JP5352760B2 - 液膜塗布器アセンブリおよびこれを組み込んだ直線シヤーシステム - Google Patents

液膜塗布器アセンブリおよびこれを組み込んだ直線シヤーシステム Download PDF

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Description

本出願は、2006年11月21日に出願された仮出願60/860,230号の利益を主張するものである。
本発明は、流動性を有する物質を使用した薄膜コーティングの形成分野に関するものである。より具体的には、本発明は、異方性物理的特性を有する薄膜またはコーティングを得るための設備に関するものである。
従来より、様々なタイプの湿潤膜塗布器、特に、塗装を検査するために使用される塗布器が知られている。色彩、透明度、光沢、強度、風化作用や化学要因等に対する抵抗力など、コーティングの幾つかの特別な性質を正確に測定するためには、連続塗布された試験コーティングが予め設定された同じ厚さを有するように確保する必要がある。また、異なる物理的性質を有する様々な物質からそれぞれ望ましい厚さの塗膜を得ることができるように、塗布器装置が調整可能であることが望ましい。
従来から知られているある湿潤膜塗布器は、一対のウェッジ状の構成要素を有し、それらは互いに平行で、コーティングを形成する横平面ブレード(transverse plane blade)を支持している。ブレードの下縁と基平面(基板)間のギャップによって、塗布されるコーティングの厚さが決まる。ブレードがウェッジ状の構成要素に沿って移動すると、このギャップの厚さが変化する。必要なギャップの厚さが一旦設定されると、装置内の部品の相互の配置が固定される。ブレードは塗布の方向に対して垂直に向けられ、塗布器が基板表面に対して相対的に移動したときに所望の厚さの塗膜を形成する。この装置は、非常に汎用的であり、通常のペンキ、ラッカー、その他の湿潤膜コーティングの形成に十分な精度レベルを提供する。クランプ機構においては、締付けネジがブレードを直接押圧し、ブレードに対して捻る動きを与える。しかしながら、この装置の精度も、(より重要な)塗布される液体との装置の相互作用のモードも、特に、最新の多層干渉素子に用いられるような高品質の光学異方性塗膜およびコーティングの形成には十分であるとはいえない。
異方性光学特性を有する薄膜は、有機染料の液晶溶液を用いて製造されるが、現在は科学技術の分野で広く用いられている。それら有機化合物の分子は、平面的な構造を有し、溶液中で、配向が秩序化された超分子複合体を形成する。それら有機分子の溶液が、外部の方向付け作用(整列)の存在の下で、基板表面に塗布されると、得られたコーティングには、巨視的配向性(光学異方性)が得られ、これは続く乾燥の過程で保持されるだけでなく、結晶化の結果として増加させることもできる。偏光軸(polarization axis)は、整列作用の方向に沿って向けられ、それはコーティングの塗布方向と一致する。このような光学塗膜の特別な構造的特徴は、必要な分子配向性を有する正確な薄膜を形成できる特別なコーティング装置の開発の必要性を生じさせる。
光学的異方性塗膜の様々な製造方法や、これら方法を実行する様々な装置が知られている。例えば、液晶溶液は、描画板やワイパー(ゴム雑巾)を使って塗布することができ、それらはブレード(シート)または円筒タイプとすることができる。基板表面上への液晶溶液の塗布は、超分子複合体の必要方向への方向付けと同時に行うことができる。しかしながら、従来知られている装置は、再現性を有する高い異方性塗膜の形成を確実に行うことができない。これは、塗膜形成中における配向分子構造の不可避の崩壊(欠陥形成)で説明される。また、周知の装置を用いた塗膜形成技術は、初期原材料のすべてのバッチに対して最適塗布条件を決定するために、長時間の予備作業を必要とする。
上述した問題を解決する試みによって、より複雑な装置、特に、特別な形状の液体供給路や追加的な円滑化要素等を有する装置を作製するに至っている。
従来知られている塗布器には、例えば、ソニー・セットアップ(アラバマ、アメリカ合衆国)、ケンブリッジ・シアリングシステム(リンカム・サイエンティフィック、イギリス)、スライディング・プレート・レオメーターズ(FMR−MIT、アメリカ合衆国)などのスロット塗料コーティングシステム型の装置が含まれる。
従来の様々な装置を記載した特許としては、Giesbrecht特許、US4,299,789、11/1981;Euverard特許、US4,869,200、09/1989;Gvon et al.特許、US6,174,394、16/2001;Lazarev et al.特許、WO02/087782、07/2002;Lazarev et al.特許、WO02/056066、07/2002などがある。
既存の溶液に関わらず、高い精度、簡単な調整、塗膜のパラメータ(特に、厚さ)の制御を含む一装置における必要な特性と、基板の凹凸を補うことにで塗布するコーティングの品質を改善する可能性とを組み合わせることに対する要求についての問題に直面している。
本発明に係る装置の独自性は、高い塗布速度、原材料の低い消費、塗膜の厚さや光学的なパラメータ(ミュラー行列、アライメント)に対する高精度制御で、広い面積のコーティングが得られることである。提案する装置の追加的な重要な利点は、シヤー作用(shear action)の領域が十分に広いサイズであることである。
本発明は、液体(流動性)物質で制御されたコーティングを基板表面に施す装置であって、互いに相対的にスライドする2平面間のシヤーにより所望の材料構造を形成する装置に関するものである。本発明の目的は、単一コーティングのエリアに亘ってだけでなく、コーティング液の単一原液から形成される一連の塗膜内および各バッチから形成される一連の塗膜内において、改良された物理的特性と、改善された再現性とを有する塗膜を得ることである。
本発明に係る液体コーティング装置は、
(i)塗布器アセンブリ(applicator assembly)と、
(ii)塗布器を保持して、基板表面の凹凸を補うための追従アセンブリ(compliant assembly)とを備えている。
前記2つの構成要素の組合せにより、最高の薄膜コーティングを製造することができるが、後述するように、塗布器アセンブリのみで薄膜コーティングを製造することも可能である。
前記システムは、主として、実質的に平面的な基板および基板ホルダとともに使用され、基板ホルダは、当該基板ホルダに対する追従アセンブリ/液膜塗布器の直線移送の手段を有している。多様な自由度を特定するために、図2では、コーティング装置に対する適当な3軸の方向:Tx、Ty、Tzと、それら3軸を中心とする3回転方向:Rx、Ry、Rzを示している。矢印は正方向の移動または回転を示している。追従アセンブリは、液膜塗布器の動きを3自由度のみ、すなわちTzのプラス・マイナス方向の平行移動、Rx、Ryのプラス・マイナス方向の回転のみ許容している。
液膜アセンブリは、ブリッジの両側に取り付けられた2本の平行なレールによって、基板と物理的に直接接触するように設計されている。塗布される液体のサンプルは基板上に、ブリッジの前縁に沿って配置される。コーティングアセンブリが基板に対して平行移動されると、コーティング液は、ブリッジの下側平面と基板とにより形成されるギャップ内に引き込まれる。追従アセンブリの追従的性質のため、液膜塗布器は、基板の表面に乗り、上述した3自由度に制限された状態で、基板表面の僅かな変化に追従する。
この方法によって、システム操作中に生じる線形および角度のついた変位を補うことが可能となり、凹凸(起伏)のある基板上であっても、塗膜の高い均質性と滑らかさを確保することができる。光学的薄膜の場合、水平面からの基板表面のズレ(うねり)は、塗膜の厚さに匹敵するものであり、度々ひずみを起こしたり、光学デバイスの性能に悪影響を与える。追従アセンブリ110の上述した特定の自由度の保持によって、塗布器アセンブリ120は、基板表面に沿うことが可能となり、その結果、コーティングの均一性を改善することができる。
本発明に係る液膜塗布器装置は、
(i)少なくとも2つの縦方向のウェッジ(wedge)状のレールであって、それらの下端が基平面と呼ばれる同一面に存在するレールと、
(ii)2つのサイド部材にかかるブリッジであって、少なくとも1つの平坦面を有し、少なくとも1点で各レールと接触するブリッジと、
(iii)望ましい寸法のギャップ厚さを得ることができるように、レールに対して予め設定された任意の位置でブリッジの完全な固定を確保するクランプシステムとを備えている。
ブリッジの平坦面が基平面に対して0〜10分の所定の二面角をなすように、ブリッジは両レールに沿って移動することができる。この平坦面と基平面との間のギャップは、約0〜約100ミクロンの厚さを有する。ブリッジは、レールの上面に沿って各レールと接触する。ブリッジの前面平坦面は、下側の平面的なシヤー面に向かう、滑らかな連続する屈曲した遷移部(transition)を形成し、典型的には、この遷移部は半径Rの1/4円弧となる。
開示した発明に係るコーティング装置は、汎用機構であり、調整の相対的な簡素さおよび使用の高い利便性において優れた結果を確保することができる。開示したコーティング装置は、
・最高1000mm/secのシヤー速度で、
・コーティング液材料の消費が非常に低く(1cc未満)、
・正確に制御されたギャップ厚さ(0−100ミクロンの範囲内)で、かつ
・長いシヤー領域の長さ(最高30mm)で、
高精度のコーティングを形成することができる。
一般的な用語で発明を述べたが、本発明のその他の目的および更なる目的、特徴、利点は、後述する詳細な説明を図面と照らし合わせて読むと、より明らかになるであろう。図面は必ずしも同一の縮尺率で描かれたものではない。
図1は、本発明に係るコーティング装置の一実施形態を示す斜視図である。 図2は、追従アセンブリの一実施形態を示す斜視図である。 図3は、塗布器アセンブリの一実施形態を示す斜視図である。 図4は、塗布器アセンブリの一実施形態を示す断面図である。 図5Aは、ブリッジ、基板、液体コーティングのサンプルを示す側面図である。図5Bは、異なるθ角を有する後縁を示すブリッジの側面図である。図5Cは、ギャップdとウェッジ角aを示す、ブリッジとレールの側面図および端面図である。 図6は、レール、ブリッジおよび基板の間の接触線を示すワイヤーフレームモデルである。 図7は、ブリッジの他の実施形態を示す断面図である。 図8は、ブリッジとレールの上面との間の接触面の様々な構成例を示す断面図である。
先ず最初に図1を参照すると、開示した本発明に係るコーティング装置100は、塗布器アセンブリ120(図3)と、追従アセンブリ110とを備える。
塗布器アセンブリ120は、追従アセンブリ110の一端にしっかりと取り付けられ、追従アセンブリ110の他端は、クランプ160(図2)を介して、固定された機械的な留め具(図示せず)に固定されている。追従アセンブリと塗布器アセンブリの更なる詳細については後述する。
薄膜を形成することとなるコーティング溶液は、基板105上であってブリッジ210の真向かいに配置される。その後、基板105は左から右に移動され、それによりコーティング溶液108が塗布器アセンブリ120の下方に引き込まれて、薄膜コーティング109が形成される。
基板の動きやその方向に関する言及は、すべてコーティング装置に対する相対的なものであることを理解されたい。コーティングアセンブリを留め具に固定して、基板を移動させることが可能である。或いは、基板を固定して、好ましくはクランプ160により、機械的運動手段をコーティング装置に取り付けることによって、コーティングアセンブリを移動させるようにすることも可能である。第3の可能性として、基板とコーティング装置の双方を実際に動かす方法も考えられる。これら3つのすべての可能性は、コーティング装置100に対する基板の動きへの言及において包含されることを理解されたい。
追従アセンブリ110は、図1および図2に示すように、塗布器120に取り付けられている。追従アセンブリ110は、基板105に対して塗布器120を配置する手段を提供する。移動は、通常、ステッピングモータを有するウォーム機構を使って行われる。しかしながら、本発明の実施形態は、この種の機構に限定されるものではない。必要な速度で、基板105に対してコーティング装置100を円滑に確実に移動させることができる任意の手段を用いることが可能である。最適な相対速度は、個々のコーティング液のレオロジー特性を考慮して選択する必要がある。
コーティング装置100の2番目に重要なアセンブリは塗布器120である(図1ではコーティング装置100全体の一部として示され、図3および図4ではそれ自体が示されている)。この塗布器120は、(i)少なくとも2つの縦方向のレール220A,220Bを有する。レール220A,220Bの下部は、接触面225A,225Bに沿って、基板105と接触する。接触面225A,225Bは、レール220A,220Bの全体の幅よりも狭く、よってレールオフセット230A,230Bが形成される。これらレールオフセット230A,230Bの上面は、接触面225A,225Bから距離D1(図4)の位置にある。また、レールオフセットは、水平方向の寸法D2(図4)を有している。距離D1およびD2は、望ましくは、0.02〜0.5インチである。
レールオフセット230A,230Bは、コーティング液108がレール220A,220Bの各々に面する平面シヤー面250の各縁から漏れ出そうとする移動を妨げ、これにより、コーティング液108は、毛細管作用によってそれらの縁にぴったりついて、接触面225A,225Bと基板105の間の界面に到達しない。コーティング液が少しでも接触面の下に入ると、基板105の表面を正確に辿る塗布器120の性能が低下し、したがって、形成されるコーティング109の品質が低下する。
別の方法では、ブリッジ210の各側部内に同等のオフセットを形成することが可能である。ブリッジ内に位置するオフセットは、図4に示されるオフセットと全く同じように機能する。
レールウェッジ面235A,235Bは、各レールの上部に沿ってそれぞれ配置されている。この面は、接触面225A,225Bに対して傾斜している。この角度は、“a”として示され、望ましくは1分から60分の範囲内である。
(ii)クランプ200は、2つの主な機能を持つように構成されている。第1の機能は、ブリッジ210とレール220A,220Bをしっかりと保持することである。ブリッジ210は、レール220A,220B間に取り付けられている。レール220A,220Bは、クランプ接触面285A,285Bと接触している。ブリッジ210は、2つのレール間に配置されている。すべてのクリアランスは、レールとブリッジがきっちり納まるが、クランプ200内で調節可能であるようになっている。レールとブリッジが(後述するように)適切に配置されると、それらはクランプ200内でしっかりと締め付けられる。これは、クランプネジ260をネジ穴263にねじ込んで、クランプネジ260がクランプ屈曲部材280を押圧することによってなされる。クランプスリット270は、クランプ屈曲部材280がレールおよびブリッジに対して付勢され得る程度に構造を弱め、このため、レールおよびブリッジが適当な位置でしっかり保持される。
(iii)ブリッジ210はT字型の構造を有し、各レールの内側平行面と上部レールウェッジ面235A,235Bとに沿ってレールと接触している。ブリッジ210は2つのブリッジウェッジ面240A,240Bを有し、それらはレールウェッジ面235A,235Bと接触する面となっている。ブリッジウェッジ面240A,240Bは、レールウェッジ面235A,235Bと同じ傾斜を有している。このため、2つのレールがブリッジに対して相対的に移動したときに、それらレールは、ブリッジの下側平坦面である平面シヤー面250に対して鉛直方向に導かれる。通常は、レールは、平面シヤー面250を僅かに超えて延びるように調整される。このため、塗布器アセンブリを基板105上に配置したときには、前記長さの違いによって、平面シヤー面250と基板105の間にギャップ237(図4、図5Aおよび図5C)が形成される。ギャップ237は、平面シヤー面の中間点から基板105まで測定した場合に、厚さdを有する。
なお、合わせ面として互いに対をなすブリッジウェッジ面240A/レールウェッジ面235A、ブリッジウェッジ面240B/レールウェッジ面235Bがそれぞれ同じ角度を有することは重要であるが、一方の組合せが他方の組合せと同じ角度を有することは重要ではないことに留意されたい。
塗布器アセンブリ全体が2つのレール上で基板に乗るため、平面シヤー面250は基板105の表面上に配置されることとなる。このギャップは、コーティング109の厚さを制御する。
ブリッジ212(図4)の幅は、コーティングの必要幅によって決まり、一方、シヤー領域217(図5)の長さは、コーティング液のレオロジー特性と、基板105と平面シヤー面250間の相対速度とに一部基づくものになる。シヤー領域217の伸長した長さは、意義ある特徴部分であり、様々な特性を持つコーティング液108に塗布器アセンブリを適合させる重要な手段を提供する。
ブリッジの前面247には、平面シヤー面250に向かう、滑らかで連続的に湾曲した遷移面245が設けられ、この遷移面245は、コーティング液108をギャップに均一に引き入れて、平面シヤー面250の下に均等に拡散させるのに十分なサイズの曲率半径Rを有する。半径Rの大きさは、コーティング液108のレオロジー特性と、基板105と平面シヤー面250間の相対速度とに一部基づくものであり、通常は50ミクロンより大きくなる。滑らかに屈曲した遷移面は、この実施形態では、1/4半径円として示されているが、遷移面は円形である必要はなく、溶液の仕様の特性に応じて、その他の形状や曲率を採用することも可能である。
シヤー領域217は、遷移面245が平面シヤー面250と出会う位置から後縁部255まで延びている。
平面シヤー面250は、滑らかな後端面248と鋭角θで交わり(図5A、5Bを参照)、約90度の後縁255A(図5A)か、それより大きい尖った後縁(後縁255B、図5B)を形成する。このように、凹凸の無い尖った後縁255が、平面シヤー面250と滑らかな後端面248との間に存在することにより、後端面248への湿潤層の末端付着が回避される。
平面シヤー面250の面は、通常は、ベース面と平行になっている。しかしながら、コーティング液のレオロジー特性およびコーティングの必要なパラメータに応じて、平面シヤー面250は、ベース面に対して10〜30分の範囲内の角度β(図7)をなすように形成することができる(前縁は後縁より高くても低くても良い)。この角度を変えることによって、ギャップに横たわるコーティング液108上のシアー圧力の制御、塗布のモード変更、圧力の解放を行うことができる。平面シヤー面250とベース面とがなす角度は、通常は、ブリッジ210全体を置き換えることによって変更される。
平面シヤー面250は平らで、鏡のような表面を有し、面全体に亘って1〜3波長(0.3〜1ミクロン)以内に平坦化されている必要がある。
平面シヤー面250と基板105の間のギャップ237は、一般に、約0〜約100ミクロンの範囲内の厚さdを有する。ギャップ237の厚さdは、ブリッジ210に対してレールを正確にシフトさせることによって変えることができる。クランプやブリッジの奥行きよりもレールは長いため、レールはその長さ方向に沿って任意の位置に配置することができる。しかしながら、ブリッジ210は、一般に、クランプ200内で、その前後方向の中心に置かれる。ウェッジ角aは、円滑な制御と、必要な精度(一般に、約20nm)でギャップ厚さの正確な設定を提供する必要がある。塗布するコーティングのパラメータおよび/または厚さを変える必要があるときは、塗布器120をコーティング装置100から取り外して、接触面225A/225Bと平面シヤー面250を上に向けた状態で、塗布器120を上下逆さまにして配置する。
最初に、レールを、接触面225A/225Bと平面シヤー面250がすべて同一平面上に配置されるように調整する。その後、ウェッジ角aは既知であるため、レール220A/220Bをブリッジに対して相対的に正確な距離移動し、これにより、接触面225A/225Bによって形成される平面と平面シヤー面250との距離において望ましい変位とする。
実際のギャップ距離は、平面シヤー面250と、テストで使用される接触面225A/225B上のガラス板との間の光線の多重反射により発生する干渉縞を測定することによって、測定され確認される。
可能性のある別の一実施形態(図7)では、ブリッジ210は2つのウェッジ状の構成要素(215,216)からなり、これらは滑り面に沿って相対的に移動可能であり、滑り面は、ベース面に対して、角度aよりも小さい角度γで傾斜している。このようなブリッジ210部材の構成は、ギャップ厚さdの追加的な微調整に便利である。
ブリッジ210のさらに別の実施形態では、ブリッジ210を構成する材料の一部または全部を実質的に透明とすることができる。
本明細書に示されるブリッジ210のほとんどの表現は、単一の一体型部材からなるブリッジを備えるものであるが、ブリッジ210が2または3以上の構成要素からなる場合も、それら部品の組立体が一体型ブリッジと同じ機能を与える限りは、本発明の範囲内に含まれる。
ブリッジウェッジ面とレールウェッジ面との間の接触部位は、一方で、塗布器アセンブリ120の信頼できる強固な構造を確保する必要があり、他方で、自由で高精度の相互移動を提供するものでなければならない。図8は、接触部分の4つの別の実施形態の断面図を示しており、それらは接触面の必要な品質と性能を付与することができる。しかしながら、可能性のある実施形態は、これらの変形例に限定されるものではなく、必要とされる物理的要求を満たすその他の構造も認められる。
本発明に係る液膜塗布器は、通常は、2つの同一のウェッジ状のレールを用いる。しかしながら、その他のウェッジ状のレール構成を組み込んだ実施形態も同様に可能である。
ブリッジとレール接触面の最低条件の概要描画は、図6に示されている。ブリッジ210Aとレール221A,221Bの間の最低限必要な接触は、線分TW1,TW2として示されている。同様に、レール221A,221Bと基板105の間の最低限必要な接触は、線分TS1,TS2として示されている。本明細書に含まれる接触面への言及および接触面間の接触への言及はすべて、表面間の接触の少なくとも1ラインを含むものであると理解されたい。本明細書に含まれる種々の実施形態において示されるように、接触面は平坦面として示されるが、それら接触面には、面どうしの接触の単一ラインが存在する限りにおいては、あらゆる構成が含まれるものであってもよい。
最良の塗膜は、追従アセンブリ110が基板全域で塗布器アセンブリ120を“引っ張る”ときに形成されるものであるが、Tz軸を中心に追従アセンブリ110を(追従部材140が内面147に取り付けられている図1の位置から)180度回転させて、追従部材140をクランプ200の外面145(図3)に取り付けることにより、追従アセンブリ110をクランプ200に取り付けることも可能である。そうすることにより、追従アセンブリ110が塗布器アセンブリ120を“押す”ことができる。このような構成によれば、追従アセンブリは、前述した3自由度に、塗布器アセンブリ120の動きを制御/制限することができる。なお、この構成のシステムにかける圧力は、屈曲部材150の座屈限界以下に維持しなければならないことに留意されたい。
[適用例]
光学的異方性の塗膜を形成するための望ましいコーティング液には、異方性粒子を含む液体コロイド系、具体的には、有機染料のリオトロピック液晶が含まれる。実施例では、インダンスロン(Vat Blue 4)、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸ジベンゾイミダゾール(Vat Red 14)、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸ジベンゾイミダゾール、キナクリドン(顔料 Violet 19)などの有機染料によって用意し、その他のそれらの誘導体または混合物の場合、安定したリオトロピック液晶相を形成することができる。
このような有機化合物が適切な溶媒に溶解したとき、コロイド系(液晶溶液)が生成され、ここでは、有機分子が結合してコロイド系の運動単位を示すcが形成される。液晶溶液は、好ましいコーティング液であり、この液晶溶液から、塗布、液晶溶液の方向付け、続く溶媒の除去の過程で、所望の異方性結晶膜(薄膜結晶とも呼ばれる)が形成される。
このコロイド系は、チキソトロピー特性を有する必要があり、これにより、外部作用を加えるようにすれば、設定温度での媒体の粘度および所与の分散相の濃度を変えることができる。この作用の形式および程度は、コロイド系の運動単位が必要な配向性を得て必要な塗膜の基本構造を形成するのに十分である必要がある。コーティング液に働く直接作用および湿膜の形成は、液膜塗布器(図3、120)により、当該塗膜塗布器が基板(105)に沿って動くに連れて行われる。液膜塗布器構成の特徴点により、この装置は材料構造に必要な方向付け作用を生成することができ、滑らかな表面を持つ所定の厚さの均一な湿潤層を形成することができる。
光学的異方性の塗膜は、例えば、異方性電磁気特性を有する鉄オキシ水酸化物または酸化バナジウムに基づき、無機のリオトロピック液晶を使って形成することもできる。
本発明の利用は、決して、異方性粒子を有するコロイド系および液晶に基づくコーティングの形成に限定されるものではない。このシステムを用いて、所与の基板の上にコーティングを形成することができる任意の液体に適用することもできる。
可能性のある基板材料は、プラスチック、ガラス、高分子フィルムを含むその他材料である。塗膜形成の前に通常は、基板は、その表面全体に亘って均一な親水性を付与するために、特定の手段(例えば、コロナ放電、界面活性剤など)によって処理される。基板ホルダを用いるようにしてもよい。基板ホルダは、通常は、真空テーブルであり、この真空テーブルは、塗布のあいだ基板が動かないように確実に保持するとともに、基板表面を水平に保つ。
当業者によって、本発明と同じ目的を達成する、上述した実施形態の多くの他の変形例が存在することが理解されるであろう。このような変形例は、本発明の範囲によって保護されることを意図している。本発明の実施形態の前記説明は限定することを意図している訳ではない。すなわち、添付の特許請求の範囲は、本発明の真の精神と範囲に含まれる本発明のすべての変形例を保護することを意図しているものである。

Claims (20)

  1. コーティング装置において、
    (a)追従アセンブリであって、
    留め具取付クランプを有し、1またはそれ以上の屈曲細片を固定的に受けるように適合された固定部材と、
    内側面、外側面および下面を有し、液膜塗布器および1またはそれ以上の屈曲細片を固定的に受けるように適合された追従部材とを備え、
    前記固定部材および前記追従部材の各々が内面および外面を有し、これら2つの内面が互いに対向し、各外面が互いに反対方向を向き、かつ
    1またはそれ以上の屈曲細片が、前記固定部材と前記追従部材の間に固定的に取り付けられ、前記追従部材が正逆のTz方向に移動自在であるとともに、Rx軸およびRy軸を中心に正逆両方向に回転自在に構成された追従アセンブリと、
    (b)液体コーティング塗布器とを備え、
    前記液体コーティング塗布器は、
    左右の縦方向のサイド部材であって、各々がウェッジ状レールの形態をなし、各サイド部材は上面とベース面とを有し、2つの前記サイド部材のベース面が基平面を構成し、前記左のサイド部材の上面が前記左のサイド部材のベース面に対して角度アルファ−Lをなし、前記右のサイド部材の上面が前記右のサイド部材のベース面に対して角度アルファ−Rをなすように構成されたサイド部材と
    平坦シアー面、前面、後面、後縁および遷移面を有するブリッジであって、左右のブリッジウェッジ面を有し、前記左のブリッジウェッジ面が前記平坦シアー面に対して角度アルファ−Lをなし、前記右のブリッジウェッジ面が前記平坦シアー面に対して角度アルファ−Rをなすように構成されたブリッジと
    前記ブリッジおよび前記サイド部材の各々を調整可能かつ安定的に固定するのに適合されたクランプ部材であって、前記ブリッジが2つの前記サイド部材の間に配置され、各レールのベース面および前記ブリッジの前記平坦シアー面がほぼ同一平面になり、前記基平面から前記平坦シアー面の中間点までの距離dが約0ミクロンより大きいか等しくなるように構成され、前記左右のサイド部材の上面の各々が前記左右のブリッジウエッジ面の一つとそれぞれ接触するように構成されたクランプ部材とを備え
    前記クランプ内に前記サイド部材と前記ブリッジを固定する前に、前記ブリッジに対して前記サイド部材を再配置することによって距離dを変えることが可能であり、
    コーティング液を基板上に配置し、前記基板が前記ブリッジの前面に向かって動くように前記液体コーティング塗布器と前記基板とを互いに相対的に移動させたときに、液体コーティングが前記基板上に形成され
    前記追従部材の外面が前記クランプの一側に取り付けられ、前記追従部材の下面が前記基平面よりも高く、
    前記コーティング装置が基板に対して相対的に動かされたときに、前記液体コーティング塗布器が前記基板の表面における変化に追従することを特徴とするコーティング装置
  2. 前記平坦シアー面が、その表面に亘って可視光の1〜3波長の範囲内に平坦化されていることを特徴とする請求項1に記載のコーティング装置
  3. 前記遷移面が、前記ブリッジの前記前面と前記ブリッジの前記平坦シアー面とを繋ぐ曲面であることを特徴とする請求項1に記載のコーティング装置
  4. 前記遷移面が、少なくとも50ミクロンの半径を有することを特徴とする請求項3に記載のコーティング装置
  5. 前記ブリッジが、合わせ面を有する上部ブリッジ部材と下部ブリッジ部材とを備え、前記合わせ面が、前記平坦シアー面に対して角度ガンマをなすことを特徴とする請求項1に記載のコーティング装置
  6. 前記角度ガンマが、前記角度アルファ−Lまたは前記角度アルファ−Rと同じかそれ未満であることを特徴とする請求項5に記載のコーティング装置
  7. 前記平坦シアー面が、前記基平面に対して2度未満の角度を形成することを特徴とする請求項1に記載のコーティング装置
  8. 前記平坦シアー面が、前記基平面に対して10分未満の角度を形成することを特徴とする請求項7に記載のコーティング装置
  9. 前記平坦シアー面が、前記基平面と平行であることを特徴とする請求項8に記載のコーティング装置
  10. 前記角度アルファ−Lが前記角度アルファ−Rと同じであることを特徴とする請求項1に記載のコーティング装置
  11. 前記距離dが約0〜約100ミクロンの範囲内で調整可能であることを特徴とする請求項1に記載のコーティング装置
  12. 前記後面が前記平坦シアー面に対して少なくとも約90度の角度をなすことを特徴とする請求項1に記載のコーティング装置
  13. 前記後面が前記平坦シアー面に対して約90度〜約135度の範囲内の角度をなすことを特徴とする請求項1に記載のコーティング装置
  14. 前記シアー領域の長さが約0.25インチから約2インチの範囲内であることを特徴とする請求項1に記載のコーティング装置
  15. 前記シアー領域の長さがdより大きいことを特徴とする請求項1に記載のコーティング装置
  16. 前記縦方向のサイド部材が互いに平行であることを特徴とする請求項1に記載のコーティング装置
  17. 前記縦方向のサイド部材の各々の下面にオフセットをさらに備え、前記オフセットが、コーティング液の毛細管クリープ(capillary creep)を最少化するために最適な水平および鉛直寸法を有することを特徴とする請求項1に記載のコーティング装置
  18. 前記ブリッジの左右の下面にオフセットをさらに備え、前記オフセットが、コーティング液の毛細管クリープを最少化するのに最適化された水平および鉛直寸法を有することを特徴とする請求項1に記載のコーティング装置
  19. 前記ブリッジの前面が前記追従部材の外面と直接対向するように、前記追従部材の外面が前記クランプの一側に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載のコーティング装置。
  20. 前記ブリッジの後面が前記追従部材の外面と直接対向するように、前記追従部材の外面が前記クランプの一側に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載のコーティング装置。
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