図1は,本発明にかかる電子付箋紙システム1の作用を概説するための図である。
図1に示す付箋紙表示画面は,電子付箋紙システム1の付箋データを表示する表示領域である。
付箋紙表示画面に付箋紙j1〜j8が表示されているとする。付箋紙j1〜j6には,A1,B1,B2,C1〜C3の各情報が内容情報として記されている付箋紙である。付箋紙j7は,日付登録付箋と呼ばれる機能付き付箋紙(日付登録付箋)であって,その内容情報には,他のアプリケーションであるスケジュール管理ソフトを利用して,計画の開始日を登録する日付登録処理を行う処理命令が含まれている。
付箋紙j8は,検索付箋と呼ばれる機能付き付箋紙(検索付箋)であって,その内容情報には,他のアプリケーションであるインターネット検索ソフトを利用して,テキストデータによるインターネット検索処理を行う処理命令が含まれているとする。
電子付箋紙システム1は,起動されると,付箋データ記憶部に記憶されている付箋紙j1〜j8の付箋データを取得して,付箋紙表示画面に付箋紙j1〜j8を表示し,ユーザの操作によって生じる変更に応じて付箋紙の表示内容や位置を更新し,表示する。
例えば,付箋紙表示画面上で,付箋紙j5(C2の情報)がマウスドラッグされて,日付登録付箋j7の表示領域に重なるように移動されたとする。
電子付箋紙システム1は,日付登録付箋紙j7と付箋紙j5との位置関係から,これらの付箋データに親子関係を設定して,付箋紙j5に記された内容情報(C2の情報)を日付登録付箋紙j7に定義されている処理命令への入力情報に設定し,この処理命令を実行する。
具体的には,日付登録付箋紙j7の内容情報である処理命令によって対応するスケジュール管理ソフトウェアが起動し,付箋紙j5の内容情報(C2の情報:日付)を入力情報として取得して,取得したC2の情報(日付)を日付登録付箋紙j7に定義された計画の開始日に設定する。
また,付箋紙表示画面上で,付箋紙j6(C3の情報)がマウスドラッグされて,検索付箋紙j8の表示領域に重なるように移動されたとする。
電子付箋紙システム1は,検索付箋紙j8と付箋紙j6との位置関係から,これらの付箋データに親子関係を設定する。そして,検索付箋紙j8の内容情報の処理命令によって,対応するインターネット検索ソフトウェアが起動して付箋紙j6に記された内容情報(C3の情報:テキストデータ)を検索条件への入力情報として取得し,取得したC3の情報(テキストデータ)を検索語としてインターネット検索を行う。
さらに,付箋紙表示画面上で,付箋紙j4(C1の情報)がマウスドラッグされて,検索付箋紙j8の表示領域に重ねられたとする。この場合に,電子付箋紙システム1は,検索付箋紙j8を親とし,付箋紙j6と付箋紙j4とを子とする親子関係を設定する。そして,検索付箋紙j8の処理命令に対応するインターネット検索ソフトウェアによって,付箋紙j4の内容情報(C1の情報:テキストデータ)と付箋紙j6に記された内容情報(C3の情報:テキストデータ)とを入力情報として,これらの2つのテキストデータを検索語としてインターネット検索を行う。
このように,付箋紙表示画面上に表示される付箋紙の内容情報に処理命令が含まれている場合に,その付箋紙と重なる他の付箋紙の内容情報を,その処理命令への入力情報として付箋紙に定義された処理を実行することができる。
電子付箋紙システム1では,付箋紙j5,j6,j4等の付箋紙は,機能付き付箋紙の領域へドラッグされても,その内容情報が変更されない。そのため,ユーザは,機能付き付箋紙の入力情報となる内容情報が記された付箋紙を何度でも利用することができ,処理の度に情報を入力する必要がなくなる。
電子付箋紙システム1では,付箋紙j7,j8のような機能付き付箋紙を予め用意しておくことができる。そのため,ユーザは,必要な機能付き付箋紙と,その入力情報とを付箋紙表示画面40上に表示させるようにするだけで,定型的な処理を,情報の入力操作を行わずに,簡単に実行させることができる。
また,電子付箋紙システム1では,付箋紙のデータ(付箋データ)の作成によって,機能付き付箋紙を追加することができる。そのため,ユーザが必要とする様々な処理機能を,付箋紙表示画面を通じて簡単に提供することができる。
図2は,本発明の実施の形態における電子付箋紙システム1の構成例を示す図である。
本実施の形態において,電子付箋紙システム1は,LANまたはWANのようなネットワークを介して相互にデータ通信を行うサーバ装置2とユーザ装置3とで構成される。
サーバ装置2は,付箋データ記憶部21と付箋データ更新プログラム23とを備える。
付箋データ記憶部21は,付箋紙表示画面40において付箋紙(付箋データ)の表示位置を示す基準点と,付箋紙の表示領域の大きさを示す表示領域と,付箋紙の内容である内容情報とを含む付箋データを記憶する記憶部である。
付箋データ更新プログラム23は,サーバ装置2にインストールされて実行されるプログラムであり,付箋データ更新部231を実現するためのプログラムである。
付箋データ更新部231は,ユーザ装置1で付箋紙表示画面40に表示されている付箋紙(付箋データ)に変更が生じた場合に,その変更情報をもとに付箋データ記憶部21の該当する付箋データを更新する。
サーバ装置2は,付箋データ処理プログラム31を保持して,ユーザ装置3から電子付箋紙システム1の起動要求を受け付けると,付箋データ処理プログラム31をユーザ装置3へ送信する。付箋データ処理プログラム31は,例えばjavascriptによるプログラムであり,送信先のユーザ装置3において動作して,所定の処理を実行することができるものとする。
ユーザ装置3は,サーバ装置2から,付箋データ処理プログラム31を受信することによって,付箋データ処理プログラム31が実現する処理部を備えて,ディスプレイに付箋紙表示画面40を表示する。
付箋データ処理プログラム31は,ユーザ装置3に,付箋データ取得部311と重なり処理部312と処理実行部313と表示処理部314と付箋データ更新部315とを構築して特定の処理を実行させることができる。
付箋データ取得部311は,付箋データ記憶部21から付箋データを取得する。
重なり処理部312は,付箋紙表示画面40に複数の付箋データが表示されている場合に,付箋データ同士の位置関係を調べて,付箋データの所定の重なり領域に他の付箋データの基準点が位置する関係にある付箋データについて,重なり領域に他の付箋データの基準点が位置している付箋データを「親付箋紙」とし,基準点が他の付箋データの重なり領域に位置する付箋データを「子付箋紙」とする親子関係を設定する。
また,重なり処理部312は,この親子関係によって連なる付箋紙全てを抽出して付箋紙グループを設定し,付箋紙グループ内の付箋紙の関連する子付箋紙数を計算して,付箋の重み数(重み係数)として付与する。
処理実行部313は,付箋データの内容情報が所定の処理を実行するための処理命令を含む場合に,ユーザの入力操作によってこの処理命令に与えられる情報を入力情報として,この入力情報を用いて処理命令を実行する。
また,処理実行部313は,親子関係が設定された付箋紙の内容情報が処理命令を含む場合に,親子関係にある子付箋紙の内容情報を入力情報として,親付箋紙の処理命令を実行する。
表示処理部314は,付箋データ取得部311が取得した付箋紙を,その基準点に基づいて付箋紙表示画面40に表示する。また,表示処理部314は,処理実行部313が実行した処理の実行結果を,その付箋紙の表示領域に表示する。
付箋データ更新部315は,付箋紙表示画面40に表示された付箋データに対する変更が検出された場合に,検出された変更の情報を,付箋データ更新部231へ通知する。ユーザ装置3の付箋データ更新部315とサーバ装置2の付箋データ更新部231との組み合わせが,特許請求の範囲に記載する付箋データ更新部に相当する。
本実施の形態において,電子付箋紙システム1は,一例として,付箋データをXML形式のデータとして保持し,表示処理部314は,Webブラウザの機能によって付箋紙表示画面40を実施する。しかし,付箋データのデータ形式は,他のデータ形式であってもよい。
また,図2では,サーバ装置2とユーザ装置3とに分離して電子付箋紙システム1の各処理部が実施されるように構成される例を示しているが,電子付箋紙システム1を構成する各処理部全てをユーザ装置3のローカル環境下に備えるようにしてもよい。
図3は,付箋データに相当するテーブルのデータ項目の例を示す図である。
付箋データ取得部311は,付箋データ記憶部21から取得した付箋データを,図3(A)に示すようなテーブルに展開する。図3(A)に示すテーブルは,「コード」,「タイプ」,「重なり計数」,「カラー番号」,「サイズ」,「位置」,「タイトル」,「項目1〜6」の付箋データ項目を有する。
コードは,付箋紙(付箋データ)を一意に識別するために発番されたコードを示す情報である。
タイプは,付箋データの種別を示す情報である。付箋データ記憶部21には,例えば,「通常,リンク,画像,計算,特殊」と区分されるタイプの付箋データが記憶される。
通常は,内容情報として,文字または数字等のデータを含む付箋データのタイプを示す。リンクは,内容情報として,記述されたリンク先へアクセスする処理命令を含む付箋データのタイプを示す。画像は,内容情報として,画像データを表示させる処理命令を含む付箋紙のデータのタイプを示す。計算は,内容情報として,所定の計算処理を実行する処理命令を含む付箋データのタイプを示す。特殊は,内容情報として予め定義された処理を実行するための処理命令を含む付箋データのタイプである。
重なり係数は,重なり処理部312によって決定された付箋データグループを構成する付箋データ(親子関係を持つ付箋データ)のうち,子付箋データに該当する付箋データの数を示す。
カラー番号は,付箋データの表示領域の背景色を示す色コードを示す情報である。サイズは,付箋紙表示画面40で表示される付箋紙の大きさを示す情報である。位置は,付箋紙表示画面40で表示される付箋紙の位置を示す情報である。タイトルは,付箋紙の付箋タイトル(名称)を示す情報である。
項目1〜項目6は,付箋データの設定情報を格納する項目であり,付箋のタイプごとに項目が定義される。
図3(B)は,通常タイプの付箋データでのテーブルの項目1〜6の定義例を示す図である。
通常タイプの付箋データでは,「項目1」に付箋の内容(付箋紙に表示される情報),「項目2」に,付箋紙の表示の開始日時を示す開始日時情報,「項目3」に付箋紙の表示の終了日時を示す終了日時情報を設定し,「項目4〜項目6」は未使用として定義される。
図4は,付箋紙表示画面40に表示される付箋紙の表示例を示す図である。
付箋紙表示画面40に表示される付箋紙10は,表示処理部314によって,付箋データの位置とサイズとに基づいて付箋紙表示画面40上の所定の位置に表示される。
図4(A)に示すように,付箋紙10は,タイトル行11と内容行12とフッタ行13との表示領域を持つ。
タイトル行11は,付箋データのタイトルを表示する表示領域であり,図4(B)に示すように,背景色ボタン111と編集ボタン113と終了ボタン115とを備える。
背景色ボタン111は,クリックによって内容行12とフッタ行13との背景色を変更する処理を実行するためのボタンである。編集ボタン113は,付箋データの編集処理を開始するためのボタンで,終了ボタン115は,付箋データの表示を終了するためボタンである。
なお,付箋データで背景色が指定されている場合に,内容行12とフッタ行13とは,指定された背景色で表示される。
また,編集ボタン113で開始される付箋データの編集処理は,既知のテキストデータ編集処理の機能によって実施できる。
内容行12は,付箋紙の内容を表示する領域であり,例えば,「通常」の付箋データの場合に,項目1の付箋の内容,項目2の開始日時情報,項目3の終了日時情報が表示される。
フッタ行13は,図4(B)に示すように,移動ボタン131と順序ボタン133とサイズボタン135とを備える。
移動ボタン131は,付箋紙の表示位置を移動させる処理を実行するためのボタンであり,付箋紙表示画面40の上下左右の4方向のボタンをクリックすることによって,対応する方向に付箋紙の表示位置が移動する。順序ボタン133は,付箋紙が重なる場合に,重なりの順序を変更する処理を実行するためのボタンである。「+(プラス)」のボタンをクリックすることによって,該当する付箋紙が前面に移動し,「−(マイナス)」のボタンをクリックすることによって該当する付箋紙が後面に移動する。サイズボタン135は,付箋紙のサイズを変更する処理を実行するためのボタンである。サイズボタン135をマウスドラッグすることによって,付箋紙のサイズを任意の大きさに変更する。
以下に,電子付箋紙システム1の処理を説明する。
予め,ユーザ装置3が,サーバ装置2から付箋データ処理プログラム31を取得してインストールされ,各処理部が構築されているものとする。
〔処理概説〕
図5は,電子付箋紙システム1の全体処理フローを示す図である。
付箋データ取得部311は,付箋データ記憶部21から付箋データを取得する(ステップS1)。
付箋データ取得部311は,取得した付箋データを1つずつ取り出して(ステップS2),取り出した付箋データをテーブルの該当する配列へセットする(ステップS3)。そして,付箋データ取得部311は,付箋紙タイプを判定し(ステップS4〜S8),付箋紙タイプが「通常」であれば(ステップS4のY),通常付箋紙の表示処理へ進み(ステップS40),付箋紙タイプが「リンク」であれば(ステップS5のY),リンク付箋紙の表示処理へ進み(ステップS50),付箋紙タイプが「画像」であれば(ステップS6のY),画像付箋紙の表示処理へ進み(ステップS60),付箋紙タイプが「計算」であれば(ステップS7のY),計算付箋紙の表示処理へ進み(ステップS70),付箋紙タイプが「特殊」であれば(ステップS8のY),特殊付箋紙の表示処理へ進む(ステップS80)。
そして,取得した付箋データを全て処理していなければ(ステップS9のN),ステップS2の処理へ戻り,全て処理していれば(ステップS9のY),処理を終了する。
〔通常付箋紙の表示処理〕
次に,通常付箋紙の表示処理を説明する。
通常付箋紙の表示処理では,付箋データ取得部311によって取得された付箋データは,重なり処理部312と処理実行部313とによる処理が行われず,表示処理部314で処理される。
図6は,通常付箋紙の付箋データの例を示す図である。
付箋データ取得部311が,図6(A)に示すXML形式の付箋データを付箋データ記憶部21から取得して(図5:ステップS1),図6(B)に示す付箋データのテーブルの配列に各データをセットする(図5:ステップS3)。そして,付箋紙のタイプが“fusen”であれば「通常」タイプの付箋データ(通常付箋紙)と判断して,通常付箋紙の表示処理(ステップS40)が開始される。
図7は,通常付箋紙の表示処理(ステップS40)の詳細処理フローを示す図,図8は,通常付箋紙の表示データの例を示す図である。
表示処理部314は,図6(B)に示す付箋データのテーブルのタイトルから「○○について」を抽出して,タイトル行11を生成する(ステップS41)。
さらに,表示処理部314は,図6(B)に示す付箋データのテーブルの項目2,項目3に開始日(2009/01/01)または終了日(2009/12/31)が設定されている場合のみ(ステップS42のY),開始日または終了日を生成して,内容行12の開始日と終了日とを生成する(ステップS43)。さらに,表示処理部314は,図6(B)に示す付箋データのテーブルの項目1(内容)から「××の件」を抽出して,内容行12を生成する(ステップS44)。さらに,表示処理部314は,所定のフッタ行13を生成する(ステップS45)。
表示処理部314は,ステップS41〜S45の処理の結果,図8(A)に示す付箋紙の表示データを生成する。付箋紙表示画面40には,図8(B)に示すような付箋紙10が表示される。
〔リンク付箋紙の表示処理〕
次に,リンク付箋紙の表示処理を説明する。
リンク付箋紙の表示処理では,付箋データ取得部311によって取得された付箋データは,重なり処理部312と処理実行部313とによる処理が行われず,表示処理部314によって処理される。
図9は,リンク付箋紙の付箋データの例を示す図である。
付箋データ取得部311が,図9(A)に示すXML形式の付箋データを付箋データ記憶部21から取得して(図5:ステップS1),図9(B)に示す付箋データのテーブルの配列に各データをセットし(図5:ステップS3),付箋紙のタイプが“link”であれば「リンク」タイプの付箋データ(リンク付箋紙)と判断して,リンク付箋紙の表示処理(ステップS50)が開始される。
図10は,リンク付箋紙の表示処理(ステップS50)の詳細処理フローを示す図,図11は,リンク付箋紙の表示データの例を示す図である。
表示処理部314は,図9(B)に示す付箋データのテーブルのタイトルから「○○サイト」を抽出して,タイトル行11を生成する(ステップS51)。
さらに,表示処理部314は,付箋紙の内容行12のベースとなるデータを生成し(ステップS52),図9(B)に示す付箋データのテーブルの項目2(リンク表記)に,「リンク表記(××ページ)」が設定されていれば(ステップS53のY),内容行12にリンク表記を表示し,図9(B)に示す付箋データのテーブルの項目1(内容)を抽出してリンクを生成する(ステップS54)。一方,付箋データのテーブルの項目2(リンク表記)にデータが設定されていなければ(ステップS53のN),内容行12にリンク先を表示し,図9(B)に示す付箋データのテーブルの項目1(内容)を抽出してリンクを生成する(ステップS55)。さらに,表示処理部314は,所定のフッタ行13を生成する(ステップS56)。
そして,表示処理部314は,ユーザ装置3のディスプレイに別ウィンドウを生成して,リンクをもとに取得したデータを生成したウィンドウに表示する(ステップS57)。
表示処理部314は,ステップS51〜S56の処理の結果,図11(A)に示す付箋紙の表示データを生成する。付箋紙表示画面40には,図11(B)に示すような付箋紙10が表示される。
〔画像付箋紙の表示処理〕
次に,画像付箋紙の表示処理を説明する。
画像付箋紙の表示処理では,付箋データ取得部311によって取得された付箋データは,重なり処理部312と処理実行部313とによる処理が行われず,表示処理部314で処理される。
図12は,画像付箋紙の付箋データの例を示す図である。
付箋データ取得部311が,図12(A)に示すXML形式の付箋データを付箋データ記憶部21から取得して(図5:ステップS1),図12(B)に示す付箋データのテーブルの配列に各データをセットし(図5:ステップS3),付箋紙のタイプが“image”であれば「画像」タイプの付箋データ(画像付箋紙)と判断して,画像付箋紙の表示処理(ステップS60)が開始される。
図13は,画像付箋紙の表示処理(ステップS60)の詳細処理フローを示す図,図14は,画像付箋紙の表示データの例を示す図である。
表示処理部314は,図12(B)に示す付箋データのテーブルのタイトルから「雪山」を抽出して,タイトル行11を生成し(ステップS61),付箋紙の内容行12のベースとなるデータを生成する(ステップS62)。そして,表示処理部314は,図12(B)に示す付箋データのテーブルの項目2(リンク先)に,「リンクURL」が設定されていれば(ステップS63のY),リンクURL「http://www.xxx.com」をリンク先として画像データを取得し,内容行12に取得した画像データを表示する(ステップS64)。一方,付箋データのテーブルの項目2(リンクURL)にデータが設定されていなければ(ステップS63のN),図12(B)に示す付箋データのテーブルの項目1(画像URL)を取得し,内容行12に画像URLで取得した画像を表示する(ステップS65)。
さらに,表示処理部314は,所定のフッタ行13を生成する(ステップS66)。
表示処理部314は,ステップS61〜S66の処理の結果,図14(A)に示す付箋紙の表示データを生成する。付箋処理表示画面40には,図14(B)に示すような付箋紙10が表示される。
〔計算付箋紙の表示処理〕
次に,計算付箋紙の表示処理を説明する。
計算付箋紙の表示処理では,付箋データ取得部311によって取得された付箋データは,重なり処理部312に渡されて,付箋紙表示画面40に表示された付箋紙に重なりがあれば,重なり処理が実行される。そして,付箋データと重なり処理部312の処理結果とが処理実行部313に渡され,付箋データと処理実行部313で処理が実行される。さらに,付箋データと処理実行部313の処理結果とが表示処理部314に渡されて処理される。
図15は,計算付箋紙の付箋データの例を示す図である。
付箋データ取得部311が,図15(A)に示すXML形式の付箋データを付箋データ記憶部21から取得して(図5:ステップS1),図15(B)に示す付箋データのテーブルの配列に各データをセットし(図5:ステップS3),タイプが“calc”であれば「計算」タイプの付箋データ(計算付箋紙)と判断して,計算付箋紙の表示処理(ステップS70)が開始される。
図16は,計算付箋紙の表示処理(ステップS70)の詳細処理フローを示す図,図17は,計算付箋紙の表示データの例を示す図である。
表示処理部314は,図15(B)に示す付箋データのテーブルのタイトルから「足し算」を抽出して,タイトル行11を生成し(ステップS71),付箋紙の内容行12のベースとなるデータを生成する(ステップS72)。
そして,処理実行部313は,図15(B)に示す付箋データのテーブルの項目3(計算タイプ)の「0(計算ボックス)」,項目2(色判断)をもとに色判断の有無,項目1(計算内容)の「+」をもとに計算方法を,セットする(ステップS73)。ここで,計算タイプの「0(計算ボックス)」は,付箋紙に重なる付箋紙の内容情報(数値)を処理命令への入力情報とするタイプの計算を示す。また,色判断の「0(しない)」は,付箋紙の背景色(付箋データのカラー番号)による区別をしないことを示す。
次に,重なり処理部312が重なり処理を行い(ステップS74),処理実行部313が,セットした計算処理を行う(ステップS75)。
その後,表示処理部314は,処理実行部313の計算処理の結果を得て,内容行12に計算結果を表示し(ステップS76),所定のフッタ行13を生成する(ステップS77)。
ここで,ステップS74の重なり処理において,処理対象の付箋紙に重なる付箋紙がない場合には,付箋データに定義された処理命令(計算内容)への入力情報がないことになり,ステップS75の計算処理は実行されない。さらに,ステップS76の計算結果も付箋紙の内容行12に表示されない。
なお,重なり処理(ステップS74),計算処理(ステップS75)の詳細な処理動作は,後述する。
そして,表示処理部314は,ステップS71,S76〜S77の処理の結果,図17(A)に示す付箋紙の表示データを生成する。付箋紙表示画面40には,図17(B)に示すような付箋紙10が表示される。
〔特殊付箋紙の表示処理〕
次に,特殊付箋紙の表示処理を説明する。
特殊付箋紙の表示処理では,付箋データ取得部311によって取得された付箋データは,計算付箋紙の表示処理の場合と同様に,重なり処理部312,処理実行部313に渡されて,それぞれ処理が実行される。
なお,特殊処理として,重なった他の付箋紙の内容情報を入力情報として用いる処理,重なった他の付箋紙へ処理結果を出力する処理等の処理命令が定義される。
ここでは,特殊処理として,カレンダ情報および時計情報の取得処理のための処理命令が定義された特殊付箋紙の表示例を説明する。
図18は,特殊付箋紙の付箋データの例を示す図である。
付箋データ取得部311が,図18(A)に示すXML形式の付箋データを付箋データ記憶部21から取得して(図5:ステップS1),図18(B)に示す付箋データのテーブルの配列に各データをセットし(図5:ステップS3),タイプが“special”であれば「特殊」タイプの付箋データ(特殊付箋紙)と判断して,特殊付箋紙の表示処理(ステップS80)が開始される。
図19は,特殊付箋紙の表示処理(ステップS80)の詳細処理フローを示す図,図20は,特殊付箋紙の表示データの例を示す図である。
表示処理部314は,図18(B)に示す付箋データのテーブルのタイトルから「時計」を抽出して,タイトル行11を生成し(ステップS81),内容行12のベースとなるデータを作成する(ステップS82)。
そして,処理実行部313は,図18(B)に示す付箋データのテーブルの項目1(特殊処理タイプ)の「clock」をセットする(ステップS83)。なお,図18(B)に示す付箋データのテーブルの拡張項目に設定された情報があればその情報もセットする。
次に,重なり処理部312が重なり処理を行い(ステップS84),処理実行部313が,セットした特殊処理を行う(ステップS85)。
ここでは,セットされた特殊処理として,所定のアクセス先,例えばサーバ装置2から,現在の日付と時刻の情報(現在日時情報)とを取得し,取得した現在日時情報を,ユーザ操作により選択された設定情報として関連する付箋データに設定する処理(特殊処理)を行う。
その後,表示処理部314は,処理実行部313の特殊処理の処理結果を得て,内容行12に処理結果を表示し(ステップS86),所定のフッタ行13を生成する(ステップS87)。
表示処理部314は,ステップS81,S85〜S86の処理の結果,図20(A)に示す付箋紙の表示データを生成する。付箋紙表示画面40には,図20(B)に示すような付箋紙10が表示される。
〔重なり処理〕
重なり処理部312は,付箋紙表示画面40に複数の付箋紙10が表示されている場合に,付箋紙同士が重畳して表示された状態である「重なり」を検出する。
図21は,付箋紙の重なりを説明するための図である。
付箋紙表示画面40に3つの付箋紙10a,10b,10cが表示されているとする。付箋紙10aは,計算付箋紙であり,内容情報が含む計算処理として,「入力情報(値情報)iを足し算する」という計算を行う。付箋紙10b,10cは,通常付箋紙であって,内容情報に数値が設定されている。
また,3つの付箋紙10a,10b,10cは,表示処理部314によって,初期状態として,付箋紙表示画面40の所定の位置に並べて表示されているとする。そして,ユーザのマウスドラッグ操作によって,付箋紙10b,付箋紙10cの位置が移動して,図21に図示する状態が生じたものと仮定する。
重なり処理部312は,付箋紙10a,10b,10cそれぞれに対応する付箋データを参照して,付箋紙に重なりが生じているかを検出する。
ここでは,重なり領域として,付箋データのサイズに設定された領域が,基準点として付箋データの位置に設定された座標(左上の頂点の座標)が,それぞれ使用されるものとする。具体的には,付箋紙10aの位置およびサイズが,「縦位置(Y):100,横位置(X):270」,「幅:300,高さ:200」である場合に,基準点(X,Y)が「270,100」となり,重なり領域を示す4つの頂点(X,Y)が,「(270,100);(570,100);(270,300);(570,300)」となる。
また,マウスドラッグされた付箋紙10b,付箋紙10cの基準点(X,Y)が,それぞれ,「400,170」,「240,260」であるとする。
重なり処理部312は,付箋紙10aの重なり領域内に,付箋紙10b,付箋紙10cの基準点が位置するか,具体的には,これらの付箋紙の基準点(X,Y)が270<X<570,かつ,Y座標が100<Y<300となるかを調べる。そして,付箋紙10bの基準点(X:440,Y:170)が,付箋紙10aの重なり領域に位置すると判定した場合に,付箋紙10aを親付箋紙,付箋紙10bを子付箋紙とする親子関係を設定する。
また,重なり処理部312は,付箋紙10cの基準点(X:240,Y:260)は,270<X<570,かつ,Y座標が100<Y<300ではないため,付箋紙10aの重なり領域に位置していないと判定して,付箋紙10aと付箋紙10cとには親子関係を設定しない。
また,重なり処理部312は,上記のようにして付箋紙の重なりを判定して親子関係を設定した付箋紙について,設定した親子関係が連なる付箋紙全てを抽出して付箋紙グループを設定し,付箋グループごとに関連付箋紙の情報を生成する。
図22は,親子関係で関連付けられる付箋紙の例を示す図である。
図22に示す,3つの付箋紙10x,10y,10zはそれぞれが重なりの位置にあり,付箋紙10x(親)と付箋紙10y(子)との親子関係,付箋紙10y(親)と付箋紙10z(子)との親子関係が,それぞれ設定される。2つの親子関係は,付箋紙10yによって連続するため,重なり処理部312は,付箋紙10x,10y,10zを1つの付箋紙グループとして扱う。
重なり処理部312は,付箋紙グループ内の各付箋紙について,その付箋紙からみて子付箋紙として連続する付箋紙の付箋データのコードを抽出して特定し,特定した子付箋紙の数を集計して,各付箋紙の「付箋紙の重み(重み係数)」とする。
図22に示す具体例で,重なり処理部312は,付箋紙10xについて,2つの子付箋紙(付箋紙10y,10z)を特定し,付箋紙10xの重み係数を「2」とする。同様にして,付箋紙10yについて,1つの子付箋紙(付箋紙10z)を特定し,付箋紙10yの重み係数を「1」とする。さらに,付箋紙10zについて,子付箋紙がないので,付箋紙10zの重み係数を「0」とする。重なり処理部312は,各付箋紙について特定した子付箋紙と付箋紙の重み(重み係数)を関連付箋紙情報として保持する。
さらに,重なり処理部312は,付箋紙グループ内の各付箋紙について,付箋紙の重み(重み係数)が小さい順に付箋紙(コード)をソートし,ソート済み付箋紙情報として保持する。
処理実行部313は,重なり処理部312から渡されるソート済み付箋紙情報を参照して,付箋紙の重み(重み係数)が小さい付箋紙から順に,処理命令を実行し,実行結果を,次に実行する付箋紙の処理命令の入力情報として使用する。
図23と図24とは,付箋紙の重み係数の決定をより詳しく説明するための図である。
図23(A)は,付箋紙10の表示例を示す図である。付箋紙表示画面40に,6つの付箋紙10m,10n,10p,10q,10r,10sが表示されているとする。
重なり処理部312は,各付箋紙10の付箋データから,基準点(位置)と重なり領域(サイズ)とを取得して,重なり領域に基準点がある他の付箋紙があるかを判定し,重なりがあると判定した2つの付箋紙に親子関係を設定して,親子関係情報として保持する。
図23(B)は,親子関係情報の例を示す図である。
図23(B)に示すように,重なり処理部312は,付箋紙10mについて付箋紙10nを子情報として親子関係を設定する。また,付箋紙10nについて,付箋紙10p,10qを,付箋紙10qについて付箋紙10rを,それぞれ子付箋紙とする。また,付箋紙10p,10r,10sについては,子付箋紙がなく,親子関係が設定されない。親子関係の無設定を,図23(B)では,「なし」として示す。
さらに,重なり処理部312は,図23(B)の親子関係情報から,各付箋紙について,設定された親子関係を子の方向へたどって,親子関係によって連なる子付箋紙全てを特定する。具体的には,親子関係を持つ付箋紙10m,10n,10qそれぞれについて,設定された親子関係をもとに子付箋紙を特定し,さらに特定した子付箋紙が親として設定された親子関係をもとに次の子付箋紙を特定する。
例えば,付箋紙10m(付箋紙1)について,子付箋紙として直接関連づけられた付箋紙10n(付箋紙2),付箋紙10nに関連づけられた付箋紙10p(付箋紙3),10q(付箋紙4),付箋紙10qに関連づけられた付箋紙10r(付箋紙5)を特定する。この結果,付箋紙10m(付箋紙1)に関連づけられる子付箋紙は,10n,10p,10q,10rとなり,重み係数=4と決定する。
同様にして,付箋紙10nについて,子付箋紙として直接関連づけられた付箋紙10p,10q,付箋紙10qに関連づけられた付箋紙10rを特定する。この結果,付箋紙10nに関連づけられる子付箋紙は,10p,10q,10rとなり,重み係数=3と決定する。また,付箋紙10qについて,直接関連づけられた付箋紙10rを特定して,重み係数=1と決定する。さらに,付箋紙10p,10r,10sについて,子付箋紙として関連づけられる付箋紙がないので,重み係数=0とする。
そして,重なり処理部312は,図24(A)に示すように,各付箋紙について,子付箋紙として特定した付箋紙を示す識別情報(コード)と,付箋紙の重み(重み係数)とを登録した関連付箋紙情報を生成,保持する。
さらに,重なり処理部312は,関連付箋紙情報をもとに,付箋紙のコードを重み係数が小さい順にソートし,図24(B)に示すように,ソート結果を登録したソート済み付箋紙情報を生成,保持する。
図25は,重み係数に基づいた処理命令の実行例を示す図である。
図25に示す,7つの付箋紙10d,10e,10f,10g,10h,10i,10jのうち,計算付箋紙10dに計算処理として「領域内の付箋紙の内容情報を入力値として,入力値を乗算する処理」が定義されているとする。また,計算付箋紙10e,10hに計算処理として「領域内の付箋紙の内容情報を入力値として,入力値を加算する処理」が定義されているとする。また,付箋紙10f,10g,10i,10jは,内容情報として数値が設定された通常付箋であるとする。
さらに,重なり処理部312によって,「付箋紙10d(親)−付箋紙10e(子)」,「付箋紙10d(親)−付箋紙10h(子)」,「付箋紙10e(親)−付箋紙10f(子)」,「付箋紙10e(親)−付箋紙10g(子)」,「付箋紙10h(親)−付箋紙10i(子)」,「付箋紙10h(親)−付箋紙10j(子)」の親子関係が設定されて,1つの付箋紙グループを構成しているとする。
さらに,関連付箋紙情報に,関連する子付箋紙と,重み係数とが,以下のように登録されているとする。
付箋紙10d:子付箋紙10e,10f,10g,10h,10i,10j;重み係数=6,
付箋紙10e:子付箋紙10f,10g;重み係数=2,
付箋紙10f:子付箋紙なし;重み係数=0,
付箋紙10g:子付箋紙なし;重み係数=0,
付箋紙10h:子付箋紙10i,10j;重み係数=2,
付箋紙10i:子付箋紙なし;重み係数=0,
付箋紙10j:子付箋紙なし;重み係数=0。
さらに,重なり処理部312によって,決定した重み係数の小さい順にソートされて,ソート済み付箋紙情報に,「付箋紙10f,10g,10i,10j,10e,10h,10d」の順序で登録されているとする。
処理実行部313は,重なり処理部312から,上記の関連付箋紙情報とソート済み付箋紙情報とを受け取ると,計算付箋紙について,重み係数が小さい順に,付箋紙10eおよび付箋紙10hの計算処理を実行して,以下の処理結果を得る。
付箋紙10e:1(付箋紙10f)+2(付箋紙10g)=3
付箋紙10h:3(付箋紙10i)+4(付箋紙10j)=7
次に,処理実行部313は,付箋紙10e,10hの計算結果を親付箋紙10dの入力値に設定して,以下のように計算処理を実行する。
付箋紙10d:3(付箋紙10e結果)*7(付箋紙10h結果)=21
このように,処理実行部313は,各付箋紙の重み係数に基づいて,処理の実行順序を制御することができるため,付箋紙をツリー構造的に扱うことが可能となる。
なお,付箋紙10eの処理結果(3),付箋紙10hの処理結果(7),付箋紙10dの処理結果(21)は,それぞれの付箋データの内容情報に追加されて,付箋紙10の内容行12に表示される。
〔付箋データの更新処理〕
付箋データ更新部315は,付箋紙表示画面40に表示された付箋紙10の移動による位置の変更,マウスドラッグによるサイズの変更,内容情報の書き換え,処理命令の実行(処理結果の取得)等があった場合に,生じた変更にかかる情報(変更情報)を取得して,サーバ装置2の付箋データ更新部231へ送信する。
付箋データ更新部231は,変更情報をもとに,付箋データ記憶部21の該当する付箋データを更新する。
なお,付箋データ取得部311によって付箋データの再取得が実行されると,付箋データ記憶部21の更新された付箋データがユーザ装置3へ送信される。
また,ユーザ装置3は,付箋データ取得部311がサーバ装置2から付箋データを取得した後,オフラインにより操作を行うことができる。この場合に,操作等によって生じた変更情報は,表示処理部314の表示処理において付箋紙の更新情報となる。付箋データ更新部315は,オンライン状態となったときに,変更情報をサーバ装置2へ送信する。
以下に,計算付箋紙に定義される計算処理と特殊付箋紙に定義される特殊処理の具体例を示す。
図26と図27は,計算付箋紙で実行される計算処理の例を示す図である。
図26(A)には,「計算ボックス」タイプの「足し算」処理を行う処理命令が含まれる内容情報を持つ付箋紙10t1を示す。付箋紙10t1の重なり領域内に,内容情報(値=10)を持つ通常付箋紙10t2と内容情報(値=20)を持つ通常付箋紙10t3とが位置している場合に,処理実行部313は,付箋紙10t2,10t3の内容情報(値)を入力情報として,付箋紙10t1の足し算処理を実行する。その結果,処理結果:10+20=30が,付箋紙10t1に表示される。
図26(B)には,「計算ボックス」タイプの「掛け算」処理を行う処理命令が含まれる内容情報を持つ付箋紙10t11を示す。付箋紙10t11の重なり領域内に,付箋紙10t12(値=10)と付箋紙10t13(値=20)とが位置している場合に,処理実行部313は,付箋紙10t12,10t13の内容情報(値)を入力情報として,付箋紙10t11の掛け算処理を実行する。その結果,処理結果:10*20=200.0が,付箋紙10t11に表示される。
図27(A)は,「計算ボックス」タイプの「平均」処理を行う処理命令が含まれる内容情報を持つ付箋紙10t21を示す。平均処理では,領域内にある入力情報の平均を求める処理を行う。
付箋紙10t21の重なり領域内に,付箋紙10t22(値=10)と付箋紙10t23(値=20)とが位置している場合に,処理実行部313は,付箋紙10t22,10t23の内容情報(値)を入力情報として,付箋紙10t21の平均処理を実行する。その結果,処理結果:(10+20)/2=15が,付箋紙10t21に表示される。
図27(B)は,「計算ボックス」タイプの「個数」処理を行う処理命令が含まれる内容情報を持つ付箋紙10t31を示す。個数処理では,領域内にある入力情報の個数を求める処理を行う。
付箋紙10t31の重なり領域内に,付箋紙10t32(値=10)と付箋紙10t33(値=20)とが位置している場合に,処理実行部313は,位置する付箋紙10t32,10t33を特定して,特定した付箋紙の数を計算する。その結果,処理結果:1+1=2が,付箋紙10t31に表示される。
図28は,特殊処理として「領域内に位置する付箋紙の内容情報を入力情報とし,入力情報を検索語として用いてインターネットを検索する処理」が定義された特殊付箋紙の例を示す図である。
図28(A)に示す付箋紙10t41は,別ウィンドウを設定して所定のインターネット検索ソフトウェアを起動し,領域内の付箋紙の内容情報を入力して検索語として検索を実行し,検索結果を設定した別ウィンドウに表示する処理のための処理命令が定義された特殊付箋紙である。付箋紙10t42は,付箋データの項目1(内容)に「文字列(javascript)」が設定された通常付箋紙である。
また,付箋紙表示画面40で付箋紙10t41の重なり領域に,付箋紙10t42の基準点が位置しているとする。
処理実行部313は,関連付箋紙情報を得て,2つの付箋紙10t41,10t42の関係をもとに,子付箋紙10t42の文字列(javascript)を取得する。そして,処理実行部313は,付箋紙10t41の処理命令に従って,所定のWebブラウザを別ウィンドウで起動し,検索アプリケーションの検索語に既に設定されている文字列(イベントハンドラ)と取得した文字列(javascript)とを検索語として入力する。これにより,起動されたWebブラウザでは,入力された検索語によるインターネット検索処理が実行される。検索処理後に,図28(B)に示すように,検索結果がWebブラウザのウィンドウ45に表示される。
図29は,特殊処理が定義された特殊付箋紙の例を示す図である。
図29(A)に示す,付箋紙10t51は,「現在の日時情報を取得し,取得した日時情報を領域内にある他の付箋紙の設定項目に設定する処理」という特殊処理が定義された処理命令を含む特殊付箋紙である。付箋紙10t52,10t53は,「イベントのスケジュールを保持する処理」という特殊処理が定義された処理命令を含む特殊付箋紙である。
また,付箋紙表示画面40において,付箋紙10t51の重なり領域に,付箋紙10t52,10t53の基準点が位置しているとする。
処理実行部313は,関連付箋紙情報を得て,3つの付箋紙10t51,10t52,10t53の親子関係をもとに,まず,親付箋紙10t51の処理として,現在の日時情報を取得する。なお,取得した日時情報は,表示処理部314によって,付箋紙10t51の内容行12に表示される。
処理実行部313は,マウスクリックによって選択された,付箋紙10t51に設定された設定情報(「開始設定」または「終了設定」のいずれか)を取得し,取得した日時情報(例えば「2009年02月06日(金) 11:15:19」)と,選択された設定情報(例えば「開始設定」)を入力情報として,子付箋紙10t52,10t53それぞれの処理を実行する。すなわち,処理実行部313は,子付箋紙10t52のイベント「○○について」のスケジュールの「開始設定」に,取得した日時情報「2009年02月06日(金) 11:15:19」を設定する。また,子付箋紙10t53のイベント「××について」のスケジュールの「開始設定」に,取得した日時情報「2009年02月06日(金) 11:15:19」を設定する。
なお,付箋データ更新部315は,付箋紙10t52,10t53の変更情報(開始設定の日時情報)を,サーバ装置2の付箋データ更新部231に送信するので,サーバ装置2の付箋データ更新部231は,受信した変更情報で,付箋紙10t52,10t53の付箋データを更新する。
これにより,同様の処理を複数の付箋紙10に対して行う場合に,変更したい複数の付箋紙を,処理を実行する特殊付箋紙に重ねることによって,1回の操作によって複数の付箋紙に対して入力や設定を行うことができ,付箋紙毎に操作をするという操作負担を軽減することができる。
図30は,図16に示す処理フローのステップS74または図19に示す処理フローのステップS84の重なり処理のより詳細な処理フローを示す図である。
重なり処理部312は,付箋紙表示画面40に表示された付箋紙10の付箋データを取得して(ステップS101),各付箋紙の基準点とする位置を取得し(ステップS102),重なり領域とするサイズを取得する(ステップS103)。
さらに,重なり処理部312は,取得した付箋データを1つずつ取り出して(ステップS104),重なり領域に他の付箋紙10の基準点があるかを調べる(ステップS105)。
重なり領域に他の付箋紙10の基準点があれば(ステップS105のY),該当する(重なり領域に基準点が位置する)付箋紙10を子付箋紙として親子関係を設定し,親子関係情報に登録する(ステップS106)。
次に,重なり処理部312は,付箋データが未処理の付箋紙10があるかを調べて(ステップS107),未処理の付箋紙10があれば(ステップS107のY),ステップS104の処理へ戻り,未処理の付箋紙10がなければ(ステップS107のN),ステップS108の処理へ進む。
重なり処理部312は,後述する関連付箋紙取得処理を行い(ステップS108),生成した関連付箋紙情報とソート済み付箋紙情報を出力して(ステップS109),処理を終了する。
図31は,図30に示す処理フローのステップS108の関連付箋紙取得処理のより詳細な処理フローを示す図である。
重なり処理部312は,付箋データを1つ取り出し(ステップS111),親子関係で連なる子付箋紙10を特定し(ステップS112),特定した付箋紙10の数を付箋紙の重み(重み係数)として決定し(ステップS113),特定した子付箋紙10のコードと付箋紙の重み(重み係数)とを関連付箋紙情報に登録する(ステップS114)。未処理の付箋紙10があれば(ステップS115のY),ステップS111の処理へ戻り,未処理の付箋紙10がなければ(ステップS115のN),関連付箋紙情報の付箋紙の重み(重み係数)で付箋紙(付箋データのコード)をソートして,ソート結果をソート済み付箋紙情報に登録して(ステップS116),処理を終了する。
図32は,図16に示す処理フローのステップS75の計算処理のより詳細な処理フローを示す図である。
処理実行部313は,ソート済み付箋紙情報の付箋紙の重み(重み係数)が小さい順に付箋データを1つ取り出して(ステップS121),付箋紙タイプが「計算」であるかを調べる(ステップS122)。付箋紙タイプが「計算」であれば(ステップS122のY),関連付箋紙情報をもとに親子関係を持つ全ての子付箋紙10の付箋データを取り出し(ステップS123),取り出した子付箋紙10の内容を入力情報として,後述する計算処理を実行する(ステップS124)。
付箋紙タイプが「計算」でなければ(ステップS122のN),ステップS125の処理へ進む。
そして,処理実行部313は,処理対象の付箋紙10に親付箋紙10があるかを調べる(ステップS125)。処理対象の付箋紙10に親付箋紙10があれば(ステップS125のY),処理結果または付箋紙の内容を親付箋紙10の計算処理の入力情報に設定する(ステップS126)。処理対象の付箋紙10に親付箋紙10がなければ(ステップS125のN),処理結果または付箋紙10の内容を出力して,表示処理部314へ渡す(ステップS127)。
そして,処理実行部313は,ソート済み付箋紙情報に次の付箋紙10があるかを調べて(ステップS128),次の付箋紙10があれば(ステップS128のY),ステップS121の処理へ戻り,次の付箋紙10がなければ(ステップS128のN),処理を終了する。
図33は,図32に示す処理フローのステップS124の計算処理のより詳細な処理フローを示す図である。
処理実行部313は,処理対象の付箋紙10の付箋データに背景色判断の設定があるかを調べる(ステップS131)。背景色判断の設定があれば(ステップS131のY),背景色が一致する子付箋紙10を特定し(ステップS132),特定した子付箋紙10の内容を入力情報として,付箋データに定義された計算を実行する(ステップS133)。
図34は,図19に示す処理フローのステップS85の特殊処理のより詳細な処理フローを示す図である。
処理実行部313は,ソート済み付箋紙情報の付箋紙の重み(重み係数)が小さい順に付箋データを1つ取り出して(ステップS141),付箋紙タイプが「特殊」であるかを調べる(ステップS142)。付箋紙タイプが「特殊」であれば(ステップS142のY),関連付箋紙情報をもとに親子関係を持つ全ての子付箋紙10の付箋データを取り出し(ステップS143),取り出した子付箋紙10の内容を入力情報として,定義された特殊処理を実行する(ステップS144)。
付箋紙タイプが「特殊」でなければ(ステップS142のN),ステップS145の処理へ進む。
そして,処理実行部313は,処理対象の付箋紙10に親付箋紙10があるかを調べる(ステップS145)。処理対象の付箋紙10に親付箋紙10があれば(ステップS145のY),処理結果または付箋紙10の内容を親付箋紙10の特殊処理の入力情報に設定する(ステップS146)。処理対象の付箋紙10に親付箋紙10がなければ(ステップS145のN),処理結果または付箋紙10の内容を出力して,表示処理部314へ渡す(ステップS147)。
そして,処理実行部313は,ソート済み付箋紙情報に次の付箋紙10があるかを調べて(ステップS148),次の付箋紙10があれば(ステップS148のY),ステップS141の処理へ戻り,次の付箋紙10がなければ(ステップS148のN),処理を終了する。
以上説明したように,電子付箋紙システム1は,種々の処理を実行する機能付きの付箋紙を用意することができる。よって,ユーザは,付箋紙表示画面上40で所望する機能付きの付箋紙に数値や文字列等を内容とする通常の付箋紙を重ねるだけで,様々な処理を実行させることが可能となる。
さらに,機能付きの付箋紙と通常付箋紙とを重ねるだけで,所定の処理が実行されるため,機能付きの付箋紙と入力情報となる通常付箋紙とを再利用することができる。
また,電子付箋紙システム1を,サーバ装置2で付箋データを保持するように構成する場合には,ユーザ装置3で付箋データを取得した後,オフライン状態で操作を行うことによって,付箋データを取得時の状態で保持しつつ,付箋紙表示画面40上で付箋紙の内容や位置を自由に変更することができる。
また,サーバ装置2で保持している付箋データを複数ユーザで共有して使用することが可能となる。
本発明の実施の形態では,電子付箋紙システム1を構成する各処理部は,サーバ装置2から受信した,外部記憶部に記憶されたプログラムが,ユーザ装置3として説明したコンピュータにより読み取られ実行されることによって実現される。
このプログラムは,コンピュータが読み取り可能な,可搬媒体メモリ,半導体メモリ,ハードディスクなどの適当な記録媒体に格納することができ,これらの記録媒体に記録して提供される。または,このプログラムは,通信インタフェースを介して種々の通信網を利用した送受信により提供される。