JP5353191B2 - 積層型透明導電膜及びその製造方法 - Google Patents

積層型透明導電膜及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ガラス基板または樹脂製基板などの基板上に形成される酸化物積層型透明導電膜およびその製造方法に関する。
現在、酸化亜鉛やアルミニウム等を添加した酸化亜鉛はフラットパネルディスプレイ用途や太陽電池用途での応用が進められている。実用的には、酸化亜鉛を母剤とする透明導電膜は、ITO(Indium Tin Oxide)と同様、多くはスパッタリングターゲットを用いたスパッタリング法により成膜される。特にd.c.マグネトロンスパッタリング法による成膜は、既存の設備、製造工程への対応を考慮した場合、最も実用的手段である。
しかし、一般に酸化亜鉛を母剤とする透明導電膜は製品へ応用する際、ITOと比べ薄膜特性が成膜環境に左右され易いため、既存の量産機にて成膜した場合、十分な比抵抗が得られにくく、液晶ディスプレイで使用されるような薄い膜厚においては抵抗率の上昇傾向が特に顕著である。
上記問題に対しては、例えば酸化亜鉛を母剤とする薄膜を下地とし、その上に酸化亜鉛を母剤とする薄膜よりも低抵抗であるITO薄膜を成膜させる積層構造が有効な解決手段の一つとして知られている(例えば特許文献1参照)。この方法により薄膜全体としての抵抗率を低下させることができ、本構造は、表層が耐アルカリ性に優れるITO薄膜であることから、膜の耐湿性・耐薬品性の向上も期待できる。
しかしながら、酸化亜鉛を母剤とする薄膜上に成膜したITO薄膜は、下地の薄膜の影響を受け、ガラス基板上に成膜したITO薄膜よりも高抵抗膜となる傾向があり、ITOを積層したとしても、十分な低抵抗を実現できないことがあった。また、ITO薄膜の膜質が低下する結果、膜の耐性も劣る傾向があった。
特開平9−221340号公報
ITO薄膜は、基板温度が約150℃未満の低温成膜条件においては、アモルファス構造をとることが一般的に知られている。しかし、本発明者らは酸化亜鉛系薄膜上に積層形成されたITO薄膜では、基板無加熱の成膜条件であっても結晶化していることを発見した。
さらに、当該積層薄膜のX線解析結果より、この積層薄膜上のITO薄膜から検出されるピークは酸化インジウム相の(222)面に対応していることがわかった。一般に150℃以上の基板加熱環境において成膜されたITO薄膜では、酸化インジウム相の(400)ピークおよび(222)ピークの両方が現れるが、(222)方向の成長が支配的になると、ITO薄膜の抵抗は、高抵抗膜になることが知られている。
つまり、酸化亜鉛系薄膜/ITO積層薄膜では、下地の酸化亜鉛系薄膜が上層のITO薄膜の結晶構造に何らかの影響を与える結果、高抵抗膜の原因となる酸化インジウム相の(222)面方向の結晶成長が選択的に進み、高抵抗膜となったものと本発明者らは考えた。
本発明の課題は、酸化亜鉛系薄膜を下地層とするITO薄膜の酸化インジウム相の(222)方向の結晶成長を抑制させることで、従来の積層構造よりも低抵抗であり、かつ耐湿性・耐薬品性に優れた積層膜を提供することである。
本発明者らは、上記問題を解決する為に酸化亜鉛系薄膜/ITO薄膜積層膜において、上層のITO薄膜の膜質を改善させる方法について鋭意検討を行った結果、成膜時の雰囲気条件を変更することで、酸化亜鉛系薄膜を下地層とするITO膜の酸化インジウム相の(222)方向の結晶成長を抑制させた薄膜を形成させることが出来ることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の態様は以下のとおりである。
(1)基板上に、酸化亜鉛を主成分とする透明導電膜層(A)と酸化インジウムを主成分とする透明導電膜層(B)とをこの順に積層してなる積層型透明導電膜において、前記透明導電膜層(B)がアモルファス構造であることを特徴とする積層型透明導電膜。
(2)CuのKα線を用いて測定した各透明導電膜層のX線回折パターン(XRD)において、透明導電膜層(A)における酸化亜鉛の(002)面ピーク強度Izを透明導電膜層(A)の膜厚Tzで規格化したIz/Tzと、透明導電膜層(B)における酸化インジウムの(222)面ピーク強度Iiを透明導電膜層(B)の膜厚Tiで規格化したIi/Tiとから下記式で表される値が20%以下であることを特徴とする請求項1に記載の積層型透明導電膜。
((Ii/Ti)/(Iz/Tz))×100(%)
(3)透明導電膜層(A)のXRDにおいて、酸化亜鉛の(002)面ピーク強度のトップピーク位置が、回折角2θ=34.25deg.以下の位置に観察されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の積層型透明導電膜。
(4)透明導電膜層(A)のXRDにおいて、酸化亜鉛の(002)面の面間隔が2.620Å以上であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の積層型透明導電膜。
(5)透明導電膜層(B)の表面粗さが、Ra=2.0nm以下であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の積層型透明導電膜。
(6)基板と透明導電膜(A)との間に、カラーフィルター層が設けられていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の積層型透明導電膜。
(7)透明導電膜(A)の成膜を、 到達真空度が、1×10−4Pa〜1.013×10Paの範囲でスパッタリング法にて行うことを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の積層型透明導電膜の製造方法。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で用いることのできる基板としては、無アルカリガラスなどの公知のガラス基板はもちろん、ポリエチレンテレフタラート(PET)やアクリル(PMMA)などのプラスチック基板やプラスチックフィルム、さらにはこれらの基板上にカラー表示を目的としたカラーフィルターなどを設けた基板を例示することができる。
本発明の酸化亜鉛を主成分とする透明導電膜(A)とは、主成分として酸化亜鉛を90〜99.9重量%の範囲で含有しており、酸化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化インジウムのいずれか又はその合計が0.1〜10重量%の範囲で添加されている酸化物透明導電膜である。
本発明の酸化インジウムを主成分とする透明導電膜層(B)とは、主成分として酸化インジウムを75〜99.9重量%の範囲で含有しており、酸化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化錫のいずれか又はその合計が0.1〜25重量%の範囲で添加されている酸化物透明導電膜である。
本発明の積層型透明導電膜の総膜厚は1500nm以下とすることが好ましく、酸化亜鉛を主成分とする透明導電膜層(A)、酸化インジウムを主成分とする透明導電膜層(B)はそれぞれ5nm以上が好ましく、10nm以上がより好ましい。
本発明は酸化亜鉛を主成分とする透明導電膜層(A)と酸化インジウムを主成分とする透明導電膜層(B)とが基板上にこの順に積層され、透明導電膜層(B)がアモルファス構造となることを特徴としている。本発明でいうアモルファス構造とは、前記酸化インジウムを主成分とする透明導電膜層(B)の薄膜構造に明確な秩序性が存在しないこと、特に酸化インジウムの(222)面の結晶性が著しく低下している状態を指す。
具体的には、酸化亜鉛の(002)面ピーク強度Izを透明導電膜層(A)の膜厚Tzで規格化したIz/Tzと、酸化インジウムの(222)面ピーク強度Iiを透明導電膜層(B)の膜厚Tiで規格化したIi/Tiから求められる(1)式の値が20%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましい。
((Ii/Ti)/(Iz/Tz))×100 (%)(1)
ピーク強度は膜厚の大きさに比例するため、単純なピーク強度比よりも規格化した値を用いた方が、酸化インジウムの(222)面の結晶成長が抑制されているかどうかを正確に判断できるからである。
Iz、IiはX線回折により得られたピーク強度を用いる。なお、Iz、Iiは透明導電膜層(A)及び(B)を積層した後に測定することが可能である。
CuのKα線を用いたX線回折パターンにおいて、酸化亜鉛の(002)面ピーク強度のトップピーク位置が、回折角2θ=34.25deg.以下の位置まで低角シフトして観察されることが好ましい。これより大きい回折角であると、上層のITO膜が結晶化し、積層膜の抵抗が高くなってしまう場合があるからである。
酸化亜鉛相の(002)面間隔についても、同様の理由でZnO格子に歪みが生じる結果、2.620Å以上であることが好ましい。なお、(002)面間隔は以下の式(2)で求めた。
d=λ/2sinθ(λ=1.54Å)(2)
本発明の効果として、従来の成膜条件で得られる積層構造と比べ、上層の酸化インジウム膜の表面が平坦化される。そして、総表面積が小さくなった結果、従来の積層膜よりも高い耐湿性を示す。
本発明にかかる酸化亜鉛系薄膜形成条件により、下地の酸化亜鉛系薄膜の表面状態の面間隔が広がることで上層のITO表面形状に寄与しているものと推察される。
なお、本発明の表面粗さとは算術平均粗さを指し、粗さ曲線から、その平均線の方向に基準長さだけ抜き取り、この抜き取り部分の平均線から測定曲線までの偏差の絶対値を合計し平均した値のことである。
また、本測定は下記の条件にて測定した。
測定装置:走査型プローブ顕微鏡
測定条件:タッピングモードAFM
本発明の積層型透明導電膜の製造は、例えば以下のようにして行うことができる。
酸化亜鉛を主成分とする透明導電膜層(A)は、例えば酸化亜鉛を主成分とするスパッタリングターゲットにより、スパッタリング法により製造することができる。このようなスパッタリングターゲットとしては、酸化亜鉛を90〜99.9重量%含有し、酸化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化インジウムのいずれか又はその合計が0.1〜10重量%含有するターゲットを示すことができ、その製造方法としては、酸化亜鉛粉末と酸化アルミニウム粉末、酸化ガリウム粉末、酸化インジウム粉末等の1種以上を目的の組成となるよう混合し、プレス等により成形した後、焼結して得ることができる。焼結体を必要に応じて、成形・研磨した後、バッキングプレートにボンディングして得られる。
そして、この透明導電膜(A)をスパッタリング法で成膜する場合、成膜時の 到達真空度は1×10−4Pa〜1.013×10Paの範囲、好ましくは5×10−4Pa〜1×10−1Paの範囲で行う。この範囲の圧力で成膜を行うことにより、透明導電膜層(A)に積層する透明導電膜層(B)をアモルファス状態とすることができる。
また、この範囲の圧力で成膜を行うと、酸化亜鉛の結晶格子内または結晶格子間に酸素などの原子が入り込み易く、結晶構造の歪みが増大して格子が拡張する。
スパッタリング時のスパッタガスとしては、Arなどの不活性ガスのみを用いることが好ましいが、装置の構成により雰囲気を透明導電膜(A)と透明導電膜(B)の各成膜時において変更することが困難である場合には、不活性ガスに酸素が存在する状態で成膜することも可能である。
次いで、酸化インジウムを主成分とする透明導電膜(B)は、例えば酸化インジウムを主成分とするスパッタリングターゲットにより、スパッタ法により製造することができる。このようなスパッタリングターゲットとしては、酸化インジウムを75〜99.9重量%含有し、酸化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化錫のいずれか又はその合計が0.1〜25重量%含有するターゲットを示すことができ、その製造方法としては、酸化インジウム粉末と酸化アルミニウム粉末、酸化ガリウム粉末、酸化錫粉末等の1種以上を目的の組成となるよう混合し、プレス等により成形した後、焼結して得ることができる。焼結体を必要に応じて、成形・研磨した後、バッキングプレートにボンディングして得られる。
透明導電膜(B)を成膜する際の 到達真空度には特に制限はなく、生産性を考慮すれば、透明導電膜層(A)の成膜条件と同条件で行うことが好ましく、スパッタリング時のスパッタガスとしては、Arなどの不活性ガスに酸素を導入したガスを用いることができる。
また、酸素を含有する雰囲気中で反応性スパッタリング法により成膜する場合は、上記のターゲットを用いる以外に、亜鉛、アルミニウムを含む金属ターゲットおよびインジウム、錫を含む金属ターゲットを用いることも可能である。
どちらの成膜時にもスパッタリング方式は、DCスパッタリング法、RFスパッタリング法、ACスパッタリングまたはこれを組みあわせた方法が使用可能である。
本発明においては、成膜は基板を加熱しながら実施することも可能であるが、特に基板加熱なしの室温成膜条件で実施した場合に、特に得られる効果が大きい。基板加熱なしの室温成膜条件は一般的には十分な膜特性が得られにくく、膜の結晶性が低いためである。
本発明により、これまで十分な低抵抗化がなされていなかった酸化亜鉛系薄膜/ITO薄膜積層膜において、酸化インジウム相の(222)方向の結晶成長を抑制し、上層のITO薄膜をアモルファス化させた結果、従前の積層型のITO薄膜よりも低抵抗で、薄膜表面が平坦化されたITO薄膜を得ることができ、耐湿性、耐薬品性も向上させることが可能となった。
以下に、本発明を、実施例をもって詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(使用ターゲット)
(1)酸化亜鉛系ターゲット:
酸化亜鉛系ターゲットとして、以下のアルミニウム含有酸化亜鉛(ZAO)ターゲットを使用した。
ZAOターゲット(Al 3wt% 東ソー(株)製)
(2)酸化インジウム系ターゲット:
酸化インジウム系ターゲットとして、以下の錫含有酸化インジウムターゲット(ITO)を使用した。
ITOターゲット(SnO 10wt% 東ソー(株)製)
これらのターゲットを用いて、d.c.マグネトロンスパッタリング法により以下に示す条件で、透明導電膜を作製した。
(スパッタリング成膜条件)
スパッタリング成膜条件を以下に示す。本実施例では、薄膜の結晶性の低い基板無加熱条件での成膜を行った。
・装置 :d.c.マグネトロンスパッタ装置
・磁界強度 :1000Gauss(ターゲット直上、水平成分)
・基板温度 :25℃
・DCパワー :300W
・構造 :単層および2層構造(基板/ZAO/ITO)
・総膜厚 :150nm
・使用基板 :無アルカリガラス(コーニング社製#1737ガラス)
(X線解析条件)
・使用装置:理学電機社製、商品名「RAD−C」
・X線源:CuKα
・パワー:50kV、200mA
・走査速度:ステップ幅 0.02°、1.0秒/ステップ
(多湿処理条件)
・60℃、90RHの環境下、1000h保持
(参考例1)
基板上に 到達真空度が3×10−3Paの条件にてZAO薄膜を75nm成膜した。スパッタリングガスはArのみとした。この際のZAO薄膜のシート抵抗は13200Ω/□であった。薄膜表面の原子間力顕微鏡(AFM)像を図1に示す。薄膜表面粗さはRa=0.87nmであった。
(参考例2)
基板上に 到達真空度が5×10−5Paの条件にてZAO薄膜を75nm成膜した。スパッタリングガスはArのみとした。この際のZAO薄膜のシート抵抗は243Ω/□であった。薄膜表面のAFM像は図2に示す。薄膜表面粗さはRa=2.11nmであった。
参考例1で得られたZAO薄膜の抵抗値は参考例2で得られたZAO薄膜の抵抗値に比べ2桁以上も高抵抗な膜となっており、低抵抗な成膜を得るための条件として不適切であることがわかる。参考例1および参考例2で形成したZAO薄膜の、CuのKα線を用いたX線解析結果を図3に示す。参考例1の酸化亜鉛相の(002)面ピークが低角度側にシフトしていることがわかる。ピーク位置より計算される酸化亜鉛相の(002)面間隔は2.631Åであるから、参考例2の酸化亜鉛相の(002)面間隔の2.604Åと比べ、明らかに広がっている。
(実施例1)
基板上に 到達真空度が3×10−3Paの条件にて下地層であるZAO薄膜を75nm成膜した。スパッタリングガスはArのみとした。その後、十分な真空排気を続け、20時間経過して、5×10−5Paに到達した後、ITO薄膜の成膜を酸素存在下(1.5%O/Ar)にて75nm成膜した。この際のZAO/ITO積層膜のシート抵抗は61Ω/□であった。また、薄膜の表面粗さはRa=0.99nmであった。
CuのKα線を用いたX線解析を行いZnO(002)のピーク位置を決定し、面間隔を求めた。結果を表1に示す。
また、酸化亜鉛相の(002)面ピーク強度IzをZAO層の膜厚Tzで規格化したIz/Tzと、酸化インジウム相の(222)面ピーク強度IiをITO層の膜厚Tiで規格化したIi/Tiとから前記(1)式に基づいて、値を計算した。結果を表1に示す。
その後、得られた積層膜に多湿処理を施し、処理後の抵抗変化率を求めた。結果を表1に示す。
(実施例2)
基板上に実施例1と同様の条件でZAO薄膜を75nm成膜した後、排気することなく、続けてITO薄膜の成膜を酸素存在下(1.5%O/Ar)にて75nm成膜した。この際のZAO/ITO積層膜のシート抵抗は60Ω/□であった。また、薄膜の表面粗さはRa=1.02nmであった。
実施例1と同様にX線解析を行い、面間隔、(1)式の値を求めた。結果を表1に示す。
その後、得られた積層膜に多湿処理を施し、処理後の抵抗変化率を求めた。結果を表1に示す。
(実施例3)
基板上に 到達真空度が3×10−3Paの条件にて下地層であるZAO薄膜を75nm成膜した。スパッタリングガスとしては酸素存在下(1.5%O/Ar)を用いた。続けてITO薄膜の成膜を同じスパッタリングガス(1.5%O/Ar)を用いて75nm成膜した。この際のZAO/ITO積層膜のシート抵抗は60Ω/□であった。また、薄膜の表面粗さはRa=1.01nmであった。
実施例1と同様にX線解析を行い、面間隔、(1)式の値を求めた。結果を表1に示す。
その後、得られた積層膜に多湿処理を施し、処理後の抵抗変化率を求めた。結果を表1に示す。
CuのKα線を用いたX線回折ピークを図4、薄膜表面のAFM像は図5に示す。
(実施例4)
基板上に 到達真空度が8×10−4Paの条件にて下地層であるZAO薄膜の成膜を開始した以外は、実施例3と同様の条件にて積層膜を形成した。この際のZAO/ITO積層膜のシート抵抗は74Ω/□であった。また、薄膜の表面粗さはRa=1.40nmであった。
実施例1と同様にX線解析を行い、面間隔、(1)式の値を求めた。結果を表1に示す。
その後、得られた積層膜に多湿処理を施し、処理後の抵抗変化率を求めた。結果を表1に示す。
(実施例5)
基板上に 到達真空度が5×10−4Paの条件にて下地層であるZAO薄膜の成膜を開始した以外は、実施例3と同様の条件にて積層膜を形成した。この際のZAO/ITO積層膜のシート抵抗は88Ω/□であった。また、薄膜の表面粗さはRa=1.71nmであった。
実施例1と同様にX線解析を行い、面間隔、(1)式の値を求めた。結果を表1に示す。
その後、得られた積層膜に多湿処理を施し、処理後の抵抗変化率を求めた。結果を表1に示す。
(実施例6)
基板上に 到達真空度が1×10−4Paの条件にて下地層であるZAO薄膜の成膜を開始した以外は、実施例3と同様の条件にて積層膜を形成した。この際のZAO/ITO積層膜のシート抵抗は127Ω/□であった。また、薄膜の表面粗さはRa=1.84nmであった。
実施例1と同様にX線解析を行い、面間隔、(1)式の値を求めた。結果を表1に示す。
その後、得られた積層膜に多湿処理を施し、処理後の抵抗変化率を求めた。結果を表1に示す。
(比較例1)
基板上に 到達真空度が5×10−5Paの条件にて下地層であるZAO薄膜を75nm成膜した。スパッタリングガスはArのみとした。続けてITO薄膜の成膜を酸素存在下(1.5%O/Ar)にて75nm成膜した。この際のZAO/ITO積層膜のシート抵抗は161Ω/□であった。また、薄膜の表面粗さはRa=2.60nmであった。
実施例1と同様にX線解析を行い、面間隔、(1)式の値を求めた。結果を表1に示す。
その後、得られた積層膜に多湿処理を施し、処理後の抵抗変化率を求めた。結果を表1に示す。
CuのKα線を用いたX線回折ピークを図6、薄膜表面のAFM像は図7に示す。
図4と図6を比較すると、実施例3では酸化インジウム相の(222)面のピークはほとんど観察されないが、比較例1では当該ピークが明確に現れることが分かる。また、酸化亜鉛相の(002)面のピークが低角度側にシフトしていることも分かる。
図5と図7を比較すると、実施例3の条件で成膜した薄膜の方がより平坦化されていることがわかる。
(比較例2)
基板上に 到達真空度が5×10−5Paの条件にて下地層であるZAO薄膜を75nm成膜した。スパッタリングガスとしては酸素存在下(1.5%O/Ar)を用い、続けてITO薄膜の成膜を同じスパッタリングガス(1.5%O/Ar)を用いて75nm成膜した。この際のZAO/ITO積層膜のシート抵抗は166Ω/□であった。また、薄膜の表面粗さはRa=2.67nmであった。
実施例1と同様にX線解析を行い、(1)式の値を求めた。
その後、得られた積層膜に多湿処理を施し、処理後の抵抗変化率を求めた。結果を表1に示す。
Figure 0005353191
表1から実施例に記載される条件にて下地ZAO膜を形成したZAO/ITO積層膜は、上層のITO層の平坦度が大きく改善される結果、積層膜全体として大幅に低抵抗化されることがわかる。
また、本発明にかかる条件でZAO膜を形成した場合、酸化亜鉛相の(002)ピークが低角度側にシフトしていることがわかる。ピーク位置より計算される酸化亜鉛相の(002)面間隔は従来条件で成膜したものと比べ、明らかに広がっている。
参考例1記載の方法にて成膜したZAO/ITO積層薄膜表面のAFM像を示す図である 参考例2記載の方法にて成膜したZAO/ITO積層薄膜表面のAFM像を示す図である 参考例1および参考例2記載の方法にて成膜したZAO薄膜のX線回折ピークを示す図である 実施例3記載の方法にて成膜したZAO/ITO積層薄膜のX線回折ピークを示す図である 実施例3記載の方法にて成膜したZAO/ITO積層薄膜表面のAFM像を示す図である 比較例1記載の方法にて成膜したZAO/ITO積層薄膜のX線回折ピークを示す図である 実施例1記載の方法にて成膜したZAO/ITO積層薄膜表面のAFM像を示す図である

Claims (7)

  1. 基板上に、酸化亜鉛を主成分とする透明導電膜層(A)と酸化インジウムを主成分とする透明導電膜層(B)とをこの順に積層してなる積層型透明導電膜において、前記透明導電膜層(B)がアモルファス構造であることを特徴とする積層型透明導電膜。
  2. CuのKα線を用いて測定した各透明導電膜層のX線回折パターン(XRD)において、透明導電膜層(A)における酸化亜鉛の(002)面ピーク強度Izを透明導電膜層(A)の膜厚Tzで規格化したIz/Tzと、透明導電膜層(B)における酸化インジウムの(222)面ピーク強度Iiを透明導電膜層(B)の膜厚Tiで規格化したIi/Tiとから下記式で表される値が20%以下であることを特徴とする請求項1に記載の積層型透明導電膜。
    ((Ii/Ti)/(Iz/Tz))×100(%)
  3. 透明導電膜層(A)のXRDにおいて、酸化亜鉛の(002)面ピーク強度のトップピーク位置が、回折角2θ=34.25deg.以下の位置に観察されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の積層型透明導電膜。
  4. 透明導電膜層(A)のXRDにおいて、酸化亜鉛の(002)面の面間隔が2.620Å以上であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の積層型透明導電膜。
  5. 透明導電膜層(B)の表面粗さが、Ra=2.0nm以下であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の積層型透明導電膜。
  6. 基板と透明導電膜(A)との間に、カラーフィルター層が設けられていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の積層型透明導電膜。
  7. 透明導電膜層(A)を、 到達真空度が、1×10−4Pa〜1.013×10Paの範囲でスパッタリング法にて成膜したあと、透明導電膜層(B)を成膜することを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の積層型透明導電膜の製造方法。
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