JP5353117B2 - 標準電波受信装置、電波修正時計および標準電波受信方法 - Google Patents
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Description
このため、特許文献1では、タイムコード信号を所定ビット周期よりも細かいサンプリング周期でサンプリングする。このサンプリング処理で得られるサンプリングデータを所定ビット周期毎(所定エリア毎)に畳み込み加算して加算値を得る。そして、この加算値を平均化した波形を用いて、そのエリアの信号をデコードする方法でノイズを除去する方法が示されている。
しかしながら、所定のビット周期を大きくすると、受信信号の立ち下がりの位置の判定が荒くなるので、ビット同期の精度が落ちてしまう問題点があった。
ここで、例えば、前記10個のサンプリングデータの殆どがHレベルであり、一部のサンプリングデータがノイズによってLレベルになっている場合も、その10個のエリアをHレベルと判定することができ、前記ノイズを除去できる。従って、この場合、最大で5個のサンプリングデータのノイズ、つまり最大50msecのノイズを除去できる。
また、本発明のノイズ除去処理部は、処理対象のサンプリングデータを含む所定数のサンプリングデータにおけるHレベル信号またはLレベル信号の数で処理対象のサンプリングデータの信号レベルを設定しているので、特許文献1に記載の所定周期毎にデータを平均化するエリア平均化方式に比べてリアルタイムに処理することができる。
さらに、エリア平均化方式では、信号の立ち下がりの位置がタイミングによって大きく変わってしまう問題があるが、本発明では、1個のサンプリングデータ毎にノイズ除去処理を行っているので、信号立ち下がり位置のばらつきも軽減でき、ビット同期の精度も向上できる。
また、信号の立ち下がりタイミングを精度良く検出できるため、立ち下がりを基点とする受信フォーマットのタイムコード信号の、ビット同期の精度も向上できる。
また、信号の立ち上がりタイミングを精度良く検出できるため、立ち上がりを基点とする受信フォーマットのタイムコード信号の、ビット同期の精度も向上できる。
例えば、JJYにおいては、ビット同期位置(0msec)からの経過時間によって設定される200〜500msecの期間は、信号「P」のみがHレベルとなり、他の信号「1,0」はLレベルとなる。従って、上記期間のサンプリングデータのLレベル信号またはHレベル信号の数を数え、上記期間がHレベルであることを判別できれば、そのビット(1秒間)のデータが信号「P」であることを判別できる。また、信号「1」および「0」を比較すると、信号「1」は500〜1000msecの期間全体がHレベルとなるのに対し、信号「0」は800〜1000msecの期間のみHレベルとなる。従って、500〜1000msecの期間のサンプリングデータのLレベル信号またはHレベル信号の数を数え、上記期間がHレベルであることを判別できれば、そのビットデータは信号「1」であると判別できる。そして、上記の条件によって、信号「P」、「1」のいずれでもないと判断された場合には、そのビットデータは信号「0」と判別できる。
この発明においても、前記標準電波受信装置と同じ作用効果を奏することができる。
以下、本発明の第1実施形態に係る電波修正時計1を図面に基づいて説明する。
電波修正時計1は、図1に示すように、標準電波信号を受信するアンテナ3と、アンテナ3で受けた受信信号を処理してTCO(Time Code Out)信号を出力する受信回路4と、受信回路4で生成されたTCO信号(デジタル信号)をデコードして時刻情報を取得する処理手段5と、処理手段5で取得される時刻情報を表示する時刻表示部6とを備える。
なお、本実施形態では、アンテナ3および受信回路4によって受信手段が構成されている。
受信回路4は、図示を略すが、同調回路、増幅回路、バンドパスフィルタ、包絡線検波回路、AGC(Auto Gain Control)回路、二値化回路等を備える一般的な受信回路である。
なお、本実施形態の受信回路4は、日本の標準電波「JJY」を受信可能に構成されているが、同調回路等を用いて、アメリカ合衆国の標準電波「WWVB」、ドイツの標準電波「DCF77」、イギリスの標準電波「MSF」、中華人民共和国の標準電波「BPC」などの各地域における標準電波を受信可能に構成してもよい。
なお、JJYでは、図2に示すように、各マーカを示す信号Pは約0.2秒のパルス幅の信号であり、各項目において「1」を表す信号は約0.5秒のパルス幅の信号、「0」を表す信号は約0.8秒のパルス幅の信号である。
なお、JJYの送信信号は、電波(パルス)の立ち上がりから立ち上がりが1秒であるが、受信回路4で反転されるため、受信回路4から出力されるTCO信号では図2に示すように、立ち下がりから立ち下がりが1秒とされる。このため、「P,1,0」の各信号のパルス幅も信号レベルがLレベルの部分の長さで設定される。
処理手段5は、CPUで構成され、データ記憶部51と、計時部53と、サンプリング処理部54と、ノイズ除去処理部55と、ビット同期処理部56と、デコード処理部57と、時刻情報修正部58とを備える。
第1記憶部511は、受信回路4から出力されるTCO信号をサンプリング処理部54でサンプリングしたデータ(サンプリングデータ)を記憶するものである。
第2記憶部512は、第1記憶部511に記憶されたデータに対してノイズ除去処理部55によって処理された処理済みサンプリングデータを記憶するものである。
第1判定カウンタ513、第2判定カウンタ514は、デコード処理部57において、タイムコード解析を行う際に利用されるものである。
ノイズ除去処理部55は、後述するノイズ除去処理を実行するものである。
デコード処理部57は、第2記憶部512に記憶された処理済みサンプリングデータ(ビットデータ)に基づいてタイムコードを解析し、時刻情報を取得する処理を行うものである。
本実施形態の時刻表示部6は、時針、分針、秒針で時刻を指示する指針式の時刻表示部である。なお、時刻表示部6としては、液晶パネルやEPD(Electrophoretic Display)などを用いて時刻を表示するデジタル表示式の時刻表示部でもよく、要するに時刻情報を表示できるものであればよい。
従って、本実施形態では、アンテナ3と、受信回路4と、処理手段5のデータ記憶部51、サンプリング処理部54、ノイズ除去処理部55、ビット同期処理部56、デコード処理部57によって、標準電波受信装置が構成されている。
次に、本実施形態の処理手段5における受信処理手順について説明する。
まず、処理手段5は、図3に示すように、指定の送信局を選択して受信を開始することを指示する制御信号を受信回路4に送信し、受信処理を開始する(ステップS1)。
受信回路4は、その制御信号を受けて、受信する局の周波数に合わせてアンテナ3を同調する。そして、受信回路4は、アンテナ3から入ってくるアナログ信号を、所定の閾値を用いて「Hレベル」および「Lレベル」の2値に区分したデジタル信号に変換する。
ノイズ除去処理を開始すると、図4に示すように、サンプリング処理部54は、受信回路4で生成されたデジタル信号(タイムコード信号)を所定周期毎にサンプリングする(ステップS21)。本実施形態では、水晶振動子からのクロック信号を用いて、64Hz周期でサンプリングしている。
従って、第1記憶部511には、常に最新の7回分のサンプリングデータが記憶されていることになる。
そして、ノイズ除去処理部55は、予め設定された判定基準に従って、1番新しい処理対象のサンプリングデータの値を判定する。本実施形態では、多数決方式によって判定している。
具体的には、ノイズ除去処理部55は、最新の7回分のサンプリングデータにおいて、Lデータの数が4以上であるかを判断する(S24)。
そして、Lデータの数が4以上であれば、処理対象のサンプリングデータを「Lレベル」と判定する(S25)。一方、Lデータの数が3以下、つまりHデータが4以上であれば、処理対象のサンプリングデータを「Hレベル」と判定する(S26)。
すなわち、本実施形態では、ノイズ除去処理部55は、最新の7回分のサンプリングデータにおけるLレベルおよびHレベルのうち、数が多いレベルを処理対象のサンプリングデータと判定する多数決方式を採用している。
次に、ノイズ除去処理部55は、ノイズ除去処理を終了するか否かを判断する(S28)。前述の通り、本実施形態では、ノイズ除去処理は受信開始から終了まで継続するため、S28では、受信が終了している場合はノイズ除去処理も終了と判断し、受信が継続していればノイズ除去処理も継続と判断する。
そして、S28で「No」と判断された場合は、S21〜28の処理を繰り返す。すなわち、ノイズ除去処理では、S21,22で最初の7個のサンプリングデータが揃えばS23〜S27の処理を実行できる。その後は、S21,22でサンプリングデータを第1記憶部511に記憶するごとにS24〜S27の処理を行うことで、受信が継続している間、各サンプリングデータのノイズ除去処理を行う。
一方、S28で「Yes」と判断されると、つまり受信処理が終了すると、処理手段5はノイズ除去処理を終了する。
ここで、ノイズ除去処理の多数決方式の具体例について、図5を参照して説明する。図5には、JJYの信号「1」の波形を示す信号であるが、ノイズが乗ったためにそのままでは判別できないデジタル信号を、ノイズ除去処理部55で処理した一例が示されている。
図5(A)は、受信回路4から出力されたTCO信号(デジタル信号)100の波形例である。図5(B)は、上記TCO信号100をサンプリング処理部54でサンプリング処理した結果を示す。本実施形態では、64Hz周期でサンプリング処理しており、TCO信号100がHレベルの領域はサンプリング結果も「H」とされ、Lレベルの領域はサンプリング結果も「L」とされる。
そして、ノイズ除去処理部55は、前記データセット111におけるLデータの数をカウントする。データセット111では、Lデータの数が3個であり、Hデータの数が4個であるため、ノイズ除去処理部55は、S24,S26によって、今回のサンプリングデータ101は「Hレベル」と判定する。従って、ノイズ除去処理部55は、図5(D)に示すように、第2記憶部512に、処理済みサンプリングデータ121として、「H」を記憶する。
また、サンプリングデータ103は、データセット113でLデータの数が6個となるため、第2記憶部512には、サンプリングデータ123として「L」を記憶する。
また、サンプリングデータ104は、データセット114でLデータの数が2個となるため、第2記憶部512には、サンプリングデータ124として「H」を記憶する。
また、サンプリングデータ105は、データセット115でLデータの数が3個となるため、第2記憶部512には、サンプリングデータ125として「H」を記憶する。
以上のノイズ除去処理は、前述したように、受信開始から受信終了まで行われる。
処理手段5は、以上のノイズ除去処理と並行し、ビット同期処理部56によるビット同期処理S3を実行する。
ビット同期処理部56は、ノイズ除去処理部55によってノイズが除去されて第2記憶部512に記憶された信号、具体的には、図5(D,E)に示すノイズ除去処理した信号130を用いてビット同期処理S3を実行する。
ビット同期処理部56は、図6に示すように、ビット同期処理を開始すると、まず、第2記憶部512に記憶された今回の処理済みサンプリングデータの判定結果が「L」であるかを判定する(S31)。ここで、ビット同期処理部56は、HからLとなる信号の立ち下がりタイミングを検出してビット同期を確認する。このため、今回のサンプリングデータの判定結果が「H」であれば、少なくとも立ち下がりタイミングではないため、次回のサンプリング結果で再び図6に示すビット同期を行う。
そして、図7(A)に示すように、ノイズが混入している信号波形では、立ち下がりと立ち下がりの間隔が1秒周期とならない。ノイズ除去処理部55で処理したサンプリングデータにおいても立ち下がりの間隔が1秒周期ではない場合、ノイズ除去処理部55でノイズを除去し切れていないことが分かる。従って、このようなノイズによって信号が立ち下がるタイミングに基づいて誤った秒同期を行ってしまうことを防止できる。
一方、図7(B)に示すように、ノイズが除去された信号波形では、立ち下がりの間隔が略1秒周期となる。
そして、S35で「Yes」と判定すると、ビット同期処理部56は、ビット同期に成功したと判定し、サンプリング信号の立ち下がり位置をビット同期位置とする(S36)。なお、5回連続で検出した場合にビット同期位置を確定しているのは、5回連続して立ち下がり間隔が略1秒間隔となっていれば、正確なビット同期位置であると判定できるためである。
従って、図7(A)に示すように、ノイズ除去処理部55でノイズを除去していない場合は、信号の立ち下がりによってビット同期位置を確定できないが、図7(B)に示すようにノイズを除去すれば、信号の立ち下がりによってビット同期位置を確定でき、ノイズ除去処理が有効であることがわかる。
図3に示すように、ビット同期処理S3が終了すると、デコード処理部57によりデコード処理S4が実行される。
デコード処理部57は、デコード処理S4を開始すると、まず、図8に示すタイムコード解析処理を行う。
タイムコード解析処理では、デコード処理部57は、ビット同期位置から1秒間のサンプリングデータを解析し、「P」、「1」、「0」の判別を行う。
具体的には、デコード処理部57は、処理対象のサンプリングデータが、ビット同期処理部56で検出したビット同期位置であるかを判定する(S41)。ここで、ビット同期位置は、1秒間のタイムコード信号の起点であり、終点でもある。
そして、デコード処理部57は、S41で「No」と判断された場合、つまり処理対象のサンプリングデータがビット同期位置となるまでは、そのサンプリングデータがビット同期位置から200〜500msecの期間であるかを判定する(S42)。
従って、第1判定カウンタ513には、ビット同期位置から200〜500msecの期間にあるサンプリングデータの中で、Lデータの数が記憶されることになる。
ここで、64Hz周期のサンプリングデータであれば、1つのサンプリングデータのパルス幅は、1000msec/64=15.625msecである。また、200〜500msecの期間は300msecの時間幅となる。そして、300/15.625=19.2であるから、200〜500msecの期間には20個のサンプリングデータが存在する。従って、第1判定カウンタ513には、この20個のサンプリングデータの中で、Lデータであったサンプリングデータの数が記憶される。
そして、S44で「Yes」と判定されると、デコード処理部57は、処理対象のサンプリングデータが「L」のデータであれば、データ記憶部51に設けられた第2判定カウンタ514に「1」を追加(加算)する(S45)。
従って、第2判定カウンタ514には、ビット同期位置から500〜1000msecの期間にあるサンプリングデータ(64Hz周期のサンプリングデータであれば32個)の中で、Lデータの数が記憶されることになる。
デコード処理部57は、以上のS41〜S45の処理を、各処理済みサンプリングデータ毎に繰り返し実行する。
そして、ビット同期位置から1秒が経過して次のビット同期位置になり、S41で「Yes」と判定されると、それまでの1秒間のビットデータの解析を行う。
ここで、第1判定カウンタ513が10未満であれば、つまり200〜500msecの20個のサンプリングデータのうち、Lデータが半分未満(Hデータが10以上)であれば、200〜500msecがHレベルであると想定できる。ここで、200〜500msecがHレベルとなるのは、図2に示すように、信号「P」のみであるため、ビット同期処理部56はその1秒のビットデータを「P」と判定する(S47)。
ここで、第2判定カウンタ514が12未満であれば、500〜1000msecの32個のサンプリングデータのうち、Lデータが半分未満(12未満)となる。従って、Hデータは12以上(半分以上)となり、500〜1000msecがHレベルであると想定できる。ここで、「P」以外の信号「0」、「1」のうち、500〜1000msecがHレベルとなるのは、図2に示すように、信号「1」のみであるため、デコード処理部57はその1秒のビットデータを「1」と判定する(S49)。
一方、S48で「No」と判定された場合、その1秒のビットデータを「0」と判定する(S50)。
このようにして、デコード処理部57は、ノイズが除去された信号に基づいて、1秒毎のビットデータが「P,1,0」のいずれであるかを解析する。
そして、計時部53は、修正された内部時刻情報に基づいて時刻表示部6の指針の指示位置を修正し、時刻表示部6で指示される時刻を正しい時刻に修正する。
本実施形態の電波修正時計1では、ノイズ除去処理部55を備えているので、ノイズが混入したデジタル信号を、ノイズの少ないきれいなデジタル信号に変換できる。このため、ノイズを除去したデジタル信号に基づいて従来のデコード処理を行えるので、受信感度が向上し、正しい時刻情報を取得することができる。
これに対し、本実施形態では、1個のサンプリングデータ毎にノイズ除去処理を行っているので、特許文献1のようなエリアの分割タイミングによる信号立ち下がり位置のばらつきが生じることはない。従って、ビット同期の精度も向上できる。
例えば、図9では、100Hzのサンプリング周波数でサンプリングし、10個のサンプリングデータにおいて、Lデータが4個以下の場合は「H」と判定し、Lデータが5個以上の場合は「L」と判定する。この場合、図9(A)に示す受信信号の立ち下がりタイミングに対し、図9(E)に示すノイズ除去処理後の信号の立ち下がりタイミングは、40msec遅れるが、これは特許文献1のように分割タイミングによるばらつきではなく、ノイズ除去方式の特性によるため、その遅れ量も一定している。従って、受信成功後に補正したり、ノイズ除去方式をL優先方式(10個のサンプリングデータのうち、1個でもLデータがある場合は「L」と判定する方式)を採用することで解決できる。
また、受信する標準電波の種類つまりタイムコードフォーマットが変わっても、第1記憶部511に記憶するサンプリングデータ数と、判定条件(例えばLレベルの数によって判定する場合の閾値(スレッシュホールド)を可変させるだけで対応できるので、ソフト処理を単純化でき、かつ、その処理を行うプログラムなどを記憶するために必要なROM容量も少なくて済む。従って、この点でもコストを低減できる。
次に、本発明の第2実施形態について、図10〜12を参照して説明する。なお、以下の各実施形態において、前述した他の実施形態と同一または同様の構成については、同一符号を付し、説明を省略または簡略する。
これに対し、第2実施形態のノイズ除去処理部55は、第1記憶部511に記憶したデータセットにおいてLが1つでもある場合に、処理対象のサンプリングデータをLレベルに判定するL優先方式を採用している。
ここで、1分間に送られてくるJJYの標準電波信号を統計的に見ると、3回に2回が「0」である。「0」の信号は、0〜800msec間は「L」であり、「L」信号中に立ち上がりノイズが入る確率のほうが、「H」信号中に立ち下がりノイズが入る確率よりも高くなる。よって、前記第1実施形態のような多数決方式と、第2実施形態のL優先方式と、L優先方式とは逆に1つでもHがある場合に、処理対象のサンプリングデータをHレベルに判定するH優先方式の3つの方式の中では、立ち上がりノイズ除去に優れたL優先方式が最も有効である。
なお、図10は、4個のサンプリングデータにおいて、L≧1の時に「L」と判定し、L<1のとき、つまりすべてのサンプリングデータがHの時だけ「H」と判定するL優先方式である。図10に示すように、第2実施形態のL優先方式を用いれば、本来「L」である0〜800msec間のノイズを完全に除去できるとともに、1秒毎の信号の立ち下がりタイミングも正確に検出できる。
また、図12は、4個のサンプリングデータにおいて、H≧1(L<1)の時に「H」と判定し、H<1のとき、つまりすべてのサンプリングデータがLの時だけ「L」と判定するH優先方式である。図12に示すように、H優先方式でも、本来「L」である0〜800msec間のノイズを完全には除去できていない。また、1秒毎の信号の立ち下がりタイミングも遅れて検出されている。
以上に説明したように、第2実施形態のL優先方式を採用すると、特に、Lレベルの信号における立ち上がりノイズの除去と、1秒毎の信号の立ち下がりタイミングの検出に優れている。
このため、特に、1秒毎の信号の立ち下がりタイミングを検出するビット同期処理時には、第2実施形態のL優先方式を採用することで、前記立ち下がり位置を正確に検出することができる。
また、Lレベルの信号における立ち上がりノイズの除去に優れているため、JJYの「0」信号のように、Lレベルの領域が広い信号を精度良く検出できる。
次に、本発明の第3実施形態について、図13を参照して説明する。
第3実施形態は、ノイズ除去処理部55における判定方式として、各信号「P,1,0」の波形フォーマットを考慮し、「P,1,0」の各信号において共通してLレベルとなる期間はL優先方式で処理し、「P,1,0」の各信号において共通してHレベルとなる期間はH優先方式で処理し、「P,1,0」の各信号においてLおよびHが混在する期間は多数決方式で処理したものである。
従って、0〜200msecの期間は立ち上がりのノイズを除去し、200〜800msecの期間は立ち上がり及び立ち下がりの両方のノイズを除去し、800〜1000msecの期間は立ち下がりのノイズのみを除去すればよいことが分かる。
第3実施形態によれば、1秒間の信号における各期間において適切なノイズ除去方式を適用できるので、より効果的なノイズ除去を行うことができる。特に、必ずLレベルとなる0〜200msecの期間や、必ずHレベルとなる800〜1000msecの期間は、それぞれに適したL優先方式やH優先方式で処理しているので、ノイズを効果的に除去することができる。
次に、本発明の第4実施形態について、図14を参照して説明する。
第4実施形態は、第3実施形態に対し、200〜800msecの期間のノイズ除去処理部55における判定方式を、多数決方式ではなく、1つ前のサンプリングデータの判定結果に応じてL優先方式およびH優先方式を選択する新たな方式としたものである。なお、第4実施形態では、0〜200msecの期間は第3実施形態と同じL優先方式で処理し、800〜1000msecの期間も第3実施形態と同じH優先方式で処理している。
第4実施形態によれば、1秒間の信号における各期間において適切なノイズ除去方式を適用できるので、より効果的なノイズ除去を行うことができる。
また、200〜800msecの期間では、1つ前のサンプリングデータの判定結果に基づいてL優先方式またはH優先方式を選択しているので、ノイズを効果的に除去することができる。すなわち、図2に示すように、各信号「P,1,0」は1秒間の期間内でLレベルの期間の後にHレベルの期間に変化する。従って、このLレベルからHレベルへの切換時およびHレベルからLレベルへの切換時を除くと、信号レベルは1つ前のレベルと同じ状態である。
このように、殆どのサンプリングデータにおいては、前回の信号レベルと同じレベルであり、前回がLレベルであれば今回もLレベルである可能性が高いため、Lレベルにおけるノイズ除去に適したL優先方式で処理することで、立ち上がりノイズを効果的に除去できる。同様に、前回がHレベルであれば今回もHレベルである可能性が高いため、Hレベルにおけるノイズ除去に適したH優先方式で処理することで、立ち下がりノイズを効果的に除去できる
なお、本発明は、前記各実施形態に限らない。
例えば、前記各実施形態において、データセットにおけるサンプリングデータの数は、多数決判定方式で7〜10個、LまたはH優先方式では4〜8個であったが、これらの数は実施にあたって適宜設定すればよい。
特に、最も効率が良いノイズ除去幅は、アンテナ3と受信回路4の特性及び受信する標準電波信号のフォーマットによって異なるため、様々なノイズ除去幅を設定したもので感度評価を行い、最も感度が良いものを選択すればよい。
すなわち、L優先方式やH優先方式では、除去可能なノイズ幅は(n−1)×x以下であり、多数決方式では(n−1)/2×x以下である。
例えば、L優先方式で、n=8であり、かつ、サンプリング周波数64Hzの場合、サンプリング幅x=15.625msecとなるので、除去可能なノイズ幅は、(8−1)×15.625=109.375msec以下となる。
但し、前記実施形態のように処理すれば、サンプリング処理によって処理対象のサンプリングデータを入手後、直ちにノイズ除去処理ができ、処理の負荷を抑えることができる。
また、ビット同期処理時とデコード処理時で、それぞれ最適なノイズ除去の判定方式を選択してもよい。
また、ビット同期処理時に、前記信号の立ち下がりを検出する場合には、その立ち下がりタイミングを検出しやすくするため、L優先方式でノイズを除去してビット同期処理を行い、その後、各実施形態のノイズ除去方法でノイズ除去処理を行えばよい。
さらに、ビット同期処理時に、前記信号の立ち上がりを検出する場合には、その立ち上がりタイミングを検出しやすくするため、H優先方式でノイズを除去してビット同期処理を行い、その後、各実施形態のノイズ除去方法でノイズ除去処理を行えばよい。
Claims (11)
- タイムコードが重畳された標準電波を受信する標準電波受信装置であって、
前記標準電波を受信し、その受信信号をHレベルまたはLレベルに二値化処理して得られたタイムコード信号を出力する受信手段と、
前記タイムコード信号を処理する処理手段とを備え、
前記処理手段は、
前記タイムコード信号に対して所定の周期でサンプリングを行うサンプリング処理部と、
前記サンプリング処理部で得られた複数のサンプリングデータにおいて、処理対象のサンプリングデータを順次選択し、選択された前記処理対象のサンプリングデータを含む所定数のサンプリングデータにおけるHレベル信号またはLレベル信号の数に基づいて、選択された前記処理対象のサンプリングデータをHレベル信号またはLレベル信号に順次設定するノイズ除去処理部と、
前記ノイズ除去処理部でHレベル信号またはLレベル信号に設定された各処理済みサンプリングデータに基づいてタイムコード信号のデコード処理を行うデコード処理部とを備える、
ことを特徴とする標準電波受信装置。 - 請求項1に記載の標準電波受信装置において、
前記ノイズ除去処理部は、
前記所定数のサンプリングデータにおいて、
Hレベル信号の数がLレベル信号の数よりも多い場合には、前記処理対象のサンプリングデータをHレベル信号に設定し、
Lレベル信号の数がHレベル信号の数よりも多い場合には、前記処理対象のサンプリングデータをLレベル信号に設定し、
Lレベル信号とHレベル信号の数が同じ場合には、前記処理対象のサンプリングデータを、予め設定したHレベル信号またはLレベル信号のいずれかに設定する
多数決方式で処理することを特徴とする標準電波受信装置。 - 請求項1に記載の標準電波受信装置において、
前記ノイズ除去処理部は、
前記所定数のサンプリングデータにおいて、
Lレベル信号が1つ以上含まれている場合には、前記処理対象のサンプリングデータをLレベル信号に設定し、
すべてのサンプリングデータがHレベル信号の場合のみ、前記処理対象のサンプリングデータをHレベル信号に設定する
L優先方式で処理することを特徴とする標準電波受信装置。 - 請求項1に記載の標準電波受信装置において、
前記ノイズ除去処理部は、
前記所定数のサンプリングデータにおいて、
Hレベル信号が1つ以上含まれている場合には、前記処理対象のサンプリングデータをHレベル信号に設定し、
すべてのサンプリングデータがLレベル信号の場合のみ、前記処理対象のサンプリングデータをLレベル信号に設定する
H優先方式で処理することを特徴とする標準電波受信装置。 - 請求項1に記載の標準電波受信装置において、
前記ノイズ除去処理部は、
前記所定数のサンプリングデータにおいて、Hレベル信号の数がLレベル信号の数よりも多い場合には、前記処理対象のサンプリングデータをHレベル信号に設定し、Lレベル信号の数がHレベル信号の数よりも多い場合には、前記処理対象のサンプリングデータをLレベル信号に設定し、Lレベル信号とHレベル信号の数が同じ場合には、前記処理対象のサンプリングデータを、予め設定したHレベル信号またはLレベル信号のいずれかに設定する多数決方式と、
前記所定数のサンプリングデータにおいて、Lレベル信号が1つ以上含まれている場合には、前記処理対象のサンプリングデータをLレベル信号に設定し、すべてのサンプリングデータがHレベル信号の場合のみ、前記処理対象のサンプリングデータをHレベル信号に設定するL優先方式と、
前記所定数のサンプリングデータにおいて、Hレベル信号が1つ以上含まれている場合には、前記処理対象のサンプリングデータをHレベル信号に設定し、すべてのサンプリングデータがLレベル信号の場合のみ、前記処理対象のサンプリングデータをLレベル信号に設定するH優先方式とを選択可能に構成され、
前記標準電波のタイムコードに含まれる各信号において、共通してLレベルとなる期間はL優先方式で処理し、共通してHレベルとなる期間はH優先方式で処理し、各信号においてLレベルおよびHレベルが混在する期間は多数決方式で処理する
ことを特徴する標準電波受信装置。 - 請求項1に記載の標準電波受信装置において、
前記ノイズ除去処理部は、
前記所定数のサンプリングデータにおいて、Lレベル信号が1つ以上含まれている場合には、前記処理対象のサンプリングデータをLレベル信号に設定し、すべてのサンプリングデータがHレベル信号の場合のみ、前記処理対象のサンプリングデータをHレベル信号に設定するL優先方式と、
前記所定数のサンプリングデータにおいて、Hレベル信号が1つ以上含まれている場合には、前記処理対象のサンプリングデータをHレベル信号に設定し、すべてのサンプリングデータがLレベル信号の場合のみ、前記処理対象のサンプリングデータをLレベル信号に設定するH優先方式とを選択可能に構成され、
前記処理対象のサンプリングデータの1つ前のサンプリングデータがノイズ除去処理部でLレベルと設定された場合は、L優先方式で処理し、
前記処理対象のサンプリングデータの1つ前のサンプリングデータがノイズ除去処理部でHレベルと設定された場合は、H優先方式で処理する
ことを特徴する標準電波受信装置。 - 請求項1から請求項6のいずれかに記載の標準電波受信装置において、
前記ノイズ除去処理部は、
前記所定数のサンプリングデータを、前記処理対象のサンプリングデータと、前記処理対象のサンプリングデータの直前の複数個のサンプリングデータとで構成する
ことを特徴とする標準電波受信装置。 - 請求項1から請求項7のいずれかに記載の標準電波受信装置において、
前記ノイズ除去処理部でHレベル信号またはLレベル信号に設定された各処理済みサンプリングデータが、Hレベル信号からLレベル信号に変化する立ち下がりタイミングまたはLレベル信号からHレベル信号に変化する立ち上がりタイミングのうちの予め設定されたいずれか一方を検出し、検出した各立ち下がりタイミングまたは立ち上がりタイミングが略1秒周期でかつ所定回数連続した場合に、それらの立ち下がりタイミングまたは立ち上がりタイミングをビット同期位置と判定するビット同期処理部を備え、
前記デコード処理部は、前記ビット同期処理部で判定されたビット同期位置から1秒間の前記処理済みサンプリングデータを解析してタイムコードをデコードする
ことを特徴とする標準電波受信装置。 - 請求項8に記載の標準電波受信装置において、
前記デコード処理部は、前記ビット同期位置からの経過時間によって設定される所定期間におけるサンプリングデータのLレベル信号またはHレベル信号の数によってタイムコードを解析してデコードすることを特徴とする標準電波受信装置。 - 請求項1から請求項9のいずれかに記載の標準電波受信装置と、
内部時刻情報を計時する計時部と、
前記標準電波受信装置でデコードされたタイムコードに基づいて時刻情報を取得し、前記内部時刻情報を修正する時刻情報修正部と、
前記内部時刻情報を表示する時刻表示部と、
を有することを特徴とする電波修正時計。 - タイムコードが重畳された標準電波を受信する標準電波受信方法であって、
前記標準電波を受信し、その受信信号をHレベルまたはLレベルに二値化処理して得られたタイムコード信号を出力する受信工程と、
前記タイムコード信号を処理する処理工程とを備え、
前記処理工程は、
前記タイムコード信号に対して所定の周期でサンプリングを行うサンプリング処理工程と、
前記サンプリング処理工程で得られた複数のサンプリングデータにおいて、処理対象のサンプリングデータを順次選択し、選択された前記処理対象のサンプリングデータを含む所定数のサンプリングデータにおけるHレベル信号またはLレベル信号の数に基づいて、前記処理対象のサンプリングデータをHレベル信号またはLレベル信号に順次設定するノイズ除去処理工程と、
前記ノイズ除去処理工程でHレベル信号またはLレベル信号に設定された各処理済みサンプリングデータに基づいてタイムコード信号のデコード処理を行うデコード処理工程とを備える
ことを特徴とする標準電波受信方法。
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