JP2011133622A - 電気化学表示素子の製造方法、及び電気化学表示素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】気泡による点欠陥が低減された電気化学表示素子の製造方法、及び電気化学表示素子を提供することを目的とする。
【解決手段】対向して配置された2つの電極基板の間に電解液がシール材によって密封された電気化学表示素子の製造方法であって、一方の電極基板の周縁にシール材を環状に形成するシール材形成工程と、2つの電極基板を所定の間隔で対向させた時に、該2つの電極基板とシール材とで囲まれる空間の容積よりも多量の電解液を、シール材が形成された一方の電極基板または他方の電極基板の表面に滴下する電解液滴下工程と、減圧雰囲気内でシール材および滴下された電解液を挟み、2つの電極基板の周縁の間隔が前記所定の間隔となるように、2つの電極基板を貼り合せて電解液を封入する電解液封入工程と、を有する。
【選択図】図3
【解決手段】対向して配置された2つの電極基板の間に電解液がシール材によって密封された電気化学表示素子の製造方法であって、一方の電極基板の周縁にシール材を環状に形成するシール材形成工程と、2つの電極基板を所定の間隔で対向させた時に、該2つの電極基板とシール材とで囲まれる空間の容積よりも多量の電解液を、シール材が形成された一方の電極基板または他方の電極基板の表面に滴下する電解液滴下工程と、減圧雰囲気内でシール材および滴下された電解液を挟み、2つの電極基板の周縁の間隔が前記所定の間隔となるように、2つの電極基板を貼り合せて電解液を封入する電解液封入工程と、を有する。
【選択図】図3
Description
本発明は、電気化学表示素子の製造方法、及び電気化学表示素子に関する。
近年、視認性に優れ、且つ消費電力の少ない表示素子が求められている。現在一般に用いられているCRT、PDP、LCDといった自発光もしくは自発光体から発せられる光を変調するような表示素子は、明るく見易いが消費電力が大きいという問題がある。
低消費電力化の観点からは、表示内容を無電源で保持する機能(メモリ性)を有することが望ましく、さらには駆動電圧が低いことが望まれる。このような特性を備える表示素子として、電極上の酸化還元反応による光吸収状態の可逆変化を利用したエレクトロクロミック表示素子(以下、ECD素子とも記する)や、銀または銀を化学構造中に有する化合物を含む電解質層から、電極上への銀の析出と電解質層への溶解とを利用するエレクトロデポジション表示素子(以下、ED素子とも記する)の開発が近年盛んに行われている。ECD素子、及びED素子ともに表示原理としては、電極上での酸化還元反応を利用し、反応物質単独での光吸収の変化を利用したものであり、LCDのように偏光板やバックライトといった部材が不要であり、低コスト化、及び省プロセス化等に対して非常に有利な表示素子である。
しかしながら、これまでに提案されているECD、及びED技術では電解質を溶媒中に溶解させた比較的低粘度の電解液を用いており、長期間の使用において、表示ムラが発生することが判明した。この表示ムラを解決する方法としては、電解質のゲル状化や高分子バインダーによる高粘度化が挙げられるが、ゲル状の電解質や高粘度の電解質を用いた場合、表示サイズがある程度大きくなると、一般的に知られているLCD等の表示素子の製造方法をそのまま適応することができない。
従来からLCDの製造方法として知られている真空封入法では、対向する一対の基板で形成されるセル内に高粘度の電解液を封入するのは困難である。また表示サイズが大きくなると電解液を封入するのにかなりの時間を要するとともに電解液の溶媒の揮発といった問題も生じる。一方、近年、大型LCD用の製造方法として広く用いられている滴下注入法は、ゲル状の電解質や高粘度の電解質をセル内に充填するのに適した方法ではある。
滴下注入法の凡その流れとしては、最初に、下側基板の表面に液晶を封入する矩形領域を囲むようにシール材を形成し、該シール材で囲まれた下側基板の表面にディスペンサを用いて液晶を滴下する。次に、下側基板と上側基板との両方を貼り合わせ装置(チャンバー)内に導入し、装置内の空気を排気し減圧雰囲気内で下側基板と上側基板とを貼り合せる。貼り合せにより液晶がシール材で囲まれた領域に遍く行き渡り、一対の基板とシール材により形成される閉空間内に密封される。その後シール材を紫外線照射や加熱等により硬化させて、上下の基板とシール材を固着することにより液晶が密封された液晶表示パネルが形成される。
ところでこのような滴下注入法においては、減圧雰囲気内で下側基板と上側基板とを貼り合せることにより、セル内に残存する気泡は極小化されるが、決して残存しないわけではなく、微小ながらもセル内に封入された液晶中に残存する。このような気泡が画像像表示領域内に存在すると所謂点欠陥の異常が引き起こされるという問題があった。
そこで、特許文献1では、下側基板の表面に、該下側基板の表面を周辺領域と非周辺領域とに区画する外側シーリング部材と、外側シーリング部材の一辺に平行に形成され、非周辺領域をディスプレイ領域とディスプレイ領域の一端に広がるバッファ領域とに分割する内側シーリング部材と、を備える構成とし、下側基板と上側基板とを貼り合せる際に、セル内の余剰液晶やセル内に残存する気泡を、内側シーリング部材に形成されている割れ目を通じてバッファ領域に流出させる方法が提案されている。
また、特許文献2では、下側基板の表面に、閉じた領域を形成する外側シール材と、閉じた領域を表示領域となる液晶充填領域と液晶充填領域の外側の捕捉領域とに分割する内側シール材と、を備える構成とし、下側基板と上側基板とを貼り合せる際に、セル内の余剰液晶やセル内に残存する気泡を内側シール材に形成されている漏洩路を通じて捕捉領域に流出させる方法が提案されている。
また、特許文献3では、下側基板の表面の外周部に、液晶を封入する為のシール部材を枠状に設け、上側基板には、下側基板と上側基板とを張り合わせた時に、シール部材の一部が入り込む溝部を設ける構成とし、下側基板と上側基板とを貼り合せる際に、セル内に残存する気泡をシール部材と溝部との隙間に取込みトラップする方法が提案されている。
ところで、このような表示素子は、通常、0℃以下の低温下から60℃以上の高温下といった広範囲の温度下で使用される為、この広範囲な温度変化に伴い、セル内に封入された液晶や電解液の流動が生じる。その結果、バッファ領域(特許文献1)、捕捉領域(特許文献2)、シール部材と溝部との隙間(特許文献3)等にトラップされた気泡も表示領域内に進入し、点欠陥の異常が引き起こされるという問題がある。
また、外部からの押圧等の負荷によるセルの容積の変動により、セル内に封入された液晶や電解液の流動が生じ、気泡の移動や新たな気泡が発生する。その結果、同様に点欠陥の異常が引き起こされるという問題がある。
本発明は、上記課題を鑑みてなされたもので、気泡による点欠陥が低減された電気化学表示素子の製造方法、及び電気化学表示素子を提供することを目的とする。
上記目的は、下記の1から6の何れか1項に記載の発明によって達成される。
1.対向して配置された2つの電極基板の間に電解液がシール材によって密封された電気化学表示素子の製造方法であって、
一方の前記電極基板の周縁にシール材を環状に形成するシール材形成工程と、
前記2つの電極基板を所定の間隔で対向させた時に、該2つの電極基板と前記シール材とで囲まれる空間の容積よりも多量の前記電解液を、前記シール材が形成された一方の前記電極基板または他方の前記電極基板の表面に滴下する電解液滴下工程と、
減圧雰囲気内で前記シール材および滴下された前記電解液を挟み、前記2つの電極基板の周縁の間隔が前記所定の間隔となるように、前記2つの電極基板を貼り合せて前記電解液を封入する電解液封入工程と、を有することを特徴とする電気化学表示素子の製造方法。
一方の前記電極基板の周縁にシール材を環状に形成するシール材形成工程と、
前記2つの電極基板を所定の間隔で対向させた時に、該2つの電極基板と前記シール材とで囲まれる空間の容積よりも多量の前記電解液を、前記シール材が形成された一方の前記電極基板または他方の前記電極基板の表面に滴下する電解液滴下工程と、
減圧雰囲気内で前記シール材および滴下された前記電解液を挟み、前記2つの電極基板の周縁の間隔が前記所定の間隔となるように、前記2つの電極基板を貼り合せて前記電解液を封入する電解液封入工程と、を有することを特徴とする電気化学表示素子の製造方法。
2.前記シール材は、前記2つの電極基板の周縁の間隔を前記所定の間隔に規制するスペーサを有することを特徴とする前記1に記載の電気化学表示素子の製造方法。
3.前記電解液は、前記2つの電極基板の間隔を規制するスペーサを含有することを特徴とする前記1または2に記載の電気化学表示素子の製造方法。
4.前記スペーサは、球形粒子であることを特徴とする前記2または3に記載の電気化学表示素子の製造方法。
5.シール材形成工程において、前記シール材は、一方の前記電極基板の周縁に間隔を設けて2重に環状に形成することを特徴とする前記1から4の何れか1項に記載の電気化学表示素子の製造方法。
6.前記1から5の何れか1項に記載の電気化学表示素子の製造方法を用いて製造されたことを特徴とする電気化学表示素子。
本発明によれば、2つの電極基板の間に封入する電解液の量を、2つの電極基板を所定の間隔で対向させた時に、該2つの電極基板と前記シール材とで囲まれる空間の容積よりも多くする。これにより、広範囲な温度変化に対しても、電解液の流動や新たな気泡の発生が抑えられる。その結果、気泡による点欠陥を低減することができる。
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態に係る電気化学表示素子の製造方法、及び電気化学表示素子を説明する。尚、本発明は、該実施の形態に限られない。また、以下の説明に用いる各図においては、各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとする為、各部材毎に縮尺を異ならせてある。また、以下の説明において、「透明」とは、可視光域(波長400nm〜700nm)での透過率が50%以上であることを指す。
先ず、本発明の実施形態に係る電気化学表示素子の構成を図1を用いて説明する。図1は、電気化学表示素子1の構成を示す断面模式図である。
電気化学表示素子1の要部は、図1に示すように、透明導電性基板2、電極基板3、シール材5、及び電解質層6等から構成される。
透明導電性基板2は、本発明における電極基板の1つに該当し、透明基板201、及び透明基板201の表面に形成された透明導電膜202等から構成される。
透明基板201としては、ソーダライムガラス、無アルカリガラス、石英等の電子デバイスに使用されている硬質の材料で形成されたものや、フレキシブルなプラスチックで構成されたものを用いることができる。このプラスチック材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、トリアセチルセルロース(TAC)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド(PI)等を用いることができ、またこれらのプラスチック材料で構成された基板の特性を高める為に、その表面に公知の表面コートや表面処理を行ったものを用いることが好ましい。
透明導電膜202は、錫ドープ酸化インジウム(ITO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)等の無機酸化物をスパッタリング法を用いて、あるいは、ポリスチレンスルホン酸ドープポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT/PSS)に代表される導電性高分子を各種ウェットコーティング法を用いて成膜することができる。
電極基板3は、基板301、及び基板301の表面に形成された電極302等から構成される。
基板301は、ガラスやPET等の透明基板用いることができる他、基板301は、必ずしも透明である必要はなく、ステンレスフォイルやポリイミドといった基板も用いることができる。
電極302としては、ECD素子の場合は、ITO電極上にアンチモンをドープした酸化スズ層を有する電極を用いることができる。ED素子の場合は、銀電極や銀パラジウム電極等の金属電極を用いることができる。
シール材5は、紫外線硬化型樹脂をディスペンサを用いて形成することができる。シール材5として紫外線硬化型樹脂を用いることによりタイムリーに硬化させることができる。シール材5は、透明導電性基板2と電極基板3の周縁の間隔を所定の間隔に規制する為の図示しないスペーサを有している。尚、スペーサの材料や形状は、後述の電解液に含有されているスペーサ7と同様なので、ここではその説明は省略する。
電気化学表示素子1は、観察側に透明導電性基板2が、非観察側に電極基板3が配され、透明導電性基板2の透明導電膜202と電極基板3の電極302とが対向するように配置されている。
ECD素子の場合、透明導電膜202と電極302との間には、エレクトロクロミック色素を有する電解質層6が設けられており、対向電極(透明導電膜202、電極302)間に正負両極性の電圧を印加することにより、観察側の電極(透明導電膜202)の表面でエレクトロクロミック色素の酸化還元反応が行われ、エレクトロクロミックの着色状態を可逆的に切り替えることができる。また、電解質層6に高分子化合物をバインダーとしてTiO2、ZnO等の金属酸化物微粒子を分散させることでエレクトロクロミック層の透明な状態における白色度を高めることができる。
ED素子の場合、透明導電膜202と電極302との間には、銀または銀を化学構造中に含む化合物を有する電解質層6が設けられており、対向電極(透明導電膜202、電極302)間に正負両極性の電圧を印加することにより、両電極の表面で銀の酸化還元反応が行われ、透明導電膜202表面では還元状態の黒い銀の状態と、酸化状態の透明な銀の状態を可逆的に切り替えることができる。尚、この場合においても、ECD素子の場合と同様に、電解質層6に高分子化合物をバインダーとしてTiO2、ZnO等の金属酸化物微粒子を分散させることで透明な状態における白色度を高めることができる。
ここで、ECD材料、ED材料、電解質等の詳細を説明する。
〔ECD材料〕
電気化学表示素子1がECD素子である場合に用いられるエレクトロクロミック色素は、電子の供受により光吸収状態を変化させる化合物であり、有機化合物や金属錯体を用いることができる。有機化合物としては、ピリジン化合物や導電性高分子、スチリル化合物を用いることができ、特開2002−328401号公報に記載の各種ビオロゲン化合物、特表2004−537743号に記載の色素、その他公知の色素を用いることができる。また、ロイコ型色素を用いる場合には、必要に応じて顕色剤あるいは消色剤を併用してもよい。
電気化学表示素子1がECD素子である場合に用いられるエレクトロクロミック色素は、電子の供受により光吸収状態を変化させる化合物であり、有機化合物や金属錯体を用いることができる。有機化合物としては、ピリジン化合物や導電性高分子、スチリル化合物を用いることができ、特開2002−328401号公報に記載の各種ビオロゲン化合物、特表2004−537743号に記載の色素、その他公知の色素を用いることができる。また、ロイコ型色素を用いる場合には、必要に応じて顕色剤あるいは消色剤を併用してもよい。
これらの材料は、電極の表面に直接塗布してもよいし、電子の供受をより効率的に行う為に、TiO2に代表される酸化物半導体ナノ構造を電極上に形成し、その上にエレクトロクロミック材料をインクジェット法等の方法により塗布・含浸させてもよい。
〔ED材料〕
電気化学表示素子1がED素子である場合に用いられる銀または銀を化学構造中に含む化合物とは、例えば、酸化銀、硫化銀、金属銀、銀コロイド粒子、ハロゲン化銀、銀錯体化合物、銀イオン等の化合物であり、固体状態、液体への可溶化状態、気体状態等の相の状態種、また、中性、アニオン性、カチオン性等の荷電状態種は、特に限定されない。
電気化学表示素子1がED素子である場合に用いられる銀または銀を化学構造中に含む化合物とは、例えば、酸化銀、硫化銀、金属銀、銀コロイド粒子、ハロゲン化銀、銀錯体化合物、銀イオン等の化合物であり、固体状態、液体への可溶化状態、気体状態等の相の状態種、また、中性、アニオン性、カチオン性等の荷電状態種は、特に限定されない。
また、電解質層6に含まれる銀イオン濃度は、0.2モル/kg≦[Ag]≦2モル/kgが好ましい。銀イオン濃度が0.2モル/kgより少ないと希薄な銀溶液となり駆動速度が遅延し、2モル/kgよりも大きいと溶解性が劣化し、低温保存時に析出が発生し易くなる。
〔電解質〕
電解質とは、通常、水等の溶媒に溶けて、その溶液がイオン伝導性を示す物質を指すが、本実施形態においては、電解質、非電解質を問わず他の金属や化合物等を含有させた混合物を電解質という。
電解質とは、通常、水等の溶媒に溶けて、その溶液がイオン伝導性を示す物質を指すが、本実施形態においては、電解質、非電解質を問わず他の金属や化合物等を含有させた混合物を電解質という。
透明導電膜202と電極膜302との間に設ける電解質層6は、有機溶媒、イオン性液体、酸化還元活性物質、支持電解質、錯化剤、白色散乱物、高分子化合物等を適宜選択して構成される。以下、電解質層6の各構成要素について説明する。
(有機溶媒)
電解質層6に用いる有機溶媒としては、電解質層6を形成した後、揮発を起こさず電解質層6に留まることができる沸点が120〜300℃の範囲にある有機溶媒を用いることができる。例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ブチレンカーボネート、γ−ブチルラクトン、テトラメチル尿素、スルホラン、ジメチルスルホキシド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、2−(N−メチル)−2−ピロリジノン、ヘキサメチルホスホルトリアミド、N−メチルプロピオンアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルホルムアミド、ブチロニトリル、プロピオニトリル、アセトニトリル、アセチルアセトン、4−メチル−2−ペンタノン、2−ブタノール、1−ブタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、無水酢酸、酢酸エチル、プロピオン酸エチル、ジメトキシエタン、ジエトキシフラン、テトラヒドロフラン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールモノブチルエーテル等を用いることができる。
電解質層6に用いる有機溶媒としては、電解質層6を形成した後、揮発を起こさず電解質層6に留まることができる沸点が120〜300℃の範囲にある有機溶媒を用いることができる。例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ブチレンカーボネート、γ−ブチルラクトン、テトラメチル尿素、スルホラン、ジメチルスルホキシド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、2−(N−メチル)−2−ピロリジノン、ヘキサメチルホスホルトリアミド、N−メチルプロピオンアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルホルムアミド、ブチロニトリル、プロピオニトリル、アセトニトリル、アセチルアセトン、4−メチル−2−ペンタノン、2−ブタノール、1−ブタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、無水酢酸、酢酸エチル、プロピオン酸エチル、ジメトキシエタン、ジエトキシフラン、テトラヒドロフラン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールモノブチルエーテル等を用いることができる。
上記有機溶媒の中でも、環状カルボン酸エステル類、例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン等がより好ましい。
(高分子化合物)
電解質層6の粘度を高める為に、バインダーとして高分子化合物を用いる。高分子化合物としては、特に限定されないが、例えば、ブチラール樹脂、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリフッ化ビリニデン等の高分子化合物の中から、表示素子の特性や電解質の粘度等を鑑み適宜選択して用いることができる。
電解質層6の粘度を高める為に、バインダーとして高分子化合物を用いる。高分子化合物としては、特に限定されないが、例えば、ブチラール樹脂、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリフッ化ビリニデン等の高分子化合物の中から、表示素子の特性や電解質の粘度等を鑑み適宜選択して用いることができる。
(金属酸化物微粒子)
散乱により白色度を高める為に、無機系金属酸化物を用いる。無機系金属酸化物としては、例えば、二酸化チタン(アナターゼ型あるいはルチル型)、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、水酸化マグネシウム、リン酸マグネシウム、リン酸水素マグネシウム、アルカリ土類金属塩、タルク、カオリン、ゼオライト、酸性白土、ガラス等を用いることができる。
散乱により白色度を高める為に、無機系金属酸化物を用いる。無機系金属酸化物としては、例えば、二酸化チタン(アナターゼ型あるいはルチル型)、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、水酸化マグネシウム、リン酸マグネシウム、リン酸水素マグネシウム、アルカリ土類金属塩、タルク、カオリン、ゼオライト、酸性白土、ガラス等を用いることができる。
(スペーサ)
スペーサ7は、透明導電性基板2と電極基板3の間隔を規制する為の球形微粒子である。スペーサ7としては、例えば、液晶ディスプレイ等に使用されているガラス製、アクリル樹脂製、シリカ製等の微小真球を用いることができる。スペーサ7の平均粒径は、電解質層6での分散安定性や電解質層6に分散させた金属酸化微粒子の散乱効果による白色度向上の為、10μm以上、50μm以下の範囲にあることが好ましい。
スペーサ7は、透明導電性基板2と電極基板3の間隔を規制する為の球形微粒子である。スペーサ7としては、例えば、液晶ディスプレイ等に使用されているガラス製、アクリル樹脂製、シリカ製等の微小真球を用いることができる。スペーサ7の平均粒径は、電解質層6での分散安定性や電解質層6に分散させた金属酸化微粒子の散乱効果による白色度向上の為、10μm以上、50μm以下の範囲にあることが好ましい。
<電解液の配置方法>
電解液の配置方法としては、ノズル内径0.2mm以上のSUS系ニードルを先端に装着したディスペンサを用いることができる。好ましくは容量計量式のディスペンサを用いることで適量に液滴塗布ができ、充填量のばらつきを抑えることができる。尚、電解液中にギャップ規制用のスペーサ7を分散させた状態で塗布することでスペーサ7の配置工程を省くことができる。
電解液の配置方法としては、ノズル内径0.2mm以上のSUS系ニードルを先端に装着したディスペンサを用いることができる。好ましくは容量計量式のディスペンサを用いることで適量に液滴塗布ができ、充填量のばらつきを抑えることができる。尚、電解液中にギャップ規制用のスペーサ7を分散させた状態で塗布することでスペーサ7の配置工程を省くことができる。
ここで、本発明の実施形態に係る電気化学表示素子1の製造方法においては、電解質層6は前述の滴下注入法を用いて形成する。そして、本発明は、電解質層6を構成する電解液の流動や新たな気泡の発生を抑え、気泡による点欠陥を低減するものである。この為に、透明導電性基板2と電極基板3の間に封入する電解液の量を、該2つの電極基板を所定の間隔D1(図1)で対向させた時に、該2つの電極基板とシール材5とで囲まれる空間の容積(以下、基準容積とも記す)よりも多くする。すなわち、2つの電極基板の周縁の間隔をシール材5に含まれるスペーサにより所定の間隔D1に規制し、2つの電極基板の中央部の間隔D2(図1)を必要量(基準容積)以上の電解液により所定の間隔D1よりも広く膨らませて、該必要量(基準容積)以上の電解液を封入するものである。以下、その詳細を実施例にて説明する。
本発明の実施形態に係る電気化学表示素子1の実施例を図2、図3を用いて説明する。図2、図3は、電気化学表示素子1の製造工程を示す模式図であり、図2(a)〜図2(d)における上図は断面模式図、下図は平面模式図、また、図3(a)、図3(b)は断面模式図である。
(実施例1)
最初に、厚さ0.7mmの無アルカリガラスからなるガラス基板(図2(a):透明基板201)の表面に、スパッタリング法を用いてITO膜(図2(a):透明導電膜202)を厚さ50nmで成膜し、透明導電性基板2を製作した。
最初に、厚さ0.7mmの無アルカリガラスからなるガラス基板(図2(a):透明基板201)の表面に、スパッタリング法を用いてITO膜(図2(a):透明導電膜202)を厚さ50nmで成膜し、透明導電性基板2を製作した。
続いて、透明導電性基板2の表面の周縁に、ディスペンサを用いて粒径30μmのガラス製の微小真球(スペーサ)を含む紫外線硬化樹脂を環状に塗布し高さ200μmのシール材5を形成した(図2(b):シール材形成工程)。
次に、無アルカリガラスからなるガラス基板(図2(c):基板301)の表面に形成された図示しないa−Si・TFTアレイに、画素電極として厚さ100nmで銀パラジウム電極(図2(c):電極302)を形成し、電極基板3を製作した。
続いて、電極基板3の表面に、ノズル内径0.84mmのニードルを先端に装着した容量計量式ディスペンサを用いて、粒径30μmのガラス製の微小真球(スペーサ7)を含みポリエチレングリコール(バインダー)にて粘度120mPa・sに調液した電解液61を点在するように滴下した(図2(d):電解液滴下工程)。尚、シール材7で区画される表示領域は、縦200mm、横150mmであり、電解液61の量は、透明導電性基板2と電極基板3を所定の間隔D1(ここでは、スペーサ7の粒径30μm)で対向させた時に、該2つの電極基板とシール材5とで囲まれる空間の容積(基準容積:20×15×0.003=0.9cm3)の1.2倍の1.08cm3とした。
次に、シール材5が形成された透明導電性基板2と電解液61が滴下された電極基板3を貼り合わせ装置のチャンバー91内へ導入し、ポンプ93により真空排気を開始した。(図3(a))。
続いて、真空排気により減圧状態(約50Pa)になったチャンバー91内で透明導電性基板2と電極基板3とを対向させて位置合せし2つの電極基板を重ね合わせて、表示領域から離れた位置で仮止め固定を行った(電解液封入工程)後、チャンバー91を大気開放した。
このとき、減圧雰囲気内で貼り合わせを行うことにより、図3(b)に示すように、電解液61が周辺、即ちシール材5に向かって広がり表示領域内全体に行き渡り電解質層6が形成された。また、このとき、2つの電極基板の周縁の間隔は、シール材5に含まれるスペーサにより所定の間隔D1(30μm)に規制され、2つの電極基板の中央部の間隔D2は、必要量(基準容積)以上(1.2倍)の電解液61により所定の間隔D1よりも広く膨らむことで、該必要量(基準容積)以上の電解液61が封入された。
次に、貼り合わされた2つの電極基板に紫外線を照射し、シール材5を硬化させて(シール材硬化工程)電気化学表示素子1を完成させた。
(実施例2)
本実施例は、実施例1の場合のシール材5及び電解液に含まれるスペーサ7の粒径を20μm、電解液61の滴下量を透明導電性基板2と電極基板3を所定の間隔D1(ここでは、スペーサ7の粒径20μm)で対向させた時に、該2つの電極基板とシール材5とで囲まれる空間の容積(基準容積:20×15×0.002=0.6cm3)の1.1倍の0.66cm3とするものであり、製造工程の流れは、実施例1の場合と同様の工程(シール材形成工程、電解液滴下工程、電解液封入工程、シール材硬化工程)を経て電気化学表示素子1を完成させた。
本実施例は、実施例1の場合のシール材5及び電解液に含まれるスペーサ7の粒径を20μm、電解液61の滴下量を透明導電性基板2と電極基板3を所定の間隔D1(ここでは、スペーサ7の粒径20μm)で対向させた時に、該2つの電極基板とシール材5とで囲まれる空間の容積(基準容積:20×15×0.002=0.6cm3)の1.1倍の0.66cm3とするものであり、製造工程の流れは、実施例1の場合と同様の工程(シール材形成工程、電解液滴下工程、電解液封入工程、シール材硬化工程)を経て電気化学表示素子1を完成させた。
(実施例3)
本実施例は、実施例1の場合のシール材5及び電解液に含まれるスペーサ7の粒径を40μm、電解液61の滴下量を透明導電性基板2と電極基板3を所定の間隔D1(ここでは、スペーサ7の粒径40μm)で対向させた時に、該2つの電極基板とシール材5とで囲まれる空間の容積(基準容積:20×15×0.004=1.2cm3)の1.35倍の1.62cm3とするものであり、製造工程の流れは、実施例1の場合と同様の工程(シール材形成工程、電解液滴下工程、電解液封入工程、シール材硬化工程)を経て電気化学表示素子1を完成させた。
本実施例は、実施例1の場合のシール材5及び電解液に含まれるスペーサ7の粒径を40μm、電解液61の滴下量を透明導電性基板2と電極基板3を所定の間隔D1(ここでは、スペーサ7の粒径40μm)で対向させた時に、該2つの電極基板とシール材5とで囲まれる空間の容積(基準容積:20×15×0.004=1.2cm3)の1.35倍の1.62cm3とするものであり、製造工程の流れは、実施例1の場合と同様の工程(シール材形成工程、電解液滴下工程、電解液封入工程、シール材硬化工程)を経て電気化学表示素子1を完成させた。
(比較例1)
本比較例は、実施例1の場合のシール材5及び電解液に含まれるスペーサ7の粒径を30μm、電解液61の滴下量を透明導電性基板2と電極基板3を所定の間隔D1(ここでは、スペーサ7の粒径30μm)で対向させた時に、該2つの電極基板とシール材5とで囲まれる空間の容積(基準容積:20×15×0.003=0.9cm3)の0.9倍の0.81cm3とするものであり、製造工程の流れは、実施例1の場合と同様の工程(シール材形成工程、電解液滴下工程、電解液封入工程、シール材硬化工程)を経て電気化学表示素子1を完成させた。
本比較例は、実施例1の場合のシール材5及び電解液に含まれるスペーサ7の粒径を30μm、電解液61の滴下量を透明導電性基板2と電極基板3を所定の間隔D1(ここでは、スペーサ7の粒径30μm)で対向させた時に、該2つの電極基板とシール材5とで囲まれる空間の容積(基準容積:20×15×0.003=0.9cm3)の0.9倍の0.81cm3とするものであり、製造工程の流れは、実施例1の場合と同様の工程(シール材形成工程、電解液滴下工程、電解液封入工程、シール材硬化工程)を経て電気化学表示素子1を完成させた。
(比較例2)
本比較例は、実施例1の場合のシール材5及び電解液に含まれるスペーサ7の粒径を30μm、電解液61の滴下量を透明導電性基板2と電極基板3を所定の間隔D1(ここでは、スペーサ7の粒径30μm)で対向させた時に、該2つの電極基板とシール材5とで囲まれる空間の容積(基準容積:20×15×0.003=0.9cm3)の1.0倍の0.9cm3とするものであり、製造工程の流れは、実施例1の場合と同様の工程(シール材形成工程、電解液滴下工程、電解液封入工程、シール材硬化工程)を経て電気化学表示素子1を完成させた。
本比較例は、実施例1の場合のシール材5及び電解液に含まれるスペーサ7の粒径を30μm、電解液61の滴下量を透明導電性基板2と電極基板3を所定の間隔D1(ここでは、スペーサ7の粒径30μm)で対向させた時に、該2つの電極基板とシール材5とで囲まれる空間の容積(基準容積:20×15×0.003=0.9cm3)の1.0倍の0.9cm3とするものであり、製造工程の流れは、実施例1の場合と同様の工程(シール材形成工程、電解液滴下工程、電解液封入工程、シール材硬化工程)を経て電気化学表示素子1を完成させた。
(比較例3)
本比較例は、実施例1の場合のシール材5及び電解液に含まれるスペーサ7の粒径を30μm、電解液61の滴下量を透明導電性基板2と電極基板3を所定の間隔D1(ここでは、スペーサ7の粒径30μm)で対向させた時に、該2つの電極基板とシール材5とで囲まれる空間の容積(基準容積:20×15×0.003=0.9cm3)の1.5倍の1.35cm3とするものであり、製造工程の流れは、実施例1の場合と同様の工程(シール材形成工程、電解液滴下工程、電解液封入工程、シール材硬化工程)を経て電気化学表示素子1を完成させた。
本比較例は、実施例1の場合のシール材5及び電解液に含まれるスペーサ7の粒径を30μm、電解液61の滴下量を透明導電性基板2と電極基板3を所定の間隔D1(ここでは、スペーサ7の粒径30μm)で対向させた時に、該2つの電極基板とシール材5とで囲まれる空間の容積(基準容積:20×15×0.003=0.9cm3)の1.5倍の1.35cm3とするものであり、製造工程の流れは、実施例1の場合と同様の工程(シール材形成工程、電解液滴下工程、電解液封入工程、シール材硬化工程)を経て電気化学表示素子1を完成させた。
(比較例4)
本比較例は、実施例1の場合のシール材5に含まれるスペーサの粒径を30μm、電解液61の滴下量を透明導電性基板2と電極基板3を所定の間隔D1(ここでは、スペーサの粒径30μm)で対向させた時に、該2つの電極基板とシール材5とで囲まれる空間の容積(基準容積:20×15×0.003=0.9cm3)の1.2倍の1.08cm3とするものであり、製造工程の流れは、実施例1の場合と同様の工程(シール材形成工程、電解液滴下工程、電解液封入工程、シール材硬化工程)を経て電気化学表示素子1を完成させた。尚、本比較例においては、電解液61にはスペーサ7を含有させなかった。
本比較例は、実施例1の場合のシール材5に含まれるスペーサの粒径を30μm、電解液61の滴下量を透明導電性基板2と電極基板3を所定の間隔D1(ここでは、スペーサの粒径30μm)で対向させた時に、該2つの電極基板とシール材5とで囲まれる空間の容積(基準容積:20×15×0.003=0.9cm3)の1.2倍の1.08cm3とするものであり、製造工程の流れは、実施例1の場合と同様の工程(シール材形成工程、電解液滴下工程、電解液封入工程、シール材硬化工程)を経て電気化学表示素子1を完成させた。尚、本比較例においては、電解液61にはスペーサ7を含有させなかった。
<評価>
このようにして製作した実施例1〜実施例3、及び比較例1〜比較例4による電気化学表示素子1を以下に示す(1)〜(3)の評価を行った。
このようにして製作した実施例1〜実施例3、及び比較例1〜比較例4による電気化学表示素子1を以下に示す(1)〜(3)の評価を行った。
(1)製作した電気化学表示素子1を60℃に加熱した後25℃まで冷却し、気泡の移動の有無を観察した。
(2)製作した電気化学表示素子1を、20℃で30分間、続いて60℃で30分間の環境を1サイクルとする冷熱衝撃試験を100サイクル実施し、試験前後での気泡の状態(気泡の移動、新たな気泡の発生等)を観察した。
(3)製作した電気化学表示素子1の略中心部を、直径5mmの円筒部材を用いて100Nの力で押圧し、気泡の状態(気泡の移動、新たな気泡の発生等)を観察した。
評価結果を下記表1に示す。尚、表1中、○印は、気泡の移動や新たな気泡の発生等が見られず良好であったことを示し、×印は、気泡の移動や新たな気泡の発生等が見られたことを示す。
表1に示すように、実施例1〜実施例3の場合は、電解液61の滴下量をそれぞれ基準容積の1.2倍、1.1倍、1.35倍とし、基準容積よりも多くすることにより、評価項目(1)〜(3)の何れにおいても、気泡の移動や新たな気泡の発生は観察されず良好な結果が得られた。
一方、比較例1の場合は、電解液61の滴下量を基準容積の0.9倍とし、基準容積よりも少なくしたので、評価項目(1)、(2)において、気泡の移動や新たな気泡の発生が観察された。
また、比較例2の場合は、電解液61の滴下量を基準容積の1.0倍とし、基準容積と等しくしたが、評価項目(2)において、気泡の移動や新たな気泡の発生が観察された。
また、比較例3の場合は、電解液61の滴下量を基準容積の1.5倍もの多量の電解液61を滴下したので、電解液封入工程で2つの電極基板を貼り合せた後に、シール材5が電解液61に過度に押されることにより決壊(シール材5の欠損)し、電解液61が流出し充填不良となった。この為、何れの評価も不能となった。
また、比較例4の場合は、電解液61の滴下量を基準容積の1.2倍とし、基準容積よりも多くすることにより、評価項目(1)、(2)においては、気泡の移動や新たな気泡の発生は観察されず良好な結果が得られた。しかしながら、電解液61にはスペーサ7を含有させなかったことから、評価項目(3)においては、外圧により、セルの容積が変動し、気泡の移動や新たな気泡の発生が観察された。
このように本発明の実施形態に係る電気化学表示素子1の製造方法においては、透明導電性基板2と電極基板3の間に封入する電解液61の量を、該2つの電極基板を所定の間隔D1(図1)で対向させた時に、該2つの電極基板とシール材5とで囲まれる空間の容積(基準容積)よりも多くする。すなわち、2つの電極基板の周縁の間隔をシール材5に含まれるスペーサにより所定の間隔D1に規制し、2つの電極基板の中央部の間隔D2(図1)を必要量(基準容積)以上の電解液61により所定の間隔D1よりも広く膨らませて、該必要量(基準容積)以上の電解液61を封入するものである。これにより、広範囲な温度変化に対しても、電解液61の流動や新たな気泡の発生を抑えることができる。その結果、気泡による点欠陥を低減することができる。尚、電解液61の量が多すぎると、シール材5に欠損が生じる場合があるので、シール材5や他の構成部材の材料、形状、寸法、及び2つの電極基板の間隔等を鑑みて、電解液61の量を設定する。
また、シール材5には、透明導電性基板2と電極基板3の周縁の間隔を規制するスペーサを含有させたので、2つの電極基板の間隔を所望の間隔にすることができるとともに、セル容積のバラツキを抑えることができる。
また、電解液61(電解質層6)には、透明導電性基板2と電極基板3の間隔を規制するスペーサを含有させたので、外圧等によるセル容積の変動を抑えることができる。これにより、電解液61の流動や新たな気泡の発生が抑えることができる。
以上、本発明を実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は前述の実施の形態に限定して解釈されるべきでなく、適宜変更、改良が可能であることは勿論である。
例えば、前述の実施形態においては、シール材5は、透明導電性基板2の表面の周縁に1周回環状に形成するようにしたが(図2(b))、図4に示すように、透明導電性基板2の表面の周縁に間隔を設けて2重(シール材51、シール材52)に環状に形成するようにしてもよい。尚、図4(a)において、上図はシール材5の別の例による構成を示す断面模式図、下図は平面模式図、図4(b)は、シール材5の周辺の構成を示す断面模式図である。
図4(a)、図4(b)に示すように、前述の電解液封入工程の後、チャンバー91の大気開放により、電解液61を封入するべきシール材51の外側に減圧空間になる減圧域Aを設けておくと、前述の仮止めを省くことができる。すなわち、表示領域を形成する内側のシール材51と、貼り合せ後の固定を行う為の外側のシール材52を2重に配置する。減圧状態で2つの電極基板(透明導電性基板2、電極基板3)を貼り合せると、内側のシール材51で囲まれた領域には電解液61が広がって表示領域を形成する。内側のシール材51と外側のシール52の間は減圧状態のままの空間(減圧域A)が形成され、大気開放すると大気圧によって2つの電極基板を押さえつける力が発生する。この為、貼り合せ後の電極基板固定の為の仮止めが不要となるとともに、表示領域を規定するシール部分を強固に押圧することができ、電解液を必要量より多く封入した場合においても、シール材の破れや剥がれを防止することができる。
1 電気化学表示素子
2 透明導電性基板(電極基板)
201 透明基板
202 透明導電膜
3 電極基板
301 基板
302 電極
5 シール材
51、52 シール材
6 電解質層
61 電解液
7 スペーサ
91 チャンバー
93 ポンプ
95、96 基板保持ステージ
2 透明導電性基板(電極基板)
201 透明基板
202 透明導電膜
3 電極基板
301 基板
302 電極
5 シール材
51、52 シール材
6 電解質層
61 電解液
7 スペーサ
91 チャンバー
93 ポンプ
95、96 基板保持ステージ
Claims (6)
- 対向して配置された2つの電極基板の間に電解液がシール材によって密封された電気化学表示素子の製造方法であって、
一方の前記電極基板の周縁にシール材を環状に形成するシール材形成工程と、
前記2つの電極基板を所定の間隔で対向させた時に、該2つの電極基板と前記シール材とで囲まれる空間の容積よりも多量の前記電解液を、前記シール材が形成された一方の前記電極基板または他方の前記電極基板の表面に滴下する電解液滴下工程と、
減圧雰囲気内で前記シール材および滴下された前記電解液を挟み、前記2つの電極基板の周縁の間隔が前記所定の間隔となるように、前記2つの電極基板を貼り合せて前記電解液を封入する電解液封入工程と、を有することを特徴とする電気化学表示素子の製造方法。 - 前記シール材は、前記2つの電極基板の周縁の間隔を前記所定の間隔に規制するスペーサを有することを特徴とする請求項1に記載の電気化学表示素子の製造方法。
- 前記電解液は、前記2つの電極基板の間隔を規制するスペーサを含有することを特徴とする請求項1または2に記載の電気化学表示素子の製造方法。
- 前記スペーサは、球形粒子であることを特徴とする請求項2または3に記載の電気化学表示素子の製造方法。
- シール材形成工程において、前記シール材は、一方の前記電極基板の周縁に間隔を設けて2重に環状に形成することを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の電気化学表示素子の製造方法。
- 請求項1から5の何れか1項に記載の電気化学表示素子の製造方法を用いて製造されたことを特徴とする電気化学表示素子。
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- 2009-12-24 JP JP2009292073A patent/JP2011133622A/ja active Pending
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