JP5345747B2 - 微粒子捕集装置及び当該装置を用いた微粒子輸送設備 - Google Patents

微粒子捕集装置及び当該装置を用いた微粒子輸送設備 Download PDF

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Description

本発明は微粒子捕集装置、及び当該捕集装置を用いた微粒子輸送設備に関する。
マイクロ分野に対する科学研究の絶え間ない進展に従い、ここ十数年で、マイクロ製造技術及び其の製品は急速な発展を成し遂げた。アメリカ、日本、ドイツ等の国は既にマイクロ製造を相当高い位置に置き、それを製造科学の主流の一つとしており、マイクロ製造技術と産業を発展させることは、さらにわが国がハイテクに躍進する一つの突破口となっている。
「堆積成形」はマイクロ製造分野における一つの重要な理念で、微粒子に対する制御により、堆積成形は必要な二次元又は三次元のマイクロ構造と構成部品を「下から上へ」重畳堆積又は組立てることができる。そのうち、微粒子に対する順調な捕集、指向輸送、精確な位置決めは「堆積成形」の核心技術と重要な基礎の一つである。そのため、微粒子に対する捕集と制御を如何に実現するかが当面のマイクロ製造分野における一つの研究焦点と難点になっている。
文献報道によると、現在まで微粒子に対する捕集と制御は主にレーザー、無線周波数電圧とプラズマ等に頼って実現している。そのうち、「光ピンセット(Optical Tweezers)」は微粒子捕集と制御を実現する最も代表的な方法で、所謂「光ピンセット」は光と物質間の運動量伝達の力学効果を利用して形成された三次元勾配光トラップで、微粒子に対し無損傷と非接触制御を行うことができるツールである。早くも1986年、ベル実験室のアシュキン(Ashkin)はシングルビームレーザーを高開口数レンズに導入することにより三次元光学トラップを形成し、周囲の環境を基本的に影響しない情況下、捕集物に対し亜接触、非破損生体操作を実現できることを証明し、如実に「光ピンセット」と呼んだ。「光ピンセット」技術は登場してから急速に発展し、異なる種類のレーザービームーが発生した「光ピンセット」に対する研究は益々全面で、その応用は益々広範になっている。今まで、「光ピンセット」は最初の単一ビーム勾配力光トラップから既に二重光ピンセット、三重光ピンセット、四重光ピンセット、光ピンセットアレイ、ビーム作業ステーションとホログラフィック光ピンセットにまで逐次に変化し、これらは微粒子捕集と制御に基づくマイクロ製造の研究に巧妙且つ有効なツールを提供した。
次に、「誘電泳動」(Dielectrophoresis)は微粒子の捕集と制御を実現するもう一つの方式である。ハーバード大学のBrownらはtriaxial AFM contact-free tweezer(TACT)を採用し、且つ誘電泳動を利用して水媒体におけるナノ物質に対する制御を実現したが、彼らはTATCの針先及びインナーシェールに無線周波電圧を加えると同時に、シールをアースし、電解放出するように針先に開口を設け、且つ表面以外にゼロ電場を生成させる。水の誘電率が大部分の物質より大きいため、水はナノ粒子を電場極小値の位置に押さえる。針先の周囲が排斥力の区域に属しているため、一回に一つだけの粒子が捕集されるのを確保することができる。この方法を用いて、単一半導体量子、カーボンナノチューブ、半導体ナノワイヤ、生物粒子(例えばウイルス)等直径が4nmまで小さい微粒子を捕集することができ、それによりマイクロ構造の組立てと制御を行う。
このほか、スイス連邦工科大学のHuang等らはプラズマ(Plasma)の近接場効果を頼り、マイクロフルイディクス(Microfluidics)及び制御層と協力して微粒子に対する捕集及び制御を実現した。彼らは伝統的な「光ピンセット」のような複雑な光学枠組みを必要とせずに細胞又は微粒子を制御可能なプラズマライトトラップ及びマイクロフルイディクスからなる光流体デバイスを発見した。
上述した「光ピンセット」、「誘電泳動」と「電磁場」は、今現在国際的に微粒子捕集と制御を実現する代表性のある三つの方式であるが、上述した三つの方式を実現するためには特定のハード設備、システム全体を構築する必要があり、使用コストが高く、応用環境に対する要求もやや高く、主に研究所と大学等理論基礎を研究する研究者向けで、また工業実践と商業普及に用いることができない。
本発明が解決しようとする第一の技術問題としては、上述した既存技術の現状に対し、構造が簡単で、製造コストが低く、且つ実現し易い微粒子捕集装置を提供することを目的とする。
本発明が解決しようとする第二の技術問題としては、上述した既存技術の現状に対し、上述した微粒子捕集装置を用いた微粒子輸送設備を提供することで、当該微粒子輸送装置の全体構造が簡単で、製造コストが低く、且つ容易に実現できる。
本発明では、上述した第一の技術問題を解決するために下記の技術方案を採用している。微粒子捕集装置であって、マイクロジェットノズル、調圧器、前記マイクロジェットノズルに噴射液を提供するための液圧装置を備えた微粒子捕集装置において、前記マイクロジェットノズル内には軸方向に沿って貫通する環状噴霧室が開設され、当該環状噴霧室の内径は捕集しようとする微粒子の直径にマッチングし、前記環状噴霧室の頂部には入射口が設けられ、前記環状噴霧室の底部には噴射口が設けられ、前記調圧器の入力端は前記液圧装置の液体放出管に連結され、当該調圧器の出力端は前記マイクロジェットノズルの入射口に連結されていることを特徴としている。
より良い微粒子捕集効果を獲得し、微粒子捕集の確実性と成功率を向上するため、好ましくは、前記環状噴霧室の内径と前記微粒子の直径の間には下記の関係式を満たしている。即ち、Φw-10μm≦Ψpi≦Φwで、その内、Ψpiは前記環状噴霧室の内径を示しており、Φwは前記微粒子の直径を示しており、前記ΨpiとΦwの単位は何れもμmである。
加工と取替え易くするため、好ましくは、前記マイクロジェットノズルはノズルシェルとノズルコアを備え、前記ノズルシェル内には軸方向に貫通する貫通孔が設けられ、前記ノズルコアはコアヘッドとコアボディを備え、前記コアヘッドは前記ノズルシェルの頂部に固定・連結され、前記コアボディは前記貫通孔に挿設され、前記ノズルシェルの貫通孔内壁と前記ノズルコアのコアボディとの間には前記環状噴霧室が形成され、且つ、前記ノズルコアのコアヘッドには前記入射口と対向する液体流入孔が開設されている。
さらに好ましくは、中心軸線に沿って切り開いた前記ノズルコアの切断面はT字型を呈し、前記液体流入孔は前記ノズルコアのコアヘッドの周方向に沿って間隔をあけて設けられた複数の貫通孔である。T字型ノズルコアは異なるノズルシェルに挿入し易く、T字型の頂部はコアボディとの連結を実現し易く、ノズルコアにおいて周方向に沿って分布されている複数の液体流入孔は流入量を向上し、流入速度を加速させることができる。
マイクロジェットノズルで微粒子捕集に必要な圧力を有する噴射液体を生成させるために、前記液圧装置は現有技術における各種の液圧システムを採用することができ、好ましくは下記の構造である。即ち、油圧油を生成可能なプランジャーポンプ、前記プランジャーポンプを駆動するモーター、前記噴射液体の吸込み及び排出を実現可能なスーパーチャージャーを備え、その内、前記スーパーチャージャーとプランジャーポンプとの間には一方向制御弁を介して油圧回路の連通を実現する。
自動化制御を実現し易くするため、好ましくは、前記方向制御弁にはPLC電気制御システムが接続されている。
本発明では、上述した第二の技術問題を解決するために下記の技術方案を採用している。微粒子輸送設備であって、台座と、前記台座に設けられ、且つ当該台座の長手方向及び幅方向に沿ってそれぞれ直線移動を行うことができる作業台と、前記作業台に固定的に設置され、微粒子を収納した容器と、前記台座と垂直になるように設置された支持台を備え、そのうち、前記容器の上方にはマイクロジェットノズルが設けられ、前記支持台には垂直方向に沿って直線移動を行うことができると同時に、当該支持台から外側に伸びる部分に垂直するブラケットが取付けられ、前記ブラケットの一端は前記マイクロジェットノズルに設けられた調圧器と固定的に連結されている。
作業台が台座でそれぞれX軸とY軸といった二つの方向に沿って移動できるようにするため、好ましくは、前記作業台は第一ベース台と第二ベース台を備え、さらに第一モーターと第二モーターを備え、前記台座には長手方向に沿って配置された第一ガイドレールが設けられ、前記第一ベース台は前記第一モーターの駆動により前記第一ガイドレールに沿って直線移動を行い、前記第一ベース台には前記台座の幅方向に沿って配置された第二ガイドレールが設けられ、前記第二ベース台は前記第二モーターの駆動により前記第二ガイドレールに沿って直線移動を行う。
ストローク制御をし易くし、第一ベース台と第二ベース台の移動位置を随時検査し易くするため、好ましくは、前記第一ガイドレールの側面に前記第一ベース台の移動位置を追跡且つフィードバックする第一グレーディングルーラースケールが設置され、前記第二ガイドレールの側面には第二ベース台の移動位置を追跡且つフィードバックする第二グレーディングルーラースケールが設置されている。
第一ベース台と第二ベース台の移動ストロークを限定し、第一ベース台と第二ベース台がガイドレールから外れることを防止するため、さらに好ましくは、前記台座に前記第一ベース台の移動ストロークを制限する第一衝突防止装置をさらに設置し、前記第一ベース台に前記第二ベース台の移動ストロークを制限する第二衝突防止装置を設置する。
第一ベース台と第二ベース台が低速及び高速下、何れも極めて低いスラストリプルを有することを保証し、作業台移動の等速性と位置決めの精密性を保証するため、好ましくは、前記第一モーターと第二モーターはリニアモーターである。
既存の技術に比べ、本発明の利点は液体を媒体とし、環状噴霧室が開設されたマイクロジェットノズルにより微粒子に対し上向きの支持力とジェット方向に垂直するフロー揚力を生成するが、このような液体により生成された上向きの支持力とフロー揚力は共同で微粒子に作用し、微粒子に対し「挟む」作用があり、まるでピンセットのようにマイクロジェットノズルの下方にある微粒子をしっかりと「挟み」、それにより微粒子に対する捕集を実現し、微粒子を捕集する新たな手段と方式である。このほか、このような微粒子捕手装置はレーザー、無線周波数電圧とプラズマ等を採用して微粒子捕集を行う伝統的な装置に比べ、より容易に実現と製造することができると同時に、本発明に関る装置は通常の日常生活環境において組み立てと操作することができ、特定の応用環境を必要とせず、捕集措置のコストを大幅に低下させ、捕集装置の普及使用に有利で、応用の場所と分野を拡大した。
本発明に係わる微粒子捕集装置の構造図である。 本発明に係わる微粒子捕集装置の作業原理図である。 図2に示すI部の部分拡大図(微粒子応力原理)である。 本発明に係わるマイクロジェットノズルの構造断面図である。 本発明のマイクロジェット境界層の流速変化及び特徴図である。 本発明に係わる微粒子捕集技術の路線図である。 本発明の微粒子捕集装置を用いた微粒子輸送設備の構造図である。 図7に示し微粒子輸送設備のフィードシステム構造図である。 図7に示し微粒子輸送設備における容器の構造断面図である。 本発明の微粒子輸送過程の構造図である。
以下、図面及び実施例と合わせて、本発明を更に詳しく説明する。
図1〜図6に示されるのは、本発明に係わる微粒子捕集装置の構造図及び作業原理図で、当該微粒子捕集装置はマイクロジェットノズル1と、マイクロジェットノズル1に噴射液体を提供できる液圧装置3を備え、その内、噴射液体は水であっても良く、微粒子が当該液体の表面に浮かぶようにすることができる他の流体媒体であっても良いが、本実施例においては不純物が含んでいない純水を噴射液体とする。
そのうち、マイクロジェットノズル1はノズルシェル11とノズルコア12を備え、ノズルシェル11内には軸方向に貫通する貫通孔が設けられ、中心軸線に沿って切り開いたノズルコア12の切断面はT字型を呈し、当該ノズルコア12はコアヘッド121とコアボディ122を備え、且つ、コアヘッド121とノズルシェル11の頂部はボルト又はねじにより固定的に連結され、コアボディ122はノズルシェル11の貫通孔に挿設され、ノズルシェル11の貫通孔内壁とノズルコア12のコアボディ122との間には軸方向に貫通する環状噴霧室13が形成され、コアヘッド121には円周方向に沿って間隔をあけて環状噴霧室13の入射口131と連通する複数の液体流入孔121aが開設され、これをマイクロジェットノズル1全体の液体入り口とする。製造し易くするため、ノズルシェル11の貫通孔は、好ましくはステップホールで、当該ステップホールの大径部111はコアヘッドの入射口131と対応しており、ステップホールの小径部112は噴射口132として微粒子9と対応している。
マイクロジェットノズル1の口径がやや小さいため、マイクロジェットノズル1から噴出する液体の圧力はやや大きく、噴射液体の圧力を安定させ、マイクロジェットノズル1から噴出する液体が効果的に微粒子9を挟むことを保証するため、マイクロジェットノズル1と液圧装置3の間に調圧器2を設置する必要があり、当該調圧器2の入力端は液圧装置3の液体放出管に連結され、当該調圧器2の出力端はコアヘッド121の液体流入孔121aを介して環状噴霧室13の入射口131に連結されている。
本実施例で採用した液圧装置3は現有技術における各種の液圧システムであっても良いが、好ましくは下記の構造を採用する。即ち、当該液圧装置3は、プランジャーポンプ31、プランジャーポンプ31を駆動するモーター32、噴射液体の吸込み及び排出を実現可能なスーパーチャージャー33を備え、その内、スーパーチャージャー33には進水管路331と排水管路332が連結され、スーパーチャージャー33とプランジャーポンプ31との間には油圧回路35を介して連通され、当該油圧回路35には方向制御弁34が取り付けられ、方向制御弁34により油圧油が交替でスーパーチャージャー33のピストン両側に入るようにし、方向制御弁34はPLC電気制御システム36の回路に対する制御により増圧範囲の調節を実現することで出力するマイクロジェット14の形態を制御するが、PLC電気制御方法は現有技術で、本実施例においては説明を省略する。液圧装置3が作動する時、モーター32はプランジャーポンプ31を駆動して油圧油を出力し、且つ油圧回路35に沿って交替でスーパーチャージャー33のピストン両側に入ることで、ピストンを駆動して往復運動させて、スーパーチャージャー33両側での水流の吸込み、絞り出しを交替で実現し、調圧器2を介して出力された水流の圧力を安定させた後、液体水はコアヘッド121の入射口121aを介して環状噴霧室13に入り、且つ噴射口132から噴出して、最終的にマイクロジェット14が形成される。
以下、本実施例に係わる微粒子捕集装置の生成条件と作業原理を詳しく説明する。
マイクロジェットノズル1から噴出するマイクロジェット14が微粒子9の表面を流れる時、液―固の界面効果により微粒子の表面93で一層の境界層が形成され、境界層内の流体粒子は粘性力に阻止され、運動エネルギーが消耗され、流速が低下するため、微粒子表面93により近づいた流体粒子が受けた粘性力はより大きく、流速の低下がより速い。
本実施例では球面座標系を採用して液―固境界層のジェット分布と圧力変化に対し分析を行うが、垂直面を用い、微粒子の断面が最大な所で微粒子と直角して円形断面を得た。マイクロジェット14と微粒子表面93との第一の交点Aを座標原点とし、微粒子表面93に沿って選択した切断線をX軸とし、方向は下向きで、Y軸は微粒子の表面93と垂直する。
微粒子の表面93からA、B、C、D、E五つの点を選択するが、図5を参照されたい。その内、A点からC点までは降圧加速セクション(即ち、
)で、当該セクションにおいて、粘性力により流体粒子の運動エネルギーの消耗が起こるが、流体の一部の圧力エネルギーが流体の運動エネルギーに転換するため、前記消耗を補うことができ、依然として十分な運動エネルギーで流体を引き続き前進させることができる。C点は一つの転換点で、C点の流速が最大で、圧力勾配はゼロ(即ち、
)である。C点以後は、増圧減速セクション(即ち、
)で、このセクションにおいて流体の部分運動エネルギーが圧力エネルギーに転換するだけではなく、粘性力の阻止作用も引き続き運動エネルギーを消耗するため、流体速度の低下過程が加速し、境界層も絶えずに厚くなる。流体が微粒子表面93のある点Dまで流れた時、表面に近づいた流体粒子の運動エネルギーは既に消耗し切れ、ここで流体粒子は停滞して前進せず、この時、D点を分離点と称する。微粒子表面93の境界層の流体特徴は表1に示す通りである。
表1の具体的な説明は下記の通りである。微粒子表面93の境界層は液―固が接触する時に固体表面に現れた粘性流動領域で、マイクロジェット14が微粒子表面93と接触する時、境界層内の流体粒子は粘性力により阻止され、運動エネルギーが消耗される。微粒子表面93により近づいた流体粒子が受けた粘性力はより大きく、流速の低下はより速い。
表1から分かるように、微粒子表面93におけるA点からC点に対応する境界層は順圧力勾配の状態にあるため、境界層の流動方向に沿った作用力は微粒子表面93のせん断応力の克服に役立ち、境界層内流体の流動に対し増速作用があり、よって境界層の厚さの増加率を弱め、境界層の厚さの増加は少なく、当該セクションは流体の降圧加速セクションである。転換点Cになる時、流速が最大になり、圧力勾配はゼロにまで低下する。C点以後は逆圧力勾配の状態になり、流動の逆方向に沿った作用力は境界層の流動に対し減速作用を与えるため、境界層の厚さの増加率を増大させ、境界層が逐次に厚くなるようにした。もし、逆圧力勾配が十分大きければ、微粒子表面93で流体の流動方向の変化が発生しうる。図5のD点(分離点、前後の流体状態はそれぞれ
)に示すように、D点から境界層は微粒子表面93から離脱し、境界層の分離をもたらす。
D点以後、微粒子後半部分の境界層における流体粒子はより大きな阻止を受け、一部の流体粒子はやむなく逆方向に流動し、境界層が引き続き微粒子表面93から離脱せざるを得ないようにする。回流の出現により、マイクロジェット14が微粒子の下部で対称渦141(旋回流とも称する)を形成させ、対称渦141は微粒子の下部に位置するため、微粒子に対し支持作用を果たしているが、詳細は図2を参照されたい。同時に、マイクロジェット14が微粒子に作用する力はさらにジェット方向に垂直するフロー揚力92を含み、微粒子の応力情況は図3に示されるように、液面の表面張力、対称渦141の支持力91とフロー揚力92が共同で微粒子に作用し、微粒子に対し挟む作用を生成し、且つ最終的に液体からなる小物を挟むことができる「ピンセット」、即ち、「光ピンセット」と同様に微粒子捕集を実現できるツールが形成されるが、本実施例において水を採用してマイクロジェット14の噴射液体としたため、我々は「水ピンセット(Water Tweezers)」と称する。
簡単に言えば、微粒子と流体境界層の特性により、境界層は微粒子の前から発生し、微粒子の表面93に沿って後ろへ発展し、微粒子表面93の圧力が増加する逆圧力区域で境界層は微粒子表面93から分離し、微粒子表面93と境界層の間に強制的に流体の逆方向の回流が出現するようにし、且つ微粒子の下部に対称渦141(旋回流)が出現することを誘導することで、微粒子に対する上向きの支持力91を形成させる。同時に、マイクロジェット14が微粒子の阻止作用を受けているため、微粒子に対しジェット方向に垂直するフロー揚力92が形成する。従って、対称渦141(旋回流)の支持力91とフロー揚力92が共同で微粒子に作用することにより、微粒子に対する「挟む」作用が発生し、且つ最終的に「水ピンセット」が形成される。
さらに、特異点法を採用してマイクロジェット14から「水ピンセット」が形成する条件を計算・説明する。強度がMの双極子を座標原点に置き、且つジェットと重ね合わせて合成した流動場の流れ関数Ψはジェットの流れ関数Ψと双極子の流れ関数Ψの和であるべく、即ち、
Ψ=0時、流線(面)はゼロ流線(面)で、数式1は下記のようになる。
解くと
数式3において、第一の方程式は球面の方程式で、標準形式に書けば:
数式4に示すゼロ流線(面)は半径が
の微粒子(球)で、数式3における第二の方程式は依然としてZ軸があり、同じくゼロ流線(面)であることを示している。
このため、ジェットアラウンド半径aがの微粒子の流動場を得ようとすれば、双極子の強度は必ず
であり、
数式5を数式1に代入すれば、ジェットアラウンド半径がaの微粒子流動の流れ関数を得ることができ、
ジェットアラウンド半径がaの微粒子流動の速度ポテンシャル関数Φはポテンシャル関数とM=2πα3νを強度とする双極子の速度ポテンシャル関数の和であるべき、即ち、
上述した数式1から数式7において、Ψは流れ関数で、Φは速度ポテンシャル関数で、νは噴射速度で、αは微粒子の半径で、Mは空間双極子の強度で、θは流動場における某点と双極子の連結線及びZ軸正方向の間の夾角で、Rは流動場における某点と双極子の間の距離である。
計算によりさらに分離点Dの位置を獲得することができる。その内、流動場における任意の点の速度は
微粒子表面93におけるR=αを上式に代入して微粒子表面93におけるジェットの速度を得ることができる。
θがゼロとлに等しい時、νθ=0、微粒子に接触する瞬間と下位四分位点の速度はゼロで、これもまたなぜ旋回流が発生していることを解釈することができる。
そこで、分離点D点は最大速度が
である所にあり、速度は、
このため、流れ関数と速度ポテンシャル関数の規則に基づき、微粒子表面93におけるマイクロジェット14の流速と圧力を制御し、さらには分離点Dの位置を制御することができ、マイクロジェット14が微粒子の下部で対称渦141(旋回流)を形成するようにし、微粒子9に対する支持と挟む作用を実現する。
上述したように、最適効果の「水ピンセット」を形成するには、例えば、噴射速度、微粒子半径、マイクロジェットノズル1の内径等のパラメータに対し合理的なマッチングを行う必要があるが、「水ピンセット」の挟み作用を確実に実現し、捕集の成功率を向上するために、マイクロジェットノズル1の環状噴霧室13の内径と微粒子9の直径との間には下記の関係式を満たす必要がある。即ち、Φw-10μm≦Ψpi≦Φw、その内、Ψpiは環状噴霧室13の内径で、Φwは微粒子9の直径で、ΨpiとΦwの単位は何れもμmである。
図6には本実施例に係わる「水ピンセット」の微粒子捕集の技術路線が示されている。まず、液圧装置3によりマイクロジェットノズル1を介してマイクロジェット14が生成され、マイクロジェット14を微粒子9に発射する過程で、微粒子9表面で「水ピンセット」が形成し、視覚制御により「水ピンセット」に対するパラメータを最適化(例えば、噴射速度、微粒子半径、マイクロジェットノズル1内径等のパラメータを調整)することができ、これにより安定した「水ピンセット」が形成され、再び「水ピンセット」を利用して微粒子9を捕集と制御する。
微粒子9の捕集過程を観察と操作し易くするため、微粒子9は水に溶けず、且つ水面に浮かぶことができるプラスチック蛍光粒子を選択した。蛍光粒子を選択して微粒子9にした目的は視覚追跡と写真撮影に有利であるためである。本実施例で選択した具体的なパラメータは下記の通りである。マイクロジェットノズル1の環状噴霧室13の内径はΨpi=145μm、マイクロジェットノズル1の環状噴霧室13の外径はΨpo=400μm、微粒子9の直径はΦw=150μmで、水ビームの内径は微粒子9の直径とマッチングし、即ち、マイクロジェットノズル1の環状噴霧室13の内径と微粒子9の直径との間には下記の関係式を満足している。Φw-10μm≦Ψpi≦Φw、噴射圧力は2000barである。そのため、マイクロジェットノズル1から噴出するマイクロジェット14は中空の環状水ビームで、調圧器2により、性能が安定した均等な流を形成されることができる。
(1)マイクロジェット14を液面上の微粒子9に噴射する時、液面の撹乱を引起し、液面に表面張力が発生する;
(2)マイクロジェット14が微粒子9の阻止を受ける時、射流の流動方向に垂直するフロー揚力92が生成する;
(3)マイクロジェット14が微粒子9の表面から滑り落ちる時、微粒子9の下部で対称渦141(旋回流)が形成し、対称渦141(旋回流)は上向きの力を発生し、微粒子9の下部を支持するため、微粒子9は上向きの支持力91を受ける。
(4)支持力91とフロー揚力92が直接的に微粒子9に作用するため、ピンセットのように微粒子9を挟む、「水ピンセット」が形成する;
(5)微粒子9は合力の作用で、中空のマイクロジェット14の内部に包まれ、上向きの合力と微粒子9自身の重力が平衡になった時、微粒子9は水ビームのある位置に留まり、ひいては「水ピンセット」による微粒子9の捕集が実現できる。
本実施例における微粒子9の応力情況は図3を参照されたい。微粒子9は内向きのフロー揚力92の作用を受けると同時に、上向きの対称渦141(旋回流)支持力91の作用も受け、又微粒子9はやや軽く、支持力91が微粒子自身の重力より大きいことから、微粒子9が受けた合力は内向きと上向きで、マイクロジェット14の環境において、対称渦141(旋回流)と差圧の共同作用で「水ピンセット」が形成され、微粒子9をしっかり挟むことができ、「水ピンセット」により微粒子9が押し流されず、一貫して噴出される水ビームの底部中央に位置することで、「水ピンセット」が微粒子9に対する捕集を完成する。
本実施例では、微粒子9捕集の新しい装置と方法である「水ピンセット」を提出し、「水ピンセット」の実現と実施がより簡単となり、普及応用に有利で、マイクロ製造分野における微粒子9に対する「堆積成形」の実現に新型技術手段を提供しており、重要な理論的意義と潜在的な応用価値がある。
図7〜図10に示すように、本実施例の微粒子捕集装置を用いた微粒子輸送設備で、当該微粒子輸送設備は、
台座4と、第一ベース台51と第二ベース台52を有する作業台と、微粒子9を収納した透明容器6と、台座と垂直になるように設置された支持台7を備え、
その内、前記作業台はさらに第一モーターと第二モーターを有し、台座4には長手方向(X軸)に沿って配置された第一ガイドレール511が設けられ、第一ベース台51は第一モーターの駆動により第一ガイドレール511に沿って直線移動を行い、第一ベース台51には台座4の幅方向(Y軸)に沿って配置された第二ガイドレール521が設けられ、第二ベース台52は第二モーターの駆動により第二ガイドレール521に沿って直線移動を行うが、その内、第一モーターと第二モーターはリニアモーターで、第一ガイドレール511の側面に第一ベース台51の移動位置を追跡且つフィードバックする第一グレーディングルーラースケール512が設置され、第二ガイドレール521の側面には第二ベース台52の移動位置を追跡且つフィードバックする第二グレーディングルーラースケール522が設置され、台座4にはさらに第一ベース台51の移動ストロークを制限する第一衝突防止装置513が設置され、第一ベース台51に第二ベース台52の移動ストロークを制限する第二衝突防止装置523が設置され、
容器6の底部には固定装置があり、当該固定装置はナットにより作業台に設けられた第二ベース台52に固定されることにより、容器6が作業台に固定できるようにし、マイクロジェットノズル1は容器6の上方に設置され、容器6内にはさらに微粒子9を堆積させ成形用の微粒子収納ボックス62が設けられるが、図10を参照されたい。
支持台7は、台座4と垂直になるように設置され、支持台7には垂直方向(Z軸)に沿って直線移動を行うことができると同時に、当該支持台7から外側に伸びる部分に垂直するブラケット8が取付けられ、第三モーターがブラケット8の昇降を駆動し、ブラケット8の一端はマイクロジェットノズル1に設けられた調圧器2と固定的に連結され、ブラケット8が支持台7に沿って移動する時、マイクロジェットノズル1は垂直方向に沿って噴射高度を調節することができる。
本実施例における微粒子輸送設備は主にマイクロジェットノズル1の一部と高精度フィードシステムを備え、マイクロジェットノズル1は液圧装置3によりマイクロジェットが生成され、高精度フィードシステムは微粒子9を収納した容器6が水平面内での移動を実現するのに用い、マイクロジェットノズル1を一貫して容器6内の微粒子9に向けるようにし、そのうち、高精度フィードシステムはリニアモーターで駆動し、作業台のX軸とY軸方向への移動を実現できると同時に、ブラケット8のZ軸方向への昇降を実現し、リニアモーターは低速と高速下で何れも極めて低いスラストリプルが有することを保証し、等速性と位置決めの精密性を保証させ、運動方向が如何にあれ、移動の安定性と直線性を厳格に保証することができ、平面内の正確な移動を実現する。本実施例におけるリニアモーターの位置決め精度は±2μmで、繰返し位置決め精度は1μmで、最大速度は1m/sで、加速度は1m/s2である。
このほか、第一ガイドレール511に取付けられた第一グレーディングルーラースケール512は第一ベース台51の移動に対し追跡し、且つ第一ベース台51の位置をフィードバックすることができ、第一衝突防止装置513は第一ベース台51のストロークに対する制御を実現することができる。第二ガイドレール521に取付けられた第二グレーディングルーラースケール522は第二ベース台52の移動に対し追跡し、且つ第二ベース台52の位置をフィードバックすることができ、第二衝突防止装置523は第二ベース台52のストロークに対する制御を実現することができる。支持台7におけるブラケット8の位置を検査とフィードバックし、且つブラケット8の昇降ストロークを制限するために、垂直方向で移動するブラケット8にも同じく第三グレーディングルーラースケールと第三衝突防止装置を設置することができる。本実施例における作業台のストローク(それぞれX軸とY軸に沿う)は500mm×400mmで、ブラケット8が垂直方向(Z軸)に沿ったストロークは100mm〜200mmである。
このため、作業時、作業台を移動し、且つブラケット8の高さを調整することで、マイクロジェットノズル1を容器6内の微粒子9に向けるようにし、マイクロジェットノズル1から生成した「水ピンセット」が微粒子9を挟んだ後、再び作業台を移動して挟まれた微粒子9を微粒子の収納ボックス内に移動させ、これにより微粒子9の一回の輸送を完成する。
本実施例では微粒子表面の境界層の流体特徴を利用して微粒子9に対し挟む作用を生成する「水ピンセット」を実現し、水ピンセットは微粒子9を内部に包むことで、微粒子9に対する捕集を実現し、水ピンセットが移動する時、マイクロジェット14の中心位置は捕集される微粒子9に中心から離れ、微粒子9の周囲で移動方向に沿った前後の差圧が形成され、差圧の作用で微粒子9移動させ、微粒子9の輸送と制御を実現する。本実施例における微粒子捕集装置は通常の実験条件下、「水ピンセット」の効果を実現することができ、簡単且つ実用で、より実現と操作し易いため、一種の新型微粒子操作方式を提供しただけではなく、マイクロ製造分野で微粒子の「堆積成形」のために新しい考え方と方法を提供した。

Claims (9)

  1. 微粒子捕集装置であって、マイクロジェットが微粒子の表面を流れる時の微粒子表面の境界層の流体特徴を利用して微粒子を挟む微粒子捕集装置であり、その特徴は、
    マイクロジェットノズル(1)と、調圧器(2)と、前記マイクロジェットノズル(1)に噴射液を提供するための液圧装置(3)と、を備え、
    前記マイクロジェットノズル(1)内には軸方向に沿って貫通する環状噴霧室(13)が開設され、
    前記環状噴霧室(13)の内径と前記微粒子(9)の直径との間には下記の関係式、即ち、Φw-10μm≦Ψpi≦Φwを満たしており、その内、Ψpiは前記環状噴霧室(13)の内径を示しており、Φwは前記微粒子(9)の直径を示しており、前記ΨpiとΦwの単位は何れもμmであり、
    前記環状噴霧室(13)の頂部には入射口(131)が設けられ、環状噴霧室(13)の底部には噴射口(132)が設けられ、
    前記調圧器(2)の入力端は前記液圧装置(3)の液体放出管に連結され、当該調圧器(2)の出力端は前記マイクロジェットノズル(1)の入射口(131)に連結されている、
    微粒子捕集装置。
  2. 請求項1に記載の微粒子捕集装置において、
    前記マイクロジェットノズル(1)はノズルシェル(11)とノズルコア(12)を備え、前記ノズルシェル(11)内には軸方向に貫通する貫通孔が設けられ、前記ノズルコア(12)はコアヘッド(121)とコアボディ(122)とを備え、前記コアヘッド(121)は前記ノズルシェル(11)の頂部に当接し、且つ固定的に連結され、前記コアボディ(122)は前記貫通孔に挿設され、前記ノズルシェル(11)の貫通孔内壁と前記ノズルコア(12)のコアボディ(122)との間には前記環状噴霧室(13)が形成され、且つ、前記ノズルコア(12)のコアヘッド(121)には前記入射口(131)と対向する液体流入孔(121a)が開設されている、
    ことを特徴とする微粒子捕集装置。
  3. 請求項2に記載の微粒子捕集装置において、
    中心軸線に沿って切り開いた前記ノズルコア(12)の切断面はT字型を呈し、前記液体流入孔(121a)は前記ノズルコア(12)のコアヘッド(121)の周方向に沿って間隔をあけて設けられた複数の貫通孔である、
    ことを特徴とする微粒子捕集装置。
  4. 請求項1に記載の微粒子捕集装置において、
    当該液圧装置(3)は、プランジャーポンプ(31)と、前記プランジャーポンプ(31)を駆動するモーター(32)と、噴射液体の吸込み及び排出を実現可能なスーパーチャージャー(33)とを備え、
    その内、スーパーチャージャー(33)とプランジャーポンプ(31)との間には油圧回路(35)を介して連通され、当該油圧回路(35)には方向制御弁(34)が取り付けられている、
    ことを特徴とする微粒子捕集装置。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の微粒子捕集装置を用いた微粒子輸送設備であって、
    台座(4)と、
    前記台座(4)に設けられ、且つ当該台座(4)の長手方向及び幅方向に沿ってそれぞれ直線移動を行うことができる作業台と、
    前記作業台に固定的に設置され、且つ前記マイクロジェットノズル(1)の下方に設置され、微粒子(9)を収納した容器(6)と、
    前記台座(4)と垂直になるように設置された支持台(7)と、を備え、
    前記支持台(7)には垂直方向に沿って直線移動を行うことができ、且つ当該支持台から外側に伸びるブラケット(8)が取付けられ、前記ブラケットの(8)張出し端は前記マイクロジェットノズル(1)に設けられた調圧器(2)と固定的に連結されている、
    ことを特徴とする微粒子輸送設備。
  6. 請求項5に記載の微粒子輸送設備において、
    前記作業台は第一ベース台(51)と第二ベース台(52)を備え、さらに第一モーターと第二モーターを備え、
    前記台座(4)には長手方向に沿って配置された第一ガイドレール(511)が設けられ、前記第一ベース台台(51)は前記第一モーターの駆動により前記第一ガイドレール(511)に沿って直線移動を行うことができ、
    前記第一ベース台(51)には前記台座(4)の幅方向に沿って配置された第二ガイドレール(521)が設けられ、前記第二ベース台(52)は前記第二モーターの駆動により前記第二ガイドレール(521)に沿って直線移動を行うことができる、
    ことを特徴とする微粒子輸送設備。
  7. 請求項6に記載の微粒子輸送設備において、
    前記第一ガイドレール(511)の側面に前記第一ベース台(51)の移動位置を追跡且つフィードバックする第一グレーディングルーラースケール(512)が設置され、前記第二ガイドレール(521)の側面には第二ベース台(52)の移動位置を追跡且つフィードバックする第二グレーディングルーラースケール(522)が設置されている、
    ことを特徴とする微粒子輸送設備。
  8. 請求項6に記載の微粒子輸送設備において、
    前記台座(4)には前記第一ベース台(51)の移動ストロークを制限する第一衝突防止装置(513)がさらに設置され、前記第一ベース台(51)には前記第二ベース台(52)の移動ストロークを制限する第二衝突防止装置(523)が設置されている、
    ことを特徴とする微粒子輸送設備。
  9. 請求項6に記載の微粒子輸送設備において、
    前記第一モーターと第二モーターはリニアモーターである、
    ことを特徴とする微粒子輸送設備。
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