JP5339517B2 - 異形断面材の端部矯正方法及びその装置 - Google Patents
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Description
そして、このような異形断面材を製造する方法として、表面に所望形状の溝部や凸条部を設けた溝付きロールや凸条付きロールを用い、ロール成形する方法が各種提案されている。
従来のロール成形法で異形断面条を製造するとき、厚肉部と薄肉部との間に、それぞれの傾斜角度が大きく異なる段差部が形成され易い。各厚肉部は、溝付きロールや凸条付きロールの凹部深さに一致せず、それぞれに板厚が異なったものとなっていた。
そして、所定形状の溝や凸部が形成されたプロフィールのロールを用いて金属板材をロール成形することにより、ロールプロフィールに対応する断面形状に成形した異形断面板材を得た後、所定幅条にスリットされ、ベアリングリテーナやリードフレーム等の各種用途に供されている。
しかしながら、昨今の各部材の強度アップによる軽量化要求から、ベアリングリテーナ用異形断面材の高強度化が望まれている。素材そのものの高強度化はコストに大きく跳ね返るため、異形断面材の形状の変更により高強度化を図っている。
例えば、図2に示すように、両端部にフランジを有し、板厚方向の両面に凹部及び凸部が形成されて断面をM字型に成形したものが提案されている。両端部のフランジにより高強度化を図ったものである。
そこで、四方ロール圧延を行うこととした。しかし、フラットな金属板からダイレクトに四方ロール圧延を行うと、フランジ部を形成するためのロール切り欠き溝への材料供給が十分に行えないため、安定したフランジの成形が行えない。
すなわち、平坦な素材板を、図3に示すように、所定プロフィールに整えられた上下一対の水平ロールとフラットな左右一対の垂直ロールとを隣接配置した4方向ロール圧延機を通して、両端にフランジを有する異形断面材を製造する際に、予め、素材板に所定の予備加工を付与する第一及び第二の予備成形を行うことによって、両端にフランジ形成側に反った部位を形成して、当該反り部位を形成するフランジ部へ流入させることにより、結果として、両端にフランジを形成した異形断面材を低コストで製造しようとするものである。
しかしながら、上記特許文献で提案された方法で提供される異形断面材を、従前と同様に円筒状に曲げ加工してベアリングリテーナに適用しようとするとき、依然として問題点が残っている。
このような問題点を解消するためには、フランジ部の端面を平滑にすること、及びフランジ部を形作る際、フランジ下方立上がり部のコーナーRを極力小さくすることが必要となる。
ロール中央部の間隔を前記異形断面材中央部の板厚以上に、ロール両端部の間隔を前記異形断面材両端部の板厚よりも小さくした上下一対の水平ロール間と、当該水平ロールに隣接配置した平滑な左右一対の垂直ロール間を通しても良い。
この場合であっても、その後に、溝付きのサイドロールにより、左右から幅方向に圧下力を加えることが好ましい。
上記いずれの装置であっても、その下流に、溝付きのサイドロールを左右一対に配設することが好ましい。
したがって、本発明技術の採用により、ベアリングリテーナ等の用途に用いられる両端部にフランジを有する異形断面材を高性能かつ低コストで提供できることになる。
そこで、一旦成形した異形断面材の、前記フランジ部端面及び立上がり部のコーナーRを極力小さくすべく矯正方法を検討した。
その結果、図4に示すように、圧下量が増えることに伴うフランジ部の成形は、曲げ加工とロールカリバーへの材料の押し込みとの複合成形によって進行する、と推測した。同図中、A,Bで示される素材端面のコーナーの内、Bはフランジの側面となってしまっている。
そして、フランジ端面の平滑化及びコーナー部のシャープ化には、図4(f)中、C,Dで示す材料充填困難部へ材料が流動し易くする手段を見出すことが必要である。
図5に示すように、所定の断面形状に応じたプロフィールとした上下一対の水平ロール間を通して全体的に圧下し、矯正する方法が考えられる。この方法でも端面の平滑化とコーナー寸法の縮小化は可能であるが、高い圧下力を必要とするばかりか、水平ロールの厳密なロールプロフィール管理が必要となる。
そこで、全体的に圧下するのではなく、側端部のみを圧下することを試みた。
このような水平ロール間を通すことにより異形断面材の両端部のみを圧下することになり、比較的低い圧下力でもその両側部材料のみを流動させることができるので、フランジ部を優先的に矯正することができる。
このようなロールプロフィールに沿って、フランジ部端面が平坦化され、フランジ立上がり部がシャープ化された異形断面材が得られる。
この場合にも、被矯正異形断面材の下面のプロフィールを有する下ロールと、略被矯正異形断面材の上面のプロフィールを有する上ロールを用い、ロール中央部の間隔を被矯正異形断面材中央部の板厚以上に、ロール両端部の間隔を被矯正異形断面材両端部の板厚よりも小さくした上下一対の水平ロールを使用することになる。併せて、当該水平ロールに隣接して、平滑な左右一対の垂直ロールを配置する(図7参照)。
また、上ロールには、その側端部に、垂直ロールの平滑な面との間で被矯正異形断面材のフランジ部を収容する切り欠き溝を設ける。フランジ部端面の平滑度を増すには、切り欠き溝底部のコーナーRを極力小さくすることが好ましい。
なお、異形断面材のフランジ部を、その高さが若干高くなるように変形することもできる。この場合には、上ロールに形成する切り欠き溝の、圧下面からの深さを深くすれば良い。
サイドロールの溝底面を平坦にし、かつ溝を形作る壁面と底面との角度(図中α)を極力0度に近づければ、フランジ立上がり部がシャープになり、フランジ部端面の平滑度は増すことになる。
すなわち、略V字溝を有する左右のサイドロールを備えた第一予備成形機と、両端に凸部を設けた上ロールと前記凸部間の間隔よりも狭い幅の上部平坦部を有する凸部を中央に設けた下ロールを備えた第二予備成形機と、所定の断面形状に応じたプロフィールとした上下一対の水平ロールと平滑な左右一対の垂直ロールとを隣接配置した4方向ロール圧延機を直列配置した装置の下流に本発明矯正装置を設置することが好ましい。
図9に示されるような態様で各装置が配置されていることが好ましい。ペイオフリール1と巻取りリール2の間に前記第一及び第二の予備成形を行う予備成形機3,4と4方向ロール圧延可能な圧延機5を、さらにその下流に断面矯正ロールスタンド6及び端部フランジ矯正サイドロールスタンド7、キャンバー矯正ロールスタンド8を付設することが好ましい。なお、図9中、9はガイドロールである。
異形断面試作材の側部のフランジ部の端面形状及び立上がり部の形状は、図11(a)に示す通りであった。
そこで、図6で示す上下一対の水平ロールからなる矯正装置を通した。この際、中央部のクリアランスを0.95mm、両端部のクリアランスを0.68mmとし、図中のコーナーRを、R1,R2=0.2mm、R3=0.25mm、R4,R5,R6=0.2mm、さらに図中のh=1.20mm、w=0.87mmとした水平ロールを用い、異形断面材側方部の圧下率が2.9%になるような圧下力で通板した。
通板後の異形断面材のフランジ部端面形状及び立上がり部の形状を調べてみると、図11(b)に示す通りになっていた。確実に矯正されていることがわかる
Claims (6)
- 両端部にフランジを有する異形断面材を、ロール中央部の間隔を前記異形断面材中央部の板厚以上に、ロール両端部の間隔を前記異形断面材両端部の板厚よりも小さくした上下一対の水平ロール間を通した後、溝付きのサイドロールにより、左右から幅方向に圧下力を加えることを特徴とする異形断面材の端部矯正方法。
- 両端部にフランジを有する異形断面材を、ロール中央部の間隔を前記異形断面材中央部の板厚以上に、ロール両端部の間隔を前記異形断面材両端部の板厚よりも小さくした上下一対の水平ロール間と、当該水平ロールに隣接配置した平滑な左右一対の垂直ロール間を通すことを特徴とする異形断面材の端部矯正方法。
- 水平ロール間垂直ロール間を通した後、溝付きのサイドロールにより、左右から幅方向に圧下力を加える請求項2に記載の異形断面材の端部矯正方法。
- 両端部にフランジを有する異形断面材の端部矯正装置であって、ロール中央部の間隔を被矯正異形断面材中央部の板厚以上に、ロール両端部の間隔を被矯正異形断面材両端部の板厚よりも小さくした上下一対の水平ロールと、当該水平ロールに隣接して、平滑な左右一対の垂直ロールを配置したことを特徴とする異形断面材の端部矯正装置。
- 上下一対の水平ロールの下ロールは、被矯正異形断面材の下面のプロフィールを有しており、上ロールは、側端部に被矯正異形断面材のフランジ部を収容する切り欠き溝を有しているものである請求項4に記載の異形断面材の端部矯正装置。
- 上下一対の水平ロール又は左右一対の垂直ロールの下流に、溝付きのサイドロールを左右一対に配設した請求項4又は5に記載の異形断面材の端部矯正装置。
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