JP5351399B2 - ソックフィルター - Google Patents

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本発明は、空調設備において室内のエアの吹出し口に設けられるソックフィルターに関する。
従来の空調設備では、室内のエアの吹出し口付近だけ直接に冷気等があたって人に不快感を生じさせたり、室内温度にむらを生じやすいという問題点があった。また、食製品の表面が乾燥したり、塵や埃が舞う等の問題点があった。
このような問題点を解消するため、特許文献1に記載されているように、ソックフィルター(ソックダクト、ソックスダクトとも呼ばれる。)をエアの吹出し口に取り付けることが行われている。
上記ソックフィルターは、布地や不織布を素材とし、先端が閉塞された円筒状の袋体に形成され、その開口部側をエアの吹出し口に取り付けるとともに、全体を天井部から吊り下げることにより使用される。開口部側から冷気や暖気を圧力をかけてソックフィルター内へ送り込み、ソックフィルターの全表面からエアを放出させることにより、風を感じにくく、快適で温度むらの少ない室内環境が得られ、また、食製品の乾燥が防止され、塵や埃も捕捉されて衛生的であるという効果が得られる。
特開2000−230746号公報
しかし、従来のソックフィルターは、空調機の使用時にはソックフィルターに内圧がかかっているためピンと張って膨らんだ筒状であるが、空調機を使用しないときは、ソックフィルターに内圧がかかっていないため、ソックフィルターが弛緩して萎んでしまい、外観上きわめて体裁が悪いという問題があった。
また、空調機停止時に内圧がかからなくなると、稼動時の断面円形が萎んで上下方向に細長い扁平な断面形状となり、ダクトの内面全体に付着した埃が落ちて最も窪んだ底部に溜まる。これを毎日繰り返すことにより、部分的に埃の層が厚くなり、細菌が発生しやすい環境を形成することとなり、衛生上好ましくないという問題があった。
また、ソックフィルターの材質は合成繊維製不織布や綿布、織布等の空気の流通する孔があるものを使用しており、可燃性であり、建築基準法上その使用範囲が限定されていた。
本発明は、上記のような従来技術における問題点を考慮してなされたものであり、空調機の使用時、停止時を問わず常時外観に優れ、また不燃性で使用範囲も制限されにくいソックフィルターを提供することを目的とする。
本発明は、上記目的を達成するためになされたものであり、
一端が閉塞され、他端に開口部を備えた、筒状の可撓性フィルター本体と、通気性を有する不燃性の形状保持部材とを備え、該形状保持部材は、孔を完全に打ち抜かないスリットグリル形状又は鎧戸形状のパンチングメタルからなり、前記可撓性フィルター本体の外面のみのほぼ全体を覆う、ソックフィルターである。
本発明に係るソックフィルターによれば、空調機を使用せずソックフィルターに内圧がかかっていないときでも、可撓性フィルター本体の外面のみのほぼ全体を覆う、通気性を有する不燃性の形状保持部材によって、空調機使用時と同等のソックフィルターの外観が維持され、美麗で極めて体裁がよく、常時外観に優れる。また、可撓性フィルター本体の外面のみのほぼ全体を覆う、通気性を有する不燃性の形状保持部材によって、建築基準法による使用範囲の制限もされにくく、使用範囲の拡大を図りやすい。
また、形状保持部材を設けたので、形が崩れず、天井から吊り下げるほかに、壁際等に柱状に立設するのにも適しているという利点があり、暖房する場合に部屋を均一に優しく暖めることができる。
また、本発明に係るソックフィルターによれば、可撓性フィルター本体の外面が不燃性の形状保持部材によって覆われるため、輸送・運搬時、使用時において可撓性フィルター本体の損傷が防がれるという利点がある。さらに、可撓性フィルター本体が直接に吊り下げられるものではないため、可撓性フィルター本体への荷重負担がなく、型崩れを防止するとともに耐久性を向上させることができる。
本発明の実施例を挙げ、図面を参照して説明するが、本発明は以下の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲で種々の変形、付加等が可能である。
図1は実施例のソックフィルター1を示すもので(a)は先端側から見た正面図、(b)は側断面図、図2は他の実施例のソックフィルター1の側断面図を示すもので(a)は先端側から見た正面図、(b)は側断面図である。
図1に示すソックフィルター1は、可撓性フィルター本体10と、該可撓性フィルター本体10の外面のほぼ全体を覆う、通気性を有する不燃性の形状保持部材20とを備えたものである。
可撓性フィルター本体10は、一端(先端部12)が閉塞され、他端に開口部11を備えた筒状をなし、可撓性を有するものである。一般に容易に折り畳める程度の可撓性を有している。図示の例では円筒形に形成されているが、その断面形状は任意である。
可撓性フィルター本体10は、通気性を有し、塵や埃を捕集する機能を備えたものであり、材質は特に制限されない。公知の各種素材を使用することができる。例えば、合成繊維製不織布や、綿布、織布、編布その他の各種布地を用いて構成される。可撓性フィルター本体10は、単層であってもよいし、複数層積層したものであってもよい。通常、長手方向における周面が主な通気部となるので、閉塞された先端部12は、必ずしも通気性を有する素材でなくてもよい。
可撓性フィルター本体10の通気量や不織布を用いた際の目付量等は、必要に応じて選択することができる。通気量は、JIS L 1096に基づいて測定したとき、3〜500cc/cm2 ・secの範囲のもの、より望ましくは5〜100cc/cm2 ・secの範囲のものが好適な一例として挙げられる。
また、例えば、特許第3275765号公報に記載されているような、可撓性フィルター本体が、メルトブロー不織布とスパンボンド不織布の積層体であって、該メルトブロー不織布が、JIS L 1096に基づいて測定したとき、5〜100cc/cm2 ・ secの通気量を有し、かつ、0.1d以下の平均繊維径を有する目付200g/m2 以下のシートであるものが、好ましく用いられる。この場合、該メルトブロー不織布および該スパンボンド不織布の少なくとも一方は、ポリプロピレンを素材としたものが好ましい。ポリプロピレン等を用いた不織布は、一般に軽量化が可能であり、使い捨てタイプとして構成するのによい。
また、ポリエステル繊維を用いた不織布や綿布等も好適に用いられる。このような素材は、汚れた場合に洗濯をして繰り返し使用ができるので経済的である。
可撓性フィルター本体10には、抗菌・消臭機能を付加したものを用いることができる。可撓性フィルター本体10に抗菌・消臭加工を施すことにより衛生面の性能が向上し、さらなる使用範囲の拡大を図ることができる。
抗菌性を付与する方法としては、抗菌剤を練り込んで製造された合成繊維素材を用いた可撓性フィルター本体を使用し、又は、スプレー法、ティッピング法、コーティング法等の後加工法によって繊維に抗菌剤を固定化してなる可撓性フィルター本体を使用し、あるいは、これらの可撓性フィルター本体(シート)と既存の可撓性フィルター本体とを組み合わせて使用することができる。
可撓性フィルター本体10の外面には、そのほぼ全体を覆うように、通気性を有する不燃性の形状保持部材20が設けられている。
図1に示す例では、不燃性の形状保持部材20は、両端が開口した筒状体に形成され、可撓性フィルター本体10の開口部11及び先端部12を除く外周面ほぼ全体を覆うように設けられている。勿論、先端部12部分も覆うように構成してもよい。両端が開口した筒状体に形成することによりその製作が簡単となる。
不燃性の形状保持部材20は、可撓性フィルター本体10の形状及び寸法に適合する形状及び寸法を有している。図示の例では、可撓性フィルター本体10の円筒形状に合わせて、円筒形に形成されているが、可撓性フィルター本体の形状(通気部の主要部)に合わせて、楕円、半円、矩形その他の角型等の適宜形状に形成することができる。
不燃性の形状保持部材20は、通気性を有するとともに、空調機による風圧によって変形することのない剛性を有するものであり、金網(金属製メッシュ)やパンチングメタル等の金属製素材が好適に用いられる。
不燃性の形状保持部材20は、金網を用いる場合、その線径は特に限定されないが、2mmφ〜0.05mmφのものが好適であり、また、開孔率は10〜80%、好ましくは20〜60%である。
パンチングメタルを用いる場合、その板厚は0.1〜1.5mmのものが好適であり、孔の大きさは0.1mmφ〜1.5mmφ、好ましくは0.1mmφ〜0.8mmφであり、また、開孔率は10〜80%、好ましくは20〜60%である。
なお、パンチングメタルとしては、孔を完全に打ち抜かないスリットグリル形状・鎧戸形状等の特殊パンチングメタルを用いることもできる。
ソックフィルター1の製造に際しては、可撓性フィルター本体10を、不燃性の形状保持部材20内に挿入することにより簡単に製造することができる。必要に応じて、可撓性フィルター本体10と、不燃性の形状保持部材20とを適宜箇所において接着等の手段により接合してもよい。
ソックフィルター1の設置にあたっては、可撓性フィルター本体10の先端部12と反対側に位置する開口部11側において、空調機のエア吹出し口(図示省略)に気密に装着し、長手方向(軸方向)を水平に配置し、形状保持部材20の長手方向に適宜間隔をおいて設けた吊下具(図示省略)を介して天井又は天井に設置されたレール等の取付部に取り付ける。エア吹出し口への装着にあたっては、固定バンドその他の連結具を適宜使用すればよい。
上記ソックフィルター1によれば、空調機を使用せずソックフィルターに内圧がかからずに可撓性フィルター本体10が弛緩して萎んでも、その外面のほぼ全体を覆う形状保持部材20があるため、空調機使用時と同等のソックフィルターの外観が維持され、美麗で極めて体裁がよく、常時外観に優れる。
また、可撓性フィルター本体10の外面が不燃性の形状保持部材20によって覆われるため、輸送・運搬時、使用時において可撓性フィルター本体10の損傷が防がれるという利点がある。さらに、可撓性フィルター本体10が直接に吊り下げられるものではないため、可撓性フィルター本体10への荷重負担がなく、型崩れを防止するとともに耐久性を向上させることができる。
図2に示すソックフィルター1は、可撓性フィルター本体10と、該可撓性フィルター本体10の内面のほぼ全体を覆う、通気性を有する不燃性の形状保持部材20とを備えたものである。
可撓性フィルター本体10の内面には、そのほぼ全体を覆うように、通気性を有する不燃性の形状保持部材20が設けられている。
図2に示す例では、図1に示したものと同様、不燃性の形状保持部材20は、両端が開口した筒状体に形成され、可撓性フィルター本体10の開口部11及び先端部12を除く内周面ほぼ全体を覆うように設けられている。先端部12部分の内面も覆うように構成してもよい。
不燃性の形状保持部材20は、可撓性フィルター本体10の形状及び寸法に適合する形状及び寸法を有している。不燃性の形状保持部材20と可撓性フィルター本体10との遊び(クリアランス)はできるだけ小さくするとよい。
可撓性フィルター本体10及び不燃性の形状保持部材20の具体的構成は、図1の例で説明したものと共通するので、その説明を省略する。
上記ソックフィルター1の設置にあたっては、可撓性フィルター本体10の先端部12と反対側に位置する開口部11側において、空調機のエア吹出し口(図示省略)に気密に装着し、長手方向(軸方向)を水平に配置し、可撓性フィルター本体10の長手方向に適宜間隔をおいて設けた吊下具(図示省略)を介して天井又は天井に設置されたレール等の取付部に取り付ける。エア吹出し口への装着にあたっては、固定バンドその他の連結具を適宜使用すればよい。
上記ソックフィルター1によれば、空調機を使用せずソックフィルターに内圧がかからずに可撓性フィルター本体10が弛緩しても、その内面のほぼ全体を覆う形状保持部材があるため、可撓性フィルター本体10は萎むことがなく、空調機使用時と同等のソックフィルターの外観が維持され、美麗で極めて体裁がよく、常時外観に優れる。
また、可撓性フィルター本体10の内面が不燃性の形状保持部材20によって覆われるため、可撓性フィルター本体10にエアが直接当らないから、エアが直接衝突することによるダメージが緩和され、また、空調機使用時、停止時いずれにおいても、可撓性フィルター本体10の形状は殆ど変化しないため、収縮による型崩れ、損傷等を防止することができる。
実施例のソックフィルター1を示すもので(a)は先端側から見た正面図、(b)は側断面図である。 他の実施例のソックフィルター1の側断面図を示すもので(a)は先端側から見た正面図、(b)は側断面図である。
符号の説明
1 ソックフィルター
10 可撓性フィルター本体
11 開口部
12 先端部
20 形状保持部材

Claims (1)

  1. 一端が閉塞され、他端に開口部を備えた、筒状の可撓性フィルター本体と、通気性を有する不燃性の形状保持部材とを備え、該形状保持部材は、孔を完全に打ち抜かないスリットグリル形状又は鎧戸形状のパンチングメタルからなり、前記可撓性フィルター本体の外面のみのほぼ全体を覆う、ソックフィルター。
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