次に、発明を実施するための形態について図面を参照して詳細に説明する。
本発明では、演算により未使用トナーの消費量と廃トナーの回収量を求めることにする。この方法では、使用量の推移が計算により求めるため、カートリッジの交換までの時期が、トナー残量が減ってきていることが原因で近づいてきているのか、それとも、廃トナーが増えてきていることが原因で近づいてきているのかを知ることができる。
印字面積の高い画像が比較的多い場合、トナー消費量は、概ね印字面積に比例して増える。一方、このとき、廃トナー回収量は、印字部の転写残トナーに概略比例する。この場合、転写効率は95%程度と高く、ほとんどのトナーは、ベルト側を通して紙上に排出される。このため、感光体から廃トナー回収部に回収されるトナー量は少ない。したがって、トナー残量が減ることによりカートリッジの寿命に到達したときにでも、廃トナー回収容器にはまだ空きが多く存在する。この場合は、カートリッジの寿命は、トナー消費量により決まる。
逆に、印字面積の低い(白)画像の場合、トナー消費量は、概ね感光体の回転距離に比例して増える。逆帯電トナーや弱帯電トナーが多く感光体に付着する現象であり、一成分現像で特に顕著な「かぶり」と呼ばれる現象がある。印字面積の低い(白)画像の場合では、この「かぶり」が起こる。このため、通常の転写電界ではトナーは転写ベルトに移行せず、転写効率は10%程度と低く、感光体に付着したトナーのほとんどが、廃トナー回収部に回収される。したがって、このようなユニットでは、廃トナー回収容器が溢れる前にカートリッジの交換をしなくてはならないため、トナー残量があるにも関わらず、廃トナー回収容器が満杯になり、カートリッジをしなくなる。この場合は、カートリッジの寿命は、廃トナー回収量で決まる。
このように、頻繁に印刷される画像がどのようなものであるかによって、カートリッジが寿命に達したときの廃トナー回収容器の空き容量に差が生じる。このことを利用して、転写ベルトの残留トナーの回収先のステーション(色)を選択的に選ぶというのが、本発明の要約である。
本発明を適用した画像形成装置として、電子写真方式のカラーレーザープリンタ(以下、単にプリンタという)の実施形態について説明する。
まず、本実施形態に係るプリンタの基本的な構成について説明する。図4は、本実施形態に係るプリンタを示す概略構成図である。このプリンタは、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー像を形成するための4つのプロセスユニット1Y、1M、1C、1Kを備えている。また、光書込ユニット50、給紙カセット51、給紙路53、レジストローラ対54、転写ユニット60、定着装置80、排紙ローラ対55、スタック部56等も備えている。なお、各符号の添いるように、メイン制御部100を構成している。かかる構成では、正規帯電トナーよりも逆帯電トナーの方が転写ニップで感光体に残留し易いという実情に即して、逆帯電トナーの転写残量を正確に求めることができる。Y、M、C、Kは、それぞれイエロー、マゼンダ、シアン、ブラック用の部材であることを示す。
潜像書込手段としての光書込ユニット50は、Y、M、C、Kの各色に対応する図示しない4つのレーザーダイオードからなる光源、正六面体のポリゴンミラー、これを回転駆動するためのポリゴンモータ、fθレンズ、レンズ、反射ミラー等を有している。レーザーダイオードから射出されたレーザー光Lは、ポリゴンミラーによって偏向せしめられながら、後述する4つの感光体のうちの何れかに到達する。これにより、4つの感光体の表面がそれぞれ暗中にて光走査される。
図5は、4つのプロセスユニット(カートリッジ)1Y、1M、1C、1Kのうち、K用のプロセスユニット1Kを示す拡大構成図である。図5において、プロセスユニット1Kは、感光体3K、これの回りに配設された帯電装置5K、現像装置10K、ドラムクリーニング装置20Kなどを有している。そして、それらを1つのユニットとして共通のケーシング(保持体)に保持してプリンタ本体に対して一体的に着脱するようになっている。特徴としては、図5に示すように、未使用のトナーを収容するトナー収容部を格納する領域14Kと、回収された廃トナーを収容する廃トナー回収部を格納する領域22Kを仕切られた部分で併せ持っている。このため、ユーザは、ユニットを交換することにより、意識せずに廃トナー回収部の交換することができる。廃トナー格納領域22Kに設置された廃トナー回収部には、図示しないが、トナー搬送の部材がついており、廃トナー回収部を有効に利用できるようになっている。
感光体3Kは、アルミ等からなるドラム状の素管の周面に有機感光層が被覆されたものであり、図示しない駆動手段によって所定の線速で図中時計回り方向に回転駆動せしめられる。
帯電装置5Kは、感光体3Kに接触又は近接しながら回転駆動される帯電ローラ6K、これに接触しながら回転する帯電クリーニングローラ7K等を有している。そして、図示しない電源によって帯電バイアスが印加される帯電ローラ6Kと、感光体3Kとの間に放電を生じせしめることで、感光体3Kの表面をKトナーの正規帯電極性と同極であるマイナス極性に一様帯電せしめる。帯電ローラ6Kには、感光体3Kとの対向位置でKトナーが付着することがあるが、図示しない電源によってクリーニングバイアスが印加される帯電クリーニングローラ7Kに転移する。そして、帯電クリーニングブレード8Kによって帯電クリーニングローラ7Kから掻き取られて、帯電装置5Kのケーシングに設けられたトナー収容部に貯留される。感光体3Kから帯電ローラ6Kに転移するKトナーの量はごく僅かであるため、プロセスユニット1Kの寿命が到来する前に、帯電装置5Kのトナー収容部が満杯になることはない。
なお、本プリンタでは、帯電装置5Kとして、帯電ローラ6Kを用いる方式のものを採用しているが、帯電ブラシを用いる方式のものや、スコロトロン方式のものを採用してもよい。
帯電装置5Kによって一様に帯電せしめられた感光体3Kの表面には、上述した光書込ユニット50による光走査でK用の静電潜像が形成される。そして、静電潜像は現像装置10KによってKトナー像に現像される。
現像装置10Kは、ケーシングの側面に設けられた開口から自らの周面の一部を露出させながら回転駆動される現像ローラ11Kを有している。
トナー供給ローラ12Kは、芯金と、これの表面に被覆された発泡ウレタン等の発泡体からなるトナー担持層とを有しており、図示しない駆動手段によって回転駆動される。そして、Kトナーをトナー担持層の発泡セル内に取り込んだ後、後述する現像ローラ11Kとの当接位置で現像ローラ11Kの表面に供給する。
現像ローラ11Kは、回転自在に支持されながら、図示しない駆動手段によって図中反時計回り方向に回転駆動される。そして、トナー供給ローラ12Kから供給されたKトナーを現像ローラ11Kの表面に担持する。これによって現像ローラ11Kの表面に形成されたKトナー層は、現像ローラ11Kの回転に伴って、薄層化ブレード13Kと現像ローラ11Kとの当接部に進入する。そして、薄層化ブレード13Kによって薄層化せしめられたり、Kトナー粒子の摩擦帯電が促されたりした後、現像ローラ11Kと感光体3Kとが当接している現像領域に送られる。
現像ローラ11Kには、図示しない電源によって現像バイアスが印加されている。この現像バイアスは、マイナス極性の直流電圧、あるいは、マイナス極性の直流電圧に交流電圧が重畳された重畳電圧であるが、何れにしても直流電圧は、感光体3Kのマイナス極性の静電潜像よりも大きく、且つ感光体3Kの地肌部(一様帯電部)よりも小さい値になっている。現像領域では、マイナス極性に帯電しているKトナーが感光体3Kの静電潜像に転移する。これにより、静電潜像がKトナー像に現像される。
このようにして現像されたKトナー像は、感光体3Kの回転に伴って、感光体3Kと後述する中間転写ベルト61とが当接する1次転写ニップに送られて、ここで中間転写ベルト61のおもて面に1次転写される。
なお、本プリンタでは、現像剤として、トナーを主成分とする1成分現像剤を用いる一成分現像方式の現像装置10Kを採用しているが、トナーと磁性キャリアとを主成分とする2成分現像剤を用いる2成分現像方式の現像装置を採用してもよい。
1次転写ニップを通過した感光体3Kの表面には、転写体たる中間転写ベルト61に転写されなかった転写残トナーが付着している。この転写残トナーは、ドラムクリーニング装置20Kによって感光体3Kから除去される。
ドラムクリーニング装置20Kは、1次転写ニップを通過した後、上述した帯電装置5Kとの対向位置に進入する前の感光体3K表面に当接しながら感光体3Kから転写残トナーを掻き取る除去手段としてのクリーニングブレード21Kを有している。また、掻き取り後の転写残トナーを収容する廃トナー収容手段としての廃トナー格納領域22Kに廃トナー回収部も有している。
感光体3Kの表面上の転写残トナーは、ドラムクリーニング装置20Kのクリーニングブレード21Kによって感光体3Kから掻き取られた後、廃トナー回収部内に収容される。なお、プロセスユニット1Kは、その内部の各機器の何れかが寿命に到達した時点で新品に交換されるが、製品毎の耐久性のバラツキや、頻出プリント品質などによっては、寿命に到達する前に廃トナー回収部が満杯エラーになることがある。つまり、トナー残量があるに関わらず、廃トナー回収部に回収された廃トナーの量が満杯エラー容量を超え、満杯である判断されることがある。
ドラムクリーニング装置20Kによって転写残トナーがクリーニングされた感光体3Kの表面は、図示しない除電ランプによって除電処理が施された後、帯電装置5Kによって一様帯電せしめられる。
図6は、K用のプロセスユニット1Kを示す拡大斜視図である。プロセスユニット1Kのケーシングの外面には、データ記憶手段としての不揮発メモリ(フラッシュメモリ)を搭載したメモリータグ25Kが固定されている。プロセスユニット1Kがプリンタ本体に装着された状態では、図示しない接点を介して、このメモリータグ25Kとプリンタ本体の図示しないメイン制御部とが導通する。そして、不揮発メモリ内の情報がメイン制御部に読み取られたり、不揮発メモリに対してメイン制御部によって情報が書き込まれたりする。
なお、不揮発メモリには、プロセスユニットの保守管理に必要な情報として、ユニットID、製造年月日、使用開始年月日、ユニットリサイクル回数、プリント動作回数、感光体の累積表面移動距離、廃トナー累積量、満杯エラー容量などが記憶されている。メモリータグ25Kの代わりに、ICチップや非接触型ICチップを搭載したプリント基板を採用してもよい。
図5及び図6を用いて、図4に示した4つのプロセスユニット1Y、1M、1C、1Kのうち、K用のユニットについて説明してきたが、他色用のプロセスユニット1M、1C、1Kも同様の構成であるため説明を省略する。
各色のプロセスユニット1Y、1M、1C、1Kの図4における下方には、転写ユニット60が配設されている。この転写ユニット60は、無端状の中間転写61を、複数の張架ローラによって張架しながら、図中反時計回り方向に無端移動せしめる。この複数の張架ローラとは、具体的には、駆動ローラ62、2次転写ローラ63、クリーニングバックアップローラ64、4つの1次転写ローラ65Y、65M、65C、65Kである。転写ユニット60は、これらの他、各ローラを両端部でそれぞれ回転自在に支持する図示しないブラケットや、ベルトループ外側に配設された2次転写ニップローラ66等も有している。
中間転写ベルト61の材料としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂材料を例示することができる。これらの樹脂材料をシームレスベルトに成形して用いる。但し、樹脂材料をそのままの状態で使用するのではなく、カーボンブラック等の導電性材料を分散せしめて電気抵抗を調整することが望ましい。また、これらの樹脂材料をシームレスベルト状に成型したものをベルト基体として、それにスプレーやディッピング等の方法によって表面層などを積層してもよい。
駆動ローラ62、2次転写ローラ63、クリーニングバックアップローラ64、4つの1次転写ローラ65Y、65M、65C、65Kは、何れも中間転写ベルト61の裏面(ループ内周面)に接触している。
4つの1次転写ローラ65Y、65M、65C、65Kは、金属製の芯金にスポンジやゴムの弾性体が被覆されたローラであり、Y、M、C、K用の感光体3Y、3M、3C、3Kに向けて押圧されて、感光体との間に中間転写ベルト61を挟み込むようになっている。これにより、4つの感光体3Y、3M、3C、3Kと中間転写ベルト61のおもて面とがベルト移動方向において所定の長さで接触するY、M、C、K用の4つの1次転写ニップが形成されている。
4つの1次転写ローラ65Y、65M、65C、65Kの芯金には、それぞれ図示しない転写バイアス電源によって定電流制御される転写バイアスが印加されている。これにより、4つの1次転写ローラ65Y、65M、65C、65Kを介して中間転写ベルト61の裏面に転写電荷が付与され、各1次転写ニップにおいて中間転写ベルト61と感光体3Y、3M、3C、3Kとの間に1次転写電界が形成される。この1次転写電界により、感光体3Y、3M、3C、3K上のY、M、C、Kトナー像が、中間転写ベルト61のおもて面に重ね合わせて転写される。そして、これにより、中間転写ベルト61のおもて面に4色重ね合わせトナー像が形成される。
なお、本プリンタにおいては、転写電界を形成するための手段として1次転写ローラ65Y、65M、65C、65Kや後述の2次転写ローラ63を設けているが、ローラに代えて、ブラシやブレード等のものを用いてもよい。また、転写チャージャーなどを用いてもよい。
中間転写ベルト61の周方向における全領域のうち、ベルトループ内側に配設された2次転写ローラ63に対する駆け回し箇所に対しては、ベルトループ外側に配設された2次転写ニップローラ66がベルトおもて面側から当接している。これにより、中間転写ベルト61のおもて面と、2次転写ニップローラ66とが当接する2次転写ニップが形成されている。
ベルトループ内側に配設された2次転写ローラ63には、図示しない電源によって定電流制御されるマイナス極性の2次転写バイアスが印加されている。これに対し、ベルトループ外側に配設された2次転写ニップローラ66は接地されている。そして、2次転写ローラ63と2次転写ニップローラ66との間には、マイナス極性のトナーからなる4色重ね合わせトナー像を、2次転写ローラ63側から2次転写ニップローラ66側に向けて静電移動させる2次転写電界が形成されている。
中間転写ベルト61のおもて面に形成された4色重ね合わせトナー像は、ベルトの無端移動に伴って、2次転写ニップに進入する。
プリンタ本体の下部には、給紙カセット51が配設されている。この給紙カセット51は、記録紙を複数枚重ねた紙束の状態で収容しており、一番上の記録紙Pに給紙コロ51aを押し当てている。そして、所定のタイミングで給紙コロ51aを回転させて、記録紙を給紙路53に送り出す。
給紙路53の途中には、レジストローラ対54が配設されており、給紙カセット51から送られてくる記録紙をローラ間に挟み込むために両ローラを回転駆動させているが、記録紙Pの先端を挟み込むとすぐに両ローラの回転駆動を停止させる。そして、記録紙を後述する2次転写ニップで中間転写ベルト61上の4色重ね合わせトナー像に同期させ得るタイミングを見計らって、記録紙を2次転写ニップに向けて送り出す。
2次転写ニップに挟み込まれた記録紙には、上述した2次転写電界やニップ圧の作用により、中間転写ベルト61上の4色重ね合わせトナー像が一括2次転写される。そして、記録紙の白色と相まってフルカラートナー像になる。
4つの1次転写ローラ65Y、65M、65C、65Kのうち、Y、M、C用の3つは、それぞれ、図示しない軸受けを介して図示しない揺動ブラケットに支持されている。この揺動ブラケットは、図示しない回動軸を中心に揺動可能になっている。この揺動により、3つの1次転写ローラ65Y、65M、65Cが移動して、中間転写ベルト61の張架姿勢が、ベルトをK用の感光体3Kだけに当接させる姿勢になったり、4つの感光体3Y、3M、3C、3Kのそれぞれに当接させる姿勢になったりする。
本プリンタは、フルカラー画像をプリントアウトする際には、次のようなプリント動作を行う。即ち、外部の図示しないパーソナルコンピュータ等から送られてくるフルカラー画像データ(画像情報)を受信すると、上述した揺動ブラケットの駆動により、中間転写ベルト61に対して4つの感光体3Y、3M、3C、3Kの全てを当接させる姿勢をとらせながら、これら感光体をそれぞれ図中時計回り方向に回転駆動させる。そして、各感光体3Y、3M、3C、3KにY、M、C、Kトナー像を形成し、中間転写ベルト61のおもて面にそれらの重ね合わせによる4色重ね合わせトナー像を形成する。次いで、2次転写ニップで4色重ね合わせトナー像を記録紙に一括2次転写した後、記録紙を定着装置80に送る。
定着装置80は、ハロゲンランプ等の発熱源を内包する定着ローラ81と、加圧ローラ82との当接によって定着ニップを形成しており、2次転写ニップから送られてきた記録紙を定着ニップ内に挟み込む。そして、ニップ内での加熱や加圧の作用により、フルカラートナー像を記録紙面に定着せしめる。このようにして定着処理が施された記録紙は、排紙ローラ対55を経由した後、プリンタの筺体内から排出されて筺体上面のスタック部にスタックされる。
複数の記録紙に連続して画像を形成する連続プリントモードでは、これまで説明してきたプロセスが繰り返されることで、複数の記録紙Pのそれぞれにフルカラー画像が連続的にプリントされていく。
また、本プリンタは、モノクロ画像をプリントアウトする際には、次のようなプリント動作を行う。即ち、外部の図示しないパーソナルコンピュータ等から送られてくるモノクロ画像データ(画像情報)を受信すると、上述した揺動ブラケットの駆動により、中間転写ベルト61に対して、4つの感光体3Y、3M、3C、3Kのうち、K用の感光体3Kだけを当接させる姿勢をとらせながら、K用の感光体3Kだけを図中時計回り方向に回転駆動させる。モノクロ画像の場合には、Y、M、C用の転写ニップでの1次転写が行われないので、それらの転写ニップを形成しないようにするのである。これにより、中間転写ベルト61、K用以外のプロセスユニット1Y、1M、1C(とりわけ感光体)、その駆動系などに余計な負荷をかけることなく、モノクロ画像をプリントアウトすることができる。
K用の感光体3Kや中間転写ベルト61の駆動を開始したら、K用のプロセスユニット1Kにて感光体3K上にKトナー像を形成する。そして、それを中間転写ベルト61上に単独で1次転写しながら、所定のタイミングで記録紙Pをレジストローラ対54から送り出す。次いで、中間転写ベルト61上のKトナー像を2次転写ニップで記録紙Pに2次転写した後、フルカラー画像の形成のときと同じようにして、定着処理等を施す。
以上の基本的な構成を備える本プリンタでは、転写ユニット60が、現像によって感光体3Y、3M、3C、3Kの表面上に得られたY、M、C、Kトナー像を転写体たる中間転写ベルト61に転写する転写手段として機能している。なお、感光体から、中間転写ベルト61を介して記録紙Pにトナー像を転写する方式について説明したが、各感光体から転写体たる記録紙に直接的にトナー像を重ね合わせ転写する方式を採用してもよい。
次に、本プリンタの特徴的な構成について説明する。
図3は、本プリンタの制御部のブロック図である。図3において、メイン制御部100は、プリンタ内の各機器の駆動制御を司る制御手段として機能している。図3においては、メイン制御部100に電気接続される機器として、便宜上、光書込制御部150、及び各色のプロセスユニット1Y、1M、1C、1Kだけを示しているが、実際には、これらの他にも様々な機器がメイン制御部100に接続されている。また、各色のプロセスユニット1Y、1M、1C、1Kの構成要素として、便宜上、メモリータグ25Y、25M、25C、25Kだけを示しているが、実際には、これらの他にも、ユニット内の様々な機器(例えばセンサー等)がメイン制御部100に接続されている。
光書込制御部150は、図4に示した光書込ユニット50の駆動を制御するものであり、インターフェース151、RAM(Random Access Memory)等からなる画像情報記憶部152、CPU(Central Processing Unit)153等を有している。そして、プリンタ外部のパーソナルコンピュータ等から送られてくる画像情報をインターフェース151によって取得した後、画像情報記憶部152内に一時記憶する。次いで、取得した画像情報に基づいて、各色の書込用データを生成し、このデータや、メイン制御部100から送られてくる同期信号などに基づいて各色のレーザーダイオードやポリゴンモータの駆動を制御する。
メイン制御部100は、CPU101、第1RAM102、第2RAM103、第3RAM104、第4RAM105、第5RAM106、第6RAM107、第7RAM108、ROM(Read Only Memory)109等を有している。そして、ROM105内に記憶されている制御プログラムに基づいて、各機器を制御したり、各種の演算処理を実行したりする。また、上述したように、プロセスユニット1Y、1M、1C、1Kのメモリータグ25Kに記憶されている各種の情報を読み込んだり、メモリータグ25Kに各種の情報を書き込んだりする。
ROM109は、Y、M、C、Kについてそれぞれ、トナー消費量寿命閾値、廃トナー回収量寿命閾値、潜像の1ドットに対する現像トナー量予測値K1、正規帯電トナーの残留率予測値K2、感光体の単位表面移動距離あたりにおける逆帯電トナーのトナー付着量予測値K3、逆帯電トナーの残留率予測値K4、逆帯電トナーの1ドット付着量予測値K5などを記憶している。
トナー消費量寿命閾値は、トナー消費量によりカートリッジの寿命を決めるときの閾値ある。第1RAM102に記憶されたトナー消費量がこのトナー消費量寿命閾値を超えたときをカートリッジの寿命とする。
廃トナー回収量寿命閾値は、廃トナー回収量によりカートリッジの寿命を決めるときの閾値ある。第2RAM103に記憶された廃トナー回収量がこの廃トナー回収量寿命閾値を超えたときをカートリッジの寿命とする。
現像トナー量予測値K1は、1ドットあたりにおける現像ローラから感光体へのトナー付着量の予測値である。
正規帯電トナーの残留率予測値K2は、感光体の静電潜像に付着した正規帯電トナー(本例ではマイナス帯電トナー)の1次転写ニップにおける感光体表面上での残留率の予測値であり、この値が100[%]である場合には転写残トナーは全く発生しない。
感光体の単位表面移動距離あたりにおける逆帯電トナーのトナー付着量予測値K3は、感光体がその回転によって1[mm]表面移動する際に発生する現像ローラから感光体への逆帯電トナーの付着量予測値である。逆帯電トナー(本例ではプラス帯電)の付着は、感光体の潜像部だけでなく地肌部でも発生するので、その量は、潜像と地肌部とを区別せずに、感光体の表面移動距離に基づいて算出することが可能である。
逆帯電トナーの残留率予測値K4は、感光体に付着した逆帯電トナーの1次転写ニップにおける感光体表面上での残留率の予測値である。
逆帯電トナーの1ドットトナー付着量予測値K5は、感光体の潜像の1ドットあたりに対する逆帯電トナーの付着量の予測値である。これらの予測値は、プリンタ試験機を用いた予めの実験によって求められたものである。
第1RAM102は、現像ローラから感光体へのトナーに付着することによりこれまでに消費されたトナーの消費量を記憶する。第1RAM102は、Y、M、C、Kそれぞれに対して用意されており、Y、M、C、Kそれぞれのトナー消費量を記憶する。
第2RAM103は、後述する方法により算出された、これまでに回収された廃トナーの回収量を記憶する。第3RAM103は、Y、M、C、Kそれぞれに対して用意されており、Y、M、C、Kそれぞれの廃トナー回収量を記憶する。
第3RAM104は、上記の現像ローラから感光体へのトナーに付着することによりこれまでに消費されたトナーのうち、正規帯電したトナーの消費量、正規帯電トナー消費量を記憶している。現像ローラから感光体へのトナーに付着することによりこれまでに消費されたトナーのなかには、正規帯電したトナーしたものと逆帯電したトナーの2種類があるが、このうち、第3RAM104には、正規帯電トナーの消費量を記憶する。第3RAM104は、Y、M、C、Kそれぞれに対して用意されており、Y、M、C、Kそれぞれの正規帯電トナー消費量を記憶する。
第4RAM105は、上記の現像ローラから感光体へのトナーに付着することによりこれまでに消費されたトナーのうち、逆帯電したトナーの消費量、逆帯電トナー消費量を記憶している。この逆帯電トナー消費量と第3RAM104に記憶された正規帯電トナー消費量とを足し合わせると、第1RAM102に記憶されたトナー消費量となる。第4RAM105は、Y、M、C、Kそれぞれに対して用意されており、Y、M、C、Kそれぞれの逆帯電トナー消費量を記憶する。
第5RAM106は、トナー消費量率を記憶する。トナー消費量率は、第1RAM102に記憶されたトナー消費量を、ROM109に記憶されたトナー消費量寿命閾値により除算したものである。つまり、第5RAM106は、(トナー消費量率)=(トナー消費量)/(トナー消費量寿命閾値)の値を記憶する。この値は、トナー消費量で決まる寿命にどれだけ近いかを表す。第5RAM105は、Y、M、C、Kそれぞれに対して用意されており、Y、M、C、Kそれぞれのトナー消費量率を記憶する。
第6RAM107は、廃トナー回収量率を記憶する。トナー消費量率は、第2RAM103に記憶された廃トナー回収量を、ROM109に記憶された廃トナー回収量寿命閾値により除算したものである。つまり、第6RAM107は、(廃トナー回収量率)=(廃トナー回収量)/(廃トナー回収量寿命閾値)の値を記憶する。この値は、廃トナー回収量で決まる寿命にどれだけ近いかを表す。第6RAM107は、Y、M、C、Kそれぞれに対して用意されており、Y、M、C、Kそれぞれの廃トナー回収量率を記憶する。
第7RAM108は、第5RAM106に記憶されたトナー消費量率を第6RAM107により除算した値を記憶する。つまり、(トナー消費量率)/(廃トナー回収率)を記憶する。第7RAM108は、Y、M、C、Kそれぞれに対して用意されており、Y、M、C、Kそれぞれに対する(トナー消費量率)/(廃トナー回収率)の値を記憶する。
感光体の単位表面移動距離あたりにおける逆帯電トナーのトナー付着量予測値K3や、逆帯電トナーの1ドット付着量予測値K5については、次のようにして求めておく。即ち、図4に示した構成のプリンタ試験機を用意する。但し、プリンタ試験機の各色のプロセスユニットは、それぞれドラムクリーニング装置の廃トナー収容部が粘着テープからなる小袋になっている。かかる構成のプリンタ試験機から転写ユニット60を取り外す。そして、各色のプロセスユニットにおいて、一様帯電せしめた感光体に対して光書込を行うことなく、現像装置の空回しをする。すると、感光体の全周は地肌部となり、その地肌部に現像装置内のトナーに含まれる逆帯電トナーが付着していく。この逆帯電トナーを上述の小袋内に回収していく。かかる運転を所定時間行った後、ドラムクリーニング装置から小袋を取り外す。そして、クリーニングブレードや感光体に付着している微妙のトナーを粘着テープによって回収した後、小袋及び粘着テープの重量を測定する。次いで、測定値から初期状態の小袋及び粘着テープの重量を減じて回収トナー量を求めた後、それを全運転時間における感光体表面移動距離で除算することで、単位表面移動距離あたりにおける逆帯電トナーのトナー付着量予測値K3を得る。また、このトナー付着量予測値K3を、単位表面移動距離あたりの全ドット数で除算することで、逆帯電トナーの1ドット付着量予測値K5を得る。
また、逆帯電トナーの残留率予測値K4については、次のようにして求めておく。即ち、上述のプリンタ試験機に転写ユニット60をセットし、逆帯電トナーのトナー付着量予測値を測定したときと同様の運転を所定時間だけ行う。但し、この際、各色の1次転写ローラ65Y、65M、65C、65Kにそれぞれ1次転写バイアスを印加する。そして、上述の小袋及び粘着テープに回収された転写残トナーの重量を測定した後、測定結果を、予め求めておいた逆帯電トナーのトナー付着量予測値で除算して残留率予測値K4を得る。このようにして得られる逆帯電トナーの残留率予測値K4は、装置構成にもよるが、本実施例で用いたプリンタ試験機では70[%]程度になった。
また、1ドットあたりの現像トナー量予測値K1については、次のようにして求めておく。即ち、上述のプリンタ試験機から転写ユニット60を取り外す。そして、感光体の現像可能領域(現像ローラとの対向領域)に全面ベタのテスト画像を連続的に現像していきながら、そのトナーを上述の小袋内に回収していく運転を所定時間だけ行う。そして、小袋及び粘着テープに回収されたトナー量を測定した後、その結果を運転中に出力した全ドット数で除算して、1ドットあたりの現像トナー量予測値を得る。但し、この現像トナー量予測値K1には、正規帯電トナーによる付着量と、逆帯電トナーによる付着量とが含まれている。本発明においては、両者を区別する必要があるが、測定精度を高める目的から、1ドット単位では正規帯電トナーと逆帯電トナーとを区別しないことにした。よって、1ドットあたりの現像トナー量予測値K1については、正規帯電トナーと逆帯電トナーとの両方を含むものを用いる。そして、かかる現像トナー量予測値K1に基づいて求めたプリンタ1枚あたりの現像トナー量を後に補正して、正規帯電トナーだけに対応する値にする。補正方法については、後述する。
また、正規帯電トナーの残留率予測値K2については、次のようにして求めておく。即ち、前述の測定において、運転中に出力した全ドット数に対応するトナー回収量には、正規帯電トナーによるものと、逆帯電トナーによるものとが含まれている。そこで、全ドット数に対応するトナー回収量から、全ドット数に対応する逆帯電トナーによる付着量(トナー付着量予測値K3に基づく値)を減じて、正規帯電トナー回収量を得る。次いで、上述のプリンタ試験機に転写ユニット60をセットし、現像トナー量予測値K1を測定したときと同様の運転を所定時間だけ行う。この際、各色の1次転写ローラ65Y、65M、65C、65Kにそれぞれ1次転写バイアスを印加する。そして、上述の小袋及び粘着テープに回収された転写残トナーの重量を測定する。この測定結果にも、正規帯電トナー及び逆帯電トナーの両方が含まれるため、逆帯電トナーによる転写残量(逆帯電トナーの転写残量や残留率予測値K4に基づく値)を測定結果から減じる。そして、その減算結果を、上述の正規帯電トナー回収量で除算して、正規帯電トナーの残留率予測値K4を得る。このようにして得られる正規帯電トナーの残留率予測値K4は、装置構成にもよるが、本実施例で用いたプリンタ試験機では10[%]程度になった。
以下、トナー消費量と廃トナー回収量と算出する際の処理の例を説明する。光書込制御部150によって生成された各色の書込用データは、光書込制御部150からメイン制御部100に送られる。メイン制御部100は、それら書込データに基づいて、プリント1枚毎に、1枚あたりにおける各色(Y、M、C、K)の出力ドット数(出力画素数)を算出する。
メイン制御部100は、Y、M、C、Kの各色について、書込用データから算出したプリント1枚あたりの出力ドット数に、ROM109内に記憶されている1ドットあたりの現像トナー量予測値K1を乗ずることにより、プリント1枚あたりのトナー消費量が算出される。
この算出された値を第1RAM102に記憶されたトナー消費量に加えることにより、第1RAM102に記憶されたトナー消費量の値は更新される。このように、プリントを1枚行うごとに、1枚あたりのトナー消費量を計算し、第1RAM102に記憶されたトナー消費量に加えていくことにより、これまでに消費されたトナーの消費量を算出することが可能になる。
この現像トナー量には正規帯電トナーと逆帯電トナーとの両方が含まれているので、正規帯電トナーだけに対応する値にするためには、逆帯電トナーに対応する値を引く必要がある。具体的には、ROM109内に記憶されている逆帯電トナーの1ドット付着量予測値K5と、プリント1枚あたりの出力ドット数との乗算により、プリント1枚中の画像部における逆帯電トナーの付着量を算出する。そして、算出結果を上記のプリント1枚あたりの現像トナー量から減算することより、プリント1枚あたりの正規帯電トナー消費量を求める。
この算出されたプリント1枚あたりの正規帯電トナー消費量を第3RAM104に記憶された正規帯電トナー消費量に加えることにより、第3RAM102に記憶された正規帯電トナー消費量の値は更新される。このように、プリントを1枚行うごとに、1枚あたりの正規帯電トナー消費量を計算し、第3RAM104に記憶された正規帯電トナー消費量に加えていくことにより、これまでに消費された正規帯電トナーの消費量を算出することが可能になる。
メイン制御部100は、プリント1枚あたりに要した感光体の表面移動距離と、ROM105に記憶している感光体の単位表面移動距離あたりにおける逆帯電トナーのトナー付着量予測値K3との乗算により、プリント1枚あたりの逆帯電トナーの付着量を算出する。つまり、プリント1枚あたりの逆帯電トナー消費量を算出する。
この算出されたプリント1枚あたりの逆帯電トナー消費量を第4RAM105に記憶された逆帯電トナー消費量に加えることにより、第4RAM105に記憶された逆帯電トナー消費量の値は更新される。このように、プリントを1枚行うごとに、1枚あたりの逆帯電トナー消費量を計算し、第4RAM105に記憶された逆帯電トナー消費量に加えていくことにより、これまでに消費された逆帯電トナーの消費量を算出することが可能になる。
次いで、メイン制御部100は、第3RAM104に記憶した正規帯電トナー消費量に、ROM109内に記憶している正規帯電トナーの残留率予測値K2を乗じて、これまでに廃トナーとして回収された正規帯電トナーの量Mrbを算出する。
そして、メイン制御部100は、第4RAM105に記憶した逆帯電トナー消費量に、ROM109内に記憶している逆帯電トナーの残留率予測値K4との乗算することにより、これまでに廃トナーとした回収された逆帯電トナーの量Mrcを算出する。
そして、このMrbとMrcを足し合わせることにより、廃トナー回収量を算出する。そして、第2RAM103に記憶された廃トナー回収量を、この算出された廃トナー回収量に書き換えることにより、第2RAM103に記憶された廃トナー回収量の値を更新する。
なお、各値の算出の手順は、上記に示した手順に限るものではない。第1〜7RAMに記憶された値と、ROM109に記憶された値に基づいて算出されるのであれば、どのような手順であっても良い。
また、算出手段として機能しているメイン制御部100は、各色のトナー消費量を求めたら、それらと、メモリータグ(25Y、25M、25C、25K)に記憶されているトナー消費量寿命閾値とを比較する。本実施形態では、このトナー消費量寿命閾値は、ROM109にも記憶されているので、ROM109に記憶された値と比較するようにしても良い。
そして、比較結果に基づいて、各色のプロセスユニットにおけるトナー収容部について、空エラーになったか否かを判定する。具体的には、算出したトナー消費量がトナー消費量寿命閾値以上である場合に、空エラーであると判定する。そして、空エラーが発生した場合には、その旨のメッセージを報知手段としての図示しないディスプレイ等からなる表示部に表示する。音や文字画像の出力など、表示とは異なる方法でメッセージを報知してもよい。
また、算出手段として機能しているメイン制御部100は、各色の廃トナー回収量を求めたら、それらと、メモリータグ(25Y、25M、25C、25K)に記憶されている廃トナー回収量寿命閾値とを比較する。本実施形態では、この廃トナー回収量寿命閾値は、ROM109にも記憶されているので、ROM109に記憶された値と比較するようにしても良い。
そして、比較結果に基づいて、各色のプロセスユニットにおける廃トナー収容部について、満杯エラーになったか否かを判定する。具体的には、算出した廃トナー回収量が廃トナー回収量寿命閾値以上である場合に、満杯エラーであると判定する。そして、満杯エラーが発生した場合には、その旨のメッセージを報知手段としての図示しないディスプレイ等からなる表示部に表示する。音や文字画像の出力など、表示とは異なる方法でメッセージを報知してもよい。
以上のような一連の制御ルーチンを、プリント1枚毎に各色についてそれぞれ行うことで、廃トナー収容部内のトナーを検知するためのトナー検知センサを各色のプロセスユニットにそれぞれ設けることなく、トナー収容部の空エラーと、廃トナー収容部の満杯エラーの有無を適切に判断することができる。
なお、正規帯電トナーや逆帯電トナーの残留率予測値(K2、K4)をROM109内に記憶させておく代わりに、転写率予測値を記憶させておいてもよい。転写率予測値は、感光体から中間転写ベルト61へのトナーの転写率予測値である。100[%]から転写率予測値を減じれば、残留率予測値になるので、このような計算によって残留率予測値を求めるようにしてもよいのである。
また、感光体の表面移動距離と駆動時間とは厳密な相関関係にあるので、感光体の駆動時間は実質的に表面移動距離に相当する。よって、現像トナー量予測値K1や逆帯電トナーのトナー付着量予測値K3を調整すれば、実質的な表面移動距離である駆動時間に基づいて、正規帯電トナーや逆帯電トナーの転写残量を求めることも可能である。
また、メイン制御部100は、プリント1枚毎に、メモリータグ内のプリント動作回数を1の加算によって更新したり、メモリータグ内の感光体の累積表面移動距離を所定値の加算によって更新したりする。更に、算出した各色の廃トナー回収量を第2RAM103に記憶するだけでなく、メモリータグ(25Y、25M、25C、25K)にも記憶させる。これにより、交換されたプロセスユニットが途中まで使用された中古品であったとしても、その後の廃トナー累積量をメモリータグ内のデータに基づいて正確に求めることができる。
また、本プリンタでは、各色のプロセスユニット1Y、1M、1C、1Kにそれぞれ廃トナー収容部を設けているが、各色ユニットのドラムクリーニング装置から廃トナーをユニット外の共通の廃トナー容器に搬送する構成を採用してもよい。この場合、各色の個別の廃トナー累積量を求め、それらの合計を廃トナー容器の満杯エラーの判定に用いればよい。
次に、上記で求めたトナー消費量等の値を使用し、中間転写ベルト上の残留トナーを回収する感光体を選択する方法を説明する。
本実施形態では、各色の第7RAM108に記憶された(トナー消費量率)/(廃トナー回収量率)の値を比較し、この値が一番大きい色の感光体により中間転写ベルトの残留トナーを回収することにする。
具体的な例として、Kのトナー消費量率:90%、Kの廃トナー回収量率:75%、Yのトナー消費量率:50%、Yの廃トナー回収量率:49%、Mのトナー消費量率:30%、Mの廃トナー回収量率:80%、Cのトナー消費量率:50%、Yの廃トナー回収量率:20%である場合を考える。
この場合、Kの(トナー消費量率)/(廃トナー回収量率):1.2、Yの(トナー消費量率)/(廃トナー回収量率):1.02、Mの(トナー消費量率)/(廃トナー回収量率):0.38、Cの(トナー消費量率)/(廃トナー回収量率):2.5である。
Cの(トナー消費量)/(廃トナー回収量)の値が最も大きいため、Cの感光体3Cにより中間転写ベルトの残留トナーを回収することにする。このようにすることにより、トナー消費量に対して、廃トナー回収量が少ない、つまり、廃トナー回収部が比較的空き気味である色の感光体により転写ベルトの残留トナーを回収することになり、廃トナーカートリッジの空き容量を有効に利用でき、カートリッジの交換までの寿命を長くすることができる。
また、別の実施形態として、各色の第3RAM104に記憶された正規帯電トナー消費量と、第4RAM105に記憶された逆帯電トナー消費量を使用した。これらの値から、各色において、(正規帯電トナー消費量)/(逆帯電トナー消費量)を算出し、この値を比較し、この値が最も大きな色の感光体により中間転写ベルトの残留トナーを回収することにする。
具体的な例として、Kの正規帯電トナー消費量:80g、Kの逆帯電トナー消費量:10g、Yの正規帯電トナー消費量:70g、Yの逆帯電トナー消費量:25g、Mの正規帯電トナー消費量:50g、Yの逆帯電トナー消費量:10g、Cの正規帯電トナー消費量:25g、Cの逆帯電トナー消費量:5gである場合を考える。
この場合、(正規帯電トナー消費量)/(逆帯電トナー消費量)の値が一番大きいのは、Kであるので、Kの感光体3Kにより中間転写ベルトの残留トナーを回収することにする。
ユーザが使用したという意識をもつトナーは、正規に帯電され、ちゃんと印字に使用されたトナーである。一方、逆帯電したトナーは、印字に反映することなく、廃トナーとして回収されるだけである。よって、正規帯電したトナーの割合の多い色に転写ベルトの廃トナーを回収する事で、交換報知が発生したとしても、ユーザはこの色のトナーを頻繁に使用した意識があるため、不満を持たない。
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の中間転写ベルト周辺の断面図である。本発明の実施形態では、各色個別に1次転写バイアスの極性をプラスとマイナスに切り替えられるようにしている。図1に示した極性は通常の印刷動作、つまり、画像を中間転写ベルト上に転写させたい時の状態である。このように1次転写ローラにはプラス極性を印加する。
同様に、図2は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の中間転写ベルト周辺の断面図である。図2は、Cの感光体に中間転写ベルト上の残留トナーを回収したい場合の構成を示す。このようにCの感光体で中間転写ベルト上の残留トナーを回収したい場合は、その残留トナー部位が、感光体と接するタイミングで、回収したい色(C)の1次転写バイアスのみを負極性に切り替える構成とする。他の色の感光体により中間転写ベルトの残留トナーを回収したい場合も同様にすると良い。
通常印刷時は、1次転写バイアスは、全色一律で+600Vのバイアスを感光体に中間転写ベルトを介して対峙する転写ローラに印加する。ここで1次転写バイアスは、定電圧を例にしたが、定電流制御でも構わない。4色同一電圧としたが、ベルト抵抗や、速度によっては、段階的に印加バイアスを変えても構わない。
中間転写ベルトの残留トナーは、中間転写ベルトに当接して回転している電荷付与ブラシに負バイアス−500Vを印加する事で、残留トナー極性をマイナスとする。残留トナーがベルト1周して、感光体に戻ってきた際の1次転写の印加バイアスは、感光体にベルトを介して対峙する転写ローラに、K:+600V、Y:+600V、M:+600V、C:―600Vとし、トナーを回収するCのみ負極性とする。
このようにすることにより、転写ベルト上の残留トナーを選択的に感光体のクリーニング部で回収する事ができる。今回、実施例として、ベルト1周に1枚分の画像を印加した後のベルト上の残留トナーが乗っている部分には2枚目の印字をすぐに転写できない制御により本実施形態の実施を行った。このようにしたところ、通紙に通紙前、もしくは通紙中に転写ベルト上の残留トナーを回収する色を決めて、その色の転写バイアスを負極性に切り替える事で、選択的にその選択した色のクリーニング部に残留トナーを回収することが可能であった。
以上、本発明の好適な実施の形態により本発明を説明した。ここでは特定の具体例を示して本発明を説明したが、特許請求の範囲に定義された本発明の広範囲な趣旨および範囲から逸脱することなく、これら具体例に様々な修正および変更が可能である。
また、本発明における画像形成装置は、前記感光体の表面に潜像を形成する光書込手段を有し、前記感光体は、前記光書込手段により形成された潜像上に前記トナー像を形成し、前記第1の算出手段は、前記光書込手段が前記潜像を形成する際に使用した情報に基づき、前記トナー収容部が供給したトナーの量を算出し、前記第2の算出手段は、前記光書込手段が前記潜像を形成する際に使用した情報と前記感光体の表面移動距離に基づき、前記廃トナー回収部が回収した廃トナーの量を算出するようにしても良い。
また、本発明における画像形成装置は、前記感光体の表面に潜像を形成する光書込手段を有し、前記感光体は、前記光書込手段により形成された潜像上に前記トナー像を形成し、前記第1の算出手段は、前記光書込手段が前記潜像を形成する際に使用した情報に基づき、前記正規帯電トナーの量を算出し、前記第2の算出手段は、前記感光体の表面移動距離に基づき、逆トナーの量を算出するようにしても良い。
また、本発明における画像形成装置は、前記選択手段により選択された感光体と前記中間転写ベルトとの間の電圧を、前記感光体から前記転写ベルトに前記トナー像を転写する際に使用する電圧とは逆の電圧に変換する電圧変換手段を有するようにしても良い。