JP5340423B2 - モータ制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、各種の産業用機械装置を駆動するモータ制御装置に関するものである。
モータ制御装置の第1の従来技術として、例えば、鉄鋼圧延ラインのようにモータで回転させるロールを用いて帯状材料(ウェブ)を連続的に搬送するような、ウェブ搬送制御と呼ばれる用途が想定される。このような用途における従来技術では、搬送材で連結された各モータにおける負荷トルクのアンバランスが大きくならないことを目的として、速度制御器にドルーピングと呼ばれる機能を持たせることが古くからなされている(例えば、特許文献1参照)。
このドルーピング制御は、モータ電流、すなわち、モータトルクを表す信号を比例倍した値を速度指令から減算することで、モータトルクが増大するとモータ速度が低下する垂下特性(ドルーピング)を持たせている。これにより、搬送材で連結された複数のモータにおいて、特定のモータの負荷電流が過大になることを防止する機能を実現している。
そして、特許文献1のモータ制御装置は、その第1図に記載されているように、従来のドルーピング制御を施した速度制御器(すなわち、速度制御器の出力を比例倍したドルーピング量を速度指令から減算して垂下特性を持たせた速度制御器)を、モータ制御装置の内部に備えている。さらに、特許文献1のモータ制御装置は、モータの加減速に要するトルクを演算する加減速電流演算器を追加的に備えており、速度制御器の出力と加減速電流演算器の出力とを加算して、モータに対するトルク指令として出力している。
これにより、速度指令の変化によってモータを加減速させる場合のドルーピング量の変化をなくすことができ、モータ速度を加減速させた場合にも、モータが指令に対して高精度に追従することを可能にしている。
また、モータ制御装置の第2の従来技術として、第1の従来技術と異なる用途である、NC制御装置で制御される工作機械等が想定される。このような用途における従来技術では、1つの駆動対象物(ワーク)を2つのモータで同期制御を行いながら駆動する並列駆動制御が行われている(例えば、特許文献2参照)。
このような並列駆動制御の場合、各モータの位置検出器の精度や、駆動対象物とモータとを機械的に結合した際の機械精度に起因して、次のような問題が生じる。すなわち、各モータの位置を完全に指令に一致させると、駆動対象の機械的な捻りを生じ、各モータが引っ張り合うような力(以下では、軸間干渉力と呼ぶ)が生じ、モータの発熱や電気的劣化あるいは駆動対象の機械的劣化が問題になる。
このような問題に対して、第2の従来技術は、2つのモータに対して同じ位置指令を与えながら各モータに対して位置制御を行う。それとともに、第2の従来技術は、2つのモータに対して各モータ制御装置が出力するトルク指令あるいは実際のトルク検出値の比較を行う。そして、これらを差分した信号に基づいて、片方のモータに対する位置指令を修正することで、軸間干渉力を抑制し、さらに、モータの発熱や電気的劣化あるいは駆動対象の機械的劣化を抑制している。
特開平4−121086号公報 特開2004−288164号公報
しかしながら、第1の従来技術においては、モータ制御装置内部の速度制御器に上述の垂下特性を持たせているだけである。このため、例えば、所望の張力と釣り合うような値にモータトルクを正確に保つことは容易でないといった問題がある。また、実際のウェブ搬送制御においては、例えば、搬送ラインの始動運転時や定常運転、非常時の保護運転といった、ウェブ搬送制御における各種の運転状況に対応した制御機能が要求される。
一方で、モータの速度とトルクとの間には、互いに因果関係があり、速度制御とトルク制御の両方を自由に行うことはできない。そのため、ウェブ搬送制御では、各種の運転状況に対応して速度とトルクとを複合的に考慮した、高機能な制御が必要とされる。しかしながら、特許文献1に記載の従来技術では、単にモータ制御装置内部の速度制御器において、トルクと速度との関係に垂下特性を持たせているだけである。このため、各種の運転状況に対応した高機能な制御を、簡単な演算で実現するのが難しいという問題があった。
ここで、第2の従来技術においては、2つのモータに対して実際に与えるトルク指令あるいはトルク検出値の差分信号に基づいた修正を行っている。このため、2つのモータで駆動する機械系の特性が、どちらのモータも全く同じ特性の場合(すなわち、対称的な機械特性を有する場合)には、良好に動作する。
しかしながら、例えば、容量が異なるモータで駆動した場合や、駆動する機械負荷の重心が偏っているといった、駆動対象の機械特性が非対称的な場合が考えられる。この場合においては、単純にトルク指令やトルク検出値の差分に基づいて補正を行うと、加減速時に生じるトルクの相違に起因して、位置の同期制御精度が劣化する。この結果、より高精度な同期制御の実現が容易でないといった問題がある。
さらに、これら第1の従来技術や第2の従来技術は、上述のようにウェブ搬送制御や並列駆動制御といった各用途に限定されたモータ制御装置の技術として構成されているものである。しかしながら、実際の産業界においては、より広い用途に使用可能な汎用的なモータ制御装置として用意された製品を利用し、上記のような各用途に対応させることが考えられる。このためには、汎用的なモータ制御装置にあらかじめ各用途に対応した多くの機能を実装しておくか、あるいは、各用途に応じて汎用的なモータ制御装置に改造を施すことによって、各用途に対応したモータ制御装置を実現するといった対応が一般的である。
しかしながら、前者の対応の場合には、モータ制御装置に実装するプログラムの肥大化によるコストの増加の問題があり、また、後者の対応の場合には、各用途に対応するための改造の手間といったコストの増加の問題がある。
以上のような問題点をまとめると、次のようになる。
第1の従来技術では、鉄鋼圧延ラインなどのウェブ搬送制御の用途において、高速高精度な速度制御を行いながら、搬送材の張力を所望の値に正確に保つのが容易でないという問題があった。また、各種の運転条件に応じた複合的な要求に対応した高機能な制御を簡単に実現するのが容易でないという問題があった。
第2の従来技術では、工作機械等の並列駆動制御の用途において、複数のモータで駆動する駆動対象物が非対称的な特性を持つ場合に、駆動対象を捻るように発生する軸間干渉力の問題にも対応しながら、各モータの位置を正確に制御するのが困難といった問題があった。
また、第1の従来技術や第2の従来技術においては、それぞれ想定した個別の用途に対してしか対応できない。このため、汎用的なモータ制御装置を利用して各用途にそれぞれ対応するためは、プログラムの増大や改造の手間といったコストを増加させる問題があった。
本発明は、前記のような課題を解決するためになされたものであり、モータの位置や速度といった動作に対する要求と、モータの駆動力に関する要求とが複合した要求を持つ用途に幅広く対応して、簡単な演算で幅広い、かつ高機能な特性を実現できるモータ制御装置を得ることを目的とする。
本発明に係るモータ制御装置は、速度あるいは位置としてのモータの動作に対する動作指令と、動作の検出結果であるモータ動作検出値とに基づき、モータの電流制御器に対して駆動力指令を出力するモータ制御装置であって、動作指令に基づいて、モータの動作に対する参照信号である動作参照値とフィードフォワード駆動力とを演算するフィードフォワード演算部と、所定の演算により決定された制御偏差を入力として、あらかじめ設定された制御定数を用いて制御偏差を低減するように積分演算を含む制御演算を行った結果を偏差補償駆動力として出力する偏差補償演算部と、フィードフォワード駆動力と偏差補償駆動力とに基づいて、定常的な特性がこれらの加算となる演算により電流制御器に対する駆動力指令を出力する駆動力指令合成部と、所定の反力参照値と偏差補償駆動力とに基づいて動作補正値を演算する反力補償演算部と、動作参照値とモータ動作検出値との偏差と、動作補正値とに基づいて制御偏差を演算する制御偏差演算部とを備えるものである。
本発明に係るモータ制御装置によれば、所定の反力参照値と偏差補償駆動力とに基づいて動作補正値を演算する構成、および動作参照値とモータ動作検出値との加算結果から動作補正値を減算することにより制御偏差を演算する構成を備えることにより、モータの位置や速度といった動作に対する要求と、モータの駆動力に関する要求とが複合した要求を持つ用途に幅広く対応して、簡単な演算で幅広い、かつ高機能な特性を実現できるモータ制御装置を得ることができる。
本発明の実施の形態1におけるモータ制御装置を示すブロック図である。 本発明の実施の形態1におけるモータ制御装置を適用したウェブ搬送制御システムの模式図である。 本発明の実施の形態1におけるトルク指令合成部の内部構成を表すブロック図である。 本発明の実施の形態1における反力補償演算部の内部構成を表すブロック図である。 本発明の実施の形態2におけるモータ制御装置を示すブロック図である。 本発明の実施の形態2における偏差補償演算部の内部構成を表すブロック図である。 本発明の実施の形態2における反力補償演算部の内部構成を表すブロック図である。 本発明の実施の形態3におけるモータ制御装置を示すブロック図である。 本発明の実施の形態3における制御偏差演算部の内部構成を表すブロック図である。 本発明の実施の形態3における主軸制御部の内部構成を表すブロック図である。 本発明の実施の形態3における反力補償演算部の内部構成を表すブロック図である。 本発明の実施の形態4におけるモータ制御装置を示すブロック図である。 本発明の実施の形態4におけるモータ制御装置を適用した押し当て制御システムの模式図である。
以下、本発明のモータ制御装置の好適な実施の形態につき図面を用いて説明する。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1におけるモータ制御装置を示すブロック図である。最初に、モータ制御装置100の全体動作について説明する。なお、本実施の形態1では、ウェブ搬送制御を用途としたモータ制御装置について説明する。また、ウェブ搬送制御が速度制御を基本として動作している形態を示すが、特に速度制御に限定するものでなく、位置制御を行う場合においても、同様に実現可能なものである。
図1に示したモータ制御装置100は、フィードフォワード演算部10、偏差補償演算部20、トルク指令合成部30、反力補償演算部40、および制御偏差演算部50を備えて構成されている。さらに、モータ制御装置100は、電流制御器110を介してモータ121と接続されている。また、動作検出器122は、モータ121の回転速度であるモータ速度(モータ動作検出値)yを検出し、モータ制御装置100に入力する。モータ制御装置100には、このモータ速度yとともに、外部から速度指令(動作指令)ycと反力参照値frとが入力される。
次に、モータ制御装置100の内部構成の各機能について、詳細に説明する。
フィードフォワード演算部10は、速度指令ycに基づいて、モータ121のモータ速度yを制御するための参照値となる速度参照値(動作参照値)yrと、モータ121が速度参照値yrに一致するよう動作するために必要なトルクをフィードフォワードトルクufとして演算して、出力する。
制御偏差演算部50は、速度参照値yrと、モータ速度yと、後述する動作補正値yhとを入力とし、帰還制御によって低減させる偏差信号である制御偏差eを出力する。次に、偏差補償演算部20は、制御偏差eに対してPI(比例積分)制御により制御偏差eを定常的に0にするよう低減するための積分動作を含む帰還制御演算を行い、その結果を偏差補償トルクubとして出力する。
反力補償演算部40は、反力参照値frと偏差補償トルクubとを入力とし、これらの比較に基づく演算によって、モータ121の動作を補正する信号である動作補正値yhを出力する。トルク指令合成部30は、フィードフォワードトルクufと偏差補償トルクubとを入力として、トルク指令uを出力する。
モータ制御装置100は、トルク指令uを電流制御器110に出力し、電流制御器110がモータ121の電流を制御することで、モータ121は、トルク指令uに応じたトルクを発生する。
図2は、本発明の実施の形態1におけるモータ制御装置100を適用したウェブ搬送制御システムの模式図である。図2におけるウェブ搬送制御システムは、モータ121、動作検出器122、巻き取りロール123、搬送材124、巻き出しロール125、および巻き出し軸モータ126を備えている。
モータ121は、巻き取りロール123を駆動することで、鋼板、紙、フィルム等、帯状の搬送材124の巻き取りを行う。搬送材124は、巻き出しロール125から巻き出され、巻き出しロール125は、速度制御等が実施される巻き出し軸モータ126によって、所定のライン速度に応じて巻き出しが実施される。
モータ制御装置100は、上述のように、動作検出器122で検出したモータ121のモータ速度yと、外部から入力した反力参照値frと、速度指令ycとに基づいてトルク指令uを出力することで、電流制御器(図2では図示していないが、図1の電流制御器110に相当)を介してモータ121の発生トルクを制御する。
次に、このようなウェブ搬送制御システムに適用される図2に示したモータ制御装置100の動作の詳細と特徴について、図1の構成に基づいて説明する。モータ制御装置100において、反力参照値frの入力、反力補償演算部40、および動作補正値yhを除去した部分は、規範モデル型制御と呼ばれる2自由度制御として一般的な構成であり、まず始めに、その部分についての動作を説明する。
フィードフォワード演算部10は、入力された速度指令ycに対して、モータ121の動作が振動的にならないようローパスフィルタ等の演算を行った結果を、速度参照値yrとして出力する。また、それと同時に、フィードフォワード演算部10は、速度参照値yrの微分値(加速度)に対して、モータ121や、巻き取りロール123といったモータ121で駆動する部分(駆動対象)の慣性モーメント値を乗じることで、モータ121の加減速に必要な慣性トルクを計算する。
さらに、フィードフォワード演算部10は、速度参照値yrに基づいて駆動対象に生じる摩擦トルクを計算し、慣性トルクと摩擦トルクとの和をフィードフォワードトルクufとして出力する。
ここで、モータ121および巻き取りロール123からなる駆動対象の機械剛性が高く、慣性モーメントや摩擦が正確にモデル化できていると仮定する。このような仮定をした場合、搬送材124で発生する張力を無視すると、フィードフォワード演算部10は、速度参照値yrの変化に対してモータ121の速度yが一致して追従するために必要なトルクを、フィードフォワードトルクufとして生成していることとなる。
次に、制御偏差演算部50は、速度参照値yrと、モータ速度yと、後述の反力補償演算部40で演算される動作補正値yhとを入力する。そして、制御偏差演算部50は、これらの入力に基づいて、速度参照値yrからモータ速度yを減算した値(すなわち速度偏差)に動作補正値yhを加算した値を制御偏差eとして出力する。なお、この加減算の順序は、特に同じである必要はなく、等価な演算を行えばよい。
次に、偏差補償演算部20は、制御偏差eを入力とし、あらかじめ設定された制御定数である積分ゲインωiと比例ゲインKvとを用いて、次式(1)で表される比例積分(PI)制御を行う。具体的には、偏差補償演算部20は、制御偏差eを定常的に0にするよう低減するための積分動作を含んだ帰還制御演算を行い、その結果を、偏差補償トルクubとして出力する。
ub=Kv・{1+(ωi/s)}・e
=Kv・{(s+ωi)/s}・e (1)
上式(1)において、sはラプラス演算子を表しており、積分ゲインωiは、偏差補償演算部20の零点に対応する。
次に、トルク指令合成部30の構成について、図3を用いて説明する。図3は、本発明の実施の形態1におけるトルク指令合成部30の内部構成を表すブロック図である。図3に示したトルク指令合成部30は、帰還トルクフィルタ31およびトルク加算器32を備えている。
トルク指令合成部30は偏差補償トルクubとフィードフォワードトルクufとを入力する。そして、トルク指令合成部30内の帰還トルクフィルタ31は、偏差補償トルクubに対して、定常成分以外の所定の周波数成分を除去するような帰還トルクフィルタFb(s)の演算を行う。
また、トルク加算器32は、帰還トルクフィルタ31の出力とフィードフォワードトルクufとの加算を行い、トルク指令uとして出力する。すなわち、トルク指令合成部30は、次式(2)で表される演算を行い、フィードフォワードトルクufと偏差補償トルクubとに基づいて、定常的な特性がこれらの加算となる演算を行っている。
u=uf+Fb(s)・ub (2)
ここで、上記の帰還トルクフィルタFb(s)の演算は、通常は、上式(1)に記した偏差補償演算部20の制御定数で決まる制御帯域より高い周波数領域において、所定の周波数成分を除去するものであり、例えば、ローパスフィルタや、ノッチフィルタと呼ばれるものを用いる。これにより、モータ速度yを帰還する帰還制御ループの安定性を向上させ、それと合わせて、偏差補償演算部20のゲインを高く設定することによって、制御偏差eを速い応答で低減させる目的を有する。このことから、上式(2)における帰還トルクフィルタFb(s)は、通常の速度制御において制御系の高応答化を行うために必要不可欠なものであるとともに、場合により複雑な特性を持たせるものである。
上記のように、本実施の形態1におけるモータ制御装置100は、反力参照値frの入力、反力補償演算部40、および動作補正値yhを除去した部分において、規範モデル制御と呼ばれる2自由度制御の構成をしている。この結果、搬送材124の張力の影響を無視した状況において、モータ速度yが速度参照値yrに高精度に一致するように制御することを可能にしている。
次に、反力補償演算部40の動作について説明する。図4は、本発明の実施の形態1における反力補償演算部40の内部構成を表すブロック図である。図4に示した反力補償演算部40は、トルク補正量演算部41、反力補償増幅部42、反力補償制限部43、および反力補償フィルタ44を備えている。そして、この反力補償演算部40は、反力参照値frと偏差補償トルクubとを入力とし、反力参照値frと偏差補償トルクubとの比較に基づいて、トルク補正量uhを演算する。
図2に示したウェブ搬送制御システムにおいて、搬送材124に一定の張力を与えながら搬送する動作を想定した場合を考える。この場合、外部からモータ制御装置100に入力する反力参照値frは、搬送材124に与える張力と釣り合うモータ121のトルクの値が設定される。そして、トルク補正量演算部41は、反力参照値frと偏差補償トルクubとの比較を行い、これらの差である反力偏差feをトルク補正量uhとして出力する。
次に、反力補償増幅部42は、トルク補正量uhに所定の定数である反力補償ゲインKhを乗じた結果を出力する。次に、反力補償制限部43は、反力補償増幅部42の出力に対して、あらかじめ設定された反力補償制限値で大きさを制限した結果を出力する。さらに、反力補償フィルタ44は、反力補償制限部43の出力に対して、次式(3)で表すような所定の極、すなわち遮断周波数ωfを有するローパスフィルタFh(s)の演算を行った結果を、動作補正値yhとして出力する。
Fh(s)=ωf/(s+ωf) (3)
ここで、上記の反力補償フィルタ44は、偏差補償演算部20と反力補償演算部40と制御偏差演算部50とからなる演算ループから高い周波数成分を除去し、この演算ループの演算を安定に行う目的のものである。
また、反力補償演算部40は、モータ制御装置100の特性が不必要に複雑になるのを防ぎ、所望の制御特性を簡単に実現するために、反力補償フィルタ44における遮断周波数ωfを、偏差補償演算部20の制御定数である積分ゲインωi、すなわち零点に一致させるように、次式(4)のように設定する。
ωf=ωi (4)
また、反力補償演算部40は、外部から設定したパラメータである反力補償周波数ωhと、偏差補償演算部20の制御定数である積分ゲインωiと、比例ゲインKvとに基づいて、反力補償ゲインKhを次式(5)のように設定する。
Kh=ωh/(Kv・ωi) (5)
ここで、偏差補償トルクubの役割について説明する。速度指令ycおよび速度参照値yrの変化に応じてモータを加減速するための慣性モーメントおよび摩擦を補償するために必要なトルクは、フィードフォワード演算部10でフィードフォワードトルクufとして演算され、トルク指令合成部30でトルク指令uへと加算されている。
従って、偏差補償トルクubは、単純にモデル化できない機械特性や摩擦特性等、フィードフォワード演算部10におけるモデル化誤差に起因して発生するモータ121の速度誤差を補償する働きとともに、モータ121および巻き取りロール123からなる駆動対象が搬送材124の張力に抗するために必要な反力を供給する働きをしている。すなわち、偏差補償トルクubの働きは、モータ121の速度制御と、搬送材124に張力を供給するためのトルク制御とが複合した目的を有する。
従って、モータ制御装置100を上記のように構成することで、速度指令ycに基づく速度制御を行いながら、偏差補償トルクubが搬送材124に発生させる張力に釣り合うトルクに近づくよう、動作補正値yhを用いて制御偏差eが修正される。このため、速度指令ycに対して、モータ121が高精度に追従するよう加減速を行いながら、搬送材124に発生させる張力が、反力参照値frに対応した値になるよう制御することが可能になる。
次に、モータ制御装置100のより詳しい特性について説明する。モータ制御装置100において、反力参照値frから偏差補償トルクubまでの伝達関数は、次式(6)で表される。
ub/fr=ωh/(s+ωh) (6)
すなわち、反力参照値frから偏差補償トルクubまでの伝達特性は、反力補償周波数ωhを遮断周波数とするローパス特性となる。
また、反力補償演算部40が追加されたことにより、モータ速度yから偏差補償トルクubまでの伝達関数は、元々は上式(1)の正負の符号だけを反転させた比例積分特性だったものが、次式(7)へと変化する。
ub/y=−Kv・(s+ωi)/(s+ωh) (7)
すなわち、反力補償演算部40を追加することで、モータ速度yから偏差補償トルクubまでの伝達関数が、比例積分演算における積分動作を擬似積分に変化させた特性となる。言い換えると、上記特性は、元々、モータ速度の定常偏差が0になるように動作していた偏差補償演算部20の上式(1)の特性に対して、反力補償周波数ωhを遮断周波数とするハイパスフィルタを追加したのと同様な特性となっている。
上式(6)および上式(7)より、偏差補償トルクubは、反力参照値frの低周波数成分と、反力補償演算部40を追加しない場合の偏差補償トルクubの高周波数成分とを合成した信号となっている。また、上式(6)および上式(7)から解るように、反力補償周波数ωhが設定可能な範囲は、モータ制御装置100の計算周期に起因した制限はあるものの、実質的な無限大まで大きく設定することが可能である。
このように反力補償周波数ωhを実質的な無限大まで大きくした場合、モータ速度から偏差補償トルクubまでの伝達関数は、実質的に0となるとともに、反力参照値frから偏差補償トルクubまでの伝達関数は、実質的に1となる。すなわち、モータ速度yをトルク指令uへとフィードバックする制御ループは、実質的に切断されるとともに、偏差補償トルクubを反力参照値frに一致させることで、フィードフォワード的なトルク制御を行う特性となる。
従って、反力補償周波数ωhの設定によって、速度指令ycにモータ速度yが追従するよう要求される速度制御と、反力参照値frに応じたトルクを生成するようなトルク制御とを複合させた特性を、ウェブ搬送制御システムの特徴や制御の目的に応じて、幅広い特性で実現できる。
例えば、加減速が急峻な場合や、モータ121のトルクリップルが問題になる場合など、巻き取りロール123の回転動作精度に起因した問題が大きい場合には、速度制御の特性を強めた設定、すなわち、低めの反力補償周波数ωhの設定にする。逆に、搬送材124が急に引っ張られるような急激な張力変化がある場合には、トルク制御の特性を強めた設定、すなわち、高めの反力補償周波数ωhの設定にする。このような設定を行うことで、より安定なウェブ搬送制御が可能になる。
次に、上記のように速度制御とトルク制御とが複合した特性を幅広い特性として、また、上式(6)および上式(7)で表されるように把握が容易な特性として実現するための、本実施の形態1のモータ制御装置100の構成上の特徴について述べる。
本実施の形態1では、比例積分演算を行っている偏差補償演算部20の特性に対応して、反力補償演算部40において、反力補償フィルタ44を備え、反力補償フィルタ44の極を偏差補償演算部20の零点と一致させている。これにより、上式(6)および上式(7)は、本来は、分母と分子の次数がさらに1次高い複雑な特性となるところであるが、次数が実質的に低減され、上記のように簡単な特性として設定できるようになる。
また、反力補償演算部40と、制御偏差演算部50と、偏差補償演算部20とから構成されるモータ制御装置100内部の演算ループの開ループ特性が、単純な積分特性となる。この結果、ゲインによらず安定なループ演算が可能となり、反力補償周波数ωhにより設定される上式(6)および上式(7)の極、すなわち内部帰還ループの閉ループ極を、0から無限大まで簡単に設定することを可能にしている。
また、偏差補償演算部20の制御定数を用いて、上式(5)のように反力補償増幅部42の反力補償ゲインKhを設定している。この結果、モータ制御装置100の特性を、外部から設定した反力補償周波数ωhに対応した周波数領域での特性を考慮しながら、所望の特性に設定可能にしている。
次に、反力補償制限部43により得られる効果について説明する。反力補償制限部43は、反力補償フィルタ44の入力側に設定されている。そして、反力補償フィルタ44は、上述のようにローパスフィルタなので、実質的には反力補償フィルタ44が出力する動作補正値yhを反力補償制限値で制限している。これにより、上記のようなトルク制御と速度制御とが複合した制御を行っている場合でも、速度参照値yrとモータ速度yとの定常偏差が反力補償制限値を越えないように、速度制御を動作させることができる。
従って、例えば、搬送材124が切断された場合でも、モータ速度yと速度指令ycとの偏差が所定値より大きくならないようにして暴走を防ぐ働きを持たせることができる。また、フィードフォワード演算部10におけるフィードフォワードトルクufの演算におけるモデル化誤差が過大で、実際の摩擦が想定よりも大きいような場合でも、モータ速度yが極端に小さくなるのを防ぎ、搬送材124が緩みすぎて巻き取りが困難になるのを防ぐ働きを持たせることができる。
また、反力補償制限部43が反力補償フィルタ44の出力側でなく入力側についていることで、反力補償フィルタ44の作用で遅れた信号を元に制限判断を行うよりも早い制限判断が可能になる。この結果、制限動作時のオーバーシュートを抑制する効果が得られ、また、制限動作が発生した場合における動作補正値yhの変化を緩やかにして、制御系に与えるショックを低減させることができる。
上記では、モータ121の速度制御を行いながら、常時、搬送材124に与える張力の制御も行う場合を想定し、偏差補償トルクubが反力参照値frに一致するよう、反力補償演算部40が常に動作するように構成していた。しかしながら、同様なウェブ搬送制御システムにおいても、例えば、印刷機械のように、複数のモータ軸の動作がなるべく同期するよう、指令に対する追従精度が最重要視される場合や、あるいはウェブ搬送ラインの始動時において十分な張力を与えるまでの過渡的動作の場合など、基本的には、モータ速度yが速度指令ycあるいは速度参照値yrになるべく正確に一致するような速度制御を行い、搬送材124の張力が所定の値に到達した時点で張力制御に移行させる動作や、あるいは搬送材124の張力が所定の値より大きくならない範囲で速度制御を行う動作がモータ制御装置100に要求される場合があり、動作条件の違いに対応した高機能な制御特性が望まれる。
このような動作条件の違いによる要求に対応してモータ制御装置100を動作させる場合、反力補償演算部40におけるトルク補正量演算部41の動作において、上述の説明では、単に反力参照値frと偏差補償トルクubとの差である反力偏差feをそのままトルク補正量uhとしていた。しかしながら、例えば、反力偏差feが負の場合のみ反力偏差feをトルク補正量uhとし、feが正の場合には、トルク補正量uhを0とするといった、反力参照値frと偏差補償トルクubとの比較に基づいた非線形な演算によりトルク補正量uhの演算を行ってもよい。
これにより、搬送材124の張力が小さい状態では、反力参照値frより偏差補償トルクubが小さいため、トルク補正量uhや動作補正値yhが0となり、モータ制御装置100は、単に速度制御として動作する。一方で、搬送材124の張力が大きくなると、それに対抗するよう速度制御を行うために、偏差補償トルクubが大きくなり、偏差補償トルクubが反力参照値frを超えると、反力補償演算部40がモータ121の速度を低下させるように動作補正値yhを出力する。このようにすることで、搬送材124の張力が反力参照値frと釣り合う量より大きくならないように制御するといった、高機能な制御を実現できる。
次に、上記のように、ウェブ搬送制御における各種の運転条件に対応した高機能な制御を、反力補償演算部40を追加するだけの簡単な演算で実現可能とする、本実施の形態1によるモータ制御装置100の構成上の特徴について説明する。
まず、モータ制御装置100は、速度指令ycにモータ速度yが追従するように、トルク指令uの演算を行う速度制御を基礎にしている。さらに、モータ制御装置100は、従来のドルーピング制御とは異なり、外部から入力した反力参照値frを参照した制御演算の修正を行うことで、速度制御と、搬送材124の張力を考慮したトルク制御とが複合した特性を持つことを可能にしている。
また、その方法として、反力参照値frとモータ制御装置100で演算した変数(偏差補償トルクub)との、差分等の比較演算を行った結果に基づいて、制御演算の修正を行う。これにより、所定の張力値を基準としたモータ制御装置100の動作状況に応じて制御演算の修正を行い、簡単な非線形演算を導入するだけで、動作状況に応じた高機能な制御を実現可能にしている。
さらには、反力参照値frとの比較を行うモータ制御装置100の変数として、モータ制御装置100の内部において、トルク指令uを計算する中間変数である偏差補償トルクubを用いている。この偏差補償トルクubは、トルク指令uの計算過程において、フィードフォワードトルクufを加算する前の変数であるため、モータ121の加減速に必要なトルクは含まれない。そのため、速度指令ycの加減速に対しては、モータ速度yが正確に追従するようフィードフォワードトルクufを加算してトルク指令uを生成しながら、搬送材124に与える張力に対応したトルクだけ反力参照値frと比較を行って補正することができる。
また、反力参照値frと比較する偏差補償トルクubは、速度帰還制御を高応答化するために不可欠な帰還トルクフィルタFb(s)を施す前の信号である。このため、偏差補償演算部20と反力補償演算部40からなるモータ制御装置100内部でのループ演算における不必要な遅れを除去し、反力補償周波数ωhを実質的な無限大まで大きくできるよう構成している。
これにより、反力補償周波数ωhの設定範囲に実質的な制約を設ける必要がなく、状況に応じて偏差補償トルクubを反力参照値frに一致させる制御を、高応答に行うことを可能にする。さらに、モータ制御装置100の特性を、所望の複合的な特性に簡単に設定できるようにしている。
なお、上記説明において、トルク指令合成部30は、先の図3および上式(2)で表す演算を行う、すなわち、フィードフォワードトルクufからトルク指令uまでの伝達関数が1の演算を行う場合について説明した。しかしながら、上述した制御帯域以上の周波数成分を変更するような処理を行っても実質的な効果に大差はない。
例えば、先の図3および上式(2)の演算に代えて、フィードフォワードトルクufと偏差補償トルクubとの和に上述の帰還トルクフィルタFb(s)を作用させることで、トルク指令uの演算を行ってもよい。すなわち、トルク指令合成部30は、トルク指令uが、帰還トルクフィルタFb(s)により偏差補償トルクから定常成分以外の所定の周波数成分を除去した信号と、フィードフォワードトルクufの定常成分を含む信号の和となるように演算すればよい。これにより、トルク指令合成部30は、定常的な特性がフィードフォワードトルクufと偏差補償トルクubとの加算となる特性の演算を行っている。
また、上記説明において、反力補償演算部40は、反力補償フィルタ44の極を偏差補償演算部20の零点に一致させるように設定した。しかしながら、完全には一致させなくとも、類似の効果が得られることは言うまでもない。
以上のように、実施の形態1によれば、上述した構成を有することで、ウェブ搬送制御を用途としたモータ制御装置において、速度指令の変化に対してモータ速度を正確に追従させながら、搬送材に発生させる張力を所望の値で一定に保つことができる。さらに、速度制御と、張力に対応したトルク制御とが複合した制御を幅広い特性で実現でき、ウェブ搬送制御としての各種用途や運転状況に応じた高機能な制御を、簡単な演算で実現することができる。
実施の形態2.
図5は、本発明の実施の形態2におけるモータ制御装置を示すブロック図である。図5に示したモータ制御装置200は、フィードフォワード演算部10、偏差補償演算部20a、トルク指令合成部30、反力補償演算部40a、および制御偏差演算部50を備えて構成されている。図1と同一符号は同一部分を表し、その説明を省略する。
本実施の形態2におけるモータ制御装置200は、先の実施の形態1と同様に、図2に示したウェブ搬送制御システムを用途としたもので、図2におけるモータ制御装置100を置き換えたものである。また、本実施の形態2におけるモータ制御装置200は、先の実施の形態1におけるモータ制御装置100と比較すると、偏差補償演算部20aおよび反力補償演算部40aの内部構成が異なっている。
そこで、モータ制御装置200の構成について、先の実施の形態1における図1との違いを中心に、図5を用いて説明する。まず始めに、偏差補償演算部20aについて説明する。先の実施の形態1における偏差補償演算部20は、制御偏差eに対する比例積分演算を行っていた。これに対して、本実施の形態2における偏差補償演算部20aは、積分演算と比例演算とを分離して演算し、それらの入力に若干の変更を行った構成にしたものである。
図6は、本発明の実施の形態2における偏差補償演算部20aの内部構成を表すブロック図である。偏差補償演算部20aは、制御偏差eと、速度参照値yrと、モータ速度yとを入力としている。そして、その内部において、積分増幅器21は、制御偏差eに対して、あらかじめ設定した制御定数である積分ゲインωiの乗算と積分とを行った結果を出力する。また、加減算器22は、積分増幅器21の出力に対して、速度参照値yrを加算し、モータ速度yを減算した結果を出力する。さらに、比例増幅器23は、加減算器22の出力に対して、あらかじめ設定した制御定数である比例ゲインKvを乗じた値を、偏差補償トルクubとして出力する。
すなわち、偏差補償演算部20aは、次式(8)で表される演算を行う。
ub=Kv{(ωi/s)・e+(yr−y)} (8)
従って、偏差補償演算部20aは、制御偏差eを定常的に0にするよう低減するための積分動作を含んだ帰還制御演算を行い、制御偏差eから偏差補償トルクubまでの伝達特性が積分特性となるように演算している。
ここで、上式(8)における右辺波括弧内の第2項は、速度参照値yrとモータ速度yとの偏差に対して比例補償を行っている項である。そして、この第2項は、モータ速度yの帰還ループを安定に保つ効果を有するとともに、過渡的に速度参照値yrとモータ速度yとの偏差を小さくするように制御する効果がある。しかしながら、偏差補償演算部20aは、定常的には、上式(8)において積分される制御偏差eを0にするように動作する。
次に、反力補償演算部40aについて説明する。反力補償演算部40aは、反力参照値frと偏差補償トルクubとを入力とし、動作補正値yhを出力する。図7は、本発明の実施の形態2における反力補償演算部40aの内部構成を表すブロック図である。この図7に示す反力補償演算部40aは、先の実施の形態1における図4に示した反力補償演算部40の反力補償フィルタ44を除去したものに相当し、それ以外の動作は、同じである。
すなわち、反力補償演算部40aは、反力参照値frと偏差補償トルクubとを入力とする。そして、反力補償演算部40a内部のトルク補正量演算部41は、反力参照値frと偏差補償トルクubとの比較に基づいて、トルク補正量uhを演算する。次に、反力補償増幅部42は、トルク補正量uhに所定の定数である反力補償ゲインKhを乗じた結果を出力する。
さらに、反力補償制限部43は、反力補償増幅部42の出力に対して、あらかじめ設定された反力補償制限値での制限動作を行った結果を、動作補正値yhとして出力する。
また、反力補償演算部40aは、偏差補償演算部20aの制御定数である積分ゲインωiおよび比例ゲインKvと、外部から設定した反力補償周波数ωhとを用いて、反力補償ゲインKhを、先の実施の形態1における上式(5)と同様にして、次式(9)を用いて設定する。
Kh=ωh/(Kv・ωi) (9)
また、制御偏差演算部50は、先の実施の形態1と同様に、動作補正値yhと、速度参照値yrと、モータ速度yとを入力とし、速度参照値yrと動作補正値yhとの加算値からモータ速度yを減算した値を、制御偏差eとして出力する。
本実施の形態2におけるモータ制御装置200は、上記のように構成することで、反力参照値frから偏差補償トルクubまでの伝達関数が下式(10)で表される。
ub/fr=ωh/(s+ωh) (10)
また、モータ速度yから偏差補償トルクubまでの伝達関数は、次式(11)となる。
ub/y=Kv・(s+ωi)/(s+ωh) (11)
上式(10)および上式(11)は、先の実施の形態1における式(6)および式(7)と全く同一の式となる。すなわち、先の実施の形態1における偏差補償演算部20は、比例積分演算を行っていた。これに対して、本実施の形態2では、上述のような構成に変更し、制御偏差eから偏差補償トルクubまでの伝達関数が積分特性になるように演算させている。このため、先の実施の形態1の反力補償演算部40では必要であった反力補償フィルタ44が、本実施の形態2では不要になり、その分、演算量を減少させ、簡単な演算で同等な特性を実現可能にしている。
なお、巻き取りロール123のロール径として想定している値が実際と異なる場合など、搬送材124の張力を所望の値に正確に保つためには、速度指令ycとモータ速度yとの間に定常偏差を持たせる必要がある。このような条件で、偏差補償トルクubの定常的な値を反力参照値frで指定した値に完全に一致させる必要がある場合が考えられる。このような場合には、上記の説明においては単なる比例演算とした反力補償演算部40aにおける反力補償増幅部42の演算を、比例積分演算にすればよいことは容易に理解できる。
以上のように、実施の形態2によれば、上述した構成を有することで、先の実施の形態1と同様に、ウェブ搬送制御を用途としたモータ制御装置において、速度指令の変化に対してモータ速度を正確に追従させながら、搬送材に発生させる張力を所望の値で一定に保つことができる。さらに、速度制御と、張力に対応したトルク制御とが複合した制御を幅広い特性で実現でき、ウェブ搬送制御としての各種用途や運転状況に応じた高機能な制御を、簡単な演算で実現することができる。
実施の形態3.
図8は、本発明の実施の形態3におけるモータ制御装置を示すブロック図である。本実施の形態3は、1つの駆動対象(ワーク)を2つのモータで同期制御を行いながら駆動する並列駆動制御の用途を想定したものである。本実施の形態は、このような並列駆動制御において、2つのモータの各位置を検出する位置検出器の誤差や、駆動対象とモータとを機械的に結合させる際の機械的誤差(以下では軸間機械誤差と呼ぶ)に起因して、単に各軸の位置制御を正確に行っただけでは、各モータ間の機械的な捻りに起因した軸間干渉力が大きくなる問題に対応するものである。
また、このような並列駆動制御でも、位置制御と速度制御の両方の場合が考えられるが、本実施の形態3では、位置制御を行う並列駆動制御について説明する。また、本実施の形態3は、回転モータによる回転駆動の場合でも、リニアモータによる直線駆動の場合でも全く同様なものであるが、以下では、回転駆動の場合としての用語を用いて説明する。
まず、モータ制御装置300の全体構成について、図8を用いて説明する。図8に示したモータ制御装置300は、従軸制御部310と主軸制御部320とで構成されている。そして、従軸制御部310は、電流制御器(従軸電流制御器)110aを介してモータ(従軸モータ)121aと接続されており、同様に、主軸制御部320は、主軸電流制御器110bを介して主軸モータ121bと接続されている。
モータ121aおよび主軸モータ121bは、それぞれシャフトやボールネジを介して1つの駆動対象130を駆動する。動作検出器122aおよび主軸動作検出器122bは、それぞれ、モータ121aと主軸モータ121bの回転位置をモータ位置(モータ動作検出値)y、主軸モータ位置y_mとして検出し、モータ制御装置300に入力する。
また、モータ制御装置300には外部から位置指令(動作指令)ycが入力される。そして、主軸制御部320は、位置指令ycと主軸モータ位置y_mとを入力とし、後述の演算により、主軸モータ121bに対する主軸トルク指令u_mと、従軸制御部310に対する反力参照値frとを出力する。一方、従軸制御部310は、位置指令ycと、モータ位置yと、反力参照値frとを入力とし、後述の演算により、モータ121aに対するトルク指令uを出力する。
モータ制御装置300は、電流制御器110aおよび主軸電流制御器110bにそれぞれトルク指令uと主軸トルク指令u_mを出力する。そして、電流制御器110aおよび主軸電流制御器110bは、トルク指令u、主軸トルク指令u_mに基づいて、それぞれモータ121a、主軸モータ121bの電流を制御する。この結果、モータ121aおよび主軸モータ121bが、トルク指令uおよび主軸トルク指令u_mに対応したトルクを発生することとなる。
従軸制御部310は、先の実施の形態1におけるモータ制御装置100と同様に、フィードフォワード演算部10S、偏差補償演算部20S、トルク指令合成部30S、反力補償演算部40S、および制御偏差演算部50Sを備えて構成されている。そこで、まず始めに、従軸制御部310において通常の位置制御と同様に動作する、反力補償演算部40S以外の部分について説明する。
フィードフォワード演算部10Sは、入力された位置指令ycに対して、モータ121aの動作が振動的にならないようローパスフィルタ等の演算を行った結果を位置参照値(動作参照値)yrとして出力する。また、それと同時に、フィードフォワード演算部10Sは、位置参照値yrを2階微分した加速度信号にモータ121aが駆動する駆動部分の慣性モーメントの設定値を乗じる演算に基づいて、モータ121aの加減速に必要なトルクを計算し、フィードフォワードトルクufとして出力する。
ここで、上記のモータ121aが駆動する駆動部分の慣性モーメントとは、モータ(従軸モータ)121aと主軸モータ121bと駆動対象130の全体の慣性モーメントのうち、従軸モータ121aで分担させる分である。従って、主軸モータ121bと従軸モータ121aおよび駆動対象130とが完全に対称的に構成されている場合には、全体の慣性モーメントの半分で良い。しかしながら、例えば、従軸モータ121aと主軸モータ121bの容量が異なる場合や、駆動対象130の重心が偏っている場合などには、駆動対象130および各モータが同期して駆動されるよう、全体の慣性モーメントを適切な割合で分担させて設定する。
次に、従軸制御部310内の制御偏差演算部50Sの動作について、図面を用いて説明する。図9は、本発明の実施の形態3における制御偏差演算部50Sの内部構成を表すブロック図である。制御偏差演算部50Sは、位置参照値yrと、モータ位置yと、後述する動作補正値yhとを入力とし、位置参照値yrとモータ位置yとの偏差である位置偏差yeに位置ゲインKpを乗じた信号と、位置偏差yeを微分した信号(速度偏差)と、動作補正値yhとを加算した信号を制御偏差eとして出力する。
ここで、上記の演算により、制御偏差eは、速度の次元を持つ信号となるような演算を行っている。しかしながら、本質的には、制御偏差演算部50Sは、位置偏差yeとその微分値(速度偏差)と動作補正値yhとを適切な比率で加算した線形和として、低減すべき制御偏差eを演算するものである。すなわち、位置参照値yrとモータ位置yとの偏差と動作補正値yhとに基づいた演算によって制御偏差eを出力する。
偏差補償演算部20Sは、先の実施の形態1における偏差補償演算部20と同様に、あらかじめ設定された制御定数である積分ゲインωiと比例ゲインKvを用いた、上式(1)で表される比例積分(PI)制御を行う。これにより、偏差補償演算部20Sは、制御偏差eを定常的に0にするよう低減するための積分動作を含んだ帰還制御演算を行い、その結果を偏差補償トルクubとして出力する。
トルク指令合成部30Sは、先の実施の形態1における図3に示したトルク指令合成部30と同様に、偏差補償トルクubとフィードフォワードトルクufとを入力とし、帰還トルクフィルタFb(s)を用いて、上式(2)で表される演算を行い、トルク指令uを出力する。ここで、帰還トルクフィルタFb(s)の演算は、先の実施の形態1と同様に、ローパスフィルタや、ノッチフィルタと呼ばれる、所定の周波数成分を低減するものを用いる。
この帰還トルクフィルタFb(s)は、駆動対象130における機械共振等に対応して制御系の安定性を向上させ、偏差補償演算部20Sのゲインを高く設定して制御偏差eを速い応答で低減させる目的を有する。このことから、トルク指令合成部30Sにおける帰還トルクフィルタFb(s)は、通常の位置制御にとって必要不可欠なものであるとともに、場合によっては複雑な特性を持たせるものである。
次に、主軸制御部320の構成について、図10を用いて説明する。図10は、本発明の実施の形態3における主軸制御部320の内部構成を表すブロック図である。主軸制御部320は、主軸フィードフォワード演算部10M、主軸偏差補償演算部20M、主軸トルク指令合成部30M、および主軸制御偏差演算部50Mを備えて構成されている。主軸制御部320は、主軸モータ121bに対する制御を行う部分であり、従軸制御部310から反力補償演算部40Sを除いた部分と同様な構成のものである。
主軸制御部320内の主軸フィードフォワード演算部10Mは、位置指令ycに基づき、従軸モータ121aに対するフィードフォワード演算部10Sと同様な演算により、主軸位置参照値yr_mと主軸フィードフォワードトルクuf_mを出力する。
ただし、従軸制御部310のフィードフォワード演算部10Sでは、フィードフォワードトルクufの演算で用いる慣性モーメントの設定値として、全体の慣性モーメントのうち、従軸モータ121aで駆動するよう分担させた値を設定していた。これに対し、主軸フィードフォワード演算部10Mでは、主軸モータ121bで駆動するよう適切に分担させた慣性モーメントの設定値を用いて、主軸フィードフォワードトルクuf_mの演算を行う。
主軸制御部320内の主軸制御偏差演算部50Mは、従軸制御部310における制御偏差演算部50Sから動作補正値yhの入力を除去したものと同様な動作を行う。すなわち、主軸位置参照値yr_mと主軸モータ位置y_mとの偏差である主軸位置偏差ye_mに対し、主軸位置偏差ye_mに位置ゲインを乗じた信号と主軸位置偏差ye_mを微分した主軸速度偏差とを加算した結果を、主軸制御偏差e_mとして出力する。
また、主軸偏差補償演算部20Mは、主軸制御偏差e_mに基づいて、従軸モータ121aに対する偏差補償演算部20Sと同様な演算により、主軸偏差補償トルクub_mを出力する。
また、主軸トルク指令合成部30Mは、主軸偏差補償トルクub_mと主軸フィードフォワードトルクuf_mに対して、従軸制御部310のトルク指令合成部30Sが偏差補償トルクubとフィードフォワードトルクufに対して行った上式(2)の演算と同様な演算を行い、主軸トルク指令u_mを出力する。
上記のような演算により、主軸制御部320は、入力された位置指令ycに基づいて主軸トルク指令u_mを出力する。さらに、これと同時に、主軸制御部320は、主軸偏差補償トルクub_mを、従軸制御部310に対する反力参照値frとして出力する。
次に、従軸制御部310内の反力補償演算部40Sの動作について、図11を用いて説明する。図11は、本発明の実施の形態3における反力補償演算部40Sの内部構成を表すブロック図である。反力補償演算部40Sは、トルク補正量演算部41、反力補償増幅部42、反力補償制限部43、および反力補償フィルタ44を備えており、先の実施の形態1の図4における反力補償演算部40と同様な演算を行う。すなわち、反力補償演算部40Sは、主軸制御部320から出力された反力参照値frと、従軸制御部310における偏差補償演算部20Sから出力された偏差補償トルクubとを入力とする。
そして、トルク補正量演算部41は、反力参照値frと偏差補償トルクubとの比較に基づき、それらの差である反力偏差feに対して、事前の設定に応じて非線形な不感帯の操作を行った信号を、トルク補正量uhとして出力する。
反力補償増幅部42は、トルク補正量uhに所定の定数である反力補償ゲインKhを乗じ、出力する。反力補償制限部43は、反力補償増幅部42の出力に対して、あらかじめ設定された反力補償制限値で大きさを制限する非線形処理を行った結果を出力する。さらに、反力補償フィルタ44は、反力補償制限部43の出力に対して、先の実施の形態1における上式(3)と同様に、遮断周波数ωfを有するローパスフィルタFh(s)の演算を行った結果を、動作補正値yhとして出力する。
また、反力補償演算部40Sは、反力補償フィルタ44における極、すなわち遮断周波数ωfを、偏差補償演算部20Sにおける比例積分演算の零点である積分ゲインωiに一致させるように設定する。また、反力補償演算部40Sは、外部から設定したパラメータである反力補償周波数ωhと、偏差補償演算部20Sの制御定数とに基づいて、先の実施の形態1で述べた上式(5)を用いて、上記の反力補償ゲインKhを設定する。
モータ制御装置300は、上記のように動作するので、従軸制御部310におけるフィードフォワード演算部10S、および主軸制御部320における主軸フィードフォワード演算部10Mにおいて、従軸モータ121aおよび主軸モータ121bで分担する慣性モーメントの値を別個に設定して演算したフィードフォワードトルクufおよび主軸フィードフォワードトルクuf_mを用いて各モータを駆動する。
この結果、各モータの容量が異なったり、駆動対象130の重心が偏ったりした場合でも、各モータを正確に同期させながら駆動して、位置指令ycに正確に追従するように加減速を行うことができる。さらに、従軸モータ121aと主軸モータ121bとの間で駆動対象130を捻るように発生する軸間干渉力を抑制するように、従軸モータの動作を補正することが可能になる。
モータ制御装置300で得られる特性について、さらに詳細な説明をする。先の図11に示した反力補償演算部40Sのトルク補正量演算部41において、上述の不感帯の設定をせず、また反力補償制限部43が制限動作を行わない場合の線形特性として記述することを考える。この場合、モータ制御装置300において、主軸偏差補償トルクub_m、すなわち反力参照値frから偏差補償トルクubまでの伝達関数は、先の実施の形態1における上式(6)と同様に、次式(12)のローパス特性となる。
ub/ub_m=ωh/(s+ωh) (12)
また、従軸モータ121aのモータ位置yから偏差補償トルクubまでの伝達関数は、次式(13)で表される。
ub/y=−Kv・(s+ωi)・(s+Kp)/(s+ωh) (13)
ここで、従軸制御部310において、反力補償演算部40Sを除去した状態、すなわち等価的に反力補償周波数ωhを0に設定した場合、上式(12)は0に、上式(13)は積分動作を含んだPID(比例積分微分)制御と等価な特性となる。すなわち、従軸制御部310は、単なる位置制御の特性となる。このため、モータ制御装置300は、位置指令ycに対して、主軸モータ位置y_mと従軸モータ位置yの両方とも、定常偏差が0になるような位置制御を行う。
次に、反力補償周波数ωhを0より大きくした場合には、上式(13)より、モータ位置yに対する制御特性が、PID制御の積分器を擬似積分器に変えた特性、言い換えるとPID制御に遮断周波数が反力補償周波数ωhのハイパスフィルタを作用させたのと同様な制御特性となるように、偏差補償トルクubの演算を行う。また、上記演算と同時に、反力参照値fr、すなわち主軸偏差補償トルクub_mに対して遮断周波数が反力補償周波数ωhのローパスフィルタを作用させた信号を加算するような演算によって、偏差補償トルクubを得る。すなわち、従軸制御部310は、位置制御とトルク制御の特性を、反力補償周波数ωhを境にして複合させた制御特性を有することとなる。
また、反力補償周波数ωhを実質的な無限大(サンプリング周期の関係で制限される最大値)まで大きくすると、上式(12)の伝達関数は、実質的に1になり、また、上式(13)の伝達関数は、実質的に0になる。従って、従軸モータ121aに対する偏差補償トルクubを、常に主軸偏差補償トルクub_mに一致させるような制御、すなわち、従軸制御部310が実質的にはトルク制御の特性となる演算を行う。この場合には、位置指令ycに対する従軸モータ121aのモータ位置yの誤差は許容するものの、駆動対象130の捻りによる軸間干渉力を発生させないような制御特性となる。
このように、モータ制御装置300によれば、従軸制御部310の特性を、位置指令に対する定常偏差が0になるような位置制御の特性から、従軸制御部310における偏差補償トルクubが常に主軸偏差補償トルクub_mに一致するようなトルク制御となる特性、または、これらの中間的特性となる位置制御とトルク制御とを複合させた特性へと、反力補償周波数ωhの設定だけで連続的に特性を変更することが可能である。この結果、モータ制御装置300は、駆動対象130の機械剛性、軸間機械誤差の大きさ、用途に応じた目的などに対応した幅広い特性を実現できる。
次に、反力補償演算部40Sにおけるトルク補正量演算部41の不感帯の効果について説明する。このような不感帯を導入することで、駆動対象130の捻りに起因して発生する軸間干渉力が不感帯幅より小さい状況では、主軸モータ121bと従軸モータ121aのそれぞれに対して定常偏差が0になる位置制御の特性を持たせた制御動作を実現できる。
また、上述の不感帯を設定した上で反力補償周波数ωhを十分に大きく設定することで、駆動対象130の軸間機械誤差が大きい場合には、主軸トルク指令u_mと従軸トルク指令uとの差(すなわち、軸間干渉力)が不感帯で設定した大きさになるよう、従軸モータ121aに対するトルク制御の特性を持つ制御動作を実現できる。すなわち、軸間干渉力を、不感帯で設定した許容範囲に制限しながら、位置指令ycに対して主軸モータ位置y_mと従軸モータ位置yの両方を一致させるような、位置制御とトルク制御の特性を動作状況に応じて適切に変化させる高機能な制御を実現できる。
さらに、反力補償演算部40Sにおける反力補償制限部43により、動作補正値yhが動作補償制限値より大きくならないように制限した場合の効果を説明する。例えば、従軸制御部310をトルク制御の特性とした場合、すなわち反力補償周波数ωhを十分に大きく設定することで軸間干渉力を十分に小さくし、位置指令ycとモータ位置yとの偏差を許容するような制御を行った場合を考える。
このような場合でも、動作補正値yhを動作補正制限値で制限することにより、位置参照値yrとモータ位置yとの定常偏差が所定の値(具体的には、動作補償制限値を位置ゲインKpで除した値)より大きくはならないよう位置制御が動作する。この結果、位置の定常偏差を所定値以下に制限するといった、位置制御とトルク制御の特性が動作状況に応じて適切に変化する高機能な制御を実現できる。
実施の形態3によるモータ制御装置300は、上記のように動作し、主軸制御部320の主軸フィードフォワード演算部10Mと、従軸制御部310のフィードフォワード演算部10Sとでそれぞれ適切に設定した慣性モーメントの設定値を用いた演算を行う。
さらに、従軸制御部310におけるトルク指令uを計算する中間過程の内部変数で、フィードフォワードトルクufを加算する前の変数である偏差補償トルクubと、主軸制御部320において同様な内部変数である主軸偏差補償トルクub_mとの比較に基づいて従軸制御部310の制御偏差eを修正する。これにより、駆動対象130が非対称的な特性の場合でも、駆動対象の捩れに起因した軸間干渉力を抑制しながら、各軸モータの位置の加減速を高精度に制御することができる。
さらに、前記のような比較に用いる信号として、位置制御の高応答化のために必要不可欠な帰還トルクフィルタFb(s)の出力でなく、帰還トルクフィルタFb(s)の入力側の変数である偏差補償トルクubを用いている。このため、偏差補償演算部20Sと、反力補償演算部40Sと、制御偏差演算部50Sとからなる演算ループにおける無駄な遅れを無くすことができる。
この結果、従軸モータ121aの制御特性として、通常の高応答な位置制御の特性と、反力参照値frを基準としたトルク制御の特性と、それらの複合的特性とを、反力補償周波数ωhの簡単な設定だけで変化させることができる。さらに、上述のように簡単な非線形処理を施すことで、動作状況に応じて適切に特性が変化する高機能な並列駆動制御を実現できる。
また、並列駆動制御を用途とした本実施の形態3とウェブ搬送制御を用途とした先の実施の形態1とで、用途の相違や位置制御と速度制御のどちらを基礎にしているかの相違がある。しかしながら、本実施の形態3におけるモータ制御装置300の反力補償演算部40Sの構成は、先の実施の形態1におけるモータ制御装置100の反力補償演算部40と殆ど同じ構成である。
すなわち、いずれの反力補償演算部40S、40も、上記のように幅広い高機能な特性を実現可能としているので、同一の簡素なプログラムでどちらの用途に対しても好適な特性を実現可能である。従って、各用途に特化したプログラムの追加や改造を行うコストを増やすことなく、各用途に対して高性能かつ高機能な制御を実現できる。
なお、上記で説明したフィードフォワード演算部10Sおよび主軸フィードフォワード演算部10Mの構成では、駆動対象130に加わる摩擦や重力負荷などの外乱を無視した構成としていた。しかしながら、これらの外乱がモデル化可能な場合には、それらに対応したトルクをフィードフォワードトルクufおよび主軸フィードフォワードトルクuf_mに加算すればよい。これにより、これらの外乱が非対称的な場合にも、高精度にモータ121aと主軸モータ121bの制御を行いながら、軸間干渉力に関しても所望の特性として抑制することができる。
また、本実施の形態3では、主軸モータ121bおよび従軸モータ121aの位置の制御を行う技術として説明したが、速度の制御を行うような用途に対しても、全く同様に構成できることは容易に理解できる。
また、上記では回転形モータを用いた場合について説明したが、リニアモータを用いた場合も全く同様であり、その場合には、単語の「トルク」を「推力」へ、あるいはこれらを総称して「駆動力」へと置き換えればよい。
以上のように、実施の形態3によれば、並列駆動制御の用途において、各軸の位置制御と、駆動対象の捻りに起因した軸間干渉力を抑制するような制御とを複合させた幅広い特性を持つ高機能な制御装置を簡単な演算で実現できる。さらに、並列駆動制御の用途において、駆動対象が非対称的な場合でも、複数の軸を高精度に同期させて加減速を行いながら、各軸の位置の制御と駆動対象の捻りに起因した軸間干渉力を抑制するような制御とを複合させた幅広い特性を持つ高機能な制御装置を簡単な演算で実現できる。
実施の形態4.
図12は、本発明の実施の形態4におけるモータ制御装置を示すブロック図である。図12に示したモータ制御装置400は、フィードフォワード演算部10P、偏差補償演算部20P、トルク指令合成部30P、反力補償演算部40P、および制御偏差演算部50Pを備えて構成されている。このような本実施の形態4におけるモータ制御装置400は、プレス機械等の用途を想定し、駆動対象を加圧対象に接触する近辺まで移動させ、その後に所定の力で駆動対象が加圧対象を加圧する動作を行う、押し当て制御の用途を想定したものである。
図13は、本発明の実施の形態4におけるモータ制御装置400を適用した押し当て制御システムの模式図である。そこで、まず始めに、図12、図13を用いて、押し当て制御システムの動作概要について、以下に説明する。
モータ121がトルクを発生して駆動されることで、ボールネジ等の伝達機構133を介して、図13の駆動対象131が駆動される。モータ制御装置400は、位置指令ycと、反力参照値frと、モード切換え信号swと、動作検出器122で検出したモータ位置yとを入力として取り込む。そして、モータ制御装置400は、後述の演算により、トルク指令uを電流制御器110(図13では図示せず)に出力する。
電流制御器110がモータ121の電流を制御することで、モータ121は、トルク指令uに応じたトルクを発生する。モータ制御装置400に入力される位置指令ycは、駆動対象131が加圧対象132に接触する付近まで移動するように与えられる。
モード切換え信号swは、モータ制御装置400が位置制御を行う位置制御モードと、加圧制御を行う加圧制御モードとを切換えるための信号として、駆動対象131が加圧対象132に接触する近傍でモータ制御装置400が制御動作を行っている最中に切換わるように与えられる。モータ制御装置400が加圧制御モードに切換えられた後は、モータ制御装置400は、駆動対象131が反力参照値frに対応する力で加圧対象132を加圧するよう制御する。
次に、モータ制御装置400の構成について、先の図12を用いて説明する。モータ制御装置400内のフィードフォワード演算部10Pは、位置指令ycに基づいて、先の実施の形態3におけるフィードフォワード演算部10Sと同様に、モータ121のモータ位置yを制御するための参照値となる位置参照値(動作参照値)yrと、モータ121が位置参照値yrに一致するよう加減速を行うのに必要なトルクをフィードフォワードトルクufとして演算して出力する。
制御偏差演算部50Pは、位置参照値yrと、モータ位置yと、後述する動作補正値yhと、モード切換え信号swとを入力とし、後述の演算により、帰還制御で低減させる偏差信号である制御偏差eを出力する。
次に、偏差補償演算部20Pは、制御偏差eを定常的に0にするよう低減するための積分動作を含む帰還制御演算として、先の実施の形態1における偏差補償演算部20と同様に、上式(1)で表されるPI(比例積分)演算を行った結果を、偏差補償トルクubとして出力する。
次に、トルク指令合成部30Pは、先の実施の形態1のトルク指令合成部30と同様に、偏差補償トルクubとフィードフォワードトルクufとを入力とし、上式(2)で表される帰還トルクフィルタFb(s)を用いた演算を行った結果として、トルク指令uを出力する。ここで、帰還トルクフィルタFb(s)は、偏差補償演算部20Pのゲインを高く設定し、制御偏差eを速い応答で低減させることを可能にする目的を有する。このことから、トルク指令合成部30における帰還トルクフィルタFb(s)は、通常の位置制御において必要不可欠なものであるとともに、場合により複雑な特性を持たせるものである。
次に、反力補償演算部40Pは、反力参照値frと偏差補償トルクubとを入力とし、先の実施の形態1の反力補償演算部40と同様な演算により、動作補正値yhを出力する。すなわち、反力参照値frと偏差補償トルクubとの差である反力偏差feを、トルク補正量uhとして演算する。さらに、そのトルク補正量uhに対して反力補償増幅部42で所定の反力補償ゲインKhを乗じ、反力補償制限部43において反力補償増幅部42の出力の大きさを所定の反力補償制限値で制限した結果を出力する。さらに、反力補償制限部43の出力に対して、反力補償フィルタ44において、上式(3)で表されるローパスフィルタFh(s)の演算を行った結果を、動作補正値yhとして出力する。
また、反力補償演算部40Pは、先の実施の形態1と同様に、ローパスフィルタFh(s)の遮断周波数ωfを、偏差補償演算部20Pの零点(積分ゲイン)ωiと一致させるよう、すなわち上式(4)のように設定する。さらに、反力補償演算部40Pは、外部から設定したパラメータである反力補償周波数ωhと、偏差補償演算部20Pの制御定数とに基づいて、反力補償ゲインKhを上式(5)のように設定する。
次に、モード切換え信号swに関連した制御偏差演算部50Pの動作について説明する。まず、モード切換え信号swが位置制御モードを選択している場合の動作を説明する。この場合の制御偏差演算部50Pは、先の実施の形態3における図9に示した制御偏差演算部50Sにおいて、動作補正値yhを0にした場合と同じ演算によって、制御偏差eを出力する。
すなわち、位置参照値yrとモータ位置yとの偏差である位置偏差yeに位置ゲインKpを乗じた信号と、位置偏差yeを微分した信号(速度偏差)とを加算した信号を制御偏差eとして出力する。これにより、モータ制御装置400は、規範モデル型制御と呼ばれる種類の位置制御装置として動作する。
次に、モード切換え信号swが加圧制御モードを選択している場合について説明する。制御偏差演算部50Pは、動作補正値yhからモータ位置yの微分値(すなわち、モータ速度)を引いた値を制御偏差eとして出力する。すなわち、制御偏差演算部50Pは、次式(14)の演算を行う。
e=yh−s・y (14)
これにより、偏差補償演算部20PがPI制御の演算を行うことを合わせて考えると、制御偏差演算部50Pと偏差補償演算部20Pの動作により、モータ制御装置400は、動作補正値yhを速度指令と見なした速度PI制御として動作する。
さらに、加圧制御モードにおいて、動作補正値yhが反力補償演算部40Pにより上記のように演算されるので、反力補償演算部40Pにおける反力補償制限部の制限動作を無視した場合の、反力参照値frから偏差補償トルクubまで、およびモータ位置yから偏差補償トルクubまでの伝達関数は、それぞれ次式(15)、(16)のように表される。
ub/fr=ωh/(s+ωh) (15)
ub/y=−Kv・s・(s+ωi)/(s+ωh) (16)
ここで、反力補償周波数ωhを0とすると、上式(15)は0になる。また、上式(16)は、モータ位置yの微分値(s・y)、すなわちモータ速度に対するPI(比例積分)特性を表す。すなわち、モータ制御装置400の動作は、速度指令を0とした速度PI制御の特性となる。
また、反力補償周波数ωhを実質的な無限大(制御周期によって制限される最大値)まで大きくすると、上式(15)は、実質的に1になり、上式(16)は、実質的に0になる。すなわち、モータ制御装置400は、偏差補償トルクubを反力参照値frに一致させるトルク制御の特性となる。このようなトルク制御の特性は、例えば、粘性が大きく振動し難い加圧対象132を所望の力で加圧したい場合には、目的に適した特性となる。
また、反力補償周波数ωhを上記の中間的な値に設定した場合、上式(15)および上式(16)より、反力補償周波数ωhより低い周波数では、偏差補償トルクubを反力参照値frに一致させるようなトルク制御の特性を持つ。その一方、反力補償周波数ωhより高い周波数では、モータ121の速度を0に近づけるような速度制御の特性を持つ。このように、モータ制御装置400は、トルク制御と速度制御とが複合した特性を持つこととなる。
ここで、例えば、加圧対象132の弾性や加圧対象132の固定方法等に起因して、駆動対象131を加圧対象132に押し当てた際に振動が生じ易いような場合を考える。このような場合にも、トルク制御と速度制御とが複合した特性を持たせることで、その振動を抑制しながら定常的には反力参照値frに対応した力で加圧対象132を加圧するよう、安定した押し当て制御が可能になる。
次に、例えば、駆動対象131が加圧対象132まで完全には到達していない時点で、モード切換え信号swを位置制御モードから加圧制御モードに切換えられた場合を考える。このような場合、トルク指令uあるいは偏差補償トルクubを反力参照値frに瞬時に一致させると、モータ121および駆動対象131の速度が増大し、押し当て時の衝撃を大きくしてしまう。
このような問題に対し、本実施の形態によるモータ制御装置400では、反力補償演算部40Pの反力補償制限部43の働きにより、動作補正値yhの大きさが反力補償制限値で制限される。また、動作補正値yhは、上述のように、速度PI制御の速度指令として動作するので、モータ121の速度を所定の制限速度に保つよう、実質的には速度制御の状態でモータ121および駆動対象131を動作させることが可能になる。
そして、このような実質的に速度制御の状態で駆動対象131が加圧対象132に接触した後、駆動対象131と加圧対象132との間で圧力が発生すると、それに対抗するように偏差補償トルクubが大きくなり反力参照値frに近づく。これにより、反力偏差fe、すなわちトルク補正量uhが小さくなる。その結果、反力補償演算部40Pで出力する動作補正値yhが制限値より小さくなると、上述したトルク制御の特性、あるいはトルク制御と速度制御が複合した特性へと自動的に移行し、偏差補償トルクubを反力参照値frに一致させるような、安定した押し当て制御を実現することができる。
また、上記の説明では、外部から入力したモード切換え信号swに基づいて制御偏差演算部50Pの演算を切り換えるとして説明した。しかしながら、モード切換え信号を外部から入力しなくとも、例えば、次のように構成することで、自動的に位置制御モードから加圧制御モードへ切換えるようにすることも可能である。制御偏差演算部50Pにおける制御偏差eの演算動作として、常に、上述した位置制御モードとしての制御偏差eの演算と、上述した加圧制御モードとしての制御偏差eの演算を平行して行い、両方の演算結果のうち、小さい方の値を制御偏差演算部50Pの出力として選択する。これにより、位置制御モードの動作で駆動対象131が加圧対象132に接触して圧力が発生すると、反力偏差feやトルク補正量uhが小さくなる。その結果、制御偏差演算部50Pの出力として、加圧制御モードとしての制御偏差eが選択され、制御動作中に自動的かつ滑らかに加圧制御モードへ切換えられるような制御特性が実現できる。
また、上記では、加圧対象の位置が固定されている用途を想定して制御偏差演算部50Pを構成し、加圧モードにおける制御偏差演算部50Pにおける演算として、上式(14)に示したように、位置参照値yrやその微分値の速度参照値を用いない構成とした。しかしながら、加圧対象の位置が固定でなく、モータ等を用いて移動させながら加圧するような用途の場合には、加圧モードにおける制御偏差演算部50Pの演算を、ウェブ搬送制御を用途に想定した先の実施の形態1の制御偏差演算部50や、並列駆動制御を用途に想定した先の実施の形態3の制御偏差演算部50Sと同様に、位置参照値yrや、それを微分した速度参照値を用いて行うことも可能である。これにより、加圧対象に同期させて加減速移動を行いながら、反力参照値frに対応した力で加圧対象132を加圧する制御を実現できることも容易に理解できる。
また、本実施の形態4における押し当て制御を用途に想定したモータ制御装置400の構成は、並列駆動制御を用途して想定した先の実施の形態3における従軸制御部310の構成と比較すると、制御偏差演算部50Pの演算と制御偏差演算部50Sの演算とが僅かに違うだけである。
また、ウェブ搬送制御を用途として想定した先の実施の形態1におけるモータ制御装置100と比べても、位置制御と速度制御の相違はあるものの、殆ど同じ構成をしていることが解る。従って、これらの幅広い用途に対して、1つのソフトウエアで計算量を増やすことなく、これらの多様な用途に適した高機能な制御を実現でき、モータ制御装置のコストの増大を防止することができる。
以上のように、実施の形態4によれば、上記のような構成を有することで、位置制御や速度制御の特性、トルク制御の特性、それらが複合した制御の特性、これらの制御特性の滑らかな切換えといった幅広い制御特性を実現できる。この結果、押し当て制御の用途に適した高機能な制御を、コストを増大させない簡単な演算で実現できる。
なお、反力参照値frは、上述した実施の形態1〜4からも明らかなように、所定値として外部からモータ制御装置内に入力される場合と、モータ制御装置内での所定の演算により所定値として生成される場合の両方を含むものである。

Claims (10)

  1. 速度あるいは位置としてのモータの動作に対する動作指令と、前記動作の検出結果であるモータ動作検出値とに基づき、前記モータの電流制御器に対して駆動力指令を出力するモータ制御装置であって、
    前記動作指令に基づいて、前記モータの前記動作に対する参照信号である動作参照値とフィードフォワード駆動力とを演算するフィードフォワード演算部と、
    所定の演算により決定された制御偏差を入力として、あらかじめ設定された制御定数を用いて前記制御偏差を低減するように積分演算を含む制御演算を行った結果を偏差補償駆動力として出力する偏差補償演算部と、
    前記フィードフォワード駆動力と前記偏差補償駆動力とに基づいて、定常的な特性がこれらの加算となる演算により前記電流制御器に対する前記駆動力指令を出力する駆動力指令合成部と、
    所定の反力参照値と前記偏差補償駆動力とに基づいて動作補正値を演算する反力補償演算部と、
    前記動作参照値と前記モータ動作検出値との偏差と、前記動作補正値とに基づいて前記制御偏差を演算する制御偏差演算部と
    を備えることを特徴とするモータ制御装置。
  2. 請求項1に記載のモータ制御装置において、
    前記駆動力指令合成部は、前記偏差補償駆動力に対して所定の周波数成分を除去する演算により、前記駆動力指令を演算することを特徴とするモータ制御装置。
  3. 請求項1または2に記載のモータ制御装置において、
    前記反力補償演算部は、
    前記反力参照値と前記偏差補償駆動力との比較により駆動力補正量を演算する駆動力補正量演算部と、
    前記駆動力補正量に反力補償ゲインを乗じる反力補償増幅部と
    を備え、
    前記反力補償増幅部の出力に基づいて前記動作補正値を演算する
    ことを特徴とするモータ制御装置。
  4. 請求項3に記載のモータ制御装置において、
    前記反力補償演算部は、算出された前記反力補償増幅部の出力を所定の大きさで制限した後の値を動作補正値として出力する反力補償制限器をさらに備えることを特徴とするモータ制御装置。
  5. 請求項3または4に記載のモータ制御装置において、
    前記偏差補償演算部は、前記制御偏差に対して比例積分演算を行うことで前記偏差補償駆動力を出力し、
    前記反力補償演算部は、前記反力補償増幅部の出力に対してローパスフィルタを作用させる反力補償フィルタを備え、前記ローパスフィルタの極を前記偏差補償演算部の零点に基づいて設定する
    ことを特徴とするモータ制御装置。
  6. 請求項3または4に記載のモータ制御装置において、
    前記偏差補償演算部は、前記制御偏差から前記偏差補償駆動力までの伝達関数が積分特性となる演算により前記偏差補償駆動力を演算することを特徴とするモータ制御装置。
  7. 請求項3ないし6のいずれか1項に記載のモータ制御装置において、
    前記反力補償演算部は、前記偏差補償演算部の制御定数に基づいて前記反力補償ゲインを設定することを特徴とするモータ制御装置。
  8. 請求項1ないし7のいずれか1項に記載のモータ制御装置において、
    前記モータと機械的に連結した主軸モータの電流制御器に対する主軸駆動力指令を生成する主軸制御部をさらに備え、
    前記主軸制御部は、前記主軸駆動力指令と所定の関係にある信号を前記所定の反力参照値として前記反力補償演算部に対して出力する
    ことを特徴とするモータ制御装置。
  9. 請求項8に記載のモータ制御装置において、
    前記主軸制御部は、
    前記動作指令に基づいて前記主軸モータの動作に対する参照信号である主軸動作参照値と主軸フィードフォワード駆動力とを演算する主軸フィードフォワード演算部と、
    前記主軸動作参照値から、前記主軸モータの前記動作を検出した主軸モータ動作検出値を減算することにより主軸制御偏差を演算する主軸制御偏差演算部と、
    前記主軸制御偏差を入力として、前記主軸制御偏差を低減するように制御演算を行った結果を主軸偏差補償駆動力として出力する主軸偏差補償演算部と、
    前記主軸フィードフォワード駆動力と前記主軸偏差補償駆動力とに基づいて前記主軸モータの電流制御器に対する前記主軸駆動力指令を演算して出力する主軸駆動力指令合成部と
    を備え、
    前記主軸偏差補償駆動力を前記所定の反力参照値として前記反力補償演算部に対して出力する
    ことを特徴とするモータ制御装置。
  10. 請求項1ないし7のいずれか1項に記載のモータ制御装置において、
    前記制御偏差演算部は、所定のモード切り換え信号に基づき、前記動作補正値を用いずに前記制御偏差を演算する第1モードと、前記動作補正値に基づいて前記制御偏差の演算を行う第2モードとを制御動作中に切り換えて前記制御偏差を出力することを特徴とするモータ制御装置。
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