JP5353161B2 - 耐遅れ破壊特性に優れた高強度ばね用鋼およびその製造方法 - Google Patents

耐遅れ破壊特性に優れた高強度ばね用鋼およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、例えば自動車懸架ばねの素材となる高強度ばね鋼およびその製造方法に関するものであり、特に、現状では高価な合金元素が用いられている引張強さが1900MPa以上の材料の代替となる、高強度かつ高靭性で、しかも優れた耐遅れ破壊特性を兼ね備えた鋼およびその製造方法に関する。
近年、自動車の低燃費化を目的とした、車両の軽量化が強く求められるようになり、あらゆる部品における高強度化が指向されてきている。特に、足回り部品の中では懸架ばねに対する軽量化すなわち高強度化への業界の要望は強く、焼入れ焼戻し後の強度が2000MPaクラスの高強度素材が適用され始めている。
ところで、このように高強度化が進む場合に最も懸念されるのが、遅れ破壊である。遅れ破壊は、主に環境から侵入する水素が原因であり、鋼の引張強さが1200MPa以上になると、生じやすくなる。
ここで、高強度かつ遅れ破壊にも優れる材料として、マルエージ鋼が良く知られている。これは、強度レベルも2000MPaを超えるような超高強度で、しかも高い耐食性により、腐食に伴って鋼表面に生じる水素を減らし、耐遅れ破壊特性を確保している。ただし、Ni量が15〜20%もあり、低合金鋼と比較して圧倒的に高価であり、一般的な高強度部材製造用の素材鋼としては用いられない。
そこで、低合金鋼を超える特性を有し、かつ上記範囲程度の高強度を有するばね鋼としては、特許文献1〜4に記載の技術が知られている。
まず、特許文献1には、Vを添加して高強度化を測ると同時に、Vの析出物によって必要特性を維持することが開示されている。
特許文献2には、Niを添加して鋼の耐食性を高めて、腐食によって発生する水素を抑えて耐遅れ破壊特性を確保することが記載されている。
特許文献3には、NiとCuを併用することで高い耐食性を維持して、ばねとしての特性を発揮させるものが提案されている。
さらに、特許文献4には、MoおよびVを添加して高温で焼き戻すことにより、析出物を生成させて水素のトラップサイトとして活用することが記載されている。
特開2006-342400号公報 特開2004-315944号公報 特許第3918587号公報 特開2002-115023号公報
上記した特許文献1〜4に記載の技術に共通するものは、まずNiやV等の合金元素をある程度以上添加して、400℃以上の焼戻しを行うことによって、これら元素を析出物として活用しようとするところにある。従って、合金元素添加によるコスト上昇が大きな問題となるばかりでなく、均一な析出物分散が必要となるために、焼戻し温度をある程度以上に高くして一定時間の処理を必要とする、操業上の問題も抱えている。
そこで、本発明は、上記の従来技術の問題点に鑑みて、NiやCu、さらにはVやMo等の高価な合金元素の大量投入による製造コストの増加を抑制し、しかも高強度かつ高靭性であり、しかも耐遅れ破壊特性に優れるばね鋼を安価に提供しようとするものである。
発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、在来の技術のように多量の合金元素を含有する成分系でなくとも、C、Si、Mo、CrおよびBを適正範囲で添加し、Sの最大含有量を規定し、また製造方法においては、150℃〜400℃の低温度域で焼戻しを行うことによって、強度範囲が1900MPa以上で高い耐腐食性が得られることを見出し、本発明を完成するに到った。
すなわち、本発明の要旨構成は、次のとおりである。
(1)質量%で、
C:0.40%以上0.65%以下、
Si:1%以上2%以下、
Mn:0.8%以下、
S:0.01%以下、
Mo:0.05%以上0.60%以下、
Cr:0.3%以上1.5%以下
B:0.0005%以上0.0100%以下および
Ti:0.005〜0.2%
を含み、残部がFeおよび不可避的不純物の成分組成を有し、さらにマルテンサイト分率が90%以上かつ旧オーステナイト粒径が10μm以下の組織を有し、引張強度が1900MPa以上、全伸びが10%以上であることを特徴とする耐遅れ破壊特性に優れた高強度ばね用鋼。
(2)前記成分組成は、さらに質量%で、
Al:1.0%以下および
V:0.14%以下
のうちから選んだ1種または2種を含有することを特徴とする前記(1)に記載の耐遅れ破壊特性に優れた高強度ばね用鋼。
(3)前記成分組成は、さらに質量%で、
W:0.1%以下および
Nb:0.1%以下
のうちから選んだ1種または2種を含有することを特徴とする前記(1)または(2)に記載の耐遅れ破壊特性に優れた高強度ばね用鋼。
(4)前記(1)ないし(3)のいずれかに記載の成分組成を有する鋼を素材として、熱間圧延、そして伸線したのち、昇温速度100℃/s以上にてAc点以上(Ac点+200℃)以下の温度域に加熱し、5〜60s保持後に200℃以下まで焼入れ処理を施し、その後、昇温速度50℃/s以上で、150℃以上400℃以下の温度域まで加熱し、2〜60s保持後に空冷する焼戻し処理を施し、マルテンサイト分率が90%以上かつ旧オーステナイト粒径が10μm以下の組織を有し、引張強度が1900MPa以上、全伸びが10%以上であるばね用鋼を製造することを特徴とする耐遅れ破壊特性に優れた高強度ばね用鋼の製造方法。
本発明によれば、高価な合金元素の大量含有によることなく、耐腐食性に優れる高強度かつ高靭性のばね鋼を安価に提供することができる。
以下に、本発明の詳細を説明する。
まず、本発明において、鋼の成分組成を上記の範囲に限定した理由について説明する。
なお、以下の説明において、成分元素の%表示は、特に断らない限り、全て質量%を意味するものである。
C:0.40%以上0.65%以下
Cは、必要な強度を確保するために必須の元素であり、0.40%未満では所定の強度確保が難しい。一方、0.65%を超えると、規定温度域で焼戻した際には、通常使用したい強度域以上の強度となり、靭性および冷間でのコイリング性が著しく低下する。従って、C含有量は0.40%以上0.65%以下とした。
Si:1%以上2%以下
Siは、鋼の溶製時に脱酸剤として作用させる。また、本発明では、ばね鋼としての耐へたり性を維持するために必須の元素であり、そのためには1%以上で含有させる。但し、2%を超えると、冷間でのコイリング性を著しく低下させるため、上限を2%とした。
Mn:0.8%以下
Mnは、鋼の焼入れ性を向上させ強度増加に有益なので、好ましくは0.3%以上で含有させる。ただし、0.8%を超えて含有させると、焼入れ性が過剰となり鋼の延性が低下し、結果として冷間でのコイリング性が低下されるため、上限を0.8%とする。
S:0.01%以下
Sは、積極的に添加されることはなく、不可避的に混入される成分である。粒界に偏析して耐遅れ破壊特性を低下させ、またMnSを生成して外部環境下では腐食の起点となる、おそれもある。そこで、上限を0.01%とした。なお、Sは、経済性により下限を設定する必要は特にない。
Mo:0.05%以上0.60%以下
Moは、本発明において、特に重要な元素であり、延性を大きく損なうことなく強度を向上させる。また、外部環境からの水素の浸入を抑制する効果を有する。この効果を発揮させるためには、0.05%以上の含有が必要である。一方、Moを0.60%以上含有させても、効果が飽和し大きく向上する事はない。そこで、経済性を考慮して上限を0.60%に限定した。
Cr:0.3%以上1.5%以下
Crは、焼入れ性の向上に有効であり、また表層部に生成する錆を緻密化して腐食性を向上させ、その結果、耐遅れ破壊特性を向上させる効果を有する。しかし、過度に含有すると、炭化物安定効果によって残留炭化物の生成を助長し、強度の低下をまねく。また、CrはPやSの粒界偏析をある程度助長する。従って、Crの含有はできる限り低減することが望ましいが、1.5%までは許容できる。なお、上記の有益な作用を発現させるためには、0.3%以上で含有させる。
B:0.0005%以上0.0100%以下
Bは、粒界部に濃化して粒界強度の向上に寄与する最も重要な元素である。遅れ破壊は、主にオーステナイト粒界で発生するものであり、この粒界を強化することは耐遅れ破壊特性の向上に大きく寄与する。そのためには0.0005%以上の含有が必要である。しかし、0.0100%を超えて含有しても、その効果は飽和するため、0.0100%以下に限定した。
Ti:0.005〜0.2%
Tiは、不可避的不純物として混入するNと結合して、BがBNとなってBの効果が消失することを防止する。この効果を得るためには0.005%以上で添加する。一方、0.2%を超えて添加すると、TiNが大量に形成されて強度や靭性の低下を招くため、Tiは0.2%以下とする。
また、本発明では、上記の基本成分に加えて、次に示す成分の1種又は2種以上含有することができる。
Al:1.0%以下
Alは、脱酸に有効な元素であり、また、焼入れ時のオーステナイト粒成長を抑制することによって、強度の維持に有効な元素であるため、好ましくは0.02%以上で添加する。しかしながら、含有量が1.0%を超えて含有させても、その効果は飽和してコスト上昇を招く不利が生じるだけでなく、冷間でのコイリング性も低下する。よって、1.0%以下の範囲とすることが好ましい。
V:0.14%以下
Vは、炭化物として析出し、結晶粒微細化へ寄与するほかに、析出物が水素のトラップサイトとして有効に働くため、添加することにより特性が向上する。しかし、本発明では、急速加熱による効果で微細化が図れるため、0.14%以下の添加で十分な効果が見られるが、一層の効果を得るためには0.09%以上添加することが好ましい。一方、0.14%を超えて添加しても、その効果は飽和する。よって、添加する場合は、0.14%とする。
Nb:0.1%以下
Nbは、焼入れ性の向上効果のほかに、析出強化元素として強度や靭性の向上に寄与する。この効果を発現させるためには、0.005%以上で添加することが好ましい。しかし、0.1%を超えて添加しても、その効果は飽和するため、0.1%以下とすることが好ましい。
W:0.1%以下
Wは、安定した炭化物を形成し、強化元素として有効であるため、好ましくは0.05%以上で添加する。一方、0.1%を超えると、延性を低下させて冷間でのコイリング性を低下させるため、0.1%以下とすることが好ましい。
以上の成分組成を有する鋼塊は、転炉による溶製においても真空溶製によるものでも使用できる。そして、鋼塊または連鋳スラブは、加熱されて熱間圧延され、酸洗してスケール除去された後に伸線されて所定の太さに整えられて、ばね用に供される。
さらに、本発明のばね用鋼の組織について説明する。
マルテンサイト分率:90%以上
マルテンサイトは、強度を得るために必須の組織である。本発明の場合には、体積率で90%以上のマルテンサイト組織とすることで優れた特性が得られる。すなわち、マルテンサイトの体積率が90%未満では、強度の上昇に寄与しない残留オーステナイト相等の未変態相や、炭化物等の析出物の量が多くなりすぎて、1900MPa以上という高強度化の達成は困難となる。
旧オーステナイト粒径:10μm以下
本発明では、旧オーステナイト粒径の調整も重要である。旧オーステナイト粒径を微細化することによって、粒界に析出し遅れ破壊特性を低下させる膜状炭化物の析出を抑制し、粒界強度を向上させる。そのためには、旧オーステナイト粒径は10μm以下であることが必要である。
以上の成分組成および鋼組織を有し、且つ引張強度が1900MPa以上および全伸び10%以上が必要である。すなわち、引張強度が1900MPa未満では、ばねの高強度化に対応できない。また、全伸びが10%未満では、冷間でのばね成形が著しく困難となる。
次に、本発明の鋼を得るための製造条件について説明する。
前述した鋼を得るためには、伸線材に、極めて短時間の焼入れ焼戻し処理を施すことが有効である。
Ac点以上に加熱して焼入れることで、マルテンサイト分率を90%以上とできるが、長時間の加熱および(Ac点+200℃)を超える温度域での加熱は、旧オーステナイト粒を粗大化させることになる。そこで、鋼線のサイズにもよるが、焼入れ時の昇温速度を100℃/s以上として、Ac点以上(Ac点+200℃)以下の温度域に5〜60s保持して、焼入れする工程が、上述したマルテンサイト分率90%以上、旧オーステナイト粒径10μm以下を達成する上で最も有効である。
次に、焼戻し処理では、粒内炭化物をできるだけ細かく分散させることが重要となる。粗大な炭化物が出ると、母相と局部電池を形成して溶解してビットが形成され、そこを起点に腐食が進み、ひいては遅れ破壊特性も低下することになる。さらに、上記の引張強度、全伸びを達成するためにも、焼戻し条件が重要である。このためには、できるだけ早い昇温速度、具体的には50℃/s以上で150〜400℃温度域に加熱して2〜60s保持して焼戻すことが有効である。
かくして得られたばね鋼材は、安価に製造できるにもかかわらず、優れた強度靭性および耐遅れ破壊特性を有し、1900MPa以上の高強度を必要とする自動車用懸架ばねへの適用が可能である。
<実施例1>
表1に示す成分組成の鋼を真空溶製にて製造した。これらの鋼から製造したビレットを、1100℃に加熱して熱間鍛造し、25mmΦの丸棒とした。その後、50℃で1時間のノルマライジング処理を行ってから、15mmΦまで伸線加工した。得られた線材について、高周波加熱による焼入れ焼き戻しを施した。焼入れは、昇温速度200℃/sで980℃に加熱し5s保持後、100℃以下に水焼入れした。その後、昇温速度100℃/sで210℃に加熱し、30s保持後に放冷した。
この焼入れ焼戻しされた線材より、ミクロ引張試験片(平行部6mmΦ、つかみ部12mmΦ)、シャルピー試験片(10mm×5mm、Uノッチ2mm)、図1に示す遅れ破壊評価試験片を採取して、各々の試験片を以下の試験に供した。
引張強さは、上記ミクロ引張試験片を用いて、引張試験を引張速度5mm/minで実施した。靭性は、上記シャルピー試験片を用いてシャルピー試験を室温(25℃)で実施し、吸収エネルギーにより評価した。
遅れ破壊の評価は、以下の手順で実施した。すなわち、上記遅れ破壊評価試験片を、酢酸にてpH1.5に調整した5%NaCl溶液に浸漬し、この試験片にある一定の荷重をかける定荷重型試験を施した。試験時間が200時間を超えた段階で試験は中断し、破断なしと評価した。荷重を変えて試験をすることで、破断時間−荷重曲線が得られる。破断の起きなくなる荷重から下限界応力を求めて、この値の大小にて耐遅れ破壊性を評価した。
旧オーステナイト粒径の測定は、水500gに対しピクリン酸50gを溶解させたピクリン酸水溶液に、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム11g、塩化第1鉄1gおよびシュウ酸1.5gを添加したものを腐食液として作用させ、腐食によって粒界を現出させた後、倍率1000倍にて観察撮影し、得られた画像から切断法にて粒径を求めた。
以上の引張強さ、靭性、腐食疲労、遅れ破壊強度および組織の評価結果を表1に併記する。表1より、本発明の範囲内にある鋼は強度が1900MPa以上で、靭性、腐食疲労、耐遅れ破壊性がともに優れていることがわかる。
Figure 0005353161
<実施例2>
この事例では、表1に示した成分以外の成分の効果を調べた。すなわち、表2に示す成分組成になる鋼を真空溶製にて製造した。その後、実施例1と同じ条件に従って各評価を行った。その評価結果を、表2に併記する。表2から、Alが過度に含有されると、延性の低下を招き、またV、WおよびNbについては、その添加効果が飽和することがわかる。
Figure 0005353161
<実施例3>
この事例では、焼入れ条件および焼戻し条件の影響を調べた。
すなわち、実施例1と同じ方法によって、表1の記号2(Ac点=871℃)と同じ伸線材を準備した。この素材に、熱処理を施す際に、高周波加熱および炉加熱を使い分ける事で、昇温速度、加熱温度および保持時間をそれぞれ独立に変えて試験片を製造した。得られた試験片を用いて実施例1と同じ要領で基礎評価を実施した。また、試験片の採取と同時に、下記の条件に従ってばねを作製し、ばね疲労試験を行った。疲労試験は、平均応力=650MPaおよび振幅応力:550MPaの条件にて、各鋼につきN=10で疲労試験を行った。そして、記号2の疲労寿命(破断繰り返し数)の平均値を基準値として、各鋼の疲労寿命(破断繰り返し数)の平均値を基準値で割ることで、ばね疲労特性の評価値とした。

コイル平均径:115.1mm、
総巻数:6.0
有効巻数:4.5
自由高さ:320mm
ばね定数:25.2N/mm
その結果を表3に併記する。焼入れ時の条件が本発明外のものは、旧オーステナイト粒径が粗大化して、耐遅れ破壊特性およびばね疲労特性が低下している。また、焼戻し条件が本発明の範囲外でも、耐遅れ破壊特性およびばね疲労特性が低下する。さらに、焼戻し時間が短すぎると、延性および靭性が低くなっていることがわかる。
Figure 0005353161
遅れ破壊評価試験片を示す図である。

Claims (4)

  1. 質量%で、
    C:0.40%以上0.65%以下、
    Si:1%以上2%以下、
    Mn:0.8%以下、
    S:0.01%以下、
    Mo:0.05%以上0.60%以下、
    Cr:0.3%以上1.5%以下
    B:0.0005%以上0.0100%以下および
    Ti:0.005〜0.2%
    を含み、残部がFeおよび不可避的不純物の成分組成を有し、さらにマルテンサイト分率が90%以上かつ旧オーステナイト粒径が10μm以下の組織を有し、引張強度が1900MPa以上、全伸びが10%以上であることを特徴とする高強度高靭性で耐遅れ破壊特性に優れた高強度ばね用鋼。
  2. 前記成分組成は、さらに質量%で、
    Al:1.0%以下および
    V:0.14%以下
    のうちから選んだ1種または2種を含有することを特徴とする請求項1に記載の耐遅れ破壊特性に優れた高強度ばね用鋼。
  3. 前記成分組成は、さらに質量%で、
    W:0.1%以下および
    Nb:0.1%以下
    のうちから選んだ1種または2種を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の耐遅れ破壊特性に優れた高強度ばね用鋼。
  4. 請求項1ないし3のいずれかに記載の成分組成を有する鋼を素材として、熱間圧延、そして伸線したのち、昇温速度100℃/s以上にてAc点以上(Ac点+200℃)以下の温度域に加熱し、5〜60s保持後に200℃以下まで焼入れ処理を施し、その後、昇温速度50℃/s以上で、150℃以上400℃以下の温度域まで加熱し、2〜60s保持後に空冷する焼戻し処理を施し、マルテンサイト分率が90%以上かつ旧オーステナイト粒径が10μm以下の組織を有し、引張強度が1900MPa以上、全伸びが10%以上であるばね用鋼を製造することを特徴とする耐遅れ破壊特性に優れた高強度ばね用鋼の製造方法。
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