JP5343262B2 - 可撓止水継手の補修構造および補修方法 - Google Patents

可撓止水継手の補修構造および補修方法 Download PDF

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Description

この発明は、可撓止水継手の補修構造および補修方法に関し、洞道、上下水道、地下鉄、共同溝等の中空構造物の耐震性や止水性のための可撓止水継手に地震などで変位が生じた後の補修に適用して好適なものである。
従来の地中に構築される中空構造物(例えば、ボックスカルバート、セグメントリング、推進管、暗渠など)の継手のひとつとして、互いに対向する一対の筒状の中空構造物の対向端部に筒状の枠体をそれぞれ碇着させるとともに、ゴム・合成樹脂等の弾性体からなる短筒状に形成した可撓止水継手の両端部を、前記枠体の内周面に水密的に取り付けて地盤の不等沈下に伴なう中空構造物の相対変位を吸収させると共に、これらの構造物間の止水を行なうようにしたものがある。
このような中空構造物である暗渠の可撓止水継手の一例として、特許文献1に開示されたものがあり、図6に外観斜視状態および底部の継手断面状態を示すように、1対の相対向させた暗渠a,aの端部の内周面に形成された段差部b,bに沿ってフランジh,hおよび端面部i,iを備えた取付枠体g,gをそれぞれ碇着させ、これらの取付枠体g,gの段差部b,bに沿うフランジh,hに跨って、ゴム・合成樹脂等の弾性材からなる短筒形に形成され、かつ中央に内周側に膨出した環状のくびれ部を有し、さらに、このくびれ部の両側から延びるフランジ部d,dを有する可撓止水継手eをこれらフランジ部d,dにおいて固着し、前記段差部b,bと前記可撓止水継手eとの間に形成された空間部に、この可撓止水継手eの軸方向への膨出変形を防止する保護材を配設して構成してある。なお、kは継手の外周側に介在された目地材である。
このような可撓止水継手eで連結された暗渠a,aが地震などで変位を生じてしまうと、そのままの状態で使用することは好ましくなく、可撓止水継手を次ぎの地震などに備えて常態に戻しておく必要がある。
このような可撓止水継手を補修する方法としては、相対向する一対の暗渠のうち、一方の暗渠に新たな取付枠体を用意し、変位が生じた可撓止水継手を撤去して元の取付枠体に溶接することで、変位をなくし、この新たな取付枠体と他方の元の取付枠体との間に目地部を跨いで新たな可撓性継手を取り付けることが考えられる。
特公昭63−58982号公報
ところが、変位が生じた暗渠の状態によっては、簡単に可撓止水継手を撤去することができない場合があり、一方の暗渠の取付枠体を利用して新たな取付枠体を溶接することができないという問題がある。また、この場合には、コンクリート製の暗渠にアンカーボルトを打設して新たな取付枠体を固定し、コンクリート表面との間を止水する必要があり、コンクリート表面の修正が必要となって鉄筋アンカーの打設、鉄筋の組立、型枠の建て込み、コンクリートの打設・養生、型枠の撤去などの多くの工程が必要で、多くの時間と手間がかかり、可撓止水継手の補修完了までにかなりの工期を要し、短時間に補修交換を行うことができないという問題がある。
この発明は、上記従来技術の問題点に鑑みてなされたもので、既設の可撓止水継手を残したままで、コンクリート表面の修正を行うことなく短時間に可撓止水継手を補修することができる可撓止水継手の補修構造および補修方法を提供しようとするものである。
かかる従来技術の課題を解決するこの発明の請求項1記載の可撓止水継手の補修構造は、相対向する中空構造物の端部の目地部に跨って可撓性材料からなる環状の可撓止水継手を取り付けた可撓止水継手の補修構造であって、前記環状の可撓止水継手は、前記目地部の内周面にそれぞれ形成された段差部に取り付けられて当該目地部に生じた変位に応じて変形したまま残した状態とされる一方、
変位が生じた目地部を挟む前記中空構造物の内周面に、変位を吸収して相対向し新たな補修用可撓止水継手を取り付ける取付枠体を固定設置し、これら取付枠体と前記中空構造物の周面との間に弾性シール材で仕切られる複数の空間を形成し、各空間を前記弾性シール材で充填材をシール可能状態とし、各シール状態の空間に、接着し止水する充填材を充填し、前記弾性シール材をさらに締め付けて当該空間を狭め、空間に連通するねじ孔からの充填材の漏出を確認して固化させ、
目地部を跨いで相対向する取付枠体間に前記補修用可撓止水継手を取り付けて構成したことを特徴とするものである。
また、この発明の請求項2記載の可撓止水継手の補修構造は、請求項1記載の構成に加え、前記取付枠体を、複数に分割され連結可能なセグメント式枠部材で環状に構成することを特徴とするものである。
さらに、この発明の請求項3記載の可撓止水継手の補修構造は、請求項1または2記載の構成に加え、前記取付枠体に、目地部に生じた変位を調整する調整枠部材を介して前記補修用可撓止水継手を取り付けて構成したことを特徴とするものである。
さらに、この発明の請求項4記載の可撓止水継手の補修方法は、相対向する中空構造物の端部の目地部に跨って可撓性材料からなる環状の可撓止水継手を取り付けた可撓止水継手を残したまま補修するに際し、前記環状の可撓止水継手は、前記目地部の内周面にそれぞれ形成された段差部に取り付けられて当該目地部に生じた変位に応じて変形したまま残した状態とされる一方、変位が生じた目地部を挟む前記中空構造物の内周面に、変位を吸収して相対向し新たな補修用可撓止水継手を取り付ける取付枠体を固定設置し、次いで、これら取付枠体と前記中空構造物の周面との間に弾性シール材で仕切られる複数の空間を形成し、各空間を前記弾性シール材で充填材をシール可能な状態とした後、各シール状態の空間に、接着し止水する充填材を充填し、次いで前記弾性シール材をさらに締め付けて当該空間を狭め、空間に連通するねじ孔からの充填材の漏出を確認して固化させた後、目地部を跨いで相対向する取付枠体間に補修用可撓止水継手を取り付けるようにしたことを特徴とするものである。
また、この発明の請求項5記載の可撓止水継手の補修方法は、請求項4記載の構成に加え、前記取付枠体を、複数に分割され連結可能なセグメント式枠部材で構成し環状に連結しながら固定するようにしたことを特徴とするものである。
また、この発明の請求項6記載の可撓止水継手の補修方法は、請求項4または5記載の構成に加え、前記取付枠体に、目地部に生じた変位を調整する調整枠部材を介して前記補修用可撓止水継手を取り付けるようにしたことを特徴とするものである。
この発明の請求項1記載の可撓止水継手の補修構造によれば、相対向する中空構造物の端部の目地部に跨って可撓性材料からなる環状の可撓止水継手を取り付けた可撓止水継手の補修構造であって、前記環状の可撓止水継手は、前記目地部の内周面にそれぞれ形成された段差部に取り付けられて当該目地部に生じた変位に応じて変形したまま残した状態とされる一方、変位が生じた目地部を挟む前記中空構造物の内周面に、変位を吸収して相対向し新たな補修用可撓止水継手を取り付ける取付枠体を固定設置し、これら取付枠体と前記中空構造物の周面との間に弾性シール材で仕切られる複数の空間を形成し、各空間を前記弾性シール材で充填材をシール可能状態とし、各シール状態の空間に、接着し止水する充填材を充填し、前記弾性シール材をさらに締め付けて当該空間を狭め、空間に連通するねじ孔からの充填材の漏出を確認して固化させ、目地部を跨いで相対向する取付枠体間に前記補修用可撓止水継手を取り付けて構成したので、補修用可撓止水継手を取り付ける新たな取付枠体を弾性シール材を介して目地部の内部または外部の中空構造物に固定することで、弾性シール材で仕切られた空間を形成することができ、この空間に充填材を注入することでコンクリート表面などの中空構造物表面の補修を行うことなく止水性を確保することができ、既設の可撓止水継手を残したまま新たな可撓止水継手を目地部を挟んで相対向する取付枠体間に簡単に取り付けることができる。
また、前記取付枠体に、中空構造物との間の空間に連通するねじ孔を複数形成し、充填材を充填可能および充填確認可能に構成したので、充填材をねじ孔を利用して充填することができるとともに、ねじ孔からあふれ出る充填材によって充填状態を確認でき、確実に止水することができる。
これにより、取付枠体をコーキング処理することで止水する場合に比べ、取付枠体を固定した後、直ちに充填材を充填することができ、短時間に確実に止水することができる。
また、この発明の請求項2記載の可撓止水継手の補修構造によれば、前記取付枠体を、複数に分割され連結可能なセグメント式枠部材で環状に構成したので、セグメント式枠部材を環状に連結することで取付枠体を設置でき、一層簡単に施工することができるとともに、個々の部材を軽量化することができ、重機などを用いることなく施工することができる。
さらに、この発明の請求項3記載の可撓止水継手の補修構造によれば、前記取付枠体に、目地部に生じた変位を調整する調整枠部材を介して前記補修用可撓止水継手を取り付けて構成したので、取付枠体とは別に調整枠部材を用いることで、変位の調整が簡単にでき、同一仕様の取付枠体を多数用意するとともに、変位に応じた調整枠部材を少数用意すれば良く、短時間に製造することができる。
さらに、この発明の請求項4記載の可撓止水継手の補修方法によれば、相対向する中空構造物の端部の目地部に跨って可撓性材料からなる環状の可撓止水継手を取り付けた可撓止水継手を残したまま補修するに際し、前記環状の可撓止水継手は、前記目地部の内周面にそれぞれ形成された段差部に取り付けられて当該目地部に生じた変位に応じて変形したまま残した状態とされる一方、変位が生じた目地部を挟む前記中空構造物の内周面に、変位を吸収して相対向し新たな補修用可撓止水継手を取り付ける取付枠体を固定設置し、次いで、これら取付枠体と前記中空構造物の周面との間に弾性シール材で仕切られる複数の空間を形成し、各空間を前記弾性シール材で充填材をシール可能な状態とした後、各シール状態の空間に、接着し止水する充填材を充填し、次いで前記弾性シール材をさらに締め付けて当該空間を狭め、空間に連通するねじ孔からの充填材の漏出を確認して固化させた後、目地部を跨いで相対向する取付枠体間に補修用可撓止水継手を取り付けるようにしたので、補修用可撓止水継手を取り付ける新たな取付枠体を弾性シール材を介して目地部の内部または外部の中空構造物に固定することで、弾性シール材で仕切られた空間を形成することができ、この空間に充填材を注入することでコンクリート表面などの中空構造物表面の補修を行うことなく止水性を確保することができ、既設の可撓止水継手を残したまま新たな可撓止水継手を目地部を挟んで相対向する取付枠体間に簡単に取り付けることができる。
また、前記取付枠体に、中空構造物との間の空間に連通するねじ孔を複数形成し、充填材を充填するとともに、充填状態を確認した後、ねじ孔を塞ぐようにしたので、充填材をねじ孔を利用して充填することができるとともに、ねじ孔からあふれ出る充填材によって充填状態を確認でき、これらのねじ孔を塞ぐことで確実に止水することができる。
これにより、取付枠体をコーキング処理することで止水する場合に比べ、取付枠体を固定した後、直ちに充填材を充填することができ、短時間に確実に止水することができる。
また、この発明の請求項5記載の可撓止水継手の補修方法によれば、前記取付枠体を、複数に分割され連結可能なセグメント式枠部材で構成し環状に連結しながら固定するようにしたので、セグメント式枠部材を環状に連結することで取付枠体を設置でき、一層簡単に施工することができるとともに、個々の部材を軽量化することができ、重機などを用いることなく施工することができる。
また、この発明の請求項6記載の可撓止水継手の補修方法によれば、前記取付枠体に、目地部に生じた変位を調整する調整枠部材を介して前記補修用可撓止水継手を取り付けるようにしたので、取付枠体とは別に調整枠部材を用いることで、変位の調整が簡単にでき、同一仕様の取付枠体を多数用意するとともに、変位に応じた調整枠部材を少数用意すれば良く、短時間に製造して施工することができる。
この発明の可撓止水継手の補修構造の一実施の形態にかかる横断面図である。 この発明の可撓止水継手の補修構造の一実施の形態にかかる取付枠体を抽出した概略斜視図である。 この発明の可撓止水継手の補修構造の一実施の形態にかかる取付枠体の連結および弾性シール材の異なる取付状態の概略説明図である。 この発明の可撓止水継手の補修構造の一実施の形態にかかる充填材の注入・充填の概略説明図である。 この発明の可撓止水継手の補修構造の他の一実施の形態にかかる横断面図である。 従来の中空構造物(暗渠)の概略斜視図および可撓止水継手の取付状態の底部分の断面図である。
以下、この発明を実施するための形態について図面を参照して詳細に説明する。
この可撓止水継手の補修構造20が適用される既存の可撓止水継手の取付構造は、中空構造物11、例えばボックスカルバート型の暗渠11で、捨石基盤上にコンクリートを打設することで断面が矩形に形成され、相対向する暗渠11,11の端部の目地部11aの内周面にそれぞれ可撓止水継手20を取り付けるための段差部12、12が形成され、これらの段差部12で形成される環状の空間が継手用設置スペースとされて既設の可撓止水継手13が設置された場合(図6に示す場合)で、変位が生じた既設の可撓止水継手13を残したまま補修用の新たな可撓止水継手21をその内部(内周側)に設置して補修する場合や、これとは逆に中空構造物11である相対向する暗渠11、11の端部の外周面にそれぞれ可撓止水継手13を取り付けるための段差部12、12が形成され、これらの段差部12で形成される環状の空間が継手用設置スペースとされて既設の可撓止水継手13が設置された場合で、変位が生じた既設の可撓止水継手13を残したまま補修用の新たな可撓止水継手21をその外部(外周側)に設置して補修する場合のいずれにも適用できるものである。
なお、既設の可撓止水継手13は、従来例で説明したように、各段差部12の端面12aに環状に横断面形状がL字状の外枠板14が暗渠11に埋設固定されたアンカー部材15にゴムワッシャおよびブチルゴムシートからなるシール材を介してナット16で取り付けられ、ナット16の外側に保護部材17が配置してある。
この可撓止水継手の補修構造20では、図1に示すように、中空構造物である暗渠11、11の既設の可撓止水継手13の外部に新たに補修用可撓継手21を設置して補修する場合の実施の形態について説明する。
この可撓止水継手の補修構造20では、中空構造物である暗渠11、11の目地部11aの外部に相対向して補修用の取付枠体22が取り付けられる。
この補修用の取付枠体22は、図2に示すように、横断面形状がL字状とされ環状方向に分割されて連結可能とされたセグメント式の枠部材22aを備え、相対向させて補修用可撓止水継手21を取り付ける取付板部22bと暗渠11の表面に固定する固定板部22cとで構成されるとともに、枠部材22aの両端部にフランジ部22dが設けられて環状に連結できるようになっており、中間部に補強板22eが取り付けてある。
このような取付枠体22の枠部材22aの取付板部22bは、暗渠11、11に生じた変位に対応して高さが設定してあり(図1参照)、相対向させて取り付ける補修用可撓止水継手21を変位の無い状態で取り付けることができるように予め一定ピッチで可撓止水継手21を取り付けるためボルト孔22fが形成してある。
また、この取付枠体22の固定板部22cには、暗渠11に打設するアンカーボルト23に固定するためのボルト孔22gが形成されるとともに、暗渠11と接着し止水する充填材24を充填したり、充填材24の充填状態を確認するための貫通するねじ孔22hが複数形成してあり、少なくとも両端部のフランジ部22dの近傍の2ヶ所設けるようにする。
このような補修用の取付枠体22を用いて行う補修方法では、図3に示すように、1つの取付枠体22を固定板部22cを上方に向けた状態とし、各固定板部22cの周縁に沿って弾性シール材25を取り付け、この弾性シール材25を取り付けた固定板部22cと暗渠11の表面との間に密閉され独立した複数の空間26を形成できるようにしたり(図3(b)参照)、あるいは取付枠体22同士をフランジ部22dを利用して作業に支障のない個数を連結状態としたものの両側縁部に弾性シール材25を取り付けて連続した1つないし複数の空間26を形成できるようにする(図3(c)参照)。
このため弾性シール材25としては、例えば加硫ゴムなどの弾性体を帯状にしたものが用いられ、弾性シール材25の厚さを厚くすることで、取り付けの際に圧縮させて暗渠11の表面の不陸を吸収させるようにし、例えばゴム厚さを13mm程度としたものを用い、固定の際に約4mm程度まで圧縮することで、暗渠11の表面に±3mm程度の不陸が生じてもこの影響を吸収して密閉空間を確保できることを確認している。
こうして弾性シール材25を取り付けた取付枠体22は、図1および図4に示すように、暗渠11、11の目地部11aを挟んで取付板部22bが対向するように配置し、打設したアンカーボルト23に固定板部22cのボルト孔22gを挿通させてナット23aで締め付けて固定する。こうすることで、取付枠体22の固定板部22cと暗渠11の表面との間に弾性シール材25で密閉された空間26を形成でき、この空間26を充填材24の充填用の型枠とすることができる。
こうして暗渠11の外部に取り付けた取付枠体22の固定板部22cの空間26には、固定板部22cに形成したねじ孔22hが連通しており、ねじ孔22hの1つを利用してグラウト材、あるいはエポキシ樹脂などの充填材24を充填する。この充填材24は、空間26に隙間なく充填することで、取付枠体22を暗渠11に強固に接合し止水状態とする必要があり、充填に用いたねじ孔22hと離れた開放状態のねじ孔22hから充填材24が漏れ出るようにすることで空気などを介在させることなく充填されていることを確認する。
なお、充填材24を充填前は、弾性シール材25を周囲から充填材24が漏れ出ない状態まで圧縮した状態とし、充填後、アンカーボルト23にナット23aをさらに締め付けて弾性シール材25をさらに圧縮して空間26を狭めるようにすることで、一層確実に隙間なく充填することができる。
こうして充填材24を暗渠11の表面と取付枠体22の固定板部22cと弾性シール材25とで仕切られた空間26に隙間なく充填し、これを確認した後、ねじ孔22hにプラグ27を取り付けて密閉する。
このような暗渠11、11への取付枠体22、22の設置と充填材24の充填は、取付枠体22,22を環状方向に組み立てながら固定が完了したものに順次充填材24を充填していけば良く、従来のように、取付枠体の端部をコーキングし、養生が完了するまで待って充填材を充填する必要がなく、弾性シール材25を圧縮状態で取り付けることで、充填材24の充填が直ちに可能となり、短時間に施工することができる。
こうして環状に取付枠体22が組み立てられた後、暗渠11,11の目地部11aを跨ぐように補修用可撓止水継手21を配置し、図1に示す横断面形状において、中間部に逆U字状の伸縮部21aを備えるとともに、両端部にL字状の板状部21bを備えた補修用可撓止水継手21の板状部21b,21bを取付枠体22の取付板部22aのボルト孔22fに挿通したボルト・ナット28を介してシール材としてのゴムワッシャ、ブチルゴムシートおよび保護部材29を介してシール状態で締め付け、補修用可撓止水継手21を略短筒状に取り付けて補修が完了する。
このような可撓止水継手の補修構造20および補修方法によれば、既設の可撓止水継手13の撤去が困難であっても補修用の取付枠体22を用いることで補修用可撓止水継手21を設置することができるとともに、補修に際して溶接などの火器を使用することなく施工することができる。
また、この可撓止水継手の補修構造20および補修方法によれば、既設の中空構造物である暗渠11、11の外部または内部に、セグメント式の分割された取付枠体22を連結しながら組み立て行くことで補修用可撓止水継手21を施工でき、各部材を細分化することで、重機などの設備を不要として施工することができる。
さらに、この可撓止水継手の補修構造20および補修方法によれば、既設の中空構造物である暗渠11,11に弾性シール材25を取り付けた取付枠体22を設置して暗渠11の表面と取付枠体22との間に弾性シール材25による密閉空間26を形成し、この空間26を型枠としてグラウト材あるいはエポキシ樹脂などの充填材24を充填するようにしたので、従来工法である取付枠体をコーキング処理する場合に比べ、確実に止水することができるとともに、コーキング処理の養生の必要がなく、取付枠体22を設置後、直ちに充填材24を充填することができ、工期を短縮することが可能である。また、弾性シール材25自体にも止水効果があり、従来工法に比べ止水性を向上することが可能で、高水圧条件の補修構造としても適用することができるとともに、水圧条件が従来と同一であれば、アンカーボルト23の本数を減らすことも可能となる。
さらに、この可撓止水継手の補修構造20および補修方法によれば、取付枠体22の製作寸法を変更することで、既設の中空構造物のあらゆる残留変位に対応して補修用可撓止水継手21を施工することができる。
なお、可撓止水継手の補修構造20Aおよび補修方法として、図5に示すように、取付枠体22に変位に応じた高さの調整枠部材30を用意して取付枠体22に予め溶接などでシール状態で取り付けておくことで、一定の寸法の取付枠体22を多数用意し、これに調整枠部材30を連結して変位に応じたものとすることで、取付枠体22の製作効率を向上することができるとともに、大きな残留変位に対しても細分割化して製作することができる。また、補修用可撓止水継手21Aとして図5に示す横断面形状において、中間部の伸縮部21Aaを下方が開口するコ字状とし、この伸縮部21Aaに平板状の板状部21Abが連続する形状とすることで、平板状の板状部21Abを中空構造物である暗渠11、11の外面と平行に配置して取り付けることができ、既に説明した補修用可撓止水継手21に比べ、大きな変位に対応することができる。
なお、補修用可撓止水継手の形状は、上記2つの実施の形態で説明したものに限らず、伸縮部を複数の凸状を備えたものとするなど他の形状であっても良い。
また、この可撓止水継手の補修構造20および補修方法によれば、取付枠体22で補修用可撓止水継手21のスペースを構築可能であり、中空構造物の外側からも施工可能である。すなわち、従来の既設構造物の外周面に可撓止水継手を組み付ける場合、可撓止水継手を現地にて接合する必要があり、接合作業を行うスペースが事実上皆無であったため実施できなかったが、分割構造の取付枠体を組み立てて行く工法のため、重機などの設備も不要で、スペースを確保して外側から施工することができる。
10 既設の可撓止水継手の取付構造
11 暗渠(中空構造物)
11a 目地部
12 段差部
12a 端面
13 既設の可撓止水継手
14 外枠板
15 アンカー部材
16 ナット
17 保護部材
20 可撓止水継手の補修構造
21 補修用可撓止水継手
21a 伸縮部
21b 板状部
22 補修用の取付枠体
22a セグメント式の枠部材
22b 取付板部
22c 固定板部
22d フランジ部
22e 補強板
22f ボルト孔
22g ボルト孔
22h ねじ孔
23 アンカーボルト
23a ナット
24 充填材
25 弾性シール材
26 空間(充填材の型枠)
27 プラグ
28 ボルト・ナット
29 保護部材
30 調整枠部材

Claims (6)

  1. 相対向する中空構造物の端部の目地部に跨って可撓性材料からなる環状の可撓止水継手を取り付けた可撓止水継手の補修構造であって、
    前記環状の可撓止水継手は、前記目地部の内周面にそれぞれ形成された段差部に取り付けられて当該目地部に生じた変位に応じて変形したまま残した状態とされる一方、
    変位が生じた目地部を挟む前記中空構造物の内周面に、変位を吸収して相対向し新たな補修用可撓止水継手を取り付ける取付枠体を固定設置し、
    これら取付枠体と前記中空構造物の周面との間に弾性シール材で仕切られる複数の空間を形成し、各空間を前記弾性シール材で充填材をシール可能状態とし、
    各シール状態の空間に、接着し止水する充填材を充填し、前記弾性シール材をさらに締め付けて当該空間を狭め、空間に連通するねじ孔からの充填材の漏出を確認して固化させ、
    目地部を跨いで相対向する取付枠体間に前記補修用可撓止水継手を取り付けて構成したことを特徴とする可撓止水継手の補修構造。
  2. 前記取付枠体を、複数に分割され連結可能なセグメント式枠部材で環状に構成することを特徴とする請求項1記載の可撓止水継手の補修構造。
  3. 前記取付枠体に、目地部に生じた変位を調整する調整枠部材を介して前記補修用可撓止水継手を取り付けて構成したことを特徴とする請求項1または2記載の可撓止水継手の補修構造。
  4. 相対向する中空構造物の端部の目地部に跨って可撓性材料からなる環状の可撓止水継手を取り付けた可撓止水継手を残したまま補修するに際し、
    前記環状の可撓止水継手は、前記目地部の内周面にそれぞれ形成された段差部に取り付けられて当該目地部に生じた変位に応じて変形したまま残した状態とされる一方、
    変位が生じた目地部を挟む前記中空構造物の内周面に、変位を吸収して相対向し新たな補修用可撓止水継手を取り付ける取付枠体を固定設置し、
    次いで、これら取付枠体と前記中空構造物の周面との間に弾性シール材で仕切られる複数の空間を形成し、各空間を前記弾性シール材で充填材をシール可能な状態とした後、
    各シール状態の空間に、接着し止水する充填材を充填し、次いで前記弾性シール材をさらに締め付けて当該空間を狭め、空間に連通するねじ孔からの充填材の漏出を確認して固化させた後、
    目地部を跨いで相対向する取付枠体間に補修用可撓止水継手を取り付けるようにしたことを特徴とする可撓止水継手の補修方法。
  5. 前記取付枠体を、複数に分割され連結可能なセグメント式枠部材で構成し環状に連結しながら固定するようにしたことを特徴とする請求項4記載の可撓止水継手の補修方法。
  6. 前記取付枠体に、目地部に生じた変位を調整する調整枠部材を介して前記補修用可撓止水継手を取り付けるようにしたことを特徴とする請求項4または5記載の可撓止水継手の補修方法。
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