JP5354232B2 - 作動ガス循環型エンジン - Google Patents

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Description

本発明は、燃焼室に、燃料と、酸素と、作動ガスと、を供給して同燃料を燃焼させるとともに、同燃焼室から排出された排ガス中の作動ガスを同燃焼室に循環(再供給)する作動ガス循環型エンジンに関する。
従来から、燃焼室に燃料と酸素と作動ガスとを供給して同燃料を燃焼させるとともに、同燃焼室から排出された排ガス中の作動ガスを同燃焼室に循環経路(循環通路部)を通して循環させる作動ガス循環型エンジンが提案されている。作動ガスとしては、例えば、アルゴン、ヘリウム等の、比熱比が大きい不活性ガスを用いることが望ましいことも知られている。かかる比熱比が大きいガスを作動ガスとして用いるエンジンは、比較的小さい比熱比を有するガス(例えば、空気、窒素等)を作動ガスとして用いるエンジンと比較して、より高い熱効率で運転され得る。
上記のような作動ガス循環型エンジンの排ガス中には、燃料(例えば、水素、天然ガス等)の燃焼によって生ずる生成物(以降、「燃焼生成物」とも称する。例えば、水蒸気(HO)、二酸化炭素(CO)等)と作動ガス(例えば、アルゴン、ヘリウム等)とが含まれる。これらの中で、特に水蒸気は3原子分子のガスであり、アルゴン、ヘリウム等の単原子の不活性ガスのみならず、空気や窒素と比較しても、比熱比がより小さい(図1参照)。従って、このように低い比熱比を有する水蒸気を含む排ガスを、そのまま燃焼室に再供給すると、作動ガス全体としての比熱比が低下し、結果としてエンジンの熱効率が低下してしまう。
そこで、従来の作動ガス循環型水素エンジンは、作動ガスの比熱比が低下しないように、排ガスから水蒸気(HO)を凝縮器によって分離・除去し、水蒸気(HO)が除去されたガスを燃焼室に再供給するように構成されている(例えば、特許文献1及び特許文献2を参照)。
特開2008−8247号公報 特開2008−64018号公報
前述のように、作動ガス循環型エンジンにおいては、燃焼室に再供給される作動ガス(循環ガス)に含まれる水蒸気を可能な限り取り除いて、作動ガスの比熱比が低下しないようにする必要がある。しかしながら、凝縮器においては排ガスを冷却して水蒸気を凝縮分離するので、ガスの温度に対応した飽和水蒸気量に相当する量の水蒸気が作動ガス中に必ず残ってしまう。従って、例えば、エンジンの暖機や外気温の上昇等に起因する凝縮器の冷却水の温度上昇等の理由により凝縮器におけるガスの温度(冷却温度)が高くなると、ガス中に残留する水蒸気の量が増加してしまう(図2参照)。その結果、残留水蒸気の影響により作動ガスの比熱比が低下し、エンジンの熱効率が悪化してしまう(図3参照)。
従って、作動ガス循環型エンジンにおいては、凝縮器における、循環ガスに含まれる水蒸気の凝縮分離性能を向上させることにより、エンジンの熱効率を更に向上させる必要がある。即ち、本発明は、かかる課題に対処するために為されたものであり、その目的は、作動ガス循環型エンジンにおいて、燃焼後の排ガスに含まれる水蒸気を、従来技術と比較して、より高い効率で分離・除去し、残留水蒸気の影響により作動ガスの比熱比が低下し、エンジンの熱効率が悪化することを防止することにある。
本発明の上記目的は、
燃焼室に連通した吸気ポートと同燃焼室に連通した排気ポートとを同燃焼室の外部において接続する循環通路部を備え、同燃焼室に燃料と酸素と作動ガスとを供給して同燃焼室において同燃料を燃焼させるとともに、同燃焼室から同排気ポートを通して排出される排ガスに含まれる作動ガスを同循環通路部及び同吸気ポートを通して同燃焼室に供給する作動ガス循環型エンジンであって、
前記循環通路部に介装されるとともに入口部及び出口部を有する水蒸気凝縮手段であって、前記循環通路部から同入口部を通して流入するガスに含まれる水蒸気を凝縮させることにより同入口部を通して流入するガスから同水蒸気を除去したガスを同出口部から前記循環通路部へと排出する水蒸気凝縮手段と、
前記水蒸気凝縮手段に流入するガスの圧力を調整するガス圧調整手段と、
を備える作動ガス循環型エンジンによって達成される。
本発明によれば、作動ガス循環型エンジンにおいて、燃焼後の排ガスに含まれる水蒸気を、従来技術と比較して、より高い効率で分離・除去することができるので、残留水蒸気の影響により作動ガスの比熱比が低下して、エンジンの熱効率が悪化することを防止することができる。
種々のガスの比熱比を比較するグラフである。 温度に対する飽和水蒸気量の関係を表すグラフである。 種々の比熱比を有する作動ガスを使用するエンジンにおける圧縮比に対する理論熱効率の関係を表すグラフである。 本発明の1つの実施態様に係る作動ガス循環型エンジンを含むシステムの構成を表す概略図である。 本発明のもう1つの実施態様に係る作動ガス循環型エンジンを含むシステムの構成を表す概略図である。 図5に示す実施態様に係る作動ガス循環型エンジンを含むシステムにおける循環ガスの圧力の制御を表すフローチャートである。 種々の圧力における圧力露点と大気圧露点との関係を表すグラフである。 本発明のもう1つの実施態様に係る作動ガス循環型エンジンを含むシステムの構成を表す概略図である。
前述のように、本発明は、作動ガス循環型エンジンにおいて、燃焼後の排ガスに含まれる水蒸気を、従来技術と比較して、より高い効率で分離・除去し、残留水蒸気の影響により作動ガスの比熱比が低下して、エンジンの熱効率が悪化することを防止することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究の結果、作動ガス循環型エンジンにおいて燃焼室に再供給される作動ガス(循環ガス)に含まれる水蒸気を、従来技術における限界である循環ガスの温度に対応した飽和水蒸気量に相当する量よりも少ないレベルにまで分離・除去することができる有効な方策を見出し、本発明を想到するに至ったものである。
即ち、本発明の第1態様は、
燃焼室に連通した吸気ポートと同燃焼室に連通した排気ポートとを同燃焼室の外部において接続する循環通路部を備え、同燃焼室に燃料と酸素と作動ガスを供給して同燃焼室において同燃料を燃焼させるとともに、同燃焼室から同排気ポートを通して排出される排ガスに含まれる作動ガスを同循環通路部及び同吸気ポートを通して同燃焼室に供給する作動ガス循環型エンジンであって、
前記循環通路部に介装されるとともに入口部及び出口部を有する水蒸気凝縮手段であって、前記循環通路部から同入口部を通して流入するガスに含まれる水蒸気を凝縮させることにより同入口部を通して流入するガスから同水蒸気を除去したガスを同出口部から前記循環通路部へと排出する水蒸気凝縮手段と、
前記水蒸気凝縮手段に流入するガスの圧力を検出するガス圧検出手段と、
前記ガス圧検出手段によって検出される圧力を調整するガス圧調整手段と、
を備える作動ガス循環型エンジンである。
上記作動ガス循環型エンジンは、燃焼室に燃料と酸素と作動ガスとを供給して同燃料を燃焼させるとともに、同燃焼室から排出された排ガス中の作動ガスを同燃焼室に循環経路(循環通路部)を通して循環させる(再供給する)エンジンである。また、同エンジンにおいては、循環通路部に介装される水蒸気凝縮手段に流入する循環ガスの圧力が高められ、燃焼室に再供給される作動ガス(循環ガス)に含まれる水蒸気が効率良く分離・除去される。即ち、本発明は、燃焼生成物として水(水蒸気)を生ずる燃料を用いる作動ガス循環型エンジンに広く適用することができる。
上記作動ガスとしては、例えば、空気や窒素等の、種々のガスを用いることができるが、例えば、アルゴン、ヘリウム等の、比熱比が大きい不活性ガスを用いることが望ましい。かかる比熱比が大きいガスを作動ガスとして用いる場合、比較的小さい比熱比を有するガス(例えば、空気、窒素等)を作動ガスとして用いる場合と比較して、より高い熱効率でエンジンを運転することができる。
上記燃料としては、例えば、ガソリン、軽油、天然ガス、プロパン、水素等の、種々の燃料を用いることができる。但し、上記のように、本発明は、燃焼生成物として水(水蒸気)を生ずる燃料を用いる作動ガス循環型エンジンにおいて、循環ガスに含まれる水蒸気を効率良く分離・除去しようとするものである。従って、上記燃料としては、燃焼生成物として、水蒸気(HO)を生ずるものが想定される。
上記燃料は、上記エンジンの運転状態における燃料の相(例えば、液相、気相等)に応じた構成を有する燃料貯蔵部(例えば、タンク、ボンベ等)に貯蔵することができる。また、上記燃料は、同燃料貯蔵部から、例えば、同エンジンの燃焼室内に直接噴射(所謂「筒内噴射」)しても、又は同エンジンの吸気ポート内に噴射する等して作動ガスと予め混合してもよい。
かかる燃料噴射を行う噴射手段は、例えば、後述する電子制御装置からの指示信号に応答して噴射口を弁体により開閉し、同噴射口が同弁体により開かれた際に同噴射手段に供給されている燃料の圧力により燃料を噴射する噴射弁であってよい。更に、燃料の噴射に用いられる圧力は、例えば、燃料が気相にある場合の燃料貯蔵部としての燃料タンク内の燃料ガスの圧力に基づくものであってもよく、例えば、燃料の圧力を高めるための圧縮機(例えば、コンプレッサ、ポンプ等)によって高められた燃料の圧力に基づくものであってもよい。更にまた、燃料の噴射に用いられる圧力は、燃料貯蔵部と噴射手段との間に介装された燃料噴射圧調整手段(例えば、圧力レギュレータ等)により一定の設定圧以上にならないように規制されていてもよい。
また、上記燃料を燃焼させるのに用いられる酸素は、例えば、ボンベ等の酸素貯蔵部に貯蔵することができ、同酸素貯蔵部から、例えば、同エンジンの燃焼室内に直接噴射しても、又は同エンジンの燃焼室内に供給される前に、作動ガスと予め混合してもよい。
更に、上記燃料の燃焼モードは、用いられる燃料の性状やエンジンの仕様等に応じて適宜選択することができる。より具体的には、例えば、少なくとも酸素と作動ガスとを含むガスが燃焼室内にて圧縮されている高圧縮状態にある期間内の所定の時期に燃料を燃焼室内に直接噴射(所謂「高圧噴射」)して燃料を拡散燃焼させてもよい。また、前述のように作動ガスと予め混合された燃料を、燃焼室内に設けられた点火手段から発生した火花によって点火して火花点火燃焼させてもよい。
上記水蒸気凝縮手段は、例えば、循環通路部から流入するガス(循環ガス)を大気と熱交換させることにより同循環ガスに含まれる水蒸気を凝縮させて凝縮水となし、同循環ガスから同熱交換により凝縮水となった水蒸気を分離する凝縮器である。この凝縮器は冷却水を冷媒として利用した水冷式凝縮器であってもよく、空冷式凝縮器であってもよい。
前述のように、作動ガス循環型エンジンにおいては、循環ガスに含まれる水蒸気を可能な限り取り除いて、作動ガスの比熱比の低下を抑制し、エンジンの熱効率が低下しないようにする必要がある。しかしながら、上記のように凝縮器によって循環ガスに含まれる水蒸気を分離・除去しても、循環ガスの温度に対応した飽和水蒸気量に相当する量の水蒸気が循環ガス中に残ってしまう。また、何らかの理由により凝縮器における循環ガスの温度が高くなると、循環ガスにおける飽和水蒸気量が増大し、循環ガス中に残留する水蒸気の量が増加してしまう。
上記課題への対策としては、上記水蒸気凝縮手段としての凝縮器の冷却能力の更なる向上が考えられる。しかしながら、かかる対策は、冷媒の冷却に用いられる放熱器(ラジエタ)の大型化や冷媒を冷却する装置の増設等、同エンジンを含むシステム全体としての大型化や複雑化、製造コストの増大が懸念されるので望ましくない。
そこで、本発明においては、前述のように、上記水蒸気凝縮手段に流入する循環ガスの圧力をガス圧調整手段によって高め、循環ガスに含まれる水蒸気の露点を上昇させ、循環ガスにおける飽和水蒸気量を減少させる。その結果、上記水蒸気凝縮手段において分離・除去される水蒸気量が増加し、燃焼室に再供給される循環ガスに含まれる水蒸気の量を低減することができる。このようにして、本発明に係る作動ガス循環型エンジンにおいては、燃焼室に再供給される循環ガスの比熱比の低下を最小限に抑制し、高い熱効率を実現することができる。
上記ガス圧検出手段としては、特定の方式に限定されるものではなく、当該技術分野において広く使用されている種々のタイプの圧力センサ(例えば、静電容量方式圧力センサ、半導体式圧力センサ等)を含む構成とすることができる。ガス圧検出手段は、水蒸気凝縮手段に流入する循環ガスの圧力を検出し、水蒸気凝縮手段に流入する循環ガスの圧力を表す信号を発生するように構成される。
尚、水蒸気凝縮手段に流入する循環ガスの圧力の具体的な検出方法は、当業者に周知の種々の方法から、エンジンや水蒸気凝縮手段等の構成等に応じて適切な方法を選択することができる。例えば、水蒸気凝縮手段の近傍(例えば、水蒸気凝縮手段の入口、内部、出口等)の循環通路部内にガス圧検出手段を設ける等して、循環ガスの圧力を検出することができる。
前述のように、ガス圧検出手段は水蒸気凝縮手段に流入する循環ガスの圧力に対応する信号を発生するので、例えば、ガス圧検出手段を電子制御装置に接続して、同電子制御装置による種々の制御に利用することができる。因みに、電子制御装置とは、例えば、CPU、ROM、RAM、不揮発性メモリ等の記憶装置、及びインターフェースを含む周知のマイクロコンピュータを主体とする電子装置を指す。但し、ガス圧検出手段及び電子制御装置に関する上記説明はあくまでも例示であって、ガス圧検出手段及び電子制御装置の構成は上記説明に限定されるものではない。
上記ガス圧検出手段によって検出される圧力を調整するガス圧調整手段としては、種々の構成のものを使用することができるが、具体的な構成については後に詳細に説明する。尚、ガス圧調整手段の制御は、例えば、前述の電子制御装置から送出される指示信号(制御信号)によって行うことができる。
ところで、上記作動ガスとしては、例えば、空気や窒素等の、種々のガスを用いることができるが、エンジンの熱効率を高め、且つ、例えば、窒素酸化物のような、環境保護の観点から排出を抑制することが求められている汚染物質を削減するためには、例えば、単原子の不活性ガスを用いることが望ましい。かかる単原子の不活性ガスとしては、希ガス類に属するヘリウム、ネオン、アルゴン等を挙げることができるが、内燃機関の作動ガスとしては、これらの中ではアルゴンが広く用いられている。
従って、本発明の第2態様は、本発明の前記第1態様に係る作動ガス循環型エンジンであって、前記作動ガスがアルゴンであることを特徴とする作動ガス循環型エンジンである。
上記のように、本発明の第2態様に係る作動ガス循環型エンジンは、高い比熱比を有し且つ不活性なアルゴンを作動ガスとして使用するので、同エンジンを高い熱効率にて運転することができ、且つ、例えば、窒素酸化物のような、環境汚染物質の排出を抑制することができる。
また、上記燃料としては、前述のように、例えば、ガソリン、軽油、天然ガス、プロパン、水素等の、種々の燃料を用いることができる。しかしながら、ガソリンを始めとする石油燃料を用いる場合は、燃焼生成物として二酸化炭素(CO)も発生するため、二酸化炭素をも循環ガスから分離・除去する必要が生ずる。更に、本発明は、燃焼生成物として水(水蒸気)を生ずる燃料を用いる作動ガス循環型エンジンにおいて、循環ガスに含まれる水蒸気を効率良く分離・除去しようとするものである。従って、上記燃料としては、燃焼生成物として水蒸気(HO)のみを生ずる水素を使用することが特に望ましい。
従って、本発明の第3態様は、本発明の前記第1態様又は前記第2態様の何れかに係る作動ガス循環型エンジンであって、前記燃料が水素であることを特徴とする作動ガス循環型エンジンである。
上記のように、本発明の第3態様に係る作動ガス循環型エンジンは、燃焼生成物として水(HO)のみを生ずる水素を燃料として使用する。従って、本発明の第3態様に係る作動ガス循環型エンジンにおいては、石油燃料を使用する作動ガス循環型エンジンにおける燃焼生成物として含まれる二酸化炭素を分離・除去するための手段を設ける必要が無い。更に、本発明の第3態様に係る作動ガス循環型エンジンにおいては、循環ガスに含まれる水蒸気を効率良く分離・除去することにより、燃焼室に再供給される循環ガスの比熱比を高め、エンジンの熱効率を高めようとする本発明の利点をより有効に発揮することができる。
ところで、本発明に係る作動ガス循環型エンジンは、前述のように、上記水蒸気凝縮手段に流入する循環ガスの圧力をガス圧調整手段によって調整することにより、上記水蒸気凝縮手段において、より多くの水蒸気を分離・除去しようとするものである。かかるガス圧調整手段は特定の構成に限定されず、種々の構成のものとすることができる。しかしながら、同エンジンを含むシステム全体としての大型化や複雑化、製造コストの増大を回避する観点からは、ガス圧調整手段は、小型で安価な、制御が容易なものが望ましい。
従って、本発明の第4態様は、本発明の前記第1態様乃至前記第3態様の何れかに係る作動ガス循環型エンジンであって、前記ガス圧調整手段が、前記水蒸気凝縮手段の下流に設けられた可変絞り弁であることを特徴とする作動ガス循環型エンジンである。
当業者には周知であるように、可変絞り弁は小型で安価であり、また圧力の制御が容易な装置であるので、上記構成は前述の要請に十分に応え得るものである。上記のように、循環通路部の水蒸気凝縮手段よりも下流の箇所に可変絞り弁を設けることにより、可変絞り弁よりも上流の循環通路部に存在する循環ガスの圧力が、可変絞り弁の絞り具合に応じて高められる。尚、可変絞り弁の制御は、例えば、前述の電子制御装置から送出される指示信号(制御信号)によって行うことができる。
即ち、本発明の第4態様に係る作動ガス循環型エンジンにおいては、水蒸気凝縮手段の下流に設けられた可変絞り弁によって水蒸気凝縮手段に流入する循環ガスの圧力が高められる。その結果、循環ガスに含まれる水蒸気の露点が上昇し、循環ガスにおける飽和水蒸気量が減少するので、水蒸気凝縮手段の冷却能力を高めなくとも、水蒸気凝縮手段において分離・除去される水蒸気量を増加させることができる。従って、燃焼室に再供給される循環ガスに含まれる水蒸気の量が低減され、同循環ガスの比熱比が高められ、エンジンの熱効率が向上される。
ところで、例えば、アルゴン等の、大きい比熱比を有するガスを作動ガスとして採用した場合、上死点(TDC)付近での燃焼室内の圧力(筒内圧)が過度に上昇することが懸念される。かかる懸念への対策としては、より高い筒内圧に耐え得るようにエンジンの機械的強度を増強したり、逆に、TDC付近での筒内圧が過度に上昇しないように圧縮比を低く設定したエンジン設計としたりすることが考えられる。しかしながら、前者の対策を施しても、エンジンの重量及び製造コストの増加を招くのみならず、筒内圧が過度に上昇した結果、筒内温度も上昇し、燃焼室の壁面への冷却損失の増大を招くこととなり、エンジンの熱効率が却って低下してしまったり、また、後者の対策を施しても、エンジンの熱効率の低下等の問題を生じたりする要因となり得る。
本発明の第4態様に係る作動ガス循環型エンジンにおいては、水蒸気凝縮手段の下流に設けられた可変絞り弁をガス圧調整手段として採用していることから、可変絞り弁よりも下流での循環ガスの圧力が相対的に低下し、燃焼室に再供給される循環ガスの量を低減することができる。従って、上死点(TDC)付近での燃焼室内の圧力(筒内圧)が過度に上昇することを抑制することができる。
これにより、上死点(TDC)付近で過度に上昇する筒内圧を見越して、より高い筒内圧に耐え得るようにエンジンの機械的強度を増強したり、逆に、TDC付近での筒内圧が過度に上昇しないように、エンジンの圧縮比を低く設定したりする必要が無くなる。
本発明の第4態様に係る作動ガス循環型エンジンにおいては、同エンジンを含むシステム全体としての大型化や複雑化、製造コストの増大を回避する観点から、ガス圧調整手段として、小型で安価な、制御が容易な可変絞り弁を用いている。しかしながら、かかる制約が存在せず、循環ガスから水蒸気を徹底的に除去することのみを考慮しようとする場合は、水蒸気凝縮手段に流入する循環ガスの圧力をより能動的に調整する構成も考えられる。
即ち、本発明の第5態様は、本発明の前記第1態様乃至前記第4態様の何れかに係る作動ガス循環型エンジンであって、前記ガス圧調整手段が、前記水蒸気凝縮手段の上流に設けられた圧縮機であることを特徴とする作動ガス循環型エンジンである。
上記圧縮機としては、循環ガスを圧縮することができる限り、特に限定されるものではないが、例えば、コンプレッサ、ガスポンプ等を用いることができる。また、上記圧縮機は水蒸気凝縮手段に流入する循環ガスの圧力を高めるものであるので、循環通路部の水蒸気凝縮手段よりも上流の箇所に設けられる必要がある。更に、本実施態様に係る作動ガス循環型エンジンにおけるガス圧調整手段としての圧縮機と、本発明の前記第4態様に係る作動ガス循環型エンジンにおけるガス圧調整手段としての可変絞り弁を併用することもできる。尚、圧縮機の制御は、例えば、前述の電子制御装置から送出される指示信号(制御信号)によって行うことができる。
上記のように、循環通路部の水蒸気凝縮手段よりも上流の箇所に圧縮機を設けることにより、圧縮機よりも下流の循環通路部に存在する循環ガスの圧力が、圧縮機の運転状況に応じて高められる。
即ち、本発明の第5態様に係る作動ガス循環型エンジンにおいては、水蒸気凝縮手段の上流に設けられた圧縮機によって水蒸気凝縮手段に流入する循環ガスの圧力が積極的に高められる。その結果、循環ガスに含まれる水蒸気の露点が上昇し、循環ガスにおける飽和水蒸気量が減少するので、水蒸気凝縮手段の冷却能力を高めなくとも、水蒸気凝縮手段において分離・除去される水蒸気量を増加させることができる。従って、燃焼室に再供給される循環ガスに含まれる水蒸気の量が低減され、同循環ガスの比熱比が高められ、エンジンの熱効率が向上される。
また、上記圧縮機は、吸気ポート側の循環ガスの圧力を高めることができるので、燃焼室への循環ガスの供給量を増加させることができるため、低負荷時や冷間時にも筒内圧を適切に維持して、低負荷時や冷間時における燃焼室内での燃料の燃焼が不安定になるのを防止することにも寄与することができる。
ところで、前述のように、本発明の種々の実施態様に係る作動ガス循環型エンジンにおいては、循環通路部に介装される水蒸気凝縮手段に流入する循環ガスの圧力がガス圧調整手段(例えば、可変絞り弁や、コンプレッサ、ガスポンプ等の圧縮機)によって高められ、これにより循環ガスに含まれる水蒸気の露点が上昇し、循環ガスにおける飽和水蒸気量が減少するので、水蒸気凝縮手段の冷却能力を高めなくとも、燃焼室に再供給される循環ガスに含まれる水蒸気が効率良く分離・除去される。
水蒸気凝縮手段に流入する循環ガスの温度が上昇した場合、水蒸気凝縮手段に流入する循環ガスの圧力を、循環ガスの温度が上昇する前と同じ圧力に維持すると、同循環ガスにおける飽和水蒸気量が増加する。即ち、水蒸気凝縮手段において水蒸気を分離・除去された後の循環ガスに残留する水蒸気の量が増加する。その結果、燃焼室に再供給される循環ガスの比熱比が低下し、エンジンの熱効率が低下してしまう。この問題を解消するためには、水蒸気凝縮手段に流入する循環ガスの温度が上昇した場合には、循環ガスの温度上昇に対応して、水蒸気凝縮手段に流入する循環ガスの圧力を調整することが望ましい。
即ち、本発明の第6態様は、本発明の前記第1態様乃至前記第5態様の何れかに係る作動ガス循環型エンジンであって、
前記水蒸気凝縮手段近傍におけるガスの温度を検出するガス温検出手段と、
前記ガス温検出手段によって検出される温度に基づいて目標ガス圧を設定する目標ガス圧設定手段と、
を更に備えること、及び
前記ガス圧調整手段が、前記水蒸気凝縮手段に流入するガスの圧力を前記目標ガス圧に設定すること、
を特徴とする作動ガス循環型エンジンである。
上記ガス温検出手段としては、特定の方式に限定されるものではなく、当該技術分野において広く使用されている種々のタイプの温度センサ(例えば、セラミック製サーミスタ素子等)を使用することができる。ガス温検出手段は、水蒸気凝縮手段近傍におけるガスの温度を検出し、例えば、水蒸気凝縮手段近傍におけるガスの温度を表す信号を発生するように構成される。
尚、水蒸気凝縮手段近傍における循環ガスの温度の具体的な検出方法は、当業者に周知の種々の方法から、エンジンや水蒸気凝縮手段等の構成等に応じて適切な方法を選択することができる。例えば、水蒸気凝縮手段の近傍(例えば、水蒸気凝縮手段の入口、内部、出口等)の循環通路部内にガス温検出手段を設ける等して、循環ガスの温度を直接検出してもよい。あるいは、水蒸気凝縮手段の冷媒の温度を検出するようにガス温検出手段を設ける等して、循環ガスの温度を間接的に検出してもよい。
前述のように、ガス温検出手段は水蒸気凝縮手段近傍におけるガスの温度に対応する信号を発生するので、例えば、ガス温検出手段を前述の電子制御装置に接続して、同電子制御装置による種々の制御に利用することができる。但し、ガス温検出手段に関する上記説明はあくまでも例示であって、ガス温検出手段の構成は上記説明に限定されるものではない。
前述のように、水蒸気凝縮手段に流入する循環ガスの温度が上昇した場合、水蒸気凝縮手段に流入する循環ガスの圧力を、循環ガスの温度が上昇する前と同じ圧力に維持すると、同循環ガスにおける飽和水蒸気量が増加し、水蒸気凝縮手段において水蒸気を分離・除去された後の循環ガスに残留する水蒸気の量が増加してしまう。従って、上記目標ガス圧設定手段は、水蒸気凝縮手段に流入する循環ガスの温度が上昇した場合、循環ガスの温度上昇に対応して、水蒸気凝縮手段に流入する循環ガスの圧力を高める。これにより、その温度における循環ガスの飽和水蒸気量の増加が防止されるので、燃焼室に再供給される循環ガスに含まれる残留水蒸気量の増加をが防止される。その結果、燃焼室に再供給される循環ガスの比熱比が低下してエンジンの熱効率が低下することを防止することができる。
逆に、水蒸気凝縮手段に流入する循環ガスの温度が低下した場合、飽和水蒸気量が減少し、水蒸気凝縮手段において分離・除去される水蒸気の量が増加するので、循環ガスの温度低下に対応して、水蒸気凝縮手段に流入する循環ガスの圧力を下げることが望ましい。このように水蒸気凝縮手段に流入する循環ガスの圧力を循環ガスの温度変化に対応して調整することにより、ガス圧調整手段が循環ガスの圧力を必要以上に加圧することを抑制することができる。その結果、上記構成は、ガス圧調整手段を作動させるために消費されるエネルギーや、循環通路部内の循環ガスの高い圧力に起因するポンプ損失(詳しくは後述する)を低減することができ、エンジンの燃費向上にも寄与することができる。
本実施態様に係る作動ガス循環型エンジンにおいては、目標ガス圧設定手段がガス温検出手段によって検出される温度に基づいて目標ガス圧を設定し、ガス圧調整手段が水蒸気凝縮手段に流入するガスの圧力を同目標ガス圧に設定する。より具体的には、上記目標ガス圧設定手段は、例えば、ガス温検出手段から送出される測定信号(検出信号)を受け取り、同検出信号に対応する目標ガス圧を、例えば、予め設定された目標ガス圧とガス温検出手段によって検出される温度との関係を表すデータ(例えば、前述の電子制御装置が備える記憶装置に格納されたデータテーブル等)を利用する等して設定して、同目標ガス圧に対応する指示信号(制御信号)を送出する。ガス圧調整手段は同制御信号を受け取り、同制御信号に対応する目標ガス圧を達成すべく制御される。
ここで、上記所定の目標ガス圧は、エンジンに求められる熱効率や出力等に基づいて、作動ガスの比熱比等を考慮して、適宜設定することができる。
尚、目標ガス圧設定手段は、別個の構成要素として構成されていてもよく、あるいは、前述の電子制御装置の一部として構成され、上記のような検出信号の受け取りや制御信号の送出が同電子制御装置を介して行われるようにしてもよい。但し、目標ガス圧設定手段に関する上記説明はあくまでも例示であって、目標ガス圧設定手段の構成は上記説明に限定されるものではない。
本発明の第6態様に係る作動ガス循環型エンジンにおいては、前述のように、目標ガス圧設定手段が、水蒸気凝縮手段に流入する循環ガスの温度変化に対応して、水蒸気凝縮手段に流入する循環ガスの圧力を調整することにより、循環ガスの飽和水蒸気量の増加を防止する。しかしながら、エンジンの熱効率及び燃焼室内での燃料の燃焼の安定化という観点から、燃焼室に再供給される循環ガスに含まれる水蒸気の量を常に一定に維持することが望ましい。
従って、本発明の第7態様は、本発明の前記第6態様に係る作動ガス循環型エンジンであって、
前記目標ガス圧設定手段が、前記ガス温検出手段によって検出される温度と圧力露点との関係に基づいて、前記水蒸気凝縮手段から排出されるガスに含まれる水蒸気の量が予め定められた所定の目標水蒸気量となるように、目標ガス圧を設定することを特徴とする作動ガス循環型エンジンである。
本実施態様に係る作動ガス循環型エンジンにおいて、上記目標ガス圧設定手段は、目標ガス圧をより厳密に設定する。より具体的には、上記目標ガス圧設定手段は、例えば、ガス温検出手段から送出される測定信号(検出信号)を受け取り、同検出信号に対応する目標ガス圧を設定する。この際、上記目標ガス圧設定手段は、例えば、圧力露点とガス温検出手段によって検出される温度との関係及び各温度における循環ガスの飽和水蒸気量とガス温検出手段によって検出される温度との関係を表すデータ(例えば、前述の電子制御装置が備える記憶装置に格納されたデータテーブル等)に基づいて、水蒸気凝縮手段から排出されるガスに含まれる水蒸気の量が予め定められた所定の目標水蒸気量となるように目標ガス圧を設定して、同目標ガス圧に対応する指示信号(制御信号)を送出する。ガス圧調整手段は同制御信号を受け取り、同制御信号に対応する目標ガス圧を達成すべく制御される。
ここで、上記所定の目標水蒸気量は、エンジンに求められる熱効率や出力等に基づいて、作動ガスの比熱比等を考慮して、適宜設定することができる。
前述のように、目標ガス圧設定手段は、別個の構成要素として構成されていてもよく、あるいは、前述の電子制御装置の一部として構成され、上記のような検出信号の受け取りや制御信号の送出が同電子制御装置を介して行われるようにしてもよい。但し、目標ガス圧設定手段に関する上記説明はあくまでも例示であって、目標ガス圧設定手段の構成は上記説明に限定されるものではない。
本発明の第7態様に係る作動ガス循環型エンジンにおいては、前述のように、目標ガス圧設定手段が、水蒸気凝縮手段に流入する循環ガスの温度変化に対応して、水蒸気凝縮手段に流入するガスの圧力を厳密に調整する。これにより、燃焼室に再供給される循環ガスに含まれる水蒸気の量が常に一定に維持されるので、エンジンの熱効率及び燃焼室内での燃料の燃焼の安定化を実現することができる。
ところで、燃焼室に再供給される循環ガスに含まれる水蒸気を効率良く分離・除去することのみを考慮するならば、水蒸気凝縮手段に流入する循環ガスの圧力をできる限り高めることが望ましい。しかしながら、現実には、水蒸気凝縮手段に流入する循環ガスの圧力を無制限に上昇させると、エンジンの排気ポートにおける背圧、並びに循環ガスを循環させるためのポンプ(存在する場合)、循環ガスを加圧するための圧縮機(存在する場合)、酸素(O)を循環ガスに供給するための酸素供給部(例えば、酸素ガスタンク、酸素ガス通路、酸素ガス圧レギュレータ、酸素ガス流量計、及び酸素ガスミキサ等を含んでもよい)、及び燃料を作動ガスに混合しておいて火花点火燃焼させる場合に燃料(例えば、水素(H))を循環ガスに供給するための燃料供給部(例えば、燃料タンク、燃料通路、燃料圧レギュレータ、燃料流量計、及び燃料ミキサ等を含んでもよい)等の種々の装置の背圧が過度に高まり、種々の装置(例えば、循環通路、エンジン本体等)の強度の大幅な向上が必須となり、これらの装置の体格、重量等が大きくなる虞がある。
以上のように、エンジンの運転効率やエンジンの構成部材の機械的強度等に照らすと、水蒸気凝縮手段に流入する循環ガスの圧力には自ずと上限がある。従って、本発明に係る作動ガス循環型エンジンにおいて、エンジンの運転効率やエンジンの構成部材の機械的強度等を考慮して定められる上限圧力を超えないように、循環ガスの圧力を制御することもまた重要である。
即ち、本発明の第8態様は、本発明の前記第1態様乃至前記第7態様に係る作動ガス循環型エンジンであって、
前記水蒸気凝縮手段に流入するガスの圧力が予め定められた所定の上限圧力を超えないように前記ガス圧調整手段を制御するガス圧上限制御手段、
を更に備えることを特徴とする作動ガス循環型エンジンである。
本実施態様に係る作動ガス循環型エンジンにおいて、上記ガス圧上限制御手段は、前記水蒸気凝縮手段に流入するガスの圧力が予め定められた所定の上限圧力を超えないようにガス圧調整手段を制御する。より具体的には、上記ガス圧上限制御手段は、例えば、ガス圧検出手段から送出される測定信号(検出信号)を受け取り、同検出信号から検知されるガス圧と予め定められた所定の上限圧力とを比較し、循環ガスの圧力が同上限圧力を超える場合は、循環ガスの圧力が予め定められた所定の上限圧力以下となるようにガス圧調整手段を制御する。
この際、上記ガス圧上限制御手段は循環ガスの圧力を予め定められた所定の上限圧力以下となるように制御する指示信号(制御信号)を送出するが、同制御信号は、ガス圧調整手段を直接制御するものであっても、あるいは前述の目標ガス圧設定手段が設定する目標ガス圧を変更する等して、ガス圧調整手段を間接的に制御するものであってもよい。何れにせよ、ガス圧調整手段は、上記ガス圧上限制御手段から送出される制御信号に基づいて、循環ガスの圧力を予め定められた所定の上限圧力以下となるように制御する。
尚、前述のように、上記所定の上限圧力は、エンジンの設計仕様等に基づいて、エンジンの運転効率やエンジンの構成部材の機械的強度等を考慮して、適宜設定することができる。また、同上限圧力は、ガス圧上限制御手段による循環ガスの圧力との比較の際に、ガス圧上限制御手段によって参照されるデータとして、例えば、前述の電子制御装置が備える記憶装置等に格納してもよい。
尚、ガス圧上限制御手段は、別個の構成要素として構成されていてもよく、あるいは、前述の電子制御装置の一部として構成され、上記のような検出信号の受け取りや制御信号の送出が同電子制御装置を介して行われるようにしてもよい。また、ガス圧上限制御手段を、前述の目標ガス圧設定手段の一部として構成することもできる。但し、ガス圧上限制御手段に関する上記説明はあくまでも例示であって、ガス圧上限制御手段の構成は上記説明に限定されるものではない。
以上のように、本発明によれば、作動ガス循環型エンジンにおいて、燃焼後の排ガスに含まれる水蒸気を、従来技術と比較して、より高い効率で分離・除去することができるので、残留水蒸気の影響により作動ガスの比熱比が低下して、エンジンの熱効率が悪化することを防止することができる。
以下、本発明の種々の実施態様に係る作動ガス循環型エンジンにつき、添付図面を参照しつつ説明する。但し、以下に述べる説明はあくまで例示を目的とするものであり、本発明の範囲が以下の説明に限定されるものと解釈されるべきではない。
図4は、本発明の1つの実施態様に係る作動ガス循環型エンジンを含むシステムの構成を表す概略図である。当該システムは、作動ガス循環型エンジンの本体部10、燃料供給部20、酸素供給部30、循環通路部(作動ガス循環通路部)40、及び水蒸気凝縮手段50を備えている。このエンジンは、燃焼室に酸素及び作動ガス(例えば、アルゴンガス)を供給し、このガスを圧縮することにより高温高圧となったガス中に燃料(例えば、水素ガス)を噴射することにより燃料を拡散燃焼させる形式のエンジンである。なお、図4は、エンジン本体部10の特定気筒の断面のみを示しているが、他の気筒も同様な構成を備えている。
エンジン本体部10は、特定の構成に限定されるものではなく、例えば、シリンダヘッドと、シリンダブロックが形成するシリンダと、シリンダ内において往復運動するピストンと、クランク軸と、ピストンとクランク軸とを連結しピストンの往復運動をクランク軸の回転運動に変換するためのコネクティングロッドと、シリンダブロックに連接されたオイルパンとを備えるピストン往復動型エンジンであってもよい(何れも図示せず)。
この場合、ピストンの側面にはピストンリングが配設され、シリンダヘッド、シリンダ及びオイルパンから形成される空間は、ピストンにより、ピストンの頂面側の燃焼室と、クランク軸を収容するクランクケースと、に区画されている(何れも図示せず)。
シリンダヘッドには、燃焼室に連通した吸気ポートと、燃焼室に連通した排気ポートと、が形成されている(何れも図示せず)。吸気ポートには吸気ポートを開閉する吸気弁が配設され、排気ポートには排気ポートを開閉する排気弁が配設されている(何れも図示せず)。更に、シリンダヘッドには、燃料(例えば、水素ガス)を燃焼室内に直接噴射する燃料噴射弁が配設されている(図示せず)。
燃料供給部20は、燃料タンク(例えば、水素ガスタンク)、燃料ガス通路、燃料ガス圧レギュレータ、燃料ガス流量計及びサージタンク等を備えることができる(何れも図示せず)。また、酸素供給部30は、酸素タンク(酸素ガスタンク)、酸素ガス通路、酸素ガス圧レギュレータ、酸素ガス流量計及び酸素ガスミキサを備えることができる(何れも図示せず)。
尚、エンジン本体部10、燃料供給部20、及び酸素供給部30の具体的な構成並びに動作については、例えば、作動ガス循環型水素エンジン等に関して当該技術分野において周知であるので、本明細書における詳細な説明は割愛する。
循環通路部40は、第1及び第2通路部(第1及び第2流路形成管)41及び42を備え、第1通路部41と第2通路部42との間に、入口部と出口部とを有する水蒸気凝縮手段50が介装されている。循環通路部40は、排気ポートと吸気ポートとを燃焼室の外部にて接続する「排ガス(排ガスに含まれる作動ガス)の循環経路」を構成している。
第1通路部41は、排気ポートと水蒸気凝縮手段50の入口部とを接続している。第2通路部42は、水蒸気凝縮手段50の出口部とと吸気ポートとを接続しており、その途中に、酸素ガスミキサ等(図示せず)を介して酸素供給部30が合流している。
水蒸気凝縮手段50は、上述したように排ガス(循環ガス)の入口部と出口部とを備える。更に、水蒸気凝縮手段50は、冷却水導入口、冷却水排出口、及び凝縮水排出口60を備え、冷却水導入口と冷却水排出口とを接続する冷却水循環部には、冷却水の冷却に用いられる放熱器(ラジエタ)70が介装されている。
水蒸気凝縮手段50は、入口部から導入されて出口部から排出される排ガス(循環ガス)に含まれる水蒸気を、冷却水導入口から導入されるとともに凝縮器の内部を通過した後に冷却水排出口から排出される冷却水によって冷却し、凝縮させる。凝縮された水は凝縮水排出口60から外部に排出される。水蒸気が除去(分離)されたガスは、水蒸気凝縮手段50の出口部から循環通路部40に排出される。
即ち、水蒸気凝縮手段50は、「入口部及び出口部を有する水蒸気凝縮手段50であって、循環通路部40から同入口部を通して流入するガスに含まれる水蒸気を凝縮させることにより同入口部を通して流入するガスから同水蒸気を除去したガスを同出口部から循環通路部40へと排出する」機能を備えている。尚、本実施態様においては、水蒸気凝縮手段50は冷却水を使用する水冷式凝縮器を用いているが、水蒸気凝縮手段50は、水以外の冷媒を使用するものであってもよく、空気(空気の送風)により内部を通過するガスの水蒸気を凝縮する空冷式凝縮部を備えるものであってもよい。
また、作動ガスとしては、前述のように、空気や窒素等の、種々のガスを用いることができるが、例えば、アルゴン、ネオン、ヘリウム等の、比熱比が大きい不活性ガスを用いることが望ましい。かかる比熱比が大きいガスを作動ガスとして用いる場合、比較的小さい比熱比を有するガス(例えば、空気、窒素等)を作動ガスとして用いる場合と比較して、より高い熱効率でエンジンを運転することができる。上記に加えて、例えば、窒素酸化物のような汚染物質の排出を削減して環境保護に貢献しようとする観点からも、不活性ガスを用いることが望ましい。これらの不活性ガスの中では、アルゴンが内燃機関の作動ガスとして広く用いられている。
更に、燃料としては、前述のように、ガソリン、軽油、天然ガス、プロパン、水素等の種々の燃料を用いることができる。但し、本発明は、燃焼生成物として水(水蒸気)を生ずる燃料を用いる作動ガス循環型エンジンにおいて、循環ガスに含まれる水蒸気を効率良く分離・除去しようとするものである。従って、上記燃料としては、燃焼生成物として、水蒸気(HO)を生ずるものが想定される。中でも、二酸化炭素(CO)を排出せず、地球温暖化の防止に貢献しようとする観点からは、水素を燃料として用いることが望ましい。
尚、本実施態様においては、前述のように、燃焼室に酸素及び作動ガスを供給し、このガスを圧縮することにより高温高圧となったガス中に燃料を噴射することにより燃料を拡散燃焼させる形式のエンジンが例示されている。しかしながら、本発明に係る作動ガス循環型エンジンにおいては、上記のように、種々の作動ガス及び燃料を用いることができる。従って、使用される作動ガスと燃料との組み合わせや、エンジンの設計仕様(例えば、圧縮比等)に応じて、燃焼室内における燃料の燃焼モードも適宜選択することができる。即ち、使用される作動ガスと燃料との組み合わせや、エンジンの設計仕様(例えば、圧縮比等)によっては、作動ガスと予め混合された燃料を燃焼室内に設けられた点火手段から発生した火花によって点火して火花点火燃焼させる形式のエンジンに、本発明を適用することもできる。
水蒸気凝縮手段50は、上述したように、第1通路部41と第2通路部42との間に配設されている。即ち、水蒸気凝縮手段50の入口部は第1通路部41を介してエンジン本体部10の排気ポートに接続されている。水蒸気凝縮手段50の出口部は第2通路部42を介してエンジン本体部10の吸気ポートに接続されている。これにより、水蒸気凝縮手段50は、入口部から流入する排ガス(循環ガス)に含まれる水蒸気を非凝縮ガスと分離して水となし、その水を外部に排出するとともに、同非凝縮ガスをその出口部から第2通路部42に供給するようになっている。
本実施態様に係る作動ガス循環型エンジンにおいては、水蒸気凝縮手段50に流入する循環ガスの圧力を、ガス圧検出手段(図示せず)によって検出し、ガス圧調整手段(図示せず)によって調整して、循環ガスに含まれる水蒸気の露点を上昇させ、循環ガスにおける飽和水蒸気量を減少させる。その結果、水蒸気凝縮手段50において分離・除去される水蒸気量が増加し、エンジン本体部10の燃焼室に再供給される循環ガスに含まれる水蒸気の量を低減することができる。このようにして、本実施態様に係る作動ガス循環型エンジンにおいては、残留水蒸気に起因する循環ガスの比熱比の低下を最小限に抑制し、高い熱効率を実現することができる。
尚、前述のように、上記ガス圧検出手段及びガス圧調整手段は特定の構成に限定されず、当該技術分野において広く使用されている種々の構成のものを用いることができる。ガス圧検出手段は、水蒸気凝縮手段50に流入する循環ガスの圧力を検出し、水蒸気凝縮手段50に流入する循環ガスの圧力を表す信号を発生するように構成される。
尚、水蒸気凝縮手段50に流入する循環ガスの圧力の具体的な検出方法は、当業者に周知の種々の方法から、エンジンや水蒸気凝縮手段50等の構成等に応じて適切な方法を選択することができる。例えば、水蒸気凝縮手段50の近傍(例えば、水蒸気凝縮手段50の入口、内部、出口等)の循環通路部40内にガス圧検出手段を設ける等して、循環ガスの圧力を検出することができる。
前述のように、ガス圧検出手段は水蒸気凝縮手段50に流入する循環ガスの圧力に対応する信号を発生するので、例えば、ガス圧検出手段を電子制御装置(図示せず)に接続して、同電子制御装置による種々の制御に利用することができる。ガス圧調整手段の制御もまた、例えば、電子制御装置から送出される指示信号(制御信号)によって行うことができる。
次に、本発明のもう1つの実施態様に係る作動ガス循環型エンジンについて、図5を参照しながら詳しく説明する。前述のように、図5は、本発明のもう1つの実施態様に係る作動ガス循環型エンジンを含むシステムの構成を表す概略図である。図5に示すシステムにおいては、図4に示すシステムに対して、ガス圧検出手段91が図示され、ガス温検出手段92が追加され、更に、ガス圧調整手段として、可変絞り弁81が図示されている。
即ち、本実施態様においては、水蒸気凝縮手段50の下流側の循環通路部40(即ち、第2通路部(第2流路形成管)42)に、ガス圧検出手段91、ガス温検出手段92、及びガス圧調整手段としての可変絞り弁81が設けられている。前述のように、可変絞り弁は小型で安価であり、また圧力の制御が容易な装置であるので、ガス圧調整手段として可変絞り弁を使用することは、エンジンを含むシステム全体としての大型化や複雑化、製造コストの増大を回避する観点から望ましい。
ガス温検出手段92は、水蒸気凝縮手段50の近傍におけるガスの温度を検出し、このガス温検出手段92によって検出されるガスの温度に基づいて、目標ガス圧設定手段(図示せず)が目標ガス圧を設定する。更に、ガス圧調整手段(本実施態様においては可変絞り弁81)が、水蒸気凝縮手段50に流入するガスの圧力を同目標ガス圧に設定する。
そこで、上記のような、本実施態様におけるガス圧調整の実行手順につき、図6を参照しつつ、以下に詳しく説明する。前述のように、図6は、図5に示す実施態様に係る作動ガス循環型エンジンを含むシステムにおける循環ガスの圧力の制御を表すフローチャートである。このフローチャートに示される一連の処理は、例えば、所定のクランク角毎の割り込み処理として、電子制御装置(図示せず)に実行させることができる。
図6に示すように、本実施態様においては、水蒸気凝縮手段50の近傍における循環ガスの温度Tが、水蒸気凝縮手段50の下流に設けられたガス温検出手段92によって取得される(ステップS601)。次に、取得されたガス温度Tが所定の温度Tを超えるか否かが判定される(ステップS602)。取得されたガス温度Tが所定の温度Tを超えない(即ち、T≦T)である場合は(ステップS602:No)、ガス圧調整手段(本実施態様においては可変絞り弁81)によって循環ガスの圧力を変更する必要は無いと判断され、本処理が一旦終了される。
尚、上記「所定の温度T」は、例えば、循環ガス全体としての比熱比等の観点から、循環ガス中に含まれる水蒸気の許容量等を考慮して予め定められる温度である。例えば、取得されたガス温度Tが所定の温度T以下である場合は、循環ガス中に含まれる水蒸気の量は、循環ガス全体としての比熱比を実質的に低下させない程度まで十分に低い、許容可能なレベルとなっているため、循環ガスの圧力を変更する必要は無いとの考え方に基づき、上記のような条件分岐を設けてもよい。但し、かかる条件分岐は必須ではなく、上記ステップS602を割愛してもよい。
一方、取得されたガス温度Tが所定の温度Tを超える(即ち、T>T)場合は(ステップS602:Yes)、ステップS603において、ガス温検出手段92によって検出されたガス温度Tに基づいて目標ガス圧Pが、目標ガス圧設定手段(図示せず)によって算出される。
本実施態様においては、目標ガス圧設定手段は、ガス温検出手段92によって検出されるガス温度Tと圧力露点との関係及び各温度における循環ガスの飽和水蒸気量とガス温検出手段91によって検出されるガス温度Tとの関係に基づいて、水蒸気凝縮手段50から排出される循環ガスに含まれる水蒸気の量が予め定められた所定の目標水蒸気量となるように目標ガス圧Pを設定する。また、上記所定の目標水蒸気量は、前述のように、エンジンに求められる熱効率や出力等に基づいて、作動ガスの比熱比等を考慮して、適宜設定することができる。
ここで、ガス温度Tと圧力露点との関係について図7を参照しながら説明する。前述のように、図7は、種々の圧力における圧力露点と大気圧露点との関係を表すグラフである。図7に記載のグラフにおいては、横軸は大気圧露点(℃)を表し、横軸は大気圧露点(℃)を示している。また、グラフ中に記されているT1及びT2は、循環ガスの温度を示し、25℃<T1<T2である。更に、グラフ中に記されているPa、P1、及びP2は、循環ガスの圧力を示し、Pa<P1<P2である。図7に示すように、循環ガスの圧力が高い程、大気圧露点に対する圧力露点の関係を表す直線の傾きが大きくなっている。換言すれば、ある特定の大気圧露点(例えば、25℃)に相当する飽和水蒸気量を達成しようとする場合は、循環ガスの圧力が高い程、露点が高くなる(より高いガス温度において同大気圧露点に相当する飽和水蒸気量が達成される)。従って、例えば、図2に示すグラフのような、温度に対する飽和水蒸気量の関係から、目標とする水蒸気量を達成する大気圧露点を定め、次に、図7に示すグラフのような、大気圧露点に対する圧力露点の関係から、目標とする大気圧露点に圧力露点が対応する循環ガスの圧力を得ることにより、目標ガス圧Pを特定することができる。
尚、上述のような、ガス温検出手段92によって検出されるガス温度Tと圧力露点との関係及び各温度における循環ガスの飽和水蒸気量とガス温検出手段91によって検出されるガス温度Tとの関係は、目標ガス圧Pを設定する際に、目標ガス圧設定手段が参照することができるように、例えば、同関係を表すデータ(例えば、データテーブル等)として電子制御装置(図示せず)が備える記憶装置等に格納してもよい。
次に、ステップS604において、水蒸気凝縮手段50を流れる循環ガスの圧力Pが、水蒸気凝縮手段50の下流に設けられたガス圧検出手段91によって取得される。次に、取得されたガス圧Pが上述の目標ガス圧Pよりも低いか否かが判定される(ステップS605)。取得されたガス圧Pが上述の目標ガス圧Pよりも低い(即ち、P<P)場合は(ステップS605:Yes)、ガス圧調整手段である可変絞り弁81が絞られ(ステップS606)、循環ガスの圧力Pが目標ガス圧Pになるように高められる。
一方、取得されたガス圧Pが上述の目標ガス圧Pよりも低くない(即ち、P≧P)場合は(ステップS605:No)、取得されたガス圧Pが上述の目標ガス圧Pよりも高いか否かが判定される(ステップS607)。取得されたガス圧Pが上述の目標ガス圧Pよりも高い(即ち、P>P)場合は(ステップS607:Yes)、ガス圧調整手段である可変絞り弁81が開かれ(ステップS608)、循環ガスの圧力Pが目標ガス圧Pになるように下げられる。
一方、取得されたガス圧Pが上述の目標ガス圧Pよりも高くない場合は(ステップS607:No)、取得されたガス圧Pが上述の目標ガス圧Pに等しい(即ち、P=P)ことを意味するので、循環ガスの圧力Pを変更する必要は無いため、可変絞り弁81の絞り具合を調整すること無く、本処理が一旦終了される。
本実施態様においては、上記のように、ガス圧調整手段として水蒸気凝縮手段の下流に設けられた可変絞り弁81によって、水蒸気凝縮手段50に流入する循環ガスの温度Tに応じた圧力露点となるように、循環ガスの圧力Pが制御される。これにより、燃焼室に再供給される循環ガスに含まれる水蒸気の量が常に一定に維持されるので、エンジンの熱効率及び燃焼室内での燃料の燃焼の安定化を実現することができる。
また、前述のように、本実施態様においては、水蒸気凝縮手段50の下流に設けられた可変絞り弁81をガス圧調整手段として採用していることから、可変絞り弁81よりも下流での循環ガスの圧力が相対的に低下し、燃焼室に再供給される循環ガスの量を低減することができる。従って、上死点(TDC)付近での燃焼室内の圧力(筒内圧)が過度に上昇することを抑制することができるので、TDC付近で過度に上昇する筒内圧を見越して、より高い筒内圧に耐え得るようにエンジンの機械的強度を増強したり、逆に、TDC付近での筒内圧が過度に上昇しないように、エンジンの圧縮比を低く設定したりする必要が無くなるというメリットも得られる。
更に、本発明のもう1つの実施態様に係る作動ガス循環型エンジンについて、図8を参照しながら詳しく説明する。前述のように、図8は、本発明のもう1つの実施態様に係る作動ガス循環型エンジンを含むシステムの構成を表す概略図である。より具体的には、図8に示すシステムにおいては、図5に示すシステムに対して、ガス圧調整手段として、水蒸気凝縮手段50の下流側に設けられた可変絞り弁81の代わりに、水蒸気凝縮手段50の上流側に設けられた圧縮機82が採用されている。
前述のように、圧縮機82としては、循環ガスを圧縮することができる限り、特に限定されるものではないが、例えば、コンプレッサ、ガスポンプ等を用いることができる。また、圧縮機は水蒸気凝縮手段50に流入する循環ガスの圧力を高めるものであるので、水蒸気凝縮手段50よりも上流の箇所に設けられる。更に、本実施態様に係る作動ガス循環型エンジンにおけるガス圧調整手段としての圧縮機82と、実施例2に係る作動ガス循環型エンジンにおけるガス圧調整手段としての可変絞り弁81を併用してもよい。尚、圧縮機82の制御は、例えば、前述の電子制御装置から送出される指示信号(制御信号)によって行ってもよい。
本実施態様におけるガス圧調整の実行手順は、ガス圧調整手段として可変絞り弁81を使用する場合と同様に行うことができる。図6に示すフローチャートにおいて、ステップS606及びステップ608が、それぞれ「可変絞り弁81を絞る」及び「可変絞り弁81を開く」という処理に該当する。これらを、それぞれ「圧縮機82ON」及び「圧縮機82OFF」という処理に置き換えることで、ガス圧調整手段として水蒸気凝縮手段の上流に設けられた圧縮機82によって、水蒸気凝縮手段50に流入する循環ガスの温度Tに応じた圧力露点となるように、循環ガスの圧力Pが制御される。これにより、燃焼室に再供給される循環ガスに含まれる水蒸気の量が常に一定に維持されるので、エンジンの熱効率及び燃焼室内での燃料の燃焼の安定化を実現することができる。
また、圧縮機82は、エンジンの吸気ポート側の循環ガスの圧力を高めることができるので、燃焼室への循環ガスの供給量を増加させることができるため、低負荷時や冷間時にも筒内圧を適切に維持して、低負荷時や冷間時における燃焼室内での燃料の燃焼が不安定になるのを防止することにも寄与することができる。
更に、上述の何れの実施例においても、前述のように、エンジンの運転効率やエンジンの構成部材の機械的強度等を考慮して、循環ガスの圧力上限を定めてもよい。
以上のように、本発明によれば、作動ガス循環型エンジンにおいて、燃焼後の排ガスに含まれる水蒸気を、従来技術と比較して、より高い効率で分離・除去することができるので、残留水蒸気の影響により作動ガスの比熱比が低下して、エンジンの熱効率が悪化することを防止することができる。
以上、本発明を説明することを目的として、特定の構成及び実行手順の組み合わせを有する幾つかの実施例について説明してきたが、本発明の範囲は、これらの例示的な実施態様に限定されるものではなく、特許請求の範囲及び明細書に記載された事項の範囲内で、適宜修正を加えることができる。
10…エンジンの本体部、20…燃料供給部、30…酸素供給部、40…循環通路部、41…第1通路部(第1流路形成管)、42…第2通路部(第2流路形成管)、50…水蒸気凝縮手段、60…凝縮水排出口、70…放熱器(ラジエタ)、可変絞り弁81、圧縮機82、ガス圧検出手段91、及びガス温検出手段92。

Claims (5)

  1. 燃焼室に連通した吸気ポートと同燃焼室に連通した排気ポートとを同燃焼室の外部において接続する循環通路部を備え、同燃焼室に燃料と酸素と作動ガスとを供給して同燃焼室において同燃料を燃焼させるとともに、同燃焼室から同排気ポートを通して排出される排ガスに含まれる作動ガスを同循環通路部及び同吸気ポートを通して同燃焼室に供給する作動ガス循環型エンジンであって、
    前記循環通路部に介装されるとともに入口部及び出口部を有する水蒸気凝縮手段であって、前記循環通路部から同入口部を通して流入するガスに含まれる水蒸気を凝縮させることにより同入口部を通して流入するガスから同水蒸気を除去したガスを同出口部から前記循環通路部へと排出する水蒸気凝縮手段と、
    前記水蒸気凝縮手段に流入するガスの圧力を検出するガス圧検出手段と、
    前記ガス圧検出手段によって検出される圧力を調整するガス圧調整手段と、
    を備え
    前記ガス圧調整手段が、前記水蒸気凝縮手段の下流に設けられた可変絞り弁及び前記水蒸気凝縮手段の上流に設けられた圧縮機の何れか一方又は両者の組み合わせである、
    作動ガス循環型エンジン。
  2. 請求項1に記載の作動ガス循環型エンジンであって、前記作動ガスがアルゴンであることを特徴とする作動ガス循環型エンジン。
  3. 請求項1又は請求項2の何れか1項に記載の作動ガス循環型エンジンであって、前記燃料が水素であることを特徴とする作動ガス循環型エンジン。
  4. 請求項1乃至請求項の何れか1項に記載の作動ガス循環型エンジンであって、
    前記水蒸気凝縮手段近傍におけるガスの温度を検出するガス温検出手段と、
    前記ガス温検出手段によって検出される温度に基づいて目標ガス圧を設定する目標ガス圧設定手段と、
    を更に備えること、及び
    前記ガス圧調整手段が、前記水蒸気凝縮手段に流入するガスの圧力を前記目標ガス圧に設定すること、
    を特徴とする作動ガス循環型エンジン。
  5. 請求項に記載の作動ガス循環型エンジンであって、
    前記目標ガス圧設定手段が、前記ガス温検出手段によって検出される温度と圧力露点との関係に基づいて、前記水蒸気凝縮手段から排出されるガスに含まれる水蒸気の量が予め定められた所定の目標水蒸気量となるように、目標ガス圧を設定することを特徴とする作動ガス循環型エンジン。
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