JP5343427B2 - 表示素子の製造方法 - Google Patents
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前記シール材と、前記シール材への前記表示材料の移動を抑制する抑制状態又は前記シール材への前記表示材料の移動を促進する促進状態の何れかに切り替え可能な第1制御手段と、が設けられた第1の基板において、前記第1制御手段を前記抑制状態にし、前記第1制御手段の内側に前記表示材料を配置する配置工程と、
前記第1制御手段を前記促進状態にし、配置された前記表示材料が前記シール材に移動することを促進する促進工程と、を有することを特徴とする表示素子の製造方法。
前記抑制状態にする場合、配置された前記表示材料に接する第1帯電電極と前記第1制御電極との間に直流電圧を印加せず、
前記促進状態にする場合、前記第1帯電電極と前記第1制御電極との間に直流電圧を印加することを特徴とする1に記載の表示素子の製造方法。
前記促進工程において、前記第2制御手段を前記促進状態にし、配置された前記表示材料が前記シール材に移動することを促進することを特徴とする2に記載の表示素子の製造方法。
前記抑制状態にする場合、配置された前記表示材料に接する第2帯電電極と前記第2制御電極との間に直流電圧を印加せず、
前記促進状態にする場合、前記第2制御電極に、前記第1帯電電極と同電位の前記第2帯電電極を基準とし、前記第1制御電極と同じ極性の直流電圧を印加することを特徴とする3に記載の表示素子の製造方法。
図1(a)は、本発明に係わるED方式の表示素子100の一例の断面構造を示す概略図である。図1(b)は、観察側の透明な下基板5側から見た様子を示す図である。図1(b)において、後述のシール材7、撥液性絶縁膜に覆われた第1制御手段である第1制御電極8、表示材料に接する第1帯電電極9以外は省略している。尚、後述する第1制御電極8及び第1帯電電極9に直流電圧を印加する際に使用する第1制御電極8及び第1帯電電極9から下基板5の縁に伸びる引き出し配線も省略している。以下に、表示素子100の構成に関して説明する。
上下基板として用いることのできる基板としては、ガラスの他、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン類、ポリカーボネート類、セルロースアセテート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンジナフタレンジカルボキシラート、ポリエチレンナフタレート類、ポリ塩化ビニル、ポリイミド、ポリビニルアセタール類、ポリスチレン等の合成プラスチックフィルムも好ましく使用できる。また、シンジオタクチック構造ポリスチレン類も好ましい。上記の基板は、透明基板(下基板)として用いることができる。更に、TFT素子を設ける透明でなくてもよい基板(上基板)としては、ステンレス等の金属製基板や、バライタ紙、及びレジンコート紙等の紙支持体ならびに上記プラスチックフィルムに反射層を設けた支持体が挙げられる。これらの支持体には、米国特許第4,141,735号のようにTg以下の熱処理を施すことで、巻き癖をつきにくくしたものを用いることができる。
電解液3が有する銀または銀を化学構造中に含む化合物とは、例えば、酸化銀、硫化銀、金属銀、銀コロイド粒子、ハロゲン化銀、銀錯体化合物、銀イオン等の化合物の総称であり、固体状態や液体への可溶化状態や気体状態等の相の状態種、中性、アニオン性、カチオン性等の荷電状態種は、特に問わない。
観察面側の電極1は、透明な電極で構成されて、ITOやIZOなど、一般的にディスプレイなどに用いられているような透明電極であれば、いずれでも使用することができる。電極2は、不透明な電極材料で構成され、Au、Ag、Cu、Pt、Pd、Fe、Ni、カーボン、Cr、Al、Moなどや、これらの積層膜あるいは合金などを用いることができる。これら電極1及び電極2の形成方法は、スパッタ法や真空蒸着法などで成膜した後、フォトリソグラフィー及びエッチング処理する方法や、金属ナノ粒子を分散したインクを塗布して成膜しフォトリソグラフィー及びエッチング処理する方法あるいはスクリーン印刷やフレキソ印刷やインクジェット印刷などでダイレクトにパターニングする方法などがある。
シール材7は電解液3が外に漏れないように封止するためのものであり、封止材とも呼ばれる。シール材7の材料としては、例えば、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、エン−チオール系樹脂、シリコーン系樹脂、変性ポリマー樹脂等の、熱硬化性、光硬化性、湿気硬化性、嫌気硬化性等の各種硬化性樹脂が挙げられる。中でも、光硬化性樹脂、エポキシ系樹脂が好ましい。
図1に示すように、電解液3がシール材に向かって移動することを抑制する抑制状態にしたり、又は、促進する促進状態にしたり何れかに切り替え可能な制御手段として、撥液性絶縁膜に覆われた第1制御電極8及び第1帯電電極9が下基板5に設けられている。第1制御電極8は、シール材7の内側に沿って設けてあり、第1帯電電極9は、更に第1制御電極8の内側に設けてある。
絶縁膜4は、電極2のエッジとなる部分を覆うように形成している。絶縁材料としては、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂などの有機樹脂材料や、SiOx、SiNx、などの無機絶縁膜など、一般的にディスプレイで用いられるような絶縁膜材料であれば、いずれでも用いることができる。好適には、膜の成膜が簡便な塗布できる材料が好ましい。感光性がある塗布材料はより好ましい。絶縁膜4の形成箇所は、表示領域内にある電極エッジを覆うように配置する。
表示素子は、表示コントラスト及び白表示反射率をより高める観点から多孔質の白色散乱層10を有することができる。多孔質白色散乱層は、電解質溶媒に実質的に溶解しない水系高分子と白色顔料との水混和物を塗布乾燥して形成することができる。
表示素子には、必要に応じて柱状構造物、スペーサーを用いることができる。
表示素子100においては、析出過電圧以上の電圧印加で黒化銀を析出させ、析出過電圧以下の電圧印加で黒化銀の析出を継続させる駆動操作を行うことが好ましい。この駆動操作を行うことにより、書き込みエネルギーの低下や、駆動回路負荷の低減や、画面としての書き込み速度を向上させることができる。一般に電気化学分野の電極反応において過電圧が存在することは公知である。例えば、過電圧については「電子移動の化学−電気化学入門」(1996年 朝倉書店刊)の121頁に詳しい解説がある。本発明の表示素子も、電極と電解液中の銀との電極反応と見なすことができるので、銀溶解析出においても過電圧が存在することは容易に理解できる。過電圧の大きさは交換電流密度が支配するので、黒化銀が生成した後に析出過電圧以下の電圧印加で黒化銀の析出を継続できるということは、黒化銀表面の方が余分な電気エネルギーが少なく容易に電子注入が行えると推定される。
図1に示す表示素子100を以下のようにして作製した。図2、図3を用いて説明する。
観察側の下基板5として、表示領域を10型、外枠の大きさを230×180mmとする厚み0.7mm無アルカリガラス基板を用意した。ガラス基板に、スパッタ法を用いて厚み100nmのITO電極を設け、その後フォトリソグラフィー及びエッチング処理にて、所定の電極1、導電部8a及び第1帯電電極9を得た。導電部8aの幅Bを40μm、第1帯電電極9の幅Dを50μm、導電部8aと第1帯電電極9との距離Cを10μmとした。この後、図示しない電極1、第1帯電電極9から下基板5の外周周辺までの引き出し配線を設けた。具体的には、電極1、第1帯電電極9からの引き出し配線が第1帯電電極9、導電部8aと交差する位置に絶縁膜としてSiO2膜をスパッタ法により重ねて設け、フォトリソグラフィー及びエッチング処理にてパターニングした。この後、パターニングしたSiO2膜の上に、電極1、第1帯電電極9それぞれと接触するようにAlの金属膜を設け、フォトリソグラフィー及びエッチング処理にてパターニングした。
・CF4ガス流量:900sccm
・パワー:1.0W/cm2
・圧力:133Pa
・処理時間:30分間
また、上記の条件に代えて、以下の条件で大気圧プラズマ処理としても同程度の効果が得られることが確認できた。
・パワー:300W
・電極−基板間距離:1mm
・CF4ガス流量:100sccm
・ヘリウムガス流量:10L(リットル)/min
・搬送速度:5mm/s
(シール材の形成工程)
上記の通り、電極1、第1制御電極8、第1帯電電極9を形成した下基板5に対し、シール剤である紫外線硬化樹脂を第1制御電極8の外側にディスペンサにより塗布し、シール材7を形成した(図2(a)参照)。シール材7から第1制御電極8の距離Aは、2mmとした。シール剤は、紫外線硬化樹脂(スリ−ボンド製30Y−296G)に、直径40μmのシリカビーズを上下基板間の間隙を制御するスペーサーとして、1質量%混ぜたものとした。
第1制御電極8の内側にディスペンサにより表示材料である電解液3を塗布(配置)した(図2(b)、(c))。塗布した電解液3は、以下とした。
ジメチルスルホキシド(DMSO)とγ−ブチロラクトン(γBr)を6:4の割合で混合した溶媒に、析出溶解材料として1.00mol/lのヨウ化銀(AgI)、および支持電解質塩として1.33mol/lの臭化リチウム(LiBr)を溶解させる。
上記の電解液3を塗布した下基板5に別途用意したTFT等を設けた上基板6を貼り合せた(図2(d)参照)。尚、上基板6は、厚み0.7mm無アルカリガラス基板を使用した。
図4に示すように、実施例1の下基板5の第1制御電極8より内側の表面に親液処理を行い親液面41とした。
・酸素ガス流量:500sccm
・パワー:1.0W/cm2、
・圧力:133Pa
また、以下の条件で大気圧プラズマ処理しても同様の結果が得られた。
・パワー:300W
・電極−基板間距離:1mm
・酸素ガス流量:80sccm
・ヘリウムガス流量:10l/min
・搬送速度:10mm/s
酸素プラズマ処理により電極1等が形成されている下基板5の全面を活性化し、親液化した。続いて、酸素プラズマ処理と同様に電極1等が形成されている下基板5の全面に対して、フッ素化合物を反応ガスとしたプラズマ処理による撥液処理を30分間行った。
・CF4ガス流量:900sccm
・パワー:1.0W/cm2
・圧力:133Pa
また、以下の処理条件で大気圧プラズマ処理しても同様の結果が得られた。
・パワー:300W
・電極−基板間距離:1mm
・CF4ガス流量:100sccm
・ヘリウムガス流量:10l/min
・搬送速度:5mm/s
上記により第1制御電極8の絶縁膜以外の箇所の親液性を保持したままで絶縁膜を撥液性に改質することができた。この理由は、有機材料中選択的にフッ素化合物分子が入り込むようになるためと考えられる。この結果、撥液性絶縁膜8bを有する第1制御電極8の内側に親液面41が得られた。
実施例1で示した第1制御電極8と第1帯電電極9と同じ構成の第2制御電極81と第2帯電電極91をTFTが形成されている上基板6にも設けた例について図5を用いて説明する。
上基板6において、TFT11(図1(a)参照)のゲート電極(図示しない)を形成する際、同時に、実施例1の下基板5の第1制御電極8及び第1帯電電極9に対向するそれぞれの位置に第2制御電極81の導電部81aと第2帯電電極91とを形成した。
上記の電解液3を塗布した下基板5に上記で用意したTFT等を設けた上基板6を貼り合せた。
実施例1における(抑制手段の形成工程)で示した、第1制御電極8、第1帯電電極9の形成及び(貼り合せ工程)において、第1制御電極8、第1帯電電極9がないため、直流電圧の印加を行わなかった以外は、実施例1と同じとして表示素子を形成した。電解液3を塗布した時、塗布された電解液3は、シール材7に向かい、部分的にシール材7に到達した。
3 電解液
4 絶縁膜
5 下基板
6 上基板
7 シール材
8 第1制御電極
81 第2制御電極
8a、81a 導電部
9 第1帯電電極
91 第2帯電電極
10 白色散乱層
11 TFT
20 ノズル
30 直流電源
31 スイッチ
41 親液面
100 表示素子
Claims (6)
- 対向面に電極パターンが形成された、第1の基板及び第2の基板の周辺をシール材でシールし、内部に流動性を有する表示材料が満たされている電気化学表示素子である表示素子の製造方法において、
前記シール材と、前記シール材への前記表示材料の移動を抑制する抑制状態又は前記シール材への前記表示材料の移動を促進する促進状態の何れかに切り替え可能な第1制御手段と、が設けられた第1の基板において、前記第1制御手段を前記抑制状態にし、前記第1制御手段の内側に前記表示材料を配置する配置工程と、
前記第1制御手段を前記促進状態にし、配置された前記表示材料が前記シール材に移動することを促進する促進工程と、を有し、
前記第1制御手段は、前記シール材に沿って設けられた撥液性絶縁膜に覆われた第1制御電極であり、
前記抑制状態にする場合、配置された前記表示材料に接する第1帯電電極と前記第1制御電極との間に直流電圧を印加せず、
前記促進状態にする場合、前記第1帯電電極と前記第1制御電極との間に直流電圧を印加し、
前記第1帯電電極は、前記第1の基板上で前記第1制御電極に沿ってその内側に設けられていることを特徴とする表示素子の製造方法。 - 前記シール材への前記表示材料の移動を抑制する抑制状態又は前記シール材への前記表示材料の移動を促進する促進状態の何れかに切り替え可能な第2制御手段が設けられた前記第2の基板を、前記配置工程で前記表示材料が配置された前記第1の基板に重ねる工程を有し、
前記促進工程において、前記第2制御手段を前記促進状態にし、配置された前記表示材料が前記シール材に移動することを促進することを特徴とする請求項1に記載の表示素子の製造方法。 - 前記第2制御手段は、撥液性絶縁膜に覆われた第2制御電極であり、
前記抑制状態にする場合、配置された前記表示材料に接する第2帯電電極と前記第2制御電極との間に直流電圧を印加せず、
前記促進状態にする場合、前記第2制御電極に、前記第1帯電電極と同電位の前記第2帯電電極を基準とし、前記第1制御電極と同じ極性の直流電圧を印加し、
前記第2帯電電極は、前記第2の基板上で前記第1帯電電極と対向する位置に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の表示素子の製造方法。 - 前記第2制御電極は、前記第2の基板上で前記第1制御電極と対向する位置に設けられていることを特徴とする請求項3に記載の表示素子の製造方法。
- 前記第1の基板における前記第1制御電極を除く表面は、親液面であることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の表示素子の製造方法。
- 前記第2の基板における前記第2制御電極を除く表面は、親液面であることを特徴とする請求項3または4に記載の表示素子の製造方法。
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