JP5345236B2 - 空気調和機 - Google Patents
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Description
このようなマルチ形空気調和機は、たとえば、ビル等の多数の部屋(室内機設置箇所)を持つところで用いられるので、室外機と室内機との距離が長くなる。これもあいまって各室内機と室外機とを接続する配管長が長くなるので、封入される冷媒の量が多くなる。
このため、圧縮機側に戻ってくる液冷媒の量も必然的に多くなるので、それが圧縮機まで戻る可能性が多くなる。
この液冷媒が圧縮機まで戻ると、圧縮機は液圧縮を行うことになる。このような液圧縮は圧縮機にとって過負荷となり焼付き等の故障に至る恐れがある。
たとえば、圧縮機の吸入側に気液分離して液冷媒を貯留する大容量のアキュームレータを設置することにより回避していた。
このため、室外機内に大きなアキュームレータを設置するスペースを確保しなければならず、室外機を小型コンパクト化する上でのネックとなっていた。また、アキュームレータを小型化し、あるいは、無くし、コストダウンすることも困難となっていた。
このように、圧縮機の起動の6時間前に電源を投入することになると、その間は圧縮機を運転できないことになる。
ビルの内装工事はビルの完成間近に行われ、しかも、時間的余裕のない状況で行われることが多く、そこに設置されるマルチ形空気調和機の設置作業および試運転作業も時間的余裕なく行われることが多い。このため、余裕を持った起動準備時間である、たとえば、6時間を確保するとスケジュールに支障を来たす恐れがある。
このように、人為的な要因によって起動準備時間が短縮されると、圧縮機が故障する恐れがあるし、一方、推奨通りの起動準備時間を確保すると、設置作業および試運転作業のスケジュールに支障を来たす恐れがある。
すなわち、本発明にかかる空気調和機は、少なくとも1台の室外機に対して、1台または複数台の室内機が並列に接続されている空気調和機であって、運転を制御する制御部には、電源投入時に起動に伴い圧縮機が故障する可能性を判定し、その可能性が高い場合は圧縮機の起動を禁止し、その可能性が低い場合は圧縮機の起動を許容する圧縮機保護制御モードが備えられ、前記圧縮機保護制御モードは、外気温度が所定温度以上であれば、前記圧縮機が故障する可能性が低いと判定し、前記所定温度は、暖房運転の方が冷房運転よりも低く設定されていることを特徴とする。
このように、圧縮機保護制御モードが圧縮機の起動の可否を決定し、それが許容しない限り圧縮機を起動することがないので、圧縮機の起動に人為的な判断による恣意的な起動が行えず、圧縮機が故障する恐れを抑制することができる。
なお、圧縮機が故障する可能性は圧縮機内部の温度が高いか否かで判定することになる。すなわち、圧縮機内部の温度が高いと、液冷媒は蒸発して圧縮機外へ排出されていると推定でき、圧縮機が故障する可能性が低いと判定できる。この場合、内部の温度を直接測定するのは、高価な計測器を新たに設置することになり、コストがかかるので、既存の計測器を活用することが好ましい。
なお、所定温度としては、冷房運転の場合5〜15℃とされ、好ましくは20〜30℃とされる。また、暖房運転の場合、−5〜5℃とされ、好ましくは10〜20℃とされる。暖房運転の方が冷房運転よりも低く設定されている。これは暖房運転では冷房運転に比べて蒸発器以降の配管が短く,そこに溜まり込む冷媒量が少ないので、液冷媒の量もそれに応じて少なくなり、その影響が小さくなるからである。
圧縮機内部の温度が高くなると、液冷媒は蒸発して圧縮機外へ排出されていると推定できる、あるいは、液冷媒は容易に蒸発して圧縮機への悪影響が少ないので、圧縮機が故障する可能性が低いと判定することができる。
なお、所定温度としては、冷房運転の場合5〜15℃とされ、好ましくは20〜30℃とされる。また、暖房運転の場合、−5〜5℃とされ、好ましくは10〜20℃とされる。暖房運転の方が冷房運転よりも低く設定されている。これは暖房運転では冷房運転に比べて蒸発器以降の配管が短く,そこに溜まり込む冷媒量が少ないので、液冷媒の量もそれに応じて少なくなり、その影響が小さくなるからである。
また、所定時間としては、圧縮機の大きさで異なるが、圧縮機外部の温度が内部に伝達されるまでの時間を考慮して3〜6時間とされる。
これにより、圧縮機の起動準備時間を短縮する等運用の自由度を一層確保することができる。
また、一律に一定時間の経過を待つのに比べて起動準備時間の短縮をはかることができるので、空気調和機、特に、マルチ形空気調和機の運用の自由度を確保することができる。
図1には、本実施形態にかかるマルチ形空気調和機(空気調和機)1の冷媒サイクル図が示されている。
マルチ形空気調和機1には、1台の室外機3と、この室外機3から導出されるガス側配管5および液側配管7と、このガス側配管5および液側配管7間に分岐器9を介して並列に接続される複数台の室内機11A,11Bと、が備えられている。
また、室外機3には、室外熱交換器19に外気を送風する室外ファン41が設けられている。
ガス側配管5および液側配管7は、現場での据え付け施工時に、室外機3とそれに接続される室内機11A,11Bとの間の距離に応じてその長さが適宜決定される。
ガス側配管5および液側配管7の途中には、適宜数の分岐器9が設けられ、この分岐器9を介してそれぞれ適宜台数の室内機11A,11Bが接続されている。
これによって、密閉された1系統の冷凍サイクル43が構成される。
室内機11A,11Bは、室内側の分岐ガス配管5Aおよび分岐液配管7Aを介して分岐器9に接続されている。
また、制御部51には、圧縮機保護制御モード53を解除し、圧縮機13を起動可能とする解除手段55が備えられている。
吐出配管37Aには、圧縮機13から吐出される高圧の冷媒ガスの圧力を計測する高圧圧力センサ59が設けられている。
吸入配管37Eには、圧縮機13に吸入される低圧の冷媒ガスの圧力を計測する低圧圧力センサ61が設けられている。
室内熱交換器45の室内空気取入側には、取り入れられる室内空気の温度を計測する内気温度センサ65が設けられている。
室内熱交換器45には、熱交換部材の温度を計測する熱交温度センサ67が設けられている。
圧縮機13により圧縮された高温高圧の冷媒ガスは、吐出配管37Aに吐出される。この冷媒ガスは油分離器15で冷媒中に含まれる潤滑油が分離された後、四方切換弁17によりガス配管37B側に循環される。
ガス配管37Bを通る冷媒ガスは、室外熱交換器19で室外ファン41により送風される外気と熱交換されて凝縮液化され、液冷媒とされる。
この液冷媒は、過冷却コイル21で冷却された後、室外電動膨張弁23を通過し、レシーバ25に一旦貯留されて循環量が調整される。
所定の過冷却度が付与された液冷媒は、液側操作弁35を経て室外機3から液側配管7へと導出される。液側配管7に導出された液冷媒は、分岐器9により各室内機11A,11Bの分岐液配管7A,7Bへと分流される。
室内熱交換器45では、室内ファン49により循環される室内空気と冷媒とが熱交換され、室内空気は冷却されて室内の冷房に供される。
一方、冷媒はガス化され、分岐ガス配管5A,5Bを経て分岐器9に至り、他の室内機からの冷媒ガスとガス側配管5で合流される。
アキュームレータ31では、冷媒ガス中に含まれている液分が分離され、ガス分のみが圧縮機13へと吸入され、この冷媒が圧縮機13において再び圧縮される。
以上のサイクルを繰り返すことによって、冷房運転が行われる。
圧縮機13により圧縮された高温高圧の冷媒ガスは、吐出配管37Aに吐出される。この冷媒ガスは油分離器15で冷媒中に含まれる潤滑油が分離された後、四方切換弁17によりガス配管37D側に循環される。
この冷媒は、ガス側操作弁33、ガス側配管5を経て室外機3から導出され、更に、分岐器9、室内側の分岐ガス配管5A,5Bを経て室内機11A,11Bに導入される。
室内機11A,11Bに導入された高温高圧の冷媒ガスは、室内熱交換器45で室内ファン49によって循環される室内空気と熱交換され、室内空気は加熱されて室内の暖房に供される。
なお、暖房時、室内機11A,11Bでは、凝縮器として機能する室内熱交換器45の出口における冷媒の過冷却度が一定値となるよう、室内電動膨張弁(EEVC)47の開度が制御される。
この液冷媒は、液配管37Cを介して室外電動膨張弁(EEVH)23に至り、ここで断熱膨張され、過冷却コイル21を経て室外熱交換器19に流入する。
室外熱交換器19では、室外ファン41により送風される外気と冷媒とが熱交換され、冷媒は外気から吸熱して蒸発気化される。
アキュームレータ31では、冷媒ガス中に含まれる液分が分離されてガス分のみが圧縮機13へと吸入され、この冷媒は圧縮機13で再び圧縮される。
以上のサイクルを繰り返すことによって、暖房運転が行われる。
電源が投入される(ステップS1)と、ヒータ14に通電され、その熱量によって圧縮機13が加熱される。
また、解除手段55がONされているか否かが判断される(ステップS2)。
この状態で、圧縮機13が起動されると、圧縮機保護制御モード53は終了される(ステップS4)。
これにより、圧縮機13の起動準備時間を短縮する等、マルチ形空気調和機1の運用における自由度を広げることができる。
外気温度が10℃以上である(YES)場合、ステップS3に進み、圧縮機13の起動を許可する。
すなわち、ある程度の時間放置されていると、室外機3は平衡状態となり、圧縮機13の内部温度は外気温度と略同等の温度となっていると推定されるので、圧縮機13の内部温度が10℃以上であることになる。
圧縮機13の内部温度が10℃以上あると、液冷媒は蒸発して圧縮機13外へ排出されていると推定できる、あるいは、液冷媒は容易に蒸発して圧縮機13への悪影響が少ないので、圧縮機13が故障する可能性が低いと判定することができる。
また、暖房運転の場合、冷房運転に比べて蒸発器以降の配管が短く,そこに溜まり込む冷媒量が少ないので、圧縮機13に流入する液冷媒の量が少なくなる。このため、液冷媒の悪影響が小さくなるので、ステップS5における判定に用いられる温度は低くできる。この温度は、たとえば、−5〜5℃の範囲で選択され、好ましくは10〜20℃の範囲で適宜適正なものが選択される。
ドーム下過熱度は、ドーム下温度センサ57が計測する圧縮機13の外部温度、すなわち圧縮機13の下部温度から低圧圧力センサ61で計測される圧縮機13に吸入される冷媒の低圧圧力における冷媒の飽和温度を減算したものである。
圧縮機13の外部温度が高くなると、その熱量が圧縮機13内部に伝達されるので、時間を置いて圧縮機13内部の温度も高くなる。反対に、内部温度が高いと外部温度も高くなる。これから、圧縮機13の外部温度は圧縮機13内部の温度と略等しいと推定できる。
なお、圧縮機が故障する可能性が低いと判定するドーム下過熱度は、たとえば、10〜15℃の範囲で、好ましくは10〜40℃の範囲で適宜適正なものが選択される。
上述のように、圧縮機13の外部温度は圧縮機13内部の温度と略等しいと推定できるので、圧縮機13内部の熱量を推定できる。これにより、この外部温度が所定の温度以上になると、圧縮機13の起動を許可するようにする。この温度としては、たとえば、0〜10℃の範囲で、好ましくは20〜30℃の範囲で適宜適正なものが選択される。
また、圧縮機13の吸入管温度から低圧圧力センサ61で計測される圧縮機13に吸入される冷媒の低圧圧力における冷媒の飽和温度を除算した圧縮機13の吸入過熱度によって判定するようにしてもよい。
したがって、ステップS7で、6時間経過している(YES)場合、ステップS3に進み、圧縮機13の起動を許可する。
したがって、ヒータ14による加熱が所定時間継続すると圧縮機13内部は液冷媒が蒸発して圧縮機外へ排出されていると推定できる、あるいは、液冷媒が容易に蒸発して圧縮機13への悪影響が少ないレベルの温度まで高められるので、圧縮機13が故障する可能性が低いと判定することができる。
なお、この6時間は例示であって、この所定時間はヒータ14により加熱されて圧縮機13が十分な熱量を有するに必要な時間として適宜適正なものが選択される。
したがって、圧縮機13が故障する可能性が多い状態で起動されることがないので、圧縮機13が故障する恐れを抑制することができる。
圧縮機が故障する可能性が低い状態、すなわち、外気温度が10℃以上となる、あるいは、ドーム下過熱度が15℃以上となると、一定時間が経過しなくても圧縮機13を起動できるので、一律に一定時間の経過を待つのに比べて時間の短縮をはかることができる。
これにより、マルチ形空気調和機1の運用の自由度を確保することができる。
図3は、圧縮機保護制御モード53の別の実施態様のフローを示している。
図3に示されるフローでは、ステップS5において外気温度が所定の温度よりも大きい(YES)場合、ステップS3に進むのではなく、ステップS6に進むようにされている。また、ステップS5がNOの場合、ステップS6に進むのではなく、ステップS7に進むようにされている。
このように、より安全サイドにしているので、それに見合ってステップS5およびステップS6の個別の条件は若干緩和している。
すなわち、冷媒は温度が低いところに溜る傾向がある。たとえば、外気温度センサ63および内気温度センサ65で計測された温度を比較すると、室外機3側に冷媒が多いのか、あるいは室内機11A,11B側に多いのかが分かる。
さらに、高圧圧力センサ59および低圧圧力センサ61によって計測された冷媒の圧力における冷媒の飽和温度の大きさによって室外機3側の冷媒量を推定することができる。
たとえば、上記実施形態ではマルチ形空気調和機1としているが、これ以外のタイプの空気調和機にも本発明は適用できる。
また、室内機11A,11Bの台数について、1台以上であれば何台であってもよく、特に制限されるものではない。また、室外機3の台数は1台以上であれば何台であってもよく、特に制限されるものではない。
さらに、上記実施形態で例示されている具体的な時間や温度等の数値は、一例を示すものにすぎず、それに限定されるものでないことは言うまでもない。
3 室外機
11A,11B 室内機
13 圧縮機
14 ヒータ
51 制御部
53 圧縮機保護制御モード
55 解除手段
Claims (5)
- 少なくとも1台の室外機に対して、1台または複数台の室内機が並列に接続されている空気調和機であって、
運転を制御する制御部には、電源投入時に起動に伴い圧縮機が故障する可能性を判定し、その可能性が高い場合は前記圧縮機の起動を禁止し、その可能性が低い場合は前記圧縮機の起動を許容する圧縮機保護制御モードが備えられ、
前記圧縮機保護制御モードは、外気温度が所定温度以上であれば、前記圧縮機が故障する可能性が低いと判定し、
前記所定温度は、暖房運転の方が冷房運転よりも低く設定されていることを特徴とする空気調和機。 - 前記圧縮機保護制御モードは、前記圧縮機の冷媒の吸入位置における外部温度から前記圧縮機に吸入される冷媒の低圧圧力における冷媒の飽和温度を減算した温度が所定温度以上の場合に、前記圧縮機が故障する可能性が低いと判定する請求項1に記載の空気調和機。
- 前記圧縮機保護制御モードは、前記圧縮機の外部温度が所定温度以上となる状態が所定時間継続すると、前記圧縮機が故障する可能性が低いと判定することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の空気調和機。
- 前記圧縮機保護制御モードは、前記圧縮機を加熱するヒータの通電時間が所定時間継続すると、前記圧縮機が故障する可能性が低いと判定することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の空気調和機。
- 前記制御部には、前記圧縮機保護制御モードを解除し、前記圧縮機を起動可能とする解除手段が備えられていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の空気調和機。
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