JP5343944B2 - 燃料噴射制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、内燃機関の燃料噴射制御装置に関するものである。
車両に搭載されるディーゼルエンジンの制御分野においては、燃料ポンプによって圧送される高圧の燃料を蓄える蓄圧容器であるコモンレールの燃料出口から燃料噴射弁の噴射口までの燃料通路における所定位置に、圧力センサ(燃料圧力センサ)を設け、その圧力センサからの信号を一定時間毎にA/D変換することで、気筒への燃料噴射に伴う燃料圧力の推移を検出すると共に、その検出結果から燃料噴射弁の実際の噴射特性を推定して、その推定結果を燃料噴射制御(具体的には、燃料噴射弁の制御)にフィードバックして用いる、といったことが考えられている。
このため、燃料圧力センサからの信号は、波形をトレースするような非常に短い一定のサンプリング間隔(例えば数十μs毎)でA/D変換される。そして、燃料圧力の推移から推定する実際の噴射特性としては、少なくとも燃料噴射量がある(例えば特許文献1,2参照)。
特開2008−144749号公報 特開2009−97385号公報
ところで、上記の従来技術では、数十μs毎といった非常に短い間隔でのA/D変換を実施しなければならないことと、膨大な数のA/D変換データを処理しなければならないことから、A/D変換速度が速いA/D変換器が必要であると共に、高速処理が可能なマイコンと大容量のメモリとが必要になる。
つまり、燃料噴射制御装置を構成する部品として、高性能なものが必要となる。このため、燃料噴射制御装置の高コスト化を招くこととなる。
そこで、本発明は、マイコンやメモリ等の構成要素に対する要求性能を、低くすることのできる燃料噴射制御装置の提供を目的としている。
請求項1の燃料噴射制御装置が適用される燃料噴射システムは、燃料ポンプによって圧送される燃料を蓄える蓄圧容器と、その蓄圧容器から供給される燃料を噴射口から内燃機関の気筒へ噴射する燃料噴射弁と、蓄圧容器の燃料出口から燃料噴射弁の噴射口までの燃料通路における所定位置に設けられ、前記噴射口からの燃料噴射に伴い変動する該燃料通路の燃料圧力を検出する圧力センサとを備えている。
そして、請求項1の燃料噴射制御装置は、燃料噴射弁に燃料を噴射させる燃料噴射制御の処理を行う演算手段を備えており、その演算手段は、前記圧力センサの出力信号である燃料圧信号を用いて、燃料噴射弁から実際に噴射された燃料の量である実噴射量を算出し、該算出した実噴射量を用いて前記燃料噴射制御の処理を行う。
ここで、請求項1の燃料噴射制御装置には、圧力センサからの燃料圧信号と、前記燃料噴射に伴う変動が無い場合の前記燃料圧力の値である変動基準値を示す基準電圧とを入力して、該基準電圧と燃料圧信号との差分を表す差分信号を出力する差動増幅回路と、差分信号を積分する積分回路とが備えられている。そして、演算手段は、積分回路による差分信号の積分値(実際には積分値に相当する電圧)と、前記変動基準値とに基づいて、実噴射量を算出する。
つまり、差分信号の積分値は、燃料噴射弁の燃料噴射に伴う燃料圧力の、変動基準値からの変動量を積分したものであり、噴射率の積分値(即ち、噴射量)と相関があるため、その積分値と変動基準値とから実噴射量を推定することができる。このため、演算手段は、差分信号の積分値と変動基準値とから実噴射量を算出する。
また、演算手段が実噴射量を算出するために用いる変動基準値としては、例えば、燃料噴射の開始前に前記圧力センサによって検出される圧力値を用いることができ、その場合、演算手段は、圧力センサからの燃料圧信号を、燃料噴射の開始前に最低1回A/D変換して圧力値を取得すれば済む。
また、変動基準値としては、例えば、蓄圧容器内の圧力値を用いることもでき、その場合、演算手段は、蓄圧容器内の圧力を検出するセンサからの信号を、燃料噴射の開始前や燃料噴射実施中に最低1回A/D変換して圧力値を取得すれば済む。尚、蓄圧容器の容積は比較的大きいため、燃料噴射が実施されても該蓄圧容器内の圧力値は大きくは変化しないと考えられる。
また、変動基準値としては、複数の各気筒の燃料噴射弁について前記圧力センサがそれぞれ設けられるのであれば、燃料噴射が実施されない非噴射気筒に対応する圧力センサの検出値を用いることができる。この場合、演算手段は、非噴射気筒に対応する圧力センサからの燃料圧信号を、噴射対象気筒への燃料噴射の開始前や燃料噴射中に最低1回A/D変換して圧力値を取得すれば済む。
このため、演算手段は、圧力センサからの燃料圧信号を数十μs毎といった短い間隔でA/D変換してデータ処理しなくても、実噴射量を算出して、燃料噴射制御の処理を行うことができる。
よって、従来の装置よりも、演算手段を構成するマイコンやA/D変換器やメモリ等の構成要素に対する要求性能を低くすることができる。具体的は、マイコンとして処理速度が遅いものを使用でき、A/D変換器としてA/D変換速度が遅いものを使用でき、メモリとして記憶容量の小さいものを使用できるようになり、延いては、燃料噴射制御装置の低コスト化を達成することができる。
ところで、積分回路は、燃料噴射弁が燃料を複数回噴射する期間に亘って前記差分信号を積分するように構成しても良いが、その場合、演算手段は、その複数回分の実噴射量をまとめて算出することしかできなくなる。
そこで、請求項2の燃料噴射制御装置では、請求項1の燃料噴射制御装置において、積分回路は、燃料噴射弁が燃料を1回噴射する期間である1噴射期間において前記差分信号を積分し、演算手段は、積分回路による1噴射期間分の積分値と、前記変動基準値とに基づいて、燃料噴射弁による1回の実噴射量を算出する。
そして、この構成によれば、1回の実噴射量(即ち、1回の燃料噴射による実噴射量)を正しく算出することができるようになる。
また、この場合、請求項3に記載のように、積分回路が記憶する積分値は、1噴射期間が終了してから次回の1噴射期間が到来するまでの間にリセットされるように構成するのが好ましい。演算手段が、1回の燃料噴射毎に、その各回の実噴射量を正しく算出することができるようになるからである。
次に、請求項4の燃料噴射制御装置では、請求項2,3の燃料噴射制御装置において、演算手段は、1噴射期間中(即ち、1噴射期間の途中)に、前記差分信号を、少なくとも1回A/D変換する。
この構成によれば、演算手段は、その1噴射期間の途中における差分信号のA/D変換値から、燃料噴射の実施状態の良否を判断することができる。例えば、その差分信号のA/D変換値が、そのA/D変換タイミングでの差分信号の理論値(理想値)と大きく異なっていれば(具体的には、所定値以上異なっていれば)、燃料噴射が正常に実施されていないと判断することができる。
次に、請求項5の燃料噴射制御装置では、請求項4の燃料噴射制御装置において、噴射開始検知回路と、開弁完了検知回路とが備えられている。
噴射開始検知回路は、燃料圧信号に基づき、燃料噴射弁が燃料の噴射を開始したことを検知して、そのことを示す噴射開始信号を出力する。また、開弁完了検知回路は、燃料圧信号に基づき、燃料噴射弁の開弁が完了したことを検知して、そのことを示す開弁完了信号を出力する。
そして、演算手段は、前記噴射開始信号が出力された時刻(即ち、燃料噴射の開始が検知された時刻)t1と、前記開弁完了信号が出力された時刻(即ち、燃料噴射弁の開弁完了が検知された時刻)t2とを、それぞれ記憶すると共に、前記開弁完了信号が出力されたタイミング(時刻t2)にて、前記差分信号をA/D変換する。
この構成によれば、記憶した時刻t1,t2と、時刻t2での差分信号のA/D変換値とから、時刻t1から時刻t2までの燃料圧力の変化率(即ち、燃料噴射開始時における燃料圧力の下降変化率)を求めることができ、その下降変化率から、燃料噴射が正常に実施されているか否かを判断することができるようになる。また、記憶した時刻t1,t2と、時刻t2での差分信号のA/D変換値とに、変動基準値を加味すれば、時刻t1から時刻t2までの実際の噴射量(即ち、燃料噴射初期の燃料量)を推定することができ、その燃料噴射初期の噴射量からも、燃料噴射が正常に実施されているか否かを判断することができるようになる。
次に、請求項6の燃料噴射制御装置では、請求項4,5の燃料噴射制御装置において、閉弁開始検知回路と、噴射終了検知回路とが備えられている。
閉弁開始検知回路は、燃料圧信号に基づき、燃料噴射弁が閉弁し始めたことを検知して、そのことを示す閉弁開始信号を出力する。また、噴射終了検知回路は、燃料圧信号に基づき、燃料噴射弁が燃料の噴射を終了したことを検知して、そのことを示す噴射終了信号を出力する。
そして、演算手段は、前記閉弁開始信号が出力された時刻(即ち、燃料噴射弁の閉弁開始が検知された時刻)t3と、前記噴射終了信号が出力された時刻(即ち、燃料噴射の終了が検知された時刻)t4とを、それぞれ記憶すると共に、前記閉弁開始信号が出力されたタイミング(時刻t3)にて、前記差分信号をA/D変換する。
この構成によれば、記憶した時刻t3,t4と、時刻t3での差分信号のA/D変換値とから、時刻t3から時刻t4までの燃料圧力の変化率(即ち、燃料噴射終了時における燃料圧力の上昇変化率)を求めることができ、その上昇変化率から、燃料噴射が正常に実施されているか否かを判断することができるようになる。また、記憶した時刻t3,t4と、時刻t3での差分信号のA/D変換値とに、変動基準値を加味すれば、時刻t3から時刻t4までの実際の噴射量(即ち、燃料噴射末期の燃料量)を推定することができ、その燃料噴射末期の噴射量からも、燃料噴射が正常に実施されているか否かを判断することができるようになる。
次に、請求項7の燃料噴射制御装置では、請求項2,3の燃料噴射制御装置において、演算手段は、1噴射期間中(即ち、1噴射期間の途中)に、積分回路による差分信号の積分値(実際には積分値に相当する電圧)を、少なくとも1回A/D変換する。
この構成によれば、演算手段は、その1噴射期間の途中における積分値のA/D変換値から、燃料噴射の実施状態の良否を判断することができる。例えば、その積分値のA/D変換値が、そのA/D変換タイミングでの積分値の理論値(理想値)と大きく異なっていれば(具体的には、所定値以上異なっていれば)、燃料噴射が正常に実施されていないと判断することができる。
次に、請求項8の燃料噴射制御装置では、請求項7の燃料噴射制御装置において、噴射開始検知回路と、開弁完了検知回路とが備えられている。
噴射開始検知回路は、燃料圧信号に基づき、燃料噴射弁が燃料の噴射を開始したことを検知して、そのことを示す噴射開始信号を出力する。また、開弁完了検知回路は、燃料圧信号に基づき、燃料噴射弁の開弁が完了したことを検知して、そのことを示す開弁完了信号を出力する。
そして、演算手段は、前記噴射開始信号が出力された時刻(即ち、燃料噴射の開始が検知された時刻)t1と、前記開弁完了信号が出力された時刻(即ち、燃料噴射弁の開弁完了が検知された時刻)t2とを、それぞれ記憶すると共に、前記開弁完了信号が出力されたタイミング(時刻t2)にて、積分回路による差分信号の積分値をA/D変換する。
この構成によれば、記憶した時刻t1,t2と、時刻t2での積分値とから、時刻t1から時刻t2までの燃料圧力の変化率(即ち、燃料噴射開始時における燃料圧力の下降変化率)を推定することができ、その下降変化率から、燃料噴射が正常に実施されているか否かを判断することができるようになる。また、時刻t2での積分値に変動基準値を加味すれば、時刻t1から時刻t2までの実際の噴射量(即ち、燃料噴射初期の燃料量)を推定することができ、その燃料噴射初期の噴射量からも、燃料噴射が正常に実施されているか否かを判断することができるようになる。
次に、請求項9の燃料噴射制御装置では、請求項7,8の燃料噴射制御装置において、閉弁開始検知回路と、噴射終了検知回路とが備えられている。
閉弁開始検知回路は、燃料圧信号に基づき、燃料噴射弁が閉弁し始めたことを検知して、そのことを示す閉弁開始信号を出力する。また、噴射終了検知回路は、燃料圧信号に基づき、燃料噴射弁が燃料の噴射を終了したことを検知して、そのことを示す噴射終了信号を出力する。
そして、演算手段は、前記閉弁開始信号が出力された時刻(即ち、燃料噴射弁の閉弁開始が検知された時刻)t3と、前記噴射終了信号が出力された時刻(即ち、燃料噴射の終了が検知された時刻)t4とを、それぞれ記憶すると共に、前記閉弁開始信号が出力されたタイミング(時刻t3)にて、積分回路による差分信号の積分値をA/D変換する。
この構成によれば、積分回路による1噴射期間分の積分値から、時刻t3での積分値を引くことで、時刻t3から時刻t4までの積分値を求めることができ、その時刻t3から時刻t4までの積分値と、記憶した時刻t3,t4とから、時刻t3から時刻t4までの燃料圧力の変化率(即ち、燃料噴射終了時における燃料圧力の上昇変化率)を求めることができ、その上昇変化率から、燃料噴射が正常に実施されているか否かを判断することができるようになる。また、時刻t3から時刻t4までの積分値に変動基準値を加味すれば、時刻t3から時刻t4までの実際の噴射量(即ち、燃料噴射末期の燃料量)を推定することができ、その燃料噴射末期の噴射量からも、燃料噴射が正常に実施されているか否かを判断することができるようになる。
実施形態の燃料噴射制御装置を表す構成図である。 燃料噴射制御装置に備えられた回路を表す構成図である。 燃料噴射制御装置の作用を表すタイムチャートである。 積分期間信号生成回路の構成と動作を表す説明図である。 マイコンの処理内容を説明する説明図である。
以下に、本発明が適用された実施形態の燃料噴射制御装置について説明する。
図1に示すように、本実施形態の燃料噴射制御装置(以下、ECUという)11は、車載ディーゼルエンジン13の各気筒(本実施形態では4つの気筒)#1〜#4に設けられている燃料噴射弁としてのインジェクタIJ1〜IJ4を駆動して、エンジン13への燃料噴射を制御するものである。尚、本実施形態において、インジェクタIJ1〜IJ4は、コイルへの通電によって開弁する電磁弁式のものであるが、インジェクタIJ1〜IJ4としては、ピエゾアクチュエータによって開閉弁するタイプのものでも良い。また、各気筒#1〜#4の燃料噴射順序は、例えば「#1→#3→#4→#2」である。
各インジェクタIJ1〜IJ4には、燃料の蓄圧容器であるコモンレール15から伸びた燃料通路としての燃料供給用配管17がそれぞれ接続されている。また、コモンレール15には、車両の燃料タンク19に貯留された燃料が、燃料ポンプ21によって圧送される。そして、各インジェクタIJ1〜IJ4には、コモンレール15に蓄えられた高圧の燃料が、上記燃料供給用配管17を介して供給される。
尚、燃料供給用配管17は、インジェクタIJ1〜IJ4毎に存在するが、図1では、インジェクタIJ1に対応するものだけが示されている。また、燃料ポンプ21は、例えば、エンジン13のクランク軸の回転により駆動されてポンプ動作を行う機関駆動式の高圧ポンプである。
更に、コモンレール15から各インジェクタIJ1〜IJ4への燃料供給用配管17において、インジェクタIJ1〜IJ4側の端(即ち、インジェクタIJ1〜IJ4の燃料取込口)には、その位置の燃料圧力(いわゆるインレット圧)を検出する圧力センサSN1〜SN4がそれぞれ設けられている。圧力センサSN1〜SN4は、燃料圧力が大きいほど、電圧値の大きいセンサ信号を出力するものである。
そして、その各インジェクタIJ1〜IJ4の圧力センサSN1〜SN4から出力されるアナログのセンサ信号(以下、燃料圧信号ともいう)P1〜P4や、エンジン13の運転状態を検出するための他のセンサからの信号が、ECU11に入力される。他のセンサとしては、例えば、周知のクランク角センサ23や、エンジン13への吸入空気量を検出する吸気量センサや、エンジン13の冷却水温を検出する水温センサや、アクセル踏み込み量センサや、空燃比センサ等がある。
一方、ECU11は、インジェクタIJ1〜IJ4に燃料を噴射させるための燃料噴射制御の処理を行う演算手段として、マイコン(マイクロコンピュータ)25を備えており、そのマイコン25は、周知のA/D変換器(ADC)26、CPU27、ROM28、及びRAM29等を備えている。
更に、ECU11は、ローパスフィルタ(LPF)31と、選択回路32と、差動増幅回路33と、積分回路35と、反転増幅回路36と、駆動回路40と、論理和回路(オア回路)41と、信号生成回路42とを備えている。
ローパスフィルタ31には、圧力センサSN1〜SN4からの燃料圧信号P1〜P4が入力される。そして、ローパスフィルタ31は、ノイズと考えられる所定周波数以上の信号成分を除去した燃料圧信号P1〜P4を、選択回路32に出力する。
選択回路32は、燃料圧信号P1〜P4のうち、マイコン25からの選択信号で指示される2つの燃料圧信号を選択して出力する回路である。
そして、マイコン25は、燃料圧信号P1〜P4のうち、噴射気筒(燃料噴射を実施する気筒)に対応した圧力センサからの燃料圧信号Vaと、非噴射気筒(燃料噴射を実施しない気筒)に対応した圧力センサからの燃料圧信号Vbとを、選択回路32に選択させる。具体的に説明すると、マイコン25は、今から燃料噴射を行う気筒を、噴射気筒として、その噴射気筒の燃料圧信号(詳しくは、その噴射気筒に対応した圧力センサからの燃料圧信号)Vaを選択回路32に選択させると共に、その噴射気筒に対してTDC(上死点)のタイミングが360°CAだけずれた気筒(いわゆる裏気筒)を、非噴射気筒として、その非噴射気筒の燃料圧信号(詳しくは、その非噴射気筒に対応した圧力センサからの燃料圧信号)Vbを選択回路32に選択させる。尚、上記「CA」は、クランク角(エンジン13におけるクランク軸の回転角度)を意味する略号である。
このため、例えば、気筒#1が噴射気筒ならば、選択回路32からは、その気筒#1の燃料圧信号P1が、噴射気筒の燃料圧信号Vaとして出力され、噴射順序が気筒#1の次の次である気筒#4の燃料圧信号P4が、非噴射気筒の燃料圧信号Vbとして出力される。また例えば、気筒#3が噴射気筒ならば、選択回路32からは、その気筒#3の燃料圧信号P3が、噴射気筒の燃料圧信号Vaとして出力され、噴射順序が気筒#3の次の次である気筒#2の燃料圧信号P2が、非噴射気筒の燃料圧信号Vbとして出力される。
また、噴射気筒#x(xは1〜4の何れか)の燃料圧信号Vaは、その気筒#xへの燃料噴射(即ち、その気筒#xに設けられたインジェクタIJxによる燃料噴射)に伴って、図3の3段目に例示するように変動する。
これに対して、非噴射気筒#y(yは1〜4の何れか)の燃料圧信号Vbは、噴射気筒#xのインジェクタIJxが燃料を噴射することによっては変動せず、コモンレール15内の燃料圧力とほぼ同じ圧力を示すこととなる。
このため、非噴射気筒#yの燃料圧信号Vbは、インジェクタIJxによる燃料噴射に伴う変動が無い場合の燃料圧力の値であって、噴射気筒#xの圧力センサSNxが検出するインレット圧の変動基準値(変動の基準値)を示すこととなり、換言すれば、インジェクタIJxによる燃料噴射に伴う変動が無いと仮定した場合の、燃料圧信号Vaの電圧値を示すこととなる。よって、燃料圧信号Vbを基準電圧として、その燃料圧信号Vbと燃料圧信号Vaとの差分を検出すれば、噴射気筒#xについて、インジェクタIJxの燃料噴射に伴うインレット圧の変化量が分かる。
そこで、差動増幅回路33が、選択回路32からの上記2つの燃料圧信号Va,Vbを入力し、その両燃料圧信号Va,Vbの差分を表す差分信号Vcを出力する。
具体的には、図2に示すように、差動増幅回路33は、オペアンプ44と抵抗45〜48とからなる周知の差動増幅回路であり、「Vb−Va」を表す差分信号であって、「Vb−Va」に比例した差分信号Vcを出力する。尚、正常ならば、「Vb≧Va」の関係が成立するため、差分信号Vcは0V以上の電圧となる。また、差動増幅回路33の増幅度は、本実施形態では例えば1に設定しているが、無論1以外でも良い。
そして、ECU11において、差動増幅回路33からの差分信号Vcは、マイコン25に入力されると共に、アナログスイッチとしてのトランジスタ(本実施形態ではNPNトランジスタ)34を介して積分回路35にも入力される。
積分回路35は、図2に示すように、オペアンプ49とコンデンサ50と抵抗51,2とからなる周知の積分回路であり、差分信号Vcを積分して、該積分値を示す電圧を出力する。
ここで、積分回路35におけるオペアンプ49の非反転入力端子(+端子)は、グランドライン(=0V)に接続されているため、その積分回路35の出力は、差分信号Vcとは正負が逆の電圧(つまり、0V以下の電圧)になる。
このため、ECU11において、積分回路35の出力電圧は、反転増幅回路36により正負が逆の電圧(つまり、0V以上の電圧)に変換され、その反転増幅回路36の出力が、積分回路35での積分値を示す電圧の積分信号(積分電圧)Vdとしてマイコン25に入力される。
尚、反転増幅回路36は、図2に示すように、オペアンプ53と抵抗54,55とからなる周知の反転増幅回路であり、オペアンプ53の非反転入力端子(+端子)はグランドラインに接続されている。また、反転増幅回路36の増幅度は、本実施形態では例えば1に設定しているが、無論1以外でも良い。
一方、図1に示すように、駆動回路40は、マイコン25から出力される気筒毎の噴射指令信号TQ1〜TQ4に従って、インジェクタIJ1〜IJ4を駆動する。本実施形態において、噴射指令信号TQ1〜TQ4は、ハイアクティブの信号である。そして、駆動回路40は、何れかの気筒(噴射気筒)#xに対応する噴射指令信号TQxがハイになると、その気筒xのインジェクタIJxを駆動して該インジェクタIJxを開弁させ、その後、噴射指令信号TQxがハイからローに戻ると、インジェクタIJxの駆動を停止して該インジェクタIJxを閉弁させる。
また、本実施形態において、マイコン25は、噴射指令信号TQ1〜TQ4のうちの何れか1つだけをハイにするようになっており、そのマイコン25からの噴射指令信号TQ1〜TQ4は、論理和回路41にも入力される。そして、論理和回路41は、噴射指令信号TQ1〜TQ4の論理和信号である信号TQを、信号生成回路42に出力する。
信号生成回路42は、差動増幅回路33からの差分信号Vcと、論理和回路41からの信号TQとから、噴射気筒#xのインジェクタIJxの状態を示す4つのトリガ信号Trg1〜Trg4と、積分回路35に差分信号Vcの積分を実施させる期間(即ち、積分期間)を示す積分期間信号Sbとを生成して、それら各信号を出力する。
信号生成回路42の構成については、後で詳しく説明するが、その信号生成回路42が生成する各信号は、下記のようなものである、
まず、トリガ信号Trg1は、インジェクタIJxが燃料の噴射を開始したことを、信号生成回路42にて検知したときに、立ち上がる(ローからハイになる)信号である(図3における時刻t1参照)。
また、トリガ信号Trg2は、インジェクタIJxの開弁が完了したこと(即ち、インジェクタIJxの噴射口が通常動作での最大開度になったこと)を、信号生成回路42にて検知したときに、立ち上がる信号である(図3における時刻t2参照)。
また、トリガ信号Trg3は、インジェクタIJxが閉弁し始めたことを、信号生成回路42にて検知したときに、立ち上がる信号である(図3における時刻t3参照)。
また、トリガ信号Trg4は、インジェクタIJxが燃料の噴射を終了したこと(即ち、インジェクタIJxの噴射口が閉じたこと)を、信号生成回路42にて検知したときに、立ち上がる信号である(図3における時刻t4参照)。
そして、それら4つのトリガ信号Trg1〜Trg4はマイコン25に入力される。
一方、積分期間信号Sbは、トリガ信号Trg1が立ち上がってからトリガ信号Trg4が立ち上がるまでの間を積分期間として、その積分期間だけハイになる信号である(図3における下から2段目参照)。
また更に、図1に示すように、ECU11は、トランジスタ37と、反転回路(インバータ)38と、論理積回路(アンド回路)39とを備えている。
トランジスタ37と反転回路38は、積分回路35が記憶する積分値をリセットするためであって、具体的には、積分回路35を構成する前述のコンデンサ50を放電させるために設けられており、トランジスタ37は、エミッタがグランドラインに接続されたNPNトランジスタである。そして、図2に示すように、そのトランジスタ37のコレクタが、積分回路35におけるオペアンプ49の出力端子とコンデンサ50との接続点に接続されている。また、反転回路38には、マイコン25から出力される圧力取得信号Saが入力され、その反転回路38で圧力取得信号Saをレベル反転させた信号が、トランジスタ37のベースに供給される。このため、マイコン25からの圧力取得信号Saがローになると、トランジスタ37がオンして、積分回路35のコンデンサ50が放電される(即ち、積分回路35の積分値がリセットされる)。
また、論理積回路39は、マイコン25からの圧力取得信号Saと、信号生成回路42からの積分期間信号Sbとの、論理積信号を出力する。そして、その論理積回路39の出力がハイのとき(即ち、信号Sa,Sbが両方ともハイのとき)に、前述のトランジスタ34がオンして、差動増幅回路33からの差分信号Vcが積分回路35に入力される。
尚、マイコン25は、図3の上から1,2段目に示すように、噴射気筒#xに対応する噴射指令信号TQxをハイにする時点よりも所定時間taだけ前に、圧力取得信号Saをハイにする。そして、噴射指令信号TQxをローに戻した時点から、インジェクタIJxによる燃料噴射が終了すると考えられる時間よりも少し長い所定時間tbが経過したときに、圧力取得信号Saをローに戻す。
次に、信号生成回路42の構成について説明する。
図2に示すように、信号生成回路42は、差動増幅回路33からの差分信号Vcを、オンすることで出力するアナログスイッチとしての2つのトランジスタ(本実施形態ではNPNトランジスタ)57,66と、論理和回路41からの信号TQが入力される反転回路65とを備えている。そして、トランジスタ57は、論理和回路41からの信号TQがハイのときにオンして、差分信号Vcを出力する。また、反転回路65は、信号TQをレベル反転した信号TQBを出力し、トランジスタ66は、その反転回路65からの信号TQBがハイのとき(即ち、信号TQがローのとき)にオンして、差分信号Vcを出力する。尚、トランジスタ57,66の出力ライン(エミッタ側のライン)は、図示しない抵抗でグランドラインにプルダウンされており、該トランジスタ57,66の各々がオフのときには、それの出力電圧は0Vとなる。
そして、信号生成回路42は、インジェクタIJxが燃料の噴射を開始したことを検知してトリガ信号Trg1(詳しくは、トリガ信号Trg1の立ち上がりエッジ)を出力するための噴射開始検知回路として、比較器58を備えている。
比較器58の入力端子のうち、非反転入力端子(+端子)には、トランジスタ57の出力電圧が入力され、反転入力端子(−端子)には、0Vよりも大きい一定の閾値電圧Vref1が入力されている。そして、比較器58は、トランジスタ57の出力電圧が閾値電圧Vref1を超えている場合に、トリガ信号Trg1をハイにして出力する。
尚、図示は省略しているが、閾値電圧Vref1は、ECU11内の電源回路によってバッテリ電圧(車載バッテリの電圧)から生成される正の一定電圧(本実施形態では例えば5V)を、抵抗で分圧することにより生成される。
更に、信号生成回路42は、インジェクタIJxの開弁が完了したことを検知してトリガ信号Trg2(詳しくは、トリガ信号Trg2の立ち上がりエッジ)を出力するための開弁完了検知回路として、トランジスタ57の出力電圧が入力される微分回路59と、微分回路59の出力電圧が入力される反転増幅回路60と、反転増幅回路60の出力電圧Veが入力されるピークホールド回路61と、ピークホールド回路61の出力電圧を分圧する抵抗62,63と、比較器64とを備えている。
微分回路59は、オペアンプ70とコンデンサ71と抵抗72,73とからなる周知の微分回路であり、反転増幅回路60は、オペアンプ74と抵抗75,76とからなる周知の反転増幅回路である。そして、オペアンプ70,74の非反転入力端子(+端子)はグランドラインに接続されている。
このため、論理和回路41からの信号TQがハイのときに、トランジスタ57から出力される差分信号Vcが上昇すると、その上昇傾きに応じた負の電圧が微分回路59から出力され、その微分回路59の出力電圧とは正負逆の電圧が、反転増幅回路60から出力される。よって、反転増幅回路60の出力電圧Veは、差分信号Vcの上昇傾きに応じた正の電圧となる。尚、反転増幅回路60の増幅度は、本実施形態では例えば1に設定しているが、無論1以外でも良い。
そして、ピークホールド回路61は、オペアンプ77,80とダイオード78とコンデンサ79とからなる周知のピークホールド回路であり、反転増幅回路60の出力電圧Veをピークホールドして出力する。即ち、出力電圧Veの最大値をコンデンサ79によって保持し、その最大値と同じ電圧を、バッファとしてのオペアンプ80から出力する。
また、ピークホールド回路61におけるダイオード78のカソードと、コンデンサ79との接続点には、抵抗81の一端が接続されており、その抵抗81の他端には、エミッタがグランドラインに接続されたトランジスタ(NPNトランジスタ)82のコレクタが接続されている。そして、トランジスタ82は、反転回路65からの信号TQBがハイのときにオンする。
このため、論理和回路41からの信号TQがローのときに、ピークホールド回路61におけるコンデンサ79が、抵抗81及びトランジスタ82を介して放電され、該ピークホールド回路61の出力電圧は0Vになる。つまり、信号TQがローのときに、ピークホールド回路61の記憶電圧はリセットされる。
また、比較器64の入力端子のうち、非反転入力端子(+端子)には、ピークホールド回路61の出力電圧を抵抗62,63で分圧した電圧が、閾値電圧Vref2として入力され、反転入力端子(−端子)には、反転増幅回路60の出力電圧Veが入力される。そして、比較器64は、「Vref2>Ve」の場合に、トリガ信号Trg2をハイにして出力する。
また、信号生成回路42は、インジェクタIJxが閉弁し始めたことを検知してトリガ信号Trg3(詳しくは、トリガ信号Trg3の立ち上がりエッジ)を出力するための閉弁開始検知回路として、トランジスタ66の出力電圧が入力される微分回路67と、比較器68とを備えている。
微分回路67は、オペアンプ83とコンデンサ84と抵抗85,86とからなる周知の微分回路であり、オペアンプ83の非反転入力端子(+端子)はグランドラインに接続されている。
そして、比較器68の入力端子のうち、非反転入力端子(+端子)には、微分回路67の出力電圧Vfが入力され、反転入力端子(−端子)には、0Vよりも大きい一定の閾値電圧Vref3が入力されている。尚、図示は省略しているが、閾値電圧Vref3も、前述の一定電圧(5V)を抵抗で分圧することにより生成される。
このため、論理和回路41からの信号TQがローのときに、トランジスタ66から出力される差分信号Vcが下降すると、その下降傾きに応じた正の電圧が微分回路67から出力される。そして、比較器68は、その微分回路67の出力電圧Vfと、閾値電圧Vref3を比較して、「Vf>Vref3」の場合に、トリガ信号Trg3をハイにして出力する。
また、信号生成回路42は、インジェクタIJxが燃料の噴射を終了したことを検知してトリガ信号Trg4(詳しくは、トリガ信号Trg4の立ち上がりエッジ)を出力するための噴射終了検知回路として、比較器69を備えている。
比較器69の入力端子のうち、反転入力端子(−端子)には、トランジスタ66の出力電圧が入力され、非反転入力端子(+端子)には、0Vよりも大きい一定の閾値電圧Vref4が入力されている。尚、図示は省略しているが、閾値電圧Vref4も、前述の一定電圧(5V)を抵抗で分圧することにより生成される。
そして、比較器69は、トランジスタ66の出力電圧が閾値電圧Vref4よりも低い場合に、トリガ信号Trg4をハイにして出力する。
そして更に、信号生成回路42は、トリガ信号Trg1,Trg4から前述の積分期間信号Sbを出力する積分期間信号出力回路88を備えている。
その積分期間信号出力回路88は、図4(A)に示すように、トリガ信号Trg1を微小な遅延時間Tdだけ遅延して出力する遅延回路90と、遅延回路90の出力信号とトリガ信号Trg1とを入力とする排他的論理和回路(エクスクルーシブオア回路)91と、排他的論理和回路91の出力信号とトリガ信号Trg1とを入力とする論理積回路92と、トリガ信号Trg4を微小な遅延時間Tdだけ遅延して出力する遅延回路93と、遅延回路93の出力信号とトリガ信号Trg4とを入力とする排他的論理和回路94と、排他的論理和回路94の出力信号とトリガ信号Trg4とを入力とする論理積回路95と、論理積回路92の出力信号Out1と論理積回路95の出力信号Out2とを入力とする論理和回路96と、Dフリップフロップ97とを備えている。
Dフリップフロップ97の端子のうち、D入力端子とQバー出力端子とが接続されており、クロック端子(CK)には論理和回路96の出力信号が入力される。そして、そのDフリップフロップ97のQ出力端子から、積分期間信号Sbが出力されるようになっている。
このような積分期間信号出力回路88では、図4(B)に示すように、トリガ信号Trg1が立ち上がると、論理積回路92の出力信号Out1が、遅延回路90での遅延時間Tdだけハイになり、その出力信号Out1の立ち上がりエッジが論理和回路96を介してDフリップフロップ97のクロック端子(CK)に入力される。すると、Dフリップフロップ97のQ出力端子からの積分期間信号Sbがローからハイになる。
そして、その後、トリガ信号Trg4が立ち上がると、論理積回路95の出力信号Out2が、遅延回路93での遅延時間Tdだけハイになり、その出力信号Out2の立ち上がりエッジが論理和回路96を介してDフリップフロップ97のクロック端子(CK)に入力される。すると、Dフリップフロップ97のQ出力端子からの積分期間信号Sbがハイからローに戻る。
このようにして、積分期間信号Sbは、トリガ信号Trg1が立ち上がってからトリガ信号Trg4が立ち上がるまでの間、ハイになる。尚、図4(B)に示しているトリガ信号Trg1,Trg4の変化状態は、図3に示しているトリガ信号Trg1,Trg4の変化状態と同じであり、そのトリガ信号Trg1,Trg4の変化については、図3に沿って後で説明する。
次に、以上のように構成されたECU11の作用について、マイコン25が行う処理内容と合わせて説明する。尚、マイコン25の動作は、それのCPU27がROM28内のプログラムを実行することで実現されるものである。
まず、マイコン25は、インジェクタIJ1〜IJ4に燃料を噴射させる燃料噴射制御の処理として、下記(1)〜(5)のような処理を行う。
(1)クランク角センサ23からのクランク角信号に基づいてクランク角を検出し、現在のクランク角から、燃料噴射を実施すべき噴射気筒#xを決定する。
(2)そして、クランク角信号及び燃料圧信号P1〜P4以外の各種センサ信号に基づいて、噴射気筒#xへの燃料噴射を開始すべき目標タイミング及び目標噴射量を算出すると共に、それらの算出結果に基づいて、噴射気筒#xのインジェクタIJxの開弁駆動を開始すべきタイミング(即ち、噴射気筒#xに対応する噴射指令信号TQxをハイにするタイミング)である駆動開始タイミングと、インジェクタIJxの開弁駆動を継続する時間(即ち、噴射指令信号TQxをハイにする継続時間)である駆動時間との、基本値を算出する。
(3)更に、上記基本値を、今回の噴射気筒#xに関する補正係数で補正することにより、実際の制御に用いる駆動開始タイミングと駆動時間とを算出する。尚、補正係数は、例えば、RAM29またはEEPROM等の書き換え可能な不揮発性メモリ(図示省略)に記憶されている。
(4)そして、上記算出した駆動開始タイミングになると、噴射気筒#xに対応する噴射指令信号TQxをハイにし、その時点から、上記算出した駆動時間が経過すると、噴射指令信号TQxをハイからローに戻す(図3の1段目参照)。このように噴射指令信号TQxが出力されることにより、駆動回路40がインジェクタIJxを駆動して、噴射気筒#xへの燃料噴射が行われる。
(5)また、このようにして噴射気筒#xへの燃料噴射を実施した場合に、マイコン25は、後述するように、反転増幅回路36からの積分信号Vdに基づき実噴射量(即ち、インジェクタIJxから実際に噴射された燃料の量)を算出する。
そして、その算出した実噴射量から、噴射気筒#xに関する補正係数を算出して、その補正係数をRAM29または書き換え可能な不揮発性メモリに更新記憶する。例えば、今回の目標噴射量と実噴射量とを比較して、目標噴射量と実噴射量との差に応じて駆動時間を変更する(具体的には、目標噴射量に対して実噴射量が不足していれば駆動時間を長くし、目標噴射量に対して実噴射量が過剰であれば駆動時間を短くする)ための補正係数を算出する。そして、このようにして求めた補正係数は、今回の噴射気筒#xと同じ気筒#xに対して次回に燃料噴射を行う際に、上記(3)の処理で用いられることとなる。
また、前述したように、マイコン25は、図3の上から1,2段目に示すように、噴射指令信号TQxをハイにする時点よりも所定時間taだけ前に、圧力取得信号Saをハイにし、噴射指令信号TQxをローに戻した時点から所定時間tbが経過したときに、圧力取得信号Saをローに戻す。そして、圧力取得信号Saがローの間は、積分回路35のコンデンサ50が強制的に放電されて積分信号Vdが0Vとなり、また、圧力取得信号Saがハイの間は、上記コンデンサ50の充電が許可される(即ち、積分回路35の積分動作が許可される)。
一方、噴射指令信号TQxがハイになって、インジェクタIJxから噴射気筒#xへの燃料噴射が行われると、前述したように、選択回路32から出力される噴射気筒#xの燃料圧信号Vaは、図3の3段目に例示するように変動するが、選択回路32から出力される非噴射気筒#yの燃料圧信号Vbは、インジェクタIJxが燃料を噴射することによっては変動せず、コモンレール15内の燃料圧力とほぼ同じ圧力を示すこととなる。
このため、差動増幅回路33からの差分信号Vc(=Vb−Va)は、0Vを基準にして燃料圧信号Vaを反転させた波形となり、図3の4段目に模式的に示すように、台形のような波形となる。つまり、差分信号Vcは、噴射指令信号TQxがハイになってインジェクタIJxからの燃料噴射が開始されると0Vから上昇(増大)し始め、インジェクタIJxの開弁が完了すると上昇しなくなって略一定となり、その後、噴射指令信号TQxがハイからローになってインジェクタIJxが閉弁し始めると下降(減少)し始め、インジェクタIJxからの燃料噴射が終了すると下降しなくなって0Vに戻ることとなる。
そして、信号生成回路42では、噴射指令信号TQxがハイになると、トランジスタ57がオンして、差分信号Vcが、比較器58の非反転入力端子と微分回路59とに入力される。
このため、噴射指令信号TQxがハイになってインジェクタIJxからの燃料噴射が開始され、差分信号Vcが閾値電圧Vref1を越えると(図3における時刻t1)、図3の7段目に示すように、比較器58からのトリガ信号Trg1がローからハイになる。このようにして燃料噴射の開始が検知される。
尚、閾値電圧Vref1は、0Vよりも少し高い値であって、インジェクタIJxが燃料の噴射を開始したと見なすことのできる差分信号Vcの電圧値に設定されている。そして、噴射指令信号TQxがローになると、トランジスタ57がオフして比較器58の非反転入力端子の電圧が0Vになるため、トリガ信号Trg1はローに戻る。
また、噴射指令信号TQxがハイになってインジェクタIJxからの燃料噴射が開始され、差分信号Vcが上昇し始めると、図3の5段目に示すように、差分信号Vcの微分値に相当する反転増幅回路60の出力電圧Veが、0Vから上昇する。そして、反転増幅回路60の出力電圧Veは、インジェクタIJxの開弁が完了して差分信号Vcの上昇が終了すると、0Vへと急降下する。
ここで、噴射指令信号TQxがハイの間、反転増幅回路60の出力電圧Veは、ピークホールド回路61によってピークホールドされる。
そして、反転増幅回路60の出力電圧Veが下降し出すまでは、その出力電圧Veとピークホールド回路61の出力電圧とは同じになるが、インジェクタIJxの開弁が完了して反転増幅回路60の出力電圧Veが下降し出すと、その出力電圧Veは、ピークホールド回路61の出力電圧よりも低くなり、該出力電圧Veが、ピークホールド回路61の出力電圧を抵抗62,63で分圧した閾値電圧Vref2を下回った時点(図3における時刻t2)で、図3における8段目に示すように、比較器64からのトリガ信号Trg2がローからハイになる。このようにしてインジェクタIJxの開弁完了が検知される。
尚、抵抗62,63による分圧比は適宜設定可能であるが、できるだけピークホールド回路61の出力電圧に近い電圧が閾値電圧Vref2となるように設定するのが好ましい。但し、どのような分圧比に設定しても、反転増幅回路60の出力電圧Veの降下速度は大きいため、該出力電圧Veが降下を開始すると、すぐに閾値電圧Vref2を下回って、トリガ信号Trg2はハイになる。
そして、噴射指令信号TQxがローになると、ピークホールド回路61のコンデンサ79が放電されて該ピークホールド回路61の出力電圧が0Vになり、閾値電圧Vref2も0Vになるため、比較器64からのトリガ信号Trg2はローに戻る。
一方、信号生成回路42では、噴射指令信号TQxがハイからローになると、トランジスタ57がオフする代わりに、トランジスタ66がオンして、差分信号Vcが、微分回路67と比較器69の反転入力端子とに入力される。
そして、噴射指令信号TQxがローになって、その後、インジェクタIJxが閉弁し始めることにより、差分信号Vcが下降し始めると、図3の6段目に示すように、差分信号Vcの微分値を正負逆にした値に相当する微分回路67の出力電圧Vfが、0Vから上昇する。そして、微分回路67の出力電圧Vfが閾値電圧Vref3を越えると(図3における時刻t3)、図3の9段目に示すように、比較器68からのトリガ信号Trg3がローからハイになる。このようにしてインジェクタIJxの閉弁開始が検知される。
尚、閾値電圧Vref3は、0Vよりも少し高い値であって、インジェクタIJxが閉弁し始めたときに微分回路67の出力電圧Vfがなると考えられる電圧値に設定されている。また、微分回路67の出力電圧Vfは、差分信号Vcの下降が終了すると、0Vへと急降下し、その微分回路67の出力電圧Vfが閾値電圧Vref3以下になると、比較器68からのトリガ信号Trg3はローに戻る。
また、噴射指令信号TQxがローになってから、差分信号Vcが閾値電圧Vref4を下回ると(図3における時刻t4)、図3の10段目に示すように、比較器69からのトリガ信号Trg4がローからハイになる。このようにして燃料噴射の終了が検知される。
尚、閾値電圧Vref4は、0Vよりも少し高い値であって、インジェクタIJxが燃料の噴射を終了したと見なすことのできる差分信号Vcの電圧値に設定されている。また、差分信号Vcは、次の燃料噴射が開始されるまで閾値電圧Vref4よりも低いことと、信号TQがハイの間(即ち、噴射指令信号TQ1〜TQ4の何れかがハイの間)は、差分信号Vcに拘わらず、トランジスタ66の出力電圧が0Vであることから、トリガ信号Trg4は、次の燃料噴射の際における信号TQの立ち下がり時までハイの状態が続き、その信号TQの立ち下がりに伴ってハイからローになる。
また、図3における11段目(下から2段目)に示すように、積分期間信号出力回路88からの積分期間信号Sbは、前述したように、トリガ信号Trg1が立ち上がってからトリガ信号Trg4が立ち上がるまでの間、ハイとなる。
そして、積分期間信号Sbがハイである期間中は、マイコン25からの圧力取得信号Saもハイであるため、その積分期間信号Sbがハイである間、トランジスタ34がオンして、差動増幅回路33からの差分信号Vcが積分回路35に入力される。
このため、図3における12段目(最下段)に示すように、トリガ信号Trg1が立ち上がってからトリガ信号Trg4が立ち上がるまでの期間であって、噴射気筒#xのインジェクタIJxが燃料を1回噴射する1噴射期間において、積分回路35は差分信号Vcを積分することとなり、その積分回路35での積分値を示す積分信号Vdが、反転増幅回路36からマイコン25に出力される。
そして、マイコン25は、トリガ信号Trg4が立ち上がってから、圧力取得信号Saをローにするまでの間に、積分信号VdをA/D変換器26によりA/D変換して、該A/D変換値(即ち、積分回路35による1噴射期間分の差分信号Vcの積分値であり、以下、INT[t1〜t4]と記す)をRAM29に記憶する。つまり、マイコン25は、トリガ信号Trg4が立ち上がってから、積分信号VdをA/D変換し、そのA/D変換が終了してから、圧力取得信号Saをローにして、積分回路35による積分値をリセットする。
また、マイコン25は、例えば、圧力取得信号Saをハイにしたときに、非噴射気筒の燃料圧信号VbをA/D変換器26によりA/D変換して、該A/D変換値(即ち、燃料圧信号Vbの電圧値)を、噴射気筒の燃料圧信号Vaの変動基準値としてRAM29に記憶する。尚、燃料圧信号VbのA/D変換は、いつ行っても良いが、噴射気筒#xに対する燃料噴射の直前であることが好ましい。
そして、マイコン25は、上記のA/D変換で記憶した積分値INT[t1〜t4]と、変動基準値とに基づいて、今回の実噴射量を算出する。
つまり、差分信号Vcの積分値は、インジェクタIJxの燃料噴射に伴うインレット圧の、変動基準値からの変動量を積分したものであり、噴射量と相関がある。
このため、マイコン25は、例えば、差分信号Vcの積分値を噴射量に換算するための換算係数を、変動基準値から決定し、その決定した換算係数を積分値INT[t1〜t4]に乗ずることにより、1回の実噴射量を算出する。
尚、マイコン25のROM28には、複数通りの変動基準値とそれらに対応する換算係数とを記録したデータマップが記憶されており、そのデータマップから、実際のA/D変換で取得した変動基準値に対応する変換係数を求める。また、差分信号Vcの積分値と変動基準値とから、換算係数を介さずに実噴射量を算出するためのデータマップを、ROM28内に用意しておき、そのデータマップに、実際のA/D変換で取得した積分値INT[t1〜t4]と変動基準値をあてはめることで、実噴射量を算出しても良い。
そして、マイコン25は、このように算出した実噴射量から、前述の(3)の処理で用いられる補正係数を算出する。
このようなECU11によれば、マイコン25は、圧力センサSN1〜SN4からの燃料圧信号P1〜P4を数十μs毎といった短い間隔でA/D変換してデータ処理しなくても、燃料圧信号P1〜P4に基づき実噴射量を算出して、燃料噴射制御の処理を行うことができる。
よって、従来の装置よりも、マイコン25のCPU27やA/D変換器26やRAM29等の、構成要素に対する要求性能を低くすることができる。具体的は、マイコン25としてCPU27による処理速度が遅いものを使用でき、また、A/D変換器26としてA/D変換速度が遅いものを使用でき、RAM29として記憶容量の小さいものを使用できるようになる。このため、ECU11の低コスト化を達成することができる。
また、積分回路35が記憶する積分値は、マイコン25からの圧力取得信号Saがローのときにリセットされるため、1噴射期間が終了してから次回の1噴射期間が到来するまでの間にリセットされることとなり、積分回路35は、1噴射期間毎に、その1噴射期間分の差分信号Vcを積分することとなる。このため、マイコン25は、積分回路35による積分値から、1回の燃料噴射毎に、その各回の実噴射量を正しく算出することができる。
尚、インジェクタIJxが燃料を複数回噴射する期間に亘って、積分回路35が差分信号Vcを積分するように構成しても良い。但し、その場合、マイコン25は、その複数回分の実噴射量をまとめて算出することとなる。
次に、マイコン25が行う上記以外の処理について説明する。
マイコン25は、信号生成回路42からトリガ信号Trg1の立ち上がりエッジ(噴射開始信号に相当)が出力されたことを検知すると、そのときの時刻(図3における時刻t1であり、以下、時刻t1という)をRAM29に記憶する。更に、信号生成回路42からトリガ信号Trg2の立ち上がりエッジ(開弁完了信号に相当)が出力されたことを検知すると、そのときの時刻(図3における時刻t2であり、以下、時刻t2という)をRAM29に記憶すると共に、差分信号VcをA/D変換器26でA/D変換して該A/D変換値もRAM29に記憶する。
また、マイコン25は、信号生成回路42からトリガ信号Trg3の立ち上がりエッジ(閉弁開始信号に相当)が出力されたことを検知すると、そのときの時刻(図3における時刻t3であり、以下、時刻t3という)をRAM29に記憶すると共に、差分信号VcをA/D変換器26でA/D変換して該A/D変換値もRAM29に記憶する。更に、信号生成回路42からトリガ信号Trg4の立ち上がりエッジ(噴射終了信号に相当)が出力されたことを検知すると、そのときの時刻(図3における時刻t4であり、以下、時刻t4という)をRAM29に記憶する。
尚、例えば、各トリガ信号Trg1〜Trg4は、マイコン25の端子のうち、入力信号が立ち上がると割り込み要求を発生させる機能(いわゆるエッジ割り込みの機能)を有した入力端子(入力ポート)に入力されており、各トリガ信号Trg1〜Trg4の立ち上がりエッジは、その立ち上がりエッジで発生する割り込み要求で検知されることとなり、また、その割り込み要求で起動される割り込み処理によって、時刻の記憶やA/D変換が行われる。
そして、マイコン25は、例えば圧力取得信号Saをハイからローに戻した後に、以下のような噴射状態検証処理を行う。
その噴射状態検証処理では、図5に示すように、記憶した時刻t1,t2と、時刻t2での差分信号VcのA/D変換値Vc[t2]とから、時刻t1から時刻t2までの差分信号Vcの変化率(即ち、噴射気筒#xについての燃料噴射開始時におけるインレット圧の下降変化率)r[t1〜t2]を求める。そして、その変化率r[t1〜t2]から、燃料噴射が正常に実施されているか否かを判断する。例えば、変化率r[t1〜t2]が所定範囲外であれば、噴射初期の噴射率(単位時間当たりの噴射量)が正常でないと判断する。
更に、噴射状態検証処理では、図5に示すように、記憶した時刻t3,t4と、時刻t3での差分信号VcのA/D変換値Vc[t3]とから、時刻t3から時刻t4までの差分信号Vcの変化率(即ち、噴射気筒#xについての燃料噴射終了時におけるインレット圧の上昇変化率)r[t3〜t4]を求める。そして、その変化率r[t3〜t4]から、燃料噴射が正常に実施されているか否かを判断する。例えば、変化率r[t3〜t4]が所定範囲外であれば、噴射末期の噴射率が正常でないと判断する。
尚、図5に示すように、時刻t1から時刻t2までの差分信号Vcの変化率が一定であると仮定すれば、時刻t1,t2とA/D変換値Vc[t2]とから、時刻t1から時刻t2までの差分信号Vcの積分値INT[t1〜t2]を算出することができ、その積分値INT[t1〜t2]に、前述の変動基準値を加味すれば、時刻t1から時刻t2までの実際の噴射量(即ち、燃料噴射初期の燃料量)を推定することができるため、その燃料噴射初期の噴射量からも、燃料噴射が正常に実施されているか否かを判断することができる。
同様に、時刻t3から時刻t4までの差分信号Vcの変化率が一定であると仮定すれば、時刻t3,t4とA/D変換値Vc[t3]とから、時刻t3から時刻t4までの差分信号Vcの積分値INT[t3〜t4]を算出することができ、その積分値INT[t3〜t4]に、前述の変動基準値を加味すれば、時刻t3から時刻t4までの実際の噴射量(即ち、燃料噴射末期の燃料量)を推定することができるため、その燃料噴射末期の噴射量からも、燃料噴射が正常に実施されているか否かを判断することができる。
一方、マイコン25は、信号生成回路42からトリガ信号Trg2の立ち上がりエッジが出力されたことを検知した時刻t2と、信号生成回路42からトリガ信号Trg3の立ち上がりエッジが出力されたことを検知した時刻t3との、各々にて、差分信号Vcではなく、積分信号Vd(即ち、積分回路35による差分信号Vcの積分値)をA/D変換器26でA/D変換して該A/D変換値をRAM29に記憶するように変形しても良い。
そして、このように変形した場合、マイコン25は、噴射状態検証処理として、以下のような処理を行うことができる。
まず、その噴射状態検証処理では、図5に示すように、記憶した時刻t1,t2と、時刻t2での積分信号VdのA/D変換値(即ち、時刻t1から時刻t2までの差分信号Vcの積分値)INT[t1〜t2]とから、時刻t1から時刻t2までの差分信号Vcの変化率(即ち、噴射気筒#xについての燃料噴射開始時におけるインレット圧の下降変化率)r[t1〜t2]を求め、その変化率r[t1〜t2]から、前述したように、燃料噴射が正常に実施されているか否かを判断する。また、前述したように、積分値INT[t1〜t2]に変動基準値を加味すれば、時刻t1から時刻t2までの実際の噴射量(燃料噴射初期の燃料量)を推定することができ、その噴射量からも、燃料噴射が正常に実施されているか否かを判断することができる。
更に、その噴射状態検証処理では、1噴射期間分の差分信号Vcの積分値INT[t1〜t4]から、時刻t3での積分信号VdのA/D変換値(即ち、時刻t1から時刻t3までの差分信号Vcの積分値)INT[t1〜t3]を引くことで、図5に示すように、時刻t3から時刻t4までの差分信号Vcの積分値INT[t3〜t4]を求め、その積分値INT[t3〜t4]と時刻t3,t4とから、時刻t3から時刻t4までの差分信号Vcの変化率(即ち、噴射気筒#xについての燃料噴射終了時におけるインレット圧の上昇変化率)r[t3〜t4]を求める。そして、その変化率r[t3〜t4]から、前述したように、燃料噴射が正常に実施されているか否かを判断する。また、前述したように、積分値INT[t3〜t4]に変動基準値を加味すれば、時刻t3から時刻t4までの実際の噴射量(燃料噴射末期の燃料量)を推定することができ、その噴射量からも、燃料噴射が正常に実施されているか否かを判断することができる。
また、他の例として、マイコン25は、例えば、噴射指令信号TQxをハイにしたタイミングやトリガ信号Trg1が立ち上がったタイミングから、インジェクタIJxが燃料を噴射していると考えられる一定時間が経過したときに、差分信号Vcまたは積分信号VdをA/D変換し、そのA/D変換値が、正常と考えられる所定範囲から外れていれば、燃料噴射が正常に実施されていないと判断するようにしても良い。
一方、既述したが、上記実施形態では、マイコン25が、演算手段に相当している。
そして、比較器58が、噴射開始検知回路に相当し、微分回路59と、反転増幅回路60と、ピークホールド回路61と、抵抗62,63と、比較器64とが、開弁完了検知回路に相当し、微分回路67と、比較器68とが、閉弁開始検知回路に相当し、比較器69が、噴射終了検知回路に相当している。尚、それら各回路には、差分信号Vcが入力されるが、その差分信号Vcは噴射気筒の燃料圧信号Vaに基づくものであるため、結局、各回路は、燃料圧信号Vaに基づいて噴射開始などの各タイミングを検知してトリガ信号Trg1〜Trg4を出力していることになる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
例えば、積分期間信号Sbは、マイコン25が、トリガ信号Trg1,Trg4に基づいて出力するようになっていても良い
また、ECU11内の各回路は、正の単電源で動作するように構成しても良い。その場合、例えば、オペアンプ70,74,83の非反転入力端子を、0Vと電源電圧との間の電圧(一例として、電源電圧が5Vならば中間電圧の2.5V)のラインに接続すれば良い。
また、変動基準値としては、噴射直前に噴射気筒#xの圧力センサSNxによって検出される燃料圧力を用いても良いし、コモンレール15内の燃料圧力を用いても良い。
また、比較器58が、非噴射気筒の燃料圧信号Vbから生成される閾値電圧と、噴射気筒の燃料圧信号Vaとを大小比較することにより、トリガ信号Trg1を出力するように構成しても良く、同様に、比較器69が、非噴射気筒の燃料圧信号Vbから生成される閾値電圧と、噴射気筒の燃料圧信号Vaとを大小比較することにより、トリガ信号Trg4を出力するように構成しても良い。
また、圧力センサSN1〜SN4が設けられる位置は、インジェクタIJ1〜4の燃料取込口に限らず、コモンレール15の燃料出口(燃料供給用配管17のコモンレール15側の端)からインジェクタIJ1〜IJ4の噴射口までの燃料通路における何れかの位置で良い。
また、燃料噴射制御の対象は、ガソリンエンジンであっても良い。
11…ECU(燃料噴射制御装置)、13…エンジン、15…コモンレール、17…燃料供給用配管、19…燃料タンク、21…燃料ポンプ、23…クランク角センサ、25…マイコン、26…A/D変換器、27…CPU、28…ROM、29…RAM、31…ローパスフィルタ、32…選択回路、33…差動増幅回路、34,37,57,66,82…トランジスタ、35…積分回路、36,60…反転増幅回路、38,65…反転回路、39…論理積回路、40…駆動回路、41…論理和回路、42…信号生成回路、58,64,68,69…比較器、59,67…微分回路、61…ピークホールド回路、44,49,53,70,74,80,83…オペアンプ、45〜48,51,52,54,55,62,63,72,73,75,76,81,85,86…抵抗、50,71,79,84…コンデンサ、78…ダイオード、88…積分期間信号出力回路、IJ1〜IJ4…インジェクタ、SN1〜SN4…圧力センサ

Claims (9)

  1. 燃料ポンプによって圧送される燃料を蓄える蓄圧容器と、
    前記蓄圧容器から供給される燃料を噴射口から内燃機関の気筒へ噴射する燃料噴射弁と、
    前記蓄圧容器の燃料出口から前記燃料噴射弁の噴射口までの燃料通路における所定位置に設けられ、前記噴射口からの燃料噴射に伴い変動する該燃料通路の燃料圧力を検出する圧力センサと、
    を備えた燃料噴射システムに適用され、
    前記燃料噴射弁に燃料を噴射させる燃料噴射制御の処理を行う演算手段を備えており、
    前記演算手段は、前記圧力センサの出力信号である燃料圧信号を用いて、前記燃料噴射弁から実際に噴射された燃料の量である実噴射量を算出し、該算出した実噴射量を用いて前記燃料噴射制御の処理を行う燃料噴射制御装置において、
    前記燃料圧信号と、前記燃料噴射に伴う変動が無い場合の前記燃料圧力の値である変動基準値を示す基準電圧とを入力し、該基準電圧と前記燃料圧信号との差分を表す差分信号を出力する差動増幅回路と、
    前記差分信号を積分する積分回路とを備え、
    前記演算手段は、前記積分回路による前記差分信号の積分値と、前記変動基準値とに基づいて、前記実噴射量を算出すること、
    を特徴とする燃料噴射制御装置。
  2. 請求項1に記載の燃料噴射制御装置において、
    前記積分回路は、前記燃料噴射弁が燃料を1回噴射する期間である1噴射期間において前記差分信号を積分し、
    前記演算手段は、前記積分回路による前記1噴射期間分の積分値と、前記変動基準値とに基づいて、前記燃料噴射弁による1回の実噴射量を算出すること、
    を特徴とする燃料噴射制御装置。
  3. 請求項2に記載の燃料噴射制御装置において、
    前記積分回路が記憶する積分値は、前記1噴射期間が終了してから次回の前記1噴射期間が到来するまでの間にリセットされること、
    を特徴とする燃料噴射制御装置。
  4. 請求項2又は請求項3に記載の燃料噴射制御装置において、
    前記演算手段は、前記1噴射期間中に、前記差分信号を、少なくとも1回A/D変換すること、
    を特徴とする燃料噴射制御装置。
  5. 請求項4に記載の燃料噴射制御装置において、
    前記燃料圧信号に基づき、前記燃料噴射弁が燃料の噴射を開始したことを検知して、そのことを示す噴射開始信号を出力する噴射開始検知回路と、
    前記燃料圧信号に基づき、前記燃料噴射弁の開弁が完了したことを検知して、そのことを示す開弁完了信号を出力する開弁完了検知回路とを備え、
    前記演算手段は、
    前記噴射開始信号が出力された時刻と、前記開弁完了信号が出力された時刻とを、それぞれ記憶すると共に、前記開弁完了信号が出力されたタイミングにて、前記差分信号をA/D変換すること、
    を特徴とする燃料噴射制御装置。
  6. 請求項4又は請求項5に記載の燃料噴射制御装置において、
    前記燃料圧信号に基づき、前記燃料噴射弁が閉弁し始めたことを検知して、そのことを示す閉弁開始信号を出力する閉弁開始検知回路と、
    前記燃料圧信号に基づき、前記燃料噴射弁が燃料の噴射を終了したことを検知して、そのことを示す噴射終了信号を出力する噴射終了検知回路とを備え、
    前記演算手段は、
    前記閉弁開始信号が出力された時刻と、前記噴射終了信号が出力された時刻とを、それぞれ記憶すると共に、前記閉弁開始信号が出力されたタイミングにて、前記差分信号をA/D変換すること、
    を特徴とする燃料噴射制御装置。
  7. 請求項2又は請求項3に記載の燃料噴射制御装置において、
    前記演算手段は、前記1噴射期間中に、前記積分回路による前記差分信号の積分値を、少なくとも1回A/D変換すること、
    を特徴とする燃料噴射制御装置。
  8. 請求項7に記載の燃料噴射制御装置において、
    前記燃料圧信号に基づき、前記燃料噴射弁が燃料の噴射を開始したことを検知して、そのことを示す噴射開始信号を出力する噴射開始検知回路と、
    前記燃料圧信号に基づき、前記燃料噴射弁の開弁が完了したことを検知して、そのことを示す開弁完了信号を出力する開弁完了検知回路とを備え、
    前記演算手段は、
    前記噴射開始信号が出力された時刻と、前記開弁完了信号が出力された時刻とを、それぞれ記憶すると共に、前記開弁完了信号が出力されたタイミングにて、前記積分回路による前記差分信号の積分値をA/D変換すること、
    を特徴とする燃料噴射制御装置。
  9. 請求項7又は請求項8に記載の燃料噴射制御装置において、
    前記燃料圧信号に基づき、前記燃料噴射弁が閉弁し始めたことを検知して、そのことを示す閉弁開始信号を出力する閉弁開始検知回路と、
    前記燃料圧信号に基づき、前記燃料噴射弁が燃料の噴射を終了したことを検知して、そのことを示す噴射終了信号を出力する噴射終了検知回路とを備え、
    前記演算手段は、
    前記閉弁開始信号が出力された時刻と、前記噴射終了信号が出力された時刻とを、それぞれ記憶すると共に、前記閉弁開始信号が出力されたタイミングにて、前記積分回路による前記差分信号の積分値をA/D変換すること、
    を特徴とする燃料噴射制御装置。
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