JP5983531B2 - U型鋼矢板の矯正方法 - Google Patents

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Description

本発明は、U型鋼矢板の反りを緩和するとともに幅を調整する矯正方法に関する。
主に土木分野に用いられるU型鋼矢板は、例えば熱間圧延により製造されるが、フランジとウェブの板厚差による圧延終了温度の相違から、圧延・冷却後に長手方向に変形が生じる場合があった。例えば、図6に示すような、ウェブ101側を内側にして湾曲する上反りと呼ばれる変形や、図7に示すような、フランジ102側を内側にして湾曲する下反りと呼ばれる変形が生じる場合があった。
このような反りを除去し、まっすぐな製品とするため、一般には製品出荷前に冷間矯正が行われる。例えば、特許文献1,2には、反りが発生したU型鋼矢板のウェブを上下両面側からロールで拘束し、U型鋼矢板が部分的に塑性変形する程度の力を上下交互に加えて曲げ・曲げ戻しを繰り返し行って、塑性ひずみのヒステリシス性から反りを除去・緩和するローラー矯正方法が開示されている。
ここで、反りの矯正に使用するロールは、U型鋼矢板の通材路を挟んで上下交互に配置されており、U型鋼矢板の通材方向に沿って上下に千鳥状に配列されている。これら上下のロールは、上側の各ロールの外周面の最下端が下側の各ロールの外周面の最上端よりも下側に位置するように配置されているので、上下方向に波形の通材路が上側のロールと下側のロールとの間に形成される。
この通材路に、上側のロールと下側のロールの間にウェブを挟むようにして逆U姿勢のU型鋼矢板を通材すれば、U型鋼矢板は上側のロールと下側のロールの各ロール間で3点支持され、U型鋼矢板に対して上下方向の曲げ・曲げ戻しが交互に繰り返し行われ、反りが緩和される。なお、本明細書においては、ウェブが水平をなし、フランジがウェブから略下方に向かって延びるU型鋼矢板の姿勢を、逆U姿勢と言う。
特開昭61−063316号公報 特開昭55−070418号公報
熱間圧延により製造されたU型鋼矢板の幅は均一になりにくく、ばらつく傾向があるが、特許文献1,2に開示のローラー矯正方法は、反りの矯正効果はあるものの、U型鋼矢板の幅を調整する効果はほとんどなかった。したがって、U型鋼矢板の製品幅は、反り矯正前のU型鋼矢板の幅のバラツキの影響を受けて、製品毎にばらつくおそれがあった。
また、特許文献1,2に開示のローラー矯正方法は、継手部に対して塑性変形を十分に与えることができないので、反りの矯正効果が不十分であるという問題があった。さらに、これらのローラー矯正方法では、ロールが摩耗した際にウェブとフランジの境目のR部が選択的に摩耗されるため、継手部の塑性変形がより小さくなるという問題があった。
そこで、本発明は、上記のような従来技術が有する問題点を解決し、U型鋼矢板の反りを緩和するとともに幅を調整することが可能なU型鋼矢板の矯正方法を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明の態様は、次のような構成からなる。すなわち、本発明の一態様に係るU型鋼矢板の矯正方法は、ウェブと、前記ウェブの幅方向両端からそれぞれ屈曲して延びる2つのフランジと、前記両フランジの先端にそれぞれ設けられた継手部と、を有するU型鋼矢板の反りを緩和するとともに幅を調整するU型鋼矢板の矯正方法であって、前記U型鋼矢板の凸状の外面に沿う形状のロール面を有し、該ロール面を前記外面に接触させて前記ウェブ及び前記フランジを前記外面側から拘束する外側ロールと、前記U型鋼矢板の凹状の内面に沿う形状のロール面を有し、該ロール面を前記内面に接触させて前記ウェブ及び前記フランジを前記内面側から拘束する内側ロールとを、前記U型鋼矢板の通材路を挟んで交互に配して千鳥状に並べ、前記外側ロールのロール面と前記内側ロールのロール面との間に前記ウェブ及び前記フランジを挟むように前記U型鋼矢板を前記通材路に通すことにより、前記ウェブ及び前記フランジに対して内外方向の曲げ及び曲げ戻しを交互に繰り返し行うとともに、前記両フランジの先端にそれぞれ設けられた継手部間の幅の拡大及び縮小を交互に繰り返し行うことを特徴とする。
このU型鋼矢板の矯正方法においては、前記外側ロールを前記U型鋼矢板が通過する際に前記継手部間の幅が縮小するように該外側ロールのウェブ対向面の幅を設定し、前記内側ロールを前記U型鋼矢板が通過する際に前記継手部間の幅が拡大するように該内側ロールのウェブ対向面の幅を設定してもよい。
また、前記外側ロール及び前記内側ロールは前記通材路に沿ってそれぞれ複数並んでおり、前記通材路の出側に位置する少なくとも1つの前記外側ロールよりも前記通材路の入側に位置する少なくとも1つの前記外側ロールの方が、前記継手部間の幅の縮小の度合いが大きくなるように、これら両外側ロールのウェブ対向面の幅を設定し、前記通材路の出側に位置する少なくとも1つの前記内側ロールよりも前記通材路の入側に位置する少なくとも1つの前記内側ロールの方が、前記継手部間の幅の拡大の度合いが大きくなるように、これら両内側ロールのウェブ対向面の幅を設定してもよい。
さらに、前記内側ロールの幅方向外側に配された側ロールで、前記継手部間の幅を拡大した際の前記継手部の幅方向外側への変形を抑制してもよい。
本発明に係るU型鋼矢板の矯正方法は、ウェブに対して内外方向の曲げ及び曲げ戻しを交互に繰り返し行うとともに、前記両フランジの先端にそれぞれ設けられた継手部間の幅の拡大及び縮小を交互に繰り返し行うので、U型鋼矢板の反りを緩和するとともに幅を調整することが可能である。
U型鋼矢板の形状を説明する断面図である。 本発明に係るU型鋼矢板の矯正方法の一実施形態を説明する図であり、(a)はローラー矯正機の外側ロールを外側ロールの入側から見た図であり、(b)は内側ロールを内側ロールの入側から見た図である。 本発明に係るU型鋼矢板の矯正方法の一実施形態を説明する図であり、ローラー矯正機をU型鋼矢板の横側(ロールの回転軸方向端部側)から見た図である。 本発明に係るU型鋼矢板の矯正方法の一実施形態を説明する図であり、ローラー矯正機の内側ロール及び側ロールを入側から見た図である。 実施例及び比較例における矯正後のU型鋼矢板の全幅を示すグラフである。 U型鋼矢板の上反りを説明する図である。 U型鋼矢板の下反りを説明する図である。
本発明に係るU型鋼矢板の矯正方法の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、U型鋼矢板の形状を説明する断面図(U型鋼矢板の長手方向に直交する平面で切断した断面図)である。また、図2,3は、本発明に係るU型鋼矢板の矯正方法の一実施形態を説明する図であり、U型鋼矢板の矯正に用いるローラー矯正機の構造を示す図である。なお、図2の(a)は図3のA−A断面図であり、図2の(b)は図3のB−B断面図である。
U型鋼矢板10は、図1に示すように、ウェブ1と、ウェブ1の幅方向両端からそれぞれ屈曲してウェブ1の一方の面側に延びる2つのフランジ2,2と、両フランジ2,2の先端にそれぞれ設けられた継手部3,3と、を有している。
熱間圧延により製造されたU型鋼矢板10は、圧延・冷却後に反りが生じている場合があるので、反りを緩和・除去する必要がある。また、熱間圧延により製造されたU型鋼矢板10の幅は均一になりにくく、製品毎にばらつくおそれがあるので、幅を調整して製品毎のバラツキを小さくする必要がある。
そこで、U型鋼矢板10を製造する製造設備中に、図2,3に示すローラー矯正機を設置し、製造設備の搬送ライン(図示せず)によってU型鋼矢板10を前記ローラー矯正機に導入して、冷間矯正によりU型鋼矢板10の反りを緩和・除去するとともに幅を調整するようになっている。そして、反りが緩和・除去されるとともに幅が目的の製品幅に調整されて所望の形状の製品とされたU型鋼矢板10は、搬送ラインによって検査工程、出荷工程に搬送されるようになっている。
ここで、図2,3のローラー矯正機について詳細に説明する。ローラー矯正機は、互いに平行をなしてU型鋼矢板10の通材方向の上流側から下流側へ一列に並ぶ複数のロールからなるロール列を、U型鋼矢板10の通材路を挟んで上下に2列備えている。図3の例では、上側のロール列は4個の上側ロール21,23,25,27を有しており、下側のロール列は3個の下側ロール22,24,26を有しているが、ロールの個数は特に限定されるものではない。ただし、ウェブ1に3回以上繰り返して曲げが行われるような個数とすることが好ましいので、2列のロール列のロールの合計数は5個以上とすることが好ましい。
これら2列のロール列は、図3に示すように、各ロール21〜27の並び方向位置が互いにずれた状態で対向配置されている。すなわち、ロール21〜27をその回転軸方向端部側から見ると、上側ロール21,23,25,27と下側ロール22,24,26とが通材路を挟んで上下交互に配されており、ロール21〜27は全体としてU型鋼矢板10の通材方向に沿って上下に千鳥状に並べられている。
上側ロール21,23,25,27は、逆U姿勢のU型鋼矢板10の上面10a(すなわち、U型鋼矢板10の凸状の外面(図1を参照))に沿う形状のロール面20を有しており、該ロール面20を上面10aに接触させてウェブ1及びフランジ2,2を上面10a側から拘束することができるようになっている。すなわち、上側ロール21,23,25,27が、本発明の構成要件である外側ロールに相当する。
また、下側ロール22,24,26は、逆U姿勢のU型鋼矢板10の下面10b(すなわち、U型鋼矢板10の凹状の内面(図1を参照))に沿う形状のロール面20を有しており、該ロール面20を下面10bに接触させてウェブ1及びフランジ2,2を下面10b側から拘束することができるようになっている。すなわち、下側ロール22,24,26が、本発明の構成要件である内側ロールに相当する。
さらに、これら2列のロール列は、図3から分かるように、各上側ロール21,23,25,27のロール面20の最下端が、各下側ロール22,24,26のロール面20の最上端よりも下側に位置するように配置されている。よって、これらロール21〜27により、U型鋼矢板10が通される通材路が2列のロール列の間に上下方向に波形に形成されている。
さらに、各ロール21〜27は、それぞれ一対のロール部材からなっている。すなわち、U型鋼矢板10のウェブ1の幅方向端部側部分、フランジ2の基端部側部分、及びウェブ1とフランジ2の境目のR部に接触するロール面20を有する2つのロール部材が、U型鋼矢板10の幅方向に間隔をおいて配置されている。例えば、各ロール列のうち通材方向最上流側のロール21,22について説明すると、図2に示すように、上側ロール21は、一対のロール部材21A,21Bからなり、下側ロール22は、一対のロール部材22A,22Bからなっている。
そして、上側ロール21の一対のロール部材21A,21Bは、図2の(a)に示すように、それぞれウェブ1の両側にあるウェブ1とフランジ2との境目10A,10Bを含む外面側形状に沿う断面形状とされている。すなわち、ロール部材21A,21Bのロール面20は、ウェブ1外面に沿うことができるウェブ対向面20a、フランジ2外面に沿うことができるフランジ対向面20bとを有し、ウェブ対向面20aとフランジ対向面20bとが接続部20cで接続されている。
また、下側ロール22の一対のロール部材22A,22Bは、図2の(b)に示すように、それぞれウェブ1の両側にあるウェブ1とフランジ2との境目10A,10Bを含む内面側形状に沿う断面形状とされている。すなわち、ロール部材22A,22Bのロール面20は、ウェブ1内面に沿うことができるウェブ対向面20a、フランジ2内面に沿うことができるフランジ対向面20bとを有し、ウェブ対向面20aとフランジ対向面20bとが接続部20cで接続されている。
そして、各ロール21〜27を構成する一対のロール部材の間の幅方向の間隔は、所望の値に設定可能とされている。すなわち、両ロール部材の少なくとも一方を幅方向に移動させて、両ロール部材の間隔を変更できるようになっている。具体的には、図2の(a)に示す上側ロール21を例にとると、一対のロール部材21A,21Bのそれぞれのロール面20におけるウェブ対向面20aの幅Lを調整可能とされ、同様に、図2の(b)に示す下側ロール22を例にとると、一対のロール部材22A,22Bのそれぞれのロール面20におけるウェブ対向面20aの幅Lを調整可能とされている。
ただし、各ロール21〜27は、一体的な部材でもよい。各ロール21〜27が一体的な部材である場合には、幅の異なる種々のロールを用意して交換することにより、各ロール21〜27のウェブ対向面20aの幅を変更する。
各ロール21〜27の幅は、以下の通りに設定する。まず、上側ロール21のウェブ対向面の幅Lは、従来は図2の(a)に示されている通り、L=外面側ウェブ幅(図1を参照)として設定していた。しかし、本実施形態では、Lを通材するU型鋼矢板10の外面側ウェブ幅よりも小さく設定する。これにより、U型鋼矢板10が上側ロール21を通過する際には、U型鋼矢板10のフランジ2が図2の(a)中の矢印Xに示すように幅方向に押し縮められて、継手部3間の幅Wが縮小するような塑性ひずみがU型鋼矢板10に付与される。
次に、下側ロール22のウェブ対向面の幅Lは、従来は図2の(b)に示されている通り、L=内面側ウェブ幅(図1を参照)として設定していた。しかし、本実施形態では、Lを通材するU型鋼矢板10のウェブ1の内面側ウェブ幅よりも大きく設定する。これにより、U型鋼矢板10が下側ロール22を通過する際には、U型鋼矢板10のフランジ2が図2の(b)中の矢印Yに示すように幅方向に押し拡げられて、継手部3間の幅Wが拡大するような塑性ひずみがU型鋼矢板10に付与される。
さらに、上側ロール23,25,27では、それぞれのひとつ上流側の下側ロール22,24,26を通過した後のU型鋼矢板10の継手部3間の幅Wが、当該上側ロール23,25,27を通過する際には縮小するように各ロールのウェブ対向面の幅Lを設定する。一方、下側ロール24,26では、それぞれのひとつ上流側の上側ロール23,25を通過した後のU型鋼矢板10の継手部3間の幅Wが、当該下側ロール24,26を通過する際には拡大するように各ロールのウェブ対向面の幅Lを設定する。
このようなロール21〜27を有するローラー矯正機に、U型鋼矢板10の長手方向がロール21〜27の並び方向に沿うように、逆U姿勢のU型鋼矢板10を通材する。すなわち、上側ロール21,23,25,27のロール面20と下側ロール22,24,26のロール面20との間にウェブ1及びフランジ2,2を挟むように、U型鋼矢板10を上下方向に波形の通材路に通す。
すると、U形鋼矢板10は上側ロール21,23,25,27と下側ロール22,24,26の各ロール間で3点支持されるので、U形鋼矢板10のウェブ1に曲げが行われる。そして、U形鋼矢板10を通材路の下流側に移動させることにより、ウェブ1に対して上下方向(本発明の構成要件である内外方向に相当する)の曲げ及び曲げ戻しが交互に繰り返し行われるため、U形鋼矢板10の反りが緩和される。
一方、各上側ロール21,23,25,27におけるウェブ対向面の幅Lは、上側ロール21,23,25,27を通る際にU型鋼矢板10のフランジ2図2の(a)中の矢印Xで示すように幅方向に押し縮められるように設定されているため、継手部3の間の幅Wが縮小するような塑性ひずみがU型鋼矢板10に付与される。また、各下側ロール22,24,26におけるウェブ対向面の幅Lは、下側ロール22,24,26を通る際にU型鋼矢板10のフランジ2図2の(b)中の矢印Yで示すように幅方向に押し拡げられるように設定されているため、継手部3の間の幅Wが拡大するような塑性ひずみがU型鋼矢板10に付与される。
つまり、U型鋼矢板10は、上側ロール21,23,25,27と下側ロール22,24,26を交互に通るので、継手部3間の幅Wの拡大及び縮小が交互に繰り返し行われる。これにより、U型鋼矢板10の全幅が調整されるため、規定の製品幅等の所望の値に調整することが可能である。
従来のローラー矯正機においては、曲げ及び曲げ戻しが交互に繰り返し行われて反りは緩和されるが、各ロールの幅は一定で、通常はウェブ対向面の幅Lが目的の製品幅に等しく設定されているため、上記のような継手部3間の幅Wの拡大及び縮小はほとんど行われず、U型鋼矢板の全幅の調整はほとんどなされなかった。その結果、U型鋼矢板の製品幅は、ローラー矯正機を通す前のU型鋼矢板の幅のバラツキの影響を受けて、製品毎にばらつくおそれがあった。
これに対して、本実施形態のローラー矯正方法においては、ロール21〜27の幅を適切に設定することにより、U型鋼矢板10の幅を所望の値に調整することが可能であるので、ローラー矯正機を通す前のU型鋼矢板10の幅がばらついていたとしても、U型鋼矢板10の幅を目的の製品幅に調整して、製品毎のバラツキを小さくすることができる。さらに、継手部3間の幅Wの拡大及び縮小が交互に繰り返し行われ、塑性ひずみが付与されることにより、反りの矯正能力が向上するという効果もある。
なお、上側ロール21,23,25,27と下側ロール22,24,26は前記通材路に沿ってそれぞれ複数並んでいるが、通材路の出側に位置する少なくとも1つ(例えば1〜3個)の上側ロールよりも通材路の入側に位置する少なくとも1つ(例えば1〜3個)の上側ロールの方が、継手部3間の幅Wの縮小の度合いが大きくなるように、これら両上側ロールの幅を設定することが好ましく、また、通材路の出側に位置する少なくとも1つ(例えば1〜3個)の下側ロールよりも通材路の入側に位置する少なくとも1つ(例えば1〜3個)の下側ロールの方が、継手部3間の幅Wの拡大の度合いが大きくなるように、これら両下側ロールの幅を設定することが好ましい。
このような構成であれば、入側の上側ロール及び下側ロールで幅方向に大きな塑性変形が付与されるので、U型鋼矢板10の幅が大きく調整され、目的の製品幅に近い幅となる。そして、出側の上側ロール及び下側ロールで幅方向に小さな塑性変形が付与されるので、U型鋼矢板10の幅が微調整され、目的の製品幅に整えられる。よって、U型鋼矢板10の幅が目的の製品幅に調整されやすい。また、上記のような構成は、反りの緩和にも良好に寄与する。
また、下側ロール22,24,26の幅方向両外側には、図4に示すように、それぞれ側ロール30,30を配してもよい。下側ロール22,24,26によってウェブ1の幅が拡大されると、その変形に伴い、継手部3の位置がU型鋼矢板10の幅方向外側に移動することとなるが、側ロール30が配されていれば、継手部3の幅方向外側への移動を側ロール30の側面30Aで抑えられる。したがって、継手部3の幅Wが必要以上に拡大することを抑制できる。
なお、両側ロール30のロール側面30A,30A間の間隔Mは、下側ロール22,24,26をU型鋼矢板10が通過する際に、継手部3間の幅Wが拡大することができる程度の長さとしておく。
さらに、本実施形態においては、水平をなしたウェブ1からフランジ2,2が略下方に向かって延びる逆U姿勢のU型鋼矢板10に矯正を施す例を示して説明したが、矯正を施す際のU型鋼矢板10の姿勢は特に限定されるものではなく、水平をなしたウェブ1からフランジ2,2が略上方に向かって延びるU姿勢とすることもできるし、あるいは、鉛直をなしたウェブ1からフランジ2,2が略側方に向かって延びる姿勢とすることもできる。
さらに、本発明を適用できるU型鋼矢板のサイズは特に限定されるものではなく、大型や小型など、あらゆるサイズのU型鋼矢板に対して適用可能である。
さらに、本実施形態においては、ローラー矯正機をU型鋼矢板の製造設備中に設置した例を説明したが、U型鋼矢板の製造設備外においてローラー矯正機を使用することも可能である。
〔実施例〕
以下に実施例を示して、本発明をさらに具体的に説明する。図2,3に示すローラー矯正機を用いて、熱間圧延で成形され冷却されたU型鋼矢板の反りを緩和するとともに幅を調整した。U型鋼矢板としては、JFEスチール株式会社製のJFESP−4(有効幅400mm)を用いた。
図3に示すローラー矯正機は、上側ロールを4個と下側ロールを3個備えているが、各ロールのウェブ対向面幅Lは、上側ロールの場合、目的とする製品における外面側ウェブ幅を基準値とし、下側ロールの場合、目的とする製品における内面側ウェブ幅を基準値として、以下のように設定した。まず、入側1番目の上側ロール21の幅Lは、基準値よりも4mm小さく設定した。これにより、上側ロール21を通った際にU型鋼矢板が幅方向に大きく押し縮められて、継手部3間の幅Wが大きく縮小する。
また、入側1番目の下側ロール22の幅Lは、基準値よりも4mm大きく設定した。また、入側1番目の下側ロール22の幅方向両外側には側ロール30,30を設け、これら側ロール30,30の側面30A,30A間の間隔は、目的とする製品における全幅を基準値とし、この基準値よりも5.5mm大きく設定した。これにより、上側ロール21で大きく縮小されたU型鋼矢板10が下側ロール22を通った際に幅方向に大きく押し拡げられて、継手部3間の幅Wが大きく拡大する。
さらに、入側2番目の上側ロール23の幅Lは、基準値よりも4mm小さく設定した。これにより、下側ロール22で継手部3間の幅Wが大きく拡大されたU型鋼矢板が上側ロール23を通った際に幅方向に大きく押し縮められて、継手部3間の幅Wが大きく縮小する。これら入側の3個のロール21〜23により、幅方向に大きな塑性変形が付与されるので、U型鋼矢板の幅が大きく調整され、この段階で矯正前の製品幅の長手方向でのバラツキが一定範囲に収束する。
次に、入側2番目の下側ロール24のウェブ対向面幅Lは、基準値よりも2mm大きく設定し、下側ロール24の幅方向両外側には側ロール30,30を設け、これら側ロール30,30の側面30A,30A間の間隔Mは、基準値よりも3.5mm大きく設定した。これにより、上側ロール23で大きく縮小されたU型鋼矢板の継手部3間の幅Wは、下側ロール24を通った際に幅方向に中程度に押し拡げられて、この幅Wが中程度に拡大する。
さらに、入側3番目の上側ロール25のウェブ対向面幅Lは、基準値よりも2mm大きく設定した。これにより、下側ロール24で中程度に拡大されたU型鋼矢板の継手部3間の幅Wは、上側ロール25を通った際に幅方向に中程度に押し縮められて、この幅Wが中程度に縮小する。これら入側と出側の中間部の2個のロール24,25により、幅方向に中程度の塑性変形が付与されるので、U型鋼矢板の幅が調整され、基準値により近い幅となる。
さらに、入側3番目(出側1番目)の下側ロール26のウェブ対向面幅Lは、基準値よりも4mm大きく設定し、下側ロール26の幅方向両側には側ロール30,30を設け、これら側ロール30,30の側面30A,30A間の間隔Mは、基準値よりも3.5mm大きく設定した。これにより、上側ロール25で中程度に縮小されたU型鋼矢板の継手部3間の幅Wが下側ロール26を通った際に幅方向に僅かに押し拡げられて、この幅Wが僅かに拡大する。
さらに、入側4番目(出側1番目)の上側ロール27のウェブ対向面幅Lは、基準値よりも2mm大きく設定した。これにより、下側ロール26で僅かに拡大されたU型鋼矢板の継手部3間の幅Wが上側ロール27を通った際に幅方向に僅かに押し縮められて、この幅Wが僅かに縮小する。これら出側の2個のロール26,27により、幅方向に小さな塑性変形が付与されるので、U型鋼矢板の幅が微調整され、目的の製品幅に整えられる。
結果を図5のグラフに示す。図5のグラフは、矯正されたU型鋼矢板の長手方向各位置の全幅を示している。横軸のTは先端を意味し、T−1は先端から1mの長手方向位置を示す。また、Bは尾端を示し、B−1は尾端から1mの長手方向位置を示す。さらに、Mは、長手方向中央を示す。
△印のプロットで示した実施例は、いずれの長手方向位置においても幅が目標値に近い値に調整されており、バラツキも小さく許容範囲内(上限値と下限値の間)におさまっていることが分かる。さらに、長手方向位置における幅の変動が小さいことが分かる。
これに対して、全ての上側ロールと下側ロールのウェブ対向面幅Lを基準値に設定し、側ロール30,30の側面30A,30A間の間隔Mを基準値よりも3mm大きく設定した比較例(○印のプロットで示した)は、いずれの長手方向位置においても幅が目標値から外れており、バラツキも大きく許容範囲外(下限値を下回る)となる場合があることが分かる。
また、反りについては、比較例では、ローラー矯正機による矯正後も反り残りが2.1%程度発生していたのに対し、実施例では0.4%にまで減少した。
なお、入側の上側ロール(本実施例では上側ロール21,23)のウェブ対向面幅Lは、基準値よりも4〜6mm(U型鋼矢板の有効幅(図2におけるW)の1〜1.5%)小さく設定することが好ましい。また、入側及び中間の下側ロール(本実施例では下側ロール22,24)のウェブ対向面幅Lは、基準値よりも2〜4mm(U型鋼矢板の有効幅の0.5〜1%)大きく設定することが好ましい。さらに、入側の側ロール(本実施例では下側ロール22に付随する側ロール)30,30のロール側面30A,30Aの間隔Mは、基準値よりも4.5〜6.5mm(U型鋼矢板の有効幅の1.1〜1.6%)大きく設定することが好ましい。
さらに、出側の上側ロール(本実施例では上側ロール25,27)のウェブ対向面幅Lは、基準値よりも1〜3mm(U型鋼矢板の有効幅の0.25〜0.75%)大きく設定することが好ましい。また、出側の下側ロール(本実施例では下側ロール26)のウェブ対向面幅Lは、基準値よりも2〜6mm(U型鋼矢板の有効幅の0.5〜1.5%)大きく設定することが好ましい。さらに、出側の側ロール(本実施例では下側ロール26に付随する側ロール)30,30の側面30A,30A間の間隔Mは、基準値よりも2.5〜4.5mm(U型鋼矢板の有効幅の0.6〜1.1%)大きく設定することが好ましい。
また、最も出側の上側ロール27及び下側ロール26の幅Lを基準値よりも小さく設定すると、ローラー矯正機を通過したU型鋼矢板の全幅が目標値よりも小さくなりやすいので、最も出側の上側ロール27及び下側ロール26の幅Lは、基準値よりも大きい値とすることが好ましい。
さらに、出側の下側ロール24,26及び該下側ロール24,26に付随する側ロール30,30の側面30A,30A間の間隔Mを、基準値よりも大きい値とすることにより、全幅不同が低減され、U型鋼矢板の全長にわたって幅が均一になりやすい。
1 ウェブ
2 フランジ
3 継手部
10 U型鋼矢板
10a 上面
10b 下面
20 ロール面
21,23,25,27 上側ロール(外側ロール)
22,24,26 下側ロール(内側ロール)
26A,26B,27A,27B ロール部材
30 側ロール

Claims (3)

  1. ウェブと、前記ウェブの幅方向両端からそれぞれ屈曲して延びる2つのフランジと、前記両フランジの先端にそれぞれ設けられた継手部と、を有するU型鋼矢板の反りを緩和するとともに幅を調整するU型鋼矢板の矯正方法であって、
    前記U型鋼矢板の凸状の外面のうちのウェブ外面に沿うことができるウェブ対向面と該ウェブ対向面に接続され前記凸状の外面のうちのフランジ外面に沿うことができるフランジ対向面とを有するロール面を有し、該ロール面を前記凸状の外面に接触させて前記ウェブ及び前記フランジを前記凸状の外面側から拘束する外側ロールと、前記U型鋼矢板の凹状の内面のうちのウェブ内面に沿うことができるウェブ対向面と該ウェブ対向面に接続され前記凹状の内面のうちのフランジ内面に沿うことができるフランジ対向面とを有するロール面を有し、該ロール面を前記凹状の内面に接触させて前記ウェブ及び前記フランジを前記凹状の内面側から拘束する内側ロールとを、前記U型鋼矢板の通材路を挟んで交互に配して千鳥状に並べ、
    前記外側ロールのロール面と前記内側ロールのロール面との間に前記ウェブ及び前記フランジを挟むように前記U型鋼矢板を前記通材路に通すことにより、前記ウェブ及び前記フランジに対して内外方向の曲げ及び曲げ戻しを交互に繰り返し行うとともに、
    前記外側ロールを前記U型鋼矢板が通過する際に前記両フランジの先端にそれぞれ設けられた継手部間の幅が縮小するように、該外側ロールのウェブ対向面の幅を、該外側ロールを通過する前の前記U型鋼矢板の外面側ウェブ幅よりも小さく設定し、前記内側ロールを前記U型鋼矢板が通過する際に前記継手部間の幅が拡大するように、該内側ロールのウェブ対向面の幅を、該内側ロールを通過する前の前記U型鋼矢板の内面側ウェブ幅よりも大きく設定して、記継手部間の幅の拡大及び縮小を交互に繰り返し行うことを特徴とするU型鋼矢板の矯正方法。
  2. 前記外側ロール及び前記内側ロールは前記通材路に沿ってそれぞれ複数並んでおり、前記通材路の出側に位置する少なくとも1つの前記外側ロールよりも前記通材路の入側に位置する少なくとも1つの前記外側ロールの方が、前記継手部間の幅の縮小の度合いが大きくなるように、これら両外側ロールのウェブ対向面の幅を設定し、前記通材路の出側に位置する少なくとも1つの前記内側ロールよりも前記通材路の入側に位置する少なくとも1つの前記内側ロールの方が、前記継手部間の幅の拡大の度合いが大きくなるように、これら両内側ロールのウェブ対向面の幅を設定することを特徴とする請求項1に記載のU型鋼矢板の矯正方法。
  3. 前記内側ロールの幅方向外側に配された側ロールで、前記継手部間の幅を拡大した際の前記継手部の幅方向外側への変形を抑制することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のU型鋼矢板の矯正方法。
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