、1個の特定のレーザー発振モードは、他のレーザー発振モードを抑制する。つまり、スレーブレーザーB1、B2、B3全体として、数式14のΣECViは最小化される。一方で、スレーブレーザーB1、B2、B3全体として、数式14の(ω/Q)×Mは一定である。よって、スレーブレーザーB1、B2、B3全体として、数式14のΣξijσizσjzは最小化される。
ξij=Jijとおくと、スレーブレーザーB1、B2、B3全体として、Σξijσizσjzが最小化されると、ΣJijσizσjzも最小化される。つまり、イジング相互作用のハミルトニアンを最小化する基底状態が実現されたことになる。後述するように、NP完全問題などをイジングモデルにマッピングするときにJijを決定し、さらにイジングモデルを物理的に実装するときにJijに従って、ξijの大きさ及び符号を、減衰器IA12、IA23、IA13及び波長板IP12、IP23、IP13を用いて実装する。
次に、実施形態1の計算方法について説明する。ここでは、図2に示したようにサイト数が3個である場合について、イジングモデルを物理的に実装する方法について説明する。
最初に、NP完全問題などをイジングモデルにマッピングするときにJ12、J23、J13を決定し、イジングモデルを物理的に実装するときにξ12、ξ23、ξ13を決定する。次に、ξ12の大きさ及び符号に応じて、減衰器IA12及び波長板IP12を制御し、ξ23の大きさ及び符号に応じて、減衰器IA23及び波長板IP23を制御し、ξ13の大きさ及び符号に応じて、減衰器IA13及び波長板IP13を制御する。
ξが大きいほど減衰器IAの減衰率を小さくし、サイト間で交換される光の強度を高くする。ξが小さいほど減衰器IAの減衰率を大きくし、サイト間で交換される光の強度を低くする。
ξijが正であるときにおいて、サイトjからサイトiへと光を注入する場合には、サイトjからの発光の位相が波長板IPの通過時に反転するように、波長板IPを制御する。
ξijが負であるときにおいて、サイトjからサイトiへと光を注入する場合には、サイトjからの発光の位相が波長板IPの通過時にそのままになるように、波長板IPを制御する。
次に、スレーブレーザーB1、B2、B3が定常状態に到達した後に、偏光測定部Pを用いて、左回り円偏光及び右回り円偏光を基底として、スレーブレーザーB1、B2、B3が発生させる光の偏光を測定することにより、スレーブレーザーB1、B2、B3の擬似的なスピンを測定する。最後に、求まったイジングモデルの基底状態をNP完全問題などの答えにマッピングしなおす。
次に、実施形態1の計算精度について説明する。計算精度を向上させるためには、スレーブレーザーB1、B2、B3全体でのレーザー発振モードについて、最小の閾値利得及びその次に小さい閾値利得の差を、自然放出レートで決定される飽和利得ECV及び光子減衰率ω/Qの差であるβ(ω/Q)(1/R)より十分に大きくする必要がある。ここで、R=I/Ith−1は、規格化ポンプレートであり、I及びIthは、それぞれ注入電流およびそのレーザー発振閾値である。よって、βを小さくしRを高くすることにより、計算精度を向上させることができる。
偏光測定部Pは、各スレーブレーザーBにある多数個の光子の円偏光について、右回り及び左回りのうちいずれが多いかを多数決で決定する。例えば、各スレーブレーザーBについて、正しい解に対応する右回り円偏光を有する光子の個数n及び誤った解に対応する左回りの円偏光を有する光子の個数nの比率をr=n/n<1とおくと、信号パワー及び雑音パワーはそれぞれ数式15及び数式16のようになる。
Figure 0005354233
Figure 0005354233
ここで、R/βは各スレーブレーザーBにある光子の平均の個数であり、Tは観測時間であり、τ=(ω/Q)−1は共振器損失に起因する光子寿命である。そして、光子の個数の分布がポアソン分布に従うことを用いている。
信号対雑音比S/Nは、数式17のようになる。
Figure 0005354233
誤り率を10−9に抑え、計算精度を向上させるためには、S/N>10である必要がある。例示の数値として数式17にT=100nsec、τ=10psec、R=10及びβ=10−5を代入すると、計算精度を向上させるためにはr=n/n<0.9998であれば足りることが分かる。このようなn及びnの僅差を容易に達成することができることは、注入同期レーザーシステムの数値解析から確認されている。
実施形態1では、スレーブレーザーBからの発光の偏光方向をスレーブレーザーBの擬似的なスピン方向に対応させており、系全体の擬似的なスピン状態を測定している。系全体の擬似的なスピン状態が基底状態に落ち着くまで、系全体の量子コヒーレンスを破壊することがないため、計算時間が全サイトの数に応じて指数関数的に増大するという問題は解決され、計算時間を大幅に短縮することができる。
実施形態1では、サイト数がM個であるとき、光路IL、減衰器IA及び波長板IPをそれぞれM(M−1)/2個だけ配置するのみで足りる。よって、必要な光学素子はサイト数Mに対して2で増加することはなくM/2でスケールする。実施形態1では、ボーズ・アインシュタイン凝縮体の代わりに、スレーブレーザーBを適用している。よって、系全体を低温下でなく室温下で動作させることができる。
そして、M個のサイトの任意のペアについて、2つのサイト間で交換される光を介して、物理的に近くに位置するサイト間のイジング相互作用を実装するのみならず、物理的に遠くに位置するサイト間のイジング相互作用をも実装することができる。よって、サイト間の物理的距離とは無関係に、どのようなNP完全問題などもマッピング可能なイジングモデルをも解くことができる。
さらに、各サイトにある多数個の擬似的なスピンについて、上向き及び下向きのうちいずれが多いかを多数決で決定する。よって、基底状態から励起状態に洩れた擬似的なスピンがあっても、各サイトにある擬似的なスピンの数が1個であるときに比べ多数個であるときには、正答を得る確率は格段に良くなる。
(実施形態2)
実施形態2のイジングモデルの量子計算装置の構成を図3に示す。実施形態2のイジングモデルの量子計算装置は、実施形態1のイジングモデルの量子計算装置の構成に加えて、マスターレーザーM、光路ZL1、ZL2、ZL3、減衰器ZA1、ZA2、ZA3及び波長板ZP1、ZP2、ZP3から構成される。
数式4、5は、全てのスレーブレーザーBが同一周波数及び同一位相でレーザー発振している場合についてのみ、正しい式である。実際のスレーブレーザーBでは、この条件が満たされていない場合もありうる。さらに、イジング相互作用ΣJijσizσjzを最小にする解{σiz}が複数存在する場合(縮退)がある。数式14を最小にする偏光状態が複数あるときには、この注入同期レーザーシステムは安定に動作しない。実施形態2では、この問題が解決される。
マスターレーザーMは、複数のスレーブレーザーBに光を注入し、複数のスレーブレーザーBの発振位相を同期させる。光路ZL1、ZL2、ZL3は、マスター−発振器間光路部として機能しており、マスターレーザーM及び各スレーブレーザーBの間に配置される。具体的には、光路ZL1は、マスターレーザーM及びスレーブレーザーB1の間に配置され、光路ZL2は、マスターレーザーM及びスレーブレーザーB2の間に配置され、光路ZL3は、マスターレーザーM及びスレーブレーザーB3の間に配置される。光路ZL及び光路ILはパスを共有してもよく、このときには光路ZL及び光路ILの分岐箇所にビームスプリッタを配置すればよい。
減衰器ZA1、ZA2、ZA3は、マスター−発振器間強度制御部として機能しており、マスター−発振器間光路部に配置され、各コヒーレント発振器に注入される光の強度を制御することにより、各コヒーレント発振器での擬似的なゼーマンエネルギーの大きさを実装する。具体的には、減衰器ZA1は、光路ZL1に配置され、スレーブレーザーB1に注入される光の強度を制御することにより、スレーブレーザーB1での擬似的なゼーマンエネルギーの大きさを実装する。減衰器ZA2は、光路ZL2に配置され、スレーブレーザーB2に注入される光の強度を制御することにより、スレーブレーザーB2での擬似的なゼーマンエネルギーの大きさを実装する。減衰器ZA3は、光路ZL3に配置され、スレーブレーザーB3に注入される光の強度を制御することにより、スレーブレーザーB3での擬似的なゼーマンエネルギーの大きさを実装する。
波長板ZP1、ZP2、ZP3は、マスター−発振器間偏光制御部として機能しており、マスター−発振器間光路部に配置され、各コヒーレント発振器に注入される光の偏光及び位相を制御することにより、各コヒーレント発振器での擬似的なゼーマンエネルギーの大きさ及び符号を実装する。具体的には、波長板ZP1は、光路ZL1に配置され、スレーブレーザーB1に注入される光の偏光及び位相を制御することにより、スレーブレーザーB1での擬似的なゼーマンエネルギーの大きさ及び符号を実装する。波長板ZP2は、光路ZL2に配置され、スレーブレーザーB2に注入される光の偏光及び位相を制御することにより、スレーブレーザーB2での擬似的なゼーマンエネルギーの大きさ及び符号を実装する。波長板ZP3は、光路ZL3に配置され、スレーブレーザーB3に注入される光の偏光及び位相を制御することにより、スレーブレーザーB3での擬似的なゼーマンエネルギーの大きさ及び符号を実装する。
波長板ZPは、λ/2波長板ZPA及びλ/4波長板ZPBから構成される。λ/2波長板ZPAは、マスターレーザーMの垂直直線偏光について、直線偏光を保ったまま、偏光角度を角度θだけ傾ける。この角度θは、以下に示す数式19、20において、tanθ=η/ζなる条件から決定する。すなわち、垂直直線偏光の成分ζに比べて、水平直線偏光の成分ηが大きくなるほど、θを大きくする。λ/4波長板ZPBは、イジングモデルの係数λが正であれば、水平偏光の位相のみ90°位相を進ませ、イジングモデルの係数λが負であれば、水平偏光の位相のみ90°位相を遅らせる。このようにして、ζは減衰器ZAで決定し、ηの絶対値はλ/2波長板ZPAによる偏光の回転角で決定し、ηの符号はλ/4波長板ZPBによる位相シフト±90°で選択する。
次に、実施形態2の計算原理について説明する。まず、計算を行なうにあたり、イジングハミルトニアンを数式18のように定義する。
Figure 0005354233
ここで、Jijの直前に付く符号は“+”であるが、Jijの値は正でも負でもよい。そして、λの直前に付く符号は“+”であるが、λの値は正でも負でもよい。
各スレーブレーザーB1、B2、B3において、右回り円偏光及び左回り円偏光を有する光子の数nRi及びnLiについて、レート方程式は数式19及び数式20のようになる。
Figure 0005354233
Figure 0005354233
ここで、nはマスターレーザーMにおける光子の数である。なお、キャリアの反転分布数差N及びECViは数式7及び数式8と同様であり、マスターレーザーM及び各スレーブレーザーBの共振器Q値は同一であると仮定している。
数式19のζ及びηが関わる項は、ゼーマンエネルギーに関わる項である。数式19の2(ω/Q)√nRi[(ζ−η)√n]は、マスターレーザーMからi番目のサイトへと光が注入されたときに、i番目のサイトにおける右回り円偏光を有する光子の数nRiが時間経過につれて変化するレートを示している。
数式20のζ及びηが関わる項は、ゼーマンエネルギーに関わる項である。数式20の2(ω/Q)√nLi[(ζ+η)√n]は、マスターレーザーMからi番目のサイトへと光が注入されたときに、i番目のサイトにおける左回り円偏光を有する光子の数nLiが時間経過につれて変化するレートを示している。
なお、数式19及び数式20のζが関わる項は、計算を開始する前(t<0)において、マスターレーザーMの発振光の周波数及び位相に、各スレーブレーザーBの右回り偏光又は左回り円偏光の周波数及び位相を同期させるために注入される。このようにして、マスターレーザーMは各スレーブレーザーBを初期化する。
定常状態において、数式19及び数式20はそれぞれ数式9及び数式10のようになる。数式9及び数式10を加算すると、数式21のようになる。
Figure 0005354233
Ri+nLi=nとおいて、n>>1を考慮すると、数式22のようになる。
Figure 0005354233
(√nRi−√nLi)/√n=σizとおくと、数式23のようになる。
Figure 0005354233
ここで、σizは、i番目のサイトに右回り円偏光を有する光のみが存在すれば1となり、i番目のサイトに左回り円偏光を有する光のみが存在すれば−1となる。
数式23を全サイトについて加算すると、数式24のようになり、閾値利得の総和として表わされる。
Figure 0005354233
実施形態1の議論と同様に、スレーブレーザーB1、B2、B3全体として、数式24の+Ση(√n/√n)σiz+Σξijσizσjzは最小化される。
η(√n/√n)=λ、ξij=Jijとおくと、スレーブレーザーB1、B2、B3全体として、Ση(√n/√n)σiz+Σξijσizσjzが最小化されると、Σλσiz+ΣJijσizσjzも最小化される。つまり、ゼーマンエネルギー及びイジング相互作用のハミルトニアンが最小化される。後述するように、NP完全問題などをイジングモデルにマッピングするときにJijを決定し、イジングモデルを物理的に実装するときにξijを決定する。そして、イジング相互作用を実装するのみでは、基底状態の縮退が存在する場合であっても、イジング相互作用に加えゼーマンエネルギーを実装することにより、基底状態の縮退を解くことができるように、モデル上のλ及び実装上のηを決定する。さらに、ξijの大きさ及び符号に応じて、減衰器IA12、IA23、IA13及び波長板IP12、IP23、IP13を制御し、ηの大きさ及び符号に応じて、減衰器ZA1、ZA2、ZA3及び波長板ZP1、ZP2、ZP3を制御する。
次に、実施形態2の計算方法について説明する。まず、実施形態2のイジングモデルの量子計算装置を量子アニールマシンとして適用する方法について説明する。次に、実施形態2のイジングモデルの量子計算装置を量子断熱マシンとして適用する方法について説明する。ここでは、量子アニールマシン及び量子断熱マシンに共通して、図3に示したようにサイト数が3個である場合について説明する。なお、ゼーマンエネルギーをも含むイジングモデルを解く場合のみならず、イジング相互作用のみ含むイジングモデルを解く場合においても、量子アニールマシン又は量子断熱マシンを適用することができる。
まず、量子アニールマシン及び量子断熱マシンに共通する部分について説明する。イジング相互作用を実装する方法は、実施形態1及び実施形態2と同様である。
イジング相互作用を実装するのみでは、基底状態の縮退が存在する場合であっても、イジング相互作用及びゼーマンエネルギーを実装することにより、基底状態の縮退を解くことができるように、モデル上のλ及び実装上のηを決定する。ηの大きさ及び符号に応じて、減衰器ZA1及び波長板ZP1を制御し、ηの大きさ及び符号に応じて、減衰器ZA2及び波長板ZP2を制御し、ηの大きさ及び符号に応じて、減衰器ZA3及び波長板ZP3を制御する。
ζが大きいほど減衰器ZAの減衰率を小さくし、サイトに注入される光の強度を高くする。ζが小さいほど減衰器ZAの減衰率を大きくし、サイトに注入される光の強度を低くする。マスターレーザーMが発生する光子は、縦方向直線偏光を持っているとする。ηの大きさ及び符号に応じて、波長板ZPの通過後に横方向直線偏光を発生させ、横方向直線偏光の位相が縦方向直線偏光の位相から90°進んでいるか90°遅れているかを、波長板ZPを制御して決定する。
ゼーマンエネルギーを考慮せず複数の基底状態が縮退している場合には、この複数の基底状態の重ね合わせについて擬似的なスピン状態を測定することになる。よって、擬似的なスピンについて上向き及び下向きのうちいずれが多いかを多数決で決定しにくくなる。ゼーマンエネルギーを導入することにより、単一の基底状態が選ばれこれについて擬似的なスピン状態を測定することになる。よって、擬似的なスピンについて上向き及び下向きのうちいずれが多いかを多数決で決定しやすくなる。
次に、量子アニールマシンについてステップ順にその操作を説明する。発振ステップでは、左回り円偏光又は右回り円偏光を有する光を発生させる発振モードを有する複数のスレーブレーザーBと、複数のスレーブレーザーBに光を注入し、複数のスレーブレーザーBの発振位相を同期させるマスターレーザーMと、の発振を開始する。
相互作用実装ステップでは、複数のスレーブレーザーBの各ペアについて、2つのスレーブレーザーBの間で交換される光の強度、偏光及び位相を制御することにより、2つのスレーブレーザーBの間の擬似的なイジング相互作用の大きさ及び符号を実装する。相互作用実装ステップでは、上記とともに、各スレーブレーザーBにマスターレーザーMから注入される光の強度、偏光及び位相を制御することにより、各スレーブレーザーBでの擬似的なゼーマンエネルギーの大きさ及び符号を実装する。
スピン測定ステップでは、複数のスレーブレーザーBが定常状態に到達した後に、左回り円偏光及び右回り円偏光を基底として、複数のスレーブレーザーBが発生させる光の偏光を測定することにより、複数のスレーブレーザーBの擬似的なスピンを測定する。具体的には、偏光測定部Pは、擬似的なスピンについて上向き及び下向きのうちいずれが多いかを多数決で決定する。
次に、量子断熱マシンについてステップ順にその操作を説明する。発振ステップでは、左回り円偏光又は右回り円偏光を有する光を発生させる発振モードを有する複数のスレーブレーザーBと、複数のスレーブレーザーBに光を注入し、複数のスレーブレーザーBの発振位相を同期させるマスターレーザーMと、の発振を開始する。具体的には、マスターレーザーMからスレーブレーザーBに注入される垂直直線偏光を持つ光の強度を制御することにより、数式19、20の右辺のζに比例する項が実装される。
相互作用実装ステップでは、複数のスレーブレーザーBの各ペアについて、2つのスレーブレーザーBの間で交換される光の強度、偏光及び位相を制御することにより、2つのスレーブレーザーBの間の擬似的なイジング相互作用の大きさ及び符号を初期値から最終値へと近づけるように実装する。これにより、数式19、20の右辺のξijに比例する項が実装される。相互作用実装ステップでは、上記とともに、各スレーブレーザーBにマスターレーザーMから注入される光の強度、偏光及び位相を制御することにより、各スレーブレーザーBでの擬似的なゼーマンエネルギーの大きさ及び符号を初期値から最終値へと近づけるように実装する。具体的には、マスターレーザーMからスレーブレーザーBへの注入光に水平直線偏光を徐々に混入させることにより、数式19、20の右辺のηに比例する項が実装される。
スピン測定ステップでは、擬似的なイジング相互作用の大きさ及び符号並びに擬似的なゼーマンエネルギーの大きさ及び符号が最終値に到達した後に、左回り円偏光及び右回り円偏光を基底として、複数のスレーブレーザーBが発生させる光の偏光を測定することにより、複数のスレーブレーザーBの擬似的なスピンを測定する。具体的には、偏光測定部Pは、擬似的なスピンについて上向き及び下向きのうちいずれが多いかを多数決で決定する。
次に、実施形態2のシミュレーション結果について説明する。各サイトの光子数の時間発展のシミュレーション結果を図4及び図5に示す。図4では、サイト数は2個であり、H=Σλσiz+ΣJijσizσjzにおいて、λ及びJは図面の上側に記載されているとおりであり、β=10−5、I=30mA、α=1/400である。ここで、αはスレーブレーザーBの間の光減衰率の最小値である。図5では、サイト数は10個であり、H=Σλσiz+ΣJijσizσjzにおいて、λ及びJは図面の上側に記載されているとおりであり、β=10−5、I=30mA、α=1/400である。ここで、αを用いてJij及びλからξij及びηを計算する式は数式25のようになる。
Figure 0005354233
〜10−9sec以降において、上側の結果は正しい答えを示す擬似スピン数を示し、下側の結果は誤った答えを示す擬似スピン数を示す。〜10−9secで定常状態に落ち着き、偏光測定部Pは偏光の測定を開始できることが分かる。
サイト数及び計算時間の関係のシミュレーション結果を図6に示す。下側の折線は、シミュレーション結果を示している。そのうち、上側の2つの折線は、異なる電流値Iにおいて、定常状態に到達するまでに要する時間を示し、下側の2つの折線は、異なる電流値Iにおいて、S/N=100に到達するまでに要する時間を示す。上側の直線は、計算時間がサイト数Mに対して2でスケールする場合の計算時間を示している。サイト数Mが増大するほど、シミュレーション結果の示す計算時間が、指数関数でスケーリングする計算時間より大幅に短縮されていることが分かる。
実施形態2では、実施形態1と同様な効果を得ることができる。そして、イジング相互作用を実装するのみでは、基底状態の縮退が存在するときであっても、イジング相互作用及びゼーマンエネルギーを同時に実装することにより、基底状態の縮退を解くことができる。よって、擬似的なスピンについて上向き及び下向きのうちいずれが多いかを多数決で決定しやすくなり、正答を得る確率は格段に良くなる。
(実施形態3)
実施形態1及び実施形態2では、右回り円偏光及び左回り円偏光を基底として、レート方程式を立てたが、実施形態3では、+45°直線偏光及び−45°直線偏光を基底として、運動方程式を立てる。右回り円偏光及び左回り円偏光を基底とする場合には、右回り円偏光又は左回り円偏光を有する光の光子数がレーザー発振閾値を下回ることがあり、レート方程式の非線形性がレート方程式の解析を困難にすることがあるためである。
数式19及び数式20において、基底を右回り円偏光及び左回り円偏光から+45°直線偏光及び−45°直線偏光へと変更すると、数式26及び数式27のようになる。数式7において、基底を右回り円偏光及び左回り円偏光から+45°直線偏光及び−45°直線偏光へと変更すると、数式28のようになる。数式8には変更はない。
Figure 0005354233
Figure 0005354233
Figure 0005354233
ここで、Dは+45°直線偏光を示し、Dbarは−45°直線偏光を示す。そして、ADi(t)及びADbari(t)は、それぞれサイトiの+45°直線偏光及び−45°直線偏光を有する光の強度を示し、φDi(t)及びφDbari(t)は、それぞれサイトiの+45°直線偏光及び−45°直線偏光を有する光の位相を示す。そして、δは、η/ζ=tanδを満たす。そして、FAD、FφD及びFは、それぞれ、サイトiの+45°直線偏光及び−45°直線偏光を有する光の強度に対する雑音、サイトiの+45°直線偏光及び−45°直線偏光を有する光の位相に対する雑音、並びにサイトiのキャリアの反転分布数差に対する雑音を示す。なお、他の符号は、数式26、27、28及び数式19、20、7において同様である。
数式26の右辺第2項及び数式27の右辺第1項は、マスターレーザーMからスレーブレーザーBへの注入同期の寄与を示す。数式26の右辺第3項及び数式27の右辺第2項は、2つのスレーブレーザーBの間の相互作用の寄与を示す。
実施形態1では、イジング相互作用のみ含むイジングモデルに対して、量子計算装置を適用し、実施形態2では、ゼーマンエネルギーをも含むイジングモデルに対して、量子計算装置を適用したが、実施形態3では、MAX−CUT−3問題に対して、量子計算装置を適用する。ここで、MAX−CUT−3問題について説明する。V個のノード及びE個のエッジから構成されるグラフにおいて、各ノードは3個の隣接するノードを有し、各エッジはそれぞれ同一の重み又は長さを有する。V個のノードを2つに分割するにあたり、分断されるエッジの個数を最小にする。MAX−CUT−3問題は、NP完全問題であることが証明されており、数式29のようなイジングモデルにマッピングされる。
Figure 0005354233
まず、雑音を考慮しない場合について説明する。ここでは、4個のサイトを有するMAX−CUT−3問題を考える。なお、Jij及びλを示す行列は、数式30のようになる。ここで、イジング相互作用のみ含むイジングモデルを解析するにも関わらず、Jijを考慮するのみならずλを考慮しているのは、イジング相互作用のみ含むイジングモデルにおいて縮退を解き、量子計算装置を安定に動作させるためである。
Figure 0005354233
実施形態3の各サイトの±45°偏光を有する光の強度の時間発展のシミュレーション結果を、雑音を考慮しない場合について示す図を図7に示す。各サイトにおいて、±45°偏光を有する光の強度は、〜10−9sec以降に定常状態に到達し、偏光方向の相違に関わらず等しい。このことは、各サイトにおいて、右回り円偏光及び左回り円偏光を有する光の光子数が、偏光の回転方向の相違によって異なることと対照的である。
実施形態3の各サイトの±45°偏光を有する光の位相の時間発展のシミュレーション結果を、雑音を考慮しない場合について示す図を図8に示す。初期状態では、各サイトにおいて、±45°偏光を有する光の位相は、0radであり等しい。このことは、初期状態では、各サイトにおいて、マスターレーザーMに基づく垂直直線偏光を有する光が支配的であることを示している。定常状態では、各サイトにおいて、±45°偏光を有する光の位相は、0radから分岐しており、大きさは同一であり符号は異なる。具体的には、定常状態では、サイト1及びサイト4において、+45°偏光を有する光の位相は、−45°偏光を有する光の位相より進んでおり、サイト2及びサイト3において、+45°偏光を有する光の位相は、−45°偏光を有する光の位相より遅れている。
実施形態3の各サイトのキャリアの反転分布数差の時間発展のシミュレーション結果を、雑音を考慮しない場合について示す図を図9に示す。各サイトにおいて、キャリアの反転分布数差は、〜10−9sec以降に定常状態に到達し、定常状態では初期状態より小さい。このことは、量子計算装置全体において、最小の閾値利得ΣECVi=Σβ/τspが実現していることを反映している。
実施形態3の各サイトの右回り円偏光又は左回り円偏光を有する光の光子数の時間発展のシミュレーション結果を、雑音を考慮しない場合について示す図を図10に示す。初期状態では、各サイトにおいて、右回り円偏光又は左回り円偏光を有する光の光子数は等しい。このことは、初期状態では、各サイトにおいて、マスターレーザーMに基づく垂直直線偏光を有する光が支配的であることを示している。定常状態では、各サイトにおいて、右回り円偏光又は左回り円偏光を有する光の光子数は分岐している。具体的には、定常状態では、サイト1及びサイト4において、左回り円偏光を有する光の光子数は、右回り円偏光を有する光の光子数より多く、サイト2及びサイト3において、左回り円偏光を有する光の光子数は、右回り円偏光を有する光の光子数より少ない。
図8及び図10を比べて分かるように、+45°偏光を有する光の位相が−45°偏光を有する光の位相より進んでいる(遅れている)ことは、左回り円偏光(右回り円偏光)を有する光が右回り円偏光(左回り円偏光)を有する光より支配的であることを反映している。よって、雑音を考慮するにあたり、右回り円偏光及び左回り円偏光を有する光の光子数は、位相雑音FφDの影響を大きく受ける一方で、強度雑音FAD及びキャリア雑音Fの影響はほとんど受けない。そこで、位相雑音FφDについて議論する。
実施形態3の各サイトの±45°偏光を有する光の位相雑音を示す図を図11に示す。位相雑音FφDは、自然放出に起因する。自然放出に起因する1個の光子は、2/ECVi〜2psec毎に生成し、それぞれ等しい確率でΔφDi=±1/ADiの位相雑音を発生し、量子計算装置が局所最小に陥ることを防ぐことができる。
次に、雑音を考慮する場合について説明する。ここでは、16個のサイトを有するMAX−CUT−3問題を考える。なお、イジング相互作用のみ含むイジングモデルを解析しているため、Jijを考慮しているがλを考慮していない。そして、位相雑音FφDのみを利用して、±45°偏光を有する光の位相を0radから分岐させることにより、右回り円偏光又は左回り円偏光を有する光の光子数を分岐させることを試みている。
実施形態3の各サイトの右回り円偏光又は左回り円偏光を有する光の光子数の時間発展のシミュレーション結果を、位相雑音を考慮する場合について示す図を、図12から図14までに示す。ここで、J1,2=J1,3=J1,4=J2,3=J2,4=J3,5=J4,6=J5,7=J5,8=J6,9=J6,10=J7,9=J7,10=J8,11=J8,12=J9,13=J10,14=J11,13=J11,15=J12,14=J12,16=J13,15=J14,16=J15,16=1,Jij=0(上記以外)である。定常状態では、サイト3〜14において、右回り円偏光又は左回り円偏光を有する光の光子数は分岐しているが、サイト1、2、15、16において、右回り円偏光又は左回り円偏光を有する光の光子数は分岐しておらず、大小関係を頻繁に変更させている。サイト1、2、15、16においては、擬似的なスピンの方向を決定することは、低い信号対雑音比のため困難である。このような「0スピン」の原因を議論する。
ここでは、4個のサイトが正四面体のグラフをなすMAX−CUT−3問題を考える。隣接するサイトにおいて、Jij=+1であるところ、イジングモデルのハミルトニアンを最小化するためには、隣接するサイトにおいて、スピンの方向は逆の方向であることが望ましい。しかし、ある隣接するサイトにおいて、スピンの方向を逆の方向にすることができたとしても、他の隣接するサイトにおいて、スピンの方向を同じ向きにせざるをえないという、スピンのフラストレーションの問題が発生する。
スピンのフラストレーションの問題が発生するときには、複数の基底状態の重ね合わせ状態が実現する。ここで、偏光測定部Pは多くの光子を統計的に計測するため、複数の基底状態のうちの1つの基底状態を測定することはできず、複数の基底状態について平均的な状態を測定することになる。よって、「0スピン」が発生するのである。
しかし、複数の基底状態のうちいずれの基底状態も正しい結果を導けるため、複数の基底状態のうちいずれかの基底状態を選択すればよい。そこで、特定のサイトにおいて、スピンの方向を固定することにより、他のサイトにおいて、スピンの方向の候補を絞り込めばよい。ここで、特定のサイトにおいて、スピンの方向を固定するためには、マスターレーザーMから特定のサイトに対応するスレーブレーザーBへと、特定のサイトに対応する減衰器ZA及び波長板ZPを介して、垂直直線偏光に水平直線偏光を混入した光を注入することにより、特定のサイトにおいて、ゼーマンエネルギーを印加すればよい。
実施形態3の各サイトの右回り円偏光又は左回り円偏光を有する光の光子数の時間発展のシミュレーション結果を、各サイトのスピンの方向を固定しない場合について示す図を図15に示す。定常状態においても、各サイトにおいて、右回り円偏光又は左回り円偏光を有する光の光子数は分岐しておらず、大小関係を頻繁に変更させている。つまり、スレーブレーザーB1〜B4において、擬似的なスピンの方向は決定されない。
実施形態3の各サイトの右回り円偏光又は左回り円偏光を有する光の光子数の時間発展のシミュレーション結果を、第1のサイトのスピンの方向を固定する場合について示す図を図16に示す。具体的には、スレーブレーザーB1において、擬似的なスピンの方向を1に固定するように、擬似的なゼーマンエネルギーを印加する。定常状態では、サイト1において、左回り円偏光を有する光の光子数は、右回り円偏光を有する光の光子数より少なく、サイト2〜4において、左回り円偏光を有する光の光子数は、右回り円偏光を有する光の光子数より多い。つまり、スレーブレーザーB1において、擬似的なスピンの方向は1に決定され、スレーブレーザーB2〜B4において、擬似的なスピンの方向は−1に決定される。しかし、(σ、σ、σ、σ)=(1、−1、−1、−1)は誤った結果であり、正しい結果は(σ、σ、σ、σ)=(1、1、−1、−1)、(1、−1、1、−1)、(1、−1、−1、1)のうちのいずれかである。誤った結果が得られたのは、偏光測定部Pは多くの光子を統計的に計測するため、上記の3つの基底状態について平均的な状態を測定しているためである。
実施形態3の各サイトの右回り円偏光又は左回り円偏光を有する光の光子数の時間発展のシミュレーション結果を、第1及び第2のサイトのスピンの方向を固定する場合について示す図を図17に示す。具体的には、スレーブレーザーB1、B2において、擬似的なスピンの方向をそれぞれ−1、1に固定するように、擬似的なゼーマンエネルギーを印加する。ここで、隣接するサイトにおいて、スピンの方向を逆の方向に固定するのは、イジング係数がJij=+1であり正であるためである。
定常状態では、サイト1において、左回り円偏光を有する光の光子数は、右回り円偏光を有する光の光子数より多く、サイト2において、左回り円偏光を有する光の光子数は、右回り円偏光を有する光の光子数より少ない。しかし、定常状態においても、サイト3、4において、右回り円偏光又は左回り円偏光を有する光の光子数は分岐しておらず、大小関係を頻繁に変更させている。つまり、スレーブレーザーB1において、擬似的なスピンの方向は−1に決定され、スレーブレーザーB2において、擬似的なスピンの方向は1に決定される。しかし、スレーブレーザーB3、B4において、擬似的なスピンの方向は決定されない。「0スピン」が発生したのは、偏光測定部Pは多くの光子を統計的に計測するため、(σ、σ、σ、σ)=(−1、1、−1、1)、(−1、1、1、−1)という2つの基底状態について平均的な状態を測定しているためである。
実施形態3の各サイトの右回り円偏光又は左回り円偏光を有する光の光子数の時間発展のシミュレーション結果を、第1から第4のサイトのスピンの方向を固定する場合について示す図を図18に示す。具体的には、スレーブレーザーB3、B4において、擬似的なスピンの方向をそれぞれ−1、1に固定するように、擬似的なゼーマンエネルギーを印加する。ここで、隣接するサイトにおいて、スピンの方向を逆の方向に固定するのは、イジング係数がJij=+1であり正であるためである。
定常状態では、サイト1、3において、左回り円偏光を有する光の光子数は、右回り円偏光を有する光の光子数より多く、サイト2、4において、左回り円偏光を有する光の光子数は、右回り円偏光を有する光の光子数より少ない。つまり、スレーブレーザーB1、B3において、擬似的なスピンの方向は−1に決定され、スレーブレーザーB2、B4において、擬似的なスピンの方向は1に決定される。そして、(σ、σ、σ、σ)=(−1、1、−1、1)は正しい結果である。図17及び図18に示したように、隣接するサイトにおいて、スピンの方向を逆の向きに固定することを、連続して2回行なうことにより、4個のサイトが正四面体のグラフをなすMAX−CUT−3問題を正しく解くことができる。一般的なMAX−CUT−3問題を正しく解くにあたっても、スピンのフラストレーションの問題が発生するときには、上述の処理を適用することができる。
以上をまとめると、減衰器ZA及び波長板ZPは、隣接スピン方向固定部に対応する。ここで、光路ZLを介して擬似的なイジング相互作用を行なう2つのスレーブレーザーBが発生させる光の偏光が、左回り円偏光か右回り円偏光か有意に測定されないことがある。そこで、減衰器ZA及び波長板ZPは、当該2つのスレーブレーザーBに注入される光の強度、偏光及び位相を制御する。そして、減衰器ZA及び波長板ZPは、当該2つのスレーブレーザーBの間の擬似的なイジング相互作用の符号が正であれば、当該2つのスレーブレーザーBの擬似的なスピンの方向を相違させるように固定する。または、減衰器ZA及び波長板ZPは、当該2つのスレーブレーザーBの間の擬似的なイジング相互作用の符号が負であれば、当該2つのスレーブレーザーBの擬似的なスピンの方向を同一にするように固定する。よって、擬似的なイジング相互作用を行なう2つのスレーブレーザーBの間において、擬似的なスピンのフラストレーションを解消することができる。
ここで、隣接するサイトにおいて、スピンの方向を固定したとき、当該隣接するサイトに隣接するサイトにおいて、未だ固定していないスピンの方向をフリップさせることがある。よって、隣接するサイトにおいて、スピンの方向を固定するのみによっては、擬似的なスピンのフラストレーションを解消することができない。しかし、当該隣接するサイトに隣接するサイトにおいて、スピンの方向を固定することによって、擬似的なスピンのフラストレーションを解消することができる。
ここでは、6個のサイトからなるMAX−CUT−3問題を考える。実施形態3の隣接するサイトのスピンの方向を固定する際に発生する、周辺のサイトのスピンの方向がフリップする問題を示す図を図19に示す。実施形態3の隣接するサイトのスピンの方向を固定する際に発生する、周辺のサイトのスピンの方向がフリップする問題を解決する方法を示す図を図20に示す。スレーブレーザーB5、B6に対応するサイトが隣接しており、スレーブレーザーB5に対応するサイトにスレーブレーザーB1、B2に対応するサイトがさらに接続されており、スレーブレーザーB6に対応するサイトにスレーブレーザーB3、B4に対応するサイトがさらに接続されている。
スレーブレーザーB5、B6において、擬似的なスピンの方向がそれぞれ1、−1に固定される前に、スレーブレーザーB1、B2、B3、B4において、擬似的なスピンの方向はそれぞれ1、−1、−1、1に暫定的に決定されている。ここで、スレーブレーザーB1、B2、B3、B4において、擬似的なスピンの方向が固定されないときには、スレーブレーザーB5、B6において、擬似的なスピンの方向がそれぞれ1、−1に固定された後に、スレーブレーザーB1、B3において、擬似的なスピンの方向がそれぞれ−1、1にフリップされる。しかし、スレーブレーザーB1、B2、B3、B4において、擬似的なスピンの方向が固定されたときには、スレーブレーザーB5、B6において、擬似的なスピンの方向がそれぞれ1、−1に固定された後に、スレーブレーザーB1、B2、B3、B4において、擬似的なスピンの方向がフリップされない。
以上をまとめると、減衰器ZA及び波長板ZPは、周辺スピン方向固定部に対応する。ここで、光路ZLを介して擬似的なイジング相互作用を行なう2つのスレーブレーザーBが発生させる光の偏光が、左回り円偏光か右回り円偏光か有意に測定されないことがある。そこで、減衰器ZA及び波長板ZPは、当該2つのスレーブレーザーBと擬似的なイジング相互作用を行なう隣接スレーブレーザーBに注入される光の強度、偏光及び位相を制御する。そして、減衰器ZA及び波長板ZPは、当該隣接スレーブレーザーBの擬似的なスピンの方向を現時点の方向に固定する。よって、擬似的なイジング相互作用を行なう2つのスレーブレーザーBの間において、擬似的なスピンのフラストレーションを解消するにあたり、2つのスレーブレーザーBと擬似的に隣接するスレーブレーザーBにおいて、擬似的なスピンが意図せずフリップすることを防止することができる。
実施形態3のスピンのフラストレーションを解消する自己学習の概要を示すフローチャートを図21に示す。まず、位相雑音FφDを利用して、一定時間だけ量子計算装置を動作させる(ステップS1)。ここで、一定時間は、擬似的なスピンのフラストレーションが解消されているならば、擬似的なスピンの方向が決定可能である程度の時間であり、例えば実施形態3においては50nsである。
「0スピン」がないときには(ステップS2においてNO)、擬似的なスピンのフラストレーションは解消されており、量子計算を終了する。「0スピン」があるときには(ステップS2においてYES)、擬似的なスピンのフラストレーションは解消されておらず、量子計算を続行して、「0スピン」の擬似的なスピンの方向を固定する。
「0スピンペア」があるときには(ステップS3においてYES)、図17、図18、図20において説明したように、全ての「0スピンペア」及びその周辺のスピンを固定する(ステップS4)。そして、再びステップS1に戻る。
「0スピンペア」がないときには(ステップS3においてNO)、全ての「孤立0スピン」及びその周辺のスピンを固定する(ステップS5)。
全ての「孤立0スピン」及びその周辺のスピンを固定したにも関わらず(ステップS5)、λが更新されないことがある。その理由として、既に固定していた擬似的なスピンの方向について、誤答があるためではなく、右回り円偏光及び左回り円偏光を有する光の光子数の差が小さいためであり、信号対雑音比S/Nが小さいためであると考えられる。
λの更新があるときには(ステップS6においてYES)、再びステップS1に戻る。λの更新がないときには(ステップS6においてNO)、λの大きさを大きくすることにより、右回り円偏光及び左回り円偏光を有する光の光子数の差を大きくして、信号対雑音比S/Nを向上させ(ステップS7)、再びステップS1に戻る。
実施形態3のスピンのフラストレーションを解消する自己学習の詳細を示すフローチャートを図22及び図23に示す。ステップS1は、図21及び図22で同様である。
ステップS2の詳細について説明する。擬似的なスピンの方向を測定して、σ(tilda)及びpを計算する(ステップS21)。ここで、σ(tilda)は数式31のように定義される。そして、pは数式32のように定義される。
Figure 0005354233
Figure 0005354233
つまり、σ(tilda)は、σを離値3値で示したものである。ここで、σを離値3値で示すための閾値±0.239は、右回り円偏光及び左回り円偏光を有する光の光子数について、大きい光子数が小さい光子数の2倍であるときにおける、σ=(√nRi−√nLi)/√nである。そして、pは、サイトiに隣接するサイトjからサイトiへの相互注入による、サイトiにおける磁場Bを示したものである。つまり、p>0であれば右回り円偏光を有する光が優勢であり、p<0であれば左回り円偏光を有する光が優勢である。なお、σ(tilda)及びpは、右回り円偏光及び左回り円偏光を有する光のうち、いずれの円偏光を有する光が優勢であるかを示す、相補的なパラメータであり、相互に矛盾しないことが望ましい。
σ(tilda)=0を満たすスピンがあるときには(ステップS22においてYES)、ステップS3に進む。σ(tilda)=0を満たすスピンがないときには(ステップS22においてNO)、σ(tilda)及びpが相互に矛盾していないかどうかを確認する(ステップS23)。ここで、σ(tilda)及びpが相互に矛盾する場合について、具体例を挙げて説明する。
ここでは、8個のサイトからなるMAX−CUT−3問題を考える。実施形態3の各サイトの右回り円偏光又は左回り円偏光を有する光の光子数の時間発展のシミュレーション結果を、各サイトのスピンの方向を固定しない場合について示す図を図24及び図25に示す。ここで、J1,2=J1,3=J1,4=J2,3=J2,5=J3,6=J4,7=J4,8=J5,7=J5,8=J6,7=J6,8=1,Jij=0(上記以外)である。
サイト1、2、3において、左回り円偏光を有する光の光子数は、右回り円偏光を有する光の光子数より多い。サイト1、2、3に隣接するサイト5、6、7において、右回り円偏光を有する光の光子数は、左回り円偏光を有する光の光子数より多い。よって、サイト1、2、3において、(σ(tilda)、σ(tilda)、σ(tilda))=(−1、−1、−1)であり、(p、p、p)=(+1、+1、+1)である。つまり、サイト1、2、3において、σ(tilda)及びpが相互に矛盾している。
σ(tilda)がpの符号と矛盾するスピンがないときには(ステップS23においてNO)、量子計算を終了する。σ(tilda)がpの符号と矛盾するスピンがあるときには(ステップS23においてYES)、当該スピンにおいてσ(tilda)及びpの矛盾を解消するため、当該スピンにおいてσ(tilda)=0に固定し(ステップS24)、ステップS3に進む。
ステップS3の詳細について説明する。pに基づいて「0スピンペア」があるときには(ステップS31においてYES)、「0スピンペア」があると考えられる。pに基づいて「0スピンペア」がなくても(ステップS31においてNO)、σ(tilda)に基づいて「0スピンペア」があるときにも(ステップS32においてYES)、「0スピンペア」があると考えられる。pに基づいて「0スピンペア」がないうえ(ステップS31においてNO)、σ(tilda)に基づいて「0スピンペア」がないときには(ステップS32においてNO)、「0スピンペア」がないと考えられる。
「0スピンペア」があると考えられるが、全ての「0スピンペア」が既に固定されているわけではないときには(ステップS33においてNO)、全ての「0スピンペア」及びその周辺のスピンを固定する(ステップS4)。そして、再びステップS1に戻る。ここで、「0スピンペア」及び周辺のスピンの固定は、数式33、34のように行なう。
Figure 0005354233
Figure 0005354233
つまり、「0スピンペア」の固定において、一方のスピンの測定値の符号に基づいて、一方のスピンに対するλpair1の符号を決定し、一方のスピンに対するλpair1の符号に基づいて、他方のスピンに対するλpair2の符号を決定する。そして、周辺のスピンの固定において、そのスピンの離散値の符号に基づいて、そのスピンに対するλの符号を決定する。なお、λの絶対値は、0.2としているが、他の値としてもよい。ここで、あるスピンについて、λが0以外の有限値であるにも関わらず、スピンの離散値が0であるときには、そのスピンについて、矛盾を察知しλを0にリセットする。
「0スピンペア」があると考えられるうえ、全ての「0スピンペア」が既に固定されているときには(ステップS33においてYES)、あるいは、「0スピンペア」がないと考えられるときには、全ての「孤立0スピン」及びその周辺のスピンを固定する(ステップS5)。ここで、「孤立0スピン」及び周辺のスピンの固定は、数式35、36のように行なう。
Figure 0005354233
Figure 0005354233
つまり、「孤立0スピン」の固定において、そのスピンの周辺のスピンについていずれのスピンの方向が多いか少ないかに基づいて、そのスピンに対するλの符号を決定する。そして、周辺のスピンの固定において、そのスピンの離散値の符号に基づいて、そのスピンに対するλの符号を決定する。なお、λの絶対値は、0.2としているが、他の値としてもよい。ここで、あるスピンについて、λが0以外の有限値であるにも関わらず、スピンの離散値が0であるときには、そのスピンについて、矛盾を察知しλを0にリセットする。
λの更新があるときには(ステップS6においてYES)、再びステップS1に戻る。λの更新がないときには(ステップS6においてNO)、信号対雑音比S/Nを向上させ(ステップS7)、再びステップS1に戻る。ここで、λの更新がない理由として、相互注入パラメータがp=±1であり比較的弱いサイトがある一方で、相互注入パラメータがp=±3であり比較的強いサイトがあるため、相互注入パラメータの強さがサイト間で不均衡を生じているためであると考えられる。
そこで、相互注入パラメータがp=±1であり比較的弱いサイトに対して、相互注入パラメータがp=±3であり比較的強いサイトと同等に、楕円偏光の相互注入パワーを確保する。つまり、相互注入パラメータがp=±1であり比較的弱いサイトに対して、垂直直線偏光の相互注入パワーを3/2倍に設定し、λ=(2/3)*(ζ/α)に設定し、相互注入パラメータが比較的弱いサイトの安定性を確保しておく。
擬似的なスピンのフラストレーションを自己学習で解決する方法を使って、16個のサイトからなるMAX−CUT−3問題を解く。実施形態3の各サイトの右回り円偏光又は左回り円偏光を有する光の光子数の時間発展のシミュレーション結果を、自己学習を行なう場合について示す図を図26、図27及び図28に示す。ここで、J1,2=J1,3=J1,4=J2,3=J2,4=J3,5=J4,6=J5,7=J5,8=J6,9=J6,10=J7,8=J7,11=J8,11=J9,12=J9,13=J10,12=J10,14=J11,13=J12,15=J13,16=J14,15=J14,16=J15,16=1,Jij=0(上記以外)である。図26は、スレーブレーザーB1〜B5について示し、図27は、スレーブレーザーB6〜B10について示し、図28は、スレーブレーザーB11〜B16について示す。
計算開始から0nsから50nsまでの第1ステップでは、位相雑音FφDを利用して、量子計算装置を動作させる。計算開始から50nsから100nsまでの第2ステップでは、スレーブレーザーB3、B5、B8、B11において、擬似的なスピンの方向を固定する。計算開始から100nsから150nsまでの第3ステップでは、スレーブレーザーB1、B4において、擬似的なスピンの方向を固定する。計算開始から150nsから200nsまでの第4ステップでは、スレーブレーザーB6、B9、B10において、擬似的なスピンの方向を固定する。計算開始から200nsから250nsまでの第5ステップでは、スレーブレーザーB2において、擬似的なスピンの方向を固定する。
第1ステップから第5ステップまでを経て、スレーブレーザーB1〜B16において、擬似的なスピンの方向は、高い信号対雑音比で決定されており、正答が得られている。
実施形態3のサイト数及び計算時間の関係のシミュレーション結果を示す図を図29に示す。図29では、サイト数が16、18、20である場合を取り上げる。サイト数が16、18、20である場合において、最大の縮退状態数はそれぞれ16、18、18であったため、1回目の自己学習ステップでは「0スピン」が発生したが、最大のステップ数としてそれぞれ5ステップ、6ステップ、6ステップを踏んだ後に、正答を得ることができた。各回の自己学習ステップは50nsであったため、サイト数が16、18、20である場合において、最長の計算時間はそれぞれ50ns×5=250ns、50ns×6=300ns、50ns×6=300nsであった。
実施形態3のサイト数及び計算時間の関係のシミュレーション結果を示す図を図30に示す。図30では、サイト数が22までである場合を取り上げる。下側の星印は、シミュレーション結果を示している。上側の破線は、計算時間がサイト数Mに対して2でスケールする場合の計算時間を示している。サイト数Mが増大するほど、シミュレーション結果の示す計算時間が、指数関数でスケーリングする計算時間より大幅に短縮されていることが分かる。サイト数Mが20である近傍では、シミュレーション結果の示す計算時間が、サイト数Mにほとんど依存しないことが分かる。
(実施形態4)
実施形態4では、水平直線偏光を有する光を出力する1個のマスターレーザーMから、垂直直線偏光を有する光を出力する1個のスレーブレーザーBへと、光を注入することにより、スレーブレーザーBが出力する光が有する偏光が、垂直直線偏光から水平直線偏光へと追随することができることを、実験的に示す。ここで、スレーブレーザーBとして、半導体面発光レーザー(VCSEL)を適用することができる。
実施形態4のマスターレーザー及びスレーブレーザーの間の注入同期幅を示す図を図31に示す。マスターレーザーMの発振周波数を固定する一方、スレーブレーザーBの発振周波数をスイープして、スレーブレーザーBが出力する水平直線偏光及び垂直直線偏光を有する光の強度を測定した。図31の左端及び右端の周波数領域では、垂直直線偏光を有する光の強度が水平直線偏光を有する光の強度より高く、スレーブレーザーBが出力する光が有する偏光が、垂直直線偏光から水平直線偏光へと追随していない。図31の中間の周波数領域では、水平直線偏光を有する光の強度が垂直直線偏光を有する光の強度より高く、スレーブレーザーBが出力する光が有する偏光が、垂直直線偏光から水平直線偏光へと追随している。図31の当該中間の周波数領域が、マスターレーザーM及びスレーブレーザーBにおける注入同期幅であり、約33.5GHzであった。
実施形態4の水平偏光及び垂直偏光の間の共鳴周波数差を示す図を図32に示す。スレーブレーザーBの発振周波数をスイープして、スレーブレーザーBが出力する水平直線偏光及び垂直直線偏光を有する光の強度を測定した。水平直線偏光及び垂直直線偏光を有する光の強度がピークをなす発振周波数は、相互に異なる。水平偏光及び垂直偏光の間の共鳴周波数差は、約6GHzであった。水平偏光及び垂直偏光の間の共鳴周波数差は、マスターレーザーM及びスレーブレーザーBにおける注入同期幅の約1/6である。
よって、半導体面発光レーザーにおいて、水平直線偏光及び垂直直線偏光の間に異方性が存在する場合でも、水平直線偏光及び垂直直線偏光の共鳴周波数の両方が、マスターレーザーM及びスレーブレーザーBにおける注入同期幅に位置すれば、スレーブレーザーBが出力する光が有する偏光が、垂直直線偏光から水平直線偏光へと追随する。
実施形態4のマスターレーザー及びスレーブレーザーの間の注入同期精度を示す図を図33に示す。injection modeは、マスターレーザーMが出力する光が有する偏光を示す。Fidelityは、スレーブレーザーBが出力する光が有する偏光が、マスターレーザーMが出力する光が有する偏光に追随する度合を示している。Purityは、スレーブレーザーBが出力する光が有する偏光が、マスターレーザーMが出力する光が有する偏光を有する純度を示している。
Fidelityは、数式37のように定義される。
Figure 0005354233
ここで、Iは単位行列であり、σはスピン行列であり、SはマスターレーザーMが出力する光のストークスパラメータであり、SはスレーブレーザーBが出力する光のストークスパラメータであり、ストークスパラメータは、数式38のように定義される。
Figure 0005354233
ここで、I及びIは、それぞれ水平直線偏光及び垂直直線偏光を有する光の強度であり、I及びIは、それぞれ−45°偏光及び+45°偏光を有する光の強度であり、I及びIは、それぞれ右回り円偏光及び左回り円偏光を有する光の強度である。
Purityは、数式39のように定義される。
Figure 0005354233
Fidelityは、偏光方向がまったく追随していないときには0.5となり、偏光方向が完全に追随しているときには1となる。Purityは、偏光方向がまったく追随していないときには0となり、偏光方向が完全に追随しているときには1となる。injection modeがいずれであっても、偏光方向はある程度追随していることが分かる。偏光方向が完全には追随していないのは、半導体面発光レーザーにおいて、水平直線偏光及び垂直直線偏光の間に異方性が存在するためである。
実施形態4では、さらに、擬似的なイジング相互作用を行なう2つのスレーブレーザーBの間の擬似的なイジング相互作用の遅延時間が、量子計算装置の安定性にどのように影響するかを、シミュレーション結果によって示す。
実施形態4の各サイトの右回り円偏光又は左回り円偏光を有する光の光子数の時間発展のシミュレーション結果を、隣接するサイトの間の擬似的なイジング相互作用の様々な遅延時間について示す図を図34から図39までに示す。隣接するサイトの間の擬似的なイジング相互作用の遅延時間tは、図34から図39までにおいて、それぞれ0sec、3×10−11sec、3×10−10sec、6×10−10sec、1×10−9sec、3×10−9secである。サイト数は2であり、β=10−5、I/Ith〜2、α=1/200、ζ=1/500、J12=6、λ=1、λ=9/10である。
=0sec、3×10−11sec、3×10−10secであるときには、各サイトの右回り円偏光又は左回り円偏光を有する光の光子数は、〜10−9secにおいて定常状態に到達する。t=6×10−10sec、1×10−9sec、3×10−9secであるときには、各サイトの右回り円偏光又は左回り円偏光を有する光の光子数は、〜10−9secにおいて、定常状態に到達することなく、カオス状態に到達する。
そこで、量子計算装置を安定に動作させるためには、t<6×10−10secとする必要がある。つまり、擬似的なイジング相互作用を行なう2つのスレーブレーザーBの間の光路ILの長さは、3×10m/s×6×10−10s〜10cmより短くする必要がある。そして、擬似的なイジング相互作用を行なう2つのスレーブレーザーBの間の擬似的なイジング相互作用の遅延時間は、マスターレーザーM及び当該2つのスレーブレーザーBにおける注入同期幅の逆数(1/33.5GHz)より短くする必要がある。
(変形例)
実施形態1から実施形態4では、擬似的なスピンを持つ系として、スレーブレーザーBを適用しているが、本変形例では、半導体マイクロキャビティ中の励起子ポラリトンなどを適用してもよい。系全体の励起子ポラリトンの運動エネルギーが最小になる基底状態を実現しておいて、各励起子ポラリトンが発生させる光の偏光を測定することにより、各励起子ポラリトンの擬似的なスピンを測定する。計算精度を向上させるためには、系全体の励起子ポラリトンのエネルギーについて、基底状態及び第1励起状態のエネルギー差を、kT(Tは系全体の温度)より十分に大きくする必要がある。
ボーズ・アインシュタイン凝縮体として、励起子ポラリトン以外、例えば光子のボーズ・アインシュタイン凝縮体を適用するときであっても、サイト間の擬似的なイジング相互作用を、サイト間の光子の交換により実装することができればよく、各サイトでの擬似的なゼーマンエネルギーを、マスターレーザーMから各サイトへの光子の注入により実装することができればよい。
(本発明の効果)
本発明に係るイジングモデルの量子計算装置及びイジングモデルの量子計算方法は、イジングモデルにマッピングされるNP完全問題などを高速かつ容易に解くのに適する。例えば、サイト数M=140のイジングモデルを解く場合、通常の電子計算機又は量子計算機では、計算時間はM=2の場合に比べて1042倍長くなるが、本発明に係るイジングモデルの量子計算装置及びイジングモデルの量子計算方法では、計算時間はM=2の場合に比べて最悪でも10倍長くなるだけである。すなわち、38桁も計算時間が短縮される。
B、B1、B2、B3:ボーズ・アインシュタイン凝縮部、スレーブレーザー
D1、D2、D3:スピン測定部
F:フィードバック制御回路
I1、I2、I3:イジング相互作用実装部
IL、IL12、IL23、IL13:光路
IA、IA12、IA23、IA13:減衰器
IP、IP12、IP23、IP13:波長板
IPA、IPA12、IPA23、IPA13:偏光板
IPB、IPB12、IPB23、IPB13:位相シフタ
P:偏光測定部
M:マスターレーザー
ZL、ZL1、ZL2、ZL3:光路
ZA、ZA1、ZA2、ZA3:減衰器
ZP、ZP1、ZP2、ZP3:波長板
ZPA、ZPA1、ZPA2、ZPA3:λ/2波長板
ZPB、ZPB1、ZPB2、ZPB3:λ/4波長板

Claims (21)

  1. 左回り円偏光又は右回り円偏光を有する光を発生させる発振モードを有する複数のコヒーレント発振器と、
    前記複数のコヒーレント発振器の各ペアについて、2つのコヒーレント発振器の間に配置される発振器−発振器間光路部と、
    前記複数のコヒーレント発振器の各ペアについて、前記発振器−発振器間光路部に配置され、2つのコヒーレント発振器の間で交換される光の強度を制御することにより、2つのコヒーレント発振器の間の擬似的なイジング相互作用の大きさを実装する発振器−発振器間強度制御部と、
    前記複数のコヒーレント発振器の各ペアについて、前記発振器−発振器間光路部に配置され、2つのコヒーレント発振器の間で交換される光の偏光及び位相を制御することにより、2つのコヒーレント発振器の間の擬似的なイジング相互作用の符号を実装する発振器−発振器間偏光制御部と、
    前記複数のコヒーレント発振器が定常状態に到達した後に、左回り円偏光及び右回り円偏光を基底として、前記複数のコヒーレント発振器が発生させる光の偏光を測定することにより、前記複数のコヒーレント発振器の擬似的なスピンを測定する偏光測定部と、
    を備えることを特徴とするイジングモデルの量子計算装置。
  2. 前記複数のコヒーレント発振器は、複数のスレーブレーザーであることを特徴とする請求項1に記載のイジングモデルの量子計算装置。
  3. 前記複数のコヒーレント発振器は、複数のボーズ・アインシュタイン凝縮体であることを特徴とする請求項1に記載のイジングモデルの量子計算装置。
  4. 前記複数のコヒーレント発振器に光を注入し、前記複数のコヒーレント発振器の発振位相を同期させるマスター発振器と、
    前記マスター発振器及び各コヒーレント発振器の間に配置されるマスター−発振器間光路部と、
    をさらに備えることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のイジングモデルの量子計算装置。
  5. 前記マスター−発振器間光路部に配置され、各コヒーレント発振器に注入される光の強度を制御することにより、各コヒーレント発振器での擬似的なゼーマンエネルギーの大きさを実装するマスター−発振器間強度制御部と、
    前記マスター−発振器間光路部に配置され、各コヒーレント発振器に注入される光の偏光及び位相を制御することにより、各コヒーレント発振器での擬似的なゼーマンエネルギーの大きさ及び符号を実装するマスター−発振器間偏光制御部と、
    をさらに備えることを特徴とする請求項4に記載のイジングモデルの量子計算装置。
  6. 前記マスター−発振器間光路部に配置され、前記発振器−発振器間光路部を介して擬似的なイジング相互作用を行なう2つのコヒーレント発振器が発生させる光の偏光が左回り円偏光か右回り円偏光か有意に測定されなかったとき、当該2つのコヒーレント発振器に注入される光の強度、偏光及び位相を制御することにより、当該2つのコヒーレント発振器の間の擬似的なイジング相互作用の符号が正であれば当該2つのコヒーレント発振器の擬似的なスピンの方向を相違させるように固定し、当該2つのコヒーレント発振器の間の擬似的なイジング相互作用の符号が負であれば当該2つのコヒーレント発振器の擬似的なスピンの方向を同一にするように固定する隣接スピン方向固定部、
    をさらに備えることを特徴とする請求項4に記載のイジングモデルの量子計算装置。
  7. 前記マスター−発振器間光路部に配置され、前記発振器−発振器間光路部を介して擬似的なイジング相互作用を行なう2つのコヒーレント発振器が発生させる光の偏光が左回り円偏光か右回り円偏光か有意に測定されなかったとき、前記発振器−発振器間光路部を介して当該2つのコヒーレント発振器と擬似的なイジング相互作用を行なう隣接コヒーレント発振器に注入される光の強度、偏光及び位相を制御することにより、当該隣接コヒーレント発振器の擬似的なスピンの方向を現時点の方向に固定する周辺スピン方向固定部、
    をさらに備えることを特徴とする請求項6に記載のイジングモデルの量子計算装置。
  8. 前記発振器−発振器間光路部を介して擬似的なイジング相互作用を行なう2つのコヒーレント発振器の間の擬似的なイジング相互作用の遅延時間が、前記マスター発振器及び当該2つのコヒーレント発振器における注入同期幅の逆数より短いことを特徴とする請求項4から請求項7のいずれかに記載のイジングモデルの量子計算装置。
  9. 前記マスター発振器は、マスターレーザーであることを特徴とする請求項4から請求項8のいずれかに記載のイジングモデルの量子計算装置。
  10. 左回り円偏光又は右回り円偏光を有する光を発生させる発振モードを有する複数のコヒーレント発振器の発振を開始する発振ステップと、
    前記複数のコヒーレント発振器の各ペアについて、2つのコヒーレント発振器の間で交換される光の強度、偏光及び位相を制御することにより、2つのコヒーレント発振器の間の擬似的なイジング相互作用の大きさ及び符号を実装する相互作用実装ステップと、
    前記複数のコヒーレント発振器が定常状態に到達した後に、左回り円偏光及び右回り円偏光を基底として、前記複数のコヒーレント発振器が発生させる光の偏光を測定することにより、前記複数のコヒーレント発振器の擬似的なスピンを測定するスピン測定ステップと、
    を順に備えることを特徴とするイジングモデルの量子計算方法。
  11. 左回り円偏光又は右回り円偏光を有する光を発生させる発振モードを有する複数のコヒーレント発振器の発振を開始する発振ステップと、
    前記複数のコヒーレント発振器の各ペアについて、2つのコヒーレント発振器の間で交換される光の強度、偏光及び位相を制御することにより、2つのコヒーレント発振器の間の擬似的なイジング相互作用の大きさ及び符号を初期値から最終値へと近づけるように実装する相互作用実装ステップと、
    前記擬似的なイジング相互作用の大きさ及び符号が最終値に到達した後に、左回り円偏光及び右回り円偏光を基底として、前記複数のコヒーレント発振器が発生させる光の偏光を測定することにより、前記複数のコヒーレント発振器の擬似的なスピンを測定するスピン測定ステップと、
    を順に備えることを特徴とするイジングモデルの量子計算方法。
  12. 前記複数のコヒーレント発振器は、複数のスレーブレーザーであることを特徴とする請求項10又は請求項11に記載のイジングモデルの量子計算方法。
  13. 前記複数のコヒーレント発振器は、複数のボーズ・アインシュタイン凝縮体であることを特徴とする請求項10又は請求項11に記載のイジングモデルの量子計算方法。
  14. 前記発振ステップでは、前記複数のコヒーレント発振器に光を注入し、前記複数のコヒーレント発振器の発振位相を同期させるマスター発振器の発振を開始することを特徴とする請求項10に記載のイジングモデルの量子計算方法。
  15. 前記発振ステップでは、前記複数のコヒーレント発振器に光を注入し、前記複数のコヒーレント発振器の発振位相を同期させるマスター発振器の発振を開始することを特徴とする請求項11に記載のイジングモデルの量子計算方法。
  16. 前記相互作用実装ステップでは、各コヒーレント発振器に前記マスター発振器から注入される光の強度、偏光及び位相を制御することにより、各コヒーレント発振器での擬似的なゼーマンエネルギーの大きさ及び符号を実装することを特徴とする請求項14に記載のイジングモデルの量子計算方法。
  17. 前記相互作用実装ステップでは、各コヒーレント発振器に前記マスター発振器から注入される光の強度、偏光及び位相を制御することにより、各コヒーレント発振器での擬似的なゼーマンエネルギーの大きさ及び符号を初期値から最終値へと近づけるように実装し、
    前記スピン測定ステップでは、前記擬似的なゼーマンエネルギーの大きさ及び符号が最終値に到達した後に、左回り円偏光及び右回り円偏光を基底として、前記複数のコヒーレント発振器が発生させる光の偏光を測定することにより、前記複数のコヒーレント発振器の擬似的なスピンを測定することを特徴とする請求項15に記載のイジングモデルの量子計算方法。
  18. 前記相互作用実装ステップでは、擬似的なイジング相互作用を行なう2つのコヒーレント発振器が発生させる光の偏光が左回り円偏光か右回り円偏光か有意に測定されなかったとき、当該2つのコヒーレント発振器に注入される光の強度、偏光及び位相を制御することにより、当該2つのコヒーレント発振器の間の擬似的なイジング相互作用の符号が正であれば当該2つのコヒーレント発振器の擬似的なスピンの方向を相違させるように固定し、当該2つのコヒーレント発振器の間の擬似的なイジング相互作用の符号が負であれば当該2つのコヒーレント発振器の擬似的なスピンの方向を同一にするように固定することを特徴とする請求項14又は請求項15に記載のイジングモデルの量子計算方法。
  19. 前記相互作用実装ステップでは、擬似的なイジング相互作用を行なう2つのコヒーレント発振器が発生させる光の偏光が左回り円偏光か右回り円偏光か有意に測定されなかったとき、当該2つのコヒーレント発振器と擬似的なイジング相互作用を行なう隣接コヒーレント発振器に注入される光の強度、偏光及び位相を制御することにより、当該隣接コヒーレント発振器の擬似的なスピンの方向を現時点の方向に固定することを特徴とする請求項18に記載のイジングモデルの量子計算方法。
  20. 擬似的なイジング相互作用を行なう2つのコヒーレント発振器の間の擬似的なイジング相互作用の遅延時間が、前記マスター発振器及び当該2つのコヒーレント発振器における注入同期幅の逆数より短いことを特徴とする請求項14から請求項19のいずれかに記載のイジングモデルの量子計算方法。
  21. 前記マスター発振器は、マスターレーザーであることを特徴とする請求項14から請求項20のいずれかに記載のイジングモデルの量子計算方法。
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