JP5340748B2 - X線ct装置 - Google Patents

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Description

本発明は、X線CT(Computed Tomography)装置に関する。
従来、X線CT装置を用いた撮像方法の1つとして、X線管およびX線検出器を被検体の周りに回転させながら被検体の体軸方向に相対直線移動させて投影データ(data)を収集するいわゆるヘリカルスキャン(helical scan)が知られている。また、このヘリカルスキャンを行う際に、X線管およびX線検出器の相対直線移動の開始点と終了点で、上記回転は実行するが上記相対直線移動は実行しない滞留時間を設ける撮像方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。この撮像方法によれば、相対直線移動範囲より外側のスライス(slice)位置でのCT画像(以下、拡張CT画像ともいう)を画像再構成するための所定のビュー(view)角度分のビュー範囲の投影データを確実に収集することができる。その結果、拡張CT画像を高画質に画像再構成することができる。なお、上記所定のビュー角度は、例えばπ+X線ビーム(beam)のファン(fan)角や2π、2π+ファン角である。
特開2008−000168号公報
しかし、相対直線移動範囲の外側でCT画像の画像再構成が可能な領域のうち、最も外側のスライス位置でのCT画像を画像再構成するための投影データを確実に収集するには、上記所定のビュー角度に相当する回転角度の上記回転を実行する滞留時間を設けなければならず、被検体への被曝が増大する。
本発明は、上記事情に鑑み、ヘリカルスキャン、ヘリカルシャトルスキャン(helical
shuttle scan)(ヘリカルスキャンの相対直線移動の向きを繰り返し反転させながら連続的に行うヘリカルスキャン)、可変ピッチヘリカルスキャン(variable pitch helical scan)(相対直線移動の加減速中においても投影データ(projection data)を収集することが可能なヘリカルピッチ可変のヘリカルスキャン)等における相対直線移動範囲より外側のスライス位置でのCT画像を低被曝で高画質に画像再構成できるX線CT装置を提供する。
第1の観点では、本発明は、X線管と、複数の検出器列を有するX線検出器と、前記X線管およびX線検出器を被検体の体軸の周りに回転させるための回転手段と、前記X線管およびX線検出器を前記被検体に対して相対直線移動開始点から相対直線移動終了点まで相対直線移動させるための相対直線移動手段と、前記相対直線移動開始点および/または前記相対直線移動終了点にて、前記回転は実行し前記相対直線移動は実行しないで投影データを収集する滞留スキャンを実行し、相対直線移動範囲にて、前記回転および前記相対直線移動を実行しながら投影データを収集する移動スキャンを実行するスキャン手段と、前記収集された投影データを用いてCT画像を画像再構成する画像再構成手段とを備えるX線CT装置であって、前記画像再構成手段が、前記相対直線移動開始時刻に対応するビューまたはその近傍のビューを中心とする所定のビュー角度分に相当し、前記滞留スキャンによるビューと前記移動スキャンによるビューとを含むビュー範囲における投影データを用いて、相対直線移動範囲の前記相対直線移動開始点より外側のスライス位置でのCT画像を画像再構成しており、該画像再構成において、画像再構成に必要な投影データが欠落する場合に、該ビュー範囲に含まれる移動スキャンによるビューの投影データの少なくとも一部を、欠落した投影データに代えて用いる第1の画像再構成処理と、前記相対直線移動終了時刻に対応するビューまたはその近傍のビューを中心とする所定のビュー角度分に相当し、前記滞留スキャンによるビューと前記移動スキャンによるビューとを含むビュー範囲における投影データを用いて、相対直線移動範囲の前記相対直線移動終了点より外側のスライス位置でのCT画像を画像再構成しており、該画像再構成において、画像再構成に必要な投影データが欠落する場合に、該ビュー範囲に含まれる移動スキャンによるビューの投影データの少なくとも一部を、欠落した投影データに代えて用いる第2の画像再構成処理の少なくとも一方を実行するX線CT装置を提供する。
第2の観点では、本発明は、前記スキャン手段が、前記相対直線移動開始点にて前記所定のビュー角度より小さい回転角度の前記回転を実行する前記滞留スキャンと、前記移動スキャンとを順次実行し、前記画像再構成手段が、前記第1の画像再構成処理を実行する上記第1の観点のX線CT装置を提供する。
第3の観点では、本発明は、前記スキャン手段が、前記移動スキャンと、前記相対直線移動終了点にて前記所定のビュー角度より小さい回転角度の前記回転を実行する前記滞留スキャンとを順次実行し、前記画像再構成手段が、前記第2の画像再構成処理を実行する上記第1の観点のX線CT装置を提供する。
第4の観点では、本発明は、前記スキャン手段が、前記移動スキャンと、前記相対直線移動終了点にて前記所定のビュー角度の2倍より小さい回転角度の前記回転を実行する前記滞留スキャンと、該相対直線移動終了点を新たな相対直線移動開始点にする前記移動スキャンとを順次実行し、前記画像再構成手段が、前記第2の画像再構成処理と、前記新たな相対直線移動開始点における前記第1の画像再構成処理を実行する上記第1の観点のX線CT装置を提供する。
第5の観点では、本発明は、前記欠落した投影データに代えて用いる投影データは、前記所定のビュー角度分の半分未満のビュー範囲における投影データである上記第1の観点から第4の観点のいずれか1つの観点のX線CT装置を提供する。
第6の観点では、本発明は、前記画像再構成手段が、前記第1の画像再構成処理において、前記相対直線移動開始時刻に対応するビューより第1のビュー数分だけ時間的に前のビューを中心とするビュー範囲における投影データを用いて前記CT画像を画像再構成し、前記第2の画像再構成処理において、前記相対直線移動終了時刻に対応するビューより第2のビュー数分だけ時間的に後のビューを中心とするビュー範囲における投影データを用いて前記CT画像を画像再構成する上記第1の観点から第5の観点のいずれか1つの観点のX線CT装置を提供する。
第7の観点では、本発明は、前記第1および第2のビュー数が、前記回転の1回転時間に依存する上記第6の観点のX線CT装置を提供する。
なお、第7の観点のX線CT装置における特徴は、前記第1および第2のビュー数が、前記所定のビュー角度に対する前記相対直線移動の移動量に依存すると考えることもできる。
第8の観点では、本発明は、前記第1および第2のビュー数が、前記1回転時間が大きくなると大きくなる上記第7の観点のX線CT装置を提供する。
第9の観点では、本発明は、前記第1のビュー数が、前記相対直線移動開始点から前記相対直線移動開始点側の前記外側のスライス位置までの第1の長さに依存し、前記第2のビュー数が、前記相対直線移動終了点から前記相対直線移動終了点側の前記外側のスライス位置までの第2の長さに依存する上記第6の観点のX線CT装置を提供する。
第10の観点では、本発明は、前記第1のビュー数が、前記第1の長さが大きくなると大きくなり、前記第2のビュー数が、前記第2の長さが大きくなると大きくなる上記第9の観点のX線CT装置を提供する。
第11の観点では、本発明は、前記第2のビュー数が、前記第1のビュー数より小さい上記第6の観点から第10の観点のいずれか1つの観点のX線CT装置を提供する。
第12の観点では、本発明は、前記第1および第2のビュー数が、前記所定のビュー角度分に相当するビュー数の半分未満である上記第6の観点から第11の観点のいずれか1つの観点のX線CT装置を提供する。
第13の観点では、本発明は、前記所定のビュー角度が、π+X線ビームのファン角、2π、または2π+前記ファン角である上記第1の観点から第12の観点のいずれか1つの観点のX線CT装置を提供する。
第14の観点では、本発明は、前記相対直線移動の速度は、投影データを収集しながら変化する上記第1の観点から第13の観点のいずれか1つの観点のX線CT装置を提供する。
なお、上記構成において「相対直線移動」とは、X線管とX線検出器の中間に被検体を置いた状態で、X線管およびX線検出器を直線移動させないで被検体、あるいは被検体が載ったテーブル(table)を直線移動させる場合、被検体あるいは被検体が載ったテーブルを直線移動させないでX線管およびX線検出器を直線移動させる場合、被検体あるいは被検体が載ったテーブルを直線移動させ、かつ、X線管およびX線検出器を逆方向に直線移動させる場合などを含む意味である。
本発明によれば、相対直線移動の開始時刻または終了時刻に対応するビューまたはその近傍のビューを中心とする所定のビュー角度分に相当し、滞留スキャンによるビューと移動スキャンによるビューを含むビュー範囲の投影データを用いて、相対直線移動範囲より外側のスライス位置でのCT画像を画像再構成しており、当該画像再構成において、画像再構成に必要な投影データが欠落する場合に、当該ビュー範囲に含まれる移動スキャンによるビューの投影データの少なくとも一部を、欠落した投影データに代えて用いているので、画像再構成に有効なビュー範囲の投影データを一定量確保しつつ、滞留スキャンで収集すべき投影データのビュー範囲をその分少なくすることができ、ヘリカルスキャン、ヘリカルシャトルスキャン、可変ピッチヘリカルスキャン等における相対直線移動範囲より外側のスライス位置でのCT画像を低被曝で高画質に画像再構成できる。
本実施形態にかかるX線CT装置を示す構成図である。 本実施形態にかかるデータ収集処理を示すフロー図である。 「投影データ収集」、「回転」、「相対直線移動」、および「X線管およびマルチ検出器の相対位置」を表すタイムチャートである。 本実施形態にかかるデータ収集処理により収集された投影データの一例を示す図である。 本実施形態にかかる画像再構成処理を示すフロー図である。 本実施形態にかかる第1の方法による再構成用投影データ抽出処理を示すフロー図である。 ビュー方向が対向する投影データが収集されない状態を説明するための図である。 本実施形態にかかる第1の方法により抽出される画像再構成用の投影データの一例を示す図である。 本実施形態にかかる第2の方法による再構成用投影データ抽出処理を示すフロー図である。 本実施形態にかかる第2の方法により抽出される画像再構成用の投影データの一例を示す図である。 相対直線移動の往復を繰り返した場合に得られる通常のCT画像および拡張CT画像に対応する時間とスライス位置を示す概念図である。 滞留時間を短くした場合に抽出される画像再構成用の投影データの一例を示す図である。
以下、図を参照しながら本発明の実施形態について説明する。なお、本発明は本実施形態に限定されない。
図1は、本実施形態にかかるX線CT装置100を示す構成図である。
このX線CT装置100は、操作コンソール(console)1と、寝台装置(相対直線移動手段)10と、走査ガントリ(gantry)(回転手段)20とを具備している。
操作コンソール1は、ユーザ(user)の入力を受け付ける入力装置2と、画像再構成処理などを実行する中央処理装置(画像再構成手段)3と、走査ガントリ20で取得した投影データを収集するデータ収集バッファ(buffer)5と、投影データを基に画像再構成したCT画像を表示するモニタ(monitor)6と、プログラム(program)やデータ、CT画像を記憶する記憶装置7とを具備している。
寝台装置10は、被検体Hを載せて走査ガントリ20の開口部Bに入れ出しするテーブル(table)12を具備している。テーブル12は、寝台装置10に内蔵するモータ(motor)で昇降および水平直線移動される。なお、ここでは、テーブル12の直線移動方向をz方向、鉛直方向をy方向、z方向およびy方向に垂直な水平方向をx方向とする。
走査ガントリ20は、回転部15と回転部15を回転可能に支持する本体部20aとを有する。回転部15には、X線管21と、X線管21を制御するX線コントローラ(controller)22と、X線管21が照射するX線ビーム(beam)を整形するコリメータ(collimator)23と、複数のX線検出素子をチャネル(channel)方向に配置してなる検出器列をz方向に複数有するマルチ(multi)検出器(X線検出器)24と、マルチ検出器24の出力を投影データに変換して収集するDAS(Data Acquisition System)25と、X線コントローラ22,コリメータ23,DAS25の制御を行う回転部コントローラ26とが搭載される。また、本体部20aは、操作コンソール1や寝台装置10との間で制御信号などを送受信する制御コントローラ29を具備する。そして、回転部15と本体部20aとは、スリップリング(slip ring)30を介して電気的に結合している。
X線管21とマルチ検出器24とはX線データ収集系41を構成する。ここでは、テーブル12を水平直線移動させることにより、X線データ収集系41を相対直線移動させる。
なお、走査ガントリ20および中央処理装置3は、本発明におけるスキャン手段の一例である。
これより、本実施形態にかかるX線CT装置100によるデータ収集処理について説明する。
図2は、データ収集処理を示すフロー図である。
ステップ(step)A1では、スキャン条件としてユーザにより設定されたパラメータ(parameter)を基に滞留時間τを設定する。
滞留時間τの設定方法の一例は、特許文献1,第28段落から第30段落にて説明されている。この設定方法は、イメージ拡張領域でのCT画像を画像再構成するために必要な所定のビュー角度分の投影データを確実に収集するための滞留時間を設定する方法である。例えば、画像再構成がフルリコン(full reconstruction)であれば、画像再構成に必要なビュー角度F分を2πとし、τ=R−{(W/2)−d}/Vにする。また、画像再構成がハーフリコン(half reconstruction)であれば、画像再構成に必要なビュー角度F分をπ+ファン角(例えばπ/3)とし、τ=2R/3−{(W/2)−d}/Vにする。ここで、Rは回転部15の1回転時間(回転の1回転時間)、Wは検出器幅(回転軸IC上でのX線ビームのz方向の幅)、dは相対直線移動開始点Zsより相対直線移動方向(往路方向)反対側のイメージ(image)拡張領域幅(0<d≦W/2)、VはX線データ収集系41の相対直線移動速度である。
なお、ここでは、X線データ収集系41を相対直線移動範囲Rmで少なくとも1往復させるヘリカルスキャンを行うことを考える。そして、イメージ拡張領域における同一のスライス位置にて、X線データ収集系41の相対直線移動の往路に対応するCT画像と、復路に対応するCT画像とを別々に画像再構成する。また、被検体Hの被曝量を上記の設定方法と比較してより低減させることを考える。
そこで、最初と最後の滞留スキャンにおけるX線データ収集系41の回転角度をビュー角度F分より小さく設定する。また、X線データ収集系41の相対直線移動の折返し時の滞留スキャンにおけるX線データ収集系41の回転角度をビュー角度Fの2倍分より小さく設定する。
具体例として、イメージ拡張領域幅d=検出器幅の半分W/2、画像再構成をフルリコン、すなわち画像再構成に必要なビュー角度F分を2πとする。そして、最初と最後の滞留スキャンにおけるX線データ収集系41の回転角度を2π未満とする。すなわち、最初と最後の滞留時間τ1<Rとする。また、X線データ収集系41の相対直線移動の折返し時におけるX線データ収集系41の回転角度を4π未満とする。すなわち、X線データ収集系41の相対直線移動の折返し時における滞留時間(最初および最後以外の滞留時間)τ2<2Rとする。
ステップA2では、例えば図3の時刻t0に示すように「投影データ収集」を開始する。
ステップA3では、例えば図3の時刻t0に示すようにX線データ収集系41の「回転」を開始する。
ステップA4では、テーブル12の移動方向(X線データ収集系41の相対直線移動方向)を往路方向(ここでは+z方向)に設定する。
ステップA5では、例えば図3の時刻t0〜t1に示すように滞留時間τ1だけ待つ。つまり、X線データ収集系41を回転だけさせ、相対直線移動はさせないで、滞留時間τ1だけ投影データを収集する(滞留スキャン)。
ステップA6では、例えば図3の時刻t1に示すように、テーブル12の移動を開始することにより、X線データ収集系41の「相対直線移動」を開始する。
ステップA7では、X線データ収集系41が例えば図3に示す終了点Zfに達するまで、X線データ収集系41を回転および相対直線移動させて投影データを収集する(移動スキャン)。X線データ収集系41が例えば図3の時刻t2に示す終了点Zfに達したらステップA8へ進む。
ステップA8では、例えば図3の時刻t2に示すように、テーブル12の移動を終了することにより、X線データ収集系41の「相対直線移動」を終了する。
ステップA9では、例えば図3の時刻t2〜t3に示すように滞留時間τ2(最後の滞留時間ならτ1)だけ待つ。つまり、X線データ収集系41を回転だけさせ、相対直線移動はさせないで、滞留時間τ2(τ1)だけ投影データを収集する(滞留スキャン)。
ステップA10では、予定のデータ収集が終了してないならステップA11へ進み、終了したならステップA12へ進む。
ステップA11では、テーブル12の移動方向(X線データ収集系41の相対直線移動方向)を反転する。そして、ステップA6に戻ってデータ収集を継続する。すなわち、前回の終了点を今回の開始点とし、前回の開始点を今回の終了点とし、前回と反対方向にX線データ収集系41を相対直線移動させながら投影データを収集する(移動スキャン)。
ステップA12では、例えば図3の時刻t4に示すようにX線データ収集系41の「回転」を終了する。
ステップA13では、例えば図3の時刻t5に示すように「投影データ収集」を終了する。
図4は、上記データ収集処理により収集された投影データを模式的に示す図である。
図4の上段は、相対直線移動開始時刻および相対直線移動終了時刻におけるX線データ収集系41を構成するX線管21およびマルチ検出器24を模式的に表したものであり、図4の下段は、収集された全ビューの投影データPDを模式的に表したものである。図4の下段において、横軸はX線データ収集系41の被検体Hに対する基準位置TLのz方向における位置Z、縦軸はビュー番号Viewを表している。なお、このビュー番号Viewは、通常、時刻に比例する。
これより、本実施形態にかかるX線CT装置100による画像再構成処理(第1および第2の画像再構成処理)について説明する。
図5は、画像再構成処理を示すフロー図である。
ステップB1では、画像再構成するCT画像のフェーズ(phase)Piを指定する。ここでフェーズPiは、ヘリカルスキャンを連続的に行うときのフェーズを意味しており、1回目の往路をフェーズP1、1回目の復路をフェーズP2、2回目の往路をフェーズP3、2回目の復路をフェーズP4・・・となるように定義する。ステップB1では、例えば、このステップB1が実行される毎に、フェーズを1つずつ時系列順に指定する。なお、ユーザが1または複数の任意のフェーズあるいはフェーズの範囲を設定し、その中でフェーズを順次指定するようにしてもよい。
ステップB2では、画像再構成するCT画像のスライス位置Zjを指定する。例えば、相対直線移動開始点Zs側のイメージ拡張領域Rs、相対直線移動範囲Rm、および相対直線移動終了点Zf側のイメージ拡張領域Rfの全領域をスライス位置設定領域とする。そして、このステップB2が実行される毎に、上記のスライス位置設定領域において端からz方向に所定のスライス間隔でスライス位置を順次指定する。なお、ユーザが1または複数の任意のスライス位置あるいはスライス範囲を設定し、その中で順次指定するようにしてもよい。
ステップB3では、フェーズPiにおけるスライス位置ZjのCT画像を画像再構成するのに用いる投影データPDpi,zjを抽出する。CT画像の画像再構成に用いる投影データの抽出処理については、後ほど詳しく説明する。
ステップB4では、抽出された投影データPDpi,zjを用いて、フェーズPiにおけるスライス位置ZjのCT画像を画像再構成する。
ステップB5では、予定しているスライス位置についてCT画像の画像再構成が終了したかを判定し、終了していない場合にはステップB3に進み、終了している場合にはステップB6に進む。
ステップB6では、予定しているフェーズについてCT画像の画像再構成が終了したかを判定し、終了していない場合にはステップB1に進み、終了している場合には画像再構成処理を終了する。
ここで、CT画像の画像再構成に用いる投影データの抽出処理について詳しく説明する。
(第1の実施例)
図6は、第1の方法による再構成用投影データ抽出処理の一例を示すフロー図である。
ステップB31では、スライス位置Zjがイメージ拡張領域Rs内であるかを判定し、イメージ拡張領域Rs内であればステップB34へ進み、そうでなければステップB32に進む。
ステップB32では、スライス位置Zjがイメージ拡張領域Rf内であるかを判定し、イメージ拡張領域Rf内であればステップB35へ進み、そうでなければステップB33に進む。
ステップB33では、フェーズPiにおけるスライス位置ZjとX線データ収集系41の被検体Hに対する基準位置TLとがz方向において一致する時刻に収集された投影データのビューを、基準ビューCVpi,zjとして求め、ステップB36に進む。X線データ収集系41の基準位置TLは、例えば、X線管21のX線焦点とマルチ検出器24の中心とを結ぶ直線と、X線データ収集系41の回転軸Icとの交点の位置である。
一方、ステップB34では、フェーズPiにおける相対直線移動開始点Zsで相対直線移動開始時刻に収集された投影データのビューCVpi,zsを基準ビューCVpi,zjとして求め、ステップB36に進む。
また、ステップB35では、フェーズPiにおける相対直線移動終了点Zfで相対直線移動終了時刻に収集された投影データのビューCVpi,zfを基準ビューCVpi,zjとして求め、ステップB36に進む。
ステップB36では、基準ビューCVpi,zjを中心とする所定のビュー角度F分のビュー範囲VRpi,zjを特定する。所定のビュー角度Fは、フルリコンで画像再構成する場合には、2πあるいは2π+X線ビームのファン(fan)角となり、ハーフリコンで画像再構成する場合には、π+X線ビームのファン角となる。ファン角は、例えばπ/3である。
ステップB37では、ステップB36にて特定されたビュー範囲VRpi,zjにおける複数検出器列分の投影データの中から、スライス位置Zjの再構成面における各画素について、その画素データを画像再構成するために逆投影すべき各ビュー方向の投影データを抽出する。例えば、画像再構成しようとする画素またはその近傍の位置を通るX線ビームによる投影データを、ビュー角度F分に相当する各ビュー方向について抽出する。
ただし、スライス位置Zjがイメージ拡張領域Rs,Rf内である場合には、再構成面に逆投影すべき投影データの一部が、ビュー範囲VRpi,zjの投影データの中にない場合がある。すなわち、再構成面上のある画素の画素データを画像再構成することを考えたとき、その画像再構成に用いる各ビュー方向の投影データであって、その画素またはその近傍の位置を通るX線ビームによる投影データ(以下、目的の投影データという)のうち少なくとも一部が、ビュー範囲VRpi,zjの投影データの中になく欠落する場合がある。このときはビュー範囲VRpi,zjの投影データの中で、その欠落した目的の投影データに最も近いと考えられる投影データを代わりに抽出する。例えば、ビュー方向がその欠落した目的の投影データと略同じであり、X線ビーム経路(以下、パス(path)という)が欠落した目的の投影データに最も近い投影データを、その欠落した目的の投影データの代わりに抽出する。
ここで、この投影データの代用について、さらに詳しく説明する。
スライス位置Zjがイメージ拡張領域Rs,Rf内である場合には、上述の通り、相対直線移動開始時刻や相対直線移動終了時刻に対応するビューを中心とする所定のビュー角度F分のビュー範囲を、スライス位置ZjのCT画像を画像再構成するのに用いるビュー範囲として特定する。このようにすると、スライス位置Zjがイメージ拡張領域内で相対直移動開始点Zsまたは相対直線移動終了点Zfから離れるほど、特定されるビュー範囲の中で目的の投影データが含まれるビュー範囲が狭くなる。そして、スライス位置Zjによっては、特定されるビュー範囲では、目的の投影データをすべて含む所定のビュー角度F分のビュー範囲を確保できず、目的の投影データの一部が欠落する。
例えば図7に示すように、イメージ拡張領域Rs内のスライスSLaの画素g1を画像再構成する場合について考える。
ここで、特定されるビュー範囲は、相対直線移動開始時刻taに対応するビューを中心とする所定のビュー角度F分のビュー範囲であり、時刻toから相対直線移動開始時刻taまで行う滞留スキャンによるビュー範囲と、相対直線移動開始時刻taから所定時間経過後の時刻tbまで行う移動スキャンによるビュー範囲とからなるものとする。
画素g1を画像再構成するのに必要な目的の投影データは、画素g1を貫くパスを通るX線ビームによる投影データである。相対直線移動開始時刻taにて収集された投影データのうち画素g1を通るパスPT1の投影データは目的の投影データである。また、このパスPT1の投影データとビュー方向が対向する投影データもまた目的の投影データである。仮に、当該投影データが、時刻toから時刻taまでの滞留スキャン中に収集できない場合には、時刻taから時刻tbまでの移動スキャン中に収集しなければならない。
ここで、この移動スキャンによって、例えばX線データ収集系41がxy平面で回転角度πだけ回転し、z方向に距離ΔZだけ相対直線移動したものと仮定する。すると、図7に示すように、時刻tbにて収集された投影データには、ビュー方向がパスPT1の投影データと対向する、パスPT2の投影データは収集されず、欠落することになる。この場合には、時刻tbにて収集された投影データのうちパスPT2に最も近いパスPT3の投影データを、欠落したパスPT2の投影データに代えて抽出する。
滞留スキャンにおけるX線データ収集系41の回転角度を一定以上にすれば、画像再構成するCT画像のスライス位置が、たとえイメージ拡張領域内で最も外側であっても、必要な投影データの欠落を防ぎ、CT画像の画質劣化を防ぐことができる。しかし、これでは被検体Hへの被曝量が多くなる。一方、本実施形態の方法であれば、画像再構成に用いるビュー範囲のうち滞留スキャンによるビュー範囲がより小さくなる。これにより、画像再構成に必要な目的の投影データが一部欠落する場合があるが、その欠落した目的の投影データに近い投影データを、移動スキャンによるビュー範囲の投影データの中から見つけて代わりに用いるので、被検体Hへの被曝量を抑えつつ、CT画像の画質劣化を抑えることができる。つまり、相対直線移動範囲の外側のスライス位置のCT画像を、低被曝、高画質で画像再構成することができる。
なお、欠落した投影データに代えて用いる投影データは、所定のビュー角度F分の半分未満のビュー範囲における投影データとすることが望ましい。あまり多くの投影データを代用すると、画像再構成されるCT画像の画質の低下が無視できなくなるからである。
この第1の方法により、例えば図8に示すように画像再構成に用いる投影データを抽出する。
図8に示すように、例えば、フェーズP1におけるイメージ拡張領域Rs内のスライス位置Z1,Z2については、フェーズP1における相対直線移動開始点Zsで相対直線移動開始時刻に対応するビューCVp1,zsを基準ビューとする。そして、その基準ビューを中心とするビュー角度F(例えば2π)分のビュー範囲VRp1,z1(=VRp1,zs),VRp1,z2(=VRp1,zs)を特定し、この特定されたビュー範囲VRp1,z1,VRp1,z2の投影データの中から画像再構成に用いる投影データPDp1,z1、PDp1,z2をそれぞれ抽出する。なお、図8において、抽出される投影データの縦の直線部分は目的の投影データであり、斜線部分は目的の投影データに近い、代用する投影データである。
また、フェーズP1における相対直線移動範囲Rm内のスライス位置Z3,Z4については、フェーズP1における各スライス位置に対応するビューCVp1,z3、CVp1,z4を基準ビューとする。そして、その基準ビューを中心とするビュー角度F分のビュー範囲VRp1,z3,VRp1,z4,を特定し、この特定されたビュー範囲VRp1,z3、VRp1,z4の投影データの中から、画像再構成に用いる投影データPDp1,z3、PDp1,z4をそれぞれ抽出する。
また、フェーズP1におけるイメージ拡張領域Rf内のスライス位置Z5,Z6については、フェーズP1における相対直線移動終了点Zfで相対直線移動終了時刻に対応するビューCVp1,zfを基準ビューとする。そして、その基準ビューを中心とするビュー角度F分のビュー範囲VRp1,z5,VRp1,z6,を特定し、この特定されたビュー範囲VRp1,z5、VRp1,z6の投影データの中から、画像再構成に用いる投影データPDp1,z5、PDp1,z6をそれぞれ抽出する。
また、フェーズP2におけるイメージ拡張領域Rf内のスライス位置Z5,Z6については、フェーズP2における相対直線移動開始点Zfで相対直線移動開始時刻に対応するビューCVp1,zfを基準ビューとする。そして、その基準ビューを中心とするビュー角度F分のビュー範囲VRp2,z5(=VRp2,zf),VRp2,z6(=VRp2,zf)を特定し、この特定されたビュー範囲VRp2,z5,VRp2,z6の投影データの中から画像再構成に用いる投影データPDp2,z5、PDp2,z6をそれぞれ抽出する。
また、フェーズP2におけるイメージ拡張領域Rs内のスライス位置Z1,Z2については、フェーズP2における相対直線移動終了点Zsで相対直線移動終了時刻に対応するビューCVp1,zsを基準ビューとする。そして、その基準ビューを中心とするビュー角度F分のビュー範囲VRp2,z1(=VRp2,zs),VRp2,z2(=VRp2,zs)を特定し、この特定されたビュー範囲VRp2,z1,VRp2,z2の投影データの中から画像再構成に用いる投影データPDp2,z1、PDp2,z2をそれぞれ抽出する。
この第1の方法によれば、検索が容易な相対直線移動開始時刻や相対直線移動終了時刻に対応するビューを基に画像再構成に用いる投影データを抽出することができるので、再構成用投影データ抽出処理のためのプログラムを簡素化できる。また、滞留スキャン時に収集される投影データの使用を抑えつつ、画像再構成に用いる投影データ全体のビュー範囲を広く取ることができ、被検体への被曝量を低減し、CT画像の画質の劣化を抑制することができる。また、ヘリカルシャトルの場合には、隣接するフェーズ間で、一方の同じ側のイメージ拡張領域のCT画像に対応する時刻が接近するが、その時刻の時間間隔を長く取ることができ、時系列画像として望ましい画像が得られる。
(第2の実施例)
第2の方法では、第1の方法をベースに、代用する投影データのパスとその目的のパスとの差がより小さくなるよう、CT画像の画像再構成に用いるビュー範囲を滞留スキャンのビュー側に所定量シフトさせる調整を加える。すなわち、スライス位置Zjがイメージ拡張領域Rsの中にある場合には、同じフェーズPiにおける相対直線移動開始点Zsで相対直線移動開始時刻に収集された投影データのビューCVpi,zsよりビュー数M(第1のビュー数)分だけ時間的に前のビューを、基準ビューCVpi,zjとして求める。また、スライス位置Zjがイメージ拡張領域Rfの中にある場合には、同じフェーズPiにおける相対直線移動終了点Zfの相対直線移動終了時刻に収集された投影データCVpi,zfのビューよりビュー数N(第2のビュー数)分だけ時間的に後のビューを、基準ビューCVpi,zjとして求める。
図9は、第2の方法による再構成用投影データ抽出処理の一例を示すフロー図である。
ステップB31では、スライス位置Zjがイメージ拡張領域Rs内であるかを判定し、イメージ拡張領域Rs内であればステップB34′へ進み、そうでなければステップB32に進む。
ステップB32では、スライス位置Zjがイメージ拡張領域Rf内であるかを判定し、イメージ拡張領域Rf内であればステップB35′へ進み、そうでなければステップB33に進む。
ステップB33では、フェーズPiにおけるスライス位置ZjとX線データ収集系41の被検体Hに対する基準位置TLとがz方向において一致する時刻に収集された投影データのビューを、基準ビューCVpi,zjとして求め、ステップB36に進む。
一方、ステップB34′では、フェーズPiにおける相対直線移動開始点Zsで相対直線移動開始時刻に収集された投影データのビューCVpi,zsよりビュー数M分だけ時間的に前のビューを基準ビューCVpi,zjとして求め、ステップB36に進む。なお、ビュー数Mは、通常、ビュー角度F分に相当するビュー数の半分未満である。
また、ステップB35′では、フェーズPiにおける相対直線移動終了点Zfで相対直線移動終了時刻に収集された投影データのビューCVpi,zfよりビュー数N分だけ時間的に後のビューを基準ビューCVpi,zjとして求め、ステップB36に進む。なお、ビュー数Nは、通常、ビュー角度F分に相当するビュー数の半分未満である。
ステップB36では、基準ビューCVpi,zjを中心とする所定のビュー角度F分のビュー範囲VRpi,zjを特定する。
ステップB37では、ステップB36にて特定されたビュー範囲VRpi,zjにおける複数検出器列分の投影データの中から、スライス位置Zjの再構成面における各画素について、その画素データを再構成するために逆投影すべき各ビュー方向の投影データを抽出する。目的の投影データがない場合には、ビュー範囲VRpi,zjの投影データの中で、目的の投影データに最も近いと考えられる投影データを代わりに抽出する。
この第2の方法により、例えば図10に示すように画像再構成に用いる投影データを抽出する。
図10に示すように、例えば、フェーズP1におけるイメージ拡張領域Rs内のスライス位置Z1,Z2については、フェーズP1における相対直線移動開始点Zsで相対直線移動開始時刻に対応するビューCVp1,zsからビュー数M分だけ時間的に前にシフトしたビューCV′p1,zsを基準ビューとする。そして、その基準ビューを中心とするビュー角度F分のビュー範囲VR′p1,z1(=VR′p1,zs),VR′p1,z2(=VR′p1,zs)を特定し、この特定されたビュー範囲VR′p1,z1,VR′p1,z2の投影データの中から画像再構成に用いる投影データPDp1,z1、PDp1,z2をそれぞれ抽出する。なお、図10において、抽出される投影データの縦の直線部分は目的の投影データであり、斜線部分は目的の投影データに近い、代用する投影データである。
また、フェーズP1における相対直線移動範囲Rm内のスライス位置Z3,Z4については、フェーズP1における各スライス位置に対応するビューCVp1,z3、CVp1,z4を基準ビューとする。そして、その基準ビューを中心とするビュー角度F分のビュー範囲VRp1,z3,VRp1,z4,を特定し、この特定されたビュー範囲VRp1,z3、VRp1,z4の投影データの中から、画像再構成に用いる投影データPDp1,z3、PDp1,z4をそれぞれ抽出する。
また、フェーズP1におけるイメージ拡張領域Rf内のスライス位置Z5,Z6については、フェーズP1における相対直線移動終了点Zfで相対直線移動終了時刻に対応するビューCVp1,zfからビュー数N分だけ時間的に後にシフトしたビューを基準ビューCV′p1,zfとする。そして、その基準ビューを中心とするビュー角度F分のビュー範囲VR′p1,z5,VR′p1,z6,を特定し、この特定されたビュー範囲VR′p1,z5、VR′p1,z6の投影データの中から、画像再構成に用いる投影データPD′p1,z5、PD′p1,z6をそれぞれ抽出する。
また、フェーズP2におけるイメージ拡張領域Rf内のスライス位置Z5,Z6については、フェーズP2における相対直線移動開始点Zfで相対直線移動開始時刻に対応するビューCVp1,zfからビュー数M分だけ時間的に前にシフトしたビューCV′p1,zfを基準ビューとする。そして、その基準ビューを中心とするビュー数F分のビュー範囲VR′p2,z5(=VR′p2,zf),VR′p2,z6(=VR′p2,zf)を特定し、この特定されたビュー範囲VR′p2,z5,VR′p2,z6の投影データの中から画像再構成に用いる投影データPD′p2,z5、PD′p2,z6をそれぞれ抽出する。
また、フェーズP2におけるイメージ拡張領域Rs内のスライス位置Z1,Z2については、フェーズP2における相対直線移動終了点Zsで相対直線移動終了時刻に対応するビューCVp1,zsからビュー数N分だけ時間的に後にシフトしたビューCV′p1,zsを基準ビューとする。そして、その基準ビューを中心とするビュー角度F分のビュー範囲VR′p2,z1(=VR′p2,zs),VR′p2,z2(=VR′p2,zs)を特定し、この特定されたビュー範囲VR′p2,z1,VR′p2,z2の投影データの中から画像再構成に用いる投影データPD′p2,z1、PD′p2,z2をそれぞれ抽出する。
この第2の方法によれば、代用する投影データのパスを目的の投影データのパスにより近づけて、画像再構成時の矛盾を小さくし、CT画像の画質の劣化をより抑制することができる。なお、走査ガントリ20の回転速度に対して、滞留時間τが小さい場合やテーブル12の移動速度Vが大きい場合、イメージ拡張領域Rs,Rf内にあるスライス位置が相対直線移動開始点Zsや相対直線移動終了点Zfから離れている場合等には、目的の投影データのパスと代用可能な投影データのパスとの距離が大きく離れる傾向が強い。そのため、第2の方法はこのような場合に特に有効である。
また、第2の方法は第1の方法に比べ、フェーズP1とフェーズP2との時間的間隔が若干狭くなるものの、フェーズP1とフェーズP2における相対直線移動終了点Zfの外側の同じスライス位置でのCT画像の画像再構成に、重複したビューを用いることにより、収集するビュー数を増やすことなく、代用する投影データを減らしてZf外側のCT画像の画質を向上させることができる。または、代用しないで画像再構成が可能な範囲を広げることができる。
図11は、X線データ収集系41の相対直線移動の往復を繰り返した場合に得られる通常のCT画像および拡張CT画像に対応する時間とスライス位置を示す概念図である。
このように、本実施形態によるX線CT装置100によれば、相対直線移動の開始時刻または終了時刻に対応するビューまたはその近傍のビューを中心とする所定のビュー角度分に相当し、滞留スキャンによるビューと移動スキャンによるビューを含むビュー範囲の投影データを用いて、相対直線移動範囲より外側のスライス位置でのCT画像を画像再構成しており、当該画像再構成において、画像再構成に必要な投影データが欠落する場合に、当該ビュー範囲に含まれる移動スキャンによるビューの投影データの少なくとも一部を、欠落した投影データに代えて用いているので、画像再構成に有効なビュー範囲の投影データを一定量確保しつつ、滞留スキャンで収集すべき投影データのビュー範囲をその分少なくすることができ、ヘリカルスキャン、ヘリカルシャトルスキャン、可変ピッチヘリカルスキャン等における相対直線移動範囲より外側のスライス位置でのCT画像を低被曝で高画質に画像再構成できる。
なお、上記の実施形態は本発明の一例であり、種々の変更が可能である。
画像再構成に用いるビュー範囲を特定するときの中心ビューのシフト量であるビュー数M,Nは、回転部15の1回転時間(回転の1回転時間)Rに応じて変えてもよい。例えば、1回転時間Rが大きくなるとビュー数M,Nを大きくするようにしてもよい。ビュー数M,Nの好適な範囲は、例えば、回転部15の1回転分のビュー数=1000として、1回転時間R=0.4秒のときにビュー数M,N=100〜300ビューであり、1回転時間R=0.6秒のときにビュー数M,N=200〜400ビューである。
また、ビュー数Mは、相対直線移動開始点から相対直線移動開始点側の外側のスライス位置までの長さLS(第1の長さ)に依存し、ビュー数Nは、相対直線移動終了点から相対直線移動終了点側の外側のスライス位置までの長さLF(第2の長さ)に依存するようにしてもよい。例えば、ビュー数Mは、長さLSが大きくなると大きくなり、ビュー数Nは、長さLFが大きくなると大きくなるようにしてもよい。
また、ビュー数Mとビュー数Nとは同一の値であってもよいが、異なる値であってもよい。ビュー数Mは相対直線移動の加速時に対応し、ビュー数Nは相対直線移動の減速時に対応する。減速ではテーブルを目標位置に停止させるための制御が必要で、加速に比較して所要時間が長くなる傾向がある。そこで、相対直線移動終了点近傍でより多くのビュー数の投影データが収集されることを考慮して、ビュー数Nはビュー数Mより小さく(N<M)してもよい。
なお、滞留時間τが比較的小さいときであっても、CT画像の画質の劣化を抑制する効果はある。例えば、図12に示すように、画像再構成に用いるビュー範囲が、ビュー角度F(例えば2π)分に相当し、滞留スキャンによるビュー範囲が、ビュー角度F/2(例えばπ)分に相当し、フェーズP1におけるイメージ拡張流域Rf内のスライス位置Z7のCT画像を画像再構成する場合を考える。このとき、全投影データPD″から、画像再構成に用いる投影データとして、相対直線移動終了点Zfで相対直線移動終了時刻に対応するビューCV1を中心とするビュー角度F分のビュー範囲の投影データPD″p1,z7,1を抽出する。すると、図12(a)に示すように、斜線で示す、代用する投影データを含むように抽出される。この代用する投影データの中には、スライス位置Z7から比較的大きく離れた位置に対応する投影データ、すなわちパスが目的の投影データのパスより大きく離れた投影データを含んでいる。一方、中心ビューをビュー角度F/4分だけ時間的に後にシフトして同様に抽出したときの投影データPD″p1,z7,2は、図12(b)に示すように、代用する投影データの量そのものはPD″p1,z7,1と略同じであるが、スライス位置Z7からの距離は最も遠い位置でPD″p1,z7,1の場合の約半分くらいに短くなる。したがって、後者の方法で抽出された投影データの方が、画像再構成時の矛盾がより小さくなり、画像再構成されたCT画像の画質の劣化を抑えることができる。
本発明のX線CT装置は、例えばパヒュージョン(Perfusion)CTに利用できる。
100 X線CT装置
1 操作コンソール
2 入力装置
3 中央処理装置
5 データ収集バッファ
6 モニタ
7 記憶装置
10 寝台装置
12 テーブル
15 回転部
20 走査ガントリ
20a 本体部
21 X線管
22 X線コントローラ
23 コリメータ
24 マルチ検出器
25 DAS
26 回転部コントローラ
29 制御コントローラ
30 スリップリング
41 X線データ収集系
H 被検体
B 開口部

Claims (13)

  1. X線管と、複数の検出器列を有するX線検出器と、前記X線管およびX線検出器を被検体の体軸の周りに回転させるための回転手段と、前記X線管およびX線検出器を前記被検体に対して相対直線移動開始点から相対直線移動終了点まで相対直線移動させるための相対直線移動手段と、前記相対直線移動開始点および前記相対直線移動終了点にて、前記回転は実行し前記相対直線移動は実行しないで投影データを収集する滞留スキャンを実行し、相対直線移動範囲にて、前記回転および前記相対直線移動を実行しながら投影データを収集する移動スキャンを実行するスキャン手段と、前記収集された投影データを用いてCT画像を画像再構成する画像再構成手段とを備えるX線CT装置であって、

    前記スキャン手段は、前記移動スキャンを往復させ、前記相対直線移動終了点であって新たな相対直線移動開始点において前記滞留スキャンを行うものであり、

    前記画像再構成手段は、
    前記相対直線移動開始点における相対直線移動開始時刻の近傍のビューであって当該時刻の前のビューを中心とする所定のビュー角度分に相当し、前記滞留スキャンによるビューと、不足する場合に前記移動スキャンによるビューとを含むビュー範囲における投影データを用いて、相対直線移動範囲の前記相対直線移動開始点より外側のスライス位置での第1のCT画像を画像再構成する第1の画像再構成処理と、

    前記相対直線移動終了点における相対直線移動終了時刻の近傍のビューであって当該時刻の後のビューを中心とする所定のビュー角度分に相当し、前記滞留スキャンによるビューと、不足する場合に前記移動スキャンによるビューとを含むビュー範囲における投影データを用いて、相対直線移動範囲の前記相対直線移動終了点より外側のスライス位置での第2のCT画像を画像再構成する第2の画像再構成処理を実行するものであって、

    前記第1のCT画像と前記第2のCT画像とを、前記相対直線移動終了点であって新たな相対直線移動開始点における前記滞留スキャンの開始時刻から終了時刻の間の異なるビューを中心とし、互いに重複するビューの投影データを含む所定のビュー角度分の投影データを用いてそれぞれ画像再構成するX線CT装置。
  2. 最初の前記相対直線移動開始点における前記滞留スキャンは、前記所定のビュー角度より小さい回転角度の前記回転を実行する請求項1に記載のX線CT装置。
  3. 最後の前記相対直線移動終了点における前記滞留スキャンは、前記所定のビュー角度より小さい回転角度の前記回転を実行する請求項1または請求項2に記載のX線CT装置。
  4. 前記相対直線移動終了点であって新たな相対直線移動開始点における前記滞留スキャンは、前記所定のビュー角度の2倍より小さい回転角度の前記回転を実行する請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のX線CT装置。
  5. 前記移動スキャンによる投影データは、前記所定のビュー角度分の半分未満のビュー範囲における投影データである請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のX線CT装置。
  6. 前記画像再構成手段は、
    前記第1の画像再構成処理において、前記相対直線移動開始時刻に対応するビューより第1のビュー数分だけ時間的に前のビューを中心とするビュー範囲における投影データを用いて前記第1のCT画像を画像再構成し、

    前記第2の画像再構成処理において、前記相対直線移動終了時刻に対応するビューより第2のビュー数分だけ時間的に後のビューを中心とするビュー範囲における投影データを用いて前記第2のCT画像を画像再構成するものであって、

    前記第1および第2のビュー数は、前記回転の1回転時間に依存する
    請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のX線CT装置。
  7. 前記第1および第2のビュー数は、前記1回転時間が大きくなると大きくなる請求項に記載のX線CT装置。
  8. 前記画像再構成手段は、
    前記第1の画像再構成処理において、前記相対直線移動開始時刻に対応するビューより第1のビュー数分だけ時間的に前のビューを中心とするビュー範囲における投影データを用いて前記第1のCT画像を画像再構成し、

    前記第2の画像再構成処理において、前記相対直線移動終了時刻に対応するビューより第2のビュー数分だけ時間的に後のビューを中心とするビュー範囲における投影データを用いて前記第2のCT画像を画像再構成するものであって、

    前記第1のビュー数は、前記相対直線移動開始点から前記相対直線移動開始点側の前記外側のスライス位置までの第1の長さに依存し、

    前記第2のビュー数は、前記相対直線移動終了点から前記相対直線移動終了点側の前記外側のスライス位置までの第2の長さに依存する請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のX線CT装置。
  9. 前記第1のビュー数は、前記第1の長さが大きくなると大きくなり、
    前記第2のビュー数は、前記第2の長さが大きくなると大きくなる請求項に記載のX線CT装置。
  10. 前記第2のビュー数は、前記第1のビュー数より小さい請求項6から請求項のいずれか1項に記載のX線CT装置。
  11. 前記第1および第2のビュー数は、前記所定のビュー角度分に相当するビュー数の半分未満である請求項6から請求項10のいずれか1項に記載のX線CT装置。
  12. 前記所定のビュー角度は、π+X線ビームのファン角、2π、または2π+前記ファン角である請求項1から請求項11のいずれか1項に記載のX線CT装置。
  13. 前記相対直線移動の速度は、投影データを収集しながら変化する請求項1から請求項12のいずれか1項に記載のX線CT装置。
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