JP5343427B2 - 表示素子の製造方法 - Google Patents

表示素子の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5343427B2
JP5343427B2 JP2008177715A JP2008177715A JP5343427B2 JP 5343427 B2 JP5343427 B2 JP 5343427B2 JP 2008177715 A JP2008177715 A JP 2008177715A JP 2008177715 A JP2008177715 A JP 2008177715A JP 5343427 B2 JP5343427 B2 JP 5343427B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
electrode
substrate
display
control electrode
sealing material
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2008177715A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2010019892A (ja
Inventor
倫生 泉
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Konica Minolta Inc
Original Assignee
Konica Minolta Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Konica Minolta Inc filed Critical Konica Minolta Inc
Priority to JP2008177715A priority Critical patent/JP5343427B2/ja
Publication of JP2010019892A publication Critical patent/JP2010019892A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5343427B2 publication Critical patent/JP5343427B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Devices For Indicating Variable Information By Combining Individual Elements (AREA)
  • Electrochromic Elements, Electrophoresis, Or Variable Reflection Or Absorption Elements (AREA)

Description

本発明は、表示素子の製造方法及び表示素子に関する。
近年、パーソナルコンピューターの動作速度の向上、ネットワークインフラの普及、データストレージの大容量化と低価格化に伴い、従来、紙への印刷物で提供されたドキュメントや画像等の情報を、より簡便な電子情報として入手し、その電子情報を閲覧する機会が益々増大している。
この様な電子情報の閲覧手段として、従来の液晶ディスプレイやCRT、また近年では、有機ELディスプレイ等の発光型が主として用いられている。特に、電子情報がドキュメント情報の場合、比較的長時間に渡ってこの閲覧手段を注視する必要があり、これらの行為は、必ずしも人間に優しい手段とは言い難い。例えば、一般に発光型のディスプレイの欠点として、フリッカーで目が疲労する、持ち運びに不便、見る姿勢が制限され、静止画面に視線を合わせる必要が生じる、長時間見ると消費電力が嵩む等が知られている。
これらの欠点を補う表示手段として、外光を利用し、像保持の為に電力を消費しない(メモリー性)反射型ディスプレイが知られているが、下記の理由により十分な性能を有しているとは言い難い。
すなわち、反射型液晶等の偏光板を用いる方式は、反射率が約40%と低く白表示に難があり、また構成部材の作製に用いる製法の多くは簡便とは言い難い。また、ポリマー分散型液晶は高い駆動電圧を必要とし、また有機物同士の屈折率差を利用しているため、得られる画像のコントラストが十分でない。また、ポリマーネットワーク型液晶は駆動電圧が高いことと、メモリー性を向上させるために複雑なTFT回路が必要である等の課題を抱えている。
また、電気泳動法による表示素子も、10V以上の高い駆動電圧を必要とし、また、電気泳動性粒子凝集による画質劣化が起こりやすい。電気泳動性粒子を一定量で小分けする隔壁構造にすることで凝集を低減できるが、セル構成やプロセスが複雑になり、安定した製造が困難である。
上述の各方式の欠点を解消する表示方式として、酸化還元反応によるエレクトロクロミック材料の色変化を利用した(以下ECD)方式や金属または金属塩の溶解析出を利用するエレクトロデポジション(以下EDと略す)方式が知られている。ECD方式やED方式(この2方式を以下電気化学表示素子と略す)は、3V以下の低電圧駆動が可能で、簡便なセル構成、また、優れた表示品位(明るいペーパーライクな白と引き締まった黒)といった特長を持っている。
電気化学表示素子を作成する場合、表示材料の流動性が高いのでODF(One Drop Fill)法という製造方法がある。下基板の周囲に枠状にシール材を設け、シール材の内側に上記のODF法により表示材料を配置した後、上基板を下基板に圧着して上下基板の間に表示材料を封入して表示素子としている。表示材料は、上下基板を接着する未硬化のシール材を溶解してしまうため、表示材料のシール材への到達時刻が面内で不均一であると、シール材の溶解状態に差が生じる。すなわち、表示材料が早く到達したシール材の部分は、シール強度が低下したり、シール材の流動性が増加して下基板に上基板の圧着時に両基板にズレ(基板面内方向、ギャップ方向)が生じたりしてしまうという問題があった。
表示材料のシール材からのオーバーフローを回避するために、基板中央部には滴下量を多く、端部(シール材近傍部)では少なくするという方法が開示されている(特許文献1参照)。
特開2003−241208号公報
しかしながら、特許文献1に記載の滴下方法は、高精度の吐出量制御、吐出位置制御、基板圧着制御が要求されるため、高価な製造装置が必要となり、その結果、製造コストがアップしてしまう。また、電気化学表示素子の表示材料として使用する電解液は、特許文献1に記載されている表示材料(液晶材料)と比較して、未硬化のシール材を溶解する程度が大きい。このため、電解液を使用する表示材料のシール材への到達時刻を面内で均一にする場合、上記のそれぞれの制御は、液晶材料の場合と比較して、より高い精度が要求される。
本発明は、上記の課題を鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、高価な装置を使用することなく簡単な方法で表示材料のシール材への到達時刻を面内で均一にすることにより、両基板にズレがなくシール強度が良好な表示素子の製造方法及びこの製造方法により製造した表示素子を提供することである。
上記の課題は、以下の構成により解決される。
1. 対向面に電極パターンが形成された、第1の基板及び第2の基板の周辺をシール材でシールし、内部に流動性を有する表示材料が満たされている表示素子の製造方法において、
前記シール材と、前記シール材への前記表示材料の移動を抑制する抑制状態又は前記シール材への前記表示材料の移動を促進する促進状態の何れかに切り替え可能な第1制御手段と、が設けられた第1の基板において、前記第1制御手段を前記抑制状態にし、前記第1制御手段の内側に前記表示材料を配置する配置工程と、
前記第1制御手段を前記促進状態にし、配置された前記表示材料が前記シール材に移動することを促進する促進工程と、を有することを特徴とする表示素子の製造方法。
2. 前記第1制御手段は、前記シール材に沿って設けられた撥液性絶縁膜に覆われた第1制御電極であり、
前記抑制状態にする場合、配置された前記表示材料に接する第1帯電電極と前記第1制御電極との間に直流電圧を印加せず、
前記促進状態にする場合、前記第1帯電電極と前記第1制御電極との間に直流電圧を印加することを特徴とする1に記載の表示素子の製造方法。
3. 前記シール材への前記表示材料の移動を抑制する抑制状態又は前記シール材への前記表示材料の移動を促進する促進状態の何れかに切り替え可能な第2制御手段が設けられた前記第2の基板を、前記配置工程で前記表示材料が配置された前記第1の基板に重ねる工程と、
前記促進工程において、前記第2制御手段を前記促進状態にし、配置された前記表示材料が前記シール材に移動することを促進することを特徴とする2に記載の表示素子の製造方法。
4. 前記第2制御手段は、撥液性絶縁膜に覆われた第2制御電極であり、
前記抑制状態にする場合、配置された前記表示材料に接する第2帯電電極と前記第2制御電極との間に直流電圧を印加せず、
前記促進状態にする場合、前記第2制御電極に、前記第1帯電電極と同電位の前記第2帯電電極を基準とし、前記第1制御電極と同じ極性の直流電圧を印加することを特徴とする3に記載の表示素子の製造方法。
5. 前記第1の基板における前記第1制御電極を除く表面は、親液面であることを特徴とする2乃至4の何れか一項に記載の表示素子の製造方法。
6. 前記第2の基板における前記第2制御電極を除く表面は、親液面であることを特徴とする4に記載の表示素子の製造方法。
7. 1乃至6の何れか一項に記載の表示素子の製造方法により製造されたことを特徴とする表示素子。
本発明の表示素子の製造法によれば、高価な装置を使用することなく簡単な方法で表示材料のシール材への到達時刻を面内で均一にすることができるため、両基板にズレがなくシール強度が良好な表示素子を製造することができる。また、本発明の表示素子によれば、両基板にズレがなくシール強度が良好である。
本発明を図示の実施の形態に基づいて説明するが、本発明は該実施の形態に限らない。
本発明は、酸化還元反応を利用した電気化学表示素子に関するものである。電気化学表示素子としては、ECD方式とED方式が挙げられるが、ここではED方式を例にする。尚、図1から図5の各図において、同じもの、又は同じ機能であるものに関しては、同じ符号で示している。
〔表示素子の基本構成〕
図1(a)は、本発明に係わるED方式の表示素子100の一例の断面構造を示す概略図である。図1(b)は、観察側の透明な下基板5側から見た様子を示す図である。図1(b)において、後述のシール材7、撥液性絶縁膜に覆われた第1制御手段である第1制御電極8、表示材料に接する第1帯電電極9以外は省略している。尚、後述する第1制御電極8及び第1帯電電極9に直流電圧を印加する際に使用する第1制御電極8及び第1帯電電極9から下基板5の縁に伸びる引き出し配線も省略している。以下に、表示素子100の構成に関して説明する。
観察側の透明な下基板5の上にはITO電極等の透明な電極1が形成されており、もう一方の上基板6には銀等の不透明な電極2が形成されている。電極1と電極2との間には銀または銀を化学構造中に含む化合物を有する電解液(表示材料)3が担持されており、対向する電極間に正負両極性の電圧を印加することにより、電極1と電極2上で銀の酸化還元反応が行われ、還元状態の黒い銀画像と、酸化状態の透明な銀の状態を可逆的に切り替えることができる。
表示素子100は、電解液3を下基板5と上基板6の間に封止するシール材7、本発明に係わるシール時に電解液3がシール材7に向かって移動することを制御する制御手段である第1制御電極8、電解液3を帯電させるために電解液3に接触する第1帯電電極9、電極2を周囲より絶縁するための絶縁膜4、良好な画像形成のため入射する光を拡散させるための白色散乱層10、対向する電極間に電圧を印加するTFT11等で構成されている。第1制御電極8及び第1帯電電極9に関しては、後で詳しく説明する。
〔基板〕
上下基板として用いることのできる基板としては、ガラスの他、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン類、ポリカーボネート類、セルロースアセテート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンジナフタレンジカルボキシラート、ポリエチレンナフタレート類、ポリ塩化ビニル、ポリイミド、ポリビニルアセタール類、ポリスチレン等の合成プラスチックフィルムも好ましく使用できる。また、シンジオタクチック構造ポリスチレン類も好ましい。上記の基板は、透明基板(下基板)として用いることができる。更に、TFT素子を設ける透明でなくてもよい基板(上基板)としては、ステンレス等の金属製基板や、バライタ紙、及びレジンコート紙等の紙支持体ならびに上記プラスチックフィルムに反射層を設けた支持体が挙げられる。これらの支持体には、米国特許第4,141,735号のようにTg以下の熱処理を施すことで、巻き癖をつきにくくしたものを用いることができる。
〔銀または銀を化学構造中に含む化合物〕
電解液3が有する銀または銀を化学構造中に含む化合物とは、例えば、酸化銀、硫化銀、金属銀、銀コロイド粒子、ハロゲン化銀、銀錯体化合物、銀イオン等の化合物の総称であり、固体状態や液体への可溶化状態や気体状態等の相の状態種、中性、アニオン性、カチオン性等の荷電状態種は、特に問わない。
〔電極〕
観察面側の電極1は、透明な電極で構成されて、ITOやIZOなど、一般的にディスプレイなどに用いられているような透明電極であれば、いずれでも使用することができる。電極2は、不透明な電極材料で構成され、Au、Ag、Cu、Pt、Pd、Fe、Ni、カーボン、Cr、Al、Moなどや、これらの積層膜あるいは合金などを用いることができる。これら電極1及び電極2の形成方法は、スパッタ法や真空蒸着法などで成膜した後、フォトリソグラフィー及びエッチング処理する方法や、金属ナノ粒子を分散したインクを塗布して成膜しフォトリソグラフィー及びエッチング処理する方法あるいはスクリーン印刷やフレキソ印刷やインクジェット印刷などでダイレクトにパターニングする方法などがある。
後述の第1制御電極8の導電部8a、第1帯電電極9、第2制御手段である第2制御電極81の導電部81a及び第2帯電電極91も、上述と同様な材料及び形成方法により下基板5、上基板6に設けることができる。
〔シール材〕
シール材7は電解液3が外に漏れないように封止するためのものであり、封止材とも呼ばれる。シール材7の材料としては、例えば、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、エン−チオール系樹脂、シリコーン系樹脂、変性ポリマー樹脂等の、熱硬化性、光硬化性、湿気硬化性、嫌気硬化性等の各種硬化性樹脂が挙げられる。中でも、光硬化性樹脂、エポキシ系樹脂が好ましい。
シール材7を下基板5又は上基板6に形成する方法は、例えばディスペンサによる塗布やスクリーン印刷が挙げられるが、これらに限定されない。
また、シール材7には、上下基板間の間隙を制御するスペーサーとして、樹脂製またはシリカ等の無機酸化物製の球体を混ぜ合わせてもよい。
〔制御手段〕
図1に示すように、電解液3がシール材に向かって移動することを抑制する抑制状態にしたり、又は、促進する促進状態にしたり何れかに切り替え可能な制御手段として、撥液性絶縁膜に覆われた第1制御電極8及び第1帯電電極9が下基板5に設けられている。第1制御電極8は、シール材7の内側に沿って設けてあり、第1帯電電極9は、更に第1制御電極8の内側に設けてある。
表示素子100の製造において、電解液3を下基板5と上基板6との間に封止することに関して図2から図5を適宜用いて説明する。図2は、電解液3を下基板5と上基板6との間に封止する工程を説明する図である。
(1)下基板5の画像領域(概ね電極1がある領域)の外側の周囲を枠状に、第1帯電電極9、その外側に第1制御電極8を、更にその外側にシール材7を形成する(図2(a))。
(2)第1制御電極8の内側に、表示素子100における下基板5と上基板6との間を十分に埋め尽くす量の電解液3を、例えばODF法を用いて配置する(図2(b)、配置工程)。図2(b)において、20は電解液3を滴下するディスペンサのノズルを示す。滴下された電解液3は、その流動性により広がる(図2(c))。広がりを促すために、電解液3の上部の表面を少し下向きに押すように上基板6を接触させてもよい。
この段階で、シール材7に沿って枠状に設けている撥液性絶縁膜に覆われた第1制御電極8は、その撥液性のため、シール材7に対して溶解性を有する電解液3がシール材7に向かって移動することを抑制し、電解液3は、第1帯電電極9に接触しているがシール材7まで到達しない。この様子をシール材7、第1制御電極8及び第1帯電電極9の周辺を拡大した図3(a)に示す。
図3(a)に示すように、第1制御電極8は、導電部8aと撥液性絶縁膜8bとで構成される。また、30は直流電源、31は第1帯電電極9と第1制御電極8との間に直流電源による直流電圧の印加をON/OFFするスイッチを示し、スイッチ31のON/OFFにより、第1帯電電極9と第1制御電極8(詳しくは、導電部8a)との間に直流電圧を印加したり、しなかったりすることができる。図3(a)は、スイッチ31はOFFされており、第1帯電電極9と第1制御電極8との間に直流電圧を印加していない様子を示している。尚、図3(a)、(b)においては、第1帯電電極9や第1制御電極8に直流電源30やスイッチ31を接続する配線を原理的に示しているが、実際は、第1帯電電極9や第1制御電極8から下基板5の縁まで設ける図示しない引き出し配線を用いて接続する。
電解液3がシール材7に到達できないため、シール材7は、部分的にも溶解することなく、電解液3の封止材としての本来の機能を維持することができる。
(3)第1帯電電極9と第1制御電極8との間に直流電源30により直流電圧を印加する(図2(d)、促進工程)。この直流電圧の印加の前後で、下基板5の上に上基板6を重ねて配置し、上基板6を下基板5に押圧する(図2(d)の矢印は押圧を示す。)。第1帯電電極9と第1制御電極8との間に直流電圧を印加することにより、第1制御電極8によりシール材7に向かって移動することが抑制されていた電解液3を、シール材7に向かって進ませることができる(図3(b))。この進行は、第1帯電電極9と第1制御電極8との間に直流電圧を印加することより、第1帯電電極9に接触している電解液3と第1制御電極8(詳しくは、導電部8a)とに電荷が帯電し、この電荷間のクーロン力によるものと、更に定かではないが、帯電した電解液3が撥液性絶縁膜8bに触れることにより撥液性絶縁膜8bが改質され濡れ性が良好となるように変化することによるものとが考えられる。
第1制御電極8と第1帯電電極9に直流電圧を印加することにより、電解液3は第1制御電極8を超えて枠状のシール材7に向かい、シール材7の全周に渡ってほぼ同時に到達することになる。電解液3がシール材7に到達し隅々まで行き渡り、上基板6を下基板5に設けてあるシール材7に十分に接触させ、シール材7を硬化させることにより電解液3を内部に封止する。この電解液3を封止する作業は、シール材7の周辺に空間を残さない上で真空中で行うのが好ましい。
上述の通り、電解液3は、ほぼ同時にシール材7に到達するため、シール材7は部分的に電解液3と接触して溶解することがなく、全周に渡って均一な状態で電解液3の封止を行うことができる。よって、下基板5と上基板6との圧着時に、両基板の厚み方向や面内方向にズレを生じることなく、またシール強度が低下することなく良好に表示素子100を製造することができる。
第1制御電極8、第1帯電電極9を形成する方法としては、例えば、ITO等の透明電極材料で電極1を形成する際に、第1制御電極の導電部8aと第1帯電電極9とを同時に形成することが挙げられる。更に第1制御電極8を覆う絶縁性撥液膜8bは、まず導電部8aを覆うように絶縁膜を形成し、次にこの絶縁膜に撥液処理を行う。
絶縁膜は、例えば塗布型感光性絶縁膜(PC403、JSR社製等)が挙げられ、形成方法としては、例えばスピンコート法等の塗布とフォトリソグラフィー及びエッチング処理によるパターニングや、スクリーン印刷やインクジェット等のパターニング等が挙げられる。
上記の絶縁膜に撥液処理を行う方法としては、例えば、導入ガスにフッ素またはフッ素化合物を含むガスを使用し、フッ素化合物及び酸素を含む減圧雰囲気下あるいは大気圧雰囲気下でプラズマ照射をする減圧プラズマ処理や大気圧プラズマ処理が挙げられる。フッ素またはフッ素化合物を含むガスとしては、CF、SF、CHF等が挙げられる。
図3(a)において、シール材7から第1制御電極8までの距離Aは、シール材7に接していても良く0以上、5mm以下が好ましい。この範囲にすることにより、シール材7への電解液3の到達を抑制する効果を十分に得ながら、下基板5自体が大きくなりすぎない。また、直流電圧の印加時に、電解液3をシール材7まで容易に向かわせることができる。第1制御電極8の幅Bは20um以上5mm以下が好ましい。この範囲にすることにより、第1制御電極8の加工が容易で電解液3を制御する効果を十分に得ながら、下基板5自体が大きくなりすぎない。また、直流電圧の印加時に、電解液3をシール材7まで容易に向かわせることができる。第1制御電極8から第1帯電電極9までの距離Cは、5μm以上10μm以下が好まししく、この範囲にすることにより製造が容易で直流電圧印加時に絶縁破壊を生じない適度な電圧で十分な電界強度を得ることができる。
第1帯電電極9の幅Dは、10μm以上5mm以下が好ましい。この範囲とすることにより製造が容易で、画像領域の大ききに比較して外形の大きさが大きくなりすぎない。
第1帯電電極9と第1制御電極8との間に印加する直流電圧の範囲は、例えば、第1帯電電極9と第1制御電極8との間の距離Cが5μmの場合、10V以上50V以下の範囲が好ましい。この範囲とすることで、絶縁破壊を生じること無く電解液3をシール材7に向けて十分に進行させることが出来る。この直流電圧の好ましい範囲は、距離Cに概ね比例する関係にある。また、直流電圧を印加する極性は、図3では、第1帯電電極9をプラス、第1制御電極8をマイナスとしているが、この逆としてもよい。
また、図4に示すように下基板5における第1制御電極8の内側表面は、親液性を有する親液面41とすることが好ましい。第1制御電極8の内側表面に親液性を有していることにより、第1制御電極8の内側に塗布した電解液3が第1制御電極8に達する範囲内で容易にムラなく広げることができる。このように電解液3が第1制御電極8に達する範囲内で容易にムラなく広がることができると、電解液3に十分な電界強度が得られる範囲に電解液3に接触する必要がある第1帯電電極9を配置することができる。また、第1帯電電極9と第1制御電極8との間に直流電圧を印加した際に、電解液3の進行をより滑らかにできる。
第1制御電極8の内側表面を親液面とする方法としては、親液処理がある。親液処理は、例えば、酸素プラズマ処理による表面の活性化処理が挙げられる。酸素プラズマ処理を行うことにより、第1制御電極8の内側の下基板5の基板表面、下基板5に配置されている第1帯電電極9及び電極1であるITO膜の表面が活性化され、親液性を有する状態とすることができる。
また、図5に示すように、下基板5の第1制御電極8及び第1帯電電極9と対向する上基板6のそれぞれの位置に第1制御電極8、第1帯電電極9と同じ機能を有する第2制御手段である第2制御電極81及び第2帯電電極91を設けるのが好ましい。第2制御電極81は、第1制御電極8と同様に、導電部81aが撥液性絶縁膜81bで覆われている。また、上基板6に設けてある第2制御電極の内側の表面を親液面41とすることが好ましい。
上基板6に親液面41を設けることにより、下基板5に上基板6を重ねる際に、下基板5に配置された電解液3に上基板6が接触し、次第に両基板間の距離が縮まるに従い、電解液3は容易にムラなく広がることができる。
また、下基板5に上基板6を重ねる際に、第1制御電極8と同様に表面が撥液性の第2制御電極81により第2制御電極81の内側でシール材7へ向かって移動することが抑制される。更に、電解液3が、第1帯電電極9と同様に第2制御電極81の内側に設けた第2帯電電極91に接触すると、第2帯電電極91と第2制御電極81との間に直流電圧を印加することにより、電解液3をシール材に向かって移動することを促進することができる状態となる。第2制御電極81には、第2帯電電極91を第1帯電電極9と同電位の基準電位として、第1制御電極に印加する同じ極性の直流電圧を印加する。
第1帯電電極9と第1制御電極8との間に加えて、第2帯電電極91と第2制御電極81との間に直流電圧を印加することにより、電解液3をシール材7に向かわせるクーロン力が更に加わり、電解液3をシール材7に向かってより容易に移動させシール材7に到達させることができる。
尚、第2帯電電極91と第2制御電極81との間に直流電圧を印加するタイミングは、下基板5に上基板6を重ね作業開始当初としてもよいが、電荷液3が第2帯電電極91に均一に到達した状態で印加するのがより好ましい。こうすることにより、電解液3は、より均一にシール材7の全周に渡ってほぼ同時に到達することができる。
また、電解液3の粘度は、0.01Pa・s以上100Pa・sの範囲が好ましい。粘度をこの範囲とすることにより、表示性能を十分に備えた組成を有する電解液であって、本発明に係わる帯電による電解液3のシール材7へ向かっての移動を良好とする流動性を有することができる。更に、電解液3の体積抵抗値が1×10(Ωm)以上1×10(Ωm)以下が好ましい。体積抵抗値をこの範囲とすることにより、例えば、第1制御電極8と第1帯電電極9との間に電圧を印加した際に、電解液3に誘導される電荷量が十分となって電解液3のシール材7へ向かっての移動を容易とすることができ、表示素子完成後の表示駆動時の上下基板間でショートを生じることがない。
〔絶縁膜〕
絶縁膜4は、電極2のエッジとなる部分を覆うように形成している。絶縁材料としては、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂などの有機樹脂材料や、SiOx、SiNx、などの無機絶縁膜など、一般的にディスプレイで用いられるような絶縁膜材料であれば、いずれでも用いることができる。好適には、膜の成膜が簡便な塗布できる材料が好ましい。感光性がある塗布材料はより好ましい。絶縁膜4の形成箇所は、表示領域内にある電極エッジを覆うように配置する。
対向する電極を電極A及び電極Bとすると絶縁膜は、例えば、以下に示すように設ける。例えば、電極Aが共通電極で表示領域よりも大きい電極であり、電極Bが画素毎に分割された画素電極でありアレイ状のものの場合、絶縁膜は電極Bのエッジを覆うように配置することで、表示領域内の電極エッジをすべて覆うことができる。本実施の形態の絶縁膜4は、上記に該当する。
また、例えば、電極Aおよび電極Bがセグメント電極あるいはストライプ電極であり、電極Aと電極Bの交点領域を表示領域とする構成の場合、電極A及び電極Bの両方の電極エッジを覆うように絶縁膜を配置する。
(白色散乱層)
表示素子は、表示コントラスト及び白表示反射率をより高める観点から多孔質の白色散乱層10を有することができる。多孔質白色散乱層は、電解質溶媒に実質的に溶解しない水系高分子と白色顔料との水混和物を塗布乾燥して形成することができる。
電解質溶媒に実質的に溶解しないとは、−20℃から120℃の温度において、電解質溶媒1kgあたりの溶解量が0g以上、10g以下である状態と定義し、質量測定法、液体クロマトグラムやガスクロマトグラムによる成分定量法等の公知の方法により溶解量を求めることができる。
電解質溶媒に実質的に溶解しない水系高分子としては、水溶性高分子、水系溶媒に分散した高分子を挙げることができる。
水溶性化合物としては、ゼラチン、ゼラチン誘導体等の蛋白質またはセルロース誘導体、澱粉、アラビアゴム、デキストラン、プルラン、カラギーナン等の多糖類のような天然化合物や、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、アクリルアミド重合体やそれらの誘導体等の合成高分子化合物が挙げられる。
水系溶媒に分散した高分子としては、天然ゴムラテックス、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、イソプレンゴム等のラテックス類、ポリイソシアネート系、エポキシ系、アクリル系、シリコーン系、ポリウレタン系、尿素系、フェノール系、ホルムアルデヒド系、エポキシ−ポリアミド系、メラミン系、アルキド系樹脂、ビニル系樹脂等を水系溶媒に分散した熱硬化性樹脂を挙げることができる。
白色顔料としては、例えば、二酸化チタン(アナターゼ型あるいはルチル型)、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウムおよび水酸化亜鉛、水酸化マグネシウム、リン酸マグネシウム、リン酸水素マグネシウム、アルカリ土類金属塩、タルク、カオリン、ゼオライト、酸性白土、ガラス、有機化合物としてポリエチレン、ポリスチレン、アクリル樹脂、アイオノマー、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素−ホルマリン樹脂、メラミン−ホルマリン樹脂、ポリアミド樹脂などが単体または複合混合で、または粒子中に屈折率を変化させるボイドを有する状態で使用されてもよい。
水系化合物と白色顔料との水混和物は、公知の分散方法に従って白色顔料が水中分散された形態が好ましい。水系化合物/白色顔料の混合比は、容積比で1〜0.01が好ましく、より好ましくは、0.3〜0.05の範囲である。
多孔質白色散乱層の膜厚は、5〜50μmの範囲であることが好ましく、より好ましくは10〜30μmの範囲である。
アルコール系溶剤としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール等の水との溶解性が高い化合物が好ましく用いられ、水/アルコール系溶剤との混合比は、質量比で0.5〜20の範囲が好ましく、より好ましくは2〜10の範囲である。
水系化合物と白色顔料との水混和物を塗布する媒体は、表示素子の対向する電極間の構成要素上であればいずれの位置でもよいが、対向する電極の少なくとも1方の電極面上に付与することが好ましい。媒体への付与の方法としては、例えば、塗布方式、液噴霧方式、インクジェットヘッド、スプレー方式等が挙げられる。
〔表示素子のその他の構成要素〕
表示素子には、必要に応じて柱状構造物、スペーサーを用いることができる。
柱状構造物は、基板間の強い自己保持性(強度)を付与し、例えば、格子配列等の所定のパターンに一定の間隔で配列された、円柱状体、四角柱状体、楕円柱状体、台形柱状体等の柱状構造物を挙げることができる。また、所定間隔で配置されたストライプ状のものでもよい。この柱状構造物はランダムな配列ではなく、等間隔な配列、間隔が徐々に変化する配列、所定の配置パターンが一定の周期で繰り返される配列等、基板の間隔を適切に保持でき、且つ、画像表示を妨げないように考慮された配列であることが好ましい。柱状構造物は表示素子の表示領域に占める面積の割合が1〜40%であれば、表示素子として実用上十分な強度が得られる。
一対の基板間には、該基板間のギャップを均一に保持するためのスペーサーが設けられていてもよい。このスペーサーとしては、樹脂製または無機酸化物製の球体を例示できる。また、表面に熱可塑性の樹脂がコーティングしてある固着スペーサーも好適に用いられる。基板間のギャップを均一に保持するために柱状構造物又はスペーサーのみを設けてもよいが、スペーサー及び柱状構造物のいずれも設けてもよい。スペーサーの直径は柱状構造物を形成する場合はその高さ以下、好ましくは当該高さに等しい。柱状構造物を形成しない場合はスペーサーの直径がセルギャップ(ほぼ一対の基板間のギャップに等しい。)の厚みに相当する。
〔表示素子駆動方法〕
表示素子100においては、析出過電圧以上の電圧印加で黒化銀を析出させ、析出過電圧以下の電圧印加で黒化銀の析出を継続させる駆動操作を行うことが好ましい。この駆動操作を行うことにより、書き込みエネルギーの低下や、駆動回路負荷の低減や、画面としての書き込み速度を向上させることができる。一般に電気化学分野の電極反応において過電圧が存在することは公知である。例えば、過電圧については「電子移動の化学−電気化学入門」(1996年 朝倉書店刊)の121頁に詳しい解説がある。本発明の表示素子も、電極と電解液中の銀との電極反応と見なすことができるので、銀溶解析出においても過電圧が存在することは容易に理解できる。過電圧の大きさは交換電流密度が支配するので、黒化銀が生成した後に析出過電圧以下の電圧印加で黒化銀の析出を継続できるということは、黒化銀表面の方が余分な電気エネルギーが少なく容易に電子注入が行えると推定される。
表示素子100の駆動操作は、アクティブマトリック駆動を例としている。アクティブマトリックス駆動は、走査線、データライン、電流供給ラインが碁盤目状に形成され、各碁盤目に設けられたTFT回路により駆動させる方式である。画素毎にスイッチングが行えるので、階調やメモリー機能等のメリットがあり、例えば、特開2004−29327号の図5に記載されている回路を用いることができる。
アクティブマトリック駆動に代えて単純マトリックス駆動であってもよい。純マトリックス駆動は、複数の正極を含む正極ラインと複数の負極を含む負極ラインとが対向する形で互いのラインが垂直方向に交差した回路に、順次電流を印加して駆動する方法である。単純マトリックス駆動方法を用いることにより、回路構成や駆動ICを簡略化でき安価に製造できるメリットがある。
(実施例1)
図1に示す表示素子100を以下のようにして作製した。図2、図3を用いて説明する。
(制御手段の形成工程)
観察側の下基板5として、表示領域を10型、外枠の大きさを230×180mmとする厚み0.7mm無アルカリガラス基板を用意した。ガラス基板に、スパッタ法を用いて厚み100nmのITO電極を設け、その後フォトリソグラフィー及びエッチング処理にて、所定の電極1、導電部8a及び第1帯電電極9を得た。導電部8aの幅Bを40μm、第1帯電電極9の幅Dを50μm、導電部8aと第1帯電電極9との距離Cを10μmとした。この後、図示しない電極1、第1帯電電極9から下基板5の外周周辺までの引き出し配線を設けた。具体的には、電極1、第1帯電電極9からの引き出し配線が第1帯電電極9、導電部8aと交差する位置に絶縁膜としてSiO膜をスパッタ法により重ねて設け、フォトリソグラフィー及びエッチング処理にてパターニングした。この後、パターニングしたSiO膜の上に、電極1、第1帯電電極9それぞれと接触するようにAlの金属膜を設け、フォトリソグラフィー及びエッチング処理にてパターニングした。
次に、導電部8aを覆う撥液性絶縁膜8bを作成した。撥液性絶縁膜8bを形成する材料として塗布型感光性絶縁膜PC403(JSR社製のアクリル性樹脂)を用いた。PC403を厚み1μmとなるようにスピンコータを用いて成膜した後、プリベーク90℃、5分間とした後、フォトリソグラフィー及びエッチング処理によりパターニングを行い、最後に220℃1hで焼成した。これで、内部に導電部8aを擁した絶縁膜を形成した。
この後、上記の絶縁膜に対して撥液処理を行い、この絶縁膜を撥液性絶縁膜8bとして、第1制御電極8を完成させた。具体的には、フッ素系化合物としてCFを使用するプラズマ処理を行った。このプラズマ処理の条件を以下に示す。
・CFガス流量:900sccm
・パワー:1.0W/cm
・圧力:133Pa
・処理時間:30分間
また、上記の条件に代えて、以下の条件で大気圧プラズマ処理としても同程度の効果が得られることが確認できた。
・パワー:300W
・電極−基板間距離:1mm
・CFガス流量:100sccm
・ヘリウムガス流量:10L(リットル)/min
・搬送速度:5mm/s
(シール材の形成工程)
上記の通り、電極1、第1制御電極8、第1帯電電極9を形成した下基板5に対し、シール剤である紫外線硬化樹脂を第1制御電極8の外側にディスペンサにより塗布し、シール材7を形成した(図2(a)参照)。シール材7から第1制御電極8の距離Aは、2mmとした。シール剤は、紫外線硬化樹脂(スリ−ボンド製30Y−296G)に、直径40μmのシリカビーズを上下基板間の間隙を制御するスペーサーとして、1質量%混ぜたものとした。
上記で用意した樹脂をディスペンサ装置(武蔵エンジニアリング社製、ML−5000XII)を用いて、条件をシール塗布温度50℃、塗布速度3mm/sec、エアー圧0.3MPaとして塗布によりシール材を形成した。塗布したシール剤の流動性がなくなる程度に硬化させるため、紫外線照射(照射条件:1000mJ/cm、3分)を行った。
(表示材料配置工程)
第1制御電極8の内側にディスペンサにより表示材料である電解液3を塗布(配置)した(図2(b)、(c))。塗布した電解液3は、以下とした。
(電解液)
ジメチルスルホキシド(DMSO)とγ−ブチロラクトン(γBr)を6:4の割合で混合した溶媒に、析出溶解材料として1.00mol/lのヨウ化銀(AgI)、および支持電解質塩として1.33mol/lの臭化リチウム(LiBr)を溶解させる。
この電解質に対して、高分子材料である分子量20万のポリエチレンオキシドと着色材である二酸化チタン(TiO)とを質量比で0.2:1.2の割合で添加し、これを均一に分散させた後、上記のポリエチレンオキシドと質量比で1:0.02の割合の架橋材を添加する。これを、100℃で10分間加熱して、ゲル状の電解液を得た。粘度は、6Pa・s、体積抵抗は4×10(Ωm)とした。
上記で用意した電解液3をディスペンサ装置(武蔵エンジニアリング社製、ML−5000XII)を用いて、表示領域に点状に滴下した(図2(b)。滴下した電解液の状態は、直径は約2mm、高さは60μmであった。電解液の滴下量は、表示領域の面積とガラス基板間の間隙量から推測した。
下基板5に滴下された電解液3は、その流動性によりそれぞれの滴下位置から周囲に広がり、図2(c)に示すように、シール材7に向かって移動することが第1制御電極8で抑制され、シール材7に到達しなかった。この時、電解液3と第1帯電電極9とは、接触している。
(貼り合せ工程)
上記の電解液3を塗布した下基板5に別途用意したTFT等を設けた上基板6を貼り合せた(図2(d)参照)。尚、上基板6は、厚み0.7mm無アルカリガラス基板を使用した。
まず、電解液3を塗布した下基板5を13.3Paまで減圧した空間に配置して、電解液3内の気泡を抜き取った(真空引き工程)。
次に、第1制御電極8(詳しくは導電部8a)と第1帯電電極9とに直流電圧25Vを印加しながら下基板5に上基板6を押し当てた(図3(b))。第1制御電極8と第1帯電電極9とに直流電圧を印加すると同時に、第1制御電極8の内側で停止していた電解液3がシール材7に向かって均一に広がり、第1制御電極8を超えてシール材7にほぼ同時に到達した。
下基板5と上基板6との間隔は、移動機構を用いて1μmの精度で管理し、上下基板の間隔が50μmの時点で上基板6を一旦止め、3分間直流電圧を印加した状態で放置し、十分に電解液3をシール材7に到達させた。その後、更に上基板6を押し下げ、上下基板の間隔を40μmにした時点で、一定圧力になるようにした。圧力はロードセルにより測定した。
上記の一定圧力下で、シール剤の硬化を行った。硬化は、まず紫外線照射(12000mJ/cm、5分間)による予備硬化行い、更にオーブンで80℃1時間、加熱した。
以上で表示素子を完成させた。完成した表示素子のシール材を目視にて観察したところ、電解液3が漏れている箇所は確認されず、また、下基板5と上基板6とのズレが生じていないことが確認できた。
(実施例2)
図4に示すように、実施例1の下基板5の第1制御電極8より内側の表面に親液処理を行い親液面41とした。
実施例1の(制御手段の形成工程)と同じとして、電極1、第1帯電電極9、第1制御電極8を形成した下基板5を得た。但し、第1制御電極8の形成において、導電部8aを擁した絶縁膜に対する撥液処理を行わなかった。
この下基板5の全面に渡って、以下の条件で酸素プラズマ処理を行った。
・酸素ガス流量:500sccm
・パワー:1.0W/cm
・圧力:133Pa
また、以下の条件で大気圧プラズマ処理しても同様の結果が得られた。
・パワー:300W
・電極−基板間距離:1mm
・酸素ガス流量:80sccm
・ヘリウムガス流量:10l/min
・搬送速度:10mm/s
酸素プラズマ処理により電極1等が形成されている下基板5の全面を活性化し、親液化した。続いて、酸素プラズマ処理と同様に電極1等が形成されている下基板5の全面に対して、フッ素化合物を反応ガスとしたプラズマ処理による撥液処理を30分間行った。
・CFガス流量:900sccm
・パワー:1.0W/cm
・圧力:133Pa
また、以下の処理条件で大気圧プラズマ処理しても同様の結果が得られた。
・パワー:300W
・電極−基板間距離:1mm
・CFガス流量:100sccm
・ヘリウムガス流量:10l/min
・搬送速度:5mm/s
上記により第1制御電極8の絶縁膜以外の箇所の親液性を保持したままで絶縁膜を撥液性に改質することができた。この理由は、有機材料中選択的にフッ素化合物分子が入り込むようになるためと考えられる。この結果、撥液性絶縁膜8bを有する第1制御電極8の内側に親液面41が得られた。
「シール材の形成工程」以降は、実施例1と同じとして、上記の制御手段を形成した下基板5にシール材7を形成し、電解液3を塗布した。塗布された電解液3は、塗布面が親液面41となっているため、弾かれることなく滑らかにシール材7に向かって広がり、第1制御電極8で抑制され、シール材7に到達しなかった。この時、電解液3は、第1帯電電極9に接触している。下基板5に上基板6を重ね合わせ、第1帯電電極9と第1制御電極8の導電部8aに直流電圧を印加しながら押圧して貼り合わせた。第1制御電極8と第1帯電電極9とに直流電圧を印加すると同時に、第1制御電極8の内側で停止していた電解液3がシール材7に向かって均一に広がり、第1制御電極8を超えてシール材7にほぼ同時に到達した。
完成した表示素子のシール材を目視にて観察したところ、電解液が漏れている箇所は確認されず、また、下基板5と上基板6とのズレが生じていないことが確認できた。
(実施例3)
実施例1で示した第1制御電極8と第1帯電電極9と同じ構成の第2制御電極81と第2帯電電極91をTFTが形成されている上基板6にも設けた例について図5を用いて説明する。
(制御手段の形成工程)
上基板6において、TFT11(図1(a)参照)のゲート電極(図示しない)を形成する際、同時に、実施例1の下基板5の第1制御電極8及び第1帯電電極9に対向するそれぞれの位置に第2制御電極81の導電部81aと第2帯電電極91とを形成した。
具体的には、厚み0.7mm無アルカリガラス基板(上基板6)にTFTのゲート電極を形成するために、上基板6にCr膜をスパッタ法にて形成した。この後、ゲート電極パターンと同時に第2制御電極81の導電部81aと第2帯電電極91とのパターンをフォトリソグラフィー及びエッチング処理を行ってゲート電極と共に導電部81aと第2帯電電極91を得た。この後、TFT11、電極2、絶縁膜4及び白色散乱層10を形成した。
この後、実施例1の(制御手段の形成工程)と同じく導電部8aを覆うように絶縁膜(PC403:JSR社製のアクリル性樹脂)を形成した。この後の撥液処理は行わなかった。
次に、上記で製造した上基板6の第1制御電極81となる導電部81aを擁した絶縁膜より内側の表面に実施例2と同じようにして親液処理を行い親液面41を得た。すなわち、上基板6の全面に渡って、実施例2で示した同じ条件で酸素プラズマ処理を行った。酸素プラズマ処理により白色散乱層10等が形成されている上基板6の全面を活性化し、親液化した。続いて、酸素プラズマ処理と同様に白色散乱層10等が形成されている上基板6の全面に対して、実施例2で示した同じ条件でフッ素化合物を反応ガスとしたプラズマ処理による撥液処理を30分間行った。上記により上基板6において、第2制御電極81を覆う絶縁膜以外の箇所の親液性を保持したままで絶縁膜を撥液性に改質し撥液性絶縁膜81bとした。
次に、下基板5において、実施例2と同じく第1制御電極8及び第1帯電電極9を備え、第1制御電極8より内側の表面に親液処理を行い親液面41とした。
上記の下基板5に実施例1の「シール材の形成工程」と同じく、シール材7を形成し、(表示材料配置工程)と同じく電解液3を塗布した。塗布された電解液3は、塗布面が親液面41となっているため、弾かれることなく滑らかにシール材7に向かって広がり、第1制御電極8で抑制され、シール材7に到達しなかった。この時、電解液3は、第1帯電電極9に接触している。
(貼り合わせ工程)
上記の電解液3を塗布した下基板5に上記で用意したTFT等を設けた上基板6を貼り合せた。
まず、電解液3を塗布した下基板5を13.3Paまで減圧した空間に配置して、電解液3内の気泡を抜き取った(真空引き工程)。
次に、下基板5の第1制御電極8(導電部8a)と第1帯電電極9、及び、上基板6の第2制御電極81(導電部81a)と第2帯電電極91とにそれぞれ直流電圧25Vを印加しながら下基板5に上基板6を押し当てた。第1制御電極8と第1帯電電極9とに直流電圧を印加すると同時に、第1制御電極8の内側で停止していた電解液3がシール材7に向かって移動し始めた。上基板6を下基板5に配置した電解液3に接触させると、接触面となる第2制御電極81の内側が親液処理されているため、電解液3は弾かれることなく上基板6の下面に沿って滑らかに広がった。更に、電解液3が第2帯電電極91に接触すると、第1制御電極8と第1帯電電極9との電界に、第2制御電極81と第2帯電電極91との電界が加わり、更に強力なクーロン力により電解液3がより速やかで滑らかにシール材7に向かって均一に広がり、第1制御電極8を超えてシール材7にほぼ同時に到達した。
以降は、実施例1の(貼り合わせ工程)の記載と同じく、下基板5と上基板6との間隔は、移動機構を用いて1μmの精度で管理し、上下基板の間隔が50μmの時点で上基板6を一旦止め、3分間直流電圧を印加した状態で放置し、十分に電解液3をシール材7に到達させた。その後、更に上基板6を押し下げ、上下基板の間隔を40μmにした時点で、一定圧力になるようにした。圧力はロードセルにより測定した。
上記の一定圧力下で、シール剤の硬化を行った。硬化は、まず紫外線照射(12000mJ/cm、5分間)による予備硬化行い、更にオーブンで80℃1時間、加熱した。
以上で表示素子を完成させた。完成した表示素子のシール材を目視にて観察したところ、電解液が漏れている箇所は確認されず、また、下基板5と上基板6とのズレが生じていないことが確認できた。
(比較例1)
実施例1における(抑制手段の形成工程)で示した、第1制御電極8、第1帯電電極9の形成及び(貼り合せ工程)において、第1制御電極8、第1帯電電極9がないため、直流電圧の印加を行わなかった以外は、実施例1と同じとして表示素子を形成した。電解液3を塗布した時、塗布された電解液3は、シール材7に向かい、部分的にシール材7に到達した。
表示素子のシール材を目視にて観察したところ、電解液によりシール材の幅が細くなっている部分が確認され、また、下基板5と上基板6とのズレが生じていることが確認された。
以上の実施例1〜3、及び比較例1の結果より、シール材に沿って設けてある制御手段により、高価な装置を使用することなく簡単な方法で表示材料のシール材への到達時刻を面内で均一にすることができ、両基板にズレが生じることなくシール強度が良好な表示素子を製造できることが確認できた。
ED方式の表示素子の一例の断面構造を示す概略図である。 電解液を一対の基板の間に封止する工程を説明する図である。 シール材、第1制御電極及び帯電電極周辺を拡大して示し、電解液が制御されてシール材に向かう様子を説明する図である。 電解液がシール材に向かって移動することを制御する制御手段の例を示す図である。 電解液がシール材に向かって移動することを制御する制御手段の例を示す図である。
符号の説明
1、2 電極
3 電解液
4 絶縁膜
5 下基板
6 上基板
7 シール材
8 第1制御電極
81 第2制御電極
8a、81a 導電部
9 第1帯電電極
91 第2帯電電極
10 白色散乱層
11 TFT
20 ノズル
30 直流電源
31 スイッチ
41 親液面
100 表示素子

Claims (6)

  1. 対向面に電極パターンが形成された、第1の基板及び第2の基板の周辺をシール材でシールし、内部に流動性を有する表示材料が満たされている電気化学表示素子である表示素子の製造方法において、
    前記シール材と、前記シール材への前記表示材料の移動を抑制する抑制状態又は前記シール材への前記表示材料の移動を促進する促進状態の何れかに切り替え可能な第1制御手段と、が設けられた第1の基板において、前記第1制御手段を前記抑制状態にし、前記第1制御手段の内側に前記表示材料を配置する配置工程と、
    前記第1制御手段を前記促進状態にし、配置された前記表示材料が前記シール材に移動することを促進する促進工程と、を有し、
    前記第1制御手段は、前記シール材に沿って設けられた撥液性絶縁膜に覆われた第1制御電極であり、
    前記抑制状態にする場合、配置された前記表示材料に接する第1帯電電極と前記第1制御電極との間に直流電圧を印加せず、
    前記促進状態にする場合、前記第1帯電電極と前記第1制御電極との間に直流電圧を印加し、
    前記第1帯電電極は、前記第1の基板上で前記第1制御電極に沿ってその内側に設けられていることを特徴とする表示素子の製造方法。
  2. 前記シール材への前記表示材料の移動を抑制する抑制状態又は前記シール材への前記表示材料の移動を促進する促進状態の何れかに切り替え可能な第2制御手段が設けられた前記第2の基板を、前記配置工程で前記表示材料が配置された前記第1の基板に重ねる工程を有し、
    前記促進工程において、前記第2制御手段を前記促進状態にし、配置された前記表示材料が前記シール材に移動することを促進することを特徴とする請求項1に記載の表示素子の製造方法。
  3. 前記第2制御手段は、撥液性絶縁膜に覆われた第2制御電極であり、
    前記抑制状態にする場合、配置された前記表示材料に接する第2帯電電極と前記第2制御電極との間に直流電圧を印加せず、
    前記促進状態にする場合、前記第2制御電極に、前記第1帯電電極と同電位の前記第2帯電電極を基準とし、前記第1制御電極と同じ極性の直流電圧を印加し、
    前記第2帯電電極は、前記第2の基板上で前記第1帯電電極と対向する位置に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の表示素子の製造方法。
  4. 前記第2制御電極は、前記第2の基板上で前記第1制御電極と対向する位置に設けられていることを特徴とする請求項3に記載の表示素子の製造方法。
  5. 前記第1の基板における前記第1制御電極を除く表面は、親液面であることを特徴とする請求項乃至4の何れか一項に記載の表示素子の製造方法。
  6. 前記第2の基板における前記第2制御電極を除く表面は、親液面であることを特徴とする請求項3または4に記載の表示素子の製造方法。
JP2008177715A 2008-07-08 2008-07-08 表示素子の製造方法 Expired - Fee Related JP5343427B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008177715A JP5343427B2 (ja) 2008-07-08 2008-07-08 表示素子の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008177715A JP5343427B2 (ja) 2008-07-08 2008-07-08 表示素子の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2010019892A JP2010019892A (ja) 2010-01-28
JP5343427B2 true JP5343427B2 (ja) 2013-11-13

Family

ID=41704896

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008177715A Expired - Fee Related JP5343427B2 (ja) 2008-07-08 2008-07-08 表示素子の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5343427B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6032666B2 (ja) * 2012-07-12 2016-11-30 スタンレー電気株式会社 表示素子及びその製造方法

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6270820A (ja) * 1985-09-19 1987-04-01 Asahi Glass Co Ltd エレクトロクロミツク素子の製造方法
JP3874895B2 (ja) * 1997-07-23 2007-01-31 シャープ株式会社 液晶表示パネルの製造方法
JP2008152214A (ja) * 2006-12-20 2008-07-03 Seiko Epson Corp 液晶パネル

Also Published As

Publication number Publication date
JP2010019892A (ja) 2010-01-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2005037851A (ja) 電気泳動分散液、電気泳動表示装置、電気泳動表示装置の製造方法および電子機器
WO2011021470A1 (ja) 透明導電性基板の製造方法、透明導電性基板、及び電気化学表示素子
US11537023B2 (en) Liquid crystal cell and electronic device
KR101353566B1 (ko) 전기영동 표시장치의 제조방법
TW201932956A (zh) 一種顯示電漿模組及其製造方法
JP2011133622A (ja) 電気化学表示素子の製造方法、及び電気化学表示素子
US8786931B2 (en) Electrochromic display
JP2016156930A (ja) エレクトロクロミック表示素子、表示装置、情報機器、エレクトロクロミック表示素子の製造方法、エレクトロクロミック調光レンズ
JP2011164256A (ja) 電気化学表示素子
JP2013033125A (ja) 電気泳動表示シート、電気泳動表示装置及びその製造方法、並びに電子機器
JP5343427B2 (ja) 表示素子の製造方法
JP6235841B2 (ja) 液晶表示装置
WO2009157244A1 (ja) 透明導電性基板、透明導電性基板の製造方法、及び電気化学表示素子
JP4308594B2 (ja) 電気泳動表示装置の製造方法
JP2016024303A (ja) エレクトロクロミック装置及びその製造方法
JP5316701B2 (ja) 電気化学表示素子
JP4780255B1 (ja) 電気化学表示素子
JP4569176B2 (ja) 表示素子
CN111650794A (zh) 一种小形变胆甾相液晶显示装置及其制造方法
CN102708758A (zh) 显示装置、双面显示器件及其制造方法
JP2009092766A (ja) 表示装置及びその製造方法
JP2009223110A (ja) 電気化学表示装置およびその製造方法
JP2010002687A (ja) 表示素子の製造方法及び表示素子
JP5177294B2 (ja) 電気化学表示素子
JP2011141416A (ja) 導電性カラーフィルタ基板の製造方法、導電性カラーフィルタ基板、反射型表示素子、及び電気化学表示素子

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20110121

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20110822

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20130213

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130319

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130510

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130716

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130729

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees