以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
《発明の実施形態1》
本発明の実施形態1について説明する。本実施形態は、冷凍装置によって構成された空調機(10)である。
〈空調機の構成〉
図2に、本発明の実施形態1に係る空調機(10)の冷媒回路図を示す。空調機(10)は、一台の室外ユニット(11)と、二台の室内ユニット(13)とを備えている。なお、ここで示す室内ユニット(13)の台数は、単なる例示である。
室外ユニット(11)には、室外回路(30)と室外ファン(12)が収容されている。各室内ユニット(13)には、室内回路(40)と室内ファン(14)が収容されている。一つの室外回路(30)と二つの室内回路(40)は、液側連絡配管(21)とガス側連絡配管(22)によって互いに接続されており、冷媒回路(20)を構成している。冷媒回路(20)には、二酸化炭素(CO2)が冷媒として充填されている。
室外回路(30)には、圧縮機(31)と、四方切換弁(32)と、室外熱交換器(33)と、室外膨張弁(34)と、液側閉鎖弁(35)と、ガス側閉鎖弁(36)とが接続されている。圧縮機(31)は、その吐出側が四方切換弁(32)の第1のポートに接続され、その吸入側が四方切換弁(32)の第2のポートに接続されている。室外熱交換器(33)は、その一端が四方切換弁(32)の第3のポートに接続され、その他端が室外膨張弁(34)を介して液側閉鎖弁(35)に接続されている。四方切換弁(32)の第4のポートは、ガス側閉鎖弁(36)に接続されている。
圧縮機(31)は、全密閉型に構成されている。室外熱交換器(33)は、室外ファン(12)によって供給された室外空気と冷媒を熱交換させるためのフィン・アンド・チューブ熱交換器である。四方切換弁(32)は、第1のポートと第3のポートが連通し且つ第2のポートと第4のポートが連通する第1状態(図1に実線で示す状態)と、第1のポートと第4のポートが連通し且つ第2のポートと第3のポートが連通する第2状態(図1に破線で示す状態)とに切り換わる。
各室内回路(40)には、室内熱交換器(41)と、ブリッジ回路(25)と、電磁弁(42)と、タービン発電機(50)と、逆止弁(45)とが接続されている。
ブリッジ回路(25)には、四つの逆止弁(26〜29)が設けられている。このブリッジ回路(25)では、第1逆止弁(26)の流入側と第2逆止弁(27)の流出側が、第2逆止弁(27)の流入側と第3逆止弁(28)の流入側が、第3逆止弁(28)の流出側と第4逆止弁(29)の流入側が、第4逆止弁(29)の流出側と第1逆止弁(26)の流出側が、それぞれ互いに接続されている。
室内熱交換器(41)は、その一端が室内回路(40)のガス側端(44)に接続され、その他端がブリッジ回路(25)における第3逆止弁(28)と第4逆止弁(29)の間に接続されている。タービン発電機(50)は、その導入管(54)が電磁弁(42)を介してブリッジ回路(25)における第4逆止弁(29)と第1逆止弁(26)の間に接続され、その導出管(57)が逆止弁(45)を介してブリッジ回路(25)における第2逆止弁(27)と第3逆止弁(28)の間に接続されている。ブリッジ回路(25)における第1逆止弁(26)と第2逆止弁(27)の間は、室内回路(40)の液側端(43)に接続されている。
室内熱交換器(41)は、室内ファン(14)によって供給された室内空気と冷媒を熱交換させるためのフィン・アンド・チューブ熱交換器である。タービン発電機(50)は、室内回路(40)を流れる冷媒が持つエネルギを電力に変換する。タービン発電機(50)の詳細は後述する。
冷媒回路(20)において、室外回路(30)の液側閉鎖弁(35)は、液側連絡配管(21)を介して各室内回路(40)の液側端(43)に接続されている。また、室外回路(30)のガス側閉鎖弁(36)は、ガス側連絡配管(22)を介して各室内回路(40)のガス側端(44)に接続されている。つまり、この冷媒回路(20)では、二つの室内回路(40)が互いに並列に接続されている。
前記電磁弁(42)は、冷凍サイクルの運転時には、全開状態となって冷媒を流通させる一方、冷凍サイクルの停止時には、全閉状態となって冷媒の流通を遮断し、前記導入管(54)から前記ケーシング(51)への冷媒の流入を遮断する。
前記逆止弁(45)は、冷媒を前記タービン発電機(50)から排出する方向にのみ流通させ、該タービン発電機(50)へ流入する方向へは冷媒を流通させない。
〈タービン発電機の構成〉
図1に、タービン発電機の縦断面図を示す。タービン発電機(50)は、縦長の円筒形に形成された密閉容器状のケーシング(51)を備えている。ケーシング(51)の内部には、タービン羽根車(60)と、ノズル(55)と、発電機構(65)と、駆動シャフト(68)とが収容されている。駆動シャフト(68)は、その軸方向が上下方向となる姿勢で、ケーシング(51)と概ね同軸に配置されている。駆動シャフト(68)には、タービン羽根車(60)と発電機構(65)のロータ(66)とが取り付けられている。つまり、駆動シャフト(68)は、タービン羽根車(60)とロータ(66)を連結している。この駆動シャフト(68)において、タービン羽根車(60)は駆動シャフト(68)の下端付近に配置され、ロータ(66)はタービン羽根車(60)よりも上方に配置されている。発電機構(65)のステータ(67)は、ケーシング(51)に固定されており、ロータ(66)の周囲を囲むように配置されている。
タービン羽根車(60)は、水力発電等に利用されるものより極めて小さいものである。具体的には、タービン羽根車(60)は、比較的厚肉の円盤状に形成されている。また、タービン羽根車(60)は、その外周部に形成された複数の羽根部(61)を備えている。このタービン羽根車(60)には、駆動シャフト(68)が互いの軸心(X)を一致させた状態で回転不能に取り付けられている。つまり、タービン羽根車(60)が回転すると、駆動シャフト(68)も同様に回転する。
図3,4に示すように、タービン羽根車(60)の外周部には、複数(本実施形態では12個)の羽根部(61,61,…)が形成されている。各羽根部(61)は、タービン羽根車(60)の外周部から径方向の外側へ突出している。タービン羽根車(60)において、12個の羽根部(61,61,…)は、タービン羽根車(60)の周方向へ等角度間隔で配置されている。各羽根部(61)において、タービン羽根車(60)の回転方向の前方に位置する側面(62)は、タービン羽根車(60)の回転軸と概ね平行な平面となっている。また、各羽根部(61)において、タービン羽根車(60)の回転方向の後方に位置する側面(63)は、タービン羽根車(60)の径方向から見てタービン羽根車(60)の一端側から他端側へJ字状に延びる湾曲面となっている。この湾曲面となった羽根部(61)の側面(63)は、ノズル(55)から噴射された冷媒が衝突する衝突面(63)となっている。
また、タービン羽根車(60)の外周部には、隣接する羽根部(61,61)を、タービン羽根車(60)の径方向一端側(図3における右側、図4における上側)で互い繋ぐ壁部(64)が形成されている。図4に示すように、ノズル(55)の先端は、タービン羽根車(60)の厚さ方向の中央よりも壁部(64)側にオフセットした位置に設けられている。そして、このタービン羽根車(60)は、羽根部(61)の衝突面(63)に向かって吹き付けられた冷媒を、壁部(64)とは逆側の径方向他端側(図3における左側、図4における下側)に向かって排出するように構成されている。
本実施形態のタービン発電機(50)において、タービン羽根車(60)は、その壁部(64)が後述する第1転がり軸受(81)側を向く姿勢で配置されている。つまり、このタービン発電機(50)において、ノズル(55)からタービン羽根車(60)に噴きつけられた冷媒は、第1転がり軸受(81)とは逆側の下方へ向かって排出される。
ノズル(55)は、冷媒を流速を高めるためのものであって、内径が入口から喉部(55a)に向かって徐々に小さくなる一方、喉部(55a)から出口に向かって徐々に大きくなる、いわゆるラバルノズルである。尚、ノズル(55)はラバルノズルに限られるものではなく、任意のノズルを採用することができる。
これらタービン羽根車(60)及びノズル(55)は、衝動型タービンの一種であるペルトンタービンを構成している。
ケーシング(51)の内部には、二枚の軸受保持板(80a,80b)が設けられている。各軸受保持板(80a,80b)は、その外径がケーシング(51)の内径と実質的に等しい円盤状に形成され、ケーシング(51)の軸方向と概ね直交する姿勢でケーシング(51)に固定されている。これら二つの軸受保持板(80a,80b)は、その一方がタービン羽根車(60)と発電機構(65)の間に配置され、他方が発電機構(65)よりも上方に配置されている。各軸受保持板(80a,80b)には、それぞれの中央部に転がり軸受(81,82)が取り付けられている。下側の第1軸受保持板(80a)に設けられた第1転がり軸受(81)には、駆動シャフト(68)のうちタービン羽根車(60)とロータ(66)の間の部分が挿通され、この部分を第1転がり軸受(81)が回転自在に支持している。上側の第2軸受保持板(80b)に設けられた第2転がり軸受(82)には、駆動シャフト(68)のうちロータ(66)よりも上側の部分が挿通され、この部分を第2転がり軸受(82)が回転自在に支持している。
第1軸受保持板(80a)は、仕切部材を構成している。ケーシング(51)の内部空間は、第1軸受保持板(80a)によって上下に仕切られている。ケーシング(51)の内部空間では、第1軸受保持板(80a)よりも下側の空間が下部空間(52)を構成し、第1軸受保持板(80a)よりも上側の空間が上部空間(53)を構成している。上述したように、第1軸受保持板(80a)は、タービン羽根車(60)とロータ(66)の間に配置されている。従って、ケーシング(51)内において、タービン羽根車(60)は下部空間(52)に収容され、発電機構(65)は上部空間(53)に収容されている。また、タービン羽根車(60)とロータ(66)を連結する駆動シャフト(68)は、第1軸受保持板(80a)を貫通している。
ケーシング(51)には、導入管(54)と導出管(57)が設けられている。導入管(54)と導出管(57)のそれぞれは、ケーシング(51)の側面を貫通している。
導入管(54)のケーシング(51)への開口位置は、ケーシング(51)の上下方向においてタービン羽根車(60)と概ね同じ高さとなっている。
導入管(54)は、ケーシング(51)の外表面に取り付けられており、その内部に内部流路(70)が形成されている。この内部流路(70)は、屈曲部(73)で屈曲している。詳しくは、内部流路(70)は、鉛直方向に延びて上流端が上方に開口する上流側流路(71)と、上流側流路(71)の下流端と連続し且つ該上流側流路(71)に対して屈曲して水平方向に延びて、下流端がケーシング(51)に開口する下流側流路(72)とで構成され、上流側流路(71)と下流側流路(72)との接続部が屈曲部(73)となっている。また、この屈曲部(73)には、下流側流路(72)をその長手方向へ下流側とは反対側に延長した延長部(74)が設けられている。そして、延長部(74)の端部には、下流側流路(72)の長手方向であってケーシング(51)とは反対側に開口する開口部(75)が設けられている。
そして、上流側流路(71)の上流端には、ブリッジ回路(25)における第4逆止弁(29)と第1逆止弁(26)の間から延びる冷媒配管が電磁弁(42)を介して接続されている。この電磁弁(42)が流入遮断機構を構成する。一方、下流側流路(72)の下流端には、ノズル(55)が設けられている。また、下流側流路(72)の開口部(75)には、後述するニードル弁(76)が取り付けられている。ノズル(55)の先端はタービン羽根車(60)に形成された羽根部(61)の近傍に開口しており、ノズル(55)の先端から噴出した冷媒がタービン羽根車(60)の羽根部(61)に噴きつけられる。導入管(54)とノズル(55)は、下部空間(52)に開口する導入通路(56)を形成している。
導出管(57)は、ケーシング(51)の底部付近に設けられている。導出管(57)は、下部空間(52)に開口する導出通路(58)を形成している。導出管(57)の下流端には、ブリッジ回路(25)における第2逆止弁(27)と第3逆止弁(28)の間から延びる冷媒配管が逆止弁(45)を介して接続されている。この逆止弁(45)が逆流遮断機構を構成する。
このように、ケーシング(51)内の下部空間(52)では、その上部に配置されたタービン羽根車(60)と概ね同じ高さに導入通路(56)の終端(即ち、ノズル(55)の先端)が開口し、その底部付近に導出通路(58)の始端が開口している。従って、このケーシング(51)の内部空間では、導出通路(58)の開口位置が導入通路(56)の開口位置よりも下方となっている。
ニードル弁(76)は、棒状のニードル(77)と、該ニードル(77)の先端に設けられた弁体(78)と、ニードル(77)の基端に設けられ、該ニードル(77)を進退自在に駆動するアクチュエータ(79)とを備えている。
弁体(78)の先端部にはテーパ面が形成されていて、先端に向かって尖鋭になっている。この弁体(78)のテーパ面の角度は、ノズル(55)の入口から喉部(55a)にかけてのテーパ面の角度と同じか、それ未満となっている。
アクチュエータ(79)は、図示を省略するが、ソレノイドとロータとを有したソレノイド型のアクチュエータであって、ニードル(77)の基端部が接続されている。このアクチュエータ(79)は、ソレノイドを作動させることによってニードル(77)を進退させることができる。
このニードル弁(76)は、ニードル(77)が導入管(54)の開口部(75)から下流側流路(72)内に挿入されて、アクチュエータ(79)が開口部(75)において導入管(54)に取り付けられている。こうすることで、ニードル弁(76)のニードル(77)は、下流側流路(72)内を該下流側流路(72)の長手方向に延び、弁体(78)がノズル(55)の喉部(55a)に位置する。
ニードル弁(76)は、アクチュエータ(79)を作動させてニードル(77)を駆動することによって、弁体(78)を下流側流路(72)内でその長手方向に進退させる。弁体(78)が最も前進したときには、該弁体(78)は喉部(55a)に近接し、ノズル(55)を略全閉状態にする。尚、この弁体(78)が最も前進したときには、喉部(55a)を完全に遮断するわけではなく、喉部(55a)と弁体(78)との間に僅かな隙間が設けられており、微量な冷媒が喉部(55a)を通過し続けている。一方、弁体(78)が最も後退したときには、該弁体(78)はノズル(55)から引き出された位置に位置し、該ノズル(55)を流通する冷媒に影響を与えない。こうして、ニードル弁(76)は、ノズル(55)を通過する冷媒の流量を調節する。
本実施形態のタービン発電機(50)では、転がり軸受(81,82)として、シールド型のボールベアリングが用いられている。図5(A)に示すように、シールド型のボールベアリングである転がり軸受(81,82)では、外輪(83)と内輪(84)の間に球状の転動体(85)が設けられると共に、転動体(85)の両側を覆うように金属製のシールド板(86)が設けられている。シールド板(86)は、リング状に形成されており、外輪(83)と内輪(84)の間を塞いでいる。このシールド板(86)は、その外周縁部が外輪(83)に固定され、その内周縁部が内輪(84)と微小な間隔をおいて対向している。また、外輪(83)と内輪(84)と一対のシールド板(86)とで囲まれた空間には、潤滑用のグリス(88)が封入されている。
なお、本実施形態のタービン発電機(50)では、図5(B)(C)に示すようなシール型のボールベアリングが転がり軸受(81,82)として用いられていてもよい。シール型のボールベアリングでは、シールド型のボールベアリングにおけるシールド板(86)に代えて、リング状の金属板をゴムで覆うことによって形成されたシール板(87)が設けられている。このシール板(87)は、シールド板(86)と同様に、その外周縁部が外輪(83)に固定されている。一方、シール板(87)の内周縁部は、図5(B)に示すものでは内輪(84)と微小な間隔をおいて対向し、図5(C)に示すものでは内輪(84)と接触している。
−運転動作−
本実施形態の空調機(10)は、冷房運転と暖房運転を選択的に行う。冷房運転中や暖房運転中の冷媒回路(20)では、高圧が冷媒の臨界圧力よりも高い値に設定された冷凍サイクル(いわゆる超臨界サイクル)が行われる。
冷房運転中における空調機(10)の動作を説明する。冷房運転中には、四方切換弁(32)が第1状態(図1に実線で示す状態)に設定される。冷媒回路(20)では、室外熱交換器(33)がガスクーラとして動作し、室内熱交換器(41)が蒸発器として動作する。
圧縮機(31)から吐出された冷媒は、四方切換弁(32)を通って室外熱交換器(33)へ流入し、室外空気へ放熱する。室外熱交換器(33)から流出した冷媒は、液側連絡配管(21)を通って各室内回路(40)へ分配される。各室内回路(40)において、液側連絡配管(21)から流入した冷媒は、ブリッジ回路(25)の第1逆止弁(26)と電磁弁(42)とタービン発電機(50)を順に通過する。電磁弁(42)は、冷凍サイクルが行われている間は、開状態となっている。タービン発電機(50)を通過する間に減圧された冷媒は、逆止弁(45)を通過し、さらにブリッジ回路(25)の第3逆止弁(28)を通過後に室内熱交換器(41)へ流入し、室内空気から吸熱して蒸発する。各室内ユニット(13)は、室内熱交換器(41)において冷却された室内空気を室内へ供給する。室内熱交換器(41)から流出した冷媒は、ガス側連絡配管(22)を通って室外回路(30)へ流入し、四方切換弁(32)を通過後に圧縮機(31)へ吸入される。圧縮機(31)へ吸入された冷媒は、その臨界圧力よりも高い圧力にまで圧縮され、その後に圧縮機(31)から吐出される。
暖房運転中における空調機(10)の動作を説明する。暖房運転中には、四方切換弁(32)が第2状態(図1に破線で示す状態)に設定される。冷媒回路(20)では、室内熱交換器(41)がガスクーラとして動作し、室外熱交換器(33)が蒸発器として動作する。
圧縮機(31)から吐出された冷媒は、四方切換弁(32)を通過後にガス側連絡配管(22)へ流入し、ガス側連絡配管(22)を通って各室内回路(40)へ分配される。各室内回路(40)において、ガス側連絡配管(22)から流入した冷媒は、室内熱交換器(41)へ流入し、室内空気へ放熱する。各室内ユニット(13)は、室内熱交換器(41)において加熱された室内空気を室内へ供給する。室内熱交換器(41)から流出した冷媒は、ブリッジ回路(25)の第4逆止弁(29)と電磁弁(42)とタービン発電機(50)を順に通過する。電磁弁(42)は、前述の如く、冷凍サイクルが行われている間は、開状態となっている。タービン発電機(50)を通過する間に減圧された冷媒は、逆止弁(45)を通過し、さらにブリッジ回路(25)の第2逆止弁(27)を通過後にガス側連絡配管(22)を通って室外回路(30)へ流入する。室外回路(30)へ流入した冷媒は、室外膨張弁(34)を通過する際に若干減圧された後に室外熱交換器(33)へ流入し、室外空気から吸熱して蒸発する。室外熱交換器(33)から流出した冷媒は、四方切換弁(32)を通過後に圧縮機(31)へ吸入される。圧縮機(31)へ吸入された冷媒は、その臨界圧力よりも高い圧力にまで圧縮され、その後に圧縮機(31)から吐出される。
タービン発電機(50)の動作について説明する。タービン発電機(50)の導入管(54)には、電磁弁(42)を通過した冷媒が流入する。導入管(54)へ流入した冷媒は、ノズル(55)を通過する間にその流速が上昇すると同時にその圧力が低下する。ノズル(55)において増速された冷媒は、ノズル(55)の先端から噴出されてタービン羽根車(60)の衝突面(63)に噴きつけられる。衝突面(63)に噴きつけられた冷媒は、湾曲した衝突面(63)に沿って流れ、タービン羽根車(60)の下方へ向かって流れ落ちる。タービン羽根車(60)を通過して下部空間(52)の底部へ流れ落ちた冷媒は、導出管(57)を通ってケーシング(51)の外部へ流出してゆく。
タービン発電機(50)では、ノズル(55)から噴出された冷媒をタービン羽根車(60)の羽根部(61,61,…)に噴きつけることによって、タービン羽根車(60)が回転駆動される。タービン羽根車(60)が回転すると、駆動シャフト(68)を介してタービン羽根車(60)に連結されたロータ(66)が回転する。ロータ(66)が回転すると、発電機構(65)において電力が発生する。このように、タービン発電機(50)では、導入管(54)へ流入した冷媒の持つエネルギの一部が電力に変換される。タービン発電機(50)において発生した電力は、空調機(10)の構成機器(例えば、室内ファン(14)、室外ファン(12)、圧縮機(31)など)を駆動するために利用される。
タービン発電機(50)のケーシング(51)内では、導入管(54)とノズル(55)によって形成された導入通路(56)と、導出管(57)によって形成された導出通路(58)の両方が、第1転がり軸受(81)よりも下側の位置に開口している。このため、ケーシング(51)内に流入した冷媒の殆どは、第1転がり軸受(81)よりも下側の下部空間(52)だけを通過することとなる。
下部空間(52)内では冷媒が激しく流動しているため、微細な液滴状の冷媒が第1転がり軸受(81)に到達することも有り得る。ところが、本実施形態のタービン発電機(50)では、シールド型又はシール型のボールベアリングが転がり軸受(81,82)として用いられている。従って、仮に液滴状の冷媒が第1転がり軸受(81)に到達しても、第1転がり軸受(81)の内部への冷媒の侵入をシールド板(86)やシール板(87)が阻止するため、第1転がり軸受(81)に潤滑用のグリス(88)が長期間に亘って確実に保持される。
そして、冷凍サイクルの停止時には、電磁弁(42)が全閉状態とされる。その結果、タービン発電機(50)のケーシング(51)内への上流側からの冷媒の流入が遮断される。すなわち、冷房運転時には、室外熱交換器(33)がタービン発電機(50)の上流側の熱交換器となる。この室外熱交換器(33)にはガス冷媒が溜まっているが、冷凍サイクルが停止すると、該室外熱交換器(33)内のガス冷媒が凝縮する場合もある。凝縮した液冷媒は、重力の作用により下方に流れていき、室外熱交換器(33)とタービン発電機(50)との高さ関係によっては、室外熱交換器(33)で凝縮した液冷媒がタービン発電機(50)内へ流入する虞がある。また、暖房運転時には、室内熱交換器(41)がタービン発電機(50)の上流側の熱交換器となる。この室内熱交換器(41)にはガス冷媒が溜まっているが、冷房運転時の室外熱交換器(33)と同様に、冷凍サイクルが停止すると、ガス冷媒が凝縮して液冷媒となり、室内熱交換器(41)とタービン発電機(50)との高さ関係によっては、室内熱交換器(41)で凝縮した液冷媒がタービン発電機(50)内へ流入する虞がある。それに対して本実施形態では、タービン発電機(50)の入口側(詳しくは、導入管(54))に電磁弁(42)を設けて、冷凍サイクル停止時には該電磁弁(42)を全閉状態とすることによって、冷凍サイクル停止時に、タービン発電機(50)のケーシング(51)内に上流側から液冷媒が流入することを防止している。また、タービン発電機(50)の上流側の熱交換器だけでなく、タービン発電機(50)の上流側に接続された冷媒配管内の冷媒も、冷凍サイクル停止時に凝縮する可能性がある。しかし、前記電磁弁(42)を設けることによって、該冷媒配管内で凝縮した冷媒も、ケーシング(51)内への流入が防止される。さらに、前記電磁弁(42)を設けることによって、冷凍サイクル停止後にケーシング(51)内にガス冷媒が流入されることも防止される。そのため、ケーシング(51)内にガス冷媒として流入した冷媒が該ケーシング(51)で凝縮して、ケーシング(51)内が液冷媒で満たされることが防止される。
一方、該ケーシング(51)の下流側には逆止弁(45)が設けられており、ケーシング(51)内への下流側からの冷媒の逆流が遮断されている。すなわち、冷房運転時には、室内熱交換器(41)がタービン発電機(50)の下流側の熱交換器となる。この室内熱交換器(41)には液冷媒が溜まっている。液冷媒は、重力の作用により下方に流れていき、室内熱交換器(41)とタービン発電機(50)との高さ関係によっては、室内熱交換器(41)の液冷媒がタービン発電機(50)内へ流入する虞がある。また、暖房運転時には、室外熱交換器(33)がタービン発電機(50)の下流側の熱交換器となる。この室外熱交換器(33)には液冷媒が溜まっており、冷房運転時の室内熱交換器(41)と同様に、冷凍サイクルが停止すると、室外熱交換器(33)とタービン発電機(50)との高さ関係によっては、室外熱交換器(33)の液冷媒がタービン発電機(50)内へ流入する虞がある。それに対して、本実施形態では、タービン発電機(50)の出口側(詳しくは、導出管(57))に逆止弁(45)を設けることによって、冷凍サイクル停止時に、タービン発電機(50)のケーシング(51)内に下流側から液冷媒が逆流することを防止している。また、タービン発電機(50)の下流側の熱交換器だけでなく、タービン発電機(50)の下流側に接続された冷媒配管内の液冷媒も、冷凍サイクル停止時にタービン発電機(50)側へ流れてくる可能性がある。しかし、前記逆止弁(45)を設けることによって、該冷媒配管内の液冷媒も、ケーシング(51)内への逆流が防止される。さらに、前記逆止弁(45)を設けることによって、冷凍サイクル停止後にケーシング(51)内へガス冷媒が逆流することも防止される。そのため、ケーシング(51)内にガス冷媒として逆流した冷媒が該ケーシング(51)で凝縮して、ケーシング(51)内が液冷媒で満たされることが防止される。
−実施形態1の効果−
本実施形態のタービン発電機(50)では、ケーシング(51)の入口側に電磁弁(42)を設け且つケーシング(51)の出口側に逆止弁(45)を設け、冷凍サイクルの停止時には該電磁弁(42)を全閉状態とすることによって、冷凍サイクルの停止時に、ケーシング(51)内に液冷媒及びガス冷媒が流入及び逆流することを防止することができ、ケーシング(51)内に液冷媒が大量に溜まることを防止することができる。その結果、転がり軸受(81,82)が液冷媒に浸されることを防止することができるため、転がり軸受(81,82)のグリス(88)が冷媒に溶け込んで転がり軸受(81,82)から流れ出すといった事態を回避でき、転がり軸受(81,82)の焼き付き等のトラブルを未然に防いでタービン発電機(50)の信頼性を向上させることができる。
このとき、タービン発電機(50)の出口側に設ける弁を逆止弁(45)とすることによって、外気の高温時等にケーシング(51)で冷媒が蒸発して高圧となったときでも、高圧となった冷媒をタービン発電機(50)の出口側に流出させることができ。ケーシング(51)内が異常な高圧となることを防止することができる。
また、タービン発電機(50)の入口側及び出口側の何れか一方にだけ遮断機構(即ち、電磁弁(42)又は逆止弁(45))を設ける構成の場合、後述する実施形態のように、タービン発電機(50)の上流側又は下流側の熱交換器との高さ位置を考慮する必要がある。それに対して、タービン発電機(50)の入口側と出口側の両方に遮断機構を設けることによって、タービン発電機(50)の上流側及び下流側の熱交換器との高さ位置を考慮することなく、タービン発電機(50)を自由に配置することができる。
また、転がり軸受(81,82)がケーシング(51)内における導入通路(56)及び導出通路(58)の開口位置よりも上方に設置されている。また、このタービン発電機(50)において、タービン羽根車(60)は、ノズル(55)から噴きつけられた冷媒を転がり軸受(81,82)とは逆側の下方へ向けて排出するように構成されている。従って、本実施形態によれば、タービン発電機(50)のケーシング(51)内において転がり軸受(81,82)に到達する液冷媒の量を大幅に削減することができる。
さらに、本実施形態のタービン発電機(50)では、シールド型又はシール型のボールベアリングが転がり軸受(81,82)として用いられている。このため、仮に液滴状の冷媒が第1転がり軸受(81)に到達しても、液滴状の冷媒の殆どはシールド板(86)やシール板(87)によって遮られて第1転がり軸受(81)の内部への侵入を防止することができる。
また、本実施形態のタービン発電機(50)では、ケーシング(51)の内部空間において導出通路(58)が導入通路(56)よりも下方に開口している。そして、ケーシング(51)の内部空間において、冷媒は、上方に開口する導入通路(56)から下方に開口する導出通路(58)へ向かってスムーズに流れる。このため、ケーシング(51)の下部空間(52)から冷媒をスムーズに流出させてケーシング(51)に残留する液冷媒の量を削減することができ、転がり軸受(81,82)に液冷媒が到達する危険性を低くすることができる。従って、本実施形態によれば転がり軸受(81,82)からのグリス(88)の流出を、一層確実に抑えることができる。
尚、前記実施形態では、ニードル弁(76)は、弁体(78)が最も前進したときに、ノズル(55)の喉部(55a)を完全に全閉にするものではなく、微量の冷媒の流通を可能とするように構成されていたが、弁体(78)が最も前進したときに、ノズル(55)の喉部(55a)を完全に全閉状態とする構成であってもよい。かかるニードル弁を採用する場合には、前記電磁弁(42)を設ける必要がなく、該ニードル弁で流入遮断機構を構成することができる。
また、ニードル弁(76)の代わりに、導入管(54)に開度を調節可能な流量調節弁を設けてもよい。さらに、流量調節弁が開度を全閉とすることが可能な構成の場合には、電磁弁を省略して、該流量調節弁を流入遮断機構として機能させてもよい。
また、タービン発電機(50)の導出管(57)と第2及び第3逆止弁(27,28)との間の配管長が短い場合には、前記逆止弁(45)を省略して、該第2及び第3逆止弁(27,28)を逆流遮断機構として機能させてもよい。
《発明の実施形態2》
次に、本発明の実施形態2に係る空調機(210)について説明する。
実施形態2に係るタービン発電機(250)は、出口側に逆止弁等の遮断機構が設けられておらず、入口側だけに遮断機構が設けられている点で、実施形態1に係るタービン発電機(50)と異なる。また、実施形態2に係る空調機(210)は、タービン発電機(250)がその下流側となる熱交換器よりも高い位置に配置される点で、そのような限定のない実施形態1に係る空調機(10)と異なる。
以下では、実施形態1と同様の構成については、同様の符号を付して説明を省略し、異なる構成を中心に説明する。
詳しくは、タービン発電機(250)は、図6に示すように、導出管(57)に逆止弁が設けられていない。一方、タービン発電機(250)は、導入管(54)に電磁弁(42)が設けられている。その他の構成は、実施形態1に係るタービン発電機(50)と同様である。
空調機(210)の冷媒回路は、図7に示すように、実施形態1に係る空調機(10)における逆止弁(45)が設けられていない点以外は、空調機(10)の冷媒回路と同様である。
ここで、タービン発電機(250)の配置について説明する。図8は、タービン発電機と熱交換器との高さ関係を示す配置模式図である。
タービン発電機(250)は、ケーシング(51)と導出管(57)との接続部、即ち、導出通路(58)のケーシング(51)への開口の位置が室内熱交換器(41)の下端よりも上方且つ室外熱交換器(33)の下端よりも上方になるように配置される。好ましくは、タービン発電機(250)は、その導出通路(58)のケーシング(51)への開口の位置が室内熱交換器(41)の高さ方向の中央(図中の一点鎖線参照)及び室外熱交換器(33)の高さ方向の中央(図中の一点鎖線参照)よりも上方となるように配置される。
ここで、空調機(210)の運転中には、タービン発電機(250)の下流側となる熱交換器(冷房運転であれば室内熱交換器(41)であり、暖房運転であれば室外熱交換器(33)である。)に比較的多量の液冷媒が存在している。そして、空調機(210)の冷凍サイクルが停止すると、下流側の熱交換器に存在する液冷媒がタービン発電機(250)のケーシング(51)内へ逆流する虞がある。特に、タービン発電機(250)の導出通路(58)のケーシング(51)への開口が下流側の熱交換器の下端よりも下方に位置していると、該熱交換器に溜まった液冷媒がタービン発電機(250)へ逆流し易くなる。そして、タービン発電機(250)のケーシング(51)内へ流入する液冷媒の量が多くなると、転がり軸受(81,82)が液冷媒に浸かってしまい、転がり軸受(81,82)から潤滑用のグリス(88)が流れ出してしまう虞がある。
それに対し、タービン発電機(250)の導出管(57)との接続部は、タービン発電機(250)の下流側となる熱交換器の下端よりも上方に位置している。かかる場合は、タービン発電機(250)の導出通路(58)のケーシング(51)への開口が該熱交換器の下端よりも下方に位置している場合に比べて、空調機(210)の停止中に該熱交換器からタービン発電機(250)へ液冷媒が逆流し難くなる。また、タービン発電機(250)の導出通路(58)のケーシング(51)への開口が下流側の熱交換器の高さ方向の中央よりも上方に位置している場合は、空調機(210)の停止中に該熱交換器からタービン発電機(250)へ液冷媒が逆流する可能性が一層低くなる。
本実施形態に係る空調機(210)においては、四方切換弁(32)で冷媒の流通方向を切り替えることによって、冷房運転と暖房運転とが切り替わるため、タービン発電機(250)の下流側となる熱交換器も切り替わる。詳しくは、冷房運転時には室内熱交換器(41)が、暖房運転時には室外熱交換器(33)がタービン発電機(250)の下流側の熱交換器となる。つまり、室内熱交換器(41)及び室外熱交換器(33)がタービン発電機(250)の下流側の熱交換器となり得る。そこで、本実施形態では、タービン発電機(250)の導出通路(58)のケーシング(51)への開口を、室内及び室外熱交換器(41,33)の両方の下端部よりも、高い位置に位置させている。こうすることで、冷房運転時に冷凍サイクルが停止したときには室内熱交換器(41)から、暖房運転時に冷凍サイクルが停止したときには室外熱交換器(33)から、タービン発電機(250)へ液冷媒を逆入し難くしている。
一方、空調機(210)の運転中には、タービン発電機(250)の上流側となる熱交換器(冷房運転であれば室外熱交換器(33)であり、暖房運転であれば室内熱交換器(41)である。)に比較的多量のガス冷媒が存在している。そして、空調機(210)の冷凍サイクルが停止すると、上流側の熱交換器に存在するガス冷媒の一部は、外気温度等との関係から凝縮して液冷媒となる。この液冷媒は、重力の作用により、タービン発電機(250)のケーシング(51)内へ流入する虞がある。特に、タービン発電機(250)の導入管(54)との接続部、即ち、導入通路(56)のケーシング(51)への開口が上流側の熱交換器の下端よりも下方に位置していると、該熱交換器に溜まった液冷媒がタービン発電機(250)へ流入し易くなる。
それに対して、本実施形態では、タービン発電機(250)の導入管(54)に電磁弁(42)が設けると共に、冷凍サイクルの停止時には該電磁弁(42)を全閉とする。こうすることによって、タービン発電機(250)の上流側の熱交換器で冷媒が凝縮して液冷媒となっても、該液冷媒がタービン発電機(250)内に流入することが防止される。
したがって、タービン発電機(250)を前述した位置に設置すれば、空調機(210)冷凍サイクルの停止中に室内熱交換器(41)及び室外熱交換器(33)からタービン発電機(250)へ流入する液冷媒の量が低く抑えられ、転がり軸受(81,82)の潤滑用のグリス(88)が液冷媒に溶け込んで転がり軸受(81,82)から流出するといった事態を回避することができる。その結果、転がり軸受(81,82)の焼き付き等のトラブルを未然に防いでタービン発電機(250)の信頼性を向上させることができる。
尚、空調機(210)が四方切換弁(32)を有さず、室内熱交換器(41)が蒸発器としてだけ機能し、室外熱交換器(33)が放熱器としてだけ機能する冷房専用機又は室内熱交換器(41)が放熱器としてだけ機能し、室外熱交換器(33)が蒸発器としてだけ機能する暖房専用機である場合には、タービン発電機(250)の導出通路(58)のケーシング(51)への開口が、タービン発電機(250)の下流側に接続された熱交換器(冷房専用機であれば室内熱交換器(41)であり、暖房専用機であれば室外熱交換器(33)である。)の下端部よりも高い位置に位置するように、タービン発電機(250)を配置すればよい。
《発明の実施形態3》
次に、本発明の実施形態3に係る空調機(310)について説明する。
実施形態3に係るタービン発電機(350)は、入口側に電磁弁等の遮断機構が設けられておらず、出口側だけに遮断機構が設けられている点で、実施形態1に係るタービン発電機(50)と異なる。また、実施形態3に係る空調機(310)は、タービン発電機(350)がその下流側となる熱交換器よりも高い位置に配置される点で、そのような限定のない実施形態1に係る空調機(10)と異なる。
以下では、実施形態1と同様の構成については、同様の符号を付して説明を省略し、異なる構成を中心に説明する。
詳しくは、タービン発電機(350)は、図9に示すように、導入管(54)に電磁弁が設けられていない。一方、タービン発電機(350)は、導出管(57)に逆止弁(45)が設けられている。その他の構成は、実施形態1に係るタービン発電機(50)と同様である。
空調機(310)の冷媒回路は、図10に示すように、実施形態1に係る空調機(10)における電磁弁(42)が設けられていない点以外は、空調機(10)の冷媒回路と同様である。
ここで、タービン発電機(350)の配置について説明する。
タービン発電機(350)は、ケーシング(51)と導入管(54)との接続部、即ち、導入通路(56)のケーシング(51)への開口の位置が室内熱交換器(41)の下端よりも上方且つ室外熱交換器(33)の下端よりも上方になるように配置される。好ましくは、タービン発電機(350)は、その導入通路(56)のケーシング(51)への開口の位置が室内熱交換器(41)の高さ方向の中央及び室外熱交換器(33)の高さ方向の中央よりも上方となるように配置される(図8参照)。
ここで、空調機(310)の運転中には、タービン発電機(350)の下流側となる熱交換器(冷房運転であれば室内熱交換器(41)であり、暖房運転であれば室外熱交換器(33)である。)に比較的多量の液冷媒が存在している。そして、空調機(310)が停止すると、下流側の熱交換器に存在する液冷媒がタービン発電機(350)のケーシング(51)内へ逆流する虞がある。特に、タービン発電機(350)の導出通路(58)のケーシング(51)への開口が下流側の熱交換器の下端よりも下方に位置していると、該熱交換器に溜まった液冷媒がタービン発電機(350)へ逆流し易くなる。そして、タービン発電機(350)のケーシング(51)内へ流入する液冷媒の量が多くなると、転がり軸受(81,82)が液冷媒に浸かってしまい、転がり軸受(81,82)から潤滑用のグリス(88)が流れ出してしまう虞がある。
それに対して、本実施形態では、タービン発電機(350)の導出管(57)に逆止弁(45)が設けられている。こうすることによって、タービン発電機(350)の下流側の熱交換器の液冷媒がタービン発電機(350)内に逆流することが防止される。
一方、空調機(310)の運転中には、タービン発電機(350)の上流側となる熱交換器(冷房運転であれば室外熱交換器(33)であり、暖房運転であれば室内熱交換器(41)である。)に比較的多量のガス冷媒が存在している。そして、空調機(310)の冷凍サイクルが停止すると、上流側の熱交換器に存在するガス冷媒の一部は、外気温度等との関係から凝縮して液冷媒となる。この液冷媒は、重力の作用により、タービン発電機(350)のケーシング(51)内へ流入する虞がある。特に、タービン発電機(350)の導入通路(56)のケーシング(51)への開口が上流側の熱交換器の下端よりも下方に位置していると、該熱交換器に溜まった液冷媒がタービン発電機(250)へ流入し易くなる。
それに対し、タービン発電機(350)の導入通路(56)のケーシング(51)への開口が上流側の熱交換器の下端よりも上方に位置している場合は、タービン発電機(350)の導入通路(56)のケーシング(51)への開口が該熱交換器の下端よりも下方に位置している場合に比べて、空調機(310)の停止中に該熱交換器からタービン発電機(350)へ液冷媒が流入し難くなる。また、タービン発電機(350)の導入通路(56)のケーシング(51)への開口が上流側の熱交換器の高さ方向の中央よりも上方に位置している場合は、空調機(310)の停止中に該熱交換器からタービン発電機(350)へ液冷媒が流入する可能性が一層低くなる。
本実施形態に係る空調機(310)においては、四方切換弁(32)で冷媒の流通方向を切り替えることによって、冷房運転と暖房運転とが切り替わるため、タービン発電機(350)の上流側となる熱交換器も切り替わる。詳しくは、冷房運転時には室外熱交換器(33)が、暖房運転時には室内熱交換器(41)がタービン発電機(350)の上流側の熱交換器となる。つまり、室外熱交換器(33)及び室内熱交換器(41)がタービン発電機(250)の上流側の熱交換器となり得る。そこで、本実施形態では、タービン発電機(350)の導入通路(56)のケーシング(51)への開口を、室外及び室内熱交換器(33,41)の両方の下端部よりも、高い位置に位置させている。こうすることで、冷房運転時に冷凍サイクルが停止したときには室外熱交換器(33)から、暖房運転時に冷凍サイクルが停止したときには室内熱交換器(41)から、タービン発電機(450)へ液冷媒を流入し難くしている。
したがって、タービン発電機(350)を前述した位置に設置すれば、空調機(310)の冷凍サイクルの停止中に室内熱交換器(41)及び室外熱交換器(33)からタービン発電機(350)へ流入する液冷媒の量が低く抑えられ、転がり軸受(81,82)の潤滑用のグリス(88)が液冷媒に溶け込んで転がり軸受(81,82)から流出するといった事態を回避することができる。その結果、転がり軸受(81,82)の焼き付き等のトラブルを未然に防いでタービン発電機(350)の信頼性を向上させることができる。
尚、空調機(310)が四方切換弁(32)を有さず、室内熱交換器(41)が蒸発器としてだけ機能し、室外熱交換器(33)が放熱器としてだけ機能する冷房専用機又は室内熱交換器(41)が放熱器としてだけ機能し、室外熱交換器(33)が蒸発器としてだけ機能する暖房専用機である場合には、タービン発電機(350)の導入通路(56)のケーシング(51)への開口が、タービン発電機(350)の上流側に接続された熱交換器(冷房専用機であれば室外熱交換器(33)であり、暖房専用機であれば室内熱交換器(41)である。)の下端部よりも高い位置に位置するように、タービン発電機(350)を配置すればよい。
《発明の実施形態4》
次に、本発明の実施形態4に係る空調機(410)について説明する。
実施形態4に係るタービン発電機(450)は、入口側及び出口側に電磁弁や逆止弁等の遮断機構が設けられていない点で、実施形態1に係るタービン発電機(50)と異なる。また、実施形態4に係る空調機(410)は、タービン発電機(450)がその上流側及び下流側の熱交換器よりも高い位置に配置される点で、そのような限定のない実施形態1に係る空調機(10)と異なる。
以下では、実施形態1と同様の構成については、同様の符号を付して説明を省略し、異なる構成を中心に説明する。
詳しくは、タービン発電機(450)は、図10に示すように、導入管(54)に電磁弁が設けられておらず、導出管(57)にも逆止弁が設けられていない。その他の構成は、実施形態1に係るタービン発電機(50)と同様である。
空調機(410)の冷媒回路は、図11に示すように、実施形態1に係る空調機(10)における電磁弁(42)及び逆止弁(45)が設けられていない点以外は、空調機(10)の冷媒回路と同様である。
ここで、タービン発電機(450)の配置について説明する。
タービン発電機(450)は、実施形態2と同様に、導入通路(56)のケーシング(51)への開口及び導出通路(58)のケーシング(51)への開口の位置が室内熱交換器(41)の下端よりも上方且つ室外熱交換器(33)の下端よりも上方になるように配置される。好ましくは、タービン発電機(450)は、その導入通路(56)のケーシング(51)への開口及び導出通路(58)のケーシング(51)への開口の位置が室内熱交換器(41)の高さ方向の中央及び室外熱交換器(33)の高さ方向の中央よりも上方となるように配置される(図8参照)。
ここで、空調機(410)の運転中には、タービン発電機(450)の下流側となる熱交換器(冷房運転であれば室内熱交換器(41)であり、暖房運転であれば室外熱交換器(33)である。)に比較的多量の液冷媒が存在している。そして、空調機(410)の冷凍サイクルが停止すると、下流側の熱交換器に存在する液冷媒がタービン発電機(450)のケーシング(51)内へ逆流する虞がある。特に、タービン発電機(450)の導出通路(58)のケーシング(51)への開口が下流側の熱交換器の下端よりも下方に位置していると、該熱交換器に溜まった液冷媒がタービン発電機(450)へ逆流し易くなる。そして、タービン発電機(450)のケーシング(51)内へ流入する液冷媒の量が多くなると、転がり軸受(81,82)が液冷媒に浸かってしまい、転がり軸受(81,82)から潤滑用のグリス(88)が流れ出してしまう虞がある。
それに対し、タービン発電機(450)の導出通路(58)のケーシング(51)への開口は、下流側の熱交換器の下端よりも上方に位置している。かかる場合は、タービン発電機(450)の導出通路(58)のケーシング(51)への開口が該熱交換器の下端よりも下方に位置している場合に比べて、空調機(410)の停止中に該熱交換器からタービン発電機(450)へ液冷媒が逆流し難くなる。また、タービン発電機(450)の導出通路(58)のケーシング(51)への開口が下流側の熱交換器の高さ方向の中央よりも上方に位置している場合は、空調機(410)の停止中に該熱交換器からタービン発電機(450)へ液冷媒が逆流する可能性が一層低くなる。
本実施形態に係る空調機(410)においては、四方切換弁(32)で冷媒の流通方向を切り替えることによって、冷房運転と暖房運転とが切り替わるため、タービン発電機(450)の下流側となる熱交換器も切り替わる。詳しくは、冷房運転時には室内熱交換器(41)が、暖房運転時には室外熱交換器(33)がタービン発電機(450)の下流側の熱交換器となる。つまり、室外熱交換器(33)及び室内熱交換器(41)がタービン発電機(250)の下流側の熱交換器となり得る。そこで、本実施形態では、タービン発電機(450)の導出通路(58)のケーシング(51)への開口が、室内及び室外熱交換器(41,33)の両方の下端部よりも、高い位置に位置している。こうすることで、冷房運転時に冷凍サイクルが停止したときには室内熱交換器(41)から、暖房運転時に冷凍サイクルが停止したときには室外熱交換器(33)から、タービン発電機(450)へ液冷媒を逆入し難くしている。
一方、空調機(410)の運転中には、タービン発電機(450)の上流側となる熱交換器に比較的多量のガス冷媒が存在している。そして、空調機(410)の冷凍サイクルが停止すると、上流側の熱交換器に存在するガス冷媒の一部は、外気温度等との関係から凝縮して液冷媒となる。この液冷媒は、重力の作用により、タービン発電機(450)のケーシング(51)内へ流入する虞がある。特に、タービン発電機(450)の導入通路(56)のケーシング(51)への開口が上流側の熱交換器の下端よりも下方に位置していると、該熱交換器に溜まった液冷媒がタービン発電機(450)へ流入し易くなる。
それに対し、タービン発電機(450)の導入通路(56)のケーシング(51)への開口が上流側の熱交換器の下端よりも上方に位置している場合は、タービン発電機(450)の導入通路(56)のケーシング(51)への開口が該熱交換器の下端よりも下方に位置している場合に比べて、空調機(410)の停止中に該熱交換器からタービン発電機(450)へ液冷媒が流入し難くなる。また、タービン発電機(450)の導入通路(56)のケーシング(51)への開口が下流側の熱交換器の高さ方向の中央よりも上方に位置している場合は、空調機(410)の停止中に該熱交換器からタービン発電機(450)へ液冷媒が流入する可能性が一層低くなる。
本実施形態に係る空調機(410)においては、四方切換弁(32)で冷媒の流通方向を切り替えることによって、冷房運転と暖房運転とが切り替わるため、タービン発電機(450)の上流側となる熱交換器も切り替わる。詳しくは、冷房運転時には室外熱交換器(33)が、暖房運転時には室内熱交換器(41)がタービン発電機(450)の上流側の熱交換器となる。そこで、本実施形態では、タービン発電機(450)の導入通路(56)のケーシング(51)への開口が、室外及び室内熱交換器(33,41)の両方の下端部よりも、高い位置に位置している。こうすることで、冷房運転時に冷凍サイクルが停止したときには室外熱交換器(33)から、暖房運転時に冷凍サイクルが停止したときには室内熱交換器(41)から、タービン発電機(450)へ液冷媒を流入し難くしている。
したがって、タービン発電機(450)を前述した位置に設置すれば、空調機(410)冷凍サイクルの停止中に室内熱交換器(41)及び室外熱交換器(33)からタービン発電機(450)へ流入する液冷媒の量が低く抑えられ、転がり軸受(81,82)の潤滑用のグリス(88)が液冷媒に溶け込んで転がり軸受(81,82)から流出するといった事態を回避することができる。その結果、転がり軸受(81,82)の焼き付き等のトラブルを未然に防いでタービン発電機(450)の信頼性を向上させることができる。
尚、空調機(410)が四方切換弁(32)を有さず、室内熱交換器(41)が蒸発器としてだけ機能し、室外熱交換器(33)が放熱器としてだけ機能する冷房専用機又は室内熱交換器(41)が放熱器としてだけ機能し、室外熱交換器(33)が蒸発器としてだけ機能する暖房専用機である場合には、タービン発電機(450)の導入通路(56)のケーシング(51)への開口が、タービン発電機(450)の上流側に接続された熱交換器(冷房専用機であれば室外熱交換器(33)であり、暖房専用機であれば室内熱交換器(41)である。)の下端部よりも高い位置に位置するように、且つ導出通路(58)のケーシング(51)への開口が、タービン発電機(450)の下流側に接続された熱交換器(冷房専用機であれば室内熱交換器(41)であり、暖房専用機であれば室外熱交換器(33)である。)の下端部よりも高い位置に位置するように、タービン発電機(450)を配置すればよい。
《発明の実施形態5》
次に、本発明の実施形態5に係るタービン発電機(550)について説明する。
実施形態5に係るタービン発電機(550)は、シール部材(89)が追加されている点で、実施形態1〜4に係るタービン発電機と異なる。そこで、実施形態1と同様の構成については同様の符号を付して説明を省略し、異なる構成を中心に説明する。
図13に示すように、タービン発電機(550)は、シール部材(89)を備えている。シール部材(89)は、駆動シャフト(68)におけるタービン羽根車(60)と第1転がり軸受(81)の間に取り付けられている。シール部材(89)は、外径が次第に拡大する部分と外径が次第に縮小する部分とが交互に形成された蛇腹状の回転体であって、駆動シャフト(68)と同軸に配置されている。
本実施形態の第1軸受保持板(80a)は、第1転がり軸受(81)よりも下側の部分が、シール部材(89)の外側を囲んでいる。第1軸受保持板(80a)のうちシール部材(89)の周囲を囲む部分の内周面は、シール部材(89)の外周面と一定の間隔をおいて対面するように、内径が次第に拡大する部分と内径が次第に縮小する部分とが交互に形成された蛇腹状であって、シール部材(89)と噛合する形状となっている。そして、タービン発電機(550)では、シール部材(89)と第1軸受保持板(80a)のうちシール部材(89)の周囲を囲む部分とが、ラビリンスシールを構成している。
このように、タービン発電機(550)では、ケーシングの内部空間が、第1軸受保持板(80a)とシール部材(89)によって上下に区画されている。そして、第1軸受保持板(80a)及びシール部材(89)の上側の空間が上部空間(53)を構成し、第1軸受保持板(80a)及びシール部材(89)の下側の空間が下部空間(52)を構成している。
タービン発電機(550)では、第1軸受保持板(80a)と第1軸受保持板(80a)を貫通する駆動シャフト(68)の間が、シール部材(89)と第1軸受保持板(80a)とで構成されるラビリンスシールによってシールされている。このため、タービン発電機(550)の運転中に下部空間(52)内で冷媒が激しく流動している状態においても、下部空間(52)から上部空間(53)側への液冷媒の侵入は、シール部材(89)と第1軸受保持板(80a)とで構成されるラビリンスシールによって確実に阻止される。そして、タービン発電機(550)では、第1転がり軸受(81)の全体がシール部材(89)よりも上側に位置しているため、第1転がり軸受(81)に到達する液冷媒の量を実質的にゼロにすることができる。
したがって、かかるタービン発電機(550)によれば、転がり軸受(81,82)のグリス(88)が冷媒に溶け込んで転がり軸受(81,82)から流れ出すといった事態を一層確実に回避することが可能となり、転がり軸受(81,82)の焼き付き等のトラブルを未然に防いでタービン発電機(550)の信頼性を向上させることができる。
《その他の実施形態》
本発明は、前記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
すなわち、前記実施形態では、逆流遮断機構として逆止弁(45)を採用しているが、これに限られるものではない。例えば、電磁弁等、別のタイプの弁機構であってもよい。ただし、前述の如く、ケーシング内の昇圧対策の観点からは、逆止弁(45)を用いることが好ましい。
また、軸受として、シールド型又はシール型の転がり軸受(81,82)について説明したが、これに限られるものではない。潤滑が必要な軸受であれば、任意の軸受を採用して、本発明を適用することができる。
さらに、前記各実施形態の空調機の冷媒回路(20)は、その高圧が冷媒の臨界圧力よりも低い値に設定される一般的な冷凍サイクルを行うように構成されていてもよい。一般的な冷凍サイクルを行う冷媒回路(20)には、いわゆるフロン冷媒が冷媒として充填される場合が多い。そして、この場合の空調機では、冷房運転時には室外熱交換器(33)が凝縮器として動作し、暖房運転時には室内熱交換器(41)が凝縮器として動作する。
また、前記タービン羽根車(60)は、前記の構成に限られるものではない。例えば、タービン羽根車は、円盤状の羽根車本体の外周面から径方向に突出する複数の板状の羽根部を設けるような、単純な形状の羽根車でもよい。
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。