JP5351795B2 - 耐候性に優れた高強力繊維および繊維構造体 - Google Patents
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Description
本発明の高強力繊維(A)としては、強度および耐候性に優れる観点からサーモトロピック液晶ポリマー繊維が挙げられ、その強度としては15cN/dtex以上であることが好ましい。
50≦(融点との温度差)×(加熱時間)/(単繊維繊度)≦100
程度の熱処理により、本発明で規定する特定の高強力ポリエステル繊維およびポリエステルアミド繊維を得ることが可能となる。
次に、本発明で用いる顔料微粒子(B)としては、水および水性溶媒に分散する顔料微粒子であって、有機顔料または比重2.0以上の無機顔料で構成されているものが挙げられる。
また有機顔料としては、モノアゾ顔料、レーキ顔料、ジスアゾ顔料、縮合アゾ顔料等のアゾ系顔料;イミダゾロン黄、イソインドリノン黄、イソインドリン黄、キノフタロン黄、ピラゾロン黄、フラバトロン黄、アントラキノン黄、イミダゾロン橙、ジケト−ピロロ−ピロール橙、ピラゾロン橙、ピランスロン橙、アントラキノン橙、ペリノン橙、ペリレン橙、キナクリドン橙、アントラキノン赤、キナクリドン赤、ジケト−ピロロ−ピロール赤、ペリレン赤、インジゴイド赤、アントラキノン紫、オキサジン紫、キナクリドン紫、ペリレン紫、インジゴイド紫、イミダゾロン紫、キサンテン紫、カルボニウム紫、ビオランスロン紫、フタロシアニン青、アントラキノン青、インジゴイド青、カルボニウム青、フタロシアニン緑、ペリレン緑、ニトロソ緑、カルボニウム緑等の多環式系顔料等が挙げられる。
本発明で用いられるバインダー樹脂(C)は、本発明の目的を満足するものであれば特に制限はなく、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン系樹脂(例えば、エステル系ポリウレタン、ラクトン系ポリウレタン、エーテル系ポリウレタン、カーボネート系ポリウレタンなど)、およびアクリル系樹脂(例えば、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル等のアクリル又はメタクリル樹脂の単独又は共重合樹脂など)などを挙げることができる。なかでも、全芳香族ポリアミド繊維、全芳香族ポリエステル繊維、および全芳香族ポリエステルアミド繊維との接着性を考慮した場合、ポリウレタン系樹脂もしくはアクリル系樹脂であることが好ましい。
また、コーティング加工において、バインダー樹脂(C)を微分散液として使用する場合、バインダー樹脂の平均分散粒子径は250nm以下であることが好ましい。
本発明の耐候性高強力繊維は、高強力繊維(A)から形成され、前記高強力繊維(A)表面に、特定の顔料微粒子(B)およびバインダー樹脂(C)とを含む層がコーティングされている。
本発明の耐候性繊維集合体は、第一の形態として、前記耐候性高強力繊維から形成された繊維集合体を例示できる。
このような繊維集合体では、前記耐候性高強力繊維を用いて、撚糸工程を経ることにより、ロープやコード、ネット等として、有効に利用できる。または、耐候性高強力繊維を用いて、通常の織編工程を経ることにより、織編物などの耐候性繊維集合体としてもよい。
JIS L 1013に準じ、試長20cm、初荷重0.1g/d、引張速度10cm/minの条件で破断強度を求め、5点以上の平均値を採用した。
コーティング加工における熱処理後、樹脂・顔料微粒子のガイド・ロール等への付着状態を目視観察し、次の基準で耐脱落性を評価した。
◎:脱落なく極めて良好
○:わずかに脱落見られるも良好
△:コーティングは可能であったが顔料微粒子の脱落がみられた
×:脱落が激しくコーティング困難
高強力繊維をサンシャインウェザーメーターで200時間照射後、強度保持率を測定した。
p−アセトキシ安息香酸70モルおよび6−アセトキシ−2−ナフトエ酸30モルから全芳香族ポリエステルを得た。このポリマーの融点は280℃であった。該ポリマーを、ノズル径0.1mmφ、ホ−ル数300個の口金より、紡糸温度315℃、紡糸速度1000m/minで溶融紡糸し、1670dtex/300fのフィラメントを得た。得られた紡糸原糸の強度は8.5cN/dtexであった。
この紡糸原糸を260℃で2時間、280℃で12時間熱処理した。得られた熱処理糸の強度は26cN/dtexであった。
上記繊維について耐候性評価を行ったところ、強度保持率98%と良好な結果を示した。
実施例1と同様の方法で熱処理糸を採取し、平均粒子径98nmの酸化第二鉄(赤)およびポリウレタン樹脂分散液をディップ−ニップ方式にて付着させるに際し、表に示す付着量になるようコーティング濃度・回数を調整して処理を行った。
得られたコーティング糸の顔料微粒子およびバインダー樹脂の付着量、厚み、および耐候性評価結果を同じく表に示す。
実施例1と同様の方法で熱処理糸を採取し、表に示す平均粒子径の酸化第二鉄(赤)を用いる以外は実施例1と同じ方法・条件でコーティングを行った。
得られたコーティング糸の顔料微粒子およびバインダー樹脂の付着量、厚み、および耐候性評価結果を同じく表に示す。
実施例1と同様の方法で熱処理糸を採取し、表に示す種類および平均粒子径の微粒子顔料を用いる以外は実施例1と同じ方法・条件でコーティングを行った。なお、実施例9で用いた亜鉛(黄)の比重は3.4g/cm3である。
得られたコーティング糸の顔料微粒子およびバインダー樹脂の付着量、厚み、および耐候性評価結果を同じく表に示す。
実施例1と同様の方法で熱処理糸を採取し、バインダー樹脂としてポリアクリル酸エチルを用いる以外は実施例1と同じ方法・条件でコーティングを行った。
得られたコーティング糸の顔料微粒子およびバインダー樹脂の付着量、厚み、および耐候性評価結果を同じく表に示す。
p−アセトキシ安息香酸60モル、6−アセトキシ−2−ナフトエ酸4モル、テレフタル酸18モル、4−4’−ビスフェノ−ル14モル、およびp−アミノフェノ−ル4モルから全芳香族ポリエステルアミドを得た。このポリマーの融点は340℃であった。該ポリマーを、ノズル径0.1mmφ、ホ−ル数300個の口金より、紡糸温度360℃、紡糸速度1000m/minで溶融紡糸し、1670dtex/300fのフィラメントを得た。得られた紡糸原糸の強度は7.9cN/dtexであった。
上記高強力繊維を用い、実施例1と同じ方法・条件でコーティングを行った。
得られたコーティング糸の顔料微粒子およびバインダー樹脂の付着量、厚み、および耐候性評価結果を同じく表に示す。
p−フェニレンジアミン50モルおよびテレフタル酸50モルからポリ(p−フェニレンテレフタルアミド)を得た。該ポリマーを濃硫酸に溶かして濃度20%の溶液を作製し、ノズル径0.06mmφ、ホ−ル数1000個の口金より、温度80℃で紡糸、温度4℃の水中で凝固させ、水酸化ナトリウムで中和、さらにホットローラーで乾燥することにより、1670dtex/1000fのフィラメントを得た。得られた繊維の強度は20.9cN/dtexであった。
得られたコーティング糸の顔料微粒子およびバインダー樹脂の付着量、厚み、および耐候性評価結果を同じく表に示す。
実施例1と同様の方法で熱処理糸を採取し、この熱処理糸からなる織物を作製した。
上記高強力繊維織物を縦50cm、横30cmに切り出し、実施例1と同様の分散液をディップ−ニップ方式で付着させ、熱風乾燥機にて80℃で2分間乾燥し、さらに170℃で2分間熱処理を行った。
得られたコーティング織物の顔料微粒子およびバインダー樹脂の付着量、厚み、および耐候性評価結果を同じく表に示す。
耐候性評価について、強度保持率95%と良好な結果を示した。
実施例1と同様の方法で熱処理糸を採取し、コーティングを行わず、そのまま耐候性評価結果を行った。結果を表に示す。
強度が大きく低下し、強度保持率60%との結果であった。
実施例1と同様の方法で熱処理糸を採取し、エステル系ポリウレタン樹脂のみ10%分散させた液を用いる以外は、実施例1と同じ方法・条件でコーティングを行った。
得られたコーティング糸のバインダー樹脂の付着量、厚み、および耐候性評価結果を同じく表に示す。
バインダー樹脂でコーティングした場合であっても、比較例1と同じく強度が大きく低下し、強度保持率65%との結果であった。
実施例1と同様の方法で熱処理糸を採取し、表に示す平均粒子径の酸化第二鉄(赤)を用いる以外は実施例1と同じ方法・条件でコーティングを行った。
得られたコーティング糸の顔料微粒子およびバインダー樹脂の付着量、厚み、および耐候性評価結果を同じく表に示す。
比較例1、2に比べて強度低下がわずかに抑えられたものの、強度保持率はおよそ70%であり、十分な耐候性改善には至らなかった。
実施例1と同様の方法で熱処理糸を採取し、微粒子顔料として平均粒子径84nmのカーボンブラックを用いる以外は実施例1と同じ方法・条件でコーティングを行った。
得られたコーティング糸の顔料微粒子およびバインダー樹脂の付着量、厚みおよび耐候性評価結果を同じく表に示す。
このコーティング糸では、耐候性については満足のいく結果であったが、ガイド・ロールへのカーボン付着がみられたため、顔料微粒子の耐脱落性の面では、改造の余地があると考えられる。
Claims (8)
- 高強力繊維表面に平均粒子径10〜250nmの顔料微粒子とバインダー樹脂とを含む層がコーティングされ、前記顔料微粒子は、有機顔料または比重2.0以上の無機顔料で構成されている耐候性高強力繊維であって、前記高強力繊維がサーモトロピック液晶ポリマー繊維である耐候性高強力繊維。
- 高強力繊維(A)、顔料微粒子(B)、バインダー樹脂(C)が(A)/(B)/(C)=100/0.1〜20/1〜50の重量比率で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の耐候性高強力繊維。
- 顔料微粒子(B)とバインダー樹脂(C)とを含む層の厚みが1〜50μmである、請求項1また2に記載の耐候性高強力繊維。
- バインダー樹脂(C)がポリウレタン系樹脂もしくはアクリル系樹脂である請求項1〜3のいずれかに記載の耐候性高強力繊維。
- 顔料微粒子の平均粒子径が、10〜98nmである請求項1〜4のいずれかに記載の耐候性高強力繊維。
- サーモトロピック液晶ポリマー繊維が、全芳香族ポリエステル繊維または全芳香族ポリエステルアミド繊維である請求項1〜5のいずれかに記載の耐候性高強力繊維。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の耐候性高強力繊維からなる耐候性繊維構造体。
- 高強力繊維から形成された繊維構造体であって、その表面に平均粒子径10〜250nmの顔料微粒子とバインダー樹脂とを含むコーティング層を備えており、前記顔料微粒子は、有機顔料または比重2.0以上の無機顔料で構成されている耐候性繊維構造体であって、高強力繊維がサーモトロピック液晶ポリマー繊維である耐候性繊維構造体。
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