JP5346550B2 - 三次元測定機の昇降装置 - Google Patents

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Description

本発明は、三次元測定機の昇降装置に関する。詳しくは、横形三次元測定機において、水平な姿勢に配置され先端に測定子を有するZスピンドルを昇降させる昇降装置に関する。
先端に測定子を有するZスピンドルが水平な姿勢に配置された、いわゆる、横形三次元測定機が知られている(特許文献1参照)。
これは、ベースと、このベースの上面に水平方向へ移動可能に設けられたXスライダと、このXスライダに略垂直に立設されたYコラムと、このYコラムに沿って昇降可能に設けられたYスライダと、このYスライダにXスライダおよびYスライダの移動方向に対して直交する方向へ移動可能に設けられたZスライダと、このZスライダに連結されたZスピンドルと、このZスピンドルの先端に設けられた測定子とを備えた構造である。
ベースの上面には、一対のガイドレールおよびラックがXスライダの移動方向に沿って平行に配置され、Xスライダの下面には、ガイドレールに摺動自在に係合する係合ブロックとラックに噛合するピニオンを有するモータとが固定されている。これにより、モータが回転すると、ピニオンがラックに噛合しながら移動するので、Xスライダがベースの上面に沿ってX方向へ移動される。
Yコラムの側面には、一対のガイドレールおよびラックがYスライダの昇降方向に沿って平行に配置され、Zスライダの側面には、ガイドレールに摺動自在に係合する係合ブロックとラックに噛合するピニオンを有するモータとが固定されている。これにより、モータが回転すると、ピニオンがラックに噛合しながら移動するので、YスライダがYコラムの側面に沿ってY方向へ昇降される。
Yスライダの側面には、ガイドレールおよびラックがZスピンドルの進退方向に沿って平行に配置され、Zスピンドルの側面には、ガイドレールに摺動自在に係合する係合ブロックとラックに噛合するピニオンを有するモータとが固定されている。これにより、モータが回転すると、ピニオンがラックに噛合しながら移動するので、ZスピンドルがYスライダの側面に沿ってZ方向へ移動される。
実開平4−45911号公報
ところで、従来の横形三次元測定機において、Yスライダ(Zスピンドル)を昇降させる昇降装置は、Yコラムの上端にプーリが設けられ、このプーリに掛け回されたバランスワイヤの一端がYスライダに、他端がYスライダおよびこれに搭載される部材の自重と釣り合う重量を有するカウンタウエイトに接続された構造、つまり、ワイヤによってYスライダとカウンタウエイトとが吊り下げられた構造である。
このため、Yスライダの下降時は、バランスワイヤは「張り側」となりカウンタウエイトが追従、逆に、Yスライダの上昇時は、バランスワイヤは「緩み側」となりカウンタウエイトが追従する。
しかしながら、三次元測定機が高加減速仕様になると、Yスライダの上昇時には、カウンタウエイトは自由落下状態となり、Yスライダの上昇動作に追従しない。これは、Yスライダ等と同質量をもった物体が、位相差をもって運動していることになり、制御性に悪影響を与えるうえ、精度も悪化させ、機械寿命にも大きな影響を与える。
また、Yスライダ(Zスピンドル)を昇降させる駆動機構は、Yコラムの側面に設けられたラックと、Yスライダの側面に設けられたピニオンを有するモータとから構成されている。そのため、駆動源であるモータをYスライダに搭載した構造であるため、Yスライダの重量が増え、高加減速仕様に対応しづらい。
本発明の目的は、制御性への悪影響、精度悪化、機械寿命への懸念といったデメリットを解消しつつ、高加減速仕様に対応できる三次元測定機の昇降装置を提供することにある。
本発明の三次元測定機の昇降装置は、ベースと、このベースの上面に水平方向へ移動可能に設けられたXスライダと、このXスライダに略垂直に立設されたYコラムと、このYコラムに沿って昇降可能に設けられたYスライダと、このYスライダに前記XスライダおよびYスライダの移動方向に対して直交する方向へ移動可能に設けられたZスピンドルと、このZスピンドルの先端に設けられた測定子とを備えた三次元測定機の昇降装置であって、前記Yスライダおよびこれに搭載される部材の自量を相殺するバランス機構と、前記Yスライダを前記Yコラムに沿って昇降駆動させる駆動機構とを備え、前記バランス機構は、前記Yコラムを挟んで前記Yスライダとは反対側面に配置され前記自量を相殺する重量を有するカウンタウエイトと、前記Yコラムの上部および下部にそれぞれ一対設けられた第1のプーリと、前記Yコラムの上部及び下部の第1のプーリに掛け回され前記Yスライダおよび前記カウンタウエイトに連結された2本のループ状のバランスワイヤとを含んで構成され、前記駆動機構は、前記Yコラムの上部および下部に、一対の前記第1のプーリの間に設けられた第2のプーリと、これら第2のプーリに掛け回され前記Yスライダおよび前記カウンタウエイトに連結されたループ状の駆動ベルトと、前記第2のプーリに回転駆動力を与える回転駆動力供給手段とを含んで構成され、前記Yスライダは、前記Yコラムの一側面に設けられた第1ガイド機構により前記Yコラムに沿って昇降可能に設けられ、前記カウンタウエイトは、前記Yコラムの一側面とは反対の他側面に設けられた第2ガイド機構により前記Yコラムに沿って昇降可能に設けられ、前記第1ガイド機構および前記第2ガイド機構は、前記Yコラムの長手方向を軸中心として対称構造に構成されていることを特徴とする。
このような構成によれば、Yスライダおよびこれに搭載される部材の自量を相殺するバランス機構は、Yコラムを挟んでYスライダとは反対側面に配置されたカウンタウエイトと、Yコラムの上部および下部に設けられたプーリと、これらプーリに掛け回されYスライダおよびカウンタウエイトに連結されたループ状のバランスワイヤとを含んで構成されているから、Yスライダの昇降時のバランスワイヤの緩みを排除できる。
つまり、バランスワイヤがループ状であるから、Yスライダの昇降時において、バランスワイヤは常に「張り側」となって「緩み」が生じることがないから、バランスワイヤの緩みによって生じるデメリットを解消できる。具体的には、制御性への悪影響、精度悪化、機械寿命への懸念といったデメリットを解消できる。
また、昇降駆動機構についても、Yコラムの上部および下部に設けられたプーリと、これらプーリに掛け回されYスライダおよびカウンタウエイトに連結されたループ状の駆動ベルトと、いずれかのプーリに回転駆動力を与える回転駆動力供給手段とを含んで構成されているから、従来のように、昇降するYスライダに駆動源などを搭載しなくてもよく、軽量化が実現できるため、高加減速仕様に対応できる。
本発明の三次元測定機の昇降装置において、前記Yスライダは、前記Yコラムの一側面に設けられた第1ガイド機構によりYコラムに沿って昇降可能に設けられ、前記カウンタウエイトは、前記Yコラムの一側面とは反対の他側面に設けられた第2ガイド機構によりYコラムに沿って昇降可能に設けられ、前記第1ガイド機構および前記第2ガイド機構は、前記Yコラムの長手方向を軸中心として対称構造に構成されている、ことを特徴とする。
このような構成によれば、Yコラムの対向する側面に、Yスライダをガイドする第1ガイド機構およびカウンタウエイトをガイドする第2ガイド機構が設けられ、これら第1ガイド機構および第2ガイド機構が、Yコラムの長手方向を軸中心として対称構造に構成されているから、環境温度変化などに対しても、Yコラムや第1ガイド機構および第2ガイド機構に歪みが生じにくく、精度悪化の要因を排除できる。
本発明の三次元測定機の昇降装置において、前記第1ガイド機構は、前記Yコラムの一側面に上下方向に沿って設けられた一対のガイドレールと、前記Yスライダに前記各ガイドレールに摺動自在に係合された複数の係合ブロックとを含んで構成され、 前記第2ガイド機構は、前記Yコラムの他側面に上下方向に沿って設けられた一対のガイドレールと、前記カウンタウエイトに前記各ガイドレールに摺動自在に係合された複数の係合ブロックとを含んで構成され、前記Yコラムと前記第1ガイド機構および前記第2ガイド機構のガイドレールとは、前記Yコラムの長手方向を軸中心として対称構造に、かつ、同一材料で形成されている、ことが好ましい。
このような構成によれば、第1ガイド機構および第2ガイド機構は、Yコラムの側面に上下方向に沿って設けられた一対のガイドレールと、Yスライダおよびカウンタウエイトに各ガイドレールに摺動自在に係合された複数の係合ブロックとを含んで構成され、Yコラムと各ガイド機構のガイドレールとは同一材料で形成されているから、環境温度変化があっても、Yコラムやガイドレールの熱変形を防止できる(外部的熱影響の排除)。
本発明の三次元測定機の昇降装置において、前記第1ガイド機構の係合ブロックと前記第2ガイド機構の係合ブロックとは、前記Yコラムの長手方向を軸中心として対称で、かつ、同一構造に構成されている、ことが好ましい。
このような構成によれば、第1,第2ガイド機構の係合ブロックについても、同一構造(具体的には、形状、配置および個数などが)とされているから、移動時に自己発熱(係合ブロックがガイドレールに沿って移動するときの自己発熱)があっても、その自己発熱による熱変形を極力排除できる(内部的熱影響の排除)。
本発明の三次元測定機の昇降装置において、前記カウンタウエイトは、一対の係合ブロックを有する錘取付基板と、この錘取付基板に着脱可能に取り付けられた複数の錘とを含んで構成され、前記Yコラムと、前記第1ガイド機構および前記第2ガイド機構のガイドレールと、前記カウンタウエイトの錘取付基板とが、アルミニウムまたはアルミニウムを主体とするアルミニウム合金によって構成されている、ことが好ましい。
このような構成によれば、Yコラムと、第1ガイド機構および第2ガイド機構のガイドレールと、カウンタウエイトの錘取付基板とが、アルミニウムまたはアルミニウムを主体とするアルミニウム合金によって構成されているから、熱的影響を排除しつつ、軽量化を図ることができる。
しかも、カウンタウエイトについては、一対の係合ブロックを有する錘取付基板と、この錘取付基板に着脱可能に取り付けられた複数の錘とを含んで構成されているから、アルミ系材料の錘取付基板に鉄系材料の錘を取り付ける構成とすれば、熱的影響を排除しつつ、小スペース/低コストを実現できる。
<全体構成の説明(図1参照)>
図1は、本実施形態に係る三次元測定機を示す斜視図である。
本実施形態に係る三次元測定機は、横形三次元測定機本体1と、この横形三次元測定機本体1の一部(駆動部)を覆う防塵ケース2と、横形三次元測定機本体1を制御する制御装置3と、表示装置4とを備える。
<横形三次元測定機本体1の説明(図2〜図8参照)>
横形三次元測定機本体1は、図2に示すように、設置台11と、この設置台11の上に載置されたベース12と、このベース12の上面前側に載置された回転テーブル13と、ベース12の上面後側に水平方向(X方向)へ移動可能に設けられたXスライダ14と、このXスライダ14に略垂直に立設されたYコラム15と、このYコラム15に沿って上下方向(Y方向)へ昇降可能に設けられたYスライダ16と、このYスライダ16にXスライダ14およびYスライダ16の移動方向に対して直交する方向(Z方向)へ移動可能に設けられたZスピンドル17と、このZスピンドル17の先端に設けられたプローブ(測定子)18とを備える。
ベース12は、設置台11の上面にゴムなどの吸振部材21を介して載置されているとともに、除振機構22を介して設置台11に連結されている。
除振機構22は、図3に示すように、ベース12の側面複数箇所に固定されたL字状のブラケット23と、このブラケット23の水平片中央に穿設された孔23Aに嵌合された除振リング24と、この除振リング24内に挿入され設置台11に螺合された止めボルト25とを有する。除振リング24は、円筒状ゴム24Aの内外を金属製のリング24Bでサンドイッチした構造で、水平方向からの力に対して強く、垂直方向からの力に対して柔軟な特性を備えている。この構造により、外部振動が抑制され、かつ、可動部材(例えば、Xスライダ14、Yスライダ16、Zスピンドル17などの可動部材)の反力によるベース12の揺れが抑制されている。
ベース12とXスライダ14との間には、図2に示すように、Xスライダ14をX方向へ移動させるX軸ガイド機構30XおよびX軸駆動機構40Xがそれぞれ設けられている。
Yコラム15とYスライダ16との間には、Yスライダ16をY方向へ昇降させるY軸ガイド機構30YおよびY軸駆動機構40Yのほかに、Yスライダ16の自重(Yスライダ16、これに搭載されるZスピンドル17、プローブ18などの自量)を相殺するためのY軸バランス機構50Yがそれぞれ設けられている。
Yスライダ16とZスピンドル17との間には、Zスピンドル17をZ方向へ移動させるZ軸ガイド機構30ZおよびZ軸駆動機構40Zがそれぞれ設けられている。
(X軸ガイド機構30XおよびX軸駆動機構40X)
X軸ガイド機構30Xは、図2に示すように、ベース12の上面後側にXスライダ14の移動方向(X方向)に沿って互いに平行にかつ段差をもって配置された一対のガイドレール31Xと、Xスライダ14の下面に設けられガイドレール31Xに摺動自在に係合された複数(前後左右計4つ)の係合ブロック32Xとを含んで構成されている。ガイドレール31Xは、先端部分が根本部分より幅広な断面形状に形成され、係合ブロック32Xは、ガイドレール31Xの断面形状に摺動自在に係合する蟻溝状の係合溝33を有する。
なお、以下の説明において、ガイドレールおよび係合ブロックについては、ガイドレール31Xおよび係合ブロック32Xと同一構造であるため、形状についての説明は省略する。
X軸駆動機構40Xは、図2に示すように、ガイドレール31Xを挟んだベース12の上面両側にZ方向と平行な軸を中心として回転可能に設けられた一対のタイミングギヤ41Xと、この一対のタイミングギヤ41X間に掛け回され一部がXスライダ14に連結されたタイミング駆動ベルト42Xと、一方のタイミングギヤ41Xを回転駆動させるモータ43Xとを含んで構成されている。
(Y軸ガイド機構30Y、Y軸バランス機構50YおよびY軸駆動機構40Y)
Y軸ガイド機構30Yは、図2、図4および図5に示すように、Yコラム15の一側面に設けられYスライダ16をY方向へ案内する第1Y軸ガイド機構301Yと、Yコラム15の他側面(一側面とは反対側の側面)に設けられ後述するカウンタウエイト51をY方向へ案内する第2Y軸ガイド機構302Yとを備える。
第1Y軸ガイド機構301Yは、Yコラム15の一側面に上下方向に沿って設けられた一対のガイドレール31Yと、Yスライダ16に各ガイドレール31Yに摺動自在に係合された複数の係合ブロック32Yとを含んで構成されている。
第2Y軸ガイド機構302Yも、Yコラム15の他側面に上下方向に沿って設けられた一対のガイドレール31Yと、カウンタウエイト51に各ガイドレール31Yに摺動自在に係合された複数の係合ブロック32Yとを含んで構成されている。
ここで、これら第1Y軸ガイド機構301Yおよび第2Y軸ガイド機構302Yは、Yコラム15の長手方向を軸中心として対称構造に、かつ、Yコラム15と各ガイド機構301Y,302Yのガイドレール31Yとは同一材料で形成されている。具体的には、Yコラム15と、第1Y軸ガイド機構301Yおよび第2Y軸ガイド機構302Yのガイドレール31Yとが、アルミニウムまたはアルミニウムを主体とするアルミニウム合金によって構成されている。
これらの部材(Yコラム15や第1,第2Y軸ガイド機構301Y,302Yのガイドレール31Y)が非対称構造や異種材料で構成されていると、環境温度変化時にガイド部に歪み(ストレス)が生じ、精度悪化の原因となる。本実施形態では、Yコラム15やガイドレール31Yが、対称構造に、かつ、同一材料で形成されているから、外部的熱要因(環境温度変化)による影響を排除できる。しかも、アルミニウムまたはアルミニウムを主体とするアルミニウム合金によって構成されているから、大幅な軽量化を実現できる。
また、第1Y軸ガイド機構301Yおよび第2Y軸ガイド機構302Yの係合ブロック32Yについても、同一構成(形状、配置および個数)とされている。これにより、移動時に自己発熱(係合ブロック32Yがガイドレール31Yに沿って移動するときの自己発熱)があっても、その自己発熱による熱変形を極力排除できる。
Y軸バランス機構50Yは、図2、図4および図5に示すように、Yコラム15を挟んでYスライダ16とは反対側面に配置されYスライダ16およびこれに搭載される部材(Zスピンドル17やプローブ18など)の自量を相殺する重量を有するカウンタウエイト51と、Yコラム15の上部および下部にそれぞれ一対設けられたプーリ52と、これらプーリ52に掛け回されYスライダ16およびカウンタウエイト51に連結されたループ状の2本のバランスワイヤ53とを含んで構成されている。
カウンタウエイト51は、図6に示すように、一対の係合ブロック32Yを有する錘取付基板51Aと、この錘取付基板51Aに着脱可能に取り付けられた複数の錘51Bとを有する。ここで、錘取付基板51Aはアルミニウムまたはアルミニウムを主体とするアルミニウム合金によって、また、錘51Bは鉄系材料で構成されている。
一般に、カウンタウエイトには、小スペースで大きな質量をもたせることができる材料として鉄系材料が好ましい。しかし、鉄系材料のままだと、上述した熱の影響によりガイド部を変形させるストレスを完全に排除することは難しい。アルミ系材料で構成した場合、熱の影響は排除できるが、スペース/コストの面で非常に大きなデメリットとなる。本実施形態では、アルミ系材料の錘取付基板51Aに鉄系材料の錘51Bを取り付ける構成としたため、小スペース/低コストを実現できる。
Y軸駆動機構40Yは、図4および図5に示すように、Yコラム15の上部および下部にかつプーリ52の間に設けられたプーリ41Ya〜41Yeと、これらプーリ41Ya〜41Yeに掛け回されYスライダ16およびカウンタウエイト51に連結されたループ状の駆動ベルト42Yと、いずれかのプーリに回転駆動力を与える回転駆動力供給手段としてのモータ43Yとを含んで構成されている。
プーリ41Ya〜41Yeのうち、プーリ41Ya,bはYコラム15の上部左右端に、プーリ41Yc,d,eはYコラム15の下部にそれぞれ設けられている。上部の2つのプーリ41Ya,bは、駆動ベルト42Yに内接されている。下部の3つのプーリ41Yc,d,eのうち、プーリ41YcはYスライダ16からY方向と平行に垂下された駆動ベルト42Yに内接され、プーリ41Ydはカウンタウエイト51からY方向と平行に垂下された駆動ベルト42Yに外接されている。残るプーリ41Yeは、プーリ41Yc,dを旋回した駆動ベルト42Yの一部をYコラム15よりもX方向へ突出させて蛇行部を形成するために、プーリ41YdよりもX方向へずれて配置されている。
モータ43Yは、駆動ベルト42Yの蛇行部に位置するプーリ41Yeに連結され、このプーリ41Yeを回転させる。
(Z軸ガイド機構30ZおよびZ軸駆動機構40Z)
Z軸ガイド機構30Zは、図7に示すように、Zスピンドル17の対向する上下面にZスピンドル17の移動方向に沿って平行にかつZスピンドル17の軸を中心に対称配置された一対のガイドレール31Zと、Yスライダ16に配置されガイドレール31Zに摺動可能に係合する複数の係合ブロック32Zとを有する。
なお、Zスピンドル17は、上面、下面および側面を有する断面矩形の角筒状で、かつ、アルミニウムまたはアルミニウムを主体とするアルミニウム合金によって構成され、上面および下面にガイドレール31Zが配置されている。
Z軸駆動機構40Zは、図7および図8に示すように、一端がYスライダ16に揺動可能に支持された揺動部材45と、この揺動部材45の他端に回動可能に支持されZスピンドル17の側面に当接される駆動ローラ46と、この駆動ローラ46を回転駆動させる回転駆動手段としてモータ47と、揺動部材45をZスピンドル17の側面に向かって付勢する付勢手段48と、この付勢手段48の付勢力を調節する調節ねじ49とを含んで構成されている。
<防塵ケース(図1および図9参照)>
防塵ケース2は、図1に示すように、正面、左右側面、背面および上面を有する箱状のケースで、正面には開口部61が形成されている。
開口部61には、左右方向(X方向)へ折り畳み可能な第1蛇腹蓋62と、この第1蛇腹蓋62の中間に設けられ上下方向(Y方向)折り畳み可能な第2蛇腹蓋63とが装着されている。第2蛇腹蓋63の中間から、横形三次元測定機本体1のZスピンドル17の先端(プローブ18)が突出されている。
第1蛇腹蓋62は、図9に示すように、左右方向(X方向)の所定間隔位置に中間板64が設けられている。これら中間板64の上端部において、第1蛇腹蓋62を吊ったときに第1蛇腹蓋62の重心に相当する位置には角孔65が形成され、この角孔65に両端が防塵ケース2の内壁に固定された角柱状のガイドバー66が挿通されている。また、第1蛇腹蓋62の内側上下位置において、第1蛇腹蓋62の内側への蛇行を防止するための位置規制ワイヤ67が左右方向(X方向)と平行に張設されている。これにより、第1蛇腹蓋62を左右方向(X方向)へスムーズに折り畳むことができるようになっている。
<実施形態の効果>
(1)Y軸バランス機構50Yにおいて、Yコラム15を挟んでYスライダ16とは反対側面に配置されたカウンタウエイト51と、Yコラム15の上部および下部に設けられたプーリ52と、これらプーリ52に掛け回されYスライダ16およびカウンタウエイト51に連結されたループ状のバランスワイヤ53とを含んで構成されているから、Yスライダ16の昇降時のバランスワイヤ53の緩みを排除できる。つまり、バランスワイヤ53がループ状であるから、Yスライダ16の昇降時においても、常にバランスワイヤは「張り側」となって「緩み」が生じることがないから、バランスワイヤ53の緩みによって生じるデメリット(制御性への悪影響、精度悪化、機械寿命への懸念といったデメリット)を解消できる。
(2)Y軸駆動機構40Yについても、Yコラム15の上部および下部に設けられたプーリ41Ya〜41Yeと、これらプーリ41Ya〜41Yeに掛け回されYスライダ16およびカウンタウエイト51に連結されたループ状の駆動ベルト42Yと、プーリ41Yeに回転駆動力を与えるモータ43Yとを含んで構成されているから、従来のように、昇降するYスライダ16に駆動源などを搭載しなくてもよく、軽量化が実現できるため、高加減速仕様に対応できる。
(3)Y軸ガイド機構30Yは、Yコラム15の一側面に設けられた第1Y軸ガイド機構301Y、および、Yコラム15の他側面に設けられた第2Y軸ガイド機構302Yを有し、これら第1Y軸ガイド機構301Yおよび第2Y軸ガイド機構302Yが、Yコラム15の長手方向を軸中心として対称構造に構成されているから、環境温度変化などに対しても、Yコラム15や第1Y軸ガイド機構301Yおよび第2Y軸ガイド機構302Yに歪みが生じにくく、精度悪化の要因を排除できる。つまり、外部的熱影響を排除できる。
(4)第1Y軸ガイド機構301Yおよび第2Y軸ガイド機構302Yは、Yコラム15の側面に上下方向に沿って設けられた一対のガイドレール31Yと、Yスライダ16およびカウンタウエイト51に各ガイドレール31Yに摺動自在に係合された複数の係合ブロック32Yとを含んで構成され、Yコラム15と各ガイド機構301Y,302Yのガイドレール31Yとは同一材料で形成されているから、外部的熱影響(環境温度変化による熱変形)を排除できる。
また、係合ブロック32Yについても、第1Y軸ガイド機構301Yおよび第2Y軸ガイド機構302Yに関して同一構造としたので、Yスライダ16やカウンタウエイト51などの昇降時に生じる自己発熱によるガイドレール31Yの熱変形、つまり、内部的熱影響を排除できる。
(5)Yコラム15と、第1Y軸ガイド機構301Yおよび第2Y軸ガイド機構302Yのガイドレール31Yと、カウンタウエイト51の錘取付基板51Aとが、アルミニウムまたはアルミニウムを主体とするアルミニウム合金によって構成されているから、熱的影響を排除しつつ、軽量化を図ることができる。
(6)Z軸ガイド機構30Zにおいて、一対のガイドレール31Zが、Zスピンドル17の対向する上下面にZスピンドル17の移動方向に沿って平行にかつZスピンドル17の軸を中心として対称配置され、ガイドレール31Zに摺動可能に係合する複数の係合ブロック32ZがYスライダ16に配置されているから、Yスライダ16の重量を軽量化できる。従って、コストダウンが可能であるうえ、Yスライダ16の昇降時の制御性も向上させることができる。
しかも、Zスピンドル17の全長を長くしても、その全長に対応してガイドレール31Zを配置すればよく、Yスライダ16の全長を長くする必要がないから、Zスピンドル17の移動方向の寸法を短くして小型化できる。
(8)Zスピンドル17は、断面矩形の角筒状で、アルミニウム系材料によって構成されているから、より軽量化できる。また、角筒の上面および下面にガイドレール31Zが配置される構造であるから、つまり、角筒の軸を中心に上下対称構造に構成されているから、ガイドレール31ZがYスライダ16の係合ブロック32Zに対して摺動する際に発生する自己発熱による熱変形も排除できる。
(9)Z軸駆動機構40Zは、一端がYスライダ16に揺動可能に支持された揺動部材45と、この揺動部材45の他端に回動可能に支持されZスピンドル17の側面に当接される駆動ローラ46と、この駆動ローラ46を回転駆動させるモータ47と、揺動部材45をZスピンドル17の側面に向かって付勢する付勢手段48とを含んで構成されているから、モータ47を回転駆動させると、駆動ローラ46が回転駆動される。すると、駆動ローラ46が押圧付勢されているZスピンドル17が、Z軸ガイド機構30ZにガイドされながらZ方向へ移動されるから、極めて簡易な構成でZスピンドル17を移動させることができる。
(10)ベース12は、設置台11の上面にゴムなどの吸振部材21を介して載置されているとともに、除振機構22を介して設置台11に連結されているから、外部振動が抑制され、かつ、可動部材(例えば、Xスライダ14、Yスライダ16、Zスピンドル17などの可動部材)の反力によるベース12の揺れを抑制できる。
とくに、除振機構22は、ベース12の側面に固定されL字状のブラケット23と、このブラケット23の水平片中央に穿設された孔23Aに嵌合された除振リング24と、この除振リング24内に挿入され設置台11に螺合された止めボルト25とから構成されているから、つまり、水平方向からの力に対して強く、垂直方向からの力に対して柔軟な特性を備えているから、外部振動を抑制しつつ、可動部材の反力によるベース12の揺れを抑制できる。
(11)防塵ケース2において、第1蛇腹蓋62は、左右方向(X方向)の所定間隔位置に中間板64を有し、こられ中間板64の上端部において、第1蛇腹蓋62を吊ったときに第1蛇腹蓋62の重心に相当する位置には角孔65が形成され、この角孔65に両端が防塵ケース2の内壁に固定された角柱状のガイドバー66が挿通されているから、第1蛇腹蓋62を左右方向(X方向)へスムーズに折り畳むことができる。しかも、第1蛇腹蓋62の内側上下位置において、第1蛇腹蓋62の内側への蛇行を防止するための位置規制ワイヤ67が左右方向(X方向)と平行に張設されているから、第1蛇腹蓋の蛇行を規制できる。
<変形例>
本発明は、前述の実施形態に限定されるものでなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良などは本発明に含まれる。
X軸駆動機構40Xについては、タイミングギヤ41Xと、駆動ベルト42Xと、モータ43Xとから構成したが、これに限られない。例えば、X方向に沿って配置された送りねじ軸と、この送りねじ軸に螺合されXスライダに固定されたナット部材と、送りねじ軸を回転させるモータとを有する送りねじ機構などでもよく、あるいは、リニアモータ機構などでもよい。
X軸ガイド機構30Xについても、前記実施形態に限られない。例えば、ベース12の上面に複数本のガイドロッドをX方向に沿って配置し、これに嵌合して摺動する係合ブロックをXスライダの下面に配置した構成であってもよい。
Y軸駆動機構40Yにおいて、前記実施形態では5つのプーリ41Ya〜eを含んで構成されていたが、Yコラム15の上部と下部にそれぞれプーリを配置した構成、つまり、少なくとも2つのプーリを配置した構成でも可能である。
Y軸ガイド機構30Yにおいて、前記実施形態では第1Y軸ガイド機構301Yと第2Y軸ガイド機構302YとをYコラム15を中心として対称構造としたが、必ずしも、対称構造でなくてもよい。また、材料についても、同一材料でなくてもよい。
Y軸バランス機構50Yにおいて、前記実施形態ではカウンタウエイト51、プーリ52、2本のバランスワイヤ53を含んだ構成としたが、1本のバランスワイヤで連結する構成であってもよい。
Z軸ガイド機構30Zにおいて、前記実施形態では、Zスピンドル17の上下面にガイドレール31Zが配置され、Yスライダ16にガイドレール31Zに係合する係合ブロック32Zが配置された構成としたが、これとは逆であってもよい。つまり、Yスライダ16にガイドレール31Zが配置され、Zスピンドル17にガイドレール31Zに係合する係合ブロック32Zが配置された構成であってもよい。
Z軸駆動機構40Zにおいて、前記実施形態では、駆動ローラ46をZスピンドル17の側面に押圧して駆動させる構成であったが、これに限られない。例えば、リニアモータ機構などでもよい。
前記実施形態では、Yコラム15、第1Y軸ガイド機構301Yおよび第2Y軸ガイド機構302Yのガイドレール31Y、カウンタウエイト51の錘取付基板51A、Zスピンドル17、Z軸ガイド機構30Zのガイドレール31Zを、アルミニウムまたはアルミニウムを主体とするアルミニウム合金によって構成したが、これに限られない。
本発明は、比較的大型のワークの形状などを測定する三次元測定機として利用できる。
本発明に係る三次元測定機の一実施形態を示す斜視図。 同上実施形態の横形三次元測定機本体の斜視図。 同上実施形態において、設置台とベースとの結合部分を示す断面図。 同上実施形態において、Yコラムを正面から見た図。 同上実施形態において、Yコラムを上面から見た図。 同上実施形態において、カウンタウエイトを示す斜視図。 同上実施形態において、YスライダおよびZスピンドルを正面から見た図。 同上実施形態において、Z軸駆動機構の水平断面図。 同上実施形態において、防塵ケースの第1蛇腹蓋を内側から見た斜視図。
符号の説明
1…横形三次元測定機本体、
12…ベース、
14…Xスライダ、
15…Yコラム、
16…Yスライダ、
17…Zスピンドル、
18…プローブ(測定子)、
30Y…Y軸ガイド機構、
301Y…第1Y軸ガイド機構、
302Y…第2Y軸ガイド機構、
31Y…ガイドレール、
32Y…係合ブロック、
40Y…Y軸駆動機構、
41Y、41Ya〜41Ye…プーリ、
42Y…駆動ベルト、
43Y…モータ(回転駆動力供給手段)、
50Y…Y軸バランス機構、
51…カウンタウエイト、
51A…錘取付基板、
51B…錘、
52…プーリ、
53…バランスワイヤ。

Claims (5)

  1. ベースと、このベースの上面に水平方向へ移動可能に設けられたXスライダと、このXスライダに略垂直に立設されたYコラムと、このYコラムに沿って昇降可能に設けられたYスライダと、このYスライダに前記XスライダおよびYスライダの移動方向に対して直交する方向へ移動可能に設けられたZスピンドルと、このZスピンドルの先端に設けられた測定子とを備えた三次元測定機の昇降装置であって、
    前記Yスライダおよびこれに搭載される部材の自量を相殺するバランス機構と、前記Yスライダを前記Yコラムに沿って昇降駆動させる駆動機構とを備え、
    前記バランス機構は、前記Yコラムを挟んで前記Yスライダとは反対側面に配置され前記自量を相殺する重量を有するカウンタウエイトと、前記Yコラムの上部および下部にそれぞれ一対設けられた第1のプーリと、前記Yコラムの上部及び下部の第1のプーリに掛け回され前記Yスライダおよび前記カウンタウエイトに連結された2本のループ状のバランスワイヤとを含んで構成され、
    前記駆動機構は、前記Yコラムの上部および下部に、一対の前記第1のプーリの間に設けられた第2のプーリと、これら第2のプーリに掛け回され前記Yスライダおよび前記カウンタウエイトに連結されたループ状の駆動ベルトと、前記第2のプーリに回転駆動力を与える回転駆動力供給手段とを含んで構成され、
    前記Yスライダは、前記Yコラムの一側面に設けられた第1ガイド機構により前記Yコラムに沿って昇降可能に設けられ、前記カウンタウエイトは、前記Yコラムの一側面とは反対の他側面に設けられた第2ガイド機構により前記Yコラムに沿って昇降可能に設けられ、
    前記第1ガイド機構および前記第2ガイド機構は、前記Yコラムの長手方向を軸中心として対称構造に構成されている
    ことを特徴とする三次元測定機の昇降装置。
  2. 請求項1に記載の三次元測定機の昇降装置において、
    前記第2のプーリは、
    前記Yコラムの上部の前記Yスライダ側に設けられた第3のプーリと、
    前記Yコラムの上部の前記カウンタウェイト側に設けられた第4のプーリと、
    前記Yコラムの下部の前記Yスライダ側に設けられた第5のプーリと、
    前記Yコラムの下部の前記カウンタウェイト側に設けられた第6のプーリと、
    前記第3のプーリ、前記第4のプーリ、前記第5のプーリ、及び前記第6のプーリのいずれかの2つのプーリ間に設けられた第7のプーリと、を備え、
    前記駆動ベルトには、前記第3のプーリ、前記第4のプーリ、前記第5のプーリ、及び前記第6のプーリが内接され、前記第7のプーリが外接される
    ことを特徴とする三次元測定機の昇降装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の三次元測定機の昇降装置において、
    前記第1ガイド機構は、前記Yコラムの一側面に上下方向に沿って設けられた一対のガイドレールと、前記Yスライダに前記各ガイドレールに摺動自在に係合された複数の係合ブロックとを含んで構成され、
    前記第2ガイド機構は、前記Yコラムの他側面に上下方向に沿って設けられた一対のガイドレールと、前記カウンタウエイトに前記各ガイドレールに摺動自在に係合された複数の係合ブロックとを含んで構成され、
    前記Yコラムと前記第1ガイド機構および前記第2ガイド機構のガイドレールとは、前記Yコラムの長手方向を軸中心として対称構造に、かつ、同一材料で形成されている
    ことを特徴とする三次元測定機の昇降装置。
  4. 請求項に記載の三次元測定機の昇降装置において、
    前記第1ガイド機構の係合ブロックと前記第2ガイド機構の係合ブロックとは、前記Yコラムの長手方向を軸中心として対称で、かつ、同一構造に構成されている
    ことを特徴とする三次元測定機の昇降装置。
  5. 請求項または請求項に記載の三次元測定機の昇降装置において、
    前記カウンタウエイトは、一対の係合ブロックを有する錘取付基板と、この錘取付基板に着脱可能に取り付けられた複数の錘とを含んで構成され、
    前記Yコラムと、前記第1ガイド機構および前記第2ガイド機構のガイドレールと、前記カウンタウエイトの錘取付基板とが、アルミニウムまたはアルミニウムを主体とするアルミニウム合金によって構成されている
    ことを特徴とする三次元測定機の昇降装置。
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