JP5349253B2 - 排熱回収システムおよび排熱回収方法 - Google Patents
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Description
一方、近年では環境対策の一つとして二酸化炭素(CO2)の低減化に関する要望が高まっており、これら塗装工場などにおいても、工場全体として省エネルギー化を実現することが急務となっている。
しかし、前記コージェネレーションシステムはガスエンジンなどによって発電を行うとともに、該ガスエンジンなどから放出された排ガスに含まれる熱を回収し、再び給湯や暖房などに利用するように構築されたシステムである。つまり、コージェネレーションシステムは、再利用を行う排熱の供給源として、ガスエンジンなどを必要とするシステムとなっている。このため、このようなコージェネレーションシステムは、前述した塗装工場などにおいて、脱臭装置より排出される高温の分解ガスから熱を回収するために用いることができない。
ここで、従来の排熱回収システムの一例について、図4を用いて概略説明する。
排熱回収システム200は、主に脱臭装置201や、排熱循環装置202や、排熱取出装置203などにより構成される。
また、排熱循環装置202は、前記熱回収コイル221や、複数の温水漕222・222や、これら熱回収コイル221と温水漕222・222との間に設けられる第一循環経路223などによって構成され、前記温水漕222・222は、排熱取出装置203・203を介して、例えば電着塗装ラインの前処理ラインに設けられる、化成槽204aや、脱脂槽204bなどからなる複数の被昇温対象物204・204に各々連通される。
つまり、温水は熱回収コイル221を通過することで、排出ガス用ダクト211内を流れる分解ガスの熱を受け取って昇温され、一旦温水漕222・222の内部に備蓄された後、必要に応じて化成槽204aや、脱脂槽204bに各々供給されるようになっている。
しかし、前記排熱回収システム200は、化成槽204aや、脱脂槽204bによって用いられる温水を、直接熱回収コイル221を介して昇温させる構成となっている。よって、排熱回収システム200における熱の回収は、分解ガスの排出時、即ち脱臭装置201の運転中に限定されることとなり、前記排熱回収システム200は、脱臭装置201の運転が停止している間、運転停止を余儀なくされるシステム構成となっていた。
また、第一循環経路223の一部が破損して、温水の漏水が発生した場合には、化成槽204aや、脱脂槽204bの槽内における温水の水量を保持することができなくなり、前記排熱回収システム200は、電着塗装ラインの前処理ラインに直接影響を与えるようなシステム構成となっていた。
先ず、本発明の一実施例に係る排熱回収システム100の全体的な構成について、図1を用いて説明する。
本実施例における排熱回収システム100は、脱臭装置1を利用した排熱回収システム100であって、脱臭装置1から排出された排ガス(以下「分解ガス」と記載する)より熱(排熱)を回収し、回収した熱により、熱媒体としての循環水を介して被昇温対象物4を昇温させるシステムである。
先ず、脱臭装置1について説明する。
脱臭装置1は、所謂既知のRTO(Regenerative Thermal Oxidizer)脱臭装置や直燃式脱臭装置などからなり、熱分解法によって揮発性有機化合物(VOC)を水と二酸化炭素とに分解することで脱臭を行う装置である。
なお、本実施例においてはRTO脱臭装置が設けられるが、これに限定されるものではなく、本発明に係る排熱回収システムおよび排熱回収方法を具現化する排熱回収システム100は、あらゆるタイプの脱臭装置を用いて構成可能なシステムである。
そして、悪臭物質(揮発性有機化合物)を含む排ガスは、吸気口を介して炉本体部の内部に供給されると蓄熱室に通され、蓄熱体に蓄えられている熱によって予熱される。
続いて、予熱された排ガスは燃焼室に通され、バーナーによって燃焼される。これにより、排ガス内の悪臭物質(揮発性有機化合物)は水と二酸化炭素とに分解される。
その後、悪臭物質(揮発性有機化合物)を取り除かれた分解ガスは、再び蓄熱室を通って蓄熱体に熱を与えた後、脱臭装置1の外部へと排気されるようになっている。
排出ガス用ダクト11は本流部11aと、該本流部11aの中途部に設けられるバイパス部11bとにより構成される。
つまり、本流部11aの内部において、バイパス部11bの分岐箇所11A近傍における下流側にはダンパー12が配設される。
例えば、排ガス用ダクト11の断面形状が矩形状である場合、該断面形状に即して形成される矩形状の枠体と、該枠体の内周部において回動可能に並設される複数の板状部材と、により、これらダンパー12・13を各々構成してもよい。
このような「全閉状態」から回動軸12bを中心として、ダンパー12を徐々に回動していくと、これに従い本流部11aの内部も徐々に開放されていく。
このような「全閉状態」から回動軸13bを中心として、これらダンパー13を徐々に回動していくと、これに従いバイパス部11bの内部も徐々に開放されていく。
排熱循環装置2は分解ガスより回収した熱を、循環水を介して蓄熱するための装置であり、熱回収コイル21や、蓄熱タンク22や、これら熱回収コイル21と蓄熱タンク22との間に設けられる第一循環経路23などにより構成される。
熱回収コイル21は、バイパス部11b内部の略中途部(バイパス部11bの内部において、分解ガスの流れ方向に対する略中途部)に配設されており、例えば連続的に繋がる複数本のヒートパイプを有して構成されている。前記各ヒートパイプには、それぞれ複数の板状部材からなる伝熱面(フィン)が固設される。
また、前記各ヒートパイプの一端部は第一循環経路23の送給経路23aと連通され、他端部は第一循環経路23の送還経路23bと連通される。
蓄熱タンク22は断熱部材などにより十分な保温対策が施され、該蓄熱タンク22内に備蓄される循環水の温度が、外気によって影響を受けないようになっている。
つまり、第一循環経路23は、熱回収コイル21と蓄熱タンク22とを接続し、前記循環水を前記熱回収コイル21と前記蓄熱タンク22との間で循環させるための循環経路として、これら前記熱回収コイル21と前記蓄熱タンク22との間に設けられる。
つまり、循環水は、第一循環経路23を介して蓄熱タンク22と熱回収コイル21との間を循環しながら、分解ガスの熱を回収するのである。
排熱取出装置3は、蓄熱タンク22内に備蓄される循環水を取り出し、取り出した循環水を循環させ、該循環水を熱媒体として被昇温対象物4を昇温するための昇温手段として具備される装置であり、熱交換器31や、第二循環経路32などにより構成される。
つまり、熱交換器31は既知のヒートパイプより形成され、その一端部が第二循環経路32の送給経路32aと連通され、その他端部が第二循環経路32の送還経路32bと連通されている。
熱交換器31内に流れ込んだ循環水は、熱を放出した後に送還経路32bから蓄熱タンク22へ送還される。
つまり、本実施例における排熱回収システム100は、従来の排熱回収システム200(図4を参照)のように、熱供給用として用いられる循環水を被昇温対象物4に対して直接供給するものではなく、被昇温対象物4内に貯溜される温水と、前記循環水とは独立した構成となっている。
制御装置5は、脱臭装置1の排出ガス用ダクト11や排熱循環装置2や排熱取出装置3などに関する排熱回収システム100全体の運転を、一括して集中管理するためのものである。
制御装置5には、複数の温度調整器51・52・53・54や、脱臭装置1と排熱循環装置2と排熱取出装置3との運転状態を表示するモニター部などが出力手段として接続され、さらにタッチパネルなどからなる入力手段が接続されている。
そして、脱臭装置1の運転(運転起動・運転停止)に関する制御は、生産ライン全体の運転に応じて単独で行うことができるように、ライン用制御装置は構成されている。
なお、脱臭装置1の運転状態は、ライン用制御装置によって温度調整器51に入力信号として送信される。
つまり、排出ガス用ダクト11内を通る分解ガスの流量と、第一循環経路23内を循環して前記分解ガスの熱を回収する循環水の流量と、第二循環経路32内を循環して外部に熱を取り出す循環水の流量とは、共通の制御装置5によって制御される。
即ち、これら温度調整器51・52・53・54を一つにまとめて制御装置5内に組み込んでもよく、脱臭装置1の排出ガス用ダクト11や排熱循環装置2や排熱取出装置3などの制御については、制御装置5によって直接行う構成としてもよい。
なお、本実施例における制御装置5は、主として小型コンピュータの一種であるPLC(Programmable Logic Controller)によって構成されるが、これに限定されるものではなく、例えばリレー回路を用いて構成されるものでもよい。
次に、排熱回収システム100における排熱循環装置2の運転方法について、図2を用いて説明する。
先ず、排出ガス用ダクト11内において、本流部11aに配設されるダンパー12を「全開状態」とし、バイパス部11bに配設されるダンパー13を「全閉状態」として(ステップS101)、脱臭装置1の運転を開始する。
そして、排熱循環装置2におけるポンプ24が作動すると(ステップS103)、蓄熱タンク22内に備蓄される循環水が熱回収コイル21に向かって圧送され、第一循環経路23を介して、蓄熱タンク22と熱回収コイル21との間における循環水の循環運転が開始される。
即ち、ポンプ24の運転に関する制御方法については、例えばより効率的に分解ガスの熱を回収するべく、該分解ガスの温度に応じて、ポンプ24により循環水の圧送量を調整したり、或いは開閉弁により循環水の流量を調整したりするような制御方法であってもよい。
なお、運転開始直後の脱臭装置1より排出される分解ガスの温度(Tg)は、大気の温度と略同等な低温であり、脱臭装置1の運転開始から時間が経過するに従い分解ガスの温度(Tg)は徐々に上昇する。
即ち、温度調整器51には予め設定された閾値としての温度(Ta)が記憶されており、該温度調整器51は、実際の分解ガスの温度(Tg)が、前記閾値としての温度(Ta)以上であるか否かを判定する(ステップS105)。
よって、本実施例において、前記閾値としての温度(Ta)は90℃に設定し、90℃以上の分解ガスによって、循環水は昇温される。
この際、分解ガスが熱回収コイル21を通過することで、分解ガスの熱は該熱回収コイル21を介して、排熱循環装置2内を循環する循環水に与えられる。つまり、分解ガスの熱を受け取ることで、循環水は昇温される。
即ち、温度調整器51には予め設定された閾値としての温度の範囲(循環水の目標温度である、85℃以上90℃以内)が記憶されている。そして、実際の循環水の温度(Tw)と、前記閾値としての温度範囲(85℃以上90℃以内)との温度差に基づいて、温度調整器51は、各ダンパー12・13の開度(回動軸12b・13bを中心とするダンパー12・13の回動角度)を算出する。
よって、分解ガスの熱によって昇温された循環水は、予め定められた閾値としての温度(循環水の目標温度である、85℃以上90℃以内)にまで到達すれば、その後、蓄熱タンク22によって効果的に該温度が保たれるのである。
次に、排熱回収システム100における排熱取出装置3の運転方法について、図3を用いて説明する。
なお、本実施例では、複数の被昇温対象物4・4・4としての湯洗槽4a、化成槽4b、脱脂槽4cに対して、各々排熱取出装置3・3・3を設けているが、これら排熱取出装置3・3・3の運転方法は全て同じである。よって、以下の説明においては、湯洗槽4aにおける排熱取出装置3の運転方法について記載し、他の化成槽4bと脱脂槽4cにおける排熱取出装置3の運転方法については省略する。
即ち、温度調整器53には予め設定された閾値としての温度(Tb)が記憶されている。そして、温度調整器53は、温水の温度(Tt)が、前記閾値としての温度(Tb)未満であるかどうかが判定される(ステップS202)。
前記電気信号を受信した温度調整器51は、制御装置5からの要求により前記電気信号を制御装置5に送信する。
そして、前記電気信号を受信した制御装置5は、前記電気信号を温度調整器53に送信する。
即ち、温度調整器53には予め設定された閾値としての温度(Tc)が記憶されている。そして、温度調整器53は、循環水の温度(Tw)が、前記閾値としての温度(Tc)以上であるか否かを判定する(ステップS204)。
これは、従来の経験などから、湯洗槽4a内に貯溜される温水を、例えば常温付近の温度から45℃近傍にまで昇温させるために必要な熱媒体(循環水)の温度は、70℃以上のものであればよいことが知られており、循環水が目標温度(略90℃)に到達するまで、排熱取出装置3による温水の昇温を行うことができないとする方が、排熱回収システム100全体として時間的・経済的に無駄が多いことによる。
即ち、第二循環経路32を介して、蓄熱タンク22と熱交換器31との間における循環水の循環運転が開始され、熱交換器31において、循環水を熱媒体として湯洗槽4a内の温水が昇温される。
即ち、ポンプ33の運転に関する制御方法は、例えばより効率的に湯洗槽4a内に貯溜される温水の温度(Tt)を昇温させるべく、該温水の温度(Tt)の温度に応じて、ポンプ33により循環水の圧送量を調整したり、或いは開閉弁により温水の流量を調整したりするような制御方法であってもよい。
即ち、蓄熱タンク22を所謂排熱のクッションタンクとして利用することで、生産ラインの稼働時においては、連続して排熱回収を行うことができる。
よって、効果的に排熱回収を行うことができ、循環水の温度を所定の温度に容易に保持することが可能となる。
つまり、本実施例における排熱回収システム100では、85℃以上90℃以内にまで昇温された循環水を熱交換器31内に流すことで、脱脂槽4cや化成槽4bや湯洗槽4aの内部に貯溜される温水を45℃近傍にまで昇温させることになる。
3 排熱取出装置(昇温手段)
4 被昇温対象物
4a 湯洗槽
4b 化成槽
4c 脱脂槽
5 制御装置
11 排出ガス用ダクト
11a 本流部
11b バイパス部
12 ダンパー(開閉弁)
13 ダンパー(開閉弁)
21 熱回収コイル
22 蓄熱タンク
23 第一循環経路
56 温度検出手段(第一温度検出手段)
57 温度検出手段(第二温度検出手段)
100 排熱回収システム
Claims (12)
- 脱臭装置を利用した排熱回収システムであって、
脱臭装置と、
前記脱臭装置に配設され該脱臭装置からの排ガスを外部に排出するための排出ガス用ダクト内に設けられる熱交換器と、
前記熱交換器内を流動して、前記排出ガス用ダクト内を通過する排ガスにより昇温される循環水と、
前記循環水を一時的に備蓄する蓄熱タンクと、
前記熱交換器と蓄熱タンクとを接続し、前記循環水を前記熱交換器と前記蓄熱タンクとの間で循環させるための循環経路と、
前記蓄熱タンク内の循環水を外部に取り出し、取り出した循環水を循環させ、該循環水の熱により被昇温対象物を昇温する昇温手段と、
前記循環水の温度が所定温度未満であるときに、前記被昇温対象物に高温蒸気を供給して、前記被昇温対象物を昇温させる蒸気供給経路と、
を備える、
ことを特徴とする、排熱回収システム。 - 前記排出ガス用ダクトは、
本流部と、
前記本流部の中途部で分岐するバイパス部と、
により構成され、
前記熱交換器は前記バイパス部内に設けられ、
前記本流部内における前記バイパス部の分岐箇所近傍の下流側と、
前記バイパス部内における前記本流部からの分岐箇所近傍とには、
前記本流部およびバイパス部の開閉量を調節可能な開閉弁を配設する、
ことを特徴とする、請求項1に記載の排熱回収システム。 - 前記蓄熱タンクには、内部に備蓄する循環水の温度を検出する第一温度検出手段を配設し、
前記第一温度検出手段により検出した温度に基づいて、前記開閉弁の開閉量を比例制御する、
ことを特徴とする、請求項2に記載の排熱回収システム。 - 前記被昇温対象物には、該被昇温対象物の温度を測定する第二温度検出手段が配設され、
前記第二温度検出手段により検出した温度が所定の温度になるように、前記昇温手段に循環させる循環水の流量を調整するとともに、
前記開閉弁、および前記循環経路内と前記昇温手段とを循環する循環水の流量は共通の制御装置によって制御される、
ことを特徴とする、請求項2、または請求項3に記載の排熱回収システム。 - 前記制御装置は表示パネルを具備し、
前記脱臭装置と前記開閉弁とに関する運転状況、および前記循環経路内と前記昇温手段を循環する循環水に関する現状況は、前記表示パネルによって表示される、
ことを特徴とする、請求項4に記載の排熱回収システム。 - 前記循環水は、前記熱回収コイル内を流動することにより、85℃以上90℃以内にまで昇温される、
ことを特徴とする、請求項1乃至請求項5のうちのいずれか一項に記載の排熱回収システム。 - 脱臭装置を利用した排熱回収方法であって、
脱臭装置より排出された排出ガスの熱を循環水により回収して、該循環水を昇温させ、
昇温された循環水を一時的に備蓄し、
備蓄された循環水を外部に取り出して、該循環水の熱により被昇温対象物を昇温し、
前記循環水の温度が所定温度未満であるときには、前記被昇温対象物に高温蒸気を供給して、前記被昇温対象物を昇温させる、
ことを特徴とする、排熱回収方法。 - 前記排出ガスより回収する熱の増減は、前記排出ガスの流量を増減することにより行う、
ことを特徴とする、請求項7に記載の排熱回収方法。 - 前記循環水の温度を測定し、
前記温度に基づく比例制御を行うことで、前記排出ガスの流量を増減する、
ことを特徴とする、請求項8に記載の排熱回収方法。 - 前記被昇温対象物の温度を測定し、
前記温度に基づいて、前記被昇温対象物が所定の温度になるように、前記備蓄された循環水を外部に取り出す流量を調整するとともに、
前記排出ガスの流量と、前記排出ガスの熱を回収する循環水の流量と、回収した熱を外部に取り出す循環水の流量と、は共通の制御装置によって制御する、
ことを特徴とする、請求項8、または請求項9に記載の排熱回収方法。 - 前記制御装置は表示パネルを具備し、
前記脱臭装置と前記開閉弁とに関する運転状況、および前記循環経路内と前記昇温手段を循環する循環水に関する現状況は、前記表示パネルによって表示される、
ことを特徴とする、請求項10に記載の排熱回収方法。 - 前記循環水は、前記熱回収コイル内を流動することにより、85℃以上90℃以内にまで昇温される、
ことを特徴とする、請求項7乃至請求項11のうちのいずれか一項に記載の排熱回収方法。
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