JP2017203843A - エレクトロクロミック素子及びその製造方法 - Google Patents

エレクトロクロミック素子及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2017203843A
JP2017203843A JP2016094616A JP2016094616A JP2017203843A JP 2017203843 A JP2017203843 A JP 2017203843A JP 2016094616 A JP2016094616 A JP 2016094616A JP 2016094616 A JP2016094616 A JP 2016094616A JP 2017203843 A JP2017203843 A JP 2017203843A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
display
electrode
substrate
metal oxide
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2016094616A
Other languages
English (en)
Inventor
堀内 保
Tamotsu Horiuchi
保 堀内
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ricoh Co Ltd filed Critical Ricoh Co Ltd
Priority to JP2016094616A priority Critical patent/JP2017203843A/ja
Publication of JP2017203843A publication Critical patent/JP2017203843A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

【課題】高いコントラストを有しながら、速い応答性能を有し、かつ高い繰り返し耐久性を有する優れたエレクトロクロミック素子を提供することを目的とする。【解決手段】表示基板11と、表示電極12と、表示電極12に接して設けられたエレクトロクロミック層14と、表示基板11に対向して設けられた対向基板19と、対向電極17と、表示基板11と対向基板19との間を充填する電解質層15と、を有するエレクトロクロミック素子であって、エレクトロクロミック層14は、導電性の金属酸化物の表面を酸化タングステンで被覆された金属酸化物粒子を有することを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、エレクトロクロミック素子及びその製造方法に関する。
外部からの刺激によって色変化を可逆的に示す現象は「クロミズム」と呼ばれ、古くから知られてきた。クロミズムは現象を示す言葉であるため、外部刺激が光であれば「フォトクロミズム」、熱であれば「サーモクロミズム」、圧力であれば「ピエゾクロミズム」と呼ぶ。外部刺激が電気的エネルギーの場合「エレクトロクロミズム」と呼ばれ、電気化学的な酸化還元反応によって物質の色変化が可逆的に引き起こされる現象を表し、この現象を利用したデバイスはECデバイス(以下、エレクトロクロミックをECと略す場合がある)と呼ばれている。ECデバイスは、透明状態と着色状態の切り替えを行うことができ、この特徴を利用したアプリケーションとして防眩ミラー、スマートウィンドウ、自動車のサンルーフ、電子ペーパー、調光レンズなどへの応用されている。
電子ペーパーは、近年、紙に替わる情報媒体として盛んに開発が行われている。電子ペーパーの表示方式としては、反射型液晶、電気泳動、トナー泳動、そしてEC等が挙げられる。この中で、EC表示素子は、メモリ効果があること、低電圧で駆動できること、等の理由から、次世代の表示素子の有力候補であり、現在、材料開発からデバイス設計に至るまで、EC表示素子に対する幅広い研究開発が行われている。
例えば、特許文献1は、複数の高分子微粒子層が積層された有機EC層を有するEC素子が開示されている。また、特許文献2は、異なる色を発色する複数のEC組成物を積層又は混合して形成した表示層を有する多色表示素子が開示されている。また、特許文献3は、複数の表示電極に対応して複数のEC層が設けられたEC表示装置を開示している。特許文献4は、EC表示素子を用いた実用的な電子ペーパー実現のために駆動素子としてTFT(thin film transistor)を用い、TFTが複数分離形成された画素電極(対向電極)上に、電荷保持層(高抵抗層)を連続層(ベタ膜)として形成することにより、発色にじみ、画像ボケなどがない良好な表示品質で、かつ耐久性に優れたEC表示装置が開示されている。
古くから酸化タングステン(WO)を始めとする金属酸化物系がEC特性を示すことが知られている(非特許文献1、2)。WOは繰り返し特性に優れており10回以上でも安定した発消色特性を示すことが報告されている(非特許文献3)。しかし、応答速度がビオロゲンなどの有機化合物系に比べると劣っていることが欠点である。
一方、有機化合物系EC材料は、多色化が可能なこと、応答速度が速いこと、発色効率が高いこと等の点で注目されているが、耐久性がWOなどの無機化合物系EC材料に比べて劣っている。表1に示すとおり、耐久性と応答速度を両立するものは報告されていないのが現状である。
また、TiOナノ粒子表面にビオロゲンを吸着した方式が報告されている(非特許文献4)。このデバイス構造は色素増感太陽電池と同じものであり、ITO電極単独に比較して、TiOとビオロゲン化合物間の効率的な電荷移動を示すことができること、多孔質電極を使用しているためにビオロゲン化合物を有する表面積が著しく増大し、ビオロゲン化合物と電解質との接触面積も増大していることから、応答速度が向上すると報告している。
しかしながら、この方式においてもビオロゲンなどの有機系EC材料を用いているため、本質的な耐久性の改善はなされていない。
また、特許文献5には、酸化チタン粒子表面に酸化アルミニウムを被覆し、その酸化アルミニウム上にビオロゲンなどの有機系EC材料を吸着したものが報告されているが、この方式においても有機系EC材料を用いているため、本質的な耐久性の改善には至っていないのが現状である。
また、非特許文献5にはTiOナノロッド上にWOを被覆したEC素子が、非特許文献6には酸化亜鉛ナノワイヤー上にWOを被覆したEC素子が報告されている。
しかしながら、この方式ではナノ粒子を使用した多孔質電極に比較して大きな比表面積を得ることが困難であり、高いコントラストを得ることが困難である。
以上、高いコントラスト性能を有しながら応答性が速く、かつ高い耐久性を有するEC素子は得られていないのが現状である。
本発明は、高いコントラストを有しながら、速い応答性能を有し、かつ高い繰り返し耐久性を有する優れたエレクトロクロミック素子を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、表示基板と、表示電極と、前記表示電極に接して設けられたエレクトロクロミック層と、前記表示基板に対向して設けられた対向基板と、対向電極と、前記表示基板と前記対向基板との間を充填する電解質層と、を有するエレクトロクロミック素子であって、前記エレクトロクロミック層は、導電性の金属酸化物の表面を酸化タングステンで被覆された金属酸化物粒子を有することを特徴とする。
本発明によれば、高いコントラストを有しながら、速い応答性能を有し、かつ高い繰り返し耐久性を有する優れたエレクトロクロミック素子を提供することができる。
本発明の実施形態に係るEC素子の構造の一例を示す図である。 本発明の実施形態に係るEC素子の構造の一例を示す図である。 本発明の実施形態に係るEC素子の構造の一例を示す図である。 本発明の実施形態に係るEC素子の構造の一例を示す図である。 本発明の実施形態に係るEC素子を用いた調光メガネの構造の一例を示す図である。
以下、本発明に係るエレクトロクロミック素子及びその製造方法について図面を参照しながら説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、修正、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態ようにおいても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
本発明は、表示基板と、表示電極と、前記表示電極に接して設けられたエレクトロクロミック層と、前記表示基板に対向して設けられた対向基板と、対向電極と、前記表示基板と前記対向基板との間を充填する電解質層と、を有するエレクトロクロミック素子であって、前記エレクトロクロミック層は、導電性の金属酸化物の表面を酸化タングステンで被覆された金属酸化物粒子を有することを特徴とする。
本発明によれば、高いコントラストを有し、透過型表示においては透明性に優れた表示特性、反射型表示においては明るくクリアな表示特性が得られ、速い応答性能を有し、かつ高い繰り返し耐久性を有する優れたエレクトロクロミック素子とすることができる。
なお、以下エレクトロクロミックをECと略して説明する。
(第1の実施形態)
<EC素子の構造>
図1〜図4に、本実施形態に係るEC素子の構造の一例を示す。
EC素子10は、表示基板11、表示電極12、EC層14、電解質層15、電荷保持層16、対向電極17、対向基板19、壁部材13を含む。図1に示すように、EC素子10は、対向する2枚の基板の間に、エレクトロクロミック層(EC層)を有しており、基板間を、電解質層15で充填している。また、図1には明記されていないが、EC層14は酸化タングステン(WO)を被覆した金属酸化物粒子からなる多孔質構造を、電荷保持層は導電性粒子からなる多孔質構造を形成している。図2はほぼ同じ構成であるが、EC層14と電荷保持層16の間に白色反射層18を設けたもので、反射型の表示装置を示すものである。図3と図4は、図1と図2における電荷保持層16を除外したものである。
なお、表示基板11、表示電極12、EC層14、壁部材13からなる構成体及び、表示基板11、表示電極12、EC層14、白色反射層18、壁部材13からなる構成体を、便宜上、「第1構成体」と呼ぶ。また、対向基板19、対向電極17、からなる構成体及び、対向基板19、対向電極17、電荷保持層16からなる構成体を、便宜上、「第2構成体」と呼ぶ。
−表示基板−
表示基板11の材料としては、透光性を有する材料であることが好ましい。例えば、ガラス、プラスチックフィルム等が挙げられる。
−表示電極−
表示電極12は、該電極と対向電極17との間に生じる電圧により、EC層14を発色或いは消色させる。EC層14の発色は、対向電極17と表示電極12との間に生じるこれらの電圧の大きさによって定まるため、該電圧により、EC層14の色の諧調は変化する。
表示電極12の材料としては、透光性を有する導電性材料であることが好ましい。例えば、酸化インジウムスズ(ITO)、フッ素がドープされた酸化スズ(FTO)、アンチモンがドープされた酸化スズ(ATO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、ニオブをドープした酸化チタン(NTO)等の無機材料が挙げられる。これらの中でも特にITO、FTOが好ましい。
−エレクトロクロミック層(EC層)−
本実施形態のEC層14は、導電性の金属酸化物の表面を酸化タングステン(WO)で被覆された金属酸化物粒子を有する。また、WOを被覆した複数の金属酸化物粒子によって形成された多孔質構造を有することが好ましい。
金属酸化物の種類としては、酸化チタン(TiO)、酸化スズ(SnO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化インジウムスズ(ITO)、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)、リンドープ酸化スズ(PTO)、酸化ニオブ(Nb)等を挙げることができる。この中でも、特にTiO、SnO、ZnO、ITO、ATO、PTOが好ましい。
EC層における金属酸化物は導電性であることを要する。導電性でない場合、発色が劣り、高コントラストが得られない。
金属酸化物の粒子の平均粒径は、1nm〜100nmであることが好ましく、特に3〜20nmであることが好ましい。平均粒径を1nm〜100nmとすることにより、EC層14を透明な層とすることができる。即ち、反射型表示素子においては、発色していないときに高い白反射率を得ることができる。また透過型表示素子においては発色時には鮮やかな色が得られ、消色時には無色透明の状態が得られる。更に、3〜20nmの平均粒径にすることで、高い比表面積を得ることが可能となる。
なお、「金属酸化物の粒子の平均粒径」とあるのは、酸化タングステンが被覆されていない状態の平均粒径を意味する。また、上記の平均粒径は体積平均粒径を示す。
直径が数十nmの金属酸化物粒子によって形成された膜は、多孔質状態を形成する。このナノ多孔構造は、非常に高い表面積を持ち、その表面積はBET比表面積測定によって得ることが可能である。この測定方法は、粉体粒子の表面に窒素ガスなどの吸着占有面積の分かるガス分子を吸着させ、その量から試料の比表面積や、細孔分布を測定する方法である。このBET比表面積によって得られた値が大きいほど多孔質電極の比表面積が高いことが示され、本発明においては、20m/g以上が好ましく、40m/g以上がより好ましい。
なお、図1において、金属酸化物粒子はWOを被覆した構造を有しているが、WOを被覆した上に、更に複数の有機系EC化合物を被覆してもよい。この有機系EC化合物材料としては、有機色素系、有機ポリマー系、金属錯体系などの公知の有機EC化合物材料を用いることができる。
例えば、有機色素系及び有機ポリマー系のエレクトロクロミック化合物として、アゾベンゼン系、アントラキノン系、ジアリールエテン系、ジヒドロプレン系、ジピリジン系、スチリル系、スチリルスピロピラン系、スピロオキサジン系、スピロチオピラン系、チオインジゴ系、テトラチアフルバレン系、テレフタル酸系、トリフェニルメタン系、トリフェニルアミン系、ナフトピラン系、ビオロゲン系、ピラゾリン系、フェナジン系、フェニレンジアミン系、フェノキサジン系、フェノチアジン系、フタロシアニン系、フルオラン系、フルギド系、ベンゾピラン系、メタロセン系等の低分子系有機エレクトロクロミック化合物、また、ポリアニリン、ポリチオフェン等の導電性高分子化合物が挙げられる。
更に、これらの材料は、ビオロゲン系化合物(例えば、特許3955641号公報、特開2007−171781号公報参照)又はビピリジン系化合物(例えば、特開2007−171781号公報、特開2008−116718号公報参照)を含むことが好ましい。ビオロゲン系化合物又はビピリジン系化合物を含ませることで、表示電極及び対向電極に印加する電圧が低くても、発色時及び消色時に、EC化合物が良好な色値を示すことができる。
なお、EC素子の、EC層におけるEC化合物に用いられる材料は、全て酸化発色材料であるか、或いは、全て還元発色材料である、というように統一されることが好ましい。
金属酸化物粒子の表面が酸化タングステンで被覆されているかを評価する方法としては、特に制限されるものではない。例えば、EC層の断面(スライス)をSEM(走査型電子顕微鏡)又はTEM(透過型電子顕微鏡)で観察し、金属酸化物粒子の表面の様子を観測すればよい。
−対向基板−
対向基板19は、対向電極17、電荷保持層16等の積層構造を支持するための基板である。
対向基板19の材料としては、透光性を有する材料であることが好ましい。例えば、ガラス、プラスチックフィルム等が挙げられる。
−対向電極−
対向電極17は、各表示電極との間に生じる電圧に基づいて、EC層14を発色或いは消色させる。
対向電極17の材料としては、導電性を有する材料であれば、特に限定されない。例えば、透光性を有する導電性材料として、ATO、ITO、FTO、ZnO等が挙げられる。また、導電性金属材料として、チタン、亜鉛、白金、ステンレス等が挙げられる。また、グラファイトなどのカーボンを用いても良い。
−電荷保持層−
電荷保持層16は、表示電極12と対向電極17との間に印加される電圧によって生じる電荷の授受を緩和する。電荷保持層16を設けることで、EC層における発色及び消色の繰り返し耐久性を改善することができる。繰り返し耐久性を高めることで、EC表示素子を用いた表示装置において高精細な表示が可能になる。電荷保持層16は、対向電極17にその機能を持たせることで形成しなくても構わない。
電荷保持層16の材料としては、導電体微粒子材料或いは半導体微粒子材料(微粒子材料)と、ポリマー材料との混合材料を用いることができる。
ポリマー材料として、特別な制約はないが、例えば、アクリル系、アルキド系、フッ素系、イソシアネート系、ウレタン系、アミノ系、エポキシ系、フェノール系等が挙げられる。
導電体微粒子として、例えば、ITO、FTO、ATO等が挙げられる。
半導体微粒子として、例えば、TiO、ZnO、SnO、Nbなどを挙げることができる。
−壁部材−
壁部材13は、表示電極12、EC層14及び白色反射層18を取り囲む。壁部材13の材料としては、アクリレート系(ラジカル重合型)、エポキシ系(カチオン重合型)などの紫外線硬化樹脂材料、エポキシ系、フェノール系、メラミン系などの熱硬化樹脂材料を用いることができる。
−白色反射層−
白色反射層18は、EC素子20と40において、白色の反射率を向上させるためのものである。白色反射層18は、TiO粒子、及びTiO粒子の内部及び表面に分散された金属水酸化物が好ましい。TiO粒子の粒径は、200nm〜3μmであることが好ましく、特に300nm程度であることが好ましい。
−電解質層−
電解質層15は、対向基板19と、周りが壁部材13で囲まれた表示基板11との間に生じるスペースを充填する。電解質層15は、EC層が電解質層15中に含まれるように、該スペースを充填する。電解質層15は、表示電極12と、対向電極17との間で電荷を移動させ、EC層14の発色や消色を促す。
電解質層15の材料としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等の無機イオン塩、4級アンモニウム塩や酸類、アルカリ類の支持塩等を用いることができる。
例えば、LiClO、LiBF、LiAsF、LiPF、LiCFSO、LiCFCOO、KCl、NaCl、NaBF、NaSCN、KBF、Mg(ClO、Mg(BF等が挙げられる。
また、電解質層15の材料としては、イオン性液体を用いることもできる。有機のイオン性液体は、室温を含む幅広い温度領域で液体を示す分子構造を有しているため、用いることが好ましい。
例えば、カチオン成分として、1,3−ジメチルイミダゾール塩、1−メチル−2−エチルイミダゾール塩、1−メチル−3−プロピルイミダゾール塩等のイミダゾール誘導体が挙げられる。また、ジメチルピリジニウム塩、メチルプロピルピリジニウム塩等のピリジニウム誘導体が挙げられる。また、トリメチルプロピルアンモニウム塩、トリメチルヘキシルアンモニウム塩、トリエチルヘキシルアンモニウム塩等の脂肪族4級アンモニウム系が挙げられる。
また、例えば、アニオン成分として、大気中での安定性を考慮して、フッ素を含んだ化合物を用いることが好ましい。例えば、BF 、CFSO 、PF 、(CFSO、(FSO等が挙げられる。
即ち、電解質層15の材料としては、カチオン成分とアニオン成分とを任意に組み合わせたイオン性液体を用いることが好ましい。該イオン性液体は、光重合性モノマー、オリゴマー、及び液晶材料のいずれかに直接溶解させても良い。なお、溶解性が悪い場合は、少量の溶媒(例えば、プロピレンカーボネート、アセトニトリル、γ−ブチロラクトン、エチレンカーボネート、スルホラン、ジオキソラン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、1,2−ジメトキシエタン、ポリエチレングリコール、アルコール類など)に溶解させ、該溶液を光重合性モノマー、オリゴマー、及び液晶材料のいずれかと混合して用いればよい。
−保護層−
更に、保護層を、EC層14の表示基板11と反対側の面に接するように、設けてもよい。
保護層の材料としては、有機高分子材料を用いることが好ましい。例えば、ポリビニルアルコール、ポリNビニルアミド、ポリエステル、ポリスチレン、ポリプロピレンなど一般的な樹脂が挙げられる。
(EC素子の製造方法)
本発明のエレクトロクロミック素子の製造方法は、表示基板上に表示電極を形成する工程と、前記表示電極上に、導電性の金属酸化物の表面に酸化タングステンを被覆した金属酸化物粒子を含むエレクトロクロミック層を形成する工程と、対向基板上に対向電極を形成する工程と、前記表示電基板と前記対向基板とを電解質層を介して貼合せる工程とを有する。
また、本発明のエレクトロクロミック素子の製造方法は、表示基板上に表示電極を形成する工程と、前記表示電極上に、導電性の金属酸化物の表面に酸化タングステンを被覆した金属酸化物粒子を含むエレクトロクロミック層を形成する工程と、前記エレクトロクロミック層上に白色反射層を形成する工程と、対向基板上に対向電極を形成する工程と、前記表示電基板と前記対向基板とを電解質層を介して貼合せる工程とを有する。
次に、図1〜図4に示されるEC素子10、20、30、40の製造方法の一例について説明する。
EC素子10の製造方法は、表示基板11上に表示電極12を形成し、その上にEC層14を形成する第1構成体工程と、対向基板19上に対向電極17、電荷保持層16を形成する第2構成体形成工程と、表示基板11と対向基板19とを貼合せる貼合せ工程とを有する。
EC素子20の製造方法は、表示基板11上に表示電極12を形成し、その上にEC層14を形成し、その上に白色反射層18を形成する第1構成体形成工程と、対向基板19の上に対向電極17を形成し、その上に電荷保持層16を形成する第2構成体形成工程と、表示基板11と対向基板19とを貼合せる貼合せ工程とを有する。
EC素子30の製造方法は、表示基板11上に表示電極12を形成し、その上にEC層14を形成する第1構成体形成工程と、対向基板19上に対向電極17を形成する第2構成体形成工程と、表示基板11と対向基板19とを貼合せる貼合せ工程とを有する。
EC素子40の製造方法は、表示基板11上に表示電極12を形成し、その上にEC層14を形成し、その上に白色反射層18を形成する第1構成体形成工程と、対向基板19上に対向電極17を形成する第2構成体形成工程と、表示基板11と対向基板19とを貼合せる貼合せ工程とを有する。
第1構成体の形成工程について説明する。
まず、表示電極12の形成を行う。
表示基板11(例えば、ガラス基板など)上に、スパッタ法等を用いて、膜厚が約100nm、表面抵抗が約200Ω/□になるように透明導電膜を成膜して表示電極12を形成する。成膜法としては、スパッタ法に限定されず、イオンプレーティング法等、その他の真空成膜法を適用することができる。
次に、EC層14の形成を行う。
まず、担持粒子すなわち金属酸化物粒子を分散した分散液を、表示電極12上に、スピンコート法等により塗布し、次いで溶媒を留去するために乾燥を行う。その後、金属酸化物粒子上にWOを被覆する。
被覆する方法としては、タングステンアルコキシド溶液に、先の金属酸化物粒子を堆積した表示電極12を沈めて静置する。所定時間後に表示電極12を引き上げ、溶媒で軽く洗浄する。得た表示電極12は、加熱等によって加水分解を行い、金属酸化物粒子上にWOを被覆する。このとき、表示電極12を沈めている間に溶媒の加熱を行ってもよく、0〜100℃が好ましく、20〜80℃がより好ましい。沈める時間としては、1〜180分が好ましく、3〜90分がより好ましい。
加水分解する方法は、加熱する手法だけでなく、電子線照射、マイクロ波照射、紫外線照射、レーザー照射、ランプアニールなどが挙げられる。また、上記加水分解を行っている雰囲気は、空気中だけでなく、酸素雰囲気化、オゾン雰囲気化などでも構わない。
次に、EC素子20と40は、白色反射層18の形成を行う。
まず、酸化チタン粒子及び水性ポリウレタン樹脂の分散液を、EC層14上に、スピンコート法により塗布する。その後、120℃で10分間のアニール処理を行う。これにより内部及び表面に金属水酸化物が分散されたTiO粒子による白色反射層18を形成する。白色反射層層は目的に応じて形成しなくてもよい。
その後、壁部材13で取り囲む。
壁部材13としては、第1構成体と第2構成体を密着し、電解質層15をEC素子内部に閉じ込めるように形成される。壁部材13に用いられるものとしては、例えば、紫外線硬化性や熱硬化性の絶縁性樹脂等が用いられ、酸素や水に対するバリア性を有していることが好ましい。また、第1構成体と第2構成体の距離を適切に保つため、前述の絶縁性樹脂中にシリカ等のギャップ剤を含んでも構わない。
第2構成体の形成工程について説明する。
EC素子10〜40は、対向基板19(例えば、ガラス基板など)上に、スパッタ法等を用いて、膜厚が約100nm、表面抵抗が約200Ω/□になるように透明導電膜を成膜する。
次に、電荷保持層形成工程を行う。
電荷保持層16は、ポリマー材料と微粒子材料とを混合して分散媒に分散させ、スピンコーティング法により、対向電極17上に塗布することで形成される。
例えば、対向電極17上に、水性ポリウレタン樹脂及びATO粒子の分散液をスピンコート法により塗布する。その後、120℃で15分間のアニール処理を行うことにより、膜厚が約640nm、表面抵抗が約10Ω/□の電荷保持層16を形成する。
水性ポリウレタン樹脂とATOの重量比(質量%)は、20%:80%〜80%:20%が好ましく、60%:40%〜40%:60%がより好ましい。
塗布法としては、スピンコーティング法、ブレードコーティング法等の印刷手法を適用することができる。
また、図には記載していないが、電荷保持層はATOなどの粒子である必要はなく、平坦膜でも構わない。平坦膜の場合、膜厚は10〜2000nmが好ましく、50〜300nmがより好ましい。
使用される材料としてはATOだけでなく、ITO、FTO、ZnOなどでも構わない。この電荷保持層は、対向電極にその機能を持たせることで形成を省略してもよい。
次に、貼合せ工程を行う。
対向基板19と、表示基板11とを、対向電極と表示電極とが対面するように電解質を挟んで貼合せる。
具体的には、壁部材13に囲まれた表示基板11において、電解質の前駆体材料を、表示電極の上から注入する。注入口を封止することによって、表示基板11と対向基板19とを貼合せる。その後、高圧水銀ランプなどの紫外光照射、或いは加熱によって壁部材を硬化する。
(第2の実施形態)
上記のようにして作製したEC素子を応用した例として、エレクトロクロミック調光レンズが挙げられる。レンズ状に加工したEC素子51をメガネフレーム52に組み込み、スイッチ53及び電源54を備えたものである。電源54は、スイッチ53を介して、図示していない配線により、表示電極及び対向電極と接続されている。スイッチ53を切り替えることにより、例えば、表示電極と対向電極の間にプラス電圧を印加する状態、マイナス電圧を印加する状態、電圧を印加しない状態を選択することが可能である。
スイッチ53としては、例えばスライドスイッチやプッシュスイッチ等の任意のスイッチを用いることができる。但し、少なくとも前述の3つの状態を切り替え可能なスイッチに限る。電源54としては、例えば、ボタン電池や太陽電池等の任意の直流電源を用いることができる。
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
(実施例1:図1に記載するEC素子構成の実施例)
以下のようにしてEC素子を作製した。
(1)電解質の調製
過塩素酸リチウムの1mol/l炭酸プロピレン溶液を調製した。
(2)第1構成体の作製
表示基板11としてのガラス基板(40mm×40mm)の表面全面にスパッタ法により約100nmのITO膜を形成し、表示電極12を作製した。この表示電極12の表面抵抗は約200Ωであった。
この上に、WOを被覆したTiOを有するEC層14を形成した。EC層14は以下のように作製した。TiOペースト(Dyesol社製、18N-RT、平均粒径:18nm)を膜厚約2μmになるようにスクリーン印刷で塗布し、450℃で30分焼成した。得られた電極を、タングステン(VI)イソプロポキシド(Alfa Aesar社製、5%、2−プロパノール溶液)に沈め、40℃で30分静置した。2−プロパノールで洗浄後、450℃で30分焼成した。
そして、表示電極12、EC層14を壁部材13(スリーボンド社製、TB-3035B)で取り囲んだ。
(3)第2構成体の作製
対向基板19の全面にスパッタ法により約100nmのITO膜を形成した後、水性ポリウレタン樹脂及びATOナノ粒子(三菱マテリアル社製、T-1)のテトラフルオロプロパノール(TFP)分散液(ATOとポリマーの混合比は重量比で45:55)をスピンコートし、120℃・15分のアニール処理により、電荷保持層16を形成した。ここでは、電荷保持層の厚さは0.64μmであり、その表面抵抗は10(Ω/□)であった。
(4)EC素子の作製
上記(2)で作製された第1構成体の上から、上記(1)で調製された電解質の前駆体材料を塗布し、その上に、工程(3)で作製された第2構成体を重ね合わせた。高圧水銀ランプにより、中心波長が365nmの紫外線を、10mW/cmの照射光強度で2分間照射し、EC素子を作製した。
このようにして作製されたEC素子の600nmにおける透過率は60.2%であった。このEC素子に−5.0Vの電圧を加えて発色させたところ、600nmにおける透過率は16.8%であり、このときの、発色応答速度は、約1000ミリ秒、消去応答速度は約1000ミリ秒であった。また、消去後に色が完全消えず残ってしまう現象(以下「色残り」と記載)は皆無であった。
次に、このEC素子の繰り返し耐久性を評価した。発色として−5.0Vを2秒、+1.5Vを2秒連続で10万回駆動した後で、消色時の600nmの透過率は58.9%、発色時の600nmの透過率は17.6%と、繰り返し測定前の特性とほとんど変わらない結果であった。
(実施例2:図2に記載するEC素子構成の実施例)
実施例1における第1構成体を形成した後で、次の工程で白色反射層18を形成したこと以外は、実施例1と同様にしてEC表示素子を作製した。
酸化チタン粒子(平均粒径:300nm)及び水性ポリウレタン樹脂のTFP分散液をスピンコートし、120℃・10分のアニール処理により白色反射層18を形成した。
このEC素子は、白色反射層を有しているため、EC特性は反射率で測定した。
得られたEC素子の600nmにおける反射率は64.4%であった。このEC素子に、−5.0Vの電圧を加えて発色させたところ、600nmにおける反射率は8.3%であり、このときの、発色応答速度は、約1000ミリ秒、消去応答速度は約1000ミリ秒であった。また、色残りは皆無であった。
次に、このEC素子の繰り返し耐久性を評価した。発色として−5.0Vを2秒、+1.5Vを2秒連続で10万回駆動した後で、消色時の600nmの反射率は63.7%、発色時の600nmの反射率は9.0%と、繰り返し測定前の特性とほとんど変わらない結果であった。
(比較例1:実施例1に対する比較例(WOを形成しないもの))
実施例1における第1構成体の形成において、「タングステン(VI)イソプロポキシド(Aldrich社製、5%、2−プロパノール溶液)に沈め、40℃で30分静置し、2−プロパノールで洗浄後、450℃で30分焼成する」という工程を除き、TiO多孔質体に対してWOの被覆を行わずに第1構成体を形成した。
得られた素子の特性は、−5.0Vの電圧を印加しても全く発色しなかった。これはEC機能をするWOの被覆がないためと考えられる。
(比較例2:実施例1に対する比較例(WOの代わりに有機色素を用いたもの))
実施例1における第1構成体の形成において、「タングステン(VI)イソプロポキシド(Aldrich社製、5%、2−プロパノール溶液)に沈め、40℃で30分静置し、2−プロパノールで洗浄後、450℃で30分焼成する」という工程を除き、代わりに、下記構造式(1)で示されるビオロゲン化合物の10mM水溶液中に15時間静置し、次いで水で軽く洗浄、乾燥し、第1構成体を形成した以外は、実施例1と同じようにしてEC素子を作製し、特性を評価した。
その結果、EC素子の600nmにおける透過率は59.8%、−5.0Vの電圧を印加して発色させたときの600nmにおける透過率は17.0%と実施例1と同等性能であったが、発色として−5.0Vを2秒、+1.5Vを2秒連続で10万回駆動した後の、消色時の600nmの透過率は41.2%、発色時の600nmの透過率は24.8%と、繰り返し測定前の特性に比較して劣化していることが確認された。
これは、発色する色素が実施例1とは異なり、有機化合物を用いているため、繰り返し耐久性に劣ると考えられる。
(実施例3:図3に記載するEC素子構成の実施例)
第2構成体を、以下のようにして作製した以外は、実施例1と同様にしてEC素子を作製し、特性を評価した。
対向基板19としてのガラス基板(40mm×40mm)上に、全面にスパッタ法により約100nmのITO膜を形成した。
得られたEC素子の600nmにおける透過率は58.4%であった。このEC素子に−5.0Vの電圧を加えて発色させたところ、600nmにおける透過率は15.2%であり、このときの、発色応答速度は、約1000ミリ秒、消去応答速度は約1000ミリ秒であった。また、色残りは皆無であった。
次に、このEC素子の繰り返し耐久性を評価した。発色として−5.0Vを2秒、+1.5Vを2秒連続で10万回駆動した後で、消色時の600nmの透過率は57.3%、発色時の600nmの透過率は14.9%と、繰り返し測定前の特性とほとんど変わらない結果であった。
(実施例4:図4に記載するEC素子構成の実施例)
実施例2の白色反射層を有する第1構成体、及び実施例3の第2構成体を用い、実施例1と同様にしてEC表示素子を作製し、特性を評価した。
このEC素子は、白色反射層を有しているため、EC特性は反射率で測定した。
得られたEC素子の600nmにおける反射率は65.1%であった。このEC素子に、−5.0Vの電圧を加えて発色させたところ、600nmにおける反射率は8.2%であり、このときの、発色応答速度は、約1000ミリ秒、消去応答速度は約1000ミリ秒であった。また、色残りは皆無であった。
次に、このEC素子の繰り返し耐久性を評価した。発色として−5.0Vを2秒、+1.5Vを2秒連続で10万回駆動した後で、消色時の600nmの反射率は64.0%、発色時の600nmの反射率は9.3%と、繰り返し測定前の特性とほとんど変わらない結果であった。
(比較例3:実施例3に対する比較例(ナノワイヤー形状の電極で比表面積が小さいもの))
非特許文献6に記載の方法を用いてZnOナノワイヤーをITO基板(表示基板+表示電極)上に形成し、実施例1と同様にしてWOを被覆した第1構成体を作製した。すなわち本比較例においては、EC層が金属酸化物粒子を含まず、ワイヤー状の金属酸化物を含むこととなる。
そして、実施例3の第2構成体を用い、実施例1と同様にしてEC素子を作製し、特性を評価した。
得られたEC素子の600nmにおける透過率は57.7%であった。このEC素子に−5.0Vの電圧を加えて発色させたところ、600nmにおける透過率は24.6%であり、このときの、発色応答速度は、約1000ミリ秒、消去応答速度は約1000ミリ秒であった。また、色残りは皆無であった。
次に、このEC素子の繰り返し耐久性を評価した。発色として−5.0Vを2秒、+1.5Vを2秒連続で10万回駆動した後で、消色時の600nmの透過率は55.4%、発色時の600nmの透過率は25.5%と、繰り返し測定前の特性とほとんど変わらない結果であった。
第1構成体の多孔質部位(ナノワイヤー形状部位)のみを削り取り、BET比表面積を測定した結果、13cm/gであった。この結果から、BET比表面積が小さく、十分なWOの表面積を稼いでいないため、この素子からは高いコントラスト(発色時の透過率)を得ることができなかったと思われる。
(比較例4:実施例3に対する比較例(多孔質形状を有さないWO平坦膜のEC素子))
第1構成体を以下のようにして作製した以外は、実施例1と同様にしてEC素子を作製し、特性を評価した。
表示基板11としてのガラス基板(40mm×40mm)上に、全面にスパッタ法により約100nmのITO膜を形成した。この上に、スパッタ法によりWO膜を約100nm形成した。
得られたEC素子の600nmにおける透過率は60.5%であった。このEC素子に−5.0Vの電圧を加えて発色させたところ、600nmにおける透過率は19.5%であり、このときの、発色応答速度は、約3000ミリ秒、消去応答速度は約3400ミリ秒であった。また、色残りは皆無であった。
次に、このEC素子の繰り返し耐久性を評価した。発色として−5.0Vを2秒、+1.5Vを2秒連続で10万回駆動した後で、消色時の600nmの透過率は54.3%、発色時の600nmの透過率は26.1%と、繰り返し測定前の特性に比較して若干低下する結果であった。
このEC素子は、約100nmのWO平坦膜であるため、導電性に劣るWO膜の内部を電子移動する必要があること、更に、多孔質形状も有していないため、電解液と接触面積も少ないことの理由から、応答速度が低いと考えられる。また、応答速度が約3000ミリ秒と遅いため、2秒の発消色の繰り返しテストでは十分な発消色が行われず、EC素子中で何らかの高負荷がかかった状態で繰り返しを行っているため、耐久性が若干低下したのではないかと思われる。
(実施例5:金属酸化物にSnOを用いた実施例)
第1構成体を、以下のようにして作製した以外は、実施例1と同様にしてEC素子を作製し、特性を評価した。
SnO粉末(Nanotek)4.5g、エタノール18.0gを、ジルコニアビーズと共にペイントシェーカーで15時間ミリング処理をした。次に、得られた分散液15.0g、エチルセルロース(10cp)のエタノール溶液(10wt%)1.50g、テルピネオール10.55gを混合し、超音波ホモジナイザーで2分間処理した。その後、低沸点成分をロータリーエバポレーターで除去し、SnOペーストを作製した。このSnOペーストを膜厚約2μmになるようにスクリーン印刷で塗布し、450℃で30分焼成した。得られた電極を、タングステン(VI)イソプロポキシド(Alfa Aesar社製、5%、2−プロパノール溶液)に沈め、40℃で30分静置した。2−プロパノールで洗浄後、450℃で30分焼成した。
得られたEC素子の600nmにおける透過率は70.2%であった。このEC素子に−5.0Vの電圧を加えて発色させたところ、600nmにおける透過率は15.9%であり、このときの、発色応答速度は、約900ミリ秒、消去応答速度は約900ミリ秒であった。また、色残りは皆無であった。
次に、このEC素子の繰り返し耐久性を評価した。発色として−5.0Vを2秒、+1.5Vを2秒連続で10万回駆動した後で、消色時の600nmの透過率は69.5%、発色時の600nmの透過率は16.4%と、繰り返し測定前の特性とほとんど変わらない結果であった。
(実施例6:金属酸化物にPTOを用いた実施例)
第1構成体を、以下のようにして作製した以外は、実施例1と同様にしてEC素子を作製し、特性を評価した。
PTO粉末(三菱マテリアル社製)4.5g、エタノール18.0gを、ジルコニアビーズと共にペイントシェーカーで15時間ミリング処理をした。次に、得られた分散液15.0g、エチルセルロース(10cp)のエタノール溶液(10wt%)1.50g、テルピネオール10.55gを混合し、超音波ホモジナイザーで2分間処理した。その後、低沸点成分をロータリーエバポレーターで除去し、PTOペーストを作製した。このPTOペーストを膜厚約2μmになるようにスクリーン印刷で塗布し、450℃で30分焼成した。得られた電極を、タングステン(VI)イソプロポキシド(Alfa Aesar社製、5%、2−プロパノール溶液)に沈め、40℃で30分静置した。2−プロパノールで洗浄後、450℃で30分焼成した。
得られたEC素子の600nmにおける透過率は68.8%であった。このEC素子に−5.0Vの電圧を加えて発色させたところ、600nmにおける透過率は17.4%であり、このときの、発色応答速度は、約900ミリ秒、消去応答速度は約900ミリ秒であった。また、色残りは皆無であった。
次に、このEC素子の繰り返し耐久性を評価した。発色として−5.0Vを2秒、+1.5Vを2秒連続で10万回駆動した後で、消色時の600nmの透過率は68.8%、発色時の600nmの透過率は18.8%と、繰り返し測定前の特性とほとんど変わらない結果であった。
(実施例7:金属酸化物にZnOを用いた実施例)
第1構成体を、以下のようにして作製した以外は、実施例1と同様にしてEC素子を作製し、特性を評価した。
ZnO粉末(NanoTek)4.5g、エタノール18.0gを、ジルコニアビーズと共にペイントシェーカーで15時間ミリング処理をした。次に、得られた分散液15.0g、エチルセルロース(10cp)のエタノール溶液(10wt%)1.50g、テルピネオール10.55gを混合し、超音波ホモジナイザーで2分間処理した。その後、低沸点成分をロータリーエバポレーターで除去し、ZnOペーストを作製した。このZnOペーストを膜厚約2μmになるようにスクリーン印刷で塗布し、450℃で30分焼成した。得られた電極を、タングステン(VI)イソプロポキシド(Alfa Aesar社製、5%、2−プロパノール溶液)に沈め、40℃で30分静置した。2−プロパノールで洗浄後、450℃で30分焼成した。
得られたEC素子の600nmにおける透過率は70.7%であった。このEC素子に−5.0Vの電圧を加えて発色させたところ、600nmにおける透過率は15.5%であり、このときの、発色応答速度は、約900ミリ秒、消去応答速度は約900ミリ秒であった。また、色残りは皆無であった。
次に、このEC素子の繰り返し耐久性を評価した。発色として−5.0Vを2秒、+1.5Vを2秒連続で10万回駆動した後で、消色時の600nmの透過率は70.1%、発色時の600nmの透過率は16.6%と、繰り返し測定前の特性とほとんど変わらない結果であった。
(実施例8:金属酸化物にATOを用いた実施例)
第1構成体を、以下のようにして作製した以外は、実施例1と同様にしてEC素子を作製し、特性を評価した。
ATO粉末(三菱マテリアル社製)4.5g、エタノール18.0gを、ジルコニアビーズと共にペイントシェーカーで15時間ミリング処理をした。次に、得られた分散液15.0g、エチルセルロース(10cp)のエタノール溶液(10wt%)1.50g、テルピネオール10.55gを混合し、超音波ホモジナイザーで2分間処理した。その後、低沸点成分をロータリーエバポレーターで除去し、ATOペーストを作製した。このATOペーストを膜厚約2μmになるようにスクリーン印刷で塗布し、450℃で30分焼成した。得られた電極を、タングステン(VI)イソプロポキシド(Alfa Aesar社製、5%、2−プロパノール溶液)に沈め、40℃で30分静置した。2−プロパノールで洗浄後、450℃で30分焼成した。
得られたEC素子の600nmにおける透過率は67.3%であった。このEC素子に−5.0Vの電圧を加えて発色させたところ、600nmにおける透過率は18.2%であり、このときの、発色応答速度は、約900ミリ秒、消去応答速度は約900ミリ秒であった。また、色残りは皆無であった。
次に、このEC素子の繰り返し耐久性を評価した。発色として−5.0Vを2秒、+1.5Vを2秒連続で10万回駆動した後で、消色時の600nmの透過率は66.2%、発色時の600nmの透過率は18.7%と、繰り返し測定前の特性とほとんど変わらない結果であった。
(実施例9:金属酸化物にITOを用いた実施例)
第1構成体を、以下のようにして作製した以外は、実施例1と同様にしてEC素子を作製し、特性を評価した。
ITO粉末(三菱マテリアル社製)4.5g、エタノール18.0gを、ジルコニアビーズと共にペイントシェーカーで15時間ミリング処理をした。次に、得られた分散液15.0g、エチルセルロース(10cp)のエタノール溶液(10wt%)1.50g、テルピネオール10.55gを混合し、超音波ホモジナイザーで2分間処理した。その後、低沸点成分をロータリーエバポレーターで除去し、ITOペーストを作製した。このITOペーストを膜厚約2μmになるようにスクリーン印刷で塗布し、450℃で30分焼成した。得られた電極を、タングステン(VI)イソプロポキシド(Alfa Aesar社製、5%、2−プロパノール溶液)に沈め、40℃で30分静置した。2−プロパノールで洗浄後、450℃で30分焼成した。
得られたEC素子の600nmにおける透過率は66.6%であった。このEC素子に−5.0Vの電圧を加えて発色させたところ、600nmにおける透過率は14.9%であり、このときの、発色応答速度は、約900ミリ秒、消去応答速度は約900ミリ秒であった。また、色残りは皆無であった。
次に、このEC素子の繰り返し耐久性を評価した。発色として−5.0Vを2秒、+1.5Vを2秒連続で10万回駆動した後で、消色時の600nmの透過率は64.8%、発色時の600nmの透過率は15.1%と、繰り返し測定前の特性とほとんど変わらない結果であった。
(比較例5:金属酸化物にアルミナ(Al)を用いた実施例)
第1構成体を、以下のようにして作製した以外は、実施例1と同様にしてEC素子を作製し、特性を評価した。
Al粉末(NanoTek)4.5g、エタノール18.0gを、ジルコニアビーズと共にペイントシェーカーで15時間ミリング処理をした。次に、得られた分散液15.0g、エチルセルロース(10cp)のエタノール溶液(10wt%)1.50g、テルピネオール10.55gを混合し、超音波ホモジナイザーで2分間処理した。その後、低沸点成分をロータリーエバポレーターで除去し、Alペーストを作製した。このAlペーストを膜厚約2μmになるようにスクリーン印刷で塗布し、450℃で30分焼成した。得られた電極を、タングステン(VI)イソプロポキシド(Alfa Aesar社製、5%、2−プロパノール溶液)に沈め、40℃で30分静置した。2−プロパノールで洗浄後、450℃で30分焼成した。
得られたEC素子の600nmにおける透過率は69.3%であった。このEC素子に−5.0Vの電圧を加えて発色させたところ、600nmにおける透過率は64.4%とほとんど発色しなかった。これは、金属酸化物粒子に絶縁体を用いているため、表面に被覆したWO膜を電子が移動する必要があるため、効果が低かったと思われる。
(比較例6:金属酸化物にシリカ(SiO)を用いた実施例)
第1構成体を、以下のようにして作製した以外は、実施例1と同様にしてEC素子を作製し、特性を評価した。
SiO粉末(NanoTek)4.5g、エタノール18.0gを、ジルコニアビーズと共にペイントシェーカーで15時間ミリング処理をした。次に、得られた分散液15.0g、エチルセルロース(10cp)のエタノール溶液(10wt%)1.50g、テルピネオール10.55gを混合し、超音波ホモジナイザーで2分間処理した。その後、低沸点成分をロータリーエバポレーターで除去し、SiOペーストを作製した。このSiOペーストを膜厚約2μmになるようにスクリーン印刷で塗布し、450℃で30分焼成した。得られた電極を、タングステン(VI)イソプロポキシド(Alfa Aesar社製、5%、2−プロパノール溶液)に沈め、40℃で30分静置した。2−プロパノールで洗浄後、450℃で30分焼成した。
得られたEC素子の600nmにおける透過率は70.1%であった。このEC素子に−5.0Vの電圧を加えて発色させたところ、600nmにおける透過率は67.1%とほとんど発色しなかった。これは、金属酸化物粒子に絶縁体を用いているため、表面に被覆したWO膜を電子が移動する必要があるため、効果が低かったと思われる。
実施例、比較例の構成及び評価結果を表2に示す。表中、「−」とあるのは配合・測定・評価なしを表す。
以上、実施例1と比較例1を比較することにより、本発明はWOを金属酸化物粒子に被覆しているためEC特性を有していることがわかる。
また、実施例1と比較例2を比較することにより、本発明はWOという無機化合物を用いているため、高い耐久性を有していることがわかる。
また、実施例3と比較例3、4を比較することにより、本発明はWOを金属酸化物粒子に被覆した比表面積の大きな多孔質構造を用いているため、比表面積の小さなものに比較して、高いコントラストと速い応答性を有していることがわかる。
また、実施例1と実施例5〜9を比較することにより、本発明は、金属酸化物粒子としてTiOよりもSnO、PTO、ZnO、ATO、ITOを用いることで、より高い透明性を発揮することができる。
以上明らかなように、本発明のEC素子は、速い応答性、高い耐久性、並びに優れたコントラスト性能を有することが可能である。
10 EC素子
11 表示基板
12 表示電極
13 壁部材
14 EC層
15 電解質層
16 電荷保持層
17 対向電極
18 白色反射層
19 対向基板
20 EC素子
30 EC素子
40 EC素子
50 EC素子を備えた調光メガネ
51 EC調子レンズ
52 メガネフレーム
53 スイッチ
54 電源
特開2003−121883号公報 特開2006−106669号公報 特開2010−33016号公報 特開2012−137736号公報 特開2015−14743号公報 特開2015−28580号公報
S. K. Deb, Appl. Opt. Suppl., 192-195, Vol.3 (1969). S. K. Deb, Philos. Mag., 801-822, Vol.27 (1973). C. G. Granqvist, Handbook of Inorganic Electrochromic Oxide, Elsevior, (1995). A. Hagfeldt, N. Vlachopoulos, M. Gratzel, J. Electrochem. Soc., L82-L84, Vol.141 (1994). G.F.Cai, D.Zhou, Q.Q.Xiong, J.H.Zhang, X.L.Wang, C.D.Gu, J.P.Tu, Sol. Energy Mater. Sol. Cells, 231-238, Vol.117 (2013). S. Park, T. Hong, J. Jung, C. Lee, Curr. Appl. Phys., 1171-1175, Vol.14 (2014).

Claims (9)

  1. 表示基板と、表示電極と、前記表示電極に接して設けられたエレクトロクロミック層と、前記表示基板に対向して設けられた対向基板と、対向電極と、前記表示基板と前記対向基板との間を充填する電解質層と、を有するエレクトロクロミック素子であって、
    前記エレクトロクロミック層は、導電性の金属酸化物の表面を酸化タングステンで被覆された金属酸化物粒子を有することを特徴とするエレクトロクロミック素子。
  2. 表示基板と、表示電極と、前記表示電極に接して設けられたエレクトロクロミック層と、前記表示基板に対向して設けられた対向基板と、対向電極と、前記表示基板と前記対向基板との間を充填する電解質層と、前記エレクトロクロミック層と前記対向電極との間に設けられた白色反射層と、を有するエレクトロクロミック素子であって、
    前記エレクトロクロミック層は、導電性の金属酸化物の表面を酸化タングステンで被覆された金属酸化物粒子を有することを特徴とするエレクトロクロミック素子。
  3. 前記対向電極に接して設けられた電荷保持層を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のエレクトロクロミック素子。
  4. 前記エレクトロクロミック層が、複数の前記金属酸化物粒子により形成される多孔質形状を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のエレクトロクロミック素子。
  5. 前記多孔質形状のBET比表面積が、20以上であることを特徴とする請求項4に記載のエレクトロクロミック素子。
  6. 前記金属酸化物が、酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化インジウムスズ、アンチモンドープ酸化スズ及びリンドープ酸化スズから選ばれる少なくとも一つ以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のエレクトロクロミック素子。
  7. 前記金属酸化物の粒子の平均粒径が、100nm以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のエレクトロクロミック素子。
  8. 表示基板上に表示電極を形成する工程と、前記表示電極上に、導電性の金属酸化物の表面に酸化タングステンを被覆した金属酸化物粒子を含むエレクトロクロミック層を形成する工程と、対向基板上に対向電極を形成する工程と、前記表示電基板と前記対向基板とを電解質層を介して貼合せる工程と、を有することを特徴とするエレクトロクロミック素子の製造方法。
  9. 表示基板上に表示電極を形成する工程と、前記表示電極上に、導電性の金属酸化物の表面に酸化タングステンを被覆した金属酸化物粒子を含むエレクトロクロミック層を形成する工程と、前記エレクトロクロミック層上に白色反射層を形成する工程と、対向基板上に対向電極を形成する工程と、前記表示電基板と前記対向基板とを電解質層を介して貼合せる工程と、を有することを特徴とするエレクトロクロミック素子の製造方法。
JP2016094616A 2016-05-10 2016-05-10 エレクトロクロミック素子及びその製造方法 Pending JP2017203843A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016094616A JP2017203843A (ja) 2016-05-10 2016-05-10 エレクトロクロミック素子及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016094616A JP2017203843A (ja) 2016-05-10 2016-05-10 エレクトロクロミック素子及びその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2017203843A true JP2017203843A (ja) 2017-11-16

Family

ID=60322936

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016094616A Pending JP2017203843A (ja) 2016-05-10 2016-05-10 エレクトロクロミック素子及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2017203843A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN114326240A (zh) * 2020-09-28 2022-04-12 东芝高新材料公司 电致变色元件

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN114326240A (zh) * 2020-09-28 2022-04-12 东芝高新材料公司 电致变色元件
JP7379306B2 (ja) 2020-09-28 2023-11-14 東芝マテリアル株式会社 エレクトロクロミック素子
CN114326240B (zh) * 2020-09-28 2024-03-15 东芝高新材料公司 电致变色元件

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6323154B2 (ja) エレクトロクロミック表示素子及びその製造方法、並びに表示装置、情報機器及びエレクトロクロミック調光レンズ
JP5782860B2 (ja) エレクトロクロミック表示装置並びにその製造方法及び駆動方法
JP6610023B2 (ja) エレクトロクロミック表示装置
JP2013254196A (ja) エレクトロクロミック表示装置
JP2016105150A (ja) エレクトロクロミック装置及びその製造方法
JP5648805B2 (ja) エレクトロクロミック表示素子
KR101945434B1 (ko) 리간드-금속산화물층을 포함하는 자기구동 전기변색소자
JP6171812B2 (ja) エレクトロクロミック表示素子、エレクトロクロミック調光レンズ、表示装置及び情報機器並びにエレクトロクロミック表示素子の製造方法
JP6295616B2 (ja) 調光レンズユニット
JP2017026750A (ja) エレクトロクロミック素子、調光眼鏡及びエレクトロクロミック素子の製造方法
JP5403506B2 (ja) 表示素子、それを用いた光学シャッター及び表示素子装置
JP2016156930A (ja) エレクトロクロミック表示素子、表示装置、情報機器、エレクトロクロミック表示素子の製造方法、エレクトロクロミック調光レンズ
Meng Organic Electronics for Electrochromic Materials and Devices
JP5630248B2 (ja) エレクトロクロミック表示素子
JP2017203843A (ja) エレクトロクロミック素子及びその製造方法
TWI450009B (zh) 電致變色裝置及其製程方法
JP6776510B2 (ja) エレクトロクロミック表示素子、表示装置、情報機器、エレクトロクロミック表示素子の製造方法、エレクトロクロミック調光レンズ
JP2009192985A (ja) エレクトロクロミック装置及びその製造方法
JP5526887B2 (ja) エレクトロクロミック表示装置
JP5445338B2 (ja) エレクトロクロミック表示素子の製造方法
JP2003315843A (ja) エレクトロクロミックディスプレイ
JP6478041B2 (ja) エレクトロクロミック素子の駆動方法
JP2011017873A (ja) エレクトロクロミック表示装置及びその駆動方法
JP5177294B2 (ja) 電気化学表示素子
JP2010256436A (ja) 電気化学表示素子