JP2016129893A - 形鋼用矯正装置および形鋼の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】フランジ102を圧延するロール1,2,3のうち、端部がフランジ表面上に位置するロール2、3の端部外周に、ロール端部に近づくほどロール径が小さくなるテーパー28,38を形成した。
【選択図】図2
Description
H形鋼を例に曲がりと反りについて説明すると、曲がりとは、図3に示すように、H形鋼100の長さ方向に沿って、ウェブ101の高さ方向にH形鋼100が湾曲する状態のことを言う。図3の例では、長さL当たりにδの曲がりが図中の左側のフランジ102側に生じている。
また、曲がりと反りが複合した捩れを有する形状不良品が発生する場合もある。このような曲がりや反りを除去し、まっすぐな製品とするため、一般には製品出荷前に冷間矯正が行われる。
しかし、特許文献1は、形鋼の曲がりを効果的に矯正することができるものの、形鋼における圧下する長手方向位置を曲がりの状況に応じて選定してから適切な圧力で圧下して矯正する必要がある。また、特許文献1は、矯正に複数回の圧下を必要とする場合が多いため、矯正に要する時間が長いという問題がある。
この特許文献3に記載されている形鋼の矯正方法は、フランジをウェブとは反対側の面から押圧する支持ロールと、ウェブの高さ方向の端部からウェブの両面側にそれぞれ張り出す右フランジ及び左フランジをウェブ側の面から押圧する一対の矯正ロールとを用い、支持ロール及び一対の矯正ロールに所定の圧下力を加えてフランジを圧延する曲がり矯正方法である。
しかし、特許文献3の形鋼の矯正方法は、右フランジ及び左フランジのウェブ側の面(内面)を押圧している一対の矯正ロールが、ウェブとの干渉を避けるためにウェブから離間しているので、右フランジ及び左フランジの内面に矯正ロールで圧延される部分と圧延されない部分が発生し、その境界に段差が生じるので、形鋼の表面形状の品質の面で問題がある。
しかし、発明者らが、形鋼矯正時の圧下量の変化と、フランジ内面への段差発生について検討を重ねたところ、一対の矯正ロールの軸方向端部の外周にロール寸法に対する実用的な円弧半径の丸みを付与しても、圧下量の増加に伴って段差が発生しやすいことが明らかになった。したがって、段差の発生を防止するために圧下量を小さくすれば、形鋼の曲がりが大きい場合には矯正能力が不足し、曲がりを十分に除去することができない。
図1に示す第1実施形態の矯正装置は、形鋼を冷間で搬送しつつ前記ウェブの高さ方向での曲がりを圧延で矯正するものである。
第1実施形態の矯正装置10は、フランジを圧延することで曲がりを矯正する形鋼としてH形鋼100に適用した例である。なお、この例は、H形鋼100を製品長に切断した状態で矯正を行っており、H形鋼100は、その長手方向に沿って設けられた不図示の複数のテーブルローラ上に載置され、不図示の駆動装置によりH形鋼100の長手方向に搬送されるようになっている。
支持ロール1は、図1の水平方向に延在する軸を回転軸とし、不図示のチョックによって回転自在に枢支されている。そして、支持ロール1は、図1では下側のフランジ102をウェブ101とは反対側の外面102cから支持している。
つまり、各矯正ロール2,3は、それぞれのチョック22,32の先端に、図1の水平方向に延在する軸を回転軸P1,P2とした支軸21,31を介して回転自在に枢支されている。
そして、左右のフランジ部102a,102bを矯正ロール2、3と支持ロール1との間で挟圧しながら、支持ロール1を回転駆動させることにより、フランジ102の圧延が行なわれる。
本実施形態では、フランジを圧延するロールのうち、端部がフランジ表面上に位置するロールである。
そして、テーパー28,38のテーパー角度θは、一対の矯正ロール2,3の回転軸P1,P2に対して1°≦θ≦3°の範囲で傾斜している。
また、テーパー28,38を設けた端部外周以外の外周は、ロール径が軸方向に沿って等しくされたフラット形状とされており、各テーパー28,38のテーパーロール幅Lは、左右のフランジ部102a,102bの圧延に影響を与えない程度の幅に設計されている。
そして、第1実施形態の矯正装置10で形鋼の曲がり矯正を行なって形鋼を製造するに際し、まず、冷却床で所定温度まで冷却後のH形鋼100のうち、曲がりのあるもののみを抽出する。そして、矯正装置10の入側にて、そのH形鋼100のウェブ101の高さ方向での曲がりを測定し、その測定値(曲がりの発生位置、および曲がり量δ(図3(a)参照)に基づき、矯正ロール2,3に付与する圧下力(圧延荷重)を予め設定された所定値とする。
曲がりが大きい場合には、延伸量が大きくなるように左右のフランジ部102a,102bの圧下率を大きくする。ここで、従来の矯正方法(例えば、特許文献3)では、圧下率を大きくすると、左右のフランジ部102a,102bの内面102a1,102b1に矯正ロールで圧延される部分と圧延されない部分が発生しその境界に段差が生じる。
このように、第1実施形態の矯正装置10を用いた形鋼の製造方法は、H形鋼100の矯正を効率良く行うことができるとともに、圧下量が増大してもH形鋼100の左右のフランジ部102a,102bの内面102a1,102b1に段差が発生せず高品質の形鋼を得ることができる。
なお、曲がりを矯正するために必要なフランジ部の圧下率は、熱間圧延H形鋼の一般的な曲がりの大きさから考えて、1%以下の圧下率で十分であることが多い。
L-min=Δh-max/ tanθ ………(1)
上記実施形態では、テーパー28,38を形成するロール端部は、矯正ロール2、3のそれぞれウェブ101と対向する側の端部の1箇所ずつとしているが、例えば、フランジ幅が広く矯正ロール2,3の両端がフランジ102の表面上に位置する場合には、それぞれの矯正ロールの両端にテーパーを形成してもよい。このとき、両端のテーパー角度を個別に設定してもよい。さらに、支持ロール1の幅よりもフランジ幅が広い形鋼の圧延を行なう場合には、支持ロール1の片側端部、或いは両側端部にテーパーを形成してもよい。
さらに、図1の第1実施形態では一対のフランジ102が上下に位置する所謂I姿勢のH形鋼100の曲がり矯正について説明したが、一対のフランジ102が水平方向に配置されている所謂H姿勢のH形鋼100の曲がり矯正を行う場合には、支持ロール1及び一対の矯正ロール2,3を90°回転させた装置であっても適用が可能である。
一対の矯正ロール2,3のテーパー28,38のテーパー角度θは2°に設定した。
そしてウェブ101の高さが600mm、フランジ102の幅が300mm、ウェブ厚さが12mm、フランジ厚さが22mmのH形鋼100の曲がり矯正を行なった。
このH形鋼100の全長は8mであり、全体に略同じ形状の曲がりが発生しており、全長8mでの曲がり量は18mmであり、寸法交差は±8mm(長さ1m当たり1mm)を越えていた。なお、このH形鋼100の降伏強度の規格値は320MPaである。
曲がり矯正後のH形鋼100は、全長の曲がり量が1mmにまで減少し、寸法交差内の曲がり量のH形鋼を製造することができた。
また、曲がり矯正後のH形鋼100の内面102a1,102b1を観察したが、圧下部と非圧下部との境は明瞭に判別できず、内面102a1,102b1に段差は発生していなかった。
なお、曲がり矯正後のH形鋼100からフランジを切断し、矯正されたフランジ内面のプロフィールを測定したところ、曲がり矯正で圧延された部分の両端には角度1.5°程度の傾斜が形成されていたが、傾斜の両端は滑らかなプロフィールであり、段差がないことが確認できた。
以上のように、本発明に係る矯正装置10で形鋼の曲がりを矯正すると、曲がり矯正後のH形鋼100の内面102a1,102b1に段差や境界線が形成されず、良好な表面形状を保つことができるので、形鋼の曲がりを効果的に低減することができる。
2,3…矯正ロール
10…矯正装置
21,31…支軸
22,32…チョック
28,38…テーパー
100…H形鋼
101…ウェブ
102…フランジ
102a…左フランジ部
102b…右フランジ部
102a1…左フランジの内面
102b1…右フランジの内面
102c…フランジの外面
L…テーパーロール幅
P1,P2…矯正ロールの回転軸
θ…テーパー角度(角度)
Claims (4)
- ウェブと、前記ウェブの高さ方向での少なくとも一端から張り出すフランジとを備える形鋼に用いられ、前記形鋼を冷間で搬送しつつ前記フランジを圧延することで前記形鋼の前記ウェブの高さ方向での曲がりを矯正する形鋼用矯正装置であって、
前記フランジを圧延するロールのうち、ロール端部が前記フランジの表面上に位置する前記ロールの端部外周に、前記ロール端部に近づくほどロール径が小さくなるテーパーを有することを特徴とする形鋼用矯正装置。 - 前記端部外周に形成した前記テーパーの前記ロールの回転軸に対する角度をθとすると、1°≦θ≦3°の範囲であることを特徴とする請求項1記載の形鋼用矯正装置。
- ウェブと、前記ウェブの高さ方向での少なくとも一端から張り出すフランジとを備える形鋼に用いられ、前記形鋼を冷間で搬送しつつ前記フランジを圧延することで前記ウェブの高さ方向での曲がりを矯正する形鋼の製造方法であって、
前記圧延を行なうロールとして、少なくともロール端部が前記フランジの表面上に位置する前記ロールは、前記ロールの端部外周に、前記ロール端部に近づくほどロール径が小さくなるテーパーを有するロールを用いることを特徴とする形鋼の製造方法。 - 前記端部外周に形成した前記テーパーの前記ロールの回転軸に対する角度をθとすると、1°≦θ≦3°の範囲であることを特徴とする請求項3記載の形鋼の製造方法。
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