JP5345059B2 - 婦人科癌の検出方法 - Google Patents

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Description

本発明は、β1−3ガラクトース転移酵素−5及び/又はβ1−3ガラクトース転移酵素−4、あるいはN−アセチルグルコサミン6−O−硫酸転移酵素−2を分析することを特徴とする婦人科癌、特には卵巣癌又は子宮体癌の検出方法に関する。なお、本明細書における前記「分析」には、分析対象物質の量を定量的又は半定量的に決定する「測定」と、分析対象物質の存在の有無を判定する「検出」との両方が含まれる。
婦人科癌には、子宮頸癌、子宮体癌、卵巣癌、外陰癌、膣癌、子宮肉腫、絨毛癌(絨毛性疾患)などが含まれる。これらの多くは、症状による早期発見が困難であるが、早期に手術などの外科療法を行うことにより、5年生存率は顕著に上昇する。そのため、これらの婦人科癌を早期に発見することのできる腫瘍マーカーの開発が望まれている。
例えば、卵巣癌は、腹部の卵巣にできる癌であるため、腫瘍ができても初期にはほとんど自覚症状がみられない。そのため、卵巣癌患者は転移が起こった後の病期の進んだ段階、例えばIII期又はIV期で発見されることが多く、このような患者では治療を行っても5年生存率は低くなっている。卵巣癌患者の治療は、手術により卵巣や大網を切除する外科療法、放射線療法、及び抗癌剤を使用する化学療法が行われている。卵巣癌の病期の進んでないI期又はII期では、外科療法により卵巣やその周囲の組織を切除することにより、完全に治療することも可能である。一方、病期の進んだIII期又はIV期では、リンパ節や肝臓への転移も起こっているため、手術により完全に癌細胞を取り除くことはできず、放射線療法や化学療法を併用することになる。しかしながら、転移した癌を放射線療法や化学療法により、完全に抑えることは困難であり、5年生存率は、I期又はII期に発見された患者と比較すると極端に低くなっている。従って、病期の初期の段階で、卵巣癌患者を発見することが望まれている。
さて、前記のように卵巣癌は、初期にはほとんど自覚症状がないため、病期の進んだ段階で超音波等の画像診断で診断されることが多かった。更に、卵巣癌患者を診断する卵巣癌の診断マーカーとしては、CA125という糖タンパクの測定が最も広く用いられている。CA125は、卵巣癌の4つの組織型(漿液性卵巣癌、粘液性卵巣癌、類内膜性卵巣癌、明細胞性卵巣癌)のうち、特に漿液性腺癌での陽性率が高いことが知られており、卵巣癌に特異性の高いマーカーであり、病期の進んだ段階では、多くの患者がCA125陽性を示す。しかしながら、早期癌での陽性率は低く、欧米においては、健康診断においてCA125の血液検査による早期診断の試みも行われているが、その有効性は証明されていない。
また、子宮体癌は、子宮の内側の子宮内膜に発生する癌であり、通常の婦人科検診で行われている細胞診テストでは発見することはできない。子宮体癌の治療も、手術により癌部を取り除く外科療法、放射線療法、抗癌剤を使用する化学療法、及びホルモン療法が行われている。子宮体癌の病期は、癌の拡がり方により、I〜IV期に分けられるが、I〜III期の病期では外科療法が行われ、初期に治療を行うことにより、5年生存率が高くなっている。従って、病期の初期の段階で、子宮体癌患者を発見することが望まれている。
このような子宮体癌の診断マーカーとしては、CA125及びCA602という糖タンパクや、すい臓癌のマーカーとしても使用されているCA19−9が用いられている。しかしながら、これらの腫瘍マーカーによる子宮体癌の検出率は、非常に低く有効なものではなかった。
一方、様々な癌細胞及び癌組織において、種々のタンパク質の発現が亢進あるいは低下することが報告されている。例えば、糖鎖のタイプ1鎖の合成に係わっている糖転移酵素であるβ1−3ガラクトース転移酵素−5(以下、β3Gal−T5と称する)が大腸癌細胞及び膵臓癌細胞、又は大腸癌組織において発現していることが報告されている(特許文献1又は非特許文献1)。更に、L−セレクチンリガンドの合成に係わっている糖転移酵素であるN−アセチルグルコサミン6−O−硫酸転移酵素−2(以下、GlcNAc6ST−2と称する)が、粘液性大腸癌に異所性に発現していること(非特許文献2)、及び粘液性卵巣癌及び明細胞性卵巣癌に異所性に発現していること(非特許文献3)が報告されている。
しかしながら、これらの報告は前記の糖転移酵素が、癌細胞又は癌組織において、発現していることを示しているのみであって、具体的に血液中の癌マーカーとして、有用であることを示すものではない。特に、糖転移酵素は、通常、細胞外に分泌されるものではなく、特に血液を用いる癌マーカーとして有用である可能性は低いと考えられていた。また、β3Gal−T5と卵巣癌及び子宮体癌との関連、並びにGlcNAc6ST−2と子宮体癌との関連を示す報告はなく、更に、β1−3ガラクトース転移酵素ファミリーの1つであるβ1−3ガラクトース転移酵素−4(以下、β3Gal−T4と称する)については、卵巣癌及び子宮体癌との関連は報告されていなかった。
国際公開第00/50608号パンフレット Seko A.,et.al.「キャンサー・リサーチ(Cancer Research)」1996年(米国)第56巻、p.3468〜3473 Seko A.,et al.「グライコバイオロジー(Glycobiology)」2002年(米国)第12巻、p.379〜388 Kanoh A.,et al.「グライココンジュゲート・ジャーナル(Glycoconjugate Journal)」2006年(オランダ)第23巻、p.453〜460
本発明者らは、婦人科癌、特には、卵巣癌患者又は子宮体癌患者を早期に発見することのできる検出マーカーを探索するため様々な細胞内のタンパク質について卵巣癌マーカーとしての可能性を鋭意研究した。その結果、驚くべきことに、β3Gal−T4及び/又はβ3Gal−T5、あるいはGlcNAc6ST−2が、初期の病期の卵巣癌患者の血液中において高率に検出されることを見出した。特に、β3Gal−T4及び/又はβ3Gal−T5は、卵巣癌の全ての組織型(漿液性卵巣癌、粘液性卵巣癌、類内膜性卵巣癌、明細胞性卵巣癌)において高い陽性率を示した。更に、β3Gal−T4及び/又はβ3Gal−T5を分泌する癌細胞及びGlcNAc6ST−2を分泌する癌細胞は完全に重なっておらず、β3Gal−T4及び/又はβ3Gal−T5、並びにGlcNAc6ST−2の検出を組み合わせることによって、卵巣癌の検出率が顕著に上昇することを見出した。
更に、子宮体癌患者においても、β3Gal−T4及び/又はβ3Gal−T5、あるいはGlcNAc6ST−2が、子宮体癌患者の血液中において高率に検出されることを見出した。特に、β3Gal−T4及び/又はβ3Gal−T5は、従来の子宮体癌のマーカーであるCA125、CA602、及びCA19−9と比較すると高い陽性率を示した。更に、β3Gal−T4及び/又はβ3Gal−T5を分泌する癌組織及びGlcNAc6ST−2を分泌する癌組織は完全に重なっておらず、β3Gal−T4及び/又はβ3Gal−T5、並びにGlcNAc6ST−2の検出を組み合わせることによって、子宮体癌患者の検出率が顕著に上昇することを見出し、本発明を完成させた。
なお、前記非特許文献3には、粘液性卵巣癌及び明細胞性卵巣癌の組織においてGlcNAc6ST−2が異所性的に発現していることが開示されている。しかしながら、非特許文献3では、漿液性卵巣癌、類内膜性卵巣癌の癌組織においては、GlcNAc6ST−2の発現が、確認できなかったことが報告されている。すなわち、非特許文献3には、GlcNAc6ST−2が粘液性卵巣癌及び明細胞性卵巣癌の組織において特異的に発現していることが開示されているのみであり、卵巣癌患者の血液中から、GlcNAc6ST−2が検出されることは予想外であった。更に、漿液性卵巣癌及び類内膜性卵巣癌の癌組織からは、GlcNAc6ST−2は組織染色で検出することのできなかったにもかかわらず、漿液性卵巣癌、及び類内膜性卵巣癌の患者の血液中からは、GlcNAc6ST−2が高率に検出されることは、当業者にとっても予期せぬことであった。
従って、本発明の課題は、婦人科癌、特には、卵巣癌又は子宮体癌患者の検出方法及び検出用キットを提供することにある。
本発明は、β1−3ガラクトース転移酵素−5及び/又はβ1−3ガラクトース転移酵素−4、並びにN−アセチルグルコサミン6−O−硫酸転移酵素−2を分析することを特徴とする婦人科癌の検出方法に関する。
また、本発明は、β1−3ガラクトース転移酵素−5及び/又はβ1−3ガラクトース転移酵素−4を分析することを特徴とする婦人科癌の検出方法に関する。
更に、本発明は、N−アセチルグルコサミン6−O−硫酸転移酵素−2を分析することを特徴とする婦人科癌の検出方法に関する。
本発明の検出方法の好ましい態様においては、β1−3ガラクトース転移酵素−5及びβ1−3ガラクトース転移酵素−4に特異的に結合する抗体を用いる。
本発明の検出方法の好ましい態様においては、N−アセチルグルコサミン6−O−硫酸転移酵素−2に特異的に結合する抗体を用いる。
本発明の検出方法の好ましい態様においては、前記婦人科癌が、卵巣癌又は子宮体癌である。
本発明の婦人科癌の検出方法における被検試料としては、ヒトの生体から分離された生体試料又は生体由来試料例えば、尿、血液、血清、血漿、髄液、唾液、細胞、組織、若しくは器官、又はそれらの調整物(例えば、生検標本、特には、卵巣の生検標本)等を用いることができる。前記のヒトの生体から分離された被検試料から、β1−3ガラクトース転移酵素−5及び/又はβ1−3ガラクトース転移酵素−4、又はN−アセチルグルコサミン6−O−硫酸転移酵素−2を検出することによって、本発明の検出方法は、婦人科癌、特には卵巣癌又は子宮体癌のin vitroでの診断方法として用いることが可能である。
また、本発明はβ1−3ガラクトース転移酵素−5及びβ1−3ガラクトース転移酵素−4に特異的に結合する抗体又はその断片、並びにN−アセチルグルコサミン6−O−硫酸転移酵素−2に特異的に結合する抗体又はその断片を含むことを特徴とする、婦人科癌の検出用キットにも関する。
また、本発明はβ1−3ガラクトース転移酵素−5及びβ1−3ガラクトース転移酵素−4に特異的に結合する抗体又はその断片を含むことを特徴とする、婦人科癌の検出用キットに関する。
また、N−アセチルグルコサミン6−O−硫酸転移酵素−2に特異的に結合する抗体又はその断片を含むことを特徴とする、婦人科癌の検出用キットに関する。
本発明の検出用キットの好ましい態様においては、前記婦人科癌が、卵巣癌又は子宮体癌である。
本発明は、β1−3ガラクトース転移酵素−5及び/又はβ1−3ガラクトース転移酵素−4、並びにN−アセチルグルコサミン6−O−硫酸転移酵素−2を分析することを特徴とする卵巣癌の検出方法に関する。
また、本発明は、β1−3ガラクトース転移酵素−5及び/又はβ1−3ガラクトース転移酵素−4を分析することを特徴とする卵巣癌の検出方法に関する。
更に、本発明は、N−アセチルグルコサミン6−O−硫酸転移酵素−2を分析することを特徴とする卵巣癌の検出方法に関する。
本発明の検出方法の好ましい態様においては、β1−3ガラクトース転移酵素−5及びβ1−3ガラクトース転移酵素−4に特異的に結合する抗体を用いる。
本発明の検出方法の好ましい態様においては、N−アセチルグルコサミン6−O−硫酸転移酵素−2に特異的に結合する抗体を用いる。
また、本発明はβ1−3ガラクトース転移酵素−5及びβ1−3ガラクトース転移酵素−4に特異的に結合する抗体又はその断片、並びにN−アセチルグルコサミン6−O−硫酸転移酵素−2に特異的に結合する抗体又はその断片を含むことを特徴とする、卵巣癌の検出用キットにも関する。
また、本発明はβ1−3ガラクトース転移酵素−5及びβ1−3ガラクトース転移酵素−4に特異的に結合する抗体又はその断片を含むことを特徴とする、卵巣癌の検出用キットに関する。
また、本発明はN−アセチルグルコサミン6−O−硫酸転移酵素−2に特異的に結合する抗体又はその断片を含むことを特徴とする、卵巣癌の検出用キットに関する。
これまで、卵巣癌の検出マーカーとしては糖タンパク質であるCA125又はCA546の検出が広く用いられている。本発明の検出方法によれば、これらの従来の卵巣癌の検出マーカーと比較して、卵巣癌の病期の初期のステージであるI期及びII期において、高率に卵巣癌患者を検出することが可能である。すなわち、本発明の検出方法は、比較的小さな癌から分泌されるβ3Gal−T4及び/又はβ3Gal−T5、あるいはGlcNAc6ST−2を検出することが可能であり、従って、健康診断において自覚症状の見られないI期の卵巣癌を発見することも可能である。また、β3Gal−T4及び/又はβ3Gal−T5を分析する本発明の検出方法によれば、従来法と比較して、粘液性卵巣癌、類内膜性卵巣癌、及び明細胞性卵巣癌を高率に検出することが可能であり、特には、化学療法に対して難治性(抵抗性)である粘液性卵巣癌及び明細胞性卵巣癌を高率に検出することができる。
更に、β3Gal−T4及び/又はβ3Gal−T5を分析する本発明の検出方法、並びにGlcNAc6ST−2を分析する本発明の検出方法を組み合わせることによって、卵巣癌患者の検出率を、顕著に上昇させることができる。特には、卵巣癌の病期の初期のステージであるI期及びII期の患者において、組合せの効果が著しく、また組織型としては、類内膜性卵巣癌及び明細胞性卵巣癌において、組合せにより検出率を、顕著に上昇させることができる。
また、子宮体癌においては、検出マーカーとしてCA125、CA602、及びCA19−9が用いられていたが、本発明の検出方法によれば、これらの従来の子宮体癌の検出マーカーと比較して、病期の初期のステージであるI期において、子宮体癌患者を高率に検出することが可能である。すなわち、本発明の検出方法は、比較的小さな癌から分泌されるβ3Gal−T4及び/又はβ3Gal−T5、あるいはGlcNAc6ST−2を検出することが可能であり、従って、婦人科検診における細胞診テストでは発見することの困難な子宮体癌患者を発見することができる。
更に、β3Gal−T4及び/又はβ3Gal−T5を分析する本発明の検出方法、並びにGlcNAc6ST−2を分析する本発明の検出方法を組み合わせることによって、子宮体癌患者の検出率を、顕著に上昇させることができる。
また、本発明の検出方法は、手術後の再発のモニタリング、放射線療法及び化学療法の治療効果のモニタリングに用いることも可能である。
β3Gal−T5に対するモノクローナル抗体及びポリクローナル抗血清の特異性をウエスタンブロット確認した写真である。A:β3GalT−1(レーン1)、β3GalT−2(レーン2)、β3GalNAc−T1(レーン3)、β3Gal−T4(レーン4)、β3Gal−T5(レーン5)、β3GalT−6(レーン6)、を電気泳動し、Sypro Orange(インビトロジェン社)染色を行ったものである。B:β3Gal−T5に対するモノクローナル抗体を用いた、それぞれのタンパク質に対するウエスタンブロットを示す。C:β3Gal−T5に対するポリクローナル抗血清を用いた、それぞれのタンパク質に対するウエスタンブロットを示す。 GlcNAc6ST−2に対するモノクローナル抗体及びポリクローナル抗血清の特異性をウエスタンブロット確認した写真である。A:GlcNAc6ST1(レーン1)、GlcNAc6ST−2(レーン2)、GlcNAc6ST3(レーン3)、GlcNAc6ST4(レーン4)、GlcNAc6ST5(レーン5)、Gal6ST(レーンG)、及びCh6ST1(レーンC)を電気泳動し、Sypro Orange(インビトロジェン社)染色を行ったものである。B:GlcNAc6ST−2に対するモノクローナル抗体を用いた、それぞれのタンパク質に対するウエスタンブロットを示す。C:GlcNAc6ST−2に対するポリクローナル抗血清を用いた、それぞれのタンパク質に対するウエスタンブロットを示す。 A:β3Gal−T5に対するモノクローナル抗体及びポリクローナル抗血清を用いたサンドイッチELISA法によるβ3Gal−T5の検量線を示す。B:GlcNAc6ST−2に対するモノクローナル抗体及びポリクローナル抗血清を用いた、サンドイッチELISA法によるGlcNAc6ST−2の検量線を示す。 ES−2細胞(レーン1)、MCAS細胞(レーン2)、RMG−I細胞(レーン3)、RMG−II細胞(レーン4)、及びRMUG−L細胞(レーン5)の5株の卵巣癌細胞株における、β3Gal−T4及びβ3Gal−T5のmRNAの発現をRT−PCRで確認した図である。 A:β3Gal−T5に対するモノクローナル抗体及びポリクローナル抗血清を用いたサンドイッチELISA法によるβ3Gal−T5の検量線を示す。標準物質である非変性大腸菌β3Gal−T5タンパク質の希釈液を、PBS−0.1%Tween−20(PBS−T)に正常人ヒト血清10%を添加した希釈液を用いたものである。B:GlcNAc6ST−2に対するモノクローナル抗体及びポリクローナル抗血清を用いた、サンドイッチELISA法によるGlcNAc6ST−2の検量線を示す。標準物質である大腸菌GlcNAc6ST−2タンパク質の希釈液を、PBS−0.1%Tween−20(PBS−T)に正常人ヒト血清10%を添加した希釈液を用いたものである。
[1]婦人科癌の検出方法
婦人科癌には、子宮頸癌、子宮体癌、卵巣癌、外陰癌、膣癌、子宮肉腫、絨毛癌(絨毛性疾患)などが含まれ、本発明の検出方法は、これらの婦人科癌患者を検出することのできるものである。特に検出率の高い癌としては、卵巣癌、及び子宮体癌を挙げることができ、以下の説明において卵巣癌、及び子宮体癌を例として記載するが、本発明はこの2つの癌に限定されるものではない。
[1−1]卵巣癌について
卵巣は子宮の両脇にある親指大の楕円形の臓器であり、卵巣癌とはその卵巣に発生する癌であり、多くは上皮性である。卵巣癌をその進行度によって病期(ステージ)を分類すると、以下のようにI期〜IV期に分類することができる。
I期:癌が卵巣に限局している。すなわち、癌が片側、又は両側の卵巣にだけとどまっている状態である。
II期:癌が片側又は両側にあって骨盤内に進展している。すなわち、癌が卵巣の周囲、つまり卵管、子宮、直腸、膀胱などの腹膜に転移している状態である。
III期:(1)癌が腹膜幡種を伴って骨盤腔を越えて進展、(2)腔腹膜リンパ節、鼠径リンパ節転移、(3)肝表面への転移、(4)小・大腸への組織学的転移。前記(1)〜(4)のいずれかがみられるものである。すなわち、癌が卵巣の周囲(骨盤内の腹膜だけでなく上腹部にも転移しているか、又は後腹膜リンパ節に転移している状態である。
IV期:(1)癌の遠隔転移、(2)胸水中への癌細胞の証明、(3)肝実質への転移。前記(1)〜(3)のいずれかが認められるものである。すなわち、癌が腹腔外に転移しているか、あるいは肝臓に転移している状態である。
卵巣癌は、初期においては自覚症状がないため、I期及びII期に発見されるのは、約1/3程度であり、2/3はIII期又はIV期に発見される。III期又はIV期に発見された場合は、骨盤腔以外への転移があるため、外科療法で癌を完全に取り除くことができず、完全な治療は困難である。
一方、卵巣癌の組織型は多様であるが、大きくは、漿液性卵巣癌、粘液性卵巣癌、類内膜性卵巣癌、明細胞性卵巣癌に分類することができる。これらの卵巣癌のうち、漿液性卵巣癌が最も多いと言われており、従来の卵巣癌マーカーは、この漿液性卵巣癌を検出するものが多かった。また、化学療法への感受性の点からは、粘液性卵巣癌及び明細胞性卵巣癌が、抗癌剤への抵抗性が高いと言われている。
[1−2]子宮体癌について
子宮体癌は、子宮の上皮である子宮の内膜にできる癌であり、上皮性の癌である。子宮体癌をその進行度によって病期(ステージ)を分類すると、以下のようにI期〜IV期に分類することができる。
I期:癌が子宮体部にのみ認められる。すなわち、子宮頸部、その他には癌は認められない。
II期:癌が子宮体部を越えて子宮頸部に拡がっている。すなわち、子宮の外には拡がっていない。
III期:癌が子宮外に拡がっているが、骨盤を越えては拡がっていない。骨盤内、又は大動脈周囲のリンパ節に転移を認める。
IV期:癌が骨盤を越えて体の他の部位へ拡がるか、又は膀胱若しくは腸の内腔を侵すものである。
子宮体癌は、婦人科検診で行われる子宮頸癌のための細胞診テストでは見つけることができない。しかし、I期〜III期に発見することができれば、手術による外科療法が可能であり、早期であるほど治療効果が高くなる。
[1−3]β3Gal−T4及び/又はβ3Gal−T5の分析
本発明の検出方法では、β3Gal−T4及び/又はβ3Gal−T5を分析することにより、婦人科癌、特には卵巣癌又は子宮体癌を検出する。すなわち、本発明の検出方法では、β3Gal−T4を分析することにより、婦人科癌、特には卵巣癌又は子宮体癌を検出することもできる。また、本発明の検出方法では、β3Gal−T5を分析することにより、婦人科癌、特には卵巣癌又は子宮体癌を検出することもできる。更に、本発明の検出方法では、β3Gal−T4及びβ3Gal−T5を分析することにより、婦人科癌、特には卵巣癌を又は子宮体癌検出することも可能である。
β3Gal−T4は、β1−3ガラクトース転移酵素ファミリーに属し、ガングリオシドGA1、GM1又はGD1bを合成する酵素である。一方、β3Gal−T5は、β3Gal−T4と基質特異性が異なっており、Galβ1−3GlcNAc構造を合成することができる。
後述の実施例に示すように、β3Gal−T4及びβ3Gal−T5のmRNAは、多くの卵巣癌の細胞株において発現しており、β3Gal−T4及びβ3Gal−T5のmRNAの発現する卵巣癌細胞株は、完全に重複するわけではないが、調べた卵巣癌細胞株においては、いずれかのmRNAの発現が見られた。更に、本発明者は5人の卵巣癌患者の卵巣癌組織において、β3Gal−T4及びβ3Gal−T5の酵素活性を測定し、全ての患者の卵巣癌組織から、β3Gal−T4及びβ3Gal−T5の酵素活性を検出することができた。
一方、後述の実施例におけるβ3Gal−T5タンパク質を免疫して得られたモノクローナル抗体及びポリクローナル抗血清について、他のβ1−3ガラクトース転移酵素との反応性を検討したところ、このモノクローナル抗体及びポリクローナル抗血清によって構築されたELISA系は、β3Gal−T4及びβ3Gal−T5の両方の酵素を検出することが可能であることがわかった。
卵巣癌には、血液中にβ3Gal−T4及びβ3Gal−T5を放出している卵巣癌細胞、β3Gal−T4のみを放出している卵巣癌細胞、及びβ3Gal−T5のみを放出している卵巣癌細胞があると考えられ、前記ELISA系によって、測定された卵巣癌患者の血清中に存在するβ1−3ガラクトース転移酵素は、β3Gal−T4及び/又はβ3Gal−T5であると考えられる。
子宮体癌にも、血液中にβ3Gal−T4及びβ3Gal−T5を放出している子宮体癌細胞、β3Gal−T4のみを放出している子宮体癌、及びβ3Gal−T5のみを放出している子宮体癌があると考えられ、前記ELISA系によって、測定された子宮体癌患者の血清中に存在するβ1−3ガラクトース転移酵素は、β3Gal−T4及び/又はβ3Gal−T5であると考えられる。
本発明の検出方法において、β3Gal−T4及び/又はβ3Gal−T5を分析する方法としては、β3Gal−T4及び/又はβ3Gal−T5を定量的又は半定量的に決定することができるか、あるいは、β3Gal−T4及び/又はβ3Gal−T5の存在の有無を判定することができる限り、特に限定されるものではなく、例えば、β3Gal−T4及びβ3Gal−T5に対する抗体又はその断片を用いる免疫学的手法(例えば、酵素免疫測定法、ラテックス凝集免疫測定法、化学発光免疫測定法、蛍光抗体法、放射免疫測定法、免疫沈降法、免疫組織染色法、又はウエスタンブロット等)、生化学的手法(例えば、酵素学的測定法)、又はmRNA量を測定する分子生物学的手法などを挙げることができる。
β3Gal−T4及びβ3Gal−T5の分析方法として、免疫学的分析方法を用いる場合には、β3Gal−T4及びβ3Gal−T5に結合するモノクローナル抗体、又はポリクローナル抗体を用いることができる。あるいは、β3Gal−T4に特異的に結合するモノクローナル抗体、又はポリクローナル抗体と、β3Gal−T5に特異的に結合するモノクローナル抗体、又はポリクローナル抗体とを、組み合わせて用いることもできる。
β3Gal−T4の分析方法として、免疫学的分析方法を用いる場合には、β3Gal−T4に特異的に結合するモノクローナル抗体、又はポリクローナル抗体を用いることもでき、また、β3Gal−T4及びβ3Gal−T5に結合するモノクローナル抗体、又はポリクローナル抗体を用いることも可能である。
更に、β3Gal−T5の分析方法として、免疫学的分析方法を用いる場合には、β3Gal−T5に特異的に結合するモノクローナル抗体、又はポリクローナル抗体を用いることもでき、また、β3Gal−T4及びβ3Gal−T5に結合するモノクローナル抗体、又はポリクローナル抗体を用いることも可能である。
モノクローナル抗体又はポリクローナル抗体は、免疫抗原としてβ3Gal−T4又はβ3Gal−T5を用いること以外は、公知の方法によって作成することが可能であり、例えば、モノクローナル抗体は、KoehlerとMilsteinの方法(Nature 256:495−497,1975)に従って、作成することができる。また、ポリクローナル抗体は、例えば、ウサギの皮内に、β3Gal−T4又はβ3Gal−T5のタンパク質を単独もしくはBSA、KLHなどと結合させた抗原として、単純あるいはフロイント完全アジュバント等のアジュバントと混合して定期的に免疫する。血中の抗体価が上昇した時点で採血し、そのまま抗血清として、又は抗体を公知の方法で精製して使用することができる。また、β3Gal−T4及びβ3Gal−T5に結合するモノクローナル抗体又はポリクローナル抗体を取得するためには、β3Gal−T4及びβ3Gal−T5を、同じマウスやウサギに免疫して抗体を取得することも可能である。
β3Gal−T4又はβ3Gal−T5の分析方法として、酵素学的測定法を用いる場合は、例えば、Miyazakiら〔Miyazaki et al., J. Biol. Chem.,
(1997) 272, 24794-24799〕及び瀬古ら〔Seko et al.,
Cancer Res., (1996) 56, 3468-3473〕の方法に従って、β3Gal−T4又はβ3Gal−T5酵素活性を測定することにより、GlcNAc6ST−2の量又は存在の有無を分析することが可能である。
β3Gal−T5に対するモノクローナル抗体又はポリクローナル抗体を取得するために用いることのできる免疫抗原は、配列番号33に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質の全部又は一部のペプチドを免疫抗原として用いることができる。具体的には、生体試料から精製した抗原、遺伝子工学的に作成した組換え抗原、又は化学的に合成した部分ペプチドなど用いることが可能である。大腸菌や酵母などで発現させる組換え抗原を用いる場合は、発現を容易にするため、他のタンパク質、例えば、SODやTrpEとの融合抗原とすることも可能である。また、精製を容易にするため、His−Tagなどを結合させて発現させることもできる。特には、β3Gal−T5の細胞質内領域及び膜貫通領域を除いて、発現させることが好ましく、例えば、前記配列番号33で表されるアミノ酸配列の27番〜310番のアミノ酸からなるペプチドを組換え抗原として発現させることが好ましい。この27番〜310番のアミノ酸からなるペプチドを組換え抗原として用いて免疫することによってβ3Gal−T4及びβ3Gal−T5に結合することのできるモノクローナル抗体又はポリクローナル抗体を取得することが可能である。
本発明の婦人科癌、特には卵巣癌又は子宮体癌の検出方法に用いることのできるβ3Gal−T4及びβ3Gal−T5に結合する抗体は、少なくともβ3Gal−T4及びβ3Gal−T5に結合する抗体であれば、限定されず、その他のβ1−3ガラクトース転移酵素に結合する抗体でもよいが、好ましくは、β3Gal−T4及びβ3Gal−T5に特異的に結合する抗体である。また、本発明の婦人科癌、特には卵巣癌又は子宮体癌の検出方法に用いることのできるβ3Gal−T4に結合する抗体は、少なくともβ3Gal−T4に結合する抗体であれば、限定されず、その他のβ1−3ガラクトース転移酵素に結合する抗体でもよいが、好ましくは、β3Gal−T4に特異的に結合する抗体である。また、本発明の婦人科癌、特には卵巣癌又は子宮体癌の検出方法に用いることのできるβ3Gal−T5に結合する抗体は、少なくともβ3Gal−T5に結合する抗体であれば、限定されず、その他のβ1−3ガラクトース転移酵素に結合する抗体でもよいが、好ましくは、β3Gal−T5に特異的に結合する抗体である。
β3Gal−T4に対するモノクローナル抗体又はポリクローナル抗体を取得するために用いることのできる免疫抗原は、配列番号34に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質の全部又は一部のペプチドを免疫抗原として用いることができる。
[1−4]GlcNAc6ST−2の分析
更に、本発明の検出方法では、GlcNAc6ST−2を分析することにより、婦人科癌、特には卵巣癌又は子宮体癌を検出する。GlcNAc6ST−2は、糖質6−O−硫酸転移酵素ファミリーに属し、アデノシン−3’−ホスフェート−5’ホスホサルフェートから、硫酸基を様々な糖タンパク質のGlcNAc残基に転移させる酵素である。健常者では、末梢リンパ節の高内皮細胞に特異的に発現しており、L−セレクチンリガンドの合成に関わっている酵素である。
本発明者は5人の卵巣癌患者の卵巣癌組織において、GlcNAc6ST−2の酵素活性を測定した。全ての患者の卵巣癌組織から、GlcNAc6ST−2活性を検出することができた。
本発明の検出方法において、GlcNAc6ST−2を分析する方法としては、GlcNAc6ST−2を定量的又は半定量的に決定することができるか、あるいは、GlcNAc6ST−2の存在の有無を判定することができる限り、特に限定されるものではなく、例えば、抗GlcNAc6ST−2抗体又はその断片を用いる免疫学的手法(例えば、酵素免疫測定法、ラテックス凝集免疫測定法、化学発光免疫測定法、蛍光抗体法、放射免疫測定法、免疫沈降法、免疫組織染色法、又はウエスタンブロット等)、生化学的手法(例えば、酵素学的測定法)、又はmRNA量を測定する分子生物学的手法などを挙げることができる。
GlcNAc6ST−2の分析方法として、免疫学的分析方法を用いる場合には、GlcNAc6ST−2に対するモノクローナル抗体、又はポリクローナル抗体を用いることができる。モノクローナル抗体又はポリクローナル抗体は、免疫抗原としてGlcNAc6ST−2を用いること以外は、公知の方法によって作成することが可能であり、例えば、モノクローナル抗体は、KoehlerとMilsteinの方法(Nature 256:495−497,1975)に従って、作成することができる。また、ポリクローナル抗体は、例えば、ウサギの皮内に、GlcNAc6ST−2のタンパク質を単独もしくはBSA、KLHなどと結合させた抗原として、単純あるいはフロイント完全アジュバント等のアジュバントと混合して定期的に免疫する。血中の抗体価が上昇した時点で採血し、そのまま抗血清として、又は抗体を公知の方法で精製して使用することができる。
GlcNAc6ST−2の分析方法として、酵素学的測定法を用いる場合は、例えば、瀬古ら〔Seko et al., Glycobiology (2002) 12, 379-388〕の方法に従って、GlcNAc6ST−2酵素活性を測定することにより、GlcNAc6ST−2の量又は存在の有無を分析することが可能である。
モノクローナル抗体又はポリクローナル抗体を取得するために用いることのできる免疫抗原は、配列番号35に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質の全部又は一部のペプチドを免疫抗原として用いることができる。具体的には、生体試料から精製した抗原、遺伝子工学的に作成した組換え抗原、又は化学的に合成した部分ペプチドなど用いることが可能である。大腸菌や酵母などで発現させる組換え抗原を用いる場合は、発現を容易にするため、他のタンパク質、例えば、SODやTrpEとの融合抗原とすることも可能である。また、精製を容易にするため、His−Tagなどを結合させて発現させることもできる。また、GlcNAc6ST−2の細胞質内領域及び膜貫通領域を除いて、発現させることが好ましく、例えば、前記配列番号35で表されるアミノ酸配列の28番〜386番のアミノ酸からなるペプチドを組換え抗原として発現させることが好ましい。
本発明の婦人科癌、特には卵巣癌又は子宮体癌の検出方法に用いることのできるGlcNAc6ST−2に結合する抗体は、少なくともGlcNAc6ST−2に結合する抗体であれば、限定されず、その他のN−アセチルグルコサミン6−O−硫酸転移酵素に結合する抗体でもよいが、好ましくは、N−アセチルグルコサミン6−O−硫酸転移酵素−2に特異的に結合する抗体である。
[1−]免疫学的分析方法
免疫学的分析方法として、酵素免疫測定方法、サンドイッチ法を用いる場合には、以下のように行うことが可能である。GlcNAc6ST−2の場合を例として説明する。
まず、マイクロプレートやビーズなどの不溶性担体に、GlcNAc6ST−2に結合する抗体(捕捉抗体、又は一次抗体)を固相化する。次に、捕捉抗体や不溶性担体への非特異的な吸着を防ぐために、適当なブロッキング剤(例えば、牛血清アルブミンやゼラチン等)で不溶性担体のブロッキングを行う。捕捉抗体が固相化されたプレートやビーズに、GlcNAc6ST−2が含まれる被検試料を一次反応液と一緒に加え、捕捉抗体とGlcNAc6ST−2を接触させ、結合させる(一次反応工程)。この後、捕捉抗体に結合しなかった抗原や夾雑物を適当な洗浄液(例えば、界面活性剤を含むリン酸緩衝液)で洗浄する。次に、捕捉されたGlcNAc6ST−2と結合する抗体と西洋わさびペルオキシダーゼ(HRP)などの酵素とが結合した標識抗体(2次抗体)を添加し、捕捉された抗原に標識抗体を結合させる(二次反応工程)。この反応により、捕捉抗体−GlcNAc6ST−2−標識抗体の免疫複合体がマイクロプレート等の担体上に形成される。結合しなかった標識抗体を洗浄液で洗浄し、標識抗体の酵素に対する発色基質や発光基質を添加し、酵素と基質を反応させることによりシグナルを検出する。また、2次抗体を直接標識せずに、2次抗体に結合する抗体を標識しシグナルを検出することも可能である。
抗体を標識する酵素としては、西洋わさびペルオキシダーゼ(HRP)、アルカリフォスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、及びルシフェラーゼなどを挙げることができる。また酵素以外にも、標識物質として、アクリジニウム誘導体などの発光物質、ユーロピウムなどの蛍光物質、I125などの放射性物質などを使用することができる。また、標識物質に合わせて基質や発光誘導物質を適宜選択することができる。更に、本発明における標識抗体は、検出マーカーとしてハプテンや低分子量のペプチド、レクチンなどの抗原抗体反応のシグナルの検出に利用できる物質を結合させた抗体も含むことができる。
β3Gal−T4及び/又はβ3Gal−T5のサンドイッチ法では、GlcNAc6ST−2に結合する抗体を、β3Gal−T4及び/又はβ3Gal−T5に結合する抗体に置き換えることにより、同様の方法で、β3Gal−T4及び/又はβ3Gal−T5の免疫学的分析方法を構築することが可能である。
サンドイッチELISAに用いる抗体は、一次抗体又は二次抗体のいずれかが、分析するタンパク質に特異的に結合する抗体であれば、もう一方の抗体は、分析するタンパク質以外のタンパク質と結合する(交差反応を有する)抗体でもよい。例えば、β3Gal−T4及びβ3Gal−T5を分析する場合、一次抗体又は二次抗体のいずれかが、β3Gal−T4及びβ3Gal−T5に特異的に結合する抗体であれば、β3Gal−T4及びβ3Gal−T5を特異的に分析することが可能である。また、GlcNAc6ST−2を分析する場合、一次抗体又は二次抗体のいずれかが、GlcNAc6ST−2特異的に結合する抗体であれば、GlcNAc6ST−2を特異的に分析することが可能である。更に、β3Gal−T4を分析する場合、一次抗体又は二次抗体のいずれかが、β3Gal−T4に特異的に結合する抗体であれば、β3Gal−T4を特異的に分析することが可能であり、β3Gal−T5を分析する場合、一次抗体又は二次抗体のいずれかが、β3Gal−T5に特異的に結合する抗体であれば、β3Gal−T5を特異的に分析することが可能である。
前記のサンドイッチ法に用いる一次抗体又は2次抗体の種類は、特に限定されないが、例えば、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、組換え抗体、又はそれらの抗体の抗体フラグメントなどを挙げることができる。抗体フラグメントとしては、例えば、F(ab’)、Fab’、Fab、又はFv等を挙げることができる。これらの抗体フラグメントは、例えば、抗体を常法によりタンパク質分解酵素(例えば、ペプシン又はパパイン等)によって消化し、続いて、常法のタンパク質の分離精製の方法により精製することにより、得ることができる。
本発明の婦人科癌、特には卵巣癌又は子宮体癌の検出方法において、β3Gal−T4及び/又はβ3Gal−T5、あるいはGlcNAc6ST−2の分析に用いる被検試料としては、β3Gal−T4及び/又はβ3Gal−T5、あるいはGlcNAc6ST−2を含有する可能性のある生体試料又は生体由来試料を挙げることができ、例えば、尿、血液、血清、血漿、髄液、唾液、細胞、組織、若しくは器官、又はそれらの調整物(例えば、生検標本、特には、卵巣の生検標本)等を挙げることができ、血液、血清、血漿、又は卵巣の生検標本が好ましく、特には血液、血清、又は血漿(以下、血液等と称することがある)が好ましい。健常者の血液、血清、又は血漿中には、β3Gal−T4及び/又はβ3Gal−T5、あるいはGlcNAc6ST−2は、ほとんど存在しておらず、卵巣癌患者又は子宮体癌患者においては、病期の初期から血液中に放出されるために、卵巣癌又は子宮体癌を検出するための被検試料として適当であるからである。
本発明の検出方法では、β3Gal−T4及び/又はβ3Gal−T5、あるいはGlcNAc6ST−2の存在の有無、あるいはβ3Gal−T4及び/又はβ3Gal−T5の量又はGlcNAc6ST−2の量を測定することにより、卵巣癌又は子宮体癌を検出することが可能である。例えば、被検試料として卵巣又は子宮の生検試料を用いる場合には、モノクローナル抗体又はポリクローナル抗体を用いた免疫組織染色法により、卵巣又は子宮でのβ3Gal−T4及び/又はβ3Gal−T5、あるいはGlcNAc6ST−2の発現を確認することにより、卵巣癌又は子宮体癌であるか否かを判定することができる。
また、被検試料として血液等を用いる場合、卵巣癌又は子宮体癌の疑いのある患者から血液を採取し、全血のままか、あるいは血清又は血漿とし、その中のGlcNAc6ST−2の量を測定し、健常者から採取した血液等中のGlcNAc6ST−2の量と比較することにより、前記患者が卵巣癌又は子宮体癌であるか否かを判定することができる。より具体的には、健常者のGlcNAc6ST−2の量と比べて、前記患者のGlcNAc6ST−2の量が有意に多い場合に前記患者は卵巣癌であると判定することができる。また、β3Gal−T4及びβ3Gal−T5、β3Gal−T4、又はβ3Gal−T5についても、同様に健常者と比較することにより、卵巣癌の判定が可能である。
例えば、後述のサンドイッチ法によるELISAの場合、β3Gal−T4及び/又はβ3Gal−T5、あるいはGlcNAc6ST−2の健常者の平均値を求め、標準偏差(SD)を求める。癌患者の検出のためのカットオフ値は、それぞれの癌を検出することのできる値であれば、限定されない。例えば、癌によっては、平均値を超える検体を陽性と判定することも可能であるし、平均値±SD、平均値±2SD、又は平均値±3SDをカットオフ値とすることもできる。
本発明の検出方法により、婦人科癌、特には卵巣癌又は子宮体癌を検出する場合、婦人科癌、特には卵巣癌又は子宮体癌を特異的に検出することが最も望ましい。しかしながら、例えば、健康診断において、血液検査により卵巣癌の早期診断を行う場合、卵巣癌患者又は子宮体癌患者を一次スクリーニングすることのできるマーカーであることが好ましく、すなわち、卵巣癌患者又は子宮体癌患者のうちのできるだけ多くの患者を検出することのできるマーカーであることが好ましい。本発明の検出方法は、後述の実施例で示すように、手術によって卵巣癌であることが確認された卵巣癌患者(他の癌を併発しているものは含まれていない)又は子宮体癌であることが確認された子宮体癌患者を高率に検出することが可能であり、癌マーカーとしての有用性を備えている。
[2]婦人科癌の検出用キット
本発明の婦人科癌、特には卵巣癌又は子宮体癌の検出用キットは、β3Gal−T4及びβ3Gal−T5に特異的に結合する抗体、並びにGlcNAc6ST−2に特異的に結合する抗体又はその断片を含む。前記抗体としては、モノクローナル抗体又はポリクローナル抗体のいずれを用いることもできる。前記抗体断片としては、β3Gal−T4及びβ3Gal−T5への特異的結合能を有する限り、あるいはGlcNAc6ST−2への特異的結合能を保持する限り、特に限定されるものではなく、例えば、Fab、Fab’、F(ab’)、又はFvを用いることができる。
また、本発明の検出用キットは、β3Gal−T4及びβ3Gal−T5に特異的に結合する抗体又はその断片、β3Gal−T4に特異的に結合する抗体又はその断片、β3Gal−T5に特異的に結合する抗体又はその断片、又はGlcNAc6ST−2に特異的に結合する抗体又はその断片を含むこともできる。
更に、本発明の検出用キットは、前記β3Gal−T4及びβ3Gal−T5に特異的に結合する抗体の代わりに、あるいは一緒に、β3Gal−T4に特異的に結合する抗体又はβ3Gal−T5に特異的に結合する抗体を含むことも可能である。
本発明の検出用キットは、用いる免疫学的手法に応じて、所望の形態でβ3Gal−T4及びβ3Gal−T5に特異的に結合する抗体、又はGlcNAc6ST−2に特異的に結合する抗体、あるいはその断片を含むことができる。
例えば、標識化抗体を用いる免疫学的手法、例えば、酵素免疫測定法、化学発光免疫測定法、蛍光抗体法、又は放射免疫測定法などの場合には、標識物質で標識した標識化抗体又は標識化抗体断片の形態で含むことができる。標識物質の具体例としては、酵素としてペルオキシダーゼ、アルカリフォスファターゼ、β−D−ガラクトシダーゼ、又はグルコースオキシダーゼ等を、蛍光物質としてフルオレセインイソチアネート又は希土類金属キレート等を、放射性同位体としてH、14C、又は125I等を、その他、ビオチン、アビジン、又は化学発光物質等を挙げることができる。酵素又は化学発光物質等の場合には、それ自体単独では測定可能なシグナルをもたらすことはできないことから、それぞれ対応する適当な基質等を選択して含むことが好ましい。
以下に実施例及び比較例を示し本発明の具体的な説明を行うが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
《実施例1:抗β3Gal−T5抗体の作製》
(A)可溶性β3Gal−T5タンパク質の調製(免疫用抗原の調製)
(A−1)β3Gal−T5発現ベクターの構築
PCRにより、ヒト大腸cDNAライブラリーより、下記のForward primer for b3Gal-T5及びReverse primer
for b3Gal-T5を用いて、細胞質及び膜貫通領域を欠如したペプチドをコードしたcDNAフラグメントを増幅した。得られたcDNAフラグメントは、β3Gal−T5の27番から310番のアミノ酸配列からなるペプチドをコードするcDNAである。
Forward primer for b3Gal−T5:5’-tttgtcgacAGTCTAAATCCTTTCAAAG-3’(配列番号1)
Reverse primer for b3Gal−T5:5’-tttaagcttCAGACAGGCGGACAATC-3’(配列番号2)
配列中において、小文字で記載されている配列は、発現ベクターへ連結するための制限酵素サイトを含む配列である。得られたcDNAを、pQE9ベクター(キアゲン社)のクローニングサイトにクローニングし、クローニングされたベクターにより大腸菌M15を形質転換した。得られたプラスミドのヌクレオチド配列を、Prism 310Genetic Analyzer(アプライド・バイオシステムズ社)で決定した。
(A−2)β3Gal−T5タンパク質の発現及び精製
組換えβ3Gal−T5タンパク質は、以下のように調製した。15LのLB培地(アンピシリン100μg/mL及びカナマイシン25μg/mLを含む)に、一晩培養した形質転換大腸菌M15を、1/100に希釈して加え、激しく撹拌しながら、30℃で3時間培養した。培養液にイソプロピルβ−D−1−チオガラクトピラノシド(以下、IPTGと称する)を最終濃度0.1mMで添加し、18℃で16時間の間、発現を誘導した。遠心により、大腸菌を集菌し、BufferA〔200mLの6M guanidine−HCl、20mMリン酸カリウム緩衝液(pH8.0)、10mM 2−mercaptoethanol、及び20mMimidazole〕中で、超音波で破砕した。得られたホモジネートは、25℃で16時間静置した。5,000gで20分遠心後に、上清を3mLのNi−NTAアガロース(キアゲン社)にアプライし、時々混合しながら、30分置いた。樹脂をプラスチックのカラムに詰め60mLのBufferAで洗浄した。その後、組換えタンパク質は、0.25Mのイミダゾールを含むbufferAで溶出した。溶出物を8M尿素−PBSに透析し、Microcon YM−10(ミリポア社)で濃縮した。最終的に2.5mgの組換えタンパク質を得た。得られたタンパク質を変性大腸菌β3Gal−T5タンパク質と称した。
(B)非変性可溶性β3Gal−T5タンパク質の調製(スクリーニング用抗原の調製)
実施例1で作製した形質転換大腸菌M15を用いて、非変性β3Gal−T5タンパク質を調製した。大腸菌の培養300mLを、0.1mMIPTGにより発現誘導した後に、菌体を集菌し、20mMリン酸カリウム緩衝液(pH8.0)(0.3M NaCl及び10mM imidazoleを含む)25mL中で超音波破砕した。得られたホモジネートに、5%TritonX−100を2.5mL添加し、混合物を氷中に30分置いた。遠心後、上清にNi−NTAアガロース0.3mLを加え、混合物を時々混合しながら、30分おいた。樹脂をプラスチックのカラムに詰め、0.5%のTritonX−100を含む5mLのBufferB(20mMリン酸カリウム緩衝液(pH8.0)、0.3M NaCl及び20mM imidazole)で洗浄し、更に5mLのbuffer Bで洗浄した。組換えタンパク質は、0.25Mのイミダゾールを含むbufferBで溶出した。溶出物は、Microcon YM−10(ミリポア社)を用いて、PBSで洗浄し、濃縮した。0.36mgの得られたタンパク質の内、SDS−PAGEによる推定によると、組換えβ3Gal−T5タンパク質はおよそ10%の收率であった。この分画は、十分なβ3Gal−T5活性を含んでいた。得られたタンパク質を非変性大腸菌β3Gal−T5タンパク質と称する。
(C)モノクローナル抗体及びポリクローナル抗体の作製
β3Gal−T5に対するモノクローナル抗体及びポリクローナル抗体は、株式会社医学生物学研究所において調製された。モノクローナル抗体は、以下のように調製した。4匹のマウスの足蹠に、前記変性大腸菌β3Gal−T5タンパク質を、3日間おきに3回免疫した。定法に従い、マウス脾臓細胞をマウスミエローマと融合し、前記非変性β3Gal−T5タンパク質を抗原として用いて、抗体を産生しているハイブリドーマのスクリーニングを行った。非変性大腸菌β3Gal−T5タンパク質に反応するモノクローナル抗体を産生する1株のハイブリドーマをクローニングした。定法に従い、5匹のマウスの腹腔内に、ハイブリドーマを接種し、25mLの腹水を得た。腹水は、Sephacryl S−300gel filtration(1.4×68cm;equilibrated and eluted with TBS:GEヘルスケア社)を用いて精製し、21mgのβ3Gal−T5モノクローナル抗体を得た。
ポリクローナル抗体は、前記変性大腸菌β3Gal−T5タンパク質を、ウサギに1週間毎に、6回免疫し、β3Gal−T5ポリクローナル抗血清として取得した。
(D)モノクローナル抗体及びポリクローナル抗体の特異性の確認
得られたモノクローナル抗体及びポリクローナル抗体のβ3Gal−T5に対する特異性を確認するため、β3GalT−1、β3GalT−2、β3Gal−T4、β3GalT−6、及びβ3GalNAc−T1との反応性を検討した。まず、それぞれの組換えタンパク質を作製した。β3GalT−1については、プライマーとして下記のプライマーを使用したことを除いては、前記(A−1)の工程を繰り返し、発現ベクターを構築した。β3GalT−2、β3Gal−T4、β3GalT−6、及びβ3GalNAc−T1については、cDNAライブラリーとして、ヒト大腸cDNAライブラーの代わりに、Super Scriptヒト脳cDNAライブラリーを用い、プライマーとして下記のプライマーを用いたことを除いては、前記(A−1)の工程を繰り返し、発現ベクターを構築した。
Forward primer for β3Gal−T1:5’-tttggatccAGTATAACTCGCCCTACTT-3’(配列番号3)
Reverse primer for β3Gal−T1:5’-tttaagcttCCTAACATCTGAGATG-3’(配列番号4)
Forward primer for β3Gal−T2:5’-tttggatccCTGCCAGGCAGAGCTGGA-3’(配列番号5)
Reverse primer for β3Gal−T2:5’-tttaagcttAATGTAGTTTACGGTGG-3’(配列番号6)
Forward primer for β3GalNAc−T1:5’-tttggatccAGCCTTCCCCACTACAATG-3’(配列番号7)
Reverse primer for β3GalNAc−T1:5’-tttaagcttAATAATGGCATGTGGTGT-3’(配列番号8)
Forward primer for β3Gal−T4:5’-tttggatccTTGGGGGAGGAGCTGCTG-3’(配列番号9)
Reverse primer for β3Gal−T4:5’-tttgtcgacTCAGCTCTGAAGCCAGGC-3’(配列番号10)
Forward primer for β3Gal−T6:5’-tttggatccGACCCCAGGGCGATGTCG-3’(配列番号11)
Reverse primer for β3Gal−T6:5’-tttaagcttGGCTCAGGGGATGCCCT-3’(配列番号12)
それぞれの組換えタンパク質は、前記(A−2)の工程を若干変更し、調製した。具体的には、一晩培養したそれぞれの形質転換M15を、1/100の濃度で15mLの抗生物質を含んだLB培地に加え、30℃で3時間培養した。最終濃度0.1mMのIPTGを培養に添加し、18℃で16時間の間、発現誘導を行った。大腸菌を集菌し、10mLのbufferA中で超音波破砕した。ホモジネートは、25℃16時間静置した。遠心後、上清に0.5mLのNi−NTAアガロース(キアゲン社)を加え、30分置いた。樹脂を10mLのbufferAで洗浄し、組換えタンパク質を0.25Mのイミダゾールを含むbufferAで溶出した。その結果、β3GalT−1、β3GalT−2、β3Gal−T4、β3GalT−6、及びβ3GalNac−T1の収量は、それぞれ、0.03mg、0.03mg、0.06mg、0.70mg及び1.8mgであった。
次に、ウエスタンブロッティングにより、反応性を確認した。得られた、それぞれのタンパク質300ngを、ポリアクリルアミドゲルで電気泳動し、ニトロセルロースメンブレンに転写した。ブロッキング後、抗β3Gal−T5モノクローナル抗体(1μg/mL)と反応させた。洗浄後、メンブレンをHRP標識抗マウスIgG/IgMウサギ抗体(0.3μg/mL:Jackson ImmunoReseach)と反応させた。ECLウエスタンブロット検出試薬(GEヘルスケア社)を用いて、化学発光により検出した。
ポリクローナル抗血清の反応特性は、それぞれのタンパク質を50ng電気泳動し、ポリクローナル抗血清を1,000倍に希釈し反応させ、更に、洗浄後HRP標識抗ウサギIg抗体(0.3μg/mL)と反応させ、モノクローナル抗体と同様に化学発光で検出した。
図1に示すように、モノクローナル抗体は、β3Gal−T5に強く反応した。また、それ以外にβ3GalT−1、及びβ3Gal−T4にも反応した。一方、ポリクローナル抗体は、β3Gal−T5に強く反応し、β3Gal−T4にも反応した。
《実施例2:卵巣癌細胞におけるβ3Gal−T4及びβ3Gal−T5のmRNAの発現》
卵巣癌細胞でのβ3Gal−T4及びβ3Gal−T5のmRNAの発現を、5種の卵巣癌細胞株を用い、RT−PCRにより検討した。ES−2細胞(卵巣明細胞癌)は、ATCCより購入し、MCAS細胞(卵巣粘液性嚢胞腺癌)、RMG−I細胞(卵巣中腎腺癌)、RMG−II細胞(卵巣中腎腺癌)、及びRMUG−L(卵巣粘液性嚢胞腺癌)は、ヒューマンサイエンス研究資源バンクから購入した。
回収した細胞を、ISOGEN(ニッポンジーン社)を用いて溶解し、総RNAを分離した。得られたRNAから、オリゴdTプライマー及びSuperScriptIII(インビトロジェン社)を用いて、cDNAを合成した。cDNA量は、βアクチンのcDNA量によって補正した。
β3Gal−T4及びβ3Gal−T5の発現は、それぞれ下記のプライマーを添加し、95℃で2分、インキュベーション後にPCRによって確認した。PCRは、GoTaq DNA polymerase(プロメガ社)を用いて、20μLの容量で、95℃30秒、62℃1分、72℃2分を29サイクル繰り返すことにより、行った。
Forward primer for PCR of β3Gal−T4:5’-ATTCTTGCTGGGAGAGCCGAAC-3’(配列番号13)
Reverse primer for PCR of β3Gal−T4:5’-AAGTACAGAAGAGGCACTTCCTC-3’(配列番号14)
Forward primer for PCR of β3Gal−T5:5’-GGAAACGAAAGAGGTGGACCAG-3’(配列番号15)
Reverse primer for PCR of β3Gal−T5:5’-GAGCTCCTCCAATCTGATGTTCA-3’(配列番号16)
図4に示すように、β3Gal−T4のmRNAは、ES−2細胞、MCAS細胞、RMG−I細胞、及びRMUG−L細胞で発現していた。一方、β3Gal−T5のmRNAは、ES−2細胞、RMG−I細胞、RMG−II細胞、及びRMUG−L細胞で発現していた。
β3Gal−T4のmRNA及びβ3Gal−T5のmRNAは、それぞれ5株の卵巣癌細胞株のうち、4株の卵巣癌細胞株で発現していた。また、5株の卵巣癌細胞株において、β3Gal−T4及びβ3Gal−T5のいずれかのmRNAが発現していた。
《実施例3:GlcNAc6ST−2抗体の作製》
(A)可溶性GlcNAc6ST−2タンパク質の調製(免疫用抗原の調製)
(A−1)GlcNAc6ST−2発現ベクターの構築
PCRにより、以前取得した全長のcDNA(Glycobiology、2002、12、p.379−388)より、下記のForward primer for GlcNAc6ST2及びReverse
primer for GlcNAc6ST2を用いて、細胞質及び膜貫通領域を欠如したペプチドをコードしたcDNAフラグメントを増幅した。得られたcDNAフラグメントは、GlcNAc6ST−2の28番〜386番のアミノ酸配列からなるペプチドをコードするcDNAである。
Forward primer for GlcNAc6ST2:5’-tttgtcgacAGCCACAACATCAGCT-3’(配列番号17)
Reverse primer for GlcNAc6ST2:5’-tttaagcttAGTGGATTTGCTCAG-3’(配列番号18)
配列中において、小文字で記載されている配列は、発現ベクターへ連結するための制限酵素サイトを含む配列である。得られたcDNAを、pQE9ベクター(キアゲン社)のクローニングサイトにクローニングし、クローニングされたベクターにより大腸菌M15を形質転換した。得られたプラスミドのヌクレオチド配列を、Prism 310Genetic Analyzer(アプライド・バイオシステムズ社)で決定した。
(A−2)GlcNAc6ST−2タンパク質の発現及び精製
β3Gal−T5の発現ベクターの代わりに、GlcNAc6ST−2発現ベクターを用い、IPTG発現誘導のための培養を1.25Lで行ったことを除いては、前記実施例1の(A−2)の工程を繰り返し、最終的に3.5mgのGlcNAc6ST−2タンパク質を得た。得られたタンパク質を大腸菌GlcNAc6ST−2タンパク質と称した。
(B)ピキア・パストリスによる、可溶性GlcNAc6ST−2タンパク質の調製(スクリーニング用抗原の調製)
モノクローナル抗体のスクリーニングに用いる酵母によるGlcNAc6ST−2タンパク質の調製を行った。PCRにより、以前取得した全長のcDNA(Glycobiology、12、p.379−388、2002)より、下記のForward primer for GlcNAc6ST2-pichia及びReverse
primer for GlcNAc6ST2-pichiaを用いて、細胞質及び膜貫通領域を欠如したペプチドをコードしたcDNAフラグメントを増幅した。
Forward primer for GlcNAc6ST2−pichia:5’-tttcctaggTACAGCCACAACATCAG-3’(配列番号19)
Reverse primer for GlcNAc6ST2−pichia:5’-tttgcggccgcTTAGTGGATTTGCTCAGG-3’(配
列番号20)
得られたcDNAを、pPIC9−Hisベクターの最適なクローニングサイトに挿入し、ヌクレオチド配列を、Prism 310Genetic Analyzerで決定した。組換えGlcNAc6ST−2タンパク質の産生及び精製は、既報の方法(Glycobiology、15、p.943−951、2005)に従い、行った。500mLの緩衝メタノール複合培地中の培養から、300μgの組換えタンパク質が得られた。この分画は、十分なGlcNAc6ST−2活性を含んでいた。得られたタンパク質を酵母GlcNAc6ST−2タンパク質と称する。
(C)モノクローナル抗体及びポリクローナル抗体の作製
免疫原として、大腸菌GlcNAc6ST−2タンパク質を用いること、及びモノクローナル抗体のスクリーニング抗原として、酵母GlcNAc6ST−2タンパク質を用いることを除いては、前記実施例1の(C)の工程を繰り返し、モノクローナル抗体を産生する1株のハイブリドーマ及びポリクローナル抗血清を取得した。5匹のマウスの腹腔内に、ハイブリドーマを接種し、13mLの腹水を得た。腹水は、protein A−Sepharose affinity chromatography (0.9×7.9cm;equilibrated with PBS:GEヘルスケア社)を用いて精製し、12.6mgの抗体を得た。
(D)モノクローナル抗体及びポリクローナル抗体の特異性の確認
得られたモノクローナル抗体及びポリクローナル抗体のGlcNAc6ST−2に対する特異性を確認するため、GlcNAc6ST1、GlcNAc6ST3、GlcNAc6ST4、GlcNAc6ST5、Gal6ST、及びCh6ST1との反応性を検討した。まずそれぞれの組換えタンパク質を作製した。プライマーとして下記のプライマーを使用したことを除いては、本実施例の(A−1)の工程を繰り返し、発現ベクターを構築した。
Forward primer for GlcNAc6ST1:5’-tttgtcgacTACAAGTGGCACAAG-3’(配列番号21)
Reverse primer for GlcNAc6ST1:5’-tttgtcgacCCCTTTTAGAGACGG-3’(配列番号22)
Forward primer for GlcNAc6ST3:5’-tttgtcgacTCCCGGCCAGGGCCCTC-3’(配列番号23)
Reverse primer for GlcNAc6ST3:5’-tttaagcttCAGTCAGGCGATGCCCA-3’(配列番号24)
Forward primer for GlcNAc6ST4:5’-tttgtcgacGGCGGCCGCGACGG-3’(配列番号25)
Reverse primer for GlcNAc6ST4:5’-tttaagcttGGGAGGCTACGTGGCGC-3’(配列番号26)
Forward primer for GlcNAc6ST5:5’-tttgtcgacTCCCGGCCAGGGCCCTC-3’(配列番号27)
Reverse primer for GlcNAc6ST5:5’-tttaagcttGCTACAACTGTGGCCTC-3’(配列番号28)
Forward primer for Gal6ST:5’-tttgtcgacACCTTCACCGCCAAGTC-3’(配列番号29)
Reverse primer for Gal6ST:5’-tttaagcttCACGAGAAGGGGCGGAA-3’(配列番号30)
Forward primer for Ch6ST1:5’-tttgtcgacATATCAAGGGTCTCAGA-3’(配列番号31)
Reverse primer for Ch6ST1:5’-tttaagcttCTACGTGACCCAGAAGGT-3’(配列番号32)
IPTGの発現誘導に15mLの培養を用いたことを除いては、前記実施例1の(D)のβ3GalT−1等の発現及び精製の工程を繰り返し、それぞれの組換えタンパク質を得た。GlcNAc6ST1、GlcNAc6ST3、GlcNAc6ST4、GlcNAc6ST5、Gal6ST、及びCh6ST1の収量は、それぞれ、0.20mg、1.2mg、0.26mg、0.83mg、0.26mg及び0.13mgであった。
※陽性率を%で示す。
次に、ウエスタンブロットを行った。電気泳動の抗原量として200ngを用いたことを除いては、前記実施例1の(D)のウエスタンブロッティングの工程を繰り返した。
図2に示すように、モノクローナル抗体は、GlcNAc6ST−2のみに強く反応した。一方、ポリクローナル抗血清は、全ての抗原に反応した。
《実施例4:β3Gal−T5及びGlcNAc6ST−2のサンドイッチELISAの構築》
前記β3Gal−T5タンパク質を免疫して得られたモノクローナル抗体及びポリクローナル抗血清、並びにGlcNAc6ST−2タンパク質を免疫して得られたモノクローナル抗体及びポリクローナル抗血清を用いて、サンドイッチELISA法による、β3Gal−T5及びGlcNAc6ST−2の免疫学的分析方法の構築を行った。
(A)β3Gal−T5検出系
PBSで1μg/mLに希釈したβ3Gal−T5モノクローナル抗体50μLを、96well black、high−binding plates(コーニング社)に加え、4℃、16時間で、固相化した。表面を1%BSA含有PBSで、25℃1時間、ブロッキングした。PBS−0.1%Tween−20(PBS−T)に1%BSAを添加した希釈液で、標準物質として非変性大腸菌β3Gal−T5タンパク質を250ng/mL、125ng/mL、62.5ng/mL、16ng/mL、4.0ng/mLに希釈し、50μL加え、25℃、2時間インキュベートした。PBS−Tで3回洗浄後、1000倍希釈したβ3Gal−T5ポリクローナル抗血清50μLを加え、25℃、1.5時間インキュベートした。PBS−Tで3回洗浄後、PBS−Tで希釈したロバのHRP標識抗ウサギIg抗体(0.3μg/mL:GEヘルスケア社)を加え、25℃、1時間インキュベートした。ウエルをPBS−Tで、4回洗浄し、100μLのSuperSignal ELISA Pico Chemiluminescent Substrate(ピアス社)を加え、Plate CHAMELEON V(ハイデックス社)で、化学発光をカウントした。
(B)GlcNAc6ST−2検出系
GlcNAc6ST−2に対するモノクローナル抗体の濃度を3μL/mLで固相化したこと、GlcNAc6ST−2に対するポリクローナル抗血清を3000倍に希釈したこと、及び標準物質として大腸菌GlcNAc6ST−2タンパク質使用したことを除いては、前記(A)の工程を繰り返し、GlcNAc6ST−2のサンドイッチELISAを構築した。
図3に示すように、β3Gal−T5検出系及びGlcNAc6ST−2検出系共に、直線性のよい検量線を得ることができた。
(C)β3Gal−T5検出系の検量線の改善
標準物質である非変性大腸菌β3Gal−T5タンパク質の希釈液を、PBS−0.1%Tween−20(PBS−T)の希釈液から、PBS−0.1%Tween−20(PBS−T)に正常人ヒト血清10%を添加した希釈液に変更したことを除いては、前記(A)の工程を繰り返し、β3Gal−T5の検量線を得た。図5Aに結果を示す。β3Gal−T5タンパク質の低濃度の領域において、直線性が改善された。添加する血清は正常人ヒト血清以外に、ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ等の血清を用いても同じような効果があった。
(D)GlcNAc6ST−2検出系の検量線の改善
標準物質である大腸菌GlcNAc6ST−2タンパク質の希釈液を、PBS−0.1%Tween−20(PBS−T)の希釈液から、PBS−0.1%Tween−20(PBS−T)に正常人ヒト血清10%を添加した希釈液に変更したことを除いては、前記(B)の工程を繰り返し、GlcNAc6ST−2の検量線を得た。図5Aに結果を示す。GlcNAc6ST−2タンパク質の低濃度の領域において、直線性が改善された。
《実施例5:卵巣癌患者の血清中のβ3Gal−T5検出系による測定》
卵巣癌患者60症例及び健常成人女性8検体の血清中のβ3Gal−T5検出系による測定を行った。卵巣癌患者の血清は、開腹手術によりI期〜IV期の病期診断を受けた患者の血清を用い、57症例については、組織学的検査により卵巣癌の組織型を判定することができた。これらの卵巣癌患者は、卵巣癌以外の癌の発生は確認されなかった。
標準物質の変性大腸菌β3Gal−T5タンパク質の代わりに、患者及び健常人の血清をPBS−Tで10倍希釈して加えたことを除いては、実施例4の(A)の工程を繰り返した。図3(A)の検量線から血清中のβ3Gal−T5の値を決定した。陽性の判定は、健常成人女性の平均+2SDの値を、カットオフ値として判定した。
なお、実施例1の(D)におけるβ3Gal−T5タンパク質を免疫して得られたモノクローナル抗体及びポリクローナル抗血清の、他のβ1−3ガラクトース転移酵素との反応性の検討により、このモノクローナル抗体及びポリクローナル抗血清によるELISAは、β3Gal−T4及びβ3Gal−T5の両方の酵素を検出することができる。
《実施例6:卵巣癌患者の血清中のGlcNAc6ST−2検出系による測定》
実施例5において測定した卵巣癌患者60症例及び健常成人女性8検体の血清についてGlcNAc6ST−2検出系による測定を行った。
標準物質の大腸菌GlcNAc6ST−2タンパク質の代わりに、患者血清をPBS−Tで10倍希釈して加えたことを除いては、実施例4の(B)の工程を繰り返した。図3(B)の検量線から血清中のGlcNAc6ST−2の値を決定した。陽性の判定は、健常成人女性の平均+2SDの値を、カットオフ値として判定した。
《比較例1》
実施例5において測定した卵巣癌患者60症例及び健常成人女性8検体の血清について、従来の卵巣癌のマーカーであるCA125の測定を行った。
CA125の測定は、エクルーシス試薬CA125II(ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社)のキットを用い、添付のプロトコールに従い、測定した。
《比較例2》
実施例5において測定した卵巣癌患者60症例及び健常成人女性8検体の血清について、従来の卵巣癌のマーカーであるCA546の測定を行った。
CA546の測定は、プレートカイノスCA546試薬(株式会社カイノス)のキットを用い、添付のプロトコールに従い、測定した。
《解析例1》
実施例4及び5、並びに比較例1及び2の陽性率を、卵巣癌の病期別、又は組織型により分類して解析した。結果を表1に示す。
病期I及びIIの初期の卵巣癌において、β3Gal−T5検出系による陽性率は、87.1%であり、GlcNAc6ST−2検出系による陽性率は、74.2%であり、CA125又はCA546の陽性率と比較して高率に卵巣癌を検出することが可能であった。更に、β3Gal−T5検出系及び/又はGlcNAc6ST−2検出系が陽性であった検体は、96.8%であり、β3Gal−T5検出系及びGlcNAc6ST−2検出系の免疫学的分析方法を組み合わせることによって、初期の卵巣癌患者を、高率に検出することが可能であった。
更に、卵巣癌の組織型に分類した場合、β3Gal−T5検出系の免疫学的分析方法によれば、粘液性卵巣癌で100%、類内膜性卵巣癌で84.6%、そして明細胞性卵巣癌で87.5%の陽性率を示した。これらの陽性率は、CA125又はCA546の陽性率より高く、特には、β3Gal−T5検出系の免疫学的分析方法は、化学療法に対して難治性(抵抗性)である粘液性卵巣癌及び明細胞性卵巣癌を高率に検出することが可能であった。
また、類内膜性卵巣癌及び明細胞性卵巣癌においては、β3Gal−T5検出系の免疫学的分析方法及びGlcNAc6ST−2検出系の免疫学的分析方法を組み合わせることによって、陽性率は、それぞれ100%及び93.8%となり、高率にこれらの組織型の卵巣癌を検出することが可能であった。
《実施例7:子宮体癌患者の血清中のβ3Gal−T5検出系による測定》
子宮体癌患者30症例及び健常成人女性40検体の血清中のβ3Gal−T5検出系による測定を行った。子宮体癌患者のうち、26人は、手術によりI期〜III期の病期診断を受けた患者の血清を用いた。これらの子宮体癌患者は、1例については子宮頸癌を併発していたが、その他の29症例は、子宮体癌以外の癌の発生は確認されなかった。
標準物質の変性大腸菌β3Gal−T5タンパク質の代わりに、子宮体癌患者及び健常人の血清をPBS−Tで10倍希釈して加えたことを除いては、実施例4の(C)の工程を繰り返した。図5(A)の検量線から血清中のβ3Gal−T5の値を決定した。子宮体癌患者30症例の結果を表2に示す。陽性の判定は、健常成人女性の平均+SDの値を、カットオフ値として判定した。なお、健常人女性の平均は2.1ng/mLであり、カットオフ値は5.4ng/mLである。30例のうち、18例(60%)が陽性であった。
《実施例8:子宮体癌患者の血清中のGlcNAc6ST−2検出系による測定》
実施例7において測定した子宮体癌患者30症例及び健常成人女性40検体の血清についてGlcNAc6ST−2検出系による測定を行った。
標準物質の大腸菌GlcNAc6ST−2タンパク質の代わりに、患者血清をPBS−Tで10倍希釈して加えたことを除いては、実施例4の(D)の工程を繰り返した。図5(B)の検量線から血清中のGlcNAc6ST−2の値を決定した。子宮体癌患者30症例の結果を表2に示す。陽性の判定は、健常成人女性の平均+2SDの値を、カットオフ値として判定した。なお、健常人女性の平均は2.0ng/mLであり、カットオフ値は7.8ng/mLである。30例のうち10例(33%)が陽性であった。
《比較例3》
実施例7において測定した子宮体癌患者30症例のうちの9症例の血清について、従来の子宮体癌のマーカーであるCA125の測定を行った。
CA125の測定は、エクルーシス試薬CA125II(ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社)のキットを用い、添付のプロトコールに従い、測定した。測定値35U/mL以上が、陽性判定である。結果を表2に示す。13例のうち5例(38.5%)が陽性であった。
《比較例4》
実施例7において測定した子宮体癌患者30症例のうちの19症例の血清について、従来の子宮体癌のマーカーであるCA602の測定を行った。
CA602の測定は、プレートカイノスCA602試薬(株式会社カイノス)のキットを用い、添付のプロトコールに従い、測定した。測定値63U/mL以上の検体が、陽性判定である。結果を表2に示す。19例のうち5例(26.3%)が陽性であった。
《比較例5》
実施例7において測定した子宮体癌患者30症例のうちの23症例の血清について、すい臓癌のマーカー及び子宮体癌のマーカーであるCA19−9の測定を行った
CA19−9の測定は、エクルーシス試薬CA19−9 II(ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社)のキットを用い、添付のプロトコールに従い、測定した。測定値37U/mL以上の検体が、陽性判定である。結果を表2に示す。24例のうち、4例(16.7%)が陽性であった。
1):子宮頸癌合併
2):NT:not tested
3):gradeは組織分化度を示し、具体的は子宮体癌の悪性度を表す。G1(grade 1)は高分化型を指し、組織学的に正常な腺構造に近い形態を示すタイプであり、一方、G3(grade 3)は低分化型を指し、無秩序な増殖をするタイプである。
《解析例2》
前記の表2の結果を、それぞれのマーカーごとの陽性率として表3に纏めた。
従来、子宮体癌の腫瘍マーカーとして用いられていた、CA602、CA125及びCA19−9の陽性率は、それぞれ26.3%、38.5%、及び16.7%の陽性率であった。これに対し、β3Gal−T5検出系による陽性率は、60%であり高い陽性率を示した。また、GlcNAc6ST−2検出系による陽性率は、33.3%であり、CA602及びCA19−9より高いが、CA125よりは低かった。しかしながら、表2の検体番号1、2、及び12のように従来のマーカーでは、検出することのできない子宮体癌の患者を検出することのできるものであり、有用であることが示された。更に、β3Gal−T5検出系及び/又はGlcNAc6ST−2検出系が陽性であった検体は、70%であり、β3Gal−T5検出系及びGlcNAc6ST−2検出系の免疫学的分析方法を組み合わせることによって、子宮体癌患者を、高率に検出することが可能であった。
《実施例9》
子宮体癌患者6症例の血清についてβ3Gal−T5検出系による測定を行った。本実施例の6症例及び実施例7で測定を行った30症例について、病期I期と病期II〜IV期とに分類し、陽性率を表4に纏めた。
表4に示したように、病期Iの初期の子宮体癌において、β3Gal−T5検出系による陽性率は、57.1%であり、病期の初期においても、高率に子宮体癌を検出することが可能であった。
本発明の卵巣癌の検出方法及び卵巣癌の検出キットは、婦人科癌、特には卵巣癌患者又は子宮体癌を高率に検出することが可能である。
以上、本発明を特定の態様に沿って説明したが、当業者に自明の変形や改良は本発明の範囲に含まれる。

Claims (14)

  1. β1−3ガラクトース転移酵素−5及び/又はβ1−3ガラクトース転移酵素−4を分析することを特徴とする、卵巣癌の検出方法。
  2. 血液、血清、又は血漿中のβ1−3ガラクトース転移酵素−5及び/又はβ1−3ガラクトース転移酵素−4を分析することを特徴とする、子宮体癌の検出方法。
  3. 血液、血清、又は血漿中のN−アセチルグルコサミン6−O−硫酸転移酵素−2を分析することを特徴とする、卵巣癌の検出方法。
  4. N−アセチルグルコサミン6−O−硫酸転移酵素−2を分析することを特徴とする、子宮体癌の検出方法。
  5. β1−3ガラクトース転移酵素−5及び/又はβ1−3ガラクトース転移酵素−4、並びにN−アセチルグルコサミン6−O−硫酸転移酵素−2を分析することを特徴とする、卵巣癌の検出方法。
  6. β1−3ガラクトース転移酵素−5及び/又はβ1−3ガラクトース転移酵素−4、並びにN−アセチルグルコサミン6−O−硫酸転移酵素−2を分析することを特徴とする、子宮体癌の検出方法。
  7. β1−3ガラクトース転移酵素−5及びβ1−3ガラクトース転移酵素−4に特異的に結合する抗体を用いることを特徴とする、請求項1〜2及び5〜6のいずれか一項に記載の検出方法。
  8. N−アセチルグルコサミン6−O−硫酸転移酵素−2に特異的に結合する抗体を用いることを特徴とする、請求項3〜6のいずれか一項に記載の検出方法。
  9. β1−3ガラクトース転移酵素−5及びβ1−3ガラクトース転移酵素−4に特異的に結合する抗体又はその断片を含むことを特徴とする、卵巣癌の検出用キット。
  10. β1−3ガラクトース転移酵素−5及びβ1−3ガラクトース転移酵素−4に特異的に結合する抗体又はその断片を含み、血液、血清、又は血漿中のβ1−3ガラクトース転移酵素−5及び/又はβ1−3ガラクトース転移酵素−4を分析することを特徴とする、子宮体癌の検出用キット。
  11. N−アセチルグルコサミン6−O−硫酸転移酵素−2に特異的に結合する抗体又はその断片を含み、血液、血清、又は血漿中のN−アセチルグルコサミン6−O−硫酸転移酵素−2を分析することを特徴とする、卵巣癌の検出用キット。
  12. N−アセチルグルコサミン6−O−硫酸転移酵素−2に特異的に結合する抗体又はその断片を含むことを特徴とする、子宮体癌の検出用キット。
  13. β1−3ガラクトース転移酵素−5及びβ1−3ガラクトース転移酵素−4に特異的に結合する抗体又はその断片、並びにN−アセチルグルコサミン6−O−硫酸転移酵素−2に特異的に結合する抗体又はその断片を含むことを特徴とする、卵巣癌の検出用キット。
  14. β1−3ガラクトース転移酵素−5及びβ1−3ガラクトース転移酵素−4に特異的に結合する抗体又はその断片、並びにN−アセチルグルコサミン6−O−硫酸転移酵素−2に特異的に結合する抗体又はその断片を含むことを特徴とする、子宮体癌の検出用キット。
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