JP3758613B2 - 液晶パネル用洗浄剤組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、環境や人体に対して安全で、かつ良好な洗浄性能を有する新規な液晶パネル用洗浄剤組成物、該組成物を希釈してなる洗浄剤液及びそれらを用いた洗浄方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶パネルの製造に際しては、透明電極が形成された2枚の基板を適切な間隔を保って、内部が中空になるように2枚の基盤の、三方の周辺部を接着剤により張り合わせて液晶室を形成し、空の液晶セルを作成する。この液晶セルへの液晶の注入方法の一つとして、真空にした液晶注入室内で液晶室の開口部を液晶材に浸し、ついで、液晶注入室を大気圧にすることにより、液晶材が液晶室内に吸引され、その後開口部を封止することによって液晶パネルを形成する方法がある。
【0003】
しかしながら、このような工程では、2枚の液晶パネル基板の、ミクロン単位の微少な空隙部に、毛細管現象により液晶材が入り込む現象が発生する。この空隙部には透明電極に信号を印加するための電極端子が各々絶縁を保って高密度に形成されていることから、この部分の液晶をそのまま放置すると液晶材が大気中の汚染物質を溶解し、絶縁不良を起こすことがある。そのため、この空隙部に浸入した液晶材を洗浄除去することが必要となる。しかし、この空隙部の間隔は10μm以下と狭いため、浸入した液晶材を完全に洗浄除去するには、洗浄剤として高度な洗浄性能が要求される。
【0004】
フロン系溶剤や、トリクロロエタン、トリクロロエチレン、メチレンクロライド等の塩素系溶剤、非水系炭化水素系溶剤は、その優れた油溶解カから、液晶パネルをはじめ、金属部品、ガラス部品、プラスチック部品等、産業界のあらゆる部品に付着しているほとんどすべての汚れ成分に対して良好な洗浄剤として用いられてきた。
【0005】
しかし、近年の全世界的環境対策の一環として、フロン系溶剤、塩素系溶剤の使用抑制・規制が始まり、それに伴い代替洗浄剤の要求が強くなっている。このような状況に対し、液晶パネル用洗浄剤についても、例えば、特開平3−70800号公報、特開平3−212499号公報、特開平4−38100号公報、特開平4−68096号公報、特開平4−252299号公報、特開平7−133496号公報、特開平11−189787号公報、特開2000−313899、特許登録2982975等において開示されている。
【0006】
しかし、環境面を考慮して検討された水系洗浄剤は、固体あるいは高粘度の有機汚れに対する洗浄性が不十分なものが多い。さらに近年、液晶パネルの高密度化技術の進展に伴い空隙部はより狭く、また生産効率向上要求により、より短時間で洗浄可能な洗浄剤が求められている。
【0007】
また、液晶パネルとして用いられるガラス基盤の切削屑を始めとした微細ゴミの除去のためにも洗浄剤が用いられており、それら製造工程内で使用する洗浄剤の種類を削減したいとのニーズから、液晶だけでなく切削屑他の微細ゴミも良好に洗浄できる洗浄剤が望まれている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、液晶パネル用洗浄剤において特に洗浄が困難であった液晶パネルの空隙部位に侵入した液晶材の洗浄だけでなく、切削屑その他の微細ゴミの洗浄に際して、短時間で完全に洗浄することができ、かつすすぎ性にも優れ、更に環境への負荷が小さい洗浄剤組成物、該組成物を希釈してなる洗浄剤液及びそれらを用いた液晶の洗浄方法を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討の結果、サーファクチン及び/またはその塩を含有する洗浄剤組成物及びその組成物を用いた洗浄剤液を用いることにより、上記課題を達成できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は以下の事項に関する。
[1]サーファクチン及び/またはその塩(A)を含有することを特徴とする液晶パネル用洗浄剤組成物。
[2]塩が、ナトリウム塩であることを特徴とする上記[1]に記載の液晶パネル用洗浄剤組成物。
[3]水及び/またはアルコール(B)を含有することを特徴とする上記[1]または[2]に記載の液晶パネル用洗浄剤組成物。
【0011】
[4]界面活性剤(C)を含有することを特徴とする上記[1]ないし[3]のいずれかに記載の液晶パネル用洗浄剤組成物。
[5]界面活性剤(C)が、アニオン性またはノニオン性の界面活性剤であることを特徴とする上記[4]に記載の液晶パネル用洗浄剤組成物。
[6]サーファクチン及び/またはその塩(A)の含有量が、組成物全量に対して0.005〜90質量%であることを特徴とする上記[1]〜[3]のいずれかに記載の液晶パネル用洗浄剤組成物。
【0012】
[7]上記[1]〜[6]のいずれかに記載の液晶パネル用洗浄剤組成物を希釈してなる洗浄剤液。
[8]上記[1]〜[6]のいずれかに記載の液晶パネル用洗浄剤組成物または上記[7]に記載の洗浄剤液を用いることを特徴とする液晶パネルの洗浄方法。[9]超音波により洗浄することを特徴とする上記[8]に記載の液晶パネルの洗浄方法。
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
まず、本発明の液晶パネル用洗浄剤組成物において用いられるサーファクチン及び/またはその塩(A)について説明する。
【0013】
サーファクチンは、下記一般式(1)
【0014】
【化1】
【0015】
(式(1)において、×は、ロイシン、イソロイシンまたはバリン残基、Rは、炭素数9〜13のノルマルアルキル基またはイソアルキル基またはアンテイソアルキル基を表す。)
【0016】
で示されるリボペプチド構造を有する化合物であり、通常は原核生物により生産される。サーファクチンの産生に用いられる原核生物としては、例えばバチルスズブチリスIAM1213株、IAM1069株、IAM1260株、IFO3035株、ATCC21332株等のバチルス属微生物が用いられる。この微生物を培養し、精製することにより容易にサーファクチンを得ることができる。
【0017】
培養後の精製は、例えば培養液を塩酸等の添加により酸性にし、沈殿したサーファクチンを濾別後メタノール等の有機溶媒に溶解し、その後適宜限外濾過、活性炭処理、結晶化等を行なうことによってなされる。酸添加による沈澱は、カルシウム塩の添加による沈殿におきかえてもかまわない。(Biochem. Bioph.Res.Commun.,31:488−494(1968))。
【0018】
これらサーファクチンは、一般に上記一般式(1)に示す1種または2種以上の化合物からなっている。式(1)において、Rは前記したように炭素数9〜13のノルマルアルキル基またはイソアルキル基またはアンテイソアルキル基である。ノルマルアルキル基は直鎖アルキル基、イソアルキル基は通常(CH3)2CH−(CH2)n−(式中、nは6〜10の整数である。)なる横造であり、アンテイソアルキル基は通常CH3−CH2−CH(CH3)一(CH2)n−(式中、nは5〜9の整数である。)なる構造である。サーファクチンは、培養液をそのまま用いてもよく、また精製して用いてもよい。
【0019】
サーファクチンは、上記一般式(1)からわかるように、金属塩、アンモニウム塩や有機アンモニウム塩としても利用することができる。対イオンとなる金属はナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属等をはじめとして、アンモニウム塩等サーファクチンと塩を形成するものであれば種類を問わない。
【0020】
さらに有機アンモニウム塩としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、リジン、アルギニン及びコリン等の塩を挙げることができる。
これらの中でも本発明においてはアルカリ金属塩、特にナトリウム塩が好ましい。
【0021】
サーファクチン及び/またはその塩(A)としては、例えば、昭和電工株式会社のサーファクチンナトリウム塩(商品名:アミノフェクト(昭和電工株式会社登録商標))等がある。
【0022】
これらサーファクチン及び/またはその塩(A)は、組成物全量に対して0.005〜90質量%配合することができるが、好ましくは0.01〜70質量%、より好ましくは0.05〜40質量%である。
【0023】
これらサーファクチン及び/またはその塩(A)の配合量が、0.005質量%未満では、サーファクチンを配合したことによる空隙部位への浸透力、液晶除去力が小さく、逆に90質量%を超えると、粘度が高すぎて取扱が困難になるため好ましくない。
【0024】
サーファクチンの配合量が90質量%以下でも高濃度での使用は、そのままでは洗浄剤としては粘度が高く取り扱いにくい傾向があるが、逆に高濃度品は、洗浄剤組成物の使用場所と製造場所が離れている場合等に、輸送コストが割安になるので有利である。
【0025】
高濃度品とは、サーファクチン及び/またはその塩(A)を、組成物全量に対して40〜90質量%配合してなる組成物をいう。これら高濃度品は、使用時に希釈して洗浄剤液として使用することができる。洗浄剤液としては、上記洗浄剤組成物の高濃度品を1〜1000倍希釈で用いることができるが、洗浄効率を考慮すると、1〜100倍希釈が好ましい。
【0026】
本発明において用いる界面活性剤(C)としては、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤が挙げられ、これら界面活性剤は、単独あるいは2種以上併用して用いることができるが、特にアニオン性界面活性剤またはノニオン性界面活性剤が好ましい。
【0027】
本発明において用いられるアニオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルサルフェート、POEアルキルエーテルサルフェート、POEアルキルフェニルエーテルサルフェート、POEベンジル(またはスチリル)フェニル(またはフェニルフェニル)エーテルサルフェート、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックポリマーサルフェート等のナトリウム、カルシウム、アンモニア、アミン類等の塩類のサルフェート型、パラフィンスルフォネート、AOS、ジアルキルスルホサクシネート、アルキルベンゼンスルホネート、モノまたはジアルキルナフタレンスルホネート、ナフタレンスルホネート、ナフタレンスルホネート・ホルマリン縮合物、アルキルジフェニルエーテルジスルホネート、リグニンスルホネート、POEアルキルフェニルエーテルスルホネート、POEアルキルエーテルスルホコハク酸ハーフエステル等のナトリウム、カルシウム、アンモニア、アミン等の塩類のスルホネート型、脂肪酸塩、N−メチル−脂肪酸サルコシネート、樹脂酸塩等のカルボン酸型、POEアルキルエーテルホスフェート、POEモノまたはジアルキルフェニルエーテルホスフェート、POEベンジル(またはスチリル)化フェニル(またはフェニルフェニル)エーテルホスフェート、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックポリマー、ホスファチジルコリン・ホスファチジルエタノールイミン(レシチン)、アルキルホスフェート等のナトリウム、カルシウム、アンモニア、アミン等の塩類のホスフェート型等が挙げられる。
【0028】
なかでも、下記1)〜7)のものが好ましい。
1)平均炭素数8〜16のアルキル基を有する直鎮アルキルベンゼンスルホン酸塩、
2)平均炭素数10〜20のα−オレフィンスルホン酸塩、
3)アルキル基またはアルケニル基の炭素数が4〜10のジアルキルスルホコハク酸塩
4)下記一般式(2)
【0029】
【化2】
【0030】
(Rは炭素数8〜20のアルキル基またはアルケニル基、Yは炭素数1〜3のアルキル基または対イオン、Zは対イオンを表す。)
で表される脂肪酸低級アルキルエステルのスルホン酸塩または脂肪酸スルホン化物のジ塩
【0031】
5)平均炭素数10〜20のアルキル硫酸塩、
6)平均炭素数10〜20の直鎖または分岐鎖のアルキル基もしくはアルケニル基を有し、平均0.5〜8モルのエチレンオキサイドを付加したアルキルエーテル硫酸塩、及び
7)平均炭素数10〜22の飽和または不飽和脂肪酸塩。
【0032】
これらのアニオン性界面活性剤における対イオンとしては、特に限定はないが、通常ナトリウムやカリウム等のアルカリ金属塩等が用いられる。
【0033】
また、本発明において用いられるノニオン性界面活性剤としては、アルキルエーテル型、アルキルアリルエーテル型、アルキルチオエーテル型、アルキルフェニルエーテル型、ジアルキルフェニルエーテル型等のエーテル型;アルキルエステル型、ソルビタンアルキルエステル型、グリセリン脂肪酸エステル型、脂肪酸ジエステル型等のエステル型;アミン、アミド等の含窒素化合物のアルキレンオキシド(炭素数2〜3、特に炭素数2)付加型;エチレンオキシドとプロピレンオキシドを重付加させたプルロニックまたはテトロニック型;ポリエチレンイミン型等が挙げられる。
【0034】
これらの中では、分子中に炭素数4〜24の炭化水素基を疎水基として有するものが好ましい。さらにアルキルエーテル型、アルキルアリルエーテル型、アルキルチオエーテル型等のエーテル型及びアルキルエステル型、ソルビタンアルキルエステル型、グリセリン脂肪酸エステル型等のエステル型のノニオン性界面活性剤が好ましく、アルキルエーテル型ノニオン性界面活性剤が特に好ましい。界面活性剤のHLBは特に限定はないが、通常1.5〜18、好ましくは3〜15の範囲がよい。
【0035】
本発明において用いる界面活性剤(C)は、サーファクチンの機能を補助するために有効であり、その配合量としては、組成物全量に対して、0〜90質量%配合することが可能であるが、通常は、0.1〜70質量%、好ましくは1〜50質量%である。界面活性剤(C)の配合量が、0.1質量%未満の場合は、添加したことによる性能向上がみられず、逆に90質量%を超えると、物性への影響が大きく、またそれ以上の性能向上は望めず、またすすぎ性が劣化する傾向がある。
【0036】
本発明において、水及び/またはアルコール(B)の含有量は、特に限定されない。期待する洗浄力、流動性等により適宜決定される。一般に水の含有量が多くなると、輸送コストが上昇し経済的でなく、また、洗浄力も低下する。一方、水の含有量が少なくなると、流動性が低下し、取扱いづらくなる傾向がある。
【0037】
本発明において用いるアルコールとしては、特に限定はないが、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロピルアルコール等の1価アルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、グリセリン等の多価アルコール類等を使用することができる。組成物中でのアルコールの配合量は、期待される洗浄剤の洗浄力、流動性等を考慮して適宜決定さ
れる。
【0038】
本発明の液晶パネル用洗浄剤組成物には、その他必要に応じて任意成分を配合することができる。
【0039】
配合することができる他の任意成分としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン類;エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレンジプロピレングリコールモノブチルエーテル等のグリコールモノエーテル類;エチレングリコールジメチルエーテル等のグリコールエーテル類等のエーテル類;デカン、ドデカン、ドデセンヘキサデセン等の炭素数10〜16のパラフィン、オレフィン、パルミチン酸、アテアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸等の飽和脂肪酸類;オレイン酸、リノール酸等の不飽和脂肪酸類;及びそれらの塩類;リンゴ酸、クエン酸塩、リン酸塩、エチレンジアミン四酢酸塩等の有機酸及びその塩類等がある。
【0040】
また、洗浄ビルダーを配合する場合には、本発明の液晶パネル用洗浄剤組成物中に0.1〜15質量%、好ましくは0.5〜10質量%配合するのが適当である。洗浄ビルダーが上記範囲をはずれると、添加効果が見られなかったり、液分離等の不都合が発生する場合がある。
【0041】
さらに、パラフィン、オレフィン等を配合する場合には、配合量は、本発明の液晶パネル用洗浄剤組成物中に0.5〜20質量%が適当である。
【0042】
本発明において使用される任意成分の中で、引火性を示す化合物については、引火点が100℃以上のものが望ましい。引火点が100℃以下であると、洗浄剤の引火性の危険度が高くなることがあるためである。
【0043】
また、本発明において配合される他の成分を決定する際には、液晶パネルを洗浄する際、液晶パネルを保持するために使用する保持具、その他の部品が、アルミニウム製の場合があるので、好ましくは、アルミニウムに対する腐食性の少ない化合物を選択することが望ましい。
【0044】
また、液安定性や粘度特性を保持するためのトルエンスルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩等のハイドロトロープ剤等を配合する場合には、本発明の液晶パネル用洗浄剤組成物中に0.5〜40質量%、好ましくは5〜20質量%配合するのが適当である。
【0045】
さらに、本発明においては目的に応じてベンゾトリアゾール、t−ブチル安息香酸塩等の防錆剤を配合することが可能であり、本発明の液晶パネル用洗浄剤組成物中に0.01〜10質量%配合するのが適当である。さらに、キレート剤、腐食抑制剤、抗酸化剤等の公知の添加剤を適宜配合することもできる。
【0046】
本発明の液晶パネル用洗浄剤組成物は、組成物そのままの濃度で洗浄することも、また、さらに水及び/または親水性有機溶媒等で希釈した洗浄剤液として使用することも可能である。親水有機溶媒は通常洗浄剤に使われているものを限定なく使用することができる。
【0047】
本発明の液晶パネル用洗浄剤液中の、上記洗浄剤組成物の含有量は、洗浄条件、洗浄効果等により適宜選択される。
【0048】
本発明の液晶パネル用洗浄剤組成物は、前述の通り、液晶パネルの空隙部位に侵入している液晶材を高度に洗浄可能な洗浄剤として利用される。また、基盤の切断屑を始めとした微細ゴミの洗浄に対しても、優れた効果がみられる。
【0049】
本発明の液晶パネル用洗浄剤組成物が適用される液晶パネルは、特に限定はなく、TFT液晶、STN液晶、TN液晶等、何れの液晶パネルも洗浄することが可能である。
【0050】
本発明において、液晶パネルの洗浄方法としては、特に限定はなく、超音波洗浄、シャワー洗浄、揺動による洗浄方法等を適用することができ、複数の方法を組み合わせることもできる。
【0051】
例えば、本発明の液晶パネル用洗浄剤組成物を希釈した洗浄剤液中に、液晶パネルを浸漬し超音波処理を行い、次いで液晶パネルを水に浸漬し、超音波処理を行う等により、液晶パネルを洗浄することができる。
【0052】
洗浄温度としては、装置の設定により適宜決定されるが、通常10℃〜70℃、好ましくは15℃〜60℃程度である。洗浄時間も装置の設定にあわせられるが、通常3分〜50分、好ましくは5分〜30分である。
【0053】
次にすすぎ方法に関しては、純水(イオン交換水)による浸漬すすぎ、スプレーすすぎ、超音波すすぎ等が用いられる。純水によるリンス温度としては、通常10℃〜90℃、好ましくは15℃〜70℃である。液晶パネルは、リンスした後、60℃〜80℃の温度範囲において、5分〜120分間程度加熱乾燥され、後に、清浄な液晶パネルとなる。
【0054】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例によりなんら限定されるものではない。参考例として、サーファクチンナトリウムの水表面張力活性をグラフ1に示す。
【0055】
実施例1〜6及び比較例1〜2
各洗浄剤組成物の配合を表1に示す。
【0056】
【表1】
【0057】
表1に示した洗浄剤組成物を純水で10wt%に調製し、洗浄剤液を調整し、代表的な液晶パネルに対して洗浄力とすすぎ性の評価実験を行なった。その結果を表2に示す。尚、洗浄カとすすぎ性の評価は、以下の方法及び判定基準を用いて行なった。
【0058】
(1)空隙部位の洗浄力評価方法
空隙5μmの液晶パネルの空隙部位に液晶材(TFT)を封入し、室温で1時間静置し、これを被洗浄サンプルとする。用意した洗浄剤組成物を用い、40℃、5分間超音波洗浄を行う。
【0059】
その後、被洗浄パネルを取り出し、30℃のイオン交換水中に5分間浸漬し、超音波すすぎを行った。すすぎを行った後、120℃の乾燥機中で15分間乾燥を行い、乾燥終了後、偏光顕微鏡を用いて空隙部位を観察し、液晶材の残留を以下の評価基準に従って評価する。尚、A,Bが有効な洗浄力を発揮できていることを示す。
【0060】
洗浄力評価基準(液晶材の残留状態による評価)
A:完全に洗浄される。B:極僅かに残留が認められるC:少し残留が認められるD:残留が多い。
【0061】
(2)すすぎ性の評価方法
(1)空隙部位の洗浄力評価方法と同様に、洗浄、すすぎ、乾燥を行った後、顕微鏡を用いて洗浄剤の残留性を以下の評価点に従って目視で判定する。尚、A,Bがすすぎ性の優れていることを示す。
【0062】
すすぎ性評価基準(洗浄剤の残留状態による評価)A:完全に除去される。B:極僅かに残留が認められるC:少し残留が認められるD:残留が多い。
【0063】
【表2】
【0064】
【発明の効果】
本発明の液晶パネル用洗浄剤組成物を使用することにより、今まで困難であった液晶パネルのカレットの洗浄を効率的にすることができると共に、液晶パネル表面及び空隙部位の液晶物質の汚垢洗浄も効率的にできるものとなる。
このように本発明の液晶パネル用洗浄剤及びそれを用いた洗浄方法を用いることにより、環境に負荷をかけずに、液晶パネルの洗浄を行うことができる
【図面の簡単な説明】
【図1】サーファクチンナトリウムの表面張力を示すグラフである。
Claims (7)
- サーファクチンのナトリウム塩( A )を含有し、その含有量が、組成物全量に対して0.05〜40質量%であることを特徴とする液晶パネル用洗浄剤組成物。
- 水及び/またはアルコール(B)を含有することを特徴とする請求項1に記載の液晶パネル用洗浄剤組成物。
- 界面活性剤(C)を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の液晶パネル用洗浄剤組成物。
- 界面活性剤(C)が、アニオン性またはノニオン性の界面活性剤であることを特徴とする請求項3に記載の液晶パネル用洗浄剤組成物。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の液晶パネル用洗浄剤組成物を、サーファクチンのナトリウム塩( A )の含有量が0.01〜5質量%となるように希釈してなる洗浄剤液。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の液晶パネル用洗浄剤組成物または請求項5に記載の洗浄剤液を用いることを特徴とする液晶パネルの洗浄方法。
- 超音波により洗浄することを特徴とする請求項6に記載の液晶パネルの洗浄方法。
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