JP5346686B2 - 液晶除去用洗浄剤組成物及び液晶パネルの洗浄方法 - Google Patents
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Description
前記狭部に付着した液晶(以下「液晶汚れ」という。)をそのまま放置しておくと、当該液晶汚れの残渣が離型剤として作用することにより、その後の製造工程において、偏向板の剥がれ、ドライバー端子の接続不備、ドライバーアンダーフィル界面の不具合、基板の薄型化工法に用いる可剥離性塗膜の剥がれ等の種々のトラブル発生に繋がるおそれがある。
そのため、液晶パネルの製造における洗浄では、前記液晶汚れを、高い清浄度で洗浄・除去する必要がある。
この液晶汚れを洗浄・除去するため、従来、炭化水素系溶剤と、特定のポリオキシアルキレンジアルキルエーテル化合物と、
R11−C6H4−CpH2p−O−(CqH2qO)r−H
[式中、R11は水素原子、炭素数1〜3のアルキル基または炭素数2もしくは3のアルケニル基、pは0または1〜2の整数、qは2〜4の整数、rは0または1〜4の整数を示し、r個のCqH2qOはそれぞれ同一であってもよくまたは異なっていてもよい]
で表される芳香族単環化合物とを含有してなる洗浄剤組成物が提案されている(特許文献1参照)。
また、炭素数8〜20の炭化水素化合物と、特定の中鎖分岐第1級アルコールのアルキレンオキシド付加体と、
R12O(AO)kR13
[式中、R12は炭素数1〜6のアルキル基またはフェニル基もしくはベンジル基、R13は水素原子または炭素数1〜6のアルキル基、kは1〜5の数、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基を示す]
で表されるアルキレンオキシド付加体と、所定量の水とを含む液晶パネル用水系液体洗浄剤組成物が提案されている(特許文献2参照)。
また、特許文献1に記載された発明においては、脂肪族炭化水素が主剤として用いられた洗浄剤組成物、及び当該洗浄剤組成物の原液中に直接、被洗浄物を浸漬して洗浄を行う方法がそれぞれ開示されている。しかし、当該洗浄剤組成物を用いた方法では、脂肪族炭化水素などの有機溶剤を多量に使用することになり、環境への排水負荷が高い等の問題がある。
また、特許文献2に記載された洗浄剤組成物においては、水の配合割合が77質量%以下の例が開示されているものの、有機溶剤などの水以外の成分の配合割合をさらに低減して環境への排水負荷を抑えるとともに、液晶汚れに対する洗浄力のさらなる向上が求められる。
すなわち、本発明の液晶除去用洗浄剤組成物は、下記一般式(1)で表される芳香族化合物を含有することを特徴とする。
また、本発明の液晶除去用洗浄剤組成物は、前記一般式(1)で表される芳香族化合物と水に加えて、下記一般式(2)で表される化合物、HLBが11以上のノニオン界面活性剤及び非プロトン性極性有機溶媒からなる群から選択される少なくとも一種をさらに混合してなるものであることが好ましい。
また、本発明の液晶パネルの洗浄方法によれば、液晶パネルのギャップ(狭部)に付着した液晶汚れを充分に除去することができ、かつ、環境への排水負荷を低減できる。
本発明の液晶除去用洗浄剤組成物は、前記一般式(1)で表される芳香族化合物(以下「(Sa1)成分」という。)を含有するものである。
前記一般式(1)中、R1は、OCH3又はCH2OCH3を示す。
R2は、CH3、OCH3又はCH2OCH3を示す。
R2の結合位置は、ベンゼン環のo−位、m−位、又はp−位のいずれでもよく、液晶汚れに対する洗浄力がより向上すること及び工業的に容易に入手可能であることから、p−位が好ましい。
(Sa1)成分として具体的には、たとえば、o−メトキシトルエン、m−メトキシトルエン、p−メトキシトルエン、1,2−ジメトキシベンゼン、1,3−ジメトキシベンゼン、1,4−ジメトキシベンゼン、o−メトキシ−α−メトキシトルエン、m−メトキシ−α−メトキシトルエン、p−メトキシ−α−メトキシトルエン、α−メトキシ−o−キシレン、α−メトキシ−m−キシレン、α−メトキシ−p−キシレン、o−キシレングリコールジメチルエーテル、m−キシレングリコールジメチルエーテル、p−キシレングリコールジメチルエーテルが挙げられる。
本発明の液晶除去用洗浄剤組成物における(Sa1)成分の含有割合は、1質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましい。(Sa1)成分の含有割合が下限値以上であると、液晶汚れに対する洗浄力がより向上する。
一方、(Sa1)成分の含有割合の上限値は、100質量%であってもよく、90質量%以下であることが好ましく、60質量%以下であることがより好ましく、50質量%以下であることがさらに好ましく、20質量%以下であることが特に好ましい。(Sa1)成分の含有割合が好ましくは90質量%以下、より好ましくは60質量%以下、さらに好ましくは50質量%以下であると、環境への排水負荷をより低減でき、特に好ましくは20質量%以下の低濃度であると、液晶汚れに対する洗浄力が充分に得られ、かつ、環境への排水負荷をさらに低減できる。
本発明の液晶除去用洗浄剤組成物は、上記(Sa1)成分以外の他の成分を含有していてもよい。
(Sa1)成分以外の他の成分としては、たとえば水、界面活性剤、有機溶剤が挙げられる。
なお、本発明において「界面活性剤」とは、純水で1質量%に希釈したときの25℃における表面張力が50mN/m以下である化合物をいう。表面張力は、表面張力計を使用し、Wilhelmy法に基づき、白金プレートを用いて測定される値である。
本発明において「純水」とは、水から物理的処理または化学的処理によって不純物を除去したものをいう。純水としては、例えば、脱イオン水や蒸留水などが挙げられる。
界面活性剤としては、たとえばノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤を用いることができる。
なかでも、(Sa1)成分と水との相溶性が高まり、夏場などの高温保存の条件下で(Sa1)成分と水とを混合してなるものが白濁するのを防止する効果が得られやすいこと、液晶パネルへの通電による電極の腐蝕が起こりにくくなること等から、ノニオン界面活性剤が好ましい。そのなかでも、(Sa1)成分と水とを混合してなるものの曇点を高める効果が特に得られやすいことから、HLBが11以上のノニオン界面活性剤がより好ましく、HLBが12以上のノニオン界面活性剤がさらに好ましく、HLBが14〜20のノニオン界面活性剤が特に好ましい。
具体的には、HLBが11以上のポリオキシエチレンアルキルエーテル等が挙げられる。
(Sa1)成分と水とを混合してなるものの曇点は、30℃以上であることが好ましく、40℃以上であることがより好ましい。曇点が下限値以上であると、均一で透明な外観を呈する洗浄剤組成物が調製されやすくなる。
本発明において「曇点」は、所定量の洗浄剤組成物の配合を0〜30℃の温度範囲で行い、均一透明な溶液を調製した後、当該溶液を、所定の容器に収容して水浴に浸漬し、水浴の温度を上昇させ、当該溶液が白く濁り始めた時点の水浴の温度(℃)をいう。水浴の温度は、たとえば標準温度計の目盛を読み取ることにより測定することができる。
有機溶剤としては、極性有機溶媒を用いてもよく、無極性有機溶媒を用いてもよい。なかでも、(Sa1)成分と水との相溶性が高まり、(Sa1)成分と水とを混合してなるものの液安定性(均一性、透明性)が向上することから、極性有機溶媒を用いることが好ましい。
なかでも、非プロトン性極性有機溶媒としては、液晶汚れに対する洗浄力がより向上することから、分子内に酸素原子(=O)を有するものが好ましく、DMSO、DMF、アセトンが特に好ましく、ジメチルスルホキシド(DMSO)が最も好ましい。
グリコールエーテルとしては、たとえば、一方の末端が脂肪族炭化水素基若しくは芳香族炭化水素基で、かつ、他方の末端が水素原子であるエチレングリコール系エーテル;一方の末端が脂肪族炭化水素基若しくは芳香族炭化水素基で、かつ、他方の末端が水素原子であるプロピレングリコール系エーテル;両方の末端がアルキル基であるジアルキルグリコールエーテルが挙げられる。
上記のなかでも、プロトン性極性有機溶媒としては、液晶汚れに対する洗浄力が高く、環境への排水負荷が低いことから、下記一般式(2)で表される化合物が特に好ましい。
n=0の場合、式(2)で表される化合物は1価アルコールである。この場合、R3は炭素数1〜6のアルキル基であることが好ましく、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、tert−ブタノールがより好ましく、エタノールがさらに好ましい。
n=1〜50の場合、式(2)で表される化合物はエチレングリコール系エーテルである。この場合、R3のアルキル基は、安定に入手確保しやすいことから炭素数4〜6が好ましい。前記式(2)中、nは、(Sa1)成分と水とを混合してなるものの液安定性(均一性、透明性)がより向上することから、1〜30の数が好ましく、1〜10の数がより好ましい。
なお、一般式(2)で表される化合物は、上記で定義した界面活性剤には含まれないものである。
かかる場合、当該液晶除去用洗浄剤組成物における水の含有割合は、10〜95質量%であることが好ましく、80〜95質量%であることがより好ましい。水の含有割合が10質量%以上であると、環境への排水負荷をより低減でき、また、当該液晶除去用洗浄剤組成物を非危険物化できる。一方、95質量%以下であると、(Sa1)成分との配合バランスをとることができ、液晶汚れに対する洗浄力がより向上する。
水は、特に制限されず、たとえば蒸留水、イオン交換水、市水を使用できる。
かかる液晶除去用洗浄剤組成物、すなわち、(Sa1)成分と水と(S2)成分とを混合してなるものを、以下「(Sa1)−水の透明溶液」ということがある。
(Sa1)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(S2)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(S2)成分を用いることにより、(Sa1)成分と水との相溶性が高まる。
加えて、(S2)成分としてHLBが11以上のノニオン界面活性剤を用いると、当該透明溶液の曇点が高くなり、さらに高温保存の条件下で白濁するのを防止する効果が得られる。
また、(S2)成分として非プロトン性極性有機溶媒を用いると、さらに液晶汚れに対する洗浄力が向上する。
(S2)成分としてHLBが11以上のノニオン界面活性剤を用いる場合、質量比で、(Sa1)/(HLBが11以上のノニオン界面活性剤)=0.1〜10であることが好ましく、0.1〜6であることがより好ましい。
(S2)成分として非プロトン性極性有機溶媒を用いる場合、質量比で、(Sa1)/(非プロトン性極性有機溶媒)=0.1〜10であることが好ましく、0.1〜9であることがより好ましい。
(S2)成分として前記一般式(2)で表される化合物を用いる場合、質量比で、(Sa1)/(一般式(2)で表される化合物)=0.5〜10であることが好ましく、1〜6であることがより好ましい。
いずれの場合も、(Sa1)/(S2)の下限値以上であると、洗浄性が向上する。(Sa1)/(S2)の上限値以下であると、洗浄剤組成物の液安定性(均一性、透明性)が向上する。
本発明において、液晶除去用洗浄剤組成物のpHは、洗浄剤組成物を25℃に調温し、ガラス電極式pHメーター(製品名:HM−30G、東亜ディーケーケー(株)製)を用い、ガラス電極を、当該洗浄剤組成物に直接に浸漬し、1分間経過後に示すpHの値をいう。
本発明において、液晶除去用洗浄剤組成物の粘度は、25℃に調温した洗浄剤組成物を、DV−I+VISCOMETER(製品名、BROOKFIELD社製)を用い、ロータNo.2で60rpm、60秒後の測定条件により測定した値(mPa・s)を示す。
当該有機溶剤成分に含まれていてもよい(Sa1)成分以外の他の成分としては、たとえば、パラフィン類(ドデカン、テトラデカン等)、オレフィン類(ドデセン、テトラデセン等)などの鎖式炭化水素(脂肪族炭化水素);シクロアルカン等の脂環式化合物;上述した1価アルコール、モノカルボン酸又はグリコールエーテル等のプロトン性極性有機溶媒、非プロトン性極性有機溶媒;(Sa1)成分以外の芳香族化合物などが挙げられる。
また、(Sa1)成分を含有する前記有機溶剤成分と、水などの任意成分とを混合して調製してもよい。
本発明者らの検討によると、たとえば液晶パネルのギャップ(狭部)に付着した液晶汚れは、(Sa1)成分に対して瞬時に溶解し、従来用いられている鎖式炭化水素(脂肪族炭化水素)又は脂環式化合物に比べて、(Sa1)成分との相溶性が高いことが確認された。これは、(Sa1)成分と、液晶汚れに含まれる芳香族化合物との間で、π電子同士の相互作用が働くことにより、(Sa1)成分と液晶汚れとの親和性が高まることに因ると考えられる。
また、(Sa1)成分以外の芳香族化合物を用いた場合よりも、(Sa1)成分を用いた場合の方が、特に水と混合して用いると、液晶汚れに対する洗浄力がより高くなることが確認された。これは、(Sa1)成分が、特定の2つの置換基(R1、R2)を有し、かつ、水に対して若干の溶解性を示すことに因ると考えられる。
なお、表1中、※1はメーカーのMSDS、※2はSTN REGISTRYファイル(数値は専用のソフトウェアを用いて得られた物性データ(計算値))、※3は独立行政法人 製品評価基盤技術機構(nite)ホームページ、※4は溶剤ハンドブック(講談社)にそれぞれ基づく水への溶解度であることを示す。
これに対して、p−キシレン、トルエンは、水に対してほとんど溶解性を示さず;ベンジルアルコール(上記特許文献1に記載された芳香族単環化合物に包含されるもの)は、水への溶解度が1g/100g水溶液を超え、本発明に係る芳香族化合物に比べて、水に対する溶解性が高い。本発明者らの検討によると、水への溶解度が1g/100g水溶液を超える芳香族化合物を用いると、液晶汚れに対する洗浄力向上の効果が得られにくくなることが確認された。これは、芳香族化合物の液晶汚れへの吸着性が弱まるためと考えられる。アニソールと、本発明に係る芳香族化合物とは、水への溶解度が同程度であるが、アニソールは置換基(−OCH3)が1つであり、本発明に係る芳香族化合物と相違する。
本発明の液晶除去用洗浄剤組成物においては、(Sa1)成分の液晶汚れに対する洗浄力が高いことから、(Sa1)成分の濃度を低くできる。また、(Sa1)成分は、水と混合して用いることができ、さらに、化学物質排出移動量届出(PRTR)制度、労働安全衛生法(労安法)、毒物及び劇物取締法(毒劇法)のいずれにも該当しないものである。そのため、本発明の液晶除去用洗浄剤組成物は、環境への排水負荷が低いと考えられる。
なお、キシレン及びトルエンは、PRTR、労安法、毒劇法のいずれも該当し、アニソールは、労安法に該当する。ベンジルアルコール及びフェニルグリコール(上記特許文献2に記載された「R12O(AO)kR13」に包含される芳香族化合物)は、PRTR、労安法、毒劇法のいずれにも該当しないものである。
加えて、特に、(Sa1)成分と、水と、(S2)成分とを混合してなる洗浄剤組成物によれば、均一で透明な外観を呈し、液安定性(均一性、透明性)に優れた原液を調製でき、さらに、原液として非危険物化が図られた液晶除去用洗浄剤組成物が得られる。また、洗浄剤組成物自体に配合する(Sa1)成分の量も低減でき、環境への排水負荷がより低減されるとともに、液晶汚れに対して良好な洗浄効果も得られる。
本発明に用いられる前記一般式(1)で表される芳香族化合物は、工業的に入手が容易なものである。当該芳香族化合物の主たる用途としては、樹脂の中間体や医薬品の中間体等の有機合成原料が挙げられ、この従来の用途と、本発明の液晶除去用という用途とは全く相違しており、本発明の液晶除去用洗浄剤組成物は、当該芳香族化合物の新たな用途を提供するものである。
本発明の液晶パネルの洗浄方法は、上記本発明の液晶除去用洗浄剤組成物を用いる方法である。
本発明の液晶パネルの洗浄方法は、特に限定されるものではなく、たとえば以下のようにして行うことができる。
すなわち、本発明の液晶除去用洗浄剤組成物を撹拌しながら、液晶パネルを所定の時間浸漬する(洗浄工程)。当該液晶除去用洗浄剤組成物は、たとえば(Sa1)成分と水などの任意成分とを予め混合したものを用いてもよく、(Sa1)成分と任意成分とを個別に用いて洗浄の際に混合してもよい。また、前記(Sa1)成分に代えて、(Sa1)成分を含有する有機溶剤成分を用いてもよい。
なかでも、当該液晶除去用洗浄剤組成物を、水で希釈して用いることが好ましく、2〜20倍量の水で希釈して用いることがより好ましい。この場合、当該液晶除去用洗浄剤組成物としては、上記「(Sa1)−水の透明溶液」を用いることが好ましい。
当該希釈の方法としては、当該液晶除去用洗浄剤組成物の2〜20倍量の水を用いることが好ましく、2〜15倍量の水を用いることがより好ましい。
当該液晶除去用洗浄剤組成物を2倍量以上の水で希釈すると、液晶パネルのギャップ(狭部)に付着した液晶汚れを充分に除去できることに加えて、環境への排水負荷をより低減できる。
当該液晶除去用洗浄剤組成物を20倍量以下の水で希釈すると、低濃度の(Sa1)成分で液晶汚れを充分に除去できる。
その後、水中から液晶パネルを取り出し、乾燥機などを用いて乾燥する(乾燥工程)。
なお、洗浄工程又はリンス工程においては、超音波処理を行ってもよい。超音波処理を行うと、液晶パネルのギャップ(狭部)に付着した液晶汚れを短時間で、より良好に除去できるため好ましい。
また、本発明の液晶パネルの洗浄方法は、上記洗浄方法以外にも、被洗浄物である液晶パネルに、本発明の液晶除去用洗浄剤組成物をノズル等から直接吹き付けて塗布して拭き取る方法などが挙げられる。
以上説明した本発明の液晶パネルの洗浄方法によれば、液晶パネルのギャップ(狭部)に付着した液晶汚れを充分に除去することができ、かつ、環境への排水負荷を低減できる。
α−メトキシ−p−キシレン[イハラニッケイ化学工業(製)]。
1,2−ジメトキシベンゼン[東京化成工業(製)]。
1,4−ジメトキシベンゼン[東京化成工業(製)]。
p−キシレン[純正化学(製)]。
トルエン[関東化学(製)]。
アニソール[関東化学(製)]。
ベンジルアルコール[関東化学(製)]。
フェニルグリコール[日本乳化剤(製)]。
シクロヘキサン[純正化学(製)]。
1−ドデセン[出光興産(製)]。
ノルマルドデカン[ジャパンエナジー(製)]。
以下に示す1)〜6)の手順に従って、液晶汚れに対する洗浄力の評価を行った。
1)液晶パネルを作製し、当該液晶パネルのギャップ(狭部)に、TFT液晶パネル用の液晶材料を、シリンジを用いて注入した。
本実施例で用いた、液晶材料が注入される前の空の液晶パネルを図1に示す。
図1(a)に示す液晶パネル10は、一対のガラス基板1a、1bを、接着剤により、開口部(図示せず)を残して接着部2を介して貼り合わせて液晶室3(表示部)を作り、該開口部を封止剤により封止して作製した。液晶パネル10には、電極6が形成されている。
作製された液晶パネル10は、図1(b)に示すように、ガラス基板1aの端部1a1から接着部2までの距離(空隙部4の奥行き)が300μm、ガラス基板1a、1b間の距離が3μmであった。
そして、一対のガラス基板1a、1b同士の接着部2の外側(液晶室3側とは反対側)の、対向するガラス基板1a、1bと接着部2とにより形成される狭いギャップ(狭部)に液晶材料(図示せず)を注入した液晶パネル10(2インチサイズ)を用いて、下記2)以降の操作を行った。
なお、図1中のXで囲まれた範囲は、下記6)の操作において、液晶材料残りの状態を評価した領域を示す。
3)液晶パネルを取り出し、それぞれの面を、片面5秒間ずつイオン交換水で洗浄した。
4)イオン交換水50gを100mLビーカーに入れ、60℃で10分間、液晶パネルを浸漬した(リンス工程)。
5)液晶パネルを取り出し、100℃の乾燥機内で10分間乾燥した。
6)偏光顕微鏡により、液晶パネルの所定の領域(図1中のX)におけるギャップ(狭部)内の液晶材料残りの状態を目視で観察し、下記評価基準(合格:4点以上)に基づいて、液晶汚れに対する洗浄力を評価した。その結果を表2に示す。
(評価基準)
5点:液晶材料が完全に洗浄・除去されていた。
4点:液晶材料が極わずかに残っていた。
3点:液晶材料がところどころに残っていた。
2点:液晶材料が塊状となって残っていた。
1点:液晶材料の半分以上が残っていた。
当該評価基準に対応する、液晶パネルの所定の領域(図1中のX)におけるギャップ(狭部)内の液晶材料残りの状態を図2に示す。図2中、符号5は液晶材料、符号1aと1bはガラス基板、符号2は接着部をそれぞれ示す。
また、実施例1〜4の洗浄剤組成物の芳香族化合物(有機溶剤)濃度は10質量%と低く、かつ、当該芳香族化合物(有機溶剤)は全て、PRTR、労安法、毒劇法のいずれにも該当しないものであることから、実施例1〜4の洗浄剤組成物は環境への排水負荷が低いものである。
(実施例5〜19、比較例9)
表3〜4に示す組成に従って、各成分を常法に準じて混合することにより、各例の洗浄剤組成物を調製した。
表中の配合量の単位は、洗浄剤組成物の全質量を基準とする質量%であり、各成分の純分換算量を示す。
以下に、表中に示した成分について説明する。
・一般式(1)で表される芳香族化合物(Sa1)
PXDM:p−キシレングリコールジメチルエーテル[イハラニッケイ化学工業(製)]。
ドデカン:ノルマルドデカン[ジャパンエナジー(製)]。
C4E3:一般式(2)におけるR3がブチル基、nが3である、トリエチレングリコールモノブチルエーテル。商品名:ブチセロール30、協和発酵ケミカル製。
C6E8:一般式(2)におけるR3がヘキシル基、nが8である、オクタエチレングリコールモノヘキシルエーテル。
Ph−G EO3モル:一般式(2)におけるR3がフェニル基、nが3である、トリエチレングリコールモノフェニルエーテル。商品名:フェニルグリコール−30(PhG−30)、日本乳化剤製。
エタノール:一般式(2)におけるR3がエチル基、nが0である1価アルコール。関東化学製;プロトン性極性有機溶媒。
C10E14(HLB=15.9):アルキル基の炭素数が10で、かつ、オキシエチレン基の繰返し数(エチレンオキサイドの平均付加モル数)が14である、ポリオキシエチレンアルキル(分岐デシル)エーテル。商品名:ノイゲンXL−140、第一工業製薬製。
C8E20(HLB=17.4):アルキル基の炭素数が8で、かつ、オキシエチレン基の繰返し数(エチレンオキサイドの平均付加モル数)が20である、ポリオキシエチレンアルキル(2−エチルヘキシル)エーテル。商品名:ニューコール1020、日本乳化剤製。
C10E5(HLB=11.6):アルキル基の炭素数が10で、かつ、オキシエチレン基の繰返し数(エチレンオキサイドの平均付加モル数)が5である、ポリオキシエチレンアルキル(分岐デシル)エーテル。商品名:ノイゲンXL−50、第一工業製薬製。
DMSO:ジメチルスルホキシド、東レ・ファインケミカル製。
DMF:N,N−ジメチルホルムアミド、関東化学製。
アセトン:関東化学製。
C10E4(HLB=10.5):アルキル基の炭素数が10で、かつ、オキシエチレン基の繰返し数(エチレンオキサイドの平均付加モル数)が4である、ポリオキシエチレンアルキル(分岐デシル)エーテル。商品名:ノイゲンXL−40、第一工業製薬製。
[外観の評価]
表3〜4に示す組成に従って調製した直後の洗浄剤組成物10gを、密栓ビン10mLにそれぞれ入れ、室温(20℃)にて1日間、静置した後の外観を目視により観察した。その外観が、均一透明であれば○、白濁〜二層分離の状態であれば×とした。その結果を表3、4に示す。
ここでいう「白濁」は、水溶液全体に渡って乳濁していたことを示す。「二層分離」は、油層と水層とに分離していたことを示す。
各例の洗浄剤組成物について、洗浄剤組成物の配合を15〜25℃で行い、均一透明な溶液を調製した後、当該溶液20gを、30mlガラス試験管に収容して水浴に浸漬し、水浴の温度を1℃/分で上昇させ、当該溶液が白く濁り始めた時点の溶液の温度(℃)を、標準温度計の目盛を読み取ることにより測定した。その結果を表3、4に示す。
以下に示す1)〜7)の手順に従って、液晶汚れに対する洗浄力の評価を行った。
1)上記評価(1)と同様にして、図1に示す液晶パネルを作製し、当該液晶パネルのギャップ(狭部)に、TFT液晶パネル用の液晶材料を、シリンジを用いて注入した。
そして、最後に撹拌を停止してから10秒間経過後の、20質量%水溶液の外観を目視で観察した。その結果を表3、4に示す。
表中、「白濁」は、水溶液全体に渡って乳濁していたことを示す。「二層分離」は、油層と水層とに分離していたことを示す。
4)液晶パネルを取り出し、それぞれの面を、片面5秒間ずつイオン交換水で洗浄した。
5)イオン交換水50gを100mLビーカーに入れ、45℃で10分間、液晶パネルを浸漬した(リンス工程)。
6)液晶パネルを取り出し、100℃の乾燥機内で10分間乾燥した。
7)偏光顕微鏡により、液晶パネルの所定の領域(図1中のX)におけるギャップ(狭部)内の液晶材料残りの状態を目視で観察し、上記評価(1)と同様の評価基準(合格:4点以上)に基づいて、液晶汚れに対する洗浄力を評価した。その結果を表3、4に示す。
(S2)成分と異なる(S2’)成分を用いた実施例19の洗浄剤組成物においては、液晶汚れに対する洗浄力が高いこと、また、均一透明な外観は得られないこと、が確認できた。
一方、(Sa1)成分と異なるドデカンを用いた比較例9の洗浄剤組成物においては、液晶汚れに対する洗浄力は低く、均一透明な外観は得られないことも確認された。
したがって、(Sa1)成分と、水と、(S2)成分とを混合してなる洗浄剤組成物は、均一で透明な外観を呈し、液安定性(均一性、透明性)に優れることが確認できた。加えて、水で希釈して(Sa1)成分を低い濃度で用いることができることから環境への排水負荷を低減でき、かつ、液晶汚れに対する洗浄力が高いことも確認できた。
なお、リンス工程で、白濁した20質量%水溶液を、液晶パネルから容易に除去できることも確認できた。
Claims (4)
- 下記一般式(1)で表される芳香族化合物を含有することを特徴とする液晶除去用洗浄剤組成物。
- 前記一般式(1)で表される芳香族化合物と水とを混合してなる請求項1記載の液晶除去用洗浄剤組成物。
- 下記一般式(2)で表される化合物、HLBが11以上のノニオン界面活性剤及び非プロトン性極性有機溶媒からなる群から選択される少なくとも一種をさらに混合してなる請求項2記載の液晶除去用洗浄剤組成物。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の液晶除去用洗浄剤組成物を用いることを特徴とする液晶パネルの洗浄方法。
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