JP2010216454A - 作動ガス循環型エンジン - Google Patents
作動ガス循環型エンジン Download PDFInfo
- Publication number
- JP2010216454A JP2010216454A JP2009067669A JP2009067669A JP2010216454A JP 2010216454 A JP2010216454 A JP 2010216454A JP 2009067669 A JP2009067669 A JP 2009067669A JP 2009067669 A JP2009067669 A JP 2009067669A JP 2010216454 A JP2010216454 A JP 2010216454A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- condensed water
- working gas
- discharge
- combustion chamber
- exhaust
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Classifications
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02T—CLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
- Y02T10/00—Road transport of goods or passengers
- Y02T10/10—Internal combustion engine [ICE] based vehicles
- Y02T10/12—Improving ICE efficiencies
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02T—CLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
- Y02T10/00—Road transport of goods or passengers
- Y02T10/10—Internal combustion engine [ICE] based vehicles
- Y02T10/30—Use of alternative fuels, e.g. biofuels
Landscapes
- Exhaust-Gas Circulating Devices (AREA)
- Output Control And Ontrol Of Special Type Engine (AREA)
Abstract
【課題】ポンプ負荷を抑制することができる作動ガス循環型エンジンを提供する。
【解決手段】燃焼室CCと、循環経路20と、循環経路20に設けられ排気ガス中に含まれる水蒸気を凝縮して凝縮水とする凝縮手段60と、凝縮水を内部空間部に貯留可能な凝縮水貯留手段65と、凝縮水貯留手段65内の凝縮水を排出部81を介して排出可能であると共に当該排出部81を開閉手段82により開閉可能な凝縮水排出手段80と、凝縮水貯留手段65内の凝縮水をポンプ92により圧送して循環経路20の内部に供給可能な凝縮水供給手段90と、凝縮水排出手段80及び凝縮水供給手段90を制御し、凝縮水貯留手段65内の凝縮水をポンプ92により圧送して循環経路20の内部に供給する場合に開閉手段82により排出部81を閉鎖した状態とする制御手段72とを備える。
【選択図】図1
【解決手段】燃焼室CCと、循環経路20と、循環経路20に設けられ排気ガス中に含まれる水蒸気を凝縮して凝縮水とする凝縮手段60と、凝縮水を内部空間部に貯留可能な凝縮水貯留手段65と、凝縮水貯留手段65内の凝縮水を排出部81を介して排出可能であると共に当該排出部81を開閉手段82により開閉可能な凝縮水排出手段80と、凝縮水貯留手段65内の凝縮水をポンプ92により圧送して循環経路20の内部に供給可能な凝縮水供給手段90と、凝縮水排出手段80及び凝縮水供給手段90を制御し、凝縮水貯留手段65内の凝縮水をポンプ92により圧送して循環経路20の内部に供給する場合に開閉手段82により排出部81を閉鎖した状態とする制御手段72とを備える。
【選択図】図1
Description
本発明は、作動ガス循環型エンジンに関し、特に排気ガス中に含まれる作動ガスを燃焼室の排気側から吸気側に循環させ再び燃焼室に供給可能な作動ガス循環型エンジンに関するものである。
従来のエンジンとして、排気ガス中に含まれる作動ガスを燃焼室の排気側から吸気側に循環させ再び燃焼室に供給可能な、いわゆる、閉サイクルエンジンである作動ガス循環型エンジンが知られている。このような作動ガス循環型エンジンは、酸化剤としての酸素と、燃料としての水素と、空気より比熱比の高い作動ガスとが供給される燃焼室と、作動ガスを燃焼室の排気側から吸気側に循環させ再び燃焼室に供給可能な循環経路とを備え、燃焼室にて水素の燃焼に伴って作動ガスが熱膨張することで動力を発生させると共に、基本的にはこの作動ガスが大気へと放出されることなく循環経路を介して再び燃焼室に供給される。
従来の作動ガス循環型エンジンとしては、例えば、下記の特許文献1に開示された水素エンジンが知られている。特許文献1に記載されている水素エンジンは、燃焼室に酸素と、水素とが供給されると共に、熱効率を高めるべく作動ガスとして、例えば、単原子ガスからなり空気より比熱比が大きいアルゴンが循環されている。この作動ガス循環型エンジンは、燃焼室内での水素の燃焼によってアルゴンを熱膨張させ、これによりピストンを押し下げて動力を発生させる。
ところで、上述のような特許文献1に記載されている水素エンジンでは、例えば、燃焼室内では水素の燃焼に伴って水素と酸素とが反応(結合)することで水蒸気が発生するので、循環経路には燃焼室からの排気ガスとして、アルゴンと共に水蒸気が排出される。このため、従来の水素エンジン(作動ガス循環型エンジン)は、3原子からなる分子(3原子分子)でありアルゴンよりも比熱比が小さい水蒸気を液化させ凝縮水として取り除く凝縮器を循環経路上に配設し、作動ガスとしてのアルゴンが循環して再び燃焼室に供給されるように構成することで、熱効率の低下を抑制している。そして、このような従来の水素エンジン(作動ガス循環型エンジン)では、例えば、凝縮器で凝縮された凝縮水を貯留タンクに貯留した後に系外に排出すると共に、貯留タンクに貯留された凝縮水の一部をポンプにより圧送し循環経路内に噴射することで、凝縮器に導入される排気ガスを冷却することがあるが、この場合に凝縮水を圧送するポンプのポンプ負荷の抑制が望まれていた。
そこで本発明は、ポンプ負荷を抑制することができる作動ガス循環型エンジンを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明による作動ガス循環型エンジンは、酸化剤と、当該酸化剤との燃焼により水蒸気を生成する燃料と、空気より比熱比の高い作動ガスとが供給され、前記燃料の燃焼に伴って前記作動ガスが膨張可能であると共に前記燃料の燃焼後の排気ガスとして前記水蒸気と前記作動ガスとを排気可能な燃焼室と、前記排気ガス中に含まれる前記作動ガスを前記燃焼室の排気側から吸気側に循環させ再び前記燃焼室に供給可能な循環経路と、前記循環経路に設けられ前記排気ガス中に含まれる前記水蒸気を凝縮して凝縮水とする凝縮手段と、前記凝縮水を内部空間部に貯留可能な凝縮水貯留手段と、前記凝縮水貯留手段内の前記凝縮水を排出部を介して排出可能であると共に当該排出部を開閉手段により開閉可能な凝縮水排出手段と、前記凝縮水貯留手段内の前記凝縮水をポンプにより圧送して前記循環経路の内部に供給可能な凝縮水供給手段と、前記凝縮水排出手段及び前記凝縮水供給手段を制御し、前記凝縮水貯留手段内の前記凝縮水を前記ポンプにより圧送して前記循環経路の内部に供給する場合に前記開閉手段により前記排出部を閉鎖した状態とする制御手段とを備えることを特徴とする。
また、上記作動ガス循環型エンジンにおいて、前記凝縮水供給手段は、前記燃焼室を基準として前記循環経路を循環するガスの循環方向に対して前記凝縮手段より上流側の前記循環経路の内部に前記凝縮水を供給可能であり、前記制御手段は、前記凝縮手段に導入されるガスの温度に応じて前記凝縮水供給手段を制御するように構成してもよい。
本発明に係る作動ガス循環型エンジンによれば、ポンプ負荷を抑制することができる。
以下に、本発明に係る作動ガス循環型エンジンの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
(実施形態)
図1は、本発明の実施形態に係る作動ガス循環型エンジンの模式的な概略構成図、図2は、本発明の実施形態に係る作動ガス循環型エンジンの凝縮水供給制御を説明するフローチャートである。
図1は、本発明の実施形態に係る作動ガス循環型エンジンの模式的な概略構成図、図2は、本発明の実施形態に係る作動ガス循環型エンジンの凝縮水供給制御を説明するフローチャートである。
本実施形態の作動ガス循環型エンジン1は、図1に示すように、酸化剤としての酸素(O2)、燃料としての水素(H2)及び空気より比熱比の高く、水素の燃焼に伴って動力を発生させる作動ガス、ここではアルゴン(Ar)が供給される燃焼室CCと、この燃焼室CCの吸気側と排気側とを繋ぐ循環経路20とを備え、作動ガスが大気へと放出されることなく循環経路20を介して再び燃焼室CCに供給されるよう構成した、いわゆる閉サイクルエンジンである。この作動ガス循環型エンジン1は、燃焼室CC内で水素を燃焼させ、この水素の燃焼に伴って作動ガスを熱膨張させて動力を発生させるものである。つまり、作動ガスは、燃焼室CCにおいて、酸化剤供給装置30から供給される酸素と燃料供給装置40から供給される水素との反応に伴って発生する反応熱、すなわち、水素の燃焼(発熱反応)に伴って発生する燃焼熱により膨張する。
なお、本実施形態の作動ガス循環型エンジン1は、複数、例えば4つの燃焼室(気筒)CCを備える多気筒型の作動ガス循環型エンジンであるが、図1では、作動ガス循環型エンジン1のエンジン本体10は、1気筒のみを図示している。
この作動ガス循環型エンジン1は、図1に示すように、燃焼室CCが形成されるエンジン本体10と、燃焼室CCの吸気側と排気側とを繋ぐ循環経路20と、燃焼室CCに酸化剤としての酸素を供給する酸化剤供給装置30と、燃焼室CCに燃料としての水素を供給する燃料供給装置40と、作動ガス循環型エンジン1の各部を制御する電子制御装置(ECU)50とを備える。エンジン本体10の燃焼室CCと循環経路20とは、ともに作動ガスが充填されており、作動ガスは、燃焼室CCと循環経路20との間で循環する。
本実施形態の燃焼室CCは、エンジン本体10に形成される。このエンジン本体10の燃焼室CCは、上述したように、酸化剤と、この酸化剤との燃焼により水蒸気を生成する燃料と、作動ガスとが供給され、燃料の燃焼に伴って作動ガスが膨張可能であると共に燃料の燃焼後の排気ガスとして水蒸気と作動ガスとを排気可能なものである。
具体的には、エンジン本体10は、複数の燃焼室CCを形成するシリンダヘッド11、シリンダブロック12及びピストン13を備えている。ピストン13は、複数の燃焼室CCに対応して複数設けられている。各ピストン13は、コネクティングロッド14を介してクランクシャフト19に連結し、シリンダヘッド11の下面の凹部11aとシリンダブロック12のシリンダボア12aとの間に区画される空間内に往復運動可能に配置される。各燃焼室CCは、シリンダヘッド11の凹部11aの壁面とシリンダボア12aの壁面とピストン13の頂面13aとで囲まれた空間によって構成される。
エンジン本体10は、シリンダヘッド11に吸気ポート11b及び排気ポート11cが形成されている。吸気ポート11bと排気ポート11cとは、ともに循環経路20の一部をなすものである。吸気ポート11b、排気ポート11cは、各燃焼室CCに対応して複数設けられている。各吸気ポート11b、排気ポート11cは、それぞれ一端が燃焼室CC内に開口している。エンジン本体10は、各吸気ポート11bの燃焼室CC側の開口部分にそれぞれ吸気バルブ15が配設されている。吸気バルブ15は、開弁時にこの吸気ポート11bの燃焼室CC側の開口を開く一方、閉弁時にこの吸気ポート11bの燃焼室CC側の開口を閉じるものである。エンジン本体10は、各排気ポート11cの燃焼室CC側の開口部分にそれぞれ排気バルブ16が配設されている。排気バルブ16は、開弁時にこの排気ポート11cの燃焼室CC側の開口を開く一方、閉弁時にこの排気ポート11cの燃焼室CC側の開口を閉じるものである。
吸気バルブ15や排気バルブ16としては、例えば、不図示のカムシャフトの回転と弾性部材(弦巻バネ)の弾発力に伴って開閉駆動されるものがある。この種の吸気バルブ15や排気バルブ16においては、そのカムシャフトとクランクシャフト19の間にチェーンやスプロケット等からなる動力伝達機構を介在させることによってそのカムシャフトをクランクシャフト19の回転に連動させ、予め設定された開閉時期に開閉駆動させる。また、このエンジン本体10は、吸気バルブ15と排気バルブ16の開閉時期やリフト量を変更可能な、いわゆる可変バルブタイミング&リフト機構等の可変バルブ機構を備えていてもよく、これにより、その吸気バルブ15や排気バルブ16の開閉時期やリフト量を運転条件に応じた好適なものへと変更できるようになる。さらにまた、このエンジン本体10は、このような可変バルブ機構と同様の作用効果を得るべく、電磁力を利用して吸気バルブ15や排気バルブ16を開閉駆動させる、いわゆる電磁駆動弁を適用してもよい。
また、エンジン本体10は、各吸気ポート11bの燃焼室CC側とは反対側の開口に吸気管17が接続される一方、各排気ポート11cの燃焼室CC側とは反対側の開口に排気管18が接続されている。吸気管17と排気管18とは、ともに循環経路20の一部をなすものである。吸気管17は、筒状に形成され内部を流体が通過可能なものであり、後述するように各燃焼室CCに作動ガスとしてのアルゴン(Ar)と、酸化剤としての酸素(O2)とを供給するための吸気通路である。つまり、各燃焼室CCは、各吸気バルブ15の開弁時に、この吸気管17から吸気ポート11bを介して酸素と作動ガスとが供給(吸気)される。一方、排気管18は、筒状に形成され内部を流体が通過可能なものであり、後述するように燃料としての水素(H2)の燃焼後の排気ガスとして、燃焼室CCから作動ガスとしてのアルゴン(Ar)と、水蒸気(H2O)とを排出するための排気通路である。つまり、燃焼室CCは、排気バルブ16の開弁時に、燃料の燃焼後の排気ガスとして、排気ポート11cを介して水蒸気と作動ガスとを排気管18に排気する。
吸気管17は、例えば、各燃焼室CCに向かって流れる作動ガスなどの流体を吸気集合管部(主吸気管)から各吸気分岐管部(吸気マニホールド)に分岐させ、各吸気ポート11bを介して各燃焼室CCに導入する。排気管18は、例えば、各燃焼室CCから流れ出る作動ガスなどの流体を各排気ポート11cを介して各排気分岐管部(排気マニホールド)に流出させ、排気集合管部(主排気管)で集合させて循環方向下流側に向かって流動させる。
循環経路20は、排気管18に排気された排気ガス中に含まれる作動ガスを燃焼室CCの排気側から吸気側に循環させ再び燃焼室CCに供給可能なものである。循環経路20は、上述した吸気ポート11b及び排気ポート11cと、吸気ポート11bの他端と排気ポート11cの他端とを繋ぐ循環通路21とを含んで構成される。これにより、この循環経路20内と燃焼室CC内とは、基本的には閉塞された空間をなす。循環通路21は、筒状に形成され内部を流体が通過可能なものであり、上述の吸気管17と排気管18とは、この循環通路21の一部をなす。
この作動ガス循環型エンジン1は、循環経路20と燃焼室CCとからなる閉塞された空間内に作動ガスが充填される。作動ガス循環型エンジン1は、この作動ガスを循環経路20の吸気管17、吸気ポート11bから燃焼室CC内、燃焼室CC内から循環経路20の排気ポート11c、排気管18、そして、この排気ポート11c、排気管18から循環通路21を介して再び吸気管17、吸気ポート11bへと循環させる。作動ガス循環型エンジン1は、循環経路20において、作動ガスが吸気管17、吸気ポート11b、燃焼室CC、排気ポート11c、排気管18を順に介して循環通路21を通って再び吸気管17、吸気ポート11b、燃焼室CCへと循環する。つまり、循環経路20は、燃焼室CCの吸気側(吸気ポート11b側)と排気側(排気ポート11c側)とを燃焼室CCの外部で接続し、基本的には作動ガスを大気へと放出することなく再び燃焼室CCに供給する。さらに言えば、循環経路20は、両端が燃焼室CCに連通すると共に一端からは水蒸気と作動ガスとを含む排気ガスが燃焼室CCから流入し、他端からは燃焼室CCが吸気する酸素と作動ガスとが燃焼室CCに対して流出可能である。ここでは、作動ガス循環型エンジン1は、吸気バルブ15が開弁した際に、循環経路20内の酸素、作動ガスが吸気ポート11bを介して燃焼室CCに供給される。また、作動ガス循環型エンジン1は、排気バルブ16が開弁した際に、燃焼室CC内の排気ガスが排気ポート11cに排出される。
さらに具体的には、循環経路20の循環通路21は、例えば、第1循環通路21aと、第2循環通路21bとを含んで構成されている。第1循環通路21aは、吸気ポート11bの他端(燃焼室CC内に開口している端部とは反対側の端部)と後述する凝縮手段としての凝縮器60の作動ガス排出口60bとを繋ぐものである。また、第2循環通路21bは、排気ポート11cの他端(燃焼室CC内に開口している端部とは反対側の端部)と凝縮器60の排気ガス導入口60aとを繋ぐものである。上述の吸気管17は、第1循環通路21aの一部をなす一方、排気管18は、第2循環通路21bの一部をなす。
ここで、循環経路20と燃焼室CCとからなる閉塞された空間内に充填される作動ガスとしては、空気より比熱比の高いガスが用いられる。作動ガスは、例えば、単原子ガスが用いられる。ここでは、本実施形態の作動ガスは、空気よりも比熱比の高いものであって、例えば、単原子ガスであるアルゴン(Ar)やヘリウム(He)等の希ガスが用いられる。本実施形態では、作動ガスは、上述のようにアルゴン(Ar)を用いるものとして説明する。
酸化剤供給手段としての酸化剤供給装置30は、酸化剤としての酸素を供給するものである。本実施形態の酸化剤供給装置30は、酸化剤としての酸素を循環経路20、ここでは吸気管17、吸気ポート11bを介して燃焼室CCに供給する。酸化剤供給装置30は、酸化剤貯留タンク31と、酸化剤噴射弁32と、酸化剤供給通路33と、レギュレータ34と、酸化剤流量計35と、サージタンク36とを含んで構成される。
酸化剤貯留タンク31は、酸化剤を高圧の状態で貯留するものである。酸化剤噴射弁32は、酸化剤貯留タンク31に貯留された酸化剤を吸気管17に噴射し、この吸気管17、吸気ポート11bを介して酸化剤を燃焼室CCに供給するものである。酸化剤供給通路33は、酸化剤貯留タンク31と酸化剤噴射弁32とを繋ぐものである。レギュレータ34、酸化剤流量計35及びサージタンク36は、この酸化剤供給通路33上に設けられる。レギュレータ34と酸化剤流量計35とサージタンク36とは、酸化剤供給通路33における酸化剤の供給方向に対して、上流側(酸化剤貯留タンク31側)から下流側(酸化剤噴射弁32側)に向かってレギュレータ34、酸化剤流量計35、サージタンク36の順で設けられている。
ここで、本実施形態の酸化剤噴射弁32は、酸化剤を吸気管17の内部に噴射可能なように設けられる。この酸化剤噴射弁32は、電子制御装置50によって制御される。本実施形態の酸化剤供給装置30は、酸化剤噴射弁32が酸化剤を吸気管17に噴射することで吸気管17を通る作動ガスと混ぜ合わせて燃焼室CCに送り込ませることができる。この結果、酸化剤は、吸気バルブ15の開弁に伴い吸気ポート11bを介して作動ガスと共に燃焼室CCに供給されることになる。なお、この酸化剤噴射弁32は、酸化剤としての酸素を吸気ポート11bに噴射可能なようにシリンダヘッド11に設けられていれもよい。つまり、本実施形態の酸化剤供給装置30は、酸化剤噴射弁32が酸素を吸気ポート11bに噴射することで吸気ポート11bを通る作動ガスと混ぜ合わせて燃焼室CCに送り込ませる構成であってもよい。
レギュレータ34は、酸化剤供給通路33におけるレギュレータ34よりも下流側(酸化剤流量計35側)の圧力を電子制御装置50の指令に従った目標圧力に調整するものである。言い換えれば、このレギュレータ34は、酸化剤供給通路33における酸化剤の流量を制御するものである。また、酸化剤流量計35は、酸化剤供給通路33における酸化剤の流量を計測する手段であって、レギュレータ34で調整された酸化剤の流量の計測を行う。この酸化剤流量計35の計測信号は、電子制御装置50に送信される。また、サージタンク36は、酸化剤噴射弁32による酸化剤の噴射時に酸化剤供給通路33内に発生する脈動の低減を図るものである。
ここで、この酸化剤供給装置30が供給する酸化剤としては、上述のように酸素(O2)が用いられる。つまり、本実施形態の酸化剤貯留タンク31は、酸化剤としての酸素を例えば70MPa程度の高圧で貯留し、酸化剤噴射弁32は、この高圧の酸素(O2)を循環通路21に供給する。
燃料供給手段としての燃料供給装置40は、燃料としての水素を供給するものである。本実施形態の燃料供給装置40は、燃料としての水素を燃焼室CCに直接供給する。燃料供給装置40は、燃料貯留タンク41と、燃料噴射弁42と、燃料供給通路43と、レギュレータ44と、燃料流量計45と、サージタンク46とを含んで構成される。
燃料貯留タンク41は、燃料を高圧の状態で貯留するものである。燃料噴射弁42は、燃料貯留タンク41に貯留された燃料を燃焼室CCに噴射するものである。燃料供給通路43は、燃料貯留タンク41と燃料噴射弁42を繋ぐものである。レギュレータ44、燃料流量計45及びサージタンク46は、この燃料供給通路43上に設けられる。レギュレータ44と、燃料流量計45と、サージタンク46とは、燃料供給通路43における燃料の供給方向に対して、上流側(燃料貯留タンク41側)から下流側(燃料噴射弁42側)に向かってレギュレータ44、燃料流量計45、サージタンク46の順で設けられている。
ここで、本実施形態の燃料噴射弁42は、燃料を燃焼室CC内に直接噴射可能なようにシリンダヘッド11に設けられる。この燃料噴射弁42は、電子制御装置50によって制御される。
レギュレータ44は、燃料供給通路43におけるレギュレータ44よりも下流側(燃料流量計45及びサージタンク46側)の圧力を設定圧力に調整するものである。言い換えれば、このレギュレータ44は、燃料供給通路43における燃料の流量を制御するものである。また、燃料流量計45は、燃料供給通路43における燃料の流量を計測する手段であって、レギュレータ44で調整された燃料の流量の計測を行う。この燃料流量計45の計測信号は、電子制御装置50に送信される。また、サージタンク46は、燃料噴射弁42による燃料の噴射時に燃料供給通路43内に発生する脈動の低減を図るものである。
ここで、この燃料供給装置40が供給する燃料としては、酸化剤と共に燃焼するものが用いられ、本実施形態では、上述のように水素(H2)が用いられる。つまり、本実施形態の燃料貯留タンク41は、燃料としての水素を例えば70MPa程度の高圧で貯留し、燃料噴射弁42は、この高圧の水素を燃焼室CCに直接噴射する。
本実施形態の作動ガス循環型エンジン1は、燃焼室CC内に水素と酸素を供給し、水素を拡散燃焼させるものとして例示する。すなわち、上記のように構成される作動ガス循環型エンジン1は、燃焼室CC内に形成された高温の圧縮ガス(酸素(O2)及びアルゴン(Ar))の中に高圧の水素(H2)を噴射することにより、この水素の一部が自己着火し、水素と圧縮ガス(酸素)とが拡散混合しながら燃焼する。この燃焼室CC内での水素の燃焼によって、燃焼室CCの中では、水素と酸素(O2)が反応して水蒸気(H2O)が生成されると共に、比熱比の大きいアルゴン(Ar)が熱膨張を起こす。この結果、この作動ガス循環型エンジン1は、水素の拡散燃焼とアルゴンの熱膨張とによってピストン13が押し下げられ、これにより動力を発生する。
そして、作動ガス循環型エンジン1は、水素の燃焼とアルゴンの熱膨張とが一通り終わった際(例えば、ピストン13が下死点近くに位置している際)、排気バルブ16の開弁に伴って、燃焼室CC内から水蒸気とアルゴンとを含む排気ガスが排気ポート11cを介して排気管18に排出される。ここで、排出された排気ガス中のアルゴンは、エンジン本体10の熱効率を高めるために、循環経路20を介して燃焼室CCの排気側から吸気側に循環させ再び吸気側から燃焼室CCに供給する必要がある。しかしながら、同時に排出された排気ガス中の水蒸気は、3原子からなる分子(3原子分子)であり、単原子からなるアルゴンよりも比熱比が小さいので、アルゴンと共に燃焼室CCへ循環させてしまうと、エンジン本体10の熱効率を低下させるおそれがある。このため、この作動ガス循環型エンジン1は、排気ガスの中に含まれる水蒸気を取り除く手段を循環経路20上に設けている。
具体的には、作動ガス循環型エンジン1は、循環経路20を流動する排気ガスの中に含まれる水蒸気を取り除く手段として、凝縮手段としての凝縮器60を備える。さらに、この作動ガス循環型エンジン1は、冷却水循環路61と、冷却水ポンプ62と、ラジエータ63とを備える。
凝縮器60は、循環経路20に設けられ排気ガス中に含まれる水蒸気を凝縮して凝縮水(H2O)とするものである。凝縮器60は、循環通路21上の第2循環通路21bと第1循環通路21aとの間に設けられる。つまり、凝縮器60は、循環経路20上の酸化剤噴射弁32よりも排気側に設けられる。また、凝縮器60は、冷却水循環路61が内部を通るようにして接続されている。
冷却水循環路61は、凝縮器60に熱交換媒体としての冷却水を循環させるものであり、冷却水が流動可能である。この冷却水循環路61は、閉じられた環状の経路になっており、内部に冷却水が充填されている。
冷却水ポンプ62は、冷却水循環路61の経路上に設けられており、冷却水循環路61の冷却水は、この冷却水ポンプ62が駆動することで冷却水循環路61を循環することができる。
ラジエータ63は、冷却水循環路61の経路上に設けられており、冷却水循環路61を循環する冷却水を冷却可能なものである。ラジエータ63は、この作動ガス循環型エンジン1を搭載する車両の走行風などにより冷却水循環路61を循環する冷却水を冷却可能である。
したがって、この凝縮器60は、冷却水循環路61を循環しラジエータ63により冷却された冷却水が内部に循環、供給されることで、この冷却水と循環経路20を流れる排気ガスとを熱交換させ排気ガスを冷却することにより、排気ガスに含まれる水蒸気(H2O)を液化、凝縮して凝縮水とし排気ガスから分離する。すなわち、凝縮器60は、排気ガスをアルゴンと凝縮水とに分離することができる。このとき、凝縮器60にて循環経路20の排気ガスと熱交換をすることで熱を吸収し温度が上昇した冷却水は、冷却水循環路61を循環し再びラジエータ63を通過する際に放熱することで温度が低下し、すなわち、冷却される。つまり、冷却水循環路61を循環する冷却水は、凝縮器60にて吸収した熱をラジエータ63で放熱する。
そして、凝縮器60によって分離されたアルゴンは、凝縮器60の作動ガス排出口60bを介して第1循環通路21aに排出される。一方、凝縮器60によって分離された凝縮水は、凝縮器60の凝縮水排出口60cを介して凝縮水排出通路64に排出され凝縮水貯留手段としての貯留タンク65に排出される。
なお、この凝縮器60とラジエータ63とは、例えば、エンジン運転中に想定し得る最も高温の排気ガスが燃焼室CCから排出された際に、その排気ガス中の水蒸気が液化・凝縮される温度にまで排気ガス温度を下げることのできる容量(換言すれば排気ガスの冷却性能)に設定される。
上記のように構成される作動ガス循環型エンジン1は、燃焼室CC内での水素の燃焼に伴って比熱比の大きいアルゴンが熱膨張を起こすことでピストン13が押し下げられ、このピストン13がシリンダボア12a内で往復運動を繰り返すことにより、吸気行程、圧縮行程、燃焼行程、排気行程を1つのサイクルとしてこのサイクルを繰り返す。ピストン13の往復運動は、コネクティングロッド14によってクランクシャフト19に伝達され、コネクティングロッド14とクランクシャフト19との作用により往復運動が回転運動に変換され、クランクシャフト19が回転する。
作動ガス循環型エンジン1は、クランクシャフト19の回転に伴って吸気バルブ15や排気バルブ16が往復運動し、循環経路20と燃焼室CCとの連通と遮断とを繰り返すことにより、吸排気を行ない上記の4つの行程を繰り返す。
すなわち、作動ガス循環型エンジン1は、吸気行程において、吸気バルブ15が開弁する一方、排気バルブ16が閉弁すると共に、ピストン13が上死点側から下死点側に移動することにより、循環経路20の吸気管17、吸気ポート11bを介して燃焼室CCに酸素とアルゴンとが吸気される。
次に、作動ガス循環型エンジン1は、圧縮行程において、吸気バルブ15が閉弁し吸気バルブ15と排気バルブ16の両方が閉弁状態となると共に、ピストン13が下死点側から上死点側に移動することにより、燃焼室CC内の酸素、アルゴンが圧縮され温度が上昇する。
次に、作動ガス循環型エンジン1は、燃焼行程において、燃焼室CC内に形成された高温の圧縮ガス(酸素及びアルゴン)の中に高圧の水素を噴射することにより、この水素の一部が自己着火し、水素と圧縮ガス(酸素)とが拡散混合しながら燃焼する。そして、水素が燃焼すると、これに伴って比熱比の大きいアルゴンが熱膨張を起こし、この水素の拡散燃焼とアルゴンの熱膨張とによってピストン13が押し下げられ、これにより、作動ガス循環型エンジン1は、動力を発生する。
次に、作動ガス循環型エンジン1は、排気行程において、吸気バルブ15が閉弁状態を維持する一方、排気バルブ16が開弁すると共に、ピストン13が下死点側から上死点側に移動することにより、水蒸気とアルゴンとを含む排気ガスが燃焼室CC内から循環経路20の排気ポート11cを介して排気管18に排出される。
そして、作動ガス循環型エンジン1は、水蒸気とアルゴンとを含む排気ガスが燃焼室CC内から循環経路20に排出され、この排気ガスが燃焼室CCに向けて循環経路20を循環する際には、凝縮器60にて排気ガス中の水蒸気が液化・凝縮され分離される。これにより、作動ガス循環型エンジン1は、比熱比の小さい水蒸気が燃焼室CCに供給されず、比熱比の大きい作動ガスとしてのアルゴンが燃焼室CCへと再び供給されるので、作動ガスによる熱効率の高い運転を行うことができる。
この間、電子制御装置50は、クランクシャフト19の回転位置や、車両の運転席に設けられるアクセルペダル(不図示)の操作量であるアクセル開度、循環ガス中の水素又は酸素の残存量等の運転状態に応じて、酸化剤供給装置30からの酸化剤としての酸素の供給量、燃料供給装置40からの燃料としての水素の供給量を制御する。
具体的には、この電子制御装置50は、クランク角センサ51、アクセル開度センサ52、酸素濃度センサ53、水素濃度センサ54などの種々のセンサが電気的に接続されている。また、電子制御装置50は、機能概念的に、酸素供給制御部70と、水素供給制御部71とが設けられている。
ここで、電子制御装置50は、マイクロコンピュータを中心として構成され処理部50a、記憶部50b及び入出力部50cを有し、これらは互いに接続され、互いに信号の受け渡しが可能になっている。入出力部50cには作動ガス循環型エンジン1を含む車両の各部を駆動する不図示の駆動回路、上述した各種センサが接続されており、この入出力部50cは、これらのセンサ等との間で信号の入出力を行なう。また、記憶部50bには、作動ガス循環型エンジン1の各部を制御するコンピュータプログラムが格納されている。この記憶部50bは、ハードディスク装置や光磁気ディスク装置、またはフラッシュメモリ等の不揮発性のメモリ(CD−ROM等のような読み出しのみが可能な記憶媒体)や、RAM(Random Access Memory)のような揮発性のメモリ、あるいはこれらの組み合わせにより構成することができる。処理部50aは、不図示のメモリ及びCPU(Central Processing Unit)により構成されており、少なくとも上述の酸素供給制御部70、水素供給制御部71を有している。電子制御装置50による各種制御は、各部に設けられたセンサによる検出結果に基づいて、処理部50aが前記コンピュータプログラムを当該処理部50aに組み込まれたメモリに読み込んで演算し、演算の結果に応じて制御信号を送ることにより実行される。その際に処理部50aは、適宜記憶部50bへ演算途中の数値を格納し、また格納した数値を取り出して演算を実行する。なお、この作動ガス循環型エンジン1の各部を制御する場合には、前記コンピュータプログラムの代わりに、電子制御装置50とは異なる専用のハードウェアによって制御してもよい。
そして、クランク角センサ51は、作動ガス循環型エンジン1のクランクシャフト19の回転角度であるクランク角度を検出するものである。クランク角センサ51は、検出信号を電子制御装置50に送信する。電子制御装置50は、例えば、検出されたクランク角度に基づいて各気筒における吸気行程、圧縮行程、膨張行程、排気行程を判別すると共に、作動ガス循環型エンジン1の回転速度としてエンジン回転数(rpm)を算出する。なおここで、エンジン回転数は、言い換えれば、クランクシャフト19の回転速度に対応し、このクランクシャフト19の回転速度が高くなれば、クランクシャフト19の回転数であるエンジン回転数も高くなる。
アクセル開度センサ52は、作動ガス循環型エンジン1を搭載する車両のアクセルペダル(不図示)に設けられており、アクセルペダル(不図示)の操作量に相当するアクセル開度を検出するものである。アクセル開度センサ52は、検出信号を電子制御装置50に送信する。なお、このアクセル開度センサ52が検出するアクセル開度は、運転者がこの作動ガス循環型エンジン1に対して要求する要求エンジン負荷(要求負荷率)に応じた値である。
酸素濃度センサ53は、循環経路20を循環する循環ガス中の酸素濃度を検出するものであり、水素濃度センサ54は、循環経路20を循環する循環ガス中の水素濃度を検出するものである。酸素濃度センサ53と水素濃度センサ54とは、各々検出信号を電子制御装置50に送信する。
電子制御装置50は、クランク角センサ51、アクセル開度センサ52の検出信号に基づいて、運転者がこの作動ガス循環型エンジン1に要求する要求エンジン負荷(要求負荷率)やエンジン回転数等の運転状態に応じて酸化剤供給装置30、燃料供給装置40による酸素、水素の供給量(噴射量)や供給時期(噴射時期)を制御する。運転者がこの作動ガス循環型エンジン1に要求する要求エンジン負荷は、作動ガス循環型エンジン1を搭載する車両のアクセル開度などに基づいて設定される。電子制御装置50は、例えば、作動ガス循環型エンジン1の要求エンジン負荷(要求負荷率)と現在のエンジン回転数とに基づいて、現在のエンジン回転数において、作動ガス循環型エンジン1に要求された要求エンジン負荷を得ることができる水素、酸素の供給量を決定する。
ここで、燃焼室CCから排出された排気ガスの中には、水蒸気やアルゴンだけでなく、水素又は酸素が含まれていることがある。例えば、酸素に対して水素の燃焼室CCへの供給量の方が所定よりも多いときには、未燃焼の水素が残り、そのまま循環経路20へと排出される。また、水素に対して酸素の燃焼室CCへの供給量の方が所定よりも多いときには、酸素が残り、そのまま循環経路20へと排出される。このため、排気ガス中の水素や酸素は、凝縮器60で排気ガス中の水蒸気が分離された後のアルゴンと共に凝縮器60の作動ガス排出口60bから第1循環通路21aに排出される。したがって、排気ガス中の水素や酸素もアルゴンと同様に循環経路20を循環し再び燃焼室CCに供給される。
そこで、作動ガス循環型エンジン1は、循環経路20を排気側から吸気側に循環するガス(循環ガス)中の水素又は酸素の量を検出し、水素又は酸素が燃焼室CCに到達する時期を見計らって、燃料供給装置40からの水素の供給量又は酸化剤供給装置30からの酸素の供給量を調節している。これにより、作動ガス循環型エンジン1は、燃焼室CC内における水素又は酸素の過多を防ぐことができる。
例えば、電子制御装置50は、酸素濃度センサ53、水素濃度センサ54の検出信号に基づいて、循環ガス中の水素、酸素の残存量を把握し、その水素、酸素が燃焼室CCに到達する時期を見計らって、酸化剤供給装置30、燃料供給装置40による酸素、水素の供給量を制御する。
酸素供給制御部70は、酸化剤供給装置30の駆動を制御するものであり、水素供給制御部71は、燃料供給装置40の駆動を制御するものである。酸素供給制御部70、水素供給制御部71は、基本的には上述したように、各種センサの検出信号に基づいて、要求エンジン負荷(要求負荷率)、エンジン回転数、循環ガス中の水素、酸素の残存量等の運転状態等の運転状態に応じて、酸化剤供給装置30、燃料供給装置40による酸素、水素の供給量(噴射量)や供給時期(噴射時期)を制御する。
ところで、この作動ガス循環型エンジン1は、上述したように、排気ガスを循環ガスとして燃焼室CCに向けて循環させる際に、凝縮器60において排気ガスの中の水蒸気を取り除く。そして、作動ガス循環型エンジン1は、比熱比の小さい水蒸気を燃焼室CCに供給せず、比熱比の大きい作動ガスとしてのアルゴンを燃焼室CCへ再び供給することで、熱効率の高い運転を行っている。このとき、この作動ガス循環型エンジン1は、凝縮器60によって分離された凝縮水を凝縮水排出口60cから凝縮水排出通路64に排出し貯留タンク65に貯留する。
そして、本実施形態の作動ガス循環型エンジン1は、凝縮器60で凝縮された凝縮水を貯留タンク65に貯留した後に、凝縮水排出手段としての排出装置80により系外に排出すると共に、この貯留タンク65に貯留された凝縮水の一部を凝縮水供給手段としての凝縮水供給装置90により循環経路20内に供給することで、凝縮器60に導入される前の排気ガスを冷却する場合がある。
ここで、本実施形態の貯留タンク65は、凝縮水を貯留する内部空間部が閉塞(閉鎖)された空間部となっている。つまり、貯留タンク65は、基本的には凝縮水を密閉された内部空間に貯留可能である。
排出装置80は、貯留タンク65内の凝縮水を排出部としての排出通路81を介して排出可能であると共にこの排出通路81を開閉手段としての排出開閉弁82により開閉可能である。具体的には、この排出装置80は、排出通路81と、排出開閉弁82と、排出逆止弁83とを有している。
排出通路81は、貯留タンク65の内部と外部とを凝縮水が流動可能に接続するものである。排出通路81は、例えば、通路配管などにより構成される。排出通路81は、一端が貯留タンク65の内部に開口し、他端が貯留タンク65の外部、ここでは循環経路20の系外である大気に開口する。
排出開閉弁82は、排出通路81上に設けられ排出通路81を開閉可能なものである。排出開閉弁82は、閉弁状態では排出通路81を閉鎖し排出通路81内の凝縮水の流通を遮断する一方、開弁状態では排出通路81を開放し排出通路81内の凝縮水の流通を可能とする。この排出開閉弁82は、電子制御装置50によって制御される。
排出逆止弁83は、排出通路81上に設けられる。排出逆止弁83は、排出通路81上の貯留タンク65と排出開閉弁82との間に設けられている。排出逆止弁83は、排出通路81を貯留タンク65の外部である大気側から内部側への凝縮水や空気などの流体の流れを防止するものである。つまり、排出逆止弁83は、排出通路81において、貯留タンク65の内部側から外部側への流体の流れを許容する一方、貯留タンク65の外部側から内部側への流体の流れを規制する。
したがって、この排出装置80は、排出開閉弁82が開弁状態となり排出通路81を開放することで、貯留タンク65内の凝縮水を排出通路81を介して系外に排出することができる。一方、この排出装置80は、排出開閉弁82が閉弁状態となり排出通路81を閉鎖することで、貯留タンク65内と外部(大気)との連通を遮断し、貯留タンク65内の凝縮水の排出を規制(停止)することができる。
凝縮水供給装置90は、貯留タンク65内の凝縮水をポンプとしての凝縮水ポンプ92により圧送して循環経路20の内部に供給可能である。具体的には、凝縮水供給装置90は、凝縮水供給通路91と、凝縮水ポンプ92と、凝縮水噴射弁93とを有している。
凝縮水供給通路91は、貯留タンク65の内部と凝縮水噴射弁93とを凝縮水が流動可能に接続するものである。凝縮水供給通路91は、例えば、通路配管などにより構成される。凝縮水供給通路91は、一端が貯留タンク65の内部に開口し、他端が凝縮水噴射弁93に接続される。
凝縮水ポンプ92は、凝縮水供給通路91上に設けられこの凝縮水供給通路91を介して貯留タンク65内の凝縮水を凝縮水噴射弁93に圧送するものである。凝縮水ポンプ92は、例えば、エンジン本体10のクランクシャフト19の回転に同期して駆動し、吸入した凝縮水を昇圧後に吐出することができる機械式ポンプである。すなわち、凝縮水ポンプ92は、駆動力を発生するエンジン本体10のクランクシャフト19の回転と連動して駆動することで、作動油を加圧可能である。なお、本実施形態の凝縮水ポンプ92は、駆動源としてエンジン本体10を用いるものとして説明するが、これに限らず、駆動源としてこの凝縮水ポンプ92専用の電動機等を用いた電動式ポンプであってもよい。
凝縮水ポンプ92は、凝縮水供給通路91において、貯留タンク65と凝縮水噴射弁93との間に設けられる。凝縮水ポンプ92は、密閉された貯留タンク65内の圧力を昇圧させ、貯留タンク65内の凝縮水を凝縮水供給通路91を介して凝縮水噴射弁93に圧送する。言い換えれば、凝縮水ポンプ92は、貯留タンク65内の凝縮水を加圧して昇圧し、凝縮水供給通路91内を貯留タンク65側から凝縮水噴射弁93側に圧送する。凝縮水ポンプ92は、電子制御装置50によって制御される。
凝縮水噴射弁93は、貯留タンク65内から凝縮水ポンプ92により凝縮水供給通路91を介して圧送された凝縮水を循環経路20内に噴射して供給するものである。凝縮水噴射弁93は、燃焼室CCを基準として循環経路20を循環するガスの循環方向に対して凝縮器60より上流側(排気側)の循環経路20の内部、ここでは、第2循環通路21bをなす排気管18の内部に凝縮水を噴射して供給可能なように設けられる。この酸化剤噴射弁32は、電子制御装置50によって制御される。
ここで、本実施形態の電子制御装置50は、さらに排気温度センサ55が電気的に接続されている。また、この電子制御装置50は、処理部50aに機能概念的にさらに凝縮水供給排出制御部72が設けられている。
排気温度センサ55は、燃焼室CCから排気された水素の燃焼後の排気ガスの温度を検出するものである。本実施形態の排気温度センサ55は、燃焼室CCを基準として循環経路20を循環するガスの循環方向に対して凝縮水噴射弁93による凝縮水の噴射位置より下流側(吸気側)、凝縮器60より上流側(排気側)の検出位置で排気ガスの温度を検出する。排気温度センサ55は、検出信号を電子制御装置50に送信する。
凝縮水供給排出制御部72は、排出装置80及び凝縮水供給装置90を制御するものである。さらに具体的に言えば、凝縮水供給排出制御部72は、排出装置80の排出開閉弁82、凝縮水供給装置90の凝縮水ポンプ92、凝縮水噴射弁93の駆動を制御するものである。
凝縮水供給排出制御部72は、例えば、貯留タンク65内に貯留される凝縮水の水位などに基づいて、排出装置80による凝縮水の排出を制御する。さらに言えば、凝縮水供給排出制御部72は、貯留タンク65内に貯留される凝縮水の水位などに基づいて、排出開閉弁82の開閉を制御して凝縮水の排出を制御する。
すなわち、凝縮水供給排出制御部72は、不図示の水位検出センサが検出した貯留タンク65内の凝縮水の水位が予め設定された所定水位以上である場合に排出開閉弁82を開弁状態とし、排出通路81を開放することで貯留タンク65内の凝縮水を排出通路81を介して系外に排出する。また、凝縮水供給排出制御部72は、不図示の水位検出センサが検出した貯留タンク65内の凝縮水の水位が予め設定された所定水位未満である場合に排出開閉弁82を閉弁状態とし、排出通路81を閉鎖することで貯留タンク65内と外部(大気)との連通を遮断し、貯留タンク65内の凝縮水の排出を規制(停止)する。なお、凝縮水供給排出制御部72は、貯留タンク65内に貯留される凝縮水の水位に限らず、例えば、貯留タンク65内の内圧に基づいて、排出装置80による凝縮水の排出を制御するようにしてもよい。
また、凝縮水供給排出制御部72は、排気温度センサ55が検出した水素の燃焼後の排気ガスの温度に基づいて、凝縮水供給装置90による凝縮水の供給を制御する。さらに言えば、凝縮水供給排出制御部72は、排気ガスの温度に基づいて、凝縮水ポンプ92による凝縮水の圧送量や凝縮水噴射弁93による凝縮水の噴射量、噴射時期を制御して凝縮水の供給を制御する。
すなわち、凝縮水供給排出制御部72は、例えば、排気温度センサ55が検出した排気ガスの温度が予め設定された所定温度以上である場合に、凝縮水ポンプ92を駆動状態とし、凝縮水ポンプ92により圧送された凝縮水を凝縮水噴射弁93から噴射し、循環経路20における凝縮器60より上流側(排気側)に凝縮水を供給する。さらに言えば、凝縮水供給排出制御部72は、例えば、排気温度センサ55が検出した排気ガスの温度に基づいて凝縮水供給装置90による凝縮水の供給量を調節する。凝縮水供給排出制御部72は、排気温度センサ55が検出した排気ガスの温度が相対的に高いほど凝縮水供給装置90による凝縮水の供給量を相対的に多く設定する一方、排気温度センサ55が検出した排気ガスの温度が相対的に低いほど供給量を相対的に少なく設定する。
この結果、この作動ガス循環型エンジン1は、凝縮水供給排出制御部72が凝縮水供給装置90を制御して排気ガスの温度に応じて貯留タンク65内の凝縮水を循環経路20における凝縮器60より上流側(排気側)に供給することから、凝縮器60に導入される前の排気ガスをこの凝縮水によって冷却することができる。これにより、この作動ガス循環型エンジン1は、凝縮器60に導入される前の排気ガスの温度に応じてこの凝縮器60に導入される前の排気ガスを冷却することができることから、単純な構成で凝縮器60に導入される前の排気ガスの温度を低下させることができる。よって、この作動ガス循環型エンジン1は、凝縮器60に導入される前の排気ガスの温度を低下させることができることから、例えば、高負荷運転時などに凝縮器60に高温の排気ガスが導入されることを防止することができ、凝縮器60に対する熱負荷が増加することを防止することができ、例えば、凝縮器60の排気ガス導入口60aの近傍の部分などでのヒートショックや熱ひずみなどによる熱変形を確実に防止することができ、耐久性を向上し信頼性を向上することができる。また、作動ガス循環型エンジン1は、例えば、凝縮水が凝縮器60の外壁などと接触して蒸発し、その水蒸気が意図せず系外に排出されることを防止することができる。
また、この作動ガス循環型エンジン1は、凝縮器60に導入される前の排気ガスの温度に応じてこの凝縮器60に導入される前の排気ガスを冷却し、凝縮器60に導入される前の排気ガスの温度を低下させることができることから、排気ガス中の水蒸気が液化・凝縮される温度にまで排気ガス温度を下げることのできる凝縮器60、ラジエータ63の容量を小さくすることができるので、凝縮器60、ラジエータ63を小型化することができる。つまり、この作動ガス循環型エンジン1は、凝縮器60に導入される排気ガスの温度を低下させることができることから、凝縮器60で冷却水が排気ガスから奪う熱量が少なくてすみ、よって、凝縮器60、ラジエータ63の容量を小さくすることができる。言い換えれば、この作動ガス循環型エンジン1は、比較的容量の小さい凝縮器60、ラジエータ63によって排気ガスから水蒸気を分離することができ作動ガスの平均比熱比の低下を防止することができることから、作動ガス循環型エンジン1を小型化し搭載性を向上した上で高効率運転を維持することができる。
なお、本実施形態の凝縮水供給排出制御部72は、例えば、排気温度センサ55が検出した排気ガスの温度のほかにさらにエンジン負荷、言い換えれば、酸素と水素との燃焼で発生する発熱量やエンジン回転数などに基づいて凝縮水供給装置90による凝縮水の供給量を調節するようにしてもよい。凝縮水供給排出制御部72は、凝縮器60に導入される排気ガスの温度に加えて、例えば、単位時間当たりに凝縮器60に導入される排気ガスの体積(あるいは質量)などに基づいて、凝縮水供給装置90による凝縮水の供給量を調節するようにしてもよい。このような作動ガス循環型エンジン1では、例えば、エンジン回転数が増加するほど循環経路20を循環するガスの流速が高くなることから、単位時間当たりに凝縮器60に導入される排気ガスの体積(あるいは質量)が増加する。このため、凝縮水供給排出制御部72は、例えば、単位時間当たりに凝縮器60に導入される排気ガスの体積(あるいは質量)が増加するほど、すなわち、エンジン回転数が相対的に高くなるほど凝縮水供給装置90による凝縮水の供給量を相対的に多く設定することで、より確実に凝縮器60に導入される前の排気ガスを冷却することができ、凝縮器60に導入される前の排気ガスの温度を低下させることができる。
そして、本実施形態の作動ガス循環型エンジン1は、制御手段としての凝縮水供給排出制御部72が排出装置80及び凝縮水供給装置90の駆動を制御し、貯留タンク65内の凝縮水を凝縮水ポンプ92により圧送して循環経路20の内部に供給する場合に排出開閉弁82により排出通路81を閉鎖した状態とすることで、凝縮水ポンプ92におけるポンプ負荷の抑制を図っている。
すなわち、本実施形態の凝縮水供給排出制御部72は、凝縮水供給装置90の凝縮水ポンプ92により凝縮水を圧送して凝縮水噴射弁93が第2循環通路21bをなす排気管18の内部に凝縮水を噴射して供給する場合には、排出開閉弁82により排出通路81を閉鎖した状態とし、これにより排出装置80による凝縮水の排出を禁止する。つまり、凝縮水供給排出制御部72は、ここでは、排気温度センサ55が検出した排気ガスの温度が予め設定された所定温度以上である場合に、排出開閉弁82により排出通路81を閉鎖した状態とし排出装置80による凝縮水の排出を禁止した上で、凝縮水ポンプ92を駆動状態とし、凝縮水ポンプ92により圧送された凝縮水を凝縮水噴射弁93から噴射し、循環経路20における凝縮器60より上流側(排気側)に凝縮水を供給する。
言い換えれば、凝縮水供給排出制御部72は、上述したように、凝縮器60に導入されるガスの温度に応じて凝縮水ポンプ92を制御していることから、結果的には排出装置80の排出開閉弁82も排気ガスの温度に応じて制御されることとなる。つまり、凝縮水供給排出制御部72は、排気温度センサ55が検出した排気ガスの温度が予め設定された所定温度以上である場合に、排出開閉弁82により排出通路81を閉鎖した状態とする。
この結果、作動ガス循環型エンジン1は、凝縮水供給排出制御部72が貯留タンク65内の凝縮水を凝縮水ポンプ92により圧送して循環経路20の内部に供給する場合に排出開閉弁82により排出通路81を閉鎖した状態とすることで、排出通路81を閉鎖し貯留タンク65内と外部(大気)との連通を遮断し、貯留タンク65内の凝縮水の排出を規制(停止)することができる。これにより、この作動ガス循環型エンジン1は、凝縮水ポンプ92により貯留タンク65内の凝縮水を圧送する場合に排出開閉弁82により排出通路81を閉鎖した状態とし排出通路81を閉鎖し貯留タンク65内と外部(大気)との連通を遮断し、貯留タンク65内の凝縮水の排出を規制(停止)することで、貯留タンク65内の圧力が低下することを抑制することができるので、凝縮水ポンプ92の駆動時にこの凝縮水ポンプ92の必要出力を抑制することができる。
つまり、作動ガス循環型エンジン1は、凝縮水ポンプ92を駆動することにより貯留タンク65内の圧力を昇圧し、貯留タンク65内の凝縮水を凝縮水供給通路91を介して凝縮水噴射弁93に圧送する際に、排出開閉弁82により排出通路81を閉鎖した状態とし排出通路81を閉鎖し貯留タンク65内と外部(大気)との連通を遮断し、貯留タンク65内の凝縮水の排出を規制(停止)することで、貯留タンク65内の圧力が低下することを抑制することができるので、凝縮水ポンプ92における仕事量を抑制することができ、凝縮水ポンプ92におけるポンプ負荷(ポンプ駆動損失)を低減することができ、この結果、例えば燃費を向上することができる。作動ガス循環型エンジン1は、例えば、凝縮水ポンプ92が電動式のポンプである場合には凝縮水ポンプ92における消費電力を抑制することができる。
次に、図2のフローチャートを参照して本実施形態に係る作動ガス循環型エンジン1の凝縮水供給制御を説明する。なお、この制御ルーチンは、数msないし数十ms毎の制御周期で繰り返し実行される。
まず、電子制御装置50の凝縮水供給排出制御部72は、排気温度センサ55により循環経路20を流れる排気ガスの温度を検出し、この排気温度センサ55の検出信号に基づいて、排気ガスの温度を取得する(S100)。
凝縮水供給排出制御部72は、S100で取得した排気ガスの温度に基づいて、凝縮水供給装置90による凝縮水の供給、すなわち、凝縮水噴射弁93による凝縮水の噴射が必要であるか否かを判定する(S102)。凝縮水供給排出制御部72は、例えば、S100で取得した排気ガスの温度と予め設定された所定温度とを比較し、排気ガスの温度が所定温度以上であると判定した場合に、凝縮水供給装置90の凝縮水噴射弁93による凝縮水の噴射が必要であると判定する。
凝縮水供給排出制御部72は、凝縮水供給装置90の凝縮水噴射弁93による凝縮水の噴射が必要であると判定した場合(S102:Yes)、すなわち、S100で取得した排気ガスの温度が所定温度以上であると判定した場合、S100で取得した排気ガスの温度に基づいて、凝縮水供給装置90の凝縮水噴射弁93による凝縮水の噴射量を算出する(S104)。凝縮水供給排出制御部72は、例えば、排気ガスの温度と凝縮水の噴射量との関係を記述した凝縮水噴射量マップ(不図示)やこれに相当する数式などを用いて、S100で取得した排気ガスの温度から凝縮水供給装置90の凝縮水噴射弁93による凝縮水の噴射量を算出する。
次に、凝縮水供給排出制御部72は、排出開閉弁82を閉弁状態とし、この排出開閉弁82により排出通路81を閉鎖した状態とし、これにより排出装置80による凝縮水の排出を禁止する(S106)。ここで、凝縮水供給排出制御部72は、排出開閉弁82がもともと閉弁状態であった場合にはこの閉弁状態を継続する。
次に、凝縮水供給排出制御部72は、S104で算出した噴射量に基づいて、凝縮水供給装置90の凝縮水ポンプ92により凝縮水を圧送して凝縮水噴射弁93が第2循環通路21bをなす排気管18の内部に凝縮水を噴射して供給し(S108)、現在の制御周期を終了し、次の制御周期に移行する。
凝縮水供給排出制御部72は、S102において凝縮水供給装置90の凝縮水噴射弁93による凝縮水の噴射が必要でないと判定した場合(S102:No)、すなわち、S100で取得した排気ガスの温度が所定温度未満であると判定した場合、排出開閉弁82を開弁状態に設定し、排出装置80による凝縮水の排出を可能にし、言い換えれば、凝縮水供給装置90による凝縮水の供給を禁止して、現在の制御周期を終了し、次の制御周期に移行する。ここで、凝縮水供給排出制御部72は、排出開閉弁82がもともと開弁状態であった場合にはこの開弁状態を継続する。
以上で説明した本発明の実施形態に係る作動ガス循環型エンジン1によれば、酸化剤としての酸素と、この酸化剤との燃焼により水蒸気を生成する燃料としての水素と、空気より比熱比の高い作動ガスとが供給され、水素の燃焼に伴って作動ガスが膨張可能であると共に水素の燃焼後の排気ガスとして水蒸気と作動ガスとを排気可能な燃焼室CCと、排気ガス中に含まれる作動ガスを燃焼室CCの排気側から吸気側に循環させ再び燃焼室CCに供給可能な循環経路20と、循環経路20に設けられ排気ガス中に含まれる水蒸気を凝縮して凝縮水とする凝縮器60と、凝縮水を内部空間部に貯留可能な貯留タンク65と、貯留タンク65内の凝縮水を排出通路81を介して排出可能であると共にこの排出通路81を排出開閉弁82により開閉可能な排出装置80と、貯留タンク65内の凝縮水を凝縮水ポンプ92により圧送して循環経路20の内部に供給可能な凝縮水供給装置90と、排出装置80及び凝縮水供給装置90を制御し、貯留タンク65内の凝縮水を凝縮水ポンプ92により圧送して循環経路20の内部に供給する場合に排出開閉弁82により排出通路81を閉鎖した状態とする凝縮水供給排出制御部72とを備える。
したがって、作動ガス循環型エンジン1は、凝縮水供給排出制御部72が貯留タンク65内の凝縮水を凝縮水ポンプ92により圧送して循環経路20の内部に供給する場合に排出開閉弁82により排出通路81を閉鎖した状態とすることから、凝縮水ポンプ92により貯留タンク65内の凝縮水を圧送する際に、貯留タンク65内の圧力が低下することを抑制することができるので、凝縮水ポンプ92におけるポンプ負荷を抑制することができる。
さらに、以上で説明した本発明の実施形態に係る作動ガス循環型エンジン1によれば、凝縮水供給装置90は、燃焼室CCを基準として循環経路20を循環するガスの循環方向に対して凝縮器60より上流側の循環経路20の内部に凝縮水を供給可能であり、凝縮水供給排出制御部72は、凝縮器60に導入されるガスの温度に応じて凝縮水供給装置90を制御する。したがって、作動ガス循環型エンジン1は、凝縮水供給排出制御部72が排気ガスの温度に応じて凝縮水供給装置90を制御し貯留タンク65内の凝縮水を循環経路20における凝縮器60より上流側(排気側)に供給することから、凝縮器60に導入される前の排気ガスの温度を低下させることができ、凝縮器60に高温の排気ガスが導入されることを防止することができる。
なお、上述した本発明の実施形態に係る作動ガス循環型エンジンは、上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。
以上の説明では、作動ガス循環型エンジンは、燃料が燃焼室CC内に直接噴射されるよう燃料噴射弁を設けるものとして説明したが、燃料噴射弁は、燃料を吸気管17又は吸気ポート11bに噴射させるべくシリンダヘッド11に取り付けられてもよい。この場合であっても、本発明の作動ガス循環型エンジンは、ポンプにおけるポンプ負荷を抑制することができる。
以上の説明では、作動ガス循環型エンジンは、酸化剤が吸気管17又は吸気ポート11bに噴射されるよう酸化剤噴射弁を設けるものとして説明したが、酸化剤噴射弁は、酸化剤を燃焼室CC内に直接噴射させるべくシリンダヘッド11に取り付けられてもよい。この場合であっても、本発明の作動ガス循環型エンジンは、ポンプにおけるポンプ負荷を抑制することができる。
以上の説明では、作動ガス循環型エンジンは、燃料としての水素(H2)を拡散燃焼させるものとして例示したが、燃料に対して図示しない点火プラグで点火して、いわゆる、火花点火燃焼させる形態のものであってもよく、その燃料に対して点火プラグで点火して着火の補助を行い拡散燃焼させる形態のものであってもよい。つまり、以上で説明した本発明の作動ガス循環型エンジンは、燃焼形態の異なる作動ガス循環型エンジンに適用してもよく、この場合であっても、ポンプにおけるポンプ負荷を抑制することができる。
以上の説明では、凝縮水供給手段は、燃焼室CCを基準として循環経路20を循環するガスの循環方向に対して凝縮器60より上流側(排気側)の循環経路20の内部に凝縮水を供給するものとして説明したがこれに限らない。
以上の説明では、排気温度センサ55は、燃焼室CCを基準として循環経路20を循環するガスの循環方向に対して凝縮水噴射弁93による凝縮水の噴射位置より下流側(吸気側)、凝縮器60より上流側(排気側)の検出位置で排気ガスの温度を検出するものとして説明したがこれに限らない。また、排気ガスの温度は、例えば、燃焼室CCへの水素の供給量などから発熱量を推定し、この発熱量から推定するようにしてもよい。
以上のように、本発明に係る作動ガス循環型エンジンは、ポンプ負荷を抑制することができるものであり、排気ガス中に含まれる作動ガスを燃焼室の排気側から吸気側に循環させ再び燃焼室に供給可能な種々の作動ガス循環型エンジンに適用して好適である。
1 作動ガス循環型エンジン
10 エンジン本体
20 循環経路
30 酸化剤供給装置
40 燃料供給装置
50 電子制御装置
55 排気温度センサ
60 凝縮器(凝縮手段)
65 貯留タンク(凝縮水貯留手段)
72 凝縮水供給排出制御部(制御手段)
80 排出装置(凝縮水排出手段)
81 排出通路(排出部)
82 排出開閉弁(開閉手段)
83 排出逆止弁
90 凝縮水供給装置(凝縮水供給手段)
91 凝縮水供給通路
92 凝縮水ポンプ(ポンプ)
93 凝縮水噴射弁
CC 燃焼室
10 エンジン本体
20 循環経路
30 酸化剤供給装置
40 燃料供給装置
50 電子制御装置
55 排気温度センサ
60 凝縮器(凝縮手段)
65 貯留タンク(凝縮水貯留手段)
72 凝縮水供給排出制御部(制御手段)
80 排出装置(凝縮水排出手段)
81 排出通路(排出部)
82 排出開閉弁(開閉手段)
83 排出逆止弁
90 凝縮水供給装置(凝縮水供給手段)
91 凝縮水供給通路
92 凝縮水ポンプ(ポンプ)
93 凝縮水噴射弁
CC 燃焼室
Claims (2)
- 酸化剤と、当該酸化剤との燃焼により水蒸気を生成する燃料と、空気より比熱比の高い作動ガスとが供給され、前記燃料の燃焼に伴って前記作動ガスが膨張可能であると共に前記燃料の燃焼後の排気ガスとして前記水蒸気と前記作動ガスとを排気可能な燃焼室と、
前記排気ガス中に含まれる前記作動ガスを前記燃焼室の排気側から吸気側に循環させ再び前記燃焼室に供給可能な循環経路と、
前記循環経路に設けられ前記排気ガス中に含まれる前記水蒸気を凝縮して凝縮水とする凝縮手段と、
前記凝縮水を内部空間部に貯留可能な凝縮水貯留手段と、
前記凝縮水貯留手段内の前記凝縮水を排出部を介して排出可能であると共に当該排出部を開閉手段により開閉可能な凝縮水排出手段と、
前記凝縮水貯留手段内の前記凝縮水をポンプにより圧送して前記循環経路の内部に供給可能な凝縮水供給手段と、
前記凝縮水排出手段及び前記凝縮水供給手段を制御し、前記凝縮水貯留手段内の前記凝縮水を前記ポンプにより圧送して前記循環経路の内部に供給する場合に前記開閉手段により前記排出部を閉鎖した状態とする制御手段とを備えることを特徴とする、
作動ガス循環型エンジン。 - 前記凝縮水供給手段は、前記燃焼室を基準として前記循環経路を循環するガスの循環方向に対して前記凝縮手段より上流側の前記循環経路の内部に前記凝縮水を供給可能であり、
前記制御手段は、前記凝縮手段に導入されるガスの温度に応じて前記凝縮水供給手段を制御する、
請求項1に記載の作動ガス循環型エンジン。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009067669A JP2010216454A (ja) | 2009-03-19 | 2009-03-19 | 作動ガス循環型エンジン |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009067669A JP2010216454A (ja) | 2009-03-19 | 2009-03-19 | 作動ガス循環型エンジン |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2010216454A true JP2010216454A (ja) | 2010-09-30 |
Family
ID=42975539
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2009067669A Pending JP2010216454A (ja) | 2009-03-19 | 2009-03-19 | 作動ガス循環型エンジン |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2010216454A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012193634A (ja) * | 2011-03-15 | 2012-10-11 | Toyota Motor Corp | 貯水タンク |
JP2018025375A (ja) * | 2016-07-31 | 2018-02-15 | 寛治 泉 | 水素と酸素を燃焼するエンジンシの構成方法。 |
JP2020515771A (ja) * | 2017-03-23 | 2020-05-28 | エスエーエス トム サーミック ハイドロジェン オキシジェン モビリティーSas Thom Thermic Hydrogen Oxygen Mobility | 2ストローク内燃機関 |
CN114483334A (zh) * | 2022-01-25 | 2022-05-13 | 北京工业大学 | 一种废气再循环结合水直喷的副产氢内燃机及方法 |
Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH1182182A (ja) * | 1997-09-04 | 1999-03-26 | Nippon Soken Inc | 排気ガス再循環システム |
JP2008064018A (ja) * | 2006-09-07 | 2008-03-21 | Toyota Motor Corp | 作動ガス循環型エンジン |
-
2009
- 2009-03-19 JP JP2009067669A patent/JP2010216454A/ja active Pending
Patent Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH1182182A (ja) * | 1997-09-04 | 1999-03-26 | Nippon Soken Inc | 排気ガス再循環システム |
JP2008064018A (ja) * | 2006-09-07 | 2008-03-21 | Toyota Motor Corp | 作動ガス循環型エンジン |
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012193634A (ja) * | 2011-03-15 | 2012-10-11 | Toyota Motor Corp | 貯水タンク |
JP2018025375A (ja) * | 2016-07-31 | 2018-02-15 | 寛治 泉 | 水素と酸素を燃焼するエンジンシの構成方法。 |
JP2020515771A (ja) * | 2017-03-23 | 2020-05-28 | エスエーエス トム サーミック ハイドロジェン オキシジェン モビリティーSas Thom Thermic Hydrogen Oxygen Mobility | 2ストローク内燃機関 |
JP7148593B2 (ja) | 2017-03-23 | 2022-10-05 | エスエーエス トム サーミック ハイドロジェン オキシジェン モビリティー | 2ストローク内燃機関 |
CN114483334A (zh) * | 2022-01-25 | 2022-05-13 | 北京工业大学 | 一种废气再循环结合水直喷的副产氢内燃机及方法 |
CN114483334B (zh) * | 2022-01-25 | 2022-10-11 | 北京工业大学 | 一种废气再循环结合水直喷的副产氢内燃机及方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4793508B2 (ja) | 作動ガス循環型エンジン | |
US7621260B2 (en) | Internal combustion engine and control method thereof | |
JP4730154B2 (ja) | ガス燃料エンジン | |
US10208712B2 (en) | Control system of engine | |
JP2017089555A (ja) | エンジンの制御装置 | |
JP4793509B2 (ja) | 作動ガス循環型エンジン | |
US8453623B2 (en) | Gas circulation engine | |
JP2010216454A (ja) | 作動ガス循環型エンジン | |
WO2010092684A1 (ja) | 作動ガス循環型エンジン | |
JP2018003682A (ja) | 排熱回収機能付きエンジン | |
JP4983983B2 (ja) | 作動ガス循環型エンジン | |
JP2009281206A (ja) | 作動ガス循環型エンジン | |
US8360035B2 (en) | Internal combustion engine and method for controlling the internal combustion engine | |
JP2009068392A (ja) | 作動ガス循環型水素エンジン | |
JP2010209801A (ja) | 作動ガス循環型エンジンの酸素供給装置 | |
WO2010046978A1 (ja) | 作動ガス循環型エンジン | |
JP5447019B2 (ja) | 作動ガス循環型エンジン | |
JP2012167582A (ja) | 作動ガス循環型エンジン | |
JP5447051B2 (ja) | 作動ガス循環型エンジン | |
JP2008115722A (ja) | 往復動型内燃機関 | |
JP2011196198A (ja) | 作動ガス循環型エンジン及び比熱比検出装置 | |
JP2021046801A (ja) | 燃料供給システム、内燃機関および車両 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20111221 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20121102 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20121204 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20130402 |